まず、アウトドライブ装置用操船システム100の概要及びその構成について説明する。
図1は、アウトドライブ装置用操船システム100の概要を示す図である。図2は、アウトドライブ装置用操船システム100の構成を示す図である。また、図3は、アウトドライブ装置10の構成を示す図である。なお、本アウトドライブ装置用操船システム100は、アウトドライブ装置10を二台備えた、いわゆる二軸推進方式の船舶で採用される。
アウトドライブ装置用操船システム100は、スロットルレバー2の操作に応じてエンジン5の運転状態を調節でき、ひいてはスクリュープロペラ15の回転速度を変更できる。また、アウトドライブ装置用操船システム100は、操舵ハンドル3や操船レバー4の操作に応じてアウトドライブ装置10の回動角度を変更できる。アウトドライブ装置用操船システム100は、上述した操船レバー(以降「ジョイスティック」という)4等のほか、アウトドライブ装置10と、操舵用油圧アクチュエータ20と、電磁比例弁30と、制御装置40と、で構成される。
アウトドライブ装置10は、スクリュープロペラ15が回転することによって船体1を推進させる。また、アウトドライブ装置10は、船体1の進行方向に対して回動することによって該船体1を旋回させる。アウトドライブ装置10は、入力軸11と、切換クラッチ12と、駆動軸13と、出力軸14と、スクリュープロペラ15と、で構成される。
入力軸11は、ユニバーサルジョイント6を介して伝達されたエンジン5の回転動力を切換クラッチ12に伝達する。入力軸11の一端部は、エンジン5の出力軸に取り付けられたユニバーサルジョイント6と連結され、その他端部は、アッパーハウジング10Uの内部に配置された切換クラッチ12と連結される。
切換クラッチ12は、入力軸11等を介して伝達されたエンジン5の回転動力を正回転方向又は逆回転方向に切換可能とする。切換クラッチ12は、ディスクプレートを備えるインナードラムと連結された正回転用ベベルギア、ならびに、逆回転用ベベルギアを有し、入力軸11に連結されたアウタードラムのプレッシャープレートをいずれのディスクプレートに押し付けるかによって回転方向の切り換えを行なう。
駆動軸13は、切換クラッチ12等を介して伝達されたエンジン5の回転動力を出力軸14に伝達する。駆動軸13の一端部に設けられたベベルギアは、切換クラッチ12に設けられた正回転用ベベルギア、ならびに、逆回転用ベベルギアと歯合され、その他端部に設けられたベベルギアは、ロアハウジング10Rの内部に配置された出力軸14のベベルギアと歯合される。
出力軸14は、駆動軸13等を介して伝達されたエンジン5の回転動力をスクリュープロペラ15に伝達する。出力軸14の一端部に設けられたベベルギアは、上述したように駆動軸13のベベルギアと歯合され、その他端部には、スクリュープロペラ15が取り付けられている。
スクリュープロペラ15は、回転することによって推進力を発生させる。スクリュープロペラ15は、出力軸14等を介して伝達されたエンジン5の回転動力によって駆動され、回転軸周りに配置された複数枚のブレード15aが周囲の水をかくことによって推進力を発生させる。
なお、アウトドライブ装置10は、船体1の船尾板(トランサムボード)に取り付けられたジンバルハウジング7に支持されている。具体的に説明すると、アウトドライブ装置10は、該アウトドライブ装置10のジンバルリング16が喫水線wlから略垂直方向となるようにジンバルハウジング7に支持されている。なお、ジンバルリング16とは、アウトドライブ装置10に取り付けられた略円筒形状の回動軸であり、アウトドライブ装置10は、該ジンバルリング16を中心として回動する。
ジンバルリング16の上方側端部には、船体1の内部へ延設された操舵アーム17が取り付けられている。そして、操舵アーム17は、ジンバルリング16を中心にアウトドライブ装置10を回動させる。なお、操舵アーム17は、操舵用油圧アクチュエータ20によって駆動される。操舵用油圧アクチュエータ20は、操舵ハンドル3やジョイスティック4の操作に応じて連動する電磁比例弁30によって駆動される。
次に、ジョイスティック4を操作した場合の船体1の挙動について説明する。
図4及び図5は、ジョイスティック4を操作した場合の船体1の挙動を示す図である。なお、図中に示す矢印Pの方向は、船体1の進行方向を示し、矢印Fの方向は、アウトドライブ装置10によって発生した推進力の方向を示している。なお、右舷側のアウトドライブ装置10を右舷側アウトドライブ装置10R、左舷側のアウトドライブ装置10を左舷側アウトドライブ装置10Lとする。
図4(A)に示すように、右舷側アウトドライブ装置10Rと左舷側アウトドライブ装置10Lの推進力を船体1の船首方向に対して平行とした場合、船体1は、各推進力の合力方向である前方へ進行することとなる。一方、図4(B)に示すように、右舷側アウトドライブ装置10Rと左舷側アウトドライブ装置10Lの推進力を船体1の船尾方向に対して平行とした場合、船体1は、各推進力の合力方向である後方へ進行することとなる。
また、図4(C)に示すように、右舷側アウトドライブ装置10Rの推進力を船体1の船首方向に対して左舷側斜め方向とし、左舷側アウトドライブ装置10Lの推進力を船体1の船首方向に対して平行とした場合、船体1は、各推進力の合力方向である左斜め方向へ進行する。一方、図4(D)に示すように、左舷側アウトドライブ装置10Lの推進力を船体1の船首方向に対して右舷側斜め方向とし、右舷側アウトドライブ装置10Rの推進力を船体1の船首方向に対して平行とした場合、船体1は、各推進力の合力方向である右斜め方向へ進行する。なお、このような操船は、船体1の回頭性が抑えられるため、船首方向を一定とした横滑機動を実現することが可能となる。
更に、図5(A)に示すように、右舷側アウトドライブ装置10Rの推進力を船体1の船首方向に対して左舷側斜め方向とし、左舷側アウトドライブ装置10Lの推進力を船体1の船尾方向に対して左舷側斜め方向とした場合、船体1は、各推進力の合力方向である左方向へ進行する。一方、図5(B)に示すように、左舷側アウトドライブ装置10Lの推進力を船体1の船首方向に対して右舷側斜め方向とし、右舷側アウトドライブ装置10Rの推進力を船体1の船尾方向に対して右舷側斜め方向とした場合、船体1は、各推進力の合力方向である右方向へ進行する。なお、このような操船は、船体1に回頭モーメントが発生しないため、船首方向を一定とした平行機動を実現することが可能となる。
そして、図5(C)に示すように、右舷側アウトドライブ装置10Rの推進力を船体1の船首方向に対して平行とし、左舷側アウトドライブ装置10Lの推進力を船体1の船尾方向に対して平行とした場合、船体1は、回頭モーメントの発生方向である左方向へ旋回する。一方、図5(D)に示すように、左舷側アウトドライブ装置10Lの推進力を船体1の船首方向に対して平行とし、右舷側アウトドライブ装置10Rの推進力を船体1の船尾方向に対して平行とした場合、船体1は、回頭モーメントの発生方向である右方向へ旋回する。なお、このような操船は、船体1に回頭モーメントのみが発生するため、船首方向を変更する旋回機動を実現することが可能となる。
次に、キャリブレーション作業について具体的に説明する。
キャリブレーション作業とは、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向に対して実際の進行方向を合わせる作業をいう。オペレータは、モニター8に表示されるキャリブレーション用画像に従ってキャリブレーション作業を行なうことができる。制御装置40は、キャリブレーション作業に関する情報をモニター8に表示できる(図1、図2参照)。
図6は、キャリブレーション用画像を示す図である。図6Aは、本実施形態に係るキャリブレーション用画像を示している。図6Bは、他の実施形態に係るキャリブレーション用画像を示している。
キャリブレーション用画像には、操作案内部81が設けられている。操作案内部81には、キャリブレーション作業の工程毎に操作方法が表示される。
また、キャリブレーション用画像には、ジョイスティック4の操作指示部82が設けられている。操作指示部82には、ジョイスティック4の倒すべき方向を指示するアイコン82aのほか、ジョイスティック4が倒された方向を表すアイコン82bが表示される。各アイコン82a・82bの詳細については後述する。
更に、キャリブレーション用画像には、その他の表示部83が設けられている。表示部83には、エンジン5の運転状態(回転速度)等が表示される。本アウトドライブ装置用操船システム100では、エンジン5を二台備えているので、各エンジン5の運転状態(回転速度)が表示される。
図7は、平行機動によるキャリブレーション作業の工程を示す図である。また、図8は、キャリブレーション用画像の変化を示す図である。
まず、ステップS101において、制御装置40は、ジョイスティック4の倒すべき方向をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4の倒すべき方向を示すのである。ここでは、平行機動によるキャリブレーション作業を行なうのであるから、ジョイスティック4を横に倒すようにアイコン82aが表示される(図8A、図8B参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4を迷うことなく操作することができる。
次に、ステップS102において、制御装置40は、ジョイスティック4が倒された方向をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4が倒された方向を示すのである。これは、ジョイスティック4が倒された方向を制御装置40が認識してアイコン82bを表示することによって実現される(図8A、図8B参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4が倒された方向を確認しながら操作することができる。
次に、ステップS103において、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正であるか否かを判断する。詳細に説明すると、制御装置40は、ジョイスティック4の倒された方向がステップS101で示された倒すべき方向と一致するか否かを判断する。そして、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正であると判断した場合にステップS104へ移行し、ジョイスティック4の操作が適正でないと判断した場合にステップS102へ戻す。
次に、ステップS104において、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正である旨をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4の操作が適正である旨を示すのである。本実施形態においては、ステップS102で示されたアイコン82bの色彩が赤色から緑色に変化することによって実現される。但し、例えば文字等で表示しても良く、これに限定するものではない。これにより、オペレータは、ジョイスティック4の操作が適正であることを認識できる。
次に、ステップS105において、制御装置40は、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されたか否かを判断する。制御装置40は、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されたと判断した場合に、アウトドライブ装置10の回動角度を固定する。つまり、制御装置40は、ジョイスティック4とアウトドライブ装置10の連動状態を一時的に解除するのである。なお、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されなかった場合は、ステップS104へ戻される。
次に、ステップS106において、制御装置40は、アウトドライブ装置10の回動角度の補正量を算出する。詳細に説明すると、制御装置40は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)からの情報に基づいて、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向(横方向)と実際の進行方向のズレを認識し、そのズレを解消するための補正量を算出する。
次に、ステップS107において、制御装置40は、ジョイスティック4の倒すべき方向をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4の倒すべき方向を示すのである。ここでは、ステップS106でアウトドライブ装置10の回動角度の補正量を算出したのであるから、この補正量を考慮したアイコン82aが表示される(図8C、図8D参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4を迷うことなく操作することができる。
次に、ステップS108において、制御装置40は、ジョイスティック4が倒された方向をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4が倒された方向を示すのである。これは、ジョイスティック4が倒された方向を制御装置40が認識してアイコン82bを表示することによって実現される(図8C、図8D参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4が倒された方向を確認しながら操作することができる。
次に、ステップS109において、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正であるか否かを判断する。詳細に説明すると、制御装置40は、ジョイスティック4の倒された方向がステップS107で示された倒すべき方向と一致するか否かを判断する。そして、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正であると判断した場合にステップS110へ移行し、ジョイスティック4の操作が適正でないと判断した場合にステップS108へ戻す。
次に、ステップS110において、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正である旨をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4の操作が適正である旨を示すのである。本実施形態においては、ステップS108で示されたアイコン82bの色彩が赤色から緑色に変化することによって実現される。但し、例えば文字等で表示しても良く、これに限定するものではない。これにより、オペレータは、ジョイスティック4の操作が適正であることを認識できる。
次に、ステップS111において、制御装置40は、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されたか否かを判断する。制御装置40は、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されたと判断した場合に、キャリブレーションを実行する。つまり、制御装置40は、ジョイスティック4が横方向に倒されると、ステップS110におけるアウトドライブ装置10の回動角度となるように設定するのである。
以上のように、モニター8は、ジョイスティック4の倒すべき方向を示すとともに(ステップS101及びステップS107参照)、該ジョイスティック4が示された方向に従って倒されれば、その操作が適正である旨を示す(ステップS104及びステップS110参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4を迷うことなく操作できるとともに、その操作が適正であることを認識できる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。
更に、詳細に説明すると、モニター8は、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向に対して実際の進行方向がズレている場合に、ズレを解消するように補正をしたジョイスティック4の倒すべき方向を示す(ステップS107参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向と実際の進行方向を正確に合わせることができる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。
以上が平行機動によるキャリブレーション作業である。本アウトドライブ装置用操船システム100は、平行機動によるキャリブレーション作業の後に、横滑機動によるキャリブレーション作業を行なう。
図9は、横滑機動によるキャリブレーション作業の工程を示す図である。また、図10は、キャリブレーション用画像の変化を示す図である。
まず、ステップS201において、制御装置40は、ジョイスティック4の倒すべき方向をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4の倒すべき方向を示すのである。ここでは、横滑機動によるキャリブレーション作業を行なうのであるから、ジョイスティック4を斜めに倒すようにアイコン82aが表示される(図10A、図10B参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4を迷うことなく操作することができる。
次に、ステップS202において、制御装置40は、ジョイスティック4が倒された方向をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4が倒された方向を示すのである。これは、ジョイスティック4が倒された方向を制御装置40が認識してアイコン82bを表示することによって実現される(図10A、図10B参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4が倒された方向を確認しながら操作することができる。
次に、ステップS203において、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正であるか否かを判断する。詳細に説明すると、制御装置40は、ジョイスティック4の倒された方向がステップS201で示された倒すべき方向と一致するか否かを判断する。そして、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正であると判断した場合にステップS204へ移行し、ジョイスティック4の操作が適正でないと判断した場合にステップS202へ戻す。
次に、ステップS204において、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正である旨をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4の操作が適正である旨を示すのである。本実施形態においては、ステップS202で示されたアイコン82bの色彩が赤色から緑色に変化することによって実現される。但し、例えば文字等で表示しても良く、これに限定するものではない。これにより、オペレータは、ジョイスティック4の操作が適正であることを認識できる。
次に、ステップS205において、制御装置40は、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されたか否かを判断する。制御装置40は、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されたと判断した場合に、アウトドライブ装置10の回動角度を固定する。つまり、制御装置40は、ジョイスティック4とアウトドライブ装置10の連動状態を一時的に解除するのである。なお、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されなかった場合は、ステップS204へ戻される。
次に、ステップS206において、制御装置40は、アウトドライブ装置10の回動角度の補正量を算出する。詳細に説明すると、制御装置40は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)からの情報に基づいて、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向(斜めの方向)と実際の進行方向のズレを認識し、そのズレを解消するための補正量を算出する。
次に、ステップS207において、制御装置40は、ジョイスティック4の倒すべき方向をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4の倒すべき方向を示すのである。ここでは、ステップS206でアウトドライブ装置10の回動角度の補正量を算出したのであるから、この補正量を考慮したアイコン82aが表示される(図10C、図10D参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4を迷うことなく操作することができる。
次に、ステップS208において、制御装置40は、ジョイスティック4が倒された方向をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4が倒された方向を示すのである。これは、ジョイスティック4が倒された方向を制御装置40が認識してアイコン82bを表示することによって実現される(図10C、図10D参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4が倒された方向を確認しながら操作することができる。
次に、ステップS209において、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正であるか否かを判断する。詳細に説明すると、制御装置40は、ジョイスティック4の倒された方向がステップS207で示された倒すべき方向と一致するか否かを判断する。そして、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正であると判断した場合にステップS210へ移行し、ジョイスティック4の操作が適正でないと判断した場合にステップS208へ戻す。
次に、ステップS210において、制御装置40は、ジョイスティック4の操作が適正である旨をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、ジョイスティック4の操作が適正である旨を示すのである。本実施形態においては、ステップS208で示されたアイコン82bの色彩が赤色から緑色に変化することによって実現される。但し、例えば文字等で表示しても良く、これに限定するものではない。これにより、オペレータは、ジョイスティック4の操作が適正であることを認識できる。
次に、ステップS211において、制御装置40は、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されたか否かを判断する。制御装置40は、ジョイスティック4が適正に操作された状態でRUNボタンが押されたと判断した場合に、キャリブレーションを実行する。つまり、制御装置40は、ジョイスティック4が斜め方向に倒されると、ステップS210におけるアウトドライブ装置10の回動角度となるように設定するのである。
以上のように、モニター8は、ジョイスティック4の倒すべき方向を示すとともに(ステップS201及びステップS207参照)、該ジョイスティック4が示された方向に従って倒されれば、その操作が適正である旨を示す(ステップS204及びステップS210参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4を迷うことなく操作できるとともに、その操作が適正であることを認識できる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。
更に、詳細に説明すると、モニター8は、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向に対して実際の進行方向がズレている場合に、ズレを解消するように補正をしたジョイスティック4の倒すべき方向を示す(ステップS207参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向と実際の進行方向を正確に合わせることができる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。
なお、アウトドライブ装置用操船システム100が全地球測位システムと連動していない場合は、オペレータがジョイスティック4を操作してアウトドライブ装置10の回動角度を補正するとしても良い。全地球測位システムと連動していない場合は、ステップS106やステップS206で説明したような補正量を算出できない。従って、ステップS107やステップS207で説明したような補正量を考慮したアイコン82aも表示できない。このため、制御装置40は、オペレータがジョイスティック4を操作してアウトドライブ装置10の回動角度を補正し、RUNボタンを押した場合に、キャリブレーションを実行するのである。
この場合、モニター8は、ジョイスティック4が倒された方向を示すとともに、該ジョイスティック4の倒された方向が予め設定された方向に合致すれば、その操作が適正である旨を示す。これにより、オペレータは、ジョイスティック4が倒された方向を確認しながら操作できるとともに、その操作が適正であることを認識できる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。
次に、他の実施形態に係るキャリブレーション作業について説明する。
図11は、平行機動によるキャリブレーション作業の工程を示す図である。また、図12は、キャリブレーション用画像の変化を示す図である。
ステップS301からステップS306は、上述したキャリブレーション作業と同様である。従って、かかる工程については、説明を省略する。
ステップS307において、制御装置40は、アウトドライブ装置10の回動角度を補正する。詳細に説明すると、制御装置40は、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向(横方向)と実際の進行方向のズレを解消するようにアウトドライブ装置10の回動方向を補正する。ここでは、ステップS306でアウトドライブ装置10の回動角度の補正量を算出したのであるから、この補正量に基づいてアウトドライブ装置10の回動方向を補正する。このとき、キャリブレーション用画像には、補正中である旨が表示される(図12C参照)。
次に、ステップS308において、制御装置40は、補正が完了した旨をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、補正が完了した旨を示すのである(図12D参照)。これにより、オペレータは、アウトドライブ装置10の回動方向の補正が完了したことを認識できる。
次に、ステップS309において、制御装置40は、RUNボタンが押されたか否かを判断する。制御装置40は、RUNボタンが押されたと判断した場合に、キャリブレーションを実行する。つまり、制御装置40は、ジョイスティック4が横方向に倒されると、ステップS308におけるアウトドライブ装置10の回動角度となるように設定するのである。
以上のように、モニター8は、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向に対して実際の進行方向がズレている場合に、ズレを解消するようにアウトドライブ装置10の回動方向を補正して(ステップS307参照)、その補正が完了した旨を示す(ステップS308参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向と実際の進行方向を正確に合わせることができる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。
以上が平行機動によるキャリブレーション作業である。上述したように、本アウトドライブ装置用操船システム100は、平行機動によるキャリブレーション作業の後に、横滑機動によるキャリブレーション作業を行なう。
図13は、横滑機動によるキャリブレーション作業の工程を示す図である。また、図14は、キャリブレーション用画像の変化を示す図である。
ステップS401からステップS406は、上述したキャリブレーション作業と同様である。従って、かかる工程については、説明を省略する。
ステップS407において、制御装置40は、アウトドライブ装置10の回動角度を補正する。詳細に説明すると、制御装置40は、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向(斜めの方向)と実際の進行方向のズレを解消するようにアウトドライブ装置10の回動方向を補正する。ここでは、ステップS406でアウトドライブ装置10の回動角度の補正量を算出したのであるから、この補正量に基づいてアウトドライブ装置10の回動方向を補正する。このとき、キャリブレーション用画像には、補正中である旨が表示される(図14C参照)。
次に、ステップS408において、制御装置40は、補正が完了した旨をモニター8に表示する。つまり、モニター8は、補正が完了した旨を示すのである(図14D参照)。これにより、オペレータは、アウトドライブ装置10の回動方向の補正が完了したことを認識できる。
次に、ステップS409において、制御装置40は、RUNボタンが押されたか否かを判断する。制御装置40は、RUNボタンが押されたと判断した場合に、キャリブレーションを実行する。つまり、制御装置40は、ジョイスティック4が斜め方向に倒されると、ステップS408におけるアウトドライブ装置10の回動角度となるように設定するのである。
以上のように、モニター8は、ジョイスティック4によって指示した船体の進行方向に対して実際の進行方向がズレている場合に、ズレを解消するようにアウトドライブ装置10の回動方向を補正して(ステップS407参照)、その補正が完了した旨を示す(ステップS408参照)。これにより、オペレータは、ジョイスティック4によって指示した船体1の進行方向と実際の進行方向を正確に合わせることができる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。
なお、本実施形態に係るキャリブレーション作業は、全地球測位システムと連動していることが前提となる。全地球測位システムと連動していない場合は、ステップS306やステップS406で説明したような補正量を算出できない。従って、ステップS307やステップS407で説明したようにアウトドライブ装置10の回動角度を補正できないからである。
次に、アイコン82aについて説明する。
図6Aに示すように、アイコン82aは、矢印形状で表されており、ジョイスティック4の倒すべき方向を指示する。このようなアイコン82aは、ジョイスティック4の倒すべき方向を明確に表現できるが、アイコン82aによって示された方向に対してジョイスティック4の倒された方向が完全に一致しなければ操作が適正であると判断されない。従って、オペレータは、ジョイスティック4を慎重に操作しなければならなかった。
その点、図6Bに示すようなアイコン82aは、ジョイスティック4の操作が簡単となる。即ち、このアイコン82aは、ジョイスティック4の倒すべき方向を該ジョイスティック4の支点を中心とした所定の角度の範囲で示すので、オペレータは、アイコン82aによって示された範囲内にジョイスティック4を倒せば良いのである。そして、ジョイスティック4が示された範囲に従って倒されれば、その操作が適正である旨を示すとすれば良い。
以上のように、モニター8は、ジョイスティック4の倒すべき方向を該ジョイスティック4の支点を中心とした所定の角度の範囲で示すとともに、該ジョイスティック4が示された範囲に従って倒されれば、その操作が適正である旨を示す。これにより、オペレータは、ジョイスティック4を慎重になりすぎることなく操作できるとともに、その操作が適正であることを認識できる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。
次に、本アウトドライブ装置用操船システム100の他の特徴点について説明する。
上述したように、キャリブレーション作業は、平行機動によるキャリブレーション作業の後に、横滑機動によるキャリブレーション作業を行なう。これは、キャリブレーション作業を行なうに際して、当然に知られた事項である。しかし、オペレータがキャリブレーション作業に不慣れである場合、順序を間違えてしまう恐れがある。従って、モニター8は、平行機動によるキャリブレーション用画像を表示した後に、横滑機動によるキャリブレーション用画像を表示するとしている。
以上のように、モニター8は、平行機動によるキャリブレーション用画像を表示した後に、横滑機動によるキャリブレーション用画像を表示する。これにより、オペレータは、キャリブレーション作業の順序を間違えることなく正しく行なえる。従って、キャリブレーション作業を容易に行なうことが可能となる。