JP5971031B2 - 焼却灰から金属を分離した状態で回収する方法 - Google Patents

焼却灰から金属を分離した状態で回収する方法 Download PDF

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Description

本発明は、一般廃棄物焼却施設や産業廃棄物焼却施設等より排出される焼却灰から、硫化銅と鉄とを分離した状態で回収する方法に関する。
一般廃棄物焼却施設や産業廃棄物焼却施設等から排出される焼却灰は埋め立て処分されている。しかし、近年では、埋め立て最終処分場の逼迫や、焼却灰に含まれる重金属類やダイオキシン類等の有害物による環境汚染が問題となっている。
これらの問題に対応して、焼却灰を溶融炉で溶融処理する技術が知られている。溶融処理により、焼却灰は減容化かつ無害化される。
焼却灰を溶融処理するとスラグ及び溶融金属が生成する。スラグは、下層路盤材等の石材として利用されている。溶融金属には、鉄や銅やその他の貴金属(例えば金や銀)といった有価金属が含まれており、「都市鉱山」の一例として再資源化が期待されている。
しかし、これまでの溶融処理により得られる溶融金属では、鉄と銅とが合金を形成しているため、再資源化のためには両者を分離して回収する必要がある。
合金から鉄と銅とを分離するためには精錬処理が必要であるが、この精錬処理は多量の酸素を消費するため、再資源化の普及の妨げとなっていた。
かかる精製処理を回避する手段として、焼却灰の溶融物へ硫黄又は硫黄化合物を添加することで、鋳鉄と硫化銅とを分離した状態で回収する技術が知られている(特許文献1)。
特開2003−221228号公報
焼却灰の溶融物へ硫黄又は硫黄化合物を添加する技術では、硫黄又は硫黄化合物を焼却灰溶融物へ添加するための装置を別途設ける必要があり、工業化の観点で課題がある。
本発明者らが上記課題について鋭意検討した結果、溶融炉内の一酸化炭素分圧、二酸化炭素分圧及び硫黄分子分圧を所定範囲に設定して焼却灰を溶融処理すると、追加の硫黄源を投入することなしに、溶融金属を硫化銅相と鉄相とに分離できることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)に関するものである。
(1)溶融処理により、焼却灰から硫化銅と鉄とを分離した状態で回収する方法であって、該溶融処理を下記の溶融炉内雰囲気条件:
log(PCO2/PCO)値が−0.40以下
(PCO2は二酸化炭素の分圧であり、PCOは一酸化炭素の分圧である)、かつ、
log(PS2)値が−6.30〜−7.40
(PS2は硫黄分子の分圧である)
下で行い、かつ、
該溶融処理を、log(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含む、焼却灰以外の物質を溶融炉内へ投入することなしに行う
ことを特徴とする方法。
(2)溶融炉内雰囲気のlog(PCO2/PCO)値を、還元剤を炉内へ投入することにより調節する、前記(1)に記載の方法。
(3)硫化銅と鉄との分離した状態での回収を、溶融炉から取り出した溶融金属に対して行う、前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)溶融炉から取り出した溶融金属を、鋳型へ鋳込み、次いで冷却することにより、硫化銅と鉄とを分離した状態で回収する、前記(3)に記載の方法。
(5)冷却後の溶融金属の固化物を破砕し、破砕物を磁選することにより、硫化銅と鉄とを分離した状態で回収する、前記(4)に記載の方法。
本発明の方法は、後述する実施例で示されるように、追加の硫黄源を投入することなく簡便に、焼却灰から硫化銅と鉄とを分離した状態で回収することができる。したがって、本発明は、焼却灰からの有価金属の再資源化において有益である。
図1は、溶融炉内におけるlog(PCO2/PCO)及びlog(PS2)と、銅及び鉄の存在状態との関係を示す。図1において、実線は、銅の存在状態(Cu、Cu2O又はCu2S)を区別する線であり、破線は鉄の存在状態(Fe、FeO又はFeS)を区別する線である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
焼却灰とは、一般廃棄物や産業廃棄物を焼却施設で焼却処理することによって排出される焼却灰という。(1)焼却灰から硫化銅と鉄とを分離した状態で回収するという本発明の目的と、(2)溶融炉内の一酸化炭素、二酸化炭素及び硫黄分子の各分圧を調節し、かつ、焼却灰以外の追加の硫黄源を用いないという本発明の構成とを鑑みると、本発明の対象となる焼却灰は、廃棄物由来の銅、鉄、炭素及び硫黄を含むものである。しかし、一般廃棄物焼却施設や産業廃棄物焼却施設等から排出される焼却灰は、通常、これらの元素を含んでいるので、前述の焼却施設から排出される焼却灰を特に制限なく本発明に用いることができる。
一般廃棄物焼却施設や産業廃棄物焼却施設等から排出される焼却灰は、通常15〜30質量%の水分を含んでおり付着性を示す。そこで、溶融処理前に焼却灰を乾燥して水分含量を5質量%以下としておくと、溶融処理時の取り扱い性が容易になるので好ましい。
溶融処理とは、廃棄物(焼却灰を含む)の処理分野で一般的に用いられている溶融処理のことをいう。例えば、電気炉を用いた場合、溶融処理とは、焼却灰中へ没入させた電極から当該焼却灰へ電力を負荷し、その際に焼却灰の電気抵抗により発生するジュール熱で焼却灰を加熱(電気抵抗加熱)して溶融させ、その後、炉底に蓄積した溶融物(比重差により溶融スラグ(上部)と溶融金属(下部)とに分離する)を炉外へ取り出して固化する方法をいう。
溶融処理には、廃棄物の処理分野で一般的に用いられている溶融炉を用いることができる。具体例としては、電気炉やガス化溶融炉が挙げられる。炉内還元状態の調整の容易性の観点から電気炉が好ましい。
電気炉の具体例としては、開放式サブマージドアーク電気炉、密閉式サブマージドアーク電気炉、アーク式溶融炉やプラズマ溶融炉等が挙げられる。
これらの電気炉のうち、密閉式サブマージドアーク電気炉は、密閉度の高い炉蓋を有しており炉外から炉内への空気(酸素)の流入を防止することができるため、後述の溶融炉内雰囲気の調節を容易にできるので好ましい。
溶融処理は、下記の溶融炉内雰囲気条件:
log(PCO2/PCO)値が−0.40以下
(PCO2は二酸化炭素の分圧であり、PCOは一酸化炭素の分圧である)、かつ、
log(PS2)値が−6.30〜−7.40
(PS2は硫黄分子の分圧である)
下で行う。
溶融炉内のlog(PCO2/PCO)及びlog(PS2)と、銅及び鉄の存在状態との関係を示す図1によれば、log(PCO2/PCO)値が−0.40以下であり、かつ、log(PS2)値が−6.30〜−7.40である場合、銅は硫化銅(Cu2S)として存在し、鉄は金属鉄(Fe)として存在する。硫化銅(比重:5.6g/cm3)と鉄(比重:7.9g/cm3)とは比重が異なるため、溶融処理によって生成した溶融金属は、下層の金属鉄含有相(鉄相)と上層の硫化銅含有相(硫化銅相)とに分離する。したがって、上記の溶融炉内雰囲気条件下で焼却灰を溶融処理することにより、硫化銅と金属鉄とを分離した状態で回収することができる。
なお、log(PCO2/PCO)値の下限値は理論上制限されるものではないが、実用上、例えば−2.0である。
log(PCO2/PCO)値が−0.40以下であり、かつ、log(PS2)値が−6.30〜−7.40であれば硫化銅と金属鉄とを分離した状態で回収することができるが、好ましくは、log(PCO2/PCO)値が−0.40〜−0.60であり、かつ、log(PS2)値が−6.80〜−7.40である。
二酸化炭素及び一酸化炭素の分圧を調節する操作を行わずに溶融処理を行った場合、溶融炉内のlog(PCO2/PCO)値は、通常、本発明で採用する上限値−0.40よりも高い値である。この場合、log(PCO2/PCO)値の調節は、炭素を含むが硫黄を含まない還元剤を炉内へ投入することにより行うことができる。還元剤の具体例としてはコークスや石炭が挙げられる。炉内反応の安定性の観点でコークスが好ましい。
ここで「硫黄を含まない」とは、log(PCO2/PCO)値の調節に必要な量の還元剤が、溶融炉内のlog(PCO2/PCO)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含まないことをいう。したがって、還元剤は、硫黄を全く含まない物質に限定されるものではなく、溶融炉内のlog(PCO2/PCO)値の上昇を引き起こさない量(痕跡量)の硫黄を含む物質であってもよい。
焼却灰の組成によっては、二酸化炭素及び一酸化炭素の分圧を調節する操作を行わずとも、本発明が採用するlog(PCO2/PCO)値を達成できる場合もある。この場合、二酸化炭素及び一酸化炭素の分圧を調節する操作は不要である。
溶融炉内のlog(PS2)値が、本発明で採用する上限値−6.30よりも高い値である場合、log(PS2)値の調節(log(PS2)値の下降)は、硫黄を含まない物質を炉内に投入することにより行うことができる。かかる物質の具体例としては一般廃棄物焼却施設から生ずる集塵機ダスト等が挙げられる。なお、ここで「硫黄を含まない」とは、log(PS2)値の調節に必要な量の物質が、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含まないことをいう。したがって、当該物質は、硫黄を全く含まない物質に限定されるものではなく、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こさない量(痕跡量)の硫黄を含む物質であってもよい。
焼却灰の組成によっては、硫黄分子の分圧を調節する操作を行わずとも本発明で採用するlog(PS2)の値を達成できる場合もある。この場合、硫黄分子の分圧を調節する操作は不要である。
なお、硫黄分子の炉内分圧を調節する操作を行わずに焼却灰を溶融処理した場合、焼却灰内に含まれる硫黄分により、log(PS2)値が、本発明で採用する下限値−7.40よりも低い値となることはない。
したがって、本発明は、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含む、焼却灰以外の物質を炉内へ追加投入することなしに行う。
上記の炉内雰囲気条件以外の溶融処理条件は、焼却灰の溶融処理で一般的に用いられている処理条件を特に制限なく用いることができる。
例えば、溶融処理時の溶融炉内の温度は、焼却灰の溶融処理を実施できる温度であれば特に制限されないが、例えば600〜800℃であるとカーボンソリューション反応により一酸化炭素の発生が多くなるので好ましい。
溶融処理により、焼却灰から溶融スラグと溶融金属とが生成する。比重差により、溶融スラグは炉上部に生成し、溶融金属は炉下部に生成する。溶融炉壁の溶融金属に対応する高さに取り出し口を設けておくと、溶融金属から硫化銅相と鉄相とを分離した状態で回収するのに先立ち、溶融スラグの混入を回避しつつ溶融金属を容易に炉外へ取り出すことができるので好ましい。
溶融金属を冷却すると、硫化銅相(溶融金属の上層)と鉄相(溶融金属の下層)とが比重差により分離した状態で固化する。
比重差に基づく分離を促進するために、溶融状態の溶融金属を鋳型中へ鋳込み、冷却を行うことが好ましい。鋳型を用いた冷却は、例えば、連続回転式鋳銑機を用いて行うことができる。
このようにして得られた固化物では、硫化銅相と鉄相との境界を肉眼で容易に識別できるので、境界線に基づいて各相を破砕することにより、両相を分離することができる。
鉄相は着磁性を有し、他方、硫化銅相は着磁性を有しないので、固化した溶融金属を、両相を区別することなしに破砕して、破砕物を磁選することにより、両相を分離することもできる。破砕物の磁選は、例えば、磁選機を用いて行うことができる。
上記の溶融炉外での分離方法のほか、溶融炉内で溶融金属を静置することで、硫化銅相と鉄相とへ分離させることもできる。この場合、溶融炉壁の硫化銅相及び鉄相の各相に対応する高さに取り出し口を設けておくことにより、各相を溶融状態のまま容易に炉外へ取り出すことができる。
硫化銅相は、鉄相と比較して銅を多く含んでいる。硫化銅相からの銅の精錬は、当該技術分野で一般的に用いられている方法と用いることができる。例えば、転炉を使用し、酸素富化空気で硫化銅相を酸化処理することにより、銅を精錬することができる。
なお、焼却灰が金、銀や白金等の貴金属を含んでいる場合、貴金属はその化学的安定性に応じて、安定な金や白金は鉄相から、反応性の高い銀は硫化銀として硫化銅相から回収することができる。鉄相からの貴金属の精錬は、当該技術分野で一般的に用いられている方法と用いることができる。例えば、鉄相を転炉等で金属相を酸化処理することにより、金や白金を精錬することができる。
以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
一般廃棄物及び産業廃棄物の焼却施設から排出された焼却灰80トンを、乾燥処理後(乾燥処理後の水分含量:2.5質量%)、密閉式サブマージドアーク電気炉(トランス容量:4,000KVA)を用いて溶融処理した。
溶融処理中、炉内雰囲気は、log(PCO2/PCO)値が−0.43、かつ、log(PS2)値が−7.11となるように維持した。
log(PCO2/PCO)値の調節はコークスの炉内への投入により行った。
log(PS2)値は焼却灰の組成によるものであり、溶融処理の間、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含む、焼却灰以外の物質の炉内への投入は行わなかった。
溶融処理中の炉内温度は600〜650℃に維持した。
溶融処理により、約46.4トンの溶融スラグと、約2.8トンの溶融金属が生成した。
溶融金属を、溶融炉壁の溶融金属相に対応する高さに設けた取出口から炉外へ取り出した。取り出した溶融金属を連続回転式の鋳銑機中へ鋳込み、鋳銑機を作動させて冷却を行い、目視できる硫化銅相と鉄相との境界を有する固化物を得た。固化物を、破砕機(ジョークラッシャー)を用いて破砕した。破砕物を磁選機にかけることにより、約0.6トンの非着磁物と約2.2トンの着磁物とを分離して回収した。非着磁物は固化物の上層に対応し、着磁物は固化物の下層に対応していた。
非着磁物をICP-MS法により分析したところ、24.6質量%の硫化銅が検出された。
更に、非着磁物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

着磁物をICP-MS法により分析したところ、80.2質量%の鉄が検出された。この鉄の炭素含量は0.14質量%であった。更に、着磁物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

上記の分析結果より、非着磁性(換言すれば、着磁性の鉄を多量には含まない)であり、着磁物の約4倍の銅を含む非着磁物は硫化銅相であり、鉄を多量に含む着磁物は鉄相であることが確認された。
実施例2
一般廃棄物及び産業廃棄物の焼却施設から排出された焼却灰79トンを、乾燥処理後(乾燥処理後の水分含量:3.2質量%)、密閉式サブマージドアーク電気炉(トランス容量:4,000KVA)を用いて溶融処理した。
溶融処理中、炉内雰囲気は、log(PCO2/PCO)値が−0.42、かつ、log(PS2)値が−7.11となるように維持した。
log(PCO2/PCO)値の調節はコークスの炉内への投入により行った。
log(PS2)値は焼却灰の組成によるものであり、溶融処理の間、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含む、焼却灰以外の物質の炉内への投入は行わなかった。
溶融処理中の炉内温度は600〜650℃に維持した。
溶融処理により、約48.7トンの溶融スラグと、約3.1トンの溶融金属が生成した。
溶融金属を、溶融炉壁の溶融金属相に対応する高さに設けた取出口から炉外へ取り出した。取り出した溶融金属を連続回転式の鋳銑機中へ鋳込み、鋳銑機を作動させて冷却を行い、目視できる硫化銅相と鉄相との境界を有する固化物を得た。固化物を、破砕機(ジョークラッシャー)を用いて破砕した。破砕物を磁選機にかけることにより、約0.7トンの非着磁物と約2.4トンの着磁物とを分離して回収した。非着磁物は固化物の上層に対応し、着磁物は固化物の下層に対応していた。
非着磁物をICP-MS法により分析したところ、33.1質量%の硫化銅が検出された。
更に、非着磁物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

着磁物をICP-MS法により分析したところ、81.0質量%の鉄が検出された。鉄の炭素含量は0.13質量%であった。更に、着磁物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

上記の分析結果より、非着磁物は硫化銅相であり、鉄を多量に含む着磁物は鉄相であることが確認された。
実施例3
一般廃棄物及び産業廃棄物の焼却施設から排出された焼却灰77トンを、乾燥処理後(乾燥処理後の水分含量:3.0質量%)、密閉式サブマージドアーク電気炉(トランス容量:4,000KVA)を用いて溶融処理した。
溶融処理中、炉内雰囲気は、log(PCO2/PCO)値が−0.51、かつ、log(PS2)値が−7.33となるように維持した。
log(PCO2/PCO)値の調節はコークスの炉内への投入により行った。
log(PS2)値は焼却灰の組成によるものであり、溶融処理の間、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含む、焼却灰以外の物質の炉内への投入は行わなかった。
溶融処理中の炉内温度は600〜650℃に維持した。
溶融処理により、約43.1トンの溶融スラグと、約3.2トンの溶融金属が生成した。
溶融金属を、溶融炉壁の溶融金属相に対応する高さに設けた取出口から炉外へ取り出した。取り出した溶融金属を連続回転式の鋳銑機中へ鋳込み、鋳銑機を作動させて冷却を行い、目視できる硫化銅相と鉄相との境界を有する固化物を得た。固化物を、破砕機(ジョークラッシャー)を用いて破砕した。破砕物を磁選機にかけることにより、約0.64トンの非着磁物と約2.56トンの着磁物とを分離して回収した。非着磁物は固化物の上層に対応し、着磁物は固化物の下層に対応していた。
非着磁物をICP-MS法により分析したところ、26.0質量%の硫化銅が検出された。
更に、非着磁物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

着磁物をICP-MS法により分析したところ、80.1質量%の鉄が検出された。鉄の炭素含量は0.2質量%であった。更に、着磁物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

上記の分析結果より、非着磁物は硫化銅相であり、炭素鋼を多量に含む着磁物は鉄相であることが確認された。
実施例4
一般廃棄物及び産業廃棄物の焼却施設から排出された焼却灰71トンを、乾燥処理後(乾燥処理後の水分含量:2.6質量%)、密閉式サブマージドアーク電気炉(トランス容量:4,000KVA)を用いて溶融処理した。
溶融処理中、炉内雰囲気は、log(PCO2/PCO)値が−0.47、かつ、log(PS2)値が−6.85となるように維持した。
log(PCO2/PCO)値の調節はコークスの炉内への投入により行った。
log(PS2)値は焼却灰の組成によるものであり、溶融処理の間、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含む、焼却灰以外の物質の炉内への投入は行わなかった。
溶融処理中の炉内温度は600〜650℃に維持した。
溶融処理により、約43.5トンの溶融スラグと、約2.5トンの溶融金属が生成した。
溶融金属を、溶融炉壁の溶融金属相に対応する高さに設けた取出口から炉外へ取り出した。取り出した溶融金属を連続回転式の鋳銑機中へ鋳込み、鋳銑機を作動させて冷却を行い、目視できる硫化銅相と鉄相との境界を有する固化物を得た。固化物を、破砕機(ジョークラッシャー)を用いて破砕した。破砕物を磁選機にかけることにより、約0.5トンの非着磁物と約2.0トンの着磁物とを分離して回収した。非着磁物は固化物の上層に対応し、着磁物は固化物の下層に対応していた。
非着磁物をICP-MS法により分析したところ、30.0質量%の硫化銅が検出された。
更に、非着磁物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

着磁物をICP-MS法により分析したところ、80.0質量%の鉄が検出された。鉄の炭素含量は0.21質量%であった。更に、着磁物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

上記の分析結果より、非着磁物は硫化銅相であり、鉄を多量に含む着磁物は鉄相であることが確認された。
比較例1
一般廃棄物及び産業廃棄物の焼却施設から排出された焼却灰75トンを、乾燥処理後(乾燥処理後の水分含量:2.8質量%)、密閉式サブマージドアーク電気炉(トランス容量:4,000KVA)を用いて溶融処理した。
溶融処理中、炉内雰囲気は、log(PCO2/PCO)値が−0.72、かつ、log(PS2)値が−7.81となるように維持した。したがって、比較例1は本発明のlog(PS2)値の要件(−6.30〜−7.40)を満たしていなかった。
log(PCO2/PCO)値の調節はコークスの炉内への投入により行った。
log(PS2)値は焼却灰の組成によるものであり、溶融処理の間、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含む、焼却灰以外の物質の炉内への投入は行わなかった。
溶融処理中の炉内温度は600〜650℃に維持した。
溶融処理により、約43.5トンの溶融スラグと、約2.1トンの溶融金属が生成した。
溶融金属を、溶融炉壁の溶融金属相に対応する高さに設けた取出口から炉外へ取り出した。取り出した溶融金属を連続回転式の鋳銑機中へ鋳込み、鋳銑機を作動させて冷却を行った。得られた固化物を調査したところ、硫化銅相と鉄相との境界は観察されず、鉄相のみが形成された。
この固化物をICP-MS法により分析したところ、硫化銅は検出されず、71.2質量%の鉄が検出された。更に、固化物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

上記の観察及び分析結果より、比較例1では、硫化銅相と鉄相とを分離した状態で回収できなかったことが確認された。
比較例2
一般廃棄物及び産業廃棄物の焼却施設から排出された焼却灰72トンを、乾燥処理後(乾燥処理後の水分含量:3.1質量%)、密閉式サブマージドアーク電気炉(トランス容量:4,000KVA)を用いて溶融処理した。但し、電気炉は開放状態とし、炉外から炉内へ空気を流入させ、生成ガスを炉内で燃焼させた。
溶融処理中、炉内雰囲気は、log(PCO2/PCO)値が−0.16、かつ、log(PS2)値が−6.46となるように維持した。したがって、比較例2は本発明のlog(PCO2/PCO)値の要件(−0.40以下)を満たしていなかった。
log(PCO2/PCO)値の調節はコークスの炉内への投入及び炉内への空気流入により行った。
log(PS2)値は、焼却灰の組成によるものであり、溶融処理の間、溶融炉内のlog(PS2)値の上昇を引き起こす量の硫黄を含む、焼却灰以外の物質の炉内への投入は行わなかった。
溶融処理中の炉内温度は650〜700℃に維持した。
溶融処理により、約42.0トンの溶融スラグと、約2.0トンの溶融金属が生成した。
溶融金属を、溶融炉壁の溶融金属相に対応する高さに設けた取出口から炉外へ取り出した。取り出した溶融金属を連続回転式の鋳銑機中へ鋳込み、鋳銑機を作動させて冷却を行った。得られた固化物を調査したところ、硫化銅相と鉄相との境界は観察されず、鉄相のみが形成された。
この固化物をICP-MS法により分析したところ、硫化銅は検出されず、70.6質量%の鉄が検出された。更に、固化物の銅、金、銀及び白金の含量(質量基準)を同法により分析したところ以下の結果が得られた。

Figure 0005971031

上記の観察及び分析結果より、比較例2では、硫化銅相と鉄相とを分離した状態で回収できなかったことが確認された。
本発明は、焼却灰からの有価金属の再資源化に利用することができる。

Claims (5)

  1. 溶融処理により、焼却灰から硫化銅と鉄とを分離した状態で回収する方法であって、
    該溶融処理を下記の溶融炉内雰囲気条件:
    log(PCO2/PCO)値が−0.40以下
    (PCO2は二酸化炭素の分圧であり、PCOは一酸化炭素の分圧である)、かつ、
    log(PS2)値が−6.30〜−7.40
    (PS2は硫黄分子の分圧である)
    下で行い、かつ、
    該溶融処理を、焼却灰以外の物質を溶融炉内へ投入することなしに行い、かつ、
    該焼却灰以外の物質が、log(P S2 )値の上昇を引き起こす量の硫黄を含むものである
    ことを特徴とする方法。
  2. 溶融炉内雰囲気のlog(PCO2/PCO)値を、還元剤を炉内へ投入することにより調節する、請求項1に記載の方法。
  3. 硫化銅と鉄との分離した状態での回収を、溶融炉から取り出した溶融金属に対して行う、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 溶融炉から取り出した溶融金属を、鋳型へ鋳込み、次いで冷却することにより、硫化銅と鉄とを分離した状態で回収する、請求項3に記載の方法。
  5. 冷却後の溶融金属の固化物を破砕し、破砕物を磁選することにより、硫化銅と鉄とを分離した状態で回収する、請求項4に記載の方法。
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