JP5936005B2 - 浮沈型回転式養殖生簀 - Google Patents
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Description
従来、アナゴ類は陸上養殖において小規模で養殖(畜養)しているのが現状である。市場の取引単価は2,000円/kg程度であるため大規模陸上養殖におけるランニングコストを考慮すると採算性に劣り事業性に難がある。陸上養殖における養殖魚の取引単価は5,000円/kgが望ましいが、このように取引されるのは、一部の高級魚(ハタ等)に限られている。
しかし、海面におけるアナゴ養殖の成功例はなく、海面生簀で養殖する場合は、生簀網の網目は、3〜5mmの目合いを使用するため、付着物が短期間(2〜3日)で付着し目詰りし、生簀内が酸欠状態になる。この問題に対しては、従来から生簀網の維持管理方法が考えられているが、それには多くの課題がある。
例えば、従来の生簀では、悪天候時での生簀の破損を防ぎ、赤潮発生時での酸欠死の危険から養殖魚を守ることが困難である。赤潮の被害は増加しており。養殖業者は致命的な損失を受けている。
(1)生簀を1回転させることはできない。何故ならば、潮位差は地域によってかなりの違いがあるからである。自然の潮位差では円柱形生簀を1回転させることは難しく、且つ回転速度が6時間周期と非常に遅い。
(2)また、一定の部分を干満で繰り返すのみで、太陽光で付着物を死滅させるのは難しい。
(3)また、陸上養殖の問題点でもある飼育密度に関係するアナゴ寝床やランニングコスト等の解決策も示されていない。
(4)また、生簀網の目合(3mm〜5mm)に泥、ケイ藻、カサネカンザシやフジツボなどの付着生物が着生し、海水の交流を妨げ,飼育魚類の摂餌・成長を阻害し,生残率を低下させることになるおそれがあるが、この問題についての方策も開示されていない。
(5)また、上述のように、生簀網が目詰りをおこすと、生簀網の交換を行い,これらを防除すればよいが、そのためかかる時間と労力を要する点についての解決策も示されていない。
(6)当然のことながら、悪天候時の被害や赤潮発生時の酸欠死の危険性から養殖魚を守る方策についても開示されていない。特に、アナゴは同じ底魚であるヒラメとは違い、体を寄せ合って群れをなす習性がある。底面の海水交流を工夫する必要がある。また、水温調整ができない海面では、夏場の水温が高くなるに連れて溶存酸素が低下し、底面の海水交流が悪くなると酸欠による斃死や病気の発症が多くなり大量死の要因となる。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀の一部斜視正面図であり、図2(a)は、この浮沈型回転式養殖生簀の側面図であり、図2(b)はこの浮沈型回転式養殖生簀の概略平面図である。
図1に示すように、この浮沈型回転式養殖生簀は、横円柱形である円柱状をした円柱生簀2と、この円柱生簀2が取り付けられる骨組外枠7と、からなる。
図に示すように、円柱生簀骨組枠8に内側から黒色網9を取付けて円柱生簀2にする。黒色網9の取り付けに際しては、金属ワイヤ等の固定紐14を用いて円柱生簀骨組枠8に複数個所で結合させる。なお、円柱生簀骨組枠8の上部には、開口部13が設けられており、この開口部13から、残餌や死骸あるいはサンプル魚等の取り出しを行う。後述するように、この開口部13にはすくい網15が取り付けられている。なお、生簀の形状が横長円柱形であり、従来の四角の生簀形状や縦長円柱生簀形状に比べて波への抵抗が少ない。
前述したように、開口部13にはすくい網15が取り付けられている。この円柱生簀2は海中で回転するため、給餌以外は開口部が密閉されているので、残餌・死骸を取り除いたり、サンプルを捕獲したりしなければならない。そこで開口部13に取付ける網の形状は魚をすくうことができる形状にし、回転時にすくい網15で捕獲するようにする。
図5(a)〜(c)のように回転させ、(d)のようにして、残餌・死骸・飼育サンプルを捕獲する
図に示すように、弧を描いた黒色網9の底面と弧を描いたアナゴの黒色寝床シ−ト16との組合せで海水交流がよくなり溶存酸素が安定し飼育密度を高めることができる。また、アナゴは底下に潜る習性があり、潜る場所があればストレスを防ぐ。アナゴの黒色寝床シ−ト16を設けることで飼育できるアナゴ稚魚とできない稚魚を速く見極めることができる。飼育初期段階で寝床シート16から出たアナゴは、飼育できないことは経験則で明らかである。
これらの図に示すように、骨組外枠7を緩衝フロート18付のアンカーロープ20で、海底に沈められる方塊21に固定する。浮遊時は、骨組外枠7に取付けた浮力フロート11と浮力調整フロート12を浮力とする。また、骨組外枠7の上部には沈下時に必要な水深調整フロート19が取付けられている。
図で示すように、悪天候時や赤潮発生時には浮力調整フロート11を減圧し海中に沈める。沈下位置は、緩衝フロート18と水深調整フロート19で確認する。浮上する際は、給気口保持フロート23付の浮上用給気パイプ22で浮力調整フロート11を加圧し浮上する。このようにすることにより、悪天候時や赤潮発生時であっても、危険水域から速やかに安全な水域に沈下できる。
図10〜図15は、本発明の第2の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀を説明するための図である。第2の実施の形態では、生簀に回転力を付与するための機構として、円柱生簀骨組枠の長さ方向両端部に中心軸を設け、骨組枠体の長さ方向中心胴体部に設けた手動ハンドルを操作して、中心軸に回転力を伝達させるようにした点において第1の実施の形態とは異なる。なお、第1の実施の形態と用語が同一のものは、同一の作用・機能を有するものであるので重複する説明は基本的に省略する。以下、図に沿って説明する。
図に示すように、この浮沈型回転式養殖生簀は、横円柱形である円柱状をした円柱生簀34と、この円柱生簀34に取り付けられる骨組外枠32と、からなる。
図に示すように、黒色網35は生簀骨組枠33に生簀網固定紐41で固定する。従来、アナゴの飼育は筒等を寝床に使用しているが、狭い筒の中で体を寄せ合って群れるので酸欠状態になる恐れがあり、筒方式の寝床では飼育密度を高めるには効率的ではない。このため、図に示すように黒色網35内にアナゴの寝床シ−ト42を固定紐43で取り付ける。寝床シ−ト42は紫外線をカットできる黒色シートであり、海水よりも軽い比重シートを使用する。
これらの図に示すように、骨組外枠32を緩衝フロート48付のアンカーロープ49で、海底に沈められる方塊50に固定する。浮遊時は、骨組外枠32に取付けた浮力フロート45と浮力調整フロート46を浮力とする。また、骨組外枠7の上部には沈下時に必要な水深調整フロート47が取付けられている。
図で示すように、悪天候時や赤潮発生時には浮力調整フロート46を減圧し海中に沈める。沈下位置は、緩衝フロート48と水深調整フロート47で確認する。浮上する際は、給気口保持フロート52付の浮上用給気パイプ51で浮力調整フロート46を加圧し浮上する。
2 円柱生簀
3 回転軸
4 ギア
5 チェーン
6 丸型の棒
7 骨組外枠
8 円柱生簀骨組枠
9 黒色網
10 円柱生簀のブレ止め
11 浮力フロート
12 浮力調整フロート
13 開口部
14 固定紐
15 すくい網
16 寝床シート
17 固定紐
18 緩衝フロート
19 水深調整フロート
20 アンカーロープ
21 方塊
22 浮上用給気パイプ
23 給気口保持フロート
30 固定ピン
31 中心軸
32 骨組外枠
33 生簀枠
34 円柱生簀
35 黒色網
36 手動ハンドル
37 受部
38 開口部
39 ベアリング
41 生簀網固定紐
42 寝床シート
43 固定紐
44 すくい網
45 浮力フロート
46 浮力調整フロート
47 水深調整フロート
48 緩衝フロート
49 アンカーロープ
50 方塊
51 浮上用給気パイプ
52 給気口保持フロート
Claims (8)
- ウナギ目アナゴ科類、他種稚魚類並びに貝類を海面で飼育するための浮沈型回転式養殖生簀であって、
円柱形状の生簀のフレームとなる骨組を有する円柱生簀骨組枠と該円柱生簀骨組枠の内周に取り付けられる網とからなり生簀内部に前記ウナギ目アナゴ科の寝床として遮光性の黒色シートを設けた円柱生簀と、
前記円柱生簀が回転可能に収容される方形状のフレームを有する枠体と、
前記枠体内において前記円柱生簀に回転力を与える回転力付与機構と、
前記円柱生簀が収容された前記枠体を海面に浮かべたときに浮力を付与する浮力付与部材と、
を有することを特徴とする浮沈型回転式養殖生簀。 - 前記回転力付与機構は、前記円柱生簀骨組枠の長さ方向両端部に設けられた第1および第2の軸と、前記枠体に回転可能に軸支される丸型棒と、該丸型棒の長さ方向略中心位置に該丸型棒を回転させるために設けられた回転ハンドルギアと、該丸型棒と該第1および第2の軸の端部に設けられたそれぞれのギアと、該それぞれのギアに回転力を伝達するチェーンとから構成されることを特徴とする請求項1に記載の浮沈型回転式養殖生簀。
- 前記回転力付与機構は、前記円柱生簀骨組枠の長さ方向両端部に設けられた中心軸と、前記円柱生簀骨組枠に設けられ該円柱生簀骨組枠を回転させる回転ハンドルと、前記枠体に設けられ該中心軸を軸支するベアリングを有する受部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の浮沈型回転式養殖生簀。
- 前記円柱生簀は、形状が横円柱形であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
- 前記網は、黒色であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
- 前記網は、開口部を有し、該開口部に捕獲用すくい網が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
- 前記枠体に、浮遊体フロートまたは給気パイプによる浮力調整フロートを設けた沈下式生簀であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
- 前記円柱生簀は、牽引時に回転することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
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