JP5975581B2 - ミグラスタチンおよびその使用 - Google Patents

ミグラスタチンおよびその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP5975581B2
JP5975581B2 JP2014504053A JP2014504053A JP5975581B2 JP 5975581 B2 JP5975581 B2 JP 5975581B2 JP 2014504053 A JP2014504053 A JP 2014504053A JP 2014504053 A JP2014504053 A JP 2014504053A JP 5975581 B2 JP5975581 B2 JP 5975581B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aliphatic
pharmaceutically acceptable
methyl
compound
acceptable salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014504053A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014510157A5 (ja
JP2014510157A (ja
Inventor
サミュエル ジェイ. ダニシェフスキー,
サミュエル ジェイ. ダニシェフスキー,
ジョーン マッサーグ,
ジョーン マッサーグ,
マヌエル バリエンテ コルテス,
マヌエル バリエンテ コルテス,
トルドウル オスカルソン,
トルドウル オスカルソン,
マルコム ムーア,
マルコム ムーア,
ニコラ ルコント,
ニコラ ルコント,
ワテク ウエルフェリ,
ワテク ウエルフェリ,
グァンリ ヤン,
グァンリ ヤン,
Original Assignee
スローン − ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ
スローン − ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by スローン − ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ, スローン − ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ filed Critical スローン − ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ
Publication of JP2014510157A publication Critical patent/JP2014510157A/ja
Publication of JP2014510157A5 publication Critical patent/JP2014510157A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5975581B2 publication Critical patent/JP5975581B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D313/00Heterocyclic compounds containing rings of more than six members having one oxygen atom as the only ring hetero atom
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/335Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P15/00Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P15/00Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives
    • A61P15/14Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives for lactation disorders, e.g. galactorrhoea
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/04Antineoplastic agents specific for metastasis

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Reproductive Health (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Gynecology & Obstetrics (AREA)
  • Pregnancy & Childbirth (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Pyrane Compounds (AREA)

Description

(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2011年4月7日に出願された米国仮特許出願第61/473,131号、および2011年7月15日に出願された米国仮特許出願第61/508,275号の優先権を主張する。これらの各米国仮特許出願の全内容が、参考として本明細書に援用される。
(背景)
多くのがんによる死亡が、原発性腫瘍からではなく、転移性疾患の結果として生じることは、周知である。この事実を認めて、がんを処置する手段として、転移を妨げるかもしくは停止させることに強い臨床的利益がある。
(政府による支援)
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金CA103823の下で、合衆国政府による支援を受けて行われた。本発明はまた、Terri Brodeur Breast Cancer Foundationからの研究支援金によって支援されている。合衆国政府は、本発明において一定の権利を有する。
(定義)
本開示の特定の化合物、および具体的官能基の定義は、以下に、より詳細に記載される。本開示の目的で、化学元素は、元素周期表(CASバージョン, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.,内表紙)に従って同定され、具体的官能基は、そこに記載されるとおりに一般的に定義される。さらに、有機化学の一般原理、ならびに具体的官能部分および反応性は、「Organic Chemistry」, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999(その内容全体が、本明細書に参考として援用される)に記載されている。
本明細書で使用される場合、別段示されなければ、以下の定義が適用されるものとする。
用語「脂肪族」もしくは「脂肪族基」とは、本明細書で使用される場合、完全に飽和しているかもしくは1個以上の不飽和単位を含む、直鎖(すなわち、非分枝状)もしくは分枝状の置換されたかもしくは置換されていない炭化水素鎖、または完全に飽和されているかもしくは1個以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではない単環式炭化水素もしくは二環式炭化水素(本明細書において「炭素環」、「脂環式」もしくは「シクロアルキル」ともいわれる)を意味し、これらは分子の残りに対する1個の結合点を有する。別段特定されなければ、脂肪族基は、1〜12個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜5個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜3個の脂肪族炭素原子を含み、なお他の実施形態において、脂肪族基は、1〜2個の脂肪族炭素原子を含む。適切な脂肪族基としては、直鎖状もしくは分枝状の、飽和もしくは不飽和のアルキル、アルケニル、アルキニル基およびこれらのハイブリッド(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルもしくは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「ヘテロ原子」とは、酸素、硫黄、窒素、リン、もしくはケイ素(窒素、硫黄、リン、もしくはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態または;複素環式環の置換可能な窒素(例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)もしくはNR(N置換されたピロリジニルにおけるような))を含む)のうちの1種以上を意味する。
用語「不飽和」とは、本明細書で使用される場合、ある部分が1個以上の不飽和単位を有することを意味する。
単独で、もしくはより大きな部分の一部として使用される用語「脂環式」、「炭素環」、もしくは「炭素環式」とは、本明細書で記載される場合、3〜12員を有する飽和もしくは部分不飽和の環式脂肪族である単環式もしくは多環式の環系であって、ここで上記脂肪族環系は、上で定義されかつ本明細書で記載されるとおりに必要に応じて置換されるものをいう。脂環式基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、ノルボルニル、アダマンチル、およびシクロオクタジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記シクロアルキルは、3〜6個の炭素を有する。用語「脂環式」、「炭素環」もしくは「炭素環式」としてはまた、1個以上の芳香環もしくは非芳香環と縮合している脂肪族環(例えば、デカヒドロナフチルもしくはテトラヒドロナフチル)が挙げられ、上記ラジカルもしくは結合点は、上記脂肪族環の上にある。特定の実施形態において、用語「3〜14員の炭素環」および「C3−14炭素環」とは、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環式環、または7〜14員の飽和もしくは部分不飽和の多環式炭素環式環をいう。
本明細書で使用される場合、用語「二価の飽和もしくは不飽和の、直鎖もしくは分枝状の炭化水素鎖」とは、本明細書で定義されるとおりの直鎖状もしくは分枝状である二価のアルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン鎖をいう。
用語「アルキレン」とは、二価のアルキル基をいう。「アルキレン鎖」とは、ポリメチレン基(すなわち、−(CH−(ここでnは、正数であり、好ましくは、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、もしくは2〜3)である。置換されたアルキレン鎖は、1個以上のメチレン水素原子が置換基で置き換えられているポリメチレン基である。適切な置換基としては、置換された脂肪族基について以下に記載されるものが挙げられる。
用語「アルケニレン」とは、二価のアルケニル基をいう。置換されたアルケニレン鎖は、少なくとも1個の二重結合を含むポリメチレン基であって、1個以上の水素原子が置換基で置き換えられているポリメチレン基である。
用語「アルキニレン」とは、二価のアルキニル基をいう。置換されたアルキニレン鎖は、少なくとも1個の二重結合を含むポリメチレン基であって、1個以上の水素原子が置換基で置き換えられているポリメチレン基である。
用語「アルキル」とは、本明細書で使用される場合、1〜6個の間の炭素原子を含む脂肪族部分から1個の水素原子を除去することによって得られる、飽和の直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素ラジカルをいう。別段特定されなければ、アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキル基は、1〜8個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含み、そしていくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜2個の炭素原子を含む。アルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、およびドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルケニル」とは、本明細書で使用される場合、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族部分から1個の水素原子を除去することによって得られる一価の基を示す。別段特定されなければ、アルケニル基は、2〜12個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルケニル基は、2〜8個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルケニル基は、2〜6個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜5個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜4個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2〜3個の炭素原子を含み、そしていくつかの実施形態において、アルケニル基は、2個の炭素原子を含む。アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、および1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられる。
用語「アルキニル」とは、本明細書で使用される場合、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族部分から1個の水素原子を除去することによって得られる一価の基をいう。別段特定されなければ、アルキニル基は、2〜12個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキニル基は、2〜6個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜5個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜4個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2〜3個の炭素原子を含み、そしていくつかの実施形態において、アルキニル基は、2個の炭素原子を含む。代表的アルキニル基としては、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、および1−プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
単独で、もしくはより大きな部分の一部として使用される用語「アシル」とは、カルボン酸からヒドロキシル基を除去することによって形成される基をいう。非限定的な例示的アシル基は、カルボン酸、エステル、アミドおよびカルバメートを含む。
用語「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、もしくはIを意味する。
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」におけるようにより大きな部分の一部として使用される用語「アリール」とは、合計5〜20個の環員を有する単環式および多環式の環系であって、ここで上記環系における少なくとも1個の環が芳香族であり、かつ上記環系における各環が3〜12個の環員を含むものをいう。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。本発明の特定の実施形態において、「アリール」とは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、およびアントラシルなどが挙げられるが、これらに限定されない、1個以上の置換基を有し得る芳香環系をいう。また、用語「アリール」の範囲内に含まれるのは、本明細書で使用される場合、芳香環が1個以上のさらなる環と縮合している基(例えば、ベンゾフラニル、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル(naphthimidyl)、フェナントリジニル(phenantriidinyl)、もしくはテトラヒドロナフチルなど)である。特定の実施形態において、用語「6〜10員のアリール」とは、フェニルもしくは8〜10員の多環式アリール環をいう。
単独で、またはより大きな部分(例えば、「ヘテロアラルキル」、もしくは「ヘテロアラルコキシ」)の一部として使用される用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアリ−(heteroar−)」とは、5〜14個の環原子、好ましくは、5個、6個、もしくは9個の環原子を有し;環式の配置において共有される6個、10個、もしくは14個のπ電子を有し;そして炭素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する基をいう。用語「ヘテロ原子」とは、窒素、酸素、もしくは硫黄をいい、窒素もしくは硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の四級化形態を含む。ヘテロアリール基としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニルおよびプテリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアリ−」とはまた、本明細書で使用される場合、ヘテロ芳香環が1個以上のアリール、脂環式、もしくは複素環式環と縮合し、ここで上記ラジカルもしくは結合点が、ヘテロ芳香環上にある基を含む。非限定的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式であってもよいし、二環式であってもよい。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」もしくは「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得、これら用語のうちのいずれかは、必要に応じて置換される環を含む。用語「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリールによって置換されるアルキル基であって、ここで上記アルキルおよびヘテロアリール部分は独立して、必要に応じて置換されるものをいう。特定の実施形態において、用語「5〜12員のヘテロアリール」とは、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する8〜12員の二環式ヘテロアリール環をいう。
用語「ヘテロ脂肪族」とは、本明細書で使用される場合、1個もしくは2個の炭素原子が、酸素、硫黄、窒素、もしくはリンのうちの1個以上によって独立して置き換えられている脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換されていても置換されていなくてもよく、分枝状であっても非分枝状であってもよく、環式であっても非環式であってもよいし、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ脂環式」、もしくは「複素環式」基を含む。
本明細書で使用される場合、用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」、および「複素環式環」は、交換可能に使用され、安定な5〜7員の単環式もしくは7〜14員の多環式複素環式部分であって、飽和もしくは部分不飽和のいずれかであり、かつ炭素原子に加えて、上で定義されるように、1個以上、好ましくは、1〜4個のヘテロ原子を有するものをいう。複素環の環原子に言及して使用される場合、用語「窒素」は、置換される窒素を含む。例として、酸素、硫黄もしくは窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する飽和もしくは部分不飽和の環において、上記窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)もしくはNR(N置換されたピロリジニルにおけるような)であり得る。いくつかの実施形態において、用語「3〜7員の複素環式」とは、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する3〜7員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環をいう。いくつかの実施形態において、用語「3〜12員の複素環式」とは、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する7〜12員の飽和もしくは部分不飽和の多環式複素環式環をいう。
複素環式環は、安定な構造をもたらす、任意のヘテロ原子もしくは炭素原子においてそのペンダント基に結合し得、上記環原子のうちのいずれかは、必要に応じて置換され得る。このような飽和もしくは部分不飽和の複素環式ラジカルの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびキヌクリジニル。用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」、および「複素環式ラジカル」は、本明細書で交換可能に使用され、そしてまた、ヘテロシクリル環が、1個以上のアリール、ヘテロアリール、もしくは脂環式基と縮合している基(例えば、インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、もしくはテトラヒドロキノリニル)であって、ここで上記ラジカルもしくは結合点が上記ヘテロシクリル環上にあるものを含む。ヘテロシクリル基は、単環式であっても二環式であってもよい。用語「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロシクリルによって置換されているアルキル基であって、ここで上記アルキルおよびヘテロシクリル部分が独立してかつ必要に応じて置換されるものをいう。
本明細書で使用される場合、用語「部分不飽和の」とは、少なくとも1個の二重結合もしくは三重結合を含む環部分に言及する。用語「部分不飽和の」は、複数の不飽和部位を有する環を含むと意図されるが、アリールもしくはヘテロアリール部分(本明細書で定義されるとおり)を含むとは意図されない。
別の局面において、本開示は、「薬学的に受容可能な」組成物を提供し、上記組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリア(添加剤)および/もしくは希釈剤と一緒に製剤された、治療上有効な量の、本明細書に記載される化合物のうちの1種以上を含む。詳細に記載される場合、本開示の薬学的組成物は、固体もしくは液体形態での投与のために特別に製剤され得、以下のものに適合するものが挙げられる:経口投与(例えば、水薬(水性もしくは非水性の液剤もしくは懸濁物)、錠剤(例えば、口内吸収、舌下吸収および全身吸収に標的化されたもの)、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への適用のためのパスタ剤);非経口投与(例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射もしくは硬膜外注射によって(例えば、滅菌液剤もしくは懸濁物、または徐放性処方物として);局所適用(例えば、クリーム剤、軟膏、または皮膚、肺もしくは口腔に適用される制御放出パッチもしくはスプレーとして);膣内もしくは直腸内に(例えば、ペッサリー、クリーム剤もしくは泡沫として);舌下に;眼に;経皮的に;または鼻に、肺におよび他の粘膜表面に。
語句「薬学的に受容可能な」は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性も、刺激も、アレルギー応答も、他の問題も合併症もなしに、ヒトおよび動物の組織と接触した状態での使用に適切であり、合理的な利益/リスク比で釣り合っている化合物、物質、組成物、および/または投与形態をいうために、本明細書で使用される。
語句「薬学的に受容可能なキャリア」とは、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を、ある器官もしくは身体の一部から別の器官もしくは身体の一部へと運ぶかもしくは輸送することに関与する、薬学的に受容可能な物質、組成物もしくはビヒクル(例えば、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、もしくは溶媒被包物質)を意味する。各キャリアは、上記処方物の他の成分と適合性であり、かつ、患者にとって有害でないという意味において「受容可能」でなければならない。薬学的に受容可能なキャリアとして働き得る物質のいくつかの例としては、以下が挙げられる:糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);セルロース、およびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);粉末化トラガカントガム;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、カカオ脂および坐剤用ワックス);油(例えば、ラッカセイ油、綿実油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、コーン油および大豆油);グリコール(例えば、プロピレングリコール);ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝化剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝化溶液;ポリエステル、ポリカーボネートおよび/もしくはポリ無水物;ならびに薬学的処方物において使用される他の非毒性の適合性物質。
別段述べられなければ、本明細書に示される構造はまた、上記構造の全ての異性形態(例えば、エナンチオマー形態、ジアステレオマー形態、および幾何異性形態(もしくは配座異性形態));例えば、各立体中心に関してR配置およびS配置、Z二重結合異性体およびE二重結合異性体、ならびにZ配座異性体およびE配座異性体を含むと意図される。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、および幾何異性(もしくは配座異性)混合物は、本開示の範囲内である。別段述べられなければ、本開示の化合物の全ての互変異性形態は、本開示の範囲内である。
提供される化合物は、1種以上のサッカリド部分を含み得る。別段特定されなければ、D−配置およびL−配置、ならびにこれらの混合物はともに、本開示の範囲内である。別段特定されなければ、α結合およびβ結合の実施形態、ならびにこれらの混合物はともに、本開示によって企図される。
例えば、本開示の化合物の特定のエナンチオマーが所望される場合、これは、不斉合成、キラルクロマトグラフィーによって、またはキラル補助剤での誘導体化によって調製され得、ここで得られたジアステレオマー混合物は、分離され、補助基が、所望の純粋なエナンチオマーを提供するように切断される。あるいは、上記分子が塩基性官能基(例えば、アミノ)もしくは酸性官能基(例えば、カルボキシル)を含む場合、ジアステレオマー塩は、適切な光学的に活性な酸もしくは塩基とともに形成され、続いて、そのように形成されるジアステレオマーは、当該分野で周知の分別結晶化もしくはクロマトグラフィー手段によって分離され、その後、純粋なエナンチオマーが回収される。
さらに、別段述べられなければ、本明細書で示される構造はまた、1種以上の同位体富化された原子が存在するという点でのみ異なる化合物を含むと意図される。例えば、水素の、重水素もしくはトリチウムによる置き換え、または炭素の、13C−富化炭素もしくは14C−富化炭素による置き換えを含む、本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、もしくは本開示に従う治療剤として、有用である。
当業者は、上記合成法が、本明細書に記載されるとおり、種々の保護基を利用することを認識する。用語「保護基」とは、本明細書で使用される場合、特定の官能部分(例えば、O、S、もしくはN)が、マスクされるかもしくはブロックされ、所望であれば、多官能性化合物における別の反応性部位において選択的に反応が行われることを可能にすることを意味する。好ましい実施形態において、保護基は、計画された反応に対して安定である保護された物質を与えるように良好な収率において選択的に反応し;上記保護基は、好ましくは、容易に入手可能な、好ましくは、他の官能基を攻撃しない非毒性の試薬によって選択的に除去可能であり;上記保護基は、分離可能な誘導体を形成し(より好ましくは、新たな立体中心を生成することなく);そして上記保護基は、好ましくは、さらなる反応部位を回避するために最小限のさらなる官能基を有する。本明細書において詳述される場合、酸素、硫黄、窒素、および炭素の保護基が、利用され得る。非限定的な例によれば、ヒドロキシル保護基としては、以下が挙げられる:メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアヤコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル S,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4’’−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4’’−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート)、アルキルメチルカーボネート、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、アルキル2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネート、アルキルアリルカーボネート、アルキルp−ニトロフェニルカーボネート、アルキルベンジルカーボネート、アルキルp−メトキシベンジルカーボネート、アルキル3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、アルキルo−ニトロベンジルカーボネート、アルキルp−ニトロベンジルカーボネート、アルキルS−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチルカーボネート、メチルジチオカーボネート、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエート、o−(メトキシカルボニル)ベンゾエート、α−ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN−フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェネート、スルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、およびトシレート(Ts)。
1,2−ジオールもしくは1,3−ジオールを保護するために、上記保護基としては、以下が挙げられる: メチレンアセタール、エチリデンアセタール、1−t−ブチルエチリデンケタール、1−フェニルエチリデンケタール、(4−メトキシフェニル)エチリデンアセタール、2,2,2−トリクロロエチリデンアセタール、アセトニド、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタール、ベンジリデンアセタール、p−メトキシベンジリデンアセタール、2,4−ジメトキシベンジリデンケタール、3,4−ジメトキシベンジリデンアセタール、2−ニトロベンジリデンアセタール、メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルトエステル、1−メトキシエチリデンオルトエステル、1−エトキシエチリジンオルトエステル、1,2−ジメトキシエチリデンオルトエステル、α−メトキシベンジリデンオルトエステル、1−(N,N−ジメチルアミノ)エチリデン誘導体、α−(N,N’−ジメチルアミノ)ベンジリデン誘導体、2−オキサシクロペンチリデンオルトエステル、ジ−t−ブチルシリレン基(DTBS)、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体(TIPDS)、テトラ−t−ブトキシジシロキサン−1,3−ジイリデン誘導体(TBDS)、環式カーボネート、環式ボロネート、エチルボロネート、およびフェニルボロネート。
アミノ保護基としては、以下が挙げられる: メチルカルバメート、エチルカルバメート(ethyl carbamante)、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオロエニルメチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−および4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトロ(nito)ベンジルカルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンゾイソオキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、フェノチアジニル−(10)−カルボニル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N’−フェニルアミノチオカルボニル誘導体、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニル(isoborynl)カルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−メトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリメチルベンジルカルバメート、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトロ(nito)フェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシンナミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミド、o−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミド、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン(pyroolin)−3−イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボロン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタカルボニルクロムもしくはタングステン)カルボニル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホロアミデート、ジベンジルホスホルアミデート、ジフェニルホスホルアミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−メトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、およびフェナシルスルホンアミド。例示的保護基は、本明細書中に詳述されるが、本開示がこれら保護基に限定されるとは意図されないことが理解され;むしろ、種々のさらなる等価な保護基が、上記の基準を使用して容易に同定され得、本開示の方法において利用され得る。さらに、種々の保護基が、当該分野で周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999(その全体が、本明細書に参考として援用される)において詳細に記載されるものを含む。
本明細書で記載される場合、本開示の化合物は、「必要に応じて置換された」部分を含み得る。一般に、用語「置換された」は、用語「必要に応じて」が先行しようがしまいが、指定された部分の1個以上の水素が、適切な置換基で置き換えられることを意味する。別段示されなければ、「必要に応じて置換された」基は、上記基の各置換可能な位置において適切な置換基を有し得、任意の所定の構造において1個より多くの位置が、特定された基から選択される1個より多くの置換基で置換され得る場合、上記置換基は、あらゆる位置で同じで合っても異なっていても、いずれでもよい。本開示によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定なもしくは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。用語「安定な」とは、本明細書で使用される場合、化合物の生成、検出、ならびに特定の実施形態においては、それらの回収、精製、および本明細書で開示される目的のうちの1つ以上での使用を可能にする条件に供される場合に実質的に変化しない化合物に言及する。
「必要に応じて置換された」基の置換可能な炭素原子上の適切な一価の置換基は、独立して以下である: ハロゲン;−(CH0−4R°;−(CH0−4OR°;−O(CH0−4R°、−O−(CH0−4C(O)OR°;−(CH0−4CH(OR°);−(CH0−4SR°;−(CH0−4Ph(これは、R°で置換され得る);−(CH0−4O(CH0−1Ph(これは、R°で置換され得る);−CH=CHPh(これは、R°で置換され得る);−(CH0−4O(CH0−1−ピリジル(これは、R°で置換され得る);−NO;−CN;−N;−(CH0−4N(R°);−(CH0−4N(R°)C(O)R°;−N(R°)C(S)R°;−(CH0−4N(R°)C(O)NR°;−N(R°)C(S)NR°;−(CH0−4N(R°)C(O)OR°;−N(R°)N(R°)C(O)R°;−N(R°)N(R°)C(O)NR°;−N(R°)N(R°)C(O)OR°;−(CH0−4C(O)R°;−C(S)R°;−(CH0−4C(O)OR°;−(CH0−4C(O)SR°;−(CH0−4C(O)OSiR°;−(CH0−4OC(O)R°;−OC(O)(CH0−4SR−、SC(S)SR°;−(CH0−4SC(O)R°;−(CH0−4C(O)NR°;−C(S)NR°;−C(S)SR°;−SC(S)SR°、−(CH0−4OC(O)NR°;−C(O)N(OR°)R°;−C(O)C(O)R°;−C(O)CHC(O)R°;−C(NOR°)R°;−(CH0−4SSR°;−(CH0−4S(O)R°;−(CH0−4S(O)OR°;−(CH0−4OS(O)R°;−S(O)NR°;−(CH0−4S(O)R°;−N(R°)S(O)NR°;−N(R°)S(O)R°;−N(OR°)R°;−C(NH)NR°;−P(O)R°;−P(O)R°;−OP(O)R°;−OP(O)(OR°);SiR°;−(C1−4直鎖状もしくは分枝状アルキレン)O−N(R°);もしくは−(C1−4直鎖状もしくは分枝状アルキレン)C(O)O−N(R°)(ここで各R°は、以下に定義されるように置換され得、独立して、水素、C1−6脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、−CH−(5〜6員のヘテロアリール環)、または5〜6員の飽和、部分不飽和、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有するアリール環であるか、あるいは上記の定義にも拘わらず、2個の独立して存在するR°は、それらの間に存在する原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜12員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール単環式もしくは二環式の環を形成し、これらは、以下に定義されるように置換され得る)。
R°(もしくは2個の独立して存在するR°がそれらの間に存在する原子と一緒になることによって形成される環)上の適切な一価の置換基は、独立して、以下である: ハロゲン、−(CH0−2、−(ハロR)、−(CH0−2OH、−(CH0−2OR、−(CH0−2CH(OR;−O(ハロR)、−CN、−N、−(CH0−2C(O)R、−(CH0−2C(O)OH、−(CH0−2C(O)OR、−(CH0−2SR、−(CH0−2SH、−(CH0−2NH、−(CH0−2NHR、−(CH0−2NR 、−NO、−SiR 、−OSiR 、−C(O)SR −(C1−4直鎖状もしくは分枝状アルキレン)C(O)OR、もしくは−SSR(ここで各Rは、置換されていないか、または「ハロ」が先行する場合、1個以上のハロゲンでのみ置換され、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環から独立して選択される)。R°の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基は、=Oおよび=Sを含む。
「必要に応じて置換された」基の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基としては、以下が挙げられる: =O、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、−O(C(R ))2−3O−、もしくは−S(C(R ))2−3S−(ここでそれぞれ独立して存在するRは、水素、以下に定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、置換されていない5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環から選択される)。「必要に応じて置換された」基のビシナル置換可能炭素に結合する適切な二価の置換基としては、以下が挙げられる: −O(CR 2−3O−(ここでそれぞれ独立して存在するRは、水素、以下で定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して置換される0〜4個のヘテロ原子を有する、置換されていない5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環から選択される)。
の脂肪族基上の適切な置換基としては、以下が挙げられる:ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR 、もしくは−NO(ここで各Rは、置換されていないか、または「ハロ」が先行する場合、1個以上のハロゲンでのみ置換され、独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環である)。
「必要に応じて置換された」基の置換可能な窒素上の適切な置換基としては、以下が挙げられる:−R、−NR 、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)NR 、−C(S)NR 、−C(NH)NR 、もしくは−N(R)S(O);ここで各Rは、独立して、水素、以下で定義されるように置換され得るC1−6脂肪族、置換されていない−OPh、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する置換されていない5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環であるか、あるいは上記の定義にも拘わらず、2個の独立して存在するRは、それらの間に存在する原子と一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、置換されていない3〜12員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール単環式もしくは二環式の環を形成する。
の脂肪族基上の適切な置換基は、独立して、以下である: ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR 、もしくは−NO(ここで各Rは、不飽和であるか、または「ハロ」が先行する場合、1個以上のハロゲンでのみ置換され、独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和、もしくはアリール環である)。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性も、刺激も、アレルギー応答などもなしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触した状態での使用に適切であり、合理的な利益/リスク比で釣り合っている塩をいう。薬学的に受容可能な塩は、当該分野で周知である。例えば、S. M. Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1−19(本明細書において参考として援用される)において詳細に薬学的に受容可能な塩を記載している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、適切な無機酸および有機酸ならびに無機塩基および有機塩基から得られるものを含む。薬学的に受容可能な、非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸のような無機酸とともに、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸のような有機酸とともに形成されるか、あるいはイオン交換のような当該分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、以下が挙げられる: アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバロイル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩など。
適切な塩基から得られた塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)の塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムなどが挙げられる。さらに薬学的に受容可能な塩は、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンを含み、対イオン(例えば、ハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)を使用して形成される。
化学的結合として使用される場合、
は、炭素中心において定義されていない立体化学を有する炭素−炭素単結合を示すことが理解されるものとする。従って、
結合を有する炭素原子に結合する置換基は、上記置換基が紙面から外側に来る実施形態、上記置換基が紙面の裏側に行く実施形態、およびこれらの組み合わせ(すなわち、立体化学的混合物)に言及する。二重結合に結合する
は、Z異性体およびE異性体の両方に言及する。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、この、その(the)」は、別段文脈が明らかに示さなければ、複数形への言及を含む。従って、例えば、「1つの化合物」への言及は、複数のこのような化合物を含む。
語句「非経口投与」および「非経口投与される」とは、本明細書で使用される場合、経腸投与および局所投与以外の、通常、注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内および胸骨内の注射および注入が挙げられるが、これらに限定されない。
語句「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」および「末梢投与される」とは、本明細書で使用される場合、患者の系に入り、従って、代謝および他の同様のプロセスに供されるように、中枢神経系への直接投与以外の、化合物、薬物もしくは他の物質の投与(例えば、皮下投与)を意味する。
用語「軽減する(palliative)」とは、疾患の症状の軽減(relief)および/もしくは治療レジメンの副作用に焦点が当てられるが、治癒はしない処置に言及する。
本明細書で使用される場合、用語「治療上有効な量」とは、治療レジメンの一部として投与される場合に、所望の生物学的応答を誘発する物質(例えば、治療剤、組成物、および/もしくは処方物)の量を意味する。いくつかの実施形態において、物質の治療上有効な量は、ある疾患、障害、および/もしくは状態に罹患しているかもしくはこれらに罹りやすい被験体に投与される場合に、上記疾患、障害、および/もしくは状態を処置するのに十分な量である。当業者によって認識されるように、物質の上記有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達されるべき物質、標的細胞もしくは組織などのような因子に依存して、変わり得る。例えば、ある疾患、障害、および/もしくは状態を処置するための処方物中の化合物の有効量は、上記疾患、障害、および/もしくは状態を緩和するか、改善するか、軽減するか、阻害するか、予防するか、これらの始まりを遅延させるか、これらの重篤度を低下させるか、そして/またはこれらの1つ以上の症状もしくは特徴の発生率を低下させる量である。いくつかの実施形態において、治療上有効な量は、単一用量において投与され;いくつかの実施形態において、複数の単位用量は、治療上有効な量を送達するために必要とされる。
本明細書で使用される場合、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」、もしくは「処置する(treating)」とは、ある疾患、障害、および/もしくは状態を部分的にもしくは完全に緩和するか、改善するか、軽減するか、阻害するか、予防するか、これらの始まりを遅延させるか、これらの重篤度を低下させるか、そして/またはこれらの1つ以上の症状もしくは特徴の発生率を低下させるために使用される任意の方法に言及する。処置は、ある疾患、障害、および/もしくは状態のサインを示さない被験体に投与され得る。いくつかの実施形態において、処置は、上記疾患、障害、および/もしくは状態と関連する病状を発生させるリスクを低下させる目的で、上記疾患、障害、および/もしくは状態の初期のサインのみを示す被験体に施され得る。
表現「単位用量」とは、本明細書で使用される場合、処置されるべき被験体に適した処方物の物理的に別個の単位をいう。しかし、本発明の処方物の総1日使用量が、妥当な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることは、理解される。任意の特定の被験体もしくは生物の具体的有効用量レベルは、処置されている障害および上記障害の重篤度;使用される具体的活性化合物の活性;使用される具体的組成物;上記被験体の年齢、体重、全身的健康状態、性別および食餌;投与の時間、上記使用される具体的活性化合物の排出速度;上記処置の継続時間;使用される具体的化合物と組み合わせてもしくはこれと同時に使用される薬物および/もしくはさらなる治療剤、ならびに医療分野において周知の同様の因子を含む種々の因子に依存し得る。特定の単位用量は、治療剤の治療上有効な量を含んでいてもそうでなくてもよい。
ある疾患、障害、および/もしくは状態に「罹患している」個体は、上記疾患、障害、および/もしくは状態の1つ以上の症状が既に診断されており、そして/またはこれらの1つ以上の症状を示す。
ある疾患、障害、および/もしくは状態に「罹りやすい」個体は、上記疾患、障害、および/もしくは状態と未だ診断されていない。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害、および/もしくは状態に罹りやすい個体は、上記疾患、障害、および/もしくは状態の症状を示してもよい。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害、および/もしくは状態に罹りやすい個体は、上記疾患、障害、および/もしくは状態の症状を示さなくてもよい。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害、および/もしくは状態に罹りやすい個体は、上記疾患、障害、および/もしくは状態を将来発生させる。いくつかの実施形態において、ある疾患、障害、および/もしくは状態に罹りやすい個体は、上記疾患、障害、および/もしくは状態を将来発生させない
図1は、血液脳関門を通過するがん細胞移動に対するcMEの効果の実験プロトコルおよび結果(右下,DMSOは左側の棒であり、cMEは右側の棒)を示す。データは、4匹のマウスの平均±semである。 図2は、脳スライスの中へのがん細胞の移動(GFP)および毛細管ネットワークにわたるがん細胞の移動(Col.IV)に対するcMEの効果を示す。実験プロトコル(上)および結果(下)。蛍光顕微鏡画像を、脳スライスの上表面から、インキュベーションの3日後に得た。 図3は、ミグラスタチンエーテル(ME)およびカルボキシメチル−ミグラスタチンエーテル(cME)による、インビトロ創傷治癒アッセイにおけるA549肺がん細胞系移動の阻害を示す。 図4は、ミグラスタチンエーテル(ME)およびカルボキシメチル−ミグラスタチンエーテル(CME)によるトランスウェル肺がん細胞系移動の阻害を示す。 図5aは、ヒト初代SCLC異種移植片モデルにおける転移のME阻害を示す。 図5bは、ヒト初代SCLC異種移植片モデルにおける転移のME阻害を示す。 図5cは、ヒト初代SCLC異種移植片モデルにおける転移のME阻害を示す。 図6は、トランスウェル細胞移動アッセイにおける転移性乳がん細胞系に対するMEおよびcMEの効果を示す。 図7aは、ヒト初代異種移植片モデルにおける転移の阻害に関するcMEとMEとの比較を示す。 図7bは、ヒト初代異種移植片モデルにおける転移の阻害に関するcMEとMEとの比較を示す。 図8は、式Iの種々の化合物に関するCAG多発性骨髄腫細胞における移動の阻害および細胞傷害性データを示す。 図9は、式Iの種々の化合物に関するCAG多発性骨髄腫細胞における移動阻害データを示す。 図10は、式Iの種々の化合物に関するH929多発性骨髄腫細胞における移動阻害データを示す。 図11は、cMEの薬物動態データを示す。
(特定の実施形態の詳細な説明)
本発明は、がんの処置において有用であり、そして/またはがん転移を阻害するときに有効である化学療法用化合物の必要性が未だにあるという認識を包含する。
本発明は、とりわけ、がんの処置において使用するための新規化合物を提供する。特定の実施形態において、このような化合物は、特に有利な薬理学的プロフィールを有することによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、このような化合物は、公知のミグラスタチンアナログを超える増大した有効性を有する。いくつかの実施形態において、このような化合物は、公知のミグラスタチンアナログを超える増大した溶解度を有する。いくつかの実施形態において、このような化合物は、公知のミグラスタチンアナログを超える増大したがん選択性を有する。
本発明は、とりわけ、がん転移を阻害するときに使用するための新規化合物を提供する。特定の実施形態において、このような化合物は、肺もしくは乳房のがんの転移を阻害するのに有用である。特定の実施形態において、このような化合物は、多発性骨髄腫の転移を阻害するのに有用である。本発明は、がんを処置する新規かつ/もしくは改善された方法をさらに提供する。特定の実施形態において、このような方法は、肺がんもしくは乳がんの転移性拡散を処置するのに有用である。特定の実施形態において、このような方法は、多発性骨髄腫の転移性拡散を処置するのに有用である。特定の実施形態において、このような方法は、肺がんもしくは乳がんの、脳への転移性拡散を処置するのに有用である。本発明は、がん転移を阻害する新たなかつ/もしくは改善された方法をさらに提供する。特定の実施形態において、このような方法は、肺もしくは乳房のがんを処置するのに有用である。特定の実施形態において、このような方法は、多発性骨髄腫を処置するのに有用である。
マクロライドであるミグラスタチンは、がん細胞移動を阻害する微生物生成物に関するスクリーニングの一部として、Streptomyces sp MK929−43F1の培養ブロスから元は単離された天然生成物である( Nakae, K., Yoshimoto, Y., Sawa, T., Homma, Y., Hamada, M., Takeuchi, T., and Imoto, M. (2000), J Antibiot (Tokyo) 53, 1130−1136)。ミグラスタチンおよび関連の合成アナログは、他の腫瘍細胞(乳房、前立腺および結腸のがんのものを含む)における移動のインヒビターとして作用すること、ならびにインビボでは、マウスにおいて、ヒト乳腺癌腫細胞の、肺への転移を91〜99%予防することが、その後実証された(Shan, D., Chen, L., Njardarson, J. T., Gaul, C., Ma, X., Danishefsky, S. J., and Huang, X. Y. (2005), Proc Natl Acad Sci U S A 102, 3772−3776)。ミグラスタチンの顕著な特性は、腫瘍細胞の移動を特異的に停止させるが、上皮細胞、線維芽細胞もしくは白血球のような正常細胞のものは停止させない能力である。さらに、高μM濃度において、ミグラスタチンは、古典的な創傷治癒アッセイおよびチャンバ細胞移動アッセイにおける腫瘍細胞の移動を阻害するが、最小限の細胞傷害性しか示さず、DNA、RNAおよびタンパク質生合成にほとんどもしくは全く干渉しない(Gaul, C., Njardarson, J. T., Shan, D., Dorn, D. C., Wu, K. D., Tong, W. P., Huang, X. Y., Moore, M. A., and Danishefsky, S. J. (2004), J Am Chem Soc 126, 11326−11337; Njardarson, J. T., Gaul, C., Shan, D., Huang, X. Y., and Danishefsky, S. J. (2004), J Am Chem Soc 126, 1038−1040)。
天然のミグラスタチン化合物の最初の発見以来、出願人は、ミグラスタチンの全合成のストラテジー、ならびにミグラスタチンアナログを生成するための単純化した合成経路を開発してきた。上記ミグラスタチンアナログのうちのいくつかは、天然のマクロライドと比較して、最大3桁の規模で腫瘍細胞移動を阻害する。上記のように、および本明細書に記載される他の参考文献のように、いくつかの合成ミグラスタチンアナログが近年開発されたものの、改善された薬力学的プロフィールがある新規化学療法剤を開発するために、さらなる調査が未だに必要である。
いくつかの実施形態において、提供される化合物および/もしくは方法は、医療において有用である。いくつかの実施形態において、提供される化合物および/もしくは方法は、がんの処置において有用である。いくつかの実施形態において、提供される化合物および/もしくは方法は、固形腫瘍の処置において有用である。いくつかの実施形態において、提供される化合物および/もしくは方法は、上皮由来の腫瘍の処置において有用である。いくつかの実施形態において、提供される物質および/もしくは方法は、乳がんもしくは肺がんの処置において有用である。
がん転移は、一般に、多工程プロセスとして考えられ、それによって、局所的侵襲および血管形成、循環系への進入およびそこでの生存、ならびに最終的には、二次的な系における遠隔腫瘍の樹立によって制御されない細胞増殖が結果として起こるかもしくは付随する。(Nguyen, D. X., Bos, P. D., and Massague, J. (2009), Nat Rev Cancer 9, 274−284; Chambers, A. F., Groom, A. C., and MacDonald, I. C. (2002), Nat Rev Cancer 2, 563−572; Klein, C. A. (2009), Nat Rev Cancer 9, 302−312)。これらの点のうちの1つもしくはいくつかにおける干渉は、他の治療と関連して原発性腫瘍の管理を補助することによろうが、または手術および他の全身的処置の後に新たな腫瘍の形成もしくは拡がりを予防することによろうが、転移を潜在的にブロックし得る。転移の間の細胞移動の調節は、他の事象(例えば、血管形成)と比較して比較的不明であるが、免疫系の細胞によって、もしくは胚性の発生の間に使用される移動機構の比較がされ得る(Madsen, C. D., and Sahai, E. (2010), Dev Cell 19, 13−26; Yilmaz, M., and Christofori, G. (2010), Mol Cancer Res 8, 629−642)。移動プロセスにおける種々の点において、がん細胞は、これが基底膜に存在しようが、血管に存在しようが、リンパ系に存在しようが、標的器官に存在しようが、細胞障壁を突破する。このようにするために、上皮間葉移行(EMT)、細胞接着における変化、アクチンダイナミクス、タンパク質分解活性、およびケモカイン受容性は、移動の過程にわたって保証される。顕著なことには、転移性がん細胞は、例えば結腸直腸がんにおけるように、もしくはまとめて、扁平上皮がんによる侵襲の主要な形態であるように、孤立性の細胞として移動し得る。
非常に転移性の4T1乳がん細胞における研究に基づくと、マクロケトンおよびマクロラクタム細胞移動干渉の細胞的基礎は、Rac GTPase依存性様式において、ラメリポディウム形成に関するもののようである。ラメリポディウムは、可動細胞の先端にあるアクチンが集められた突出部(actin−driven projection)であり、おそらく、上記細胞を移動の間に前方に引っ張る原因である。Racは、ラメリポディウムの突出に必要とされる3種のRho GTPaseのうちの1つであり、下流のエフェクタータンパク質Arp2/3を刺激して、樹状のアクチン重合を誘導する (Ridley, A. J., Schwartz, M. A., Burridge, K., Firtel, R. A., Ginsberg, M. H., Borisy, G., Parsons, J. T., and Horwitz, A. R. (2003), Science 302, 1704−1709)。種々の分子フィードバック経路を介して、Racはまた、移動する細胞の先端を規定することによって、細胞極性を強化するように作用する。顕著なことには、Racは、4T1乳がん細胞において上昇し、このことは、これら形質転換された細胞において少なくとも、いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、これが、ミグラスタチンが、正常な細胞を残しながら(while sparing normal cells)、転移特異的移動を標的とする、考えられる機構であり得ることを示唆する。近年の研究は、ミグラスタチンエーテル(以下に示される)(最も単純なアナログ)が、インビトロでおよびマウスモデルにおいて形質転換された乳がん細胞に対して類似の効果を生じることを示し、これは、アクチンが束になることに対する考えられる繋がりを示唆する。
がん治療剤に関する新たなミグラスタチンの合成に対する出願人自身の研究から、有望な結果が得られた。具体的には、コアマクロケトン、コアマクロラクタムおよびミグラスタチンエーテルとして公知のミグラスタチンアナログを前臨床研究のために選択したところ、これは、がん細胞移動インヒビターとして有意な潜在性を示す(Oskarsson, T., Nagorny, P., Krauss, I. J., Perez, L., Mandal, M., Yang, G., Ouerfelli, O., Xiao, D., Moore, M. A., Massague, J., and Danishefsky, S. J. (2010), J Am Chem Soc 132, 3224−3228)。
本開示の前に、転用される化学合成は、毒性が低い〜毒性が存在しないことを保証すると同時に、活性の増大に関する期待に沿った。しかし、水溶性は、薬理学的評価(これは、DMSOの使用を避ける傾向にある)を容易にするように対処される必要があるという持続した懸念であった。出願人は、より水溶性であるが、活性をなお保持する化合物を提供して、インビトロおよびインビボの状況において、溶解度の障害を解決するいくつかの方法を本明細書において記載する。特定の実施形態において、5%メタノールの存在下でのCMeの水溶解度は、0.2〜0.3mg/mLの間である。特定の実施形態において、提供される化合物は、増強されたバイオアベイラビリティーおよび/もしくは薬物安定性(pharmacostability)を有する。
出願人は、本発明の化合物ががん細胞移動の強力なインヒビターであることを予測外に見いだした。このような化合物は、以前に開示された化合物と比較して、この点に関して強調される活性を示す。特定の実施形態において、本発明の化合物は、がん細胞が原発性腫瘍部位から他の場所へと、身体中の至る所に移動するのを阻害する。特定の実施形態において、本発明の化合物は、ヒト転移性乳がん細胞が血液脳関門を通過して循環から出て行き、その後、脳の中の毛細血管の反内腔側に向かってかつそこに沿って移動することを可能にする移動プロセスを阻害する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、乳がん細胞の移動を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、肺がん細胞の移動を阻害する。
いくつかの実施形態において、本発明は、式Iの化合物
もしくはその薬学的に受容可能な塩を提供し;
ここで、
は、単結合もしくは二重結合であり;
は、水素もしくは必要に応じて置換されたC1−6脂肪族であり;
は、酸素保護基、水素もしくは必要に応じて置換されたC1−6脂肪族であり;
およびRは、各々独立して、必要に応じて置換されたC1−6脂肪族であり;そして
は、水素もしくは−T−Yであって、
−T−は、必要に応じて置換されたC1−8二価飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状の炭化水素鎖であり、ここで1個以上のメチレン単位は、−NR−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)SO−、−SON(R)−、−O−、−C(O)−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−S−、−SO−、もしくは−SO−によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
各Rは、独立して、−H、またはC1−20脂肪族、C1−20ヘテロ脂肪族、6〜10員のアリール、5〜12員のヘテロアリール、3〜14員の炭素環、3〜12員の複素環式からなる群より選択される必要に応じて置換された基であり;そして
−Yは、水素もしくはアシルである。
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、必要に応じて置換されたC1−6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、1個以上のハロゲンで置換されたC1−6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。他の実施形態において、Rは、−CFである。
いくつかの実施形態において、Rは、酸素保護基である。他の実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、置換されたC1−6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
特定の実施形態において、Rは、必要に応じて置換されたC1−6脂肪族である。特定の実施形態において、Rは、必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、水素以外である。他の実施形態において、Rは、−T−Yである。
いくつかの実施形態において、Rは、必要に応じて置換されたC1−6脂肪族である。特定の実施形態において、Rは、必要に応じて置換されたC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
特定の実施形態において、−T−は、必要に応じて置換されたC1−8二価飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状の炭化水素鎖であり、ここで1個以上のメチレン単位は、−NR−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−O−、−C(O)−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)O−、もしくは−OC(O)N(R)−によって必要に応じてかつ独立して置き換えられる。特定の実施形態において、−T−は、必要に応じて置換されたC1−6二価飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状の炭化水素鎖であり、ここで1個以上のメチレン単位は、−NR−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−O−、−C(O)−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)O−、もしくは−OC(O)N(R)−によって必要に応じてかつ独立して置き換えられる。特定の実施形態において、−T−は、必要に応じて置換されたC1−3二価飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状の炭化水素鎖であり、ここで1個もしくは2個のメチレン単位は、−NR−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−O−、−C(O)−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)O−、もしくは−OC(O)N(R)−によって必要に応じてかつ独立して置き換えられる。特定の実施形態において、−T−は、−CH−である。
いくつかの実施形態において、Yは、水素である。いくつかの実施形態において、Yは、水素以外である。いくつかの実施形態において、Yは、アシルである。いくつかの実施形態において、Yは、−COHである。いくつかの実施形態において、Yは、−CORである。いくつかの実施形態において、Yは、−COMeである。いくつかの実施形態において、Yは、−C(O)N(R)である。いくつかの実施形態において、Yは、−C(O)NHEtである。いくつかの実施形態において、Yは、−C(O)NHMeである。いくつかの実施形態において、Yは、−OHである。
いくつかの実施形態において、Rは、1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族であるか、またはRは、−T−Yであって、ここで−T−は、CHであり、そして−Yは、アシルである。いくつかの実施形態において、Rは、−CFであるか、またはRは、−T−Yであって、ここで−T−は、CHであり、そして−Yは、−COHである。
いくつかの実施形態において、−T−は、−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、C1−3脂肪族である。いくつかの実施形態において、−T−は、−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、メチルもしくはエチルである。
いくつかの実施形態において、−T−は、−C(O)−であり、Yは、−ORもしくはN(R)である。いくつかの実施形態において、−T−は、−C(O)−であり、Yは、−ORもしくはN(R)であり、ここでRは、水素もしくはC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態において、−T−は、−C(O)−であり、Yは、−ORもしくはN(R)であり、ここでRは、水素、メチル、もしくはエチルである。いくつかの実施形態において、Tは、共有結合であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、水素もしくはC1−3脂肪族である。いくつかの実施形態において、Tは、−CHCHO−であり、Yは、水素である。
特定の実施形態において、Rは、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、水素もしくは−T−Yであり、ここで−T−は、共有結合もしくは−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、水素もしくはC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、そして
は、単結合である。
特定の実施形態において、Rは、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、共有結合もしくは−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、水素もしくはC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、そして
は、(Z)−二重結合である。
特定の実施形態において、Rは、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、共有結合もしくは−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、水素もしくはC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、そして
は、(E)−二重結合である。
特定の実施形態において、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、メチルであり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、メチルであり、Rは、メチルであり、そして
は、単結合である。
特定の実施形態において、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、メチルであり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CHCHO−であり、Yは、水素であり、ここでRは、メチルであり、Rは、メチルであり、そして
は、単結合である。
特定の実施形態において、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、メチルであり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は、共有結合であり、Yは、−C(O)NHRであり、ここでRは、エチルであり、Rは、メチルであり、そして
は、単結合である。
いくつかの実施形態において、
は、二重結合であり、Rは、−CFであり、R、RおよびRは、メチルであり、Rは、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−COHである。
いくつかの実施形態において、
は、単結合もしくは二重結合であり、Rは、水素もしくはメチルであり、R、RおよびRは、メチルであり、Rは、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−COHである。いくつかの実施形態において、
は、二重結合であり、Rは、水素もしくはメチルであり、R、RおよびRは、メチルであり、Rは、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−COHである。いくつかの実施形態において、
は、(E)−二重結合であり、Rは、水素もしくはメチルであり、R、RおよびRは、メチルであり、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、
は、単結合であり、Rは、水素であり、R、RおよびRは、メチルであり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−COHである。
いくつかの実施形態において、
は、(E)−二重結合であり、Rは、水素もしくは−CFであり、R、RおよびRは、メチルであり、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、
は、(Z)−二重結合であり、Rは、メチルであり、R、RおよびRは、メチルであり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−COHである。
いくつかの実施形態において、
が二重結合である場合、Rは、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、メチルであり、Rは、メチルであり、Rは、水素ではない。
いくつかの実施形態において、本発明は、式II、式III、もしくは式IVの化合物
またはその薬学的に受容可能な塩を提供し;ここでR、R、R、R、およびRの各々は、上で定義されかつ本明細書中のクラスおよびサブクラス(単一でおよび組み合わせの両方において)において記載されるとおりである。
いくつかの実施形態において、本発明は、式II−a、式III−a、もしくは式IV−aの化合物
またはその薬学的に受容可能な塩を提供し;ここでR、R、R、およびRの各々は、上で定義されかつ本明細書においてクラスおよびサブクラス(単一でおよび組み合わせの両方において)記載されるとおりである。
式Iの例示的化合物は、以下の表Aに示される。
本開示全体を通して、「カルボキシメチルミグラエーテル」と表示される表A中の化合物は、多くの略語を使用して言及される。「cME」、「CME」、「CM−ME」、「CMME」、および「カルボキシメチル−ME」とは、全てこの化合物をいうことが理解される。さらに、「ミグラスタチンエーテル」もしくは「ME」とは、以下の式の化合物
もしくはその薬学的に受容可能な塩をいう。特定の実施形態において、本明細書に記載されるとおりの処方物および使用は、MEを包含する。特定の実施形態において、式Iの化合物は、ME以外である。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式Iの化合物の開いた鎖状(open−chain)の、非環式バージョンを含む。
(処方物)
本明細書で記載される場合、本発明は、新規治療剤の開発において有用な、特に、がん治療剤に有用である化合物および合成方法論を提供する。一般に、本明細書で開示されるように調製される化合物は、がんに罹患している被験体におけるがんの処置および/もしくは予防(好ましくは、転移の予防)に有用であり得る。
従って、本発明は、がんを処置するための、および/もしくはがんの再発を予防するための薬学的組成物を提供し、上記組成物は、活性成分として、本明細書で開示される本発明の任意の化合物を、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む。本発明の薬学的組成物は、他の治療上活性な成分(例えば、化学療法剤および/もしくは緩和剤)をさらに含み得る。例えば、緩和処置は、鎮痛剤、制吐剤投薬および抗疾患薬(anti−sickness drugs)を包含する。さらに、化学療法、放射線療法、および外科手術は、全て、緩和的に(すなわち、治癒に当てはまらなくても症状を低減させるために;例えば、腫瘍を縮小するために、および圧迫(pressure)、転移、出血、疼痛および他のがんの症状を低減させるために)使用され得る。
特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物もしくは方法は、免疫学的アジュバント、もしくは免疫学的アジュバントの組み合わせを含む。
本発明の化合物は、薬学的組成物を形成するために、薬学的に受容可能なキャリアと合わされ得る。Remington’s Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)は、薬学的組成物を製剤するにあたって使用される種々のキャリア、およびその調製のための公知の技術を開示する。特定の実施形態において、薬学的組成物は、薬学的に受容可能な量の本発明の化合物を含む。特定の実施形態において、薬学的組成物は、治療上有効な量の本発明の化合物を含む。単一投与形態を生成するためにキャリア物質と合わされ得る活性成分の量は、処置されている宿主、および特定の投与様式に依存して変わる。単一投与形態を生成するためにキャリア物質と合わせられ得る活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる上記化合物の量である。一般に、この量は、約1%〜約99%の活性成分、約5%〜約70%の活性成分、もしくは約10%〜約30%の活性成分の範囲に及ぶ。
湿潤剤、乳化剤、および滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤、保存剤ならびに抗酸化剤もまた、上記組成物中に存在し得る。
薬学的に受容可能な抗酸化剤の例としては、以下が挙げられる: 水溶性抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムなど);油溶性抗酸化剤(例えば、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、およびα−トコフェロールなど);および金属キレート化剤(例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、およびリン酸など)。
本発明の処方物は、経口投与、鼻投与、局所(口内および舌下を含む)投与、直腸投与、膣投与および/もしくは非経口投与に適切なものを含む。上記処方物は、便宜上、単位投与形態で提示され得、薬学分野において周知の任意の方法によって調製され得る。特定の実施形態において、本発明の処方物は、シクロデキストリン、リポソーム、ミセル形成剤(例えば、胆汁酸)、およびポリマーキャリア(例えば、ポリエステルおよびポリ酸無水物)からなる群より選択される賦形剤;ならびに本発明の化合物を含む。特定の実施形態において、前述の処方物は、本発明の化合物を経口的に生物利用可能にする。
これら処方物を調製するための方法は、本発明の化合物と上記キャリアと、必要に応じて、1種以上の補助成分とを会合させる工程を包含する。一般に、上記処方物は、本発明の化合物と液体キャリア、もしくは微細に分割した固体キャリア、または両方を均一にかつ密接に会合した状態にし、次いで、必要であれば、製品を成形することによって調製される。
経口投与に適切な本発明の処方物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(風味を付けたベース(通常は、スクロースおよびアカシアもしくはトラガカント)を使用して)、散剤、顆粒剤の形態で、あるいは水性もしくは非水性の液体中の液剤または懸濁物として、あるいは水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョンとして、あるいはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、あるいは香錠として(不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)を使用して)ならびに/あるいは洗口液など(各々は、活性成分として本発明の化合物の所定の量を含む)として存在し得る。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤もしくはパスタ剤として投与され得る。
経口投与のための本発明の固体投与形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、および顆粒剤など)において、上記活性成分は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウム)、および/または以下のうちのいずれかと混合される:充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/もしくはケイ酸);結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/もしくはアカシア);湿潤剤(humectant)(例えば、グリセロール);崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム);溶解遅延剤(solution retarding agent)(例えば、パラフィン);吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物);湿潤剤(例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアレート、および非イオン性界面活性剤);吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ);滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物);ならびに着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、上記薬学的組成物はまた、緩衝化剤を含み得る。類似のタイプの固体組成物はまた、ラクトースもしくは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのようなキャリアを使用して、軟質殻および硬質殻のゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用され得る。
錠剤は、圧縮もしくは成形によって、作製され得、必要に応じて、1種以上の補助成分とともに作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムもしくは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤もしくは分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、適切な機械(この中で、粉末化化合物の混合物が不活性液体希釈剤で湿らされる)で作製され得る。
錠剤、および本発明の薬学的組成物の他の固体投与形態(例えば、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤)は、必要に応じて刻み目が付けられ得るか、またはコーティングおよび殻(例えば、腸溶性コーティングおよび製薬分野において周知の他のコーティング)とともに調製され得る。それらはまた、その中の上記活性成分の徐放もしくは制御された放出を提供するように、例えば、所望の放出プロフィールを提供するために種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/もしくはミクロスフェアを使用して、処方され得る。それらは、迅速な放出のために処方され得る(例えば、凍結乾燥され得る)。それらは、例えば、細菌保持フィルタを通す濾過によって、または使用直前に滅菌水またはある他の滅菌注射用媒体中に溶解させられてもよい滅菌固体組成物の形態に殺菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。これら組成物はまた、必要に応じて、乳白剤を含んでいてもよく、それらが上記活性成分を、胃腸管の特定部分のみにおいてまたは胃腸管の特定部分において優先的に、必要に応じて遅延した様式で放出する、組成のものであり得る。使用され得る埋め込み組成物(embedding composition)の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。上記活性成分はまた、適切であれば、上記賦形剤のうちの1種以上での微小被包形態中に存在し得る。
本発明の化合物の経口投与のための液体投与形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁物、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。上記活性成分に加えて、上記液体投与形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤(例えば、水もしくは他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油および胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル)、ならびにこれらの混合物を含み得る。
不活性希釈剤の他に、上記経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、芳香剤および保存剤のような補助剤を含み得る。
懸濁物は、上記活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにこれらの混合物のような懸濁剤を含み得る。
直腸投与もしくは膣投与のための本発明の薬学的組成物の処方物は、坐剤として提示され得、これは、本発明の1種以上の化合物と、1種以上の適切な非刺激性賦形剤もしくはキャリア(例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスもしくはサリチレートを含み、これは、室温においては固体であるが、体温では液体であり、従って、直腸もしくは膣の腔内では溶融し、上記活性化合物を放出する)とを混合することによって調製され得る。
膣投与に適切な本発明の処方物としてはまた、適切であることが当該分野で公知であるキャリアを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ剤、泡沫物もしくはスプレー処方物が挙げられる。
本発明の化合物の局所投与もしくは経皮投与のための投与形態としては、散剤、スプレー、軟膏、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル、液剤、パッチおよび吸入物が挙げられる。上記活性化合物は、薬学的に受容可能なキャリアとともに、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝化剤、もしくはプロペラントとともに、無菌条件下で混合され得る。
上記軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤およびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、賦形剤(例えば、動物性および植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、もしくはこれらの混合物)を含み得る。
散剤およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、もしくはこれら物質の混合物のような賦形剤を含み得る。スプレーは、慣習的なプロペラント(例えば、クロロフルオロ炭化水素)および揮発性の置換されていない炭化水素(例えば、ブタンおよびプロパン)をさらに含み得る。
経皮的パッチは、身体への本発明の化合物の制御された送達を提供するという追加の利点を有する。適切な媒体中に上記化合物を溶解もしくは分散することから、このような投与形態が作製される。吸収増強剤はまた、皮膚を横断する上記化合物のフラックスを増大させるために使用され得る。速度制御膜を提供するか、またはポリマーマトリクスもしくはゲル中に上記化合物を分散させるかのいずれかによって、このようなフラックスの速度が制御され得る。
眼用処方物、眼用軟膏、散剤、および液剤などはまた、本発明の範囲内にあると予測される。
非経口投与に適切な本発明の薬学的組成物は、本発明の1種以上の化合物を、1種以上の薬学的に受容可能な滅菌等張性の水溶液もしくは非水溶液、分散物、懸濁物もしくはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射用溶液もしくは分散物(これは、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤、上記処方物を意図されたレシピエントの血液と等張性にする溶質、または懸濁剤もしくは濃化剤)へと再構成され得る滅菌散剤と組み合わせて、含む。
本発明の薬学的組成物において使用され得る適切な水性および非水性のキャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物、植物性油(例えば、オリーブ油)、および注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられる。例えば、コーティング物質(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には、必要とされる粒度の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性が維持され得る。
これら組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助剤を含み得る。本発明の化合物に対する微生物作用を予防することは、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸など)を含めることによって確実にされ得る。等張剤(例えば、糖、および塩化ナトリウムなど)を組成物に含めることもまた、望ましいことであり得る。さらに、注射用の薬学的形態の長期間の吸収は、吸収を遅延させる因子(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を含めることによってもたらされ得る。
いくつかの場合において、薬物の効果を長期化させるために、皮下注射もしくは筋肉内注射からの上記薬物の吸収を遅延させることは望ましい。これは、不十分な水溶性を有する結晶性もしくは無定形の物質の液体懸濁物の使用によって達成され得る。そういうわけで、上記薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次に、結晶サイズおよび結晶形に依存し得る。あるいは、非経口投与した薬物形態の遅延した吸収は、油ビヒクル中に上記薬物を溶解もしくは懸濁することによって達成される。
注射用デポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中に本発明の化合物の微小被包マトリクスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比、および使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が挙げられる。デポー注射用処方物はまた、身体組織と適合性であるリポソームもしくはマイクロエマルジョン中に上記薬物を捕捉することによって調製される。
薬物溶出形態は、コーティングされたもしくは薬物添加したステントおよび移植可能デバイスを含む。薬物溶出ステントおよび他のデバイスは、化合物もしくは薬学的調製物でコーティングされ得、時間放出について設計されたポリマーをさらに含み得る。
特定の実施形態において、化合物または薬学的調製物は、経口投与される。他の実施形態において、上記化合物または薬学的調製物は、静脈内投与される。特定の実施形態において、化合物は、切断可能なリンカーを介してカテーテルとともに施される固体支持体に結合される。代替の投与経路としては、舌下投与、筋肉内投与、および経皮投与が挙げられる。
本発明の化合物が医薬としてヒトおよび動物に投与される場合、それらは、それ自体が与えられ得るか、または薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、例えば、0.1%〜99.5%、もしくは0.5%〜90%の活性成分を含む薬学的組成物として与えられ得る。
本発明の調製物は、経口的に、非経口的に、局所的に、もしくは直腸に与えられ得る。それらは、当然のことながら、各投与経路に適切な形態において与えられる。例えば、それらは、錠剤もしくはカプセル剤形態で、注射、吸入、目薬、軟膏、坐剤などによって投与され、注射、注入もしくは吸入によって;ローション剤もしくは軟膏によって局所的に;および坐剤によって直腸に投与される。
これら化合物は、任意の適切な投与経路(経口的に、鼻に(例えば、エアロゾル、スプレーによるように)、直腸に、膣内に、非経口的に、大槽内におよび局所に(散剤、軟膏もしくは滴剤によるように(口内におよび舌下に、が挙げられる)、が挙げられる)によって、治療のために、ヒトおよび他の動物に投与され得る。
選択される投与経路に拘わらず、本発明の化合物(これは、適切な水和形態において使用され得る)および/もしくは本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の従来の方法によって、薬学的に受容可能な投与形態へと処方される。
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投与レベルは、患者に対して毒性であることなく、特定の患者、組成物、および投与様式に関する所望の治療応答を達成するために有効である活性成分の量を得るように変わり得る。
選択される投与レベルは、種々の因子(使用される特定の本発明の化合物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、上記使用される特定化合物の排出速度もしくは代謝速度、処置の継続期間、上記使用される特定化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/もしくは物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全身的な健康状態および以前の病歴、ならびに医療分野において周知の類似の因子が挙げられる)に依存する。
当該分野で通常の技術を有する医師もしくは獣医師は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に決定し、処方し得る。例えば、上記医師もしくは獣医師は、所望の治療効果を達成するために必要とされるより少ないレベルで、上記薬学的組成物中で使用される本発明の化合物の用量を開始し得、次いで、上記所望の効果が達成されるまで上記投与量を徐々に増大させ得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物もしくは薬学的組成物は、被験体に長期的に提供される。長期的処置は、延長した期間にわたって反復される任意の投与形態(例えば、1ヶ月以上、1ヶ月〜1年の間、1年以上、もしくはより長くにわたって、反復される投与)を含む。いくつかの実施形態において、長期的処置は、本発明の化合物もしくは薬学的組成物を、上記被験体の生涯にわたって反復的に投与することを包含する。好ましい長期的処置は、周期的な投与、例えば、1日に1回以上、1週間に1回以上、もしくは1ヶ月に1回以上を含む。一般に、適切な用量(例えば、本発明の化合物の1日用量)は、治療効果を生じるために有効な最低用量である、上記化合物の量である。このような有効用量は、一般に、上記の因子に依存する。
一般に、患者のための本発明の化合物の用量は、示される効果に関して使用される場合、約0.0001〜約100mg/kg体重/日の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態において、上記1日用量は、0.001〜50mg化合物/kg体重の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態において、上記1日用量は、0.01〜10mg化合物/kg体重の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態において、上記1日用量は、0.01〜1mg化合物/kg体重の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態において、化合物は、約0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重の範囲において投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、約0.1mg/kg体重〜200mg/kg体重の範囲において投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、約1mg/kg体重〜200mg/kg体重の範囲において投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、約10mg/kg体重〜200mg/kg体重の範囲において投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、約10mg/kg体重〜40mg/kg体重の範囲において投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、約40mg/kg体重〜200mg/kg体重の範囲において投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、約10mg/kg体重〜20mg/kg体重の範囲において投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、約10mg/kg体重〜40mg/kg体重の範囲において投与される。しかし、より低いもしくはより高い用量も使用され得る。いくつかの実施形態において、被験体に投与される用量は、改変され得る。なぜなら、年齢、疾患進行、体重、もしくは他の因子に起因して、被験体の生理機能は変化するからである。このような用量は、適用可能な動物モデルにおいて(例えば、トランスジェニック齧歯類モデルにおいて)有用かつ適切であると分かった用量に相当し得る。いくつかの実施形態において、実験モデルにおいて有用なこのような投与量は、約10mg/kg体重〜約200mg/kg体重の範囲に及ぶ。特定の実施形態において、実験動物における投与量は、約10mg/kg体重〜約40mg/kg体重の範囲に及ぶ。特定の実施形態において、実験動物における投与量は、約40mg/kg体重〜約200mg/kg体重の範囲に及ぶ。特定の実施形態において、適用可能な動物モデルにおいて使用される投与量は、約10mg/kg、約12mg/kg、約20mg/kg、約40mg/kg、約49mg/kg、約100mg/kg、もしくは約200mg/kgである。
所望であれば、上記活性化合物の有効な1日用量は、1日を通して適切な間隔で、必要に応じて、単位投与形態で、別個に投与される2つ、3つ、4つ、5つもしくはより多くの分割用量として投与され得る。
本発明の化合物が単独で投与されることが可能である一方で、上に記載されるように、薬学的処方物(組成物)として上記化合物を投与することは好ましい。
本発明に従う化合物は、他の医薬での類推によって、ヒト医学もしくは獣医学において使用するために任意の便利な方法で投与するために処方され得る。
本発明は、本発明の化合物の薬学的組成物を含むキットを提供する。特定の実施形態において、このようなキットは、本発明の化合物および別の化学療法剤の組み合わせを含む。上記薬剤は、別個にもしくは一緒にパッケージされ得る。上記キットは、必要に応じて、薬物療法を処方するための説明書を含む。特定の実施形態において、上記キットは、各剤の複数の用量を含む。上記キットは、1週間、2週間、3週間、4週間、もしくは複数ヶ月にわたって被験体を処置するために、各成分の十分な量を含み得る。上記キットは、化学療法の完全なサイクルを含み得る。特定の実施形態において、上記キットは、化学療法の複数のサイクルを含み得る。
特定の実施形態において、本発明の化合物および薬学的組成物は、併用療法において使用され得る。すなわち、上記化合物および薬学的組成物は、1種以上の他の所望の治療剤もしくは医療手順と同時に、その前に、もしくはその後に、投与され得る。組み合わせレジメンにおいて使用するための治療(治療もしくは手順)の特定の組み合わせは、所望の治療剤および/もしくは手順の適合性、ならびに達成されるべき所望の治療効果を考慮に入れる。使用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を達成し得る(例えば、本発明の化合物は、別の抗がん剤と同時に投与され得る)か、またはそれらが異なる効果(例えば、任意の有害な効果の制御)を達成し得ることもまた、認識される。
例えば、本発明の創意工夫のある抗がん剤と組み合わせて使用され得る他の治療もしくは抗がん剤としては、いくつか挙げると、以下が挙げられる:外科手術、放射線療法(いくつか挙げると、γ線照射、中性子線照射療法、電子線照射療法、陽子線療法、小線源療法、および全身放射活性同位体(systemic radioactive isotopes))、内分泌療法、生物学的応答改変因子(biologic response modifiers)(いくつか挙げると、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法および寒冷療法、任意の有害効果を減少させる薬剤(例えば、制吐剤)、ならびに他の承認された化学療法薬(アルキル化薬物(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗物質(メトトレキサート)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビン(Cytarabile)、ゲムシタビン)が挙げられるが、これらに限定されない)、紡錘体毒素(spindle poisons)(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、ならびにホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)。特定の実施形態において、抗がん剤は、エポチロン、タキソール、ラディシコールもしくはTMC−95A/Bである。特定の実施形態において、上記エポチロンは、12,13−デスオキシエポチロンB、(E)−9,10−デヒドロ−12,13−デスオキシEpoBおよび26−CF3−(E)−9,10−デヒドロ−12,13−デスオキシEpoBである。さらに、本発明はまた、現在臨床試験中であり、最終的にはFDAによって承認され得る特定の細胞傷害性薬剤もしくは抗がん剤(エポチロンおよびそのアナログならびにゲルダナマイシンおよびそのアナログが挙げられるが、これらに限定されない)の使用を包含する。
実験詳細:
分析装置: 旋光度を、室温において、JASCO P−2000デジタル偏光計で測定した。g/100ml単位の濃度(c)および溶媒を括弧に入れて示される。H−および13C−NMRスペクトルを、CDCl中で、Bruker AMX−400もしくはBruker DRX−500分光計で記録した。ケミカルシフト(δ値)を、内部標準として残余の重水素化していないCDClを用いてppm単位で報告する(H−NMRについては7.26ppmおよび13C−NMRについては77.0ppmとして引用される)。カップリング定数(J)(H,H)は、Hz単位で示され、スペクトル分割パターン(spectral splitting patterns)を、一重線(s)、二重線(d)、三重線(t)、四重線(q)、多重線もしくはより重なるシグナル(m)、見かけ(app)、ブロードシグナル(br)として示す。低分解能マススペクトル(イオンスプレー、エレクトロスプレーのバリエーション)を、Perkin−Elmer Sciex API 100分光計で取得した。サンプルを直接注入によって導入した。高分解能マススペクトル(高速原子衝撃,FAB)を、分光光度計で取得した。フラッシュクロマトグラフィー(FC)を、E.Merckシリカゲル(60,粒度0.040〜0.063mm)で行った。
技術、溶媒、および試薬: 空気もしくは水分に敏感な試薬もしくは中間体を伴う反応を、高真空下でヒートガンもしくは火炎乾燥したガラス製品の中で、アルゴンもしくは窒素雰囲気下で行った。示された反応温度は、反応バスの温度を意味する一方で、室温(rt)は、22℃として注意される。分取用の反応(Preparative reactions)を、磁気式で撹拌した。テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレン(CHCl)、およびトルエンを、乾燥溶媒系(活性化アルミナカラム、アルゴンの陽圧)から得た。全ての他の溶媒を、Sure/Sealボトル(Aldrich)中の受け取り時のままのものを使用した。全ての他の試薬を、最高の価額品質でAldrichから購入し、さらに精製せずに使用した。
実施例1
70℃のHO(32mL)中のNaIO(14.95g,69.9mmol)の熱い可溶性溶液に、シリカゲル(40g,40〜60μm)を添加した。この懸濁物を室温へと冷却し、CHCl(300mL)を添加し、10分間にわたって超音波処理した。CHCl(50mL)中のジオール3(10.15g,50mmol)を添加した。この懸濁物を室温において45分間にわたって撹拌した後、この混合物を濾過し、乾燥CHCl(100mL)で洗浄した。この溶液を無水NaSOで再び乾燥させ、濾過し、乾燥CHCl(50mL)で洗浄して、CHCl(500mL)中に所望のアルデヒド4を得た。このアルデヒド溶液を、ジヒドロピラン(dihydropyrone)を作製するための次の工程へと直接使用してよい。
実施例2
(3S,4S,5R,Z)−8−ブロモ−3−メトキシ−5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン−4−オール(12)
方法1: アリル型アルコール(allylic alcohol)11(6.2g,30.97mmol)および2,6−ルチジン(4.3mL,37.08mmol)を、無水CHCN(350mL)中で合わせた。四臭化炭素(16.2g,49.44mmol)を添加し、この溶液を0℃へと冷却した。PhP(10.53g,40.17mmol)を、少しずつ添加し、この混合物を室温へと加温した。30分間にわたって撹拌した後、飽和NHCl(200mL)の中に注ぐことによってこの反応をクエンチした。その水相をEtOで抽出し(2×200mL)、合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。その残渣を、シリカゲル(EtOAc−ヘキサン,1:19)のプラグを通して濾過し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン,1:9)によって精製して、臭化アリル(allylic bromide)12(6.9g,85%)を無色油状物として得た。[α]20D −7.01 (c 1.0, CHCl);H NMR (CDCl, 400 MHz): δ 5.75 (m, 1H), 5.36−5.27 (m, 3H), 4.04 (d, 1 H, J = 9.6 Hz), 3.96 (d, 1 H, J = 9.7 Hz), 3.48 (dd, 1 H, J = 5.1, 8.0 Hz), 3.29 (m+s, 4H), 2.67 (m, 1H), 2.59 (d, 1 H, J = 5.2 Hz), 1.85 (s, 3H), 1.04 (d, 3 H, J = 6.8 Hz); 13C NMR (100 MHz, CDCl): δ 135.7, 134.7, 131.5, 119.9, 83.9, 77.3, 56.7, 35.6, 32.6, 22.4, 15.8; HRMS (ESI) 計算値[C1119Br+ Na]: 285.0466, 実測値: 285.0475。
方法2: 室温においてCHCl(100ml)中のアリルアルコール(allylic alcohol)11(3.9g,19.5mmol)の溶液に、固体支持されたPPh(3mmol/g,9.5g)およびCBr(8.4g,25.4mmol)を添加した。20分間にわたって撹拌した後、この反応混合物を、綿栓を通して濾過し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、4.24g 臭化アリル12を得た(83%)。
実施例3
((3S,4S,5R,Z)−8−ブロモ−3−メトキシ−5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン−4−イルオキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン(13): −15℃において、CHCl(150mL)中の第二級アルコール12(5.04g,19.23mmol)の溶液に、2,6−ルチジン(3.4mL,28.85mmol)およびTBSOTf(6.2mL,26.92mmol)を添加した。−15℃において1時間にわたって撹拌した後、この反応混合物を、−15℃においてMeOH(20mL)でクエンチした。この混合物を、飽和NHCl水溶液で処理した。その有機層を分離し、その水層をCHClで抽出した(3×)。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン,1:9)によるこの粗製生成物の精製から、ブロミド13(6.6g,91%)を黄色油状物として得た。[α]20D 2.76 (c 1.5, CHCl);H NMR (CDCl, 400 MHz): δ 5.61 (m, 1 H), 5.35 (d, 1 H, J = 9.8 Hz), 5.23 (m, 2 H), 3.88 (s, 2H), 3.48 (dd, 1 H, J = 3.0, 7.1 Hz), 3.30 (t, 1 H, J = 7.5 Hz), 3.15 (s, 3H), 2.53 (m, 1H), 1.75 (s, 3H), 0.88 (m+s, 12 H), 0.05 (s, 3H), 0.02 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl): δ 136.8, 135.6, 130.1, 119.2, 86.5, 78.0, 56.6, 35.1, 32.8, 26.5, 22.3, 18.9, 13.9, −3.4, −4.4; HRMS (ESI) 計算値 [C1733BrOSi+ Na]: 399.1331, 実測値: 399.1321。
エーテル(15)
実施例4
NaH(1.44g,36.16mmol,鉱油中60%懸濁物)を、無水THF(120mL)中に懸濁させ、この混合物を0℃へと冷却した。THF(20mL)中の6−ヘプテン−オール14(3.95mL,28.93mmol)を添加し、この溶液を、0℃において10分間にわたって撹拌した。アイスバスを外し、室温において1時間にわたって撹拌を続け、その後、0℃へと冷却した。THF(30mL)中の臭化アリル13(6.8g,18.08mmol)の溶液を滴下し、続いて、TBAI(67mg,0.18mmol)を添加し、15分後に、アイスバスを外した。室温において一晩撹拌を続けた。この反応を、飽和NHCl水溶液でクエンチした。その有機層を分離し、水層をEtOで抽出した(3×)。合わせた有機層(合わせた有機抽出物)を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl−ヘキサン,3:1〜1:1)によって精製して、エーテル15(6.79g,90%)を無色油状物として得た。[α]20D +1.55 (c 1.2, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.80 (m, 1H), 5.62 (m, 1H), 5.38−5.23 (m, 3H), 5.01−4.92 (m, 2H), 3.95 (d, 1 H, J = 11.5 Hz), 3.85 (d, 1 H, J = 11.5 Hz), 3.44 (dd, 1 H, J = 3.0, 7.1 Hz), 3.38−3.30 (m, 3H), 3.20 (s, 3H), 2.62 (m, 1H), 2.04 (m, 2H), 1.72 (s, 3H), 1.60−1.55 (m, 2H), 1.41−1.33 (m, 4H), 0.91 (s+m, 12H), 0.05 (s, 3H), 0.02 (s, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 139.2, 135.6, 134.1, 130.9, 118.7, 114.5, 86.4, 78.8, 69.9, 69.4, 56.3, 34.1, 33.9, 29.8, 29.0, 26.4, 26.0, 21.7, 18.8, 14.5, −3.6, −4.6; HRMS (ESI) 計算値[C2446Si+ Na]: 433.3114, 実測値: 433.3098。
実施例5
還流しているトルエン(1L)に、トルエン(10mL)中のエーテル15(210mg,0.51mmol)の溶液およびトルエン(10mL)中のGrubbs−II触媒(87mg,20mol%)を添加した。15分間にわたって撹拌した後、DMSO(0.3ml)を添加し、この反応系を室温へと冷却し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン,1:20)によるこの粗製生成物の精製から、マクロエーテル16(140mg,75%)を無色油状物として得た。[α]20D +49.45 (c 1.7, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.59 (m, 1H), 5.51 (d, 1H, J = 9.8 Hz), 5.24 (dd, 1H, J = 8.4, 15.5 Hz), 3.87 (d, 1H, J = 9.8 Hz), 3.65 (d, 1H, J = 9.8 Hz), 3.53−3.49 (m, 2H), 3.43 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 3.36 (m, 1H), 3.20 (s, 3H), 2.91 (m, 1H), 2.18−2.14 (m, 2H), 1.74 (s, 3H), 1.68 (m, 1H), 1.55 (s, 3H), 1.50−1.36 (m, 5H), 0.91 (s, 9H), 0.88 (d, 3H, J = 6.7 Hz), 0.05 (s, 3H), 0.03 (s, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 135.4, 134.2, 129.8, 129.7, 85.6, 78.7, 69.9, 69.2, 56.2, 34.0, 30.4, 27.0, 26.4, 23.4, 23.3, 18.9, 13.0, −3.5, −4.8; HRMS (ESI) 計算値[C2242Si+ Na]: 405.2801, 実測値: 405.2800。
実施例6
室温においてTHF(80mL)中のTBS−マクロエーテル16(845mg,2.21mmol)の溶液に、HF・ピリジン(18mL)を添加した。24時間にわたって撹拌した後、この反応混合物を飽和NaHCO(450mL)で注意深く処理し、EtOで希釈した。その有機層を分離し、その水層をEtOで抽出した(3×)。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。その得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 10:1〜4:1)によって精製して、マクロエーテル17(544mg,92%)を白色無定形固体として得た。[α]23D +104.42 (c 1.0, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.67−5.60 (m, 2H), 5.22 (dd, 1H, J = 7.6, 15.5 Hz), 3.76 (s, 2H), 3.56−3.52 (m, 1H), 3.49−3.40 (m, 3H), 3.30 (s, 3H), 2.93 (m, 1H), 2.73 (br s, 1H), 2.24 (m, 1H), 2.09 (m, 1H), 1.76 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 1.66 (m, 1H), 1.54−1.47 (m, 1H), 1.45−1.36 (m, 4H), 0.94 (d, 3H, J = 6.9 Hz); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 135.9, 134.0, 130.2, 129.1, 84.5, 76.7, 69.7, 69.1, 56.2, 32.1, 30.5, 27.0, 26.8, 23.1, 12.7; HRMS (ESI) 計算値[C1628+ Na]: 291.1936, 実測値: 291.1937。
水素化ナトリウム(60mg,1.5mmol,鉱油中60%)をn−ヘキサンで洗浄し(4×1mL)、真空中で乾燥させた。得られた残渣をTHF(2.0mL)中に懸濁させた。THF(4.0mL)中に溶解させたアルコール17(80mg,0.3mmol)を、このNaH懸濁物に添加し、1時間にわたって室温において撹拌した。THF(2.0mL)中のブロモ酢酸(80mg,0.6mmol)の溶液を、添加した。この反応系を85℃において14時間にわたって還流し、その後、室温へと冷却した。この反応を、2M HClを滴下してクエンチし、次いで、pH1へと酸性化した。その水層を酢酸エチルで抽出した(4×20mL)。合わせた有機層を、NaSOで乾燥させた。真空中でこの溶媒を濃縮したところ酸が得られ、これを、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 10:3〜10:4)によって精製して、酸18(CME)(67mg,70%)を無色フィルムとして得、25mgの出発物質アルコール17(ME)を回収した。[α]20D + 184.44 (c, 1.4, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 12.09 (brs, 1H), 5.73 (m, 1H), 5.34 (d, 1H, J = 10.1 Hz), 5.24 (dd, 1H, J = 8.5, 15.5 Hz), 4.43 (d, 1H, J = 17.3 Hz), 4.03 (d, 1H, J = 17.3 Hz), 3.91(d, 1H, J = 10.7 Hz), 3.71 (t, 1H, J = 9.0 Hz), 3.64 (d, 1H, J = 10.7 Hz), 3.49 (m, 2H), 3.39 (s, 3H), 3.24 (d, 1H, J = 9.4 Hz), 3.16 (m, 1H), 2.22 (m, 2H), 1.75 (s, 3H), 1.68 (m, 1H), 1.43 (m, 2H), 1.40−1.32 (m, 3H), 0.93 (d, 3H, J = 6.7 Hz); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 172.7, 137.3, 132.1, 132.0, 127.3, 89.5, 83.5, 71.7, 70.2, 70.0, 56.0, 33.2, 30.2, 26.6, 26.5, 23.3, 23.2, 12.9; HRMS (ESI) 計算値[C1830+ Na]: 349.1991, 実測値: 349.1992。
エステル42。 無水MeOH(0.30mL)および無水PhMe(0.30mL)中の酸18(10.5mg)の混合物を0℃へと冷却し、TMSCHN(0.080mL,EtO中で2.0M)で処理し、この温度において1時間45分間にわたって攪拌した。その揮発性物質を真空中で除去し、その生成物をSiOでのクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc,4:1)によって精製して、42(9.8mg,90%)を無色油状物として得た:[α] 24 +45.0 (c 1 , CHCl); H NMR (C, 500 MHz)δ 6.05 (d, J = 9.9 Hz, 1 H), 5.41 (td, J = 15.6, 6.6 Hz, 1 H), 5.19 (dd, J = 15.6, 8.2 Hz, 1 H), 4.57, 4.41 (AB, J = 16.2 Hz, 2 H), 3.77 (t, J = 8.3 Hz, 1 H), 3.69, 3.66 (AB, J = 10.9 Hz, 2 H), 3.37−3.35 (m, 4 H), 3.32−3.28 (m, 1 H), 3.25−3.22 (m, 2 H), 3.12 (s, 3 H), 2.00−1.96 (m, 2 H), 1.77 (d, J = 0.9 Hz, 3 H), 1.46−1.26 (m, 4 H), 1.23 (d, J = 6.9 Hz, 3 H), 1.17−1.12 (m, 2 H); 13C NMR (C, 125 MHz) δ 171.0, 133.9, 133.7, 129.9, 129.6, 87.2, 86.5, 71.0, 70.7, 69.7, 55.8, 50.7, 33.6, 30.4, 27.6, 27.1, 23.5, 23.1, 14.0; MS−ESI 計算値 C1932Na (M+Na) 363.2, 実測値 363.1。
化合物43。 無水PhMe(1.0mL)中のエステル42(13.0mg,0.0383mmol)の混合物を−78℃へと冷却し、DIBAL(0.096mL,0.096mmol,ヘキサン中c=1.0)の溶液を添加し、この反応混合物を0℃へと加温し、2時間にわたって攪拌した。DIBAL(0.040mL)のさらなる部分を導入し、この混合物を3時間にわたって攪拌し、ロッシェル塩でクエンチし、抽出し(3×EtOAc)、合わせた有機層を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。SiOのクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc,3:1)による精製から、43(0.0071g,59%)を透明な油状物として得た: [α] 24 +59.7 (c 1.0 CHCl); H NMR (C, 600 MHz) δ 5.71 (d, J = 10.2 Hz, 1 H), 5.46 (td, J = 15.5, 7.1 Hz, 1 H), 5.25 (dd, J = 15.5, 8.3 Hz, 1 H), 4.07 (br s, 1 H), 3.97−3.94 (m, 2 H), 3.81 (d, J = 4.0 Hz, 2 H), 3.79−3.76 (m, 1 H), 3.73 (t, J = 8.7 Hz, 1 H), 3.66 (d, J = 10.8 Hz, 1 H), 3.48 (dd, J = 9.1, 1.4 Hz, 1 H), 3.40−3.38 (m, 2 H), 3.32−3.27 (m, 1 H), 3.23 (s, 3 H), 2.08−2.05 (m, 2 H), 1.85 (d, J = 1.2 Hz, 3 H), 1.60−1.51 (m, 2 H), 1.41−1.39 (m, 4 H), 1.23 (d, J = 6.8 Hz, 3 H), 1.23−1.22 (m, 1 H); 13C NMR (C, 150 MHz) δ 134.5, 133.5, 130.6, 129.6, 87.4, 85.4, 76.5, 70.4, 69.8, 63.1, 56.0, 34.1, 30.3, 27.2, 27.0, 23.5, 23.3, 13.6; MS−ESI 計算値 C1832Na (M+Na) 335.2, 実測値 335.3。
化合物44。 無水CHCl(0.50mL)中の酸18(7.8mg,0.0239mmol)、MeNH・HCl(3.2mg,0.0378mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.00416mL,0.239mmol)の混合物を、WSC・HCl(9.2mg,0.0478mmol)で処理し、N下で24時間にわたって攪拌した。この反応混合物を、水の中に注ぎ、EtOAcで抽出し(3×5mL)、合わせた有機層を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。SiOのクロマトグラフィーによる精製(ヘキサン:EtOAc,1:3)から44(7.2mg,89%)を透明油状物として得た: [α] +41 (c 1.0, CHCl); H NMR (C, 600 MHz) δ 多い方の回転異性体: 7.45 (br s, 1 H), 5.41 (d, J = 10.1 Hz, 1 H), 5.34 (td, J = 15.6, 7.1 Hz, 1 H), 5.09 (dd, J = 15.5, 8.5 Hz, 1 H), 4.38, 4.33 (AB, J = 15.7 Hz, 2 H), 3.66 (dd, J = 10.9, 0.7 Hz, 1 H), 3.53 (t, J = 8.8 Hz, 1 H), 3.40 (d, J = 10.8 Hz, 1 H), 3.27−3.13 (m, 4 H), 3.03 (s, 3 H), 1.99−1.96 (m, 2 H), 1.63 (d, J = 1.4 Hz, 3 H), 1.48−1.21 (m, 8 H), 1.08−1.04 (m, 1 H), 1.02 (d, J = 6.8 Hz, 3 H); 少ない方の回転異性体(代表的シグナル), 5.89 (dd, J = 10.8, 1.5 Hz, 1 H), 5.25−5.20 (m, 1 H), 4.91 (dd, J = 15.5, 8.9 Hz, 1 H), 3.44 (t, J = 8.7 Hz, 1 H), 2.98 (s, 3 H), 1.92 (d, J = 1.4, 3 H), 0.94 (d, J = 6.8 Hz, 3 H); 13C NMR (C, 150 MHz) δ 170.7, 135.0, 132.8, 131.3, 129.1, 87.8, 85.0, 73.7, 70.3, 69.8, 55.8, 33.6, 30.2, 27.0, 26.8, 25.3, 23.4, 23.1, 13.5; ESI−MS 計算値 C1933NONa 362.2, 実測値 362.2。
化合物45。 無水PhMe(1.0mL)中の化合物17(ME)(10.7mg,0.0399mmol)、EtNCO(9.5μL,0.120mmol)、およびEtN(16.8μL,0.120mmol)の混合物を、24時間にわたって還流下で加熱し、室温へと冷却し、その揮発性物質を真空中で除去した。SiOのクロマトグラフィーによる精製(ヘキサン:EtOAc,2:1)から、45(0.0071g,53%)を淡黄色油状物として得た: [α] 24 +34.1 (c 1, CHCl); H NMR (C, 600 MHz) δ 多い方の回転異性体: 5.63 (d, J = 9.9 Hz, 1 H), 5.50−5.45 (m, 1 H), 5.31 (dd, J = 15.7, 8.6 Hz, 1 H), 4.24 (s, 1 H), 4.11 (app. t, J = 5.5 Hz, 1 H), 3.69−3.8 (m, 1 H), 3.60−3.59 (m, 1 H), 3.45−3.39 (m, 1 H), 3.31−3.23 (m, 2 H), 3.21 (s, 3 H), 3.18 (s, 1 H), 2.98 (app. t, J = 6.2 Hz, 2 H), 2.03−1.92 (m, 3 H), 1.67 (d, J = 1.3 Hz, 3 H), 1.52−1.40 (m, 2 H), 1.38−1.30 (m, 4 H), 1.19 (d, J = 6.6. Hz, 3 H), 1.12−1.08 (m, 2 H); 少ない方の回転異性体(代表的シグナル) 6.17 (dd, J = 10.6, 1.4 Hz, 1 H), 5.05 (dd, J = 15.6, 8.7 Hz, 1 H); 13C NMR (C, 150 MHz) δ 多い方の回転異性体: 156.6, 135.2 (2), 131.9, 130.9, 84.0, 77.9, 71.0, 69.7, 56.1, 53.3, 34.6, 32.7, 30.1, 26.9, 26.6, 23.5, 23.1, 14.6; 少ない方の異性体(代表的シグナル) 64.3, 36.0, 30.4, 21.44; MS−ESI 計算値 C1933NONa (M+Na) 362.2, 実測値 362.3。
実施例7
TBS−エーテル22: NaH(32mg,0.8mmol,鉱油中60%懸濁物)を、無水THF(3mL)中に懸濁させ、この混合物を0℃へと冷却した。THF(2mL)中の(E)−ヘプタ−2,6−ジエン−1−オール21(72mg,0.64mmol)を添加し、この溶液を0℃において10分間にわたって攪拌した。アイスバスを外し、室温において1時間にわたって攪拌を続け、その後、0℃へと冷却した。THF(3mL)中の臭化アリル13(150mg,0.4mmol)の溶液を滴下し、続いて、TBAI(2mg)を添加し、15分後に、アイスバスを外した。室温において一晩攪拌を続けた。この反応を、飽和NHCl水溶液でクエンチした。その有機層を分離し、その水層をEtOで抽出した(3×)。合わせた有機層を(合わせた有機抽出物)を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl−ヘキサン,3:1〜1:1)によって精製して、エーテル22(90mg,53%)を無色油状物として得た。H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.80 (m, 1H), 5.67−5.58 (m, 3H), 5.37 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.28 (m, 3H), 4.98 (m, 2H), 3.95 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.83 (m, 2H), 3.40 (m, 2H), 3.19 (s+m, 4H), 2.58 (m, 1H), 2.13 (複合(complex), 4H), 1.72 (s, 3H), 0.90 (s+d, 12 H), 0.05, (s, 3H), 0.02 (s, 3); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 138.3, 135.5, 134.4, 137.7, 130.7, 127.2, 118.8, 115.0, 86.5, 78.8, 70.5, 68.6, 56.33, 34.2, 33.5, 31.9, 26.4, 21.7, 18.8, 14.3, −3.6, −4.6; HRMS (ESI) 計算値 [C2444Si+ Na]: 431.2957, 実測値: 431.2957。
TBS−マクロエーテル: 還流しているトルエン(450mL)に、トルエン(10mL)中のエーテル22(90mg,0.22mmol)の溶液およびトルエン(10mL)中のGrubbs−II触媒(38mg,20mol%)の溶液を添加した。15分間にわたって攪拌した後、DMSO(0.1ml)を添加し、この反応系を室温へと冷却し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン,1:20)によるこの粗製生成物の精製から、マクロエーテル(30mg,35%)を無色油状物として得た。MS (ESI) 計算値 [C2240Si+ Na]: 403.26, 実測値: 403.2。
マクロエーテル23。 室温においてTHF(5mL)中のTBS−マクロエーテル(44mg,0.16mmol)の溶液に、HF・ピリジン(1.5mL)を添加した。24時間にわたって攪拌した後、この反応混合物を飽和NaHCO(50mL)で注意深く処理し、EtOで希釈した。その有機層を分離し、その水層をEtOで抽出した(3×)。その有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 10:1〜4:1)によって精製して、マクロエーテル23(22mg,71%)を得た。[α]20D + 346.31 (c 0.5 , CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.63 (m, 1H), 5.53 )m, 2H), 5.42 (m, 1H), 5.18 (dd, J = 8.5, 15.6 Hz, 1H), 3.95 (m, 2H), 3.80 (dd, J = 6.7, 14.3 Hz, 1H), 3.63 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.41 (t, J = 9.1 Hz, 1H), 3.29 (s+m, 4H), 2.75 (br, 1H), 2.68 (m, 1H), 2.42−2.34 (m, 2H), 2.21−2.14 (m, 2H), 1.78 (s, 3H), 0.93 (d, J = 6.8 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 136.1, 135.1, 134.3, 131.1, 129.3, 127.8, 84.3, 77.8, 69.3, 65.9, 56.5, 32.0, 31.9, 30.7, 22.3, 12.8; HRMS (ESI) 計算値 [C1626+ Na]: 289.1780, 実測値: 289.1769。
酸24(8mg,55%), [α]20D + 108.79 (c 0.35, 1:4 MeOH/CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ HRMS (ESI) 計算値 [C1828+ Na]: 347.1834, 実測値: 347.1826。
実施例8
EおよびZ 3−(トリフルオロメチル)ヘプタ−2,6−ジエン−1−オール28を、参照文献1および2によって合成した。TBS−エーテル29: NaH(47mg,1.2mmol,鉱油中60%懸濁物)を無水THF(3mL)中に懸濁させ、この混合物を0℃へと冷却した。THF(2mL)中のアルコール28E(180mg,0.94mmol)を添加し、この溶液を0℃において10分間にわたって攪拌した。アイスバスを外し、室温において1時間にわたって攪拌を続け、その後、0℃へと冷却した。THF(3mL)中の臭化アリル13(210mg,0.56mmol)の溶液を滴下し、続いて、TBAI(2mg)を添加し、15分後に、アイスバスを外した。室温において一晩攪拌を続けた。この反応を飽和NHCl水溶液でクエンチした。その有機層を分離し、その水層をEtOで抽出した(3×)。合わせた有機層(合わせた有機抽出物)を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl−ヘキサン,3:1〜1:1)によって精製して、エーテル29(136mg,49%)を無色油状物として得た。[α]20D −4.19 (c 1.0 , CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 6.26 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 5.77 (m, 1H), 5.60 (m, 1H), 5.42 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.27 (m, 2H), 5.02 (m, 1H), 4.01 (m, 2H), 3.99 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.89 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.40 (m, 2H), 3.2 (s+m, 4H), 2.58 (m, 1H), 2.29−2.19 (m, 4H), 1.73 (s, 3H), 0.90 (s+d, 12H), 0.06, 0.02; 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 137.1, 135.5, 135.1, 132.1 (q, C−F = 6.1 Hz), 130.8 (q, C−F = 28.6 Hz), 129.9, 125.3 (q, C−F = 273.5 Hz), 118.8, 115.9, 86.3, 78.8, 69.5, 65.3, 56.3, 34.3, 33.0, 26.2,, 25.9, 21.7, 18.8, 14.4, −3.59, −4.6; 19F NMR (CDCl, MHz): δ −67.4. HRMS (ESI) 計算値 [C2543Si+ Na]: 499.2831, 実測値: 499.2838。
TBS−マクロエーテル30: 還流しているトルエン(570mL)に、トルエン(10mL)中のエーテル29(136mg,0.28mmol)の溶液およびトルエン(10mL)中のGrubbs−II触媒(50mg,20mol%)の溶液を添加した。15分間攪拌した後に、DMSO(0.1ml)を添加し、この反応系を室温へと冷却し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン,1:20)によるこの粗製生成物の精製から、マクロエーテル(46mg,36%)を無色油状物として得た。[α]20D −2.20 (c 0.9 , CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 6.31 (bt, 1H), 5.67 (m, 1H), 5.51−5.45 (m, 2H), 4.02 (m, 3H), 3.75 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.50 (m, 2H), 3.26 (s, 3H), 2.52 (m, 1H), 2.38−2.32 (m, 4H), 1.71 (s, 3H), 0.09 (s, 9H), 0.88 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.07 (s, 3H), 0.06 (s, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 135.2, 133.4 (q, C−F = 5.9 Hz), 131.0, 130.5 (q, C−F = 27.8 Hz), 129.6, 128.9, 124.3 (q, C−F = 272.6 Hz), 84.4, 77.6, 68.8, 64.8, 57.1, 34.9, 30.1, 26.3, 26.0, 22.1, 18.6, 17.1, −3.79, −4.59; 19F NMR (CDCl, MHz): δ −65.9; MS (ESI) 計算値 [C2339Si+ Na]: 471.25, 実測値: 471.1。
マクロエーテル31。 室温においてTHF(5mL)中のTBS−マクロエーテル(48mg,0.11mmol)の溶液に、HF・ピリジン(1.5mL)を添加した。24時間攪拌した後、この反応混合物を飽和NaHCO(50mL)で注意深く処理し、EtOで希釈した。その有機層を分離し、その水層をEtOで抽出した(3×)。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 10:1〜4:1)によって精製して、マクロエーテル23(27mg,74%)を得た。[α]20D 142.6 (c 1.1 , CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 6.31 (btr, J = 5.5 Hz, 1H), 5.74 (m, 1H), 5.61 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.39 (dd, J = 6.9, 15.7 Hz, 1H), 4.03−3.96 (m, 3H), 3.73 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.39 (m, 2H), 3.26 (s, 3H), 2.87 (br, 1H), 2.53 (m, 1H), 2.41−2.30 (m, 4H), 1.74 (s. 3H)m 0.93 (d, J = 6.9 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 134.7, 134.2, 133.2 (q, C−F = 5.9 Hz), 130.7 (q, C−F = 30.1 Hz), 130.2, 130.1, 125.2 (q, C−F = 270.1 Hz), 82.9, 76.4, 69.2, 65.1, 56.5, 33.1, 29.5, 26.4, 22.5, 15.6; 19F NMR (CDCl, MHz): δ −65.78. HRMS (ESI) 計算値 [C1725+ Na]: 357.1653, 実測値: 357.1650。
酸32(14mg,45%), [α]20D 75.38 (c 0.6, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 11.98 (br, OH), 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 19F NMR (CDCl, MHz): δ HRMS (ESI) 計算値 [C1927+ Na]: 415.1708, 実測値: 415.1691。
実施例9
TBS−エーテル33: NaH(50mg,1.3mmol,鉱油中60%懸濁物)を無水THF(3mL)中に懸濁させ、この混合物を0℃へと冷却した。THF(2mL)中のアルコール28Z(150mg,0.83mmol)を添加し、この溶液を0℃において10分間にわたって攪拌した。アイスバスを外し、室温において1時間にわたって攪拌を続け、その後、0℃へと冷却した。THF(3mL)中の臭化アリル13(210mg,0.56mmol)の溶液を滴下し、続いてTBAI(2mg)を添加し、15分後に、アイスバスを外した。室温において一晩攪拌を続けた。この反応を、飽和NHCl水溶液でクエンチした。その有機層を分離し、その水層を、EtOで抽出した(3×)。合わせた有機層(合わせた有機抽出物)を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl−ヘキサン,3:1〜1:1)によって精製して、エーテル33(170mg,64%)を無色油状物として得た。[α]20D 1.83 (c 1.0 , CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.83−5.75 (m, 2H), 5.60 (m, 1H), 5.26 (m, 2H), 5.02 (m, 2H), 4.13 (brs, 2H), 3.96 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.88 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 3.43 (m, 1H), 3.38 (m, 1H), 3.20 (s, 3H), 2.59 (m, 1H), 2.25 (m, 4H), 1.73 (s, 3H), 0.89 (s+d, 12H), 0.05 (s, 3H), 0.02 (s, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 137.0, 135.5, 135.4 (q, C−F = 3.1 Hz), 135.0, 130.0, 129.6 (q, C−F = 26.3 Hz), 129.9, 124.3 (q, C−F = 272.5 Hz), 118.8, 115.9, 86.3, 78.7, 68.8, 65.8, 56.7, 34.4, 31.1, 28.7, 26.4, 22.6, 18.7, 15.4, −3.7, −4.7; 19F NMR (CDCl, MHz): δ −61.2.; HRMS (ESI) 計算値 [C2543Si+ Na]: 499.2831, 実測値: 499.2832。
TBS−マクロエーテル34: 還流しているトルエン(700mL)に、トルエン(10mL)中のエーテル33(166mg,0.35mmol)の溶液およびトルエン(10mL)中のGrubbs−II触媒(60mg,20mol%)の溶液を添加した。15分間にわたって攪拌した後、DMSO(0.1ml)を添加し、この反応系を室温へと冷却し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン,1:20)によるこの粗製生成物の精製から、マクロエーテル(67mg,48%)を無色油状物として得た。[α]20D 122.52 (c 1.0 , CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.73 (m, 1H), 5.58 (m, 1H), 5.45 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.26 (m, 1H), 4.19 (m, 2H), 3.90 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.65 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.45 (s, 2H), 3.20 (s, 3H), 2.59 (m, 1H), 2.49−2.31 (m, 4H), 1.75 (s, 3H), 0.89 (s+d, 12H), 0.03 (s, 3H), 0.01(s, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 137.0, 136.2 (q, C−F = 3.0 Hz), 132.2, 130.8, 130.4 (q, C−F = 28.6 Hz), 129.8, 124.3 (q, C−F = 274.6 Hz), 85.3, 79.6, 67.7, 64.9, 56.5, 33.9, 29.7, 29.4, 26.3, 22.4, 18.8, 12.9, −3.7, −4.9; 19F NMR (CDCl, MHz): δ −60.2; MS (ESI) 計算値 [C2339Si+ Na]: 471.25, 実測値: 471.3。
マクロエーテル35。 室温においてTHF(5mL)中のTBS−マクロエーテル(74mg,0.16mmol)の溶液に、HF・ピリジン(2.5mL)を添加した。24時間にわたって攪拌した後、この反応混合物を飽和NaHCO(50mL)で注意深く処理し、EtOで希釈した。その有機層を分離し、その水層を、EtOで抽出した(3×)。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 10:1〜4:1)によって精製して、マクロエーテル35(27mg,74%)を得た。[α]20D 254.34 (c 0.75, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.72 (btr, J = 5.7 Hz, 1H), 5.64−5.58 (m, 2H), 5.21 (dd, J = 8.1, 15.5 Hz, 1H), 4.13 (m, 2H), 3.85 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.74 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.41 (m, 1H), 3.47 (m, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.75 (s, 1H), 2.56 (m, 2H), 2.52−2.23 (m, 3H), 1.78 (s, 3H), 0.95 (d, J = 6.7 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 136.24 (q, C−F = 3.0 Hz), 135.50, 134.42, 130.43, 130.42, 130.3 (q, C−F = 22.8 Hz), 124.17 (q, C−F = 274.8 Hz), 84.14, 77.28, 67.60, 64.80, 56.61, 32.20, 30.24, 29.83, 22.39, 12.81; 19F NMR (CDCl, MHz): δ −59.9; HRMS (ESI) 計算値 [C1725+ Na]: 357.1653, 実測値: 357.1658。
酸36(10mg,25 %), [α]20D 99.67 (c 0.4, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 19F NMR (CDCl, MHz): δ HRMS (ESI) 計算値 [C1927+ Na]: 415.1708, 実測値: 415.1691。
実施例10
TBS−エーテル37: NaH(46mg,1.2mmol,鉱油中60%懸濁物)を、無水THF(3mL)中に懸濁させ、この混合物を0℃へと冷却した。THF(2mL)中のシス−2,3−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール(154mg,0.73mmol)を添加し、この溶液を、0℃において10分間にわたって攪拌した。アイスバスを外し、室温において1時間にわたって攪拌を続け、その後、0℃へと冷却した。THF(3mL)中の臭化アリル13(170mg,0.45mmol)の溶液を滴下し、続いて、TBAI(2mg)を添加し、15分後に、アイスバスを外した。室温において一晩攪拌を続けた。この反応を飽和NHCl水溶液でクエンチした。その有機層を分離し、その水層をEtOで抽出した(3×)。合わせた有機層(合わせた有機抽出物)を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl−ヘキサン,3:1〜1:1)によって精製して、エーテル37(150mg,74%)を無色油状物として得た。[α]20D −1.78 (c 1.0 , CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.61 (m, 1H), 5.38−5.23 (m, 4H), 5.09 (m, 1H), 3.96 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.87−3.81 (m, 3H), 3.44−3.35 (m, 2H), 3.20 (s, 3H), 2.61 (m, 1H), 2.06 (m, 4H), 1.74 (s, 3H), 1.73 (s, 3H), 1.68 (s, 3H), 1.60 (s, 3H), 0.90 (s+d, 12H), 0.05, 0.02; 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 140.4, 135.6, 134.3, 132.1, 130.9, 124.1, 123.3, 118.7, 86.4, 78.8, 68.8, 66.2, 56.3, 34.2, 32.5, 26.9, 26.4, 25.9, 23.7, 21.7, 18.8, 17.9, 14.3, −3.6, −4.6。
TBS−マクロエーテル38: 還流しているトルエン(660mL)に、トルエン(10mL)中のエーテル37(150mg,0.32mmol)の溶液およびトルエン(10mL)中のGrubbs−II触媒(70mg,20mol%)の溶液を添加した。15分間にわたって攪拌した後、DMSO(0.1ml)を添加し、この反応系を室温へと冷却し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン,1:20)によるこの粗製生成物の精製から、マクロエーテル(36mg,28%)を無色油状物として得た。H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.70 (m, 1H), 5.69−5.52 (m, 2H), 5.37 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 3.95−3.90 (m, 3H), 3.72 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.44 (m, 1H), 3.38 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 2.64 (m, 1H), 2.32−2.26 (m, 3H), 2.19 (m, 1H), 1.75 (s, 3H), 1.72 (s, 3H), 0.90 (s, 9H), 0.87 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.05 (s, 3H), 0.02 (s, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 139.7, 134.7, 132.6, 130.4, 129.1, 123.6, 84.4, 78.6, 68.8, 65.8, 56.7, 34.4, 31.1, 28.7, 26.3, 22.6, 22.5, 18.7, 15.4, −3.7, −4.7; MS (ESI) 計算値 [C2342Si+ Na]: 417.28, 実測値: 417.2。
マクロエーテル39。 室温においてTHF(5mL)中のTBS−マクロエーテル(36mg,0.09mmol)の溶液に、HF・ピリジン(1.5mL)を添加した。24時間にわたって攪拌した後、この反応混合物を飽和NaHCO(50mL)で注意深く処理し、EtOで希釈した。その有機層を分離し、その水層をEtOで抽出した(3×)。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 10:1〜4:1)によって精製して、マクロエーテル39(17mg,67%)を得た。[α]20D (c, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.73 (m, 1H), 5.76 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 5.46 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 5.38 (dd, J = 6.7, 15.8 Hz, 1H), 3.99 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 3.86 (m, 2H), 3.67 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 3.40 (m, 2H), 3.29 (s, 3H), 2.80 (br, 1H), 2.66 (m, 1H), 2.31−2.19 (m, 4H), 1.76 (s, 3H), 1.75 (s, 3H), 0.91(d, J = 13.6 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 139.3, 135.0, 134.2, 130.9, 129.1, 123.7, 83.1, 76.7, 69.1, 66.0, 56.4, 32.6, 31.7, 28.6, 22.8, 22.6, 14.0; HRMS (ESI) 計算値 [C1728+ Na]: 303.1936, 実測値: 303.1940。
化合物39aを、化合物36を調製する実施例9における手順に従って作製した。H NMR (CDCl, 500 MHz): δ HRMS (ESI) 5.83 (m, 1H), 5.52−5.43 (m, 2H), 5.29 (d, J= 10.0 Hz, 1H), 4.37 (d, J= 17.3 Hz, 1H), 4.02 (d, J= 17.3 Hz, 1H), 3.95 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.87 (t, J = 10.7 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 7.4, 7.7 Hz, 1H), 3.64 (m, 2H), 3.37 (s, 3H), 3.28 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 2.80 (m, 1H), 2.39−2.17 (m, 4H), 1.75 (s, 3H), 1.65 (s, 3H), 0.89 (d, J = 9.5 Hz, 3H); 計算値 [C1930+ Na]: 361.1991, 実測値: 361.2002。
実施例11
TBS−エーテル40: NaH(42mg,1.0mmol,鉱油中60%懸濁物)を無水THF(3mL)中に懸濁させ、この混合物を0℃へと冷却した。THF(2mL)中のゲラニオール(131mg,0.85mmol)を添加し、この溶液を、0℃において10分間にわたって攪拌した。アイスバスを外し、室温において1時間にわたって攪拌を続け、その後、0℃へと冷却した。THF(3mL)中の臭化アリル13(200mg,0.53mmol)の溶液を滴下し、続いて、TBAI(2mg)を添加し、15分後、アイスバスを外した。室温において一晩攪拌を続けた。この反応を、飽和NHCl水溶液でクエンチした。その有機層を分離し、その水層をEtOで抽出した(3×)。合わせた有機層(合わせた有機抽出物)を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl−ヘキサン,3:1〜1:1)によって精製して、エーテル40(138mg,58%)を無色油状物として得た。[α]20D 3.54 (c 1.0 , CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.61 (m, 1H), 5.39−5.23 (m, 4H), 5.09 (m, 1H), 3.97 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.89−3.82 (m, 3H), 3.45−3.35 (m, 2H), 3.20 (s, 3H), 2.61 (m, 1H), 2.10 (m, 2H), 2.02 (m, 2H), 1.74 (s, 3H), 1.68 (s, 3H), 1.65 (s, 3H), 1.60 (s, 3H), 0.90 (s+d, 12H), 0.05, 0.02; 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 140.4, 135.6, 134.3, 131.9, 130.9, 124.3, 121.2, 118.8, 86.4, 78.8, 68.8, 66.4, 56.3, 39.8, 34.2, 26.6, 26.4, 25.9, 21.7, 18.8, 17.9, 16.7, 14.3, −3.6, −4.6。
化合物41を、化合物39を調製する実施例10における手順に従って作製した(ここで閉環メタセシス生成物を、化合物38に類似の様式においてさらに脱シリル化した。[α]20D 161.9 (c 1.9, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.64 (m, 1H), 5.54 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.26 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 5.16 (dd, J = 8.2, 8.3 Hz, 1H), 3.99 (m, 2H), 3.86 (d, J = 9.5Hz, 1H), 3.62 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.39 (t, J= 8.9 Hz, 1H), 3.29 (s+m, 4H), 2.74 (s, 1H), 2.63 (m, 1H), 2.34−2.28 (m, 3H), 2.15 (m, 1H), 1.76 (s, 3H), 1.66 (s, 3H), 0.92 (d, J = 6.8 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 139.3, 135.9, 134.9, 131.2, 128.8, 122.6, 84.3, 77.4, 66.3, 65.2, 56.5, 37.8, 31.9, 29.4, 22.6, 16.5, 12.8; HRMS (ESI) 計測値 [C1728 + Na]: 303.1936, 実測値: 303.1935。
化合物41aを、化合物36を調製する実施例9における手順に従って作製した。[α]20D 138.16 (c 0.8, CHCl);H NMR (CDCl, 500 MHz): δ 5.75 (m, 1H), 5.32 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.22 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 5.18 (dd, J = 8.5, 8.1 Hz, 1H), 4.38 (d, J = 17.3 Hz, 1H), 3.97 (m, 2H), 3.85 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.64 (t, J= 8.9 Hz, 1H), 3.53 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 3.37 (s, 3H), 3.13 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 2.73 (m, 1H), 2.36−2.29 (m, 3H), 2.18 (m, 1H), 1.78 (s, 3H), 1.67 (s, 3H), 0.92 (d, J = 6.8 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl, 125 MHz): δ 172.7, 139.8, 136.8, 133.3, 133.1, 126.9, 122.3, 89.9, 83.4, 71.4, 66.5, 65.5, 56.2, 37.2, 33.0, 29.1, 22.8, 16.6, 12.9; HRMS (ESI) 計測値 [C1930 + Na]: 361.1991, 実測値: 361.2000。
(参考文献)
1. Aubert, C.; Begue, J. P.; Charpentier−Morize, M.; Nee, G.; Langlois, B.. General method of preparation of trifluoromethyl ketones. Part I. Direct alkylation of ethyl trifluoroacetylacetate. Journal of Fluorine Chemistry (1989), 44(3), 361−76.
2. Aubert, C.; Begue, J. P.; Charpentier−Morize, M.; Nee, G.; Langlois, B. General method of preparation of trifluoromethyl ketones. Part II. Indirect alkylation of ethyl trifluoroacetylacetate. Journal of Fluorine Chemistry (1989), 44(3), 377−94.
(実施例12)
MDA231BrM2aは、脳に転移するヒト乳がん細胞系である(Bosら、2009年)。これら細胞は、生体発光によって、および抗GFP抗体での免疫蛍光によって、検出を可能にする三重融合タンパク質(チミジンキナーゼ−GFP−ルシフェラーゼ)を安定して発現する。細胞(5×10細胞)を、心内注射によって免疫不全マウスの血流に接種した。カルボキシメチル−ミグラエーテル(cME)を、注射後0日目、3日目および5日目に投与した(20mg/kg,腹腔内)。接種後7日間で、マウスを屠殺した。これらマウスの脳を連続切片にした(80μm切片)。抗GFP免疫蛍光を行い、脳あたりのGFP(+)細胞(事象)の数を定量した(図1)。結果は、血液脳関門(BBB)を横切るこれらがん細胞の管外遊出が、接種後最初の7日間の間に生じることを立証する。従って、図1の実験において、cMEは、管外遊出工程の間に細胞を標的とする。脳あたりの事象の数における2倍の低下は、cME処置動物に観察された(図1)。結果は、cMEの細胞標的が、上記BBBを横断するがん細胞移動を媒介することを示す。
上記BBBを横切る管外遊出後、がん細胞は、脳毛細管の表面に付着し、その表面上を移動する。本開示の前に、cMEへのBBBの透過性は未知であった。毛細管を超えてcMEががん細胞移動を阻害する能力を調査するために、上記細胞が一旦脳に浸潤したら、本発明者らは、エキソビボ脳内移動アッセイを使用した。未処置マウスの脳スライスを、器官型培養(organotypic cultures)に配置した。各スライスを、細胞培養培地を覆う不活性多孔性(inertporous)膜の上に置いた。MDA231BrM2a細胞(3×10細胞)を、脳スライスの上に置いた(図2,上)。3日後、上記がん細胞は、脳組織塊に浸潤し、毛細管に向かって移動し(図2中のCol.IV)、組織スライスの毛細管ネットワークに移動した(図2,下)。1μMもしくは10μM cMEを添加したところ、これら移動プロセスを強く阻害した。cMEの存在下、上記がん細胞は、血管ネットワークに向かい、そこを超えて移動することなく、丸く上記脳スライスの表面に残ったままであった(図2,右下)。
この驚くべき発見は、cMEが、ヒト転移性乳がん細胞が循環からBBBを横断して進入し、その後、脳の毛細血管の反内腔側に向かってかつそこに沿って移動することを可能にする移動プロセスの強力なインヒビターであることを示す。
実施例13
この実施例は、創傷治癒アッセイにおけるインビトロがん細胞移動を阻害する能力、およびトランスウェル移動アッセイにおける化学走性を評価することによって、新たなミグラスタチンアナログの抗転移特性を評価する。図3に示されるように、100μMのミグラスタチンエーテル(ME)およびカルボキシ−メチルミグラスタチンエーテル(CME)は、ひっかき傷に応じたヒト非小細胞肺がん(NSCLC)A549細胞の移動をほぼ完全にブロックした。μM未満の濃度において、CME化合物はなお、かなり有効であった(32%の移動阻害)。類似の結果が、ヒト肺がん細胞系の一団(H1975、H647、H522、H1703(データは示さず))で得られた。
移動アッセイ: がん細胞化学走性を、24ウェルコンパニオンプレート(Becton Dickinson)の各ウェルに設置した細胞培養挿入物(6.4mm直径,8μm孔のポリエチレンテレフタレート膜,[Becton Dickenson])からなる改変Boydenチャンバでの血清勾配に対して行った。簡潔には、がん細胞を、コンフルエント未満の単層培養物として増殖させ、次いで、36時間にわたって無血清M5培地中で飢餓状態にした。5mM EDTAでの剥離および分離の後、単一細胞懸濁物を、35μmメッシュセルストレーナー(Becton Dickinson)を通す濾過によって調製した。細胞を計数し、無血清培地中に懸濁させた合計10細胞を、挿入物の上部チャンバに播種し、次いで、10%血清ありもしくはなしの培地を含む24ウェルプレートに配置した。使用される場合、薬物もしくはDMSO(ビヒクル)を、両方のチャンバ中に0.2%で上記培地に添加した。移動アッセイを、37℃において5%COを含む加湿インキュベーター中に、12時間にわたって行った。次いで、細胞を3.7%ホルムアルデヒドで固定し、氷冷メタノールで透過性にし、0.2%クリスタルバイオレット溶液で染色した。この挿入物の上側にある非移動性細胞を、綿棒で除去した。定量のために、上記挿入物の下側で3つの無作為に選択した視野を、コンピューター支援顕微鏡を使用して4×および20×倍率で撮影し、CellProfiler2.0細胞画像分析ソフトウェアで分析した。上記試験条件に応じた移動を、DMSOビヒクルコントロールに対して計算した。
図3に示される結果に関しては、A549がん細胞を、ほぼコンフルエントな単層培養物として増殖させ、次いで、0.5%FCSを含む培地中で一晩飢餓状態にした。次いで、細胞単層をピペットの先端を使用してひっかき、撮影し、2%FCSありもしくはなしで、10−3〜10−8MまでのMEおよびCMEの6対数スケールの濃度範囲でインキュベートした。12時間後、領域を固定し、染色し、コンピューター支援顕微鏡を使用して撮影した。顕微鏡写真(4×倍率)を提示する。これは、血清の非存在下(移動なし)、血清の存在下(移動)、および血清+100μMもしくは100nMのCMEもしくはMEの存在下、この掻き傷を横切るこのA549がん細胞移動を示す。
創傷治癒アッセイ: がん細胞移動を、12ウェルプレート(Becton Dickinson)において行われる「インビトロ創傷治癒アッセイ」(もしくは掻き傷アッセイ(scratch assay))を使用して測定した。簡潔には、がん細胞を、密度5〜10×10細胞/ウェルで播種し、10%血清補充M5培地中でコンフルエントに近い単層へと増殖させ、次いで、低血清培地(0.5%FCS)中で一晩飢餓状態にした。垂直方向の創傷(Perpendicular wounds)を、滅菌200μLピペットチップを使用して、細胞単層を貫通して引っ掻いた。次いで、この細胞を、PBSを使用して非常に穏やかに2回洗浄し、上記引っ掻いた領域を、コンピューター支援顕微鏡を使用して、4×倍率および20×倍率において撮影した。PBSを除去し、2%FCSありもしくはなしの2mLの培地(この培地は、0.2%(v/v)で薬物もしくはDMSO(ビヒクルコントロール)を含む)で置換した。37℃において5%COを含む加湿インキュベーター中で12〜24時間後、細胞を3.7%ホルムアルデヒドで固定し、氷冷メタノールで透過性にし、0.2%クリスタルバイオレット溶液で染色した。各ウェルを4×倍率および20×倍率にて撮影し、写真を以前に記載されるように(Carpenter AE, Jones TR, Lamprecht MR, Clarke C, Kang IH et al. (2006), Genome Biology 7(10):R100)、CellProfiler2.0細胞画像分析ソフトウェアで分析した。この試験条件に応じた移動を、元の細胞なしゾーンの細胞適用範囲として計算し、DMSOビヒクルコントロールに関連させた。
実施例14
この実施例は、NSCLC系の一団を評価するために、改変Boydenチャンバ系において血清勾配に応じた化学走性を示す。このアッセイは、用量応答研究が最大半値阻害濃度(IC50)を決定するために行われることを可能にする、再現可能な強いデータを提供した。図4および表1に示されるように、ミグラスタチンコアエーテルアナログは、上記血清勾配に応じた8μm孔挿入物を貫通するヒト肺がん細胞の移動を効率的にブロックした。比較的に、CME化合物は、A549、H1975、およびH299がん細胞に対して、それぞれ、ME化合物(1.5〜8.2μM)より低いIC50値(0.5〜5μM)を示す。なぜなら、本発明者らは、軽度の毒性およびμM濃度範囲において細胞増殖に対する効果に気づいたので、1mM以上でのCMEおよびMEでの実験を、このIC50計算について含めなかった。まとめると、これら結果は、インビトロ移動阻害に関して、細胞傷害性を生じる濃度から2桁低い濃度より低い、非常に感度の高い応答を示した。
図4に示される結果に関して、がん細胞化学走性を、改変Boydenチャンバ中で、血清勾配に向かってもしくは血清勾配の非存在下で、10個のH1975細胞で行った。ME、CMEもしくはDMSO(ビヒクル)を、10対数スケール濃度範囲にわたって添加した。移動アッセイを12時間にわたって行った。次いで、細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した。上記挿入物の上側にいる非移動細胞を、綿棒で除去した。定量のために、上記挿入物の下側にある3つの無作為に選択した視野を、コンピューター支援顕微鏡を使用して、4×倍率および20×倍率にて撮影した。図4は、100μMおよび100nMのMEもしくはCMEでの結果を示す。
表1: ミグラスタチンエーテル(ME)およびカルボキシメチル−ミグラスタチンエーテル(CME)によるトランスウェル肺がん細胞系移動の阻害
肺がん細胞系化学走性を、血清飢餓および漸増する対数スケールの薬物濃度(10−3〜10−10MまでのMEおよびCME)とともに一晩予備インキュベートした後に、細胞培養挿入物において行った。血清勾配に応じたがん細胞移動を、上側および下側のチャンバ(各用量において3ウェル)において、MEもしくはCMEの異なる濃度の存在下での12時間の長さのインキュベーションの後に測定した。次いで、細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色し、撮影した。データは、A549、H1975およびH299肺がん細胞に関するMEおよびCMEの最大半値阻害濃度(IC50(μM単位))を示す。データを、3回の独立した実験の平均±SEMとして表す。各実験を、三連で行った。
細胞および原発性腫瘍: ヒト非小細胞肺がん(NSCLC)細胞系を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Manassas, VA)もしくは国立がん研究所から得た: NCI−A549、NCI−H1975、NCI−H299、NCI−H1993およびNCI−H1373(腺癌)、NCI−H647およびNCI−H1703(肺の扁平上皮がん[SCC])。チミジンキナーゼ/緑色蛍光タンパク質/ルシフェラーゼ三重融合遺伝子で形質導入し、AC3−TGLと名付けたヒト原発性小細胞肺癌(SCLC)細胞は、以前に記載された(Rodina A, Vilenchik M, Moulick K, Aguirre J, Kim J et al. (2007), Nat Chem Biol Aug;3(8):498−507)。全ての肺がん細胞系を、DME:F12(6g/L Hepes、2.2g/L 重炭酸ナトリウムを補充した)からなるM5培地中で増殖させた。原発性SCLC細胞を、RPMI(25mM Hepes、1.5g/L 重炭酸ナトリウムおよび4.5g/L グルコース(Media Preparation Core Facility, MSKCC)を補充した)中で増殖させた。両方の培地に、10%(v/v)ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミンおよび500U/mL ペニシリンおよびストレプトマイシンを補充した。
増殖アッセイ: 150μLの完全培地中、密度5×10細胞/ウェルにおいて平底96ウェルプレートに細胞をプレートした。使用される場合、薬物もしくはDMSO(ビヒクル)を、0.2%においてこの培地に添加した。処置の3日後および6日後、細胞増殖を、CellTiter 96 AQueous Assay試薬(Promega)を製造業者の指示書に従って各ウェルに添加することによって評価する。37℃において2時間インキュベートした後、細胞増殖を、96ウェルプレートリーダーを使用して490nmでの吸光度を測定することによって決定する。
実施例15
この実施例は、上記MEアナログがヒト小細胞肺がん(SCLC)初代異種移植片モデルにおいて腫瘍転移に影響を与えるどうかを研究した。NOD−SCIDマウスにおいて初代のおよびその後のインビボ継代におけるこれら細胞は、肝臓転移を形成した。この腫瘍細胞を、三重融合タンパク質レポーター構築物(AC3−TGL)で安定して形質転換し、NOD/SCID IL2Rγヌル(NSG)マウスへとマトリゲルとともに皮下注射によって移植した。腫瘍細胞の接種の1日前に開始して、ME処置を、5匹のマウスの群において1週間に3回、40mg/kg(ME40)もしくは200mg/kg(ME200)において腹腔内注射によって開始した。コントロールマウスをDMSOビヒクルで処置した。腫瘍負荷および転移性拡散を、連続非侵襲性生体発光画像化によって5日ごとにモニターした。図5aに示されるように、薬物処置は、最初の注射部位において腫瘍増殖動力学に、有意に干渉しなかった。コントロールおよびME40処置群とは対照的に、毒性が最高の投与量(ME200群)で認められ、3匹のマウスは、エンドポイント前に死亡した。しかし、ME処置の45日後に2匹の生き残ったマウスに関しては、体重減少はなく、致死的なもしくは他の明らかな副作用は認められなかった。上記エンドポイントにおいて、潜在的転移部位(肝臓、肺、脾臓、心臓および腎臓、胃腸管)を外科手術により切除し、ルシフェラーゼ活性をエキソビボ生体発光画像化によって定量した(図5b)。コントロールと比較すると、低用量ME(40mg/kg)での処置群は、全体的な転移に関して有意な減少を示す(93%,p値=0.008)(図5c)。さらにより大きな程度の転移阻害(99%)は、高用量ME(200mg/kg)で処置した上記2匹の生き残っているマウスにおいて認められた。種々の器官の除去後のマウスのバイオイメージングは、他の転移部位を示さなかった。これら結果は、MEが、小細胞肺がんの転移の強力なインビボインヒビターであることを示し、類似のアナログ(例えば、式Iの化合物)が類似の活性を有することが予測される。
図5a〜cに示される結果については、AC3−TGL細胞を、NSGマウスへの腹側の皮下注射によって移植した。異種移植片移植したマウスを、示された投与量のMEを腫瘍接種の−1日後から開始して3日ごとに処置した:40mg/kg(ME40,n=5)、200mg/kg(ME200,n=5))およびDMSOビヒクル(コントロール,n=5)。45日目に、このマウスを屠殺した。ME200群における3匹のマウスは、処置の終了前に、23日目、30日目および34日目に死亡した。(A)腫瘍増殖。5日ごとに、この腫瘍負荷を、インビボ生体発光画像化(BI)によってモニターした。データを、光子フラックス(光子のフラックス/秒)±SEMとして対数スケールで表す。(B,C)エンドポイントでの腫瘍転移。45日目に、摘出した肺(Lu)、肝臓(Li)、心臓(H)、腎臓(K)および脾臓(S)においてルシフェラーゼ活性を定量するエキソビボBIによって、転移についてマウスを分析した。各マウスの測定値を、1群あたりの平均(短い線)とともにパネルBに示し(丸)、光子フラックス(光子のフラックス/秒)として対数スケールで表す。P値を、両側マン−ホイットニーU検定を使用して得た。各群の1匹のマウスの器官に対して測定した生体発光シグナルの写真を、パネルCに示す。各写真を同じ設定で示す(4分間露出;光子シグナル;5.E6(最小)〜1.E8(最大)までのカラースケール)。
実施例15の異種移植片モデル: ヒト初代SCLC異種移植片モデルを、10〜14週齢の雄性非肥満糖尿病性重症複合免疫不全(NOD/SCID)インターロイキン−2γ鎖レセプターヌルマウス(NSG)において開発した。初代腫瘍サンプルを、患者インフォームド・コンセントの後に得た。塊として増殖しているAC3−TGL初代細胞を、トリプシン/コラゲナーゼIV(Invitrogen)連続処理によって単一細胞懸濁物へと処理し、上記のように濾過した。異種移植を、マトリゲル(Becton Dickinson)と混合した無血清培地中において10個のAC3−TGL細胞の腹側の皮下注射によって行った。腫瘍細胞注射の1日前に、マウスを、マウス1匹あたり40mg/kgもしくは200mg/kgのいずれかの用量のミグラスタチンエーテル(ME)化合物で、またはDMSOビヒクルコントロールで予備処理した(n≧5匹のマウス/群)。薬物処置を、細胞注射後−1日目から45日目まで飢餓状態にして、3日ごとに腹腔内注射によって送達した。この時間の間、この腫瘍負荷および転移性拡散を、5日ごとに生体発光画像化(BLI)によって,モニターした。45日目(エンドポイント)に、このマウスを殺傷し、腫瘍細胞の、肺、肝臓、心臓、腎臓、脾臓およびGI管への転移性拡散を、取り出された器官に対するエキソビボBLIによって評価した。
実施例16
トランスウェル細胞移動アッセイ
MDA231−LM2肺転移性乳がん細胞を、示された濃度のMEもしくはカルボキシメチル−MEで、24時間にわたって予備処理した。予備処理の後に、3μm孔サイズフィルタを備えたBoydenチャンバを使用して、移動を決定した。細胞を、5時間にわたってこのチャンバを通って移動させた(MEもしくはカルボキシメチル−MEの存在下で)。多孔性膜を横断した細胞を分析し、蛍光顕微鏡下でスコア付けした。CM−MEは、乳がん細胞の限定的移動を阻害するときに、MEより約20倍強力である。結果を、光学視野1つあたりの移動細胞として表す。データは、三連の平均±S.D.である(図6を参照のこと)。
実施例17
ヒトSCLC異種移植片モデルにおけるME(19)およびCME(25)の抗転移活性の評価。 NOD/SCIDマウスにおける初代およびその後のインビボ継代でのこれら細胞は、肝臓転移を形成する傾向にある。この腫瘍細胞を、三重融合タンパク質レポーター構築物(AC3−TGL)で安定して形質導入し、次いで、NOD/SCID IL2Rγヌル(NSG)マウスへとマトリゲルと一緒に皮下注射によって移植した。
腫瘍細胞の接種の1日前に開始して、マウスの群を、10mg/kg、40mg/kg、もしくは200mg/kgの用量のMEで、または12mg/kgもしくは49mg/kgのCMEで処理した(注意:投与量レベルを、分子量の差異を斟酌して調節した: 1mg ME=1.2mg CME)。コントロールマウスを、DMSOビヒクルで処置した。上記化合物を、細胞注射後−1日目から55日目まで3日ごとにi.p.注射によって投与した(n≧5匹のマウス/群)。この時間の間に、腫瘍負荷および転移性拡散を、連続非侵襲性生体発光画像化(BLI)によって、14日目、23日目、30日目、40日目、および50日目にモニターした。55日目に、このマウスを屠殺し、腫瘍細胞の肺、肝臓、心臓、腎臓および脾臓への転移性拡散を、取り出した器官でのエキソビボBLIによって評価した。
MEおよびCMEでの処置は、最初の注射部位において腫瘍増殖動力学に有意に影響を及ぼさなかった。このME処置コホートにおいて、いくらかの毒性が認められ、研究エンドポイント前に、200mg/kg群において3匹のマウスの死亡および10mg/kg群および40mg/kg群において各々2匹のマウスの死亡を生じた。対照的に、CME処置マウスのいずれかのコホートにおいては毒性が認められなかった。
表2: ME/CME処置による全体的な転移の阻害因子
阻害因子(IF)は、エキソビボ生体発光画像化によって、切除した器官(肝臓、肺、脾臓、心臓および腎臓)におけるルシフェラーゼ活性の定量後に計算された(上記コントロールに対して報告した)、上記エンドポイントにおける全体的な転移の低下%を表す。
この研究エンドポイントにおいて、潜在的な転移部位(肝臓、肺、脾臓、心臓、および腎臓)を、外科的に切除し、エキソビボBLIによってルシフェラーゼ活性を定量した。このコントロール群と比較して、10mg/kgもしくは40mg/kgのMEで処置したマウスは、それぞれ、96.2%(p値=0.0095)および99.1%(p値=0.0043)の計算された阻害因子で、全体的な転移の、有意に低下したレベルを示した(図7aおよび表2)。転移阻害のさらに大きな程度(99.8%)が、高用量ME(200mg/kg)で処置した上記2匹の生き残っているマウスにおいて認められた。この種々の器官の除去後のマウスのバイオイメージングは、他の転移部位を示さなかった。
上記CMEアナログは、インビボ腫瘍転移を阻害するにあたって、この親化合物であるMEより有意に強力であることが分かった。従って、図7aに示されるように、低用量CME(12mg/kg)での処置は、99.3%転移抑制をもたらし、CMEを、最低投与量レベルにおけるMEより約4倍強力にした。さらに、49mg/kgにおいて、腫瘍転移は99.8%阻害された。これら知見は、インビトロ結果と一致しており、ME足場へのカルボキシメチル官能基の付加が、増強した移動阻害活性を提供するという出願人の仮説を裏付ける。このような活性は、腫瘍転移の処置に有用な化学療法剤に特徴的である。
出願人は、転移のインヒビターである化合物を本明細書において同定した。いかなる特定の理論によっても拘束されることは望まないが、現在のデータは、上記化合物が、原発性腫瘍を攻撃するようではないが、転移をブロックする因子からかなりの臨床的利益が容易に想起され得ることを示す。抗転移因子の適用は、外科手術、化学療法、もしくは放射線療法を介した原発性腫瘍の切除後に特に有用であり得る。
図7a〜bに示される結果について: AC3−TGL細胞を、NSGマウスの腹側への皮下注射によって移植した。異種移植したマウスを、腫瘍細胞の接種1日前から開始して3日ごとに、示された投与量のCMEもしくはMEで処置した: ME 10mg/kg(ME10,n=5)、40mg/kg(ME40,n=5)、200mg/kg(ME200,n=5)、CME 12mg/kg(CME12,n=5)、49mg/kg(CME49,n=5)およびDMSOビヒクル(コントロール,n=6)。55日目に、このマウスを屠殺した。上記ME200群における3匹のマウスは、処置の終了前に死亡した。エンドポイントでの腫瘍転移: 55日目に、切除した肺(Lu)、肝臓(Li)、心臓(H)、腎臓(K)、および脾臓(S)におけるルシフェラーゼ活性を定量するエキソビボBLIによって、転移に関してマウスを分析した。各マウスの測定値を、群あたりの平均(短い線)とともに図7a(丸)に示し、対数スケールにおいて光子フラックス(光子のフラックス/秒)として表す。両側マン−ホイットニーU検定を使用して、P値を得た。各群の1匹のマウスに由来する器官で測定した生体発光シグナルの写真を、図7bに示す。各写真は、同じ状況(4分露出、光子シグナル、3.10(最小)から5.10(最大)までのカラースケール)で示す。
実施例17の異種移植片モデル: ヒト原発性SCLC異種移植片モデルを、10〜14週齢の雄性NSGマウスにおいて開発した。原発性腫瘍サンプルを、MSKCC IRB承認プロトコルの下で、患者インフォームド・コンセントの後に得た。塊として増殖しつつあるAC3−TGL腫瘍細胞を、トリプシン/コラゲナーゼIV(Invitrogen)連続処理によって単一細胞懸濁物へと解離した。異種移植を、マトリゲル(Becton Dickinson)と混合した無血清培地中で500個のAC3−TGL細胞の腹側の皮下注射によって行った。
腫瘍細胞注射の1日前に、マウスを、以下のいずれかで前処置した: (1)マウス1匹あたり10mg/kg、40mg/kgもしくは200mg/kgの用量においてミグラスタチンエーテル(ME);(2)12mg/kgもしくは49mg/kgの用量においてカルボキシメチル−ME(CME);または(3)DMSOビヒクルコントロール(n≧5匹のマウス/群)。薬物処置を、細胞注射後−1日目から開始して55日目まで3日ごとに、腹腔内注射によって送達した。この期間の間、腫瘍負荷および転移性拡散を、14日目、23日目、30日目、40日目、および50日目に生体発光画像化(BLI)によってモニターした。55日目(エンドポイント)に、このマウスを殺傷し、腫瘍細胞の、肺、肝臓、心臓、腎臓、および脾臓への転移性拡散を、外科的に切除した器官でのエキソビボBLIによって評価した。
実施例18
移動アッセイ
多発性骨髄腫細胞化学走性を、96ウェルプレート(HTS Transwell−96 System, Corning)の各ウェルに設置した細胞培養挿入物(4.26mm直径、8μm孔ポリエステル膜)からなる改変Boydenチャンバにおいて、SDF−1αに対して行った。簡潔には、多発性骨髄腫細胞をコンフルエント未満の培養物として増殖させ、次いで、無血清IMDM培地中で24時間にわたって飢餓状態にした。単一細胞懸濁物を、機械的解離によって調製し、次いで、この細胞を計数し、無血清IMDM培地中に懸濁させた合計5.10個の細胞を、上側のチャンバに播種し、次いで、SDF−1α(200ng/mLで)ありもしくはなしの培地を含む96ウェルプレートに置いた。ミグラスタチンアナログによる移動の阻害をアッセイするために、24時間長の飢餓状態にしたMM細胞を、薬物(5μMおよび250μM)もしくはDMSO(ビヒクル)で8時間にわたって予備処理し、次いで、この挿入物に播種した。ミグラスタチンアナログもしくはDMSO(ビヒクル)を、両方のチャンバ中0.5%で上記培地へと添加した。移動アッセイを、37℃、5%COの加湿チャンバ中で6時間にわたって行った。アッセイエンドポイントにおいて、上記挿入物を取り出し、移動しつつある細胞を、ウェル中で計数した。上記試験条件に応じた移動を、上記DMSOビヒクルコントロールに対して計算した。
表3および図8〜10は、選択した細胞系の移動に対する式Iの特定の化合物の効果を示す。別段特定されなければ、先の節におけるものに対応するプロトコルを使用した。
表3. 2つの濃度におけるH929およびCAG多発性骨髄腫細胞の移動に対する化合物42〜45の効果。トランスウェルアッセイを、8mm孔サイズとSDF−1化学誘引物質(200ng/mL)および50000個の細胞/ウェルとを使用して行った。細胞の飢餓時間:24時間、予備処理時間:8時間、および移動時間 6時間。値を、DMSOコントロールに対する移動の%として報告した。
図8は、表3のグラフによる再表示である。
実施例19
多発性骨髄腫および肺がん細胞系に対する化合物42〜45の毒性の決定
化合物42〜45の毒性およびそれらのIC50を、多発性骨髄腫のヒト腫瘍細胞系起源の一団(RPMI8226、MM1S、MM1R、ARP−GL、CAG−GL、OPM2−GL、SKO−007−GL、U266−GL)および肺がん細胞系起源の一団(H299−GL、H522−GL、H647−GL、A549−GL、A549−GL、HI993、H1075−GL、HI373、H17030)に対して決定した。腫瘍細胞を、トリプシン/コラゲナーゼIV処理によって単一細胞懸濁物へと解離し、500個の細胞/ウェルを、10%FCSを含むRPMI培地50μlの中で384マイクロウェルプレートの各ウェルへとアリコートに分けた。化合物42〜45をDMSOに溶解し、RPMI培地+10%FCS中で連続希釈し、腫瘍細胞を含む四連のウェルに添加した(1mM〜1nM)。化合物なしのDMSOの希釈物を、コントロールとして使用した。18時間もしくは2日後に、この培養物に、6μlのalamarBlue(登録商標)(Invitrogen Inc. Grand Island, NY)を添加し、一晩インキュベートした。上記alamarBlue(登録商標)は、代謝活性に基づいて細胞増殖インジケーターを提供する。上記アッセイシステムは、細胞増殖の結果として生じる増殖培地の化学的還元に応じて蛍光を発しかつ色を変化させる酸化−還元インジケーターを組み込む。蛍光強度を、Synergy H1 Microplate Reader(Biotek Inc, Winooski, VT)を使用して測定し、用量−応答曲線を、IC50決定のために確立した。データを表4に示し、これは、化合物42〜45が最小限にしか毒性でなく、非常に高濃度においてのみ毒性である(IC50 300〜795μM)ことを示す。
表4.化合物42〜45への18時間および48時間曝露後に測定した多発性骨髄腫(RPMI8226、MM1S、ARP−GL、CAG−GL、OPM2−GL、SKO−007−GL、U266−GL、MM1R細胞の平均値)および肺がん(H299−GL、H522−GL、H647−GL、A549−GL、H1993、H1075−GL、H1373−GL H1703細胞の平均値)に関するμM単位での予測致死用量(LD50)
実施例20
薬物動態研究
混合性別マウス(B6D2F1)の群を使用した。薬物動態(PK)を、代表的には、CMEのボーラス静脈内注射もしくは腹腔内注射の後、0時間、0.17時間、0.5時間、0.75時間、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間および24時間において得られたヘパリン処理マウス血漿サンプルで行った。サンプルを、HPLC−MS/MS法を使用して分析した。CMEのレベルを決定するために、上記薬物を、サンプル予備処理とともに血漿から最初に単離した。アセトニトリルを使用して、サンプル中のタンパク質を除去した。次いで、均一濃度HPLC−MS/MS法を使用して、いかなる潜在的な干渉からも薬物を分離した。化合物レベルを、複数反応モニタリング(MRM)モードでのMS検出によって測定した。PKデータを、分析のWinNonlinプログラム(ver. 5.3, Pharsight)区画モデルを使用して分析した。
図11は、生理食塩水中2%の1,2−ジミリストイル−rac−グリセロール−3−ドデカエチレングリコール(GDM−12)を有するCME処方物のマウスPKプロフィールを示す。破線は、(A:ip)であり、実線は、(B:iv)である。上記薬物を、静脈内もしくは腹腔内に投与し、投与強度は、20mg/kgであった。
前述は、本発明の特定の非限定的実施形態の説明であった。よって、本明細書で記載される発明の実施形態が、本発明の原理の適用の例示に過ぎないことは理解されるべきである。例示された実施形態の詳細への本明細書での言及は、特許請求の範囲を限定することは意図しない。特許請求の範囲は、それ自体、本発明に必須とみなされる特徴を記載する。
一実施形態において、たとえば、以下の項目が提供される。
(項目1)
式Iの化合物

もしくはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで、
は、水素もしくは必要に応じて置換されたC 1−6 脂肪族であり;
は、酸素保護基、水素、もしくは必要に応じて置換されたC 1−6 脂肪族であり;
およびR は、各々独立して、必要に応じて置換されたC 1−6 脂肪族であり;そして
は、水素もしくは−T−Yであり;
−T−は、必要に応じて置換されたC 1−8 二価飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状の炭化水素鎖であり、ここで1個以上のメチレン単位は、−NR−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)SO −、−SO N(R)−、−O−、−C(O)−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−C(O)O−、−OC(O)N(R)−、−S−、−SO−、もしくは−SO −によって必要に応じてかつ独立して置き換えられ;
各Rは、独立して、−H、またはC 1−20 脂肪族、C 1−20 ヘテロ脂肪族、6〜10員のアリール、5〜12員のヘテロアリール、3〜14員の炭素環、3〜12員の複素環式からなる群より選択される必要に応じて置換された基であり;そして
−Yは、水素もしくはアシルである、
化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目2)
は、1個以上のハロゲンで置換されたC 1−3 脂肪族であるか、またはR は、−T−Yであって、ここで−T−はCH であり、−Yはアシルである、上記項目1に記載の化合物。
(項目3)
は、−CF であるか、またはR は、−T−Yであって、ここで−T−はCH であり、−Yは−CO Hである、上記項目2に記載の化合物。
(項目4)
前記化合物は、式II、式III、もしくは式IVの化合物

である、上記項目1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目5)
前記化合物は、式II−a、式III−a、もしくは式IV−aの化合物

である、上記項目1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目6)
は、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、R は、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は共有結合もしくは−CH −であり、Yは、−CO Rおよび−C(O)N(R) からなる群より選択され、ここでRは、水素もしくはC 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、そして

は、単結合である、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目7)
は、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、R は、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、共有結合もしくは−CH −であり、Yは、−CO Rおよび−C(O)N(R) からなる群から選択され、ここでRは、水素もしくはC 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、そして

は、(Z)−二重結合である、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目8)
は、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、R は、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は共有結合もしくは−CH −であり、Yは、−CO Rおよび−C(O)N(R) からなる群より選択され、ここでRは、水素もしくはC 1−3 脂肪族であり、R は、C 1−3 脂肪族であり、そして

は、(E)−二重結合である、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目9)
は、水素であり、R は、メチルであり、R は、メチルであり、R は、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH −であり、Yは、−CO Rおよび−C(O)N(R) からなる群より選択され、ここでRは、メチルであり、R は、メチルであり、そして

は、単結合である、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目10)
は、水素であり、R は、メチルであり、R は、メチルであり、R は、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH CH O−であり、Yは、水素であり、ここでRは、メチルであり、R は、メチルであり、そして

は、単結合である、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目11)
は、水素であり、R は、メチルであり、R は、メチルであり、R は、−T−Yであって、ここで−T−は、共有結合であり、Yは、−C(O)NHRであり、ここでRは、エチルであり、R は、メチルであり、そして

は、単結合である、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目12)

は、二重結合であり、R は、−CF であり、R 、R およびR は、メチルであり、そしてR は、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、−CH −であり、Yは、−CO Hである、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目13)

は、単結合もしくは二重結合であり、R は、水素もしくはメチルであり、R 、R およびR は、メチルであり、そしてR は、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、−CH −であり、Yは、−CO Hである、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目14)

は、二重結合であり、R は、水素もしくはメチルであり、R 、R およびR は、メチルであり、R は、水素もしくは−T−Yであって、ここで−T−は、−CH −であり、Yは、−CO Hである、上記項目13に記載の化合物。
(項目15)

は、(E)−二重結合であり、R は、水素もしくはメチルであり、そしてR 、R およびR は、メチルであり、R は、水素である、上記項目14に記載の化合物。
(項目16)

は、単結合であり、R は、水素であり、R 、R およびR は、メチルであり、R は、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH −であり、Yは、−CO Hである、上記項目13に記載の化合物。
(項目17)

は、(E)−二重結合であり、R は、水素もしくは−CF であり、R 、R およびR は、メチルであり、そしてR は、水素である、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目18)

は、(Z)−二重結合であり、R は、メチルであり、R 、R およびR は、メチルであり、そしてR は、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH −であり、Yは、−CO Hである、上記項目1または4に記載の化合物。
(項目19)
前記化合物は、以下の

から選択される、上記項目1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
(項目20)
上記項目1〜5または19のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目21)
ある疾患、障害、もしくは状態を処置する方法であって、該方法は、ある疾患、障害、もしくは状態に罹患しているか、またはこれらに罹りやすい被験体に、治療上有効な量の上記項目1〜5または19のいずれかに記載の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目22)
前記疾患、障害、もしくは状態は、がんであるかもしくはがんを含む、上記項目21に記載の方法。
(項目23)
前記治療上有効な量は、がんの転移性拡散を阻害するかもしくは減少させるのに有効な量を含む、上記項目22に記載の方法。
(項目24)
前記がんは、乳がんもしくは肺がんである、上記項目23に記載の方法。
(項目25)
がんを処置する方法であって、該方法は、がんに罹患しているかもしくはがんに罹りやすい被験体に、治療上有効な量の以下の式の化合物

を投与する工程を包含する、方法。
(項目26)
前記治療上有効な量は、がんの転移性拡散を阻害するかもしくは減少させるのに有効な量を含む、上記項目25に記載の方法。
(項目27)
前記がんは、乳がんもしくは肺がんである、上記項目26に記載の方法。
(項目28)
前記がんは、多発性骨髄腫である、上記項目23または26のいずれか1項に記載の方法。

Claims (26)

  1. 式Iの化合物
    もしくはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで、
    は、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されていてもよいC1−6脂肪族であり;
    は、C1−6脂肪族であり;
    およびRは、各々独立して、C1−6脂肪族であり;そして
    は、−T−Yであり;
    −T−は、C1−8二価飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状の炭化水素鎖であり;そして
    −Yは、−CORもしくは−C(O)N(R)であり、ここで各Rは独立して−HまたはC1−20脂肪族である、
    化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  2. は、1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族であるか、またはRは、−T−Yであって、ここで−T−はCHであり、−Yは−CORもしくは−C(O)N(R)である、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  3. は、−CFであるか、またはRは、−T−Yであって、ここで−T−はCHであり、−Yは−COHである、請求項2に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  4. 前記化合物は、式II、式III、もしくは式IVの化合物

    である、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  5. 前記化合物は、式II−a、式III−a、もしくは式IV−aの化合物

    である、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  6. は、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、水素もしくはC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、そして式I中の
    は、単結合である、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  7. は、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群から選択され、ここでRは、水素もしくはC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、そして式I中の
    は、(Z)−二重結合である、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  8. は、水素もしくは1個以上のハロゲンで置換されたC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、水素もしくはC1−3脂肪族であり、Rは、C1−3脂肪族であり、そして式I中の
    は、(E)−二重結合である、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  9. は、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、メチルであり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−CORおよび−C(O)N(R)からなる群より選択され、ここでRは、メチルであり、Rは、メチルであり、そして式I中の
    は、単結合である、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  10. は、水素であり、Rは、メチルであり、Rは、メチルであり、Rは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−C(O)NHRであり、ここでRは、エチルであり、Rは、メチルであり、そして式I中の
    は、単結合である、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  11. 式I中の
    は、二重結合であり、Rは、−CFであり、R、RおよびRは、メチルであり、そしてRは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−COHである、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  12. 式I中の
    は、単結合もしくは二重結合であり、Rは、水素もしくはメチルであり、R、RおよびRは、メチルであり、そしてRは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−COHである、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  13. 式I中の
    は、二重結合である、請求項12に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  14. 式I中の
    は、(E)−二重結合である、請求項13に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  15. 式I中の
    は、単結合であり、そしてRは、水素である、請求項12に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  16. 式I中の
    は、(E)−二重結合であり、Rは、水素もしくは−CFであり、そしてR、RおよびRは、メチルである、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  17. 式I中の
    は、(Z)−二重結合であり、Rは、メチルであり、R、RおよびRは、メチルであり、そしてRは、−T−Yであって、ここで−T−は、−CH−であり、Yは、−COHである、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  18. 前記化合物は、以下の

    から選択される、請求項1に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  19. 以下

    から選択される化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩。
  20. 請求項1〜5、18または19のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  21. ある疾患、障害、もしくは状態に罹患しているか、またはこれらに罹りやすい被験体において、ある疾患、障害、もしくは状態を処置するための、請求項1〜5、18もしくは19のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩またはその薬学的組成物の治療上有効な量を含む組成物。
  22. 前記疾患、障害、もしくは状態は、がんであるかもしくはがんを含む、請求項21に記載の組成物。
  23. 前記治療上有効な量は、がんの転移性拡散を阻害するかもしくは減少させるのに有効な量を含む、請求項22に記載の組成物。
  24. 前記がんは、乳がんもしくは肺がんである、請求項23に記載の組成物。
  25. 前記がんは、多発性骨髄腫である、請求項23に記載の組成物。
  26. 前記組成物は、1種以上の他の所望の治療剤もしくは医療手順と同時に、その前に、もしくはその後に、投与される、請求項23に記載の組成物。
JP2014504053A 2011-04-07 2012-04-06 ミグラスタチンおよびその使用 Expired - Fee Related JP5975581B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161473131P 2011-04-07 2011-04-07
US61/473,131 2011-04-07
US201161508275P 2011-07-15 2011-07-15
US61/508,275 2011-07-15
PCT/US2012/032642 WO2012139074A2 (en) 2011-04-07 2012-04-06 Migrastatins and uses thereof

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016113255A Division JP2016155873A (ja) 2011-04-07 2016-06-07 ミグラスタチンおよびその使用

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2014510157A JP2014510157A (ja) 2014-04-24
JP2014510157A5 JP2014510157A5 (ja) 2015-05-21
JP5975581B2 true JP5975581B2 (ja) 2016-08-23

Family

ID=46969857

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014504053A Expired - Fee Related JP5975581B2 (ja) 2011-04-07 2012-04-06 ミグラスタチンおよびその使用
JP2016113255A Withdrawn JP2016155873A (ja) 2011-04-07 2016-06-07 ミグラスタチンおよびその使用

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016113255A Withdrawn JP2016155873A (ja) 2011-04-07 2016-06-07 ミグラスタチンおよびその使用

Country Status (7)

Country Link
US (2) US9303009B2 (ja)
EP (1) EP2693879B1 (ja)
JP (2) JP5975581B2 (ja)
CN (1) CN103635088B (ja)
AU (1) AU2012239977B9 (ja)
CA (1) CA2832439C (ja)
WO (1) WO2012139074A2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2693879B1 (en) 2011-04-07 2019-01-23 Sloan Kettering Institute For Cancer Research Migrastatins and uses thereof
US10285646B1 (en) * 2018-02-27 2019-05-14 CeriBell, Inc. Connection quality assessment for EEG electrode arrays
JP2021535159A (ja) 2018-08-27 2021-12-16 スピノジェニックス, インコーポレイテッド スパイン形成のためのファシン結合化合物

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070037783A1 (en) 2003-03-28 2007-02-15 Xin-Yun Huang Migrastatin analogs and uses thereof
EP1613603A2 (en) 2003-03-28 2006-01-11 Sloan-Kettering Institute For Cancer Research Migrastatin analogs and uses thereof
WO2005019181A1 (en) 2003-08-19 2005-03-03 Cornell Research Foundation, Inc. Migrastatin analog cell migration inhibitors
JP5149001B2 (ja) * 2004-05-25 2013-02-20 スローン−ケッタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ 癌の処置におけるマイグラスタチンアナログ
WO2006034478A2 (en) * 2004-09-23 2006-03-30 Sloan-Kettering Institute For Cancer Research Isomigrastatin analogs in the treatment of cancer
JP2011506274A (ja) 2007-11-21 2011-03-03 コーネル・ユニバーシティー ファスチンを阻害するための方法
EP2693879B1 (en) 2011-04-07 2019-01-23 Sloan Kettering Institute For Cancer Research Migrastatins and uses thereof

Also Published As

Publication number Publication date
CN103635088B (zh) 2016-06-15
AU2012239977A1 (en) 2013-10-31
US9546146B2 (en) 2017-01-17
CA2832439A1 (en) 2012-10-11
AU2012239977B2 (en) 2016-10-20
JP2014510157A (ja) 2014-04-24
EP2693879B1 (en) 2019-01-23
US20160221984A1 (en) 2016-08-04
CN103635088A (zh) 2014-03-12
WO2012139074A3 (en) 2012-12-13
AU2012239977B9 (en) 2016-11-17
US20140024705A1 (en) 2014-01-23
JP2016155873A (ja) 2016-09-01
EP2693879A4 (en) 2014-10-08
CA2832439C (en) 2017-08-29
EP2693879A2 (en) 2014-02-12
US9303009B2 (en) 2016-04-05
WO2012139074A2 (en) 2012-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11969425B2 (en) Inhibitor of indoleamine-2,3-dioxygenase (IDO)
US10202400B2 (en) Cortistatin analogues and syntheses thereof
US20160168154A1 (en) Inhibitors of transcription factors and uses thereof
US20090221568A1 (en) Synthesis of Inhibitors of FtsZ
US20060287520A1 (en) Synthesis of salinosporamide A and analogues thereof
US10647683B2 (en) Hsp70 modulators and methods for making and using the same
JP2014510065A (ja) 治療薬としての新規な小分子
US9546146B2 (en) Migrastatins and uses thereof
US8530456B2 (en) Sonic hedgehog modulators
US11919886B2 (en) 4,9-dioxo-4,9-dihydronaphtho[2,3-B]furan-3-carboxamide derivatives and uses thereof for treating proliferative diseases and infectious diseases
US20120094939A1 (en) Anti-viral compounds, compositions and methods
WO2014085791A2 (en) Compositions and uses thereof for treating multiple myeloma

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150402

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151008

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160607

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20160614

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160714

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5975581

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees