JP5935526B2 - 電解液の注液方法 - Google Patents
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Description
この方法では、まず、図10に示すように、注液チャンバー103に設置した、仕切り板121により仕切られて複数の単位注液槽122を有する注液槽102(図11参照)の各単位注液槽122に、液体(電解液)109を入れる。
また、単位注液槽を設けずに注液した場合、液量の調整ができないという問題点がある。
また、分岐管203と、電解液溶解室206とは、導液管204を介して連通しており、電解液溶解室206には水酸化カリウムなどの薬剤205が収容されている。
注液口を備え、他の部分は密閉された構造を有する容器であって、電気化学素子を構成する素子本体が内部に収容された容器への電解液の注液方法であって、
(a)前記容器と、前記容器に注液すべき量以上の電解液を入れた注液槽とを注液チャンバー内に配置し、前記容器の前記注液口が前記注液槽内の電解液に浸漬されていない状態を保ちつつ、注液チャンバーを第1減圧状態となるまで真空吸引する減圧工程と、
(b)前記注液チャンバーが第1減圧状態に保たれ、真空吸引が停止された状態で、前記容器の前記注液口を前記注液槽内の電解液に浸漬する浸漬工程と、
(c)前記容器の前記注液口が、前記注液槽内の電解液に浸漬された状態を保ちながら、前記注液チャンバーを、第1減圧状態よりも圧力が高く、大気圧よりも圧力が低い第2減圧状態にまで昇圧し、前記注液口から前記容器の内部に電解液を注液する注液工程と、
(d)前記注液工程の終了後に、前記容器の前記注液口を前記注液槽内の電解液から離間した状態とする離液工程と、
(e)前記注液チャンバーを大気圧に戻し、所定量の電解液が注液された後の前記容器に気体を注入する気体注入工程と
を有し、かつ、
前記第1減圧状態の圧力をX(Pa)とし、
前記容器内の空間の体積を1としたときの、前記容器に注液したい電解液の体積の割合をRとした場合に、
前記第2減圧状態の圧力の値Yを、下記の式(1)で表される値とすることを特徴としている。
Y=X/(1−R) ……(1)
(ただし、0<R<1)
複数個の前記容器をそれぞれ注液口が前記注液槽内の電解液に浸るように浸漬して、複数個の前記容器のそれぞれに電解液を注液することが好ましい。
第1減圧状態の圧力を電解液の蒸気圧以下にならないように制御することにより、電解液中の溶媒が沸騰して、容器内に注液された電解液に気泡を生じたり、電解液中の溶媒の蒸発により電解液の組成が変化して、目標とする特性を実現することができなくなることを防止して、所望の特性を備えた信頼性の高い電気化学素子を提供することが可能になる。
電解液を冷却することにより、第1の減圧状態の圧力をさらに低くした場合にも、電解液中の溶媒の沸騰や、電解液の組成の変動などを防止して、所望の特性を備えた電気化学素子を提供することが可能になる。
電解液と気相との界面を減らすことにより、さらに確実に電解液中の溶媒の蒸発を抑制することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
Y=X/(1−R) ……(1)
(ただし、0<R<1)
で表される値とするようにしているので、コストのかかる容積計量用のディスペンサーを用いることなく、圧力を調整するだけで、容器に所定量の電解液を注液することができる。
この実施形態1では、電気化学素子として、リチウムイオン二次電池を製造する工程で、容量発現部として機能する電池要素(素子本体)を収容した容器に電解液を注液する場合を例にとって、図1〜5を参照しつつ説明する。
なお、容器1は、注液口2を備えているが、他の部分は密閉されている。また、容器1は電力取り出し用の端子を備えているが、図1〜5では図示を省略している。
なお、ここでは、容器1の空間体積の90%まで電解液を注液する場合について説明する。
また、この実施形態1では、電解液4としては、γ−ブチロラクトン(GBL)と、炭酸エチレン(EC)と、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を含む電解液を用いた。この電解液4の常温(20℃)での蒸気圧は、2×102Paより低い。
それから、各容器1を、その注液口2が、注液槽5内の電解液4に浸漬されないように保持した状態で、注液チャンバー3を、大気圧(1×105Pa)の状態から、所定の減圧状態である第1減圧状態となるまで真空吸引する。具体的には、第1減圧状態として、注液チャンバー3の圧力が1×103Paになるまで真空吸引する。
なお、第1減圧状態の圧力1×103Paは、ここで注液しようとしている上述の組成を有する電解液4の蒸気圧より高い圧力であり、電解液4が沸騰したり、電解液中の溶媒が大量に蒸発したりすることのない圧力である。したがって、第1減圧状態の圧力を1×103Paとすることにより、電解液4の組成の変動を招くような溶媒の多量の蒸発を招くことはない。
具体的には、第1減圧状態の圧力と、第2減圧状態の圧力の差圧に対応して、容器1の空間体積の90%に相当する量の電解液4が容器1内に注液される。
具体的には、容器1の空間容積の90%が注液された電解液4で占められ、容器1の空間容積の残りの10%が気体で占められた状態となる。
なお、このとき、容器1内の上部空間および下部空間に気体6が存在することになる。
なお、この実施形態1では、第1の減圧状態の圧力を1×103Paとしているので、溶媒をほとんど蒸発させることなく、容器内に注液することができる。
上記実施形態1では、注液槽5内の電解液の表面と気相とが接している状態のまま、減圧工程、浸漬工程、および注液工程などの工程を実施するようにしているが、この実施形態2では、図6に示すように、注液槽5に浸漬される複数個の容器1の平面形状に対応する形状を有し、かつ、容器1の平面形状よりもわずかに大きい貫通孔20aを備えた被覆材20(電解液表面被覆材)を用いて、電解液4と気相16とができるだけ接しない状態で減圧工程、浸漬工程、注液工程などの各工程を実施するように構成している。
図7〜9において、図1〜5と同一符号を付した部分は、同一または相当する部分を示す。
しかし、この実施形態2のように、被覆材20を備えた構成とすることにより、電解液4と気相16との界面を減らして電解液4中の溶媒の蒸発を抑制、防止して、電解液4の組成を一定に保つことが可能になる。その結果、特性の良好な電気化学素子を効率よく製造することが可能になる。
2 注液口
3 注液チャンバー
4 電解液
5 注液槽
6 気体
10 電池要素(素子本体)
16 気相
20 被覆材
20a 貫通孔
Claims (5)
- 注液口を備え、他の部分は密閉された構造を有する容器であって、電気化学素子を構成する素子本体が内部に収容された容器への電解液の注液方法であって、
(a)前記容器と、前記容器に注液すべき量以上の電解液を入れた注液槽とを注液チャンバー内に配置し、前記容器の前記注液口が前記注液槽内の電解液に浸漬されていない状態を保ちつつ、注液チャンバーを第1減圧状態となるまで真空吸引する減圧工程と、
(b)前記注液チャンバーが第1減圧状態に保たれ、真空吸引が停止された状態で、前記容器の前記注液口を前記注液槽内の電解液に浸漬する浸漬工程と、
(c)前記容器の前記注液口が、前記注液槽内の電解液に浸漬された状態を保ちながら、前記注液チャンバーを、第1減圧状態よりも圧力が高く、大気圧よりも圧力が低い第2減圧状態にまで昇圧し、前記注液口から前記容器の内部に電解液を注液する注液工程と、
(d)前記注液工程の終了後に、前記容器の前記注液口を前記注液槽内の電解液から離間した状態とする離液工程と、
(e)前記注液チャンバーを大気圧に戻し、所定量の電解液が注液された後の前記容器に気体を注入する気体注入工程と
を有し、かつ、
前記第1減圧状態の圧力をX(Pa)とし、
前記容器内の空間の体積を1としたときの、前記容器に注液したい電解液の体積の割合をRとした場合に、
前記第2減圧状態の圧力の値Yを、下記の式(1)で表される値とすることを特徴とする電解液の注液方法。
Y=X/(1−R) ……(1)
(ただし、0<R<1) - 前記注液槽として、複数の区画に分割されていない注液槽を用い、
複数個の前記容器をそれぞれ注液口が前記注液槽内の電解液に浸るように浸漬して、複数個の前記容器のそれぞれに電解液を注液すること
を特徴とする請求項1記載の電解液の注液方法。 - 前記第1減圧状態の圧力を、前記注液工程における温度での電解液の蒸気圧以下にならないように制御することを特徴とする請求項1または2記載の電解液の注液方法。
- 前記注液槽内の電解液を冷却しながら、少なくとも前記減圧工程、前記浸漬工程、および前記注液工程を実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解液の注液方法。
- 前記注液槽内の電解液の表面の、前記注液チャンバー内の気相と接する領域の少なくとも一部を覆う被覆材を配設した状態で、少なくとも前記減圧工程、前記浸漬工程、および前記注液工程を実施することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電解液の注液方法。
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