(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した制御装置等に関し、以下の問題が生じることを見出した。
図23に低消費電力の無線装置による無線ネットワークの一例を示す。図23において、無線通信システム1000は、制御局装置1001と、通信端末装置1002〜1004とから構成される。以後、制御局装置と通信端末装置とをあわせて、無線装置ともいう。また、制御局装置は、制御装置ともいう。
制御局装置1001は、通信端末装置1002〜1004に対して、主に通信タイミングの同期をとるための制御情報を含むビーコンを周期的にブロードキャストする。通信端末装置1002〜1004はこのビーコンに含まれる制御情報に基づいて制御局装置1001と通信する。
制御局装置と複数の通信端末装置との間のアクセス制御方式には様々なものを用いることができる。例えば、CSMA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)、TDMA(Time Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)などのアクセス制御方式を用いることができる。
無線通信システム1000は、省電力性能に特徴がある。具体的には、制御局装置と通信端末装置との間で行われる無線通信中の通信の繰り返し単位の中に、アクティブ期間と呼ばれる、より細かい期間が設定されている。ここで、アクティブ期間とは、制御局装置と通信端末装置との間で、データを送受信するための期間である。制御局装置は、アクティブ期間以外では、通信機能を実現するモジュールの電源をOFFにすることができる。また、通信端末装置は、アクティブ期間であっても、通信の予定がなければ通信機能を実現するモジュールの電源をOFFにすることができる。さらにまた、制御局装置及び通信端末装置は、一旦、電源をOFFにした後に電源をONにすべきタイミングを、ビーコンに含まれる情報によって知ることができる。その結果、無線装置は通信が不要な時間は通信機能の電源をOFFにすることができ、無線ネットワーク全体で消費する電力を小さくすることができる。
こうした省電力無線ネットワークには、省電力性能に加えて、低遅延化の実現が求められる場合がある。例えば、ピークカット制御のための制御信号を、制御装置から通信端末装置へ送信する場合である。ピークカット制御とは、需要家において消費される電力のピーク値を、事前に定められた値以下となるように制御することをいう。例えば、需要家において消費されている電力の総量が、事前に定められた値を超える直前の状態に達している場合を考える。この状態で、新たな電気製品の電源がONになった場合、電力を消費しているいずれかの電気製品の消費電力を一時的に下げることにより、消費電力のピーク値を抑える処理が必要となる。具体的には、制御装置は、例えばエア・コンディショナーである通信端末装置へ、ピークカット制御を行うよう指示するための制御信号を送信することが考えられる。
この制御信号の伝送遅延が大きいと、適切なタイミングでピークカット制御を行うことができない。この場合、消費電力のピーク値が事前に契約した値を超えてしまう場合が生じてしまう。その結果、例えば割増しの電気料金が需要家に課されるなど、不利益が生じる。したがって、低消費電力の無線通信ネットワークにおいて低遅延化を実現する必要がある。
ここで、無線ネットワークにおいて遅延を生じさせる主な原因に、例えば、図24に示されるようなパケットの衝突があげられる。この図において、ピークカット制御のための制御信号が発生しており、ピークカット制御のための制御信号は、発生後、100ms以内に制御局装置から通信端末装置へ送信されなければならない。しかし、制御局装置と通信端末装置との間で送受信される他の通信データのパケットとピークカット制御のための制御信号のパケットとが衝突することがある。その結果、再送を繰り返しても、100ms以内に制御局装置から通信端末装置へピークカット制御のための制御信号を送信することができない状態が生じうる。
従来、パケットの衝突を回避するための技術としては、例えば、特許文献1が開示されている。この技術によれば、制御局装置に相当する接続装置は、送信されるデータに基づき基準クロック及びタイミングを生成する。したがって、制御局装置が使用するTDMAスロットが他の制御局装置と重なることを回避することができる。その結果、制御局装置に接続される通信端末装置の数が増加した場合における、パケットの衝突を回避することができる。
しかしながら、特許文献1により開示された技術では、通信端末装置の台数が増加するにしたがってTDMAのスロット周期がより長く決定される。したがって、通信端末装置の台数が一定数以上となる場合には、かえって伝送遅延が増加してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、省電力無線ネットワークにおいて、低遅延化を実現することが可能な制御装置、通信端末装置、及び無線通信システム等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る制御装置は、第1の種別のデータを生成する通常データ生成部と、前記第1の種別とは異なる第2の種別のデータを生成する優先データ生成部と、繰り返しの単位時間であるフレームに含まれる期間であって、当該フレームにおいて端末装置と通信するための期間であるアクティブ期間の長さを決定する決定部と、決定された前記アクティブ期間の長さに対応する情報を含む報知信号を生成する信号生成部と、前記端末装置との無線通信によって、前記フレームごとに、前記報知信号を前記端末装置に送信し、前記アクティブ期間中に前記第1の種別のデータを送信する送信部とを備え、前記決定部は、前記優先データ生成部が前記第2の種別のデータを生成した場合には、前記優先データ生成部が前記第2の種別のデータを生成しなかった場合に対して短縮がなされた前記アクティブ期間の長さを決定し、当該短縮により前記アクティブ期間でなくなった期間内に前記第2の種別のデータを送信するための期間である優先データ期間を設定し、前記送信部は、前記優先データ期間に前記第2の種別のデータを前記端末装置に送信する。
この構成によると、制御装置は、第2の種別のデータを生成した場合に、事前に定められた優先データ期間とアクティブ期間とが重ならないようにアクティブ期間を短縮する。ここで、優先データ期間においては、制御装置以外は受信処理を行うことが求められている。したがって、優先データ期間に制御装置が第2の種別のデータを送信した場合において、当該第2の種別のデータと、通信端末装置が送信した第1の種別のデータとが衝突する可能性は減少する。これにより、第2の種別のデータを送信する場合において、低遅延化を実現することができる。
例えば、前記信号生成部は、前記決定部により短縮して決定されたアクティブ期間の長さに対応する情報を含む第1の報知信号を生成し、前記送信部は、前記第1の種別のデータを前記アクティブ期間に送信し、前記第1の報知信号を送信し、前記第2の種別のデータを前記第1の報知信号が送信されたフレーム以後のフレームに含まれる前記優先データ期間に送信するとしてもよい。
これによると、送信部は、第2の種別のデータを、アクティブ期間と重ならない優先データ期間において送信することができる。その結果、第2の種別のデータが他のデータと衝突する可能性を、より減少させることができる。
例えば、前記フレームは、前記アクティブ期間、及び、前記制御装置と前記通信端末装置との間で前記第1の種別のデータを無線通信しない期間である非アクティブ期間を含み、前記決定部は、同一のフレームに含まれる前記優先データ期間の前に、前記非アクティブ期間が事前に定められた時間以上含まれるように前記アクティブ期間の長さを前記アクティブ期間の長さとして事前に定められた長さより短縮して決定するとしてもよい。
これによると、優先データ期間の直前の所定期間においても、第2の種別のデータ以外のデータが送信される可能性が減少する。したがって、優先データ期間において第2の種別のデータが、他のデータと衝突する可能性をより減少させることができる。
例えば、前記送信部は、前記第2の種別のデータが生成されたフレームの次のフレームにおいて前記第1の報知信号を送信し、前記第1の報知信号が送信されたフレームと同一のフレームに含まれる前記優先データ期間に前記第2の種別のデータを送信するとしてもよい。
例えば、前記優先データ期間中は、前記通信端末装置は常に受信状態となるとしてもよい。
これによると、優先データ期間において、通信端末装置から第1の種別のデータは送信されない。したがって、制御装置が第2の種別のデータを送信した場合に、第1の種別のデータと第2の種別のデータとが衝突することを回避することができる。
例えば、前記無線通信システムには、複数の前記通信端末装置が含まれ、さらに、前記無線通信の通信路を複数の第1のチャネルへ分割し、前記複数の通信端末装置のそれぞれへ、前記複数の第1のチャネルのうちの少なくとも1つを割り当てるチャネル設定部と、前記複数の第1のチャネルのうち、割り当てられた前記通信端末装置の台数がより少ないチャネルを対象チャネルとして選択する選択部とを備え、前記複数の第1のチャネルのそれぞれは、当該チャネルを用いた前記無線通信における繰り返しの単位時間として複数の前記フレームを含んでおり、前記優先データ期間は、前記複数の第1のチャネルのそれぞれに含まれる前記複数のフレームのそれぞれに対応付けて事前に定められており、前記信号生成部は、前記複数の第1のチャネルのそれぞれに含まれる前記複数のフレームのそれぞれごとに、当該フレームに含まれる前記アクティブ期間の長さに対応する情報を含む前記報知信号を生成し、前記送信部は、前記複数の第1のチャネルのそれぞれに含まれる前記複数のフレームのそれぞれごとに、当該第1のチャネルにおいて前記報知信号を送信し、前記決定部は、前記優先データ生成部が前記第2の種別のデータを生成した場合には、前記対象チャネルに含まれる前記複数のフレームのうちの少なくとも1つである第1のフレームに含まれる前記アクティブ期間の長さを、当該第1のフレームに対応付けられた前記優先データ期間と重ならないように、前記アクティブ期間の長さとして事前に定められた長さより短縮して決定するとしてもよい。
これによると、通信路が複数のチャネルに分割された場合において、制御装置は、各チャネルに割り当てられた通信端末装置の台数を参照する。そして、割り当てられた通信端末装置の台数がより少ないチャネルのアクティブ期間を短縮する。その結果、アクティブ期間を短縮した場合に無線通信システムに与える影響を抑えながら、第2の種別のデータを送信する場合の低遅延化を実現することができる。
例えば、前記チャネル設定部は、前記無線通信の通信路を、前記複数の第1のチャネルと、前記複数の第1のチャネルとは異なるチャネルであり前記第2の種別のデータを送受信するためのチャネルである第2のチャネルとに周波数領域において分割し、前記複数の通信端末装置のそれぞれへ、前記複数の第1のチャネルのうちの少なくとも1つと、前記第2のチャネルとを割り当て、前記複数の通信端末装置は、前記優先データ期間中は、前記第2のチャネルにおいて受信状態となるとしてもよい。
これによると、第2の種別のデータの送受信を行う専用のチャネルを設けることにより、他のチャネル数に関わらず、より少ない遅延時間で第2の種別のデータの送受信を行うことができる。
例えば、前記信号生成部は、前記決定部により短縮して決定された前記アクティブ期間の長さに対応する情報を含む報知信号である第2の報知信号を生成し、前記送信部は、前記第1のフレームにおいて前記第2の報知信号を送信し、当該第1のフレームに対応付けられた前記優先データ期間に、前記第2のチャネルにおいて前記第2の種別のデータを送信するとしてもよい。
例えば、前記選択部は、前記第2の種別のデータが前記通信端末装置に受信されるまでに許容される遅延時間として事前に定められた遅延許容値を参照することにより、前記複数の第1のチャネルに含まれる前記複数のフレームのそれぞれについて、当該フレームに対応付けられた前記優先データ期間に前記第2の種別のデータを送信した場合に、当該第2の種別のデータの遅延時間が前記遅延許容値未満となるか否かを判定し、前記遅延許容値未満となると判定されたフレームを含む前記第1のチャネルの中から、当該第1のチャネルに割り当てられた前記通信端末装置の台数がより少ないチャネルを前記対象チャネルとして選択するとしてもよい。
これによると、選択部は、チャネルごとの収容端末台数と、第2の種別のデータに設定された遅延許容値とに基づき、第2の種別のデータを送信するために短縮すべきアクティブ期間を決定する。その結果、第1の種別のデータの送受信に与える影響を最小限に抑えつつ、第2の種別のデータに設定された遅延許容値を満たすよう、第2の種別のデータの送受信を行うことができる。
本発明の一態様に係る通信端末装置は、繰り返しの単位時間であるフレームに含まれるアクティブ期間中に、制御装置と通信端末装置との間で第1の種別のデータを無線通信する無線通信システムにおける前記通信端末装置であって、前記制御装置から、前記フレームに含まれる前記アクティブ期間の長さに対応する情報を含む報知信号を受信する受信部と、受信した前記報知信号に対応する前記アクティブ期間と、前記通信端末装置が受信すべき期間として前記フレームごとに事前に定められた期間である優先データ期間とが同一のフレームにおいて重ならない場合には、当該優先データ期間において、前記受信部に受信させる制御部とを備える。
この構成によると、事前に定められた優先データ期間とアクティブ期間とが重ならない場合、通信端末装置が備える受信部は、優先データ期間の少なくとも一部において制御装置から送信されるかもしれない第2の種別のデータを待ち受ける。その結果、制御装置が第2の種別のデータを送信した場合において、通信端末装置が送信した第1の種別のデータと第2の種別のデータとが衝突する可能性は減少する。これにより、通信端末装置が第2の種別のデータを受信する場合において、低遅延化を実現することができる。
例えば、通信端末装置は、さらに、前記無線通信の通信路を、前記第1の種別のデータを無線通信するためのチャネルであって、当該チャネルを用いた前記無線通信における繰り返しの単位時間として複数のフレームを含むチャネルである第1のチャネルと、前記第1の種別のデータとは異なる第2の種別のデータを受信するための第2のチャネルとへ周波数領域において分割し、前記アクティブ期間中は、前記受信部が使用する周波数を前記第1のチャネルへ設定し、同一フレームにおいて前記アクティブ期間と重ならない前記優先データ期間中は、前記受信部が使用する周波数を前記第2のチャネルへ設定するチャネル設定部を備えるとしてもよい。
これによると、優先データ期間とアクティブ期間とが重ならない場合、通信端末装置が備える受信部は、優先データ期間ごとに、第2の種別のデータを送受信するための専用のチャネルである第2のチャネルにおいて、制御装置から送信されるかもしれない第2の種別のデータを待ち受ける。その結果、通信路が複数のチャネルに分割された場合においても、チャネルの数に関わらず、より少ない遅延時間で第2の種別のデータの送受信を行うことができる。
本発明の一態様に係る無線通信システムは、制御装置と、通信端末装置とを備える。
この構成によると、制御装置が第2の種別のデータを送信した場合に、第2の種別のデータと第1の種別のデータとが衝突することにより、制御装置と通信端末装置との間の無線通信において第2の種別のデータが遅延する可能性を減少させることができる。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、本発明の一態様に係る制御装置等について、図面を用いてより詳細に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る制御装置の構成を説明する。
図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、無線通信システム100は、制御局装置200と、通信端末装置300a〜300eとを有する。以後、通信端末装置300a〜300eを総称して、通信端末装置300ともいう。制御局装置200は、制御装置ともいう。制御局装置200と、通信端末装置300とは、ネットワーク150によって接続されている。ネットワーク150は、例えば、IEEE802.15規格に従う無線ネットワークである。
制御局装置200は、例えば、通信端末装置300それぞれが消費又は発電した電力データ等を定期的に取得する。より具体的には、制御局装置200は、太陽光発電システムである通信端末装置300aから、太陽光発電により発電した電力を示すデータを取得する。また、電源装置である通信端末装置300bから、蓄電池の充放電の量を示すデータを取得する。また、家電機器である通信端末装置300c〜300eから、それぞれの家電機器が消費した消費電力を示すデータを取得する。
こうした消費電力等を示すデータの通信には、低遅延化はさほど必要とされない。以後、低遅延化が必要とされないデータの種別を、第1の種別のデータ、又は通常データとよぶ。
その一方で、制御局装置200は、各通信端末装置300から取得した情報をもとに、例えば家電機器のピークカット制御等を行う。ピークカット制御のために、制御局装置200から通信端末装置300へ送信される制御信号は、低遅延化の実現が強く求められる種別の制御信号である。以後、通常データと比較して、より強く低遅延化が望まれるデータの種別を、第2の種別のデータ、又は優先データとよぶ。
無線通信システム100においては、通常データ及び優先データが制御局装置200と通信端末装置300との間で、繰り返し無線通信される。
次に、図2を参照して、こうした無線通信の繰り返しの単位時間について詳細に説明する。
図2は、本実施の形態に係る制御局装置200と通信端末装置300との間で行われる無線通信の繰り返しの単位時間であるフレームの詳細を説明する図である。
図2の(A)を参照して、各フレームには5つの種別の期間が含まれる。ビーコン周期、ビーコン期間、アクティブ期間、非アクティブ期間、優先データ期間である。
ビーコン周期は、1フレームの長さである。フレームは、制御局装置200から通信端末装置300へブロードキャストされる報知信号(以降、ビーコンともいう)によって区切られるため、ビーコンを受信してから、次のビーコンを受信するまでの時間がビーコン周期となる。また、ビーコンには、次のビーコンが送信されるビーコン期間に対応する情報が含まれている。したがって、通信端末装置300は、ビーコンに含まれる情報から、フレームごとにビーコン周期を知ることができる。
ビーコン期間は、ビーコンが送信される期間である。ビーコン期間においては、全ての通信端末装置300が受信状態となる。
アクティブ期間は、制御局装置200と通信端末装置300との間で、通常データを送受信するための期間である。例えば、ビーコンが、当該ビーコンから始まるフレームのアクティブ期間の長さを示す情報を含んでいれば、通信端末装置300はフレームごとにアクティブ期間の長さを取得することができる。
非アクティブ期間は、ビーコン周期において、ビーコン期間、アクティブ期間、及び、後述する優先データ期間以外の期間である。具体的には、制御局装置200と通信端末装置300との間で、無線通信を行わない期間である。したがって、制御局装置200及び通信端末装置300は、非アクティブ期間において通信機能をOFFにしてもよい。
優先データ期間は、制御局装置200から通信端末装置300へ優先データを送信するための期間である。全ての通信端末装置300は、優先データ期間においては、必ず受信処理を行う。なお、優先データ期間において、通信端末装置300は、事前に定められた期間以上、受信状態となることが好ましい。これによると、優先データ期間にデータの送信を行う通信装置の数が減少する。このため、制御局装置200が優先データを含むパケットを送信した際に、通信端末装置300から送信されるパケットと優先データを含むパケットとが衝突する可能性が低下する。したがって、優先データに無線通信における低遅延化を実現することができる。より好ましくは、優先データ期間の間、全ての通信端末装置300が常に受信状態となってもよい。制御局装置200から送信されるパケットと衝突するパケットを送信する通信装置がいなくなるため、より確実に低遅延化を実現することができるためである。
なお、本実施の形態において、優先データ期間は、制御局装置200と通信端末装置300との間で事前に定められたものとしている。しかし、制御局装置200が優先データ期間を示す情報をビーコンに含め通信端末装置300へ送信することにより制御局装置200と通信端末装置300との間で共有されてもよい。
また、図2の(A)に示されるように、アクティブ期間と非アクティブ期間とはビーコン周期において排他的に設定される。しかし、ビーコン期間及び優先データ期間のそれぞれは、アクティブ期間及び非アクティブ期間と排他的な関係にはない。例えば、本実施の形態において、ビーコン期間はアクティブ期間に含まれている。しかし、フレームに含まれるアクティブ期間と非アクティブ期間は、どちらが先でもよい。したがって、フレームにおいて非アクティブ期間がアクティブ期間の先に設定されている場合には、ビーコン期間は非アクティブ期間に含まれる。
また、優先データ期間は、アクティブ期間又は非アクティブ期間の少なくとも一方に重なる。図2の(A)は、優先データ期間がアクティブ期間に重なっている場合を示す。一方、図2の(B)は、優先データ期間がアクティブ期間に重なっていない場合を示す。本実施の形態において、通信規格上、優先データ期間とアクティブ期間とが重なった場合において、制御局装置200及び通信端末装置300は重なった期間をアクティブ期間として扱う。したがって、図2の(A)に示される場合に、通信端末装置300は、必ずしも優先データ期間に受信することを求められない。一方、優先データ期間と非アクティブ期間とが重なった場合、制御局装置200及び通信端末装置300は重なった期間を優先データ期間として扱う。したがって、図2の(B)に示される場合は、通信端末装置300は優先データ期間において受信することを求められる。
次に、図3を参照して、こうしたフレーム単位で無線通信を行う制御局装置の構成について説明する。
図3は、本実施の形態に係る制御局装置200の機能ブロックの構成を示す図である。
図3に示されるように、本実施の形態に係る制御局装置200は、通常データ生成部202と、優先データ生成部204と、決定部206と、ビーコン生成部208と、送信部210と、選択部212とを備える。なお、ビーコン生成部208は、信号生成部に相当する。
制御局装置200は、繰り返しの単位時間であるフレームに含まれるアクティブ期間中に、制御局装置200と通信端末装置300との間で第1の種別のデータを無線通信する無線通信システム100における制御局装置である。
通常データ生成部202は、第1の種別のデータを生成する。例えば、図1を再度参照して、通信端末装置300aから取得した発電量を示す情報の過去1ヶ月分の履歴をユーザへ提示するために、テレビジョンである通信端末装置300eへ送信するデータなどを生成する。
優先データ生成部204は、第1の種別とは異なる第2の種別のデータを生成する。例えば、制御局装置200と有線で接続された分電盤(図示なし)からピークカットの指示を受けた場合に、優先データ生成部204は、エア・コンディショナーである通信端末装置300dの出力を強制的に下げるための制御信号等を第2の種別のデータとして生成する。
決定部206は、フレームごとにアクティブ期間の長さを決定する。より詳細には、決定部206は、優先データ生成部204が第2の種別のデータを生成した場合には、(1)アクティブ期間と、(2)通信端末装置300が受信すべき期間としてフレームごとに事前に定められた期間であり制御局装置200が第2の種別のデータを送信するための期間である優先データ期間とが、同一のフレームにおいて重ならないように、アクティブ期間の長さをアクティブ期間の長さとして事前に定められた長さより短縮して決定する。より好ましくは、決定部206は、同一のフレームに含まれる優先データ期間の前に、非アクティブ期間が事前に定められた時間以上含まれるようにアクティブ期間の長さをアクティブ期間の長さとして事前に定められた長さより短縮して決定してもよい。
なお、通常データ生成部202が第1の種別のデータを生成した場合には、決定部206は、アクティブ期間の長さが、例えば事前に定められたアクティブ期間の長さの既定値となるように決定する。
ビーコン生成部208は、決定されたアクティブ期間の長さに対応する情報を含む報知信号であるビーコンを生成する。なお、ビーコン生成部208は、アクティブ期間の長さの他に、例えば、次のビーコンが送信されるビーコン期間、アクティブ期間の開始時刻等を含んでもよい。また、優先データ期間を示す情報を含んでもよい。
送信部210は、フレームごとにビーコンを送信する通信インタフェースである。より詳細には、送信部210は、第1の種別のデータをアクティブ期間に送信する。また、決定部206により短縮して決定されたアクティブ期間の長さに対応する情報を含むビーコンである第1のビーコンを送信する。さらに、第2の種別のデータを第1のビーコンが送信されたフレーム以後のフレームに含まれる優先データ期間に送信する。
より好ましくは、送信部210は、第2の種別のデータが生成されたフレームの次のフレームにおいて第1のビーコンを送信してもよい。その後、第1のビーコンが送信されたフレームと同一のフレームに含まれる優先データ期間に第2の種別のデータを送信してもよい。
なお、送信部210の具体的な実装としては、無線通信インタフェースであれば、任意の通信インタフェースが使用できる。例えば、IEEE802.15.4用の通信インタフェース、無線LAN用の通信インタフェースなどが考えられる。なお、本実施の形態において、ビーコンの送信は、全ての通信端末装置300へのブロードキャストとして行われる。
選択部212は、複数のフレームの中から、優先データを送信すべきフレームを選択する。例えば、通信端末装置300との無線通信における電波強度が一時的に弱くなっている場合には、生成した優先データに許容される遅延時間に余裕がある場合に限って、優先データを送信するフレームを遅らせるよう選択してもよい。また、複数の優先データを生成した場合においては、許容される遅延時間がより短い優先データをより早く送信させるよう、フレームを選択してもよい。
なお、無線通信システム100は、選択部212を備えなくてもよい。例えば、無線通信システム100は、できる限り早く優先データを送信することでも同様の発明の効果を奏する。
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態に係る通信端末装置300の構成について説明する。
図4は、本実施の形態に係る通信端末装置300の機能ブロックの構成を示す図である。
図4に示されるように、通信端末装置300は、受信部302と、制御部304と、優先データ処理部306と、通常データ処理部308と、ビーコン解析部310とを備える。
通信端末装置300は、複数の期間のそれぞれであるフレームに含まれるアクティブ期間中に、制御局装置200と通信端末装置300との間で第1の種別のデータを無線通信する無線通信システム100における通信端末装置である。
受信部302は、制御局装置200からビーコンを受信する通信インタフェースである。具体的には、制御局装置200が備える送信部210と同じ通信インタフェースを使用することが考えられる。
制御部304は、受信したビーコンに対応するアクティブ期間と、通信端末装置300が受信すべき期間としてフレームごとに事前に定められた期間である優先データ期間とが同一のフレームにおいて重ならない場合には、当該優先データ期間において、受信部302に受信させる。より好ましくは、制御部304は、当該優先データ期間の間、常に受信部302を受信状態とすることが好ましい。
優先データ処理部306は、受信した優先データが表す指示に基づいた処理を行う。例えば、優先データが前述のピークカット制御のための制御信号である場合、優先データ処理部306は、通信端末装置300が使用する電力消費量を抑える処理を行う。
通常データ処理部308は、受信した通常データが表す指示に基づいた処理を行う。例えば、通常データが、通信端末装置300の電力消費量を制御局装置200へ送信するよう指示するコマンドであった場合、通常データ処理部308は、所定期間における電力消費量を取得し、制御局装置200へ送信する。
ビーコン解析部310は、ビーコンに含まれる情報を解析することにより、フレームごとに、ビーコン周期の長さ及びアクティブ期間の終了時刻等を取得する。
なお、通信端末装置300は、優先データ処理部306、通常データ処理部308、及びビーコン解析部310を備えなくてもよい。
例えば、優先データの処理を、通信端末装置300の外部装置であるデータ処理装置(図示なし)が行ってもよい。同様に、通常データの処理を、通信端末装置300の外部装置であるデータ処理装置(図示なし)が行ってもよい。また、通信端末装置300の外部装置である解析装置(図示なし)がビーコンを解析し、その結果を通信端末装置300へ送信してもよい。
したがって、通信端末装置300は、優先データ処理部306、通常データ処理部308、及びビーコン解析部310を備えなくても、同様の発明の効果を奏する。
次に、優先データが送信される際の処理の概要を説明する。
図5は、本実施の形態に係る制御局装置200から通信端末装置300へ優先データが送信される際のフレームに含まれる期間の構成を示す。説明のため、制御局装置200及び通信端末装置300のそれぞれについて、図5に示される2つのフレームのうち、左側のフレームを第1フレームとよび、右側のフレームを第2フレームとよぶ。
まず、図5の(A)を参照して、第1フレームの最後に、制御局装置200が優先データを生成したとする。前述したように、優先データには遅延許容値が設定されているため、パケットの衝突が生じる可能性の低い優先データ期間に送信すべきである。しかし、第1フレームにおいて、制御局装置200と通信端末装置300との間で同期されているアクティブ期間は、優先データ期間と完全に重なっている。図5の(A)及び(B)に示される第1フレームは、通信端末装置300が優先データ期間も通信機能をOFFにできるため、省電力性能を実現することができるという利点を有する。
これに対して、制御局装置200は第2フレームのアクティブ期間を、優先データ期間と重ならないように、第1フレームのアクティブ期間よりも短縮して決定する。その後、決定したアクティブ期間の長さを指定したビーコンを第2フレームの最初に送信する。その結果、図5の(A)に示される制御局装置200の第2フレームのアクティブ期間、及び、図5の(B)に示される通信端末装置300の第2フレームのアクティブ期間のいずれもが、第1フレームのアクティブ期間よりも短縮する。これにより、第2フレームにおいては、優先データ期間とアクティブ期間とが重なる部分がなくなる。その結果、アクティブ期間に重なっていた優先データ期間が現れる。
図5の(A)及び(B)に示される第2フレームは、現れた優先データ期間に制御局装置200が優先データを送信することにより、通信の低遅延化を実現することができるという利点を有する。また、アクティブ期間及び優先データ期間以外は、通信機能をOFFにできるため、省電力性能を実現することもできる。
本実施の形態に係る制御局装置200及び通信端末装置300は、このように図5の(A)及び(B)に示される第1フレームと第2フレームとを動的に使い分けることで、省電力性能と通信の低遅延化との両立を図ることが可能である。
次に、制御局装置200の処理の流れを説明する。
図6は、本実施の形態に係る制御局装置200が行う処理の流れを示すフローチャートである。
まず、優先データ生成部204は、生成すべき優先データの有無を判断する(S202)。ここで、生成すべき優先データがないと判断した場合には(S202でNo)、ビーコン生成部208は事前に定められた長さのアクティブ期間を含むビーコンを生成する。その後、送信部210は、生成されたビーコンを送信する(S204)。
一方、優先データ生成部204は、生成すべき優先データがあると判断した場合には(S202でYes)、優先データを生成する。その後、決定部206は、優先データ期間と重ならないようにアクティブ期間の長さを短縮して決定する(S206)。
次に、ビーコン生成部208は、決定されたアクティブ期間の長さが指定されたビーコンを生成する。その後、送信部210は生成されたビーコンを送信する(S208)。
なお、制御局装置200は、生成した優先データを必ず優先データ期間に送信することが好ましい。仮に、優先データのうち、一部の優先データを優先データ期間に送信し、他の優先データをアクティブ期間に送信した場合であっても、全ての優先データをアクティブ期間に送信する場合よりは、低遅延化が実現する。しかし、生成した優先データを必ず優先データ期間に送信する方が、より低遅延化を進めることができるためである。この場合における制御局装置200が行う処理の流れを、図7を参照して説明する。
図7は、本実施の形態に係る制御局装置200が行う処理の流れを示す第2のフローチャートである。なお、図6と同じ処理については同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
図7に示されるステップS210において、送信部210は生成した優先データを、アクティブ期間を短縮した後の優先データ期間に送信する。より詳細には、送信部210は、アクティブ期間が短縮されたフレームと同一のフレームに含まれる優先データ期間に、優先データを送信することが好ましい。これにより、優先データ送信時における低遅延化をより確実に実現することができるためである。
次に、図8を参照して、無線通信システム100の省電力性能について、より詳細に説明する。
図8は、本実施の形態に係る制御局装置200及び通信端末装置300が有する無線通信機能への電源供給状態の一例を示す図である。図8には、制御局装置200及び通信端末装置300のそれぞれについて、ウェイク及びスリープの2つの状態が示されている。ウェイク状態とは、無線通信機能の電源がONである状態である。スリープ状態とは、無線通信機能の電源がOFFである状態である。
制御局装置200及び通信端末装置300はそれぞれ無線通信をする必要があると判断する場合には、無線通信機能の電源を必ずONにしてウェイク状態になる。例えば、ビーコン期間において、制御局装置200は、ビーコンを送信するために無線通信機能の電源をONにして、ウェイク状態になる。また、ビーコン期間において、通信端末装置300は、ビーコンを受信するために無線通信機能の電源をONにして、ウェイク状態になる。
一方、制御局装置200及び通信端末装置300はそれぞれ無線通信をする必要がないと判断した場合には、無線通信機能の電源をOFFにしてスリープ状態になる。例えば、ビーコンに含まれる情報から、自分宛の通常データが送信されることを知った通信端末装置300は、無線通信機能の電源をONにしてウェイク状態になる。しかし、それ以外の通信端末装置300は、無線通信機能の電源をOFFにしてスリープ状態になることができる。また、非アクティブ期間中など、通信の予定がない制御局装置200は、無線通信機能の電源をOFFにしてスリープ状態になることができる。すなわち、無線通信を行わない制御局装置200及び通信端末装置300が、無線通信機能の電源をOFFにしてもよい期間において、スリープ状態となることができる。なお、制御局装置200及び通信端末装置300それぞれは、無線通信する必要がない場合であっても、必ずしも無線通信機能の電源をOFFにしたスリープ状態にしなくてもよい。図8では、ウェイク状態でなければならない期間以外はスリープ状態になっている例を示している。
図8に示されるように、制御局装置200及び通信端末装置300はビーコン期間及び優先データ期間においてウェイク状態となる。また、制御局装置200及び通信端末装置300は、非アクティブ期間においてスリープ状態となってもよい。
また、制御局装置200は、アクティブ期間もウェイク状態となる。通信端末装置300から自分宛のデータが送信される可能性が常にあるためである。一方、通信端末装置300は、アクティブ期間においてスリープ状態となってもよい。無線通信を行う必要がない場合には、無線通信機能の電源をONにしておく必要がないためである。ここで、制御局装置200及び通信端末装置300は、優先データ期間とアクティブ期間とが重なった期間をアクティブ期間と判断する。したがって、優先データ期間とアクティブ期間とが重なった期間において、制御局装置200はウェイク状態となる。一方、通信端末装置300はスリープ状態となってもよい。
制御局装置200及び通信端末装置300の電源供給状態として、ウェイク及びスリープの2つの状態を設定することにより、無線通信システム100が備える制御局装置200及び通信端末装置300は、無線通信機能の電源をOFFにする期間を作ることができる。その結果、省電力性能を実現することができる。
以上述べたように、本実施の形態に係る制御局装置200によると、優先データを生成した場合には、事前に定められた優先データ期間とアクティブ期間とが重ならないようにアクティブ期間を短縮する。ここで、優先データ期間においては、制御局装置200以外は受信処理を行うことが求められている。したがって、制御局装置200が優先データのパケットを送信した場合において、通信端末装置300が送信した通常データのパケットと衝突する可能性は低下する。これにより、優先データを送信する場合において、低遅延化を実現することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る制御局装置、及び通信端末装置について説明する。本実施の形態においては、制御局装置と通信端末装置との間の通信路が複数のチャネルに分割されている。通信路を分割するための具体的な方法は、周波数分割、時分割、符号分割等、任意の方法が使用できる。以下の説明においては周波数分割を使用する。以下、図9を参照して詳細に説明する。
図9は、本実施の形態に係る無線通信システム100Aの構成を示す概念図である。
図9に示されるように、無線通信システム100Aは、制御局装置200Aと、通信端末装置322〜324とを有する。以後、本実施の形態に係る通信端末装置322〜324を総称して、通信端末装置300Aとよぶ。
図9には、無線通信の通信路を周波数分割することにより生成された2つのチャネルが示されている。制御局装置200と、通信端末装置322及び323とが通信に使用するチャネルがCh1である。また、制御局装置200と、通信端末装置324とが通信に使用するチャネルがCh2である。
本実施の形態に係る制御局装置200Aは、複数のチャネルを切り替えながら、対応するチャネルに割り当てられた通信端末装置300Aと無線通信を行う。
次に、図10を参照して、各チャネルにおいて行われる無線通信に用いられる通信期間の一例について説明する。
図10は、本実施の形態に係る制御局装置200Aと通信端末装置300Aとの間で行われる無線通信における繰り返しの単位時間であるフレームの詳細を、チャネルごとに説明する図である。
図10には、通信路を複数に周波数分割したそれぞれである、基本CH1、基本CH2、及び優先専用CHの3つのチャネルが示されている。基本CH1及び基本CH2は、通常データの送受信を行うためのチャネルである。また、優先専用CHは、優先データの送受信を行うためのチャネルである。具体的には、通信端末装置300Aは、事前に定められた優先データ期間には、優先専用CHにおいて受信処理を行う。好ましくは、通信端末装置300Aは、優先データ期間中は継続的に、優先専用CHにおいて受信処理のみを行ってもよい。
本実施の形態においては、無線通信システム100Aに含まれる通信端末装置300Aのそれぞれに対して、基本CH1及び基本CH2の少なくとも一方が割り当てられる。また、全ての通信端末装置300Aには、優先専用CHが割り当てられる。
以後、基本CH1及び基本CH2のそれぞれを第1のチャネルともよぶ。また、優先専用CHを第2のチャネルともよぶ。
図10に示されるように、基本CH1及び基本CH2のそれぞれは、当該チャネルを用いた無線通信における繰り返しの単位時間として複数のフレームを含む。各フレームは、当該チャネルにおいて送信されるビーコンにより区切られる。また、各フレームは、ビーコン周期と、ビーコン期間と、アクティブ期間と、非アクティブ期間とを含む。
また、複数の第1のチャネルのそれぞれに含まれる複数のフレームのそれぞれに対応付けて優先データ期間が事前に定められている。通信端末装置300Aは、優先データ期間中に、第2のチャネルにおいて受信状態となる。
なお、本実施の形態においては、第1のチャネルは、基本CH1及び基本CH2のいずれかである。しかし、第1のチャネルとして、より多くのチャネルを割り当ててもよい。例えば、通信路を基本CH1〜基本CH3の3つに分割し、それぞれを第1のチャネルとしてもよい。
なお、必ずしも優先専用CHを使用しなくてもよい。優先専用CHを使用しない場合の、チャネルごとのフレームの詳細を図11に示す。
図11に示されるように、基本CH1及び基本CH2のそれぞれに含まれるフレームごとに、優先データ期間が事前に定められている。優先データは、基本CH1及び基本CH2それぞれに含まれるフレームごとに、対応する優先データ期間において送信される。なお、優先専用CHを生成しない場合、ある基本CHにおいて優先データを送信可能なタイミングは、同一の基本CHにおける次回以降の優先データ期間に限られる。したがって、優先専用CHを使用する方が、より早く、全ての通信端末装置300へ優先データを送信することができる。
次に、図12を参照して、本実施の形態に係る制御局装置である制御局装置200Aの詳細な構成について説明する。
図12は、本実施の形態に係る制御局装置200Aの機能ブロックの構成を示す図である。なお、図3に示す実施の形態1に係る制御局装置200と同様の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図12に示されるように、本実施の形態に係る制御局装置200Aは、通常データ生成部202と、優先データ生成部204と、決定部206Aと、ビーコン生成部208Aと、送信部210Aと、選択部212Aと、チャネル設定部214と、台数記憶部216とを備える。
チャネル設定部214は、無線通信の通信路を、複数の第1のチャネルと、複数の第1のチャネルとは異なるチャネルであり第2の種別のデータを送受信するためのチャネルである第2のチャネルとに周波数領域において分割する。さらに、チャネル設定部214は、複数の通信端末装置のそれぞれへ、複数の第1のチャネルのうちの少なくとも1つと、第2のチャネルとを割り当てる。ここで、前述したとおり、複数の第1のチャネルのそれぞれは、当該チャネルを用いた無線通信における繰り返しの単位時間として複数のフレームを含んでいる。各フレームはビーコンによって区切られる。すなわち、チャネルごとに、あるビーコン期間の開始時刻から、次のビーコン期間の直前の時刻までが1つのフレームとなる。また、優先データ期間は、複数の第1のチャネルのそれぞれに含まれる複数のフレームのそれぞれに対応付けて事前に定められている。また、通信端末装置300Aは、優先データ期間中に、第2のチャネルにおいて受信状態となる。
選択部212Aは、複数の第1のチャネルのうち、割り当てられた通信端末装置の台数がより少ないチャネルを対象チャネルとして選択する。
決定部206Aは、優先データ生成部が第2の種別のデータを生成した場合には、対象チャネルに含まれる複数のフレームのうちの少なくとも1つである第1のフレームに含まれるアクティブ期間の長さを、当該第1のフレームに対応付けられた優先データ期間と重ならないように、アクティブ期間の長さとして事前に定められた長さより短縮して決定する。
ビーコン生成部208Aは、複数の第1のチャネルのそれぞれに含まれる複数のフレームのそれぞれごとに、当該フレームに含まれるアクティブ期間の長さに対応する情報を含むビーコンを生成する。また、ビーコン生成部208Aは、決定部206Aにより短縮して決定されたアクティブ期間の長さに対応する情報を含むビーコンである第2のビーコンを生成する。
なお、ビーコン生成部208Aは、チャネル設定部214により通信端末装置へチャネルが割り当てられた場合には、その割り当て結果を示す情報を含むビーコンを生成してもよい。
送信部210Aは、第1のフレームにおいて第2のビーコンを送信する。さらに、当該第1のフレームに対応付けられた優先データ期間に、第2のチャネルにおいて第2の種別のデータを送信する。
台数記憶部216は、複数の第1のチャネルそれぞれごとに、何台の通信端末装置が割り当てられているかを記憶するための記憶部である。チャネル設定部214は、複数の通信端末装置のそれぞれへ第1のチャネルを割り当てたのち、割り当てた結果を台数記憶部216に記憶させる。選択部212Aは、台数記憶部216を参照することにより、チャネルに割り当てられた通信端末装置の台数を取得できる。
なお、制御局装置200Aは、台数記憶部216を備えていなくてもよい。例えば、選択部212Aが、チャネル設定部214から直接、チャネルごとの通信端末装置の割り当てを示す情報を取得することによっても、同様の発明の効果を奏する。
また、図11に示したように第2のチャネルを使用しない場合には、チャネル設定部214は、無線通信の通信路を複数の第1のチャネルへ分割し、複数の通信端末装置のそれぞれへ、複数の第1のチャネルのうちの少なくとも1つを割り当てる。また、送信部210Aは、第1のフレームにおいて第2のビーコンを送信する。さらに、送信部210Aは、第1のフレームに対応付けられた優先データ期間に、複数の第1のチャネルのうち第1のフレームを含むチャネルにおいて第2の種別のデータを送信する。
次に、図13を参照して、本実施の形態に係る通信端末装置である通信端末装置300Aの詳細な構成について説明する。
図13は、本実施の形態に係る通信端末装置300Aの機能ブロックの構成を示す図である。なお、図4に示す実施の形態1に係る通信端末装置300と同様の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図13に示されるように、通信端末装置300Aは、受信部302と、制御部304と、優先データ処理部306と、通常データ処理部308と、ビーコン解析部310と、チャネル設定部312とを備える。
チャネル設定部312は、フレームのそれぞれを、第1の種別のデータを無線通信するための第1のチャネルと、第2の種別のデータを受信するための第2のチャネルとへ周波数領域において分割する。なお、第1のチャネルは、当該チャネルを用いた無線通信における繰り返しの単位時間として複数のフレームを含む。また、チャネル設定部312は、アクティブ期間中は、受信部302が使用する周波数を第1のチャネルへ設定する。さらに、同一フレームにおいてアクティブ期間と重ならない優先データ期間中は、受信部302が使用する周波数を第2のチャネルへ設定する。したがって、通信端末装置300Aは、優先データ期間中は、第2のチャネルにおいて受信する。なお、通信端末装置300Aは、優先データ期間中は、第2のチャネルにおいて受信状態を継続することがより好ましい。
次に、図14〜図19を参照して、以上述べた制御局装置200Aと通信端末装置300Aとの間で行われる通信のタイミングについて、より具体的に説明する。
図14は、本実施の形態における制御局装置200Aと通信端末装置322との間の通信期間の詳細を説明する第1の図である。
図14の(A)に示されるように、制御局装置200Aが備えるチャネル設定部214は、通信路を、基本CH1、基本CH2、及び優先専用CHの3つのチャネルに分割している。基本CH1及び基本CH2のそれぞれは、前述した第1のチャネルに相当する。優先専用CHは、前述した第2のチャネルに相当する。本実施の形態においては、3つのチャネルのそれぞれが異なる周波数に対応するように、通信路がチャネル設定部214によって周波数分割されているものとする。
基本CH1及び基本CH2のそれぞれは、複数のフレームを含む。なお、チャネルがフレームを「含む」とは、当該チャネルを用いた無線通信の通信期間が、当該無線通信における繰り返しの単位時間であるフレームを含むことを意味する。また、基本CH1及び基本CH2のそれぞれに含まれる各フレームには、ビーコン期間、アクティブ期間、非アクティブ期間の順に期間が設定されている。
また、基本CH1及び基本CH2のそれぞれに含まれる複数のフレームのそれぞれに対応付けて優先データ期間が事前に定められている。制御局装置200A及び通信端末装置322は、優先データ期間において優先専用CHを使用して優先データの無線通信を行う。
図14の(B)は、通信端末装置300Aのうち、基本CH1と優先専用CHとが割り当てられた通信端末装置である通信端末装置322が行う無線通信における通信期間の詳細を説明する図である。
ここで、通信端末装置322は優先データ期間には優先専用CHにおいて受信処理を行う。しかし、優先データ期間と、通信端末装置322に割り当てられたチャネルである基本CH1に含まれるフレームのアクティブ期間とが重なる場合、通信端末装置322はアクティブ期間を優先する。したがって、通信端末装置322は、当該優先データ期間中もアクティブ期間が継続しているものと判断する。その結果、例えばステップS144として示すように、制御局装置200から通信端末装置322へアクティブ期間と重なった優先データ期間において優先データが送信された場合、優先データの無線通信における低遅延化は実現しない。
したがって、制御局装置200Aは、通信端末装置322に割り当てられたチャネルに含まれるフレームの非アクティブ期間であり、かつ、優先データ期間である期間に、通信端末装置322へ優先データを送信する必要がある。
しかし、例えば、制御局装置200AのCPU(Central Processing Unit)の性能が十分ではない場合などには、優先データを送信すべき上記の適切な期間に制御局装置200Aが優先データを送信できない事態が生じうる。例えば、図14の(A)に示される例では、基本CH1に含まれるフレームの非アクティブ期間は、基本CH2に含まれるフレームのアクティブ期間となっている。この場合、基本CH2に含まれるフレームのアクティブ期間における無線通信処理によって、基本CH1が非アクティブ期間であったとしても、制御局装置200AのCPU時間が占有される事態が生じうる。この場合、制御局装置200Aは、基本CH1に含まれるフレームの非アクティブ期間に、優先データを送信することができない。その結果、制御局装置200Aは、ステップS142として示す適切な期間に優先データを送信すること(S142)ができない。したがって、優先データの無線通信における低遅延化を実現できない。
この問題を解決するために、本実施の形態における制御局装置200Aは、優先データ期間と重ならないようにアクティブ期間の長さを短縮する。その際、選択部212Aは、各チャネルに割り当てられた通信端末装置300Aの台数に基づいて、基本CH1及び基本CH2のうち、いずれのチャネルにおけるアクティブ期間を短縮するかを決定する。以下、より詳細に述べる。
図15は、無線通信システム100Aにおいて、チャネルごとに割り当てられた通信端末装置300の台数の一例を示す。ここでは、基本CH1に割り当てられた通信端末装置300Aの台数が10台である。また、基本CH2に割り当てられた通信端末装置300Aの台数が5台である。なお、以後、チャネルに割り当てられた通信端末装置300Aの台数のことを、収容端末台数ともいう。
この無線通信システム100Aにおいて、選択部212Aは、収容端末台数がより少ない基本CH2に含まれるフレーム中のアクティブ期間を短縮するように決定する。なぜなら、アクティブ期間を短縮することにより、当該フレーム内において送受信しきれない通常データが発生するおそれがある。その結果、通常データの送受信における遅延が発生しうる。こうした遅延が発生しうるフレームの数を最小限に抑えるために、選択部212Aは、収容端末台数が少ないチャネルを、優先的にアクティブ期間を短縮するチャネルとして選択する。
図16は、本実施の形態における制御局装置200Aと通信端末装置322との間の通信期間の詳細を説明する第2の図である。図16において、基本CH1及び基本CH2の収容端末台数は、図15に示したとおりである。
ここで図16の(A)に示されるように、時刻t1に優先データが生成されたとする。このとき、基本CH2の収容端末台数は5台であるため、基本CH1の収容端末台数である10台よりも少ない。したがって、選択部212Aはアクティブ期間を短縮すべきチャネルとして基本CH2を選択する。その後、決定部206Aは、基本CH2に含まれるフレームのアクティブ期間を短縮するよう決定する。具体的には、時刻t2から開始されるフレームのアクティブ期間の終了時刻が、当該フレームに対応する優先データ期間の開始時刻よりも早くなるように短縮して決定する。より具体的には、アクティブ期間の終了時刻を時刻t3に決定する。その後、制御局装置200Aは、時刻t4に、優先専用CHにおいて優先データを送信する。ここで、時刻t4は、基本CH1及び基本CH2における非アクティブ期間に含まれ、かつ、優先専用CHにおける優先データ期間に含まれる時刻である。その結果、無線通信システム100Aは、優先データの送信における低遅延化を実現することができる。
図17は、図16に示される制御局装置200A及び通信端末装置322それぞれが有する無線通信機能への電源供給状態の一例を示す図である。より詳細には、図17の(A)は、制御局装置200Aが有する無線通信機能への電源供給状態の一例を示す。また、図17の(B)は、通信端末装置322が有する無線通信機能への電源供給状態の一例を示す。図17の(C)は、通信端末装置324が有する無線通信機能への電源供給状態の一例を示す。なお、図17に示されるウェイク及びスリープは、図8に示されるウェイク及びスリープと同じ意味であるため、説明を省略する。
図17の(A)に示されるように、制御局装置200Aは、基本CH1の非アクティブ期間と、基本CH2の非アクティブ期間と、優先専用CHの優先データ期間以外の期間とが重なった期間にのみ、制御局装置200Aはスリープ状態となることができる。それ以外の期間において、制御局装置200Aはウェイク状態となる。
また、図17の(B)に示されるように、通信端末装置322は、基本CH1のビーコン期間においてウェイク状態となる。さらに、基本CH1の非アクティブ期間と、優先専用CHの優先データ期間とが重なった期間にも、ウェイク状態となる。それ以外の期間において、通信端末装置322はスリープ状態となってもよい。
また、図17の(C)に示されるように、通信端末装置324は、基本CH2のビーコン期間においてウェイク状態となる。さらに、基本CH2の非アクティブ期間と、優先専用CHの優先データ期間とが重なった期間にも、ウェイク状態となる。それ以外の期間において、通信端末装置324はスリープ状態となってもよい。
次に、図18及び図19を参照して、基本CH2の収容端末台数が基本CH1の収容端末台数よりも多い場合について説明する。
図18は、無線通信システム100Aにおいて、チャネルごとに割り当てられた通信端末装置300の台数の他の一例を示す。ここでは、図18に示されるように、基本CH1に割り当てられた通信端末装置300Aの台数が5台である。又は、基本CH2に割り当てられた通信端末装置300Aの台数が30台である。
図19は、本実施の形態における制御局装置200Aと通信端末装置322との間の通信期間の詳細を説明する第3の図である。図19において、基本CH1及び基本CH2の収容端末台数は、図18に示したとおりである。
ここで、図19の(A)に示されるように、時刻t1に優先データが生成されたとする。このとき、基本CH1の収容端末台数は5台であるため、基本CH2の収容端末台数である30台よりも少ない。したがって、選択部212Aはアクティブ期間を短縮すべきチャネルとして、基本CH1を選択する。その後、決定部206Aは、基本CH1に含まれるアクティブ期間を短縮するように決定する。具体的には、時刻t2から開始されるフレームのアクティブ期間の終了時刻が、当該フレームに対応する優先データ期間の開始時刻よりも早くなるように短縮して決定する。より具体的には、アクティブ期間の終了時刻を時刻t3に決定する。その後、制御局装置200Aは、時刻t4に、優先専用CHにおいて優先データを送信する。ここで、時刻t4は、基本CH1及び基本CH2における非アクティブ期間に含まれ、かつ、優先専用CHにおける優先データ期間に含まれる時刻である。したがって、無線通信システム100Aは、優先データの送信における低遅延化を実現することができる。
なお、図16及び図19を参照した説明において、選択部212Aは、チャネルごとの収容端末台数のみを基準に、アクティブ期間を短縮すべきチャネルを選択した。しかし、優先データに許容される遅延時間が短い場合、収容端末台数に関わらず、なるべく早く優先データを送信した方が好ましい。例えば、図19を参照して、時刻t1において生成された優先データの遅延許容値が小さく、時刻t4に送信したのでは遅延許容値を満たさない場合が考えられる。この場合、選択部212Aは、たとえ基本CH1の収容端末台数がより少なくとも、基本CH2を対象チャネルとして選択する方が好ましい。このように、チャネルごとの収容端末台数と優先データごとの遅延許容値とに基づいて、アクティブ期間を短縮すべきチャネルを選択する場合の、選択部212Aの処理の流れを、図20を参照して説明する。
図20は、本実施の形態における選択部212A及び決定部206Aの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、優先データ生成部204によって優先データが生成されない間(S220でNo)、ビーコン生成部208Aは、事前に定められたアクティブ期間の長さを指定してビーコンを生成する。生成されたビーコンは、送信部210Aによって送信される(S221)。
一方、優先データ生成部204によって優先データが生成された場合(S220でYes)、選択部212Aは次の優先データ期間に当該優先データを送信すべきか否かを判定する(S222)。具体的には、次の次の優先データ期間に優先データを送信した場合の遅延時間が、優先データに設定されている遅延許容値を超えるか否かを判定する。より具体的には、図19を参照して、時刻t1に生成された優先データに設定された遅延許容値が、t4−t1よりも大きいか否かを判定する。もし、遅延許容値がt4−t1よりも大きい場合には、次の次の優先データ期間に優先データを送信したとしても、遅延時間が遅延許容値を超えないことを意味する。したがって、選択部212Aは、次の優先データ期間に優先データを送信しなくてもよいと判定する(S222でNo)。一方、遅延許容値がt4−t1よりも小さい場合には、選択部212Aは次の優先データ期間に優先データを送信すべきであると判定する(S222でYes)。
選択部212Aが、次の優先データ期間に優先データを送信すべきであると判定した場合(S222でYes)、決定部206Aは、次のアクティブ期間の長さを、優先データ期間と重ならないように短縮して決定する(S230)。
一方、選択部212Aが、次の優先データ期間に優先データを送信しなくてもよいと判定した場合(S222でNo)、選択部212Aはチャネルごとの収容端末台数を参照する(S224)。チャネルごとの収容端末台数は、例えば台数記憶部216から取得してもよく、チャネル設定部214から取得してもよい。その後、選択部212Aは、次にビーコンが送信されるチャネルの収容端末台数が、次の次のビーコンが送信されるチャネルの収容端末台数よりも多いか否かを判定する(S226)。例えば、図19を参照して、時刻t1で優先データが生成された場合、選択部212Aは、時刻t6に次のビーコンが送信される基本CH2の収容端末台数が、時刻t2に次の次のビーコンが送信される基本CH1の収容端末台数よりも多いか否かを判定する(S226)。
ここで、次にビーコンが送信されるチャネルの収容端末台数が、次の次のビーコンが送信されるチャネルの収容端末台数よりも多い場合(S226でYes)、選択部212Aは、次の次のビーコンが送信されるチャネルを対象チャネルとして選択する。その後、決定部206Aは、次の次のビーコンが送信されるチャネルにおけるアクティブ期間の長さを短縮して決定する(S228)。一方、次にビーコンが送信されるチャネルの収容端末台数が、次の次のビーコンが送信されるチャネルの収容端末台数よりも多くはない場合(S226でNo)、選択部212Aは、次にビーコンが送信されるチャネルを対象チャネルとして選択する。その後、決定部206Aは次にビーコンが送信されるチャネルにおけるアクティブ期間の長さを事前に定められた長さより短縮して決定する(S230)。
次に、決定部206Aにより短縮して決定されたアクティブ期間の長さを指定して、ビーコン生成部208Aはビーコンを生成する。その後、送信部210Aは、短縮して決定されたアクティブ期間を含むフレームに対応するチャネルに対して、生成されたビーコンを送信する(S232)。
最後に、送信部210Aは、優先データ期間に優先専用CHを介して優先データを送信する(S234)。このとき、次にビーコンが送信されるチャネルにおけるアクティブ期間を短縮するようステップS230において決定された場合には、次の優先データ期間に優先データを送信する。言いかえると、次にビーコンが送信されるフレームに対応付けられた優先データ期間に優先データを送信する。例えば、図16を参照すると、時刻t3に終了するようアクティブ期間が短縮された場合、送信部210Aは、時刻t2に送信されるビーコンを含むフレームに対応付けられた優先データ期間内である時刻t4に、優先専用CHにおいて優先データを送信する。
また、次の次のビーコンが送信されるチャネルにおけるアクティブ期間を短縮するようステップS228において決定された場合には、次の次の優先データ期間に優先データを送信する。言いかえると、次の次のビーコンを含むフレームに対応付けられた優先データ期間に優先データを送信する。例えば、図19を参照すると、時刻t3に終了するようアクティブ期間が短縮された場合、送信部210Aは、時刻t2に送信されるビーコンを含むフレームに対応付けられた優先データ期間内の時刻である時刻t4に、優先専用CHにおいて優先データを送信する。
なお、図20に示した処理の流れは、図16及び図19に示されるように、第1のチャネルとして基本CH1及び基本CH2の2つが使用される場合を前提としている。しかし、より多くのチャネルを第1のチャネルとして使用することもできる。
図21は、例えば第1のチャネルとして3つ以上のチャネルが含まれる場合における、選択部212A及び決定部206Aの処理の流れの一例を示す図である。なお、図20と同一の処理を行うステップについては同一の符号を付け、詳細な説明は省略する。
3つ以上のチャネルが第1のチャネルとして使用される場合、選択部212Aは、チャネルごとの収容端末台数を参照する(S224)。また、生成された優先データごとに設定される遅延許容値を参照する。
その後、選択部212Aは、遅延許容値と収容端末台数とに基づき、アクティブ期間を短縮するチャネルを選択する(S226)。具体的には、選択部212Aは、複数の第1のチャネルに含まれる複数のフレームのそれぞれについて、当該フレームに対応付けられた優先データ期間に第2の種別のデータを送信した場合に、当該第2の種別のデータの遅延時間が遅延許容値未満となるか否かを判定する。その後、遅延時間が遅延許容値未満となると判定されたフレームを含む第1のチャネルの中から、当該第1のチャネルに割り当てられた通信端末装置の台数がより少ないチャネルを対象チャネルとして選択する。
なお、選択部212Aは、割り当てられた通信端末装置の台数がより少ないチャネルとして、割り当てられた通信端末装置の台数が最少であるチャネルの他、割り当てられた通信端末装置の台数の多さの順位が事前に定められた順位以内であるチャネルを対象チャネルとして選択してもよい。また、割り当てられた通信端末装置の台数が事前に定められた台数以内であるチャネルを対象チャネルとして選択してもよい。
その後、決定部206Aは、対象チャネルに含まれるフレームのアクティブ期間が、当該フレームに対応付けられた優先データ期間と重ならないように、アクティブ期間を短縮する(S248)。
以上述べたように、本実施の形態に係る制御局装置200A及び通信端末装置300Aによると、選択部212は、チャネルごとの収容端末台数と、優先データに設定された遅延許容値とに基づき、優先データを送信するために短縮すべきアクティブ期間を決定する。その結果、通常データの送受信に与える影響を最小限に抑えつつ、優先データに設定された遅延許容値を満たすよう、優先データの送受信を行うことができる。
なお、本発明の実施の形態2に係る選択部212Aは、常に、優先データが生成されたチャネルの次のチャネルを対象チャネルとして選択してもよい。これによると、優先データの遅延時間を常に最小とすることができる。さらに、選択部212Aは、複数の第1のチャネル間における収容端末台数のばらつきが、事前に定められた閾値よりも小さい場合には、常に、優先データが生成されたチャネルの次のチャネルを対象チャネルとして選択してもよい。チャネル間で収容端末台数のばらつきが小さい場合には、どのチャネルを対象チャネルとしても、通常データの送受信に与える影響に大差は生じないためである。
なお、実施の形態1及び2で説明した制御局装置200、制御局装置200A、通信端末装置300、通信端末装置300A、無線通信システム100、及び無線通信システム100Aは、コンピュータにより実現することも可能である。以後、制御局装置200、制御局装置200A、通信端末装置300、通信端末装置300A、無線通信システム100、及び無線通信システム100Aを、制御局装置200等という。図22は、制御局装置200等を実現するコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
制御局装置200等は、コンピュータ34と、コンピュータ34に指示を与えるためのキーボード36及びマウス38と、コンピュータ34の演算結果等の情報を提示するためのディスプレイ32と、コンピュータ34で実行されるプログラムを読み取るためのCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)装置40及び通信モデム(図示せず)とを含む。
制御局装置200等が行う処理であるプログラムは、コンピュータで読取可能な媒体であるCD−ROM42に記憶され、CD−ROM装置40で読み取られる。又は、コンピュータネットワークを通じて通信モデム52で読み取られる。
コンピュータ34は、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)46と、RAM(Random Access Memory)48と、ハードディスク50と、通信モデム52と、バス54とを含む。
CPU44は、CD−ROM装置40又は通信モデム52を介して読み取られたプログラムを実行する。ROM46は、コンピュータ34の動作に必要なプログラムやデータを記憶する。RAM48は、プログラム実行時のパラメータなどのデータを記憶する。ハードディスク50は、プログラムやデータなどを記憶する。通信モデム52は、コンピュータネットワークを介して他のコンピュータとの通信を行う。バス54は、CPU44、ROM46、RAM48、ハードディスク50、通信モデム52、ディスプレイ32、キーボード36、マウス38及びCD−ROM装置40を相互に接続する。
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
また、本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよい。また、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc(登録商標))、USBメモリ、SDカードなどのメモリカード、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
また、上記プログラム又は上記デジタル信号を上記記録媒体に記録して移送することにより、又は上記プログラム又は上記デジタル信号を、上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の制御局装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、通信端末装置との間で無線通信される第1の種別のデータとは異なる第2の種別のデータを生成する優先データ生成ステップと、繰り返しの単位時間であるフレームに含まれる期間であって、当該フレームにおいて端末装置と通信するための期間であるアクティブ期間の長さを決定する決定ステップと、決定された前記アクティブ期間の長さに対応する情報を含む報知信号を生成する信号生成ステップと、前記端末装置との無線通信によって、前記フレームごとに、前記報知信号を前記端末装置に送信し、前記アクティブ期間中に前記第1の種別のデータを送信する送信ステップとを含み、前記決定ステップにおいては、前記優先データ生成ステップにおいて前記第2の種別のデータが生成された場合には、前記優先データ生成ステップにおいて前記第2の種別のデータが生成されなかった場合に対して短縮がなされた前記アクティブ期間の長さが決定され、当該短縮により前記アクティブ期間でなくなった期間内に前記第2の種別のデータを送信するための期間である優先データ期間が設定され、前記送信ステップにおいては、前記優先データ期間に前記第2の種別のデータが前記端末装置に送信される処理を実行させる。
また、このプログラムは、コンピュータに、繰り返しの単位時間であるフレームに含まれるアクティブ期間中に、制御装置と通信端末装置との間で第1の種別のデータを無線通信する無線通信システムにおける前記通信端末装置による通信方法であって、前記制御装置から、前記フレームに含まれる前記アクティブ期間の長さに対応する情報を含む報知信号を受信する受信ステップと、受信した前記報知信号に対応する前記アクティブ期間と、前記通信端末装置が受信すべき期間として前記フレームごとに事前に定められた期間である優先データ期間とが同一のフレームにおいて重ならない場合には、当該優先データ期間において、前記受信部に受信させる受信制御ステップとを含む処理を実行させる。