JP5911699B2 - 電子ビームパルス出射装置および電子顕微鏡 - Google Patents

電子ビームパルス出射装置および電子顕微鏡 Download PDF

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Description

本発明は、電子源、電子ビームパルス出射装置および電子顕微鏡に関する。
電子を加速して出射する電子源は、例えば、電子顕微鏡や電子加速器に好適に用いられる。典型的には、電子の加速は、静電場または高周波を用いた比較的大型の装置で行われるが、近年、レーザによって発生したレーザ航跡場を用いて電子の加速を行うことが検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、低密度プラズマ中に発生させたプラズマ航跡波において電子を捕捉して加速することが記載されている。また、特許文献1には、あるレーザ光を用いて生成したプラズマ中の電子を、別のレーザ光を用いて発生させたレーザ航跡場で加速することが記載されている。
特開2003‐59694号公報
しかしながら、特許文献1の電子の加速方法では、電子バンチを容易に制御できないことがある。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、電子バンチを容易に制御可能な電子ビームパルス出射装置および電子顕微鏡を提供することにある。
本発明による電子源は、第1パルスレーザ光を用いて発生させた第1レーザ航跡場によって加速された電子バンチを生成する電子バンチ生成部と、第2パルスレーザ光を用いて発生させた第2レーザ航跡場によって前記電子バンチを制御する電子バンチ制御部とを備える。
ある実施形態において、前記電子バンチ制御部は、前記電子バンチの位相回転を行う。
ある実施形態において、前記電子源は、前記第1レーザ航跡場を形成する第1ガス、および前記第2レーザ航跡場を形成する第2ガスを噴出するノズルをさらに備える。
ある実施形態において、前記ノズルは、前記第1パルスレーザ光および前記第2パルスレーザ光の進行方向に平行な断面に沿って非対称な構造を有している。
本発明による電子ビームパルス出射装置は、上記に記載の電子源と、前記電子源から発せられた前記電子バンチの時間幅を広げるとともに前記電子バンチのエネルギーの時間分散関係を反転させる電子バンチ伸張器とを備える。
ある実施形態において、前記電子ビームパルス出射装置は、前記電子バンチ伸張器によって広がった前記電子バンチの時間幅を狭くする電子バンチ圧縮器をさらに備える。
本発明による電子顕微鏡は、上記に記載の電子源を有する電子加速器と、イメージング部とを備える。
本発明による電子顕微鏡は、上記に記載の電子ビームパルス出射装置を有する電子加速器と、イメージング部とを備える。
本発明によれば、電子バンチを容易に制御することができる。
本発明による電子源の実施形態を示す模式図である。 本実施形態の電子源の一例を示す模式図である。 本実施形態の電子源の電子バンチ制御部における電子バンチ内の電子のエネルギー(速度)の変化を模式的に示したグラフである。 (a)は第2レーザ航跡場の発生前の電子バンチの空間分布およびエネルギー分布を位相空間で示すグラフであり、(b)は第2レーザ航跡場の通過中の電子バンチの位相空間におけるエネルギー分布を示すグラフであり、(c)は第2レーザ航跡場を通過した後の電子バンチの位相空間におけるエネルギー分布を示すグラフである。 第2レーザ航跡場に対する第1レーザ航跡場の位相の制御を説明するためのグラフである。 本実施形態の電子源における2つのレーザ航跡場を示す模式図である。 (a)は本実施形態の電子源におけるガスの濃度分布を示すグラフであり、(b)は本実施形態の電子源における2つのパルスレーザ光およびレーザ航跡場を説明するための模式図である。 (a)は本実施形態の電子源における電子バンチ生成部の模式的な斜視図であり、(b)は(a)の模式的な断面図である。 (a)および(b)は、本実施形態の電子源の電子バンチ生成部における電子密度を示した図である。 (a)および(b)は、本実施形態の電子源の電子バンチ生成部における電子密度とメインパルスの伝播を示した図である。 (a)および(b)は、本実施形態の電子源の電子バンチ生成部における電子バンチの空間的な広がりを示した図である。 本実施形態の電子源における電子バンチ生成部から出射された電子のエネルギー分布を示すグラフである。 (a)はレーザ軸方向に磁場を印加しない場合の電子バンチの空間分布を示す図であり、(b)はレーザ軸方向に磁場を印加した場合の電子バンチの空間分布を示す図である。 本実施形態の電子源の模式図である。 (a)は本実施形態の電子源におけるノズルの模式的な斜視図であり、(b)は(a)に示したノズルのb−b線に沿った模式的な断面図であり、(c)は(a)に示したノズルのc−c線に沿った模式的な断面図である。 (a)は本実施形態の電子源におけるガスの濃度分布を示すグラフであり、(b)は本実施形態の電子源における2つのパルスレーザ光およびレーザ航跡場を説明するための模式図である。 図15に示したノズルから噴出されたガスの濃度分布を示すグラフである。 本実施形態の電子源の模式図である。 本発明による電子ビームパルス出射装置を示す模式図である。 本実施形態の電子ビームパルス出射装置を示す模式図である。 本実施形態の電子ビームパルス出射装置、ならびに、電子バンチの空間分布およびエネルギー分布を示す模式図である。 本発明による電子ビームパルス出射装置を示す模式図である。 本実施形態の電子ビームパルス出射装置を示す模式図である。 本実施形態の電子ビームパルス出射装置、ならびに、電子バンチの空間分布およびエネルギー分布を示す模式図である。 本実施形態の電子ビームパルス出射装置を示す模式図である。 本発明による電子顕微鏡の実施形態を示す模式図である。 本実施形態の電子顕微鏡を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明による電子源、電子ビームパルス出射装置および電子顕微鏡の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
まず、図1を参照して、本発明による電子源の実施形態を説明する。図1に、本実施形態の電子源100の模式図を示す。電子源100は、電子バンチ生成部10と、電子バンチ制御部20とを備えている。電子バンチ生成部10は、パルスレーザ光L1を用いて発生させたレーザ航跡場によって加速された電子バンチを生成する。電子バンチ制御部20は、パルスレーザ光L2を用いて発生させたレーザ航跡場によって電子バンチを制御する。パルスレーザ光L1は電子バンチ生成部10において焦点を形成し、パルスレーザ光L2は電子バンチ制御部20において焦点を形成する。
本実施形態の電子源100によれば、電子バンチ生成部10において生成した電子バンチは、電子バンチ制御部20においてパルスレーザ光L2を用いて発生させたレーザ航跡場によって制御される。このため、電子バンチを容易に制御することができる。例えば、電子バンチ制御部20により、電子バンチのエネルギースペクトル、電荷量、エミッタンス、バンチ長が制御される。
ここで、図2を参照して本実施形態の電子源100の一例を説明する。図2に示した電子源100において、電子バンチ生成部10はノズルN1を有しており、電子バンチ制御部20はノズルN2を有している。
電子バンチ生成部10において、ほぼ真空下でノズルN1から噴出されたガスG1にパルスレーザ光L1が照射されると、多量のイオンおよび電子を含むプラズマが発生するとともに、パルスレーザ光L1によって発生したプラズマ中の電子の一部は、パルスレーザ光L1によって発生したレーザ航跡場によって加速され、パルス状の電子ビーム(電子バンチ)が生成される。パルスレーザ光L1の焦点は、ノズルN1から噴出されたガスG1の中に位置する。例えば、ガスG1は希ガス、水素ガスまたは窒素ガスである。ガスG1としてヘリウムガスが好適に用いられる。
また、電子バンチ制御部20において、ほぼ真空下でノズルN2から噴出されたガスG2にパルスレーザ光L2が照射されて発生したレーザ航跡場によって電子バンチが制御される。パルスレーザ光L2の焦点は、ノズルN2から噴出されたガスG2の中に位置する。例えば、ガスG2は希ガス、水素ガスまたは窒素ガスである。ガスG2としてヘリウムガスが好適に用いられる。
例えば、パルスレーザ光L1はパルスレーザ光L2よりも先に焦点に到達してもよい。この場合、パルスレーザ光L1によって電子バンチが生成された後に、パルスレーザ光L2が電子バンチ制御部20においてレーザ航跡場を励起する。あるいは、パルスレーザ光L1はパルスレーザ光L2よりも後に焦点に到達してもよい。この場合、パルスレーザ光L2が電子バンチ制御部20において第2レーザ航跡場を励起した後に、パルスレーザ光L1が電子バンチを生成する。例えば、パルスレーザ光L1の焦点に到達する時刻と、パルスレーザ光L2の焦点に到達する時刻との差は10ps以下程度である。
なお、本明細書において、パルスレーザ光L1を第1パルスレーザ光L1と記載することがあり、パルスレーザ光L2を第2パルスレーザ光L2と記載することがある。また、第1パルスレーザ光L1によって発生したレーザ航跡場を第1レーザ航跡場と記載し、第2パルスレーザ光L2によって発生したレーザ航跡場を第2レーザ航跡場と記載することがある。また、ガスG1を第1ガスG1と記載することがあり、ガスG2を第2ガスG2と記載することがある。
電子バンチ生成部10において、高電荷密度の電子バンチを発生させるために、ガスG1の濃度はガスG2の濃度よりも高いことが好ましい。また、高密度のプラズマを発生させるために、パルスレーザ光L1の集光強度はパルスレーザ光L2よりも高いことが好ましい。例えば、パルスレーザ光L1の集光強度は1019W/cm2のオーダであり、パルスレーザ光L2の集光強度は1018W/cm2のオーダである。また、電子バンチ制御部20では、電子バンチを適切に制御するために、第2レーザ航跡場の励起される距離を第1レーザ航跡場よりも長くすることが好ましい。
なお、ガスG2としてガスG1と同じガスを用いてもよく、異なるガスを用いてもよい。また、第1ガスG1および第2ガスG2は、図2に示したように、それぞれ異なるノズルN1、N2から噴出されてもよく、あるいは、同一のノズルから噴出されてもよい。典型的には、ガスG1の濃度は1019〜1020/cm3であり、ガスG2の濃度は1017〜1018/cm3である。なお、詳細は後述するが、第1ガスG1および第2ガスG2が同一のノズルから噴出される場合、このノズルは、第1パルスレーザ光L1および第2パルスレーザ光L2の進行方向に沿った断面において非対称な構造を有していることが好ましい。
電子源100は、パルス幅の短い電子ビーム(電子バンチ)を出射する電子銃として機能する。例えば、パルスレーザ光L1は数十フェムト秒オーダのパルス波であり、電子バンチのパルス幅は数フェムト秒から数十フェムト秒のオーダである。また、このような電子源100による電子バンチは、1ショットあたりの電子数が比較的多い。例えば、電子バンチにおける電子数は109〜010個である。このため、電子源100を電子顕微鏡に用いた場合、フェムト秒オーダの時間分解能でシングルショットの撮影を行うことができる。このような電子顕微鏡は、破壊現象などの不可逆現象の観察に好適に用いられる。
なお、電子バンチ生成部10において生成された電子バンチはある程度のエネルギー分布を有している。具体的には、電子バンチは速度の異なる電子を含んでおり、比較的速い電子は比較的高いエネルギー(例えば、数十MeV〜数百MeV)を有しており、比較的遅い電子は比較的低いエネルギー(例えば、数十keV〜数MeV)を有している。なお、電子は、パルスレーザ光L1がガスG1に照射されて生成したプラズマにおいて発生しており、電子バンチが生成した際の空間分布は比較的狭い。具体的には、電子バンチの発生点におけるスポットは数μm〜数十μmであり、その時間幅は数フェムト秒〜数十フェムト秒である。
本実施形態の電子源100において、電子バンチ制御部20は、電子バンチのうち比較的速い電子を減速し、電子バンチのうち比較的遅い電子を加速する。このように、電子バンチ制御部20は、電子バンチの位相回転を行う。
図3に、本実施形態の電子源100の電子バンチ制御部20における電子バンチ内の電子のエネルギー(速度)の変化を模式的に示す。図3において横軸はレーザの伝播軸を示しており、縦軸は第2レーザ航跡場の電場強度を示している。
なお、図3は、第2レーザ航跡場において変化する位相を基準に示している。電子バンチは光速に近い速度で移動する。ただし、図3から理解されるように、電子バンチのエネルギーはある程度分散している。図3に示すように、電子バンチ制御部20において、第1パルスレーザ光L1によって発生した電子バンチのうち、比較的速い電子(エネルギーの大きい電子)は減速され、比較的遅い電子(エネルギーの小さい電子)は加速される。
ここで、図4を参照して、第2レーザ航跡場による位相回転を説明する。図4(a)は第2レーザ航跡場の発生前の電子バンチの位相空間におけるエネルギー分布を示すグラフであり、図4(b)は第2レーザ航跡場の通過中の電子バンチの位相空間におけるエネルギー分布を示すグラフであり、図4(c)は第2レーザ航跡場を通過した後の電子バンチの位相空間におけるエネルギー分布を示すグラフである。図4(a)〜図4(c)では、第2レーザ航跡場の位相を基準に、エネルギー分布および空間分布を示している。
図4(a)に示すように、電子バンチ生成部10において生成された電子バンチのパルス幅(バンチ長)は極めて短く、この電子バンチのエネルギー分散は大きい。
図4(b)に示すように、電子バンチが第2レーザ航跡場を進行すると、電子バンチのうちの比較的速い電子(エネルギーの高い電子)が減速されるとともに、比較的遅い電子(エネルギーの低い電子)が加速される。このため、電子バンチのパルス幅が広がり、かつ、エネルギー分散が小さくなる。
図4(c)に示すように、電子バンチが第2レーザ航跡場を通過した後、電子バンチのエネルギー分散は小さくなり、電子バンチのパルス幅は広くなる。広がったパルス幅は、プラズマ波長程度であって、せいぜい数十フェムト秒程度であり、これまでの電子源と比べて極めて短い。このように、第2レーザ航跡場によって電子バンチのパルス幅およびエネルギー分散が制御される。
ここで、図5を参照して、第2レーザ航跡場に対する第1レーザ航跡場の位相の制御を説明する。図5において、レーザ伝播方向の電場をEzで示し、レーザ伝播方向に直交する方向(横方向)の電場をErで示している。ここでは、第2レーザ航跡場としてほぼ線形の航跡場を示す。
電場Ezは加速フェーズおよび減速フェーズを繰り返し、電場Erは発散フェーズおよびフォーカス(横)フェーズを繰り返す。なお、これらのフェーズの切り替わるタイミングは互いに異なっている。電子バンチは、電場Erがフォーカス(横)フェーズの際に、第2レーザ航跡場に入射される。このとき、電子バンチが第2レーザ航跡場に入射する際に、電場Ezが加速フェーズであると(すなわち、期間αの場合)、電子バンチは加速される。また、電子バンチが第2レーザ航跡場に入射する際に、電場Ezが減速フェーズであると(すなわち、期間βの場合)、電子バンチは減速される。このように、電子バンチは、第2レーザ航跡場に入射するタイミングに応じて加減速され、電子バンチのエネルギーとエネルギー分散は制御される。
本実施形態の電子源100では、第1パルスレーザ光L1に対する第2パルスレーザ光L2のタイミングを任意に調整可能であり、これにより、第2レーザ航跡場に対して入射する電子バンチの位相を容易に制御でき、結果として、電子バンチのエネルギー分布を制御することができる。
図6に、本実施形態の電子源100におけるパルスレーザ光L1、L2およびこれらによって発生したレーザ航跡場を模式的に示す。電子バンチ生成部10におけるガスG1の濃度は比較的高く、電子バンチ制御部20におけるガスG2の濃度は比較的低い。このようなガス濃度の勾配に起因して第1レーザ航跡場が破壊されるため、第1レーザ航跡場を構成していた電子が第2レーザ航跡場に急速に入射する。
上述したように、ガスG1、G2の濃度は異なり、これにより、電子バンチ生成部10および電子バンチ制御部20において発生するレーザ航跡場(プラズマ波)の振動数が異なる。ここでは、電子バンチ制御部20において発生する第2レーザ航跡場の周期は、電子バンチ生成部10において発生する第1レーザ航跡場の周期よりも長い(すなわち、第2レーザ航跡場の周波数は第1レーザ航跡場よりも短い)。
例えば、電子バンチ生成部10には、焦点距離の比較的短い集光ミラーを反射した第1パルスレーザ光L1の焦点が形成される。ここでは、第1パルスレーザ光L1によって励起された第1レーザ航跡場として非線形レーザ航跡場が形成されている。また、電子バンチ制御部20には、焦点距離の比較的長い集光ミラーを反射した第2パルスレーザ光L2の焦点が形成される。ここでは、第2パルスレーザ光L2によって励起された第2レーザ航跡場として線形レーザ航跡場が形成されている。また、パルスレーザ光L2が、パルスレーザ光L1よりも大きいF値の集光ミラーで反射することにより、第2レーザ航跡場の励起される距離を第1レーザ航跡場よりも長くすることができる。
例えば、パルスレーザ光L1、L2は数十フェムト秒オーダのパルス波である。パルスレーザ光L1、L2の波長は同一であってもよい。また、パルスレーザ光L1、L2として、同一の光源から出射された光を分離して用いてもよい。
また、ここでは、第1パルスレーザ光L1および第2パルスレーザ光L2の焦点が同一軸上にある。これにより、第1パルスレーザ光L1によって発生した電子バンチに対して第2レーザ航跡場を効率的に作用させることができる。なお、本明細書において、パルスレーザ光L1、L2の光軸をレーザ軸と記載することがある。
図7(a)に、本実施形態の電子源100において、ノズルN1、N2から噴出されたガスG1、G2の濃度分布を模式的に示し、図7(b)に、本実施形態の電子源100におけるパルスレーザ光L1、L2およびこれらによって発生したレーザ航跡場の模式図を示す。
ガスG1は、比較的狭い幅で、かつ、高い濃度で噴出される。第1パルスレーザ光L1は、ガスG1内に焦点を形成する。一方、ガスG2は、比較的長い幅で、かつ、低い濃度で噴出される。第2パルスレーザ光L2は、ガスG2内に焦点を形成する。
パルスレーザ光L1、L2は、メインパルスの前に進行する強度の比較的低い成分(プレパルス)を有している。この成分は、強度こそ弱いものの、メインパルスの幅と比べて比較的長い時間にわたって存在しており、その累積的なエネルギーはメインパルスの約10%程度に達することがある。
ここで、図8〜図13を参照して、本実施形態の電子源100における電子バンチ生成部10の一例をより詳細に説明する。図8(a)に、本実施形態の電子源100における電子バンチ生成部10の模式的な斜視図を示し、図8(b)に、電子バンチ生成部10の模式的な断面図を示す。電子バンチ生成部10は、磁場を印加する磁場形成部12a、12bを有している。磁場形成部12a、12bは、中央に孔の設けられた円盤形状を有しており、磁場形成部12a、12bにより、レーザ軸方向に沿って磁場が形成される。ここでは、磁場形成部12aの磁極は、周囲からパルスレーザ光L1、L2の光軸の通過する中央に向いており、磁場形成部12bの磁極は、パルスレーザ光L1、L2の光軸の通過する中央から周囲に向いている。例えば、磁場形成部12a、12bとして永久磁石が用いられる。
パルスレーザ光L1のメインパルスが焦点に到達する直前に、ガスG1の噴出された領域に、プレパルスに起因してプレプラズマが形成される。プラズマの形状は、磁場形成部12a、12bの磁場効果により、第1パルスレーザ光L1のメインパルスが焦点に到達する数ps前に変化する。このように、プレパルスに起因して発生するプレプラズマの形状を変化させて電子バンチのエミッタンスを低減させることができ、電荷量を増加させることができ、電子バンチの品質を向上させることができる。
ここで、図9〜図11を参照して、磁場の有無による電子密度分布の変化を説明する。図9(a)、図10(a)および図11(a)に、磁場を印加しなかった場合の電子密度分布を模式的に示し、図9(b)、図10(b)および図11(b)は、パルスレーザ光L1のメインパルスの焦点付近に磁場を印加した場合の電子密度分布を模式的に示す。ここでは、磁束密度0.2Tの磁場を定常的に印加している。ノズルN1の長手方向の口径は1.2mmである。また、パルスレーザ光L1の波長は790nmである。
パルスレーザ光L1のメインパルスが到達する前に、パルスレーザ光L1の焦点においてガスG1がプレパルスによって加熱されてプラズマが発生し、加熱された電子群は膨張するように動く。このとき、所定の磁場を印加することにより、プラズマ内部の温度分布に応じて膨張の速度を制御することができる。例えば、図9(a)および図9(b)の比較から理解されるように、磁場の印加により、電子密度分布は、パルスレーザ光L1の焦点を固定点としてレーザ軸方向に配列された2つのコーン形状を形成する。このような電子密度分布の変化に伴い、メインパルス伝播領域の(プラズマ内部の)屈折率が変化し、メインパルスをガイドする。
なお、このような電子密度の変化は、磁場中で加熱した直後に生じ、パルスレーザ光の通過後は時間とともに元に戻ってしまう。この効果を有効に利用するためには、焦点付近に温度勾配の大きなプラズマを形成することが好ましく、このため、第1パルスレーザ光L1は、短い焦点距離(小さなF値)の集光ミラーを用いて集光することが好ましい。
図10(a)に示すように、磁場を印加しない場合、パルスレーザ光L1のメインパルスの集光が妨げられ、メインパルスが焦点に到達せずに、メインパルスは広がるように進行する。これに対して、図10(b)に示すように、磁場を印加した場合、焦点の上流側において、周りの屈折率が高く、中の屈折率が低い、コーン形状のプラズマ領域が形成される。この領域に、メインパルスが侵入すると、屈折率差に起因して、メインパルスがガイドされて広がりが抑制され、高い集光強度が得られる。
その後、図11(a)に示すように、磁場を印加しない場合、発散角の広い電子バンチが発生する。これに対して、図11(b)に示すように、磁場を印加した場合、発散角の比較的狭い電子バンチが発生する。
図12に、電子のエネルギーに対する電荷量を示す。第1パルスレーザ光のパルス波形を制御することにより、電子バンチのエネルギー分布を狭くすることができる。
図13(a)に、磁場を印加しない場合のレーザ軸に直交する平面における電子バンチの空間分布を示し、図13(b)に、磁場を印加した場合のレーザ軸に直交する平面における電子バンチの空間分布を示す。図13(a)と図13(b)との比較から理解されるように、磁場の印加より、電子バンチのエミッタンスを低減させることができる。
なお、図2を参照した上述した説明では、電子バンチ生成部10および電子バンチ制御部20はそれぞれ異なるノズルN1およびN2を有していたが、本発明はこれに限定されない。
図14に、本実施形態の電子源100の模式図を示す。図14に示した電子源100では、1つのノズルNから所定の濃度分布を有するガスGが噴出される。ノズルNから噴出されるガスGは、濃度の高い領域G1と、濃度の低い領域G2とを有している。なお、図14では、発明の理解を容易にするために、濃度の高い領域と、低い領域との境界を直線で示しているが、ガスの濃度はパルスレーザ光L1、L2のレーザ軸方向に沿って漸進的に変化してもよい。
ここで、図15を参照してノズルNの一例を説明する。図15(a)にノズルNの模式的な斜視図を示し、図15(b)に図15(a)のb−b線に沿ったノズルNの模式的な断面図を示し、図15(c)に図15(a)のc−c線に沿ったノズルNの模式的な断面図を示す。
例えば、ノズルNのスリットのレーザ軸に沿った長さは約10mmであり、レーザ軸に直交する方向の長さは約1.2mmである。なお、図15(c)から理解されるように、ノズルNには、ラバール形状断面のスリットが設けられており、ノズルNからガスGが超音速で噴出されることが好ましい。また、ノズルNの内部から衝撃波を発生させることにより、濃度のより高い領域と低い領域とを同時に形成することができる。
ここで、図16を参照して図15に示したノズルNを備えた電子源100を説明する。図16(a)に、図15に示したノズルNから噴出されるガスGの濃度分布を模式的に示し、図16(b)に、この場合の電子源100におけるパルスレーザ光L1、L2、および、レーザ航跡場を示す。図7との比較から理解されるように、図15に示したノズルNから噴出されるガスGの濃度はレーザ軸方向に沿って連続的に変化している。
図17に、図15に示したノズルNから噴出されたガスGのレーザ軸方向に沿った濃度分布を示す。図17から理解されるように、ガスGの濃度はレーザ軸方向に沿って上流側で高く、下流側で低くなるように調整されている。
なお、上述したように、パルスレーザ光L1、L2は同一の光軸を有してもよい。この場合、穴空放物面鏡を用いて、2つのパルスレーザ光L1、L2の光軸を同じ光軸にしてもよい。
図18に、本実施形態の電子源100の模式図を示す。図18に示した電子源100は、電子バンチ生成部10および電子バンチ制御部20に加えて、穴空放物面鏡30を備えている。なお、ここでは、電子バンチ生成部10は図8を参照して上述したのと同様の磁場形成部12a、12bを有している。
第1パルスレーザ光L1は、穴空放物面鏡30によって反射されて進行方向を変更する。例えば、第1パルスレーザ光L1の集光強度は約1019W/cm2である。また、第1パルスレーザ光L1のF値は約4以下であり、発生する第1レーザ航跡場の励起される距離は比較的短い。
第2パルスレーザ光L2は、穴空放物面鏡30の開口部を通過する。例えば、第2パルスレーザ光L2の集光強度は約1018W/cm2である。また、第2パルスレーザ光L2のF値は約20であり、発生する第2レーザ航跡場の励起される距離は比較的長い。
なお、ここでは、パルスレーザ光L1は放物面鏡30で反射し、パルスレーザ光L2は放物面鏡30の穴を通過させたが、本発明はこれに限定されない。パルスレーザ光L2が放物面鏡30で反射して、パルスレーザ光L1が放物面鏡30の穴を通過してもよい。
また、ここでは、放物面鏡30として穴の空いたものを用いており、パルスレーザ光L1、L2の一方を放物面鏡30で反射させて、他方を放物面鏡30の穴を通過させたが、本発明はこれに限定されない。例えば、パルスレーザ光L1、L2の両方を放物面鏡30に反射させて異なる位置に焦点を形成してもよい。例えば、パルスレーザ光L1、L2の平行度を微調整することにより、焦点位置を調整することができる。
本実施形態の電子源100では、電子バンチ生成部10だけでなく電子バンチ制御部20においてもレーザ航跡場を形成する。このように、電子バンチを生成するためのパルスレーザ光L1とは異なるパルスレーザ光L2を用いてレーザ航跡場を励起することにより、電子バンチの入射する航跡場の位相を制御することができる。これにより、電子バンチの加速および減速ならびにエネルギー分布を制御することができる。
以上のように、本実施形態の電子源100によれば、コンパクトな構成で短パルスの電子バンチを出射することができる。また、このような電子源100は、電子バンチ制御部20において同期させる位相を選択することにより、電子を加速する電子加速器として用いられる。
なお、レーザ航跡場を利用することにより、比較的小さい装置で勾配の大きな加速を行うことができる。例えば、電子源100では、勾配が100GV/m以上の加速を実現できる。また、フェムト秒オーダの時間幅を有する電子バンチに対して比較的短い距離(例えば、数mm〜数cm程度)で位相回転を行うことができる。
なお、例えば、電子源100から発せられる電子バンチのエネルギーは数MeVである。このような電子源100は高圧(透過型)電子顕微鏡に好適に用いられる。ただし、電子顕微鏡に用いる場合、電子源100において生成される電子バンチのエネルギー分布をΔE/E〜10-4以下程度にすることが好ましい。このように電子バンチのエネルギー分布をさらに狭くすることが望まれる。
上述したように、電子バンチ内には、エネルギーの比較的高い(比較的速い)電子と、エネルギーの比較的低い(比較的遅い)電子とが存在しており、例えば、電子バンチの飛行中に、速度の速い(エネルギーの高い)電子が先にある地点に到達し、速度の遅い(エネルギーの遅い)電子は後に到達する。この場合、電子バンチが進むにつれて、電子バンチの時間幅が広がることになる。このため、電子バンチのエネルギー分布をさらに狭くすることが好ましい。
以下、図19を参照して本発明による電子ビームパルス出射装置の実施形態を説明する。本実施形態の電子ビームパルス出射装置200は、上述の電子源100と、電子源100から発せられた電子バンチの時間幅を広げるとともに電子バンチのエネルギーの時間分散関係を反転させる電子バンチ伸張器110とを備える。電子バンチ伸張器110は、磁場によって、電子バンチの時間幅を広げる。
図20に示すように、電子バンチ伸張器110は磁場形成部110a、110b、110c、110dを有してもよい。例えば、磁場形成部110a、110b、110c、110dは、それぞれ、ダイポール磁石によって構成される。磁場形成部110a、110b、110c、110のそれぞれは、電子バンチ伸張器110に入射する前の電子バンチの進行方向に対して垂直な方向に磁場を印加する。例えば、磁場形成部110a、110b、110c、110dはそれぞれ電磁石から構成されてもよい。
ここで、図21を参照して電子バンチ伸張器110における電子バンチのエネルギーの時間分散関係を説明する。
電子バンチ伸張器110の磁場により、電子は、電子の進行方向および磁場の方向に対して垂直な方向に力を受ける。なお、磁場の大きさ、および、各電子の速度は時間に対して一定であるため、磁場を受けた電子は、半円軌道を形成するように動く。この場合、電子バンチのうち比較的速い電子(Ea)は曲がりにくく、半径の大きい円の半円を描くように動き、飛行距離が長くなる。これに対して、電子バンチのうち比較的遅い電子(Ec)は、曲がりやすく、半径の小さい円の半円を描くように動き、飛行距離が短くなる。このため、電子バンチ伸張器110に入射する前の電子バンチには比較的速い電子(Ea)が上流側に存在し、比較的遅い電子(Ec)が下流側に存在しているのに対して、電子バンチ伸張器110から出射される際の電子バンチには比較的速い電子(Ea)が下流側に存在しており、比較的遅い電子(Ec)が上流側に存在している。
なお、ここでは、磁場形成部110a、110dは互いにほぼ同じ磁石を用いており、磁場形成部110a、110dにおける磁石の大きさおよび磁場の強度はほぼ等しい。また、磁場形成部110b、110cとして互いにほぼ同じ磁石を用いており、磁場形成部110b、110cにおける磁石の大きさおよび磁場の強度はほぼ等しい。このような磁場形成部110a、110b、110c、110dにより、電子バンチ伸張器110から出射される際の電子の速度(エネルギー)による電子バンチの空間的な収差が抑制される。
このような電子バンチの伸張は、チャープパルス増幅(Chirped Pulse Amplification)における光パルスの伸張に対応している。なお、電子バンチ伸張器110では、電子バンチの時間幅を広げた後に、エネルギーの高い電子が電子バンチの後方に存在し、エネルギーの低い電子が電子バンチの先方に存在しており、電子バンチのエネルギーの時間分散関係が反転している。このため、電子バンチの時間幅を広げた後、電子バンチは自動的に時間的に圧縮され、電子バンチの時間幅は狭くなる。
ここでは、電子バンチ伸張器110は、電子バンチにおける電子のエネルギーの時間分散関係を反転させた後、電子源100から出射される電子バンチを電子源100から発せられた電子バンチと同じ軸上に出射される。このため、アライメントを比較的容易に行うことができ、省スペース化を図ることができる。
なお、上述したように、磁場形成部110a、110b、110c、110dでは、電子バンチ内の電子がエネルギー(速度)に応じて分離されて動く。この際に、特定のエネルギーを有する電子のみを取り出すように(他のエネルギーを有する電子を遮蔽するように)スリットを設けてもよい。これにより、エネルギー分布の狭い電子バンチを実現することができる。また、このスリットの開口部の位置を移動可能に構成することにより、エネルギー分布の選択された電子バンチを実現することができる。
なお、上述したように、電子バンチの時間幅を広げた後に、いずれかの位置で、電子バンチの時間幅は狭くなる。ただし、電子バンチの時間幅が狭くなるまで、比較的長い距離が必要となることがある。このため、チャープパルス増幅と同様に、電子バンチを伸張した後に電子バンチの圧縮を行ってもよい。
図22に示すように、本実施形態の電子ビームパルス出射装置200は、電子バンチ伸張器110において広がった時間幅を狭くする電子バンチ圧縮器120をさらに備えてもよい。電子バンチ圧縮器120により、電子バンチの時間幅が最短になるまでの距離を短くすることができる。なお、電子バンチ内の電子は概ね同じ方向に移動するが、厳密には、電子の進行方向は発散成分が含まれることがある。このため、電子バンチの時間幅が最短になるまでの距離は比較的短いことが好ましい。
図23に示すように、電子バンチ圧縮器120は、磁場形成部120a、120b、120c、120dを有している。例えば、磁場形成部120a、120b、120c、120dは、それぞれ電磁石から構成されてもよい。
電子バンチ圧縮器120により、電子バンチの時間幅が最短になるまでの距離を短くすることができる。また、磁場形成部120a、120b、120c、120dを電磁石で構成することにより、電子バンチの時間幅が最短になるまでの距離を任意に調整することができる。
また、電子バンチ内の電子密度が高いと、クーロン反発で電子バンチが空間的かつ時間的に広がってしまうことがあるが、電子バンチ伸張器110によって電荷密度を低下させて、電子バンチ圧縮器120によって電子密度の高い時間を短くすることにより、電子バンチの空間的かつ時間的な分布の広がりを抑えることができる。
ここで、図24を参照して電子バンチ圧縮器120における電子バンチのエネルギーの時間分散関係の変化を説明する。
電子バンチ圧縮器120の磁場により、電子は、電子の進行方向および磁場の方向に対して垂直な方向に力を受ける。なお、磁場の大きさ、および、各電子の速度は時間に対して一定であるため、磁場を受けた電子は、円の一部(円周角が90°未満の弧部分)の軌道を形成するように動く。この場合、電子バンチのうち比較的速い電子(Ea)は飛行距離が短くなる。これに対して、電子バンチのうち比較的遅い電子(Ec)は、飛行距離が長くなる。
また、上述したように、磁場形成部120a、120b、120c、120dでは、電子バンチ内の電子がエネルギー(速度)に応じて分離される。この際に、特定のエネルギーを有する電子のみを取り出すように(他のエネルギーを有する電子を遮蔽するように)スリットを設けてもよい。これにより、エネルギー分布の狭い電子バンチを実現することができる。また、このスリットの開口部の位置を移動可能に構成することにより、エネルギー分布の選択された電子バンチを実現することができる。
図25に、本実施形態の電子ビームパルス出射装置200の模式的な斜視図を示す。ここでは、電子源100は、電子バンチ生成部10および電子バンチ制御部20に加えて図18を参照して上述した穴空放物面鏡30を有している。また、図25に示した電子ビームパルス出射装置200は、電子源100に加えて、図20および図21を参照して上述した電子バンチ伸張器110、および、図23および図24を参照して上述した電子バンチ圧縮器120を備えている。
なお、電子バンチは真空下で輸送されるが、電子バンチ伸張器110および電子バンチ圧縮器120のそれぞれは真空下に配置されてもよく、大気圧下に配置されてもよい。以上のように、本実施形態の電子ビームパルス出射装置200では、電子バンチの伸張および圧縮を行い、下流の任意の位置において電子バンチ長が最も短くなるように制御してもよい。また、ここでは図示していないが、電子バンチ伸張器110、電子バンチ圧縮器120の近傍に電子レンズを設置することにより、電子バンチの発散を抑制することが好ましい。
また、上述した電子源100または電子ビームパルス出射装置200は電子顕微鏡に好適に用いられる。以下、図26を参照して本発明による電子顕微鏡の実施形態を説明する。本実施形態の電子顕微鏡300は、図25を参照して上述した電子源100を有する電子加速器310と、イメージング部320とを備えている。イメージング部320は電子レンズ系および撮像部を有している。ここでは、電子加速器310は、電子源100に加えて電子バンチ伸張器110および電子バンチ圧縮器120を有しており、すなわち、電子加速器310は、図25を参照して上述した電子ビームパルス出射装置200を有している。イメージング部320は、電子源100または電子ビームパルス出射装置200から出射された電子バンチをターゲットTに照射した後に、ターゲットTにおいて回折された電子を撮像する。
本実施形態の電子顕微鏡300は時間的・空間的に高い分解能でターゲットTの撮像を行うことができる。このような電子顕微鏡300を用いることにより、シングルショットで原子スケール且つフェムト秒の時間空間分解能を実現することができる。電子顕微鏡300は、局所的な不可逆現象、格子欠陥および破壊現象などを撮像することができる。
図27に示すように、電子顕微鏡300は、ポンププローブ法による観察に好適に用いられる。例えば、電子顕微鏡300は、非平衡圧縮時の衝撃波による結晶構造の変化の観察に好適に用いられる。
レーザ光源400から出射されたレーザ光は、スプリッタによって分離される。パルスレーザ光Laは電子源100を励起するために用いられ、パルスレーザ光LbはターゲットTのポンプ光として用いられ、パルスレーザ光Lcはイメージング部320の駆動パルスとして用いられる。例えば、レーザ光源400はフェムト秒レーザである。
なお、上述したように、電子源100または電子ビームパルス出射装置200は電子顕微鏡300以外の用途に用いてもよい。例えば、図26に示した電子顕微鏡300において観察されるべきターゲットTの位置にターゲットTに代えて加速器を配置することにより、短パルスの高エネルギー加速器を作製することができる。この場合、加速器として、高周波加速器を用いてもよく、あるいは、レーザ航跡場加速器を用いてもよい。これにより、高エネルギー電子加速器を実現することができる。例えば、X線自由電子レーザの加速器として電子源100または電子源100を備える電子ビームパルス出射装置200を用いてもよい。
本発明によれば、電子バンチを容易に制御可能な電子源を提供できる。例えば、電子源は、狭エネルギースペクトル、大電荷量、極低エミッタンスおよび/または極短バンチ長の電子バンチを出射する。このような電子源は、電子顕微鏡または電子バンチ加速装置に好適に用いられる。
10 電子バンチ生成部
20 電子バンチ制御部
100 電子源
110 電子バンチ伸張器
120 電子バンチ圧縮器
200 電子ビームパルス出射装置
300 電子顕微鏡
310 電子加速器
320 イメージング部

Claims (5)

  1. 第1パルスレーザ光を用いて発生させた第1レーザ航跡場によって加速された電子バンチを生成する電子バンチ生成部と、
    第2パルスレーザ光を用いて発生させた第2レーザ航跡場によって前記電子バンチを制御する電子バンチ制御部と
    有する電子源と、
    前記電子源から発せられた前記電子バンチの時間幅を広げるとともに前記電子バンチのエネルギーの時間分散関係を反転させる電子バンチ伸張器と
    を備える、電子ビームパルス出射装置
  2. 前記電子バンチ制御部は、前記電子バンチの位相回転を行う、請求項1に記載の電子ビームパルス出射装置
  3. 前記第1レーザ航跡場を形成する第1ガス、および前記第2レーザ航跡場を形成する第2ガスを噴出するノズルをさらに備える、請求項1または2に記載の電子ビームパルス出射装置
  4. 前記電子バンチ伸張器によって広がった前記電子バンチの時間幅を狭くする電子バンチ圧縮器をさらに備える、請求項1から3に記載の電子ビームパルス出射装置
  5. 請求項1から4に記載の電子ビームパルス出射装置を有する電子加速器と、
    イメージング部と
    を備える、電子顕微鏡
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