JP5909757B1 - ミジンコの培養セットおよびミジンコの連続培養方法 - Google Patents

ミジンコの培養セットおよびミジンコの連続培養方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型室内水槽を用いながら、餌、酸素および成育環境を確保することにより、簡易かつ効率的にミジンコを培養することが可能なミジンコ培養セットを提供する。【解決手段】培養液中で無数のエアバブルを発生するエアレーション14と、エアレーション14のまわりを囲むように配置された水流抑制パイプ16と、上方から液面に向かって光を照射する照明手段20とを具備する培養槽10と、培養液を構成し、照明手段20により光合成作用を通じて培養液中に酸素を発生するとともに、ミジンコの餌となる青水またはグリーンウォーターと、ミジンコの餌となる好気性醗酵菌と、培養液中のアンモニアおよび亜硝酸を分解可能な嫌気性複合菌とを具備する培養資材とを有することを特徴とするミジンコの培養セット。【選択図】図1

Description

本発明はミジンコの培養セットおよびミジンコの連続培養方法に関し、より詳細には、小型室内水槽を用いながら、餌、酸素および成育環境を確保することにより、簡易かつ効率的にミジンコを培養することが可能なミジンコ培養セット、および培養液の水質維持に対するメンテナンスの負担を軽減しつつ、ミジンコを連続的に培養することが可能なミジンコの連続的な培養方法に観する。
水産業の現場では、ミジンコ等の動物性プランクトンはコイや金魚等の孵化稚魚の生き餌として利用されている。
ミジンコの中でも、タマミジンコは増殖率が高く、比較的容易に培養が可能なことから広く養殖現場で培養されている。
タマミジンコの場合、タマミジンコ1尾の母体は、好条件下で数個から数十個の卵を持ち、仔を生み、生み出された仔ミジンコは、3日ないし4日で親になり、次代の仔を生む。タマミジンコの寿命は、好条件下で10日前後である。
このような生態のミジンコを人工培養する場合において、培養液に十分な酸素および餌を供給しつつ、培養液中でのミジンコの成育環境の確保が重要である。
より詳細には、そもそも、水槽内の培養液中に投入した種ミジンコが餌あるいは酸素不足で繁殖せずに死滅すると、死骸により水質が悪化し、成育環境が劣化し、一方、餌および酸素が十分で、種ミジンコにより繁殖し過ぎると、餌および酸素不足状態が引き起こされ、餌が過多により培養液中で餌が腐敗すると、水質が劣化し、成育環境が悪化する。
それに対して、酸素供給が過多な場合、特に、家庭用小型水槽を用いてエアレーションにより培養液中で無数のエアバブルを発生して、酸素を溶解させる場合、無数のエアバブルにより培養液中には、物理的刺激によりミジンコの生存を脅かす強い水流が発生し、成育環境が劣化するのであり、以上のように、ミジンコの効率的な培養にとって、餌および酸素の供給と、成育環境の確保とは、両立困難な技術的課題である。
特に、水槽が小型になるほど、ミジンコを培養するうえで、エアバブルによる培養液中への酸素の供給に対して、培養液中内での水流が強くなる傾向にあり、一方、水槽を大型化、すなわち、屋外設置すると、天候等環境条件に左右されて安定的なミジンコの培養が困難となる。
この点、特許文献1には、ミジンコの培養に有用な有用微生物群が開示されている。
より詳細には、飼料または培養水中に有用微生物群(EM菌)を混入することにより、良好なミジンコの成育環境を維持して効率良く培養を行なうミジンコの培養方法を提供するものとして、水槽の培養水にミジンコの飼料、有用微生物群(EM菌)、塩を投入して曝気を行ない、ミジンコの成育環境を整えた後、種ミジンコを投入し、種ミジンコを投入した後、所定量の飼料及び有用微生物群(EM菌)を投入しながら培養を行ない、所定期間経過した後にミジンコの収穫を行なう点を開示する。
しかしながら、数多くの菌の集合体である有用微生物群を用いるにも係わらず、培養液の水質劣化についてなんら言及するものでなく、特に有用微生物群を過剰に供給した場合に、培養液の水質劣化によりミジンコの成育環境が確保困難となる点について、開示はおろか示唆すらなされていない。
この点、特許文献2には、ミジンコの培養用餌料が開示されている。
より詳細には、魚類種苗生産用の生物餌料として使用されている動物性プランクトンのミジンコの培養用餌料に関するものであり、各餌料材料を併用することによりミジンコの安定した培養の継続を可能にして安定した収穫量を得ること、また餌料の低コスト化を実現しようとするものであり、濃縮クロレラを主材料として、焼酎粕と酵母の三者併用または焼酎粕もしくは酵母を使用しないで二者を併用して与える点を開示する。
しかしながら、特許文献1と同様に、培養液の水質劣化についてなんら言及するものでなく、また、酸素供給について、コンプレッサーによる通気を行うものであり、培養液中の水流の発生により、ミジンコの成育環境が確保困難となる点について、開示はおろか示唆すらなされていない。
この点、特許文献3には、緩やかな水流が発生するようにしたミジンコの培養装置が開示されている。
より詳細には、1トン程度の水槽設備において、ミジンコの大量培養を可能とするのに、タンク1の用水内にエアストーン24を設置してエアレーションを行い、用水に溶存酸素を供給する水棲微小生物の培養方法であって、上下に開口を有する揚水筒21をタンク1底面から浮いた状態で垂設し、揚水筒21の下部にエアストーン24を挿設し、揚水筒21の上部に揚水筒21の上部側開口から吐出された水を排出する流出口22aが水中に設けられた外筒22を覆設し、エアストーン24により揚水筒21内に気泡を発生させて揚水筒21内の水をエアリフトし、上昇した水を流出口22aから水中に流出させることで、タンク1内の用水全体に緩水流を発生させる点を開示する。
しかしながら、屋外大型水槽による淡水濃縮クロレラの餌料では、天候に左右されるため、水流を抑制しつつ酸素を十分に供給しても、ミジンコの大量の死滅により、水質が急に劣化する。
特に、屋外大型水槽でありながら、水槽内の水流が緩やかになっているかどうかも目視では確認できない装置であり、緩やかに水が水槽内で回る様に説明されているところ、ミジンコは水が回るような領域に生息しているわけではなく、水流がほとんど、もしくは全くないような領域の確保が成育可能な環境にとって必要である。
また、屋外大型水槽でありながら、水質の悪化を防ぐことはできないことから、水の入れ替え、水槽の清掃等メンテナンスが非常に大がかりとなる。

特開2003−299422号 特開2007−97463号 特開2002−125509号
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、小型室内培養槽を用いながら、餌、酸素および成育環境を確保することにより、簡易かつ効率的にミジンコを培養することが可能なミジンコ培養セットを提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、培養液の水質維持に対するメンテナンスの負担を軽減しつつ、ミジンコを連続的に培養することが可能なミジンコの培養方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るミジンコ培養セットは、
培養液中で無数のエアバブルを発生するエアレーションと、該エアレーションのまわりを囲むように配置された水流抑制パイプと、上方から液面に向かって光を照射する照明手段とを具備する培養槽と、
培養液を構成し、前記照明手段により光合成作用を通じて培養液中に酸素を発生するとともに、ミジンコの餌となる青水またはグリーンウォーターと、ミジンコの餌となる好気性醗酵菌と、培養液中のアンモニアおよび亜硝酸を分解可能な嫌気性複合菌とを具備する培養資材とを有する、構成としている。
以上の構成を有するミジンコの培養セットによれば、培養槽内の青水またはグリーンウォーターが、照明手段により光合成作用を通じて培養液中に酸素を発生する一方、ミジンコの餌となるとともに、エアレーションにより培養液中に無数のエアバブルを発生して培養液中に酸素を供給しつつ、エアレーションのまわりを囲むように配置された水流抑制パイプにより、培養槽中のミジンコを傷つけないようにし、さらに、培養槽中の好気性醗酵菌がミジンコの餌となるとともに、好気性醗酵菌および/またはミジンコにより、培養槽中の酸素が減少することにより、嫌気性複合菌が活発化して、腐敗した好気性醗酵菌あるいはミジンコの死骸に起因する培養液中のアンモニアおよび亜硝酸を分解可能であり、加えて、培養液に対する好気性醗酵菌の割合および照明手段の光量を調整することにより、培養液の所望の懸濁度を達成して、培養液中にミジンコの走光性に適した領域を確保可能であり、小型室内培養槽を用いながら、餌、酸素および成育環境を確保することにより、簡易かつ効率的にミジンコを培養することが可能である。
また、前記青水またはグリーンウォーターは、魚類を屋外で飼育することにより生成されるか、ユーグレナまたはスピルリナにより構成されるのがよい。
さらに、前記培養槽は、屋内配置用の小型水槽であり、前記水流抑制パイプは、小型水槽の隅部において直立に配置され、培養液中でミジンコが成育可能なように、前記水流抑制パイプの上端が液面から所定レベル下方に位置決めされるのがよい。
前記所定レベルは、前記培養槽内の培養液の懸濁度および前記LEDライトの光量との関係で、培養液の液面から下方の水流の弱いミジンコの高密度領域を生成可能なように設定されるのがよい。
さらにまた、前記好気性醗酵菌は、液状醗酵菌と固形状醗酵菌とからなり、培養液中でミジンコが成育可能な培養液の懸濁度を達成するように、液状醗酵菌と固形状醗酵菌との混合割合を調整するのがよい。
加えて、前記好気性醗酵菌は、納豆菌、乳酸菌および酵母菌を含むのがよい。
さらに、前記嫌気性複合菌は、光合成細菌がよい。
さらにまた、前記嫌気性複合菌は、ミジンコの餌としても利用されるのがよい。
加えて、前記照明手段は、LEDライトにより構成され、培養液中でミジンコが成育可能なように、光量が調整可能となっているのがよい。
また、さらに、培養液を加熱するヒーターを有し、該ヒーターにより、培養液の温度を20℃ないし25℃に調整するのがよい。
上記課題を解決するために、本発明に係るミジンコの連続的な培養方法は、
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の前記ミジンコ培養セットを用いて、ミジンコを培養する際、
培養槽中に青水またはグリーンウォーターを充填して、培養液を準備する段階と、
種ミジンコを投入するとともに、培養液中に水流を抑制しながら、エアレーションにより酸素を供給しつつ、好気性醗酵菌および嫌気性複合菌を投入して、培養液に所望の懸濁度を達成する段階とを有し、
それにより、培養液中でミジンコが孵化し、培養液中の酸素および餌の必要量と、培養液の水質とが両立限界となる程度にミジンコが所定密度まで増大することを条件に、
ミジンコを間引き、間引かれたミジンコを前記培養液の準備段階を経た次の培養槽に投入する段階を有し、
次の培養槽において、間引かれたミジンコを培養することにより、ミジンコを連続的に培養する、構成としている。
以上の構成を有するミジンコの連続的な培養方法によれば、培養槽中に青水またはグリーンウォーターを充填して、培養液を準備してから、種ミジンコを投入することで、培養槽内の青水またはグリーンウォーターが、照明手段により光合成作用を通じて培養液中に酸素を発生する一方、ミジンコの餌となり、エアレーションにより培養液中に無数のエアバブルを発生して培養液中に酸素を供給しつつ、エアレーションのまわりを囲むように配置された水流抑制パイプにより、培養槽中のミジンコを傷つけないようにし、さらに、培養槽中の好気性醗酵菌がミジンコの餌となるとともに、好気性醗酵菌および/またはミジンコにより、培養槽中の酸素が減少することにより、嫌気性複合菌が活発化して、腐敗した好気性醗酵菌あるいはミジンコの死骸に起因する培養液中のアンモニアおよび亜硝酸を分解可能であり、加えて、培養液に対する好気性醗酵菌の割合および照明手段の光量を調整することにより、培養液の所望の懸濁度を達成して、培養液中にミジンコの走光性に適した領域を確保可能であり、それにより、培養液中でミジンコが孵化し、培養液中の酸素および餌の必要量と、培養液の水質とが両立限界となる程度にミジンコが所定密度まで増大する。
すなわち、ミジンコの培養液中の密度が所定密度まで増大すると、培養液中の酸素および餌の量が不足するとともに、嫌気性複合菌による培養液中のアンモニアおよび亜硝酸の分解が追いつかなくなり、培養液の水質の確保が困難な状態に達する。
その際、次の培養槽中に青水またはグリーンウォーターを充填して、培養液を予め準備しておくことにより、元の培養槽からミジンコを間引き、間引かれたミジンコを次の培養槽に投入することにより、次の培養槽において、間引かれたミジンコを培養することにより、ミジンコを連続的に培養することが可能であるとともに、ミジンコの元の培養槽内の密度を減少することにより、培養液中の酸素および餌の量の不足が解消するとともに、嫌気性複合菌による培養液中のアンモニアおよび亜硝酸の分解が追いつき可能となり、培養液の水質維持に対するメンテナンスの負担を軽減しつつ、ミジンコを連続的に培養することが可能である。
また、ミジンコを間引いた後、元の培養槽においてもミジンコを継続して培養する段階を有するのがよい。
さらに、ミジンコを間引く際、稚魚の生き餌としてそのまま供給する段階を含むのがよい。
さらにまた、ミジンコを間引く際、ミジンコを水洗して、ミジンコに付着した原生虫を除去して、次の培養槽に投入する段階を有するのがよい。
加えて、水洗によりミジンコから分別されたワムシを稚魚の生き餌として利用するのがよい。
また、液状醗酵菌と固形状醗酵菌との混合割合を調整することにより、培養液の所望懸濁度を達成する段階を有するのがよい。
さらに、培養液中に前記嫌気性複合菌を適宜投入することにより、同じ培養槽を少なくとも1ヶ月用いて、ミジンコを培養するのがよい。
さらにまた、元の培養槽中の培養液の一部を次の培養槽に利用する段階を有するのがよい。
加えて、元の培養槽内のミジンコを間引いて、次の培養槽に間引いたミジンコを投入する際、元の培養槽が複数ある場合に、複数の培養槽のいずれか1つまたは複数から間引く段階を有するのがよい。
本発明に係るミジンコの培養セットおよびミジンコの連続的な培養方法の実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
ミジンコの培養セットは、培養液中で無数のエアバブルを発生するエアレーション14と、エアレーション14のまわりを囲むように配置された水流抑制パイプ16と、上方から液面に向かって光を照射する照明手段20とを具備する培養槽10と、培養液を構成し、照明手段20により光合成作用を通じて培養液中に酸素を発生するとともに、ミジンコの餌となる青水またはグリーンウォーターと、ミジンコの餌となる好気性醗酵菌と、培養液中のアンモニアおよび亜硝酸を分解可能な嫌気性複合菌とを具備する培養資材とを有する。
図1に示すように、培養槽10は、屋内配置用の小型水槽であり、たとえば、家庭用の熱帯魚飼育鑑賞用のガラス張り水槽でもよいし、不透明な樹脂製容器でもよい。ミジンコの培養状況、培養液の水質およびエアバブルの発生状況を目視確認する観点から、透明な容器が好ましい。
培養槽10の隅部には、従来既知のエアレーション14が培養液の中に浸漬され、エアチューブ12を介して外部からエアレーション14にエアを供給し、エアレーション14から無数のエアバブルを発生し、培養液中にミジンコの培養に十分な酸素を供給するようにしている。
エアレーション14を取り囲むように、樹脂製水流抑制パイプ16が設けられ、水流抑制パイプ16は、培養槽10の隅部において、培養槽10の底面22から直立して配置され、培養液中でミジンコが成育可能なように、水流抑制パイプ16の上端18が液面から所定レベル下方に位置決めされる。
より具体的には、水流抑制パイプ16の径Dは、エアレーション14を非接触形態で取り囲むに十分な大きさであり、水流抑制パイプ16の長さDは、培養槽10の底面22から直立して上端18が培養液の液面から所定レベル下方に位置決めされる長さである。水流抑制パイプ16の上端18と培養液の液面との間隔Hは、エアレーション14から発生する無数のバブルが水流抑制パイプ16の上端18から培養液の液面近傍に達する際、液面近傍に水流が発生するところ、このような水流により培養槽10内にまんべんなく酸素が供給できるようにしつつ、このような水流によりミジンコへの物理的刺激を引き起こし、ミジンコが傷付き、あるいは死滅するのを防止する観点から決定する。
より詳細には、図1に示すように、ミジンコには走光性があり、LEDライトにより液面の上方から照らすことにより、ミジンコは液面に集まるが液面だけでなく、培養液中にもたくさん発生するところ、水流抑制パイプ16がないと、培養液の液面近傍だけでなく、培養液全体に水流が生じ、それにより、ミジンコが傷付き、あるいは死滅することから、水流抑制パイプ16の上端18と培養液の液面との間隔Hを適切に設定する。
なお、水流抑制パイプ16は、培養槽10の底面22から直立させずに、水流抑制パイプ16の外周面と培養槽10の内面とを吸盤等により吸着固定してもよい。
青水は、ユーグレナまたはスピルリナにより構成される。ユーグレナは、ミドリムシ綱ミドリムシ目に属する0.05mmほどの単細胞生物であり、スピルリナは、藻類の一種で、微細藻類藍菌門に属し、細胞内に核・ミトコンドリア・葉緑体・ゴルジ体など細胞質構造をもたないため細菌類と同じ原核生物に分類される。
本発明者の実験の結果によれば、青水の方が、グリーンウォーター(魚類を屋外で飼育することにより生成される)より水質の安定、ミジンコの栄養価ともにすぐれている。小魚を利用して作るグリーンウォーターでは、水質が安定しないことがあり、同品質のものを生成するのが困難であるという再現性の欠点を有する。
このような青水によれば、培養液中でエアレーション14を行っても、好気性菌餌により奪われた酸素によりミジンコが減少または植物性プランクトンが死滅するということがあるところ、光合成により植物性プランクトンを活性化し酸素量を補給する意義を有する。
照明手段20は、蛍光灯、白色光、LEDライトいずれでもよいが、培養液中でミジンコが成育可能なように、光量が調整可能となっているのがよい。すなわち、照明手段20からの光量の調整により、ミジンコの走光性を利用して、培養液中でミジンコが高密度となるゾーン(図1のZ)において、青水を構成するユーグレナの光合成作用を調整し、培養液中に供給される酸素の量を調整することが可能である。特に、いわゆる植物育成用LEDは、植物の発芽、成長、開花までの過程をサポートするライトとして、赤色と青色の光を組み合わせたものであり、光合成作用を促進する意味において、より好ましい。
照明手段20は、培養槽10の液面全体を照らすのでもよいし、液面の一部を照らし、培養液中においてミジンコの走光性に適した領域を形成するのでもよい。に採用されています導光板を使用した全く新しい植物
この場合、水流抑制パイプ16の上端18と培養液の液面との間隔Hは、培養槽10内の培養液の懸濁度およびLEDライトの光量との関係で、培養液の液面から下方の水流の弱いミジンコの高密度領域Zを生成可能なように設定される。
より詳細には、たとえば、ユーグレナまたはスピルリナによる光合成作用を優先する場合には、LEDライトの光量を強くする一方、培養液中でのミジンコの逃げ場を確保するために、培養液の懸濁度を増大するとともに、培養液中でのミジンコの逃げ場、すなわち、ミジンコの高密度領域Zにおいて、水流がなく酸素の行き届いた状態を確保可能なように、Hを設定するのがよい。
次に、好気性醗酵菌は、液状醗酵菌(液体発酵餌料)と固形状醗酵菌(固形発酵餌料)とからなり、培養液中でミジンコが成育可能な培養液の懸濁度を達成するように、液状醗酵菌と固形状醗酵菌との混合割合を調整する。好気性醗酵菌は、納豆菌、乳酸菌および酵母菌を含む。
液体発酵餌料の製法は、以下の通りである。
たとえば、ペットボトルを利用して、液体発酵餌料500ml を作る場合、原料は、納豆 1 粒、ヨーグルト 25g、ドライイースト 2g、糖蜜 25gおよび水道水 約450mlであり、これらをペットボトルに入れて、ヒーターにより、35℃から40℃の間の温度に保ち、
2日に一度程度、ガス抜きのために、ペットボトルのふたを開けガス抜きをすることにより、1週間から10日ぐらいで、液体発酵餌料が得られる。
固形発酵餌料の製法は、以下の通りである。
原料は、米ヌカ3.5kg、モミガラ 800g、液体発酵餌料希釈液(水:液体発酵餌料:糖蜜=98:1:1)であり、米ヌカ、モミガラおよび液体発酵餌料の希釈液をバケツなどに入れて混ぜ合わせ、蓋をして、できるだけ暖かく、温度変化の少ないところで発酵させ、甘酸っぱいにおいになったら完成である。冬は約3か月、夏場は約1か月で完成する。
一方、嫌気性複合菌は、光合成細菌であり、光合成細菌とは、光エネルギーによる同化を行う細菌の総称であり、分類群としては紅色細菌 (無硫黄)、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌に属する。
光合成細菌は、太陽エネルギーを利用して光合成を行い、硫化水素や有機酸などを分解してアミノ酸などを生成するとともに、空気中の窒素を固定する。光合成細菌は、商品として入手可能であり、たとえば、MKgroup株式会社から、農業、園芸用有機肥料をして販売されている。
嫌気性複合菌は、醗酵菌および酵母菌を含み、ミジンコの餌としても利用される。
1つの培養槽10でのミジンコの培養方法を、図2を参照しながら、以下に説明する。
まず、1日目は、培養槽10内にミジンコの成育環境である培養液を準備する。
具体的には、液体発酵餌料を青水に対して0.5%入れるとともに、植物育成用LEDを照射しエアレーション14を強めにかける。植物育成用LEDは青水を維持する効果があるとともに、光合成作用を促し、約1日そのままの状態にして青水中にエアーを充満させる。これにより、培養槽10内の培養液が数日間経過すると、液体が緑化し、青水が形成される。
従来からグリーンウォーター(小魚をいれて屋外で飼育したさいに出来上がる青水)の効果が証明されていたが、製造環境により品質が一定しなかったところ、ユーグレナとスピルリナを使用することにより確実且つ安定的な青水の製造が可能となる。
ここに、本発明者は、青水は、水質が安定してミジンコの良い餌となるだけでなく、亜硝酸濃度およびアンモニア濃度の上昇を抑制する効果を奏する点を確認しており、後に説明するように、2日目以降に、青水中に嫌気性複合菌を投入することにより、さらなる水質の安定が可能となる。
次いで、2日目は、種ミジンコを培養液中に投入する。その際、水流抑制パイプ16により、培養液中での水流を抑制し、ミジンコが傷付いたり、死滅することを防止しつつ、青水による光合成ととともに、亜培養液中にミジンコの培養に必要な十分な酸素を供給する。
具体的には、液体発酵餌料を0.2%投入するとともに、固形発酵餌料を培養液10リッターに対して1グラム程度を培養液中で絞り出し、さらに、嫌気性複合菌を0.3%投入する。エアレーション14の吹き出し口に嫌気性複合菌を供給することにより、嫌気性複合菌が培養槽内全体に及ぶので有利である。
好気性菌の発酵餌料により酸素量が低下すると嫌気性の嫌気性複合菌が活発に活躍し水質が浄化される。
発酵餌料の主要な材料は、納豆菌、乳酸菌および酵母菌であり、発酵が進むと菌は分裂して酸素を使い、そのため、一時的に酸素が欠乏した状態に陥ることから、嫌気性複合菌が活発に働く条件が形成される。
発酵餌料に含有される納豆菌は、培養液中の糞尿など由来のタンパク質を分解し、タンパク質は、そのままにしておくと腐敗して水質を悪化させるところ、分解されたタンパク質はアミノ酸へと変わる。乳酸菌は、病原菌の殺菌作用を有する。
酵母菌は、嫌気性複合菌により分解されたアミノ酸、および納豆菌が分解したアミノ酸(つまり糖分)を吸収し増殖し、増殖した酵母菌はミジンコの餌となる。
液体発酵餌料と固形発酵餌料とは、ミジンコへの餌の供給状況および培養液の懸濁度を調整する観点から使い分ける。
より詳細には、液体発酵餌料だけでは、酵母の量が少ない為、固形発酵餌料で餌となる酵母を補給する。
一方、培養液中でミジンコを培養可能なように、ミジンコの成育環境を形成するに十分な懸濁度が不足する場合には、固形発酵餌料を投入し、それでも不足する場合には、乾燥鶏糞を培養液中に微量投入し、固形発酵餌料のみで懸濁状態が続けば、乾燥鶏糞は入れる必要はない。時間経過とともに、固形発酵餌料だけで、培養液の懸濁度が減少し、透明化したら、乾燥鶏糞を添加して懸濁状態を確保するようにすればよい。
液体発酵餌料と固形発酵餌料とにおいて、従来のように、ドライイーストやパン酵母を使用せず、醤油粕を使う理由は、醤油粕には酵母以外に水質悪化を防げる有用成分が含有しているとともに、醤油粕は培養液の懸濁化機能も有する一方、ドライイーストやパン酵母には、酵母のみしか含有しておらず、培養液の水質を容易に悪化させてしまうからである。醤油粕は固形の発酵餌料に添加して揉みだすのがよい。
液体発酵餌料と固形の発酵餌料の成分は同じであるが、液体の方が手軽に使えるという利点がある。
嫌気性複合菌は、培養槽内において、発酵餌料の腐敗およびミジンコの死骸に起因する有害物質であるアンモニアや亜硝酸を分解して、無害なアミノ酸へ変え、それにより、培養液の水質が浄化され安定する機能を有する。一方、嫌気性複合菌はそれ自体でも、ミジンコの餌としての働きを有する。
培養液は、ヒーターにより、20度以上、好ましくは、20℃ないし25℃に維持するのが必要である。培養液の液温が上がるとミジンコの増殖率が上がる一方、液温が低いと、ミジンコが卵を体内に保持し続け大型化し、増殖サイクルが鈍くなる。この点、培養液の水質が良好で液温が高いと、ミジンコは大型化せずに増殖サイクルが速いことを確認している。ヒーターを用いれば、冬の室内でも安定してミジンコの培養が可能である。
以上の方法により、ミジンコは5日目ぐらいから増殖が確認でき、培養可能である。
本発明者は、毎日、一定量の嫌気性複合菌とユーグレナ・スピルリナの生菌を投入することにより、1か月以上の培養液の水質安定を確認した。嫌気性複合菌により培養液のアンモニア濃度および亜硝酸濃度の上昇を抑制し、それにより、培養液の循環ろ過や培養槽内の掃除等保守点検の必要性を省くことが可能である。
次に、複数の培養槽10を利用することによる、ミジンコの連続的な培養方法について説明すれば、概略的には、1つの培養槽を用いて、ミジンコの培養条件である酸素、餌および成育環境、特に培養液の水質を確保しながら、ミジンコを培養する際、ミジンコの数が増えすぎて、ミジンコの培養条件が満たされなくなった場合、次の培養槽において培養液を準備しておき、元の培養槽からミジンコを間引き、次の培養槽に移すことにより、元の培養槽において、ミジンコの培養条件が再び満たされて、ミジンコの培養が継続可能となるとともに、次の培養槽において、ミジンコの培養を開始し、以って、ミジンコを連続的に培養するものである。
より詳細には、以下の通りである。
図3に示すように、ステップ1において、培養槽10中に青水またはグリーンウォーターを充填して、培養液を準備する。
次いで、ステップ2において、種ミジンコを投入するとともに、ステップ3および4において、水流抑制パイプ16により培養液中での水流を抑制しながら、エアレーション14により酸素を供給しつつ、好気性醗酵菌および嫌気性複合菌を投入して、培養液に所望の懸濁度を達成する。液状醗酵菌と固形状醗酵菌との混合割合を調整することにより、培養液の所望懸濁度を達成する。これにより、ステップ5において、培養液中でミジンコが孵化し、培養液中の酸素および餌の必要量と、培養液の水質とが両立限界となる程度にミジンコが所定密度まで増大する。
すなわち、培養液中でのミジンコの密度が増大するにつれて、酸素および餌の必要量が大となる一方、培養液の水質が劣化する傾向となり、これ以上ミジンコの数を増やすと培養が困難となる状況に達する。
次いで、ステップ6において、ミジンコを間引き、間引かれたミジンコを培養液の準備段階(青水またはグリーンウォーターの充填)を経た次の培養槽10に投入する。
ミジンコを間引く際、ステップ7において、ミジンコを水洗して、ミジンコに付着した原生虫を除去して、次の培養槽10に投入する段階を有する。
より詳細には、次の培養槽にミジンコを移動する際、元の培養槽内には、淡水ワムシ、ゾウリムシ等他の原生生物がわいていることから、一度網に取ったミジンコを水に晒すことで、他の原生生物はミジンコよりも小さいことから、他の原生生物が篩い分けられ、ミジンコの培養を阻害する原生生物を除去することが可能である。網の目の粗さは、このような観点から定めればよい。
この場合、水洗によりミジンコから分別されたワムシを稚魚の生き餌として利用してもよい。ミジンコを間引く際、稚魚の生き餌としてそのまま供給するのでもよく、間引いたミジンコの一部を稚魚の生き餌として供給し、残りを次の培養槽に移して、種ミジンコとしてもよい。
次いで、次の培養槽10において、間引かれたミジンコを培養することにより、ミジンコを連続的に培養する。この場合、ミジンコを間引いた後、ミジンコの培養条件である酸素、餌および成育環境(特に、水質)が回復していることを条件に、元の培養槽10においてもミジンコを継続して培養してもよい。
培養液中に嫌気性複合菌を適宜投入することにより、同じ培養槽10を少なくとも1ヶ月用いて、ミジンコを培養することが可能である。
ステップ9において、元の培養槽10中の培養液の一部を次の培養槽10に利用する。その際、水の蒸発やミジンコを餌として間引くことにより減った水量に対しては、青水を足し水するのがよい。
ステップ10において、培養液の換水は約1か月に1度であるが、ミジンコが突然激減したりすることがあったら、その際は1か月経たずとしても換水のタイミングとなる。ミジンコの増殖率が低くなり、ミジンコ個体の大きさが大粒になってきたら、換水の時期である。
以上のステップを繰り返す、すなわち、現在の培養槽で培養するミジンコを間引くまでに、次の培養槽を準備しておくことにより、ミジンコを連続的に培養することが可能である。
この場合、元の培養槽10内のミジンコを間引いて、次の培養槽10に間引いたミジンコを投入する際、元の培養槽10が複数ある場合に、複数の培養槽10のいずれか1つまたは複数から間引くのでもよい。
以上のミジンコの連続的な培養方法によれば、一般的な12リットル水槽で約1か月のミジンコの培養が出来ている。生餌として与える量にもよるが、毎日10水槽の魚(メダカ)にミジンコを餌として十分に供給できている。メダカの成育ももちろん他のドライフードとは比べ物にならない位成長を遂げている。生餌のため水質を悪化させないため、メダカ水槽の水替え作業も激減した。
以上の構成を有するミジンコの培養セットによれば、培養槽10内の青水またはグリーンウォーターが、照明手段20により光合成作用を通じて培養液中に酸素を発生する一方、ミジンコの餌となるとともに、エアレーション14により培養液中に無数のエアバブルを発生して培養液中に酸素を供給しつつ、エアレーション14のまわりを囲むように配置された水流抑制パイプ16により、培養槽10中のミジンコを傷つけないようにし、さらに、培養槽10中の好気性醗酵菌がミジンコの餌となるとともに、好気性醗酵菌および/またはミジンコにより、培養槽10中の酸素が減少することにより、嫌気性複合菌が活発化して、腐敗した好気性醗酵菌あるいはミジンコの死骸に起因する培養液中のアンモニアおよび亜硝酸を分解可能であり、加えて、培養液に対する好気性醗酵菌の割合および照明手段20の光量を調整することにより、培養液の所望の懸濁度を達成して、培養液中にミジンコの走光性に適した領域を確保可能であり、小型室内培養槽10を用いながら、餌、酸素および成育環境を確保することにより、簡易かつ効率的にミジンコを培養することが可能である。
以上の構成を有するミジンコの連続的な培養方法によれば、培養槽10中に青水またはグリーンウォーターを充填して、培養液を準備してから、種ミジンコを投入することで、培養槽10内の青水またはグリーンウォーターが、照明手段20により光合成作用を通じて培養液中に酸素を発生する一方、ミジンコの餌となり、エアレーション14により培養液中に無数のエアバブルを発生して培養液中に酸素を供給しつつ、エアレーション14のまわりを囲むように配置された水流抑制パイプ16により、培養槽10中のミジンコを傷つけないようにし、さらに、培養槽10中の好気性醗酵菌がミジンコの餌となるとともに、好気性醗酵菌および/またはミジンコにより、培養槽10中の酸素が減少することにより、嫌気性複合菌が活発化して、腐敗した好気性醗酵菌あるいはミジンコの死骸に起因する培養液中のアンモニアおよび亜硝酸を分解可能であり、加えて、培養液に対する好気性醗酵菌の割合および照明手段20の光量を調整することにより、培養液の所望の懸濁度を達成して、培養液中にミジンコの走光性に適した領域を確保可能であり、それにより、培養液中でミジンコが孵化し、培養液中の酸素および餌の必要量と、培養液の水質とが両立限界となる程度にミジンコが所定密度まで増大する。
すなわち、ミジンコの培養液中の密度が所定密度まで増大すると、培養液中の酸素および餌の量が不足するとともに、嫌気性複合菌による培養液中のアンモニアおよび亜硝酸の分解が追いつかなくなり、培養液の水質の確保が困難な状態に達する。
その際、次の培養槽10中に青水またはグリーンウォーターを充填して、培養液を予め準備しておくことにより、元の培養槽10からミジンコを間引き、間引かれたミジンコを次の培養槽10に投入することにより、次の培養槽10において、間引かれたミジンコを培養することにより、ミジンコを連続的に培養することが可能であるとともに、ミジンコの元の培養槽10内の密度を減少することにより、培養液中の酸素および餌の量の不足が解消するとともに、嫌気性複合菌による培養液中のアンモニアおよび亜硝酸の分解が追いつき可能となり、培養液の水質維持に対するメンテナンスの負担を軽減しつつ、ミジンコを連続的に培養することが可能である。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、培養槽10として、たとえば、家庭で用いるような小型の屋内用水槽を用いるものとして説明したが、それに限定されることなく、本願発明のミジンコ培養セットおよびミジンコの連続的な培養方法は、ミジンコの培養事業用として大型の屋外用水槽を用いる場合にも有効である。この場合、屋外用水槽においては、屋内用水槽に比べて、天候の影響により、光合成作用が不十分となって酸素供給が不足したり、あるいは、培養液の液温が、夏場は40℃以上となったり、冬場は10℃以下となったりすることから、ミジンコの培養を確実かつ安定的に一年中行うのは、困難である。
たとえば、本実施形態において、ユーグレナまたはスピルリナにより生成する青水を培養液の基礎として用いたが、それに限定されることなく、エアレーション14のみによる酸素供給で十分な場合には、グリーンウォーターを用いてもよい。
たとえば、本実施形態において、培養資材として、青水、好気性醗酵菌および嫌気性複合菌を用いるものとして説明したが、それに限定されることなく、ミジンコの培養の仕方に応じて、たとえば、培養液の水質劣化が問題となる前にミジンコの間引きを予定する場合には、嫌気性複合菌を用いなくてもよく、また、たとえば、培養液の体積が非常に大きく、過剰な餌の培養液内での腐敗や、ミジンコの死骸による水質の劣化が問題となりにくい条件で培養を行う場合には、嫌気性複合菌を用いなくてもよい。
たとえば、本実施形態において、培養槽10の隅に、水流抑制パイプ16で取り囲んだエアレーション14を設置して、酸素を供給しつつ、ミジンコを傷付けないように水流を抑制するものとして説明したが、それに限定されることなく、たとえば、培養槽10が大型の場合には、培養槽10の四隅それぞれに、水流抑制パイプ16で取り囲んだエアレーション14を設置してもよい。
たとえば、本実施形態において、ミジンコ培養セットを用いて、ミジンコを連続的に培養するものとして説明したが、それに限定されることなく、ミジンコを水洗して間引くことにより、元の培養槽10において、培養液中に十分な酸素および餌を供給可能とするとともに、培養液中にミジンコの成育環境を回復しつつ、新たな培養槽10の培養液中にミジンコの培養の阻害要因である淡水ワムシ等の原生虫の混入を抑制する限り、ミジンコ培養セットを必ずしも用いなくてもよい。
本発明の実施形態に係るミジンコの培養セットの培養槽10を示す概略図である。 本発明の実施形態に係るミジンコの培養セットにおいて、ミジンコの培養条件に対する作用を示す概略図である。 本発明の実施形態に係るミジンコの培養セットを用いたミジンコの連続的な培養方法を示すフロー図である。
H 液面からのパイプの上端の距離
D パイプ径
Z ミジンコ高密度ゾーン
10 培養槽
12 エアチューブ
14 エアレーション
16 水流抑制パイプ
18 上端
20 LEDライト
22 底面

Claims (19)

  1. 培養液中で無数のエアバブルを発生するエアレーションと、該エアレーションのまわりを囲むように配置された水流抑制パイプと、上方から液面に向かって光を照射する照明手段とを具備する培養槽と、
    培養液を構成し、前記照明手段により光合成作用を通じて培養液中に酸素を発生するとともに、ミジンコの餌となる青水またはグリーンウォーターと、ミジンコの餌となる好気性醗酵菌と、培養液中のアンモニアおよび亜硝酸を分解可能な嫌気性複合菌とを具備する培養資材とを有することを特徴とするミジンコの培養セット。
  2. 前記青水またはグリーンウォーターは、魚類を屋外で飼育することにより生成されるか、ユーグレナまたはスピルリナにより構成される、請求項1に記載のミジンコの培養セット。
  3. 前記培養槽は、屋内配置用の小型水槽であり、前記水流抑制パイプは、小型水槽の隅部において直立に配置され、培養液中でミジンコが成育可能なように、前記水流抑制パイプの上端が液面から所定レベル下方に位置決めされる、請求項1に記載のミジンコの培養セット。
  4. 前記好気性醗酵菌は、液状醗酵菌と固形状醗酵菌とからなり、培養液中でミジンコが成育可能な培養液の懸濁度を達成するように、液状醗酵菌と固形状醗酵菌との混合割合を調整する、請求項1に記載のミジンコの培養セット。
  5. 前記好気性醗酵菌は、納豆菌、乳酸菌および酵母菌を含む、請求項4に記載のミジンコの培養セット。
  6. 前記嫌気性複合菌は、光合成細菌である、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のミジンコの培養セット。
  7. 前記嫌気性複合菌は、ミジンコの餌としても利用される、請求項6に記載のミジンコの培養セット。
  8. 前記照明手段は、LEDライトにより構成され、培養液中でミジンコが成育可能なように、光量が調整可能となっている、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のミジンコの培養セット。
  9. さらに、培養液を加熱するヒーターを有し、該ヒーターにより、培養液の温度を20℃ないし25℃に調整する、請求項1に記載のミジンコの培養セット。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の前記ミジンコ培養セットを用いて、ミジンコを培養する際、
    培養槽中に青水またはグリーンウォーターを充填して、培養液を準備する段階と、
    種ミジンコを投入するとともに、培養液中に水流を抑制しながら、エアレーションにより酸素を供給しつつ、好気性醗酵菌および嫌気性複合菌を投入して、培養液に所望の懸濁度を達成する段階とを有し、
    それにより、培養液中でミジンコが孵化し、培養液中の酸素および餌の必要量と、培養液の水質とが両立限界となる程度にミジンコが所定密度まで増大することを条件に、
    ミジンコを間引き、間引かれたミジンコを前記培養液の準備段階を経た次の培養槽に投入する段階を有し、
    次の培養槽において、間引かれたミジンコを培養することにより、ミジンコを連続的に培養することを特徴とするミジンコの連続的な培養方法。
  11. ミジンコを間引いた後、元の培養槽においてもミジンコを継続して培養する段階を有する、請求項10に記載のミジンコの連続的な培養方法。
  12. ミジンコを間引く際、稚魚の生き餌としてそのまま供給する段階を含む、請求項10または請求項11に記載のミジンコの連続的な培養方法。
  13. ミジンコを間引く際、ミジンコを水洗して、ミジンコに付着した原生虫を除去して、次の培養槽に投入する段階を有する、請求項10に記載のミジンコの連続的な培養方法。
  14. 水洗によりミジンコから分別されたワムシを稚魚の生き餌として利用する、請求項13に記載のミジンコの連続的な培養方法。
  15. 液状醗酵菌と固形状醗酵菌との混合割合を調整することにより、培養液の所望懸濁度を達成する段階を有する、請求項10に記載のミジンコの連続的な培養方法。
  16. 培養液中に前記嫌気性複合菌を適宜投入することにより、同じ培養槽を少なくとも1ヶ月用いて、ミジンコを培養する、請求項10に記載のミジンコの連続的な培養方法。
  17. 元の培養槽中の培養液の一部を次の培養槽に利用する段階を有する、請求項10に記載のミジンコの連続的な培養方法。
  18. 元の培養槽内のミジンコを間引いて、次の培養槽に間引いたミジンコを投入する際、元の培養槽が複数ある場合に、複数の培養槽のいずれか1つまたは複数から間引く段階を有する、請求項10に記載のミジンコの連続的な培養方法。
  19. 前記所定レベルは、前記培養槽内の培養液の懸濁度および前記LEDライトの光量との関係で、培養液の液面から下方の水流の弱いミジンコの高密度領域を生成可能なように設定される、請求項8に記載のミジンコの培養セット。
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