JP5935122B2 - セルロースの加水分解方法 - Google Patents

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本発明は、加圧熱水によってセルロースを加水分解する方法に関する。また、本発明は、グルコースの製造方法に関する。さらに、本発明は、5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの製造方法に関する。
従来、間伐材、林地残材、端材、おが屑、樹皮、建築廃材、紙などの木質系バイオマスおよび、稲わら、麦わら、ケナフなどの草本系バイオマスは再生可能な資源として注目されている。特に木質系バイオマスは、セルロースを豊富に含むことが知られている。セルロースは加水分解することにより、オリゴ糖やグルコースを得ることができ、これらの糖はエタノールの原料のみならず、重要な化成品や医薬品の原料となることも知られている。現在、セルロースの加水分解方法について効率的な方法が模索されている。
セルロースの加水分解方法としては、酵素を用いた酵素糖化法及び酸を用いた酸糖化法が代表的である。しかしながら、酵素糖化法は酵素反応を利用しているため反応に時間を要し、コスト面で不利である。また、酸糖化法は膨大な酸を使用する問題があるほか、装置の耐酸対策や加熱にコストがかかり、また、酸の回収や再利用も困難である。そこで、最近では加圧熱水を用いる方法が検討されている。
特許文献1には、反応槽に収納された原料バイオマスに加圧熱水を通水させて加水分解する熱水流通式のバイオマス糖化装置が記載されている。当該装置は、反応槽の一端に加圧熱水を供給する加圧熱水供給部と、反応槽の他端から加圧熱水と分解液とを処理液として回収すると共に分解液を分別して外部に排出する液回収部と、反応槽内の温度を計測する温度計測手段と、該温度計測手段の計測値に基づいて加圧熱水供給部を制御して加圧熱水の反応槽への供給量を調節させると共に、温度計測手段の計測値に基づいて液回収部を制御することにより加圧熱水の供給量に応じて得られる異なる性状の分解液を分別させる制御装置とを具備することを特徴とするものである。そして、この装置を用いることにより、簡単かつ高い収率でセルロースなどのバイオマスから多糖を取得できると記載されている。しかしながら、この方法によって加水分解して得られるのは、オリゴ糖などの多糖類であり、グルコースなどの単糖類を得ることは困難であった。
また、特許文献2には、排水中にキャビテーション気泡を発生させ、かつ酸化剤の存在下で該キャビテーション気泡により排水中の可溶有機成分を分解することを特徴とする排水処理方法が記載されている。しかしながら、当該排水処理方法において処理対象とされているのは、排水中に溶解している有機成分であって、固形分ではない。したがって、固形分であるセルロースを分解することについて、特許文献2には何ら記載されていない。
特開2011−144337号公報 特開2008−253860号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、セルロースを効率よく加水分解することのできる加水分解方法を提供することを目的とする。
上記課題は、加圧熱水によってセルロースを加水分解する方法であって、水が流れる流路中に不活性ガスを噴射して得られた不活性ガスを含む液を、セルロースが収容された密閉型の反応容器に供給し、該反応容器内のセルロースに接触させながら、該液の圧力を0.2〜20MPaに保持し、かつ該液の温度を120〜300℃に保持してセルロースを加水分解することを特徴とするセルロースの加水分解方法を提供することによって解決される。
このとき、噴射口の口径が1mm以下の噴射ノズルを用いて水中にガスを噴射すること好ましい。
上記課題は、上記加水分解方法によりセルロースを加水分解してグルコースを得ることを特徴とするグルコースの製造方法を提供することによっても解決される。また、上記課題は、上記加水分解方法によるセルロースの加水分解を経て5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを得ることを特徴とする5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの製造方法を提供することによっても解決される。
本発明により、セルロースを効率よく加水分解することのできる加水分解方法を提供することができる。
本発明で用いられる加水分解装置1の一例を示した概略図である。 噴射ノズル11を示した図である。 ベンチュリ管12を示した図である。 ベンチュリ管12が装着された気液混合器10を示した図である。 ベンチュリ管12が装着されていない気液混合器10を示した図である。 グルコース収率を示した図である。 オリゴ糖収率を示した図である。 各生成物の収率を示した図である。 セルロース変換率を示した図である。
本発明は、加圧熱水によってセルロースを加水分解する方法である。本発明の加水分解方法においては、水中にガスを噴射して得られた液をセルロースに接触させながら加水分解することが重要である。本発明者らは、水中にガスを噴射して得られた液をセルロースに接触させることで、加圧熱水のみによって加水分解する場合と比べて、加水分解効率が格段に向上するこを初めて見出した。また、本発明者らは、本発明の加水分解方法によって、グルコースや5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド(HMF)を収率よく製造することができることも見出した。
本発明の加水分解方法によれば、加熱熱水のみによってセルロースを加水分解する場合と比べて効率よく加水分解することができる。一般的に、加熱熱水のみによってセルロースを加水分解する場合、当該加圧熱水の温度が300℃以上の高温でなければ効率よく加水分解することができないことが報告されている。これに対して、本発明の加水分解方法においては、加圧熱水のみによってセルロースを加水分解するのではなく、水中にガスを噴射して得られた液をセルロースに接触させながら、該液の圧力を0.2〜20MPaに保持し、かつ該液の温度を120〜300℃に保持することによってセルロースを加水分解する。こうすることで、従来の加圧熱水のみによってセルロースを加水分解する場合と比べて低い温度で、つまり、従来技術に比べて小さい投入エネルギーで、効率よく加水分解をすることができることが初めて明らかとなった。このような効果を奏するメカニズムの詳細は明らかではないが、水中にガスを噴射することで発生した微小気泡(マイクロバブル)が崩壊するときのエネルギーによるものであると推定している。
本発明の加水分解方法において、液の圧力を0.2〜20MPaに保持することが重要である。液の圧力が0.2MPa未満であるとセルロースの加水分解速度が遅くなり効率よく加水分解を行うことができなくなる。液の圧力は、1MPa以上が好ましく、3MPa以上がより好ましい。一方、液の圧力が20MPaを超えると、目的とする生成物を得られなくなったり、反応の制御が困難になったりするとともに、設備コストが上昇する。液の圧力は、10MPa以下が好ましい。
本発明の加水分解方法において、液の温度を120〜300℃に保持することも重要である。液の温度が120℃未満であると加水分解反応が遅くなり効率よく加水分解を行うことができなくなる。液の温度は、150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。一方、液の温度が300℃を超えるとセルロースの過分解反応が進行して目的とする生成物を得られなくなる。また、温度を上げすぎるとエネルギー消費の面からコスト的に不利になる。液の温度は、270℃以下が好ましい。
液の温度及び圧力を上記範囲に保持する手段は特に限定されない。公知の加圧装置(例えば高圧ポンプ)や加熱装置(例えば抵抗加熱装置や熱媒加熱装置)を用いて液の温度及び圧力を上記範囲に保持すればよい。また、液をセルロースに接触させたまま当該液の圧力及び温度を上記範囲に保持するために、セルロースの加水分解反応は、密閉型の反応容器を用いて行うことが好ましい。
本発明において、水中にガスを噴射して得られた液をセルロースに接触させる方法は、特に限定されるものではない。例えば、密閉型の反応容器内に予めセルロースと水を入れておいて、当該反応容器内にガスを噴射する方法が挙げられる。また、水が流れる流路中にガスを噴射して得られたガスを含む液を、セルロースが収容された密閉型の反応容器に供給する方法も挙げられる。気泡が均一に分散した液をセルロースに接触させられる観点から、流路中にガスを噴射して得られたガスを含む液を反応容器に供給することが好ましい。この場合、水にガスを噴射しながら反応容器内に液を導入することが好ましい。
ガスを噴射する手段も特に限定されず公知の噴射ノズルを用いることができる。水中に微小な気泡を発生させる観点から、噴射口の口径は1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.2mm以下であることがさらに好ましい。また、ガスが噴射された液の気泡の状態を調整するために、ベンチュリ管を用いることもできる。
本発明の加水分解方法で用いられるガスの種類も特に限定されず、窒素ガス、アルゴンガス、酸素ガス、水素ガス、炭酸ガスなど公知のガスや空気を用いることができる。ガス自身に触媒作用がある公知のものでもよい。安全性や加水分解時の副反応抑制の観点から、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスが好適に用いられる。不活性ガスの中でもコスト及び入手しやすさの観点から、窒素ガスが好適に用いられる。
本発明の加水分解方法で用いられる水の種類も限定されない。水道水も使用可能であるが、イオン交換水、蒸留水など十分精製した水を用いることが好ましい。このとき、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、当該水の中に、界面活性剤などの添加剤を加えても構わない。また、加水分解反応を促進するための触媒を加えても構わない。
本発明の加水分解方法に供されるセルロースの形態は特に限定されない。精製されたセルロースであってもよいし、セルロースの他にリグニンやヘミセルロースなどの不純物が含まれているものであってもよい。したがって、間伐材、林地残材、端材、おが屑、樹皮、建築廃材、パルプ、紙などを、そのまま、あるいはリグニンなどを除去する前処理をしてから、本発明の加水分解反応の原料として供することができる。これらの原料は、固形物であってもよいし、水を含んだスラリーであってもよい。
本発明の加水分解方法により、セルロースが効率よく加水分解されて、多糖であるオリゴ糖や単糖であるグルコースを得ることができる。中でも、本発明の好適な実施形態は、セルロースを加水分解してグルコースを得ることを特徴とするグルコースの製造方法である。本発明の加水分解方法によればグルコースを収率よく製造することができる。
また、本発明の加水分解方法によるセルロースの加水分解を経て5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを得ることも好適な実施形態である。本発明の加水分解方法によれば、5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドも収率よく製造することができる。5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドは、グルコースが、開環し、異性化し、脱水することによって生成することが知られている。
本発明の加水分解方法を用いれば、食料と競合しない木質系また草本系バイオマスからグルコースや5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを収率よく得ることができる。特に、5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドは、近年、バイオ燃料としての利用のみならず、重要な化成品および医薬品の原料となることから注目されており、化石燃料に代わる有望なものとして期待されている。したがって、本発明の加水分解方法を用いてセルロースを加水分解することの意義は大きい。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
(装置)
図1に示した加水分解装置1を用いてセルロースの加水分解を行った。実施例1で用いた加水分解装置1においては、図3のベンチュリ管12が気液混合器10に装着されている(図4参照)。図2〜5中の数値の単位は、角度以外、mmである。
(原料の準備)
(1)反応容器20に入れたセルロースとしては、Whatman社製のろ紙(125mm dia, Cat No 1004 125)を用いた。
(2)ろ紙は、反応容器20に入れる前に予め細かく砕いて綿状にして105℃で24時間以上乾燥(全乾)させた。
(3)ろ紙1.0gを35mLの反応容器20に入れた。そして、当該反応容器20を密閉し電気炉21内にセットした。
(加圧加熱工程)
(1)送液ポンプ30を起動させ導入口Inから流路F1に蒸留水を導入した。次いで、切替バルブ40を操作して、蒸留水を流路F1から流路F2へ流した。このとき切替バルブ41と切替バルブ42は閉じられていて、蒸留水はヒーター50、冷却器60及び圧力調節弁70を通り流路F3から流路F1に合流した。そして、蒸留水が流路F1に合流したことを確認した後、圧力調節弁70を操作して、この流路F1〜F2内の圧力が6.2MPaになるように調節した。流路F1〜F3を流れる蒸留水の流速は20mL/minであった。
(2)閉じられていた切替バルブ41を開いて流路F4を介して蒸留水を反応容器20へ導入した。反応容器20に導入された蒸留水は流路F5を介して冷却器61及び圧力調節弁71を通り排出口Outから排出された。排出口Outから蒸留水が排出されたことを確認した後、圧力調節弁71を操作して流路F4及びF5内の圧力が6.0MPaになるように調節した。
(3)再びバルブ41を閉じた後、ヒーター50及び冷却器60の電源を入れて、流路F1〜F2を流れる蒸留水を加熱した。
(4)流路F1〜F2を流れる蒸留水の温度が250℃になったことを確認した後、切替バルブ41を開き加圧熱水を反応容器20に導入するとともに、電気炉21及び冷却器61の電源を入れた。
(反応工程)
(1)反応容器20内の温度が250℃になったところでバルブ42を1分間開き、気液混合器10内の蒸留水に対して7.0MPaの圧力で窒素ガスを噴射し窒素ガスを含む液を反応容器20内に導入した。
(2)バルブ41とバルブ42を閉じ、反応容器20内への窒素ガスを含む液の導入を停止した。そして、バルブ41とバルブ42を閉じたまま所定の反応時間の間、反応容器20内を250℃に保って窒素ガスを含む液によって当該反応容器20内のセルロースを加水分解させた。
(3)所定時間反応させた後、バルブ41を5分間開いて、反応容器20内の反応液を全て回収容器80に回収した。次いでバルブ41を開いたままバルブ42を1分間開き、窒素ガスを含む液を反応容器20内へ再び導入した。窒素ガスを含む液を反応容器20内に導入している間に排出口Outから排出された液も回収容器80に回収した。流路を流れる蒸留水の流速は約20mL/minであるので、6分間回収することにより約120mLの反応溶液を得た。
上記(2)と(3)の手順を交互に行うことによって、窒素ガスを含む液の導入と反応溶液の回収を繰り返した。本実施例では、上記(2)と(3)の手順を1サイクルとして7サイクル繰り返した。また、本実施例では、1サイクル目と2サイクル目の反応時間を15分とし、3サイクル目以降の反応時間を30分とした。
(グルコース収率の算出)
回収された反応溶液に含まれているグルコースの量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。そして、以下の式(I)によってグルコース収率を算出した。以下の式(I)において、回収液中のグルコースの量は、すでに回収された反応溶液に含まれていたグルコースの量を合算したものである。また、ろ紙中のグルコース単位の量は、ろ紙1.0gにセルロース1.0gが含まれているとして、それに含まれるグルコース単位の量から算出した。横軸を積算反応時間、縦軸をグルコース収率としたグラフを図6に示す。図6中のエラーバーは標準偏差を示している。
グルコース収率 = {(回収液中のグルコースの量(mol))/(ろ紙中のグルコース単位の量(mol))} × 100 (I)
高速液体クロマトグラフィー測定は以下の装置を用い、以下の測定条件で行った。
・カラム:Bio−Rad社製「商品名Aminex HPX-87H」
・検出器:SHIMADZU社製「RID−10A」
・溶離液:0.005mol/L Sulfuric Acid
・液流速:0.5mL/min
・カラム温度:室温
(オリゴ糖収率)
回収された反応溶液を糖化処理した。糖化処理は、反応溶液3.2mLと72重量%の硫酸0.11mLとを混合し、4重量%の硫酸水溶液とした後、この水溶液を容器に入れオイルバスに浸し、121℃で、1時間行った。こうして、糖化処理後の溶液に含まれるオリゴ糖を全て加水分解してグルコースにした。このときのグルコース収率はHPLCを用いて上記の方法で算出した。そして、糖化処理した場合のグルコース収率から糖化処理する前のグルコース収率を差し引くことによりオリゴ糖収率を算出した。差し引いた値がマイナスになった場合は、オリゴ糖量をゼロとした。横軸を積算反応時間、縦軸をオリゴ糖収率としたグラフを図7に示す。図7中のエラーバーは標準偏差を示している。
(各生成物の収率)
上記の反応工程の1サイクル目及び2サイクル目(積算反応時間:30分)の両方で回収された反応溶液に含まれている生成物を上記のHPLCを用いて定量した。その結果、セルロースが加水分解され、グルコースやオリゴ糖以外に、グルコースの過分解物質であるヒドロキシメチルフルフラール(5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド、5-hydroxymethyl-2-furaldehyde、HMF)、レブリン酸(Levulinic acid)、ギ酸(Formic acid)、レボグルコサン(Levoglucosan)、キシロース(Xylose)も生成していることがわかった。
また、以下の式(II)によって各生成物の収率も算出した。以下の式(II)において、回収した液に含まれる各生成物の量は、1サイクル目及び2サイクル目で回収された反応溶液に含まれている生成物の量を合算したものである。また、ろ紙中のグルコース単位の量は、ろ紙1.0gにセルロース1.0gが含まれているとして、それに含まれるグルコース単位の量から算出した。結果を図8に示す。
各生成物の収率 = {(回収液中の各生成物の量(mol))/(ろ紙中のグルコース単位の量(mol))} × 100 (II)
(セルロース変換率)
上記反応工程において、1サイクル目の反応溶液の回収が終わった時点で反応容器20内に残っているろ紙を回収した。このとき回収されたろ紙の全乾重量をAgとして以下の式(III)によってセルロース変換率を算出した。
セルロース変換率 =(1.0−A)×100 (III)
また、2サイクル目、4サイクル目、7サイクル目終了時におけるセルロース変換率も算出した。横軸を積算反応時間、縦軸をセルロース変換率としたグラフを図9に示す。
実施例2
図1に示した加水分解装置1を用いてセルロースの加水分解を行った。実施例2で用いた加水分解装置1においては、図3のベンチュリ管12を気液混合器10に装着しなかった(図5参照)。
反応工程において、上記(2)と(3)の手順を1サイクルとして3サイクル繰り返し、各サイクルの反応時間を30分とした以外は実施例1と同様の工程でセルロースを加水分解した。そして、実施例1と同様の算出方法により、グルコース収率とオリゴ糖収率を算出した。結果を図6及び図7に示す。
比較例1
図1に示した加水分解装置1を用いてセルロースの加水分解を行った。比較例1で用いた加水分解装置1においては、実施例2と同様に、図3のベンチュリ管12を気液混合器10に装着しなかった(図5参照)。実施例1と同様の加圧加熱工程を行った後、反応工程を以下のようにして行った。そして、グルコース収率、オリゴ糖収率、各生成物の収率及びセルロース変換率を以下のようにして求めた。
(反応工程)
(1)反応容器20内の温度が250℃になったところでバルブ41を閉じ、反応容器20内への加圧熱水の導入を停止した。そして、バルブ41を閉じたまま所定の反応時間の間、反応容器20内を250℃に保って加圧熱水のみによって反応容器20内のセルロースを加水分解させた。
(2)所定時間反応させた後、バルブ41を5分間開いて、加圧熱水を反応容器20内に導入し、当該反応容器20内の反応液を全て回収容器80に回収した。流路を流れる蒸留水の流速は約20mL/minであるので、5分間回収することに約100mLの反応溶液を得た。
(グルコース収率及びオリゴ糖収率)
上記(2)と(3)の手順を交互に行うことによって、加圧熱水の導入と反応溶液の回収を繰り返した。本比較例では、上記(2)と(3)の手順を1サイクルとして6サイクル繰り返し、各サイクルの反応時間を30分とした以外は実施例1と同様の工程でセルロースを加水分解した。そして、実施例1と同様の算出方法により、グルコース収率とオリゴ糖収率を算出した。結果を図6及び図7に示す。図6及び図7中のエラーバーは標準誤差を表す。
(各生成物の収率)
また、1サイクル目で回収された反応溶液(反応時間:30分)に含まれている生成物の量を実施例1と同様の方法により定量し、生成物の収率を算出した。結果を図9に示す。
(セルロース変換率)
本比較例におけるセルロース変換率の算出においては、上記反応工程の1サイクル目と2サイクル目の反応時間を15分とし、3サイクル目以降の反応時間を30分とし、合計7サイクル繰り返した。そして、実施例1におけるセルロース変換率の算出方法と同様にして、1サイクル目、2サイクル目、4サイクル目、7サイクル目終了時におけるセルロース変換率を算出した。結果を図9に示す。
図6〜図9に示すように、250℃の加圧熱水に窒素ガスを噴射して得られた液のセルロース加水分解力は、加圧熱水のみによる加水分解に比べて著しく高いことがわかった。また、グルコースとHMFが効率よく得られることもわかった。
1 加水分解装置
10 気液混合器
11 噴射ノズル
12 ベンチュリ管
20 反応容器
21 電気炉
22 焼結フィルター(10μm)
30 送液ポンプ
40、41、42 切替バルブ
50 ヒーター
60、61 冷却器
70、71 圧力調節弁
80 回収容器

Claims (4)

  1. 加圧熱水によってセルロースを加水分解する方法であって、水が流れる流路中に不活性ガスを噴射して得られた不活性ガスを含む液を、セルロースが収容された密閉型の反応容器に供給し、該反応容器内のセルロースに接触させながら、該液の圧力を0.2〜20MPaに保持し、かつ該液の温度を120〜300℃に保持してセルロースを加水分解することを特徴とするセルロースの加水分解方法。
  2. 噴射口の口径が1mm以下の噴射ノズルを用いて水中にガスを噴射する請求項に記載のセルロースの加水分解方法。
  3. 請求項1又は2に記載の加水分解方法によりセルロースを加水分解してグルコースを得ることを特徴とするグルコースの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の加水分解方法によるセルロースの加水分解を経て5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドを得ることを特徴とする5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒドの製造方法。
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