JP5967612B2 - インバータ駆動回転電機、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
具体的には、インバータ駆動回転電機システムでは、インバータやインバータと回転電機を接続するケーブルから発せられる放射・伝導ノイズの抑制と周囲の機器の誤動作防止が課題である。
また、回転電機では、急峻なインバータからのサージ電圧(インバータサージ電圧)に伴い絶縁や軸受が劣化する問題への対策が課題である。
さらに、これらの課題は、インバータを構成する素子の変遷とともに、状況や深刻さが変化している
インバータ駆動回転電機の絶縁問題については、1990年代に電圧立ち上がり時間が急峻なIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)インバータが実用化されてから顕在化し、さまざまな対策技術が開発されてきた。
例えば、急峻なインバータサージ電圧が印加された際には、回転電機コイルのターン間に多くの電圧が分担されるが、この現象への対策として、ライン側(回転電機端子側)に最も近いコイルを複数ターンずつのコイル束に分割し第1ターンと最終ターンの間に絶縁紙を挿入し絶縁強化する技術が特許文献1に開示されている。
また、ライン側コイルの素線絶縁を強化する技術が特許文献2に開示されている。
また、前記の2つの方法とは反対に、第1ターンと最終ターンを近接させることで電圧分布を低減する技術が特許文献3に開示されている。
ところが、さらにスイッチング時間が従来のIGBTインバータよりも短く、高速なSiC(Silicon Carbide)インバータやGaN(Gallium Nitride)インバータが開発され、実用化が始まりつつあり、前記した課題が更に深刻な状況に至っている。
すなわち、本発明のインバータ駆動回転電機は、固定子コアに設けられる複数のスロットにターン導体が固定子巻線として巻回されてなる固定子と、前記固定子巻線のターン導体に電力を供給する中継端子である回転電機端子と、前記固定子の内周側または外周側に配置されて前記固定子に対して相対回転する回転子と、を備え、前記ターン導体は、前記スロット内において、前記回転電機端子側の前記ターン導体が、当該スロットの横断面の中央部側に配置され、前記ターン導体が前記スロット内で、前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体のグループを、残りの前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体のグループが取り囲むように前記スロット内に配置される、ことを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明の第1実施形態に係るインバータ駆動回転電機のシステム構成例を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るインバータ駆動回転電機20の概略の構成と、インバータ駆動回転電機20とインバータ21とのシステム構成例を示す図である。
図1において、インバータ21は、直流電力を可変電圧可変周波数の三相交流電力に変換する電力変換器である。このインバータ21の出力である三相交流電力は、U相、V相、W相の三相からなり、インバータ21からケーブル22と三相の端子163〜165とを介して、インバータ駆動回転電機(適宜、「モータ」と略す)20に給電される。
インバータ21は、電圧型のインバータであるので、三相交流電力の出力には、パルス列から形成される矩形波電圧が含まれている。
この矩形波電圧の立ち上がり時間trは、SiCインバータでは約20〜100nsであり、IGBTインバータでは約100〜200nsである。
固定子25は、固定子コア35と固定子巻線29とを備えて構成される。
回転子26は、回転子コア36とシャフト27とを備えて構成され、固定子25に対して相対回転する。
また、回転子26に備えられた符号28で表す部品は、永久磁石同期電動機の場合には磁石であり、誘導電動機の場合には回転子巻線である。
次に、固定子25の構造について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態であるモータ20(図1)に備えられた固定子25の斜視図である。
図2において、固定子25は、固定子コア35と、固定子巻線29とを備えて構成されている。
また、第1実施形態における固定子巻線29は、分布巻(あらかじめ巻かれた巻線をスロット31(図3)に挿入する方式)で製作されている。
図3は、本発明の第1実施形態であるモータ20(図1)に備えられた固定子25のA−A’面(図1)における断面を示す図である。
固定子25(図1)は、固定子コア35を備えており、固定子コア35には歯型状の突極ティース35Tが形成されている。また、固定子コア35と突極ティース35Tに囲まれて、溝状の空間部であるスロット31が形成される。図3は、このスロット31における断面構造を主として示している。つまり、図3は、スロット31の横断面を示すものでもある。
なお、固定子コア35と突極ティース35Tは、アース電位となっていて電位としては共通である。したがって、後記するように、ターン導体の対地(アース)間の静電容量を表記する場合には、突極ティース35Tを固定子コア35の一部として、適宜、固定子コア35で代表して表記する。
スロット31には、スロット絶縁体32が挿入され、その内側にコイルを構成する複数のターン導体33、34が納められている。
また、ターン導体33、34の飛び出しを防止するために、楔37が挿入され備えられている。
また、複数のターン導体33、34は、前記のように固定子コア35と突極ティース35Tとスロット31に巻回されるが、これを略してスロットに巻回するとも、適宜、表記する。
なお、第1実施形態においては、1コイルのターン数(ターン導体の本数、巻回数)は16ターンである。
また、U、V、Wの各相のライン側コイルにおいて、半分の8ターンのライン側ターン導体33をスロット31の略中央部に配置している。また、8ターンの反ライン側ターン導体34をスロット31の外周の固定子コア35または側面の突極ティース35Tに対向する位置に配置している。
また、回転電機端子側のターン導体を、「ライン側のターン導体」、もしくは「ライン側ターン導体」と、適宜、表記する。
また、回転電機端子とは反対のターン導体を「反ライン側のターン導体」、もしくは「反ライン側ターン導体」と、適宜、表記する。
また、ターン導体33(のグループ)とアース(固定子コア35と突極ティース35T)との間に、ターン導体34(のグループ)が配置されているので、シールドされ、ターン導体33の対地間の静電容量はさらに低減される。これらの結果、ライン側ターンから対地に漏れ電流を低減する。
さらに、反ライン側のターン導体と固定子コア(アース電位)の距離を小さくし、対地間静電容量を大きくしている。この結果、反ライン側のターン導体から固定子コア(アース)に漏れ電流を流すことになるので、反ライン側のターンの逆起電力を低減することができる。
次に、コイルの具体的な導体配列について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係るインバータ駆動回転電機20の固定子巻線29のコイルの具体的な導体配列の一例を示す図である。
図4において、ターン導体41(1〜16)の○印の中に付けた番号は、ライン側に近い方の順番であるターン番号を示す。つまり、番号1が最もライン側に近い。なお、図4でのターン導体41は、図3のターン導体33、34を総称したものである。
図4に示した第1実施形態においては、特に全ターン(巻回)数16ターンの概ね10%のライン側ターン導体(1、2ターン)をスロット31の中央付近に配置している。
このため、ライン側ターン導体と対地(固定子コア35と突極ティース35Tに概ね相当)間の静電容量が低減する。したがって、ライン側ターン導体と対地間において、漏れ電流が流れにくくなる。
そのため、後記する実験結果からわかるように、急峻な電圧がU相、V相、W相端子(163〜165)のいずれかに印加された場合にも、ライン側ターン導体の漏れ電流に伴う反ライン側ターンの逆起電力を低減することができる。
次に、コイルの製作方法について説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係るインバータ駆動回転電機20の固定子巻線29のコイルの製作方法の一過程を示す図である。
図5において、ボビン51から引き出したエナメル線52を、回転巻枠53に16ターン巻き付けることで、コイルの形状が形成される。
なお、方向符号511で示した回転を表現する線は、回転巻枠53を方向符号511が示すように回転させることで、エナメル線52を巻き取ることを意味している。
また、方向符号512で示した四角枠の破線は、回転巻枠53を方向符号512が示すように上下方向に移動させることで、エナメル線52が巻き取られる上下方向の位置が変化していくことを意味している。また、これらの過程において、エナメル線52も方向符号513に示すように上下に位置が変化する。
なお、エナメル線52がターン導体33、34に相当する。
図7は、コイルの製作方法において、ターン導体41の巻き付け手順1を示す図である。また、図7は、図5のB部における断面を示している。(なお、図6は後記する巻き付け手順3で説明する。)
図7において、スロット31内の望ましい導体配列(1〜16、図4)を達成するために、図5で示した回転巻枠53における始め近くの巻枠への巻き付け手順の一例を示している。
図7に示すように、1〜8ターン(第1回目の巻回から第8回目の巻回、以下同様に簡略化して表記する)は、ターン導体41を回転巻枠53に、図7に示す順番で飛び飛びに巻き付ける。
次に、中央部から下部に向かって、4、5、6ターンの順番で巻きつける。なお、前記の3ターンと4ターンの間には、さらに巻線を追加するスペースを開けておく。
次に、上部において、上部から中央部に向かって、7、8ターンの順番で巻きつける。
以上が巻き付け手順1である。次に、その後の巻き付け手順を巻き付け手順2として、説明する。
図8は、コイルの製作方法において、ターン導体の巻き付け手順2を示す図である。巻き付け手順1で1〜8ターンを巻き付けた図7の状態から、さらに9〜16ターンの導体を巻き付ける工程である。なお、図8は、図5のB部における断面を示している。
図8に示すように、9、10ターンを8ターンと1ターンの間に上部から中央部に向かって順番に巻き付ける。
次に、11ターンを6ターンの下に巻き付ける。
次に、12ターンを3ターンと4ターンとの間に巻き付ける。
次に、13〜16ターンを11ターンの下側に順番で巻きつける。
以上の導体の巻き付け手順1と巻き付け手順2とによって、上部から下部に向かって、(7、8、9、10、1、2、3、12、4、5、6、11、13、14、15、16)ターンの順番に導体が巻き付けられる。
次に、巻き付け手順3として、図8のように巻き付けられたターン導体41(1〜16番)をスロット31に挿入して、固定子巻線29としての巻き付け方法である巻き付け手順3について説明する。
図6は、コイルの製作方法において、ターン導体の巻き付け手順3を示す図である。
図6に示すように、図8のように巻かれたターン導体41(1〜16番)をインサータ(挿入器)であるブレード61に移行し、ターン導体41(1〜16番)を固定子コア35と突極ティース35Tに差し込む(方向符号611)ことでコイル(巻線)62をスロット31(図1)に挿入する。なお、コイル62はターン導体41に相当する。
ターン導体41(13番)に引き続き、図8における回転巻枠53の下部から中央部に巻かれたターン導体41(11、6、5、4番)は、図4において、ターン導体41(16、15、14、13番)の上の層に配置される。
ターン導体41(4番)に引き続き、図8における回転巻枠53の中央部から上部の方へ巻かれたターン導体41(12、3、2、1番)は、図4において、ターン導体41(4、5、6、11番)の概ね上の層に挿入されて配置される。
ターン導体41(1番)に引き続き、図8における回転巻枠53の下部から中央部に巻かれたターン導体41(10、9、8、7番)は、図4において、ターン導体41(1、2、3、12番)の概ね上の層に挿入されて配置される。
また、ターン導体41(11番)は、スロット31内の左端の外部側に配置される。また、ターン導体41(12番)は、スロット31内の右端の外部側に配置される。
また、図8におけるターン導体41(13、14、15、16番)は、図4において、スロット31内で概ね下部の外部側に配置される。
また、図8におけるターン導体41(7、8、9、10番)は、図4において、連続した配置で挿入され、スロット31内で概ね上部の外部側に配置される。
以上の手順1、2、3によって、ターン導体41(1、2、3、4、5、6番)をスロット31内で概ね中心部に配置される工程が実現する。
このように、ライン側のターン導体41(1〜6番)がスロット31内の概ね中央に配置される構造は、後記する参考例1や参考例2における静電容量の付きやすいライン側のターン導体の構造と大きく異なる。
以上の第1実施形態のような巻線の構成とすることにより、ライン側のターン導体41(1〜6)における対地間の静電容量を低減できるので、後記する図19の電位差184の電圧増加を抑制することができる。このため、スイッチングが急峻なSiCインバータやGaNインバータでも駆動できるモータを供給することができる。
以上、第1実施形態に電圧増加を抑制するインバータ駆動回転電機のシステム構成例を説明したが、この構造の効果を従来の参考例と比較して説明する。
図26は、参考例1としての分布巻で整列巻の固定子巻線におけるスロット31内部の断面の構造を示す図である。なお「整列巻」とは、図26のライン側ターン導体33と反ライン側ターン導体34との関係のように、所定の配置に基づいて整列して配置する方法である。
図26において、スロット31内の一方(下部)にライン側ターン導体33を、他方(上部)に反ライン側ターン導体34を配置している。
この場合のライン側ターン導体33で下部に配置されたものは、固定子コア35に近いので対地(概ね固定子コア35に相当)間との間に静電容量が比較的に大きくつく。
また、ライン側ターン導体33の幾本かは、スロット31の外壁部分である突極ティース35Tに近いので、対地(概ね突極ティース35Tに相当)間との間に静電容量が比較的に大きくつく。したがって、漏洩電流による電圧増加が起こりやすい構造である。
図27は、参考例2としての分布巻で乱巻の固定子巻線29(図2)を用いた場合におけるスロット31内部の断面の構造を示す図である。なお、「乱巻」とは、図27のライン側ターン導体33と反ライン側ターン導体34との関係のように、所定の配置がなく、とくに整列しないで配置する方法である。
図27において、スロット31内にランダムにライン側ターン導体33と反ライン側ターン導体34が配置されている。
この場合には、ランダムに配置されたライン側ターン導体33の幾本かは、スロット31の外周部である固定子コア35、または側面(外壁部)である突極ティース35Tに近くなるので、対地(概ね固定子コア35または突極ティース35Tに相当)間との間に静電容量が比較的に大きくつく。したがって、ライン側ターン導体33の幾本かが、漏洩電流による電圧増加が起こりやすい構造である。
以上、参考例1(図26)、参考例2(図27)のいずれの場合にも、ライン側ターン導体33からコア(アース)に漏れる電流が発生し、反ライン側ターン導体34に逆起電力(概ね電位差187)が発生する。この結果、図18の測定点188Pにおける電位差184に相当する電圧の発生に伴いコイル分担電圧が第2の頂点電圧188と増加し、絶縁劣化に至る可能性がある。
このように、IGBTインバータ(パルス電圧立ち上がり時間約100〜200ns)を用いることを前提とした従来のインバータ駆動回転電機では、SiCインバータなどの急峻なインバータサージ電圧(電圧立ち上がり時間約20〜100ns)を考慮していない。
したがって、回転電機コイル電圧分布や電圧発生現象を評価し、問題がないか確認する必要がある。
以上の背景から、サージ電圧の影響を把握するために、模擬的にサージ電圧に相当する急峻パルス電圧を印加したときの回転電機コイルの電圧分布を評価した。その結果について説明する。
図16は、急峻パルス電圧下における回転電機コイルの電圧分布を評価する測定回路を示す図である。(なお、図9〜図15は、後記する第2〜第6実施形態で説明する。)
図16において、インバータパルス模擬電源161で電圧立ち上がり時間80nsのパルス電圧を発生する。
このパルス電圧をモータの固定子巻線162のU相端子163に印加して、U相のライン側(電動機端子側)コイル(U1、U2、U3、U4)の電圧分布を測定する。また、V相端子164、W相端子165および固定子コア35は接地する。
また、電圧プローブ166、167によって、電圧分布を測定する。
なお、図16においては、U相の測定を主として表記しているが、V相、W相についても、同様に測定できる。また、実際のサージ電圧は、U相、V相、W相のいずれか一相のみならず複数の相に入力することが一般的であるが、その場合には、各相の測定結果を合成して評価、推定する。
次に測定結果について説明する。
図17は、U相の各コイルの対地電圧と分担電圧を示す図であり、(a)はU相の各コイルの対地電圧であり、(b)はU相の各コイルのコイル分担電圧を示している。
なお、図17(a)、(b)において、横軸は時間の推移であり、縦軸は電圧である。また、横軸の1目盛りは1μsであり、縦軸の1目盛りは160mVである。
図17(a)に示す測定結果においては、U相のライン側第1コイル(U1)の対地電圧171は、印加したパルス電圧であり、U相のライン側第2コイル(U2)、ライン側第3コイル(U3)、ライン側第4コイル(U4)の対地電圧は、順に低くなっている。ただし、印加されたパルス電圧は、U1からU2、U3、U4への進行波であるので、時間とともに対地電圧は、変動している。
また、概ね1μs後に、ライン側第2コイル(U2)がU2としての最も高いコイル分担電圧を記録する。このU2の最も高いコイル分担電圧は、U3、U4のそれぞれの最も高いコイル分担電圧よりも高い値である。
したがって、モータの固定子巻線162を保護する観点からは、回転電機端子(163)側であるライン側のコイル、およびこのコイルを構成するライン側ターン導体に高い電圧が加わらない方策が必要であることが解る。
次に、U相電圧波形の立ち上がり部分を拡大して詳しく示す。
図18は、図17の測定結果のU相電圧波形の立ち上がり部分を拡大し、波形の特徴を強調した結果を示す図であり、(a)はU相ライン側第1コイルとU相ライン側第2コイルの対地電圧特性を示し、(b)はU相ライン側第1コイルのコイル分担電圧を示している。なお、図18(a)、(b)において、横軸は時間tの推移であり、縦軸は電圧Vである。
一般に回転電機巻線(固定子巻線、コイル、ターン導体)は、急峻サージ電圧に対しては巻線のインダクタンスと対地間の静電容量とからなる分布定数とみなすことができる。
このような分布定数の要素の集合からなる分布定数回路に急峻なパルス電圧が印加された場合、前記したように、パルス電圧は進行波となり、所定のサージ伝播時間を経て、コイルのライン側から反ライン側に進行する。
また、特性線182は、U相ライン側第2コイルのライン側端子の対地電圧の測定結果である。なお、U相ライン側第1コイルの反ライン側端子と同電位である。
特性線182は、測定点186Pで第1の頂点に達し、対地電圧186を記録しているが、その後、下降し、測定点187Pで極小値を記録する。測定点186Pと測定点187Pとの間で、電位差187がある。
そして、このような現象がU相のコイルにおいて進行波として伝搬するので、U相ライン側第2コイルのライン側端子の対地電圧を時間の推移とともに測定すると前記の測定点187Pの凹みが観測される。
また、測定点187P以降では、特性線182の対地電圧は再び上昇している。
特性線183=(特性線181−特性線182)
の関係がある。
図18(b)に示す測定結果でも、印加パルス電圧は、特性線181に示す第1コイルのライン側から特性線182に示す第1コイルの反ライン側に遅延を伴い伝播することで、第1コイルの両端に電位差が生じて、特性線183に示すコイル分担電圧が発生している。
この結果、特性線183に示すコイル分担電圧は、特性線181に示す印加電圧よりも幾分低くなり、測定点185Pにおいて、第1の頂点電圧185の電圧に一旦、落ち着いている。
ところが、急峻なパルス電圧を印加した際には、前記したように、その後、コイルの反ライン側端子の対地電圧の特性線182が測定点187Pのように凹む。
なお、電位差184は、第1の頂点電圧185と第2の頂点電圧188との差電圧でもある。
また、測定点186Pと測定点185Pとは、時間軸上において概ね同一の測定点である。また、測定点187Pと測定点188Pとは、時間軸上において概ね同一の測定点である。
この測定点188Pに示す大きなコイル分担電圧(第2の頂点電圧188)は、U相ライン側第1コイル(U1)のみならず、コイルにとって絶縁耐圧の観点からは好ましくないものである。
次にコイル分担電圧の割合の電圧立ち上がり時間に対する変化を示す。
図19は、コイル分担電圧に占める第1の頂点電圧185と電位差184(第1の頂点電圧185と第2の頂点電圧188(図18)との差)の割合の電圧立ち上がり時間に対する変化を示す図である。
なお、図19において、横軸は印加電圧の電圧立ち上がり時間(対数軸)であり、縦軸は印加電圧(例えば特性線181、図18)を100%としたときコイル分担電圧の割合を示す。
図19において、電圧立ち上がり時間が200nsより短くなると、それとともに電位差184(第1の頂点電圧185と第2の頂点電圧188との差)が増加している。
このため、コイル分担電圧は第1の頂点電圧185の電圧で飽和せずに、時間の推移とともに、第2の頂点電圧188(第1の頂点電圧185+電位差184)とさらに増加する。なお、特性線195は第1の頂点電圧185の電圧立ち上がり時間に対する特性である。
したがって、さらなるインバータ駆動回転電機システムの高効率化のためには、新たに発生した電圧増加現象を解明し、対策技術を考案する必要がある。
図20は、ライン側(回転電機端子側)コイルの等価回路の概略を示す図である。
図20において、ライン側とは、固定子巻線29がY結線の場合には、U、V、W端子側のことである。一方、Δ結線(例えば図16)の場合には、各相巻線のU、V、W端子(163、164、165、図16)側と、U、V、W端子側の反端子側もライン側コイルに相当する。これは、Δ結線の場合には、各相巻線の両側がインバータ駆動時にインバータの給電ラインに接続されるためである。
また、図20においては、ライン側第1コイルがNターンで構成されていると仮定して説明する。このライン側第1コイルの各ターン導体の近く(図21の下部)には、アース電位の固定子コア35(または突極ティース)があって、対地間に静電容量(寄生コンデンサ)Cが存在している。
このライン側コイルのライン側端子(図20の符号205)にインバータパルス模擬電源161(図16)から急峻パルス電圧が印加されると、コイルのライン側ターン導体(nターン)とアース(固定子コア35)間の静電容量Cに、以下の(式1)で表される漏れ電流201が流れる。
(式1)で示した漏れ電流iLはコイルのライン側から給電され、ライン側nターン(1≦n≦N)を流れて固定子コア35(アース)に漏れる。
このため、漏れ電流が流れたターンには磁束202が発生する。この磁束を打ち消す磁束203ができる向きに残りの(N−n)ターンに逆起電力204が発生する。
ここで仮説として、以上の結果、(N−n)ターンの中央を支点とし、ライン側の対地電圧は上昇し、反ライン側の対地電圧は下降することが考えられる。この結果、コイルの反ライン側ターンの対地電圧が凹み(測定点187P、図18に対応)、コイルのライン側ターンと反ライン側ターンの電位差であるコイル分担電圧が増加した(測定点188P、図18に対応)という可能性が考えられる(以上を「図20の仮説」と呼ぶ)。
図21は、コイルに急峻パルス電圧を印加した際にコイル内部を伝播する電圧波の測定結果を示す図である。なお、横軸は時間の推移であり、縦軸は電圧を示す。また、0、15、23、31の各ターンの測定点について示している。なお、ターン数の表記として、前記のように、「0、15、23、31の各ターン」と表記することも、「第0、15、23、31の各ターン」と表記することもある。つまり、適宜、ターン数の前に「第」をつけることも、省略することもある。また、図21において、測定したモータの1コイルの全ターン数Nは、N=31ターンである。なお、この31ターンは、図4の16ターンよりも大きいターン数である。
しかし、15ターン、23ターン、31ターンの各電圧波形を0ターンの電圧波形と比較すると、コイル内部を電圧が伝播する(ターン数大の特性へ移行)とともに、電圧立ち上がり時間は長くなっていく。特に、コイルのほぼ中間ターン(1/2ターン)の15ターンでは電圧立ち上がり時間は、約200nsまで長くなっている。
また、図示していないが、印加するパルス電圧の立ち上がり時間を短くすると、図21の0ターンの電圧立ち上がり時間は短くなるが、15ターン以降の電圧の立ち上がり時間はほとんど変化しなかった。
このことから、電圧立ち上がり時間を短くするとともに、ライン側ターンに流れる対地漏れ電流が増加し、この結果、反ライン側の対地電圧が低下し、図19の電位差184が電圧立ち上がり時間の減少とともに増加した可能性が考えられる。
このように、コイル内部の電圧立ち上がり時間減衰の観点で、ライン側コイルの全ターン数の略1/2のターン数が新規の電圧増加現象に大きく影響する可能性が示唆される。
以上の仮説を確認するため、コンデンサ(1000pF)をコイルのターン導体と固定子コア35(アース)間に追加接続し、対地に漏れる電流を増加させたときの反ライン側ターン導体の対地電圧波形および、コイル分担電圧を測定した。
図22は、コンデンサをコイルのターン導体と固定子コア35(アース)間に追加接続し、対地に漏れる電流を増加させたときの反ライン側ターン導体の対地電圧波形および、コイル分担電圧を測定する測定回路を示す図である。図22の測定回路は、図20の等価回路にコンデンサCaを追加する構成である。
図22において、追加するコンデンサCaは、ライン側から0、1、8、16、30ターンに都度、位置を変えながら接続した。
この実験の際の0、15、23、31ターンの対地電圧波形を4チャンネルデジタルオシロスコープ(不図示)で測定した。
また、電圧波形の差分からコイル分担電圧(0−31ターン間)を求めた。
図23は、コンデンサ未接続の場合と、コンデンサを各ターンに接続した場合のコイルのターン導体の対地電圧およびコイル分担電圧波形の測定結果を示す図であり、(a)は無接続、(b)は第0ターン、(c)は第1ターン、(d)は第8ターン、(e)は第16ターン、(f)は第30ターンにそれぞれコンデンサを接続した場合である。なお、コイル分担電圧とはコイルの両端の電圧である。また、コイルは前記したように0−31ターンのターン導体から構成されている。
なお、図23の横軸は時間の推移であり、縦軸は電圧を示す。
この現象は図20で説明した仮説と一致している。
また、第31ターンの対地電圧の低下に伴い、図18のコイル分担電圧の電位差184に対応するコイル分担電圧(cの下図)が増加している。
図24は、明らかにした仮説を基に、コンデンサを接続して対地に電流の漏れるライン側ターン数nを変化させたときのコイルの反ライン側ターンにおける逆起電力を計算した結果を示す図であり、(a)は反ライン側ターンにおける逆起電力を示し、(b)は各ターンの反ライン側ターンの逆起電力への影響度を示している。
図24(a)に示す計算の結果では、対地漏れ電流の流れるライン側ターン数nがコイルの全ターン数Nの1/2までは逆起電力は増加する。しかし、その後、逆起電力は低下し、逆起電力を低下させる作用が働くことが示唆される。
図24(b)の横軸は、対地に電流が漏れるライン側ターン数であり、縦軸は各ターンの反ライン側ターン逆起電力への影響度である。また縦軸の上側は正の逆起電力、下側は負の逆起電力である。
このことは、コイル全ターン数Nの半分のライン側ターン導体から対地に漏れる電流を低減することによって、逆起電力を抑制することができることを示している。
したがって、コイル分担電圧を低減することができることを示している。
この結果、コイル分担電圧を低減することができることを示している。
とすることが望ましいと考えられる。
また、(式2)において、Nは正の整数かつ偶数を前提として表記しているが、Nが奇数の場合には、N/2は整数とならないので、その前後の整数の値で代用して、準用するものとする。
図21で説明したように、ライン側ターンには一様な立ち上がり時間の電圧が加わるのではなく、ライン側のターンにより電圧立ち上がり時間の短い電圧が加わる。この電圧の立ち上がりの傾きおよび時間は、ライン側からのターン数に概ね比例して増加している。
なお、IGBTインバータに比べて、SiCインバータやGaNインバータでは、電圧立ち上がり時間が約1/5になることから、ライン側の1/2ターンの特に1/5、すなわち10%(<1/2>×<1/5>)のターンから対地に漏れる電流を特に対策する必要がある。
以上、鋭意検討して明らかにした現象を基に考案した本発明の第1実施形態に適用したものである。
図25は、スロット31内のターン導体i(1〜16)の配列の例を示した図である。丸い図形のなかにふられた数字がi(1〜16)を意味している。
図25において、Liは、i番目のターン導体が突極ティース35Tまたは固定子コア35のアースとの最短の距離を表している。またiはターン導体のターン番号を表している。
また、図25においては、ターン導体のターン番号が1、2、3、5、9、10、13についてしかLiの表示をしていないが、すべてのターン導体i(1〜16)について、アースへの最短の距離Liが対象となる。
なお、図25では、ターン導体iの本数は16本であるが、(式3)では本数を一般的に扱うためN本としている。
また、(式3)が成立しているときは、前記した(式2)は一般的には成立する。
第1実施形態では、コイルを製作する巻枠への巻き付け手順を工夫し、図3に示すように、スロット31の中央部にライン側のターン導体33を配置した。これに対し、第2実施形態ではスロット31内への導体の落としこみ方を工夫することで同様なスロット内導体配列を実現する。
また、図10は、本発明の第2実施形態であるモータ20(図1)に備えられた固定子コア35のA−A’面(図1)における断面を示し、反ライン側のターン導体34をスロット31内に挿入後、さらにライン側のターン導体33をスロット31内の中央部に挿入する状況を示す図である。
第2実施形態の製造方法では、図9に示すように、予め固定子コア35のスロット31の軸方向端面に導体ガイド91を設置しておく。
次に、導体ガイド91とスロット絶縁体32の間を通して、反ライン側のターン導体34をスロット31内に落とし込む(方向符号901)。
次に、図10に示すように、可撓性のある薄板で製作した導体ガイド91の中央部の間隔を広げ(方向符号902)、中央にライン側のターン導体33を落とし込む(方向符号903)。
次に、導体ガイド91を2分割し固定子コア35の内周方向に片側から引き抜く(方向符号904)ことで、図3のスロット内導体配列を実現できる。
図11を参照して、第3実施形態の固定子巻線の製造方法を説明する。
図11は、本発明の第3実施形態であるモータ20(図1)に備えられた固定子コア35のA−A’面(図1)における断面を示し、ライン側のターン導体33と反ライン側のターン導体34をスロット31内に挿入する状況を示す図である。
第2実施形態ではターン導体33、34をスロット内に納めた後に、導体ガイド91を引き抜いた。これに対し、第3実施形態では、図11に示すように、予め薄い絶縁フィルムで製作した導体ガイド111を固定子コアのスロット内に軸方向から挿入しておく。
次に、その外側に反ライン側のターン導体34を、内側にライン側のターン導体33を配置し、そのまま、絶縁フィルム(導体ガイド)111を残す。
このように絶縁フィルム(導体ガイド)111を残した場合、スロット31内にターン導体33、34を納めた後のコイルエンド整形工程でもスロット31内の導体配列の変化を抑制することができる。
次に、図12を参照して、第4実施形態の固定巻線の製造方法を説明する。第2実施形態では、導体ガイドによって反ライン側ターン導体34がコアに近接する位置に、また、ライン側ターン導体33がスロットの中央に位置する方法を説明したが、第4実施形態では、以下に、導体ガイドを用いない別の方法を説明する。
図12において、まず、第1段階として、予め1スロットの導体を反ライン側ターン導体34とライン側ターン導体33とに2分割しておく。
そして、第2段階として、2分割された複数の反ライン側ターン導体34をスロット31に挿入する。
次に、第3段階として、反ライン側ターン導体34の挿入後に整形フィン400で複数の反ライン側ターン導体34のグループを押さえつけることによって中央部に空間401を形成する。
次に、第4段階として、前記の空間401に、残りのライン側ターン導体33を挿入する。
このように導体の挿入順およびコイル成形を工夫することによっても、第1実施形態の図3に示したターン導体33、34の配置構成を実現できる。
次に、図13を参照して、第5実施形態の固定子巻線の製造方法を説明する。
第1〜第4実施形態では、スロット31の内周側が外周側よりも狭い口径である半開スロットのステータを対象に説明してきた。
これに対し、第5実施形態ではスロット31の内側と外側の口径が略等しい全開スロットの固定子コアを対象に説明する。
図13(a)において、固定子コア35が外周に配置され、その内周にインサータ502が配置されている。また、スロット501は、上下で口径が同じ全開スロットである。
第5実施形態ではインサータ502の溝を1スロット(501)当たり3分割し、1コイルのターン数をnとすると、中央の溝にn/2ターンのライン側ターン導体33を配置し、その両脇の溝に残りの反ライン側ターン導体504と505をn/4ターンずつ配置する。
そして、これらのターン導体503〜505を固定子コア35の内周側から押し出すことで、図3に示したターン導体の配列を構成することができる。
また、以上の方法は、スロット501が全開スロットであるから実施可能である。
また、白い丸で表記されたターン導体533は、スロット501の中央部に配置され、斜線を引かれた丸で表記されたターン導体534は、固定子コア35や突極ティース35Tのアース側に配置されている。
ターン導体533は、ライン側ターン導体503に概ね対応し、ターン導体534は、反ライン側ターン導体504に概ね対応している。ただし、ターン導体533とターン導体534は本数が異なっているので、ターン導体534のなかにライン側ターン導体503が含まれていることもある。
なお、全開スロットであることから、最後に磁性楔506で蓋をすることでスロット501に起因する高調波を半開スロットのモータと同等以下に抑えることができる。
図14、図15を参照して、第6実施形態のスロット内の導体配列構造を説明する。
第1〜第5実施形態では、分布巻の固定子巻線のスロット断面図および製造方法を示した。これに対し、第6実施形態では、集中巻の固定子巻線のスロット内導体配列の例を示す。なお、分布巻は前記したように、巻枠であらかじめ巻回した巻線をスロットに挿入する方法であるのに対し、集中巻とは、巻線を突極ティース(固定子コア)とスロットに直接、巻きつける方法である。
図14は、集中巻の固定子巻線を軸方向から見た場合の概観を示す図である。
図14において、固定子コア145の突極ティース145T(図15)に、ターン導体(コイル、固定子巻線)142が巻き付けられている。ターン導体142によって形成されるコイルには、突極ティース145Tの内周側から出た引き出し線143と外周から出た引き出し線144の2つが存在する。
一般には、内周側から外周側に引き出し線143を引き出すため、内周側の引き出し線143と外周側の引き出し線144のターン導体142とが絶縁被膜を介して接触することになる。そのため、この接触する部分の絶縁対策が重要となる。
また、隣接する突極ティース145Tには、一般に異なる相のコイルが配置されることから、突極ティース145Tの内周側にライン側のターン導体33(図15)を配置し、外周側に電圧の低い反ライン側のターン導体34(図15)を配置することが多い。
図15は、反ライン側のターン導体34とライン側のターン導体33の集中巻におけるスロット内導体配列の配置について示す図である。
図15において、固定子コア145と、この固定子コア145に形成された歯型状の突極ティース145Tとに囲まれて、溝状の空間部であるスロット31が形成されている。
スロット31においては、反ライン側のターン導体34を突極ティース145Tに接する側面の内周側に配置し、高電圧のライン側ターン導体33を外周側に配置している。
この配置は、対地間の静電容量を小さくすることが好ましいライン側ターン導体33は、突極ティース145Tから離し、対地間の静電容量を大きくすることが好ましい反ライン側ターン導体34は、突極ティース145Tに近い配置をすることが望ましいという前述の知見に基づいている。
以上のように集中巻においても、前述の知見によるターン導体33、34の配置が効果的である。
また、この構成に伴い、隣接するコイルの間には、エアギャップ(不図示)を設けるか、あるいは絶縁紙(不図示)を挿入して隣接コイル間での絶縁破壊が発生しないようにしている。
なお、絶縁検査では、隣接コイル間の部分放電検査を行い、隣接コイル間で絶縁不良の有無を確認する。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明はこれら実施形態およびその変形に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があってもよく、以下にその例をあげる。
スロット31の断面形状として、図3に半開型、図15に全開型を示したが、これらの形状に限定されるものではない。例えば図3の断面形状は底部が広く、側面は直線状に上部に向かって狭くなっているが、スロットの断面形状が円形、楕円形、六角形などでもよい。
また、スロット31の縦横の比、つまり幅や深さ方向の長さを様々に変えてもよい。
また、スロット31の形状の変更にともない、突極ティース35T、145Tの形状を様々に選択が可能である。
スロットの蓋を構成する部材として、図3では楔37、図13では磁性楔506を例にあげたが、その形状や大きさや材質は様々に選択可能である。
ターン導体の本数(ターン数)は、図3、図4では16本(ターン)を例にあげたが、その本(ターン)数は16に限定されない。16未満でも16超でもよい。また、必ずしも偶数本(ターン)に限定されない。
スロット内のターン導体配列の例として、図4、図25を示したが、これらの配列に限定されない。スロット内の好ましいターン導体の配列の本質は、ライン側ターン導体33(図3)をスロット内の略中央部に配置し、反ライン側ターン導体34(図3)をスロット内の側面部(突極ティース35T)側または底部(固定子コア35)側に配置し、対地(アース、固定子コア、突極ティース)間の静電容量を適正化することである。したがって、この条件を満たす配列は、他にも様々にある。
また、スロットの形状や大きさ(幅、長さ)が変われば、他の適正な配列が存在する。
また、ターン導体の本(ターン)数が変われば、適正なターン導体配列も変化する。
インバータ駆動回転電機の結線方式として、図16ではΔ結線を例にあげて説明したが、Y(スター)結線の場合でも、ターン導体の配列について同様のことがいえる。
すなわち、スロット内の好ましいターン導体の配列は、ライン側ターン導体33(図3)をスロット内の略中央部に配置し、反ライン側ターン導体34(図3)をスロット内の側面部(突極ティース35T)側または底部(固定子コア35)側に配置し、対地(アース、固定子コア、突極ティース)間の静電容量を適正化する。
回転電機として、インバータを用いた同期電動機を例として説明したが、本実施形態で説明したスロット内のターン導体配列の仕方については、永久磁石同期電動機でも巻線界磁型同期電動機についても同様な効果がある。
また、インバータを用いた誘導電動機についても同様に有効である。
また、電動機の回転子が固定子の内部の空洞を回転するインナーロータ型のみならず、固定子の外側を回転するアウターロータ型にも前記したスロット内のターン導体配列は有効である。
また、インバータを用いない場合でも、使用環境やその他の何らかの理由でサージ電圧が印加される可能性があるときには、一般の電動機や発電機にも、本実施形態で説明したスロット内のターン導体配列の仕方は有効である。
20 インバータ駆動回転電機、モータ
21 インバータ
22 ケーブル
24 フレーム
25 固定子
26 回転子
27 シャフト
28 磁石、回転子巻線
29、62、142、162 ターン導体、コイル、固定子巻線
31、501 スロット
32 スロット絶縁体
33、503、 ターン導体、ライン側ターン導体(回転電機端子側のターン導体)
34、504、505 ターン導体、反ライン側ターン導体(回転電機端子とは反対側のターン導体)
35、145、500 固定子コア
35T、145T、500T 突極ティース
36 回転子コア
37 楔
41、533、534 ターン導体
51 ボビン
52 エナメル線
53 回転巻枠
61 ブレード
91 導体ガイド
111 絶縁フィルム、導体ガイド
143、144 引き出し線
161 インバータパルス模擬電源
163 U相、U相端子、端子、回転電機端子
164 V相、V相端子、端子、回転電機端子
165 W相、W相端子、端子、回転電機端子
166、167 電圧プローブ
168 デジタルオシロスコープ
171、186 対地電圧、
172 コイル分担電圧
181、182、183 特性線
184、187 電位差
185 第1の頂点電圧
185P、188P 測定点、頂点
186P、187P 測定点
188 第2の頂点電圧
201 漏れ電流
202、203 磁束
204 逆起電力
301 境界線
400 整形フィン
401 空間
502 インサータ
506 磁性楔
511、512、513、611、901、902、903、904 方向符号
Claims (14)
- 固定子コアに設けられる複数のスロットにターン導体が固定子巻線として巻回されてなる固定子と、
前記固定子巻線のターン導体に電力を供給する中継端子である回転電機端子と、
前記固定子の内周側または外周側に配置されて前記固定子に対して相対回転する回転子と、
を備え、
前記ターン導体は、前記スロット内において、前記回転電機端子側の前記ターン導体が、当該スロットの横断面の中央部側に配置され、
前記ターン導体が前記スロット内で、前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体のグループを、残りの前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体のグループが取り囲むように前記スロット内に配置される、
ことを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項1において、
前記ターン導体が前記スロット内で、前記回転電機端子とは反対側の前記ターン導体が前記スロットの前記固定子コアに近接する側に配置されることを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項1において、
前記ターン導体が前記スロット内で、前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体のグループと前記固定子コアとの間に前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体のグループを配置し、
前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体のグループの前記固定子コアへの漏れ電流を、前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体のグループがシールドすることを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項1において、
さらに、前記スロットのなかに凹型の絶縁フィルムを備え、
前記ターン導体が前記スロットに巻回される際に、前記回転電機端子側の前記ターン導体の前記スロット内の導体配列が、前記絶縁フィルムによって整列されることを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項1において、
前記スロットが全開スロットであり、
前記スロットに磁性楔が具備され、該磁性楔が前記全開スロットの蓋をしていることを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記ターン導体が前記スロット内で、前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体の少なくとも10%が前記スロットの略中央部側に配置されることを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記ターン導体が前記スロット内で、
複数の前記ターン導体の略半分の前記回転電機端子側の前記ターン導体は、前記スロットの中央部側に配置され、
複数の前記ターン導体の残りの略半分の前記回転電機端子とは反対側の前記ターン導体は、前記固定子コアに近接する位置に配置される
ことを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項7において、
複数の前記ターン導体の略半分の前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体から前記固定子コアに漏れる電流値が、前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体から前記固定子コアに漏れる電流値以下であることを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記固定子巻線は集中巻固定子巻線であって、
前記固定子コアに形成された突極ティースの内周側に前記回転電機端子とは反対側の前記ターン導体が配置され、
前記突極ティースの外周側に前記回転電機端子の前記ターン導体が配置される
ことを特徴とするインバータ駆動回転電機。 - 請求項1において、
前記ターン導体が前記スロット内で、前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体の前記スロット内の導体配列が、導体ガイドによって整列されることを特徴とするインバータ駆動回転電機の製造方法。 - 請求項1において、
前記ターン導体が前記スロット内で、
前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体と前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体とに略2分割し、
該略2分割された前記回転電機端子とは反対側の前記ターン導体を、前記スロット内に挿入し、
該挿入された前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体の配置を、整形して略中央部に空間を形成し、
該空間に、前記略2分割された前記回転電機端子側の前記ターン導体を挿入することによって、
複数の前記ターン導体の前記スロット内の導体配列を整列することを特徴とするインバータ駆動回転電機の製造方法。 - 請求項1において、
前記ターン導体が前記スロット内で、
前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体と前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体とに略2分割し、
該略2分割された前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体を、前記スロット内に挿入し、
該挿入された前記回転電機端子とは反対側の複数の前記ターン導体の配置を、整形して略中央部に空間を形成し、
該空間にU型の絶縁フィルムを挿入し、
該絶縁フィルムを介した前記空間に、前記略2分割された前記回転電機端子側の複数の前記ターン導体を挿入することによって、
前記スロット内の複数の前記ターン導体の導体配列を整列することを特徴とするインバータ駆動回転電機の製造方法。 - 請求項1において、
前記ターン導体が前記スロット内で、
インサータの溝を1スロット当たり略3分割し、
前記ターン導体を構成する複数のコイルの1コイルのターン数をnとして、前記インサータの中央の溝に略n/2ターンの前記回転電機端子側の前記ターン導体を配置し、
前記の中央の両脇の溝に残りの前記回転電機端子とは反対側の前記ターン導体を略n/4ターンずつ配置し、
前記インサータから前記ターン導体を前記スロットに挿入する
ことを特徴とするインバータ駆動回転電機の製造方法。
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