JP5935839B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池システムを構成する燃料電池スタックは、燃料ガスと酸素含有の酸化剤ガスの供給を受けて発電し、その発電電力を外部の負荷に出力する。こうした燃料電池システムでは、通常、外部の負荷が要求する要求電力に対応したガス量で上記の燃料ガスと酸化剤ガス、例えば水素ガスと空気が供給される。燃料電池の発電は、プロトン伝導性を有する電解質膜を介した水素ガス中の水素と空気中の酸素の電気化学的な反応に基づいており、電解質膜は適宜な湿潤状態でプロトン伝導性を発揮し、出力は安定する。このため、電解質膜が過乾燥であったり過湿潤であると出力が安定しないので、電解質膜の過乾燥や過湿潤を抑制することが望ましい。ところで、要求される負荷は、一律とは限らず、例えば燃料電池システムを搭載した車両では、アクセルの急踏込に伴う負荷の急増やアクセルの戻しに伴う負荷の低減が往々にして繰り返される。こうした負荷変動の過渡において、電解質膜の過乾燥や過湿潤を上記した負荷低減の過渡期においても抑制する手法が提案されている(例えば、特許文献1等)。
特開2012−109182号公報
上記した特許文献では、負荷低減の過渡期における電解質膜の過乾燥や過湿潤を抑制するに当たり、燃料電池スタックの温度調整に用いる冷媒温度を、電解質膜の過乾燥や過湿潤の検知に伴って制御している。しかしながら、負荷変動の過渡期では、負荷変動に応じたガス供給制御に伴う出力変動もなされていることから、冷媒の温度制御だけでは電解質膜の過乾燥や過湿潤の抑制に限界がある。こうしたことから、負荷変動過渡期における電解質膜の過乾燥や過湿潤の抑制の実効性を高めることが要請されるに到った。
本発明は、上記した課題を踏まえ、負荷変動過渡期における電解質膜の過乾燥や過湿潤の抑制の実効性を高め得る新たな手法を提供することを目的とする。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池スタックと、該燃料電池スタックに求められる負荷要求に基づいた前記燃料電池スタックへの前記反応ガスのガス供給制御を経て、負荷への出力を制御する出力制御部と、前記燃料電池スタックを含む循環経路を有し、該循環経路での冷媒循環により前記燃料電池スタックの温度調整を行う冷媒循環制御部と、前記負荷要求に基づいて、負荷変動の過渡の状況か否かを判断する負荷変動判断部と、前記燃料電池スタックの湿潤状態を判断する湿潤判断部とを備える。そして、冷媒循環制御部は、前記負荷変動判断部が負荷変動の増大過渡の状況にあると判断し、前記湿潤判断部が過湿潤の状態にあると判断すると、前記出力制御部による前記負荷要求に基づいた出力の増加タイミングに対して、前記冷媒の循環流量の増加タイミングを遅延側にずらす。
この形態の燃料電池システムは、要求負荷に増大を来した負荷の増大過渡の状況において燃料電池スタックの湿潤状態が過湿潤であると、負荷の増大要求に基づいたガス供給制御を実行して発電電力を負荷に出力するものの、燃料電池スタックの温度調整に関与する冷媒の循環流量の増加タイミングを出力の増加タイミングに対して遅延することで、冷媒循環を負荷の増大変動前の状態に維持する。よって、次の利点がある。燃料電池スタックの湿潤状態が過湿潤な状態から適正の側に推移させるには、水分持ち去りの増大が有益であり、負荷要求の増大に基づいたガス供給制御は、反応ガスの供給増大であることから、水分持ち去りに寄与する。こうした状況において、仮に冷媒の循環流量の増加を出力増加と並行実行すると、出力増加時点からの冷媒循環流量の増加により燃料電池スタックの温度は低下するので、供給されるガスについても温度低下を来し、ガスに含まれ得る飽和水蒸気量は低下する。よって、負荷要求の増大に基づいたガス供給制御による水分の持ち去り効率を低減させかねない。しかしながら、上記形態の燃料電池システムにでは、冷媒循環を負荷の増大変動前の状態を維持することで、燃料電池スタックの温度低下を抑制するので、ガス中の飽和水蒸気量の低下をさほど招かない。こうしたことから、上記形態の燃料電池システムによれば、負荷要求の増大に基づいたガス制御による水分の持ち去り効率を維持、もしくは水分の持ち去り効率の低減を抑制でき、燃料電池スタックの湿潤状態を過湿潤な状態から適正の側に推移させることが可能となる。
(2)他の形態による燃料電池システムは、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池スタックと、該燃料電池スタックに求められる負荷要求に基づいた前記燃料電池スタックへの前記反応ガスのガス供給制御を経て、負荷への出力を制御する出力制御部と、前記燃料電池スタックを含む循環経路を有し、該循環経路での冷媒循環により前記燃料電池スタックの温度調整を行う冷媒循環制御部と、前記負荷要求に基づいて、負荷変動の過渡の状況か否かを判断する負荷変動判断部と、前記燃料電池スタックの湿潤状態を判断する湿潤判断部とを備える。そして、冷媒循環制御部は、前記負荷変動判断部が負荷変動の低減過渡の状況にあると判断し、前記湿潤判断部が過乾燥の状態にあると判断すると、前記出力制御部による前記負荷要求に基づいた出力の低下タイミングに対して、前記冷媒の循環流量の低減タイミングを遅延側にずらす。
この形態の燃料電池システムは、要求負荷に低減を来した負荷の低減過渡の状況において燃料電池スタックの湿潤状態が過乾燥であると、負荷の低減要求に基づいたガス供給制御を実行して負荷に発電電力を出力するものの、前記燃料電池スタックの温度調整に関与する前記冷媒の循環流量の低減タイミングを出力の低減タイミングに対して遅延することで、冷媒循環を負荷の低減変動前の状態に維持する。よって、次の利点がある。燃料電池スタックの湿潤状態が過乾燥な状態から適正の側に推移させるには、水分持ち去りを抑制することが有益であり、負荷要求の低減に基づいたガス供給制御は、反応ガスの供給低減であることから、水分持ち去りの抑制に寄与する。こうした状況において、仮に冷媒の循環流量の低減を出力低下と並行実行すると、出力低下時点からの冷媒循環流量の低減により燃料電池スタックの温度低下は緩慢となり、供給されるガスについても温度が高いままとなってガスに含まれ得る飽和水蒸気量は大きいままとなり得る。よって、負荷要求の低減に基づいたガス供給制御による水分の持ち去りの抑制効率を低減させかねない。しかしながら、上記形態の燃料電池システムにでは、冷媒循環を負荷の低減変動前の状態を維持することで、燃料電池スタックの温度低下を維持もしくは促進するので、ガス中の飽和水蒸気量を小さくできる。こうしたことから、上記形態の燃料電池システムによれば、負荷要求の低減に基づいたガス制御による水分の持ち去りの抑制効率を維持、もしくは水分の持ち去りの抑制効率を低減させないようにでき、燃料電池スタックの湿潤状態を過乾燥な状態から適正の側に推移させることが可能となる。
本発明は、燃料電池スタックの運転方法や、燃料電池システムを搭載してその発電電力を駆動力として用いる車両、燃料電池システムを設置して燃料電池スタックを発電源とする定置式の発電システムとしても適用できる。
本発明の実施形態としての燃料電池搭載車両20を概略的に平面視して示す説明図である。 要求負荷の変動過渡の状況下における燃料電池スタック100の発電制御のうち要求負荷の増大過渡の状況下での制御手順を示すフローチャートである。 要求負荷の増大過渡の状況下における過湿潤回復処理の内容を説明する説明図である。 要求負荷の増大過渡の状況下における過湿潤回復処理で得られる過湿潤適正化の様子を概略的に示す説明図である。 要求負荷の低減過渡の状況下における燃料電池スタック100の発電制御の制御手順を示すフローチャートである。 要求負荷の低減過渡の状況下における過乾燥回復処理の内容を説明する説明図である。 要求負荷の低減過渡の状況下における過乾燥回復処理で得られる過乾燥適正化の様子を概略的に示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態としての燃料電池搭載車両20を概略的に平面視して示す説明図である。
図示するように、この燃料電池搭載車両20は、車体22に、燃料電池システム30を搭載する。この燃料電池システム30は、燃料電池スタック100と、水素ガスタンク110を含む水素ガス供給系120と、モーター駆動のコンプレッサ130を含む空気供給系140と、ラジエータ150およびファン152を含む冷却系160と、2次電池172と、DC/DCコンバーター174とを備える。燃料電池システム30は、燃料電池スタック100の発電電力、或いは2次電池172の充電電力を、前輪駆動用のモーター170を始めとする負荷に出力する。
燃料電池スタック100は、電池セルを備え、この電池セルは、図1の拡大模式図に示すように、電解質膜101の両側にアノード102とカソード103の両電極を備える。アノード102とカソード103は、電解質膜101の両膜面に接合され電解質膜101と共に膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)を形成する。この他、電池セルは、上記のMEAを両側から挟持するアノード側ガス拡散層104とカソード側ガス拡散層105とを備え(図1参照)、両ガス拡散層は、対応する電極に接合されている。
電解質膜101は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。アノード102およびカソード103は、触媒(例えば白金、あるいは白金合金)を備えており、これらの触媒を、導電性を有する担体(例えば、カーボン粒子)上に担持させることによって形成されている。アノード側ガス拡散層104とカソード側ガス拡散層105は、ガス透過性を有する導電性で多孔質な部材、例えば、カーボンペーパやカーボンクロスを多孔質基材として形成される。
燃料電池スタック100は、上記した電池セルを積層して構成されたスタック構造とされ、前輪FWと後輪RWの間において車両床下に位置する。そして、燃料電池スタック100は、後述の水素ガス供給系120と空気供給系140から供給された水素ガス中の水素と空気中の酸素との電気化学反応を各電池セルユニットにて起こして発電し、その発電電力にてモーター170等の負荷を駆動する。燃料電池スタック100の発電状態は電流センサー106にて計測され、その計測結果は電流センサー106から後述の制御装置200に出力される。この場合、電池セルユニットの積層数は、燃料電池スタック100に要求される出力に応じて任意に設定可能である。
水素ガス供給系120は、水素ガスタンク110から燃料電池スタック100に到る水素供給経路121と、未消費の水素ガス(アノードオフガス)を水素供給経路121に循環させる循環経路122と、アノードオフガスを大気放出するための放出経路123を備える。そして、この水素ガス供給系120は、水素供給経路121の開閉バルブ124の経路開閉と、減圧バルブ125での減圧を経て、水素ガスタンク110の水素ガスを燃料電池スタック100(詳しくは、各電池セルのアノード102)に供給する。この際、水素ガス供給系120は、減圧バルブ125の下流の水素供給機器126にて調整した流量と、循環経路122の循環ポンプ127にて調整した循環流量との合算した流量の水素ガスを、燃料電池スタック100のアノードに供給する。また、水素ガス供給系120は、減圧バルブ125での減圧程度を変えることで、種々のガス圧力で水素ガスを燃料電池スタック100のアノードに供給する。燃料電池スタック100に水素ガスを供給する際の水素ガス流量とガス圧力は、アクセル180の操作に基づいて、後述の制御装置200にて定められ、燃料電池スタック100に求められる負荷に応じたものとなる。そして、本実施形態の燃料電池スタック100では、制御装置200による減圧バルブ125での減圧調整と水素供給機器126での流量調整とにより、水素ガス供給の際の水素ガスのガス流量とガス圧力とを個別に調整可能とされている。なお、水素ガス供給系120は、循環経路122から分岐した放出経路123の開閉バルブ129の開閉調整を経て、適宜、アノードオフガスを放出経路142を経て大気放出する。
空気供給系140は、コンプレッサ130を経て燃料電池スタック100に到る酸素供給経路141と、未消費の空気(カソードオフガス)を大気放出する放出経路142とを備える。そして、この空気供給系140は、酸素供給経路141の開口端から取り込んだ空気を、コンプレッサ130での流量調整とその下流の圧力調整バルブ145での圧力調整を経た上で、燃料電池スタック100(詳しくは、各電池セルのカソード103)に、通常は酸素供給経路141を経て供給しつつ、放出経路142の排出流量調整バルブ143で調整された流量でカソードオフガスを放出経路142を経て大気放出する。このように空気供給系140にて空気供給とカソードオフガス排出とを行う場合、空気供給系140は、酸素供給経路141の排出流量調整バルブ143を所定開度にした上で、コンプレッサ130にて空気を供給する。この際の空気供給量にあっても、水素ガスと同様に、アクセル180の操作に基づいて制御装置200にて定められ、燃料電池スタック100に求められる負荷に応じた供給量となる。そして、本実施形態の燃料電池スタック100では、制御装置200によるコンプレッサ130での流量調整と圧力調整バルブ145での圧力調整とにより、空気供給の際の空気のガス流量とガス圧力とを個別に調整可能とされている。なお、排出流量調整バルブ143は、制御装置200による流量調整を経て、カソード側の背圧についてもこれを調整する。
冷却系160は、ラジエータ150から燃料電池スタック100への冷却媒体の循環を図る循環経路161と、バイパス経路162と、経路合流点の三方流量調整弁163と、循環ポンプ164と、温度センサー166を備える。そして、この冷却系160は、ラジエータ150にて熱交換した冷却媒体を循環経路161を経て燃料電池スタック100の図示しないセル内循環経路に導き、燃料電池スタック100を所定温度に冷却する。この場合、循環ポンプ164の駆動量、即ち冷却媒体の循環供給量や、三方流量調整弁163による調整流量は、温度センサー166の検出温度たる燃料電池温度(セル温度)や電流センサー106の検出した発電状態に基づいて、制御装置200にて定められる。
2次電池172は、DC/DCコンバーター174を介して燃料電池スタック100に接続されており、燃料電池スタック100とは別の電力源として機能し、モーター170等に供給する電力源として燃料電池スタック100と併用される。本実施例では、燃料電池スタック100をアクセル180の踏込に応じた発電状態下で運転制御(通常制御)することを前提とするので、燃料電池スタック100の運転停止状態において、2次電池172は、その充電電力をモーター170に供給する。2次電池172としては、例えば、鉛充電池や、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などを採用することができる。2次電池172には、容量検出センサー176が接続され、当該センサーは、2次電池172の充電状態を検出し、その検出充電量(電池容量)を制御装置200に出力する。
DC/DCコンバーター174は、2次電池172の充・放電を制御する充放電制御機能を有しており、制御装置200の制御信号を受けて2次電池172の充・放電を制御する。この他、DC/DCコンバーター174は、燃料電池スタック100の発電電力および2次電池172の蓄電電力の引出とモーター170への電圧印加とを、制御装置200の制御下で行い、電力引出状態とモーター170に掛かる電圧レベルを可変に調整する。
制御装置200は、論理演算を実行するCPUやROM、RAM等を備えたいわゆるマイクロコンピュータで構成され、アクセル180等のセンサー入力を受けて燃料電池搭載車両20の種々の制御を司る。例えば、制御装置200は、アクセル180の操作状態に応じたモーター170への要求電力(要求負荷)を求め、その要求電力が燃料電池スタック100の発電で得られるよう、或いは、2次電池172の充電電力、もしくはこの両者で賄うよう、燃料電池スタック100を発電制御して当該スタックからの発電電力の出力を制御しつつ、モーター170に電力を供給する。モーター170への要求負荷を燃料電池スタック100の発電で得る場合には、制御装置200は、その要求負荷に見合うよう水素ガス供給系120や空気供給系140でのガス供給量(ガス流量)やガス圧力を制御(通常制御)する。また、制御装置200は、モーター170への要求電力に応じて、DC/DCコンバーター174を制御する。
この他、制御装置200は、車速センサー182の検出した車速や、外気温センサー184の検出した外気温、水素ガス供給系120において流量センサー128が検出した水素ガス流量、空気供給系140において流量センサー147の検出したエアー流量、容量検出センサー176が検出した2次電池172の電池容量(以下、SOC)等を、上記した制御を行う上での制御パラメータとして入力する。
次に、上記した構成を有する燃料電池搭載車両20の制御装置200が要求負荷変動の過渡状況において行う燃料電池スタック100の発電制御について説明する。要求負荷変動の過渡状況は、要求負荷の増大過渡の状況と低減過渡の状況に分けられるので、まず、要求負荷の増大過渡の状況下での制御について説明する。図2は要求負荷の変動過渡の状況下における燃料電池スタック100の発電制御のうち要求負荷の増大過渡の状況下での制御手順を示すフローチャートである。要求負荷の低減過渡の状況下での制御については、図5以降の図を用いて後述する。
制御装置200は、燃料電池システム30が起動すると、ドライバーからの燃料電池搭載車両20に対する駆動要求(要求負荷)に基づいて燃料電池スタック100を発電制御する通常運転制御を、通常、常時実行している。この際の燃料電池搭載車両20に対するドライバーからの駆動要求は、ドライバーによるアクセル180の踏込操作量やその踏込速度等から要求電力Pt(要求負荷)として取得される。そして、この要求電力Ptが得られるよう、制御装置200は、既述したように水素ガスおよび空気のガス流量・ガス圧力を、燃料電池のI−V特性、I−P特性等を参照して算出し、その算出したガス流量・ガス圧力で、水素ガスおよび空気を燃料電池スタック100に供給する。こうした通常の発電制御を行いつつ、制御装置200は、図2に示す要求負荷の変動過渡の状況下における燃料電池スタック100の発電制御を繰り返し実行する。この図2の発電制御では、まず、制御装置200は、アクセル180(図1参照)の踏込操作量やその踏込速度等の踏込操作状況を図示しないアクセルセンサーから読み取り、そのセンサー出力に基づいて、要求負荷を取得し(ステップS100)、冷却水温度、換言すれば燃料電池スタック100のセル温度についても、温度センサー166(図1参照)から取得する(ステップS110)。
次いで、制御装置200は、取得した要求負荷の推移から、現状の負荷の要求状況が負荷増減の過渡の状況にあるか否かを判断し(ステップS120)、ここで、負荷増減の過渡状況に無いと判断すると、要求負荷増大状況下フラグFuwと要求負荷低減状況下フラグFddを共にリセットして、一旦処理を終了する。よって、この場合は、図2の制御の影響を受けること無く、通常の発電制御がなされる。要求負荷増大状況下フラグFuwは、現状の負荷要求が増大の過渡であって、更に燃料電池スタック100における電解質膜101の湿潤状態が過湿潤であるとセットされる。要求負荷低減状況下フラグFddは、現状の負荷要求が低減の過渡であって、更に燃料電池スタック100における電解質膜101の湿潤状態が過乾燥であるとセットされる。これらフラグのセット状況については後述する。
負荷変動の過渡の状況は、負荷増大の過渡状況或いは負荷低減の過渡状況のいずれかであることから、制御装置200は、ステップS120で負荷の増減変動の状況にあると判断すると、負荷過渡の種別に応じて、図2のステップS130以降の処理、或いは後述する図5のステップS150以降の処理を行う。ステップS120で負荷増大の過渡状況であると判断すると、制御装置200は、要求負荷増大状況下フラグFuwがセット状態にあるか否かを判断する(ステップS130)。この要求負荷増大状況下フラグFuwは、現状の負荷要求が増大の過渡であって、更に燃料電池スタック100における電解質膜101の湿潤状態が過湿潤であると後述のステップS142にてセットされるものである。よって、ステップS120で負荷の増大過渡であると最初に判断した場合は、要求負荷増大状況下フラグFuwは未だセットされていないので、ステップS130では否定判断される。このステップS130での否定判断に続き、制御装置200は、温度センサー166から取得済みの冷却水温度を基準温度αと対比する(ステップS141)。冷却水温度は、燃料電池スタック100の温度、即ちMEA(図1参照)における電解質膜101の温度と相関があるので、ステップS141では、MEAの温度が基準温度αと対比されることになる。本実施形態では、この基準温度αを、燃料電池スタック100の暖気前の温度であってMEAが適正な湿潤状態にある場合を想定したMEA適正温度(例えば80℃)より低い温度とし、MEAが過湿潤にある時に発現しがちな温度(例えば40℃)とした。よって、ステップS141で肯定判断すると、冷却水温度が低い故にMEAの過湿潤が起き得ていると想定されることから、ステップS120での負荷の増大過渡の判断と相まって、要求負荷増大状況下フラグFuwに値1をセットする(ステップS142)。よって、この要求負荷増大状況下フラグFuwのセット以降にあっては、燃料電池スタック100は、負荷要求が増大の過渡であって、更に電解質膜101の湿潤状態が過湿潤であることになるので、制御装置200は、過湿潤の適正化を図るべく、後述のステップS143に移行する。
一方、ステップS141で否定判断すると、燃料電池スタック100は、負荷要求が増大の過渡であるとはいえ、電解質膜101の湿潤状態は過湿潤ではないので、過湿潤の適正化は無用であるとして、一旦処理を終了する。
過湿潤の適正化を図るためのステップS143では、制御装置200は、要求負荷の増大に対応したガスの増量供給制御を行った上で、電流センサー106(図1参照)から得たセンサー出力にて燃料電池スタック100の発電運転状況を監視し、その監視結果から発電電力をモーター170に出力する。この電力出力は、要求負荷の増大に対応する都合上、出力増加となる。一方、制御装置200は、要求負荷の増大に伴いセル温度の上昇が予想されるが、冷却系160における冷却水の循環流量、即ちセル冷却のために燃料電池スタック100を通過する冷却水流量については、これを維持して、一旦処理を終了する。
このステップS143を経た以降の新たな本ルーチンでは、既述したように要求負荷の取得(ステップS100)、冷却水温度の取得(ステップS110)に続き、負荷増減の過渡判断(ステップS120)がなされる。そして、その後のステップS130では、先の本ルーチンのステップS142での要求負荷増大状況下フラグFuwのセットを受けて肯定判断される。そうすると、制御装置200は、改めて冷却水温度を基準温度αと対比する(ステップS144)。この温度対比は、要求負荷の増大に伴うガス増量制御およびその出力増加を経た後に、冷却水温度がどの程度、基準温度αから上昇しているのかを判断するためのものである。本実施例では、この上昇程度α0を、15℃程度とし、ステップS144では、燃料電池スタック100のセル温度が、暖機運転を図る際に見られるセル温度(=55℃=α+α0)に達したか否かを判断することになる。このステップS144で否定判断すると、制御装置200は、ステップS143に移行して、要求負荷の増大に対応したガスの増量供給制御とこれに伴う出力増加を行い、冷却水の循環流量についてはこれを維持して、一旦処理を終了する。つまり、要求負荷増大状況下フラグFuwがセットされた以降は、冷却水温度が暖機運転セル温度(=55℃=α+α0)に達する間において、要求負荷の増大に対応した出力増加と冷却水の循環流量の維持とが継続されることになる。
冷却水温度が暖機運転セル温度(=55℃=α+α0)に達して、ステップS144にて肯定判断すると、制御装置200は、モーター170への電力の出力増加については、要求負荷の増大に対応して継続し、冷却水の循環流量については、暖機運転セル温度を維持できるような循環流量となるよう、冷却水流量を増加制御して(ステップS145)、一旦処理を終了する。図3は要求負荷の増大過渡の状況下における過湿潤回復処理の内容を説明する説明図、図4は要求負荷の増大過渡の状況下における過湿潤回復処理で得られる過湿潤適正化の様子を概略的に示す説明図である。
図3は、ある時刻(以下、開始時刻ts)において要求負荷が急増し、所定時間経過後の時刻(以下、終了時刻tm)までの負荷要求の増大過渡状況下における発電電力の出力推移および冷却水の流量推移を示している。この図3に示すように、開始時刻tsから終了時刻tmまでの負荷要求の増大過渡状況下において、冷却水温度が基準温度αより低い(ステップS141:肯定判断)ために過湿潤であるので、既述したステップS143の処理により、燃料電池スタック100の発電電力は、開始時刻tsから増加出力される。これに対し、冷却水流量の増加制御は、モーター170への電力の出力増加タイミング(開始時刻ts)に対して、冷却水温度が暖機運転セル温度(=55℃=α+α0)に達するまでの期間に亘って遅延したタイミング(遅延時刻ta)でなされることになる。
MEAの過湿潤の湿潤適正推移には、カソード103での生成水の水分持ち去りの増大や、アノード102に拡散した拡散水の持ち去りの増大が有益である。そして、負荷要求の増大に基づいたガス供給制御は、反応ガスの供給増大であることから、水分持ち去りに寄与する。その一方、カソード103およびアノード102を通過するガスに含まれ得る水分量は、ガスの飽和水蒸気量に依存し、ガス温度、即ちセル温度が低いほど、少なくなる。本実施形態の燃料電池スタック100では、負荷要求の増大過渡状況下においてMEAが過湿潤であると、開始時刻tsから遅延時刻taまでの間において、冷却水の流量増大を遅延するので、この遅延期間においては、冷却水によるセル温度の低下、延いてはガス温度の低下を抑制する。これにより、燃料電池スタック100のMEAでは、ガス中の飽和水蒸気量の低下をさほど招かない状態で、水分持ち去りの増大に有益な反応ガスの増大供給とこれに伴う出力増加がなされることになる。
次に、図2のステップS120において負荷低減の過渡状況であると判断した場合の制御について説明する。図5は要求負荷の低減過渡の状況下における燃料電池スタック100の発電制御の制御手順を示すフローチャートである。制御装置200は、ステップS120での要求負荷の低減過渡状況の判断に続き、要求負荷低減状況下フラグFddがセット状態にあるか否かを判断する(ステップS150)。この要求負荷低減状況下フラグFddは、現状の負荷要求が低減の過渡であって、更に燃料電池スタック100における電解質膜101の湿潤状態が過乾燥であると後述のステップS152にてセットされるものである。よって、ステップS120で負荷の低減過渡であると最初に判断した場合は、要求負荷低減状況下フラグFddは未だセットされていないので、ステップS150では否定判断される。このステップS150での否定判断に続き、制御装置200は、温度センサー166から取得済みの冷却水温度を基準温度βと対比する(ステップS151)。本実施形態では、この基準温度βを、燃料電池スタック100の暖気温度より高く、MEAが適正な湿潤状態にある場合を想定したMEAの適正温度の上限温度(例えば80℃)とした。よって、ステップS151で肯定判断すると、冷却水温度が高い故にMEAの過乾燥が起き得ていると想定されることから、ステップS120での負荷の低減過渡の判断と相まって、要求負荷低減状況下フラグFddに値1をセットする(ステップS152)。よって、この要求負荷低減状況下フラグFddのセット以降にあっては、燃料電池スタック100は、負荷要求が低減の過渡であって、更に電解質膜101の湿潤状態が過乾燥であることになるので、制御装置200は、過乾燥の適正化を図るべく、後述のステップS153に移行する。
一方、ステップS151で否定判断すると、燃料電池スタック100は、負荷要求が低減の過渡であるとはいえ、電解質膜101の湿潤状態は過乾燥ではないので、過乾燥の適正化は無用であるとして、一旦処理を終了する。
過乾燥の適正化を図るためのステップS153では、制御装置200は、要求負荷の低減に対応したガスの低減供給制御を行った上で、電流センサー106(図1参照)から得たセンサー出力にて燃料電池スタック100の発電運転状況を監視し、その監視結果から発電電力をモーター170に出力する。この電力出力は、要求負荷の低減に対応する都合上、出力低下となる。一方、制御装置200は、要求負荷の低減に伴いセル温度の低下が予想されるが、冷却系160における冷却水の循環流量については、これを維持して、一旦処理を終了する。
このステップS153を経た以降の新たな本ルーチンでは、既述したように要求負荷の取得(ステップS100)、冷却水温度の取得(ステップS110)に続き、負荷増減の過渡判断(ステップS120)がなされる。そして、その後のステップS150では、先の本ルーチンのステップS152での要求負荷低減状況下フラグFddのセットを受けて肯定判断される。そうすると、制御装置200は、改めて冷却水温度を基準温度βと対比する(ステップS154)。この温度対比は、要求負荷の低減に伴うガス低減制御およびその出力低下を経た後に、冷却水温度が基準温度βまで低下しているのかを判断するためのものである。このステップS154で否定判断すると、制御装置200は、ステップS153に移行して、要求負荷の低減に対応したガスの低減供給制御とこれに伴う出力低下を行い、冷却水の循環流量についてはこれを維持して、一旦処理を終了する。つまり、要求負荷低減状況下フラグFddがセットされた以降は、基準温度βを超えていた冷却水温度がこの基準温度βまで低下する間において、要求負荷の低減に対応した出力低下と冷却水の循環流量の維持とが継続されることになる。
冷却水温度が基準温度βまで低下して、ステップS154にて肯定判断すると、制御装置200は、モーター170への電力の出力低下については、要求負荷の低減に対応して継続し、冷却水の循環流量については、基準温度βを維持できるような循環流量となるよう、冷却水流量を低減制御して(ステップS155)、一旦処理を終了する。図6は要求負荷の低減過渡の状況下における過乾燥回復処理の内容を説明する説明図、図7は要求負荷の低減過渡の状況下における過乾燥回復処理で得られる過乾燥適正化の様子を概略的に示す説明図である。
図6は、ある時刻(以下、開始時刻ts)において要求負荷が急減し、所定時間経過後の終了時刻tmまでの負荷要求の低減過渡状況下における発電電力の出力推移および冷却水の流量推移を示している。この図6に示すように、開始時刻tsから終了時刻tmまでの負荷要求の低減過渡状況下において、冷却水温度が基準温度βより高い(ステップS151:肯定判断)ために過乾燥であるので、既述したステップS153の処理により、燃料電池スタック100の発電電力は、開始時刻tsから低減出力される。これに対し、冷却水流量の低減制御は、モーター170への電力の出力低下タイミング(開始時刻ts)に対して、冷却水温度が基準温度βまで低下する期間に亘って遅延したタイミング(遅延時刻ta)でなされることになる。
MEAの過乾燥の湿潤適正推移には、カソード103での生成水の水分持ち去りの抑制や、アノード102に拡散した拡散水の持ち去りの抑制が有益である。そして、負荷要求の低減に基づいたガス供給制御は、反応ガスの供給低減であることから、水分持ち去りの抑制に寄与する。その一方、カソード103およびアノード102を通過するガスに含まれ得る水分量は、ガスの飽和水蒸気量に依存し、ガス温度、即ちセル温度が高いほど、多くなる。本実施形態の燃料電池スタック100では、負荷要求の低減過渡状況下においてMEAが過乾燥であると、開始時刻tsから遅延時刻taまでの間において、冷却水の流量低減を遅延するので、この遅延期間においては、冷却水によるセル温度の低下の維持、もしくは低下を促進する。これにより、燃料電池スタック100のMEAでは、ガス中の飽和水蒸気量を小さくした状態で、水分持ち去りの抑制に有益な反応ガスの低減供給とこれに伴う出力低下がなされることになる。
以上説明したように、本実施例の燃料電池搭載車両20に搭載した燃料電池システム30は、負荷変動の過渡の状況において燃料電池スタック100の湿潤状態が湿潤適正の状態から逸脱しているかを判断する(ステップS110)。そして、燃料電池システム30は、負荷の増大を来した開始時刻tsから終了時刻tmまでの負荷要求の増大過渡状況下において電解質膜101の湿潤状態が過湿潤であると(ステップS141:肯定判断)、燃料電池スタック100の発電電力を負荷増大に対応して増加出力する。その上で、燃料電池システム30は、モーター170への電力の出力増加タイミング(開始時刻ts)に対して、冷却水温度が暖機運転セル温度(=55℃=α+α0)に上昇するまでの期間に亘って遅延したタイミング(遅延時刻ta)で、冷却水の流量を低減する(図3参照)。こうした負荷要求の増大過渡状況下でなされる要求負荷に応じたガス供給は、反応ガスの供給増大であることから、水分持ち去りに寄与し、電解質膜101の過湿潤の湿潤適正推移に有益である。これに対し、カソード103およびアノード102を通過するガスに含まれ得る水分量は、ガスの飽和水蒸気量に依存するので、電解質膜101の過湿潤の湿潤適正推移には、ガスの飽和水蒸気量の低下を来さないようにすることが望ましい。
仮に冷却水の循環流量の増加を出力増加と並行実行すると、開始時刻tsから遅延時刻taまでの間において、燃料電池スタック100の温度、延いては供給されるガス温度は循環流量増加により低下し、ガスに含まれ得る飽和水蒸気量は低下する。よって、負荷要求の増大に基づいたガス供給制御による水分の持ち去り効率を低減させかねない。しかしながら、本実施形態の燃料電池システム30は、負荷要求の増大過渡状況下において電解質膜101が過湿潤であると、開始時刻tsから遅延時刻taまでの間において、冷却水の流量増大を遅延するので、この遅延期間においては、冷却水によるセル温度の低下、延いてはガス温度の低下を抑制する。これにより、燃料電池スタック100のMEAでは、ガス中の飽和水蒸気量の低下をさほど招かない状態で、水分持ち去りの増大に有益な反応ガスの増大供給とこれに伴う出力増加がなされることになる。この結果、本実施形態の燃料電池システム30によれば、負荷要求の増大に基づいたガス制御による水分の持ち去り効率を維持、もしくは水分の持ち去り効率の低減を抑制でき、燃料電池スタック100の湿潤状態を過湿潤な状態から適正の側に推移させながら、負荷要求の増大に対応した出力増加を図ることができる。
本実施例の燃料電池搭載車両20に搭載した燃料電池システム30は、負荷の低減を来した開始時刻tsから終了時刻tmまでの負荷要求の低減過渡状況下において電解質膜101の湿潤状態が過乾燥であると(ステップS151:肯定判断)、燃料電池スタック100の発電電力を負荷低減に対応して低下出力する。その上で、燃料電池システム30は、モーター170への電力の出力低下タイミング(開始時刻ts)に対して、冷却水温度が基準温度βまで低下する期間に亘って遅延したタイミング(遅延時刻ta)で、冷却水の流量を低減する(図6参照)。こうした負荷要求の低減過渡状況下でなされる要求負荷に応じたガス供給は、反応ガスの供給低減であることから、水分持ち去りの抑制に寄与し、電解質膜101の過乾燥の湿潤適正推移に有益である。これに対し、カソード103およびアノード102を通過するガスに含まれ得る水分量は、ガスの飽和水蒸気量に依存するので、電解質膜101の過乾燥の湿潤適正推移には、ガスの飽和水蒸気量の増加を来さないようにすることが望ましい。
仮に冷却水の循環流量の低減を出力低下と並行実行すると、開始時刻tsから遅延時刻taまでの間において、燃料電池スタック100の温度、延いては供給されるガス温度は循環流量低減により低下が進まず、ガスに含まれ得る飽和水蒸気量は大きいままとなり得る。よって、負荷要求の低減に基づいたガス供給制御による水分の持ち去りの抑制効率を低減させかねない。しかしながら、本実施形態の燃料電池システム30は、負荷要求の低減過渡状況下において電解質膜101が過乾燥であると、開始時刻tsから遅延時刻taまでの間において、冷却水の流量低減を遅延するので、この遅延期間においては、冷却水によるセル温度の低下を維持、もしくは低下を促進する。これにより、燃料電池スタック100のMEAでは、ガス中の飽和水蒸気量が小さい状態で、水分持ち去りの抑制に有益な反応ガスの低減供給とこれに伴う出力低下がなされることになる。この結果、本実施形態の燃料電池システム30によれば、負荷要求の低減に基づいたガス制御による水分の持ち去りの抑制効率を維持、もしくは水分の持ち去りの抑制効率を低減させないようにでき、燃料電池スタック100の湿潤状態を過乾燥な状態から適正の側に推移させながら、負荷要求の低減に対応した出力低下を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態を実施例にて説明したが、本発明は上記した実施例や変形例の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
例えば、図3や図6に示した要求負荷の増大過渡或いは低減化との状況下での冷却水の流量増加或いは流量低減の変更タイミングを、ステップS144やステップS154での冷却水温度対比により遅延側にずらしたが、所定の時間の経過を待って、遅延側にずらしてもよい。
上記した各実施形態では、燃料電池スタック100におけるMEAの電解質膜101の湿潤状態を冷却水温度に基づき判断したが、燃料電池スタック100の抵抗値に基づいて湿潤状態を判断してもよい。この場合には、抵抗値が所定の上限基準抵抗値を超えれば過乾燥と判断し、抵抗値が所定の下限抵抗値を下回れば過湿潤と判断できる。抵抗値に限らず、他の手法にて湿潤状態を判断してもよい。
また、上記した各実施形態において要求負荷の変動過渡を判断するに当たり、2次電池172の蓄電電力を考慮して、燃料電池スタック100に求められる負荷要求の変動過渡を判断するようにしてもよい。
20…燃料電池搭載車両
22…車体
30…燃料電池システム
100…燃料電池スタック
101…電解質膜
102…アノード
103…カソード
104…アノード側ガス拡散層
105…カソード側ガス拡散層
106…電流センサー
110…水素ガスタンク
120…水素ガス供給系
121…水素供給経路
122…循環経路
123…放出経路
124…開閉バルブ
125…減圧バルブ
126…水素供給機器
127…循環ポンプ
128…流量センサー
129…開閉バルブ
130…コンプレッサ
140…空気供給系
141…酸素供給経路
142…放出経路
143…排出流量調整バルブ
145…圧力調整バルブ
147…流量センサー
150…ラジエータ
152…ファン
160…冷却系
161…循環経路
162…バイパス経路
163…三方流量調整弁
164…循環ポンプ
166…温度センサー
170…モーター
172…2次電池
174…DC/DCコンバーター
176…容量検出センサー
180…アクセル
182…車速センサー
184…外気温センサー
200…制御装置
FW…前輪
RW…後輪
ta…遅延時刻
tm…終了時刻
ts…開始時刻
Fdd…要求負荷低減状況下フラグ
Fuw…要求負荷増大状況下フラグ

Claims (2)

  1. 燃料電池システムであって、
    反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池スタックと、
    該燃料電池スタックに求められる負荷要求に基づいた前記燃料電池スタックへの前記反応ガスのガス供給制御を経て、負荷への出力を制御する出力制御部と、
    前記燃料電池スタックを含む循環経路を有し、該循環経路での冷媒循環により前記燃料電池スタックの温度調整を行う冷媒循環制御部と、
    前記負荷要求に基づいて、負荷変動の過渡の状況か否かを判断する負荷変動判断部と、
    前記燃料電池スタックの湿潤状態を判断する湿潤判断部とを備え、
    前記冷媒循環制御部は、
    前記負荷変動判断部が負荷変動の増大過渡の状況にあると判断し、前記湿潤判断部が過湿潤の状態にあると判断すると、前記出力制御部により前記負荷要求に基づいて出力を増加させる増加制御タイミングに対して、前記冷媒の循環流量を増加させるタイミングを遅延側にずらす、
    燃料電池システム。
  2. 燃料電池システムであって、
    反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池スタックと、
    該燃料電池スタックに求められる負荷要求に基づいた前記燃料電池スタックへの前記反応ガスのガス供給制御を経て、負荷への出力を制御する出力制御部と、
    前記燃料電池スタックを含む循環経路を有し、該循環経路での冷媒循環により前記燃料電池スタックの温度調整を行う冷媒循環制御部と、
    前記負荷要求に基づいて、負荷変動の過渡の状況か否かを判断する負荷変動判断部と、
    前記燃料電池スタックの湿潤状態を判断する湿潤判断部とを備え、
    前記冷媒循環制御部は、
    前記負荷変動判断部が負荷変動の低減過渡の状況にあると判断し、前記湿潤判断部が過乾燥の状態にあると判断すると、前記出力制御部により前記負荷要求に基づいて出力を低下させる低下制御タイミングに対して、前記冷媒の循環流量を低減させるタイミングを遅延側にずらす、
    燃料電池システム。
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