JP5958920B2 - 傾斜角度推定システム - Google Patents
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医療関連分野以外においても、人間の身体運動を評価するシステムが用いられている。代表的なものとして、スポーツ科学の分野である。スポーツ選手の身体運動特性を評価、分析を行い、そのデータの蓄積を行なうことにより、スポーツ分野における成績向上を図る試みが数多くなされている。
運動評価システムの人間以外への適用例として、ロボット、特に、人型ロボットへの応用を挙げることができる。階段や坂道を歩行している間のロボットの傾斜角度などを測定することにより、この傾斜角度をロボットの制御部にフィードバックし、ロボットが転倒しないようにロボットの姿勢を制御するなどといったことは一般的に既に行なわれている。
複数のカメラによる撮像データに基づき、測定対象体の動作を分析する手法の大きな欠点として、場所的な制約を受けること並びにシステムの構築に多大な費用を要することを挙げることができる。例えば、特許文献1において言及されているが、このようなシステムは、色差に基づきデータ分析を行なうが、時々刻々と変化する周囲の光量の影響を受けやすいという問題があり、多くの場合、強い光を測定対象体に当てるといった手法が採られている。したがって、広い空間或いは屋外空間における動作データの取得は極めて困難である。また、複数のカメラ並びに画像解析システムを必要とし、システム構築を廉価に行なうことは不可能である。
この複数種のセンサを用いた方法は、高価な撮像装置や画像解析システムを用いないため、上記した技術よりは、廉価にシステム構築を行なうことができる。また、周囲の光量の変動に影響を受けるといった問題点を解消できる点で優れている。
まず、ジャイロセンサから得られる角速度データに対して非線形積分を施すことにより、誤差が累積する点である。特に角速度にドリフトが存在すれば累積誤差が大きくなる。この誤差の累積の存在のため、他のセンサ(加速度センサ或いは地磁気センサ)からの出力により、補正処理を行なう必要が生ずる。結果として、複数種のセンサの利用が不可避であり、これに伴い、データ処理の煩雑さが増すこととなる。また、複数種のセンサの使用並びに煩雑なデータ処理工程は、測定対象体の動作(測定対象体の姿勢の傾斜角度)の推定値の精度の悪化を招く。高い精度の推定値を得ようとすれば、積分処理における分割数の増大等の対策をする必要を生じ、結果として、高価なデータ処理システムの使用が不可避なものとなる。
更には、ジャイロセンサは、画像処理システムと比べた場合には、廉価なものであるが、一般的な加速度センサと比べた場合には、高価である。また、地磁気センサにより補正処理を行なう場合には、地磁気センサの外乱因子に対する脆弱性故、傾斜角度推定システムの使用に対して、場所的な制約が生み出されることとなる。
請求項3記載の発明は、前記演算処理ユニットが、π/2の奇数倍数値に対して所定の角度だけ増分した第1の上限値と、π/2の奇数倍数値に対して所定の角度だけ減分した第1の下限値の間で定義される第1の閾値領域を認識し、前記正弦関数値と前記余弦関数値から求められる前記挟角の値が前記第1の閾値領域の範囲内にあるとき、前記演算処理ユニットが前記余弦関数値に基づき算出された挟角を出力することを特徴とする請求項1記載の傾斜角度推定システムである。
請求項4記載の発明は、前記演算処理ユニットが、πの倍数値に対して所定の角度だけ増分した第2の上限値と、πの倍数値に対して所定の角度だけ減分した第2の下限値との間で定義される第2の閾値領域を認識し、前記正弦関数値と前記余弦関数値から求められる前記挟角の値が前記第2の閾値領域の範囲内にあるとき、前記正弦関数と前記余弦関数の乗算値或いは除算値が前記挟角の算出に用いられることを特徴とする請求項1記載の傾斜角度推定システムである。
請求項6記載の発明は、一の回転中心点を有するとともに該回転中心点を軸に一の平面内で回転しつつ傾斜する物体の傾斜角度を推定するシステムであって、前記物体に取付けられた少なくとも2つの加速度センサと、該少なくとも2つの加速度センサからの出力を受信するとともに該出力に基づいて物体の傾斜角を算出する演算処理ユニットからなり、前記少なくとも2つの加速度センサは、一線上に整列するとともに、該少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線が前記回転中心点を通過し、前記演算処理ユニット内で、前記一の平面を定めるとともに前記回転中心点を通過する第1の基準軸が定義され、前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサと他の加速度センサがそれぞれ、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第1の加速度を出力し、前記演算処理ユニットが、前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を前記他の加速度センサからの出力値に対して乗算し、第1の乗算値を算出する段階と、前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を前記一の加速度センサからの出力値に対して乗算し、第2の乗算値を算出する段階と、前記第1の乗算値と前記第2の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の正弦関数値を算出する段階を実行することを特徴とする傾斜角度推定システムである。
請求項8記載の発明は、一の回転中心点を有するとともに該回転中心点を軸に一の平面内で回転しつつ傾斜する物体の傾斜角度を推定するシステムであって、前記物体に取付けられた少なくとも2つの加速度センサと、該少なくとも2つの加速度センサからの出力を受信するとともに該出力に基づいて物体の傾斜角を算出する演算処理ユニットからなり、前記少なくとも2つの加速度センサは、一線上に整列するとともに、該少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線が前記回転中心点を通過し、前記回転中心点が、前記一の平面内で、直線移動し、前記回転中心点の直線移動速度が、時間変化することを特徴とする傾斜角度推定システムである。
請求項10記載の発明は、前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサと他の加速度センサがそれぞれ、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第1の加速度を出力し、前記演算処理ユニットが、前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を前記他の加速度センサからの出力値に対して乗算し、第1の乗算値を算出する段階と、前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を前記一の加速度センサからの出力値に対して乗算し、第2の乗算値を算出する段階と、前記第1の乗算値と前記第2の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角を算出する段階を実行することを特徴とする請求項9記載の傾斜角度推定システムである。
請求項11記載の発明は、前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサと他の加速度センサがそれぞれ、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第2の加速度を出力し、前記演算処理ユニットが、前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を前記他の加速度センサからの出力値に対して乗算し、第3の乗算値を算出する段階と、前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を前記一の加速度センサからの出力値に対して乗算し、第4の乗算値を算出する段階と、前記第3の乗算値と前記第4の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角を算出する段階を実行することを特徴とする請求項9記載の傾斜角度推定システムである。
請求項14記載の発明は、一の回転中心点を有するとともに該回転中心点を軸に一の平面内で回転しつつ傾斜する物体の傾斜角度を推定するシステムであって、前記物体に取付けられた少なくとも2つの加速度センサと、該少なくとも2つの加速度センサからの出力を受信するとともに該出力に基づいて物体の傾斜角を算出する演算処理ユニットからなり、前記少なくとも2つの加速度センサは、一線上に整列し、前記回転中心点からの少なくとも2つの加速度センサそれぞれの距離が互いに異なり、前記演算処理ユニットが、前記少なくとも2つの加速度センサが出力する加速度成分のうち、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の加速度成分について、一の加速度センサの出力値と他の加速度センサの出力値との差を演算するとともに、前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサと前記回転中心点との間の距離と他の加速度センサと前記回転中心点との間の距離の差を演算し、前記出力値の差を前記距離の差で除することにより、前記物体の角加速度を演算することを特徴とする傾斜角度推定システムである。
請求項16記載の発明は、前記少なくとも2つの加速度センサが、該2つの加速度センサを結ぶ線に対して平行な第1の加速度成分と、該2つの加速度センサを結ぶ線及び前記物体の移動平面に対して直交する方向の第2の加速度成分と、前記第1の加速度成分と前記第2の加速度成分に対して直交する方向の第3の加速度成分を出力することを特徴とする請求項15記載の傾斜角度推定システムである。
請求項17記載の発明は、前記演算処理ユニットが、前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサが出力する加速度の前記3つの出力値に対して、他の加速度センサと前記回転中心点との距離を乗算し、3つの乗算値を得る第1の乗算工程と、前記他の加速度センサが出力する加速度の前記3つの出力値に対して、前記一の加速度センサと前記回転中心点との距離を乗算し、3つの乗算値を得る第2の乗算工程と、前記第1の乗算工程から得られた3つの乗算値それぞれに対して、前記第2の乗算工程から得られた対応する方向の加速度成分の乗算値を用いて差分演算する差分工程を実行し、該差分工程から得られた差分値に基づき、前記物体の回転運動の中心となる軸に対する傾斜角度成分を算出する段階を実行することを特徴とする請求項16記載の傾斜角度推定システムである。
請求項19記載の発明は、前記物体が更に、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線を軸にして回転動作することを特徴とする請求項15記載の傾斜角度推定システムである。
請求項20記載の発明は、前記3つの直交座標軸が、重力ベクトルに対して平行な方向の第1の座標軸と、該第1の座標軸に対して直交する方向の第2の座標軸と、前記第1の座標軸と前記第2の座標軸に直交する第3の座標軸から構成され、前記演算処理ユニットが、前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサが出力する加速度の前記3つの出力値に対して、他の加速度センサと前記回転中心点との距離を乗算し、3つの乗算値を得る第1の乗算工程と、前記他の加速度センサが出力する加速度の前記3つの出力値に対して、前記一の加速度センサと前記回転中心点との距離を乗算し、3つの乗算値を得る第2の乗算工程と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して平行な方向の加速度成分に関する前記第1の乗算工程からの乗算値と前記第2の乗算工程からの乗算値との差及び前記一の加速度センサと前記回転中心点との間の距離と前記他の加速度センサと前記回転中心点との間の距離との差に基づいて、前記第2の座標軸又は前記第3の座標軸を中心とする回転による傾斜角成分の正弦関数値を算出することを特徴とする請求項19記載の傾斜角度推定システムである。
請求項22記載の発明は、前記演算処理ユニットが、前記算出された第2の座標軸又は前記第3の座標軸を中心とする回転による傾斜角成分の正弦関数値に基づき、前記算出された第2の座標軸又は前記第3の座標軸を中心とする回転による傾斜角成分の余弦関数値を算出し、該算出された余弦関数値と、前記物体の回転移動平面に対して直交する軸並びに前記少なくとも2つの加速度センサ同士を結ぶ線と平行な軸に対して直交する軸に対して平行な方向の加速度成分に関する前記第1の乗算工程からの乗算値と前記第2の乗算工程からの乗算値との差と、前記一の加速度センサと前記回転中心点との間の距離と前記他の加速度センサと前記回転中心点との間の距離との差に基づいて、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線を軸とする回転動作に係る傾斜角の正弦関数値を算出することを特徴とする請求項20記載の傾斜角度推定システムである。
請求項23記載の発明は、前記演算処理ユニットが更に、前記物体の回転移動平面に対して直交する軸に対して平行な方向の加速度成分に関する前記一の加速度センサの出力値と前記他の加速度センサの出力値との差と、前記物体の回転移動平面に対して直交する軸並びに前記少なくとも2つの加速度センサ同士を結ぶ線と平行な軸に対して直交する軸に対して平行な方向の加速度成分に関する前記一の加速度センサの出力値と前記他の加速度センサの出力値との差と、前記回転中心点と前記一の加速度センサの距離と前記回転中心点と前記他の加速度センサの距離との差に基づき、前記物体の回転移動平面に対して直交する軸に対して平行な方向を軸とする角加速度と、前記物体の回転移動平面に対して直交する軸並びに前記少なくとも2つの加速度センサ同士を結ぶ線と平行な軸に対して直交する軸に対して平行な方向の角加速度を算出することを特徴とする請求項21又は22記載の傾斜角度推定システムである。
請求項24記載の発明は、前記演算処理ユニットが更に、前記物体の回転移動平面に対して直交する軸に対して平行な方向を軸とする角加速度を積分演算し、前記第2の座標軸と前記第3の座標軸とで定義される平面内の傾斜角度を算出することを特徴とする請求項23記載の傾斜角度推定システムである。
請求項25記載の発明は、前記回転中心点からの少なくとも2つの加速度センサそれぞれの距離が互いに異なることを特徴とする請求項1、2、3、8、12、13、14いずれかに記載の傾斜角度推定システムである。
請求項26記載の発明は、前記少なくとも2つの加速度センサのうち一の加速度センサの位置が、前記回転中心点に一致することを特徴とする請求項25記載の傾斜角度推定システムである。
請求項1、6乃至8、12乃至14、25記載の発明によれば、用いるセンサが加速度センサのみであるので、簡便且つ廉価に傾斜角度推定システムを構築可能となる。したがって、従来技術と比して、推定システムの設定を簡便に行なうことができる。
請求項8記載の発明によれば、直線加速度移動する物体を対象に傾斜角の推定を実行可能となる。
請求項9乃至11記載の発明によれば、直線加速度移動する物体の移動速度が既知である場合に、積分演算を行なうことなく、傾斜角度の推定を実行可能である。したがって、従来技術のように、積分誤差を含んだ推定値を出力することがなく、高い精度を確保可能である。
請求項12記載の発明によれば、水平方向に運動する物体の移動速度が未知である場合において、積分演算を行なうことなく、傾斜角度の推定を実行可能である。したがって、従来技術のように、積分誤差を含んだ推定値を出力することがなく、高い精度を確保可能である。
請求項14記載の発明によれば、物体の傾斜回転運動に係る角加速度を、積分演算を行なうことなく実行可能である。したがって、従来技術のように、積分誤差を含んだ推定値を出力することがなく、高い精度を確保可能である。
請求項16及び17記載の発明によれば、積分演算を行なうことなく、傾斜角度の推定を実行可能である。したがって、従来技術のように、積分誤差を含んだ推定値を出力することがなく、高い精度を確保可能である。
請求項18記載の発明によれば、物体の傾斜回転運動に係る角速度を、積分演算を行なうことなく実行可能である。したがって、従来技術のように、積分誤差を含んだ推定値を出力することがなく、高い精度を確保可能である。
請求項20乃至23記載の発明によれば、物体の傾斜回転運動に係る角速度を、積分演算を行なうことなく実行可能である。したがって、従来技術のように、積分誤差を含んだ推定値を出力することがなく、高い精度を確保可能である。
請求項24記載の発明によれば、最小限の積分演算を以って、測定対象物の傾斜運動の3方向成分全てを推定可能となる。したがって、従来技術のように、積分誤差を最小限化でき、高い精度を確保可能である。また、積分演算を要する方向以外の回転方向の推定値には積分誤差が含まれないため、高い精度を保つことができる。
請求項26記載の発明によれば、データ処理に用いるパラメータのうち1つを「0」に設定することができ、演算処理ユニットの演算処理負荷の低減を図ることができる。
図1は、本発明に係る傾斜角度推定システムの概略図である。
傾斜角度推定システム(1)は、測定対象体(P)に取付けられた複数の加速度センサ(2)と、加速度センサ(2)とデータ通信可能なデータ演算処理ユニット(コンピュータ)(3)からなる。
図1に示す例において、測定対象体(P)は、その一方の端部を回転可能に支持されている。測定対象体(P)は、この支持点を回転中心点(R)として、一方向に回転動作をし、その姿勢を傾斜させる。したがって、図1に示す例においては、測定対象体(P)は、一平面内で回転動作するものとなる。
加速度センサ(2)が取付けられる測定対象体(P)に対して特段の制限はないが、測定対象体の回転傾斜動作の際に生ずる慣性力により変形しない程度の剛性を有することが好ましい。傾斜角度推定のためのデータ取得時における測定対象体(P)の変形は、推定値の誤差に直結するためである。したがって、本発明が対象とする測定対象体(P)には、完全な剛体のみならず、傾斜角度推定の目的が許容する誤差を生じさせる程度に変形可能なものも含まれる。
図1から明らかなように、2つの加速度センサ(2)を結ぶ線の延長線上に測定対象体(P)の回転中心点(R)が位置する。尚、本明細書或いは請求の範囲で、「加速度センサ(2)を結ぶ線が回転中心点(R)を通過する」との文言が用いられるが、この文言は、必ずしも加速度センサ(2)同士を結ぶ線が正確に回転中心点(R)を通過することのみを意味するものではなく、加速度センサ(2)同士を結ぶ線が、回転中心点(R)近傍を通過することも意味する。加速度センサ(2)同士を結ぶ線と回転中心点(R)との距離は、直接的に、傾斜角度推定システム(1)から得られる推定値の誤差に直結するが、傾斜角度推定システム(1)が許容する誤差範囲内の誤差を生み出す程度の加速度センサ(2)同士を結ぶ線と回転中心点(R)との間の距離であれば、本発明の技術的範囲に属するものと解するべきである。
データ演算処理ユニット(3)は、加速度センサ(2)からの出力値(加速度データ)を受信し、データ演算処理ユニット(3)への入力値(回転中心点(R)から各加速度センサ(2)までの距離)と、加速度センサ(2)からの出力値(加速度データ)を用いて、測定対象体(P)の傾斜角度を算出する。
図2において、2つの座標系が示されている。本明細書において、一方の座標系を全体座標系と称し、他方の座標系を瞬時静止座標系と称する。
全体座標系において、重力加速度ベクトルに平行な方向をZ軸として定義する。また、図1に示す測定対象体(P)が回転動作をする平面内において、Z軸に対して直交する方向をX軸とする。ここで、X軸とZ軸の交点と、測定対象体(P)の回転中心点(R)が一致するように全体座標系を定義する。
瞬時静止座標系において、2つの加速度センサ(2)同士を結ぶ線をx軸として定義する。また、図1に示す測定対象体(P)が回転動作をする平面内において、x軸に対して直交する方向をz軸とする。ここで、x軸とz軸の交点と、測定対象体(P)の回転中心点(R)が一致するように瞬時静止座標系を定義する。
図2に示す例において、全体座標系のX軸と瞬時静止座標系のx軸との間の挟角は記号「α」で示されている。
以上の説明並びに座標系の定義から明らかであるが、図2は、測定対象体(P)がその軸(加速度センサ(2)同士を結んだ線)を全体座標系のX軸に置いた位置から角度αだけ回転運動した瞬間の測定対象体(P)の状態を表している。
以下に、この測定対象体(P)の傾斜角度αを算出するための演算処理工程を示す。
測定対象体(P)の回転傾斜動作によって生ずる瞬時静止座標系x軸に平行な加速度成分は、以下の数式1から求めることができる。また、測定対象体(P)の回転傾斜動作によって生ずる瞬時静止座標系z軸に平行な加速度成分は、以下の数式2から求めることができる。
尚、数式1中、「r」は、回転中心点(R)から加速度センサ(2)までの距離を意味する。また、数式1及び数式2において、測定対象体(P)の回転運動の角速度成分、角加速度成分を演算記号「θ」の微分値として表現している。
加速度センサ(2)の出力は、慣性力の影響を受けることから、加速度センサの出力と、測定対象体(P)の回転動作に起因する加速度成分並びに重力加速度の関係は、下記の数式3乃至数式6によって表すことができる。尚、数式3及び数式4は、加速度センサ(2A)に対するものであり、瞬時静止座標系x軸に平行な方向の出力加速度データを演算記号「ax」で示し、瞬時静止座標系z軸に平行な方向の出力加速度データを演算記号「az」で示している。数式5及び6は加速度センサ(2B)に対するものであり、瞬時静止座標系x軸に平行な方向の出力加速度データを演算記号「bx」で示し、瞬時静止座標系z軸に平行な方向の出力加速度データを演算記号「bz」で示している。
(1)加速度センサ(2A)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2B)までの距離を乗算する。
(2)加速度センサ(2B)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2A)までの距離を乗算する。
(3)上記手順(1)及び(2)から得られた乗算値の差分を取り、測定対象体(P)の角速度成分を除去する。
上記手順を経て得られる角度αに対する演算式を、下記数式7に示す。
(1)加速度センサ(2A)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2B)までの距離を乗算する。
(2)加速度センサ(2B)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2A)までの距離を乗算する。
(3)上記手順(1)及び(2)から得られた乗算値の差分を取り、測定対象体(P)の角加速度成分を除去する。
上記手順を経て得られる角度αに対する演算式を、下記数式8に示す。
したがって、演算処理ユニット(3)に対する入力値として、閾値データを入力可能とすることが好ましい。例えば、演算処理ユニット(3)に対して、第1の閾値範囲として、90°を僅かに下回る値(例えば、85°)及び90°を僅かに上回る値(例えば、95°)を入力する。また、第2の閾値範囲として、0°を僅かに下回る値(例えば、−5°)及び0°を僅かに上回る値(例えば、5°)を入力する。
数式7及び/又は数式8による角度αの演算結果が、演算処理ユニット(3)に入力された第1の閾値範囲であるならば、数式8に基づいて算出された値を演算処理ユニット(3)が出力する。一方、数式7及び/又は数式8による角度αの演算結果が、演算処理ユニット(3)に入力された第2の閾値範囲であるならば、数式7に基づいて算出された値を演算処理ユニット(3)が出力する。
他の方法として、数式7及び数式8に基づく算出結果から、正接関数値を算出し、この正接関数値に基づき、角度αを算出してもよいし、数式7及び数式8に基づき得られた値を乗算し、正弦関数の倍角の公式に基づき、角度αを算出してもよい。
このようにして求められる測定対象体(P)の回転傾斜運動の角速度及び角加速度の算出式を下記数式9及び数式10に示す。
(1)加速度センサ(2A)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2B)までの距離を乗算する。
(2)加速度センサ(2B)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2A)までの距離を乗算する。
(3)上記手順(1)及び(2)から得られた乗算値の差分を取り、測定対象体(P)の角速度成分或いは角加速度成分を除去する。
また、図1及び図2に関連して説明したものと同様の手法を用いて、測定対象体(P)の回転運動の角速度及び角加速度を積分演算工程なしに算出することが可能である。
図1及び図2に関連して説明した実施形態においては、測定対象体(P)が2次元平面内を移動していたが、本発明の傾斜角度推定システム(1)は、3次元空間内で回転傾斜運動をする測定対象体(P)に対しても適用可能である。
図3において、初期位置にある測定対象体(P)は点線で示されており、回転傾斜動作を開始した後の測定対象体(P)は実線で示されている。3次元空間の全体座標系(X,Y,Z)のZ軸は、重力加速度に対して平行な方向に設定される。また、測定対象体(P)の初期位置は、本発明の理解を容易にするために、測定対象体(P)の軸、即ち、測定対象体(P)に取付けられた複数の加速度センサ(2)同士を結ぶ線がZ軸と直交するように配されているものとする。また、測定対象体(P)に取付けられた複数の加速度センサ(2)同士を結ぶ線に一致するようにX軸が定められる。また、Y軸は、X軸とZ軸の交点を通過するとともにX軸及びZ軸に直交する軸として定義される。
測定対象体(P)の回転中心点(R)は、X軸、Y軸及びZ軸の交点と一致するものとする。
座標変換の一例として、全体座標(X,Y,Z)上の点G(0,0,g)を考える。この点Gは、全体座標が加速度を表す座標であるとき、重力加速度を意味する点である。図4は、この点GをY軸周りに角度αYだけX軸に向けて回転させた状態を示す。この回転動作の後の点GYの座標(xg1,yg1,zg1)は、下記の数式17により表される。
回転動作後の測定対象体(P)上の任意の位置(x,y,z)の加速度成分は、下記数式19により表される。尚、瞬時静止座標系のx軸に沿う方向の加速度成分は、瞬時静止座標系のy軸周りの角速度とz軸周りの角速度の関数で表され、瞬時静止座標系のy軸に沿う方向の加速度成分は、瞬時静止座標系のy軸周りの角加速度の関数で表され、瞬時静止座標系のz軸に沿う方向の加速度成分は、瞬時静止座標系のz軸周りの角加速度の関数で表される。
(1)加速度センサ(2A)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2B)までの距離を乗算する。
(2)加速度センサ(2B)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2A)までの距離を乗算する。
(3)上記手順(1)及び(2)から得られた乗算値の差分を取り、測定対象体(P)の角速度成分或いは角加速度成分を除去する。
この手順にしたがって得られる一組の関係式を下記数式22に示す。
このようにして、3次元空間内を回転する測定対象体(P)に対しても、積分演算工程を行なうことなく、傾斜角の算出を実行可能である。
上記数式20及び数式21を参照する。ここで、加速度センサ(2A)が出力する瞬時静止座標系のy軸方向の加速度成分と、加速度センサ(2B)が出力する瞬時静止座標系のy軸方向の加速度成分の差をとることにより、全体座標系Z軸周りの角加速度を算出することができる。下記、数式23に、全体座標系Z軸周りの角加速度と加速度センサ(2)の出力値との関係を示す。
同様に、加速度センサ(2A)が出力する瞬時静止座標系のz軸方向の加速度成分と、加速度センサ(2B)が出力する瞬時静止座標系のz軸方向の加速度成分の差をとることにより、全体座標系Y軸周りの角加速度を算出することができる。下記、数式24に、全体座標系Y軸周りの角加速度と加速度センサ(2)の出力値との関係を示す。
図3乃至図5に関連して説明した実施形態においては、まず全体座標系のY軸周りの回転傾斜動作を考え、その後、全体座標系のZ軸周りの回転傾斜動作を考えたが、図6に示す測定対象体(P)の運動に対しては、別の手法により、角度算出を行なう必要がある。
図6に示す測定対象体(P)の位置は、初期位置からY軸周りに角度αだけ測定対象体(P)を回転させ(図7(a)参照)、その後、測定対象体(P)をY軸周りに角度γだけ回転させた位置に一致するものとする(図7(b)参照)。
図8から明らかな如く、ここでは、図6に示す位置に測定対象体(P)が移動する間に、測定対象体(P)はその軸周りに角度βだけ回転したものとする。
次に、図3に関連した説明したものと同様に、加速度を表す全体座標上の点G(0,0,g)の座標変換を考える。尚、点Gは、図3に関連して説明したものと同様に重力加速度を意味する点である。
ここで、全体座標系のY軸周りに、X軸からZ軸方向に向けて点G(0,0,g)を回転変換させた場合を考える。この座標変換後の座標(xg1,yg1,zg1)との間の関係を、下記数式26に示す。
(1)加速度センサ(2A)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2B)までの距離を乗算する。
(2)加速度センサ(2B)の出力値に対して、回転中心点(R)から加速度センサ(2A)までの距離を乗算する。
(3)上記手順(1)及び(2)から得られた乗算値の差分を取り、測定対象体(P)の角速度成分或いは角加速度成分を除去する。
この手順にしたがって得られる一組の関係式を下記数式32に示す。
したがって、全体座標系Y軸周りの回転傾斜角度並びに瞬時静止座標系x軸周りの回転傾斜角度の算出は、積分演算処理を要せず、代数演算のみで実行可能である。
まず、加速度センサ(2A,2B)それぞれから得られた加速度成分の差を算出する。この演算工程を下記数式(33)に示す。
下記数式34に算出された瞬時静止座標系のy軸周りの角加速度及びz軸周りの角加速度を全体座標系(X,Y,Z)上に変換する行列式を示す。尚、この変換において、X軸からZ軸に向かう方向を正としている。また、瞬時静止座標系x軸に沿う加速度成分は「0」である。
測定対象体(P1)には2つの加速度センサ(2A1,2B1)が取り付けられ、測定対象体(P2)には、2つの加速度センサ(2A2,2B2)が取り付けられている。回転中心点(R)から加速度センサ(2A1)までの距離はra1で表され、回転中心点(R)から加速度センサ(2B1)までの距離はrb1で表され、回転中心点(R)から加速度センサ(2A2)までの距離はra2で表され、回転中心点(R)から加速度センサ(2B2)までの距離はra2で表される。
以下に、回転中心点(R)における加速度ベクトルの算出式を示す。下記数式36は、測定対象体(P1)に対するものであり、下記数式37は測定対象体(P2)に対するものである。
測定対象体(P1,P2,P3)のうち1つをx方向と定めると、他の測定対象体(P1,P2,P3)の軸は、自ずからy方向及びz方向として定義されることとなる。この結果、下記数式38に示す関係式を得ることができる。
2・・・・・加速度センサ
3・・・・・演算処理ユニット
Claims (4)
- 一の回転中心点を有するとともに該回転中心点を軸に一の平面内で回転しつつ傾斜する物体の傾斜角度を推定するシステムであって、
前記物体に取付けられた少なくとも2つの加速度センサと、
該少なくとも2つの加速度センサからの出力を受信するとともに該出力に基づいて物体の傾斜角を算出する演算処理ユニットからなり、
前記少なくとも2つの加速度センサは、一線上に整列するとともに、該少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線が前記回転中心点を通過し、
前記演算処理ユニット内で、前記一の平面を定めるとともに前記回転中心点を通過する第1の基準軸が定義され、
前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサが、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第1の加速度と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第2の加速度を出力し、他の加速度センサが、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第3の加速度と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第4の加速度を出力し、
前記演算処理ユニットが、前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を、前記他の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の加速度の出力値に対して乗算し、第1の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を、前記一の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の加速度の出力値に対して乗算し、第2の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を、前記他の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交する方向の加速度の出力値に対して乗算し、第3の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を、前記一の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交する方向の加速度の出力値に対して乗算し、第4の乗算値を算出する段階と、
前記第1の乗算値と前記第2の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の正弦関数値を算出する段階と、
前記第3の乗算値と前記第4の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の余弦関数値を算出する段階を実行し、
前記演算処理ユニットが、π/2の奇数倍数値に対して所定の角度だけ増分した第1の上限値と、π/2の奇数倍数値に対して所定の角度だけ減分した第1の下限値の間で定義される第1の閾値領域を認識し、前記正弦関数値と前記余弦関数値から求められる前記挟角の値が前記第1の閾値領域の範囲内にあるとき、
前記正弦関数と前記余弦関数を倍角の公式に代入した乗算値或いは正接関数を求めるために正弦関数を余弦関数で割った除算値が前記挟角の算出に用いられることを特徴とする傾斜角度推定システム。 - 一の回転中心点を有するとともに該回転中心点を軸に一の平面内で回転しつつ傾斜する物体の傾斜角度を推定するシステムであって、
前記物体に取付けられた少なくとも2つの加速度センサと、
該少なくとも2つの加速度センサからの出力を受信するとともに該出力に基づいて物体の傾斜角を算出する演算処理ユニットからなり、
前記少なくとも2つの加速度センサは、一線上に整列するとともに、該少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線が前記回転中心点を通過し、
前記演算処理ユニット内で、前記一の平面を定めるとともに前記回転中心点を通過する第1の基準軸が定義され、
前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサが、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第1の加速度と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第2の加速度を出力し、他の加速度センサが、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第3の加速度と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第4の加速度を出力し、
前記演算処理ユニットが、前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を、前記他の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の加速度の出力値に対して乗算し、第1の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を、前記一の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の加速度の出力値に対して乗算し、第2の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を、前記他の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交する方向の加速度の出力値に対して乗算し、第3の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を、前記一の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交する方向の加速度の出力値に対して乗算し、第4の乗算値を算出する段階と、
前記第1の乗算値と前記第2の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の正弦関数値を算出する段階と、
前記第3の乗算値と前記第4の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の余弦関数値を算出する段階を実行し、
前記演算処理ユニットは閾値データを入力でき、π/2の奇数倍数値に対して所定の角度だけ増分した第1の上限値と、π/2の奇数倍数値に対して所定の角度だけ減分した第1の下限値の間で定義される第1の閾値領域を認識し、
前記正弦関数値と前記余弦関数値から求められる前記挟角の値が前記第1の閾値領域の範囲内にあるとき、前記演算処理ユニットが前記余弦関数値に基づき算出された挟角を出力することを特徴とする傾斜角度推定システム。 - 一の回転中心点を有するとともに該回転中心点を軸に一の平面内で回転しつつ傾斜する物体の傾斜角度を推定するシステムであって、
前記物体に取付けられた少なくとも2つの加速度センサと、
該少なくとも2つの加速度センサからの出力を受信するとともに該出力に基づいて物体の傾斜角を算出する演算処理ユニットからなり、
前記少なくとも2つの加速度センサは、一線上に整列するとともに、該少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線が前記回転中心点を通過し、
前記演算処理ユニット内で、前記一の平面を定めるとともに前記回転中心点を通過する第1の基準軸が定義され、
前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサが、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第1の加速度と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第2の加速度を出力し、他の加速度センサが、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第3の加速度と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第4の加速度を出力し、
前記演算処理ユニットが、前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を、前記他の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の加速度の出力値に対して乗算し、第1の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を、前記一の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の加速度の出力値に対して乗算し、第2の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を、前記他の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交する方向の加速度の出力値に対して乗算し、第3の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を、前記一の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交する方向の加速度の出力値に対して乗算し、第4の乗算値を算出する段階と、
前記第1の乗算値と前記第2の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の正弦関数値を算出する段階と、
前記第3の乗算値と前記第4の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の余弦関数値を算出する段階を実行し、
前記演算処理ユニットが、πの倍数値に対して所定の角度だけ増分した第2の上限値と、πの倍数値に対して所定の角度だけ減分した第2の下限値との間で定義される第2の閾値領域を認識し、
前記正弦関数値と前記余弦関数値から求められる前記挟角の値が前記第2の閾値領域の範囲内にあるとき、前記正弦関数と前記余弦関数を倍角の公式に代入した乗算値或いは正接関数を求めるために正弦関数を余弦関数で割った除算値が前記挟角の算出に用いられることを特徴とする傾斜角度推定システム。 - 一の回転中心点を有するとともに該回転中心点を軸に一の平面内で回転しつつ傾斜する物体の傾斜角度を推定するシステムであって、
前記物体に取付けられた少なくとも2つの加速度センサと、
該少なくとも2つの加速度センサからの出力を受信するとともに該出力に基づいて物体の傾斜角を算出する演算処理ユニットからなり、
前記少なくとも2つの加速度センサは、一線上に整列するとともに、該少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線が前記回転中心点を通過し、
前記演算処理ユニット内で、前記一の平面を定めるとともに前記回転中心点を通過する第1の基準軸が定義され、
前記少なくとも2つの加速度センサのうち、一の加速度センサが、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第1の加速度と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第2の加速度を出力し、他の加速度センサが、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の第3の加速度と、前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に対して直交するとともに前記物体の移動平面に対して平行な方向の第4の加速度を出力し、
前記演算処理ユニットが、前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を、前記他の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の加速度の出力値に対して乗算し、第1の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を、前記一の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に沿う方向の加速度の出力値に対して乗算し、第2の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記一の加速度センサまでの距離を、前記他の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交する方向の加速度の出力値に対して乗算し、第3の乗算値を算出する段階と、
前記回転中心点から前記他の加速度センサまでの距離を、前記一の加速度センサにより出力される前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線に直交する方向の加速度の出力値に対して乗算し、第4の乗算値を算出する段階と、
前記第1の乗算値と前記第2の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の正弦関数値を算出する段階と、
前記第3の乗算値と前記第4の乗算値の差分値に基づき、前記第1の基準軸と前記少なくとも2つの加速度センサを結ぶ線との挟角の余弦関数値を算出する段階を実行し、
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