以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
まず、本発明の実施の形態を理解するための前提として、電気自動車などに電源を供給する組電池の出力電圧を監視する電圧監視システムについて説明する。まず、図1を参照して、電気自動車などに電源を供給する組電池の出力電圧を監視する電圧監視システムVMSの構成の概要について説明する。図1は、電気自動車などに電源を供給する組電池の出力電圧を監視する電圧監視システムVMSの構成を示すブロック図である。電圧監視システムVMSは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMn(nは、2以上の整数)、絶縁素子INS1及びINS2、セルモニタ部(Cell Monitoring Unit)CMU及び電池管理部(Battery Management Unit)BMUを有する。セルモニタ部CMU及び電池管理部BMUは、例えばマイクロコンピュータ(以下、MCU:Micro Computing Unit)で構成される。
電圧監視システムVMSは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnにより、組電池assyの電圧を監視する。組電池assyは、直列接続されたn個の電池モジュールEM1〜EMnを有する。電池モジュールEM1〜EMnのそれぞれは、直列接続されたm個(mは、2以上の整数)の電池セルを有する。すなわち、組電池assyでは、(m×n)個の電池セルが直列に接続される。これにより、組電池assyは高い出力電圧を得ることができる。
セルモニタ部CMUは、絶縁素子INS2を介して電圧監視モジュールVMMnの通信入力端子と接続され、絶縁素子INS1を介して電圧監視モジュールVMM1の通信出力端子と接続される。絶縁素子INS1及びINS2は、例えばフォトカプラなどが用いられ、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnとセルモニタ部CMUとを電気的に分離する。これにより、故障などの際に組電池assyからセルモニタ部CMUへ高電圧が印加されることによる、セルモニタ部CMUの破損を防止することができる。
セルモニタ部CMUは電池管理部BMUと更に接続される。セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnによる電圧監視結果から各電池セルの出力電圧を算出し、電池管理部BMUに通知する。また、セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUからの指令に応じ、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの動作を制御する。電池管理部BMUは、エンジンコントロール部(Engine Control Unit)ECUと更に接続される。電池管理部BMUは、セルモニタ部CMUから通知された各電池セルの出力電圧及びエンジンコントロール部ECUからの指令に応じて、電圧監視システムVMSの動作を制御する。また、電池管理部BMUは、電圧監視システムVMSや組電池assyの状態に関する情報などを、エンジンコントロール部ECUへ通知する。セルモニタ部CMU及び電池管理部BMUの動作については、後述の電圧監視システムVMSの動作の説明において詳述する。
次いで、図2を参照して、電圧監視モジュールVMM1〜VMMn及びセルモニタ部CMUの接続関係について説明する。図2は、電圧監視モジュールVMM1〜VMMn及びセルモニタ部CMUの接続関係を示す電圧監視システムVMSの要部のブロック図である。電圧監視モジュールVMM1〜VMMnは、それぞれ電池モジュールEM1〜EMnと接続され、電池モジュールEM1〜EMnから受ける電圧を監視する。電圧監視モジュールVMM1〜VMMnはデイジーチェーンとして構成され、電圧監視モジュールVMM2〜VMMnの通信回路の出力が、それぞれ電圧監視モジュールVMM1〜VMM(n−1)の通信回路の入力と接続される。
セルモニタ部CMUは、絶縁素子INS2を介して、電圧監視モジュールVMMnに制御信号を出力する。なお、電圧監視モジュールVMM1〜VMM(n−1)に対する制御信号は、デイジーチェーン構成を利用して、電圧監視モジュールVMM1〜VMM(n−1)に伝達される。これにより、セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの動作を制御する。電圧監視モジュールVMM1〜VMMnは、セルモニタ部CMUからの制御信号に応じ、絶縁素子INS1を介して、監視結果をセルモニタ部CMUへ出力する。なお、電圧監視モジュールVMM2〜VMMnからの監視結果は、デイジーチェーン構成を利用して、セルモニタ部CMUに伝達される。
次いで、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnのそれぞれの構成について説明する。なお、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnは、それぞれ同様の構成を有する。よって、代表例として、電圧監視モジュールVMM1の構成について、図3を参照して説明する。図3は、電圧監視モジュールVMM1の構成を示すブロック図である。電圧監視モジュールVMM1は、電源回路VMM_S、通信回路VMM_C、電圧測定回路VMC、セルバランス回路CB1〜CBm(mは2以上の整数)、電源端子VCC、入力端子V_1〜V_(m+1)、セルバランス入力端子VB1〜VBm、通信入力端子Tin及び通信出力端子Toutを有する。
電池モジュールEM1は、高電圧側から順に、電池セルEC1〜ECmが直列接続されている。電圧監視モジュールVMM1は、電源端子VCCが電池セルEC1の高電圧側と接続される。電池セルECmの低電圧側は、入力端子V_(m+1)と接続される。入力端子の電圧は、電圧監視モジュールVMM1内で分岐され、電圧測定回路VMC及び通信回路VMM_Cにグランド電圧として供給される。これにより、電圧監視モジュールVMM1には、電池モジュールEM1の出力電圧が電源電圧として供給される。電源回路VMM_Sは、電源端子VCCを介して、電池セルEC1からの電源供給を受ける。電源回路VMM_Sは、通信回路VMM_C及び電圧測定回路VMCに電源を供給する。
電圧測定回路VMCは、選択回路VMC_SEL、A/Dコンバータ(Analog to Digital Converter:ADC)VMC_ADC、レジスタVMC_REG及び制御回路VMC_CONを有する。選択回路VMC_SELは、スイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mを有する。スイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mは、制御回路VMC_CONからの制御信号によりオン/オフする。jを1〜mの整数とすると、電池セルECjの電圧を測定する場合には、スイッチSWa_j及びSWb_jが同時にオンとなる。これにより、電池セルECjの高電位側端子からの電圧が、入力端子V_jを介して、高電位側電圧VHとしてA/DコンバータVMC_ADCに供給される。同様に、電池セルECjの低電位側端子からの電圧が、入力端子V_(j+1)を介して、低電位側電圧VLとしてA/DコンバータVMC_ADCに供給される。
A/DコンバータVMC_ADCは、高電位側電圧VHと低電位側電圧VLの値をデジタル値である電圧値に変換する。そして、デジタル値である電圧値をレジスタVMC_REGに出力する。レジスタVMC_REGは、A/DコンバータVMC_ADCから出力された電圧値を記憶する。制御回路は、スイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mを順にオンにする動作を、所定の時間(例えば10msec)ごとに繰り返す。これにより、レジスタVMC_REGには、所定の時間ごとに、入力端子V_j及びV_(j+1)に供給される電圧の値が上書きされる。
通信回路VMM_Cは、通信入力端子Tinを介して、セルモニタ部CMUからの指令及び他の電圧監視モジュールVMM2〜VMMnからの出力を受ける。そして、通信回路VMM_Cは、セルモニタ部CMUからの指令を、制御回路VMC_CONに転送する。なお、通信回路VMM_Cは、電圧監視モジュールVMM2〜VMMnからの出力を、セルモニタ部CMUにそのまま転送する。
セルバランス回路CBjと外付け抵抗R_jとは、セルバランス入力端子VBjを介して、それぞれ入力端子V_jと入力端子V_(j+1)との間に接続される。セルバランス回路CBjがオンとなることにより、入力端子V_jと入力端子V_(j+1)との間が導通する。制御回路VMC_CONがセルバランス回路CB1〜CBmのオン/オフを制御することにより、電池セルEC1〜ECmのそれぞれを選択的に放電させる。
続いて、図1を参照して、電圧監視システムVMSの動作について説明する。まず、電池セルの出力電圧監視動作について説明する。電圧監視システムVMSは、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作開始指令に応じ、電池セルの出力電圧監視動作を開始する。例えば、エンジンコントロール部ECUは電気自動車のパワーオンを検出し、電池管理部BMUへ電圧監視システムVMSの起動指令を発する。電池管理部BMUは、電圧監視システムVMSの起動指令に応じ、セルモニタ部CMUに電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの起動指令を発する。セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの起動指令に応じ、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnへ電圧監視動作開始指令を発する。
図3を参照して、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの動作について説明する。 電圧監視動作開始指令を受けた電圧監視モジュールVMM1〜VMMnはそれぞれ同様の動作を行うので、以下では、電圧監視モジュールVMM1の動作を代表例として説明する。電圧監視モジュールVMM1は、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作開始指令に応じ、電圧監視動作を開始する。具体的には、通信回路VMM_Cは、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作開始指令を、電圧測定回路VMCの制御回路VMC_CONに転送する。制御回路VMC_CONは、電圧監視動作開始指令に応じ、スイッチSWa_j及びSWb_jをオンにする。これにより、入力端子V_j及びV_(j+1)は、それぞれA/DコンバータVMC_ADCと接続される。A/DコンバータVMC_ADCは、接続された入力端子V_j及びV_(j+1)に供給される電圧の大きさを、デジタル値である電圧値に変換し、電圧値をレジスタVMC_REGに書き込む。
この例では、制御回路VMC_CONは、所定の時間内にスイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mを順にオンにする。すなわち、所定時間内に、m回のスイッチング動作を繰り返す。所定の時間は、例えば10msecである。この場合、電圧監視モジュールVMM1は、所定の時間(10msec)ごとに、入力端子V_j及びV_(j+1)のそれぞれに供給される電圧の値を測定し、レジスタVMC_REGに逐次上書きすることとなる。電圧監視モジュールVMM1は、セルモニタ部CMUからの指令がない限り、上述の電圧監視動作を継続して行う。
電気自動車の制御を行うために電池セルの出力電圧の値を参照する場合には、セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUからの指令に応じ、電圧値出力指令を電圧監視モジュールVMM1に発する。電圧監視モジュールVMM1は、電圧値出力指令に応じ、指定された入力端子の電圧値を、セルモニタ部CMUに出力する。具体的には、通信回路VMM_Cは、セルモニタ部CMUからの電圧値出力指令を、電圧測定回路VMCの制御回路VMC_CONに転送する。制御回路VMC_CONは、電圧値出力指令に応じ、レジスタVMC_REGに出力指令を発する。この際、制御回路VMC_CONは、レジスタVMC_REGに対し、いずれの入力端子の電圧値を出力するかを指定する。レジスタVMC_REGは、制御回路VMC_CONからの出力指令に応じ、出力指令を受けた時点における指定された入力端子の電圧値を、通信回路VMM_Cを介して、セルモニタ部CMUに出力する。
セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1から受け取った入力端子V_j及びV_(j+1)の電圧値から、電池セルECjの出力電圧を算出する。例えば、セルモニタ部CMUは、入力端子V_1と入力端子V_2との間の電圧の差から、電池セルEC1の出力電圧を算出することができる。その後、セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUの求めに応じて、算出した電池セルの出力電圧を、電池管理部BMUに通知する。
なお、電気自動車がパワーオフとなる場合には、エンジンコントロール部ECUは電気自動車のパワーオフを検出し、電池管理部BMUへ電圧監視システムVMSの停止指令を発する。電池管理部BMUは、電圧監視システムVMSの停止指令に応じ、セルモニタ部CMUに電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの停止指令を発する。セルモニタ部CMUは、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnの停止指令に応じ、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnへ電圧監視動作停止指令を発する。電圧監視モジュールVMM1は、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作停止指令に応じ、電圧監視動作を停止する。具体的には、通信回路VMM_Cは、セルモニタ部CMUからの電圧監視動作停止指令を、電圧測定回路VMCの制御回路VMC_CONに転送する。制御回路VMC_CONは、電圧監視動作停止指令に応じ、スイッチSWa_1〜SWa_m及びSWb_1〜SWb_mを全てオフにする。これにより、電圧監視動作が停止する。
以上では、電池セルの電圧監視動作について説明した。しかし、電圧監視システムVMSは、例えば電気自動車などに搭載されるので、電気自動車の使用状況などに応じた動作を行う必要がある。よって、以下では、電気自動車の使用状況に応じた電圧監視システムVMSの動作を説明する。
電気自動車を継続的に使用するためには、電気スタンドなどにおいて組電池assyの充電を行う必要がある。組電池assyを充電する場合は、エンジンコントロール部ECUが、例えば充電プラグの接続などの運転者の操作を検知し、組電池assyを充電するための充電指令を電池管理部BMUに発する。電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUからの充電指令に応じ、リレーREL1及びREL2を開ける。これにより、組電池assyとインバータINVとは、電気的に切断される。この状態で、例えば充電プラグを介して組電池assyに外部充電電圧CHARGEが供給されることにより、組電池assyが充電される。
一般に、電池セルなどの二次電池が過充電又は過放電されると、電池セルの寿命が短くなることが知られている。また、組電池assyのように複数の電池セルが直列接続された構成では、電池セルの製造ばらつきなどにより、同様の充放電動作を行わせても電圧のばらつきなどが生じる。このようなばらつきが生じたまま、組電池assyの充放電動作を繰り返すと、特定の電池セルのみの劣化、過充電又は過放電が発生する。その結果、組電池assy全体の短寿命化及び故障発生の原因となる。このため、直列接続された電池セルを用いる場合には、各電池セルの電圧のバランス(いわゆるセルバランス)を維持する必要がある。
以下では、電気スタンドなどにおける充電時の電圧監視システムVMSの電池セルの動作について説明する。なお、電池セルの出力電圧監視動作及び電池セルの出力電圧の算出方法については、上述と同様であるので、適宜説明を省略する。
まず、電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUからの充電指令に応じ、セルモニタ部CMUに出力電圧測定指令を発する。セルモニタ部CMUは、電池管理部BMUからの出力電圧測定指令に応じ、組電池assyを構成する全ての電池セルの出力電圧を算出し、電池管理部BMUに通知する。電池管理部BMUは、組電池assyの中で最も出力電圧が低い電池セルを特定する。ここでは、説明を簡略化するため、電池モジュールEM1の電池セルEC1が、組電池assyの中で最も出力電圧が低い電池セルであるとする。
その後、電池管理部BMUは、セルバランス動作指令をセルモニタ部CMUに発する。セルモニタ部CMUは、セルバランス動作指令に応じて、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnに放電指令を発する。以下では、電圧監視モジュールVMM1の動作を代表例として説明する。電圧監視モジュールVMM1では、電圧測定回路VMCの制御回路VMC_CONが、通信回路VMM_Cを介して、放電指令を受ける。制御回路VMC_CONは、放電指令に応じ、セルバランス回路CB2〜CBmをオンにする。これにより、電池セルEC2〜ECmが放電される。
セルモニタ部CMUは、放電中の電池セルEC2〜ECmの出力電圧値を逐次算出する。そして、各電池セルの出力電圧が電池セルEC1の出力電圧まで降下した場合に、該当する電池セルの放電動作を停止させる放電停止指令を発する。以下では、放電により、電池セルEC2の出力電圧が電池セルEC1の出力電圧まで降下した場合について説明する。まず、セルモニタ部CMUは、電池セルEC2の出力電圧が電池セルEC1の出力電圧まで降下したことを検出する。そして、電圧監視モジュールVMM1に電池セルEC2の放電停止指令を発する。
電圧監視モジュールVMM1の制御回路VMC_CONは、通信回路VMM_Cを介して、電池セルEC2の放電停止指令を受ける。制御回路VMC_CONは、電池セルEC2の放電停止指令に応じて、セルバランス回路CB2をオフにする。これにより、電池セルEC2の放電は停止し、電池セルEC2の出力電圧は電池セルEC1の出力電圧と同じになる。セルモニタ部CMUが同様の動作を行うことにより、電池モジュールEM1の電池セルEC3〜ECm及び電池モジュールEM2〜EMnの各電池セルの出力電圧も、電池セルEC1の出力電圧と同じになる。これにより、電池モジュールEM2〜EMnの各電池セルの出力電圧が均一化され、セルモニタ部CMUはセルバランス動作を終了する。セルモニタ部CMUは、セルバランス動作終了を、電池管理部BMUに通知する。
電池管理部BMUは、セルバランス動作終了の通知に応じ、充電プラグと接続される受電部(不図示)に、充電開始の指令を発する。これにより、組電池assyに外部充電電圧CHARGEが供給され、組電池assyの充電が開始する。
セルモニタ部CMUは、充電中の各電池セルの出力電圧を監視する。そして、いずれかの電池セルの出力電圧が充電上限電圧に到達したならば、過充電警報を電池管理部BMUに通知する。電池管理部BMUは、過充電警報の通知に応じ、受電部に充電停止の指令を発する。これにより、外部充電電圧CHARGEの供給が遮断され、充電は停止する。充電上限電圧は、電池セルの過充電の発生を確実に防止するため、過充電時の電圧レベルから十分なマージンを有する、過充電時の閾値電圧レベルよりも小さい電圧値を設定することが望ましい。
なお、電圧モジュールEM1〜EMnの各電池セルの充電特性には、ばらつきがある。このため、充電後の各電池セルの電圧値には、ばらつきが生じる。よって、各電池セルの電圧値のばらつきを把握するため、セルモニタ部CMUは各電池セルの出力電圧を測定する。そして、各電池セルの出力電圧のばらつきが、規定範囲内に収まっているか否かを判定する。そして、判定結果を電池管理部BMUに通知する。
各電池セルの出力電圧のばらつきが規定範囲内に収まっていない場合には、電池管理部BMUは、セルバランス動作の開始をセルモニタ部CMUに指令する。そしてセルバランス動作終了後、電池管理部BMUは、充電開始を受電部に指令する。一方、各電池セルの出力電圧のばらつきが規定範囲内に収まっている場合には、電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUに充電完了を通知する。エンジンコントロール部ECUは、運転席に設けられた表示装置などに、組電池assyの充電が完了したことを表示する。以上のように、電圧監視システムVMSが電池セルの出力電圧を監視することにより、過充電を防止し、かつ良好なセルバランスを維持した状態で、組電池assyをフル充電状態まで充電することができる。
次いで、電気自動車を加速させる場合について説明する。電気自動車を加速させる場合には、エンジンコントロール部ECUが、例えばアクセルペダルの踏みこみなどの運転者の操作を検知して、電気自動車を加速させるための加速指令をインバータINV及び電池管理部BMUに発する。インバータINVは、エンジンコントロール部ECUからの加速指令に応じ、動作モードが直流→交流変換モードに切り替わる。電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUからの加速指令に応じ、リレーREL1及びREL2を閉じる。これにより、組電池assyからインバータINVに直流電圧が供給される。インバータINVは、直流電圧を交流電圧に変換し、モータジェネレータMGに供給する。モータジェネレータMGは、交流電圧の供給を受けることにより、駆動力を発生させる。モータジェネレータMGで発生した駆動力が、ドライブシャフトなどを介して駆動輪に伝達されることにより、電気自動車は加速する。
電気自動車が加速する場合には、電池セルに蓄えられた電力が消費され、電池セルの出力電圧は降下してゆく。従って、電池セルの過放電を防止する措置が必要である。そのため、電圧監視システムVMSは、走行時の各電池セルの出力電圧を常時監視する。そして、例えばいずれかの電池セルの電圧が警告レベル電圧を下回った場合には、セルモニタ部CMUは電池管理部BMUに電圧降下警報を発する。電池管理部BMUは、電圧降下警報に応じて、組電池assyの充電残量低下警報をエンジンコントロール部ECUに発する。エンジンコントロール部ECUは、運転席に設けられた表示装置などに、組電池assyの充電残量低下警報を表示し、運転者に電池セルの過放電が生じる恐れがあることを報知する。これにより、電圧監視システムVMSは、走行停止などの過放電防止措置を取ることを、運転者に促すことができる。
なお、組電池assyの充電残量低下警報が放置され、その後も走行が続けられた場合には、電池セルの出力電圧はさらに低下する。よって、電池セルの過放電を防止するため、各電池セルの放電を停止する必要がある。例えばいずれかの電池セルの電圧が緊急停止レベル電圧を下回った場合には、セルモニタ部CMUは電池管理部BMUに緊急停止警報を発する。緊急停止レベル電圧は、電池セルの過放電の発生を確実に防止するため、過放電時の電圧レベルから十分なマージンを有する、過放電の閾値電圧レベルよりも大きい電圧値を設定することが望ましい。
電池管理部BMUは、セルモニタ部CMUからの緊急停止警報に応じ、緊急停止動作を発動する。具体的には、電池管理部BMUは、リレーREL1及びREL2を開け、組電池assyからインバータINVへの電源供給を遮断する。これにより、電池セルの出力電圧降下が停止する。また、電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUに、緊急停止動作の実行を通知する。エンジンコントロール部ECUは、運転席に設けられた表示装置などに、緊急停止動作が発動されたことを表示する。これにより、電池セルの過放電の発生を確実に防止することができる。
次いで、電気自動車を減速させる場合について説明する。電気自動車を減速させる場合には、エンジンコントロール部ECUが、例えばブレーキペダルの踏みこみなどの運転者の操作を検知し、電気自動車を減速させるための減速指令をインバータINV及び電池管理部BMUに発する。インバータINVは、エンジンコントロール部ECUからの減速指令に応じ、動作モードが交流→直流変換モードに切り替わる。電池管理部BMUは、エンジンコントロール部ECUからの減速指令に応じ、リレーREL1及びREL2を閉じる。モータジェネレータMGは、ドライブシャフトなどを介して伝達されるタイヤの回転力により、発電を行う。発電により生じる回転抵抗は、ドライブシャフトなどを介して、制動力として駆動輪に伝達される。これにより、電気自動車は減速する。この制動手法は、一般に回生ブレーキ動作と称される。回生ブレーキ動作により生じた交流電圧は、インバータINVに供給される。インバータINVは、モータジェネレータMGからの交流電圧を直流電圧に変換し、組電池assyに供給する。これにより、組電池assyは、回生ブレーキ動作で回収された電圧により充電される。
回生ブレーキ動作時には組電池assyが充電されるので、各電池セルの出力電圧は上昇する。よって、電池セルの過充電を防止する措置が必要である。そのため、電圧監視システムVMSは、走行時の各電池セルの出力電圧を常時監視する。セルモニタ部CMUは、回生ブレーキ動作開始時の各電池セルの出力電圧が充電上限電圧以下であるか否かを判定する。充電上限電圧よりも大きな出力電圧を有する電池セルが存在する場合には、セルモニタ部CMUは過充電警報を電池管理部BMUに発する。電池管理部BMUは、過充電警報に応じてリレーREL1及びREL2を開け、組電池assyが充電されることを防止する。
また、回生ブレーキ動作による充電中においても、セルモニタ部CMUは、電池セルの出力電圧の監視を継続する。そして、出力電圧が充電上限電圧に到達した電池セルが発見された場合には、セルモニタ部CMUは過充電警報を電池管理部BMUに発する。電池管理部BMUは、過充電警報に応じてリレーREL1及びREL2を開け、組電池assyが充電されることを防止する。これにより、組電池assyの過充電を防止できる。
上述では、電池セルの電圧が正常に検出できることを前提として、電圧監視システムVMSの動作を説明したが、実際には電池セルの出力電圧を正常に検出できない場合が有る。例えば、電圧監視モジュールVMM1〜VMMnと組電池assyとの間の配線が断線してしまうと、断線箇所の電圧が異常降下又は異常上昇してしまい、セルモニタ部CMUは正常な電圧算出ができなくなる。このような断線が発生した場合には、電圧監視システムVMSの目的である電池セルの出力電圧の監視ができなくなるため、断線故障を検出することが求められる。
そのため、セルモニタ部CMUには、出力電圧の値の適正範囲が予め記憶されている。算出した電池セルの出力電圧値が適正範囲から逸脱している場合には、セルモニタ部CMUは断線故障が発生したものと判定する。そして、セルモニタ部CMUは、断線故障の発生を電池管理部BMUに通知する。電池管理部BMUは、断線故障発生の通知に応じ、リレーREL1及びREL2開けて、インバータINVと組電池assyの接続を切断する。これにより、システムに更なる障害が発生することを防止する。また、電池管理部BMUは、断線故障の発生をエンジンコントロール部ECUに通知する。エンジンコントロール部ECUは、運転席に設けられた表示装置などに断線故障の発生を表示し、運転者に故障発生を報知する。以上のように、電圧監視システムVMSは、断線故障の発生を検出することも可能である。
なお、電圧監視システムVMSの構成及び動作は例示に過ぎない。従って、例えば、セルモニタ部CMU及び電池管理部BMUは、1つの回路ブロックに統合することが可能である。また、セルモニタ部CMUと電池管理部BMUが分担する機能の全部又は一部を相互に代替することが可能である。さらに、セルモニタ部CMU、電池管理部BMU及びエンジンコントロール部ECUは、1つの回路ブロックに統合することが可能である。また、エンジンコントロール部ECUは、セルモニタ部CMU及び電池管理部BMUの機能の全部又は一部を代替することが可能である。
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1にかかるバンドギャップリファレンス(Band Gap Reference:以下BGRと表記)回路100について説明する。なお、実施の形態1にかかるBGR回路100は、例えば図3に示す電圧監視モジュールに電源供給する電源回路内に含まれ、図3のA/DコンバータVMC_ADCに基準電圧を供給する。特に断らない限り、以降の実施の形態にかかるBGR回路についても同様である。図4は、実施の形態1にかかるBGR回路100の構成を示す回路図である。BGR回路100は、抵抗RL1及びRL2、バイポーラトランジスタQ1及びQ2、抵抗R1、R2a及びR2b、増幅器AMP、温度補正回路10を有する。なお、温度補正回路10は、第1の温度補正回路に対応する。BGR回路100は、第1の電源端子(例えば電源電圧VDDを与える電源端子であり、以下では電源端子VDDと表記する)と第2の電源端子(例えばグランド電圧GNDを与える電源端子であり、以下グランド端子GNDと表記する)との間に接続され、電源供給を受ける。
抵抗RL1(第9の抵抗とも称する)は、電源端子VDDとバイポーラトランジスタQ1のコレクタとの間に接続される。バイポーラトランジスタQ1のエミッタとグランド端子GNDとの間には、抵抗R1が接続される。なお、バイポーラトランジスタQ1は、第1のバイポーラトランジスタに対応する。抵抗R1は、第1の抵抗に対応する。バイポーラトランジスタQ1のベースは、出力端子TOUTと接続される。
抵抗RL2(第10の抵抗とも称する)は、電源端子VDDとバイポーラトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。バイポーラトランジスタQ2のエミッタとバイポーラトランジスタQ1のエミッタとの間には、抵抗R2a及びR2bがこの順で直列に接続される。なお、バイポーラトランジスタQ2は、第2のバイポーラトランジスタに対応する。抵抗R2aは第2の抵抗に対応し、抵抗R2bは第3の抵抗に対応する。バイポーラトランジスタQ2のベースは、出力端子TOUTと接続される。
抵抗R2a及びR2bは、同じ抵抗値を有する。また、抵抗R2a及びR2bは、図24で示すBGR回路1100の抵抗R102の半分の抵抗値を有する。すなわち、BGR回路1100の抵抗R102の抵抗値をRとすると、抵抗R2a及びR2bの抵抗値は、それぞれR/2である。なお、抵抗R2bと抵抗R1との間を第1ノードとも称し、抵抗R2aと抵抗R2aとの間のノードを第2ノードとも称する。
増幅器AMPの非反転入力はバイポーラトランジスタQ1のコレクタと接続され、反転入力はバイポーラトランジスタQ2のコレクタと接続される。増幅器AMPの出力は、出力端子TOUTと接続される。
温度補正回路10は、抵抗R2a及びR2b間のノードとグランド端子GNDとの間に挿入される。温度補正回路10は、トランジスタQ11及び抵抗R11を有する。なお、トランジスタQ11は、第1のトランジスタに対応する。抵抗R11は、第4の抵抗に対応する。トランジスタQ11のコレクタは抵抗R2a及びR2b間のノードと接続される。トランジスタQ11のエミッタとグランド端子GNDとの間には、抵抗R11が接続される。トランジスタQ11のベースは、ノードN1(すなわち、抵抗R1のバイポーラトランジスタQ1側の端子)と接続される。
なお、バイポーラトランジスタQ1とバイポーラトランジスタQ2とは、面積が異なる。この例では、バイポーラトランジスタQ1とバイポーラトランジスタQ2との面積比は、1:Nである。よって、バイポーラトランジスタQ1とバイポーラトランジスタQ2とは、動作時の電流密度が異なる。つまり、バイポーラトランジスタQ1の電流密度J
1とバイポーラトランジスタQ2の電流密度J
2とは、以下の式(10)に示す関係を満たす。
続いて、BGR回路100の動作について説明する。前述のように、BGR回路の出力電圧VBGRの温度特性は、上に凸の曲線を描く。以下では、BGR回路の出力電圧VBGRの温度特性を示す上に凸の曲線が最大値を示す温度をTsとする。BGR回路100の温度補正回路10は、Tsよりも高い所定の閾値温度TthHで動作を開始することを特徴とする。以下では、温度TがTthHよりも低い場合とTthH以上の場合とに分けて、BGR回路100の動作を説明する。また、以下では、バイポーラトランジスタQ1及びQ2のベース−エミッタ間電圧を、それぞれVBE1及びVBE2とする。
まず、T<TthHの場合について説明する。図5は、T<TthHの場合のBGR回路100を示す等価回路図である。図5に示すように、バイポーラトランジスタQ1には電流I1が流れ、バイポーラトランジスタQ2、抵抗R2a及びR2bには、電流I2が流れる。
上述のように、抵抗R2a及びR2bは、BGR回路1100の抵抗R102の半分の抵抗値を有する。従って、T<TthHの場合のBGR回路100は、BGR回路1100と同様の構成となる。つまり、T<TthHの場合のBGR回路100は、BGR回路1100と同様の動作を行う。よって、T<TthHの場合のBGR回路100の動作の詳細については、説明を省略する。
次いで、T≧TthHの場合について説明する。図6は、T≧TthHの場合のBGR回路100を示す等価回路図である。温度TがTsを超えて上昇するに伴い、図5で示す電流I2は増加する。そのため、温度上昇に伴い、ノードN1の電圧が上昇する。そして、温度Tが閾値温度TthHを超えると、ノードN1の電圧がトランジスタQ11の閾値電圧を超える。すると、トランジスタQ11及び抵抗R11に、電流I22が流れ始める。また、抵抗R2bには、電流I2から電流I22を差し引いた電流I21が流れる。これにより、温度補正回路10が動作を開始し、バイポーラトランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧VBE1の温度変化を補正することにより、BGR回路100の出力電圧VBGRを補正する。BGR回路100では、回路のパラメータを適切に設定することで、ノードN1の電圧がトランジスタQ11の閾値電圧を超える閾値温度を設定することができる。つまり、温度補正回路10が出力電圧VBGRの温度補正動作を開始する温度を設定することができる。
以下、温度補正回路10の出力電圧V
BGRの温度補正動作について詳述する。T≧TthHの場合、抵抗R1には電流Iが流れる。この時、出力端子T
OUTに現れる出力電圧V
BGRは、以下式(11)で表される。
R2a=R2bであるので、バイポーラトランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧V
BE1は、以下の式(12)で表される。
また、電流I2、I21及びI22には、式(13)で示す関係が成立する。
式(13)より、式(12)は式(14)に書き換えることができる。
式(14)を電流I2について解くと、以下の式(15)が得られる。
また、(V
BE1−V
BE2)=ΔV
BEは、以下の式(16)で表される。但し、Kはボルツマン定数、qは電子の電荷量、Tは絶対温度である。
式(10)より、式(16)は、以下の式(17)に書き換えることができる。
式(15)に式(17)を代入すると、以下の式(18)が得られる。
また、式(13)及び式(18)から、電流I21は、以下の式(19)で表される。
BGR回路100は、電流I1と電流I2とが等しくなるように動作する。よって、I1=I2とすると、以下の式(20)が成り立つ。
式(11)、(18)及び(20)より、以下の式(21)が得られる。
ここで、BGR回路100の抵抗R2a及びR2bの抵抗値はR/2であるので、式(21)は、式(22)に書き換えられる。
なお、式(9)についても、式(22)と同じ式に書き換えることができる。つまり、式(22)の右辺第2項に示すように、本実施の形態にかかるBGR回路100は、一般的なBGR回路1100と同様の温度補償動作を行うことができる。
さらに、BGR回路100では、I1=I2より、電流I1は以下の式(23)で表される。
つまり、BGR回路100では、BGR回路1100に比べて、式(23)の右辺第2項の分だけ、電流I1の値が大きくなる。よって、電流I1が大きくなった結果、バイポーラトランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧VBE1が大きくなる。すなわち、負の温度係数を有するバイポーラトランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧VBE1に対して、式(23)の右辺第2項の分だけ、バイポーラトランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧VBE1に、正の補正量を与えることができる。また、バイポーラトランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧VBE1以外のパラメータに影響することなく、式(23)の右辺第2項による補正量を与えることが可能である。
図7は、実施の形態1にかかるBGR回路100の出力電圧VBGRの温度特性を示すグラフである。図7では、本実施の形態にかかるBGR回路100の温度特性を曲線L1で示し、一般的なBGR回路1100の温度特性を曲線L10で示している。図7に示すように、温度補正回路10は、TthH以上の温度で動作を開始し、出力電圧VBGRの温度補正を行う。
曲線L10に示すように、温度補正が無い場合には、温度上昇に伴って、BGR回路の出力電圧VBGRの変化率は大きくなってゆく。これに対し、温度補正回路10が動作を開始すると、式(23)に示すように、温度上昇に従って電流I1が増加する。よって、温度が高いほど、出力電圧VBGRの補正量も大きくなる。つまり、温度補正回路10が動作すると、曲線L10に示す出力電圧VBGRの変化をキャンセルするように補正が行われる。従って、BGR回路100は、出力電圧VBGRが負の温度係数を有する温度範囲で、出力電圧VBGRの変動を抑制することができる。
BGR回路100は、温度補正回路10の抵抗R11の抵抗値を調整することにより、補正量を調整することが可能である。抵抗R11の抵抗値を決定するには、BGR回路100を半導体基板上に作製したのち、BGR回路100の温度特性を測定する。そして、測定結果に基づいて、例えば基板上に形成された抵抗素子の長さを調整するために、レーザートリミングなどの物理的加工を施すことにより、抵抗値を調整することができる。つまり、BGR回路を対象となる製品に搭載する前のキャリブレーションとして、抵抗値を調整することが可能である。
実施の形態2
次に、実施の形態2にかかるBGR回路200について説明する。図8は、実施の形態2にかかるBGR回路200の構成を示す回路図である。BGR回路200は、実施の形態1にかかるBGR回路100の温度補正回路10を、温度補正回路20に置換した構成を有する。なお、温度補正回路20は、第1の温度補正回路に対応する。
温度補正回路20は、温度補正回路10の抵抗R11を、可変抵抗R21に置換した構成を有する。なお、可変抵抗R21は、第4の抵抗に対応する。BGR回路200のその他の構成は、BGR回路100と同様であるので、説明を省略する。
BGR回路200は、例えば外部の制御回路201から可変抵抗R21に制御信号を供給することにより、可変抵抗R21の抵抗値を設定することが可能である。よって、実施の形態1にかかるBGR回路100などのように、レーザートリミングなどの物理的な加工を行うことなく、BGR回路の温度特性の調整が可能である。
実施の形態3
次に、実施の形態3にかかるBGR回路300について説明する。図9は、実施の形態3にかかるBGR回路300の構成を示す回路図である。BGR回路300は、実施の形態1にかかるBGR回路100の温度補正回路10を温度補正回路30に、抵抗R1を抵抗R1a及びR1bに分割した構成を有する。なお、温度補正回路30は、第1の温度補正回路に対応する。
抵抗R1a及びR1bは、バイポーラトランジスタQ1のエミッタとグランド端子GNDとの間に、この順で直列に接続される。なお、抵抗R1aは第1の抵抗に対応し、抵抗R1bは第5の抵抗に対応する。すなわち、BGR回路300は、第1の抵抗(抵抗R1a)と第2の電源端子(グランド端子GND)との間に、第5の抵抗(抵抗R1b)が挿入された構成を有する。抵抗R1a及びR1bは、同じ抵抗値を有する。また、抵抗R1a及びR1bは、BGR回路100の抵抗R1の半分の抵抗値を有する。すなわち、BGR回路100の抵抗R1の抵抗値をRとすると、抵抗R1a及びR1bの抵抗値は、それぞれR/2である。
温度補正回路30は、温度補正回路10に、トランジスタQ31及び抵抗R31を追加した構成を有する。なお、トランジスタQ31は、第2のトランジスタに対応する。抵抗R31は、第6の抵抗に対応する。トランジスタQ31のコレクタは抵抗R2a及びR2b間のノードと接続される。トランジスタQ31のエミッタとグランド端子GNDとの間には、抵抗R31が接続される。トランジスタQ31のベースは、抵抗R1aと抵抗R1bとの間のノードN2と接続される。BGR回路300のその他の構成は、BGR回路100と同様であるので、説明を省略する。
BGR回路300の温度補正回路30では、トランジスタQ11及びQ31のベースのそれぞれに、異なる電圧が入力する。従って、トランジスタQ11がオンになるタイミングと、トランジスタQ31がオンになるタイミングとを、異ならせることができる。本実施の形態では、例えば、トランジスタQ11がオンになる温度をTthH1とし、トランジスタQ31がオンになる温度をTthH2とする(但し、TthH1<TthH2)。
図10は、実施の形態3にかかるBGR回路300の出力電圧VBGRの温度特性を示すグラフである。図10では、本実施の形態にかかるBGR回路300の温度特性を曲線L3で示している。また、実施の形態1にかかるBGR回路100の温度特性を曲線L1、一般的なBGR回路1100の温度特性を曲線L10で示している。
曲線L3に示すように、まず、温度がTthH1に達すると、トランジスタQ11がオンとなり、出力電圧VBGRの温度特性の補正を開始する。その後、更に温度が上昇すると、出力電圧VBGRの降下量が大きくなってゆく。そして、温度がTthH2に達すると、トランジスタQ31がオンとなり、出力電圧VBGRの補正量は更に大きくなる。
つまり、BGR回路300は、温度上昇に伴い出力電圧の下降率が大きくなる場合でも、オンになる温度が異なる複数のトランジスタを用いることで、出力電圧VBGRの変動を抑制することが可能である。図10では、曲線L1に比べて、曲線L3において出力電圧VBGRの降下が小さくなっていることが確認できる。
なお、本実施の形態では、温度補正回路30が並列に接続されたトランジスタを2個有する例について説明したが、3個以上のトランジスタを設けてもよい。
実施の形態4
次に、実施の形態4にかかる電源回路400について説明する。図11は、実施の形態4にかかる電源回路400の構成を示す回路図である。電源回路400は、実施の形態1にかかるBGR回路100、温度補正回路40及び昇圧部401を有する。なお、温度補正回路40は、第2の温度補正回路に対応する。BGR回路100については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
昇圧部401は、昇圧抵抗R401及びR402を有する。なお、昇圧部401は第1の昇圧抵抗に対応し、第2の昇圧抵抗は第2の昇圧抵抗に対応する。昇圧抵抗R401及びR402は、BGR回路100の増幅器AMPの出力及び出力端子TOUTとグランド端子GNDとの間に、この順で接続される。昇圧抵抗R401及びR402間のノードN3には、BGR回路100の出力電圧VBGRが入力する。
温度補正回路40は、抵抗RL3、バイポーラトランジスタQ41及び抵抗R41を有する。なお、バイポーラトランジスタQ41は、第3のバイポーラトランジスタに対応する。抵抗R41は、第7の抵抗に対応する。抵抗RL3は、電源端子VDDとバイポーラトランジスタQ41のコレクタとの間に接続される。バイポーラトランジスタQ41のエミッタとグランド端子GNDとの間には、抵抗R41が接続される。バイポーラトランジスタQ41のベースは、昇圧部401の昇圧抵抗R401及びR402間のノードN3と接続される。
続いて、電源回路400の動作について説明する。前述のように、BGR回路の出力電圧VBGRの温度特性は、上に凸の曲線を描く。同様に、BGR回路の出力電圧VBGRを昇圧した出力電圧VOUTを出力する電源回路では、出力電圧VOUTの温度特性は上に凸の曲線を描く。以下では、電源回路の出力電圧VOUTの温度特性を示す上に凸の曲線が最大値を示す温度をTsとする。電源回路400の温度補正回路40は、温度Tsよりも低い所定の閾値温度TthL以下で動作することを特徴とする。以下では、温度TがTthLよりも大きい場合とTthL以下の場合とに分けて、電源回路400の動作を説明する。
まず、T>TthLの場合について説明する。図12は、T>TthLの場合の電源回路400を示す等価回路図である。T>TthLでは、バイポーラトランジスタQ41はオフとなっている。この場合、図12に示すように、昇圧抵抗R401及び昇圧抵抗R402には、電流I4が流れる。
昇圧部401により、BGR回路100の出力電圧VBGRは、出力電圧VOUTに昇圧される。例えば、温度Tsにおける出力電圧VBGRが1.25Vであれば、出力電圧VOUTは4.7Vである。但し、これはあくまで例示であり、VBGR及びVOUTは、他の値とすることができる。
次いで、T≦TthLの場合について説明する。そして、温度Tが閾値温度TthLよりも低下すると、バイポーラトランジスタQ41がオンとなる。図13は、T≦TthLの場合の電源回路400を示す等価回路図である。このとき、昇圧抵抗R401には電流I4が流れる。昇圧抵抗R402には電流I41が流れる。バイポーラトランジスタQ41のベースには、ベース電流I42が流れる。
このベース電流I42は負の温度係数を有している。従って、温度Tが低下するに伴い、ベース電流I42が増加する。よって、電流I4は、温度低下に伴って、ベース電流I42の分だけ増加することとなる。その結果、T≦TthLの場合、本来正の係数を有する出力電圧VOUTに、負の温度係数を有する補正量を与えることができる。
図14は、実施の形態4にかかる電源回路400の出力電圧VOUTの温度特性を示すグラフである。図14では、本実施の形態にかかる電源回路400の出力電圧VOUTの温度特性を曲線L4で示している。また、一般的なBGR回路1100を用いた場合の出力電圧VOUTの温度特性を曲線L10で、温度補正回路40が無い場合の出力電圧VOUTの温度特性をL1で示している。温度補正回路40は、温度Tsよりも低温側の領域で動作する。これに、温度Tsよりも高温側で動作する温度補正回路10と組み合わせ、広い温度範囲で電源回路400から出力される出力電圧VOUTの変動を抑制することができる。
なお、温度補正回路40の回路のパラメータを適切に設定することで、バイポーラトランジスタQ41がオンとなるタイミングを設定できる。つまり、温度補正回路40の温度補正動作の開始温度を設定することができる。
電源回路400は、温度補正回路40の抵抗R41の抵抗値を調整することにより、補正量を調整することが可能である。抵抗R41の抵抗値を決定するには、電源回路400を半導体基板上に作製したのち、電源回路400の温度特性を測定する。そして、測定結果に基づいて、例えば基板上に形成された抵抗素子の長さを調整するために、レーザートリミングなどの物理的加工を施すことにより、抵抗値を調整することができる。つまり、電源回路を対象となる製品に搭載する前のキャリブレーションとして、抵抗値を調整することが可能である。
実施の形態5
次に、実施の形態5にかかる電源回路500について説明する。図15は、実施の形態5にかかる電源回路500の構成を示す回路図である。電源回路500は、実施の形態4の温度補正回路40を、温度補正回路50に置換した構成を有する。なお、温度補正回路50は、第2の温度補正回路に対応する。
温度補正回路50は、温度補正回路40の抵抗R41を、可変抵抗R51に置換した構成を有する。なお、抵抗R51は、第7の抵抗に対応する。電源回路500のその他の構成は、電源回路400と同様であるので、説明を省略する。
電源回路500は、例えば外部の制御回路501から可変抵抗R51に制御信号を供給することにより、可変抵抗R51の抵抗値を設定することが可能である。よって、実施の形態4にかかる電源回路400などのように、レーザートリミングなどの物理的な加工を行うことなく、電源回路の温度特性の調整が可能である。
実施の形態6
次に、実施の形態6にかかる電源回路600について説明する。図16は、実施の形態6にかかる電源回路600の構成を示す回路図である。電源回路600は、実施の形態4にかかる電源回路600の温度補正回路40を温度補正回路60に、昇圧部401を昇圧部601に置換した構成を有する。なお、温度補正回路60は、第2の温度補正回路に対応する。
昇圧部601は、昇圧部401の昇圧抵抗R401を、昇圧抵抗R401a及び401bに分割した構成を有する。なお、昇圧抵抗R401aは第3の昇圧抵抗に対応し、昇圧抵抗R401bは第1の昇圧抵抗に対応する。すなわち、昇圧部601は、第1の昇圧抵抗(昇圧抵抗R401b)と出力端子TOUTとの間に、第3の昇圧抵抗(昇圧抵抗R401a)が挿入された構成を有する。昇圧抵抗R401a及び401bは、同じ抵抗値を有する。また、昇圧抵抗R401a及び401bは、昇圧部401の抵抗R41の半分の抵抗値を有する。すなわち、昇圧部401の抵抗R41の抵抗値をRとすると、昇圧抵抗R401a及び401bの抵抗値は、それぞれR/2である。
温度補正回路60は、温度補正回路40に、バイポーラトランジスタQ61抵抗RL4及びR61を追加した構成を有する。なお、バイポーラトランジスタQ61は、第4のバイポーラトランジスタに対応する。抵抗R61は第8の抵抗に対応する。抵抗RL4は、電源端子VDDとバイポーラトランジスタQ61のコレクタとの間に接続される。バイポーラトランジスタQ61のエミッタとグランド端子GNDとの間には、抵抗R61が接続される。バイポーラトランジスタQ61のベースは、昇圧部601の昇圧抵抗R401aと401bとの間のノードN4と接続される。電源回路600のその他の構成は、電源回路400と同様であるので、説明を省略する。
電源回路600の温度補正回路60では、バイポーラトランジスタQ41及びQ61のベースのそれぞれに、異なる電圧が入力する。従って、バイポーラトランジスタQ41がオンになるタイミングと、バイポーラトランジスタQ61がオンになるタイミングとを、異ならせることができる。例えば、バイポーラトランジスタQ41がオンになる温度をTthL1とし、バイポーラトランジスタQ61がオンになる温度をTthL2とする(但し、TthL1>TthL2)。
図17は、実施の形態6にかかる電源回路600の出力電圧VOUTの温度特性を示すグラフである。図17では、本実施の形態にかかる電源回路600の出力電圧VOUTの温度特性を曲線L6で示している。また、一般的なBGR回路1100を用いた場合の出力電圧VOUTの温度特性を曲線L10で示している。温度補正回路60が無い場合の出力電圧VOUTの温度特性をL1で示している。実施の形態4にかかる電源回路400の出力電圧VOUTの温度特性を曲線L4で示している。まず、温度がTthL1まで低下すると、バイポーラトランジスタQ41がオンとなり、出力電圧VOUTの温度特性の補正を開始する。その後、更に温度が低下すると、出力電圧VOUTの降下量が大きくなる。そして、温度がTthL2まで低下すると、バイポーラトランジスタQ61がオンとなり、出力電圧VOUTの補正量は更に大きくなる。
つまり、電源回路600は、温度下降に伴い出力電圧の下降率が大きくなる場合でも、オンになる温度が異なる複数のトランジスタを用いることで、より出力電圧VOUTの変動を抑制することが可能である。なお、本実施の形態では、温度補正回路60が並列に接続されたトランジスタを2個有する例について説明したが、3個以上のトランジスタを設けてもよい。
実施の形態7
次に、実施の形態7にかかる電源回路700について説明する。図18は、実施の形態7にかかる電源回路700の構成を示す回路図である。電源回路700は、BGR回路701、温度補正回路72及び昇圧部601を有する。昇圧部601については、電源回路600と同様であるので、説明を省略する。BGR回路701は、実施の形態3にかかるBGR回路300の温度補正回路30を温度補正回路71に置換した構成を有する。温度補正回路71は、温度補正回路30の抵抗R11を可変抵抗R71に置換した構成を有する。温度補正回路72は、実施の形態6にかかる温度補正回路60の抵抗R41を可変抵抗R72に置換した構成を有する。
BGR回路701は、例えば外部の制御回路702から可変抵抗R71に制御信号を供給することにより、可変抵抗R71の抵抗値を設定することが可能である。よって、実施の形態1にかかるBGR回路100などのように、レーザートリミングなどの物理的な加工を行うことなく、BGR回路の温度特性の調整が可能である。
また、温度補正回路72は、例えば外部の制御回路702から可変抵抗R72に制御信号を供給することにより、可変抵抗R72の抵抗値を設定することが可能である。よって、実施の形態4にかかる電源回路400などのように、レーザートリミングなどの物理的な加工を行うことなく、電源回路の温度特性の調整が可能である。
つまり、本構成によれば、例えば温度Tsよりも低温側及び高温側の温度特性を、外部からの制御信号などにより調整することができる。よって、実施の形態1〜3にかかるBGR回路及び実施の形態4〜6にかかる電源回路と比べて、より広い温度範囲で好適に出力電圧を補正することができる。
実施の形態8
次に、実施の形態8にかかる電源回路800について説明する。図19は、実施の形態8にかかる電源回路800の構成を示す回路図である。電源回路800は、BGR回路801、温度補正回路40及び昇圧部401を有する。温度補正回路40及び昇圧部401については、電源回路400と同様であるので、説明を省略する。また、BGR回路801は、実施の形態1にかかるBGR回路100から温度補正回路10を取り除いた構成を有する。BGR回路801は、図5に示す等価回路と同様の構成となり、図24に示すBGR回路1100と同様の構成となる。よって、BGR回路801の回路構成及び動作については、説明を省略する。換言すれば、電源回路800は、電源回路400から温度補正回路10を取り除いた構成を有する。
図20は、実施の形態8にかかる電源回路800の出力電圧VOUTの温度特性を示すグラフである。電源回路800は、温度Tsよりも低温側の温度領域において、温度下降に伴い出力電圧VOUTが降下する場合に、電圧降下を抑制し、出力電圧VOUTの変動を抑制することが可能である。
実施の形態9
次に、実施の形態9にかかる電源回路900について説明する。図21は、実施の形態8にかかる電源回路800の構成を示す回路図である。電源回路900は、BGR回路801、温度補正回路50及び昇圧部401を有する。温度補正回路50及び昇圧部401については、電源回路500と同様であるので、説明を省略する。また、実施の形態8において説明したように、BGR回路801は、実施の形態1にかかるBGR回路100から温度補正回路10を取り除いた構成を有する。換言すれば、電源回路900は、電源回路500から温度補正回路10を取り除いた構成を有する。
電源回路900は、例えば外部の制御回路901から可変抵抗R51に制御信号を供給することにより、可変抵抗R51の抵抗値を設定することが可能である。よって、実施の形態4にかかる電源回路400などのように、レーザートリミングなどの物理的な加工を行うことなく、電源回路の温度特性の調整が可能である。
実施の形態10
次に、実施の形態10にかかる電源回路1000について説明する。図22は、実施の形態10にかかる電源回路1000の構成を示す回路図である。電源回路1000は、BGR回路801、温度補正回路60及び昇圧部601を有する。温度補正回路60及び昇圧部601については、電源回路600と同様であるので、説明を省略する。また、実施の形態8において説明したように、BGR回路801は、実施の形態1にかかるBGR回路100から温度補正回路10を取り除いた構成を有する。言すれば、電源回路1000は、電源回路600から温度補正回路10を取り除いた構成を有する。
図23は、実施の形態10にかかる電源回路1000の出力電圧VOUTの温度特性を示すグラフである。つまり、電源回路1000は、温度下降に伴い出力電圧の下降率が大きくなる場合でも、オンになる温度が異なる複数のトランジスタを用いることで、より出力電圧VOUTの降下を抑制することが可能である。なお、本実施の形態では、温度補正回路60が並列に接続されたトランジスタを2個有する例について説明したが、3個以上のトランジスタを設けてもよい。
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態4〜6では、BGR回路100を用いたが、BGR回路200又は300を用いてもよい。
実施の形態3におけるBGR回路300では、温度補正回路30の抵抗R31を固定抵抗としたが、可変抵抗とすることも可能である。また、温度補正回路30の抵抗R11を、温度補正回路20と同様、可変抵抗R21に置換することも可能である。また、実施の形態6及び10におけるBGR回路300及び電源回路1000では、温度補正回路60の抵抗R61を固定抵抗としたが、可変抵抗とすることも可能である。また、温度補正回路60の抵抗R41を、温度補正回路50と同様、可変抵抗R51に置換することも可能である。さらに、実施の形態7にかかる温度補正回路71の抵抗R31を可変抵抗とすることができる。実施の形態7にかかる温度補正回路72の抵抗R61を可変抵抗とすることができる。
上述の実施の形態において、BGR回路の抵抗R1、R1a、R1b、R2a及びR2bの抵抗値は例示に過ぎず、他の値とすることが可能である。また、昇圧部401及び601の昇圧抵抗R401、R401a及びR401bの抵抗値も例示に過ぎず、他の値とすることが可能である。
トランジスタQ11及びQ31は、バイポーラトランジスタでもよいし、MOSトランジスタでもよい。
また、上述の実施の形態で説明したBGR回路及び電源回路は、電気自動車やハイブリッド車の組電池の電圧監視システムへの適用に限定されるわけではない。例えば、リチウムイオン電池などの二次電池が搭載される機器及び装置へ適用することが可能である。例えば、上述の実施の形態にかかるBGR回路及び電源回路は、携帯電話、携帯オーディオプレーヤーや、家屋への電力供給を目的とする家庭用蓄電池に適用することも可能である。