JP5922094B2 - 生体分子の植物細胞中への送達のための植物ペプチドγ−ゼイン - Google Patents

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Description

優先権主張
本出願は、「PLANT PEPTIDE GAMMA−ZEIN FOR DELIVERY OF BIOMOLECULES INTO PLANT CELLS」に関する、2010年3月31日出願の米国仮特許出願第61/319,764号の出願日の利益を主張する。
特定の形質を示す植物の新しい系統を開発するための従来の植物育種戦略は、時間がかかり、時折予測不可能である。アグロバクテリウム媒介形質転換および微粒子銃などの既存の戦略は、組織および遺伝子型に大きく依存する。細胞膜透過性ペプチド(CPP)は、DNA、RNAおよびタンパク質を含む幅広いカーゴ複合体が哺乳類およびヒト細胞系における細胞膜を通過して移行する上で重要な役割を果たすことが知られている、新規で急成長しているクラスの短いペプチドである(Schwartz and Zhang, 2000; Langel, 2002; Vives, 2002)。
CPPが、哺乳類細胞においてカーゴ送達を促進することが示された一方で、トランスフェクション研究のための植物細胞におけるCPPの使用は、いくつかの要因によって限定されてきた。この技術を植物に適合させることへの主要な障害は、動物細胞とは違い、植物細胞は、CPPおよびそのカーゴの内部移行に対する二重の障壁系(細胞壁および細胞膜)を示すことである。したがって、CPPは、カーゴ分子の無傷の植物細胞中への効率的な移行のために、これら2つの障壁を乗り越えなければならない。CPPは、植物細胞において使用されてきたが、カーゴ分子の無傷の植物細胞中への送達を実現するための透過処理剤の使用を利用してきた。小分子、核酸およびタンパク質の無傷の植物細胞中へのCPP媒介送達は、ほとんど研究されていないままであり、植物系におけるin vitroおよびin vivoでの遺伝子および生化学的操作に有利である。
ナノ粒子は、DNAの細胞への送達における使用に活用されてきたユニークな特性を有する。金(Au)ナノ粒子などの金属ナノ粒子は、細胞毒性が低く、生物学的意義のある様々なリガンドによる機能化が容易であるので、DNA送達に使用されてきた。金属ナノ粒子に加えて、3〜5nmのサイズ範囲内の半導体ナノ粒子(例えば、量子ドット)(「QD」)も、分子を細胞中に送達するための担体として使用されてきた。DNAおよびタンパク質は、様々な表面機能化を通して、QDに結合しているリガンドに連結することができる(例えばPatolsky, F. et al., J. Am. Chem. Soc. 125, 13918 (2003)を参照されたい)。
ナノ粒子は、プラスミドDNAを種々の動物細胞に送達するために使用されてきた。DNAで被覆されたナノ粒子を細胞壁を有さない細胞とインキュベートした場合、細胞はナノ粒子を取り込み、DNAにコードされた任意の遺伝子を発現し始めることが発見された。しかしながら、現在の植物遺伝子送達は、植物細胞壁が存在するため困難であり、したがって、植物の遺伝的形質転換のための侵入型の送達手段を一般に利用している。細胞壁を通常は有する細胞へのナノ粒子送達が望まれる場合には、細胞の壁は、粒子の植物のプロトプラストへの追加の前に、剥奪される(Torney, F. et al, Nature Nanotechnol. 2, (2007)を参照されたい)。植物細胞において、細胞壁は、外因的に適用した分子の送達に対する大きな障壁となる。遺伝子銃(微粒子銃)、微量注入、エレクトロポレーション、およびアグロバクテリウムのような、多くの侵入型方法が、壁のある植物細胞中への遺伝子および小分子の送達を達成するために用いられてきたが、タンパク質の送達は、微量注入によってのみ達成された。
植物ゲノム配列決定プロジェクトからの情報がますます増加するとともに、多様な遺伝子の機能ゲノム研究および重要な農学的形質を発現するトランスジェニック植物の開発のための、植物における速くて普遍的な(組織/遺伝子型に依存しない)方法が緊急に必要とされている。
以下の実施形態をシステム、ツールおよび方法と組み合わせて記載するが、これらは、典型的および例示的であるものとし、範囲を限定するものではない。
本発明は以下を提供する。
[1]対象の分子を細胞壁を有する植物細胞中に導入する方法であって、
細胞壁を有する植物細胞を提供するステップと、
γ−ゼインペプチドを対象の分子と相互作用させて、γ−ゼイン連結構造体を形成するステップと、
細胞壁を有する細胞とγ−ゼイン連結構造体とを互いに接触させるステップと、
γ−ゼイン連結構造体の細胞壁を有する細胞中への取り込みを可能にするステップと
を含む方法。
[2]γ−ゼインペプチドを対象の分子と相互作用させるステップが、対象の分子をγ−ゼインペプチドと融合させることを含む、上記[1]に記載の方法。
[3]γ−ゼイン連結構造体の細胞壁を含む植物細胞の区画中への取り込みを可能にすることをさらに含む、上記[1]に記載の方法。
[4]区画が、サイトゾル、核、トノプラスト、色素体、エチオプラスト、有色体、白色体、エライオプラスト、プロテイノプラスト、アミロプラスト、葉緑体、および二重膜の内腔から成る群から選択される、上記[3]に記載の方法。
[5]細胞壁を含む植物細胞が、タバコ、ニンジン、トウモロコシ、キャノーラ、ナタネ、ワタ、ヤシ、ピーナッツ、ダイズ、オリザ属種(Oryza sp.)、シロイヌナズナ属種(Arabidopsis sp.)、トウゴマ属種(Ricinus sp.)、およびサトウキビの細胞から成る群から選択される、上記[1]に記載の方法。
[6]植物細胞が、胚、分裂組織、カルス、花粉、葉、葯、根、根端、花、種子、さやおよび茎から成る群から選択される組織由来である、上記[1]に記載の方法。
[7]γ−ゼインペプチドが、配列番号1を含む、上記[1]に記載の方法。
[8]対象の分子が、核酸、DNA、RNA、RNAi分子、遺伝子、プラスミド、コスミド、YAC、BAC、ポリペプチド、酵素、ホルモン、グリコペプチド、糖、脂肪、シグナルペプチド、抗体、ビタミン、メッセンジャー、二次メッセンジャー、アミノ酸、cAMP、薬物、除草剤、殺菌剤、抗生物質、およびそれらの組合せから成る群から選択される成分を含む、上記[1]に記載の方法。
[9]対象の分子が、遺伝子を含む、上記[8]に記載の方法。
[10]遺伝子が、外来性タンパク質遺伝子、農学的遺伝子、またはマーカー遺伝子である、上記[9]に記載の方法。
[11]遺伝子を安定に組み込んだ細胞を選択することをさらに含む、上記[9]に記載の方法。
[12]選択された細胞が、再生可能な細胞である、上記[11]に記載の方法。
[13]再生可能な細胞から稔性植物を再生することをさらに含む、上記[12]に記載の方法。
[14]遺伝子を発現させる方法であって、
細胞壁を有する植物細胞を提供するステップと、
γ−ゼインペプチドを遺伝子と相互作用させて、γ−ゼイン連結構造体を形成するステップと、
細胞壁を有する植物細胞とγ−ゼイン連結構造体とを互いに接触させるステップと、
γ−ゼインペプチドおよび遺伝子の細胞壁を含む植物細胞中への取り込みを可能にするステップと、
植物細胞を有する植物の子孫において、遺伝子を発現させるステップと
を含む方法。
[15]遺伝子を葉緑体において発現させる、上記[14]に記載の方法。
[16]遺伝子を安定に発現する細胞を選択することをさらに含む、上記[14]に記載の方法。
[17]γ−ゼインペプチドが、配列番号1を含む、上記[14]に記載の方法。
[18]分子性物質を植物細胞中に移入するための方法であって、
γ−ゼインペプチドをプラスミドDNAと相互作用させて、γ−ゼイン連結構造体を形成するステップと、
γ−ゼイン連結構造体を、γ−ゼインペプチドおよびプラスミドDNA由来の遺伝子の植物細胞中への取り込みを許容する条件下で、無傷の壁を有する植物細胞と接触させるステップと
を含む方法。
[19]植物細胞を有する植物の子孫において、遺伝子を安定に発現させることをさらに含む、上記[18]に記載の方法。
[20]γ−ゼインペプチドが、配列番号1を含む、上記[18]に記載の方法。

本発明の一実施形態は、対象の分子を細胞壁を有する植物細胞中に導入する方法に関する。この方法は、細胞壁を有する植物細胞を提供し、γ−ゼインペプチドを対象の分子と相互作用させて、γ−ゼイン連結構造体を形成することを含む。次いで、細胞壁を有する細胞とγ−ゼイン連結構造体とを互いに接触させ、γ−ゼインが連結した対象の分子の細胞壁を有する細胞中への取り込みを可能にする。
本発明の別の実施形態は、遺伝子を発現させる方法であって、細胞壁を有する植物細胞を提供し、γ−ゼインペプチドを対象の遺伝子と相互作用させて、γ−ゼイン連結遺伝子構造体を形成することを含む方法に関する。細胞壁を有する植物細胞とγ−ゼイン連結構造体とを互いに接触させ、γ−ゼインペプチドおよび遺伝子の細胞壁を含む植物細胞中への取り込みを可能にする。次いで、その植物細胞を有する植物の子孫において遺伝子を発現させる。
本発明のさらに別の実施形態において、分子性物質を植物細胞中に移入する。この方法は、γ−ゼインペプチドをプラスミドDNAと相互作用させて、γ−ゼイン連結構造体を形成することを含む。γ−ゼイン連結構造体を、γ−ゼインペプチドおよびプラスミドDNA由来の遺伝子の植物細胞中への取り込みを許容する条件下で無傷の壁を有する植物細胞と接触させる。
上述の典型的な態様および実施形態に加えて、別の態様および実施形態が、以下の記述を考慮して明らかとなろう。
γ−ゼイン/YFP融合遺伝子のプラスミド地図である。 γ−ゼイン/YFP融合ペプチド精製におけるNiキレートクロマトグラフィーを示す図である。 γ−ゼイン/YFP溶出プロファイルのSDS−PAGE分析を示す図である。 γ−ゼイン/YFPのMaldi−TOFペプチド質量スペクトルを示す図である。 融合ペプチドの細胞内取り込みおよび内部移行を例示する共焦点の顕微鏡画像である:A.核を示す、Hoechst33342で染色したニンジン単細胞;B.核および細胞質におけるγ−ゼイン/YFP蛍光局在性を示す、ニンジン単細胞;C.核を示す、Hoechst33342で染色したタバコJTNTI細胞;D.Hoechst33342での青色核染色とともに、核および細胞質におけるγ−ゼイン/YFP蛍光を示す、タバコJTNTI細胞;E.JTNTl細胞の細胞膜および核の両方を標的とするγ−ゼイン/YFP融合ペプチドを表示する共焦点の画像;ならびにFおよびG.それぞれ、対応する明視野画像および共焦点/明視野画像のオーバーレイを示す。 pDAB3831のプラスミド地図を示す図である。
以下の記述および表において、いくつかの用語を使用する。かかる用語が与えられる範囲を含めた、明細書および特許請求の範囲の明白かつ一貫した理解を提供するために、以下の定義を提供する。
戻し交配。戻し交配は、栽培者が、ハイブリッド子孫を親の1つに戻って、例えば、第1世代ハイブリッドFをFハイブリッドの親の遺伝型の1つと繰り返して交配させるプロセスである。
胚。胚は、成熟種子内に含有される小さい植物とすることができる。
ゼイン。ゼインは、コーングルテンミールから作製されるトウモロコシタンパク質である。ゼインは、アミノ酸リジンおよびトリプトファンを欠いているために、食物タンパク質の唯一の供給源として適していない。ゼインは、水およびアルコールに不溶性であるが、水性アルコール、グリコール、およびグリコールエーテルに可溶性である。ゼインは、薄膜およびコーティングとして機能し、木の実および穀物産物のための水分障壁となる。ゼインは、糖菓のためのコーティングおよび鍋で料理した製品のための光沢としても機能する。
ナノ粒子。通常100nm未満の、少なくとも1つのナノスケール寸法を有する微視的な粒子。本発明における使用に適したナノ粒子は、1nm〜0.4umのサイズ範囲を有することができる。量子ドットは、1nm〜10nm、好ましくは2〜4nmにわたる中位径を有することができる。ナノ粒子は、金ナノ粒子、金で被覆されたナノ粒子、多孔質ナノ粒子、メソポーラスナノ粒子、シリカナノ粒子、ポリマーナノ粒子、タングステンナノ粒子、ゼラチンナノ粒子、ナノシェル、ナノコア、ナノ球体、ナノロッド、磁性ナノ粒子、およびそれらの組合せから選択することができる。
量子ドット。量子ドットは、3つすべての空間方向において、伝導帯電子の挙動、価電子帯正孔、または励起子(伝導帯電子および価電子帯正孔の結合したペア)を制限する半導体ナノ構造である。制限は、静電ポテンシャル(外部電極、ドーピング、ストレイン不純物(strain impurity)によって生み出される)、異なる半導体物質間インターフェース(例えばコアシェルナノ結晶系における)の存在、半導体表面(例えば半導体ナノ結晶)の存在、またはこれらの組合せによることができる。量子ドットは、分離した量子化エネルギースペクトルを有することができる。対応する波動関数は、量子ドット内で空間的に局在化されるが、結晶格子の多くの周期にわたる。量子ドットは、伝導帯電子、価電子帯正孔、または励起子の(1〜100のオーダーの)小さい有限数(すなわち、電気素量の有限数)を含有する。
安定化したまたは安定な形質転換体。安定化したまたは安定な形質転換体は、そのゲノムが1つの世代から次の世代へ再現性よく伝わる植物を表す。
取り込み。取り込みは、γ−ゼインなどの粒子の細胞壁または細胞膜を通過する移行を表し、ここで、移行は、粒子が取り込まれる細胞以外の何かによって粒子に与えられる運動量の結果だけでは起こらない。比較のために述べると、粒子に与えられる運動量の結果だけで粒子の細胞壁または細胞膜を通過する移行を引き起こすデバイスまたは方法の例は、微粒子銃、遺伝子銃、微量注入、および/またはインペールフェクション(impalefection)テクノロジーである。
特定の実施形態において、本発明は、植物系における小分子送達、生体分子送達、遺伝子送達、イメージング、および様々な生物工学的診断ならびにセンシング機能における適用のための、ペイロードを効率的に無傷の植物細胞中に送達するためのCPPとしてのγ−ゼインの使用に関する。
本発明の他の実施形態において、「加えた」または「ゲスト」分子は、γ−ゼイン分子に結合していてもよい。この特性は、例えば、バイオミメティクスなどの分野に関する、細胞内の分子部位の特異的なターゲティングおよびエディティング、種々の樹木、野菜および条植え作物における形質および病害抵抗性適用のための、非遺伝的に改変された生物選択肢、および一過性の形質転換選択肢のための、標的送達において用いることができる。本発明の実施形態は、植物における適したバイオセンサーを開発するためにも用いることができる。
本発明の実施形態に従って、対象の分子を細胞壁を含む植物細胞中に導入する方法であって、対象の分子を含有するγ−ゼインを植物細胞と接触させ、γ−ゼインの植物細胞壁を通過する取り込みを可能にすることを含む方法を提供することができる。発明の特定の態様において、γ−ゼインは、対象の分子を可逆的または不可逆的に含有することができる、対象の分子と相互作用することができる、またはさもなければ対象の分子に結合かつ/もしくは対象の分子を有することができる。
本発明の実施形態に従って、細胞壁を有する植物細胞は、無傷の細胞壁全体を含む任意の植物細胞とすることができる。細胞壁を有する細胞の例は、藻類、タバコ、ニンジン、トウモロコシ、キャノーラ、ナタネ、ワタ、ヤシ、ピーナッツ、ダイズ、サトウキビ、オリザ属種(Oryza sp.)、シロイヌナズナ属種(Arabidopsis sp.)、およびトウゴマ属種(Ricinus sp.)、好ましくはタバコ、ニンジン、トウモロコシ、ワタ、キャノーラ、ダイズおよびサトウキビ;より好ましくはタバコおよびニンジンを含むがこれらに限定されない。本発明の実施形態は、胚、分裂組織の細胞、カルス、花粉、葉、葯、根、根端、花、種子、さや、茎、無傷の単一の植物細胞の組織培養物および懸濁液を含むがこれらに限定されない、任意の組織由来の、またはそれらがどこにおいて発見されても、細胞壁を含む細胞を含むことができる。
本発明の実施形態において、対象の分子は、本発明に従って植物細胞に送達することができる任意の分子とすることができる。対象の分子、または対象の分子の成分は、任意の小分子、核酸、DNA、RNA、RNAi、miRNA分子、遺伝子、プラスミド、コスミド、YAC、BAC、ポリペプチド、酵素、ホルモン、グリコペプチド、糖、脂肪、シグナルペプチド、抗体、ビタミン、メッセンジャー、二次メッセンジャー、アミノ酸、cAMP、薬物、除草剤、殺菌剤、抗生物質、および/またはそれらの組合せを含むことができるがこれらに限定されない。
本発明の実施形態は、病害の予防または治療のための方法を含む。非限定的な例である実施形態は、本発明の方法を使用しての、殺菌剤、抗生物質、および/または他の薬物のそれらを必要としている細胞への送達を含む。
本発明の態様において、γ−ゼイン連結構造体を、種々の植物細胞オルガネラ中に取り込むことができる。γ−ゼイン連結構造体を取り込むことができる位置の例は、サイトゾル、核、トノプラスト、色素体、エチオプラスト、有色体、白色体、エライオプラスト、プロテイノプラスト、アミロプラスト、葉緑体、および二重膜の内腔を含むがこれらに限定されない。本発明の他の実施形態において、γ−ゼイン連結構造体の細胞壁を含む細胞中への取り込みは、シンプラストまたはアポプラスト経路経由で起こることができる。
本発明の追加の実施形態は、遺伝的に改変された植物細胞およびそれらを生み出すための方法を含み、ここで、植物細胞は、本発明の方法を通してそこに導入された1つまたは複数の核酸を有する。実施形態の1つの例において、対象の遺伝子および選択マーカーを含むプラスミドは、本発明によるγ−ゼインを通して細胞壁を有する植物細胞中に導入することができる。別の実施形態において、安定な形質転換体は、対象の遺伝子および/または選択マーカーを安定に組み込んだものから選択することができる。代替の実施形態において、現在対象の遺伝子を含む植物細胞を、増殖し、対象の分子を含む他の細胞を作製することができる。他の実施形態において、現在対象の分子を含む植物細胞は、対象の分子を含む植物全体を再生するために使用することができる再生可能な細胞とすることができる。
別の態様において、本発明は、組織培養物において使用するための、対象の分子を含む再生可能な植物細胞を作り出す方法を提供する。組織培養物は、好ましくは、再生可能な細胞と実質的に同じ遺伝子型を有する植物を再生する能力があろう。かかる組織培養物における再生可能な細胞は、胚、プロトプラスト、分裂組織の細胞、カルス、花粉、葉、葯、根、根端、花、種子、さやまたは茎とすることができる。まださらに、本発明の実施形態は、本発明の組織培養物から再生した植物を提供する。
代わりに、本発明は、所望の形質を細胞壁を有する植物細胞中に導入する方法であって、所望の形質を提供する能力がある対象のγ−ゼイン遺伝子を、細胞壁を有する植物細胞中に配置し、対象のγ−ゼインが結合した遺伝子の細胞壁を通過する取り込みを可能にすることを含む方法を提供する。所望の形質の例は、雄性不稔、除草剤抵抗性、虫害抵抗性、細菌性、真菌性、および/またはウイルス性病害に対する抵抗性から選択される形質、ならびに修飾油プロフィール、改変デンプンおよび繊維含量、増強されたビタミンおよびアミノ酸含量などの利点をエンドユーザーに付与する形質を含むがこれらに限定されない。
本発明の別の態様は、所望の分子または対象の遺伝子を含む安定な植物系統を生み出す方法であって、所望の分子または対象の遺伝子を、植物細胞壁を通過するγ−ゼイン媒介移行によって最初に導入することができる方法を提供する。遺伝的に安定化する方法、またはさもなければ改変植物系統は、当業者によく知られており、自殖、戻し交配、ハイブリッド作製、安定な個体群への交配などの技法を含むがこれらに限定されない。細胞壁を通過するγ−ゼイン媒介移入によって植物細胞(またはその祖先)中に最初に導入された、所望の分子または対象の遺伝子を含むすべての植物および植物細胞は、本発明の範囲内である。有利にも、細胞壁を通過するγ−ゼイン媒介移入によって植物または細胞(またはその祖先)中に最初に導入された対象の分子または遺伝子を含む植物細胞を、他の、異なる、植物との育種交配において使用し、優位な特徴および表現型を有する第1世代(F)ハイブリッド細胞、種子、および/または植物を作製することができる。
対象の分子が1つまたは複数の遺伝子を含む実施形態において、遺伝子(1つまたは複数)は、優性または劣性対立遺伝子とすることができる。例として、遺伝子(1つまたは複数)は、除草剤抵抗性、虫害抵抗性、細菌抵抗性のための抵抗性、真菌抵抗性、ウイルス性病害抵抗性、雄性稔性、雄性不稔、強化された栄養価、および工業利用のような形質を付与するであろう。
特異的なタンパク質またはRNA産物(例えばRNAi)をコードする遺伝子の単離および特徴づけを可能にした分子生物学的技法の出現で、植物生物学の分野の科学者は、特異的な様式で細胞の形質を改変するために、外来性遺伝子、または天然もしくは内在性遺伝子の追加もしくは改変バージョン(おそらく異なるプロモーターによって駆動される)を含有し発現するように細胞のゲノムを操作することへの強い興味をもつようになった。かかる外来性、追加および/または改変遺伝子は、本明細書で、集団的に「導入遺伝子」と呼ぶ。この15から20年にわたり、トランスジェニック植物細胞を作製するためのいくつかの方法が開発され、特定の実施形態において、本発明は、細胞の形質転換のバージョン、ならびにγ−ゼイン連結構造体の植物細胞壁および細胞膜を通過する取り込みを通して導入遺伝子を細胞壁を有する植物細胞中に導入することを通して、それらを作製する方法に関する。本発明の実施形態において、導入遺伝子は、発現ベクター中に含有されていてもよい。
細胞形質転換は、特定の細胞において機能するであろう構築物をコードする発現ベクターの構築を伴うことができる。かかるベクターは、制御エレメント(例えば、プロモーター)の調節下にある、または制御エレメントに作動可能に連結している遺伝子を含むDNAを含むことができる。発現ベクターは、1つまたは複数のかかる作動可能に連結している遺伝子/制御エレメント組合せを含有することができる。ベクター(1つまたは複数)は、プラスミドの形であってよく、導入遺伝子(1つまたは複数)を細胞壁を含む植物細胞の遺伝子材料中へ組み込むための本明細書で記載したような形質転換方法を使用して、単独または他のプラスミドと組み合わせて使用し、形質転換細胞を作製することができる。
γ−ゼインを介した取り込みのための発現ベクター:マーカーまたはレポーター遺伝子
発現ベクターは、マーカーを含有する形質転換細胞が、ネガティブ選択(すなわち、選択マーカー遺伝子を含有しない細胞の増殖を阻害すること)によってまたはポジティブ選択(すなわち、遺伝子マーカーによってコードされる産物をスクリーニングすること)によって回収されることを可能にする、制御エレメント(例えば、プロモーター)に作動可能に連結している少なくとも1つの遺伝子マーカーを含むことができる。形質転換のための多くの選択マーカー遺伝子は、形質転換技術においてよく知られており、例えば、抗生物質もしくは除草剤、または阻害剤に対して非感受性であることができる改変標的をコードする遺伝子とすることができる、選択的な化学薬品を代謝的に解毒する酵素をコードする遺伝子を含む。いくつかのポジティブ選択方法も、当技術分野で知られている。
植物形質転換に適した1つの一般的に使用される選択マーカー遺伝子は、植物制御シグナルの調節下にある、カナマイシンに対する抵抗性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptll)遺伝子を含むことができる。例えば、Fraley et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 80:4803 (1983)を参照されたい。別の一般的に使用される選択マーカー遺伝子は、抗生物質のハイグロマイシンに対する抵抗性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子とすることができる。例えば、Vanden Elzen et al., Plant Mol. Biol, 5:299 (1985)を参照されたい。
抗生物質に対する抵抗性を付与する、細菌起源の追加の選択マーカー遺伝子は、ゲンタマイシンアセチルトランスフェラーゼ、ストレプトマイシンホスホトランスフェラーゼ、アミノグリコシド−3’−アデニルトランスフェラーゼ、およびブレオマイシン抵抗性決定要因を含む。Hayford et al., Plant Physiol. 86: 1216 (1988)、Jones et al, Mol. Gen. Genet., 210:86 (1987)、Svab et al., Plant Mol. Biol. 14: 197 (1990)、Hille et al., Plant Mol. Biol. 7: 171 (1986)を参照されたい。他の選択マーカー遺伝子は、グリフォセート、グルホシネートまたはブロモキシニルなどの除草剤に対する抵抗性を付与する。Comai et al, Nature 317:741-744 (1985)、Gordon-Kamm et al., Plant Cell 2:603-618 (1990)およびStalker et al., Science 242:419-423 (1988)を参照されたい。除草剤に対する耐性を付与する選択マーカーは、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)を含む。
植物形質転換に適した他の選択マーカー遺伝子は、細菌起源のものではない。これらの遺伝子は、例えば、マウスジヒドロ葉酸還元酵素、植物5−エノイルピルビニルシキミ酸−3−リン酸シンターゼおよび植物アセト乳酸シンターゼを含む。Eichholtz et al., Somatic Cell Mol. Genet. 13:67 (1987)、Shah et al, Science 233:478 (1986)、Charest et al., Plant Cell Rep. 8:643 (1990)を参照されたい。
植物形質転換に適したマーカー遺伝子の別の群は、抗生物質などの毒性物質に対する抵抗性に関する形質転換細胞の直接的な遺伝子選択よりはむしろ仮定的に形質転換された植物細胞のスクリーニングを必要とする。これらの遺伝子は、特異的な組織における遺伝子の発現の空間パターンを定量化または可視化するために特に有用であり、しばしばレポーター遺伝子と呼ばれる。なぜならそれらは、遺伝子発現の調査のための遺伝子または遺伝子制御配列に融合することができるからである。形質転換細胞をスクリーニングするための一般的に使用される遺伝子は、βグルクロニダーゼ(GUS)、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼおよびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼを含む。Jefferson, R. A., Plant Mol. Biol. Rep. 5:387 (1987)、Teeri et al, EMBO J. 8:343 (1989)、Koncz et al, Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 84: 131 (1987)、DeBlock et al, EMBO J. 3: 1681 (1984)を参照されたい。
最近、植物組織の破壊を必要としない、GUS活性を可視化するためのin vivoでの方法が利用可能になった。Molecular Probes publication 2908, Imagene Green.TM., p. 1-4(1993)およびNaleway et al., J. Cell Biol. 115: 151a (1991)。しかしながら、GUS活性を可視化するためのこれらのin vivoでの方法は、低感受性、高い蛍光バックグラウンド、および選択マーカーとしてのルシフェラーゼ遺伝子の使用に関連する制限のために、形質転換細胞の回収に有用であると判明していない。
つい最近になって、Fluorescent Proteins(例えばGFP、EGFP、EBFP、ECFP、およびYFP)をコードする遺伝子が、原核細胞および真核細胞における遺伝子発現に関するマーカーとして利用された。Chalfie et al., Science 263:802 (1994)を参照されたい。蛍光タンパク質および蛍光タンパク質の変異体は、スクリーニング可能なマーカーとして使用することができる。
γ−ゼインを介した取り込みのための発現ベクター:プロモーター
発現ベクターに含まれる遺伝子は、制御エレメント、例えば、プロモーターを含むヌクレオチド配列によって駆動されなければならない。プロモーターのいくつかの型が、単独またはプロモーターと組み合わせて使用することができる他の制御エレメントのように、形質転換技術において現在よく知られている。
本明細書では、「プロモーター」は、転写の開始から上流であってもよく、RNAポリメラーゼおよび転写を開始するための他のタンパク質の認識および結合に関与することができるDNAの領域への参照を含む。「植物プロモーター」は、植物細胞において転写を開始する能力があるプロモーターとすることができる。発生調節下にあるプロモーターの例は、葉、根、種子、繊維、木部導管、仮導管、または厚壁組織などのいくつかの組織において、優先的に転写を開始するプロモーターを含む。かかるプロモーターは、「組織優先」と呼ばれる。いくつかの組織においてのみ転写を開始するプロモーターは、「組織特異的」と呼ばれる。「細胞型」特異的プロモーターは、1つまたは複数の器官におけるいくつかの細胞型、例えば、根または葉における維管束細胞における発現を主に駆動する。「誘導性」プロモーターは、環境的調節下にあることができるプロモーターとすることができる。誘導性プロモーターによって転写をもたらすことができる環境条件の例は、嫌気性条件または光の存在を含む。組織特異的、組織優先、細胞型特異的および誘導性プロモーターは、「非構成的」プロモーターの群を構成する。「構成的」プロモーターは、大部分の環境条件下で活性であることができるプロモーターとすることができる。
A.誘導性プロモーター
誘導性プロモーターは、細胞における発現のための遺伝子に作動可能に連結していてもよい。任意選択で、誘導性プロモーターは、細胞における発現のための遺伝子に作動可能に連結していてもよい、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結していてもよい。誘導性プロモーターでは、誘導剤に応答して転写の速度が上昇する。
任意の誘導性プロモーターを、本発明において使用することができる。Ward et al, Plant Mol. Biol. 22:361-366 (1993)を参照されたい。典型的な誘導性プロモーターは、銅に応答する、ACEI系由来のもの(Mett et al., PNAS 90:4567-4571 (1993));ベンゼンスルホンアミド除草剤緩和剤に応答する、トウモロコシ由来のIn2遺伝子(Hershey et al, Mol. Gen Genetics 227:229-237 (1991)およびGatz et al, Mol. Gen. Genetics 243 :32-38 (1994));ならびにTn10由来のTetリプレッサー(Gatz et al., Mol. Gen. Genetics 227:229-237 (1991))を含むがこれらに限定されない。特に有用な誘導性プロモーターは、植物が通常は応答しない誘導剤に応答するプロモーターとすることができる。典型的な誘導性プロモーターは、ステロイドホルモン遺伝子由来の誘導性プロモーターとすることができ、その転写活性は、糖質コルチコイドホルモンによって誘導することができる。Schena et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88:0421 (1991)。
B.構成的プロモーター
構成的プロモーターは、細胞における発現のための遺伝子に作動可能に連結していてもよいか、または構成的プロモーターは、細胞における発現のための遺伝子に作動可能に連結していてもよい、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結していてもよい。
異なる構成的プロモーターを、本発明において利用することができる。典型的な構成的プロモーターは、CaMV由来の35Sプロモーター(Odell et al., Nature 313:810-812 (1985))およびキャッサバ葉脈モザイクウイルス(CsVMV)プロモーター(例えば、米国特許第7,053,205号および第6,664,384号を参照されたい)などの、植物ウイルス由来のプロモーター;イネアクチン遺伝子由来のプロモーター(McElroy et al, Plant Cell 2: 163-171 (1990));ユビキチン(Christensen et al., Plant Mol. Biol. 12:619-632 (1989)およびChristensen et al., Plant Mol. Biol. 18:675-689 (1992));pEMU(Last et al., Theor. Appl. Genet. 81 :581-588 (1991));MAS(Velten et al., EMBO J. 3:2723-2730 (1984));およびトウモロコシH3ヒストン(Lepetit et al, Mol. Gen. Genetics 231 :276-285 (1992)およびAtanassova et al., Plant Journal 2 (3): 291-300 (1992))を含むがこれらに限定されない。セイヨウアブラナ(Brassica napus)ALS3構造遺伝子の5’側にあるXbal/NcoI断片(または該Xbal/NcoI断片に類似したヌクレオチド配列)であるALSプロモーターは、特に有用な構成的プロモーターを代表する。PCT出願WO96/30530を参照されたい。
C.組織特異的または組織優先プロモーター
組織特異的プロモーターは、細胞における発現のための遺伝子に作動可能に連結していてもよい。任意選択で、組織特異的プロモーターは、細胞における発現のための遺伝子に作動可能に連結していてもよい、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結していてもよい。組織特異的プロモーターに作動可能に連結している対象の遺伝子で形質転換した植物は、排他的、または優先的に、特異的な組織において、導入遺伝子のタンパク質産物を産生することができる。
任意の組織特異的または組織優先プロモーターを、本発明において利用することができる。典型的な組織特異的または組織優先プロモーターは、ファゼオリン遺伝子由来のものなどの根に好ましいプロモーター(Murai et al., Science 23:476-482 (1983)およびSengupta-Gopalan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82:3320-3324 (1985));cabまたはリブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ由来のものなどの葉特異的および光誘導プロモーター(Simpson et al, EMBO J. 4(11):2723-2729 (1985)およびTimko et al., Nature 318:579-582 (1985));LAT52由来のものなどの葯特異的プロモーター(Twell et al., Mol. Gen. Genetics 217:240-245 (1989));Zml3由来のものなどの花粉特異的プロモーター(Guerrero et al, Mol. Gen. Genetics 244: 161-168 (1993))またはapg由来のものなどの小胞子に好ましいプロモーター(Twell et al., Sex. Plant Reprod. 6:217-224 (1993))を含むがこれらに限定されない。
導入遺伝子によって産生されたタンパク質の、葉緑体、液胞、ペルオキシソーム、グリオキシソーム、細胞壁またはミトコンドリアなどの細胞内区画への輸送またはアポプラスト中への分泌のための輸送は、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列を、対象のタンパク質をコードする遺伝子の5’および/または3’領域に作動可能に連結することによって達成することができる。構造遺伝子の5’および/または3’末端にある標的配列は、タンパク質合成およびプロセシングの間、コードされたタンパク質が最終的にどこに区画化されることができるかを決定することができる。代わりに、かかる細胞内区画標的タンパク質は、対象の分子を所望の細胞内区画に向けるために、γ−ゼインに直接的に連結していてもよい。
シグナル配列の存在は、ポリペプチドを細胞内オルガネラもしくは細胞内区画に、またはアポプラストへの分泌に向ける。多くのシグナル配列は、当技術分野で知られている。例えば、Becker et al., Plant Mol. Biol. 20:49 (1992)、Close, P. S., Master's Thesis, Iowa State University (1993)、Knox, C. et al., "Structure and Organization of Two Divergent Alpha-Amylase Genes from Barley", Plant Mol. Biol. 9:3-17 (1987)、Lerner et al, Plant Physiol. 91 : 124-129 (1989)、Fontes et al., Plant Cell 3:483-496 (1991)、Matsuoka et al, Proc. Natl. Acad. Sci. 88:834 (1991)、Gould et al., J. Cell. Biol. 108: 1657 (1989)、Creissen et al, Plant J. 2: 129 (1991)、Kalderon et al, A short amino acid sequence able to specify nuclear location, Cell 39:499-509 (1984)、Steifel et al., Expression of a maize cell wall hydroxyproline-rich glycoprotein gene in early leaf and root vascular differentiation, Plant Cell 2:785-793 (1990)を参照されたい。
外来性タンパク質遺伝子および農学的遺伝子
本発明によるトランスジェニック植物では、外来性タンパク質を、商業的量で産生することができる。したがって、当技術分野でよく理解されている、形質転換植物の選択および繁殖のための技法により、多数のトランスジェニック植物をもたらし、それらを従来の様式で回収し、次いで、外来性タンパク質を、対象の組織からまたは総バイオマスから抽出することができる。植物バイオマスからのタンパク質抽出は、例えば、Heney and Orr, Anal. Biochem. 114:92-6 (1981)によって考察されている、既知の方法によって達成することができる。
本発明の態様において、外来性タンパク質の商業的産生のために提供されるトランスジェニック植物は、細胞または植物とすることができる。他の態様において、対象のバイオマスは、種子とすることができる。より高い発現レベルを示す、比較的少数のトランスジェニック植物に関して、主に従来のRFLP、PCRおよびSSR分析を通して、組み込まれたDNA分子の近似の染色体位置を同定する遺伝子地図を作製することができる。これに関する典型的な方法について、Glick and Thompson, Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology CRC Press, Boca Raton 269:284 (1993)を参照されたい。染色体位置に関する地図情報は、対象のトランスジェニック植物の専売保護に有用であってよい。権限のない繁殖を企てることができ、他の生殖質との交配が行われた場合、組み込み領域の地図を、疑わしい植物に関する類似の地図と比較し、後者が対象の植物と共通の起源を有するかどうか決定することができる。地図の比較は、すべて従来の技法である、ハイブリダイゼーション、RFLP、PCR、SSRおよび配列決定を伴うであろう。
同様に、農学的遺伝子は、形質転換細胞またはそれらの子孫において発現させることができる。より詳細には、植物を、本発明の方法を通して遺伝的に操作し、農学的に興味のある様々な表現型を発現させることができる。この点に関して使用することができる典型的な遺伝子は、以下に分類したものを含むがこれらに限定されない。
1.有害生物または病害に対する抵抗性を付与し、以下のものをコードする遺伝子:
A)植物病害抵抗性遺伝子。植物防御は、植物における病害抵抗性遺伝子(R)の産物と病原体における対応する非病原性(Avr)遺伝子の産物との間の特異的な相互作用によってしばしば活性化される。植物変種を、クローン化された抵抗性遺伝子で形質転換し、特異的な病原体株に対する抵抗性がある植物を遺伝子工学で作ることができる。例えば、Jones et al., Science 266:789 (1994)(クラドスポリウム・フルブム(Cladosporium fulvum)に対する抵抗性に関するトマトCf−9遺伝子のクローニング);Martin et al., Science 262: 1432 (1993)(プロテインキナーゼをコードするトマト斑葉細菌病菌(Pseudomonas syringae pv. tomato)に対する抵抗性のためのトマトPto遺伝子);Mindrinos et al, Cell 78: 1089 (1994)(シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)に対する抵抗性のためのシロイヌナズナRSP2遺伝子)を参照されたい。
B)ダイズシストセンチュウ(soybean cyst nematode)などの有害生物に対する抵抗性を付与する遺伝子。例えば、PCT出願WO96/30517;PCT出願WO93/19181を参照されたい。
C)バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)タンパク質、その誘導体またはそれをモデルとして作られた合成ポリペプチド。例えば、Btδ内毒素遺伝子のクローニングおよびヌクレオチド配列を開示している、Geiser et al, Gene 48: 109 (1986)を参照されたい。さらに、δ内毒素遺伝子をコードするDNA分子は、例えば、ATCC受託番号40098、67136、31995および31998の下で、American Type Cultur Collection,Manassas,Va.から購入することができる。
D)レクチン。例えば、いくつかのクリビア・ミニアタ(Clivia miniata)マンノース結合レクチン遺伝子のヌクレオチド配列を開示している、Van Damme et al., Plant Molec. Biol. 24:25 (1994)による開示を参照されたい。
E)アビジンなどの、ビタミン結合タンパク質。PCT出願US93/06487を参照されたい。その出願は、害虫に対する幼虫駆除剤としてのアビジンおよびアビジン相同体の使用を教示している。
F)酵素阻害剤、例えば、プロテアーゼもしくはプロテイナーゼ阻害剤またはアミラーゼ阻害剤。例えば、Abe et al, J. Biol. Chem. 262: 16793 (1987)(イネシステインプロテイナーゼ阻害剤のヌクレオチド配列)、Huub et al., Plant Molec. Biol. 21 :985 (1993)(タバコプロテイナーゼ阻害剤IをコードするcDNAのヌクレオチド配列)、Sumitani et al, Biosci. Biotech. Biochem. 57: 1243 (1993)(ストレプトマイセス・ニトロスポレウス(Streptomyces nitrosporeus)アルファ−アミラーゼ阻害剤のヌクレオチド配列)および米国特許第5,494,813号(Hepher and Atkinson,1996年2月27日に発行された)を参照されたい。
G)エクジステロイドもしくは幼若ホルモンなどの昆虫特異的ホルモンもしくはフェロモン、それらの変異体、それに基づく模倣体、またはそれらのアンタゴニストもしくはアゴニスト。例えば、Hammock et al, Nature 344:458 (1990)による、幼若ホルモンの失活剤、クローン化された幼若ホルモンエステラーゼのバキュロウイルス発現の開示を参照されたい。
H)発現するとすぐに、影響される有害生物の生理機能を乱す、昆虫特異的ペプチドまたは神経ペプチド。例えば、Regan, J. Biol. Chem. 269:9 (1994)(発現クローニングは、昆虫利尿ホルモン受容体をコードするDNAをもたらす)およびPratt et al, Biochem. Biophys. Res. Comm. 163: 1243 (1989)(アロスタチン(allostatin)は、ジプロプテラ・プンタータ(Diploptera puntata)において同定することができる)の開示を参照されたい。昆虫特異的、麻痺性神経毒をコードする遺伝子を開示している、Tomalski et al.への米国特許第5,266,317号も参照されたい。
I)ヘビ、スズメバチ、または任意の他の生物によって天然において産生される昆虫特異的毒液。例えば、サソリ昆虫毒性ペプチドをコードする遺伝子の植物における異種発現の開示に関して、Pang et al, Gene 116: 165 (1992)を参照されたい。
J)モノテルペン、セスキテルペン、ステロイド、ヒドロキサム酸、フェニルプロパノイド誘導体または殺虫活性を有する別の非タンパク質分子の高度集積を司る酵素。
K)翻訳後修飾を含めた、生物学的に活性のある分子の修飾に関与する酵素:例えば、天然であろうと合成であろうと、糖分解酵素、タンパク質分解酵素、脂肪分解酵素、ヌクレアーゼ、シクラーゼ、トランスアミナーゼ、エステラーゼ、ヒドロラーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、ホスホリラーゼ、ポリメラーゼ、エラスターゼ、キチナーゼおよびグルカナーゼ。callase遺伝子のヌクレオチド配列を開示している、Scott et al.の名前でのPCT出願WO93/02197を参照されたい。キチナーゼコード配列を含有するDNA分子は、例えば、受託番号39637および67152の下で、ATCCから得ることができる。タバコスズメガのキチナーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列を教示している、Kramer et al, Insect Biochem. Molec. Biol. 23:691 (1993)、およびパセリubi4−2ポリユビキチン遺伝子のヌクレオチド配列を提供している、Kawalleck et al., Plant Molec. Biol. 21 :673 (1993)も参照されたい。
L)シグナル伝達を刺激する分子。例えば、Botella et al., Plant Molec. Biol. 24:757 (1994)による、リョクトウのカルモジュリンcDNAクローンに関するヌクレオチド配列の開示、およびトウモロコシのカルモジュリンcDNAクローンのヌクレオチド配列を提供している、Griess et al, Plant Physiol. 104: 1467 (1994)を参照されたい。
M)疎水性モーメントペプチド(moment peptide)。PCT出願WO95/16776(真菌植物病原体を阻害するTachyplesinのペプチド誘導体の開示)およびPCT出願WO95/18855(病害抵抗性を付与する合成抗菌性ペプチドを教示している)を参照されたい。
N)膜透過酵素、チャネル形成剤またはチャネル遮断薬。例えば、Jaynes et al, Plant Sci 89:43 (1993)の、遺伝子導入タバコ植物をシュードモナス・ソラナセアラム(Pseudomonas solanacearum)に対して抵抗性にするための、セクロピン−β溶解ペプチド類似体の異種発現の開示を参照されたい。
O)ウイルス侵入型タンパク質またはそこ由来の複合毒素。例えば、形質転換植物細胞におけるウイルスコートタンパク質の蓄積は、コートタンパク質遺伝子が由来してもよいウイルスによって、および関連するウイルスによってもたらされる、ウイルス感染および/または病害の発症に対する抵抗性を与える。Beachy et al., Ann. rev. Phytopathol. 28:451 (1990)を参照されたい。アルファルファモザイクウイルス、キュウリモザイクウイルス、タバコ条斑病ウイルス、ジャガイモウイルスX、ジャガイモウイルスY、タバコエッチ病ウイルス、タバコ茎えそウイルスおよびタバコモザイクウイルスに対するコートタンパク質媒介抵抗性は、形質転換植物に付与されてきた。同文献。
P)昆虫特異的抗体またはそこ由来の免疫毒素。したがって、昆虫の腸における重大な代謝機能を標的とする抗体は、影響される酵素を失活させ、昆虫を殺すであろう。Taylor et al, Abstract #497, Seventh Int'l Symposium on Molecular Plant-Microbe Interactions (Edinburgh, Scotland) (1994)(単鎖抗体断片の作製を通しての遺伝子導入タバコにおける酵素失活)を参照されたい。
Q)ウイルス特異的抗体。例えば、組換え抗体遺伝子を発現するトランスジェニック植物が、ウイルス攻撃から保護されることを示す、Tavladoraki et al, Nature 366:469 (1993)を参照されたい。
R)病原体または寄生虫によって天然に産生される、発育停止タンパク質。例えば、真菌エンドα−l,4−D−ポリガラクツロナーゼは、植物細胞壁ホモ−α−l,4−D−ガラクツロナーゼを可溶化することによって、真菌のコロニー形成および植物栄養分放出を促進する。Lamb et al., Bio/Technology 10: 1436 (1992)を参照されたい。マメエンドポリガラクツロナーゼ阻害タンパク質をコードする遺伝子のクローニングおよび特徴づけは、Toubart et al., Plant J. 2:367 (1992)によって報告され得る。
S)植物によって天然に産生される、発育停止タンパク質。例えば、Logemann et al., Bio/Technology 10:305 (1992)は、オオムギリボソーム失活遺伝子を発現するトランスジェニック植物が、真菌病害に対する抵抗性の増加を有することを示した。
2.以下の除草剤に対する抵抗性を付与する遺伝子:
A)イミダゾリノンまたはスルホニル尿素などの、成長点または分裂組織を阻害する除草剤。このカテゴリーの典型的な遺伝子は、例えば、それぞれ、Lee et al, EMBO J. 7: 1241 (1988)、Miki et al., Theor. Appl. Genet. 80:449 (1990)によって報告されているような、変異ALSおよびAHAS酵素をコードする。
B)グリフォセート(例えば、それぞれ、変異5−エノイルピルビニルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSP)遺伝子(組換え核酸の導入および/または天然のEPSP遺伝子のin vivoでの突然変異誘発の様々な形を通して)、aroA遺伝子およびグリフォセートアセチルトランスフェラーゼ(GAT)遺伝子によって付与される抵抗性)、グルホシネート(ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)およびストレプトマイセス・ビリジクロモゲネス(Streptomyces viridichromogenes)を含めた、ストレプトマイセス属(Streptomyces)種由来のホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)遺伝子)などの他のホスホノ化合物、ならびにピリジノキシ(pyridinoxy)またはフェノキシプロピオン酸およびシクロヘキサノン(ACCase阻害剤コード遺伝子)。例えば、植物にグリフォセート抵抗性を付与することができる、EPSPの形のヌクレオチド配列を開示している、Shah et al.への米国特許第4,940,835号、およびBarry et alへの米国特許第6,248,876号を参照されたい。変異aroA遺伝子をコードするDNA分子は、ATCC受託番号39256の下で得ることができ、変異遺伝子のヌクレオチド配列は、Comaiへの米国特許第4,769,061号において開示され得る。Kumada et al.への欧州特許出願第0333033号、およびGoodman et al.への米国特許第4,975,374号は、L−ホスフィノトリシンなどの除草剤に対する抵抗性を付与する、グルタミン合成酵素遺伝子のヌクレオチド配列を開示している。PAT遺伝子のヌクレオチド配列は、Leemans et al.への欧州出願第0242246号において提供されることができ、DeGreef et al., Bio/Technology 7:61 (1989)は、PAT活性をコードするキメラbar遺伝子を発現するトランスジェニック植物の作製を報告している。セトキシジムおよびハロキシホップなどの、フェノキシプロピオン酸およびシクロヘキサノンに対する抵抗性を付与する典型的な遺伝子は、Marshall et al, Theor. Appl. Genet. 83:435 (1992)によって報告されているAcc1−S1、Acc1−S2およびAcc1−S3遺伝子を含む。グリフォセート抵抗性を付与する能力があるGAT遺伝子は、Castle et al.へのWO2005012515において報告されている。2,4−D,フェノキシプロピオン酸およびピリジルオキシオーキシン除草剤に対する抵抗性を付与する遺伝子は、Dow AgroSciences LLCに付与されたWO2005107437において報告されている。
C)トリアジン(psbAおよびgs+遺伝子)またはベンゾニトリル(ニトリラーゼ遺伝子)などの、光合成を阻害する除草剤。Przibila et al, Plant Cell 3: 169 (1991)は、変異psbA遺伝子をコードするプラスミドを用いたクラミドモナスの形質転換を報告している。ニトリラーゼ遺伝子に関するヌクレオチド配列は、Stalkerへの米国特許第4,810,648号において開示されており、これらの遺伝子を含有するDNA分子は、ATCC受託番号53435、67441、および67442の下で入手可能である。グルタチオンS−トランスフェラーゼをコードするDNAのクローニングおよび発現は、Hayes et al., Biochem. J. 285: 173 (1992)によって報告され得る。
3.以下のものなどの、価値が追加された形質を付与するまたはこれに寄与する遺伝子:
A)例えば、植物をステアリル−ACPデサチュラーゼのアンチセンス遺伝子で形質転換し、その植物のステアリン酸含量を増加させることによる、修飾脂肪酸代謝。Knultzon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:2624 (1992)を参照されたい。
B)減少したフィチン酸含量1)フィターゼコード遺伝子の導入は、フィチン酸の分解を強化し、形質転換植物に遊離のリン酸をさらに追加するであろう。クロコウジカビ(Aspergillus niger)フィターゼ遺伝子のヌクレオチド配列の開示に関して、例えば、Van Hartingsveldt et al., Gene 127:87 (1993)を参照されたい。2)遺伝子は、減少したフィチン酸含量を達成するために導入することができよう。例えばトウモロコシにおいて、これを、フィチン酸の低いレベルによって特徴付けられるトウモロコシ変異体を司ることができる、単一の対立遺伝子と関連するDNAをクローニングし、次いでこれを再導入することによって、達成することができよう。Raboy et al., Maydica 35:383 (1990)を参照されたい。
C)例えば、植物を、デンプンの分枝パターンを修飾する酵素をコードする遺伝子で形質転換することによってもたらされる、修飾炭水化物組成物。Shiroza et al., J. Bacteol. 170:810 (1988)(連鎖球菌変異体フルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列)、Steinmetz et al, Mol. Gen. Genet. 20:220 (1985)(レバンスクラーゼ遺伝子とすることができる、枯草菌(Bacillus subtilis)のヌクレオチド配列)、Pen et al., Bio/Technology 10:292 (1992)(αアミラーゼとすることができる、バチルス・リケニフォン(Bacillus lichenifonn)を発現するトランスジェニック植物の作製)、Elliot et al., Plant Molec. Biol. 21 :515 (1993)(トマトインベルターゼ遺伝子のヌクレオチド配列)、Sogaard et al, J. Biol. Chem.268:22480 (1993)(オオムギαアミラーゼ遺伝子のものとすることができる、部位特異的突然変異誘発)、およびFisher et al., Plant Physiol. 102: 1045 (1993)(トウモロコシ胚乳デンプン分枝酵素II)を参照されたい。
本発明の特定の実施形態において、γ−ゼインは、ナノ粒子に融合していてもよい。ナノ粒子の表面は、官能化していてもよく、これは、例えば、標的とされる取り込みを可能にすることができるかまたはナノ粒子の表面へ他の物質が可逆的または不可逆的に結合することを可能にすることができる。非限定的な例として、ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子または量子ドット)の表面は、例えば、さらに官能化または誘導体化することができる、アルカンチオラートの自己組織化単層で官能化していてもよい。別の非限定的な例において、ナノ粒子の表面は、それら自体がさらに官能化または誘導体化していてもよい、リンカーで誘導体化していてもよい。一実施形態において、ナノ粒子は、ペグ化していてもよい。他の実施形態において、ナノ粒子は、コア(活性または不活性)、立体コート(活性または不活性)、切断可能な結合、および/または標的分子もしくはリガンドの1つまたは複数を含むことができるか、またはこれらの1つまたは複数で多官能化していてもよい。ナノ粒子は、金ナノ粒子、金で被覆されたナノ粒子、多孔質ナノ粒子、メソポーラスナノ粒子、シリカナノ粒子、ポリマーナノ粒子、タングステンナノ粒子、ゼラチンナノ粒子、ナノシェル、ナノコア、ナノ球体、ナノロッド、磁性ナノ粒子、およびそれらの組合せから選択することができる。同様に、本発明の特定の実施形態において、γ−ゼインは、量子ドットに融合していてもよい。
本発明の態様において、γ−ゼインおよびナノ粒子を、細胞の様々な部分中に取り込むことができる。ナノ粒子を取り込むことができる位置の例は、サイトゾル、核、トノプラスト、色素体、エチオプラスト、有色体、白色体、エライオプラスト、プロテイノプラスト、アミロプラスト、葉緑体、および二重膜の内腔を含むがこれらに限定されない。本発明の他の実施形態において、細胞壁を含む細胞中へのナノ粒子の取り込みは、シンプラストまたはアポプラスト経路経由で起こることができる。本発明の他の態様において、γ−ゼインおよび量子ドットを、前述の細胞の様々な部分中に取り込むことができる。
本発明を、例示のために提供し、いかなる様式においても本発明を限定することを意図しない、以下の実施例においてさらに記載する。
γ−ゼイン/YFP融合タンパク質の構築
γ−ゼインタンパク質の改変トウモロコシ(Zea mays)N末端領域をコードするDNA配列(GenBank Accession#AAL16977.1,GI:16305109)を、Philadium Yellow Fluorescence Protein(YFP)(Evrogen,Moscow,Russia)のN末端に融合した。6つのアミノ酸のγ−ゼインモチーフを改変した。ここで、第2の残基を、ヒスチジンからアルギニンに変えた。この改変を、融合配列を核に向けるために行った。アルギニンは、細胞のサイトゾルおよび核中へのタンパク質移行の効率を改善することが示された(Mitchell, et al, (2000), The Journal of Peptide Research, 56 (5): 318-325)。γ−ゼインのN末端領域の改変された6つのアミノ酸(VRLPPP)の三量体を、YFPに融合した。さらに、6x−Hisタグを、γ−ゼイン三量体とYFPコード配列との間に配置した。6x−Hisモチーフを追加し、タンパク質精製を促進した。この融合タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1として提示する。
融合遺伝子配列(配列番号2)は、自動DNAシンセサイザーを通してホスホラミダイトの化学的性質を使用して化学的に合成した。この配列の化学的合成は、DNA2.0(Menlo Park,CA)に委託した。配列は、「大腸菌(Escherichia coli)最適化」ヌクレオチド配列を作製するためのDNA2.0専売アルゴリズムを使用して、大腸菌(Escherichia coli)中での発現のために最適化されたコドンであった。アルゴリズムは、所望の宿主生物内で使用頻度が低いコドンを同定し、これらのコドンを使用頻度がより高いコドンで置換する。加えて、アルゴリズムは、cis−制御配列(例えばリボヌクレアーゼ部位、RNA二次構造、転写終結部位)および過剰な制限酵素を除去する。追加の配列を、γ−ゼイン/YFP融合遺伝子の末端に追加し、クローニングおよび発現を促進した。Shine−Dalgarno配列(Shine J, Dalgarno L (1975). Nature 254 (5495): 34-8.)およびユニークなSpeI制限酵素部位を遺伝子配列の5’末端に加えた。ユニークなXhoI制限酵素部位を、遺伝子配列の3’末端に加えた。得られたベクターを、pJ201:18056(図1)と名付けた。
1.1 pET発現ベクターの構築
γ−ゼイン/YFP融合配列を、標準的なクローニング技法を通して、大腸菌(Escherichia coli)発現ベクターpET280中にクローニングした。pET280は、pET28プラスミド(Novagen,Gibbstown,NJ)の改変バージョンである。複数のクローニング部位およびリボソーム結合部位を、pET28から除去し、それによってpET280を作った。γ−ゼイン/YFPコード配列を含有するSpeI−XhoI断片を、pJ201:18056ベクターから切り出し、pET280発現ベクターの対応する制限部位中に連結した。得られたプラスミドは、制限酵素消化および配列決定を通して確認した。プラスミドは、BL21(DE3)大腸菌(Escherichia coli)コンピテント細胞(Invitrogen,Carlsbad,CA)に形質転換した。単一のコロニーを単離し、さらなる使用までグリセロールストックとして保管した。
1.2 γ−ゼイン/YFP融合タンパク質の発現および単離
γ−ゼイン/YFP融合タンパク質を、以下の条件を使用して誘発した:25℃で、2リットル(L)のLuria−Bertaniブロスおよび50μg/mlのカナマイシン中で、0.6のO.D.600まで増殖したpET280/γ−ゼイン/YFP発現構築物を含有する培養物。所望のO.D.600に到達した後、培養物を、0.1mMのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を用いて、25℃で16時間、誘発した。
発現したγ−ゼイン/YFP融合タンパク質を、単離し、精製した。2Lの細胞培養物を、24,000×gで10分間遠心分離し、上清を捨てた。5gのγ−ゼイン/YFP含有細胞ペーストを、100mlの冷抽出溶液(PBS中の0.5MのNaCl、5%グリセロール、および0.5mlのSigma Protease Inhibitorカクテル(cat#P8849))に再懸濁した。細胞を、超音波処理(Branson Sonifier Model450)を使用して、氷上で15分間破壊した。試料を、24,000×gで、4℃で20分間遠心分離し、上清を、0.45μm Millipore(登録商標)濾過デバイスを通して濾過した。イミダゾールを、10mMの最終濃度まで試料に加えた。γ−ゼイン/YFP含有ライセートを、Akt(商標)Explorer100システム(GE’Pharmacia)を使用して、5ml/minで、タンデム型の2×5mlのHisTrap(商標)カラム(GE/Pharmacia,cat#17−5248−02)上に導入した。カラムを、緩衝液A(PBS中の0.5MのNaCl、10mMのイミダゾール)で、A280の吸光度がベースラインに到達するまで洗浄した。次いで、カラムを、約4×カラム体積(CV)の体積で、10%および20%の緩衝液B(緩衝液A中の0.2Mのイミダゾール)で順次洗浄した。試料を、10〜15CVにわたって、20〜100%の緩衝液Bで溶出し、4mlの画分を回収した(図2)。
1.3 SDS−PAGE分析
タンパク質ゲルを移動させ、分画したタンパク質を可視化した。10〜20μlの各試料を、XCell SureLock(商標) Mini−Cell (Invitrogen,cat#EI0001)を使用しての電気泳動のために、プレキャスト10%Bis−Tris SDS−PAGEゲル(Invitrogen、cat#NP0302BOX)上に導入した。試料を、MES−SDSランニング緩衝液(Invitrogen、cat#NP0002)において、200Vで35分間、移動させた。ゲルを、図3において例示するように、クマシーブルーR−250(Bio−Rad、cat#161−0436)で染色した。γ−ゼイン/YFP試料を含有する画分を、プールし、10kDa MWCOを有するMillipore Spinカラム中に移動し、ベンチトップエッペンドルフ遠心機(モデル5810R)を使用して、4,000rpm、4℃で20分間、遠心分離した。遠心分離後、緩衝液交換のために、無菌のPBS溶液を最大15mlまで追加した。このスピンおよびダイアフィルトレーションプロセスは、3回繰り返した。プールしたγ−ゼイン/YFP試料を、10kDa MWCOを有するSnakeSkin(商標)ひだ状の透析管(Thermo Scientific、cat#68100)中に移動し、2LのPBSに対して4℃で終夜透析し、イミダゾール残基を除去した。タンパク質濃度を、ウシ血清アルブミン(BSA)標準を用いたBradfordアッセイ(Bio−Rad、cat#500−0006)を使用して、決定した(図3)。
1.4 Maldi−TPFペプチドマスフィンガープリンティング
SDS−PAGEゲル(約1μg)からの1μgのタンパク質バンドを切り出し、Speed−Vacにおける12.5mMの炭酸水素アンモニウムを有する25%アセトニトリルにおいて乾燥させた。タンパク質を、終夜のインキュベーション中、トリプシン(12.5ng/μl)によって、37℃で消化した。ペプチドを、製造業者の指示に従って、C18 Zip Tip(Millipore、cat#2TC18S096)を使用して精製した。質量スペクトル解析を、Voyager Biospectrometry(PerSeptive Biosystems,モデルDE STR)を使用して行い、陽イオン反射モード(positive ion reflector mode)において質量スペクトルを収集した(図4)。データを、解析プログラムPAWS(Proteometrics Inc.)に入力し、ペプチド同一性を探索した。
単細胞植物材料の調製
2.1 JTNT1細胞
JTNT1細胞は、タバコから単離される光独立栄養細胞である。形質転換の3から4日前に、2mlのJTN1細胞を、250mlフラスコ中の50nMのDAS−PMTI−1(微小管阻害剤)および0.5〜0.1%(v/v)DMSOを含有する40mlのNT1BまたはLSBY2培地中に移動することによって、懸濁培養物を新鮮培地に継代した。単細胞を、微小管阻害剤の処理の4日後または7日後に回収した(例えば、WO2008/083233において報告されているように)。細胞を、最少培地および5%二酸化炭素中で維持した。細胞を、14日に1回、O.D.6003.0にある1mlの懸濁液を移動することによって継代した。これらの細胞型を、γ−ゼイン/YFP融合ペプチドの送達および局在性のための標的細胞として使用した。
2.2ニンジン細胞
再生可能なニンジン凍結保存株(D2−40−018)を、解凍し、Linsmeier−Skoog(LS)培地(Nagata, T., Nemoto, Y., and Hasezawa, S. (1992) Int. Rev. Cyto 132, 1-30において報告されている)中で培養した。培地用の塩を、PhytoTechnology Laboratories,Catalog#L689から購入した。活発に増殖している懸濁株を、一週間以内に樹立し、維持株を、2mlのPCV(パック細胞容積)を、散光下、125rpm、7日培養サイクルで、オービタルシェーカー(Innova−3300)上の28℃で58mlのLSBY2懸濁20培地に移動することによって継代した。単細胞作製のために、定常期にあるニンジン懸濁液の1mlのPCVを、1mMのコルヒチンを有する30mlのLS懸濁培地(Sigma,Catalog#C3915)中に追加し、7日間培養した。単細胞を、3〜7日間の培養物から作製し、形質転換実験の準備が整った。ニンジンの単細胞は、14日で60mlの新鮮なLS BY2液体培地を加えることによって培養物を希釈することによって、定常期で最大28日維持できるであろう。
細胞のγ−ゼイン/YFP融合タンパク質処理
細胞を、15μgのHoechstで、37℃で10分間、前もって染色した。インキュベーション期間後、過度の染料を除去した。細胞を、4000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。細胞を、3%スクロースを含有するPBSの1mlの溶液で、3回洗浄した。
γ−ゼイン/YFP融合タンパク質を、50μMの濃度で、エッペンドルフ管内の1mlのニンジン単細胞またはJTNT1細胞に追加した。管を、100rpm、25℃で、60分間、振盪機上に配置した。
植物細胞内でのγ−ゼイン/YFP融合タンパク質蓄積
100μlの融合タンパク質/細胞混合物のアリコートを、イメージングのために、10分、30分、および60分で取り出した。細胞を、5,000rpmで5分間遠心分離し、PBSで3回洗浄した。最後に、細胞を100μlのPBSに再懸濁した。
融合ペプチドが、植物細胞の細胞内区画および組織中に内部移行および局在化する効率をモニターした。細胞は、LSM−Leica(商標)TCS SP2/UVまたはZeiss(商標)LSM上でイメージングした。高開口数(1.2〜1.3)水浸型対物レンズ(63×)およびYFPを励起させるためのアルゴンイオン由来の488nmまたは514nmのレーザーラインを使用した。
それぞれ、430〜480nmおよびLP560nmフィルターを有する、405nmおよび488nmのレーザーを使用して、共焦点およびDifferential Interference Contrast(DIC)イメージを捕らえた。γ−ゼイン黄色蛍光シグナルは、10分後、ニンジンおよびJTNT1単細胞の両方の核小体および細胞質に局在化していることが示された(図5に例示)。
植物における、ペプチドおよびプラスミドDNAを用いた花の浸漬による、シロイヌナズナの形質転換
精製したγ−ゼインペプチドを、図6において例示するプラスミドDNApDAB3831と混合した。0.25mgのγ−ゼインペプチドを、.5mgのプラスミドDNAに加え、水中で30分間インキュベートし、ペプチド/DNA複合体を形成した。pDAB3831は、シロイヌナズナUbiquitin 10 Promoter(AtUbil0)によって駆動される、PAT選択マーカー遺伝子およびCassava Vein Mosaic Virus Promoter(CsVMV)によって駆動される、Philadium Yellow Fluorescence Protein遺伝子(PhiYFP)を含有する。γ−ゼインペプチド/pDAB3831複合体およびpDAB3831プラスミドDNAのみの別々の対照実験を、シロイヌナズナ(Arabidopsis thatiana)cv Columbiaの4週齢の花芽に行った。20mLのペプチド/DNA複合体および20mlのDNA対照を、ガラストロフ中の湿潤培地(5%スクロースおよび0.04%Silwet−77)で、30秒間混合した。ペプチド/DNA溶液を含有する湿潤培地を使用し、改変Clough and Bentプロトコール(Clough SJ and Bent AF, 1998. Plant J 16:735-43)を使用して、シロイヌナズナ植物を形質転換した。浸漬後、湿潤複合体を4℃で保管し、その後、2日後に同じプロトコールを使用して、同じ植物を浸漬するために使用した。形質転換ステップを繰り返して行い、形質転換の出現率を増加させた。
植物をプラスチックドームによって覆い、湿度を24時間維持した。24時間後、ドームを取り外し、植物を、一定温度(22℃)下120〜150μmol/m/sの光強度および湿度(40〜50%)で、長日条件下(16時間明期/8時間暗期)で、Conviron(登録商標)(モデルCMP4030およびCMP3244,Controlled Environments Limited,Winnipeg,Manitoba,Canada)において標準的に成長させ、成熟および種子の産生を可能にした。T0種子を、回収し、滅菌した。さらに、種子を、4℃で2日間春化処理した。陽性形質転換体を選択するために、種子を、10μg/mlのBASTAを含有するMS培地(0.43%MurashigeおよびSkoog塩混合物、2.5mMの2−[N−モルフォリノ]エタンスルホン酸、1×Gamborgビタミン溶液、0.9%bacto−agar、pH5.7〜5.9)に播種し、インキュベーター(22℃、100μmol quanta m−2 s−1)中で7〜10日間成長させた。推定上の形質転換体を同定し、土壌に移動し、成熟まで成長させた。
導入遺伝子PATおよびYFPに関する分子解析
シロイヌナズナトランスジェニック植物由来のgDNAおよびシロイヌナズナ生態型Columbia野生型対照由来のgDNAを、Plant DNAZOLキット(Invitrogen Inc)を使用して、6週齢植物の葉物質から抽出した。PATおよびYFP遺伝子断片を、トランスジェニック植物のみからPCRで増幅した。50μLのPCR反応混合物は、100ngの鋳型DNA、1×ExTaq反応緩衝液(TaKaRa Bio)、0.2mMのdNTP、各プライマー10pmol、および0.025ユニット/μL ExTaqを含有した。YFPプライマーを、配列番号3および配列番号4として示す。PATプライマーを、配列番号5および配列番号6として示す。以下のPCRサイクリング条件を使用した。96℃で5分間を1サイクル、以下のPCRプログラム:94℃で15秒;65℃で30秒;72℃で1分を31サイクル、最終伸長を72℃で7分間実施して産物合成を完了した。QIAquick(商標)ゲル抽出キット(Qiagen Inc)を使用して、増幅断片をゲル精製した。PCR断片を、高度なSanger配列決定テクノロジー(MWG Biotechnologies,Inc)を使用し、PAT順方向プライマー(配列番号5)およびYFP順方向プライマー(配列番号3)を使用して、配列決定し、配列をSequencher(商標)ソフトウェアを使用して分析した。
タンパク質移行効率の改善のための相同モチーフの同定およびγ−ゼイン配列の突然変異誘発
γ−ゼインドメインと相同である追加のモチーフを同定し、細胞内タンパク質移行に関して試験した。これらの配列は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)などの現在の公開データベースから同定した。γ−ゼイン配列を、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)(Altschul et al,1997)アルゴリズムに関するインプットとして使用した。初期設定を使用して、配列を、寄託されたNCBIタンパク質配列に対して比較した。探索は、いくつかの相同なタンパク質配列を返した。同定されたγ−ゼインモチーフを改変して、細胞内タンパク質移行の効率を強化した。VRLPPP配列の様々な残基を、部位特異的突然変異誘発プロトコールを通して変える。改変γ−ゼイン配列を、上述のプロトコールを使用して、タンパク質およびDNAの植物細胞中への送達に使用した。
キメラγ−ゼイン配列を使用した、細胞オルガネラのターゲティング
追加の実験を行い、キメラγ−ゼイン/細胞オルガネラターゲティングモチーフを通しての細胞オルガネラのペプチドターゲティングを試験する。特定の実施例において、γ−ゼインおよび葉緑体ターゲティング配列を、YFPなどの蛍光タンパク質のN末端に融合した。YFPタンパク質の葉緑体へのターゲティングを、蛍光顕微鏡を通してイメージングする。当技術分野で知られている、様々な他の細胞オルガネラ(例えばミトコンドリア、小胞体、核等)への追加のターゲティング配列を、γ−ゼイン配列と組み合わせて融合し、特異的な細胞オルガネラを標的とするために使用する。タンパク質またはDNAのどちらかが、同定された細胞オルガネラを標的として送り込まれる。
本発明を、いくつかの実施形態において記載してきたが、本発明を、本開示の精神および範囲内で、さらに改変することができる。したがって、本出願は、その一般原則を使用した、本発明の任意の変更形態、使用、または適応を包含することが意図されている。さらに、本出願は、本発明が関係し、添付の特許請求の範囲の制限およびそれらの均等物の範囲に入る、当技術分野で既知または習慣的な実行の範囲内にある、本開示からの逸脱を包含することが意図されている。
[配列表]


Claims (16)

  1. 対象の核酸を無傷の細胞壁を有する植物細胞中に導入する方法であって、
    無傷の細胞壁を有する前記植物細胞を提供するステップと、
    γ−ゼインペプチドを対象の核酸と相互作用させて、γ−ゼイン/核酸複合体を形成するステップと、
    無傷の細胞壁を有する前記植物細胞と前記γ−ゼイン/核酸複合体とを互いに接触させるステップと、
    前記γ−ゼイン/核酸複合体を、前記植物細胞の前記無傷の細胞壁を通過して移行させ、前記無傷の細胞壁を有し前記対象の核酸を含有する植物細胞を生じるステップと
    を含む方法。
  2. γ−ゼインペプチドを前記対象の核酸と相互作用させるステップが、前記対象の核酸を前記γ−ゼインペプチドと融合させ、前記γ−ゼイン/核酸複合体を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記γ−ゼイン/核酸複合体を前記植物細胞の前記無傷の細胞壁を通過して移行させるステップが、前記γ−ゼイン/核酸複合体を、前記無傷の細胞壁を有する前記植物細胞の区画中へ前記植物細胞の前記無傷の細胞壁を通過して移行させることを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記区画が、サイトゾル、核、トノプラスト、色素体、エチオプラスト、有色体、白色体、エライオプラスト、プロテイノプラスト、アミロプラスト、葉緑体、および二重膜の内腔から成る群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 無傷の細胞壁を有する前記植物細胞が、タバコ、ニンジン、トウモロコシ、キャノーラ、ナタネ、ワタ、ヤシ、ピーナッツ、ダイズ、オリザ属種(Oryza sp.)、シロイヌナズナ属種(Arabidopsis sp.)、トウゴマ属種(Ricinus sp.)、およびサトウキビの細胞から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記植物細胞が、胚、分裂組織、カルス、花粉、葉、葯、根、根端、花、種子、さやおよび茎から成る群から選択される組織由来である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記対象の核酸が、DNA、RNA、RNAi分子、遺伝子、プラスミド、コスミド、YAC、BAC、およびそれらの組合せから成る群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記対象の核酸が、遺伝子を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記遺伝子が、外来性タンパク質遺伝子、農学的遺伝子、またはマーカー遺伝子である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記遺伝子を安定に組み込んだ細胞を選択することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  11. 前記選択された細胞が、再生可能な細胞である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記再生可能な細胞から稔性植物を再生することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 対象の遺伝子を発現させる方法であって、
    無傷の細胞壁を有する植物細胞を提供するステップと、
    γ−ゼインペプチドを対象の遺伝子と相互作用させて、γ−ゼイン/遺伝子複合体を形成するステップと、
    無傷の細胞壁を有する前記植物細胞と前記γ−ゼイン/遺伝子複合体とを互いに接触させるステップと、
    前記γ−ゼインペプチド/遺伝子複合体を、前記植物細胞の前記無傷の細胞壁を通過して移行させ、前記無傷の細胞壁を有し、前記対象の遺伝子を発現する植物細胞を生じる、ステップと
    含む方法。
  14. 前記無傷の細胞壁を有し、前記対象の遺伝子を発現する前記植物細胞が、前記対象の遺伝子を葉緑体において発現前記無傷の細胞壁を有する植物細胞である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記遺伝子を安定に発現する細胞を選択することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  16. プラスミドDNAを無傷の細胞壁を有する植物細胞中に移入するための方法であって、
    前記γ−ゼインペプチドをプラスミドDNAと相互作用させて、γ−ゼイン/ペプチド/プラスミドDNA複合体を形成するステップと、
    前記γ−ゼイン/ペプチド/プラスミドDNA複合体を、前記γ−ゼインペプチド/プラスミドDNA複合体が前記植物細胞の前記無傷の細胞壁を通過して移動することを許容する条件下で、無傷の壁を有する植物細胞と接触させ、プラスミドDNAを含有する、無傷の細胞壁を有する植物細胞を生じるステップと
    を含む方法。
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