JP5932279B2 - スクリーニング方法 - Google Patents
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Description
設計方法に関するものである。尚、本発明の説明において、化粧料との用語は、医薬部外品を含むものとして定義する。
、一酸化窒素、塩基性線維芽細胞増殖因子、顆粒球・マクロファージ・コロニー刺激因子等のサイトカイン等が、メラノサイトに存在する各々のシグナル伝達系を介しメラニン産生量を増加させることは知られているが、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介したシグナル伝達系によりメラニン産生量が調節されることは、発明者の知る限り報告されていない。
<1> プロアドレノメジュリンN−末端20ペプチド(PAMP:Proadrenomedullin N−terminal 20 peptide)及び/又はアドレノメジュリン2/インテルメジン(ADM2/IMD:Adrenomedullin2/Intermedin)結合受容体を介するシグナル伝達系への不活性化作用を指標とする、メラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
<2> 被験物質を細胞に添加することにより、前記被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系の不活性化作用を評価する、<1>に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法であって、
前記被験物質添加前及び/又は添加後にPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系の活性化因子を付与した場合、及び前記被験物質を添加せずにPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系の活性化因子を付与した場合のメラニン産生量、チロシナーゼの酵素活性、チロシナーゼ遺伝子発現量、c−AMP産生量、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体遺伝子発現、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体蛋白質発現量、PAMP及び/又はIMD結合受容体親和性を比較し、前記PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系の不活性化作用を評価する、メラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
<3> 前記PAMP及び/又はADM2/IMD 結合受容体を介するシグナル伝達系の活性化因子の付与が、PAMP添加、ADM2/IMD添加であることを特徴とする、<2>に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
<4> 被験物質を細胞に添加することにより、前記被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達への不活性化作用を評価する、<1>に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法であって、
前記被験物質を添加した場合、及び前記被験物質を添加しない場合のPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体遺伝子発現、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体蛋白質発現量又は結合受容体親和性を比較し、前記PAMP及び/又はADM2/IMD受容体結合を介するシグナル伝達系への不活性化作用を評価する、メラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
<5> 前記PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体が、カルシトニン受容体様受容体(CRLR:Calcitonin receptor−like receptor)と、受容体活性化調節蛋白1〜3(RAMP1〜3:Receptor activity−modifying protein1〜3)より形成される受容体、又は、MrgX2受容体である、<1>〜<4>の何れかに記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
<6> 前記PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体遺伝子発現量が、CRLR及び/又はRAMPmRNA、MrgX2mRNAの少なくとも1種以上である、<3>〜<5>の何れかに記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
<7> メラノサイト単独培養、又はケラチノサイト及びメラノサイトの共培養系を使用する、<1>〜<6>の何れかに記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
<8> <1>〜<7>の何れかに記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法により選択されたメラニン産生抑制剤を含有する、美白用組成物。
<9> 皮膚外用剤である、<8>に記載の美白用組成物。
<10> 化粧料(但し、医薬部外品を含む)である、<8>又は<9>に記載の美白用組成物。
<11> <1>〜<7>に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法によりメラニン産生抑制作用を有すると判別された成分を含有させる、美白組成物の設計方法。
本発明のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法は、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系への不活性化作用を指標とするメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法であることを特徴とする。PAMPは、アミノ酸プレプロホルモンのN末端領域より生合成される生理活性ペプチドである。一方、ADM2/IMDは、アミノ酸プレプロホルモンより生合成されるADMと同様のカルシトニン遺伝子関連ペプチドファミリーに属しADM類似構造を有するアミノ酸である。PAMP及びAMD2/IMDにより発現する生理活性に関しては様々な研究がなされているが、解明されていない部分も多い。PAMP及びADM2/IMDが結合親和性を示す受容体としては、主に、カルシトニン受容体様受容体(CRLR)及び受容体活性化調節蛋白(RAMP1〜3)により形成される複合体受容体が知られている。PAMP及びADM2/IMDは、前記のCRLR及びRAMP1〜3により形成される3種類の受容体に対し親和性を示すことが明らかにされているが、特に、CRLR及びRAMP1より形成される複合体受容体に対し高い受容体親和性を示す。また、PAMPが高い結合親和性を示す受容体としては、MrgX2受容体の存在も報告されている。
2/IMDシグナル伝達系への不活性化作用に係る物理量を測定する工程を含み、かかる物理量を用い被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系への不活性化作用を直接的又は間接的に評価する工程を含むことを意味する。PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系への不活性化作用に係る物理量とは、例えば、「PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体拮抗作用」、「PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体蛋白質発現量を減少させる作用」、又は「PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体遺伝子発現量を減少させる作用」等の場合には、遺伝子発現量、蛋白質発現量又はPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体結合親和性等が、「c−AMP等の二次的情報伝達物質を減少させる作用」の場合にはc−AMP等の二次的情報伝達物質量が該当する。また、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の不活性化作用によって生じていることが明らかな現象に係る物理量を測定する場合も、間接的にPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系への不活性化作用を評価していることになるため、これに含まれる。例えば、メラニン産生量、又はメラニン産生量に係るチロシナーゼの酵素活性、チロシナーゼ遺伝子発現量、チロシナーゼ酵素蛋白質発現量等を測定する場合がこれに該当する。
以下に説明するスクリーニング方法は、本発明の内、特に、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達によるメラニン産生機構を活性化した細胞に被験物質を添加し、細胞のメラニン産生量を測定することを特徴とするスクリーニング方法である。PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系を活性化することにより、細胞のメラニン産生量は増加する(図1及び図2)。従って、PAMP及び/又はAMD2/IMDシグナル伝達系を活性化する条件を意図的に設定し(なるべくメラニン産生に影響するその他の因子を排除する)、その条件下における被験物質のメラニン産生に与える影響(メラニン産生抑制作用)を観測することで、実質上被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系への不活性化作用を評価することにもなる。即ち、本スクリーニング方法は、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の活性化因子を付与する工程、及びメラニン産生量を測定する工程を含むことが重要となる。
(i)評価に使用する細胞に、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の活性化因子を付与する
(ii)被験物質を添加する(比較対照として被験物質を添加せずにPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の活性化因子を付与した細胞も用意する)
(iii)被験物質の添加及び非添加の場合のメラニン産生量を測定する
(iv)測定したメラニン産生量を比較して、被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の不活性化作用を評価する
(v)測定したメラニン産生量、又は評価したメラニン産生抑制作用を、予め設定した基準に基づいて判定し、被験物質を判別する
ンスリンを除くことが好ましい。また、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の活性化因子について前述の通りだが、その添加にあたっては、被験物質添加前又は添加後の何れに行ってもよい。
以下に説明するスクリーニング方法は、本発明のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法の内、特にメラノサイト等のPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系を有する細胞に被験物質を添加し、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体遺伝子発現量、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体蛋白質発現量、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体結合親和性などのPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の不活性化作用を測定することを特徴とするスクリーニング方法である。
(i)評価に使用する細胞(PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系を活性化した状態又は活性化していない状態のいずれでもよい)に、被験物質を添加する(比較対照として被験物質を添加していない細胞も用意する)
(ii)被験物質の添加及び非添加の場合のPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体遺伝子発現量、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体蛋白質発現量、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体結合親和性を測定する
(iii)測定したPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体遺伝子発現量、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体蛋白質発現量、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体結合親和性を比較し、被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の不活性化作用を評価する
(iv)評価したメラニン産生抑制作用を、予め設定した基準に基づいて判定し、被験物質を判別する
また、前述の通り、「PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体」としては、CRLR及びRAMP1〜3より形成される複合体受容体が報告され、メラノサイトにおける存在も確認されている。また、「PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体」としては、MrgX2受容体の存在も報告されている。このため、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の不活性化作用の指標としては、CRLR、RAMP1〜3、MrgX2より選択される1種又は2種以上の遺伝子発現量を測定することが、さらに好ましくは、CRLR及び/又はRAMP1の遺伝子発現量を測定することが好ましい。CRLR及びRAMP1〜3より形成される3種類の複合体受容体にPAMP及び/又はADM2/IMDが結合することにより、シグナル伝達系が活性化され、メラニン産生が亢進するが、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の活性化により受容体発現量も増加する。CRLR及びRAMP1〜3、特に、CRLR及びRAMP1との複合体受容体には、PAMP及び/又はADM2/IMDとの高い結合親和性が認められる。また、これら個々又は複数の遺伝子発現を同時に抑制できる作用は、効果的なPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の不活性化作用となり得る。即ち、遺伝子発現量として評価する上でも、これらの遺伝子発現量を測定することが特に好ましい。さらに、測定操作の簡便性、測定精度、再現性等から、PAMP及び/又はADM2/IMD 結合受容体mRNA発現量を測定することが好ましく、CRLRmRNA発現量、RAMP1mRNA発現量を測定することがさらに好ましい。
また、PAMP及びADM2/IMD結合受容体結合親和性は、例えば、非特許文献1に記載の方法に従って測定することが出来る。
受容体蛋白質発現量、PAMP及び/又はADM2/IMD 結合受容体結合親和性も1種に限定されず、複数種類測定して、任意の処理方法によりPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の不活性化作用を算出してもよい。さらに、上記(ii)の工程において測定されたPAMP及び/又はADM2/IMD 結合受容体遺伝子発現量、PAMP及び/又はADM2/IMD 結合受容体蛋白質発現量を直接用い、スクリーニングを行ってもよく、上記(iii)の工程を必要としないものでもよい。
以下に説明するスクリーニング方法は、本発明の内、特にメラノサイト等の細胞に被験物質を添加し、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の不活性化の指標となるc−AMPなどの細胞内情報伝達物質量変化を測定することを特徴とするメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法である。PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体は、G−蛋白質共役型受容体に分類されるため、その活性化度合い(不活性化度合い)をc−AMP等の二次情報伝達物質産生量により把握することが出来る。c−AMP産生量は、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体以外の受容体にも影響されるため、PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系の活性化に係るc−AMP産生を特異的に観測できる条件を設定することが必要である。即ち、本スクリーニング方法は、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の活性化因子を付与する工程、及びc−AMPを測定する工程を含むことが重要となる。
(i)評価に使用する細胞に、PAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の活性化因子を付与する
(ii)被験物質を添加する(比較対照として被験物質を添加せずPAMP及び/又はADM2/IMDシグナル伝達系の活性化因子を付与した細胞も用意する)
(iii)被験物質の添加及び非添加の場合のc−AMP産生量を測定する
(iv)測定したc−AMP産生量を比較して、被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系の不活性化作用を評価する
(v)測定したc−AMP産生量、又は評価したc−AMP産生抑制作用を、予め設定した基準に基づいて判定し、被験物質を判別する
以下の手順に従い、PAMP、ADM2/IMD添加によるメラノサイトの産生量及び細胞数への
影響を検討した。48穴プレートに正常ヒトメラノサイト(NHEM)(倉敷紡績株式会社)1.5×104(cells/well)の密度で播種し、播種24時間後、合成PAMP(ペプチド研究所、4292-v)および、ADM2/IMD(ペプチド研究所、4421-s)を2(μM)になる様に添加し、さらに0.25(μCi/well)の[14C]−2−Thiouracilを添加した。CO2インキュベーターにて72時間培養後、Cell Counting Kit−8(株式会社 同仁研究所)を用い、細胞数を測定後、液体シンチレーションカウンター(アロカ株式会社)により[14C]−2−Thiouracilの取り込みを測定した。結果を図1及び図2に示す。図1及び図2において、縦軸は、メラニン産生量又は細胞数を表す。また、メラニン産生量又は細胞数は、PAMP、ADM2/IMD非添加群におけるメラニン産生量又は細胞数を100%とした場合の百分率で表示した。
以下の手順に従い、PAMP、ADM2/IMD添加によるメラノサイトのRAMP1、 RAMP3、CRLR遺伝子発現量への影響を検討した。48穴プレートに、正常ヒトメラノサイト(NHEM)(倉敷紡績株式会社)1.5×104(cells/well)の密度で播種し、播種24時間後、合成PAMP(ペプチド研究所、4278−s)およびADM2/IMD(ペプチド研究所、4421-s)を2(μM)となる様に添加し、CO2インキュベーターにて24時間培養し、Buffer RLT(QIAGEN社)により細胞を溶解し回収した。細胞回収後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社)を用いmRNAを抽出し、SuperScript VILO cDNA synthesis Kit(Invitrogen社)を用いcDNA(プライマー配列は、非公開)を合成し、QuantiTect Primer Assay(QIAGEN社)を用い、リアルタイムPCR法によりmRNA発現量を測定した。各遺伝子のmRNA発現量は、TBP(内在性コントロール、プライマー配列は、配列表1に記載)のmRNA発現量を測定し、TBPのmRNA発現量との比率で算出した。結果を図3及び図4に示す。図3及び図4において、縦軸は、RAMP1, RAMP3, CRLRのmRNA発現量を表す。また、各発現量は、PAMP, ADM2/IMD非添加群における発現量を100%とした場合の百分率で表示した。
以下の手順に従い、ケラチノサイト及びメラノサイト共培養系における紫外線照射によるメラニン産生量変化を調べた。更に、ケラチノサイト及びメラノサイト共培養系における紫外線照射により増加したメラニン産生量に対するADM2/IMD産生遺伝子発現を特異的に阻害するsi−RNA添加の影響を調べた。
1)48穴プレートに、正常ヒトケラチノサイト(NHEK)(倉敷紡績株式会社)を、7.0×104(cells/well)の密度で、また、正常ヒトメラノサイト(NHEM)(倉敷紡績株式会社)を2.6×104(cells/well)の密度でHumedia−KG2培地(倉敷紡績株式会社)を用いて播種し、24時間培養した(UV非照射群)。
2)si−RNA溶液を、Hs_ADM2_7 FlexiTube siRNA(QIAGEN社)si−RNA溶液添加24時間、48時間後に東芝FL20S・E-30/DMRランプで65mJ/cm2の紫外線(UV−B)を照射した(UV照射+si-RNA添加群)。その後14C-thiouracilを0.25μCi/well添加した
。
3)比較対照群として、紫外線照射を行い、si−RNAを添加しない群(UV照射群)を設定した。
4)さらに48時間培養後Cell Counting Kit-8(株式会社 同仁化学研究所)を用い、細胞数を測定後、液体シンチレーションカウンター(アロカ株式会社)により14Cの取り込みを測定した。メラニン量は、UV照射群から回収した細胞の放射線量を100%とした場合の、UV非照射群又はUV照射+si−RNA添加群から回収した細胞の放射線量の百分率として算出した。即ち、各細胞内に取り込まれた放射線量が小さい程、メラニン量が小さいと判断することが出来る。結果を図5に示す。
上述した本発明のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法によって、メラニン産生抑制効果に優れるメラニン産生抑制剤を選択することが明らかであるが、本スクリーニング方法により選択されたメラニン産生抑制剤を用い調製された美白用組成物、及び本スクリーニング方法を利用して美白用組成物を設計する方法も本発明である。本発明の美白用組成物及び美白用組成物の設計方法は、上述したスクリーニング方法によって選択されたメラニン産生抑制剤を用いるものであれば、その他の構成については特に限定されず、公知の調製方法を適宜用いることが出来る。
以下の手順に従い、メラニン産生抑制剤のスクリーニング操作を行った。48穴プレートに正常ヒトメラノサイト(NHEM)(倉敷紡績株式会社)1.5×104(cells/well)の密度で播種し、播種24時間後、合成PAMP、ADM2/IMD(ペプチド研究所)を最終濃度2μMになる様に添加し、さらに被験物質を培地中に最終濃度1%となる様に添加した。さらに0.25(μCi/well)の[14C]−2−Thiouracilを添加した。CO2インキュベーターにて72時間培養後、Cell Counting Kit−8(株式会社 同仁研究所)を用い、細胞
数を測定後、液体シンチレーションカウンター(アロカ株式会社)により[14C]−2−Thiouracilの取り込みを測定した。メラニンが合成された場合、Thiouraciが取り込まれ、放射活性が増加するため、放射活性の測定で合成されたメラニン量の比較が可能となる。尚、比較対照のために、PAMP又はADM2/IMD非添加群、被験物質非添加群でも同様な処理を行い、1)PAMP又はADM2/IMD(+)被験物質(−)群、2)PAMP又はADM2/IMD(+)被験物質(+)群、3)PAMP又はADM2/IMD(−)被験物質(+)群、4)PAMP又はADM2/IMD(−)被験物質(−)群のメラニン産生量を検出した。これらの各群のメラニン産生量データを用い、以下の[数4]の計算式を用いて、被験物質のメラニン産生抑制作用を算出した。
以下の手順に従い、メラニン産生抑制剤のスクリーニング操作を行った。尚、本スクリーニング法に使用した被験物質は、モクセイ科オリーブ属オリーブより得られる植物抽出物およびシソ科ハナハッカ属マジョラムより得られる植物抽出物であり、丸善製薬株式会社より購入した市販の植物抽出物である。
48穴プレートに正常ヒトメラノサイト(NHEM)(倉敷紡績株式会社)1.5×104(cells/well)の密度で播種し、播種24時間後、PAMP(ペプチド研究所、4278−s)およびADM2/IMD(ペプチド研究所、4421-s))を最終濃度2μMとなる様添加、被験物質を培地中に最終濃度1%となる様に添加しCO2インキュベーターにて24時間培養し、Buffer RLT(QIAGEN社)により細胞を溶解し回収した。細胞回収後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社)を用いmRNAを抽出し、SuperScript VILO cDNA synthesis Kit(Invitrogen社)を用いcDNA(プライマー配列は、非公開)を合成し、QuantiTect Primer Assay(QIAGEN社)を用い、リアルタイムPCR法によりRAMP1mRNA発現量を測定した。また、ADM結合受容体を介する作用を有さない美白剤のアルブチン10μg/mL(シグマ株式会社)について、同様の操作によりRAMP1mRNA発現量を測定した。RAMP1mRNA発現量は、TBP(内在性コントロール、プライマー配列は、配列表1に記載)のmRNA発現量を測定し、TBPのmRNA発現量との比率で算出した。結果を図6及び図7に示す。図6及び図7において、縦軸はRAMP1mRNA発現量を表す。また、各々サンプルのRAMP1mRNA発現量は、ADM及び被験物質非添加群のRAMP1mRNA発現量を100%とした場合の百分率で表示した。
ブ属オリーブより得られる植物抽出物RAMP1mRNA発現量抑制作用((PAMP添加時の植物抽出物非添加群のRAMP1mRNA発現量−PAMP添加時の植物抽出物添加群RAMP1mRNA発現量) /
(PAMP添加時の植物抽出物非添加群のRAMP1mRNA発現量−PAMP非添加時の植物抽出物非添加群RAMP1mRNA発現量)*100)は、92%の数値が算出された。
加時の植物抽出物非添加群のRAMP1mRNA発現量−ADM2/IMD添加時の植物抽出物添加群RAMP1mRNA発現量) / (ADM2/IMD添加時の植物抽出物非添加群のRAMP1mRNA発現量−ADM2/IMD非添加時の植物抽出物非添加群RAMP1mRNA発現量)*100)は、50%の数値が算出さ
れた。
以下の手順に従い、本発明のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法により選択されたメラニン産生抑制剤を含有する美白用組成物(皮膚外用剤)を作製した。即ち、表1及び表2の処方成分(A)に記載の各成分を合わせ、室温下に溶解した。一方、処方成分(B)に記載された各成分を室温下に溶解し、これを前記(A)に記載された成分の混合物を加え可溶化し、本発明の美白用組成物(皮膚外用剤1及び2)を得た。また、本発明のメラニン産生抑制剤を水に置換した比較例1を作製した。
表4及び表5に示す処方に従い、健康食品1を作製した。即ち、処方成分を10重量部の水と共に転動相造粒(不二パウダル株式会社製「ニューマルメライザー」)し、打錠して錠剤状の健康食品を得た。尚、表中の数値の単位は、重量部を表す。本健康食品は、優れた色素沈着予防又は改善効果を示していた。
Claims (10)
- プロアドレノメジュリンN−末端20ペプチド(PAMP:Proadrenomedullin N−terminal
20 peptide)及び/又はアドレノメジュリン2/インテルメジン(ADM2/IMD:Adrenomedullin 2/Intermedin)結合受容体を介するシグナル伝達系への不活性化作用を指標とする、メラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。 - 被験物質を細胞に添加することにより、前記被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMD結合
受容体を介するシグナル伝達系の不活性化作用を評価する、請求項1に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法であって、
被験物質を添加して培養した細胞の、PAMP結合受容体遺伝子発現量、ADM2/IMD結合受
容体遺伝子発現量、PAMP結合受容体蛋白質発現量、及びADM2/IMD結合受容体蛋白質発現
量からなる群より選ばれる少なくとも1種の物理量、及び被験物質を非添加の細胞の、前記物理量と同一種の物理量を測定する測定工程、並びに
前記測定工程で得られた物理量を比較し、前記PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を
介するシグナル伝達系の不活性化作用を評価する評価工程、を含む、メラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。 - 被験物質を細胞に添加することにより、前記被験物質のPAMP及び/又はADM2/IMD結合
受容体を介するシグナル伝達系の不活性化作用を評価する、請求項1に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法であって、
PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系の活性化因子を細胞に付
与する活性化因子付与工程、
被験物質を添加して培養した細胞の、メラニン産生量、チロシナーゼの酵素活性、チロシナーゼ遺伝子発現量、c−AMP産生量、PAMP結合受容体遺伝子発現量、ADM2/IMD結合受
容体遺伝子発現量、PAMP結合受容体蛋白質発現量、及びADM2/IMD結合受容体蛋白質発現
量からなる群より選ばれる少なくとも1種の物理量、及び被験物質を非添加の細胞の、前記物理量と同一種の物理量を測定する測定工程、並びに
前記測定工程で得られた物理量を比較し、前記PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を
介するシグナル伝達系の不活性化作用を評価する評価工程、を含む、メラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。 - 前記活性化因子付与工程が、前記測定工程の被験物質の添加前に行われる、請求項3に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
- 前記活性化因子付与工程が、PAMPの添加及び/又はADM2/IMDの添加を含む、請求項3
又は4に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。 - 前記PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体が、カルシトニン受容体様受容体(CRLR:Calcitonin receptor−like receptor)及び受容体活性化調節蛋白1〜3(RAMP1〜3:Receptor activity−modifying protein1〜3)のいずれか1種より形成される受容体、及
びMrgX2受容体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜5の何れか
1項に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。 - 前記PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体遺伝子発現量が、CRLRmRNA、RAMPmRNA、及びMrgX2mRNAからなる群より選択される少なくとも1種以上のmRNAの発現量である、請求項2〜6の何れか1項に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
- メラノサイト単独培養、又はケラチノサイト及びメラノサイトの共培養系を使用する、請求項1〜7の何れか1項に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
- 前記評価工程において、前記測定工程で得られた物理量を比較し、被験物質を非添加の細胞から得られた物理量に比して被験物質を添加して培養した細胞から得られた物理量が減少した被験物質をPAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系への不
活性化作用があると判定する、請求項2〜8の何れか1項に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。 - PAMP及び/又はADM2/IMD結合受容体を介するシグナル伝達系への不活性化作用がある
と判定された被験物質をメラニン産生抑制剤として選択する、請求項9に記載のメラニン産生抑制剤のスクリーニング方法。
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