以下、本発明の一実施形態である照明装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態である照明装置10の分解斜視図、図2(a)は正面図、図2(b)は背面図、図2(c)は図2(a)に示した照明装置10のA−A断面図、図2(d)は図2(a)に示した照明装置10のB−B断面図及びC−C断面図である。
図1、図2(a)〜図2(d)に示すように、本実施形態の照明装置10は、光源12、レンズ14、リフレクタ16等を備えている。
図3は、光源12の正面図である。
図3に示すように、光源12は、発光面間に十字型の隙間が形成されるように2×2の格子状に配置された矩形形状の4つの発光面20(20a〜20d)を含む光源で、具体的には、基板K上に、矩形形状(例えば、1mm角)の発光面20(20a〜20d)を含む4つの半導体発光素子18(18a〜18d)を、所定間隔(例えば、0.2mm間隔)をおいて2×2の格子状(田字状)に配置した光源とされている。
発光面20(20a〜20d)間には、横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SVにより構成される十字型の隙間が形成されている。これは、基板K上の電極(配線パターン等)等との関係で、半導体発光素子18(18a〜18d)を密に配置できないことによるものである。発光面20(20a〜20d)は、レンズ作用を持つドーム型の透明部材28で覆われている。なお、ドーム型の透明部材28は、省略してもよい。
半導体発光素子18(18a〜18d)は、矩形形状の発光面20(20a〜20d)を含む半導体発光素子であればよく、その構造は特に限定されない。例えば、半導体発光素子18(18a〜18d)は、発光色が青系のLEDチップ(又はレーザーダイオード)とこれを覆う黄色系の蛍光体(例えば、YAG蛍光体)とを組み合わせた構造の半導体発光素子であってもよいし、RGB三色のLEDチップ(又はレーザーダイオード)を組み合わせた構造の半導体発光素子であってもよいし、その他構造の半導体発光素子であってもよい。
光源12の中心軸AX(基準軸又は光軸とも称される)は、十字型を構成する隙間のうち横に延びる隙間SH(厳密には、横に延びる隙間SHの中心線SHC)と縦に延びる隙間SV(厳密には、縦に延びる隙間SVの中心線SVC)との交点を通り、かつ、発光面20(20a〜20d)の法線方向(図3中紙面に直交する方向)に延びている。
以下、中心軸AX及び横に延びる隙間SH(厳密には、横に延びる隙間SHの中心線SHC)を含む平面、並びに、中心軸AX及び縦に延びる隙間SV(厳密には、縦に延びる隙間SVの中心線SVC)を含む平面によって分割される4個の領域を、図4に示すように、第1象限〜第4象限と称する。
図4は、レンズ14を透視した光源12の正面図で、第1象限に配置されたレンズ部26aの三つの焦点(45°断面26a45の焦点F45、0°断面26a0の焦点F0、90°断面26a90の焦点F90)と第1象限の対角に位置する第3象限に配置された発光面20cとの位置関係等を表している。
図4に示すように、2×2の格子状に配置された矩形形状の4つの発光面20(20a〜20d)は、第1象限〜第4象限に配置されている。
以下、第1象限に配置された発光面20a及び第3象限に配置された発光面20cを通る対角線を、第1対角線DL1と称し、第2象限に配置された発光面20b及び第4象限に配置された発光面20dを通る対角線を、第2対角線DL2と称する。
図2(c)、図2(d)に示すように、レンズ14は、光源12の前方、かつ、光源12の中心軸AX上に配置されている。レンズ14は、光源12(発光面20)からの光が入射する入射面22、入射面22からレンズ14内部に入射した光源12(発光面20)からの光が出射する出射面24を含むレンズで、具体的には、入射面22の面形状を、所定曲面(例えば、光源12側に凸の曲面)を同心円状の複数領域に分割して、略平面状に並べ替えた複数のフレネル面とし、出射面24の面形状を、中心軸AXに直交する平面とした、中心軸AX方向に厚みが薄いフレネル状のレンズとされている。
レンズ14は、メタクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂やシクロオレフィン樹脂等の透明樹脂を射出成形や射出圧縮することで一体的に成形されている。なお、レンズ14の材質は、透明樹脂以外の、例えば、ガラスであってもよい。
図2(c)、図4に示すように、レンズ14は、第1象限〜第4象限に配置されたレンズ部26(26a〜26d)及びレンズ部26(26a〜26d)の外側に配置された平板形状のレンズ部30等を含んでいる。なお、図4中、レンズ部30は省略してある。
第1象限〜第4象限に配置されたレンズ部26(26a〜26d)は、次のように構成されている。
図2(c)、図4に示すように、第1象限に配置されたレンズ部26aの、中心軸AXを含む複数の放射状平面上の複数のレンズ断面(以下、単に複数のレンズ断面と称す)のうち中央に位置するレンズ断面26a45(以下、45°断面a45と称す)の焦点F45は、中心軸AXから、当該レンズ部26aが配置された第1象限の対角に位置する第3象限側へ第1距離L1(例えば、0.3mm)シフトした、発光面20c上(第1対角線DL1上)の位置に設定されている。45°断面(0°断面、90°断面も同様)とは、第1象限に配置されたレンズ部26aを、中心軸AXを含み、かつ、中心軸AXを含む鉛直面に対して45°(0°、90°)傾斜した平面で切断した断面のことである。
図2(d)、図4に示すように、複数のレンズ断面のうち一端(又は一端近傍)に位置するレンズ断面26a0(すなわち、第1象限と第2象限との間の境界面。以下、0°断面26a0と称す。)の焦点F0は、中心軸AXから、当該レンズ部26aが配置された第1象限の対角に位置する第3象限側へ第1距離L1より長い第2距離L2(例えば、1.2mm)シフトした、横に延びる隙間SH(厳密には、横に延びる隙間SHの中心線SHC)上の位置に設定されている。なお、0°断面26a0の焦点F0は、横に延びる隙間SH近傍(例えば、第3象限に配置された発光面20cのうち、横に延びる隙間SH近傍部分)に設定されていてもよい。
同様に、複数のレンズ断面のうち他端(又は他端近傍)に位置するレンズ断面26a90(すなわち、第1象限と第4象限との間の境界面。以下、90°断面26a90と称す。)の焦点F90は、中心軸AXから、当該レンズ部26aが配置された第1象限の対角に位置する第3象限側へ第1距離L1より長い第2距離L2(例えば、1.2mm)シフトした、縦に延びる隙間SV(厳密には、縦に延びる隙間SVの中心線SVC)上の位置に設定されている。なお、90°断面26a90の焦点F90は、縦に延びる隙間SV上に限定されず、縦に延びる隙間SV近傍(例えば、第3象限に配置された発光面20cのうち、縦に延びる隙間SV近傍部分)に設定されていてもよい。
複数のレンズ断面のうち、45°断面26a45と0°断面26a0との間のレンズ断面(無数に存在する)の焦点位置は、45°断面26a45から0°断面26a0に向かうに従って徐変している。すなわち、45°断面26a45と0°断面26a0との間のレンズ断面の焦点位置は、45°断面26a45から0°断面26a0に向かうに従って徐々に、0°断面26a0の焦点F0位置に近づくように設定されている。例えば、45°断面26a45から0°断面26a0に向かうに従って、中心軸AXと複数のレンズ断面の焦点との間の距離が直線的又は曲線的(例えば二次曲線的)に連続的に増加して、0°断面26a0の焦点F0位置に徐々に近づくように設定されている。これは、矩形形状の発光面20(20a〜20d)が光学系からみて丸型発光光源となるようにするためである。
同様に、複数のレンズ断面のうち、45°断面26a45と90°断面26a90との間のレンズ断面(無数に存在する)の焦点位置は、45°断面26a45から90°断面26a90に向かうに従って徐変している。すなわち、45°断面26a45と90°断面26a90との間のレンズ断面の焦点位置は、45°断面26a45から90°断面26a90に向かうに従って徐々に、90°断面26a90の焦点F90位置に近づくように設定されている。例えば、45°断面26a45から90°断面26a90に向かうに従って、中心軸AXと複数のレンズ断面の焦点との間の距離が直線的又は曲線的(例えば二次曲線的)に連続的に増加して、90°断面26a90の焦点F90位置に徐々に近づくように設定されている。これも、矩形形状の発光面20(20a〜20d)が光学系からみて丸型発光光源となるようにするためである。
なお、第1距離L1は0.3mm、第2距離L2は1.2mmにそれぞれ限定されない。
第2象限に配置されたレンズ部26bは、第1象限に配置されたレンズ部26aを、中心軸AXを中心に90°回転(図4中反時計回り)させたものに相当する。同様に、第3象限に配置されたレンズ部26cは、第1象限に配置されたレンズ部26aを、中心軸AXを中心に180°回転(図4中反時計回り)させたものに相当する。同様に、第4象限に配置されたレンズ部26bは、第1象限に配置されたレンズ部26aを、中心軸AXを中心に270°回転(図4中反時計回り)させたものに相当する。
次に、レンズ14(レンズ部26a〜26d)の生成手順例について説明する。
以下の生成手順は例えば、公知のレンズ設計用のソフトウエア(プログラム)を用いて実行される。
第1象限に配置されたレンズ部26aは、次のようにして生成される。
まず、第1象限に配置されたレンズ部26aの基礎となるレンズ断面形状を設定する。例えば、2×2の格子状に配置された矩形形状の4つの発光面20(20a〜20d)の対角方向を活用する観点から、中心線AX及び第1対角線DL1を含む断面上に、第1象限に配置されたレンズ部26aの基礎となる45°断面26a45の形状(図2(c)参照)を設定する。
次に、第1象限に配置されたレンズ部26aの基礎となる45°断面26a45の焦点F45を、中心軸AXから第1象限の対角に位置する第3象限側に第1距離L1(例えば、0.3mm)シフトした第1対角線DL1上の位置に設定する(図2(c)、図4参照)。
次に、2×2の格子状に配置された矩形形状の4つの発光面20(20a〜20d)の辺方向(底辺及び側辺)近傍を活用する観点から、中心線AX及び横に延びる隙間SH(厳密には、横に延びる隙間SHの中心線SHC)を含む断面上に、第1象限に配置されたレンズ部26aの基礎となる0°断面26a0の形状(図2(d)参照)を設定する。同様に、中心線AX及び縦に延びる隙間SV(厳密には、縦に延びる隙間SVの中心線SVC)を含む断面上に、第1象限に配置されたレンズ部26aの基礎となる90°断面26a90の形状(図2(d)参照)を設定する。
次に、第1象限に配置されたレンズ部26aの基礎となる0°断面26a0の焦点F0を、中心軸AXから第1象限の対角に位置する第3象限側へ第1距離L1(例えば、0.3mm)より長い第2距離L2(例えば、1.2mm)シフトした、横に延びる隙間SH(厳密には、横に延びる隙間SHの中心線SHC)上の位置に設定する(図2(d)、図4参照)。同様に、90°断面26a90の焦点F90を、中心軸AXから第1象限の対角に位置する第3象限側へ第1距離L1(例えば、0.3mm)より長い第2距離L2(例えば、1.2mm)シフトした、縦に延びる隙間SV(厳密には、縦に延びる隙間SVの中心線SVC)上の位置に設定する(図2(d)、図4参照)。
次に、上記3つのレンズ断面の形状(0°断面26a0の形状、45°断面26a45の形状、90°断面26a90)を保持したまま徐変曲面レンズを形成する。
図5(a)、図5(b)は、徐変曲面レンズの徐変生成方法の例である。
例えば、図5(a)に示すように、0°断面26a0の形状、45°断面26a45の形状、90°断面26a90の形状をもとに、それぞれの曲線C0、C45、C90を保持し、45°断面26a45近傍の曲面は拘束として回転軸AX26aの接線ベクトルV方向に曲面32が形成され、0°断面26a0、90°断面26a90近傍においては、回転軸AX26aの接線ベクトルV方向に拘束されない条件として、ベズエ曲面生成方法によって徐変曲面32を形成する。
あるいは、図5(b)に示すように、45°断面26a45近傍の曲面は拘束として回転軸AX26aの接線ベクトルV方向に曲面32が形成され、0°断面26a0、90°断面26a90近傍においても、拘束を与えて回転軸AX26aの接線ベクトルV方向に伸びる条件として、ベズエ曲面生成方法によって徐変曲面32を形成する。
以上により、第1象限に配置されたレンズ部26a(中心角90°)が生成される。
以上の生成手順を、第2象限〜第4象限においても実行することにより、第1象限〜第4象限に配置されたレンズ部26(26b〜26d)を含むレンズ14の基礎となるレンズ部26´(26b´〜26d´)を含む基本レンズ14´が生成される(図6(a)参照)。
次に、各象限のレンズ曲面を合成する方法について説明する。
以下の手順は例えば、公知のレンズ設計用のソフトウエア(プログラム)を用いて実行される。
図6(a)〜図6(e)は、各象限のレンズ曲面を合成する方法の各ステップを表している。
まず、基本レンズ14´(図6(a)参照)を、中心軸AXを含む水平面及び中心軸AXを含む鉛直面によって中心角が90°の4つのレンズ部26a´〜26d´に分割する(図6(b)参照)。
次に、第1象限に配置されたレンズ部26a´の焦点F26a(焦点F0、F45、F90等)と第1象限の対角に位置する第3象限に配置された発光面20cとが、図4に示す位置関係となるように、第1象限に配置されたレンズ部26a´の焦点F26a(焦点F0、F45、F90等)を、中心軸AXから第1象限の対角に位置する第3象限側に移動させる。
同様に、第2象限に配置されたレンズ部26b´の焦点F26b(焦点F0、F45、F90等に相当)を、中心軸AXから第2象限の対角に位置する第4象限側に移動させる(図6(d)参照)。同様に、第3象限に配置されたレンズ部26c´の焦点F26c(焦点F0、F45、F90等に相当)を、中心軸AXから第3象限の対角に位置する第1象限側に移動させる(図6(d)参照)。同様に、第4象限に配置されたレンズ部26d´の焦点F26d(焦点F0、F45、F90等に相当)を、中心軸AXから第4象限の対角に位置する第2象限側に移動させる(図6(d)参照)。
以上の手順を実行することにより、第1象限〜第4象限に配置された4つのレンズ部26(26a〜26d)を含むレンズ14が生成される(図6(e)参照)。
なお、各象限に配置されたレンズ部26(26a〜26d)の境界線付近でオーバーラップした面は、自象限内までを有効面として曲面設定する。図6(d)中、符号A1、A2は、オーバーラップしている部分を表している。
以上が、レンズ14(レンズ部26a〜26d)の基本的な生成手順であるが、レンズ14(レンズ部26a〜26d)設計上の問題(例えば、レンズ14(レンズ部26a〜26d)製造上の問題)を生ずる恐れがある場合には、各象限間の境界面(又はその近傍の面)を、微小な範囲、適宜な面に調整してもよい。
図1、図2(c)、図2(d)に示すように、リフレクタ16は、主に、レンズ14を通して内部構造(例えば、光源12や基板K等)が視認されるのを防ぐための装飾部材で、レンズ14(レンズ部26a〜26d)の外側に配置された環状の反射面16aを備えている。環状の反射面16aは、光源12からの光のうち、レンズ部26a〜26dに入射しない光を前方に向けて反射する反射面として用いられる。環状の反射面16aで反射された光源12からの光は、レンズ14のうち平板形状のレンズ部30(図2(a)、図2(c)等参照)を透過して前方に照射される。
次に、上記構成の照明装置10から照射される照射パターンについて説明する。
図7は照明装置10から照射される光により形成される照射パターンP(写真)、図8(a)は図7に示した照射パターンPの光度分布図(等光度曲線)、図8(b)は図8(a)中の縦軸上の0を通る横軸上の照度分布図である。
図8(a)、図8(b)に示すように、照明装置10から照射される照射パターンPは、発光面20(20a〜20d)間の十字型の隙間(横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SV)に起因するダーク部が改善され、かつ、中心光度(照度)が最大で、周囲に向かうに従って光度(照度)がなだらかに低くなる円形(又は円形に近い形状)の照射パターンとなる。以下、その理由について説明する。
照射パターンPは、図8(a)に示すように、レンズ部26a〜26dを透過した光により形成される照射パターンP1〜P4を含む合成配光パターンとなる。
まず、照射パターンP1について説明する。
照射パターンP1は、主に第1象限に配置されたレンズ部26aを透過した光源12からの光により形成される。
図9(a)〜図9(c)中下段はレンズ14の背面図、図9(a)〜図9(c)中点p10、p145、p190は、第1象限に配置されたレンズ部26aのうち、中心軸AXを中心とする円C1上の点(0°断面26a0、45°断面26a45、90°断面26a90上の中央点)である。
図9(a)〜図9(c)中上段は、下段に示したレンズ部26aのうち、中心軸AXを中心とする円C1上の点p10、p145、p190を通過した投影像P10、P145、P190を表している。投影像とは、2×2の格子状に配置された矩形形状の4つの発光面20(20a〜20d)の投影像(光源像)のことである。なお、投影像P10、P145、P190は、実際には、図10(a)に示すように、重畳した状態で投影される。
第1象限に配置されたレンズ部26aのうち、中心軸AXを中心とする円C1上の点(例えば、点p10、点p145、点p190)を通過した投影像(例えば、投影像P10、P145、P190)は、その通過位置(断面)に応じて、異なるサイズの投影像として、異なる位置へ投影される(図9(a)〜図9(c)、図10(a)参照)。
具体的には、図10(a)に示すように、45°断面26a45上の点p145を通過した投影像P145は照射パターンP1の略中央に投影され、0°断面26a0上の点p10を通過した投影像P10は投影像P145に対して下にシフトした位置に投影され、90°断面26a90上の点p190を通過した投影像P190は投影像P145に対して左にシフトした位置に投影される。投影像P10、P145、P190のサイズは、投影像P10=投影像P190>投影像P145の関係となる。これは、第1象限に配置されたレンズ部26aの複数のレンズ断面の焦点位置が、光源12の中心ではなく、45°断面26a45から、0°断面26a0、90°断面26a90に向かうに従って徐々に、0°断面26a0の焦点F0位置、90°断面26a90の焦点F90位置に近づくように設定されていることによるものである。なお、図9(a)〜図9(c)、図10(a)では、投影像P10、P145、P190を、略同じサイズで描いてあるが、実際には、投影像P10=投影像P190>投影像P145の関係となる。
円C1上の点p145と点p10との間の点を通過した投影像(無数に存在する。図示せず)は、その通過位置(断面)が点p145から点p10に近づくに従って徐々に、その投影像サイズが投影像P10に近づきかつその投影位置も投影像P10に近づく。同様に、円C1上の点p145と点p190との間の点を通過した投影像(無数に存在する。図示せず)は、その通過位置(断面)が点p145から点p190に近づくに従って徐々に、その投影像サイズが投影像P190に近づきかつその投影位置も投影像P190に近づく。これも、第1象限に配置されたレンズ部26aの複数のレンズ断面の焦点位置が、光源12の中心ではなく、45°断面26a45から、0°断面26a0、90°断面26a90に向かうに従って徐々に、0°断面26a0の焦点F0位置、90°断面26a90の焦点F90位置に近づくように設定されていることによるものである。
上記のように、第1象限に配置されたレンズ部26aのうち、中心軸AXを中心とする円C1上の点(例えば、点p10、点p145、点p190)を通過した投影像(例えば、投影像P10、P145、P190)は、その通過位置(断面)に応じて、異なるサイズの投影像として、異なる位置へ投影される(図10(a)参照)。これにより、当該投影像(例えば、投影像P10、P145、P190)の明るい部分(図10(a)中の矩形領域参照)とダーク部(図10(a)中の十字領域参照)とが重なる。その結果、照射パターンP1中の、発光面20(20a〜20d)間の十字型の隙間(横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SV)に起因するダーク部が改善される(図8(a)、図8(b)参照)。
円C1上の点(例えば、点p10、点p145、点p190)を通過した投影像(例えば、投影像P10、P145、P190)の明るい部分(図10(a)中の矩形領域参照)とダーク部(図10(a)中の十字領域参照)との重なり具合や照射パターンP1のサイズは、第1距離L1と第2距離L2に応じて変化する。
本実施形態では、発光面20(20a〜20d)間の十字型の隙間(横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SV)に起因するダーク部が改善され、かつ、求められるサイズの照射パターンPを形成する観点から、第1距離L1を0.3mmに、第2距離L2を1.2mmにそれぞれ設定している。なお、第1距離L1、第2距離L2は、0.3mm、1.2mmにそれぞれ限定されない。例えば、第1距離L1、第2距離L2は、第1距離L1<第2距離L2の関係を前提として、2×2の格子状に配置された矩形形状の4つの発光面20(20a〜20d)の最外径光源サイズの13〜90%の範囲内で、自由に選定することが可能である。例えば、最外径光源サイズが1.5mm(又は約1.5mm)の場合、第1距離L1、第2距離L2は、0.2mm〜1.35mmの範囲内で、自由に選定することが可能である。
第1象限に配置されたレンズ部26aは、円C1以外の中心軸AXを中心とする無数の円(例えば、図9(a)に示す円C2、C3)を含んでいる。これらの中心軸AXを中心とする無数の円(例えば、円C2、C3)上の点(例えば、点p1a、p1b)を通過した投影像(例えば、投影像P1a、P1b)も、上記円C1と同様、その通過位置(断面)に応じて、異なるサイズの投影像として、異なる位置へ投影される(図11(a)参照)。これによっても、当該投影像の明るい部分(図11(a)中の矩形領域参照)とダーク部(図11(a)中の十字領域参照)とが重なる。その結果、照射パターンP1中の、発光面20(20a〜20d)間の十字型の隙間(横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SV)に起因するダーク部が改善される(図8(a)、図8(b)参照)。
また、上記のように、45°断面26a45上の点p145を通過した投影像P145は照射パターンP1の略中央に投影され、0°断面26a0上の点p10を通過した投影像P10は投影像P145に対して下にシフトした位置に投影され、90°断面26a90上の点p190を通過した投影像P190は投影像P145に対して左にシフトした位置に投影される(図10(a)参照)。そして、投影像P10、P145、P190のサイズは、投影像P10=投影像P190>投影像P145の関係となる。これにより、0°断面26a0及び90°断面26a90を通過した投影像(例えば、投影像P10、P190)の照度は、45°断面26a45を通過した投影像(例えば、投影像P145)の照度と比べ、拡散分布し、45°断面26a45を通過した投影像(例えば、投影像26a45)の各辺を膨らませる効果を生ずる(図10(a)参照)。その結果、照射パターンP1は、光源12が矩形形状であるにもかかわらず、円形(又は円形に近い形状)の照射パターンとなる(図8(a)参照)。
これは、45°断面26a45と0°断面26a0との間のレンズ断面(無数に存在する)の焦点位置、及び、45°断面26a45と90°断面26a90との間のレンズ断面(無数に存在する)の焦点位置が、矩形形状の発光面20(20a〜20d)が光学系からみて丸型発光光源となるように設定されていることによるものである。
また、第1象限に配置されたレンズ部26aを通過した投影像は、中心軸AXに近い点を通過する投影像ほど小サイズで高照度となり、かつ、照射パターンP1の中央寄りに投影される。例えば、図11(a)に示すように、円C3上の点p1b(図9(a)参照)を通過した投影像P1b<円C1上の点p10(図9(a)参照)を通過した投影像P10<円C2上の点p1a(図9(a)参照)を通過した投影像P1aの関係となる。その結果、照射パターンP1は、中心光度(照度)が最大で、周囲に向かうに従って光度(照度)がなだらかに低くなる照射パターンとなる(図8(a)、図8(b)参照)。これは、第1象限に配置されたレンズ部26aの屈折率が、中心軸AXに近いほど低く、周囲に向かうに従って高くなることによるものである。
次に、照射パターンP2について説明する。
照射パターンP2は、主に第2象限に配置されたレンズ部26bを透過した光源12からの光により形成される。
照射パターンP2は、照射パターンP1を、中心軸AXを中心に90°回転(図11(a)中反時計回り)させたパターンに相当する(図11(b)参照)。これは、第2象限に配置されたレンズ部26bが、第1象限に配置されたレンズ部26aを、中心軸AXを中心に90°回転させたものに相当することによるものである。
したがって、照射パターンP1と同様、照射パターンP2中の、発光面20(20a〜20d)間の十字型の隙間(横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SV)に起因するダーク部が改善される(図8(a)、図8(b)参照)。また、照射パターンP2は、光源12が矩形形状であるにもかかわらず、円形(又は円形に近い形状)の照射パターンとなる(図8(a)参照)。また、照射パターンP2は、中心光度(照度)が最大で、周囲に向かうに従って光度(照度)がなだらかに低くなる照射パターンとなる(図8(a)、図8(b)参照)。
次に、照射パターンP3について説明する。
照射パターンP3は、主に第3象限に配置されたレンズ部26cを透過した光源12からの光により形成される。
照射パターンP3は、照射パターンP1を、中心軸AXを中心に180°回転(図11(a)中反時計回り)させたパターンに相当する(図11(c)参照)。これは、第3象限に配置されたレンズ部26cが、第1象限に配置されたレンズ部26aを、中心軸AXを中心に180°回転させたものに相当することによるものである。
したがって、照射パターンP1と同様、照射パターンP3中の、発光面20(20a〜20d)間の十字型の隙間(横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SV)に起因するダーク部が改善される(図8(a)、図8(b)参照)。また、照射パターンP3は、光源12が矩形形状であるにもかかわらず、円形(又は円形に近い形状)の照射パターンとなる(図8(a)参照)。また、照射パターンP3は、中心光度(照度)が最大で、周囲に向かうに従って光度(照度)がなだらかに低くなる照射パターンとなる(図8(a)、図8(b)参照)。
次に、照射パターンP4について説明する。
照射パターンP4は、主に第4象限に配置されたレンズ部26dを透過した光源12からの光により形成される。
照射パターンP4は、照射パターンP1を、中心軸AXを中心に270°回転(図11(a)中反時計回り)させたパターンに相当する(図11(d)参照)。これは、第4象限に配置されたレンズ部26dが、第1象限に配置されたレンズ部26aを、中心軸AXを中心に270°回転させたものに相当することによるものである。
したがって、照射パターンP1と同様、照射パターンP4中の、発光面20(20a〜20d)間の十字型の隙間(横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SV)に起因するダーク部が改善される(図8(a)、図8(b)参照)。また、照射パターンP4は、光源12が矩形形状であるにもかかわらず、円形(又は円形に近い形状)の照射パターンとなる(図8(a)参照)。また、照射パターンP4は、中心光度(照度)が最大で、周囲に向かうに従って光度(照度)がなだらかに低くなる照射パターンとなる(図8(a)、図8(b)参照)。
以上のように、照明装置10から照射される照射パターンPは、レンズ部26a〜26dを透過した光により形成される照射パターンP1〜P4を含む合成配光パターンとして形成される。
以上説明したように、本実施形態の照明装置10によれば、発光面20(20a〜20d)間の十字型の隙間(横に延びる隙間SH及び縦に延びる隙間SV)に起因するダーク部が改善された照射パターンP(P1〜P4)を形成することが可能となる。また、本実施形態の照明装置10によれば、光源12が矩形形状であるにもかかわらず、円形(又は円形に近い形状)の照射パターンP(P1〜P4)を形成することが可能となる。また、本実施形態の照明装置10によれば、中心光度(照度)が最大で、周囲に向かうに従って光度(照度)がなだらかに低くなる照射パターンP(P1〜P4)を形成することが可能となる。
以上は、複数のレンズ断面のうち、中央に位置するレンズ断面(45°断面26a45)と一端(又は一端近傍)に位置するレンズ断面(0°断面26a0)との間のレンズ断面の焦点位置が、光源12の中心ではなく、45°断面26a45から0°断面26a0に向かうに従って徐々に、0°断面26a0の焦点F0位置に近づくように設定されており、また、複数のレンズ断面のうち、中央に位置するレンズ断面(45°断面26a45)と他端(又は他端近傍)に位置するレンズ断面(90°断面26a90)との間のレンズ断面の焦点位置が、光源12の中心ではなく、45°断面26a45から90°断面26a90に向かうに従って徐々に、90°断面の焦点F90位置に近づくように設定されていることによるものである。
また、本実施形態の照明装置10によれば、2×2の格子状に配置された矩形形状の4つの発光面20(20a〜20d)の発光色度が一定でなく色度分布がある場合においても、各象限に配置されたレンズ部26a〜26dを通過した投影像が、その通過位置に応じて、ずれて重なった状態で投影される結果、発光色ムラも照射パターンPの一部に集中することがなくなり、照射パターンPの色ムラを解消できる。
また、本実施形態の照明装置10によれば、光分散効果のあるシボ加工などを用いずに、光制御を応用し実現した分散光学系であるので、シボ加工のように金型表面精度や、シボ表面状態の継時変化の影響に依存せず、耐久性のある製品を実現できる。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、入射面22の面形状を、所定曲面(例えば、光源12側に凸の曲面)を同心円状の複数領域に分割して、略平面状に並べ替えた複数のフレネル面とし、出射面24の面形状を、中心軸AXに直交する平面とした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、入射面22の面形状を、中心軸AXに直交する平面とし、出射面24の面形状を、所定曲面(例えば、反光源12側に凸の曲面)を同心円状の複数領域に分割して、略平面状に並べ替えた複数のフレネル面としてもよい。
あるいは、入射面22の面形状を、中心軸AXに直交する平面、光源12側に凸の曲面又は光源12側に凹の曲面のいずれかとし、出射面24の面形状を、反光源12側に凸の曲面又は反光源12側に凹の曲面のいずれかとしてもよい。
例えば、出射面24の面形状を、反光源12側に凸の曲面とすることで、出射面24のうち各象限に配置されたレンズ部26(26a〜26d)の境界線に稜線(エッジ)が現れる新規見栄えのレンズ14を構成することが可能となる。これは、第1象限に配置されたレンズ部26aの複数のレンズ断面の焦点位置が、光源12の中心ではなく、45°断面26a45から、0°断面26a0、90°断面26a90に向かうに従って徐々に、0°断面26a0の焦点F0位置、90°断面26a90の焦点F90位置に近づくように設定されていることによるものである。
また、上記実施形態では、レンズ14が、中心軸AXを含む2個の平面によって分割される4個の象限に配置されたレンズ部26(26a〜26d)を含む例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、レンズ14は、中心軸AXを含む2×N個(但し、Nは、1、2、3)の平面によって均等(又は略均等)に分割される4×N個の象限に配置されたレンズ部を含んでいてもよい。なお、2×N個の平面は、少なくとも、中心軸AX及び横に延びる隙間SH(厳密には、横に延びる隙間SHの中心線SHC)を含む平面と、中心軸AX及び縦に延びる隙間SV(厳密には、縦に延びる隙間SVの中心線SVC)を含む平面と、を含む。
また、上記実施形態では、光源12として、発光面間に十字型の隙間が形成されるように2×2の格子状に配置された矩形形状の4つの発光面20(20a〜20d)を含む光源を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、光源12として、図4に示す4つの発光面20a〜20dを、十字型の隙間を含まない1つの矩形形状の発光面(例えば、2.2mm角)で置き換えた光源を用いてもよい。
このようにすれば、光源12が矩形形状であるにもかかわらず、円形(又は円形に近い形状)の照射パターンP(P1〜P4)を形成することが可能となる。また、中心光度(照度)が最大で、周囲に向かうに従って光度(照度)がなだらかに低くなる照射パターンP(P1〜P4)を形成することが可能となる。
以上は、複数のレンズ断面のうち、中央に位置するレンズ断面(45°断面26a45)と一端(又は一端近傍)に位置するレンズ断面(0°断面26a0)との間のレンズ断面の焦点位置が、光源12の中心ではなく、45°断面26a45から0°断面26a0に向かうに従って徐々に、0°断面26a0の焦点F0位置に近づくように設定されており、また、複数のレンズ断面のうち、中央に位置するレンズ断面(45°断面26a45)と他端(又は他端近傍)に位置するレンズ断面(90°断面26a90)との間のレンズ断面の焦点位置が、光源12の中心ではなく、45°断面26a45から90°断面26a90に向かうに従って徐々に、90°断面の焦点F90位置に近づくように設定されていることによるものである。
また、上記実施形態では、1つの光源12、1つのレンズ14、1つのリフレクタ16を用いて、照明装置10を構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、より明るく大光量であることが求められる場合には、図12、図13に示すように、複数の光源12、複数のレンズ14、複数のリフレクタ16を用いて、照明装置10を構成してもよい。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。