JP5925642B2 - 無機固体材料および刃物工具 - Google Patents

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Description

本発明は、非金属の無機固体材料であって、衝撃などが加わった場合に割れや欠けが発生し難い無機固体材料と、当該無機固体材料を刃先に用いた刃物工具に関する。
ガラス、セラミックス、ダイヤモンド、立方晶ボロンナイトライド(cBN)、タングステンカーバイドなどの、構造材料、機能性材料、機械部品材料、金型用材料、工具用材料においては、固体材料の高強度化が求められている。高強度化とは、突発的な衝撃あるいは繰り返しの衝撃や摺動によって固体材料に応力が加えられた場合に、固体材料が欠けたり割れたりする現象を抑制することである。
とくに、ダイヤモンド、バインダレスcBN焼結体、タングステンカーバイドなどの高硬度材料は耐磨耗性を持つことから、金型や切削工具などの刃物工具に用いられている。しかし、これらは靭性の低い脆性材料であり、衝撃が加わると割れや欠けが生じて破損しやすい。このような非金属の脆性材料は、金属のような塑性変形をほとんど起こさないため、衝撃が加わると、製造工程などで生じた表面上の小さな傷に応力が集中し、傷を押し広げようとする力が働く。この結果、傷が伸長し、この傷を起点として割れや欠けが生じるのである。
脆性材料の高強度化技術として、脆性材料の表面を平坦化して傷や表面欠損を除去する技術が一般的に知られている。砥粒を用いた機械研磨は材料によらず採用されている。また、特許文献1には、耐チッピング性に優れたダイヤモンド製品を製造する技術として、機械研磨により生じた表面上のマイクロクラックを除去する熱化学的研磨技術が開示されている。
この他、脆性材料の高強度化技術として、ガラスの高強度化技術が知られている。ガラス表面に圧縮応力を発生させることによって、ガラス表面上の傷に応力が加わった場合に傷の伸長を押し留めることができる。また、化学的強化法(イオン交換法)は、ガラスを硝酸カリウム(KNO3)水溶液に浸漬して、ガラス表面層にあるイオン半径の小さいNa+を、これよりもイオン半径の大きいK+に置換して、ガラス表面に圧縮応力を発生させる強化ガラス技術である(例えば特許文献2参照)。
この他、脆性材料の高強度化技術として、繊維強化セラミックスが知られている。例えば、直径数μmから数十μmの炭化珪素(SiC)や炭素の数千本から数万本の繊維を束ねることによって、繊維それぞれは脆性的に破壊されるものの、相対的に破壊の単位が小さくなるため、繊維束の脆性的な破壊は防止される。このような繊維束の織物をセラミックスで固めた複合材料が繊維強化セラミックスである(例えば特許文献3参照)。
特開2007-230807号公報 特開2011-256104号公報 特開2011-157251号公報
機械研磨によって固体材料の表面を平坦化する場合、砥粒より大きい傷を除去できるが、砥粒による研磨傷を完全に除去することは難しい。また、特許文献1に開示されている熱化学的研磨技術は、ダイヤモンドと銅との間の酸化還元反応を利用したものであり、ダイヤモンド以外の固体材料に当該技術を適用することができない。特許文献2や特許文献3に開示されている技術も適用対象の固体材料に制約がある。
このような状況に鑑み、本発明は、衝撃などの力が加わった場合に割れや欠けが発生し難い非金属の無機固体材料と、当該無機固体材料を刃先に用いた刃物工具を提供することを目的とする。
発明の無機固体材料は、脆性を有する非金属の無機固体材料であって、無機固体材料の表面の少なくとも一部に、網状に連なる凹部と当該凹部によって囲まれている隆起部とが形成されている表面構造を有しており、隆起部の平均幅は5nm〜50nmであり、表面構造はアモルファス構造を有し、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部は結晶構造を有し、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では固無機体材料の内部から表面構造に向かって結晶構造からアモルファス構造へ徐々に変化している構造を有することを特徴とする。
また、本発明の刃物工具は、上述の無機固体材料を刃部に用いている。
発明の刃物工具は、脆性を有する非金属の無機固体材料で形成された刃物工具であり、刃物工具の刃部の表面に、網状に連なる凹部と当該凹部によって囲まれている隆起部とが形成されている表面構造を有していて、隆起部の平均幅は5nm〜50nmであり、表面構造はアモルファス構造を有し、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部は結晶構造を有し、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では無機固体材料の内部から表面構造に向かって結晶構造からアモルファス構造へ徐々に変化している構造を有していることを特徴とする。
本発明に拠れば、無機固体材料の表面の少なくとも一部に、上述のような、無機固体材料の内部とは物性値の異なる、網状に連なる凹部と当該凹部によって囲まれている隆起部が形成されている表面構造を有していることから、衝撃などの力が加わった場合に当該表面構造によって応力集中が緩和されて割れや欠けが発生し難い。
実施例の表面構造の走査型電子顕微鏡による解析像(稠密領域を含まない)。 図1に図示される表面構造の一部を拡大した解析像(200nm×200nm)。 実施例の表面構造の走査型電子顕微鏡による解析像(稠密領域を含まない)。 実施例の表面構造の走査型電子顕微鏡による解析像(稠密領域を含む)。 実施例の表面構造の走査型電子顕微鏡による解析像(稠密領域を含む)。 実施例の表面構造の走査型電子顕微鏡による解析像。 実施例の表面構造の原子間力顕微鏡による解析像。 クラスターの衝突によって形成されるクレーター構造。 稠密領域の幅の定義を説明するためのラインプロファイルの一例。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表1(硬度比)。 実施例1−5と比較例1−5の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表2(硬度比)。 実施例10−14と比較例8−12の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表3(硬度比)。 実施例19−23と比較例15−19の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表1(ヤング率比)。 実施例28−32と比較例22−26の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表2(ヤング率比)。 実施例37−41と比較例29−33の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表3(ヤング率比)。 実施例46−50と比較例36−40の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表1(密度比)。 実施例55−59と比較例43−47の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表2(密度比)。 実施例64−68と比較例50−54の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表3(密度比)。 実施例73−77と比較例57−61の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表1(結晶化率)。 実施例82−86と比較例64−68の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表2(結晶化率)。 実施例91−95と比較例71−75の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 各実施例および各比較例の摺動試験結果を示す一覧表3(結晶化率)。 実施例100−104と比較例78−82の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表す図。 無機固体材料の表面同士が接触した場合の、接触面の模式図。 応力がかかった場合の、従来の脆性材料の表面と実施形態の無機固体材料の表面とを比較した模式図。 無機固体材料表面に、(a)脆性的な隆起部が形成された場合と、(b)ガスクラスターイオンビーム照射によって5nm以上50nm以下の大きさの隆起部が形成された場合、を比較説明するための模式図。 隆起部の平均幅の大きさに応じてチッピング発生率が異なることを説明するための模式図。(a)隆起部の平均幅が50nmよりもかなり大きい場合、(b)隆起部の平均幅が5nmよりも小さい場合、(c)隆起部の平均幅が5nm〜50nmの場合。
既述のように、非金属の無機固体材料の割れや欠けの原因は、無機固体材料の表面上の傷に応力が集中することである。このため、従来、無機固体材料の表面上の傷やマイクロクラックを除去することによって無機固体材料の高度化を実現できる、と考えられていた。
しかし、本発明者らは、無機固体材料の表面上の傷やマイクロクラックを除去すること、つまり無機固体材料の表面平坦度を向上させるのではなく、むしろ、無機固体材料の表面に或る特徴を持った“傷”を形成することによって無機固体材料の高度化を実現できる、との知見を得た。
具体的には、本発明による無機固体材料は、表面の少なくとも一部分に、網状に連なる凹部とこの凹部によって囲まれている隆起部とが形成されている表面構造を有しており、隆起部の幅の平均値(平均幅)は5nm以上50nm以下であり、表面構造の物性値は、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部の物性値とは異なっており、かつ、表面構造と無機固体材料の内部との間に固相界面を有さない。ここで固相界面とは、表面構造から無機固体材料の内部へ至る領域において物性値が不連続に変化する境界と定義する。
「表面構造の物性値は、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部の物性値とは異なっており、かつ、表面構造と無機固体材料の内部との間に固相界面を有さない」ことは、具体的には、「表面構造のヤング率が、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部のヤング率よりも小さく、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では無機固体材料の内部から表面構造に向かってヤング率が徐々に変化している構造を有する」、あるいは、「表面構造の密度が、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部の密度よりも小さく、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では無機固体材料の内部から表面構造に向かって密度が徐々に変化している構造を有する」、あるいは、「表面構造の硬度が、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部の硬度よりも小さく、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では無機固体材料の内部から表面構造に向かって硬度が徐々に変化している構造を有する」、あるいは、「表面構造はアモルファス構造を有し、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部は結晶構造を有し、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では無機固体材料の内部から表面構造に向かって結晶構造からアモルファス構造へ徐々に変化している構造(すなわち、表面構造の結晶化率が無機固体材料の内部の結晶化率よりも小さい)を有する」といった例をあげることができる。
また、このような表面構造において、複数(例えば、数個から百個程度)の隆起部が稠密に集まった領域(以下、稠密領域ともいう)が存在していていもよい。この稠密領域の幅の平均値(平均幅)は50nm以上530nm以下であることが好ましい。なお、稠密領域の平均幅が50nmの場合は、50nmよりも小さい平均幅を持つ隆起部が集まって稠密領域を形成している。
非金属の無機固体材料とは、絶縁体や半導体であって脆性を有するものである。具体的には、ダイヤモンド、立方晶ボロンナイトライド(cBM)、タングステンカーバイド焼結体(超硬合金とも呼ばれる)、ガラス、シリコン、各種のセラミックスなどを例示できる。固体構造については、単結晶、多結晶、金属バインダを含む焼結体、アモルファスなど、その形態は問わない。例えばダイヤモンドの場合、単結晶ダイヤモンド、金属バインダを含む多結晶ダイヤモンド(焼結ダイヤモンドとも呼ばれる)、金属バインダを含まない多結晶ダイヤモンドなどを例示できる。無機固体材料として金属の含有を完全に排除するものではなく、主たる成分が固体として脆性を有する場合には本発明の効果を発揮する。
また、本発明者らは、例えば機械研磨などで十分に平坦化された無機固体材料にガスクラスターイオンビームを照射することによって、上述の表面構造を無機固体材料表面に形成できる、との知見を得た。ガスクラスターイオンビームによる加工はビームプロセスなので、工具の一部、例えば刃部を狙ってガスクラスターイオンビームを照射することができる。
無機固体材料表面に上述の表面構造を形成するための装置として、例えば特許第3994111号公報に記載されているガスクラスターイオンビーム装置を用いることができる。原料ガスをノズルから真空のクラスター生成室内に噴出させて、ガス分子を凝集させクラスターを生成する。そのクラスターはスキマーを通してガスクラスタービームとしてイオン化室へ導かれる。イオン化室ではイオナイザーから電子線、例えば熱電子を照射して中性クラスターをイオン化する。このイオン化されたガスクラスタービームは、加速電極によって加速される。入射されたガスクラスターイオンビームがアパーチャーにより所定のビーム径とされて無機固体材料の表面に照射される。また、無機固体材料を傾けることによって、無機固体材料表面に照射する角度を制御することができる。さらに、X-Yステージや回転機構によって、無機固体材料を縦や横に移動させたり、回転させたりすることによって、任意の方向からガスクラスターイオンビームを無機固体材料に照射するなどの制御ができる。
図1から図6に、上述の表面構造の走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による解析像(SEM像)の一例を示す。
図1から図4において、白点に見えるものが隆起部であり、白点を囲むような黒い網に見えるものが凹部である(SEM像では、相対的に高い部分がより白く、相対的に低い部分がより黒くなるように描写されている)。図1と図3に図示される表面構造では、隆起部がほぼ均一に存在している。図2は、図1に図示される表面構造の一部を拡大した解析像(200nm×200nm)である。図4と図5に図示される表面構造では、隆起部が不均一に存在しており、複数の隆起部が稠密に集まった稠密領域が存在することがわかる。図4および図5では、複数の稠密領域の一部を丸囲みで示しており、矢印で隆起部を示している。
図6は、無機固体材料の角部分を形成する二つの面のうち一方には上述の表面構造を形成し他方には形成しなかった場合の、当該角部分のSEM像である。このSEM像から、隆起部は凸状、塔状、山体状などの立体形状を持つことがわかる。また、図6のSEM像からは、SEM像の模式図にも図示しているように、無機固体材料の内部と表面構造(具体的には、個々の隆起部)との境界領域には明確な固相界面がないこともわかる。
図7は、上述の表面構造の原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による解析像(AFM像)の一例である。図4、図5および図7から、稠密領域の高さは隆起部の高さよりも高いことがわかる。
機械研磨などで十分に平坦化された無機固体材料にガスクラスターイオンビームを照射することによって上述の表面構造を固体材料表面に形成できる仕組みは下記のとおりと考えられる。
一つのクラスターが平坦な無機固体材料の表面に衝突すると、無機固体表面にクレーターが形成される(クレーターは無機固体材料の種類に拠らず形成される)。ガスクラスターイオンビーム照射前の平坦な無機固体表面を高さの水準とすると、クレーターの中央部分は、当該水準よりも低くなり、このクレーターの周囲にはクラスターの衝突によって衝突点近傍の無機固体材料が隆起した、当該水準よりも高い環状の畝が形成される(図8参照。図8は、山田公編著「クラスターイオンビーム基礎と応用」日刊工業新聞社(2006年) p.70から引用したものである)。機械研磨などで十分に平坦化された無機固体材料にガスクラスターイオンビームを照射すると、多数のクラスターが無機固体材料表面に衝突するため、無機固体材料の表面に多数のクレーターが形成される。この際、先に形成されたクレーターやその近傍にクラスターが衝突することが起こるので、単独のクレーターの形状が維持されることは稀である。このようなクレーター形成が繰り返された結果、多数のクレーターの中央部分が連なり網状の凹部が形成され、当該凹部に囲まれた隆起部(畝の名残)が形成される。
なお、クレーター形成が繰り返される過程では、新たなクレーターが形成される現象と、先に形成されたクレーターが壊される現象とが混在するため、両現象の発生頻度が均衡すると、図1と図3に図示されるように隆起部がほぼ均一に存在する表面構造(つまり、稠密領域が存在しない表面構造)が形成される。一方、両現象の発生頻度に偏りが生じる、すなわち、クレーターが形成される現象の発生頻度が多くなると、クレーターの中央部はより深くなり、畝の部分はより高くなるという現象が積み重なり、図4や図5に図示されるように稠密領域(隆起部が稠密に集まった領域)が存在する表面構造が形成される。隆起部がほぼ均一に存在する表面構造の場合、凹部の底と隆起部の頂との差(高さ)は平均で数nm〜数十nm程度であるが、稠密領域が存在する表面構造の場合の凹部の底と隆起部の頂との差(高さ)は、両現象の発生頻度の偏りが原因で、隆起部がほぼ均一に存在する表面構造の場合に比べて大きくなる。
個々の隆起部の大きさや形状は必ずしも一定ではないので、隆起部の大きさの指標として上述の「隆起部の平均幅」を採用する。具体的には、上記表面構造が形成された無機固体材料表面を正面に見たときに、隆起部ごとに、隆起部を含む最小の円の直径を求め、これら直径の平均値を「隆起部の平均幅」として定義する。また、1μm×1μmの面内に存在する隆起部の個数を「隆起部の濃度」として定義する。
同様に、個々の稠密領域の大きさや形状は必ずしも一定ではないので、稠密領域の大きさの指標として上述の「稠密領域の平均幅」を採用する。具体的には、表面構造の平均表面粗さを測定した場合の中心線を低い方から高い方へ横切り、再び中心線を高い方から低い方へ横切るまでの長さを一つの稠密領域の幅とし(図9参照。この例では、矢印で示す20個の稠密領域が認められる)、いくつかの上記中心線についても同様に幅を求め、これら幅の平均値を「稠密領域の平均幅」として定義する。また、1μm×1μmの面内に存在する稠密領域の個数を「稠密領域の濃度」として定義する。この方法で稠密領域の平均幅を定義する理由は、稠密領域がない部分と比べて稠密領域は凹部の底と隆起部の頂との差(高さ)が大きいため、稠密領域がない部分に存在する隆起部は相対的に中心線より低い凸部として観測され、稠密領域は中心線より高い凸部として観測されるためである。
《実施例と比較例》
本発明の実施例と、実施例の効果を確認するための比較例について説明する(図10−図33参照)。以下、無機固体材料を試料(サンプル)とも呼称する。各実施例と各比較例では、加工前の状態で、6面が機械研磨によって平坦化された長さ5mm×幅1mm×高さ1mmの直方体の大きさと形状を有する試料を用いた。
ガスクラスターイオンビームを試料表面に照射する実施例あるいは比較例では(これらは、例えば図10の“加工方法”の欄にて“GCIB”と記載されている)、長さ5mm×幅1mmの1面と、長さ5mm×高さ1mmの2面、の計3面のそれぞれに、照射対象面の法線方向からガスクラスターイオンビームを照射した。これらの実施例あるいは比較例では、ガスクラスターイオンビーム生成の諸条件(加速電圧、照射量、イオン化電子の電圧や電流、ガス種、ガス圧、プロセスチャンバーの排気速度など)を制御して、隆起部の平均幅が異なる種々の表面構造を種々の無機固体材料の表面上に形成した。走査型電子顕微鏡と原子間力顕微鏡で観察することによって、形成された種々の試料の表面構造における隆起部の平均幅と稠密領域の平均幅を算出した。隆起部の濃度と稠密領域の濃度も、上記定義に従って計数した。
ガスクラスターイオンビームを試料表面に照射しない比較例として、2種類の加工方法を採用した。
第1の加工方法は、例えば図10の“加工方法”の欄にて“パターニング”と記載された加工方法であり、リソグラフィー技術を用いてパターニングしたレジストマスクを形成し更にドライエッチングによって試料の表面に矩形状パターン構造(表面上にて直交する二つの方向に周期的に繰り返す凹凸が形成された表面構造)を形成した試料を作成した。形成された矩形状パターン構造における凸部分の大きさと濃度の定義は、隆起部に関する上記定義を準用した(隆起部に関する上記定義において、「隆起部」を「凸部分」に読み替えよ)。凸部分の大きさ(平均幅)と濃度の数値はそれぞれ、各図(例えば図10を参照のこと)にて便宜的に、“隆起部の大きさ”の欄と“隆起部の濃度”の欄に記載されている。
第2の加工方法は、例えば図10の“加工方法”の欄にて“成膜”と記載された加工方法であり、成膜法によって試料の表面に多数の粒状堆積物(ダイヤモンドライクカーボン)を形成した試料を作成した。形成された粒状堆積物の大きさと濃度の定義は、隆起部に関する上記定義を準用した(隆起部に関する上記定義において、「隆起部」を「粒状堆積物」に読み替えよ)。粒状堆積物の大きさ(平均幅)と濃度の数値はそれぞれ、各図(例えば図10を参照のこと)にて便宜的に、“隆起部の大きさ”の欄と“隆起部の濃度”の欄に記載されている。
また、無加工の試料(機械研磨によって表面が平坦化された試料)も比較例として用いた。この比較例は、例えば図10の“加工方法”の欄にて記号“−”と記載されている。
各試料の強度変化を摺動試験によって調査した。ガスクラスターイオンビームが照射された長さ5mm×幅1mmの面が上面となるように摺動試験機に試料を設置し、エッジの長さが1mmの超硬合金製の楔状圧子を用いて摺動試験を行った。エッジの長さ方向が試料の長さ5mmの辺と平行になるように楔状圧子を配置し、荷重100g、往復速度60cpmで、100回、試料の幅1mmの辺と平行に楔状圧子を往復させた。なお、摺動幅を1mmより若干大きくすることにより、試料の両端の直角コーナーをまたぐように摺動させた。両端の直角コーナーでの欠け(チッピング)を評価することによってチッピング発生率を算出した。チッピング発生率の算出方法は次のとおりである。試料の各直角コーナーにおいて楔状圧子が接触した部分の長さは楔状圧子のエッジの長さである1mmであるので、これを10μm幅の100区画に分割し、1区画あたりに0.1μm以上の欠けが発生していれば「チッピングが在る」とし、そうでなければ「チッピングは無い」とした。試料両端の直角コーナーの計200区画から任意に100区画を選び、当該100区画のうち「チッピングが在る」と判定された区画数の百分率をチッピング発生率とした。
強度変化の指標となる物性値として、硬度、ヤング率、密度、結晶化率を採用した。
指標が硬度の場合:
各試料の硬度を薄膜硬度計で計測した。ガスクラスターイオンビームを照射する前の試料表面の硬度を試料内部の硬度(以下、内部硬度と呼称する)と看做した。そして、内部硬度に対するガスクラスターイオンビームを照射した後の試料表面の硬度の比を硬度比として求めた。
指標がヤング率の場合:
各試料のヤング率を、表面弾性波法を用いた超薄膜ヤング率測定システムで計測した。ガスクラスターイオンビームを照射する前の試料表面のヤング率を試料内部のヤング率(以下、内部ヤング率と呼称する)と看做した。そして、内部ヤング率に対するガスクラスターイオンビームを照射した後の試料表面のヤング率の比をヤング率比として求めた。
指標が密度の場合:
各試料の密度を薄膜密度計で計測した。ガスクラスターイオンビームを照射する前の試料表面の密度を試料内部の密度(以下、内部密度と呼称する)と看做した。そして、内部密度に対するガスクラスターイオンビームを照射した後の試料表面の密度の比を密度比として求めた。
指標が結晶化率の場合:
各試料の電子線回折像のスポット強度(回折スポット強度)を測定した。ガスクラスターイオンビームを照射する前の試料表面の回折スポット強度を試料内部の回折スポット強度(以下、内部回折スポット強度と呼称する)と看做した。内部回折スポット強度に対するガスクラスターイオンビームを照射した後の試料表面の回折スポット強度の比を結晶化率として求めた。なお、結晶化率が100%に満たなければアモルファス構造を有している。
<硬度比:図10−図15>
[実施例1−27]
実施例1−27はいずれもガスクラスターイオンビームによって試料の表面に種々の表面構造が形成された試料である。実施例1−9の試料の材質は単結晶ダイヤモンドであり、実施例10−18の試料の材質は焼結ダイヤモンドであり、実施例19−27の試料の材質はバインダレスcBNである。
実施例1−27について、各硬度比はガスクラスターイオンビームを照射する前の状態と比較して低下している。実施例1−27では、隆起部の平均幅が5nm以上50nm以下であり、チッピング発生率は28%以下である。とくに、平均幅が50nm〜530nm程度の稠密領域(複数の隆起部が稠密に集まった領域)が存在する場合、チッピング発生率は0%である(実施例6-9,15-18,24-27)。
[比較例1,8,15]
機械研磨によって表面が平坦化された各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例2,9,16]
隆起部の平均幅が3nmの場合のチッピング発生率は89〜95%である。
[比較例6,13,20]
表面構造として矩形状パターン構造(凸部分の平均幅は50nm)を持つ各試料の硬度比はドライエッチングの前後で変化はなく(硬度比100%)、各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例7,14,21]
表面構造として粒状堆積物が形成された各試料の硬度比は低下しているが、各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例3-5,10-12,17-19]
比較例3-5,10-12,17-19はいずれもガスクラスターイオンビームによって試料の表面に種々の表面構造が形成された試料である。比較例3-5の試料の材質は単結晶ダイヤモンドであり、比較例10-12の試料の材質は焼結ダイヤモンドであり、比較例17-19の試料の材質はバインダレスcBNである。
これらの比較例について、各硬度比はガスクラスターイオンビームを照射する前の状態と比較して低下しているが、隆起部の平均幅が50nmよりも大きく、チッピング発生率は50%以上である。
なお、図11は、実施例1−5と比較例1−5の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表しており、図13は、実施例10−14と比較例8−12の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表しており、図15は、実施例19−23と比較例15−19の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表している。
<ヤング率比:図16−図21>
[実施例28−54]
実施例28−54はいずれもガスクラスターイオンビームによって試料の表面に種々の表面構造が形成された試料である。実施例28−36の試料の材質は単結晶ダイヤモンドであり、実施例37−45の試料の材質は焼結ダイヤモンドであり、実施例46−54の試料の材質はバインダレスcBNである。
実施例28−54について、各硬度比はガスクラスターイオンビームを照射する前の状態と比較して低下している。実施例28−54では、隆起部の平均幅が5nm以上50nm以下であり、チッピング発生率は31%以下である。とくに、平均幅が50nm〜530nm程度の稠密領域(複数の隆起部が稠密に集まった領域)が存在する場合、チッピング発生率は0%である(実施例33-36,42-45,51-54)。
[比較例22,29,36]
機械研磨によって表面が平坦化された各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例23,30,37]
隆起部の平均幅が3nmの場合のチッピング発生率は91〜96%である。
[比較例27,34,41]
表面構造として矩形状パターン構造(凸部分の平均幅は50nm)を持つ各試料のヤング率比はドライエッチングの前後で変化はなく(ヤング率比100%)、各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例28,35,42]
表面構造として粒状堆積物が形成された各試料のヤング率比は低下しているが、各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例24-26,31-33,38-40]
比較例24-26,31-33,38-40はいずれもガスクラスターイオンビームによって試料の表面に種々の表面構造が形成された試料である。比較例24-26の試料の材質は単結晶ダイヤモンドであり、比較例31-33の試料の材質は焼結ダイヤモンドであり、比較例38-40の試料の材質はバインダレスcBNである。
これらの比較例について、各ヤング率比はガスクラスターイオンビームを照射する前の状態と比較して低下しているが、隆起部の平均幅が50nmよりも大きく、チッピング発生率は50%以上である。
なお、図17は、実施例28−32と比較例22−26の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表しており、図19は、実施例37−41と比較例29−33の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表しており、図21は、実施例46−50と比較例36−40の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表している。
<密度比:図22−図27>
[実施例55−81]
実施例55−81はいずれもガスクラスターイオンビームによって試料の表面に種々の表面構造が形成された試料である。実施例55−63の試料の材質は単結晶ダイヤモンドであり、実施例64−72の試料の材質は焼結ダイヤモンドであり、実施例73−81の試料の材質はバインダレスcBNである。
実施例55−81について、各密度比はガスクラスターイオンビームを照射する前の状態と比較して低下している。実施例55−81では、隆起部の平均幅が5nm以上50nm以下であり、チッピング発生率は28%以下である。とくに、平均幅が50nm〜530nm程度の稠密領域(複数の隆起部が稠密に集まった領域)が存在する場合、チッピング発生率は0%である(実施例60-63,69-72,78-81)。
[比較例43,50,57]
機械研磨によって表面が平坦化された各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例44,51,58]
隆起部の平均幅が3nmの場合のチッピング発生率は92〜95%である。
[比較例48,55,62]
表面構造として矩形状パターン構造(凸部分の平均幅は50nm)を持つ各試料の密度比はドライエッチングの前後で変化はなく(密度比100%)、各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例49,56,63]
表面構造として粒状堆積物が形成された各試料の密度比は低下しているが、各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例45-47,52-54,59-61]
比較例45-47,52-54,59-61はいずれもガスクラスターイオンビームによって試料の表面に種々の表面構造が形成された試料である。比較例45-47の試料の材質は単結晶ダイヤモンドであり、比較例52-54の試料の材質は焼結ダイヤモンドであり、比較例59-61の試料の材質はバインダレスcBNである。
これらの比較例について、各密度比はガスクラスターイオンビームを照射する前の状態と比較して低下しているが、隆起部の平均幅が50nmよりも大きく、チッピング発生率は50%以上である。
なお、図23は、実施例55−59と比較例43−47の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表しており、図25は、実施例64−68と比較例50−54の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表しており、図27は、実施例73−77と比較例57−61の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表している。
<結晶化率:図28−図33>
[実施例82−108]
実施例82−108はいずれもガスクラスターイオンビームによって試料の表面に種々の表面構造が形成された試料である。実施例82−90の試料の材質は単結晶ダイヤモンドであり、実施例91−99の試料の材質は焼結ダイヤモンドであり、実施例100−108の試料の材質はバインダレスcBNである。
実施例82−108について、各結晶化率はガスクラスターイオンビームを照射する前の状態と比較して低下している。実施例82−108では、隆起部の平均幅が5nm以上50nm以下であり、チッピング発生率は22%以下である。とくに、平均幅が50nm〜530nm程度の稠密領域(複数の隆起部が稠密に集まった領域)が存在する場合、チッピング発生率は0%である(実施例87-90,96-99,105-108)。
[比較例64,71,78]
機械研磨によって表面が平坦化された各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例65,72,79]
隆起部の平均幅が3nmの場合のチッピング発生率は94〜96%である。
[比較例69,76,83]
表面構造として矩形状パターン構造(凸部分の平均幅は50nm)を持つ各試料の結晶化率はドライエッチングの前後で変化はなく(結晶化率100%)、各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例70,77,84]
表面構造として粒状堆積物が形成された各試料の結晶化率は低下しているが、各試料のチッピング発生率は100%である。
[比較例66-68,73-75,80-82]
比較例66-68,73-75,80-82はいずれもガスクラスターイオンビームによって試料の表面に種々の表面構造が形成された試料である。比較例66-68の試料の材質は単結晶ダイヤモンドであり、比較例73-75の試料の材質は焼結ダイヤモンドであり、比較例80-82の試料の材質はバインダレスcBNである。
これらの比較例について、各結晶化率はガスクラスターイオンビームを照射する前の状態と比較して低下しているが、隆起部の平均幅が50nmよりも大きく、チッピング発生率は50%以上である。
なお、図29は、実施例82−86と比較例64−68の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表しており、図31は、実施例91−95と比較例71−75の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表しており、図33は、実施例100−104と比較例78−82の計10例について、隆起部の大きさとチッピング発生率との関係を表している。
次に、刃物工具の一種である切削工具の実施例と比較例を説明する。なお、切削工具の実施例を例示するが、プレスの抜き金型のような刃先を持つ金型工具や、彫刻用工具など、刃物工具一般で実施可能である。
[実施例109]
切削工具を以下のように作製した。単結晶ダイヤモンド、焼結ダイヤモンド、バインダレスcBN焼結体、超硬合金(JIS使用分類記号Z01)の各材料をそれぞれレーザー加工によって切り出し、機械研磨によって一枚刃の刃物を作製した。この刃物が切削工具に相当する。刃の形状は長さ1mmの直線状で、刃先を構成する2面の間の角度を60度とした。刃先を構成する2面に同時に同じ角度でガスクラスターイオンビームが照射されるように(つまり、各面に対して、面の法線から60度の角度でガスクラスターイオンビームが照射されるように)、刃先部分に対して、刃先に対向する方向からガスクラスターイオンビームを照射し、以下の表面構造を各切削工具の刃部に形成した。
各切削工具の刃先を圧子として、荷重100g、往復速度60cpmで、1000回、超硬合金のサンプルに対して試料の幅1mmの辺と平行に当該圧子を往復させる摺動試験を行った。その後、電子顕微鏡で各切削工具の刃先の欠け(チッピング)の有無を調べた。その結果、単結晶ダイヤモンド、焼結ダイヤモンド、バインダレスcBNの各切削工具の刃先にはチッピングは全く発生していなかった。超硬合金の切削工具の刃先には、0.1mm以上の大きさのチッピングが1箇所発生していた。
[実施例109に対する比較例]
単結晶ダイヤモンド、焼結ダイヤモンド、バインダレスcBN焼結体の各材料をそれぞれレーザー加工によって切り出し、機械研磨によって一枚刃の刃物を作製した。この刃物が切削工具に相当する。刃の形状は長さ1mmの直線状で、刃先を構成する2面の間の角度を60度とした。この比較例では、実施例109と異なり、各切削工具の刃先部分にガスクラスターイオンビームを照射しなかった。つまり、この比較例の各切削工具の刃先部分は機械研磨によって平坦化された状態であった。各切削工具の刃先を圧子として銅のサンプルに対して摺動試験を行った。その結果、いずれの切削工具の刃先とも、刃先に0.1mm以上のチッピングが多数見られた。
次に、実施例1−108で用いた無機固体材料以外の無機固体材料の実施例とその比較例を説明する。
[実施例110]
タッチパネル用のカバーガラスとして使用可能な厚さ0.3mmのソーダライムガラスを、長さ5mm×幅1mmに切断した直方体状の試料を作製した。長さ5mm×幅1mmの面にその法線方向からガスクラスターイオンビームを全面に照射し、ソーダライムガラスの表面に、隆起部の大きさ(平均幅)が31nm、隆起部の濃度が958個/μm2の表面構造を形成した。ガスクラスターイオンビームが照射された面が上面となるように摺動試験機に試料を設置し、荷重を10gとした点を除いて実施例1−108と同様の摺動試験を行い、チッピング発生率を算出した。その結果、チッピング発生率は6%であった。
[実施例110に対応する比較例]
タッチパネル用のカバーガラスとして使用可能な厚さ0.3mmのソーダライムガラスを、長さ5mm×幅1mmに切断した直方体状の試料を作製した。この比較例では、実施例110と異なり、試料の表面にガスクラスターイオンビームを照射しなかった。この試料を摺動試験機に設置し、実施例110と同じ摺動試験を行ってチッピング発生率を算出した。その結果、チッピング発生率は100%であった。
[実施例111]
医療用メスとして使用可能な単結晶シリコンを、長さ5mm×幅1mm×厚さ0.5mmに切り出し、長さ5mm×幅1mmの面と幅1mm×厚さ0.5mmの2面を機械研磨した直方体状の試料を作製した。5mmの一辺を共有する2面に同時に同じ角度でガスクラスターイオンビームが照射されるように(つまり、各面に対して、面の法線から45度の角度でガスクラスターイオンビームが照射されるように)、直角コーナーに対して、直角コーナーに対向する方向からガスクラスターイオンビームを照射し、隆起部の大きさ(平均幅)が15nm、隆起部の濃度が2468個/μm2の表面構造を試料に形成した。ガスクラスターイオンビームが照射された長さ5mm×幅1mmの面が上面となるように摺動試験機に試料を設置し、荷重を10gとした点を除いて実施例1−108と同様の摺動試験を行い、チッピング発生率を算出した。その結果、チッピング発生率は4%であった。
[実施例111に対応する比較例]
単結晶シリコンを、長さ5mm×幅1mm×厚さ0.5mmに切り出し、長さ5mm×幅1mmの面と幅1mm×厚さ0.5mmの2面を機械研磨した直方体状の試料を作製した。この比較例では、実施例111と異なり、試料の表面にガスクラスターイオンビームを照射しなかった。この試料を摺動試験機に設置し、実施例111と同じ摺動試験を行ってチッピング発生率を算出した。その結果、チッピング発生率は100%であった。
[考察]
実施例1-108と比較例1-84、並びに実施例109、110、111とこれらに対応する比較例を参照すると、単結晶ダイヤモンド、焼結ダイヤモンド、バインダレスcBN、超硬合金、ガラス、シリコンのいずれでも、ガスクラスターイオンビーム照射によって形成された隆起部の大きさが5nm以上50nm以下である場合にチッピング発生率が著しく小さくなっており、このようなサイズ範囲の隆起部がガスクラスターイオンビーム照射によって形成された非金属無機固体材料の高強度化現象は非金属無機固体材料の種類によらないことがわかる。また、いずれの非金属無機固体材料においても、表面構造の物性値(硬度、ヤング率、密度、結晶化率)は、ガスクラスターイオンビーム照射によって、表面構造の下に位置する非金属無機固体材料の内部の物性値とは異なっていることがわかる。
実施例1-108と比較例1-84を参照すると、隆起部に加えて稠密領域が形成されている場合、極めて効果的にチッピング発生率を抑制できることがわかる。
ガスクラスターイオンビームの照射によって上述の表面構造が形成された無機固体材料の高強度化が実現した理由は、完全には解明されていないものの、次のようなものであると考えられる。
以下、図34を参照して説明する。図34は、無機固体材料の表面同士が接触した場合の、接触面の模式図である。無機固体材料の表面には表面粗さがあるため、互いに実際に接触している部分(真実接触点)の面積は無機固体材料の表面全体の面積に比べるとかなり小さいものとなっている。すなわち、無機固体材料の表面に圧力をかけても、実際に応力がかかる部分は無機固体材料の表面のごく一部のごく小さい領域に集中している。このように、無機固体材料の表面にかかる応力はごく小さい突起部の先端から与えられると考えることができるため、図35では、接触の相手方の固体材料の表面にある突起部を半円で示して、無機固体材料の表面に応力がかかった場合の様子を検討することにする。
図35(a)と図35(b)は、相手方の固体材料の突起部1によって応力がかかった場合の、従来の脆性材料の表面と本発明による実施形態の無機固体材料の表面とを比較した模式図である。従来の脆性材料では、突起部1と接触する部分に応力がかかっても弾性変形や塑性変形がほとんど起こらないため(なぜなら、突起部1と接触する部分の性質は、無機固体材料の内部と性質は変わらず、脆性的であるため)、応力が分散されず、脆性材料の表面2上に存在しているクラック3に応力が集中し、クラック3を起点として脆性材料の内部に向かって割れが進展する(図35(a)参照)。
他方、本発明による実施形態の無機固体材料の表面4では、隆起部や隆起部が集合した稠密領域が形成されており、この様子を図35では凹凸がある表面形状として表現しているが、この表面上に応力がかかると、隆起部や稠密領域は相手方の形状に合わせて変形することことができる(図35(b)参照)。すなわち、この表面は、表面構造の下に位置する無機固体材料の内部に比べて脆性的でなくなっているために、弾性変形や塑性変形ができるようになっているのである。このように、応力を分散させることができるので(稠密領域が形成されている場合には、一つの隆起部よりも広い面積で応力を受け止めることができる)、割れの発生を抑制することができる。隆起部と隆起部との間の凹部はクラックのような割れの起点となるのではなく、隆起部の変形を許容するための隙間の役割を果たしている。
とくに、稠密領域は、隆起部が稠密に集まって形成されており、加えて、既述のように稠密領域の高さは隆起部よりも相対的に高いので、稠密領域に応力がかかると、より滑らかに相手方の突起部1の形状に合わせて弾性変形や塑性変形が起こり(横変形現象)、応力を分散させることできる。横変形現象が起こるために、隆起部がほぼ均一に存在する表面と比べてさらに応力を分散する効果が大きくなるのである。
さらに、表面構造と無機固体材料内部の間には、物性値が連続的に変化するような遷移層が存在し、物性値が不連続に変化する固相界面は存在しない。遷移層の存在は文献(山田公編著「クラスターイオンビーム基礎と応用」日刊工業新聞社(2006年) p.130-131)でも指摘されている。本発明によると、固相界面に応力が集中することなく、表面構造が受ける応力を遷移層を介して無機固体材料内部全体で受け止めることができる。再び、表面構造の断面を観察できる部分の電子顕微鏡写真を示す図6を参照すると、隆起部から無機固体材料内部へと至る部分において、物性値が不連続に変化することに起因するコントラストの違いは観察されず、固相界面が存在しないことを確認できる。このように、本発明による無機固体材料では無機固体材料表面と平行な横方向にも表面から内部へ向かう方向にも応力を分散させることができるので、無機固体材料の割れの発生を著しく抑制することができる。
図36は、無機固体材料表面に、(a)脆性的な隆起部(例えばパターニングによって形成された隆起部)が形成された場合と、(b)ガスクラスターイオンビーム照射によって5nm以上50nm以下の大きさの隆起部が形成された場合、を比較説明するための模式図である。図36(a)において、突起部1の先端付近が隆起部51と接触し隆起部51に強い応力を与える場合、脆性的な隆起部51は多少の塑性変形によって応力を緩和しようとするものの、緩和能力が十分でないために隆起部51の表面上の或る部分(例えば、クラックのような構造的な欠陥がある部分)に応力集中し、その部分を起点として割れが発生する。また、突起部1の端付近が隆起部52と接触し隆起部52に弱い応力を与える場合、脆性的な隆起部52は塑性変形するが、塑性変形した隆起部52は、応力がかからなくなっても元の形状に戻ることはない。他方、図36(b)に図示される隆起部53は脆性的ではなくなっているため、突起部1による応力に応じて隆起部53が弾性変形と塑性変形を行うことによって割れの発生が抑制される。また、応力がかからなくなると、隆起部53は、一部の塑性変形は残るものの、ほぼ元の形状に戻り、繰り返し応力を緩和することができる。
隆起部の平均幅が5nm〜50nmの場合にチッピング発生率が著しく低下している理由は、次のように考えられる。チッピングの起点となるクラック幅の典型値は数十nmであり(参考文献:角谷均、入舩徹男、SEIテクニカルレビュー 第172号 p.82、2008年1月、において、多結晶ダイヤモンドに圧子で応力を加えた際の圧痕近傍に見られる100nm以下の幅の多数のクラックの内、20nm程度の幅の典型的なクラックの透過電子顕微鏡写真が図14示されている)、隆起部の平均幅が数十nmよりかなり大きい場合には、隆起部の表面にクラックが存在しえることとなり、応力を受けたときにクラックの周辺部で十分な応力緩和ができないとこのクラックが起点となって割れが発生する可能性があるものと推測される(図37(a)参照)。また、微視的観点で実際に相手方の固体材料表面上の突起部の先端によって真実接触点で強く応力が加わる領域は、数nm〜数十nmのオーダーの大きさを持っていると推測される。このため、隆起部の平均幅がこのオーダーよりも小さいと、隆起部が応力を十分に負担できず、隆起部の弾性変形や塑性変形よりも隆起部の破壊が優位となる(図37(b)参照)。このことは、比較例2, 9, 16, 23, 30, 37, 44, 51, 58, 65, 72, 79からも裏付けられる。この結果、表面構造の一部においてその破壊が起こり、この部分を起点として割れが発生してしまうと推測される。このように、チッピング発生率の低下という効果を齎す隆起部の平均幅には最適範囲があり、これが実験結果から明らかとされた5nm〜50nmであると考えられる。隆起部の平均幅が5nm〜50nmの場合には、微視的観点で実際に応力を与える相手方の固体材料表面上の突起部からの応力を、隆起部の弾性変形と塑性変形によって十分に緩和することができると推測される(図37(c)参照)。
上述のように各隆起部が無機固体材料の内部に比べて脆性的でなくなっている理由として、ガスクラスターイオンビーム照射による表面改質効果が関係していると推察される。ガスクラスターイオンビームを無機固体表面に照射すると、個々のクラスターは所与の運動エネルギーを持って固体材料表面に衝突して乖離崩壊するが、個々の衝突は短時間で終了するため、クラスター衝突点に瞬間的に大きな圧力が加わる。この瞬間的な圧力が無機固体材料表面の表層部に加わることによって、表面構造のヤング率が無機固体材料の内部のヤング率よりも小さく、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では無機固体材料の内部から表面構造に向かってヤング率が徐々に変化している構造を有するようになる、あるいは、表面構造の密度が無機固体材料の内部の密度よりも小さく、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では無機固体材料の内部から表面構造に向かって密度が徐々に変化している構造を有するようになる、あるいは、表面構造の硬度が無機固体材料の内部の硬度よりも小さく、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では無機固体材料の内部から表面構造に向かって硬度が徐々に変化している構造を有するようになる、あるいは、表面構造はアモルファス構造を有し、無機固体材料の内部は結晶構造を有し、無機固体材料の内部と表面構造との境界領域では固体材料の内部から表面構造に向かって結晶構造からアモルファス構造へ徐々に変化している構造を有するようになる。このようなガスクラスターイオンビーム照射による表面改質効果によって、各隆起部は無機固体材料の内部に比べて弾性変形や塑性変形が起きやすい物性を持つこととなり、隆起部によって応力集中を緩和できると考えられるのである。
他方、無機固体材料の表面にパターニングによって矩形状パターン構造を形成しても、矩形状パターン構造の物性は、無機固体材料の内部の物性と同じである、つまり脆性的であるから、矩形状パターン構造によって応力集中を緩和させる効果は無い。
また、無機固体材料の表面に成膜法によって粒状堆積物を形成した場合、粒状堆積物が形成されたことによって無機固体材料表面の物性は無機固体材料の内部の物性と異なるものとなる(具体的には、硬度、ヤング率、密度、結晶化率などを低下させることができる)。しかし、成膜法によって粒状堆積物を形成した場合、粒状堆積物と下地の無機固体材料との間には固相界面が存在する。すなわち、粒状堆積物からなる表面構造(膜部分)から下地の無機固体材料へと物性値が不連続に変化する境界が存在する。この境界である固相界面は、表面構造が受ける応力を無機固体材料内部へと分散させる機能が小さく、応力は固相界面に集中する。この結果、成膜法によって粒状堆積物が形成された無機固体材料表面に衝撃が加わると、個々の粒状堆積物が塑性変形や弾性変形できたとしても、表面構造全体にかかる応力は固相界面に集中し、粒状堆積物(膜部分)自体のはがれが生じる。このため、膜部分が除去された無機固体材料の強度は向上せず、本発明のような効果は得られない。
なお、成膜法で粒状堆積物からなる表面構造を形成する場合においても、例えば成膜時に何らかのエネルギー付与(例えばレーザー照射、インビーム照射、ガスクラスターイオンビーム照射など)が行われ、下地の無機固体材料と堆積物(膜部分)との境界に物性値が連続的に変化する遷移層が形成される場合は、固相界面はなくなり、本発明の効果と同じ効果を発揮すると考えられる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。

Claims (5)

  1. 脆性を有する非金属の無機固体材料であって、
    上記無機固体材料の表面の少なくとも一部に、網状に連なる凹部と当該凹部によって囲まれている隆起部とが形成されている表面構造を有し、
    上記隆起部の平均幅は5〜50nmであり、
    上記表面構造はアモルファス構造を有し、上記表面構造の下に位置する上記無機固体材料の内部は結晶構造を有し、上記無機固体材料の内部と上記表面構造との境界領域では上記無機固体材料の内部から上記表面構造に向かって結晶構造からアモルファス構造へ徐々に変化している構造を有している
    ことを特徴とする無機固体材料。
  2. 請求項1に記載の無機固体材料であって、
    各上記隆起部は上記無機固体材料の内部に比べて少なくとも弾性変形と塑性変形のいずれかが起きやすい
    ことを特徴とする無機固体材料。
  3. 請求項1または請求項2に記載の無機固体材料を刃部に用いた刃物工具。
  4. 脆性を有する非金属の無機固体材料で形成された刃物工具であって、
    上記刃物工具の刃部の表面に、網状に連なる凹部と当該凹部によって囲まれている隆起部とが形成されている表面構造を有し、
    上記隆起部の平均幅は5〜50nmであり、
    上記表面構造はアモルファス構造を有し、上記表面構造の下に位置する上記無機固体材料の内部は結晶構造を有し、上記無機固体材料の内部と上記表面構造との境界領域では上記無機固体材料の内部から上記表面構造に向かって結晶構造からアモルファス構造へ徐々に変化している構造を有している
    ことを特徴とする刃物工具。
  5. 請求項に記載の刃物工具であって、
    各上記隆起部は上記無機固体材料の内部に比べて少なくとも弾性変形と塑性変形のいずれかが起きやすい
    ことを特徴とする刃物工具。
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