JP5943635B2 - 記録装置及び記録方法 - Google Patents

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本発明は、プリントヘッドの動作を制御して印字する記録装置及び記録方法に関する。特にインクジェット方式の記録装置および記録方法に関する。
インクジェットプリンタの印刷品質においては、プリントヘッドから吐出される液滴の液適量や射出速度をいかに一定に保つかが重要である。液適量を一定にしないと、印刷結果の濃度が安定しないし、複数のインク色を用いて構成した色については、色相がずれてしまう。また射出速度を一定にしないと、往復印刷時に往路と復路でそれぞれ吐出される液滴が想定した地点に着弾せず、粒状感の悪化をもたらしてしまう。
液滴量や射出速度の変動要因としては、温度というパラメータが支配的である。吐出時のインクの振舞いを左右する大きな要素である粘度は、インクの温度によって大きく変わる。ここで、ある特定のプリントヘッドについて、インクの温度が変化したときに吐出する液滴を一定に、例えば13ピコリットルに、保つために与えるべきプリントヘッドに印加する駆動電圧の一例として、図4で示される関数が与えられる。これは、射出速度を例えば5メートル毎秒に保つための関数も同様である。しかし、液滴量を一定にする関数と、射出速度を一定にするための関数は必ずしも一致しない。すなわちこれら二つの特性を同時に一定にすることは難しく、図5に示すように各温度について、各々の関数の中間をとる関数を利用することが多い。
また、液適量や射出速度のばらつき要因としては、ほかに、プリントヘッドの個体差が挙げられる。プリントヘッドが液滴を吐出するアクチュエータであるピエゾ素子等は、駆動する際に同じ電圧を印加したとしても、そこから吐出される液滴は異なる素性を示すことが多い。これが、プリントヘッドの個体差である。これは、例えば液滴量を一定にする関数が、二つのプリントヘッド間によって、図6で示されるように乖離していることを意味する。このため、異なるプリントヘッド間のばらつきを吸収する手法として、ランク電圧と、温度関数という概念が用いられている。
ランク電圧とは、特定の条件において、あるプリントヘッドが定められた性能を発揮するために印加すべき駆動電圧値のことである。たとえば、固有のインクにおいて、インク温度25℃にて、液滴量を13ピコリットルにするための電圧値がそれである。ほかにも、この条件で射出速度を5メートル毎秒とするランク電圧も存在する。ランク電圧は、プリントヘッドの製造工程にて、出荷検査結果に基づき、付与される。
これに対し、温度関数とは、特定のランク電圧を有するプリントヘッドについて、液滴量ないしは射出速度を一定とする、横軸を温度、縦軸を駆動電圧とする関数である。例えば図5は、あるプリントヘッドにおいて、液滴量を一定にする温度関数と、射出速度を一定にする温度関数とを比較したものであるし、図6は、プリントヘッドAとプリントヘッドBについて、液滴量を一定にする温度関数を比較したものである。プリントヘッド毎に温度関数が存在することになるが、これはあくまで仮定の話であり、理論的にすべてのプリントヘッドについて温度関数が求まるわけではないし、製造工程にて全温度範囲を網羅する関数を構成する各ポイントを測定しているわけではない。あるプリントヘッドで確定するのは基準とするインク温度(これを基準温度と呼ぶ)で示される駆動電圧値、すなわちランク電圧のみであり、これだけが製造工程にて付与される。こうしなければ、プリントヘッドの製造工程の工数が膨大になってしまうからである。
温度関数に関して、複数のプリントヘッドの温度関数を平均的に集約したものを、基準温度関数と呼ぶ。これは、実験的に、実際に複数のプリントヘッドの温度関数を求め、平均したものである。この基準温度関数を求める際に使用するプリントヘッドの数は多ければ多い方が、より平均的な関数の形状が求まることになる。また、基準温度関数にて基準温度での駆動電圧値を、基準ランク電圧と呼ぶ。
以上で述べた、プリントヘッド固有のランク電圧、複数のプリントヘッドから平均的に求まる基準温度関数、そして基準ランク電圧から、すべてのプリントヘッドは液滴量ないしは射出速度を安定に保つべく駆動される。
例えば、図4に示す基準温度関数f(T)があったとする。基準温度25℃における基準ランク電圧はV0=f(25)=20Vである。
このとき、ランク電圧がV1=23Vのプリントヘッドに対して、任意の温度T℃における駆動電圧を算出するには、以下の要領による。
駆動電圧V=(V1/V0)×f(T)
たとえば、温度T=30℃においては、駆動電圧は、V=(23÷20)×f(30)=(23÷20)×15=17.25Vとなる。これは、基準ランク電圧と任意のプリントヘッド固有のランク電圧で、基準温度関数をそのヘッドに適当な値に補正することにほかならない。この様子を図7に示す。また、前述のように、液滴量一定の温度関数と、射出速度一定の温度関数は必ずしも一致しないため、それぞれの中間をとった駆動電圧を印加する。
このように、ランク電圧と、温度関数の概念を利用することで、液滴量や射出速度のばらつきを吸収し、一定範囲内の周囲環境の変化があったとしても、印刷品質を保つようにしている。
ところが、図8に示すような例において、不具合が生じる。これはプリントヘッドCに最適な温度関数と基準温度関数の顕著な傾きの違いに起因するものである。
プリントヘッドCの温度関数の傾きは急峻であるが、基準温度関数の傾きはなだらかである。プリントヘッドCのランク電圧を23Vとすると、基準温度関数から、プリントヘッドCの温度関数は図8で示されるとおりに類推される。しかし、実際にプリントヘッドCに最適な温度関数はより急峻な傾きを有している。これは、基準温度関数に集約される一般的なプリントヘッドの電圧感度と、プリントヘッドCの電圧感度が一致しないことに起因する。すなわち、プリントヘッドCの電圧感度は高く、より小さな駆動電圧の変化で、液適量ないしは射出速度が変化してしまうのである。よって、温度変化に応じて与える駆動電圧の変化も急峻になってしまう。しかし、基準温度関数から類推したプリントヘッドCの温度関数から駆動電圧を求めると、最適な温度関数との乖離が生じてしまう。例えば、30℃でプリントヘッドCに与えるべき駆動電圧は基準温度関数のそれより低いが、類推した結果では、高くなってしまっている。
これを解決するために、図9で示すような手法がある。これは、異なる温度、たとえば25℃と30℃において、液滴量ないしは射出速度を一定とするランク電圧を複数持つ手法である。
図9においては、25℃と30℃において、ランク電圧を有するため、プリントヘッドCの電圧感度はこの間において把握できる。この2点をとおり、関数の形状は基準温度関数に近くなるようなフィッティングを施すことで、プリントヘッドCに最適な温度関数が類推できるのである。すなわち、固有のランク電圧の数が多ければ多いほど、固有の温度関数に近づけることが出来る。それは、連続的に使用温度範囲内で液滴量ないしは射出速度を一定とする温度関数そのものである。しかし、プリントヘッドの製造工程にて、温度、駆動電圧をパラメータとして液滴量、射出速度を一定とする複数のランク電圧を求めることはきわめて困難であり、非現実的といえる。特に、温度を可変とし、それに伴う液滴の素性を測るには、温度の変化に対して十分な待機時間を必要としてしまうため、生産性の低下は著しい。また、仮にプリントヘッド固有の温度関数が製造工程にて測定できたとしても、これを格納するためのメモリをプリントヘッド内に実装する必要があり、プリントヘッドのコストアップをもたらしてしまう。
このほか、特開2005−343138号公報で示されるように、製造工程で温度そのものをパラメータとはせず、駆動電圧に応じた最適な駆動パルス幅を求め、記憶しておく手法がある。温度−駆動電圧値特性は事前に実験的に求められており、それとの相関から、プリントヘッド個別の温度−駆動パルス特性を類推する手法ではあるが、そもそも実験的に求めた温度−駆動電圧特性において、プリントヘッド間の電圧感度が考慮されていないため、大きな電圧感度のばらつきがあった場合に、最適な駆動パラメータを求めることはできない。
特開2005−34313号公報
プリントヘッドから吐出される液滴量ないしは射出速度を一定とするために、ランク電圧、および基準温度関数の概念を用い、任意のプリントヘッドの任意の温度環境にて求まる駆動電圧値は、その温度が基準温度から乖離した場合に誤差が拡大してしまうことがある。これは、固有のランク電圧はごく狭い温度範囲において、液滴量ないしは射出速度を一定とする駆動電圧値であるため、その近傍では温度関数の類推が適正であるが、温度の乖離に伴い誤差が拡大してしまうからである。
また、上記誤差の傾向は、プリントヘッド毎にさらにばらつきがある。これは、プリントヘッド毎の電圧感度の差、すなわち温度関数の傾きが異なることを意味している。これらの誤差があると、液滴量ないしは射出速度を、環境の変化に応じて一定に保てなくなってしまい、印刷品質が安定しない。
ヘッド個別に最適な温度関数を検査し、記憶することが確実だが、製造工程での工数が極端に大きくなってしまうこと、検査時のインク温度や環境温度を制御することが難しいこと、検査結果を記憶するメモリ容量が必要であること、などから、現実的でない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、印刷装置におけるプリントヘッドから吐出される液滴の液滴量ないしは射出速度を確実に一定とする制御方法を提供するものであり、ひいては印刷品質の向上に資するものである。
本発明の記録装置は、プリントヘッドを走査させながら記録媒体にインクを吐出し、前記記録媒体に画像を形成する記録装置において、前記プリントヘッドの駆動電圧と温度との関係であって、前記プリントヘッドと同種の複数のプリントヘッド夫々の第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と、第1の所定の温度と第2の所定の温度を含む所定の範囲の温度との関係であって所定の統計演算に基づき取得した基準温度関数と、前記基準温度関数の前記第1の所定の温度における駆動電圧である第1の基準ランク電圧と、前記複数のプリントヘッド夫々の前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴とは異なる第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧であって前記所定の統計演算に基づき取得した第2の基準ランク電圧と、前記複数のプリントヘッドの夫々の前記第1の所定の温度における前記第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧に前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記第1の基準ランク電圧との比の値とを掛けた電圧前記第2の基準ランク電圧で割った値である第1の電圧感度指数と、前記複数のプリントヘッドの夫々の前記第2の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧に前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記第1の基準ランク電圧との比の値とを掛けた電圧前記基準温度関数の前記第2の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧で割った値である第2の電圧感度指数との対応関係を示す電圧感度指数補正式と、前記プリントヘッドの前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧である第1のランク電圧と、前記プリントヘッドの前記第1の所定の温度における前記第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧である第2のランク電圧と、を記憶するメモリと、前記プリントヘッドの温度を計測する温度センサと、前記メモリに記憶されている前記第2のランク電圧と前記第2の基準ランク電圧と前記電圧感度指数補正式から前記第1の電圧感度指数を演算し、該演算により求めた該第1の電圧感度指数と前記第1のランク電圧と前記第1の基準ランク電圧と前記基準温度関数とに基づいて、前記プリントヘッドの前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記所定の範囲の温度との関係を推定する演算をし、該演算結果と前記センサで取得した温度に基づいて前記プリントヘッドの温度に対応する駆動電圧を演算する制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明の記録方法は、プリントヘッドを走査させながら記録媒体にインクを吐出し、前記記録媒体に画像を形成する記録装置の記録方法において、前記プリントヘッドの駆動電圧と温度との関係であって、前記プリントヘッドと同種の複数のプリントヘッド夫々の第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と、第1の所定の温度と第2の所定の温度を含む所定の範囲の温度との関係であって所定の統計演算に基づき取得した基準温度関数と、前記基準温度関数の前記第1の所定の温度における駆動電圧である第1の基準ランク電圧と、前記複数のプリントヘッド夫々の前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴とは異なる第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧であって前記所定の統計演算に基づき取得した第2の基準ランク電圧と、前記複数のプリントヘッドの夫々の前記第1の所定の温度における前記第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧に前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記第1の基準ランク電圧との比の値とを掛けた電圧前記第2の基準ランク電圧で割った値である第1の電圧感度指数と、前記複数のプリントヘッドの夫々の前記第2の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧に前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記第1の基準ランク電圧との比の値とを掛けた電圧前記基準温度関数の前記第2の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧で割った値である第2の電圧感度指数との対応関係を示す電圧感度指数補正式と、前記プリントヘッドの前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧である第1のランク電圧と、前記プリントヘッドの前記第1の所定の温度における前記第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧である第2のランク電圧と、を記憶するメモリと、前記プリントヘッドの温度を計測する温度センサと、を有し、前記メモリに記憶されている前記第2のランク電圧と前記第2の基準ランク電圧と前記電圧感度指数補正式から前記第1の電圧感度指数を演算する工程と、該演算により求めた該第1の電圧感度指数と前記第1のランク電圧と前記第1の基準ランク電圧と前記基準温度関数とに基づいて、前記プリントヘッドの前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記所定の範囲の温度との関係を推定する演算をする工程と、該演算結果と前記センサで取得した温度に基づいて前記プリントヘッドの温度に対応した駆動電圧を演算する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、任意のプリントヘッドに固有の電圧感度を、複数のランク電圧を用いることで類推でき、これによって、従来のランク電圧、基準温度関数を用いたプリントヘッド固有の温度関数を類推する方法よりも正確に、任意の温度における駆動電圧値を求めることができる。これによって、液適量が一定でない場合の色相ずれによる粒状感の悪化や濃度変化、射出速度が一定でない場合の着弾ずれによる作画精度悪化等の、印刷品質の悪化を防ぐことが出来る。
図1は、本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。 図2は、キャリッジ機構の概略図である。 図3は、リニアエンコーダからプリントヘッド駆動波形を生成する一例を示すタイミング図である。 図4は、液滴量を一定とする温度関数の一例を示す図である。 図5は、液適量を一定とする温度関数の一例と射出速度を一定とする温度関数の一例を比較した図である。 図6は、2つのプリントヘッドの温度関数の差異の一例を示す図である。 図7は、ランク電圧と基準温度関数によってプリントヘッド固有の温度関数を類推する手法の一例を示す図である。 図8は、プリントヘッドの電圧感度の差異によって、温度関数の類推に誤差が生じることを示す図である。 図9は、異なる温度におけるランク電圧から温度関数を類推することによって、電圧感度の影響を最小限にできることを示す図である。 図10は、3つのプリントヘッドの正規化した温度関数の一例を示す図である。 図11は、電圧感度補正式の一例を示す図である。 図12は、より正確な駆動電圧を求めるため、3つのプリントヘッドの正規化した温度関数において、複数の温度における電圧感度指数を求める一例を示す図である。 図13は、より正確な駆動電圧を求めるため、複数の電圧感度補正式を持つ例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態による記録装置に関して図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、印刷装置1はインクジェット方式のプリンタである。印刷装置1は、装置全体の動作を制御する制御部20を有する。制御部20は、制御部20内の処理動作を統括して制御する制御手段のCPU21、印字動作を行うプログラム等が予め記憶された記憶手段のROM22、印字動作の実行中に各制御部が作業記憶領域として用いる記憶手段のRAM23、電源切断直前の設定値やデータを保存しておく不揮発性メモリで構成する記憶手段のEEPROM24、操作パネル44において操作された状態を読み取るとともに、操作パネル44が備える表示部に情報表示を行う操作パネル制御部25、印刷媒体に対して、プリントヘッド41によって印字動作を制御する制御手段である印字制御部26、キャリッジ機構42の動作を制御する制御手段であるキャリッジ制御部27、用紙を搬送するために、グリッドローラ等から構成する、用紙搬送機構43の動作を制御する制御手段である用紙搬送制御部28、印字する画像を記憶する画像メモリ30、画像メモリ30に対して書き込み/読み出し制御をする制御手段である制御部31、ホストコンピュータと画像データや制御コマンドの入出力をするインターフェースであるホストI/F部29、を有する。
印字制御部26とキャリッジ制御部27は、リニアエンコーダ45により読み取ったキャリッジの位置に基づいて、印字位置の連携を取りながら印字動作を制御する。
図2は、キャリッジ機構の概略図である。キャリッジ機構42にはプリントヘッド41の位置を検出する手段が備わっている。印刷装置1においてプリントヘッド41から液滴を吐出する際に、キャリッジ420に取り付けられたスケールセンサを内蔵するリニアエンコーダ45とキャリッジ420の走行路に沿って固定されたリニアスケール421とを利用し、キャリッジ420の往復動作中の現在位置を検知し、制御部20へ情報を入力する。制御部20では、プリントヘッド41の位置を認識し、インクの吐出タイミングを生成することで、用紙上に着弾した液滴の位置精度を高めている。
図3は、リニアエンコーダからプリントヘッド駆動波形を生成する一例を示すタイミング図である。2チャンネル出力の場合のリニアエンコーダ45のカウントと、プリントヘッド41の駆動波形の関係を示した一例である。スケールセンサのA相、スケールセンサB相の各立ち上がり、立下りをトリガとすれば、リニアスケール421に刻まれたピッチの4逓倍の周期で、吐出トリガ信号を生成することができる。例えば、180LPIのリニアスケール421とリニアエンコーダ45の組み合わせで、720DPIの信号を生成できる。これをトリガとして、プリントヘッド駆動波形を印加することで、キャリッジ走査方向に720DPIの解像度で吐出動作を行うことができる。図3に示した駆動波形はピエゾアクチュエータを静止位置から両側にたわませることで吐出を行う例で、一般的に引き押し波形などと呼ばれる。インクを引く動作をONパルス422で与え、押す動作をOFFパルス423で与えるものである。ONパルス422とOFFパルス423とで吐出動作1回の駆動波形を形成している。これらの駆動波形のパルス幅は、一般的にはヘッドの内部構造と吐出するインクの種類によって一義的に決まることが多い。また、プリントヘッド41を駆動するための駆動電圧値、すなわちパルスの波高値はヘッド内部のインクに近しい温度に応じて、可変とすることで、液滴量、ないしは射出速度を一定に保つように工夫されている。ここで、駆動電圧値とは一般的にONパルス422の波高値のことを指し、OFFパルス423の波高値はONパルス422のそれに応じて定まる。
液滴量、ないしは射出速度を一定に保つための制御方法は、概して3つのステップに分けられる。1つ目のステップは、プリントヘッド41の製造工程における、複数のランク電圧の付与である。
任意のプリントヘッド41に対して複数のランク電圧を求めるには従来、製造工程で特定の条件で一定となる液適量または射出速度を得られる駆動電圧を求めていた。しかし、本実施形態では複数の液適量、または射出速度が得られる駆動電圧を求める。例えば、固有のインクにおいて、インク温度25℃にて、液滴量を13ピコリットルにするための電圧値と、10ピコリットルにするための電圧値がそれである。この場合、それぞれの特性を示す駆動電圧値を2つのランク電圧として付与することになるが、印刷動作において、液滴量を13ピコリットル一定にしたいのであれば、前者の電圧値が第1のランク電圧、後者の電圧値が第2のランク電圧となる。これに際しては、条件である温度を変えることなく、プリントヘッド41に印加する駆動電圧を可変し、その液滴量を測定すればよいから、製造工程の工数を大きく拡大することはない。そして、これらのランク電圧は、プリントヘッド41の内部に設置したメモリに記憶しておき、プリントヘッド41がプリンタに設置された際に自動で読み出すことができると簡便である。また、プリントヘッド41内部のメモリに記憶させずとも、プリントヘッド41のシリアルナンバーや型式の刻印、もしくは添付するラベルに複数のランク電圧も明示しておき、容易に視認できるようにしておくことが望ましい。同様に、例えば射出速度を5メートル毎秒と4メートル毎秒にする駆動電圧値も複数のランク電圧として付与することが考えられる。
2つ目のステップとして、基準温度関数を求める工程がある。これは予め実験的に行われるものであり、製造工程で行うことを要しない。従来とは異なり、基準温度関数を求める際には、電圧感度と言う要因に着目しなければならない。実験的に、複数のプリントヘッド41の温度関数を求め、統計計算により代表値を算出することが必要となる。例えば平均、中央値などにより代表値を算出する。一例としては、複数のプリントヘッド41の液滴量13ピコリットルとなる温度関数を測定し、まず基準温度25℃での電圧値を平均によって求める。これが、第1の基準ランク電圧である。仮にこの第1の基準ランク電圧を20Vとすれば、次に、それぞれのプリントヘッド41の温度関数を基準温度25℃と、第1の基準ランク電圧20Vで正規化する。これは、それぞれのプリントヘッド41の温度関数の温度25℃での電圧値、すなわちそれぞれのプリントヘッド41の第1のランク電圧と、基準温度関数における第1の基準ランク電圧20Vとの比の値を、それぞれのプリントヘッド41の温度関数に適用、ここでは掛けあわせて値を算出することである。こうして求まる正規化した温度関数をすべてプロットすると、図10のようになる。ここでは、L、M、Hの3つのプリントヘッド41の正規化したプリントヘッドの温度関数を示しているが、実際にはより多数のプリントヘッド41を用いる必要がある。また、異なるロット間の、考えられ得る最大範囲の電圧感度を有するプリントヘッド41が含まれていることが望ましい。また以降、便宜上、基準温度関数はプリントヘッドMの正規化した温度関数に等しいものとする。また、25℃における液適量10ピコリットルとなる電圧値も、このステップで測定し、夫々のプリントヘッド41の第1のランク電圧と基準温度関数における第1の基準ランク電圧との比の値と掛け合わせ正規化した第2のランク電圧を求め、同様に統計計算し、第2の基準ランク電圧を求める。
ここで、L、M、Hそれぞれのプリントヘッド41の基準温度での、異なる液適量、または射出速度によって得られる、電圧感度を算出する。例えば図10で示した3つのプリントヘッド41について、あくまで図10に示したように正規化した温度関数の上で、液適量が10ピコリットルになる第2のランク電圧は、L、M、Hについてそれぞれ18V、16V、14Vであったとする。これは、それぞれのプリントヘッド41の第2のランク電圧に、それぞれのプリントヘッド41の第1のランク電圧と基準温度関数における第1の基準ランク電圧20Vとの比の値を掛け、正規化後の値である。この第2のランク電圧の電圧値の差は、各プリントヘッドの有する電圧感度の違いに他ならない。これらを、基準温度関数に付随する第2のランク電圧すなわち第2の基準ランク電圧、すなわちプリントヘッドMの液滴量を10ピコリットルとする第2のランク電圧である16Vとの比で表現すれば、それぞれ1.125、1、0.875となる。これらの値をそれぞれのプリントヘッド41の電圧感度指数1と呼ぶ。
次に、図10の温度関数上で、それぞれのプリントヘッド41が例えば温度30℃にて液滴量が13ピコリットルとなる駆動電圧値は、L、M、Hについてそれぞれ19V、17V、15Vであったとする。これらの値はこのステップにおいて実験的に、基準温度関数を取得する際に、測定するものであり、製造工程では測定しない。これらの値の差も各プリントヘッド41間の電圧感度の現れである。これらについても基準温度関数に付随する値、すなわちプリントヘッドMに対する比で表現すれば、それぞれ1.118、1、0.882、となる。この値を電圧感度指数2と呼ぶ。ここで温度30℃での特性を選んだのは、30℃が実際のプリンタの使用温度範囲内であり、かつ基準温度25℃に極端に近くない温度という観点からである。基準温度に近しい温度では、各プリントヘッド41の温度関数で示される駆動電圧値の乖離が小さくなってしまい、電圧感度指数の差が得られない可能性があるからである。
上記で求めた、電圧感度指数1と2をプロットしたものが図11である。これらのプロットを近似したものをy=f2(x)とする。図11では直線近似されているが、実際には多数のプリントヘッド41を用いるため、多項式で表される。これは、xで示される電圧感度指数1から、yで示される電圧感度指数2を算出する式である。これを、電圧感度補正式と呼ぶ。これによれば、未知の電圧感度を有するプリントヘッド41において、基準温度での第2のランク電圧と、基準温度関数に付随する第2の基準ランク電圧との比の値、すなわち電圧感度指数1を求めておけば、基準温度関数をベースに、電圧感度補正式、基準温度関数の第1のランク電圧、および対象となるプリントヘッド41の第1のランク電圧を適用し、そのプリントヘッド41固有の電圧感度を考慮した任意の温度における駆動電圧値を求めることができる。
3つ目のステップは、実際にプリンタ内部で駆動電圧値を求める工程である。これは、プリンタの印刷動作と並行して行われる。プリントヘッド41の使用色ごとの基準温度カーブ、およびプリントヘッド41固有の複数のランク電圧、電圧感度補正式は、あらかじめROM22またはEEPROM24に格納され必要に応じてRAM23上に展開されている。プリントヘッド41にメモリを内蔵し、これに複数のランク電圧を記憶していた場合には、ここから読み出され、必要に応じてRAM23上に展開しても良い。まず、ヘッド固有の第2のランク電圧と、基準温度関数に付随する第2の基準ランク電圧との比の値を求め、それにヘッド固有の第1のランク電圧と基準温度関数に付随する第1の基準ランク電圧との比の値を積算し、ヘッド固有の電圧感度指数1を求める。さらにこれを、電圧感度補正式に適用し、対応するヘッド固有の電圧感度指数2を求める。これで準備は完了である。
プリントヘッド41の内部に設置された図示しないサーミスタ等の温度センサは、ヘッドアクチュエータ近傍のインクの温度を測定している。ここで測定した温度を、T℃とする。基準温度関数にこの温度を適用し、まず温度T℃での駆動電圧値を求める。この駆動電圧値に対し、ヘッド固有の第1のランク電圧と基準温度関数に付随する第1のランク電圧との比を積算し、さらにあらかじめ求めておいた、電圧感度指数2を積算することで、温度T℃における駆動電圧値を求めるのである。
以上の作業をまとめると、下式で示される。
x=(V11÷V01 )×(V12÷V02)
y=f2(x)
V=y×(V11÷V01)×f(T)
温度:T
駆動電圧値:V
電圧感度指数1:x
電圧感度指数2:y
プリントヘッド固有の第1のランク電圧:V11
プリントヘッド固有の第2のランク電圧:V12
基準温度関数に付随する第1のランク電圧:V01
基準温度関数に付随する第2のランク電圧:V02
基準温度関数:f(T)
電圧感度補正式:f2(x)
ただし、上記式で示される駆動電圧値Vは、前記2つ目のステップにて電圧感度指数2を求める際に使用した基準温度T0から離れた地点での温度T2としたときに、T0<TかつT0<T2が成立する場合にのみ有効である。一方で、T<T0かつT0<T2であった場合には、駆動電圧値Vは、
V=(1÷y)×(V11÷V01)×f(T)
で求められる。
さらに、T2<T0であった場合はこの関係が逆になり、T<T0であれば、
V=y×(V11÷V01)×f(T)
T0<Tであれば、
V=(1÷y)×(V11÷V01)×f(T)
で駆動電圧値Vが求められる。こうして、多くのプリントヘッド41の中の平均的な温度関数である基準温度関数から、任意のプリントヘッド41の電圧感度をも考慮した、任意の温度における駆動電圧値を求めることができる。
また、プリントヘッド41の有する電圧感度をより正確に把握するために、以下のような手法も考えられる。これは、ステップ2で基準温度25℃よりも高い温度、たとえば30℃での駆動電圧からプリントヘッド41の電圧感度指数2を求めていたところ、これとは別に、新たに基準温度25℃よりも低い温度、たとえば20℃での駆動電圧から、プリントヘッド41の電圧感度指数3を求めるものである。
これまでに述べた手法では、電圧感度指数2は基準温度関数からそれぞれのプリントヘッド41の有する電圧感度を適用して、最適な温度関数を得るためのパラメータであった。しかしこの手法によれば、全温度範囲について単一の電圧感度指数2を適用すると、近似的に求めた温度関数と、実際のプリントヘッド41の有する温度関数の間にかい離が生じてしまう可能性もある。たとえば、図10においては、温度30℃付近での乖離は小さくなろうが、それと基準温度25℃を挟んだ反対側、すなわち、温度20℃付近での乖離が生じてしまう可能性がある。この問題を解決するために、ステップ2において、基準温度を挟んだ両側で、電圧感度指数を測定しておく。電圧感度指数2は前述のとおり温度30℃での駆動電圧を用いて求めるが、新たに電圧感度指数3を、温度20℃での駆動電圧を用いて求める。たとえば、プリントヘッドL、M、Hの温度20℃で液滴量が13ピコリットルとなる駆動電圧値が、それぞれ22V、24V、26Vであったとする。この様子を図12に示す。ここで、電圧感度指数2に倣い、プリントヘッドMの駆動電圧値でそれぞれを正規化すればそれぞれ、0.917、1、1.083となる。この値が、電圧感度指数3である。こうして求めた、電圧感度指数1と3をプロットしたものが図13である。これらのプロットを近似したものをz=f3(x)とする。これは、xで示される電圧感度指数1から、zで示される電圧感度指数3を算出する式である。これを、電圧感度補正式2と呼ぶ。
これによれば、ステップ3において実際にプリンタ内部で駆動電圧値を求める際に、プリントヘッド41の内部に設置された図示しないサーミスタ等の温度センサが基準温度よりも高い温度を測定していれば、前述のとおり、
V=y×(V11÷V01)×f(T)
で求まり、温度センサが基準温度よりも低い温度を測定していれば、
V=z×(V11÷V01)×f(T)
と、後者の場合でもより正確な駆動電圧が求まることになる。
すでに述べたとおり、プリントヘッドから吐出される液滴の液滴量を一定とする温度関数と、射出速度を一定とする温度関数の間には少なからず乖離が生じる可能性がある。この場合、図5で示すようなバランス的な基準温度関数を利用することを前提として、プリントヘッドに付与された、液適量に着目した場合、射出速度に着目した場合のいずれかの複数のランク電圧を適用することも考えられるが、液適量に着目した場合、射出速度に着目した場合のいずれの複数のランク電圧をも付与しておき、液適量一定、射出速度一定となる基準温度関数に対して適用し、得られたそれぞれの駆動電圧値を平均することで、誤差を小さくすることが可能である。ただしこの際には最低でも4個のランク電圧を付与する必要がある。
またこの場合、液適量を一定にするか、射出速度を一定にするか、平均的な駆動電圧を用いるか、をユーザーが操作パネル44から選択できるようにしても良い。さらに、これらの選択は、プリンタの有する印刷モードにそれぞれ固定されており、例えば高速でキャリッジ42が移動する印刷モードにおいては射出速度を一定にし、着弾精度の向上を図り、低速で高品位な画質を要求される印刷モードにおいては液適量を一定にし、濃度一様性の向上を図っても良い。
以上説明したように、任意のプリントヘッド41に固有の電圧感度を、複数のランク電圧を用いることで類推でき、これによって、従来のランク電圧、基準温度関数を用いたプリントヘッド固有の温度関数を類推する方法よりも正確に、任意の温度における駆動電圧値を求めることができる。これによって、液滴量が一定でない場合の色相ずれによる粒状感の悪化や濃度むら、射出速度が一定でない場合の着弾ずれによる作画精度の悪化等の、印刷品質の悪化を防ぐことが出来る。これにより、安定して高い印字画質を達成することを期待できる。
本発明はインクジェットプリンタに利用できる。
1・・・印刷装置、20・・・制御部、21・・・CPU、22・・・ROM、23・・・RAM、24・・・EEPROM、25・・・操作パネル制御部、26・・・印字制御部、27・・・キャリッジ制御部、28・・・用紙搬送制御部、29・・・ホストI/F部、30・・・画像メモリ、31・・・画像メモリ書き込み/読み出し制御部、41・・・プリントヘッド、42・・・キャリッジ機構、43・・・用紙搬送機構、44・・・操作パネル、45・・・リニアエンコーダ

Claims (5)

  1. プリントヘッドを走査させながら記録媒体にインクを吐出し、前記記録媒体に画像を形成する記録装置において、
    前記プリントヘッドの駆動電圧と温度との関係であって、前記プリントヘッドと同種の複数のプリントヘッド夫々の第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と、第1の所定の温度と第2の所定の温度を含む所定の範囲の温度との関係であって所定の統計演算に基づき取得した基準温度関数と、
    前記基準温度関数の前記第1の所定の温度における駆動電圧である第1の基準ランク電圧と、
    前記複数のプリントヘッド夫々の前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴とは異なる第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧であって前記所定の統計演算に基づき取得した第2の基準ランク電圧と、
    前記複数のプリントヘッドの夫々の前記第1の所定の温度における前記第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧に前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記第1の基準ランク電圧との比の値とを掛けた電圧前記第2の基準ランク電圧で割った値である第1の電圧感度指数と、前記複数のプリントヘッドの夫々の前記第2の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧に前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記第1の基準ランク電圧との比の値とを掛けた電圧前記基準温度関数の前記第2の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧で割った値である第2の電圧感度指数との対応関係を示す電圧感度指数補正式と、
    前記プリントヘッドの前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧である第1のランク電圧と、
    前記プリントヘッドの前記第1の所定の温度における前記第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧である第2のランク電圧と、
    を記憶するメモリと、
    前記プリントヘッドの温度を計測する温度センサと、
    前記メモリに記憶されている前記第2のランク電圧と前記第2の基準ランク電圧と前記電圧感度指数補正式から前記第1の電圧感度指数を演算し、
    該演算により求めた該第1の電圧感度指数と前記第1のランク電圧と前記第1の基準ランク電圧と前記基準温度関数とに基づいて、前記プリントヘッドの前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記所定の範囲の温度との関係を推定する演算をし、
    該演算結果と前記センサで取得した温度に基づいて前記プリントヘッドの温度に対応する駆動電圧を演算する制御手段と、
    を有することを特徴とする記録装置。
  2. 前記第1の所定の液滴は、前記プリントヘッドから吐出される第1の所定の量の液滴であり、前記第2の所定の液滴は、前記プリントヘッドから吐出される前記第1の所定の量の液滴とは異なる第2の所定の量の液滴であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記第1の所定の液滴は、前記プリントヘッドから吐出される第1の所定の吐出速度の液滴であり、前記第2の所定の液滴は、前記プリントヘッドから吐出される前記第1の所定の吐出速度とは異なる第2の所定の吐出速度の液滴であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  4. 前記第1の所定の液滴は、前記プリントヘッドから吐出される第1の所定の量かつ第1の所定の吐出速度の液滴であり、前記第2の所定の液滴は、前記プリントヘッドから吐出される前記第1の所定の量の液滴とは異なる第2の所定の量かつ前記第1の所定の吐出速度とは異なる第2の所定の吐出速度の液滴であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  5. プリントヘッドを走査させながら記録媒体にインクを吐出し、前記記録媒体に画像を形成する記録装置の記録方法において、
    前記プリントヘッドの駆動電圧と温度との関係であって、前記プリントヘッドと同種の複数のプリントヘッド夫々の第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と、第1の所定の温度と第2の所定の温度を含む所定の範囲の温度との関係であって所定の統計演算に基づき取得した基準温度関数と、
    前記基準温度関数の前記第1の所定の温度における駆動電圧である第1の基準ランク電圧と、
    前記複数のプリントヘッド夫々の前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴とは異なる第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧であって前記所定の統計演算に基づき取得した第2の基準ランク電圧と、
    前記複数のプリントヘッドの夫々の前記第1の所定の温度における前記第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧に前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記第1の基準ランク電圧との比の値とを掛けた電圧を前記第2の基準ランク電圧で割った値である第1の電圧感度指数と、前記複数のプリントヘッドの夫々の前記第2の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧に前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記第1の基準ランク電圧との比の値とを掛けた電圧を前記基準温度関数の前記第2の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧で割った値である第2の電圧感度指数との対応関係を示す電圧感度指数補正式と、
    前記プリントヘッドの前記第1の所定の温度における前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧である第1のランク電圧と、
    前記プリントヘッドの前記第1の所定の温度における前記第2の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧である第2のランク電圧と、
    を記憶するメモリと、
    前記プリントヘッドの温度を計測する温度センサと、
    を有し、
    前記メモリに記憶されている前記第2のランク電圧と前記第2の基準ランク電圧と前記電圧感度指数補正式から前記第1の電圧感度指数を演算する工程と、
    該演算により求めた該第1の電圧感度指数と前記第1のランク電圧と前記第1の基準ランク電圧と前記基準温度関数とに基づいて、前記プリントヘッドの前記第1の所定の液滴を吐出させるための駆動電圧と前記所定の範囲の温度との関係を推定する演算をする工程と、
    該演算結果と前記センサで取得した温度に基づいて前記プリントヘッドの温度に対応した駆動電圧を演算する工程と、
    を有することを特徴とする記録方法。
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