この出願は2011年12月15日に提出された米国特許出願第13/326,967号の部分継続出願(CIP)であり、これは2010年7月8日に提出された米国特許出願第12/832,461号のCIPであり、双方の内容は参照してここに組み入れる。
以下の詳細な説明は、この発明を実施する最良の現行企画モデルのものである。この説明は限定的な意味で受け取られるべきではなく、この発明の全体的な原理を説明する目的でのみなされている。この発明の範囲は添付の特許請求の範囲により最も良く規定されているからである。
種々の発明の特徴が以下に説明され、その各々は他の特徴と独立に採用されてもよいし、他の特徴と組みあわされて使用されても良い。ただし、発明の任意の1つの特徴は上述した問題のいずれも、またはすべてを扱わないかもしれないし、上述した問題の1つのみを取り扱うかもしれない。さらに、上述した問題の1つまたは複数は、以下説明される特徴のいずれでも取り扱われないかもしれない。
添付図面の図1は、この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッド100の斜視図を示す。より具体的には、図1は、ゴルフクラブヘッド100の前方部分に打撃フェース102を配置し、打撃フェース102の後方部分に本体部分を連結させたゴルフクラブ100を示す。この現行の事例的な実施例においては、ゴルフクラブヘッド100の後方本体部分は、一般的には、クラウン104、ソール106、およびスカート108からなっている。この発明の現行の事例的な実施例において説明される打撃フェース102は、一般的に、打撃フェース102の外部境界の回りに周囲部分110、打撃フェース102の中央領域に中央部分112を有してよい。打撃フェース102の周囲部分110と中央部分112との間の区別はこの現行の事例的な実施例では重要である。なぜならば、打撃フェース102の中央部分112を構築するため、ゴルフクラブヘッド100の、周囲部分110を含む残りの部分のために使用されるものと異なる材料を採用できるからである。上述にかかわらず、周囲部分110も、打撃フェース102と同様に、この発明の趣旨および内容を逸脱しない範囲で、ゴルフクラブヘッド100の残りの部分と異なる材料から構築してゴルフクラブヘッド100の性能をさらに改善して良い。
この発明の現行の事例的な実施例において、打撃フェース102の周囲部分110は一般的には比較的大きな第1の密度の金属、例えば、チタンまたはスチールであってよい第1の材料から構築されて良い。これらの材料は、典型的には、ゴルフクラブヘッド100およびゴルフボールの間の衝撃力に耐えるに足るほど充分に強いけれども、重い方であるという傾向がある。より具体的には、スチールは、上述した2つの材料のうち重い方であるが、その密度は一般的に約5.0g/cm3および約8.00g/cm3の間である。他方、チタンは、一般的にスチールより密度が小さく、その密度は約4.00g/cm3および約5.00g/cm3の間である。
そのように多く、ゴルフクラブヘッド内に裁量的な重量があると、ゴルフクラブヘッド100の任意の部分から節約することが可能な任意の量の重量をゴルフクラブヘッド100の重心(CG)および慣性モーメント(MOI)を改善するのに役立てることができる。したがって、図1に示されるこの発明の現行の事例的な実施例は、ゴルフクラブヘッド100の打撃フェース102から重量を節約するために、比較的低い第2の密度の第2の材料を用いて打撃フェース102の中央部分112を構築して良い。より具体的には、打撃フェース102の中央部分112は、この発明から逸脱しない範囲で、約2.7g/cm3の密度のアルミニウム材料、約1.738g/cm3の密度のマグネシウム材料、約1.70g/cm3の密度の複合タイプの材料、または第1の材料の密度より密度が小さい任意の他の材料を使用して構築されて良い。中央部分112を構築するのに使用される第2の材料の第2の密度が小さいので、打撃フェース102の全体の総合重量は顕著に小さくてよく、約15から約25グラムの範囲であってよく、これは、チタンのようなより密度の大きな材料から完全に構築される打撃ゲース102と比較するときに顕著になる。重量の節約は一般に約60mmから約80mmの幅、約25mmから約50mmの高さ、約2.0mmから約3.5mmの厚さの打撃フェース112を基準にして計算される。小さな第2の密度の第2の材料を採用して打撃フェース102の中央部分112を構築すると、ある難題に遭遇することになるかもしれないことを理解することは重要である。なぜならば、低い密度の材料は、ゴルフクラブヘッド100とゴルフボールとの間の衝撃力に耐えるのに充分なほど強くないかもしれないからである。
この発明は、上述の耐久性の課題に対処するために、第2の材料の軽量性を第1の材料の強度および耐久性と組みあわせて実現できる、2つの異なる材料から成る二重層中央部分112を採用してよい。添付図面の図2はゴルフクラブヘッド200の分解斜視図を示しており、この発明の事例的な実施例に従う二重層中央部分212をより良く説明する。より具体的には、ゴルフクラブヘッド200の分解図により、フェースインサート220およびポケット222が見えるようになる。この発明の現行の事例的な実施例において示されるポケット222は、打撃フェース210の中央部分の全体の厚さを完全に貫通するように設計されていないので、フェースインサート220用に用いられる軽量に第2の材料を裏打ちするように働く金属性の第1の材料の1つの層が残される。フェースインサート220は先に検討したように軽量の第2の材料から製造され、一般的には、ゴルフクラブヘッド200の残りの部分と独立して構築されて良く、ゴルフクラブヘッドが完成した後に、ポケット222内の配置位置に挿入されて良い。最後に、フェースインサート220の幾何形状は一般的にはポケット222の幾何形状を模したものでよく、これにより2つの部品をお互いにシームレスに組み立てることができることに留意することは重要である。
フェースインサート220は、先に検討したように種々のタイプの軽量密度の材料からなってよいけれども、一般的には、この発明の1つの事例的な実施例においては複合タイプ材料からなって良い。複合タイプ材料は、この発明でそのように称されるように、一般的には、顕微鏡レベルで分離し区別される、顕著に異なる物理的または化学的特性を伴う2またはそれ以上の構成材料から製造された設計材料である。より具体的には、複合タイプ材料は、熱可塑性または熱硬化可能な樹脂材料で含浸された織物またはカーボンファイバーを指して良く、これは樹脂含浸カーボンファイバーとしてより広く知られている。
添付図面の図3はこの発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの前面図を示している。図3の前面図は中央部分312の相対的な寸法、距離、パーセンテージを周囲部分310や打撃フェース302と比較して示す。より具体的には、この発明の当該事例的な実施例においては、打撃フェース302の前面表面面積は、一般的には、約3600mm2より大きく約4000mm2より小さく、より好ましくは約3300mm2より大きく約3900mm2より小さく、最も好ましくは約3800mm2である。他方、中央部分312の前面表面面積は、約2500mm2より大きく約2900mm2より小さく、より好ましくは約2600mm2より大きく約2800mm2より小さく、最も好ましくは、約2700mm2である。最後に、周囲部分310の前面表面面積は、中央部分312の面積を打撃フェース302の面積から差し引いて導出でき、約900mm2より大きく約1300mm2より小さい範囲となり、より好ましくは約1000mm2より大きく約1200mm2より小さく、最も好ましくは約1100mm2である。この事例的な実施例において示される中央部分312は、この発明の趣旨および内容を逸脱しない範囲で、中央領域の被覆率を向上させるために打撃フェース302の外部幾何形状を模したものであってよい。
軽量の第2の材料から成る中央部分312に充分な大きさのポケットを設けるために、中央部分312は打撃フェース302の顕著な部分を占めなければならない。換言すれば、中央部分の打撃フェースに対する比は約0.65より大きくなくてはならず、より好ましくは0.70より大きく、最も好ましくは約0.75より大きくなくてはならない。中央部分の打撃フェースに対する比は、中央部分312の前面表面面積を打撃フェース302の前面表面面積で割ったものとして定義されつぎの式(1)で示される。
中央部分の打撃フェースに対する比=(中央部分の前面表面面積)/(打撃フェースの前面表面面積) 式(1)
最後に、打撃フェース302は中央部分312と周囲部分313とに分離でき、ここで、中央部分312は先に述べた第2の材料で充填できるポケットを規定する。
図3において示されるゴルフクラブヘッド300の前面図は、中央部分312の打撃フェース302の周囲からのオフセットを示し、これはオフセット距離d1にあり、これは打撃フェース302の周囲と中央部分312の周囲との間の距離として定義される。現行の事例的な実施例に示されるように、オフセット距離d1は、一般的に、中央部分312内のポケットの大きさを定義するのに役立ち、これはゴルフクラブヘッド300の性能を変更するためにポケット内に充填するのに採用できる第2の材料の量を決定する。この発明の1つの事例的な実施例においては、オフセット距離d1は、一般的には、約0.5インチより小さく、より好ましくは約0.33インチより小さく、最も好ましくは0.25インチより大きくて良いが、この発明の範囲および内容から逸脱しない。図3に示すゴルフクラブヘッド300は打撃フェース302の周囲全体に渡って一定のオフセット距離を示すけれども、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で重量除去および耐久性の正確なバランスを見いだすように可変してよい。
添付図面の図4はこの発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッド400の図3に示される断面線A−A'に沿う断面図を示す。ゴルフクラブヘッド400のこの断面図によれば、ゴルフクラブヘッド400の中央部分412のポケット422に加えて後方部分423も明瞭である。ポケット422の内部の軽量の第2の材料により実現される重量の節約は、後方部分423内の金属性材料の強度および耐久性によってバランスされる必要があるので、この発明においては、ポケット422および後方部分423の相対厚さが重要である。この発明の事例的な1実施例においては、ポケット422の深さd2は一定に維持され、約0.2mmより大きく、約2.0mmより小さく、より好ましくは約0.5mmより大きく、約1.5mmより小さく、最も好ましくは約1.0mmである。ポケット422内に軽量の第2の材料を使用することにより犠牲となる耐久性とバランスさせるために、後方部分423の厚さd3は一般的にはゴルフクラブヘッド400がゴルフボールとの衝撃に耐えることを可能にする厚さを維持しなければならない。したがって、後方部分423の厚さd3は一般的には約1.5mmより大きく、約3.0mmより小さく、より好ましくは約1.75mmより大きく、約2.75mmより小さく、最も好ましくは約2.25mmである一定の厚さである。
厚さは先に説明されたけれども、d2およびd3の間の相対的な厚さの比がここではより重要な数であることに留意されたい。これは、ポケット422の深さd2の相対厚さとともに後方部分423の厚さd3を定量化する。この比は、この出願においては「打撃厚さ比」と呼ばれ、打撃フェース402の耐久性を維持しながら打撃フェース402から不必要な重量を減殺するゴルフクラブヘッド400の性能と間接的に定量化する。この出願でそのように呼ばれる、打撃厚さ比は、より具体的にはポケット422の深さd2を後方部分423の厚さd3で割ったものとして定義され、これは以下の式(2)のとおりである。
打撃厚さ比=(ポケットの深さ(d2))/(後方部分の厚さ(d3)) 式(2)
この事例的な実施例で説明したように、打撃厚さ比は一般的には約1.0より小さく、より好ましくは、約0.8より小さく、最も好ましくは約0.7より小さい。
添付図面の図5は図4に示す円形の領域Bの拡大断面図を示す、より具体的には、図5に示されるゴルフクラブヘッド400の打撃フェース402の拡大図により、後方部分423およびポケット422のそれぞれの相対的な厚さd3およびd2がより明瞭になる。上述に加えて、図5は、第2の密度の第2の材料から構築されるフェースインサート520をポケット522の配置位置から移して示している。図5に関して初めに認識しておくべきことの1つは、フェースインサート520の相対寸法および形状は合理的なことにポケット522の寸法および形状と類似しているということである。他の観点から見ると、フェースインサート520は、一般的には、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、ポケット522内にフィットできるような寸法および形状で設計されてよい。より具体的には、図5から理解できるように、フェースインサートの厚さd2はポケット522の深さd2と実質的に類似で良く、この類似性は図示のとおりである。
図5からわずかに見て取れるけれども、現代のゴルフクラブヘッドの打撃フェース502の部分は一般的にわずかの曲がりを伴い中心からずれた打撃により起因する不利益を訂正するようになっていてよいことは広く知られている。現代のゴルフクラブヘッドの打撃フェース502の部分のこのようなわずかな曲がりは、ゴルフクラブヘッドのバルジおよびロールとしてより広く知られており、これは水平方向または垂直方向のいずれから基準点が取られているかによって左右される。打撃フェース502および/またはポケット522の厚さは一般的には打撃フェース502の前面表面から決定されてよいことに注意することが大切であり、これは、ポケット522が打撃フェース520の前面と同一のバルジおよびロールの曲がりを伴うことを意味する。ポケット内のバルジおよびロールの曲率半径を維持することは、凸形状の表面は平坦または凹形状のポケット522より衝撃力を吸収するので、ゴルフクラブヘッドの打撃フェースの耐久性にとって有利である。ただし、この発明の範囲および内容から逸脱しないすべての実施例においてポケット522が凸形状である必要はないことに留意すべきであり、とくに、打撃フェース502がすでに充分に耐久性があって衝撃力を吸収できるときには、ポケット522の内部表面は平坦であっても、さらには凹形状であってもよい。
フェースインサート520およびポケット522の寸法および形状が相対的に類似しているので、一般的なフェースインサート520のポケット522内への結合を助長できる。ただし、この持ち前の要素の幾何形状を利用した機構的な結合に加えて、接着タイプの材料を採用してフェースインサート520およびポケット522の間の結合を一般的に助長することができる。接着タイプの材料は、この出願において検討されるように、一般的には合成タイプの接着剤で良いけれども、接着タイプの材料は、天然接着剤、接触接着剤、仮接着剤、ホットメルト接着剤、UV光硬化接着剤、圧力感応接着剤、または、この発明の範囲および内容を逸脱しない範囲で、ポケット522内にフェースインサート520を保持する化学結合を形成することが可能な任意のタイプの接着剤であってもよい。
添付図面の、図6、図6A、図6B、図6C、および図6Dはこの発明の他の代替的な実施例を示しており、ここでは、ポケット622が、フェースインサート620およびポケット622の間の周囲係合部分Cの回りにアンダーカット628を含み、これが上述の2つの部品の間の結合をさらに助長する。より具体的には、図6A、図6B、図6C、および図6Dは、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲でフェースインサート620をポケット622内に連結するのを助長するのに採用できる種々のタイプのアンダーカット628を拡大して示す。種々のポケット622の幾何形状について詳細に説明するのに先立って、そのようなアンダーカット628を具備するポケットにフェースインサート620を挿入する手法について簡単に検討することがこの発明の発想を説明するのに役立つであろう。図6、図6A、図6B、図6C、および図6Dを参照すると、アンダーカット628を超える大きな径のフェースインサート620を配置することは物理的に困難であることが理解できるであろう。したがって、フェースインサート620を、アンダーカット628を具備するポケット622内に挿入するには、フェースインサート620を形成する複合材料を硬化前にポケット622に配置する必要があるであろう。樹脂含浸材料は、堅固な本体を伴う金属性材料と異なり、一般的には、樹脂が硬化されるまで、屈曲させやすい構造を有してよい。したがって、上述から理解できるように、複合タイプの材料をフェースインサート620を構築するのに使用するのであれば、複合材料の硬化前の屈曲性によってフェースインサートをポケット622に入れ込むことが可能になる。
フェースインサート620を構築するのに使用される樹脂含浸複合タイプ材料の屈曲性に加えて、樹脂含浸複合材を形成するために多層の繊維材料が使用されるので、アンダーカット628の回りでポケットを樹脂含浸複合材で充填することが可能になる。より具体的には、樹脂含浸複合材料は薄い層の樹脂繊維を上下に重ねて構成されるので、種々の繊維層がポケット622を充填してアンダーカット628にまで至る。ただし、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で行われる。
図6A、図6B、図6C、および図6Dは、周囲拡大部Cの種々の拡大図を示し、この発明の種々の実施例に従う種々のアンダーカット628の幾何形状をより明瞭に示す。より具体的には、図6Aは、フェースインサート620をポケット622に固着するのに役立つV形状のアンダーカット628を示す。図6Bは、アンダーカット628の外部突端近くに平坦部分を伴い、衝撃時の高ストレスを伴う鋭い角部分を除去したV形状のアンダーカット628を示す。図6Cは、この発明の他の代替的な実施例を示し、ここでは、U形状のアンダーカット628を用いてフェースインサート620をポケット622に固着できる。最後に、図6Dは、この発明の他の代替的な実施例を示し、ここでは、U形状のアンダーカット628平坦な突端を伴って衝撃時にひびや割れを起こす鋭い角部分を除去している。
この時点で、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース602の部分にポケット622を設けると、すぐに理解可能なものでない付加的な性能上の利益がもたらされることを理解することは重要である。より具体的には、上述のこのタイプの幾何形状から裁量的な重量を形成することにより実現される明らかな性能上の利益に加えて、このタイプのポケット622を採用することは、ゴルフクラブヘッドの所望の音響を維持するのを可能にするであろう。ゴルフクラブヘッドの音響は、定量化することは困難であるけれども、ゴルフクラブヘッドの感受される性能に大いに影響を与える存在である。複合タイプの材料は金属タイプの材料と著しく異なる音響を呈するであろうから、ゴルフクラブヘッドの音響を調整して全部金属性の打撃フェースを具備するゴルフクラブヘッドと比較的類似するようになすことは、この発明のおいて重要であろう。
添付図面の図7は、完全に金属性の打撃フェースを具備する従来のゴルフクラブヘッドの信号電力図を示し、所望の音を実現するゴルフクラブヘッドの音響特性を図説する。より具体的には、図7は、従来のゴルフクラブヘッドがゴルフボールに衝突したときに生成される音の電力752を周波数754の関数として把握する。この電力752および周波数754はゴルフクラブヘッドの種々の部品、例えば、クラウン、ソール、フェース、またはゴルフクラブヘッドの任意の他の部品のゴルフボールとの衝突時の振動を定量化する。図7から理解できるように、全部が金属性の打撃フェースを具備するこの従来のゴルフクラブヘッドは約4,000ヘルツに音響電力752の第1ピーク756を生成するであろう。音響電力752のピーク756は、全部が金属性の打撃フェースを具備するこの従来のゴルフクラブヘッドにおいて示されるように、一般的には、全体の音響電力出力は約0.2ワットであろう。したがって、上述に基づけば、全部が金属性の打撃フェースを具備するゴルフクラブヘッドの所望の音響は電力の第1ピークを約3,500ヘルツより大きく、より好ましくは約3,750ヘルツより大きく、最も好ましくは約4,000ヘルツより大きい周波数としてよいことが観察できる。
添付図面の図8は、全部が複合材の打撃フェースを具備する従来のゴルフクラブヘッドの信号電力図を示し、このタイプのゴルフクラブヘッドの音響特性が劇的に変化することを説明している。図8から、全部が複合材の打撃フェースを具備する従来のゴルフクラブヘッドから生成される音響の電力は、金属性打撃フェースを具備する伝統的な従来のゴルフクラブヘッドの電力に較べて著しく小さいことが、即座にわかる。図7の図面と同一のスケールでプロットされるときにはほとんど気づかないけれども、一般的には、全部が複合材の打撃フェースを具備する従来のゴルフクラブヘッドは音響電力の第1ピーク856を約3,000ヘルツに伴っている。全部が複合材の打撃フェースを具備する従来のゴルフクラブヘッドにおいて示される、ピーク856の音響電力852は一般的には約0.002ワットより小さい全体の音響電力852の出力を伴って良い。したがって、完全に金属性の打撃フェースを具備する従来のゴルフクラブヘッドの、図7に示すような、信号電力図と較べたときには、ゴルフクラブヘッドの打撃フェースを複合材料で完全に置き換えるとゴルフクラブヘッドの所望の音響が顕著に犠牲になることが理解できるであろう。
添付図面の図9を参照すると、この発明に従うゴルフクラブヘッドの信号電力図を理解できる。一瞥しただけで、この発明の信号電力図は、全部が金属性の打撃フェースを具備する従来のゴルフクラブヘッドの、図7に示す信号電力図により似ていることが理解できる。より具体的には、この発明のゴルフクラブヘッドの信号電力図は、音響電力952中の第1ピーク956が約3,500ヘルツより大きく、かつ約4,500ヘルツより小さく、より好ましくは約3,750ヘルツより大きく、かつ約4,250ヘルツより小さく、最も好ましくは約4,000ヘルツで存在してよい。打撃フェースにポケットを具備する、この発明のゴルフクラブヘッドの音響電力952のピーク956は、約0.1ワットより大きく、より好ましくは約0.125ワットより大きく、最も好ましくは約0.15ワットの全体の音響電力952の出力を実現して良い。この発明のゴルフクラブヘッドの信号電力図は、全部が金属性のフェースを具備する従来のゴルフクラブヘッドの信号電力図と顕著に類似性を示すので、この発明のゴルフクラブヘッドの音響は、複合タイプのフェースインサートを伴っているにもかかわらず、好ましいものである。
種々のゴルフクラブヘッドによりもたらされる音響の望ましさは、信号電力図における上述した値に左右されるので、これらの値を相互の関係として定量化して比較を容易にすることはより簡単であろう。以下の式(3)は、ピーク電力の周波数に対する比を生成し、これは容易に定量化可能な方法でゴルフクラブヘッドの所望の音響を把握する。
ピーク電力の周波数比=(ピーク電力)/(ピーク電力が起こる周波数) 式(3)
この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドのピーク電力周波数比は一般的には2.5×10−5ワット/ヘルツより大きく、約5×10−5ワット/ヘルツより小さく、より好ましくは、3.0×10−5ワット/ヘルツより大きく、約4.5×10−5ワット/ヘルツより小さく、最も好ましくは約4.0×10−5ワット/ヘルツであってよい。
ピーク電力周波数比は先に説明され、これはゴルフクラブのゴルフボールとの衝突時の音響を定量化するけれども、ゴルフクラブヘッドの寸法は考慮されていない。ゴルフクラブヘッドの音響は一般的にはゴルフクラブヘッドのゴルフボールとの衝突時に振動により引き起こされるので、ゴルフクラブヘッドの寸法は、ゴルフクラブヘッドを用いてゴルフボールを叩くときにそのような振動に利用可能な表面面積の量を決定するための重要なファクタである。したがって、ゴルフクラブヘッドの音響を定量化する上で認識すべく他の重要な比は、第1ピークの周波数のゴルフクラブヘッドの体積に対する比であろう。好ましい音響は何かというさきの検討と同様に、この発明に従うゴルフクラブヘッドでは、一般的に、周波数における第1ピークは、約3,500ヘルツより大きく、かつ約4,500ヘルツより小さい範囲で、より好ましくは約3,750ヘルツより大きく、かつ約4,250ヘルツより小さい範囲で、最も好ましくは約4,000ヘルツで起こり、これについては上述した。この発明に従うゴルフクラブヘッドの全体の容積は、一般的には、約400立方センチメートル(cc)より大きく、かつ、500ccより小さく、より好ましくは、約420ccより大きく、約580ccより小さく、最も好ましくは約460ccであってよい。上述の数値を参照すると、第1ピーク周波数の体積比の関係は一般的には約7.0ヘルツ/ccより大きく、約15.0ヘルツ/ccより小さく、より好ましくは、約9.0ヘルツ/ccより大きく、約13.0ヘルツ/ccより小さく、最も好ましくは約8.0ヘルツ/ccであってよい。第1ピーク周波数の体積比は以下の式(4)で定義される。
第1ピーク周波数の体積比=(第1ピーク周波数)/(体積) 式(4)
第2の密度の第2の材料が充填されるポケットを採用すると、上述のように、ゴルフクラブヘッドの打撃フェースから重量を節約し、また、音響特性を改善することに加えて、ゴルフクラブヘッドの特徴時間(CT)を増加させることにより、ゴルフボールをより遠くに打撃できるゴルフクラブヘッドを製造する上で付加的な利点を実現する。CTは、現在、ゴルフ産業において知られているように、一般的には、種々の速度を模した種々の高さから振り子を落下させた後、振り子がゴルフクラブヘッドに接触している時間の量と関係する。速度および時間の値が、振り子に取り付けられた加速度計により把握され、その後、一般的には、速度の関数としてプロットされる。測定のスロープを伴う線形な傾向線が種々のデータ点から形成されて良く、最終的なy切片がゴルフクラブヘッドのCT値をなす。ゴルフクラブヘッドのCT値を求めるのに使用される正確な装置および手順に関するより詳細な説明は米国特許第6,837,094号(Pringle等)に見い出すことができ、その内容は参照してここに組み入れる。
添付図面の図10は、'94特許において説明されるステップに従ってゴルフクラブヘッドの打撃フェースの柔軟性を測定するポータブル装置を利用して得た種々の接触時間結果をグラフ表示するものである。より具体的には、図10は、この発明に従う事例的なゴルフクラブヘッドの打撃フェースの特性時間結果をy軸に沿って示し、それぞれのデータ点1062の各々の振り子の速度をx軸に沿って示すものである。振り子に取り付けられた加速度計により測定される振り子の速度は、以下の式(5)により定量化される線形な関係を生成するうえで予期される誤差を最小化するために、−0.329の指数値を採っていることに留意されたい。
T=A+BV−k 式(5)
ここでTは、振り子の速度が、記録される最高値の5%から95%に上昇するのに要する時間であり、Bは、種々のデータ点1062により形成された傾向線1064のスロープであり、Vは種々のデータ点1062の振り子テストの速度であり、kはゴルフクラブヘッドの切片値における誤差を最小化するための指数調整ファクタである。傾向線1064およびy軸の間の交点は、ここではAとして特定され、上述のT、B、およびVの値から決定でき、一般的には、USGAにより採用される最終的なCT値であってよく、これはゴルフボールと衝突する際にゴルフクラブヘッドが撓む能力に関連する。
ここでいうCT値は交点Aによって決定されるので、振り子テストから個々のデータ点1062の種々のCT結果から形成される傾向線1064のスロープBが重要であることに留意されたい。この発明は、ゴルフクラブの打撃フェース部分にあるポケットの中に小さな第2の密度の複合材を特定の量だけ利用しているので、種々のデータ点から形成される傾向線1064のスロープBは一般的には伝統的な従来のゴルフクラブヘッドのスロープより急峻であろう。より具体的には、種々のデータ点1062の傾向線1064から形成されるスロープはここでは「特徴時間スロープ」として知られている。「特徴時間スロープ」はこの発明でさきに定義されるように、一般的には、約5より大きく、約50より小さく、より好ましくは約10より大きく、約45より小さく、さらに好ましくは、約12.5より大きく、約30より小さく、最も好ましくは約15より大きく、約20より小さく、これは図10に示すとおりである。特徴時間スロープの傾向線1064の単位は先には特に検討しなかったけれども、それは一般的にはマイクロ秒で表される時間の単位を速度の値で割って、−0.33乗することにより導出できる。傾向線1064の単位の最終的な結果は一般的には(マイクロ秒)/(秒/メータ)または当該式の任意の他の単純化した形態であって良く、ただし、この発明の範囲および内容を逸脱しないものとする。CTテストに関するより多くの情報は、合衆国ゴルフ協会(USGA)により定義され、Technical Description of the Pendulum Test、Revised Version、Discussion of Points Raised During Notice & Comment Period(2003年、11月)に見いだすことができ、その内容は参照してここに組み入れる。
ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分内に形成されるポケットに採用できる種々の幾何形状に関する先の検討に戻り、ここでは図11を参照する。添付図面の図11は、凹状の幾何形状を採用して良いポケット1122を具備するゴルフクラブヘッドの断面図を示す。凹状幾何形状は後方部分1102の厚さを減少させるけれども、薄い後方部分1123は全体の打撃フェース1102に付加的な変形を実現し、これがゴルフクラブヘッドの性能を向上させることになる。ポケット1122の厚さは一般的には図11にd3として示されてよいけれども、この厚さは、この発明の範囲および内容を逸脱しない範囲で、約0.2mmから約3.5mmであってよい。
添付図面の図12はこの発明の他の代替的な実施例に従うポケット1222を具備するゴルフクラブヘッドの断面図を示す。より具体的には、ポケット1222の後方部分1223は可変厚さを伴ってよく、これによりポケット1222内のインサート1220の幾何形状に影響を与えることなく、大きなスイートスポットを実現できる。可変厚さの打撃フェースを具備するゴルフクラブヘッドの利点に関するより詳細な検討は米国特許第6,605,007号(Bissonnette等)に見い出すことができ、その内容は参照してここに組み入れる。この発明の当該事例的な実施例に従う後方部分1223は2つの異なる厚さd5およびd6を伴って良く、より厚い部分d5は打撃フェース1201の中央の近くに配置される。上述に限らず、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、多くの他の形態の厚さプロファイルをより多くの個別のセクションを伴って採用することができ、単に後方部分が可変厚さであればよい。最後に、ポケット1222の厚さおよびフェースインサート1220の厚さは、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、すべて実質的に不変で一定厚さd2であってよい。
添付図面の図13はこの発明の他の代替的な実施例に従うポケット1322およびフェースインサート1320の他の代替的な幾何形状を伴うゴルフクラブヘッドの断面図を示す。より具体的には、この発明の当該事例的な実施例においてフェースインサート1320は可変厚さを伴ってゴルフクラブヘッドの打撃フェース1320の性能を向上させて良い。フェースインサート1320に関して可変厚さを実現するために、後方部分1323は一定の厚さを維持してフェースインサート1320の可変厚さを実現してよい。後方部分1323の一定厚さを維持するために、この発明の代替的な実施例は、一般的には、後方部分1323の中央部分の近くで屈曲してフェースインサート1320の厚い部分に適合するようになす後方部分1323を実現して良い。
添付図面の図14は、この発明の他の代替的な実施例に従うポケット1422およびフェースインサート1420の他の代替的な幾何形状を伴うゴルフクラブヘッドの断面図を示す。より具体的には、この発明の事例的な実施例においてフェースインサート1420は可変厚さを伴ってゴルフクラブヘッドの打撃フェース1420の性能を向上させてよい。後方部分1423は、打撃フェース1420をサポートする代替的な手法を提供し、打撃フェース1402の中央部分で薄くなる可変厚さを実現する。この実施例は、好ましいことに、薄い中央部分がより撓むので、中央部分の曲げ剛性を大きくできて好ましい。
添付図面の図15は、この発明の他の代替的な実施例に従うポケット1522およびフェースインサート1520の他の代替的な幾何形状を伴うゴルフクラブヘッドの断面図を示す。より具体的には、この発明の当該実施例は、打撃フェース1520の中央部分で厚さが大きい後方部分1523を具備してゴルフクラブヘッドの耐久性を増大させる。したがって、打撃フェース1502の中央部分で後方部分1523の厚さを増大させるために、フェースインサート1520の厚さは一般的に中央部分で薄くなっていて良い。この実施例はゴルフクラブヘッドの耐久性の改善が必要な場合に好ましいであろう。
添付図面の図16は、この発明の他の代替的な実施例に従い、異なる幾何形状を採用して打撃フェース1602を形成するゴルフクラブヘッドの断面図を示す。より具体的には、後方部分1623が薄いけれども完全な打撃フェース1602を形成し、これがフェースインサート1620によって被覆される。このフェースインサート1620は、サイズは通常ではないけれども、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース1602の部分から不必要な重量を除去するという同一の目的に役立つ。この発明の当該実施例は、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、後方部分1623の構造上の一体性を維持しつつゴルフクラブヘッドの打撃フェース1602から負引くような重量を除くという点で従来のゴルフクラブヘッドに対して利点を有する。
添付図面の図17は、この発明の他の代替的な実施例に従い、若干異なる幾何形状を採用して打撃フェース1702を形成するゴルフクラブヘッドの断面図を示す。より具体的には、この発明の当該実施例は、打撃フェース1702の両端に2つの個別の後方部分1723を採用して中央領域ではフェースインサート1720を非支持状態にする。この発明の当該代替的な実施例は完全な後方部分1723と関連する重量を完全に除去するのに役立ち、さらに、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース1702に関連する不必要な重量も減少させることができる。
添付図面の図18は、この発明の他の代替的な実施例に従い、異なる幾何形状を採用して打撃フェース1802を形成するゴルフクラブヘッドの断面図を示す。図18に示されるこの発明の当該実施例は、接着点を打撃フェース1802の衝撃部分から除去またはシフトさせるためにフェースインサート1820の周囲をゴルフクラブヘッドのクラウンおよびソール側にずらした。接着点を打撃フェース1802からずらすと、連結部分を最も応力が大きな部分から移動させて、必要な接着強度を減少させることができるという点で、ゴルフクラブヘッドの性能上有利となる。図18から理解できるように、後方部分1823はゴルフクラブヘッドのクラウンおよびソールの方向にずらされて、この目的を実現する。ただしこの発明の範囲および内容から逸脱しないものとする。
添付図面の図19は、この発明の他の代替的な実施例に従い、異なる幾何形状を採用して打撃フェース1902を形成するゴルフクラブヘッドの断面図を示す。より具体的には、図19から理解できるように、フェースインサート1920は、ゴルフクラブヘッドの打撃フェースを完全に包囲してゴルフクラブヘッドの打撃フェースから連結部をシフトさせて良い。ただし、図19に示されるゴルフクラブヘッドは、金属性の後方部分1923もフェースインサート1920の部分的な後方サポートを構成する点で、付加的な性能上の利点を実現する。上述の特徴に加えて、この発明の当該事例的な実施例において示されるフェースインサート1920は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、厚い中央部分を採用してスイートスポットの大きさを改選して良い。
ここで図17〜19に示されるゴルフクラブヘッドは、図17〜19に示されるゴルフクラブヘッドにより生成されるポケットは後方部分を具備しないという点で、この発明の先に検討した種々の実施例から若干異なっている点に留意されたい。ポケットが金属性後方部分によりサポートされている場合には、複合タイプの材料の種々の層の内部の破損の主たる原因は、複合繊維の個々の層の剥離によるであろう。しかしながら、ポケットが後方部分によってサポートされていない場合には、主たる懸念は、複合材料自体の耐久性であり、この結果、複合タイプの材料の強度および耐久性が主たる懸念になる。ほとんど、どのような種類の樹脂含浸カーボンファイバーにも顕著な重量節約上の利点があるという事実にかかわらず、すべてのタイプの樹脂含浸カーボンファイバーがゴルフクラブヘッドに採用されるために必要な耐久性の要求を満たすものではない。種々のタイプの樹脂含浸カーボンファイバーを理解するために、添付図面の図20を参照することが役に立ち、これは、カーボンファイバー含浸繊維内のファイバーの応力および歪みチャート2000を示し、この発明に従う第2の材料として使用するのに適するであろう樹脂含浸カーボンファイバーの応力および歪みの間の関係を図説するのに役立つ。
初めに、応力および歪みチャート2000を参照すると、複合タイプの材料の繊維の応力及び歪みの間の関係2030は線形弾性から破壊へという特性を有して良い。複合材料の繊維における線形弾性から破壊へという特性は、これにより、複合材料の物理的な寸法を変化させない純粋な弾性変形を可能にする点で、一般的には、非線形弾性から破壊へという特性より好ましいであろう。複合材の繊維における、この種の純粋に線形な弾性から破壊へという特性は、非線形の弾性から破壊へというものに較べてより好ましい、なぜならば、線形弾性から破壊への特性を有する壊れやすい繊維は、一般的には、非線形弾性から破壊へという特性の壊れやすい繊維により実現可能な降伏応力より大きな最大抗張力を実現できるからである。複合材料の繊維が線形弾性から破壊へという特性を示すのに加えて、図20の応力および歪みの間の関係2030も、当該発明に用いられる複合材料の理想的な繊維の強度および弾性を示す。より具体的には、図20は使用される複合材料の繊維が一般的には約4.5GPaより大きく、6.0GPaより小さく、より好ましくは、約4.5GPaより大きく、約5.5GPaより小さく、最も好ましくは約4.9GPaの引張強度を有することを示すであろう。上述した引張強度と組みあわせて、複合材料は一般的に引張弾性モジュラスを有して良く、これは応力および歪みの関係2030のスロープにより決定され、約200GPaより大きく約300GPaより小さく、より好ましくは約225GPaより大きく約275GPaより小さく、最も好ましくは約241GPaである。ここでは、引張強度および引張モジュラスは、すべて、複合材料の繊維の重要な特性であるけれども、繊維をこの発明に適切なものになす決定因子は、歪みから破壊へのパーセンテージにかかっている。歪みから破壊へのパーセンテージは、当該事例的な実施例でそのように呼ぶように、一般的には、繊維の引張強度を繊維の引張弾性モジュラスで割ったものとして定義され、より具体的には以下の式(6)で説明される。
(引張強度)/(引張弾性モジュラス)=歪みから破壊へのパーセンテージ 式(6)
歪みから破壊へのパーセンテージは、図20の当該事例的な実施例において示されるように、また、さきの引張強度および引張弾性モジュラスの値に基づいて、一般的には、約1.0%より大きく約10.0%より小さく、より好ましくは約2.0%より大きく約8.0%より小さく、最も好ましくは約2.5%である。
複合材料を採用してフェースインサートを形成することに関する検討を続けると、添付図面の図21は、この発明の事例的な実施例に従う複合体フェースインサート2120の分解図を示す。より具体的には、フェースインサート2120の分解図により、複合材フェースインサート2120内の繊維の種々の配向がどのように変化してゴルフクラブヘッドの性能特性に影響を与えるかをよりわかるようにできる。図21に示されるフェースインサート2120は、一般的には、第1層2141、第2層2142、第3層2143、第4層2144、第5層2145、第6層2146、第7層2147、第8層2148、または、この発明の範囲および内容から逸脱することなくフェースインサート2120を構築するために必要と考えられる任意の数の層を具備して良い。図21に示される当該事例的な実施例においては、フェースインサート2120は8つの異なる層2141、2142、2143、2144、2145、2146、2147、および2148を具備して良く、各々は直接に係合する層と異なる配向に方向づけられている。より具体的には、第1層2141は、参照の便宜上、0度とラベル付けされる水平方向に方向づけられていてよい。第2層2142は第1層2141に続いて対角方向に方向づけられてよく、+45度として識別しやすくする。第3層2143は第2層2142に続いて垂直方向に方向づけられてよく、90度としてより識別しやすくなっている。第4層2144は、第3層2143に続いてよく、この層の繊維は第2層2142と異なる対角方向に方向づけられてよく、−45度として識別しやすくなっている。図21は8つの異なる層を示すけれども、当該事例的な実施例において、後続の層2145、2146、および2148は初めの4つの層と同一な配向きにそれぞれ従ってよい。実際、任意の付加的な数の層が図21に示されるものに加えて付加されて所望の厚さに到達するようにしてよい。ただし、この発明の範囲および内容から逸脱せず、しかも、図21において先に示される構造に従うことを条件とする。この種の配向を採用することにより、準等方性特性を具備する複合材フェースインサート2120を実現でき、この準等方性特性は多くの異なる方向に配向された負荷に破壊することなく耐えることができるほど充分に大きな強度を持つフェースインサート2120をもたらす。
添付図面の図22は、この発明の他の代替的な実施例を示し、ここでは、フェースインサート2220が異方性特性を呈する。当該事例的な実施例で用いられるように、異方性は、複合材フェースインサート2220の方向に依存する強度を指し、これは複合材フェースインサート2220内の繊維の均一な配向に起因する。より具体的には、図22から理解できるように、第1層2241、第2層2242、第3層2243、第4層2244、第5層2245、第6層2246、第7層2247、および、第8層2248は、すべて、実質的に垂直方向に伸びる繊維を伴い、この方向を90度としてより識別しやすくする。異方性特性の複合材フェースインサート2220を伴うと、最も大きな応力を受ける方向に沿ってフェースインサート2220の強度を絞り込むことにより、ゴルフクラブヘッドの性能をさらに改善できる。ただし、大きな応力を発生しないという傾向がある方向に沿うなんらかの強度が犠牲になる。ゴルフクラブヘッドの設計空間内では、応力の大多数はクラウン−ソール方向に発生する。したがって、繊維の配向を反対方向に沿って配向することにより、最も短い距離で当該応力を吸収する方向に打撃フェースのモジュラスが増大する。図22は、説明の便宜上、複合材フェースインサート内に8つの繊維層しか示していないけれども、付加的な数の層をフェースインサート2220に付加して所望の厚さに到達するようにしてよいことに留意されたい。ただし、この発明の範囲および内容から逸脱せず、しかも、図22において先に示される構造に従うことを条件とする。
所望の方向に引張モジュラスが増大するのに加えて、図22に示すフェースインサート2220は、クラウンからソールへと広がる、より応力が少ない方向に必要とされる複合材パイルの個数を減少させて、さらにゴルフクラブヘッドの打撃フェースから不必要な重量を削減して付加的な性能上の利点を達成するであろう。当該検討は具体的にはフェースインサート2220用に使用される複合材をベースにした材料に関連するけれども、異方性の同一の考え方は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、金属性材料、例えば、アルミニウム、マグネシウム、またはさらにはチタニウムのすべてに適用して良いことに留意されたい。金属性異方性材料の製造および使用に関するより詳細な検討は米国特許第6,623,543号(Zeller等)に見いだすことができ、その内容は参照してここに組み入れる。
添付図面の図23は、この発明の他の代替的な実施例を示し、ここでは、繊維配向の異なる組み合わせが準異方性のフェースインサート2320を実現する。当該事例的な実施例で用いられるように、準異方性は、複合材フェースインサート2320の方向に依存する強度を指し、これは1つの配向が他の方向に対して有利である複合繊維の配向に起因する。より具体的には、フェースインサート2320は第1層2341を具備し、これは実質的に垂直方向に配向された繊維をともない、この方向は90度の方向としてより容易に把握できるようにする。第1層2341の後方には第2層2342が位置づけられ、これは実質的に対角方向に配向された繊維をともない、この方向は+45度の方向としてより容易に把握できるようにする。第3層2343は第2層2342の後方に配され、その繊維は第1層2341の繊維配向と類似な方向に配向され、実質的に垂直であり、クラウン−ソールの配向に沿ってフェースインサート2300の強度を強化する。第3層2343の後方には第4層2344があり、その繊維は第2層2342の方向と実質的に反対の対角方向に配向されている。第4層2344は−45度の配向の繊維を伴い、その繊維の配向は第2層2342の配向に対して直角であることを意味する。第5層2345は第4層2344の後方に配置され、その繊維を実質的に垂直の方向に戻し、クラウン−ソールの配向にフェースインサート2320の強度をさらに増加させて良い。第6層2346は、当該事例的な実施例に示されるように、一般的には水平方向に配向された繊維を有してよく、この配向は0度としてより容易に把握できる。最後に、複合材フェースインサート2320の第7層2347は、前に戻って、実質的に垂直方向の繊維をもってよく、ヒール−トウの方向の強度をさらに強化する。
図23に示されるフェースインサート2320は、一般的には、図21に示されるフェースインサート420の準等方性の利点を図22に示されるフェースインサート520の異方性の利点に組みあわせることができる。より具体的には、図23に示されるフェースインサート2320はいくつかの異なる配向に沿う繊維を伴うので、フェースインサート2320の種々の方向を横切る曲げ剛性を維持するのに役立つであろう。ただし、垂直の配向に沿って伸びる繊維の層の和が大きくなると、図23に示すフェースインサート2320は、最も大きな応力を受ける方向を横切る、フェースインサート2320の曲げ剛性を増大させることが可能になる。ここで、図23は、複合材繊維の7つの層しか示していないけれども、図23において先に示される構造に従うかぎり、層の個数は多くの他の数であってよいことに、再度、留意されたい。
繊維配向に加えて、フェースインサート2320に用いられる複合材料の他の重要な特性は、複合材料の層間剪断強度(ILSS)である。繊維強化複合体は一般的には繊維および樹脂を含んで良く、この2つの組み合わせにより高強度および軽重量が実現される。しかしながら、複数の層を具備する複合体の固有の組成物に起因して、異なる層の間のボンディングがしばしば問題の領域となる。複合積層体の層間剪断強度(ILSS)はこのボンディングを計量化するのに役立ち、一般的に、材料が、大きな衝撃時の極めて特殊なタイプの損傷に耐える能力に反映することになる。金属のようなモノリシックな材料の損傷は一般的には破壊応力により定義して良いけれども、複合材料に対するそのような衝撃の影響は、一般的には、破壊応力に加えて、材料の各々の脱積層化であろう。
この発明に従う複合材料の層間剪断強度(ILSS)は、一般的には、約60MPaより大きくて良く、より好ましくは、約70MPaより大きく、最も好ましくは、約75MPaより大きくて良い。材料の層間剪断強度(ILSS)はゴルフクラブヘッドの性能に決定的であることを認識することは重要であり、なぜならば、層の積層解除は材料の損傷になるからである。ゴルフクラブの打撃フェースはそのような大きなレベルの応力をゴルフボールとの接触時に受けるので、材料がそのような損傷に耐える能力は最大級に重要である。ゴルフ用品のための大きな層間剪断強度(ILSS)の要請は、一般的には、他の用途と異なり、なぜならば、他の用途のほとんどはそのような短い期間にそのような大きな応力環境に複合材料をさらすことがないからである。
以下のより大きな層間剪断強度(ILSS)数を具備する積層体を実現する方法は高価であり、材料特性、層厚、および配向のような多くの要素をすべて調整してそのような大きな層間剪断強度(ILSS)数を実現できるのであり、これはこの発明の範囲および内容からすべて逸脱しないようにする必要がある。
この発明の代替的な実施例において、過剰に大きな層間剪断強度(ILSS)は複合材料の構造、およびそれに加わる応力に応じて、必要でなくなるであろう。実際、過剰に大きな層間剪断応力は製造プロセスにおいて付加的なコストをもたらし、また、複合材料に付加的な重量ももたらし、これはゴルフクラブヘッドに適切でないものとなる。このため、この発明の代替的な実施例においては、複合材料の層間剪断強度(ILSS)は約60MPaから約145MPaの間であって良く、より好ましくは約70MPaから約125MPaの間、最も好ましくは約75MPaから約120MPaの間であって良い。
層間剪断強度を決定するために、この発明は、種々の積層された層の間のボンディングを、これをASTM D−2344M−00標準により規定される、三点屈曲テスト、AKA短ビーム強度テストとして知られる屈曲応力テストを適用することによって、把握する。三点屈曲テストでは、資料が両端で保持され、複合材料の中央が最大剪断応力を受けるようにその中央を押す。そのため、積層体が経験する剪断応力は数式を用いて計算でき、これは、印加した力、積層厚さ、および広がり距離に左右される。
図5、図11〜図19は、すべて、フェースインサートの個別の特徴および幾何形状を、個別の特徴および幾何形状をともなう対応する後方部分と組みあわせて示すけれども、種々の要素の種々の特徴および幾何形状は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、相互に交換して異なる設計を構成し、異なる目標を実現して良い。
添付図面の図24は、この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッド2400の、図3の断面線A−A'に沿う分解断面を示し、この図において、フェースインサート2420は薄い打撃フェース2402の内側表面の後方に配置されてフェース裏打ち層2420を形成する。より具体的には、図24は、ゴルフクラブヘッド2400を示し、これは、そのクラウン部分に開口2450を具備する空洞の一体性シェル2401からなる。このようなゴルフクラブヘッド2400のクラウン部分の近くに開口2450を伴う、特殊なタイプの幾何形状は、一般的にはゴルフ業界においては「クラウンプル」構造として知られており、これは、鋳造プロセスが、ゴルフクラブヘッド2400のクラウン部分から引き出されて開口2450を形成するインサートを用いるからである。ただし、開口2450がゴルフクラブヘッド2400のクラウン部分の近くにあるかぎり、開口2450はこの発明の範囲および内容から逸脱することなしに機械加工されてよい。
図24に示すゴルフクラブヘッド2400は、開口2450を被覆してゴルフクラブヘッド2400を完成させるように構成されたパネル2452を含むようにも示されている。1つの事例的な実施例において、パネル2452は、空洞の一体性シェル2401と同一の材料から形成してゴルフクラブヘッド2400の音響特性を維持して良いけれども、パネル2452が開口2450を被覆できる限り、この発明の範囲および内容から逸脱することなしに、多くの他の材料を用いてもよい。
フェース裏打ち層2420は、この発明の当該事例的な実施例に示すように、一般的には、ゴルフクラブヘッド2400の薄くした打撃フェース2402の部分の後方表面に取り付けられて、打撃フェース2402の薄型化に伴って失われた何らかの構造上の堅固さを実現して良い。先の検討と同様に、打撃フェース2402をフェース裏打ち層2420の軽量材料で置き換えることにより、打撃フェース2402の部分の全体重量を削減でき、より多くの裁量的な重量をもたらす。上述の論拠によれば、一般的には、フェース裏打ち層2420を形成するために使用される第2の材料の第2の密度は、空洞の一体性シェル2401を形成するために用いた第1の材料の第1の密度より小さくて良い。この結果、上述した重量の節約がもたらされる。実際、第2の材料の密度は、アルミニウムを用いる場合、約2.7g/cm3未満であって良く、マグネシウムを用いる場合、約1.738g/cm3未満であって良く、複合型材料を用いる場合、約1.70g/cm3未満であって良い。この発明の1つの好ましい実施例において、フェース裏打ち層2420の材料は、その高強度および小質量の特性から、炭素繊維を基本にした複合型材料であって良い。
薄くした打撃フェース2402は顕著な程度に構造上の堅固さを失うかもしれないので、ゴルフクラブヘッド2400がゴルフボールとの衝撃を乗り切れるようにするために、フェース裏打ち層2420は失われた構造上の堅固さを置き換える必要がある。構造上の堅固さを置き換えるのに加えて、フェース裏打ち層2420を付加すると、局所的な衝撃位置から衝撃負荷を分散させるように働くかもしれない。したがって、フェース裏打ち層2420によって実現される機構ゆえに、薄くされた打撃フェース2402の厚さは一般的には約0.25mmから約3.00mmの間で良く、より好ましくは、約0.25mmから約1.00mmの間で良く、最も好ましくは、約0.25mmから約0.45mmの間で良く、これらずべては、従来の耐久性標準が要求したものより顕著に薄くなる。対照的に、フェースバック層2420の厚さは一般的には約0.5mmから約4mmの間で良く、これによって、新たに薄くされた打撃フェース2402を支持するのに充分な構造上の堅固さを実現する。
図24においては具体的に示されないけれども、一般的には、打撃フェース2402の内側背面のかなりの部分がフェース裏打ち層2420で被覆される必要があり、これは、より大きな割合で被覆することにより、フェース裏打ち層2420により付与できるより大きな構造支持と同一視できるようになるからである。1つの事例的な実施例において、フェース裏打ち層2420は打撃フェース2402の内側背面の約90%より多くを被覆し、より好ましくは約95%より多く、最も好ましくは、約100%を被覆する。
最後に、ここで、フェース裏打ち層2420が一般的にはゴルフクラブヘッド2400のクラウン部分およびソール部分へと伸びて入り、より良好な構造上の堅固さ、および接触表面を実現し、不必要な重量をさほど負荷することなく、フェース裏打ち層2420が、薄くされた打撃フェース2402を、より強固にできるようになすことに留意することは重要である。延長部分の正確な距離は決定的ではないけれども、延長部2454の長さは一般的には約3.00mmより大きくて良く、より好ましくは、約5.00mmより大きく、最も好ましくは、約7.00mmより大きくて良く、ただし、この発明の範囲および内容から逸脱しないものとする。延長部2454の長さは、クラウン部分またはソール部分へ完全に遷移するフェース裏打ち層2420の平面部分から測定されて良く、これにより延長部2454の長さを正確に決定できる。換言すれば、延長部2454の長さは、打撃フェース平面と実質的に直角な平面表面を形成するフェース裏打ち層2420の点から始まる。
上述した構造によれば、フェース裏打ち層2420の取り付けは、一般的にはブラダー成型プロセスを利用して達成できる。ブラダー成型プロセスは、固有の幾何形状を形成するための拡大可能ブラダーを用いて、複合材料をゴルフクラブヘッドの内側壁に取り付ける慣用的なプロセスである。より具体的には、ブラダー成型プロセスは、一般的には、膨張可能ブラダーを開口を介してゴルフクラブヘッド中に挿入するステップと、ブラダーの少なくとも一部がフェース裏打ち層をまで、ブラダーを膨張させるステップとを伴う。換言すれば、ブラダーが複合体フェース裏打ち層に充分な圧力を加え、もって、これがゴルフクラブヘッドの内部背面と対抗するように介在するようになす。さいごに、複合体フェース裏打ち層が慣用的なボンディングプロセスを通じて打撃フェースの内面に充分に固着されたら、ブラダーを収縮させて開口を介してゴルフクラブヘッドから取り出せるようにする。ブラダー成型プロセスのより多くの情報は、本出願人の出願に係る、米国特許第7,281,991号(Gilbert等)に見いだすことができ、その内容は参照してここに組み入れる。
添付図面の図25は、この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッド2500の、図3の断面線A−A'に沿う分解断面を示し、これは、ゴルフクラブヘッド2500のソール部分に開口2550を組み込んでいる。先の検討と同様に、開口2550は空洞の一体性シェル2501の部分を形成し、図25に示すこの特殊なタイプの構造は、一般的には「ソールプル」造として知られており、これは、鋳造プロセスが、ゴルフクラブヘッド2500のソール部分から引き出されて開口2550を形成するインサートを用いるからである。ただし、開口2550がゴルフクラブヘッド2500のソール部分の近くにあるかぎり、開口2550はこの発明の範囲および内容から逸脱することなしに機械加工されてよい。上述と同様に、フェース裏打ち層2520はゴルフクラブヘッドの打撃フェース2502の内側背面に取り付けられて、薄くした打撃フェース2502を構造的に支持する。
添付図面の図26は、この発明の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッド2600の、図3の断面線A−A'に沿う分解断面を示し、これは、ゴルフクラブヘッド2600のクラウン部分およびソール部分の双方に開口2650を組み込んでいる。ゴルフクラブヘッド2600は、依然として、空洞の一体性シェル2601を用いて形成され、パネル2652がクラウンおよびソールの開口2650を被覆する。この事例的な実施例では、ブラダー成型プロセスに用いられるブラダーは、クラウン開口2650またはソール開口2650のいずれかから挿入されて、この発明の範囲および内容から逸脱することなしに、フェース裏打ち層2620を設置するための内部構造を提供する。
この発明の他の代替的な実施例において、ゴルフクラブヘッド2600は、ゴルフクラブヘッド2600の打撃フェース2602の部分にフェースカップ型の幾何形状を具備して形成されて良く、これによりブラダー成型が不要になる。ただし、フェース裏打ち層2620を形成しこれをフェースカップ幾何形状に取り付けるには、フェース裏打ち層2620に圧力を印加して、この発明の範囲および内容から逸脱することなしに、複合材料を安定化させて形成する必要がある。
最後に、図27〜図30は、図26の円B内に示される、ゴルフクラブヘッドの打撃フェース部分の拡大断面を示し、ここでは、可変フェース幾何形状が形成されてスイートスポットの寸法を大きくできるようにしている。可変フェース幾何形状の利点に関して先の検討を繰り返さないけれども、可変フェース幾何形状が、実際に薄くされた打撃フェースの加えてフェース裏打ち層の双方における種々の厚さによって、実現できることに留意することは重要である。
図27は、薄くされた打撃フェース2702の厚さとフェース裏打ち層2720の厚さとが一定に維持される、この発明の1実施例を示す。この具体的な幾何形状において、打撃フェースの曲げ弾性率を、フェース裏打ち層2720の複合遷移の弾性率を変えることによって変化させ、厚さを実際に調整することないしに当該変化を実現できる。
図28はこの発明の他の実施例を示し、ここでは、薄くされた打撃フェース2802は一定の厚さとなっており、他方、フェース裏打ち層2820は可変厚さとなっている。究極的には、具体的な実施例が、ゴルフックラブヘッドの異なる部分で異なる曲げ弾性率を有するようになし、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、ゴルフクラブヘッドのスイートスポットの寸法を改善する。
図29は、この発明の他の実施例を示し、ここでは、薄くされた打撃フェース3002が可変厚さを有し、フェース裏打ち層3020が一定の厚さを有し、これによって、フェース裏打ち層は、薄くされた打撃フェース2902の輪郭に沿って形状を変化させることができる。
図30は、この発明の他の実施例を示し、ここでは、薄くされた打撃フェース3002が可変厚さを有するけれども、フェース裏打ち層3020も可変厚さを有し、フェース裏打ち層3020の内側背面で厚さが一定になるものを構成する。
添付図面の図31は、この発明の他の代替的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの断面を示す。より具体的には、添付図面の図31は、チタン金属材料から製造された打撃フェース3102を示し、他方、複合体フェースインサート3120の裏打ち部分は複合体積層材料から一般的には製造されて良く、ゴルフボールを打撃するゴルフクラブヘッドの大きな衝撃応力を支持する。複合体フェースインサート3120は、つぎに、ゴルフクラブヘッド3100の後方本体部分に結合されて良く、多材料ゴルフクラブヘッド3100を形成する。打撃フェース3102の返し部分の長さd9は、一般的には、約15mmより大きくて良く、より好ましくは約17mmより大きく、最も好ましくは約20mmより大きくて良く、もって、衝撃の応力が、異なる部分の間の結合部へと悪影響を伴って伝達されないようにする。
添付図面の図32は、この発明の他の代替的な実施例を示し、ここでは、ゴルフクラブヘッド3200の打撃フェース3202がチタン材料カバー3203に対する開口を有する。この実施例では、打撃フェース3202は一般的には鋳造チタンであって良く、他方、チタン材料カバー3203は鍛造チタンであって良い。打撃フェース3202の衝撃領域の近くに鍛造チタン材料カバー3203を具備することは望まれることであり、なぜならば、鍛造チタン材料は鋳造チタンと異なる性能特性を提供するからである。この実施例は、衝撃応力が打撃フェースに渡って等しく伝搬される必要がある状況において好ましいであろう。チタンカバー3203を有するので、打撃フェースの衝撃応力は、複合材料に悪影響を加えることなく、より等しく伝搬されていくことが可能になる。3220は複合体フェースインサートである。
添付図面の図33はこの発明の他の代替的な実施例を示し、ここでは、チタン打撃フェース3302を裏打ちする複合体フェースインサート3320が境界のあたりで打撃フェース3302を挟み込み、境界の強度を増強し、境界で高応力点をもたらす。
実施例の外に、または、とくにことわらない限りは、すべての数の範囲、量、値およびパーセンテージ例えば明細書中の材料の量、慣性モーメント、重心位置、ロフト、ドラフト角度、種々の性能比、その他に関するそのようなものは、値、量、または範囲とともに明瞭に「約」の用語が表示されていなくてもそのような用語「約」があるものとして認識することができる。したがって、そうでないと示されない限り、明細書および特許請求の範囲の数字のパラメータは近似であり、これはこの発明により実現されることがのぞまれる所望の特性に応じて変化する。特許請求の範囲の均等理論の適応を排除する意図はないが、少なくとも、各数量のパラメータは報告された実行桁数の下で理解され、通常の丸め手法により把握すべきである。
この発明の広い範囲を示す数量の範囲およびパラメータは近似であるけれども、明細書の例に示された数量の値はできる限り正確に報告されている。ただし、いずれの数量の値も、各実験の測定に見いだされる標準偏差に起因する必然的な誤差を内在する。さらに、種々のことがらについて数量の範囲が示される場合には、指摘した値の範囲で、それらを組み合わせたものが利用できることを理解されたい。
以上は、この発明の例示の実施例に関するものであり、以下の特許請求の範囲で示される発明の範囲および程度を逸脱することなく修正を行えることはもちろんであることに留意されたい。
以下、ここで説明した技術的説明についてまとめておく。
[技術的特徴1]
ゴルフクラブヘッドであって、
第1の密度の第1の材料から製造され上記ゴルフクラブヘッドの前方部分の近くに少なくとも1つの開口を形成する、空洞の一体性シェルと、
上記少なくとも1つの開口を被覆するように形成された少なくとも1つの複合層とを有し、
上記複合層の層間剪断強度が約60MPaより大きいことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴2]
上記複合層の層間剪断強度が約70MPaより大きい技術的特徴1記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴3]
上記複合層の層間剪断強度が約75MPaより大きい技術的特徴2記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴4]
上記複合層の層間剪断強度が約60MPaから約145MPaの間である技術的特徴1記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴5]
上記複合層の層間剪断強度が約70MPaから約125MPaの間である技術的特徴4記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴6]
上記複合層の層間剪断強度が約75MPaから約120MPaの間である技術的特徴5記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴7]
上記少なくとも1つの複合層の前方外部部分を包囲するように位置づけられた打撃フェース層をさらに有する技術的特徴1記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴8]
上記打撃フェース層は、長さが約15mmより長い返し部分を形成する技術的特徴7記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴9]
上記打撃フェース層は、長さが約17mmより長い返し部分を形成する技術的特徴8記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴10]
上記打撃フェース層は、長さが約20mmより長い返し部分を形成する技術的特徴9記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴11]
上記複合層は、上記打撃フェース層の内側背面に渡って可変厚さを具備する技術的特徴1記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴12]
上記複合像は、破壊歪み率(ストレイン・ツー・フェイリュアー・パーセンテージ)が約1.5%より大きく約10.0%より小さい材料から製造される技術的特徴1記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴13]
上記複合像は、破壊歪み率が約2.0より大きく約8.0より小さい材料から製造される技術的特徴12記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴14]
上記複合像は、破壊歪み率が約2.5%である材料から製造される技術的特徴13記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴15]
ゴルフクラブヘッドであって、
第1の密度の第1の材料から製造され上記ゴルフクラブヘッドの前方クラウン部分および前方ソール部分の近くに少なくとも1つの開口を形成する、空洞の一体性シェルと、
上記少なくとも1つの開口を被覆するように形成された少なくとも1つのパネルと、
第1の密度を有する第2の材料から製造され、上記ゴルフクラブヘッドの上記打撃フェースの内側背面に取り付けられる複合体フェース裏打ち層とを有し、
上記複合体フェース裏打ち層の層間剪断強度が約60MPaから約145MPaの間であり、
上記複合体フェース裏打ち層は破壊歪み率が約1.5%より大きく約10.0%より小さい材料から製造されるより大きいことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴16]
上記ゴルフクラブヘッドの体積は約400ccより大きく約500ccより小さい技術的特徴15記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴17]
上記第2の密度は約1.70g/cm3より小さい技術的特徴16記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴18]
上記複合体フェース裏打ち層は上記少なくとも1つのパネルの内側面の90%を被覆する技術的特徴15記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴19]
上記複合体フェース裏打ち層の層間剪断強度は約70MPaから約125MPaの間である技術的特徴15記載のゴルフクラブヘッド。
[技術的特徴20]
上記複合体フェース裏打ち層の層間剪断強度は約75MPaから約120MPaの間である技術的特徴19記載のゴルフクラブヘッド。