JP5963049B2 - 石油コークスの搬送システム - Google Patents
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Description
例えば、発電所等の設備施設においては、ボイラで化石燃料を燃焼させることにより、多量の水蒸気を発生させて発電機のタービンを回転させることによって電力を得る。
また、工場等の設備施設においては、燃焼装置から取り出した熱エネルギを使用して、水蒸気を発生させる、製品を乾燥させる、或いは、製品を焼成する等しており、様々な形で化石燃料の熱エネルギを利用している。
通常、石炭は、搬送中に火災や爆発等しないように、数cmないし数十cm程度の大きさの石炭塊として、燃焼装置のある設備施設まで搬送される。
しかし、搬送されてきた塊状の石炭を、そのまま燃焼装置に燃料として投入すると燃焼効率が良くないため、燃焼装置のある設備施設では、塊状の石炭を、設備施設内に備えた粉砕機で粉砕し、微粉化してから、燃料として燃焼装置へ供給することが一般的であった。従って、石炭を燃焼装置の燃料として使用する設備施設では、石炭を微粉化するための大掛かりな設備が必要になり、例えば、石炭の一次貯蔵設備、微粉砕のための粉砕機、捕集設備、送風設備等が必要であるから、多額の設備投資を必要とした。
特に、規模の小さな民間工場等の設備施設では、前述した費用負担の問題のみならず、微粉砕のための設備を設置するスペースの確保ができないといったケースも多い。
そのため、燃料を石油から石炭に切り替えれば、燃料費等の削減が可能とわかりながらも、燃料種類の変更に躊躇せざるを得ないという状況にある設備施設が多々あった。
しかし、一般的に粉粒体の搬送設備として多用されている密閉型のベルトコンベヤ、或いは気流搬送装置等の搬送手段は、設備面の問題もあって、距離の離れた別の工場から石炭を運んでくるような長距離搬送に向いているとは言えず、実務的に考えてみた場合に採用が難しいケースも多い。
しかし、搬送の効率や費用の面において、一般に使用されている平積みの所謂普通トラックと比較した場合には、特殊車両であるため劣る部分もあり、また、特殊車両であっても、搬送中に交通事故に遭遇する可能性が皆無とは言えない以上、重大な交通事故に遭遇して微粉化された石炭が外部に漏れ出す可能性がゼロとは言いきれない。
万一、重大な事故に遭遇した際に、微粉化した状態の石炭が、外部に飛散すれば、大きな災害につながる可能性もある。そのため、微粉化された石炭を長距離搬送する手段として、トラック等の搬送手段を、長期間、恒常的に採用するということについて、躊躇する企業も多かった。
例えば、特許文献1には、廃棄物を粉砕した後、柱状チップに固める技術が従来技術として開示されているとともに、廃棄物の熱分解残渣から選別したチャーを固体化装置で固体物に固形化するという技術が開示されている。そして、特許文献1は、該固体化したチャーを搬送手段で搬送した後、別の設備施設で燃料として使用している。
この安価な石油コークスを、例えば、従来、価格の高価な石油等の燃料を使用していた設備施設において、新たに燃料として使用できるようにすれば、燃料費を大幅に低減させることが可能である。
また、石炭に比較すれば揮発分が少ないとは言え、通常、石油コークスは、10%以上の揮発分を有しており、該揮発分が気化し易い状況になっている。そのため、火災や爆発等の危険性も大きく、長距離搬送することが難しい。
なお、Dp50はロジン・ラムラー線図(Rosin−Rammler−Sperling)上に粒径分布を図示した場合にR=50%となる点の粒径をμm(ミクロンメータ)で表わしたものである。
特に、石油コークスを微粉化した場合には、粒子間に大量のガスが内包される。そのため、ローラ式のブリケット装置によりブリケット化しようとしても、ガスが脱気できずに、効率的なブリケット化ができないという問題があった。
(1) 石油コークスを竪型粉砕機で粉砕して燃焼に適した粒径まで微粉化するとともに、該微粉化した石油コークスをブリケット化して搬送する石油コークスの搬送システムであって、石油コークスを粉砕して、Dp50で20μm以下とし、石油コークスの粒子群の比表面積として1000〜4000(cm 2 /g)相当になるまで微粉化することにより燃焼に適した粒径まで微粉化し、該燃焼に適した粒径まで微粉化した石油コークスを、脱気用スクリュコンベヤにて、徐々に圧縮し脱気した後、ローラ式のブリケット装置によりブリケット化して、該ブリケット化した石油コークスを、フレキシブルコンテナバッグに充填した状態で、運搬機の荷台に貨物として積載して、燃焼装置のある設備施設まで搬送するとともに、該設備施設に備えた解砕機によって、ブリケット化した石油コークスを解砕し、燃料として該燃焼装置に供給する構成とした。
本実施形態による石油コークスの搬送システム100は、図1に示すように、製油所等で製造された塊状の石油コークスを貯蔵する石油コークスタンク50、石油コークスを粉砕して燃焼に適した粒径まで粉砕する竪型粉砕機1、竪型粉砕機1からガスと共に取り出された粉砕後の石油コークスをガスと分離して捕集する捕集装置60、粉砕後の石油コークスを圧縮して脱気する脱気用スクリュコンベヤ10、脱気後の石油コークスをブリケットに成形するローラ式のブリケット装置である成形ロール20、ブリケット化した石油コークスを一時的に保管してフレキシブルコンテナバッグFに充填する第1ホッパ30等を備えている。
そして、燃焼装置のある設備施設まで搬送されたブリケット化後の石油コークスは、設備施設に備えた解砕機80により解砕された後、燃焼装置であるボイラ90に燃料として供給される構成となっている。
本実施形態に使用した竪型粉砕機1は、図3に示すように、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bと駆動モータ2Mによって駆動される回転テーブル2、及びコニカル型の粉砕ローラ3等を備えており、回転テーブル2の中央上方には回転テーブル2に石油コークスを投入するためのセンターシュート5を備えている。そして、センターシュート5から回転テーブル2上に供給された石油コ−クスは、回転テーブル2と粉砕ローラ3の間に挟まれて粉砕される。
なお、図3に示した竪型粉砕機1は、駆動モータ2Mの駆動用電源としてインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブル2の回転速度が任意の変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。
運転中、竪型粉砕機1の内部において、機内を下方から上方へ向かって流れるガスの気流が生じており、回転テーブル2上で粉砕された石油コークスは、該気流に運ばれてガスと共に上方に吹き上げられる。そして、該気流により吹き上げられた石油コークスは、回転式分級機7で分級されて、所望の粒径となった石油コークスが選別されて、上部取出口9から取り出される構成となっている。
本実施形態による脱気用スクリュコンベヤ10は、スクリュコンベヤ10の上部に配されたスクリュ駆動用のモータ16、及びスクリュ12等を備えており、ケーシングの上部(上部ケーシング18Aと称する)に原料投入口14、またケーシングの下部(下部ケーシング18Cと称する)の下端に排出口15を形成されている。
なお、図2に示した脱気用スクリュコンベヤ10では、上部ケーシング18Aと下部ケーシング18Cとの間に中間ケーシング18Bが構成されている。
しかしながら、本発明に適応できる脱気用スクリュコンベヤの構造はこれに限らないことは勿論であって、スクリュが回転することによって石油コークスを脱気することができるものであれば良く、本発明の技術思想の範囲を逸脱しない範囲で変更が可能であり、例えば、スクリュの形状が、リボン状、中実、或いは、一条、多条であっても良く、又、他の形態であっても良く、その形態は特に限定されない。
つまり、図4に示した第2の脱気用スクリュコンベヤ110は、スクリュ軸112Aの軸径について、排出口15に向かって進むにつれて徐々に大きく拡径したスクリュ軸部分を構成することにより、スクリュ羽根12Bの1ピッチが形成するコンベヤの容積について、脱気用スクリュコンベヤ110の排出口15に向かって進むにつれて徐々に小さくする構成となっている。図4に示す第2の脱気用スクリュコンベヤは、前述の構成により、原料投入口14から排出口15に搬送する石油コークスを脱気する方式であり、この構成も構造が簡単でトラブルが生じにくいという点で好ましい。
そして、また、図5に示す第3の脱気用スクリュコンベヤは、前述した縮径するケーシング部分の形状に合わせて、スクリュ羽根212Bの外径寸法を縮径させることにより、スクリュ羽根212Bの1ピッチが形成するコンベヤの容積について、上部投入口14から脱気用スクリュコンベヤ210の排出口15に向かって進むにつれて徐々に小さくなるよう構成している。図5に示す第3の脱気用スクリュコンベヤ210は、前述の構成により、原料投入口14から排出口15に搬送する石油コークスを脱気する方式であり、この構成も構造が簡単でトラブルが生じにくいという点で好ましい。
本実施形態に用いた成形ロール20は、ローラ式のブリケット装置であって、2本の回転ローラを備えている。
成形ロール20に投入された石油コークスは、該2本のローラの間に挟みこまれて、ローラ表面に加工されたブリケット形状の凹み中に充填されて圧縮されることによって、圧密されてブリケット化する。
フレキシブルコンテナバッグFは、通常、丈夫な化学繊維等で作られており、軽量で価格が安価であって、布製フレキシブルフレートコンテナと呼ばれることもあり、当業者にコンテナバック、フレコンバック、フレコン(登録商標:株式会社ナショナルマリンプラスチック)等と呼ばれるものである。
なお、吊りベルトが付いたタイプのものはクレーン等で持ち上げるのが容易でありトラック40等の架台に積載して搬送するのに適している。
従って、本実施形態に用いた解砕機80は、石油コークスを微粉砕して燃焼に適した粒径まで粉砕できるような高機能の粉砕機である必要はなく、単に、ブリケット化した石油コークスについて、圧縮により生じた凝集を、解砕してほぐす解砕機能を有するものであれば良い。
解砕機80の前工程に予備破砕機85を配した例を、第2の搬送システム100Aとして、図7に示す。予備破砕機85を配することにより、後工程の解砕機80によるブリケットの解砕の効率向上が期待できる。
なお、予備破砕機85は、あくまでブリケット化された石油コークスの凝集を解きほぐすために利用するものであり、石油コークスを微粉砕するものではない。従って、燃焼装置のある設備施設に新たに配したとしても、従来技術のように微粉砕設備を設置するほど、大掛かりな設備になるものではない。
以下、図1及び図3を用いて粉砕工程の概略を説明する。
石油コークスタンク50に保管された褐色多孔質で塊状になっている石油コークスを、竪型粉砕機1に投入すると、原料投入用のセンターシュート5を介して回転テーブルの中央付近に投入される。回転テーブル2の中央付近に投入された石油コークスは、渦巻き状の軌跡を描きながら、回転テーブル2の外周側に移動して、回転テーブル2と粉砕ローラ3の間に噛み込まれ粉砕される。
所望の粒径まで微粉化された石油コークスは、回転式分級機7を通過して原料取出口9より機外に取り出されるが、径が大きな原料は回転式分級機7を通過できずに落下することによって、所望の寸法になるまで繰り返し粉砕されることになる。
前述した粉砕工程で微粉化された石油コークスは、脱気用スクリュコンベヤ10の投入口14に投入される。脱気用スクリュコンベヤ10の投入口14に投入された微粉化後の石油コークスは、スクリュ羽根12Bの上に載った状態で、スクリュ12の回転により下方側へと搬送されて移動する。
脱気用スクリュコンベヤ10で脱気された石油コークスは、成形ロール12に投入されて、そこでブリケット化される。なお、成形ロール20においては、石油コークスを、瞬間的に圧縮してブリケット化する。仮に、脱気用スクリュコンベヤ10で脱気していない石油コークスを成形ロール12に直接投入した場合は、微粉化された石油コークスの粒子間にあるガスが十分に抜けきれないため、効率良くブリケットの成形ができない。
本実施形態であれば、脱気用スクリュコンベヤ10により徐々に石油コークスを圧縮し、内包されたガスを脱気用スクリュコンベヤ10のケーシング内部に沿わせながら抜くことが可能であり、微粉化された石油コークスからガスを効率的に脱気可能である。
従って、脱気用スクリュコンベヤ10で脱気した後の工程において、成形ロール20により効率よくブリケット化が可能である。
ボイラのある設備施設では、設備施設に備えた解砕機80により、ブリケット化した石油コークスを解砕した後、ボイラ90に燃料として供給する。
従って、石油コークスを生産して自社消費している企業が、自社の余剰生産品をブリケット化し搬送することにより、自社以外の遠隔地にある企業等への販売が可能になる。
10 脱気用スクリュコンベヤ
12 スクリュ
12A スクリュ軸
12B スクリュ羽根
18A 上部ケーシング
18B 中間ケーシング
18C 下部ケーシング
20 成形ロール(ブリケット装置)
30 第1ホッパ
40 トラック
50 石油コークスタンク
60 捕集装置
80 解砕機
90 ボイラ
100 搬送システム
100A 第2の搬送システム
110 第2の脱気用スクリュコンベヤ
112A スクリュ軸
112B スクリュ羽根
118A 上部ケーシング
118B 中間ケーシング
118C 下部ケーシング
210 第3の脱気用スクリュコンベヤ
212A スクリュ軸
212B スクリュ羽根
218A 上部ケーシング
218C 下部ケーシング
310 第4の脱気用スクリュコンベヤ
312A スクリュ軸
312B スクリュ羽根
312C 第2スクリュ羽根(サブフライト)
318A 上部ケーシング
318B 中間ケーシング
318C 下部ケーシング
F フレキシブルコンテナバッグ
Claims (2)
- 石油コークスを竪型粉砕機で粉砕して燃焼に適した粒径まで微粉化するとともに、該微粉化した石油コークスをブリケット化して搬送する石油コークスの搬送システムであって、
石油コークスを粉砕して、Dp50で20μm以下とし、石油コークスの粒子群の比表面積として1000〜4000(cm 2 /g)相当になるまで微粉化することにより燃焼に適した粒径まで微粉化し、
該燃焼に適した粒径まで微粉化した石油コークスを、脱気用スクリュコンベヤにて、徐々に圧縮し脱気した後、ローラ式のブリケット装置によりブリケット化して、
該ブリケット化した石油コークスを、フレキシブルコンテナバッグに充填した状態で、運搬機の荷台に貨物として積載して、燃焼装置のある設備施設まで搬送するとともに、該設備施設に備えた解砕機によって、ブリケット化した石油コークスを解砕し、燃料として該燃焼装置に供給する石油コークスの搬送システム。 - 前記脱気用スクリュコンベヤが、該脱気用スクリュコンベヤの排出口に向かって進むにつれて小さくなるスクリュピッチ部分を備えるとともに、排出口に向かって進むにつれて拡径するスクリュ軸部分を備えたことを特徴とする請求項1に記載の石油コークスの搬送システム。
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