JP5960224B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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本発明は表示装置に係り、液晶レンズを用いることによって3次元表示を可能とする液晶表示装置に関する。
液晶表示パネルでは画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されて表示領域を形成している。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。液晶は偏光光のみ制御することができるので、バックライトからの光はTFT基板に入射する前に下偏光板によって偏光され、液晶層によって制御を受けた後、上偏光板において再び偏光を受け外部に出射する。したがって、液晶表示パネルからの出射光は偏光光である。
液晶表示パネルにおいて形成される画像を3次元化する方法は種々提案されている。なかでも、液晶表示パネルの上に液晶レンズを配置する方法は、3次元画像を視認するために、特殊な眼鏡を必要としない、2次元画像と3次元画像を切り換えることが出来る、等から、特に、小型の表示装置において注目されている。
「特許文献1」には、液晶レンズは、上基板と下基板との間に液晶分子を挟持し、上基板に短冊状に上基板電極パターンを形成し、下基板に平面べたの下基板電極パターンを形成し、上基板電極パターンと下電極パターンに電圧を印加することによって形成される電界に沿って液晶分子が配向することによってレンズを形成する構成が記載されている。
「特許文献2」には、上基板電極パターンと下基板電極パターン間の縦電界によって形成される電界を利用した液晶レンズにおいて、上基板電極パターンと下基板電極パターンとを同様なパターンであるが、上基板と下基板において90℃回転して配置する構成が記載されている。これによって、上基板電極パターンと下基板電極パターンに対する電圧の印加方法によって、レンズの向きを90℃回転することを可能とし、画面が横向きの場合と縦向きの場合のいずれの場合にも3次元表示を可能とすることが出来る。
特許第2862462号公報 特表2009−520231号公報
図11及び図12は、液晶レンズ10及び、液晶レンズ10を用いた3D表示の概要である。なお、本明細書では、2D表示とは2次元表示を言い、3D表示とは3次元表示を言う。液晶レンズ10は電極を形成した2枚の基板で液晶を挟み込んだ構成で、液晶表示素子と同じ構成である。但し、いわゆる表示用液晶ディスプレイのように偏光方向を制御する用途ではないので、偏光板は用いない。
図11は液晶を挟み込む2枚の基板に形成される電極の概要を示した図である。実線で横方向に長い矩形で描かれたパターンが下基板30の電極である。点線で描かれた長方形が上基板20の電極である。A、Bの文字が描かれた長方形は外部から電圧を与える電極端子を示し、電極端子と上述の基板の電極とを結ぶ線は配線を示す。なお、本明細書では電極端子Aと接続した電極を電極A、電極端子Bと接続した電極を電極Bと呼ぶこともある。ここで、上下基板のパターンは本質的な制限はないので、逆であっても良い。光を透過させる必要があるため、少なくとも表示部全体を覆う点線の電極はITOなどの透明電極で形成する。
図11中Pで示された矢印は上下基板のラビング方向で、挟み込まれる液晶は電圧が無印加の状態でこの矢印方向に長軸側が向くよう配向する。図12は図11中のY−Y断面図である。下基板30側の電極は、液晶レンズ10の下に配置されるLCDの2画素が2つの電極の間に配置されるように設定される。実際には2画素のピッチと電極ピッチは同じではなく想定する視点位置によって適切に設計される。
図12は上下の電極を同じ電圧にした場合、すなわち液晶に電圧を印加していない状態であり、液晶レンズ10がOFFの状態を示す。この時液晶はすべてラビングで規制された配向方向を向いているので、液晶レンズ10は透過光に関して光学的に均一媒体であり、何の作用もしない。すなわち表示用LCDの2次元画像がそのまま出力される。
図13は液晶レンズ10の上下の電極に電圧を印加し、液晶の配向方向を変化させた状態であり、液晶レンズ10がONの状態である。この時は通常のLCD と同様に液晶の劣化を防ぐため交流電圧を印加する。上基板20の電極はベタ電極であり、下電極は局在する電極であるため、液晶にかかる電界は図中縦横方向に均一ではなく、下部の局在した電極から上部のベタ電極に向けての放射状(放物線状)の電界に沿って、液晶異分子も図に示すような放射状の配向になる。
液晶分子50は複屈折性を持っており、通過光の偏光のうち分子の長手方向(長軸方向)の成分は異常光となり屈折率が高く、それに直交する成分は常光となり屈折率が異常光よりも低くなる。間の角度はベクトル分解の要領で異常光成分と常光成分に分解して考えればよい。この複屈折性により、下基板30へ入射する入射光が図13に示すように屈折する。すなわち、図13に示す液晶レンズ10が、凸レンズと同じような光学特性を示す。
入射光つまり液晶表示パネル100からの出射光の偏光方向40が、液晶レンズ10のラビング方向とほぼ平行な場合、入射光が液晶レンズ10を通過する際の高屈折率部分(異常光部分)と低屈折率部分の比率が場所によって異なってくる。ここで、図11及び図12に示すように、液晶分子50の長軸方向が液晶の初期配向を決めるラビング方向と一致している。
図13中の凸レンズ11の界面を示す点線は、この高屈折率部分と低屈折率部分の界面を模式的に示したものである。このように液晶内に凸型レンズと同じ効果が生ずる。この凸型レンズ効果の下に図13に示すように液晶表示パネル100の2画素を配置すると、第1画素200の光は主に図上右側に、第2画素300の光は主に図上左側に進路を変える。図13において、第1画素200および第2画素300におけるr、g、bは、各々、赤サブ画素、緑サブ画素、青サブ画素を示す。以後同様である。この液晶レンズ10及び液晶表示パネル100を適当に設計し、第1画素200、第2画素300にはそれぞれ右眼用、左眼用の信号を表示することで、第1画素200の光を観測者の右眼に、第2画素300の光を観測者の左眼に導くことによって、観測者に3D画像として認識させることができる。
一方、昨今の液晶表示装置の用途の中には、例えば携帯電話のように、ポートレート(縦型表示)とランドスケープ(横型表示)を切り替えて表示できる機能が付加されてきた。この用途に対応するため、3D用パネルも縦横切替機能が必要になってきた。図14は、液晶レンズ10において縦横切替を可能にする従来の開示技術の例である。
図11と同様に、実線が、下基板電極パターン31であり、点線が上基板電極パターン21である。この場合は上基板20、下基板30ともに、局部電極となる細い電極と対向基板の細電極に対してベタ基板相当にするための、太い電極から構成される。A,B,C,Dは各々の電極パターンに電圧を印加するための端子電極である。また、A,B,C,Dは対応する電極をも指すものとする。
図15、図16は各々図14の横方向に延在するシリンドリカルな液晶レンズ10を形成する場合の断面図で、図12および図13において説明したこととほぼ同じことが起こり、液晶レンズ10として機能する。図15および図16が、図12および図13と異なる点は、図16において電極Aと電極C の間に横電界が生じることであるが、この横電界はラビング方向とほぼ同じなので、液晶の配向、及びレンズ効果に致命的な影響を与えない。
図17および図18は図14のX−X方向の断面図である。図17は液晶に電圧を加えない場合で、2D表示の場合を示す。図中円で示されている液晶分子50は、上部電極の長手方向すなわち紙面に垂直方向に長軸が向いていることを示す。図18は上基板20の電極Bと他の電極A、C、Dとの間に電界が発生するように、電圧をかけた場合を示す。図13あるいは図16と同様にBからCに向かう放射状の電界に沿って、液晶が再配向し、下に凸のレンズ形状となるが、このとき同時に上基板20上の電極B,D間に横電界が発生し、この電界に沿っても、液晶が再配向する。
この横電界により、液晶レンズ10の形状が乱されるだけではなく、発明者の実験では、長い時間をかけて、(液晶ドメインの変化により)横電界によりレンズ効果が消失していくことがあることを観測し、本方式での画面の縦横切替の実用化は難しいことがわかった。本発明の課題は、画面縦横切り換えを含む、種々の画面形態に活用することが出来る液晶レンズ10を実現することである。
第1の手段は次のとおりである。すなわち、第1の画素と第2の画素が形成された液晶表示パネルの上に液晶レンズを配置する。液晶レンズは、第1の基板と第2の基板の間に液晶を挟持した構成である。液晶レンズの第1の基板に、第1の方向に延在し、第1の方向と直角な第2の方向に配列したストライプ状の電極を形成し、第2の基板には第1の基板に形成された電極と対向する電極は形成しない。
液晶の初期配向を第1の基板に形成されたストライプ状電極と同じ方向としておく。また、液晶表示パネルから出射する偏光光の偏光方向を第1の基板に形成されたストライプ状電極と同じ方向にする。第1の基板に形成されたストライプ状電極間に電圧を印加すると横電界が形成され、この横電界に沿って液晶が回転し再配向する。これによって液晶レンズ内に凸レンズが形成される。この凸レンズによって、第1の画素を右眼によって認識し、第2の画素を左眼によって認識させるようにして、3次元画像を形成する。
第2の手段は次のとおりである。すなわち、画面を縦方向と横方向に切り換えることが出来る液晶表示装置において、画面を横型画面とする場合は、従来から知られている縦電界方式の液晶レンズを用い、画面を縦型画面とする場合は、横電界方式の液晶レンズを用いる。これによって液晶レンズを用いた、画面の縦横切り替えが可能な3次元液晶表示装置を実現することが出来る。また、逆に、画面を横型画面にするときに、横電界方式の液晶レンズを用い、画面を縦型画面とするときに縦電解方式の液晶レンズを用いてもよい。
本発明によれば、横電界を液晶レンズとして使用することが出来るので、液晶表示装置における液晶レンズの用途を拡大することが出来る。これによって、画面の縦横切り替えが可能な液晶表示装置においても、液晶レンズを用いた3次元表示を実現することが出来る。
横電界方式の液晶レンズを用いた3次元表示を示す断面図である。 図1の液晶レンズの上基板の平面図である。 液晶分子の初期配向方向と偏光光の関係を示す模式図である。 液晶分子に対して偏光光が斜めに通過する場合の模式図である。 液晶分子に十分な強さの横電界が印加された場合の液晶分子と偏光光の関係を示す模式図である。 液晶表示パネルにおける画素構成を示す平面図である。 実施例2の液晶レンズの電極配置を示す平面図である。 実施例2における縦電界を用いた液晶レンズを示す断面図である。 実施例2において、電極間に電圧を印加せず、液晶表示装置を2次元表示装置として使用する場合の断面図である。 実施例2において、横電界を用いた凸レンズを形成して3次元表示を行う液晶表示装置の断面図である。 縦電界方式を用いた3次元液晶表示装置における液晶レンズの電極配置を示す平面図である。 液晶レンズにレンズを形成せず、2次元表示装置として使用する例である。 縦電解を使用して液晶レンズ内に凸レンズを形成することを示す断面図である。 従来例における、縦型画面と横型画面を切り換えるための液晶レンズの電極配置を示す平面図である。 図14において、縦型画面として使用し、かつ、各電極に電圧を印加せず、2次元表示を行う場合の液晶表示装置の断面図である。 図14において、縦型画面として使用し、かつ、各電極に電圧を印加して、3次元表示を行う場合の液晶表示装置の断面図である。 図14において、横型画面として使用し、かつ、各電極に電圧を印加せず、2次元表示を行う場合の液晶表示装置の断面図である。 図14において、横型画面として使用し、かつ、各電極に電圧を印加して、3次元表示を行う場合の液晶表示装置の断面図である。
図3、図4、図5に液晶と透過光偏光方向40との関係を示す。図3は偏光方向40と液晶分子50長軸方向がそろっている場合で、このとき液晶は透過光に対し高屈折率媒体として働く。図5は偏光方向40と液晶分子50長軸方向が直交している場合で、このときは液晶は透過光に対し低屈折率媒体として働く。図4は図3と図5の中間の状態で、入射偏光の強さをベクトルOEで表したとき、ベクトルOEの液晶分子50長軸方向及びその垂直方向へのベクトル分解成分をOF,OGとするとOFは高屈折率媒体を通過し、OGは低屈折率媒体を通過するように、液晶中を伝播する。したがって、横電界によっても液晶中に屈折率の分布が生まれる。このように、横電界によっても液晶レンズ10を形成することが可能である。以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。
図1は実施例1の液晶レンズ10を含む液晶表示装置の断面図である。図1の液晶レンズ10において、上基板20と下基板30の間に液晶が挟持されている。液晶レンズ10の下に液晶表示パネル100が配置されている。図1において、液晶表示パネル100は簡略化されて記載されており、赤サブ画素r、緑サブ画素g、青サブ画素bの位置のみが模式的に記載されている。液晶表示パネル100の下には図示しないバックライトが配置されている。バックライトからの光は、液晶表示パネル100の下偏光板によって偏光を受け、液晶表示パネル100中の液晶によって変調を受け、液晶表示パネル100の上偏光板によって再び偏光されて液晶レンズ10方向に出射する。
液晶表示パネル100から出射する光は、図1の出射偏光方向40に示すように、紙面の垂直方向に直線偏光されている。液晶レンズ10は、この直線偏光された光に対して作用する。図2は、図1における液晶レンズ10の上基板20の平面図である。図1は、図2におけるX−Xに沿った断面図である。図1及び図2に示すように、液晶レンズ10において、上基板20には上基板電極パターン21が所定の間隔をおいてストライプ状に形成されている。
液晶分子50は、電極間に電圧が印加されていない状態では図1における紙面垂直方向に、つまり、図2におけるストライプ電極の延在方向に配向している。すなわち、液晶レンズ10における初期配向を決めるラビング方向は図2におけるストライプ電極の延在方向と一致している。ラビング方向とストライプ電極の延在方向とは、±5度以内で一致することが望ましい。この状態で偏光光が液晶レンズ10を通過する場合は、偏光方向40が液晶分子50の長軸方向と一致しているので、偏光光は屈折率の大きな媒体を通過することになる。偏光光は均一な媒体を通過するので、進行方向が変化することは無い。
電極Aと電極Bの間に電圧を印加すると、下基板30には電極は形成されていないので、図1に示すような、基板に平行な方向の電界である、横電界が形成される。このような電界に沿って液晶分子50が回転し、図1に示すように液晶分子50が配向する。光は異なる屈折率の媒体を通過することによって屈折する。したがって、液晶表示パネル100を出射した偏光光は、横電界によって配列した液晶分子50と、横電界による影響を受けていない液晶分子50との間で屈折する。
図1に示すように、上基板電極パターン21の直上においては、液晶分子50は横電界の影響を受けず、上基板20の近くまで回転せずに、ラビング方向と一致した初期配向を維持する。一方、上基板電極パターン21と上基板電極パターン21の中間においては、液晶分子50は、横電界の影響を最も受け、液晶は横方向に回転している。このように横方向に回転した液晶分子50は、図3〜5で説明したように、図1の方向の偏光光に対しては屈折率の低い媒体として作用する。
したがって、上基板電極パターン21に電圧が印加された状態における液晶層の状態では、図1に示す偏光光に対しては、図1の点線で示すような凸レンズ11が形成されることになる。図1において、液晶表示パネル100の各サブ画素から出射した偏光光は、液晶レンズ10に形成された凸レンズ11の作用によって、進路を変える。すなわち、第1画素200は右側に進路を変え、第2画素300は左側に進路を変え、各々、第1画素200は右眼に、第2画素300は左眼に認識され、第1画素200と第2画素300に異なる信号を入力することによって、3次元画像を実現することが出来る。
なお、電極Aと電極Bとの間には、交流電圧が印加されるので、電気力線60の向きは周期的に変化するが、液晶分子50の向きは、電界の実効値によって影響を受けるので、液晶分子50の配向方向には変化は無い。以上の説明では、上基板20にストライプ状の電極を形成し、下基板30には電極を形成しない構成としたが、下基板30にストライプ状の電極を形成し、上基板20に電極を形成しない構成であっても、同様に凸レンズ11を形成することは可能である。
実施例1では、第1画素200及び第2画素300の各々が、赤サブ画素r、緑サブ画素g、青サブ画素bを有する構成を示したが、サブ画素の色や個数は上記構成に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
本実施例は、縦型画面と横型画面に切り替え可能な液晶表示装置を、液晶レンズ10を用いて形成するものである。液晶レンズ10において、上基板電極パターン21と下基板電極パターン31の間の電極によって形成される電界を縦電界といい、上基板電極パターン21のみ、あるいは、下基板電極パターン31のみにより形成された電界を横電界という。本実施例は、縦型画面あるは横型画面の一方において、縦電界によって形成された液晶レンズ10を用い、縦型画面あるは横型画面の他方において、横電界によって形成された液晶レンズ10を用いるものである。
図6は、液晶表示パネル100における画素構成を示す平面図である。図6において、横方向にサブ画素r、g、bを有する第1画素200、第2画素300が配置され、縦方向に同じ画素が配列している。各サブ画素の大きさは例えば、短径dxが25μm、長径dyが75μmである。液晶レンズ10は、横型画面の場合は、1個の凸レンズ11で横方向の2画素ddxをカバーし、縦型画面の場合は、1個の凸レンズ11で縦方向の2画素ddyをカバーする。ddxとddyの寸法は一般には等しいが異なる場合もありうる。
図7は本実施例における下基板電極パターン31と上基板電極パターン21を示す平面図である。実線で示す下基板電極パターン31、すなわち電極Aは横方向に延在し、所定の間隔で縦方向に配列するストライプ状のパターンである。下基板電極パターン31、すなわち電極Aの幅w1は10μm程度であり、下基板電極パターン31、すなわち電極Aの間隔は、図6に示す2画素分、例えば150μmであり、図6に示すddyをカバーする。
図7における点線で示す上基板電極パターン21は幅の狭い電極Bと幅の広い電極Dとから構成されている。幅の狭い電極Bの中心から幅の狭い電極Bの中心までが、2画素分、例えば、150μmであり、図6に示すddxをカバーする。幅の広い電極Dと幅の狭い電極Bの間隔d1は5μm程度である。幅の広い電極Dの幅w3は例えば、130μmである。
図6で述べたように、寸法ddxとddyは一般には等しいが異なる場合もありうる。これに対応して、上基板20における電極Bと電極Bの間隔、下基板30における電極Aと電極Aの間隔も変化する。さらに上基板における電極Bと電極Bの間隔はddxをカバーするが、必ずしもddxと一致するということはなく、また、下基板において、電極Aと電極Aの間隔はddyをカバーするが、必ずしもddyと一致するというわけではない。
図7において、ラビング方向、すなわち、液晶分子50の初期配向の方向は、上基板電極パターン21の延在方向と同一の方向である。なお、同一の方向とは、必ずしも完全に一致することを意味せず、ドメインの発生を防止するために、上基板電極パターン21の延在方向とは若干異ならせる場合もある。上基板電極パターン21の延在方向と液晶分子50の初期配向を決めるラビング方向とは、±5度以内で一致することが望ましい。図7において、電極A、B、Dには異なる電圧を印加することが出来る。
図8は図7のY−Y断面図であり、画面を横型画面として使用する場合、の動作を示す断面図である。図8は、図7において、電極Aに対して、電極BおよびDとは異なる電圧を印加した場合の液晶分子50の配向を示す断面図である。図8において液晶表示パネル100から出射する偏光光の偏光方向40は矢印で示すように、紙面と平行方向である。上基板電極パターン21は断面Y−Yにおいては、連続したパターンとなっている。下基板電極パターン31であるストライプ状の電極と上基板電極パターン21の間に形成される電界によって液晶分子50は図8のように配列する。
液晶表示パネル100からの出射光の偏光方向は紙面と平行方向であるから、このような偏光光に対しては、液晶レンズ10において、図8の点線で示すような凸レンズ11が形成される。この動作は図13において説明したのと同様である。このように、画面を横型画面として使用する場合は、上基板電極パターン21と下基板電極パターン31の間に形成される縦電界によって凸レンズ11を形成し、3次元画像を可能としている。なお、上基板電極パターン21と下基板電極パターン31の間に電圧が印加されていない状態における液晶分子50の配向方向は図12と同様である。この場合は、凸レンズ11は形成されないので、通常の2次元画像の表示を行うことが出来る。
図9および図10は、図7のX−X断面図であり、画面を縦型画面として使用する場合、の動作を示す断面図である。図9および図10において、上基板20には、幅の狭い電極Bと幅の広い電極Dが紙面垂直方向に延在しているが、下基板30には電極は存在していない。図9において、液晶レンズ10における各電極間には電圧が印加されていないので、液晶分子50は、ラビングによる初期配向のままである。この場合は、画面は2次元画像として使用される。
図10は、電極Bに対して、電極Aと電極Dとは異なる電圧を印加した場合の液晶レンズ10の動作を示す断面図である。図10において、上基板20側には、電極Bと電極Aおよび電極Dの間に横電界が形成されている。この横電界によって、上電極側の液晶分子50は回転して、図10に示すように紙面と平行方向に配向する。液晶表示パネル100からの出射光は、紙面垂直方向に偏光している。このような偏光光に対しては、横電界の影響を受けていない、すなわち、電界によって回転していない液晶分子50は、横電界の影響を受けて回転した液晶分子50よりも屈折率が高い。したがって、液晶層内には、図10に示すような凸レンズ11が形成される。
電極Bと電極Bの間には図示しない第1画素200と第2画素300が配置しているので、第1画素200は右眼に第2画素300が左眼に認識され、3次元画像が形成されることになる。このように、画面を縦画面として使用する場合は、横電界によって形成される液晶レンズ10によって3次元画像を形成する。
なお、横電界によって凸レンズ11を形成する場合も、図7に示すように、電極Aと電極Bの間には縦電界が発生する。この縦電界によって横電界によるレンズが乱される。しかし、図7に示すように、電極Aと電極Bがオーバーラップする面積は非常に小さいので、この部分に仮にドメインが形成されたとしても、画像に対する影響は限定的である。また、この影響をさらに小さくする場合は、電極Aおよび電極Bをオーバーラップ部において幅を小さくすればよい。
以上の説明に用いた上基板電極パターン21と下基板電極パターン31を下電極と上電極で交替しても同様に、凸レンズ11を形成でき、3次元画像を形成することが出来る。このように、本発明によれば、縦型画面と横型画面の切り換えにおいて、液晶レンズ10内の縦電界と横電界を使い分けることによって、液晶レンズ10を用いて縦横画面切り替えが可能な液晶表示装置を実現することが出来る。
実施例1および実施例2において、液晶レンズ10における上基板20と下基板30の間隔、すなわち、液晶層の厚さは、形成される凸レンズ11のレンズ径の1/2以下である。すなわち、75μm以下である。一方、液晶の層厚が大きいと液晶レンズ10の応答速度が遅くなる。したがって、液晶レンズ10における上基板20と下基板30の間隔は、実質的に凸レンズを形成できる範囲において出来るだけ小さいほうがよい。
10…液晶レンズ、 11…凸レンズ、 20…上基板、 21…上基板電極パターン、 30…下基板、 31…下基板電極パターン、 40…出射光偏光方向、 50…液晶分子、 60…電気力線、 100…液晶表示パネル、 200…第1画素、 300…第2画素、 A…A電極、A端子、 B…B電極、B端子、 C…C電極、C端子、D…D電極、D端子 r…赤サブ画素、 g…緑サブ画素、 b…青サブ画素、P…基板ラビング方向

Claims (5)

  1. 液晶表示パネルの上に液晶レンズが配置された液晶表示装置であって、
    前記液晶表示パネルは、複数のサブ画素が第1の方向に配列した複数の画素を有し、
    前記複数の画素は、前記第1の方向に第1の間隔で配列し、且つ前記第1の方向とは異なる第2の方向に第2の間隔で配列し、
    前記液晶レンズは、第1の基板と第2の基板との間に液晶が挟持された構成であり、
    前記第1の基板には、複数のストライプ状の第1の電極が前記第1の方向に延在し、前記第2の方向に配列し、
    互いに隣接する2つの前記第1の電極は間には、前記第2の方向に隣接する2つの前記画素が配置され、
    前記第2の基板には、複数のストライプ状の第2の電極と、前記第2の電極よりも幅の広い複数のストライプ状の第3の電極とが形成され前記第2の電極と前記第3の電極は、それぞれ前記第2の方向に延在し、且つ前記第1の方向において交互に配列され
    最も近接する2つの前記第2の電極間対応する前記液晶パネルの位置には、前記第1の方向に隣接する2つの前記画素が配置され、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された液晶分子の初期配向は、前記第2の方向であり、
    前記第1の電極と前記第2の電極と前記第3の電極は互いに異なった電圧を印加することが可能であることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記液晶分子の前記初期配向の方向は、前記第2の電極の延在方向と、±5度以内で一致することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記第1の基板は前記液晶表示パネル側の基板であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第1の方向と前記第2の方向とは直交することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第2の電極と前記第3の電極の電位を同電位とし、前記第1の電極に前記第2の電極及び前記第3の電極とは異なる電圧を印加することによって3次元表示を行うことが可能であり、
    前記第1の電極と前記第3の電極を同電位とし、前記第2の電極に前記第1の電極及び前記第3の電極とは異なる電圧を印加することによって3次元表示を行うことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
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