現在、スマートフォン等の携帯情報機器、自動券売機等の自動販売機を始めとする様々な電子機器へのタッチパネルシステムの搭載が急速に進んでいる。
タッチパネルの操作については、タッチ操作とスクロール操作が主となっており、より多様な入力操作を行うためには、何らかの方法でモードを切り替えた上で、更にタッチパネルの操作を行う必要があった。
この例として、タッチパネルに対するタッチ操作を行う時の押圧力が基準値を超えるか否かによりモードを切り替えるものが開示されている(特許文献1)。
図13〜図16は、特許文献1に開示の情報処理システムを説明する図であり、図13は、この情報処理システムを示すブロック図、図14および図15はこの情報処理システムにおけるタッチパネル装置を示す平面図および断面側面図であり、図16は、この情報処理システムの動作をフローチャートで示す図である。
この情報処理システム2は、タッチパネル装置4と、このタッチパネル装置4が入力装置として接続されたパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという。)6と、パソコン6に接続された表示装置8とを有している。パソコン6は、CPU、メモリ、インターフェース、ハードディスク装置などを含んで構成されており、CPUはメモリにロードされたプログラムデータに基づいて動作することで各種の処理を行い、また、図13に示す各機能、つまり、処理選択手段10、比較手段12、信号監視手段14、表示制御手段16を実現している。ここで、比較手段12は、タッチパネル装置4からの押圧力信号に基づいてタッチパネルに対する押圧力が基準押圧力を越えたか否かを判定するものであり、信号監視手段14は、タッチパネル装置4からの押圧位置信号に基づいて押圧位置が変化したか否かを検知するものであり、処理選択手段10は、信号監視手段14の検知出力および比較手段12の判定結果に基づいて実行すべき処理を選択する。また、表示制御手段16は、タッチパネル装置4の出力、および処理選択手段10からの指示に基づいて表示装置を制御するものである。
タッチパネル装置4は、図14に示すように透明なタッチパネル18を有し、タッチパネル装置4における押圧位置を、タッチパネル18が指で押圧された際の表面弾性波の変化に基づいて検出し、この検出結果を、パソコン6に押圧位置信号として出力するものである。押圧位置信号は、図14に示したタッチパネル18の左上の角20を原点とする、x方向、およびx方向に直交するy方向の座標値を表している。タッチパネル装置4はまた、タッチパネル18が指で押圧された際の押圧力を検出して、検出した押圧力を表す押圧力信号をパソコン6に供給する。
ここで、タッチパネル装置4は、液晶パネル22を有する表示装置8にこれと一体として設けられており、タッチパネル装置4のタッチパネル18が液晶パネル22の表示面上にこれと平行にして配置されている。
次に動作について説明する。
表示制御手段16は、例えば、表示装置8の液晶パネル22に、それぞれ異なるアプリケーションに対応する複数のアイコンを相互に位置を変えて表示し、また、画面の明るさを調整するためのスライドボリュームの画像を所定位置に表示する。
操作者の指による押圧操作に伴ってタッチパネル装置4が押圧位置信号および押圧力信号をパソコン6に出力すると(ステップS1)、パソコン6では、信号監視手段14が、タッチパネル装置4からの押圧位置信号に基づいて押圧位置が変化したか否か(つまり、指は移動したか否か)を検知する(ステップS2)。押圧位置が変化していない場合は、比較手段12がタッチパネル装置4からの押圧力信号に基づいて、操作者の押圧力が基準押圧力を越えたか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3での判定の結果、押圧力が基準値を越えている場合は、処理選択手段10は、タッチパネル装置4からの押圧位置信号が示す位置のアイコンに対応するアプリケーションの実行を選択し、これによりそのアイコンに対応するアプリケーションが起動される(ステップS4)。
一方、ステップS3での判定の結果、押圧力が基準値を越えていない場合は、処理選択手段10は実行すべき処理としてアイコンのハイライト表示を選択し、押圧位置信号が示す位置のアイコンがハイライト表示される(ステップS5)。
また、ステップS2での判定の結果、押圧位置が変化している場合は、比較手段12がタッチパネル装置4からの押圧力信号に基づいて、操作者の押圧力が基準押圧力を越えたか否かを判定し(ステップS6)、この判定結果に応じて、処理選択手段10は、上記指が移動しなかった場合とは異なる処理を選択する。
つまり、操作者がスライドボリュームの摘みを指で強く押圧して、いずれかの方向に移動させた場合(つまり、操作者の押圧力が基準押圧力を越えている場合)には、画面上のスライドボリュームの摘みが移動すると共に、画面の明るさが指の移動方向および移動距離に応じて変化し(ステップS7)、一方、操作者がスライドボリュームの摘みを指で弱い押圧力で押圧して、いずれかの方向に移動させた場合(つまり、操作者の押圧力が基準押圧力を越えていない場合)には、画面の明るさが変化せずに、画面上のスライドボリュームの摘みが移動する(ステップS8)。
このような特許文献1に開示の情報処理システムにおけるタッチパネルの操作方法は、携帯用の電子機器にも適用可能なものである。
例えば、図17は、特許文献1に開示の、タッチパネルに対する押圧力により入力操作を切り替え可能とする構成を適用した携帯用の電子機器を説明する図であり、図17(a)は、指の押圧力が強い状態での指の移動による入力操作、図17(b)は、指の押圧力が弱い状態での指の移動による入力操作を示している。
この携帯用の電子機器30は、携帯電話や携帯ゲーム機などの電子機器であり、本体ケース30a内に設けられた液晶パネル(図示せず)およびタッチパネル(図示せず)を有し、液晶パネル上にタッチパネルをそのタッチ操作面Taが液晶パネルの表示画面Ds上に重なるよう配置したものである。
また、この電子機器30の本体ケース30aの表面には、電源ボタンを含む操作ボタン30bが配置されている。
この電子機器30では、上記のとおり、特許文献1に開示の、タッチパネルに対する押圧力により入力操作を切り替える構成が適用されており、以下、この電子機器におけるタッチ操作として、表示画面Dsに表示された第1の表示物体(銃)OB1および第2の表示物体(的)OB2のうちの第1の表示物体(銃)OB1に対する操作を具体的に説明する。
図17(a)に示すように、操作者が指により、タッチパネルの操作面Taの、第1の表示物体(銃)OB1が表示されている領域を指により強い押圧力で押圧してその指を移動させると、タッチパネルに対する押圧力が基準押圧力より大きいと判定される。その結果、操作者がタッチパネル上で指を移動させる操作は、第1の表示物体OB1のドラッグ操作であると判断され、第1の表示物体(銃)OB1が指を移動させた方向に移動することとなる。
このようにタッチパネルに対する指の押圧力を強い状態でコントロールしながら指をタッチパネルに接触させた状態で、指を右から左へ移動させることによりドラッグ操作を行い、電子機器上で動作しているゲームにおけるアイテム(表示物体)である銃を右から左へ移動させることができる。
一方、図17(b)に示すように、操作者が指により、タッチパネルの操作面Taの、第1の表示物体(銃)OB1が表示されている領域を指により弱い押圧力で押圧してその指を移動させると、タッチパネルに対する押圧力が基準押圧力以下であると判定される。その結果、操作者がタッチパネル上で指を移動させる操作は、第1の表示物体OB1のスクロール操作であると判断され、第1の表示物体(銃)OB1から第2の表示物体(的)OB2に向けて弾が発射されることとなる。
このようにタッチパネルに対する指の押圧力が弱くなるようコントロールしながら指をタッチパネルに接触させた状態で、指を左下から右上へ移動させることにより、スクロール操作を行い、電子機器の表示面上に表示されているゲームのシーンにて第2の表示物体(的)OB2を目掛けて第1の表示物体(銃)OB1を撃つという操作を行うことができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1〜図5は本発明の実施形態1による電子機器を説明する図であり、図1(a)はこの電子機器の外観を示す平面図であり、図1(b)はこの電子機器に搭載されているタッチパネルシステムの構成を示すブロック図である。
本実施形態1による電子機器100は、携帯電話や携帯ゲーム機などの携帯用の電子機器であり、本体ケース100a内に設けられた液晶パネルなどの表示部140およびタッチパネル130を有し、表示部140である液晶パネル上にタッチパネル130をそのタッチ操作面Taが液晶パネルの表示画面Ds上に重なるよう配置したものである。
また、この電子機器100の本体ケース100aの表面には、電源ボタンを含む操作ボタン100bが入力部120として配置されている。
また、この電子機器100は、タッチパネル130を駆動制御するタッチパネル制御装置(タッチパネルコントローラ)110を有しており、入力部120、表示部140、タッチパネル130、およびタッチパネル制御装置110はタッチパネルシステム110aを構成している。
図2は、タッチパネルを説明する図であり、図2(a)はタッチパネルの一部破断斜視図、図2(b)は、図2(a)のXb−Xb'線部分の断面図である。
この電子機器100のタッチパネルシステム110aを構成するタッチパネル130は、相対向するよう間隔を空けて配置されたガラス基板などの上下一対の絶縁性基板131a及び131cを有している。上側の絶縁性基板131aの下面には複数のドライブライン132がX方向に平行に配置され、下側の絶縁性基板131cの上面には複数のセンスライン133がY方向に平行に配置されている。ここで、ドライブライン132及びセンスライン133はそれぞれ帯状の導体層からなり、ドライブライン132とセンスライン133とはPET樹脂などの絶縁層131bにより絶縁されている。ドライブライン132とセンスライン133とが絶縁性131bを介して立体的に交差する各交差部Aには静電容量が形成されている。
なお、タッチパネル130は、操作体である導電性を有する物体がタッチパネル130の操作面Taに近づくことによりタッチパネル130内での静電容量が変化するとき、この静電容量の変化量を含む情報が出力信号としてタッチパネルの解像度に応じた単位領域毎に出力されるよう構成された静電容量方式のタッチパネルであり、この単位領域Bd(図3参照)は、上記交差部Aに対応した領域である。また、各交差部Aに形成される静電容量の変化量は、ドライブライン132に印加する駆動信号Dと、センスライン133から得られるセンス信号Sとに基づいて求めることができる。
次に、タッチパネル制御装置(タッチパネルコントローラ)110について詳しく説明する。
タッチパネル制御装置110は、図1(b)に示すように、タッチパネル130のドライブライン132に駆動信号Dを送信する送信部116と、タッチパネル130のセンスライン133からのセンス信号Sを受け、このセンス信号Sと駆動信号生成部116からの駆動信号Dとに基づいて、ドライブライン132とセンスライン133との交差部Aでの静電容量の変化量を求める受信部117とを有している。
この受信部117は、タッチパネル130内での静電容量の変化量を、ドライブライン132に印加する駆動信号Dと、タッチパネル130からの出力信号、つまりセンスライン133から得られるセンス信号Sとに基づいて交差部A(単位領域)毎に求めて出力するものである。
図3は、タッチパネル130の操作面Taを構成する単位領域を示す図であり、各単位領域Bdは、上記交差部Aに対応している。なお、図3中、Arは、操作体によりタッチされたと判定された領域(操作対象領域)であり、ABdは、静電容量の変化量が雑音レベル以上の判定基準より大きい単位領域であって、操作対象領域Arを構成する単位領域である。
また、タッチパネル制御装置110は、受信部117で得られた単位領域(交差部)毎の静電容量の変化量に基づいて、操作者が操作に用いた操作体の種類を判定する操作体判定部110bを有している。
この操作体判定部110bは、タッチパネル130からの出力信号に基づいて、操作体による操作の対象となった操作対象領域の広さを判定し、操作対象領域の広さに応じて、操作者が操作に用いた操作体の種類を判定するものである。
具体的には、この操作体判定部110bは、タッチパネル130を構成する複数の単位領域のうちの、該静電容量の変化量が上記判定基準より大きい単位領域(図3の単位領域ABd)の個数(図3では6個)が基準個数を超えているか否かの判定によって、前記操作対象領域Arの広さであるタッチ面積と基準タッチ面積との比較を行うタッチ面積比較手段111と、該タッチ面積比較手段による判定結果に基づいて操作体の種類を判別する判別手段114aとを有している。
また、タッチパネル制御装置110は、判別手段114aでの判定結果に基づいて、該タッチパネル130上での操作体の操作を、該判定された操作体の種類に応じた入力操作に対応付ける操作判断手段(操作対応付け部)114と、受信部117の出力である交差部毎の静電容量の変化量に基づいて操作者によるタッチ位置を示す位置情報(座標情報)を検出する座標検出手段113と、該検出されたタッチ位置を示す位置情報(座標情報)と操作判断手段114からの入力操作を示す信号とに基づいて、操作者の操作に応じた入力操作が実行されるよう表示部140を制御するCPU115とを有している。
また、ここでは、種類の異なる操作体として2種類の物体、つまり指と指裏の爪先とを想定しており、タッチ面積比較手段111での基準個数(図7のWth2に相当)は、指と指裏の爪先とを区別可能な個数に設定されており、タッチ面積比較手段111でのタッチ確認個数(図7のWth1に相当)は、指と指裏の爪先のいずれによるタッチ操作も検出可能な値に設定されている。なお、基準個数及びタッチ確認個数は、入力部120からの操作者による設定が可能である。また、ここでは、操作判断手段114では、指によるタッチ操作を左クリック操作とし、指裏の爪先によるタッチ操作を右クリック操作とし、さらに、指による移動操作をスクロール操作とし、指裏の爪先による移動操作をドラッグ操作としている。ただし、指によるタッチ操作および移動操作、さらに指裏の爪先によるタッチ操作および移動操作は、上記の入力操作に限定されるものではなく、他の入力操作に割り当ててもよく、さらに指や指裏の爪先以外の操作体として例えばペン先などを想定し、タッチ面積比較手段における比較のための閾値をペン先を識別可能な閾値にさらに設定し、ペン先による操作、爪先による操作、および指による操作を区別してそれぞれの操作体による操作を異なる入力操作に割り当ててもよい。
また、図4は、本発明の実施形態1による電子機器を説明する図であり、この電子機器におけるタッチパネルに接触させる操作体の種類によって静電容量の変化量が異なること(図4(a)〜図4(f))を概念的に示している。
たとえば、図4(d)は、ペン先をタッチパネルに接触させたときの操作対象領域を示し、この場合、操作対象領域Arは、静電容量の変化量が判定基準以上となった6つの単位領域ABdで構成されており、図4(d)に示すA−A'線上に並ぶ単位領域における静電容量の変化量を図4(a)に示している。
同様に、図4(e)は、指裏の爪先をタッチパネルに接触させたときの操作対象領域を示し、この場合、操作対象領域Arは、静電容量の変化量が判定基準以上となった12個の単位領域ABdで構成されており、図4(e)に示すB−B'線上に並ぶ単位領域における静電容量の変化量を図4(b)に示している。
さらに、図4(f)は、指をタッチパネルに接触させたときの操作対象領域を示し、この場合、操作対象領域Arは、静電容量の変化量が判定基準以上となった15個の単位領域ABdで構成されており、図4(f)に示すC−C'線上に並ぶ単位領域における静電容量の変化量を図4(c)に示している。
次に動作について説明する。
図5は、本発明の実施形態1による電子機器におけるタッチパネルに対する入力操作を説明するための図であり、図5(a)は、指裏の爪先の移動による入力操作、図5(b)は、指の移動による入力操作を示している。
まず、図5〜図7を用いて指裏の爪先でのドラッグ操作による銃の移動を説明する。
図5(a)に示すように、指裏の爪先をタッチパネルの操作面Taに接触させつつ、右から左へ移動させることによりドラッグ操作を行い、第1の表示物体(銃)OB1を右から左へ移動させる。このドラッグ操作につき、図6のフローチャートと図7(a)のタッチ面積(操作対象領域Arの広さ)の変化のグラフを参照して説明する。
まず、タッチパネル制御装置110では、タッチパネル130からの出力信号Sに基づいて指裏の爪先や指がタッチパネルにタッチされているかどうかを判定する(ステップF21)。これは、タッチ面積比較手段111で、指裏の爪先によるタッチ面積がタッチ確認タッチ面積を超えているか否かで判定する。
指裏の爪先でのドラッグ操作では、指裏の爪先がタッチパネルの操作面Taに接触しているので、タッチ面積がタッチ確認タッチ面積を超えている。つまり、静電容量の変動量が判定基準を超えている単位領域が規定数(タッチ確認タッチ面積に相等するタッチ確認個数)以上ある。この場合には、タッチ面積比較手段111は、指あるいは指裏の爪先がタッチパネルの操作面Taにタッチしていると判定する。なお、タッチ面積が、タッチ確認タッチ面積を超えていない場合は、タッチパネル制御装置110では、ステップF21の処理を繰り返す。
次いで、タッチ面積比較手段111は、タッチ面積が、基準タッチ面積を超えているかどうかによって、タッチパネルの操作面Taにタッチしている操作体が、指裏の爪先であるのか指であるのかを判定する(ステップF22)。
指裏の爪先でのドラッグ操作を行った場合には、図7(a)に示すように、タッチ面積Wa1が基準タッチ面積Wth2を超えていないので、タッチ面積比較手段111は、タッチ面積と基準タッチ面積Wth2との比較によりタッチ面積Wが基準タッチ面積Wth2より小さいことを示す比較出力を判定手段114aに出力する。なお、図7(a)中、Ha1は爪先によるスクロール操作を行っている期間である。判定手段114aは、入力された比較出力に基づいて、タッチ操作が指裏の爪先での操作であると判定し(ステップF22)、操作体が指裏の爪先であることを示す判定出力を操作判断手段114に出力する。
次いで、操作判断手段114は、判定手段114aからの判定出力を受けると、爪先の移動をドラッグ操作に対応付け、爪先のタッチを右クリック操作に割り当て、この割り当てをCPU115に伝える。
CPU115では、座標検出手段113からの位置情報に基づいて、指裏の爪先は移動しているかどうかを判定する(ステップF24)。
この場合は、指裏の爪先は移動しているので、CPU115は、操作者の指裏の爪先による操作をドラッグ操作と判定し、判定結果に応じて表示部140を制御して、表示物体OB1を図5(a)に示すように、右から左に移動させる。なお、操作者の指裏の爪先が移動していない場合は、CPU115は、操作者の指裏の爪先による操作を右クリック操作とする。
次に、図5〜図7を用いて指によるスクロール操作による銃の発射を説明する。
図5(b)に示すように、指をタッチパネルの操作面Taに接触させつつ、左下から右上へ移動させることによりスクロール操作を行い、第2の表示物体(的)OB2を目掛けて第1の表示物体(銃)OB1を撃つ動作について説明する。
このスクロール操作につき、図6のフローチャートと図7(b)のタッチ面積の変化のグラフを参照して説明する。
まず、タッチパネル制御装置110では、タッチパネル130からの出力信号Sに基づいて指裏の爪先や指がタッチパネルにタッチされているかどうかを判定する(ステップF21)。これは、タッチ面積比較手段111で、指によるタッチ面積Wa2(図7(b))がタッチ確認タッチ面積Wth1を超えているか否かで判定する。なお、タッチ面積が、タッチ確認タッチ面積を超えていない場合は、タッチパネル制御装置110では、ステップF21の処理を繰り返す。
指でのスクロール操作では、指がタッチパネルの操作面Taに接触しているので、タッチ面積が、タッチ確認タッチ面積Wth1を超えている。つまり、静電容量の変動量が雑音レベル以上の判定基準を超えている単位領域ABd(図3)が規定数(タッチ確認タッチ面積Wth1に相等するタッチ確認個数)以上ある。この場合には、タッチ面積比較部111は、指あるいは指裏の爪先がタッチパネルの操作面Taにタッチされていると判定する。
次いで、タッチ面積比較手段111は、タッチ面積Wa2が、基準タッチ面積Wth2を超えているかどうかによって、タッチパネルの操作面Taにタッチしている操作体が、指裏の爪先であるのか指であるのかを判定する(ステップF22)。
指でのスクロール操作を行った場合には、図7(b)に示すように、タッチ面積Wa2が、基準タッチ面積Wth2を超えているので、タッチ面積比較手段111は、タッチ面積Wa2と基準タッチ幅値Wth2との比較によりタッチ面積Wa2が基準タッチ面積Wth2より大きいことを示す比較出力を判定手段114aに出力する。なお、図7(b)中、Ha2は、指によるスクロール操作を行っている期間である。判定手段114aは、入力された比較出力に基づいて、タッチ操作が指での操作と判定し(ステップF22)、操作体が指であることを示す判定出力を操作判定手段114に出力する。
次いで、操作判断手段114は、判定手段114aからの判定出力を受けると、指の移動をスクロール操作に対応付け、指のタッチを左クリック操作に対応付け、この対応付けをCPU115に伝える。
CPU115では、座標検出手段113からの位置情報に基づいて、指は移動しているかどうかを判定する(ステップF23)。この場合、指は移動しているので、CPU115は操作者の指による操作をスクロール操作と判定し(ステップF25a)、判定結果に応じて表示部140を制御して、図5(b)に示すように、第2の表示物体(的)OB2に向けて第1の表示物体(銃)OB1を撃つ動作を行わせる。
このように本実施形態1では、タッチパネルに対する操作者の操作が検出されるよう該タッチパネル130を駆動するタッチパネル制御装置110において、該操作者が操作に用いた操作体の種類を該タッチパネルから出力される出力信号に基づいて判定する操作体判定部110bと、該タッチパネル上での該操作体の操作を、該判定された操作体の種類に応じた入力操作に対応付ける操作判断手段(操作対応付け部)114とを備え、CPU115が操作体による操作に対応付けられた入力操作の実行を指令する命令信号を出力するので、操作者は、タッチパネルに対する操作を、指によるタッチ操作と指裏の爪先によるタッチ操作とで使い分けることで、明確に入力操作を区別することができ、煩雑な操作を行うこと無く、スムーズな操作によりリアルタイム性を保ちつつ多様な操作を可能とすることができる。
(実施形態2)
図8〜図10は本発明の実施形態2による電子機器を説明する図であり、図8(a)はこの電子機器の外観を示す平面図であり、図8(b)はこの電子機器に搭載されているタッチパネルシステムの構成を示すブロック図である。
本実施形態2による電子機器200は、実施形態1による電子機器100と同様、携帯電話や携帯ゲーム機などの携帯用の電子機器であり、本体ケース100a内に設けられた液晶パネルなどの表示部140およびタッチパネル130を有し、表示部140である液晶パネル上にタッチパネル130をそのタッチ操作面Taが液晶パネルの表示画面Ds上に重なるよう配置したものであり、この電子機器200の本体ケース100aの表面には、電源ボタンを含む操作ボタン100bが配置されている。
そして、この電子機器200は、タッチパネル130を駆動制御するタッチパネル制御装置として、実施形態1のタッチパネル制御装置110に代わるタッチパネル制御装置210aを備えたものであり、この実施形態2のタッチパネル制御装置210aは、実施形態1のタッチパネル制御装置110におけるタッチ面積比較手段111に代えて、操作対象領域における特定位置の単位領域での静電容量の変化量が基準静電容量差を超えたか否かによって、操作対象領域Ar(図3)での静電容量の変化量を基準静電容量差と比較する静電容量差比較手段112を備え、この比較結果に基づいて操作体が指であるか指裏の爪先であるのかを判定するようにしたものであり、その他の構成は実施形態1のものと同一である。
ここで特定位置は操作対象領域の重心位置としている、また、種類の異なる操作体として2種類の物体、つまり指と指裏の爪先を想定しており、静電容量差比較手段112での基準静電容量差ΔQth2(図10)は、指と指裏の爪先とを区別可能な値に設定されており、タッチ確認静電容量差ΔQth1(図10)は、指と指裏の爪先のいずれによるタッチ操作も検出可能な値に設定されている。また、この実施形態2においても、指によるタッチ操作を左クリック操作とし、指裏の爪先によるタッチ操作を右クリック操作とし、さらに、指による移動操作をスクロール操作とし、指裏の爪先による移動操作をドラッグ操作としている。
次に動作について説明する。
まず、図5、図9、図10を用いて指裏の爪先でのドラッグ操作による銃の移動を説明する。
図5(a)に示すように、指裏の爪先をタッチパネルの操作面Taに接触させつつ、右から左へ移動させることによりドラッグ操作を行い、第1の表示物体(銃)OB1を右から左へ移動させる。このドラッグ操作につき、図9のフローチャートと図10(a)のタッチ静電容量値のグラフを参照して説明する。
まず、タッチパネル制御装置210では、タッチパネル130からの出力信号Sに基づいて指裏の爪先や指がタッチパネルにタッチされているかどうかを判定する(ステップF31)。これは、静電容量差比較手段112で、指裏の爪先によるタッチにより生じた静電容量の変動量(タッチ静電容量値)がタッチ確認静電容量差ΔQth1(図10)を超えているか否かで判定する。なお、タッチ静電容量値がタッチ確認静電容量差ΔQth1を超えていない場合は、タッチパネル制御装置210では、ステップF31の処理を繰り返す。
指裏の爪先でのドラッグ操作を行う場合には、指裏の爪先がタッチパネルの操作面Taに接触しているので、タッチ静電容量値がタッチ確認静電容量差を超えている。つまり、静電容量の変動量が雑音レベル以上の判定基準を超えている1以上の単位領域の特定のものでのタッチ静電容量値のピーク値がタッチ確認静電容量差以上になる。この場合には、静電容量差比較手段112は、指あるいは指裏の爪先がタッチパネルの操作面Taにタッチしていると判定する。ここで、タッチ静電容量値が雑音レベル以上の判定基準を超えている1以上の単位領域の特定のものは、1以上の単位領域が形成する操作対象領域の重心に位置するものとしている。
次いで、静電容量差比較手段112は、特定の単位領域でのタッチ静電容量値のピーク値が、基準静電容量差ΔQth2(図10)を超えているかどうかによって、タッチパネルの操作面Taにタッチしている操作体が、指裏の爪先であるのか指であるのかを判定する(ステップF32)。
指裏の爪先でのドラッグ操作を行った場合には、図10(a)に示すように、タッチ静電容量値ΔQa1が基準静電容量差ΔQth2を超えていないので、静電容量差比較手段112は、タッチ静電容量値と基準静電容量差ΔQth2との比較によりタッチ静電容量値ΔQa1が基準静電容差ΔQth2より小さいことを示す比較出力を判定手段114bに出力する。図10(a)中、Hb1は、指裏の爪先によるドラッグ操作を行っている期間である。判定手段114bは、入力された比較出力に基づいて、タッチ操作が指裏の爪先での操作であると判定し(ステップF32)、操作体が指裏の爪先であることを示す判定出力を操作判断手段114に出力する。
次いで、操作判断手段114は、判定手段114bからの判定出力を受けると、爪先の移動をドラッグ操作に対応付け、爪先のタッチを右クリック操作に割り当て、この割り当てをCPU115に伝える。
CPU115では、座標検出手段113からの位置情報に基づいて、指裏の爪先は移動しているかどうかを判定する(ステップF34)。
この場合は、指裏の爪先は移動しているので、操作者の指裏の爪先による操作をドラッグ操作と判定し(ステップF35c)、判定結果に応じて表示部140を制御して、物体OB1を図5(a)に示すように、右から左に移動させる。なお、指裏の爪先が移動していない場合は、操作者の指裏の爪先による操作を右クリック操作とする(ステップF35d)。
次に、図5、図9、図10を用いて指によるスクロール操作による銃の発射を説明する。
図5(b)に示すように、指をタッチパネルの操作面Taに接触させつつ、左下から右上へ移動させることによりスクロール操作を行い、第2の表示物体(的)OB2を目掛けて第1の表示物体(銃)OB1を撃つ動作について説明する。
このスクロール操作につき、図9のフローチャートと図10(b)のタッチ静電容量の変化のグラフを参照して説明する。
まず、タッチパネル制御装置210では、タッチパネル130からの出力信号Sに基づいて指裏の爪先や指がタッチパネルにタッチされているかどうかを判定する(ステップF31)。これは、静電容量差比較手段112で、指によるタッチにより生じた静電容量の変動量(タッチ静電容量値)ΔQa1がタッチ確認静電容差ΔQth1を超えているか否かで判定する。なお、タッチ静電容量値が、タッチ確認静電容量差ΔQth1を超えていない場合は、タッチパネル制御装置110では、ステップF31の処理を繰り返す。
指でのスクロール操作を行う場合には、指がタッチパネルの操作面Taに接触しているので、タッチ静電容量値ΔQa1が、タッチ確認静電容量差ΔQth1を超えている。つまり、静電容量の変動量が判定基準を超えている1以上の単位領域の特定のものでのタッチ静電容量値のピーク値がタッチ確認静電容差ΔQth1以上になる。この場合には、静電容量差比較部112は、指あるいは指裏の爪先がタッチパネルの操作面Taにタッチされていると判定する。ここで、タッチ静電容量値が雑音レベル以上の判定基準を超えている1以上の単位領域の特定のものは、1以上の単位領域が形成する操作対象領域Arの重心に位置するものとしている。
次いで、静電容量比較手段112は、特定の単位領域でのタッチ静電容量値のピーク値が、基準静電容量差ΔQth2を超えているかどうかによって、タッチパネルの操作面Taにタッチしている操作体が、指裏の爪先であるのか指であるのかを判定する(ステップF32)。
指でのスクロール操作を行った場合には、図10(b)に示すように、タッチ静電容量値ΔQa2が、基準静電容量差ΔQth2を超えているので、静電容量差比較手段112は、タッチ静電容量値ΔQa2と基準静電容量差ΔQth2との比較によりタッチ静電容量値ΔQa2が基準静電容量差ΔQth2より大きいことを示す比較出力を判定手段114bに出力する。なお、図10(b)中、Hb2は、指によるスクロール操作を行っている期間である。判定手段114bは、入力された比較出力に基づいて、タッチ操作が指での操作と判定し(ステップF32)、操作体が指であることを示す判定出力を操作判断手段114に出力する。
次いで、操作判断手段114は、判定手段114bからの判定出力を受けると、指の移動をスクロール操作に対応付け、指のタッチを左クリック操作に対応付け、この対応付けをCPU115に伝える。
CPU115では、座標検出手段113からの位置情報に基づいて、指は移動しているかどうかを判定する(ステップF33)。この場合、指は移動しているので、操作者の指による操作をスクロール操作と判定し(ステップF35a)、判定結果に応じて表示部140を制御して、図5(b)に示すように、的に向けて物体(銃)OB2を撃つ動作を行わせる。なお、指が移動していない場合は、操作者の指による操作を左クリック操作とする(ステップF35b)。
このように本実施形態2においても、タッチパネルに対する操作者の操作が検出されるよう該タッチパネルを駆動するタッチパネル制御装置210において、該操作者が操作に用いた操作体の種類を該タッチパネルから出力される出力信号に基づいて判定する操作体判定部210bと、該タッチパネル上での該操作体の操作を、該判定された操作体の種類に応じた入力操作に対応付ける操作判断手段(操作対応付け部)114とを備え、CPU115が操作体による操作に対応付けられた入力操作の実行を指令する命令信号を出力するので、操作者は、タッチパネルに対する操作を、指によるタッチ操作と指裏の爪先によるタッチ操作と使い分けることで、明確に入力操作を区別することができ、煩雑な操作を行うこと無く、スムーズな操作によりリアルタイム性を保ちつつ多様な操作を可能とすることができる。
(実施形態3)
図11は本発明の実施形態3による電子機器を説明する図であり、図11(a)はこの電子機器の外観を示す平面図であり、図11(b)はこの電子機器に搭載されているタッチパネルシステムの構成を示すブロック図である。
本実施形態3による電子機器300は、実施形態1による電子機器100と同様、携帯電話や携帯ゲーム機などの携帯用の電子機器であり、本体ケース100a内に設けられた液晶パネルなどの表示部140およびタッチパネル130を有し、表示部140である液晶パネル上にタッチパネル130をそのタッチ操作面Taが液晶パネルの表示画面Ds上に重なるよう配置したものであり、この電子機器300の本体ケース100aの表面には、電源ボタンを含む操作ボタン100bが配置されている。
そして、この電子機器300は、タッチパネル130を駆動制御するタッチパネル制御装置として、実施形態1のタッチパネル制御装置110に代わるタッチパネル制御装置310aを備えたものであり、この実施形態3のタッチパネル制御装置310は、実施形態1のタッチパネル制御装置110におけるタッチ面積比較手段111に加えて、実施形態2のタッチパネル制御装置210における静電容量差比較手段112を備え、判別手段114cをタッチ面積比較手段111の判定出力と静電容量差比較手段112の判定出力の両方に基づいて、操作体の種類の判定するよう構成したものである。
タッチ面積比較手段111の判定出力と静電容量差比較手段112の判定出力を、操作体の種類を判別するのにどのように用いるかは、入力部120からの操作者の動作モード信号により設定可能となっている。
この実施形態3においても、実施形態1あるいは実施形態2と同様に、指によるタッチと、指の他の物体(ペン、指裏の爪先等)によるタッチを、タッチ面積(タッチ操作による静電容量の変動量が判定基準より大きい単位領域の数)及び/またはタッチ静電容量値(操作体によりタッチパネルの操作面をタッチしたときにタッチパネルで生ずる静電容量の変動量)により区別することにより、タッチパネルに対する煩雑な操作を行うこと無く、スムーズな操作によりリアルタイム性を保ちつつ、タッチパネルでの多様な操作を可能とできる。
なお、表示部に用いられる表示装置は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、FED(電界放出)ディスプレイ等の種類を問わず、適用が可能である。
(実施形態4)
図12は、本発明の実施形態4として、実施形態1から実施形態3のいずれかのタッチパネルシステムを入力操作部に用いた電子情報機器の一般的な構成を示すブロック図である。
図12に示す本発明の実施形態4による電子情報機器90は、本発明の実施形態1から実施形態3のいずれかのタッチパネルシステムを、操作者による情報入力を行うための入力操作部90aとして備えたものであり、この電子情報機器90は、入力操作部90aから入力された入力情報を記録する記録メディアなどのメモリ部92と、この入力情報を液晶表示画面などの表示画面上に表示する液晶表示装置などの表示部93と、この入力情報を用いた通信処理を行う送受信装置などの通信部94と、この入力情報を印刷(印字)して出力(プリントアウト)する画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有している。また、この電子情報機器90は、被写体の撮影を行う撮像部91を有していてもよく、この場合は、記録メディアなどのメモリ部92が、撮像部91により得られた画像データを記録用に所定の信号処理した後にデータ記録し、上記表示部93が、この画像データを表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示し、通信部94が、この画像データを通信用に所定の信号処理をした後にこの画像データに対する通信処理を行い、画像出力部95がこの画像データを印刷(印字)して出力(プリントアウト)するようにしてもよい。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。