JP5933405B2 - 歩行運動促進衣類 - Google Patents

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本発明は、両膝が離れずに姿勢よく綺麗な歩き方を促進する歩行運動促進衣類に関する。
従来、着用者が階段の昇り降り等の運動を行ったときに、裾がめくれ上がらずO脚や外股の補整ができる本発明の形状と類似した体形補整用被服が提案されている。(例えば、特許文献1)
この特許文献1には、ペチコート部が、伸縮性を有する筒状布地と、この布地の上端部から下端部にわたって両側部に芯部材が逢着されて形成されている。
また、サポーター、コルセット、ボディスーツ、ガードル、スパッツ、ペチコート、レオタード、タイツなど、体型補正下着は広く普及している。このような衣類において、腹部補整、痩身、ヒップアップ等の身体各部の補正矯正機能は有しているが、歩行運動を促進する機能は備えていない。
特開2000−178803号公報
上記特許文献1記載の体形補整用被服によれば、着用者が歩行や階段の昇り降り等の運動を行ったときに、裾がめくれ上がらずO脚や外股の補整ができるものである。
しかしながら、上記特許文献1記載の体形補整被服においても、着用者が歩行や階段の昇り降り等の運動をすると、伸縮性筒状布地の前部両側面に逢着された芯部材の構造では曲がったり膨らんだりするおそれがあり、裾のめくれや、O脚を補整することができても、歩行運動を促進する機能は備えていない。
本発明は、かかる問題点を解決すべく創案されたもので、装着すると両膝が離れずに、姿勢よく綺麗な歩行を推進する機能を備えた歩行運動促進衣類を提供することにある。
問題を解決するための手段
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、伸縮性布でなる前身頃と後身頃と、前身頃と後身頃の左右両側面に設けられた二つの非伸縮性パネル部から構成し、前記前身頃と後身頃の伸縮性布は、弾性糸を交編した編地によって形成される。非伸縮性パネル部は、所定幅の非伸縮性布の左右両端に、芯材を取り付けて形成される歩行運動促進衣類である。例えば、伸縮性身布としては、140デニール以上のポリウレタンまたはポリエステル系弾性糸を8パーセント以上交編したパワーネットを使用し、非伸縮性パネル部の芯材としては、4mmから12mm幅の反発弾力性を有する芯材を用いることが好ましい。
本発明の歩行運動促進衣類において、前身頃の上辺両端から下腹部に向け、または、下辺両端から下腹部に向け、V字形または円弧形に一部をカットして形成される(請求項2)。前身頃を一部カットすることにより、着用者個々の様々な腹部の体型に対応して、圧迫感や窮屈感を与えない歩行運動促進衣類を提供することができる。
本発明の請求項3は、前身頃の表面に、伸縮性を有する帯状補強材を、前身頃の両側部から中央部で交わるように取り付けるもので、これにより着用時の着用圧を補強することができる。帯状補強材を、前身頃上辺両端から斜め下向に向け、下辺両端より斜め上方に向けて中央部で交わるように取り付ける。または、前身頃の両脇左右上下からX状に中央部で交叉するように取り付けてもよい。帯状補強材としては、ポリウレタン弾性糸やゴムが混入された伸縮性を有するテープ、またはストレッチレースを用いることが好ましい。
本発明の請求項4は、前身頃の中央部の下辺から前記後身頃の中央部の下辺にかけて、2本の紐状部材を、股間左右の鼠径部に沿ってそれぞれ一本ずつ連結して構成される。この2本の紐状部材を設けることにより、着用中にずり上がることを防ぐ歩行運動促進衣類を提供することができる。紐状部材は、ポリウレタン弾性糸を混入した幅10mm前後のストレッチテープまたはゴム紐が好ましい。
本発明の歩行運動促進衣類において、股間布片を、前身頃の下辺部から後身頃の下辺部にかけて連結して構成される(請求項5)。このことにより、本発明の歩行運動促進衣類を着用時に、ショーツやブリーフ等の肌着を着けなくても、直接肌に身につけることができるので、被服の下履きは、1枚で済む利便性を得ることができる。
発明の効果
本発明は,上記のように構成したので、装着すると左右の非伸縮性パネル部は、伸縮性布でなる前身頃と後身頃の伸長度を抑制する作用をし、相互に引っ張り合う力に変える。この引き合う力が大腿部と臀部を左右から押圧する結果、下肢両大腿部および両膝の間隔が引き締まり、歩行を制御する左右の股関節の生体力学的な働きにより、自然に脚が前に出ようとする歩行運動を促進する機能を発揮する。この作用により、両膝が離れずに姿勢よく綺麗な歩き方を実現することができる。また、姿勢がよくなり歩行が促進されることから、加齢と老化に伴う下半身の筋肉および骨格の衰えを予防する効果が期待されるので、高齢化社会における健康長寿社会の実現にも貢献できる。
本発明の歩行運動促進衣類の1実施例を示し、前から見た斜視図である。 本発明の歩行運動促進衣類の1実施例を示す正面図である。 本発明の歩行運動促進衣類の1実施例の着用状態を前から見た図である。 本発明の歩行運動促進衣類の1実施例を示す側面図である。 本発明の歩行運動促進衣類の前身頃の一部をカットした形態を示し、(A)は上部カット、(B)は下部カット、(C)は上部下部共カットを示すいずれも正面図である。 本発明の歩行運動促進衣類の帯状補強材の二つの実施例を示し、(A)、(B)は正面図である。 本発明の歩行運動促進衣類の紐状部材の1実施例を示し、(A)は正面図、(B)は着用状態を示す図である。 本発明の歩行運動促進衣類の股間布片の1実施例を示し、(A)は正面図、(B)は着用状態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
先ず、 図1および図2を参照して本発明の歩行運動促進衣類の形態を説明する。図1は前から見た斜視図を示し、図2は正面図を示している。
図1および図2は、本発明の歩行運動促進衣類の原型を示し、伸縮性布でなる前身頃10と後身頃11と、前身頃と後身頃の左右両側面に設けられた二つの非伸縮性パネル部12から構成される。伸縮性布は、弾性糸を交編した編地によって形成され、非伸縮性パネル部は、所定幅の非伸縮性布12aの左右両端に芯材12bを取り付けて形成される。伸縮性布としては、着用時の適度の着用圧を得るために、140デニール以上のポリウレタンまたはポリエステル系弾性糸を8パーセント以上交編したパワーネットを用いることが好ましい。左右に設ける芯材によって成る非伸縮性パネル部の形状は、本図では縦長方形を提案しているが、上辺幅より下辺幅が大の下開き、または、その逆である上開きの形状にすることもできる。左右に設ける芯材は、4mmから12mm幅、材質は、引っ張り強度の高いナイロン糸数本をポリエステル繊維で被覆加工された芯材、または、金属製線材をスパイラル加工された芯材の使用が好ましい。この芯材が反発弾力性を有するので、歩行運動をしても常に着用部の身体にしなやかにフィットし、着用部全体に着用圧を保持する作用を補助することができる。
従って、本発明の歩行促進衣類を装着すると左右の非伸縮性パネル部12は、伸縮性布でなる前身頃10と後身頃11の伸長度を抑制する作用をし、相互に引っ張り合う力に変える。この引き合う力が、大腿部と臀部を左右から押圧する結果、下肢両大腿部および両膝の間隔が引き締まり、歩行を制御する左右の股関節の生体力学的な働きにより、自然に脚が前に出ようとする歩行運動を促進し、姿勢よく綺麗に歩くことができる。
図3は、図1および図2の着用状態を前から見た図を示している。形状が膝上丈のペチコート型であるため、用途としては、スカートタイプの被服、例えば、スカート、ドレス、ワンピ−ス等を着用する女性に適している。
図4は、本発明の歩行運動促進衣類の側面図を示し、非伸縮性パネル部の取り付け位置を説明している。側面から見ることにより前身頃と後身頃の中間部に設けられていること、即ち、前身頃と後身頃の両側面に設けられていることを示し、着用時における伸縮性身生地の伸長度を制御する重要な機能を担っている。
前記、図1から図3に示すペチコート型は、膝上丈になっている。そのため、本発明の歩行運動促進衣類を男女共、スラック、ズボン、ジーンズ等のパンツ型被服に着用することは難しい。この問題の解決と、男女の様々な体型に広く対応するために、図1から図3に示すペチコート型の形状よりも本発明の歩行運動促進衣類の丈を少し短くし、前身頃10の一部をカットした。図5は、一つのカット方法としてV字形にカットする場合の三つの形態(A)、(B)および(C)を示している。カット方法は円弧形でも良い。(A)は上部をカットした前身頃上部カット101を示し、腹部の出っ張った体型に対して着用圧迫感を与えないようにした。(B)は下部をカットした前身頃下部カット102を示し、スラック、ズボン、ジーンズ等の被服を着用する場合の着易さと、特に、男性が容易に小便(排尿)することができるようにした。(C)は上部と下部をカットすることにより、(A)と(B)の利便性を併せ持ち、腹部全体が大きい体型にも圧迫感を与えない着心地を得ることができる。
図6は、図5(C)を原型とした実施例である。(A)は、伸縮性を有する帯状補強材13を、前身頃上辺両端部から斜め下方に向け、下辺両端部からは斜め上方に向けて中央部で交わるように取り付け、(B)は、前身頃の両脇左右上下からX状に中央部で交叉するように取り付ける。この帯状補強材13により、着用時の着用圧を補強することができる。帯状補強材としては、ポリウレタン弾性糸を混入したテープまたはレースが好ましい。形態的に、図1から図3に示すペチコート型よりも丈が短くしたので、短くなった分だけ大腿部における非伸縮性パネル部12と伸縮性身生地本体と引きあう力が軽減されるので、帯状補強材13の作用により、その引きあう力を補強することができる。
図7は、図6(B)を原型とした実施例である。(A)は正面図、(B)は着用状態を示している。2本の紐状部材14を、前身頃10の下辺中央部から、後身頃11の下辺中央部にかけて、股間左右の鼠径部に沿うようにそれぞれ一本ずつ連結して設ける。前身頃下辺部から後身頃下辺部にかけての連結方法は、体型による着用窮屈感を無くすために、伸縮性のある紐状部材を宙づり状に取り付けることが望ましい。この紐状部材により、着用中の本発明の歩行運動促進衣類のずり上がりを防止することができる。材質はポリウレタン弾性糸を混入した幅10mm前後のストレッチテープ、または、ゴム紐の伸縮性部材を使い、紐状部材を体型に合わせて任意の長さにカットして使用するのが好ましい。
図8は、図6(B)を原型とした実施例である。(A)は、正面図、(B)は着用状態を示している。股間布片15を前身頃10の下辺中央部から後身頃11の下辺中央部かけて連結する。このことにより、男女共、着用時、ショーツやブリーフ等の肌着を履かなくても直接肌に身につけることができる。被服の下履きとして1枚で済む利便性を得ることができるので、特に、ガードルやボディスーツを履きなれた女性に支持されると思われる。股間布の形状は、従来のショーツやブリーフ等の肌着と同じクロッチの形が良い。素材は、吸汗性や速乾性を有した布が望ましい。
本発明の歩行運動促進衣類は、日常生活における生活者の歩行運動を促進する機能性衣類を提供することを目的としているが、生活衣料品分野以外にも、この機能効果を予防医学的見地から、介護、看護に携わる人々の疲労を軽減し、また、中高年齢層の術後のリハビリテーション、および、産後の母親たちの骨盤の緩みや歪みのリカバリーにも役立つ医療分野への利用が期待できる。
10 前身頃
11 後身頃
12 非伸縮性パネル部
12a 非伸縮性布
12b 芯材
13 帯状補強材
14 紐状部材
15 股間布片
101 前身頃上部カット
102 前身頃下部カット

Claims (5)

  1. 伸縮性布でなる前身頃と後身頃と、前身頃と後身頃の左右両側面に設けられた二つの非伸縮性パネル部から構成され、前身頃と後身頃の伸縮性布は、弾性糸を交編した編地によって形成され、非伸縮性パネル部は、所定幅の非伸縮性布の左右両端に取り付けられた芯材を備えることを特徴とする歩行運動促進衣類。
  2. 前記前身頃、上辺両端または下辺両端から下腹部に向け、V字形又は円弧形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歩行運動促進衣類。
  3. 前記前身頃の表面に、伸縮性を有する帯状補強材、前身頃の両側部から中央部で交わるように取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の歩行運動促進衣類。
  4. 前記前身頃の中央部の下辺から前記後身頃の中央部に下辺にかけて、2本の紐状部材が、股間左右の鼠径部に沿って、それぞれ一本ずつ設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の歩行運動促進衣類。
  5. 前記前身頃の中央部の下辺から前記後身頃の中央部の下辺にかけて、股間布片が、設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の歩行運動促進衣類。
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