JP5968193B2 - マージングユニットおよび解析システム - Google Patents

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Description

本発明は、電力系統から少なくとも電流または電圧の情報を収集するマージングユニットおよびそのマージングユニットに向けられた解析システムに関する。
電力系統から電流や電圧などの情報を収集するとともに、電力系統や電力設備に故障が発生した場合に、当該故障を検知するとともに、当該故障を電力系統から切り離すために、保護リレー装置が用いられている。
このような保護リレー装置において何らかの故障が発生したと判断されたときに、その判断されたタイミングを含む所定期間に亘って、監視対象の信号波形を記録する機能(ログ機能)が搭載されているものが知られている。例えば、特開平03−159515号公報(特許文献1)に開示されている、波形記録機能を具備したデジタル制御・保護リレー解析保守支援装置は、系統事故発生あるいは装置不良発生などをトリガーとして、上記トリガーがかかった場合、そのデータを自動的に転送するなどの機能を搭載している([課題を解決するための手段]の欄の第3段落などを参照)。
ところで、近年の情報通信技術の進歩に伴って、電力系統に係る設備についてもネットワーク化が進んでいる。このようなネットワーク化の一つとして、分散型の保護制御システムが実用化されている。分散型の保護制御システムは、従来の保護リレー装置を機能的に分散させたものであり、典型的には、電力系統から電流や電圧などの情報を収集する1または複数のマージングユニットと、これらのマージングユニットからの情報に基づいて、電力系統を保護、制御、監視するための1つまたは複数の演算装置とからなる。
特開平03−159515号公報
上述のような分散型の保護制御システムは、冗長性、拡張性、保守性などの観点からは優れているが、それぞれ異なる機能を提供する複数の装置で構成されているので、何らかの異常が発生した場合に、いずれの装置がその異常の原因であるかを特定することが難しい。
例えば、従来のデジタル型の保護リレー装置は、入力される電流信号や電圧信号(アナログ信号)をA/D変換(アナログ/デジタル変換:Analog to Digital)した上で、それによって生成されたデジタル波形データを用いて保護リレー演算などの必要な演算を実行し、系統事故の発生を検出する。このような系統事故の発生の検出をトリガーとして、その検出前後の信号波形を記録することは比較的容易である。
これに対して、マージングユニットは、入力される電流信号や電圧信号(アナログ信号)からA/D変換によりデジタル信号を生成し、さらに生成されたデジタル信号をシリアルデータに変換して、通信回線を介して出力する。系統事故の発生などの判定は、その通信回線を介して接続された演算装置が、そのシリアルデータに基づいて実行する。そのため、系統事故の発生前後における電流信号や電圧信号などの信号波形の記録は、系統事故の発生を判定する機能を搭載しないマージングユニットではなく、演算装置で行なわれる。
このような構成を採用した場合、マージングユニットへ入力されるアナログ信号と、マージングユニットから通信回線を介して出力されるシリアルデータを演算装置で受信して得られるデジタル信号とが一致している場合には問題はないが、実際には、マージングユニットの入出力または内部に異常が発生する場合もあり、このような場合には、その異常の原因を特定することが難しい。すなわち、マージングユニットへの入力、マージングユニット内での処理、およびマージングユニットからの出力などの信号波形については記録されない。そのため、演算装置側でデータが異常であると判断された場合、その異常になった原因としては、以下のようなものが想定されるが、いずれが本来の原因であるかを特定することは容易ではない。
(1)マージングユニットへ入力される電流信号または電圧信号(アナログ信号)自体に異常がある
(2)マージングユニットを構成する内部のハードウェアに異常がある
(3)通信回線に異常がある
(4)演算装置の受信回路に異常がある
このように、従来のマージングユニットおよびマージングユニットを含む分散型の保護制御システムでは、何らかの異常が発生した場合に、その原因を特定することが難しく、その発生した異常を除去するために多大な労力を要するという課題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、マージングユニットおよび演算装置を含む分散型の保護制御システムにおいて、何らかの異常が発生した場合に、その異常原因をより容易に特定できるマージングユニットおよびそれに向けられた解析システムを提供することである。
本発明のある局面に従えば、電力系統から少なくとも電流または電圧の情報を収集するマージングユニットが提供される。マージングユニットは、電力系統から取得されるアナログ信号を処理して電力系統の状態を示すデジタルデータを出力する入力処理部と、デジタルデータを通信回線を介して演算装置へ送信する送信処理部とを含む。演算装置は、デジタルデータが予め定められた第1の条件を満たすと、電力系統に異常が発生していると判断するように構成される。マージングユニットは、デジタルデータが予め定められた第2の条件を満たすか否かを判断し、第2の条件が満たされると、その満たされたタイミングを基準とする所定期間に亘ってデジタルデータを格納するとともに、デジタルデータを格納したことを通知する判断部とを含む。
本発明の別の局面に従えば、電力系統から少なくとも電流または電圧の情報を収集するマージングユニットが提供される。マージングユニットは、電力系統から取得されるアナログ信号を処理して電力系統の状態を示すデジタルデータを出力する入力処理部と、デジタルデータが予め定められた第2の条件を満たすか否かを判断し、の第2の条件が満たされると満たされたタイミングを基準とする所定期間に亘ってデジタルデータを格納するとともに、デジタルデータを格納したことを通知する判断部とを含む。
本発明のさらに別の局面に従う解析システムは、電力系統から少なくとも電流または電圧の情報を収集するマージングユニットと、マージングユニットと通信回線を介して接続される演算装置と、マージングユニットおよび演算装置と通信可能な解析装置とを含む。マージングユニットは、電力系統から取得されるアナログ信号を処理して電力系統の状態を示すデジタルデータを出力する入力処理部と、デジタルデータを演算装置へ送信する送信処理部とを含む。演算装置は、デジタルデータが予め定められた第1の条件を満たすか否かを判断し、第1の条件が満たされると、電力系統に異常が発生していると判断する第1の判断部を含む。マージングユニットは、さらに、デジタルデータが予め定められた第2の条件を満たすか否かを判断し、第2の条件が満たされると、その満たされたタイミングを基準とする所定期間に亘ってデジタルデータを格納するとともに、デジタルデータを格納したことを通知する第2の判断部を含む。第1の判断部は、さらに、マージングユニットにおいてデジタルデータが格納されたことが通知されることに応答して、その通知されたタイミングを基準とする所定期間に亘ってデジタルデータを格納する。解析装置は、マージングユニットおよび演算装置のそれぞれから格納されているデジタルデータを取得するとともに、取得されたデジタルデータに対して解析を実行する解析部を含む。
本発明によれば、マージングユニットおよび演算装置を含む分散型の保護制御システムにおいて、何らかの異常が発生した場合に、その異常原因をより容易に特定できる。
本実施の形態に従うマージングユニットを含む保護制御システムの全体構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う解析システムのシステム構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う解析システムにおいて格納されるログデータの一例を示す図である。 本実施の形態に従う解析システムが提供する解析結果の一例を示す図である。 本実施の形態に従う解析システムが提供する解析結果の一例を示す図である。 本実施の形態に従う解析システムにおいて実行される処理手順を示すシーケンス図である。 本実施の形態に従うマージングユニットの構成を示す模式図である。 本実施の形態に従うマージングユニットから出力されるシリアルデータのデータ構造例を示す模式図である。 本実施の形態に従うIEDの構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う解析装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態に従うマージングユニットの別構成を示す模式図である。 本実施の形態に従うマージングユニットの別構成を示す模式図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
[A.全体システム]
まず、本実施の形態に従うマージングユニット(Merging Unit:以下「MU」とも記す。)を含む保護制御システムの全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態に従うマージングユニットを含む保護制御システムの全体構成を示す模式図である。図1を参照して、保護制御システム1は、変電所や配電所等に設けられ、電力系統の情報を収集するとともに、収集した情報に基づいて、電力系統の保護、制御、監視等の処理を実行する。より具体的には、保護制御システム1は、電力系統から電流や電圧などの情報を収集する複数のマージングユニット10−1〜10−5(以下、「マージングユニット10」と総称する場合もある。)と、電力系統の保護、制御、監視するための複数の演算装置(Intelligent Electric Device:以下「IED」とも称す。)20−1〜20−N(以下、「IED20」と総称する場合もある。)とを含む。マージングユニット10−1〜10−5とIED20−1〜20−Nとの間は、プロセスバス32を介して、互いにデータ通信可能になっている。一般的な保護制御システムでは、用途(例えば、保護の対象や制御の対象毎)に応じて複数のIED20が配置される。このような用途別のIEDとしては、例えば、保護機能を実現する保護IEDや、制御機能を実現する制御IEDが挙げられる。
各マージングユニット10は、収集した電力系統からの情報を対応のIED20へ送出する。IED20は、それぞれのマージングユニット10からの情報に基づいて、電力系統の保護、制御、監視等の処理を実行する。例えば、保護機能を提供するIED20は、予め定められたリレー演算ロジックが成立するかを所定周期毎に判断するとともに、リレー演算ロジックが成立すると、対応する遮断器に対してトリップ信号を出力する。このトリップ信号は、プロセスバス32を介して伝送されてもよい。IED20は、制御機能の一例として、電力系統における開閉器の投入/開放などの指令を出力することもできる。さらに、IED20は、監視機能の一例として、電力系統や電力設備に何らかの故障が発生した場合に、その発生前後における電力系統の情報の波形記録(ロギング)を行なうこともでき、また、電力系統の状態をリアルタイムで出力することもできる。例えば、IED20は、ステーションバス34を介して、変電所自動化システム(Substation Automation System:SAS)36および遠方監視制御装置26と接続される。IED20は、変電所自動化システム36へ電力系統の情報を出力することもでき、また、遠方監視制御装置26を介して、対象の電力設備から離れた遠方制御所28へ電力系統の情報を出力することもできる。さらに、IED20には、上述した処理以外の任意の処理を実装することもできる。例えば、IED20を用いて、変電所自動化システム36に相当する機能を実現してもよい。
図1には、電力設備の一例として、電力系統を構成する電力送電線2を介して変圧器3の一次側へ電力が供給され、変圧器3によって電圧変換(降圧)されて得られた電力が供給線4を介して、母線5へ供給される構成を示す。母線5には、複数の配電線が接続されており、それぞれの配電線を介して負荷へ電力が供給される。保護制御システム1は、このような電力設備を保護、制御、監視する。
具体的には、電力送電線2には、遮断器6−1が設けられるとともに、変流器(Current Transformer:CT)7−1および計器用変圧器(Potential Transformer:PT/Voltage Transformer:VT)8−1が設けられている。変流器7−1は、電力送電線2を流れる電流の情報(電流波形)を測定する。計器用変圧器8−1は、電力送電線2に生じる電圧の情報(電圧波形)を測定する。説明の便宜上図示していないが、三相交流の場合には、各相について、計器用変圧器を設けてもよい。変流器7−1および計器用変圧器8−1のそれぞれが測定した情報は、マージングユニット10−1へ入力される。すなわち、マージングユニット10−1は、電力送電線2を流れる電流の情報および電力送電線2に生じる電圧の情報を収集する。
同様に、供給線4には、遮断器6−2が設けられるとともに、変流器7−2および計器用変圧器8−2が設けられている。変流器7−2および計器用変圧器8−2のそれぞれが測定した情報は、マージングユニット10−2へ入力される。
母線5には、複数の配電線が接続されており、それぞれの配電線には、遮断器6−3,6−4,6−5が設けられるとともに、対応する負荷または途中の配電経路での故障を検知できるように、変流器7−3,7−4,7−5および計器用変圧器8−3,8−4,8−5がそれぞれ設けられている。変流器7−3,7−4,7−5および計器用変圧器8−3,8−4,8−5の各々が測定した情報は、マージングユニット10−3〜10−5へそれぞれ入力される。すなわち、マージングユニット10−3〜10−5は、母線5に接続される各配電線を流れる電流の情報および各配電線に生じる電圧の情報を収集する。
以下に説明するように、本実施の形態に従うマージングユニット10は、電力系統から収集される電流や電圧などの情報に基づいて、何らかの異常が発生しているか否かを所定周期毎に判断しており、異常が発生したと判断した場合には、その発生前後における電力系統の情報の波形記録を行なうことができる。この記録された情報は、ステーションバス34を介して、変電所自動化システム36に接続された解析装置30へ送信される。解析装置30は、IED20からも記録された情報を収集し、マージングユニット10およびIED20のそれぞれで収集された情報に基づいて、何らかの異常が発生した場合に、その原因を特定することを支援する。
このように、保護制御システム1は、マージングユニット10、IED20および解析装置30からなる解析システムを含む。以下、本実施の形態に従う解析システムについて説明する。
[B.解析システム]
まず、本実施の形態に従う解析システム100の概要について説明する。
(b1:概要)
図2は、本実施の形態に従う解析システム100のシステム構成を示す模式図である。図2を参照して、解析システム100は、主として、マージングユニット10、IED20および解析装置30からなる。
マージングユニット10は、電力系統から少なくとも電流または電圧の情報を収集するとともに、当該収集した電力系統からの情報が予め定められた条件に合致するか否かを所定周期毎に監視する。この予め定められた条件は、電力系統や電力設備に何らかの異常が発生したか否かを判断するためのものであり、IED20の監視機能が用いるリレー演算ロジックに類似した条件を含む。但し、マージングユニット10は、基本的に、電力系統からの情報を収集するためのものであり、演算処理の能力はそれほど高くない。そのため、IED20の監視機能において用いられる条件(リレー演算ロジック)に比較して、より簡素化された条件が用いられる。
マージングユニット10は、電力系統や電力設備に何らかの異常が発生したと判断すると、その発生前後における電力系統の情報の波形を記録することができる。後述するように、マージングユニット10は、所定のサンプリング周期毎に電力系統からの情報を収集しており、この収集した情報を所定期間に亘ってバッファリングしている。電力系統や電力設備に何らかの異常が発生した場合に、その原因を特定するためには、その異常発生の直前の情報も必要である。そこで、マージングユニット10は、電力系統や電力設備に何らかの異常が発生したと判断されたタイミングを基準とする所定期間に亘って、電力系統からの情報を格納する。このとき、バッファリングしているデータのうち、必要な期間のデータを格納することになり、このデータの格納に係る動作/処理を、以下では「データフリーズ」とも称す。また、このデータフリーズによって格納されるデータを、以下では「ログデータ」とも称す。
例えば、データフリーズの実行によって、異常発生時を基準として、その前0.2secからその後1.8secの計2.0sec分のログデータが格納される。このデータフリーズされる区間(ログデータの長さおよびオフセット)は任意に設定できる。
本実施の形態に従う解析システム100においては、IED20も電力系統の情報をデータフリーズできる。マージングユニット10と同様に、IED20は、電力系統からの情報に基づいて、予め定められた条件(リレー演算ロジック)が成立するかを所定周期毎に判断するとともに、リレー演算ロジックが成立すると、対応する遮断器に対してトリップ信号を出力する。併せて、予め定められた条件が成立すると判断されたタイミングを基準とする所定期間に亘って、電力系統からの情報を格納する。また、IED20には、遮断器に対してトリップ信号を出力はしないが、電力系統や電力設備に何らかの異常が発生したことを検出するための条件が設定されている場合もあり、この条件が成立したときも、その発生タイミングを基準とする所定期間に亘って、電力系統からの情報を格納する。
このように、解析システム100においては、マージングユニット10およびIED20がそれぞれ波形記録機能を有している。何らかの異常が発生した場合に、その異常発生の原因を特定するためには、マージングユニット10およびIED20が格納したログデータを比較することが有効である。この比較を行なうためには、対象のログデータ間で時間的な対応付けを行なう必要がある。
そこで、本実施の形態に従う解析システム100においては、マージングユニット10がデータフリーズを行なうと、データフリーズが実行されたことがIED20へ通知される。以下では、この通知を「フリーズ信号」とも称す。IED20は、マージングユニット10からフリーズ信号を受信すると、当該フリーズ信号を受信したタイミングを基準とする所定期間に亘って、データフリーズを行なう。このような構成を採用することによって、マージングユニット10およびIED20は、共通のトリガーが生じたタイミングに関連付けて、それぞれログデータを格納できる。これによって、ログデータ間の関連付け(すなわち、レコードの同期)を容易に行なうことができる。
基本的には、マージングユニット10に設定されるロギングの開始条件は、IED20に設定されるロギングの開始条件に比較して緩和されており、同一の電力系統からの情報に対して、マージングユニット10の方がより高い感度でデータフリーズを行なうことが想定されている。すなわち、多くの場合、IED20がデータフリーズを行なう際には、マージングユニット10もデータフリーズを行なうと想定されるので、マージングユニット10からIED20に対して、フリーズ信号を出力すれば、多くの場合、発生した異常の解析には十分である。
但し、マージングユニット10に設定される開始条件と、IED20に設定される開始条件とは、同一ではないので、IED20がデータフリーズを行なったにもかかわらず、マージングユニット10がデータフリーズを行なわない可能性もある。このような場合には、IED20がデータフリーズを行なったことをマージングユニット10へ通知することが好ましい。このとき、マージングユニット10は、IED20が遮断器に対して出力するトリップ信号に基づいてデータフリーズを行なってもよいし、IED20が出力するフリーズ信号に基づいてデータフリーズを行なってもよい。
解析装置30は、マージングユニット10およびIED20からログデータをそれぞれ取得し、データ解析を実行する。このデータ解析の詳細については、後述する。
(b2:システム構成)
次に、図2を参照して、解析システム100を構成する各部位の機能構成について説明する。
マージングユニット10は、その機能構成として、入力処理部11と、送信処理部12と、判断部13とを含む。
入力処理部11は、電力系統から収集される電流信号や電圧信号(アナログ信号)を処理して電力系統の状態を示すデジタルデータ(典型的には、電流データや電圧データ)を出力する。より具体的には、入力処理部11は、予め定められたサンプリング周期毎にアナログ信号をサンプリングして量子化する。入力処理部11に含まれるA/D変換部のサンプリングタイミングおよび/またはサンプリング周期については、IED20からの同期信号によって制御される。
また、入力処理部11は、IED20からのフリーズ信号およびトリップ信号を受信し、それぞれの信号の受信を判断部13へ通知する。
送信処理部12は、入力処理部11から出力されるデジタルデータを通信回線(図1に示すプロセスバス32)を介してIED20へ送信する。送信処理部12から送信されるデジタルデータとしては、典型的には、測定値をサンプリング周期毎に時系列に並べたシリアルデータが用いられる。プロセスバス32は、電気信号の形でデータを伝送する構成であってもよいが、本実施の形態においては、光ファイバを用いて光信号の形でデータを伝送する構成であるとする。
判断部13は、入力処理部11から出力されるデジタルデータが予め定められた条件14を満たすか否かを判断し、条件14が満たされると、その条件14が満たされたタイミングを基準とする所定期間に亘ってデジタルデータをログデータ16として格納部15に格納する。この条件14は、電力系統や電力設備に何らかの異常が発生したことを検出するためのフリーズ条件を含む。併せて、判断部13は、デジタルデータを格納したことをIED20へ通知する。すなわち、判断部13は、送信処理部12から通信回線を介してフリーズ信号をIED20へ送信する。
また、判断部13は、IED20からトリップ信号またはフリーズ信号を受信すると、すなわち、IED20においてデジタルデータが格納されたことが通知されると、その通知タイミングを基準とする所定期間に亘ってデジタルデータをログデータ16として格納部15に格納する。このとき、判断部13は、デジタルデータとともに、IED20から通知されたタイミングを示す情報を格納する。
IED20は、その機能構成として、判断部21を含む。判断部21は、マージングユニット10から送信されたデジタルデータ(電流データや電圧データ)が予め定められた条件22−1,22−2を満たすか否かを判断し、条件22−1または22−2が満たされると、電力系統に異常が発生していると判断する。そして、IED20は、条件22−1または22−2が満たされたタイミングを基準とする所定期間に亘ってデジタルデータをログデータ24として格納部23に格納する。また、判断部21は、デジタルデータを格納したことをマージングユニット10へ通知する。
条件22−1は、電力系統に生じた故障を除去するための機構(典型的には、遮断器)を作動させるための条件が想定されている。すなわち、条件22−1は、トリップ信号を出力するためのトリップ条件を含む。また、条件22−2は、電力系統に生じた故障を除去するための機構(典型的には、遮断器)を作動させないが、電力系統に故障が生じたことを検出するための条件が想定されている。すなわち、条件22−2は、電力系統や電力設備に何らかの異常が発生したことを検出するためのフリーズ条件を含む。
但し、条件22−2については、IED20の監視機能の観点からは必ずしも必要ではない。そのため、使用状況に応じて、条件22−1、すなわちトリップ条件のみが実装される場合もある。
このように、判断部21は、データフリーズを行なったことの通知として、トリップ信号および/またはフリーズ信号をマージングユニット10へ送信する。
基本的には、マージングユニット10に設定されるロギングの開始条件(条件14)は、IED20に設定されるロギングの開始条件(条件22−1,22−2)に比較して緩和されている。すなわち、条件14は、条件22−1,22−2に比較して、より簡素化された条件を含む。例えば、条件14は、デジタルデータが示す値の時間的変化が予め定められた度合いを越えることを含む。より具体的には、条件14は、電力系統から収集された電流信号または電圧信号を時間について1次微分(差分)値が予め定められたしきい範囲を超えるか否か、あるいは、電力系統から収集された電流信号または電圧信号を時間について2次微分(差分)値が予め定められたしきい範囲を超えるか否かといった条件を含む。このような条件を用いることで、電力系統において、定常状態とは異なる値が生じていることを検出できる。
解析装置30は、マージングユニット10およびIED20と通信可能に構成される。解析装置30は、マージングユニット10およびIED20のそれぞれから格納されているデジタルデータ(ログデータ16およびログデータ24)を取得するとともに、取得されたデジタルデータに対してデータ解析を実行する。
(b3:ログデータの例)
次に、解析システム100において格納されるログデータについて説明する。
図3は、本実施の形態に従う解析システム100において格納されるログデータの一例を示す図である。図3(a)には、マージングユニット10において格納されたログデータ16の一例を示し、図3(b)には、IED20において格納されたログデータ24の一例を示す。
図3(a)に示すログデータ16は、電力系統から収集されたデジタルデータが条件14(フリーズ条件)を満たすとマージングユニット10が判断したことをトリガーとして格納されたものであり、このトリガーとなった、マージングユニット10が出力したフリーズ信号とともに、電力系統から収集された信号波形(この例では、電圧波形)が格納される。ログデータ16には、IED20からのトリップ信号およびフリーズ信号も併せて格納される。
図3(a)には、何らかの異常が発生したと判断されたタイミングの前の(時間T2−時間T1)分と、何らかの異常が発生したと判断されたタイミングの後の時間T1分とを、ログデータ(全体として時間T2)として格納する例を示す。このようなログデータの格納に係る実装形態としては、電力系統から収集されるデジタルデータを時間T2に亘ってバッファリングできるバッファメモリを用意しておき、ログデータのトリガータイミングから時間T1後に、当該バッファメモリの内容を出力(フリーズ)することで、トリガータイミングから時間T1が経過するまでの内容(合計として時間T2分)をログデータとして格納できる。なお、典型的には、時間T1は、数100msec(場合により、数秒)程度に設定され、時間T2は、時間T1+数100msec程度に設定される。
図3(b)に示すログデータ24は、マージングユニット10からのフリーズ信号をトリガーとして格納されたものであり、このトリガーとなった、マージングユニット10からのフリーズ信号とともに、電力系統から収集された信号波形(この例では、電圧波形)が格納される。ログデータ24には、IED20が出力するトリップ信号およびフリーズ信号も併せて格納される。図3(b)には、何らかの異常が発生したと判断されたタイミングの前の(時間T2’−時間T1’)分と、何らかの異常が発生したと判断されたタイミングの後の時間T2’分とを、ログデータ(全体として時間T2’)として格納する例を示す。ログデータ24に含まれる信号波形の長さとログデータ16に含まれる信号波形の長さとは、必ずしも同一にする必要はなく、利用できるリソースに応じて適宜設計すればよい。
解析装置30は、ログデータ16およびログデータ24に共通に含まれているタイミングを示す情報、例えば、(1)マージングユニット10から出力されるフリーズ信号、(2)IED20から出力されるトリップ信号、(3)IED20から出力されるフリーズ信号、および、(4)それぞれのログデータに含まれる時刻データ(タイムスタンプ)、のうち1つまたは複数を用いて、ログデータ間の関連付け(すなわち、レコードの同期)を行なう。言い換えれば、解析装置30は、ログデータ16およびログデータ24に共通に含まれている情報に基づいて、同期タイミングを取得する。
(b4:解析結果の例)
次に、解析システム100において提供される解析結果について説明する。
図4および図5は、本実施の形態に従う解析システム100が提供する解析結果の一例を示す図である。典型的に、解析装置30によるデータ解析の結果、そのディスプレイなどに図4および図5に示す解析結果が表示される。あるいは、図4および図5に示す解析結果をプリントアウトするようにしてもよい。
図4には、保護制御システム1の全体として正常動作している場合の解析結果を示し、図5には、デジタルデータがマージングユニット10から送信されIED20で受信されるまでの経路上に不具合がある場合の解析結果を示す。
図4に示す解析結果350では、マージングユニット10において電力系統から収集された信号の時間波形(この例では、電圧波形)352と、IED20がマージングユニット10から受信したデジタルデータの時間波形354と、IED20が出力するトリップ信号の時間波形356と、マージングユニット10が出力するフリーズ信号の時間波形358と、IED20が出力するフリーズ信号(実装によっては、フリーズ信号とトリップ信号とが同一の信号になっている場合もある)の時間波形360とが、共通の時間軸に関して表示されている。また、時間波形352と時間波形354とが不一致になった時刻を示す表示機能が実装されてもよい。この波形不一致の表示機能は、各時刻における時間波形352と時間波形354との差分の算出結果に基づいて実現される。
図4に示す解析結果350では、時間波形352と時間波形354との時間波形が一致しており、また、時間波形356からトリップ信号も正常に出力されているので、IED20では、マージングユニット10からの送信データに基づいて、保護機能が正しく実行されたことを検証できる。
これに対して、図5に示す解析結果370においても、マージングユニット10において電力系統から収集された信号の時間波形372と、IED20がマージングユニット10から受信したデジタルデータの時間波形374と、IED20が出力するトリップ信号の時間波形376と、マージングユニット10が出力するフリーズ信号の時間波形378と、IED20が出力するフリーズ信号の時間波形380とが、共通の時間軸に関して表示されている。
解析結果370においては、時間波形372と時間波形374との波形一致率373が悪化していることがわかる。図5に示す時間波形374では、正弦波の波形に対して瞬時的電圧低下375が生じていることがわかる。そして、この瞬時的電圧低下375によって、時間波形376に示すトリップ信号が出力されていることがわかる。これに対して、時間波形372では、このような瞬時的電圧低下375が生じていないので、マージングユニット10から送出され、IED20で受信されるまでの経路において、不具合があることが特定できる。
図5に示す解析結果370に示すように、マージングユニット10およびIED20がそれぞれ格納したログデータを互いに比較することで、何らかの異常が発生した場合に、保護制御システム1を構成するいずれの装置がその異常の原因であるかを容易に特定できる。
(b5:処理手順)
次に、解析システム100において実行される処理手順について説明する。解析システム100を構成するマージングユニット10およびIED20の各々は、少なくとも2つのメモリ領域(バッファメモリ)を有しているとする。一方のメモリ領域は、データフリーズの実行にかかわりなく、データ送信や保護機能などに用いられる。他方のメモリ領域では、フリーズ条件が成立すると最新データから一定期間に亘ってデータがさらに蓄積されるとともに、そのフリーズ条件が成立してから時間T1(図3参照)後に当該データの蓄積が停止される。その蓄積されたデータは、保存のためセーブ用エリアへ転送される。そして、再度データの蓄積が開始される。
図6は、本実施の形態に従う解析システム100において実行される処理手順を示すシーケンス図である。図6を参照して、解析システム100においては、マージングユニット10、IED20および解析装置30の間で、各種情報が遣り取りされる。
まず、マージングユニット10は、電力系統から電流や電圧などの情報を収集し(シーケンスSQ100)、この収集した情報をデジタルデータへ変換した上で、所定期間に亘ってバッファリングする(シーケンスSQ102)。並行して、マージングユニット10は、電力系統から収集した電流や電圧などの情報を示すデジタルデータをIED20へ送信する(シーケンスSQ104)。マージングユニット10からデジタルデータを受信したIED20は、受信したデジタルデータを復号の上、所定期間に亘ってバッファリング(バッファメモリにデータ蓄積)する(シーケンスSQ106)。
また、マージングユニット10は、バッファリングされた電力系統からの情報に基づいて、予め定められた条件(フリーズ条件)の成立/非成立を判定する(シーケンスSQ108)。フリーズ条件が成立していれば(シーケンスSQ108において「成立」)、マージングユニット10は、自装置にてフリーズ条件が成立したことを通知するためのフリーズ信号をIED20へ送信する(シーケンスSQ112)。フリーズ条件が成立していなければ(シーケンスSQ108において「非成立」)、以降の処理はスキップされる。そして、シーケンスSQ100以下の処理が繰り返される。
並行して、IED20は、バッファリングされた電力系統からの情報に基づいて、予め定められた条件(フリーズ条件)の成立/非成立を判定するとともに、トリップ条件の成立/非成立を判定する(シーケンスSQ110)。フリーズ条件が成立していれば(シーケンスSQ110においてフリーズ条件「成立」)、IED20は、自装置にてフリーズ条件が成立したことを通知するためのフリーズ信号をマージングユニット10へ送信する(シーケンスSQ114)。また、トリップ条件が成立していれば(シーケンスSQ110においてトリップ条件「成立」)、IED20は、自装置にてトリップ条件が成立したことを通知するためのトリップ信号をマージングユニット10へ送信する(シーケンスSQ116)。
フリーズ条件が成立していなければ(シーケンスSQ110においてフリーズ条件「非成立」)、あるいは、トリップ条件が成立していなければ(シーケンスSQ110においてトリップ条件「非成立」)、シーケンスSQ130以下の処理はスキップされる。そして、シーケンスSQ106以下の処理が繰り返される。
一方、マージングユニット10は、フリーズ条件が成立していれば(シーケンスSQ120に到達の場合)、データフリーズ開始を指示する(シーケンスSQ122)。このデータフリーズの指示によって、デジタルデータの蓄積を継続し、ログデータが格納される(シーケンスSQ124)。これと並行して、フリーズ条件が成立してから所定時間(時間T1)が経過すると、マージングユニット10は、データフリーズ解除を指示する(シーケンスSQ126)。そして、シーケンスSQ100以下の処理が繰り返される。
また、IED20は、フリーズ条件が成立していれば(シーケンスSQ130に到達の場合)、データフリーズ開始を指示する(シーケンスSQ132)。このデータフリーズの指示によって、デジタルデータの蓄積を継続し、ログデータが格納される(シーケンスSQ134)。これと並行して、フリーズ条件が成立してから所定時間(時間T1)が経過すると、IED20は、データフリーズ解除を指示する(シーケンスSQ136)。
ユーザなどからの操作に応答して、解析装置30は、マージングユニット10に格納されているログデータ16およびIED20に格納されているログデータ24を取得し(シーケンスSQ140)、データ解析を実行する(シーケンスSQ142)。
この解析装置30によるデータ解析(シーケンスSQ140およびSQ142)については、いずれのタイミングで実行されてもよい。
[C.マージングユニット]
次に、本実施の形態に従うマージングユニット10についてより詳細に説明する。図7は、本実施の形態に従うマージングユニット10の構成を示す模式図である。
(c1:構成)
再度図1を参照して、電力送電線や母線などに設けられた変流器7および/または計器用変圧器8からの測定値(アナログ信号)がマージングユニット10へ入力される。マージングユニット10(通常、Bay単位に設置される)は、電力系統の電流情報および/または電圧情報を収集し、収集した情報を示すデジタルデータをIED20へ外部出力する。このデジタルデータとしては、典型的には、測定値をサンプリング周期毎に時系列に並べたシリアルデータが用いられる。言い換えれば、マージングユニット10は、電力系統の電流波形信号および/または電圧波形信号を入力とし、A/D変換後にシリアルデータとして通信回線(プロセスバス32)を介して出力する。
図7を参照して、マージングユニット10は、入力変換部121と、アナログフィルター122と、A/D変換部123と、データ処理部124と、E/O変換部125と、通信インターフェイス126と、受信部127とを含む。データ処理部124は、バッファメモリ1241と、制御部1242と、変化検出部1243と、データ格納部1244と、サンプリング制御部1245とを含む。
データ処理部124は、典型的には、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルなハードウェアデバイスを用いて実現される。あるいは、プロセッサがプログラムを実行することで実現してもよい。その他のコンポーネントは、基本的には、ハードウェア回路で実現されるが、その一部をソフトウェア処理してもよい。また、図7は、マージングユニットの機能構成に着目した模式図であり、複数のコンポーネントが単一の回路(あるいは、デバイス)として実装される場合もある。
図2の入力処理部11は、入力変換部121、アナログフィルター122、A/D変換部123、通信インターフェイス126、および、受信部127に対応し、送信処理部12は、データ処理部124およびE/O変換部125に対応し、判断部13は、変化検出部1243およびデータ格納部1244に対応する。
入力変換部121は、変流器7(図1)により測定された電流信号および/または計器用変圧器8(図1)により測定された電圧信号を、内部回路を外部から絶縁するとともに、所定範囲内の内部電圧信号に変換して出力する。アナログフィルター122は、入力変換部121により出力される内部電圧信号から不要な周波数成分(典型的には、高調波成分)を除去する。A/D変換部123は、アナログフィルター122で不要な周波数成分が除去された後の内部電圧信号をデジタル信号に変換して出力する。
説明の便宜上、図7には明示していないが、入力変換部121およびアナログフィルター122については、マージングユニット10に入力されるアナログ信号の数だけ設けてもよい。その上で、複数のアナログフィルター122からそれぞれ出力される複数の内部電圧信号に対して、マルチプレクサ回路(図示せず)などによって所定順序で1つの内部電圧信号を順次選択してA/D変換部123へ出力するようにしてもよい。このような構成を採用することで、単一のA/D変換部123を用いて、複数のアナログ信号に対応するそれぞれのデジタル信号を得ることができる。
また、A/D変換部123には、IED20からのトリップ信号および/またはフリーズ信号が入力されてもよい。
データ処理部124は、この入力処理部からのデジタル信号を信号処理する。より具体的には、A/D変換部123から出力されるデジタル信号は、バッファメモリ1241に一旦格納される。このバッファメモリ1241への格納と並行して、データ格納部1244へもデータが連続的に格納される。制御部1242は、バッファメモリ1241に格納されるデジタル信号から、プロセスバス32として規定されるプロトコルに従うデジタルデータ(例えば、上述したようなシリアルデータ)を生成する。具体的には、電流信号および/または電圧信号をサンプリング順に一列に並べたデータ構造を有している。デジタルデータとして格納される値は、実際の電力系統の1次値(例えば、電流では単位[mA]、電圧では単位[10mV])であってもよいし、2次値、または、任意の単位でもよい。さらに、1つのデジタルデータには1つのアナログ信号の情報を含めるようにしてもよいし、複数のアナログ信号の情報を1つのデジタルデータに格納するようにしてもよい。
図8は、本実施の形態に従うマージングユニット10から出力されるシリアルデータのデータ構造例を示す模式図(但し、この模式図では、プロセスバス通信に必要なデータを含まず、アナログデータ部のみを示す)である。図8に示すシリアルデータでは、単位時間(例えば、1秒)毎にサンプリングの順番を示すサンプリング番号が先頭に付与され、対応するサンプリングタイミングにおいて収集された情報を示す値が続くフレームに格納されている。このサンプリング番号は、単位時間当たりのサンプリング数(例えば、サンプリング周波数が4kHzであれば、0〜3999)が格納される。
再度図7を参照して、E/O変換部125は、データ処理部124(制御部1242)により生成されるシリアルデータをIED20へ送信する。すなわち、E/O変換部125は、データ処理部124(制御部1242)が生成したデジタルデータを伝送信号(光信号)に変換し、変換によって得られる光信号を、通信回線(プロセスバス32)を介して送出する。
A/D変換部123でのA/D変換タイミングは、IED20からの同期信号、または、外部からの時刻同期信号に基づいて制御される。但し、複数のマージングユニット間でサンプリング同期を必要としない場合には、内部クロック信号によって制御可能な場合がある。ここでは、例として、IED20からの同期信号による方式で説明する。すなわち、受信部127は、IED20からの同期信号を受信し、当該受信した同期信号をデータ処理部124(サンプリング制御部1245)へ出力する。データ処理部124のサンプリング制御部1245は、IED20からの同期信号によって指定されるタイミングに基づいて、A/D変換の開始やリセットなどの指令、マルチプレクサ回路がある場合にはその入力切替順序を決めるマルチプレクサ用切替制御信号など、すなわちサンプリング制御信号を、A/D変換部123へ与える。IED20からの同期信号には、A/D変換部123におけるサンプリング周期などの指令を含めてもよい。
バッファメモリ1241に格納されたデジタル信号は、サンプリング制御部1245からの指令に従って、制御部1242および変化検出部1243へ供給される。制御部1242はシリアルデータを生成し、変化検出部1243は、予め定められた条件に合致するか否かを所定周期毎に監視する。より具体的には、変化検出部1243は、供給されるデジタル信号の時間的変化が予め定められた度合いを越えるか否かを所定周期毎に判断する。言い換えれば、変化検出部1243は、マージングユニット10へ入力される時間波形データが急変したことを検出する。変化検出部1243における検出ロジックについては、後述する。
入力される時間波形が急変したと判断されると、変化検出部1243は、バッファメモリ1241と同様にA/D変換部123から出力されるデジタル信号が格納されるデータ格納部1244に対して、その急変したと判断されたタイミングから時間T1後に、そのデータ更新を停止させる。データ格納部1244は、時間T2(但し、T2>T1)分のデジタル信号を格納することが可能であるとすると、時間波形の急変の検出前として(時間T2−時間T1)分、および、時間波形の急変の検出後として、時間T1分の合計、時間T2の時間波形データが格納されることになる。この格納される時間波形データが上述のログデータ16となる。
変化検出部1243は、時間波形の急変を検出したことを制御部1242へ通知する。制御部1242は、E/O変換部125を通じて、フリーズ信号をIED20へ送信する。
(c2:フリーズ条件)
次に、変化検出部1243における検出ロジック(フリーズ条件)の一例について説明する。上述したように、マージングユニット10におけるフリーズ条件は、電力系統や電力設備に何らかの異常が発生したことを検出するためのものであり、基本的には、IED20におけるトリップ条件に比較して緩和されている。このようなトリップ条件としては、例えば、以下のような判定方法を用いて、デジタル信号の時間的変化が予め定められた度合いを越えるか否かを周期的に判断する。
(i)1次の時間微分(時間差分)を用いる方法
例えば、バッファメモリ1241に格納されるデジタル信号の数をnとすると、デジタル信号の振幅値は、時系列に、V(t),V(t−1),V(t−2),…,V(t−(n−1))と並ぶ。ここで、V(t)は、最新値であり、V(t−(n−1))が(n−1)回分のサンプリング前の値である。また、入力される交流信号の1サイクルのサンプリング数がm(m≦n)であれば、1サイクル前の振幅値は、V(t−(m−1))となる。
一般的に、系統事故や遮断器の動作が生じない限り、電力系統の電流および電圧は、1サイクル程度ではほぼ同じ瞬時値と考えられるので、例えば、以下のような式を用いて、電力系統や電力設備での異常の発生を検出できる。
Vd(t)=|V(t)−V(t−(m−1))|≧α1
但し、α1は、検出しきい値である。
なお、上記のVd(t)は、電圧の1次時間微分(δV(t)/δt))に比例する。
検出しきい値α1は、通常の交流信号による変化より大きく、かつ、系統事故時に生じる変化のうち最も少ない変化(例えば、抵抗性事故における変化)より小さくなるように設定される。
(ii)2次の時間微分を用いる方法
電力系統内に周波数変動が予想される場合には、上記のVd(t)を用いた場合には、その周波数変動によって1サイクル前の瞬時値も比較的大きな値が生じるため、誤検知する可能性がある。このような誤検知を回避する方法として、以下に示すような、V(t)の2次の時間微分を用いて判断してもよい。
Vdd(t)=|Vd(t)−Vd(t−(m−1))|≧α2
但し、α2は、検出しきい値である。
なお、上記のVdd(t)は、電圧の2次の時間微分(δ(δV(t)/δt)/δt)に比例する。
電力系統が正常である場合には、電力系統に生じる周波数変動も非常にゆっくりであるので、このような2階微分を用いることで、周波数変動に影響されず、マージングユニット10へ入力される時間波形データの急変を検出できる。
(iii)その他の方法
電力系統から収集されるデジタル信号が複数のある場合には、各デジタル信号における急変の有無をOR演算(論理和)を用いて一つの結果に統合すればよい。なお、マージングユニット10へ入力される信号が電力系統の3相分である場合には、対称座標法における非平衡合成量である零相入力、あるいは、逆相入力のレベルに基づいて判定してもよい。
(c3:利点)
図7に示すマージングユニット10は、電力系統の電流信号および/または電圧信号を入力とし、A/D変換後のデジタル信号からシリアルデータを生成して、通信回線(図1に示すプロセスバス32)を介して出力する。マージングユニット10は、デジタル信号が急変時に、電流信号または電圧信号から生成されるデジタル信号を順次格納するデータ格納部1244をフリーズする。これによって、何らかの異常が発生した場合に原因を特定するためのログデータ16を取得できる。
すなわち、マージングユニット10は、波形記録機能として、変化検出部1243と波形記録用のデータ格納部1244とを有している。A/D変換後のデジタル信号に通常の交流信号の入力とは異なる急激な変化を検出すると、それがデータ格納部1244へのデータ格納のトリガーとなり、トリガー前後の所定期間に亘って波形データが格納される。
本実施の形態に従うマージングユニット10は、電力系統の電流信号および/または電圧信号をA/D変換して得られるデジタル信号の時間的変化が予め定められた度合いを越えるか否かを所定周期毎に判断する。そして、時間的変化が予め定められた度合いを越えた場合には、データ格納部1244を所定時間後にフリーズし、そのフリーズしたタイミングでデータ格納部1244に格納されているデジタル信号をログデータとして取得する。この取得されたログデータは、外部の解析装置30などから読み出し可能になっている。そのため、IED20におけるトリップ条件やフリーズ条件の判断とは独立して、独自の判断基準で、波形記録(ロギング)が可能である。
また、フリーズした際には、ログデータに付随している時刻データにより同期をとったり、フリーズ信号によって時刻同期をとったりして、解析装置30において、マージングユニット10に格納されるログデータと、IED20に格納されるログデータとの間を同期させることが容易になる。
[D.演算装置(IED20)]
次に、本実施の形態に従うIED20についてより詳細に説明する。図9は、本実施の形態に従うIED20の構成を示す模式図である。図9には、プロセッサベースの構成による実装例を示す。但し、その全部または一部を、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルなハードウェアデバイスを用いて実装してもよいし、LSI(Large Scale Integration)などで実現される専用回路を用いて実装してもよい。
IED20は、プロセッサ202と、RAM204と、E/O変換部206と、信号生成部208と、通信インターフェイス210と、データ保持部220とを含む。これらの各コンポーネントは、バス230を介して互いにデータ通信可能に接続されている。データ保持部220は、電力系統からの情報が予め定められた条件に合致するか否かを判断するための判断プログラム222と、トリップさせるべき条件を記述したトリップ条件224と、データフリーズを実行すべき条件を記述したフリーズ条件226と、格納されたログデータ228とを含む。
プロセッサ202は、データ保持部220から判断プログラム222を読み出して、RAM204に展開しつつ実行する。判断プログラム222がプロセッサ202により実行されることで、電力系統からの情報がトリップ条件224およびフリーズ条件226のいずれかを満たすか否かが所定周期毎にされる。なお、判断プログラム222は、その実行に必要な処理をオペレーティングシステム(Operating System:OS)が提供する共通モジュールを用いて実現する場合もある。すなわち、本実施の形態に従うプログラムとオペレーティングシステムとが協働して本実施の形態に従う処理を実現する場合であっても、本発明の技術的範囲に含まれ得る。
E/O変換部206は、プロセスバス32と接続するためのインターフェイスであり、マージングユニット10および/または他のIED20との間で必要なデータを遣り取りする。信号生成部208は、遮断器に対してトリップ信号を出力するためのインターフェイスであり、プロセッサ202によってトリップ信号の出力が指示されると、所定電圧のトリップ信号を生成して出力する。典型的には、信号生成部208は、D/A変換部を含む。
通信インターフェイス210は、ステーションバス34を介して、他の装置と接続するためのインターフェイスであり、マージングユニット10、他のIED20、および変電所自動化システム36(あるいは、それに接続される解析装置30)との間で、必要なデータを遣り取りする。データ保持部220に格納されたログデータ228については、通信インターフェイス210を介して、解析装置30へ送信される。
[E.解析装置30]
次に、本実施の形態に従う解析装置30についてより詳細に説明する。図10は、本実施の形態に従う解析装置30の構成を示す模式図である。図10を参照して、解析装置30は、基本的には、汎用パーソナルコンピュータで構成される。但し、専用のハードウェアとして実装してもよい。
解析装置30は、プロセッサ302と、RAM304と、通信インターフェイス306と、ディスプレイ308と、入力部310と、データ保持部320とを含む。これらの各コンポーネントは、バス330を介して互いにデータ通信可能に接続されている。データ保持部320は、上述したようなデータ解析を実現するための解析プログラム322と、解析プログラム322の実行により得られた解析結果324とを含む。
プロセッサ302は、データ保持部320から解析プログラム322を読み出して、RAM304に展開しつつ実行する。解析プログラム322がプロセッサ302により実行されることで、マージングユニット10およびIED20のそれぞれから格納されているログデータを取得し、取得されたログデータを用いたデータ解析が実現される。なお、解析プログラム322は、その実行に必要な処理をオペレーティングシステムが提供する共通モジュールを用いて実現する場合もある。すなわち、本実施の形態に従うプログラムとオペレーティングシステムとが協働して本実施の形態に従う処理を実現する場合であっても、本発明の技術的範囲に含まれ得る。
通信インターフェイス306は、ステーションバス34を介して、他の装置と接続するためのインターフェイスであり、マージングユニット10およびIED20との間で、必要なデータを遣り取りする。
ディスプレイ308は、解析プログラム322の実行により得られた解析結果324をユーザへ表示する表示デバイスである。入力部310は、キーボードやマウスなどを含み、ユーザからの操作を受け付ける。さらに、解析結果324をプリントアウトするためのプリンターが装着されていてもよい。
[F.マージングユニットの別構成(その1)]
次に、図7に示すマージングユニット10に関連した別構成について説明する。図7に示すマージングユニット10では、A/D変換部123から出力されるデジタル信号がバッファメモリ1241に格納され、このバッファメモリ1241に格納されたデジタル信号に基づいて、マージングユニット10へ入力される時間波形データが急変したことを検出する構成について例示した。また、マージングユニット10では、A/D変換部123から出力されるデジタル信号をそのままデータ格納部1244でログデータとして格納する。
これに対して、以下に説明する構成においては、制御部1242が生成する所定のプロトコルに従うデジタルデータ(シリアルデータ)を、元のデジタル信号に復元して、マージングユニット10へ入力される時間波形データが急変したことを検出するように構成したものである。また、復元されたデジタル信号と、A/D変換部123から出力されるデジタル信号との両方がログデータとして出力される。すなわち、波形記録のデータとしては、これらの2つのデジタル信号が保存される。このような構成を採用することで、マージングユニット10から通信回線を介して出力される最終のデジタルデータ(シリアルデータ)に基づいて、入力される時間波形データの急変を検出できるので、例えば、マージングユニットにおいて、A/D変換部123は正常であるが、制御部1242に不具合があるような場合であっても、ログデータを取得することができる。また、このような場合に、異常部位を特定することもできる。
図11は、本実施の形態に従うマージングユニットの別構成を示す模式図である。図11に示すマージングユニット10Aは、図7に示すマージングユニット10に比較して、復元部1246がさらに追加されるとともに、データ格納部1244に復元部1246から出力されるデジタル信号が入力されるようになっている。
より具体的には、制御部1242から出力されるデジタルデータ(シリアルデータ)は、E/O変換部125へ出力されるとともに、復元部1246へ出力される。復元部1246は、制御部1242から出力されるシリアルデータを元のデジタル信号に復元する。そして、その復元されたデジタル信号は、変化検出部1243およびデータ格納部1244へ出力される。変化検出部1243は、その復元されたデジタル信号に基づいて、マージングユニット10へ入力される時間波形データが急変したことを検出する。
入力される時間波形が急変したと判断されると、変化検出部1243は、その復元されたデジタル信号をデータ格納部1244へ出力する。そして、変化検出部1243は、A/D変換部123から出力されるデジタル信号、および、復元されたデジタル信号を格納が格納されるデータ格納部1244に対して、その急変したと判断されたタイミングから時間T1後に、そのデータ更新を停止させる。データ格納部1244は、時間T2(但し、T2>T1)分のデジタル信号を格納することが可能であるとすると、時間波形の急変の検出前として(時間T2−時間T1)分、および、時間波形の急変の検出後として、時間T1分の合計、時間T2の時間波形データが格納されることになる。これらの格納される時間波形データが上述のログデータ16となる。
変化検出部1243は、時間波形の急変を検出したことを制御部1242へ通知する。制御部1242は、E/O変換部125を通じて、フリーズ信号をIED20へ送信する。
すなわち、マージングユニット10Aは、波形記録機能として、制御部1242から出力されるデジタルデータ(シリアルデータ)を元のデジタル信号に復元し、その復元したデジタル信号に通常の交流信号の入力とは異なる急激な変化を検出すると、それがデータ格納部1244へのデータ格納のトリガーとなり、トリガー前後の所定期間に亘って波形データが格納される。このとき、復元されたデジタル信号とともに、A/D変換後のデジタル信号がログデータとして格納される。
本実施の形態に従うマージングユニット10は、電力系統の電流信号および/または電圧信号をA/D変換して得られるデジタル信号をシリアルデータに変換して、通信回線を介して出力する。マージングユニット10は、シリアルデータを元のデジタル信号に復元し、その復元したデジタル信号の時間的変化が予め定められた度合いを越えるか否かを所定周期毎に判断する。そして、時間的変化が予め定められた度合いを越えた場合には、データ格納部1244を所定時間後にフリーズし、そのフリーズしたタイミングでデータ格納部1244に格納されているデジタル信号および復元されたデジタル信号をログデータとして取得する。この取得されたログデータは、外部の解析装置30などから読み出し可能になっている。そのため、IED20におけるトリップ条件やフリーズ条件の判断とは独立して、独自の判断基準で、波形記録(ロギング)が可能である。さらに、マージングユニット10内部で異常が発生した場合に、その不具合箇所をより詳細に特定できる。
[G.マージングユニットの別構成(その2)]
次に、図7に示すマージングユニット10に関連したさらに別構成について説明する。図7に示すマージングユニット10では、マージングユニット10へ入力される時間波形データが急変したことが検出されると、データフリーズが実行される構成について例示した。
これに対して、以下に説明する構成においては、IED20からのトリップ信号および/またはフリーズ信号をトリガー信号として、データフリーズが実行される構成について例示する。
図12は、本実施の形態に従うマージングユニットの別構成を示す模式図である。図12に示すマージングユニット10Bは、図7に示すマージングユニット10に比較して、受信部128がさらに追加されるとともに、データ処理部124が条件監視部1247をさらに含むようになっている。
より具体的には、受信部128は、いずれかのバスまたはネットワークを介して、IED20からのトリップ信号および/またはフリーズ信号を受信する。受信部128は、IED20からのトリップ信号および/またはフリーズ信号を受信すると、トリガー信号を条件監視部1247へ出力する。条件監視部1247は、OR(論理和)回路を含み、変化検出部1243および受信部128からのトリガー信号をその入力として受け付ける。すなわち、条件監視部1247は、変化検出部1243がマージングユニット10Bへ入力される時間波形データが急変したことを検出した場合、または、受信部128がIED20からのトリップ信号および/またはフリーズ信号を受信した場合に活性化される。そして、条件監視部1247は、A/D変換部123から出力されるデジタル信号が格納されるデータ格納部1244に対して、その活性化されたタイミングから時間T1後に、そのデータ更新を停止させる。データ格納部1244は、時間T2(但し、T2>T1)分のデジタル信号を格納することが可能であるとすると、時間波形の急変の検出前として(時間T2−時間T1)分、および、時間波形の急変の検出後として、時間T1分の合計、時間T2の時間波形データが格納されることになる。この格納される時間波形データが上述のログデータ16となる。
すなわち、マージングユニット10Bは、波形記録機能として、変化検出部1243と、波形記録用のデータ格納部1244と、IED20からのトリップ信号および/またはフリーズ信号を受信するための受信部128を有している。A/D変換後のデジタル信号に通常の交流信号の入力とは異なる急激な変化を検出した場合に加えて、IED20からの信号を受信した場合には、いずれかのイベントがトリガーとなり、そのトリガー前後の所定期間に亘って波形データが格納される。
本実施の形態に従うマージングユニット10Bは、IED20からのトリップ信号および/またはフリーズ信号をトリガーとして、データフリーズを実行できる。すなわち、
IED20からの信号に関連付けて、マージングユニット10が処理するデジタル信号を格納できるので、例えば、マージングユニット10Bへ入力される時間波形データが急変したとは検出されていないが、IED20において系統事故の発生と判断された場合などにおいて、マージングユニット10への入力は正常であり、それ以降の経路において何らかの不具合があることを特定できるエビデンスを提供できる。
さらに、図12に示すマージングユニット10Bに対して、図11に示すマージングユニット10Aに含まれる復元部1246をさらに追加することで、復元されたデジタル信号における急変を検出するようにしてもよい。
さらに、マージングユニット10へ入力される時間波形データが急変したことを検出した場合、および、IED20からのトリップ信号および/またはフリーズ信号を受信した場合に加えて、A/D変換部123の故障やバッファメモリ1241の故障といった、マージングユニット10に内蔵されている監視機能による内部回路の不具合が発生した場合にも、データフリーズを行なうようにしてもよい。
[H.利点]
本実施の形態によれば、マージングユニット10がデータフリーズを行なうと、データフリーズが実行されたこと(フリーズ信号)がIED20へ通知される。そして、IED20は、マージングユニット10からのフリーズ信号を受信すると、データフリーズを実行する。このような共通のトリガーが生じたタイミングに関連付けて、マージングユニット10およびIED20は、ログデータをそれぞれ格納できる。これによって、ログデータ間の関連付け(すなわち、レコードの同期)を容易に行なうことができる。このようなログデータの関連付けを行なうことで、ログデータ間の比較を容易に行なうことができ、これによって、何らかの異常が発生した場合に、その異常の原因を容易に特定できる。
また、マージングユニット10に搭載される波形記録の機能において、通常の交流信号の入力とは異なる急激な変化がデジタル信号に生じると、当該急激な変化が生じたタイミングを基準とする所定期間に亘ってログデータが格納される。このように、マージングユニット10においてIED20とは異なる独自の条件を設定して、データフリーズを行なうことができる。
例えば、通常の系統事故が発生した場合などには、マージングユニット10およびIED20のそれぞれにおいてデータフリーズが行なわれるので、それぞれで取得されたログデータを容易に比較できる。あるいは、マージングユニット10ではデジタル信号に急激な変化は生じていないが、IED20では電力系統に何らかの異常が発生していると判断した場合などには、デジタル信号を誤認識した可能性が高いと判断できる。あるいは、IED20では電力系統に何らかの異常が発生していると判断していないが、マージングユニット10ではデジタル信号に急激な変化は生じたと判断した場合などには、対象の電力系統における電流信号および/または電圧信号に対するIED20における事故検出用の設定値が低すぎるか、もしくは、マージングユニット10の入力処理に異常が発生している可能性が高いと判断できる。
このように、マージングユニット10において、デジタル信号に生じる急激な変化を検出するための条件は、IED20において系統事故などを検出するための条件に比較して、より高感度に設定される。これにより、マージングユニット10では急激な変化を検出していないが、IED20が系統事故の発生を検出した場合などには、その発生原因をおおよそ特定することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 保護制御システム、2 電力送電線、3 変圧器、4 供給線、5 母線、6 遮断器、7 変流器、8 計器用変圧器、10,10A,10B マージングユニット、11 入力処理部、12 送信処理部、13,21 判断部、14,22 条件、15,23 格納部、16,24,228 ログデータ、20 IED、26 遠方監視制御装置、28 遠方制御所、30 解析装置、32 プロセスバス、34 ステーションバス、36 変電所自動化システム(SAS)、100 解析システム、121 入力変換部、122 アナログフィルター、123 A/D変換部、124 データ処理部、125,206 E/O変換部、126,210,306 通信インターフェイス、127,128 受信部、202,302 プロセッサ、204,304 RAM、208 信号生成部、220,320 データ保持部、222 判断プログラム、224 トリップ条件、226 フリーズ条件、230,330 バス、308 ディスプレイ、310 入力部、322 解析プログラム、1241 バッファメモリ、1242 制御部、1243 変化検出部、1244 データ格納部、1245 サンプリング制御部、1246 復元部、1247 条件監視部。

Claims (9)

  1. 電力系統から少なくとも電流または電圧の情報を収集するマージングユニットであって、
    前記電力系統から取得されるアナログ信号を処理して電力系統の状態を示すデジタルデータを出力する入力処理部と、
    前記デジタルデータを通信回線を介して演算装置へ送信する送信処理部とを備え、前記演算装置は、前記デジタルデータが予め定められた第1の条件を満たすと、前記電力系統に異常が発生していると判断するように構成され、
    前記デジタルデータが予め定められた第2の条件を満たすか否かを判断し、前記第2の条件が満たされると、その満たされたタイミングを基準とする所定期間に亘って前記デジタルデータを格納するとともに、前記デジタルデータを格納したことを前記演算装置へ通知する判断部とを備える、マージングユニット。
  2. 電力系統から少なくとも電流または電圧の情報を収集するマージングユニットであって、
    前記電力系統から取得されるアナログ信号を処理して電力系統の状態を示すデジタルデータを出力する入力処理部と、
    前記デジタルデータが予め定められた第2の条件を満たすか否かを判断し、前記第2の条件が満たされると満たされたタイミングを基準とする所定期間に亘って前記デジタルデータを格納するとともに、前記デジタルデータを格納したことを演算装置へ通知する判断部とを備える、マージングユニット。
  3. 前記第2の条件は、前記デジタルデータが示す値の時間的変化が予め定められた度合いを越えることを含む、請求項1または2に記載のマージングユニット。
  4. 前記判断部は、さらに、前記演算装置において前記第1の条件が満たされたことが通知されることに応答して、その通知されたタイミングを基準とする所定期間に亘って前記デジタルデータを格納する、請求項1に記載のマージングユニット。
  5. 前記判断部は、前記デジタルデータとともに、前記演算装置から通知されたタイミングを示す情報を格納する、請求項4に記載のマージングユニット。
  6. 前記第1の条件は、前記電力系統に生じた故障を除去するための機構を作動させるための条件を含む、請求項5に記載のマージングユニット。
  7. 前記第の条件は、前記除去するための機構を作動させないが、前記電力系統に故障が生じたことを検出するための条件を含む、請求項6に記載のマージングユニット。
  8. 前記第2の条件は、前記第1の条件に比較して、より簡素化された条件を含む、請求項1,4〜7のいずれか1項に記載のマージングユニット。
  9. 解析システムであって、
    電力系統から少なくとも電流または電圧の情報を収集するマージングユニットと、
    前記マージングユニットと通信回線を介して接続される演算装置と、
    前記マージングユニットおよび前記演算装置と通信可能な解析装置とを備え、
    前記マージングユニットは、
    前記電力系統から取得されるアナログ信号を処理して電力系統の状態を示すデジタルデータを出力する入力処理部と、
    前記デジタルデータを前記演算装置へ送信する送信処理部とを含み、
    前記演算装置は、前記デジタルデータが予め定められた第1の条件を満たすか否かを判断し、前記第1の条件が満たされると、前記電力系統に異常が発生していると判断する第1の判断部を含み、
    前記マージングユニットは、さらに、前記デジタルデータが予め定められた第2の条件を満たすか否かを判断し、前記第2の条件が満たされると、その満たされたタイミングを基準とする所定期間に亘って前記デジタルデータを格納するとともに、前記デジタルデータを格納したことを通知する第2の判断部を含み、
    前記第1の判断部は、さらに、前記マージングユニットにおいて前記デジタルデータが格納されたことが通知されることに応答して、その通知されたタイミングを基準とする所定期間に亘って前記デジタルデータを格納し、
    前記解析装置は、前記マージングユニットおよび前記演算装置のそれぞれから格納されているデジタルデータを取得するとともに、取得されたデジタルデータに対して解析を実行する解析部を含む、解析システム。
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