JP5937261B1 - 放射性物質除去方法及び放射性物質除去システム - Google Patents
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Abstract
Description
このような放射性物質除去技術では、処理対象物を高温に加熱する必要があるため、一般的には、ロータリーキルンなどの加熱炉を利用して、処理対象物を加熱炉の内部に形成された加熱室で燃焼ガスに接触させて加熱する。
また、処理対象物や汚染可燃物の何れを処理する場合でも、放射性物質が排ガスに移行して排出されるため、その排ガスから放射性物質を捕集するための排ガス処理を施す設備を設置する必要があり、このことが処理システムの煩雑化や大規模化の要因となる。
放射性物質を含む汚染可燃物を燃料として燃焼させる燃焼処理を実行して、
前記燃焼処理で生成された燃焼ガスを前記加熱室に導入すると共に、
前記加熱処理が施される処理対象物に、前記加熱室への処理対象物の投入量に応じて調整された塩化化合物を添加する添加処理を実行して、前記加熱室を塩素雰囲気とすると共に、前記汚染可燃物への塩化化合物の添加を省略し、
前記加熱室に導入された燃焼ガスに含まれている放射性物質を、前記塩素雰囲気とされた加熱室に通過させて塩化物に変化させる点にある。
更に、上記燃焼処理で汚染可燃物の燃焼により放出された放射性物質は、燃焼ガスと共に上記加熱室に導入された後に、上記加熱処理で処理対象物の加熱により揮発された放射性物質と共に上記加熱室から排出される。そして、この加熱室から排出された排ガスを対象として当該排ガスから放射性物質を捕集する排ガス処理を実行するだけで、上記加熱処理で揮発除去された放射性物質に加えて、上記燃焼処理で放出された放射性物質をも適切に処理することができる。よって、上記燃焼処理で排出された排ガスのみを対象とした排ガス処理を省略して、構成の簡略化及び小規模化を図ることができる。
従って、本発明により、簡単且つ小規模な構成を採用しながら省エネ性を向上できる放射性物質除去方法を実現することができる。
更に、本構成によれば、塩化化合物が添加された処理対象物が投入されて加熱される加熱室は、塩素、塩化水素又は揮発した塩化化合物が存在する塩素雰囲気となる。よって、このような加熱室に導入された燃焼ガスに含まれている放射性物質は、その塩素雰囲気の加熱室を通過することで安定した塩化物に変化した上で、上記加熱室から排出されることになる。
従って、上記燃焼処理で燃焼される汚染可燃物への塩化化合物の添加を省略又は最小限とした場合でも、その汚染可燃物から放出された放射性物質を安定した塩化物の形態で確実に処理することができる。
また、上記加熱室において、上記バイオマスバーナから噴出される燃焼ガスに含まれる放射性物質が、同燃焼ガスに含まれる灰などの汚染可燃物の燃焼残渣に付着して処理対象物に混入する場合であっても、その燃焼残渣についても処理対象物と同様に加熱処理が施されることになるので、その燃焼残渣から放射性物質を好適に揮発除去して、加熱室から排ガスと共に排出することができる。
また、上記燃焼装置から上記加熱室に導入された燃焼ガスに含まれる放射性物質が、同じく上記加熱室に導入される灰などの汚染可燃物の燃焼残渣に付着している場合には、その燃焼残渣についても処理対象物と同様に加熱処理が施されることになるので、その燃焼残渣から放射性物質を好適に揮発除去して、加熱室から排ガスと共に排出することができる。
更に、汚染可燃物の燃焼残渣のうちの上記燃焼装置に残存する分については、放射性物質を含む可能性があるため、別途適切な処理を行うことができるが、例えば、上記処理対象物と共に加熱室に投入して、放射性物質を揮発除去するための加熱処理を施すこともできる。
放射性物質を含む汚染可燃物を燃焼させる燃焼処理を実行して、前記燃焼処理で生成された燃焼ガスを前記加熱室に導入する燃焼処理部を備えて、
前記加熱処理が施される処理対象物に、前記加熱室への処理対象物の投入量に応じて調整された塩化化合物を添加する添加処理を実行する添加処理部を備えて、前記加熱室を塩素雰囲気とすると共に、前記汚染可燃物への塩化化合物の添加を省略し、
前記燃焼処理部により前記燃焼ガスを前記加熱室に導入し、当該燃焼ガスに含まれている放射性物質を排ガスと共に前記加熱室の排気口から排出することにより、前記加熱室に導入された燃焼ガスに含まれている放射性物質が、前記塩素雰囲気とされた加熱室を通過して塩化物に変化する点にある。
本発明の第1実施形態について図1に基づいて説明する。
図1に示す放射性物質除去システムは、放射性セシウム(放射性物質の一例)を含む処理対象物A、例えば土壌や焼却灰などの無機性廃棄物、都市ゴミや汚泥などの有機性廃棄物、枝葉類などの木質系廃棄物などから放射性セシウムを揮発除去するための放射性物質除去方法を実施するためのシステムとして構成されている。よって、このシステムには、当該処理対象物Aを加熱室3aで燃焼ガスGcに接触させて加熱する加熱処理を実行する加熱処理部3が設けられている。
このセシウム揮発促進剤Eは、少なくとも塩化化合物である塩化ナトリウムが含まれており、更には、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物が含まれている。
このようなセシウム揮発促進剤Eを処理対象物Aに添加することで、当該処理対象物Aを加熱する加熱処理において、比較的低温の加熱により、処理対象物A中の放射性セシウムを良好に揮発させることができるようになる。
即ち、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物の添加量については、処理対象物Aと無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物中における無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物の割合が3質量%以上50質量%以下となるように調整される。一方、塩化ナトリウムの添加量については、処理対象物Aと無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との合計量に対して0.5質量%を超え10質量%以下となるように調整される。尚、セシウム揮発促進剤Eとして、塩化ナトリウムの代わりに、塩化カルシウムや塩化カリウムなどの他の塩化化合物を利用することもできる。また、これらセシウム揮発促進剤Eの種類、添加順序、及び添加量は適宜変更可能である。
すると、燃焼処理部1から加熱室3aに導入された燃焼ガスGcに含まれている放射性セシウムは、その塩素雰囲気の加熱室3aを通過することで安定した塩化セシウムに変化した上で上記加熱室3aから排出され、排ガス処理部4で捕集物Dとして捕集されることになる。よって、上記燃焼処理部1での燃焼処理で燃焼される汚染可燃物Bについては、塩化ナトリウムの添加を省略又は最小限とした場合でも、その汚染可燃物Bから放出された放射性セシウムが安定した塩化セシウムの形態で確実に処理されることになる。
尚、図2に示す放射性物質除去システムは、図1で説明した構成に対して、主に燃焼処理部1及び加熱処理部3に関する具体的な実施形態を示したものである。よって、他の同様の構成について、図面において同じ符号を付すとともに、詳細な説明は割愛する場合がある。
尚、本実施形態では、ロータリーキルン10を、燃焼ガスGcが処理対象物Aに並行して流れる並行流方式としたが、燃焼ガスGcが処理対象物Aに対向して流れる対向流方式としても構わない。
具体的に、このバイオマスバーナ15は、汚染可燃物Bが微粉状又はペレット状のバイオマス燃料として供給され、それを別途供給される燃焼用空気と共に加熱室3aに噴出させて燃焼させる形態で、高温の燃焼ガスGcを加熱室3aに噴出させる。すると、加熱室3aにおいて、投入された処理対象物Aは、バイオマスバーナ15から噴出された高温の燃焼ガスGcに接触する形態で、効率良く高温に加熱されることになる。
一方、加熱室3aにおいて処理対象物Aから揮発除去された放射性セシウムを含む排ガスGeは、排出側ケーシング14の天井部に形成された排気口14bから排ガス管路16に排出され、適宜冷却された後に、排ガス処理部4に供給されて、適宜排ガス処理が施される。
そして、加熱室3aにおいて、放射性セシウムが付着した燃焼残渣が処理対象物Aに混入する場合であっても、その燃焼残渣は処理対象物Aと同様に加熱処理が施されることになるので、その燃焼残渣から放射性セシウムが好適に揮発除去されて、排ガスGeと共に加熱室3aから排出されることになる。
次に、本発明の第2実施形態について図3に基づいて説明する。
尚、図3に示す放射性物質除去システムは、上述した第1実施形態に対して、主に燃焼処理部1及び加熱処理部3に関する構成が異なる。よって、他の同様の構成について、図面において同じ符号を付すとともに、詳細な説明は割愛する場合がある。
具体的に、この燃焼装置25は、汚染可燃物Bが微粉状又はペレット状のバイオマス燃料として供給され、それを内部の炉内(図示省略)で燃焼させて高温の燃焼ガスGcを生成し、その燃焼ガスGcを吹込みノズル26を介して流動床式加熱炉20における加熱室3aの流動層22に導入する。すると、流動層22において、投入された処理対象物Aは、吹込みノズル26から導入された高温の燃焼ガスGcに接触する形態で加熱されることになる。
一方、流動層22において処理対象物Aから揮発除去された放射性セシウムを含む排ガスGeは、加熱室3aを上昇し、本体23の天井部に形成された排気口23bから排ガス管路16に排出され、適宜冷却された後に、排ガス処理部4に供給されて、適宜排ガス処理が施される。
そして、流動層22において、放射性セシウムが付着した燃焼残渣が処理対象物Aに混入する場合であっても、その燃焼残渣は処理対象物Aと同様に加熱処理が施されることになるので、その燃焼残渣から放射性セシウムが好適に揮発除去されて、排ガスGeと共に加熱室3aから排出されることになる。
(1)上記実施形態では、加熱処理部3をロータリーキルン10(図2参照)や流動床式加熱炉20(図3参照)で構成したが、加熱処理部3としては、加熱室3aにおいて処理対象物Aが燃焼ガスGcに接触して加熱されるものであれば、ストーカ炉などの別の加熱炉で構成しても構わない。
3 加熱処理部
3a 加熱室
10 ロータリーキルン
15 バイオマスバーナ
20 流動床式加熱炉
25 燃焼装置
A 処理対象物
B 汚染可燃物
E セシウム揮発促進剤(塩化化合物)
Gc 燃焼ガス
Claims (4)
- 放射性物質を含む処理対象物を加熱室で燃焼ガスに接触させて加熱する加熱処理を実行する放射性物質除去方法であって、
放射性物質を含む汚染可燃物を燃料として燃焼させる燃焼処理を実行して、
前記燃焼処理で生成された燃焼ガスを前記加熱室に導入すると共に、
前記加熱処理が施される処理対象物に、前記加熱室への処理対象物の投入量に応じて調整された塩化化合物を添加する添加処理を実行して、前記加熱室を塩素雰囲気とすると共に、前記汚染可燃物への塩化化合物の添加を省略し、
前記加熱室に導入された燃焼ガスに含まれている放射性物質を、前記塩素雰囲気とされた加熱室に通過させて塩化物に変化させる放射性物質除去方法。 - 前記燃焼処理を、前記汚染可燃物をバイオマス燃料として前記加熱室で燃焼させるバイオマスバーナで実行する請求項1に記載の放射性物質除去方法。
- 前記燃焼処理を、前記加熱室とは別の燃焼装置で実行し、当該燃焼装置から排出される燃焼ガスを前記加熱室に導入する請求項1に記載の放射性物質除去方法。
- 放射性物質を含む処理対象物を加熱室で燃焼ガスに接触させて加熱する加熱処理を実行する加熱処理部を備えた放射性物質除去システムであって、
放射性物質を含む汚染可燃物を燃焼させる燃焼処理を実行して、前記燃焼処理で生成された燃焼ガスを前記加熱室に導入する燃焼処理部を備えて、
前記加熱処理が施される処理対象物に、前記加熱室への処理対象物の投入量に応じて調整された塩化化合物を添加する添加処理を実行する添加処理部を備えて、前記加熱室を塩素雰囲気とすると共に、前記汚染可燃物への塩化化合物の添加を省略し、
前記燃焼処理部により前記燃焼ガスを前記加熱室に導入し、当該燃焼ガスに含まれている放射性物質を排ガスと共に前記加熱室の排気口から排出することにより、前記加熱室に導入された燃焼ガスに含まれている放射性物質が、前記塩素雰囲気とされた加熱室を通過して塩化物に変化する放射性物質除去システム。
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