JP5931534B2 - 非晶質けい酸カルシウム水和物による排水処理システム - Google Patents

非晶質けい酸カルシウム水和物による排水処理システム Download PDF

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Description

本発明は、非晶質けい酸カルシウム水和物(CSHと云う)を利用した畜舎排水等の処理システムとその回収物の利用方法に関し、より詳しくは、CSHによる処理槽と中和脱窒槽とを組み合わせた排水処理システムとその回収物の利用方法に関する。
本発明の排水処理システムは、畜舎の排水処理において、りんの除去・回収、窒素の除去、脱色、および有害微生物の消毒に優れた効果を有する。
畜舎からは糞尿を含む有機汚水(畜舎汚水と云う)が排出される。この畜舎汚水には多量の有機物が含まれており、COD(化学的酸素要求量)やBOD(生物化学的酸素要求量)が高く、未処理のまま放流すると水質汚濁の原因になるので、活性汚泥法などを利用してCODやBODを低減する浄化方法が従来から知られている(特許文献1:特開平10−174991号公報)。
しかし、活性汚泥法を利用した従来の処理方法は畜舎汚水に含まれるりんを十分に除去することができないと云う問題があった。このため、無機系凝集剤を使用する凝集沈殿法が利用されており、また畜舎汚水を曝気して汚水中の溶解性りんを不溶化して除去する処理方法も知られている(特許文献2:特開2001−179267号公報)。無機系凝集剤の一種としては消石灰も利用されている。なお、消石灰は消毒効果も有することは公知である。
さらに、排水の脱りん手段として、けい酸カルシウムを主成分とする脱りん剤が従来から知られている。例えば、特開昭61−263636号公報(特許文献3)にはCaO/SiO2モル比が1.5〜5のけい酸カルシウム水和物を主成分とする水処理剤が記載されている。また、特公平02−20315号公報(特許文献4)には空隙率50〜90%の独立気泡を有するけい酸カルシウム水和物からなる脱りん材が記載されている。さらに、特開平10−235344号公報(特許文献5)にはけい酸カルシウム水和物を主成分とした直径数ミリ程度の球状または中空状に成形した脱りん材が記載されている。特開2000−135493号公報(特許文献6)にはけい灰石を用いた脱りん方法が提案されている。
畜舎汚水の処理において、処理後の排水の色について規制はないが、色の濃い排水は未処理と誤解され、苦情の原因になるので、脱色は汚水処理の重要課題の一つである。ちなみに、一般的な排水の脱色方法として、活性炭吸着法、オゾン酸化法、およびALC粉末などの多孔体けい酸カルシウム水和物からなる粉粒体を脱色剤として利用する方法が知られている(特許文献7:特開平08−131822号公報参照)。
特開平10−174991号公報 特開2001−179267号公報 特開昭61−263636号公報 特公平02−020315号公報 特開平10−235344号公報 特開2000−135493号公報 特開平08−131822号公報
特許文献1の処理方法はりんを除去する効果が低く、特許文献2の処理方法は脱色については殆ど効果がない。さらに、特許文献3〜特許文献5の処理方法に用いるけい酸カルシウム水和物は、大部分がALCなどの結晶質であって多孔質の空隙にりんを吸着して除去するものであり、特許文献6の処理方法と同様に処理時間が長くかかる問題がある。また、脱色効果はない。また、特許文献7の処理方法は、ALCなどのけい酸カルシウム水和物を用いて着色液体を脱色することが記載されているが、ALCはトバモライトを主体とした結晶質であるため畜舎汚水由来の排水にALC粉末を投入しても十分な脱色効果を得ることができず、また脱りん効果も低い。
また、排水からのりんの除去・回収は水質汚濁を解消すると共に枯渇性資源であるりんの循環利用の一端を担う観点からも重要である。また、窒素については、現状では畜産農業排水の硝酸性窒素の排水基準は暫定で900mg/Lであるが、数年後には規制が強化される可能性もあり、今後一層低減が重要となる。色の排水規制はないが脱色の要望は強い。
排水の消毒は、現状では排水の大腸菌群3000個/mL以下という規制を順守すればよいことから塩素消毒が利用されている。また、通常の生物処理で排水の大腸菌が3000個/mL以下になっていれば塩素消毒は不要であるが、万が一、口蹄疫ウイルスなどの有害微生物が混入した場合にはこのような従来の対応だけでは不十分な可能性があり、今後は口蹄疫までも視野に入れた有効な消毒技術が求められる。
本発明は、従来の処理方法における上記問題を解決したものであって、畜舎汚水などの有機性汚水を処理した排水について、優れた脱りん効果と共に脱色および消毒効果、さらには脱窒効果を発揮する排水の処理システムおよび回収物の利用方法を提供する。
本発明によれば、以下の構成からなる非晶質けい酸カルシウム水和物による排水処理システムが提供される。
〔1〕非晶質けい酸カルシウム水和物(CSHと云う)のスラリーと原水が導入される処理槽、該処理槽から抜き出した液が導入される中和脱窒槽、および該処理槽から抜き出したスラリーが導入される固液分離槽とを有し、
上記処理槽においてアルカリ性の液性下で原水に含まれるりんまたはりんと着色成分を取り込んだ沈澱を生成させ、該沈澱を含むスラリーを処理槽から抜き出して固液分離槽に導き、該固液分離槽において上記沈澱を含む使用済CSHを回収し、
一方、上記中和脱窒槽には脱窒細菌を担持した多孔質無機性粒状物が充填されており、上記処理槽から抜き出した液が該中和脱窒槽に導入されると共に、該中和脱窒槽にはチオ硫酸ナトリウムと炭酸ガスが導入され、該中和脱窒槽において液中に含まれる硝酸性窒素が窒素ガスに還元され除去されると共に炭酸ガスによって液が中和されることを特徴とする排水処理システム。
〔2〕原水が畜舎から放流される排水、または有機性産業廃水である上記[1]に記載する排水処理システム。
〔3〕処理槽内をpH8以上に調整してりんを取り込んだ沈澱を生成させ、あるいはpH11以上に調整してりんと共に着色成分を取り込んだ沈澱を生成させると共に消毒を行う上記[1]または上記[2]に記載する排水処理システム。
〔4〕CSHを処理槽に注入する管路にガス圧で作動するダイアフラム弁が介設されており、該ダイアフラム弁は中和脱窒槽に導入される炭酸ガスのボンベと管路で接続されており、該ボンベの圧力が低下するとバルブが開き、CSH注入用ポンプの吸込み側管路が大気開放となってCSHの処理槽への注入が停止される上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する排水処理システム。
〔5〕固液分離して回収した使用済CSHを副産りん酸肥料として利用する上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する排水処理システム。
〔6〕固液分離して回収した使用済CSHを遊離セシウムおよび遊離ストロンチウムの吸着材として用いる上記[1]〜上記[5]の何れかに記載する排水処理システム。
本発明の排水処理システムは、原水が畜舎から放流される排水、または有機性産業廃水などについて脱りん効果および脱窒効果に優れており、さらに処理槽内をpH11以上で処理することによって脱色効果および消毒効果を高めることができる。
本発明の排水処理システムの処理槽において生成する沈澱は脱水性が良く、容易に固液分離することができ、嵩密度の高い固形物(使用済CSH)を回収することができる。また、く溶性りん酸を約20%程度含む固形分を回収することができるので、この固形分を副産りん酸肥料として利用することができる。副産りん酸肥料として利用することによって資源循環的な農業の構築に寄与することができる。
さらに上記使用済CSHは遊離セシウムおよび遊離ストロンチウムを吸着する性質を有しているので、遊離セシウムおよび遊離ストロンチウムの吸着材として利用することができる。
本発明の排水処理システムの概念図 CSH添加量とりん除去率を示すグラフ CSH添加量とりん濃度を示すグラフ CSH添加量と色度除去率を示すグラフ CSH添加量と大腸菌群の除去率を示すグラフ CSH添加量と大腸菌の除去率を示すグラフ 中和脱窒槽のpH変化を示すグラフ 中和脱窒槽の脱窒効果を示すグラフ 未使用CSHのセシウム、ストロンチウム吸着効果を示すグラフ 使用済CSHのセシウム、ストロンチウム吸着効果を示すグラフ
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の排水処理システムは、非晶質けい酸カルシウム水和物(CSHと云う)のスラリーと原水が導入される処理槽、該処理槽から抜き出した液が導入される中和脱窒槽、および該処理槽から抜き出したスラリーが導入される固液分離槽とを有し、上記処理槽においてアルカリ性の液性下で原水に含まれるりんまたはりんと着色成分を取り込んだ沈澱を生成させ、該沈澱を含むスラリーを処理槽から抜き出して固液分離槽に導き、該固液分離槽において上記沈澱を含む使用済CSHを回収し、一方、上記中和脱窒槽には脱窒細菌を担持した多孔質無機粒状物が充填されており、上記処理槽から抜き出した液が該中和脱窒槽に導入されると共に、該中和脱窒槽にはチオ硫酸ナトリウムと炭酸ガスが導入され、該中和脱窒槽において液中に含まれる硝酸性窒素が還元されて窒素ガスとして除去されると共に炭酸ガスによって液が中和されることを特徴とする排水処理システムである。
本発明の排水処理システムの一例を図1に示す。
本発明の排水処理システムには、CSHスラリーと原水が導入される処理槽10、該処理槽10から抜き出した液が導入される中和脱窒素槽11、および該処理槽10から抜き出したスラリーが導入される固液分離槽12が設けられている。処理槽10は上下に長い筒型の槽である。中和脱窒槽11も上下に長い筒型の密閉槽であり、最上部に放流用の管路40が接続している。この中和脱窒槽11の槽内には脱窒細菌を担持した粒状活性炭41が充填されている。なお、脱窒細菌の担持には、活性炭の他にも各種の多孔質無機粒状物を利用することができる。
処理槽10にはCSHスラリーの貯留槽13および原水の貯留槽14が管路15によって接続している。管路15は処理槽10の内部に導入され、底部に向かって伸びている。CSHスラリーの貯留槽13は管路16によって管路15に接続しており、管路16にはCSHスラリーを送液するポンプ17が設けられている。ポンプ17の吸込側管路には管路42が分枝し、該管路42にはガス圧式のダイアフラム弁18が設けられている。このダイアフラム弁18は炭酸ガスボンベ19に接続している。
原水貯留槽14は管路20によって管路15に接続しており、管路20には原水を送液するポンプ21が設けられている。貯留槽14は既設の活性汚泥処理水槽などを用いることができる。
CSHスラリーは管路16を通じて管路15に導入され、原水は管路20を通じて管路15に導入される。管路中で混合されたCSHスラリーと原水は管路15を通じて処理槽10の底部から槽内に導入される。注入されたCSHは処理槽内で層25を形成し、原水はこの層25を上向流で通過し、処理槽10の最上部から流出し、一定レベル以上に蓄積したCSHは層25の最上部から引き抜いて固液分離槽12に送られる。CSH層25の水道形成を防ぐため、1日に1〜4回程度、CSH層25の底部より圧縮空気を0.1〜3分程度送気してCSH層25を攪乱した後、再度、層25を形成させる操作を行うことも効果がある。
処理槽10は管路26を通じて中和脱窒槽11に接続している。処理槽10の最上部から流出した液は管路26を通じて中和脱窒槽11の底部から槽内に導かれる。管路26には脱窒用のチオ硫酸ナトリウムの貯留槽27が注入用ポンプ28を介して接続している。さらに、管路26には炭酸ガスのボンベ19が管路29によって接続しており、管路29には炭酸ガス流量を測定する流量計30が設けられている。中和脱窒槽11の底部近傍の管路26にはチオ硫酸ナトリウムと炭酸ガスを管路26から供給される液に混合するスタティックミキサー31が設けられており、炭酸ガスとチオ硫酸ナトリウムが槽内に流入する直前に混合される。さらに、炭酸ガスボンベ19は管路32を通じてCSHスラリーの貯留槽13の管路16に介設されたダイアフラム弁18に接続している。
固液分離槽12は管路33を通じて処理槽10に接続している。管路33にはCSHスラリーを含む汚泥を抜き出すポンプ34が設けられている。固液分離槽12は、例えば、下端部を結束バンドによって閉じた状態で垂直に懸架したポリエステル筒状織布によって形成し、その開放上端部から回収スラリーを投入し、重力により液分を分離し、残留した固形分は所要時間そのまま風乾した後に、下端部の結束バンドを切断して固形分を落下させて回収するなどの構造にすればよい。
本発明の排水処理システムにおいて用いるCSHは、非晶質けい酸と石灰を反応させて製造した非晶質けい酸カルシウム水和物と遊離石灰[Ca(OH)2]とからなる多孔質の凝集体である。CSH中の遊離石灰量は2.5〜90wt%が好ましい。このCSHは非晶質であるので、結晶質のけい酸カルシウム水和物よりも脱りん効果に優れる。また、遊離石灰を含有することによって脱色効果も良い。
混合されたCSHスラリーと原水は管路15を通じて処理槽10の底部から槽内に導入される。CSHによって槽内はアルカリ性になる。注入されたCSHは処理槽内で層25を形成し、原水はこの層25を上向流で通過し、処理槽10の最上部から流出される。pH8以上のアルカリ性の液性下で原水がCSH層25を通過する間に原水に含まれているりんはCSHに取り込まれ、沈澱化する。CSHの導入量を多くして槽内のpHを11以上にすることができ、この高pH化によってCSHによる着色成分の除去を促進することができ、また、大腸菌や口蹄疫ウイルスなどを消毒することができる。
処理槽10から抜き出した液は中和脱窒槽11に導入され、炭酸ガスを通気して中和される。炭酸ガスを通気することによって簡易かつ安定した中和処理を行うことができる。なお、炭酸ガスボンベが意図せずに空になった場合にアルカリ性の処理水が放流されることを防ぐため、CSH注入ポンプ17の吸込側管路には管路42が分枝し、該管路42にはガス圧式のダイアフラム弁18が設けられており、ボンベ19の圧力が低下したときには弁18が開いて管路42が大気開放となるので、処理槽10へのCSHスラリーの注入は停止され、中和脱窒槽11のアルカリ化が防止される。
中和脱窒槽11の槽内には脱窒細菌を担持した粒状活性炭41が充填されているので、管路43を通じてチオ硫酸ナトリウムが適当量導入されると槽内に脱窒細菌が増殖して硝酸の脱窒が進行する。増殖した脱窒細菌は高アルカリ条件では死滅するが、意図せずに炭酸ガスの注入が停止して中和機能が消失したときには、処理槽10へのCSHの注入も停止するので、中和脱窒槽11がアルカリ化せず、脱窒細菌の死滅が防止される。
使用したCSHは処理槽10から抜き出され、固液分離槽12に導入される。ここで、例えばポリエステル製筒状織布に流入し、重力による液分の分離が進み、筒内に残留した固形物(使用済CSH)はそのまま風乾して回収される。
ポリエステル製筒状織布によるCSHスラリーの固液分離性能は、表1に示したように浮遊物質の回収率が99.5%であり、高い値を示しており、良好な固液分離が可能である。また、回収した使用済CSHには表2に示したように、く溶性りん酸が約20wt%含まれており、これは普通肥料の一種である副産りん酸肥料(く溶性りん酸濃度の規格は15wt%以上)として登録の可能性がある。また、この回収物は、石灰も含有するため酸性化土壌の中和肥料として適し、さらに可溶性けい酸も含まれるので、稲作に適用するとけい酸質肥料の施肥量を減ずることもできる。
さらに、回収した使用済CSHはセシウムイオンとストロンチウムイオンを吸着する性質を有しており、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムに汚染された農地に施用することによって、りん酸、石灰、けい酸の肥効に加えて、遊離セシウムと遊離ストロンチウムを吸着保持する効果がある。
〔実施例1〕
図1に示す排水処理システムにおいて、CSHを固形分5〜10乾重/液容積(DW/V)%のスラリー状態で畜舎汚水に添加し、処理槽内に2〜5時間滞留させた後に、液分を処理槽から抜き出して中和脱窒槽に導入し、この液量5.9〜6.3L/分に対して、チオ硫酸ナトリウム液(濃度0.6〜1.0%)を0.5〜1.1mL/分、および炭酸ガスを3.6〜8.9mL/分の割合で中和脱窒槽に導入し18〜20時間滞留させた後に、液を抜き出した。これらの条件で、処理によるりん、色度、大腸菌群、大腸菌の除去率を調べた、この結果を図2〜図5に示した。なお、添加量(DW/V%)は原水100容積部に対するCSHの添加質量部である。
原水りん酸態りん濃度約25mg/Lの畜舎汚水について、CSH添加量に対する原水のりんの除去率を図2に示す。消石灰を用いた場合を対比して示す。本発明のCSH処理ではCSH添加量約0.15DW/V%でりんは100%除去される。一方、消石灰は添加量約0.15DW/V%でりんの除去率は90%程度である。
りん酸態りん濃度約100〜120mg/Lの原水(畜舎汚水の浄化処理水にリン酸ナトリウムを添加した液)に対するCSH処理の効果を図3に示す。図示するように、CSH添加量0.055DW/V%ではりん除去率は約50%であるが、添加量0.07DW/V%以上ではりんはほぼ100%除去できた。
上記畜舎汚水の色度低減効果を図4に示す。色度はフィルターによって懸濁物を除去した後に、390nmの吸光度を測定し、色度標準液を使用して作成した検量線により色度を求めた。本発明のCSH処理ではCSH添加量0.3DW/V%で色度の除去率は約90%に近いが、消石灰を用いた場合には同様の添加量で色度の除去率は約70%程度である。
上記畜舎汚水の大腸菌群の除去効果を図5に示す。さらに、大腸菌の除去効果を図6に示す。本発明のCSH処理ではCSH添加量0.15DW/V%で大腸菌群および大腸菌の除去率は何れも約100%であるが、消石灰を用いた場合には同様の添加量で大腸菌群の除去率は約90%程度であり、大腸菌の除去率は約70%程度である。
上記処理システムにおける炭酸ガス注入による中和処理効果を図7に示す。図示するように、本発明の処理システムでは炭酸ガスの注入によって液のpHは概ね6付近に安定して維持されている。
上記CSH処理によって回収したCSH含有スラリーと、該スラリーをポリエステル製筒状織布で濾過した濾液について、浮遊物質濃度を測定し固形分の回収率を調べた。この結果を表1に示した。固形分(使用済CSH)はほぼ完全に回収されることが確認された。また回収した固形分の含有成分を調べた。この結果を表2に示す。く溶性りん酸は約20wt%と高濃度である一方、有害金属は普通肥料の基準値以下であった。
Figure 0005931534
Figure 0005931534
中和脱窒槽の脱窒効果を図8に示す。なお、この効果検討は、流入NOx-N濃度約450mg/L、水理学的滞留時間(槽空塔容積あたり)2.6〜4.8日、水温16.9〜25.3℃、流入NOx-N濃度に対するチオ硫酸態硫黄濃度の比(硫黄/窒素)9.2の条件で実施した。中和脱窒槽の槽内にチオ硫酸ナトリウムが導入されることによって、槽内に脱窒細菌が増殖して脱窒が進行し、硝酸態および亜硝酸態窒素(NOx-N)の除去率は30〜75%であった。
〔実施例2〕
CSHを固形分5〜10DW/V%のスラリー状態で畜舎汚水に0.1〜0.15 DW/V%で添加し、一定時間、槽内に滞留させた後に、処理槽から抜き出した。抜き出したスラリーを固液分離槽のポリエステル製ろ布に投入し、液分を分離させた後に風乾した。さらに105℃で1日乾燥した後、乳鉢で微粉末とした。同様に未使用資材についても風乾後105℃で乾燥させた後微粉末化した。これらの粉末をそれぞれ、1、2、4、8、16、32DW/V%の添加量で、ビーカー中の25mLの試料液(非放射性塩化セシウムと塩化ストロンチウムを蒸留水に溶解して調製)に添加した。添加後にビーカーを超音波洗浄器(Branson社製、5510型)に水浴状態で静置し、30分超音波処理し、溶液中の粉末の分散を促進した。超音波処理後、分散液をフィルター(Millipore Millex-LH:疎水性PTFE製)で濾過し、濾液中のセシウム、ストロンチウム濃度を定量した。定量法として、未使用CSHの場合、イオンクロマトグラフィー装置(ダイオネクスDX-120型、CS-12Aカラム、溶離液20mmol/Lメタンスルホン酸)により、また使用済CSHの場合ICP−MS分析装置を用いた。この結果を図9、図10に示す。
この結果、未使用CSHでは全く吸着能が見られなかったのに対し(図9)、使用済CSHでは両成分とも吸着能が確認された(図10)。特に、ストロンチウムについては、1DW/V %の低い使用済CSH添加量でも82%に達する高い吸着率が得られた。
10−処理槽、11−中和脱窒槽、12−固液分離槽、13−貯留槽、14−貯留槽、15−管路。16−管路、17−ポンプ、18−ダイアフラム弁、19−炭酸ガスボンベ、20−管路、21−ポンプ、25−CSH層、26−管路、27−貯留槽、28−ポンプ、29−管路、30−流量計、31−スタティックミキサー、32−管路、33−管路、34−ポンプ、40−管路、41−活性炭、42−管路、43−管路

Claims (6)

  1. 非晶質けい酸カルシウム水和物(CSHと云う)のスラリーと原水が導入される処理槽、該処理槽から抜き出した液が導入される中和脱窒槽、および該処理槽から抜き出したスラリーが導入される固液分離槽とを有し、
    上記処理槽においてアルカリ性の液性下で原水に含まれるりんまたはりんと着色成分を取り込んだ沈澱を生成させ、該沈澱を含むスラリーを処理槽から抜き出して固液分離槽に導き、該固液分離槽において上記沈澱を含む使用済CSHを回収し、
    一方、上記中和脱窒槽には脱窒細菌を担持した多孔質無機性粒状物が充填されており、上記処理槽から抜き出した液が該中和脱窒槽に導入されると共に、該中和脱窒槽にはチオ硫酸ナトリウムと炭酸ガスが導入され、該中和脱窒槽において液中に含まれる硝酸性窒素が窒素ガスに還元除去されると共に炭酸ガスによって液が中和されることを特徴とする排水処理システム。
  2. 原水が畜舎から放流される排水、または有機性産業廃水である請求項1に記載する排水処理システム。
  3. 処理槽内をpH8以上に調整してりんを取り込んだ沈澱を生成させ、あるいはpH11以上に調整してりんと共に着色成分を取り込んだ沈澱を生成させると共に消毒を行う請求項1または請求項2に記載する排水処理システム。
  4. CSHを処理槽に注入する管路にガス圧で作動するダイアフラム弁が介設されており、該ダイアフラム弁には中和脱窒槽に導入される炭酸ガスのボンベから炭酸ガスが導入されており、該ボンベの圧力低下によってCSHの処理槽への注入が停止される請求項1〜請求項3の何れかに記載する排水処理システム。
  5. 固液分離して回収した固形分を副産りん酸肥料として利用する請求項1〜請求項4の何れかに記載する排水処理システム。
  6. 固液分離して回収した固形分を遊離セシウムおよび遊離ストロンチウムの吸着材として用いる請求項1〜請求項5の何れかに記載する排水処理システム。
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