JP5971306B2 - 中空体殺菌装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ボトルやそのプリフォームの内面を殺菌する中空体殺菌装置に関する。
従来、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチックで出来たボトルに内容液を充填する際、あらかじめボトル内に熱水等の殺菌用加熱水あるいは殺菌用薬液を噴射してボトル内を殺菌している。
熱水をボトル内に噴射する方法としては、ボトルを逆様にしてその下向きになった口部から筒状ノズルを挿入し、ノズルの先端から熱水をボトル内に噴射させることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
また、逆様にしたボトル内に口部から二重管ノズルを挿入し、このノズルの内筒から熱水をボトル内に噴射し、外筒から加圧エアをボトル内に噴射することも行われている。熱水によりボトルが熱収縮を来さないように、加圧エアでボトル内を陽圧に保ちながら殺菌を行おうというものである(例えば、特許文献2参照。)。
特開平9−124010号公報 国際公開WO2007/015586号公報
上記前者の筒状ノズルをボトル内に挿入してボトル内を殺菌する方法は、ボトルが例えばブロー成形によるものである場合は、熱水がボトル胴部に接触して温度降下した状態でボトルの口部に接触するので、口部の殺菌が不十分になるおそれがある。ブロー成形ボトルの口部は胴部よりも厚肉であり、昇温し難いためである。
口部をも十分に殺菌するには、できるだけ高温の熱水を供給すればよいのであるが、熱水が高温に過ぎるとボトルの薄肉の胴部が熱収縮により変形するおそれがある。特にボトルがPET等の非耐熱性プラスチックで出来ている場合は変形する可能性が高い。
また、比較的低温の熱水を長時間供給することも考えられるが、その場合は瓶詰製品の生産性が低下してしまう。
後者の二重管ノズルを用いる方法では、加圧エアの噴射によってボトル壁への熱水の接触が妨げられ、殺菌が不十分になるおそれがある。そのためには時間をかけて殺菌すればよいのであるが、その場合は生産性が低下するという問題がある。また、熱水と加圧エアとを用意しなければならないので、瓶詰製品の生産コストが高くなるという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
なお、本発明を理解しやすくするために参照符号をカッコつきで付するが、これにより本発明が限定されるものではない。
すなわち、請求項1に係る発明は、内外二重の噴射筒(6,7)を有し、内側噴射筒(6)はその吐出口(6a)が中空体(1)の口部(4)から中空体(1)内に入り込んで殺菌用加熱水(a)を中空体(1)内に吐出し得るように形成され、外側噴射筒(7)はその吐出口(7a)が上記口部(4)内に止まって殺菌用薬液(b)を上記口部(4)内に吐出し得るように形成され、上記外側噴射筒(7)の吐出口(7a)の前方には、上記外側噴射筒(7)の吐出口(7a)から吐出される殺菌用薬液(b)を上記口部(4)内で反転させる反転部(9)が設けられ、この反転部(9)で反転した殺菌用薬液(b)と上記中空体(1)内に吐出された殺菌用加熱水(a)との合流したものを上記口部(4)の内面と上記外側噴射筒(7)との間から中空体(1)外へ流出させるようにし、上記内側噴射筒(6)から殺菌用加熱水(a)を噴射した後、上記内側噴射筒(6)から無菌エアを中空体内に噴射可能にした中空体殺菌装置を採用する。
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の中空体殺菌装置において、上記反転部(9)を上記内側噴射筒(6)に取り付けられた鍔状突起とすることができる。
すなわち、請求項1に係る発明は、内外二重の噴射筒(6,7)を有し、内側噴射筒(6)は中心の空洞が殺菌用加熱水(a)の流路となる第一の流路が形成された細長い円筒体として形成されると共にその吐出口(6a)が中空体(1)の口部(4)から中空体(1)内に入り込んで殺菌用加熱水(a)を中空体(1)内に吐出し得るように形成され、外側噴射筒(7)は前記内側噴射筒(6)をその外周から囲んで前記内側噴射筒(6)との間に殺菌用薬液(b)の流路となると共に、前記第一の流路と連続しない第二の流路が形成された円筒体として形成され、その吐出口(7a)が上記口部(4)内に止まって殺菌用薬液(b)を上記口部(4)内に吐出し得るように形成され、上記外側噴射筒(7)の吐出口(7a)の前方には、上記外側噴射筒(7)の吐出口(7a)から吐出される殺菌用薬液(b)を上記口部(4)内で反転させる反転部(9)が設けられ、この反転部(9)で反転した殺菌用薬液(b)と上記中空体(1)内に吐出された殺菌用加熱水(a)との合流したものを上記口部(4)の内面と上記外側噴射筒(7)との間から中空体(1)外へ流出させるようにし、上記内側噴射筒(6)から殺菌用加熱水(a)を噴射した後、上記内側噴射筒(6)から無菌エアを中空体内に噴射可能にした中空体殺菌装置を採用する。
また、本発明において、上記内側噴射筒(6)から殺菌用加熱水を噴射した後、内側噴射筒(6)から無菌エアを中空体内に噴射するようにしたので、容器内から殺菌用加熱水及び殺菌用薬液を速やかに中空体外に排出することが可能になり、殺菌工程の時間を短縮することができる。
本発明に係る中空体殺菌装置により殺菌中のボトルを示す正面図である。 図1中、要部の拡大断面図である。
以下に本発明を実施するための形態について説明する。
図1中、符号1は殺菌対象の中空体であるボトルを示し、符号2は中空体殺菌装置を示す。
ボトル1はプラスチック製ボトルであり、この実施の形態ではPET製である。もちろん、ボトル1はPETに限らずポリプロピレン、ポリエチレン等他のプラスチックを用いて作ったものであってもよい。
ボトル1は、加熱したプリフォーム(図示せず)をブロー成形することによって得られる。成形後のボトル1は、飲料等の内容物を収納するための比較的薄肉の胴部3と内容物を胴部3に対し出し入れするための比較的厚肉の口部4とを具備する。
厚肉の口部4には、図示しないキャップの雌ネジと螺合する雄ネジ4aや、ボトル1を保持して搬送する際にグリッパ5で把持するサポートリング4bが形成される。
中空体殺菌装置2は、図1及び図2に示すように、内外二重の噴射筒6,7を有する。この中空体殺菌装置2は、倒立状態になった上記ボトル1にその口部4から侵入可能であり、中空体殺菌装置2の外周面と口部4の内周面との間に殺菌用加熱水a及び殺菌用薬液bの流出路8が形成される程度の大きさに構成される。
内側噴射筒6は、細長い円筒体として形成され、その中心の空洞が殺菌用加熱水aの流路である第一の流路とされる。内側噴射筒6がボトル1の口部4からボトル1内に入り込んだ際、その先端の開口が殺菌用加熱水aをボトル1内に噴射する吐出口6aとなる。
内側噴射筒6から噴射された殺菌用加熱水aは、ボトル1の胴部3の内面に接触し、胴部3の内面を加熱して殺菌する。そして、殺菌用加熱水aはボトル1の胴部3に熱を奪われつつボトル1の口部4へと流れ落ちる。
外側噴射筒7は、内側噴射筒6をその外周から囲む円筒体として形成され、内側噴射筒6との間に形成される環状の隙間が殺菌用薬液bの流路である第二の流路とされる。外側噴射筒7がボトル1の口部4内に入り込んだ際、その先端の環状の開口が殺菌用薬液bをボトル1の口部4内に噴射する吐出口7aとなる。
殺菌用薬液bとしては、過酢酸、過酸化水素、アルカリ、オゾン水、次亜塩素酸水、酸性水等の溶液が用いられる。
外側噴射筒7の吐出口7aの前方には、外側噴射筒7の吐出口7aから吐出される殺菌用薬液bをボトル1の口部4内で反転させる反転部9が設けられる。
反転部9は、例えば鍔状突起として形成され、内側噴射筒6の外面に固定される。鍔状突起はボトル1の内面との間にボトル1の胴部3側から流下する殺菌用加熱水aの通路10が形成されるように設けられる。
ボトル1の口部4内で外側噴射筒7から吐出された殺菌用薬液bは、反転部9に衝突して口部4の開口の方に反転する。そして、この反転部9で反転した殺菌用薬液bと上記内側噴射筒6からボトル1内に吐出された殺菌用加熱水aとが合流したものが、ボトル1の口部4の内周面と外側噴射筒7の外周面との間の流出路8からボトル1外へ流出する。
反転部9で反転した殺菌用薬液bは、外側噴射筒7の吐出口7aから噴出した後直ちにボトル1の口部4の内周面に接触し、口部4の内周面を殺菌する。そして、殺菌用薬液bは、胴部3側から流下する殺菌用加熱水aと共にボトル1の口部4からボトル1外へと流出する。この殺菌用加熱水aは、口部4に接触しつつ、口部4を殺菌した後の殺菌用薬液bを洗い流す。
内側噴射筒6から吐出する殺菌用加熱水aは、例えば殺菌された熱水であるが、薄肉の胴部3に当たることから胴部3に熱収縮を来さないように例えば70℃のごとく比較的低温度とされる。例えば、PETボトルの肉厚が薄い箇所は速やかに昇温するので、70℃程度で十分殺菌可能である。
その他、図2に示すように、内側噴射筒6と外側噴射筒7には各々殺菌用加熱水a、殺菌用薬液bを供給するための管路11,12が接続され、流量制御弁13,14等が各管路11,12に設けられる。
また、管路11には切換え弁15が設けられ、そこから無菌エアの流路となる管路16が分岐する。上記内側噴射筒6から殺菌用加熱水がボトル1内に噴射された後、切換え弁15によって、管路11が管路16に切り替えられると、内側噴射筒6から無菌エアがボトル1内に噴射される。これにより、ボトル1内から殺菌用加熱水及び殺菌用薬液が速やかに排出されることとなり、殺菌工程の時間が短縮される。
次に、上記中空体殺菌装置2を用いてボトル1を殺菌する方法について説明する。
(1)ボトル1はあらかじめブロー成形されたものが用意され、図1のごとくグリッパ5で口部4を把持され、倒立状態とされる。
(2)図1及び図2に示すように、ボトル1の下向きになった口部4から中空体殺菌装置2がボトル1内に所定長さだけ挿入され、内側噴射筒6の吐出口6aがボトル1の胴部3内の口部4に近い位置に停止し、外側噴射筒7の吐出口7aがボトル1の口部4内で停止する。
(3)図2に示すように、内側噴射筒6内の第一の流路と外側噴射筒7内の第二の流路に各々殺菌用加熱水a、殺菌用薬液bが供給され、各々が双方の吐出口6a,7aから同時に吐出される。
内側噴射筒6の吐出口6aから吐出された殺菌用加熱水aは、ボトル1の胴部3の内面に接触し、胴部3の内面を加熱ししつつ胴部3の内面に沿って口部4へと流れ落ちる。また、流れ落ちながら同時に胴部3の内面を洗浄する。
外側噴射筒7の吐出口7aからボトル1の口部4内で吐出された殺菌用薬液bは、反転部9に当たってボトル1の口部4内を開口側へと逆流する。
この逆流する殺菌用薬液bは上記ボトル1の胴部3内に噴射された殺菌用加熱水aと合流し、ボトル1の口部4の内面に沿って流下しつつ口部4の内面を殺菌する。また、同時に殺菌用加熱水aが口部4の内面から殺菌用薬液bを洗い流す。
(4)上記内側噴射筒6の吐出口6aから殺菌用加熱水aが吐出され、また、外側噴射筒7から殺菌用薬液bが噴射され、ボトル1の内面と口部4の内面の殺菌がある程度進行すると、管路11が管路16に切り替えられ、無菌エアが内側噴射筒6からボトル1内に噴射される。この無菌エアによるボトル1内の昇圧により、使用済の殺菌用加熱水aと殺菌用薬液bとがボトル1外に速やかに排出される。
(5)ボトル1内に噴射された殺菌用加熱水a及び殺菌用薬液bのすべてがボトル1外に排出された後、ボトル1は正立状態に戻され、必要であれば他の処理を施された後、飲料等の内容物が充填される。そして、ボトル1の口部4にキャップが被せられ、雌雄ネジの螺合によってボトル1が密封される。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく種々の形態にて実施可能である。例えば、本発明が適用される中空体であるボトルはPET製に限定されず、種々の材料で出来たボトルに適用することができる。また、本発明を適用しうる中空体は、ボトルに成形される前の予備成型品であるプリフォームであってもよい。
1…ボトル
2…中空体殺菌装置
4…口部
6…内側噴射筒
7…外側噴射筒
6a,7a…吐出口
9…反転部
a…殺菌用加熱水
b…殺菌用薬液

Claims (2)

  1. 内外二重の噴射筒を有し、内側噴射筒は中心の空洞が殺菌用加熱水の流路となる第一の流路が形成された細長い円筒体として形成されると共にその吐出口が中空体の口部から中空体内に入り込んで殺菌用加熱水を中空体内に吐出し得るように形成され、外側噴射筒は前記内側噴射筒をその外周から囲んで前記内側噴射筒との間に殺菌用薬液の流路となると共に、前記第一の流路と連続しない第二の流路が形成された円筒体として形成され、その吐出口が上記口部内に止まって殺菌用薬液を上記口部内に吐出し得るように形成され、上記外側噴射筒の吐出口の前方には、上記外側噴射筒の吐出口から吐出される殺菌用薬液を上記口部内で反転させる反転部が設けられ、この反転部で反転した殺菌用薬液と上記中空体内に吐出された殺菌用加熱水との合流したものを上記口部の内面と上記外側噴射筒との間から中空体外へ流出させるようにし、上記内側噴射筒から殺菌用加熱水を噴射した後、上記内側噴射筒から無菌エアを中空体内に噴射可能にしたことを特徴とする中空体殺菌装置。
  2. 請求項1に記載の中空体殺菌装置において、上記反転部が上記内側噴射筒に取り付けられた鍔状突起であることを特徴とする中空体殺菌装置。
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