JP5969146B1 - 円筒型スパッタリングターゲットの製造方法及び円筒型成形体の製造方法 - Google Patents

円筒型スパッタリングターゲットの製造方法及び円筒型成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、歪みが少なく強度が高い円筒型スパッタリングターゲット、円筒型焼結体、円筒型成形体及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。または、均質性の高い円筒型スパッタリングターゲット、円筒型焼結体、円筒型成形体及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一実施形態によるスパッタリングターゲットは、円筒型焼結体を有し、円筒型焼結体の相対密度が99.7%以上99.9%以下である。また、円筒型スパッタリングターゲットは、一定のスペースを介して隣接する複数の円筒型焼結体を有し、隣接する複数の円筒型焼結体間の相対密度の差が0.1%以下であってもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、円筒型スパッタリングターゲット、円筒型焼結体、円筒型成形体及びそれらの製造方法に関する。特に、円筒型スパッタリングターゲットを構成する円筒型焼結体の密度に関する。
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)の製造技術や太陽電池の製造技術が急速に発展し、大型の薄型テレビや太陽電池の市場が大きくなってきている。また、これらの市場の発展に伴い、製品の製造コストを引き下げるために、ガラス基板の大型化が進んでいる。現在では、第8世代といわれる2200mm×2400mmサイズ用の装置開発が進められている。特に、大型のガラス基板に金属薄膜や酸化金属薄膜を形成するスパッタリング装置では、従来の平板型スパッタリングターゲットに替えて円筒型(ロータリー型又は回転型ともいう)スパッタリングターゲットが使用されてきている。円筒型スパッタリングターゲットは平板型スパッタリングターゲットに比べて、ターゲットの使用効率が高い、エロージョンの発生が少ない、堆積物の剥離によるパーティクルの発生が少ないという利点がある。
上記のように大型のガラス基板に薄膜を形成するスパッタリング装置に使用する円筒型スパッタリングターゲットは、3000mm以上の長さが必要である。このような長さの円筒型スパッタリングターゲットを一体形成で製造し、研削加工することは製造コストがかかるため現実的ではない。したがって、通常は数10mm乃至数100mmの複数の円筒型焼結体が連結されて円筒型スパッタリングターゲットが構成される。
ここで、上記の円筒型の焼結体に限らず、一般的な焼結体は機械的な強度向上及びその焼結体を使用した薄膜の膜質向上のために高密度であることが要求される。例えば、特許文献1には、焼結体の高密度化を実現するために焼結体を形成する前の成形体の密度を可能な限り高くすることが開示されている。また、上記のように複数の焼結体が連結したスパッタリングターゲットでは、隣接する焼結体間の密度の差(つまり焼結体密度の「固体間ばらつき」)はスパッタリング特性に影響を及ぼす。
特開2014−040348号公報
しかしながら、円筒型焼結体は平板型焼結体に比べて焼結時の収縮挙動が複雑であり、収縮が大きいと歪みなどが発生しやすい。また平板型焼結体にも共通していることであるが、焼結時の収縮量を減らすために高密度の成型体を作製する場合、内部に含まれるバインダーなどが抜けにくくなり、所望の形状に収縮しない。
本発明は、そのような課題に鑑みてなされたものであり、歪みが少なく強度が高い円筒型スパッタリングターゲット、円筒型焼結体、円筒型成形体及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。または、本発明は、均質性の高い円筒型スパッタリングターゲット、円筒型焼結体、円筒型成形体及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態による円筒型スパッタリングターゲットは、円筒型焼結体を有し、円筒型焼結体の相対密度が99.7%以上99.9%以下である。
本発明の一実施形態による円筒型スパッタリングターゲットに用いる円筒型焼結体は、相対密度が99.7%以上99.9%以下である。
また、別の態様において、円筒型スパッタリングターゲットは、一定のスペースを介して隣接する複数の円筒型焼結体を有し、隣接する複数の円筒型焼結体間の相対密度の差が0.1%以下であってもよい。
本発明の一実施形態による円筒型スパッタリングターゲットに用いる円筒型焼結体を形成するための円筒型成形体は、相対密度が54.5%以上58.0%以下である。
また、別の態様において、円筒型成形体は、100MPa以上200MPa以下の冷間静水圧加圧で形成されてもよい。
本発明によれば、歪みが少なく強度が高い円筒型スパッタリングターゲット、円筒型焼結体、円筒型成形体及びそれらの製造方法を提供することができる。または、均質性の高い円筒型スパッタリングターゲット、円筒型焼結体、円筒型成形体及びそれらの製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットを構成する円筒型焼結体の一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る組み立て後の円筒型スパッタリングターゲットの構成の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る円筒型焼結体の製造方法を示すプロセスフローである。 本発明の実施形態に関わる円筒型焼結体の製造方法において、円筒型成形体の密度と円筒型焼結体の密度との関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係る円筒型スパッタリングターゲット及びその製造方法について説明する。但し、本発明の円筒型スパッタリングターゲット及びその製造方法は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
なお、以下の説明において、成形体の密度及び焼結体の密度を相対密度で示している。相対密度は、理論密度及び測定された密度によって、相対密度=(測定密度/理論密度)×100(%)で表される。理論密度とは、用いた原料から算出される密度の値であり、酸化インジウムが90質量%、酸化スズが10質量%となるように原料を秤量した場合、(Inの密度(g/cm)×90+SnOの密度(g/cm)×10)/100として算出する。Inの密度は7.18g/cm、SnOの密度は6.95g/cmとして計算し、理論密度は7.15(g/cm)と算出される。一方、測定密度とは、重量を体積で割った値である。成形体の場合は、寸法を実測して算出した体積を用いて算出する。焼結体の場合は、アルキメデス法により体積を求めて算出する。
なお、焼結体間の差は、この相対密度の差を示している。例えば、相対密度99.5%の焼結体Aと99.6%の焼結体Bの相対密度の差は、99.6%−99.5%=0.1%と算出する。これは、焼結体同士の組成が同じであれば、理論密度が同じであるため、単純に差を求めることで隣接する焼結体間の密度のばらつきを評価することができる。この時、焼結体間の差の最大値を差として評価する。本発明におけるスパッタリングターゲットは、同じ組成の焼結体を並べた組立体に適用することができる。
〈実施形態〉
図1乃至4を用いて、本発明の実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲット及び円筒型焼結体の構成を説明する。まず、図1及び2を用いて円筒型スパッタリングターゲットの概要について説明する。
[円筒型スパッタリングターゲットの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットを構成する円筒型焼結体の一例を示す斜視図である。図1に示すように、円筒型スパッタリングターゲット100は、中空構造の複数の円筒型焼結体110を有する。上記複数の円筒型焼結体110は一定のスペースを介して互いに隣接して配置される。ここで、図1においては、説明の便宜上、隣接する円筒型焼結体110のスペースを大きくして図示した。
ここで、円筒型焼結体110の相対密度は、好ましくは99.7%以上99.9%以下であるとよい。また、隣接する円筒型焼結体110aと110bとの間、又は110bと110cとの間の相対密度の差、つまり円筒型焼結体の固体間の相対密度の差は、好ましくは0.1%以下であるとよい。
また、円筒型焼結体110の厚さは6.0mm以上15.0mm以下とすることができる。また、円筒型焼結体110の円筒軸方向の長さは150mm以上380mm以下とすることができる。また、隣接する円筒型焼結体110間の円筒軸方向のスペースは0.2mm以上0.5mm以下とすることができる。また、ターゲットの表面粗さは平均面粗さ(Ra)が0.5μm以下であることが望ましい。
円筒型焼結体110の材料は、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)、IGZO(インジウム(Indium)−ガリウム(Gallium)−亜鉛(Zinc)−酸素(Oxide))等のセラミック系円筒状ターゲットが望ましい。
図2は、本発明の実施形態に係る組み立て後の円筒型スパッタリングターゲットの構成の一例を示す断面図である。図2に示すように、組み立て後の円筒型スパッタリングターゲット100は、図1に示した円筒型焼結体110の中空部分に円筒基材130が配置されている。円筒基材130と円筒型焼結体110とは、ろう材140によってろう付けされており、隣接する円筒型焼結体110はスペース120を介して配置されている。
円筒基材130の材料は、ターゲットをスパッタリングする際に電子やイオンがターゲットに衝突することで発生する熱を効率的に放出できるように熱伝導率が高く、ターゲットにバイアス電圧を印加できる程度の導電性を有する金属材料を使用することができる。具体的に、円筒基材130に使用される金属材料としては、Ti、Cu、これらを含む合金、及びステンレス(SUS)を使用することができる。
ろう材140の材料は、円筒基材130と同様に熱伝導率が高く、導電性を有し、円筒基材130が円筒型焼結体110を保持するのに十分な密着力と強度を有する材料を使用することができる。ただし、ろう材140の熱伝導率は円筒基材130の熱伝導率よりも低い材料であってもよい。また、ろう材140の導電性は円筒基材130の導電性よりも低い材料であってもよい。ろう材140としては、例えばインジウム(In)、スズ(Sn)、及びこれらを含む合金を使用することができる。
以上のように、本実施形態に係るスパッタリングターゲットによると、円筒形焼結体の相対密度を上記の範囲にすることで、円筒型焼結体の機械的強度の向上及びその円筒型焼結体を使用した薄膜の不純物の低減や膜密度の向上の効果を得ることができる。また、円筒型焼結体の固体間の相対密度の差をそれぞれ上記の範囲にすることで、複数の円筒型焼結体を有する円筒型スパッタリングターゲットにおいて電界の歪みを抑制することができる。その結果、スパッタリング時に安定した放電特性を得ることができ、膜質の面内均一性が非常に高い薄膜を1つの円筒型焼結体のサイズを超すような大型の基板に形成することができる。
[円筒型焼結体の製造方法]
次に、本発明に係る円筒型スパッタリングターゲットの円筒型焼結体の製造方法について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係る円筒型焼結体の製造方法を示すプロセスフローである。図3では、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)焼結体の製造方法を例示するが、焼結体の材料はITOに限定されず、IGZOなどのその他の酸化金属焼結体にも使用することができる。
まず始めに、原料を準備する。混合に用いる原料は、例えば酸化物や合金などに含有される金属元素を使用する。原料は粉末状のものを使用することができ、目的とするスパッタリングターゲットの組成によって適宜選択することができる。例えばITOの場合は、酸化インジウムの粉末及び酸化スズの粉末を準備する(ステップS301及びS302)。これらの原料の純度は、通常2N(99質量%)以上、好ましくは3N(99.9質量%)以上、さらに好ましくは4N(99.99質量%)以上であるとよい。純度が2Nより低いと円筒型焼結体に不純物が多く含まれてしまうため、所望の物性を得られなくなる(例えば、透過率の減少、膜の抵抗値の増加、局所的に異物が含まれるとアーキングに伴うパーティクルの発生)という問題がある。
次に、これらの原料粉末を粉砕し混合する(ステップS303)。原料粉末の粉砕混合処理は、ジルコニア、アルミナ、ナイロン樹脂等のボールやビーズを用いた乾式法や、上記のボールやビーズを用いたメディア撹拌型ミル、メディアレスの容器回転式、機械撹拌式、気流式の湿式法を使用することができる。ここで、一般的に湿式法は乾式法に比べて粉砕及び混合能力に優れているため、湿式法を用いて混合を行うことが好ましい。
原料組成については特に制限はないが、目的とするスパッタリングターゲットの組成比に応じて適宜調整することが望ましい。
ここで、細かい粒子径の原料粉末を使用すると焼結体の高密度化は可能となる。また、粉砕条件を強化して細かい原料粉末を得ることは可能だが、粉砕時に使用するメディア(ジルコニアなど)の混入量も増加し、製品内の不純物濃度は上昇してしまう。このように焼結体の高密度化と製品内の不純物濃度のバランスを見ながら、粉砕時の条件は適正な範囲を設ける必要がある。
次に、原料粉末のスラリーを乾燥・造粒する(ステップS304)。ここで、スラリーを急速乾燥する急速乾燥造粒を行ってもよい。急速乾燥造粒は、スプレードライヤを使用し、熱風温度、風量を調整することで行われてもよい。急速乾燥造粒をすることで、原料粉末の比重差による沈降速度の違いによって酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末とが分離することを抑制することができる。このように造粒することで、配合成分の比率が均一化され、原料粉末のハンドリング性が向上する。また、造粒する前後に仮焼成を行ってもよい。
次に、上述した混合及び造粒の工程によって得られた混合物(仮焼成工程を設けた場合には仮焼成されたもの)を加圧成形して円筒型成形体を形成する(S305)。この工程によって、目的とするスパッタリングターゲットに好適な形状に成形する。成形処理としては、例えば、金型成形、鋳込み成形、射出成形等が挙げられるが、円筒型のように複雑な形状を得るためには、冷間静水圧(CIP)等で成形することが好ましい。CIPによる成形は、まず所定の重量に秤量した原料粉をゴム型に充填する。この際、ゴム型を揺動もしくタッピングしながら充填することで、型内の原料粉の充填ムラや空隙を無くすことができる。CIPによる成形の圧力は、好ましくは100MPa以上200MPa以下であるとよい。上記のように成形の圧力を調整することによって、本実施形態では54.5%以上58.0%以下の相対密度を有する円筒型成形体を形成することができる。より好ましくは、CIPの成形圧力を150MPa以上180MPa以下に調整することで、55.0%以上57.5%以下の相対密度の円筒型成形体を得るとよい。
次に、成形工程で得られた円筒型成形体を焼結する(ステップS306)。焼結は電気炉を使用する。焼結条件は焼結体の組成によって適宜選択することができるが、例えばSnOを10wt.%含有するITOであれば、酸素ガス雰囲気、1500℃以上1600℃以下、10時間以上20時間以下の条件で焼結することができる。焼結温度が1500℃未満の場合、ターゲットの密度が低下してしまう。一方、1600℃を超えると電気炉や炉材へのダメージが大きく適時メンテナンスが必要となるため、作業効率が著しく低下する。また、焼結時間が10時間未満であるとターゲットの密度が低下してしまい、20時間より長いと焼結工程における保持時間が長くなり、電気炉の稼働率が悪化してしまう。また、焼結工程において使用する酸素ガスの消費量及び電気炉を稼働するための電力が増加してしまう。また、焼結時の圧力は大気圧であってもよく、減圧又は加圧雰囲気であってもよい。
ここで、電気炉で焼結する場合、焼結の昇温速度及び降温速度を調整することでクラックの発生を抑制することができる。具体的には、焼結時の電気炉の昇温速度は300℃/時間以下が好ましく、180℃/時間以下であることがより好ましい。また、焼結時の電気炉の降温速度は、600℃/時間以下が好ましい。なお、昇温速度又は降温速度は段階的に変化するように調整されてもよい。
焼結工程によって円筒型成形体は収縮するが、全ての材料に共通して熱収縮の始まる温度域に入る前に、炉内の温度を均一にするため、昇温の途中で温度保持を行う。これによって炉内の温度ムラが解消され、炉内に設置したすべての焼結体が均一に収縮する。また到達温度や保持時間は各材料ごとに適正な条件を設定することで、安定な焼結体密度を得ることができる。
次に、形成された円筒型焼結体を、平面研削盤、円筒研削盤、旋盤、切断機、マシニングセンター等の機械加工機を用いて、円筒型の所望の形状に機械加工する(ステップS307)。機械加工は、上記の円筒型焼結体をスパッタリング装置への装着に適した形状にするように行われ、また、所望の表面粗さとなるよう行われる。ここで、スパッタリング中に電界が集中して異常放電が発生しない程度の平坦性を得るために、円筒型焼結体の平均面粗さ(Ra)は0.5μm以下とすることが好ましい。以上の工程によって、高密度で均質性の高い円筒型焼結体を得ることができる。
次に、機械加工された円筒型焼結体を基材にボンディングする(ステップS308)。特に円筒型スパッタリングターゲットの場合は、バッキングチューブと呼ばれる円筒型基材にろう材を接着剤として円筒型焼結体がボンディングされる。以上の工程によって、上記の円筒型焼結体を使用した円筒型スパッタリングターゲットを得ることができる。
以上のように、実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットの製造方法によると、成形時の圧力を100MPa以上200MPa以下とすることで、54.5%以上58.0%以下の相対密度の円筒型成形体を得ることができ、該円筒型成形体を焼結することで99.7%以上99.9%以下の非常に高密度な円筒型焼結体を安定して得ることができる。さらに、該円筒型焼結体は高い再現性で製造されるため、隣接する複数の円筒型焼結体間の相対密度の差を0.1%以下にすることができる。
図4は、本発明の実施形態に係る円筒型焼結体の製造方法において、円筒型成形体の密度と円筒型焼結体の密度との関係を示す図である。図4において、横軸は円筒型成形体の密度を示し、縦軸はその円筒型成形体を焼結した円筒型焼結体の密度を示す。図4における円筒型成形体の成形条件は100MPa以上200MPa以下であり、円筒型焼結体の焼結条件は焼結温度1560℃、20hr保持である。また、密度評価はアルキメデス法を使用した。
本発明者らは、鋭意検討した結果、図4のように円筒型焼結体の密度を円筒型成形体の密度の関数で表した場合に、円筒型焼結体の密度が極大値を持つことを見出した。つまり、従来は高密度な円筒型焼結体を得るためには可能な限り高い密度の円筒型成形体を形成する必要があると考えられていたが、より高密度な円筒型焼結体を得るために適した円筒型成形体の密度範囲があることが判明した。特に、ユーザ使用時のアーキング等の不良率を下げるためには、円筒型焼結体の相対密度は99.7%以上であることが望ましく、円筒型成形体の相対密度を54.5%以上58.0%にすることで99.7%以上の相対密度の円筒型焼結体を得ることができる。
[円筒型スパッタリングターゲットの製造]
実施例1では、円筒型ITOターゲット材(円筒型焼結体)を製造する方法について説明する。まず、原料粉末としてBET(Brunauer, Emmet and Teller’s equation)比表面積が4.0〜6.0m/gの4Nの酸化インジウムとBET比表面積が4.0〜5.7m/g以下の4Nの酸化スズとを準備した。ここで、BET比表面積とは、BET法で求めた表面積を表すのもである。BET法とは、窒素、アルゴン、クリプトン、酸化炭素などの気体分子を固体粒子に吸着させ、吸着した気体分子の量から固体粒子の比表面積を測定する気体吸着法である。ここでは、酸化インジウムが90質量%、酸化スズが10質量%となるように原料を秤量した。次にこれらの原料粉末を湿式のボールミルで粉砕し混合した。ここで粉砕メディアとしてジルコニアボールを使用した。混合されたスラリーはスプレードライヤによって急速乾燥造粒した。
次に、上記の造粒工程によって得られた混合物をCIPによる成形によって円筒型に成形した。CIPによる成形時の圧力は150MPaであった。
上記の成形工程によって得られた円筒型成形体の各パラメータは以下の通りである。
・円筒外径(直径)=190mm
・円筒内径(直径)=159mm
・円筒軸方向長さ=280mm
・成形体密度=4.00g/cm
・成形体の相対密度=55.9%
なお、円筒型成形体の相対密度は、円筒型成形体の寸法及び重量から算出している。
次に、CIPによって得られた円筒型成形体を電気炉を使用して焼結した。焼結の条件は以下の通りである。
・昇温速度=300℃/時間
・高温保持温度=1560℃
・高温保持時間=20hr
・焼結時雰囲気=酸素雰囲気
・焼結時圧力=大気圧
上記の焼結工程によって得られた円筒型焼結体の各パラメータは以下の通りである。
・円筒外径(直径)=157mm
・円筒内径(直径)=131mm
・円筒軸方向長さ=230mm
・焼結体密度=7.131g/cm
・焼結体の相対密度=99.7%
つまり、円筒型成形体は焼結工程による収縮率は80%であった。また、実施例1の複数の円筒型焼結体間の相対密度の差は0.03%であった。なお、円筒型焼結体の相対密度の評価方法はアルキメデス法を用いて密度を測定した。
次に、上記の焼結によって得られた円筒型焼結体を円筒研削機を使用して機械加工を行い、円筒型焼結体を形成した。機械加工後の円筒型焼結体の表面粗さはRa=0.35μmであった。なお、表面粗さは表面粗さ計(ミツトヨ製 型式:SJ301)を使用して行った。
次に、機械加工によって形成された2個の円筒型焼結体をバッキングチューブにボンディングすることで円筒型スパッタリングターゲットを形成した。この時にボンディングした2個の円筒型焼結体の相対密度の差は0.1%以下である。ここでバッキングチューブの各パラメータは以下の通りである。
・材質=Ti
・円筒外径(直径)=133mm
・円筒軸方向長さ=300mm
[円筒型スパッタリングターゲットの評価]
上記の方法で作製した円筒型スパッタリングターゲットを用いて、以下の条件で放電試験を行った。具体的には、ターゲット使用率、ノジュール発生の有無及び発生頻度評価、異常放電発生の有無及び発生頻度評価、ターゲット表面の割れ評価を行った。これらの評価は目視検査によって行った。
・アルゴンガス流量=300sccm
・チャンバ圧力=0.5Pa
・パワー密度=4.0W/cm
・成膜温度=200℃(又は「室温」)
実施例1に記載の方法で作製した円筒型スパッタリングターゲットを上記の条件で放電試験を行ったところ、ターゲット使用率は65%まで使用し、ノジュールおよび異常放電の発生はなく、ターゲット表面の割れも確認されなかった。
実施例2では、実施例1とは異なる相対密度を有する円筒型成形体を焼結した円筒型焼結体について説明する。実施例2は、CIPによる成形の圧力、成形体密度以外のパラメータは実施例1と同様であるので、説明を省略する。実施例2では、実施例1と同様の造粒工程によって得られた混合物をCIPによって円筒型に成形した。CIPによる成形時の圧力は170MPaであった。実施例2における円筒型成形体の密度は4.05g/cmであり、成形体の相対密度は56.6%であった。
上記の円筒型成形体を実施例1と同様の工程で焼結することで得られた円筒型焼結体の密度は7.131g/cmであり、焼結体の相対密度は99.7%であった。また、実施例2の複数の円筒型焼結体間の相対密度の差は0.04%であった。
上記の円筒型焼結体を実施例1と同様の工程で機械加工して作製した円筒型スパッタリングターゲットを使用して、実施例1と同様の方法で放電試験を行ったところ、実施例1と同様に、ターゲット使用率は65%まで使用し、ノジュールおよび異常放電の発生はなく、ターゲット表面の割れも確認されなかった。
実施例3では、実施例1とは異なる相対密度を有する円筒型成形体を焼結した円筒型焼結体について説明する。実施例3は、CIPによる成形の圧力、成形体密度以外のパラメータは実施例1と同様であるので、説明を省略する。実施例3では、実施例1と同様の造粒工程によって得られた混合物をCIPによって円筒型に成形した。CIPによる成形時の圧力は180MPaであった。実施例3における円筒型成形体の密度は4.11g/cmであり、成形体の相対密度は57.5%であった。
上記の円筒型成形体を実施例1と同様の工程で焼結して得られた円筒型焼結体の密度は7.131g/cmであり、焼結体の相対密度は99.7%であった。また、実施例3の複数の円筒型焼結体間の相対密度の差は0.06%であった。
上記の円筒型焼結体を実施例1と同様の工程で機械加工して作製した円筒型スパッタリングターゲットを使用して、実施例1と同様の方法で放電試験を行ったところ、実施例1と同様に、ターゲット使用率は65%まで使用し、ノジュールおよび異常放電の発生はなく、ターゲット表面の割れも確認されなかった。
上記の実施例1乃至3に示した円筒型成形体及び円筒型焼結体に対する比較例について、以下に説明する。以下の比較例では、実施例1とは異なる相対密度を有する円筒型成形体を焼結した円筒型焼結体について説明する。以下の比較例は、CIPによる成形の圧力、成形体密度及び焼結体密度以外のパラメータは実施例1と同様であるので、説明を省略する。
[比較例1]
比較例1では、400MPaの圧力でCIPによる成形を行った。比較例1における円筒型成形体の密度は4.40g/cmであり、成形体の相対密度は61.5%であった。上記の円筒型成形体を実施例1と同様の工程で焼結することで得られた円筒型焼結体の密度は7.107g/cmであり、焼結体の相対密度は99.4%であった。上記の円筒型焼結体を使用した円筒型スパッタリングターゲットを使用して、上記の放電試験を行ったところ、ターゲット使用率が65%のときにノジュールおよびアーキングの発生が確認された。
[比較例2]
比較例2では、300MPaの圧力でCIPによる成形を行った。比較例2における円筒型成形体の密度は4.30g/cmであり、成形体の相対密度は60.1%であった。上記の円筒型成形体を実施例1と同様の工程で焼結することで得られた円筒型焼結体の密度は7.107g/cmであり、焼結体の相対密度は99.4%であった。上記の円筒型焼結体を使用した円筒型スパッタリングターゲットを使用して、上記の放電試験を行ったところ、ターゲット使用率が65%のときにノジュールおよびアーキングの発生が確認された。
[比較例3]
比較例3では、78.5MPaの圧力でCIPによる成形を行った。比較例3における円筒型成形体の密度は3.79g/cmであり、成形体の相対密度は53.1%であった。上記の円筒型成形体を実施例1と同様の工程で焼結することで得られた円筒型焼結体の密度は7.121g/cmであり、焼結体の相対密度は99.6%であった。 上記の円筒型焼結体を使用した円筒型スパッタリングターゲットを使用して、上記の放電試験を行ったところ、ターゲット使用率が65%のときにノジュールおよびアーキングの発生が確認された。
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
100:円筒型スパッタリングターゲット
110:円筒型焼結体
120:スペース
130:円筒基材
140:ろう材

Claims (3)

  1. 100MPa以上200MPa以下の冷間静水圧加圧でITOまたはIGZOを含む酸化物円筒型成形体を形成し、
    前記酸化物円筒型成形体を焼結することで酸化物円筒型焼結体を形成することを特徴とする円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。
  2. 前記冷間静水圧加圧によって、相対密度が54.5%以上58.0%以下の前記酸化物円筒型成形体を形成することを特徴とする請求項1に記載の円筒型スパッタリングターゲットの製造方法。
  3. 100MPa以上200MPa以下の冷間静水圧加圧でITOまたはIGZOを含む酸化物円筒型成形体を形成する円筒型成形体の製造方法。

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