JP5907867B2 - 歯科補綴のための骨移植およびバイオ複合材料 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は、リン酸三カルシウムの顆粒および吸収性ポリマーまたはコポリマーを含む基材からできている骨移植片およびバイオ複合材料に関する。本発明は、とりわけ、歯科補綴の過程における骨および軟部組織病変の治癒を加速し、改善するための方法および組成物に関する。
(発明の背景)
骨インプラントの安定性は、その内方成長の性質に大いに依存する。歯科インプラントが働くには顎において十分な骨が存在しなくてはならず、骨はインプラントを保持および支持するのに十分強力でなければならない。深さまたは厚さに関して不十分または不完全な上顎または下顎の骨が存在する場合、歯科インプラントとの確実な組込みを提供するのに、歯科補綴において移植片が使用される。従来の移植片は、患者の自分の骨(自家移植片)、屍体からの処理加工した骨(同種移植片)、ウシの骨またはサンゴ(異種移植片)、および合成の骨様または骨擬態性の材料を含んでいる。
典型的な手順において、歯科または口腔の外科手術は、移植部位で顎骨を曝露するための保護歯周組織または歯肉に大きな組織片を作り出し、存在する骨中および骨上にいくつかのタイプのブロックおよびアンレーの移植片を装着し、最後に不要な感染を食い止めるための措置をとる。次いで、保護歯周組織を部位および移植部位にわたって縫合し、数週間または数カ月間治癒させる。治癒は、分化、遊走、付着、増殖、細胞外マトリックスの合成、および最後に石灰化などの複雑な連続する適応性の細胞反応を伴う。しかし、移植片またはインプラントの周囲の骨中への骨組込みは理解が不十分である。骨誘導および骨形成は極めて多量の成長因子を伴い、これらのプロセスに寄与すると言われている多数のさらなる分子が存在する。
骨形態形成タンパク質(BMP)は、骨形成を異所性に誘発することが知られている唯一の成長因子である。補充的投与量のBMPは、未分化の間葉細胞の骨芽細胞への分化を誘発することによって骨の治癒を後押しする。しかし、骨の移植片およびインプラントは、非常に自然のようである生存する血管骨をもたらす。US−A 5 478 237(Ishikawa)は、ヒドロキシアパタイトの層でコーティングされているインプラントを開示しており、WO 02/078759(Stratec Medical AG)は無構造でナノ結晶のリン酸カルシウムおよびヒドロキシアパタイトを含む多孔性の金属酸化物の層を有するインプラントを開示しており、WO 02/085250(KERAMED GmbH)は、吸収性のリン酸カルシウム相のコーティングが骨シアロタンパク質(BSP)、骨形成タンパク質(BMP)、フィブロネクチン、オステオポンチン(OPN)、ICAM−I、VCAMおよびこれらの誘導体などの接着およびシグナルのタンパク質を含んでいるインプラントを開示している。このタイプのさらなる移植片およびインプラントは、EP 1 166 804 A2(Merck、Darmstadt)およびWO 99/08730(Children’s Medical Center Corporation)において記載されている。DE 100 37 850 A1(Jenissen H)およびWO 03/059407 A1(Straumann Holding AG)は、ユビキチンまたはトランスフォーミング成長因子(TGF)またはオステオスタチン、骨形成性ペプチドおよび骨成長性ペプチド(OGP)などの全身性ホルモンで処置した移植片およびインプラントを記載している。US 7,229,545 B2(Biomet Deutschland GmbH)は、リン酸カルシウムで石灰化したコラーゲンマトリックスでできている骨類似性のコーティングを教示しており、EP 1 442 755 A1(Depuy Products)は骨形成性タンパク質OP−1、BMP−7および非コラーゲン性の骨基質タンパク質を含む生物活性のセラミックコーティングを教示している。骨形成性活性は、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン成長因子(IGF)および前述のファミリーメンバーに対してさらに報告されている。
WO 2005/104988(Armbrusterら)は、グリコシル化不十分のヒトrBSPで処理したインプラントおよび骨修復マトリックスを請求している。インプラントは、チタン、ジルコニウム、セラミック、金属合金またはステンレス鋼でできており、無構造または結晶のヒドロキシアパタイトおよび/またはリン酸カルシウムでコーティングされ得る。しかし、このような骨擬態性コーティングは、インプラントの長期間安定性に影響を及ぼす時間とともに基部から緩む傾向があるという不都合がある。
WO 03/047646(Inion Ltd.、Tampere、Finland)は、医用インプラントに適用され得る骨移植片を教示している。移植片またはインプラントは、吸収性のポリマーまたはコポリマーのマトリックスおよびN−メチル−2−ピロリン(NMP)を含む基材でできている。Reichhardtらは、European Cells and Materials、2006年、11巻(2)、27fにおいて、ポリグリコール酸およびポリ乳酸のコポリマーでコーティングされているβ−リン酸三カルシウム(β−TCP)の顆粒を含むバイオ複合材料を記載している。バイオ複合材料は、N−メチル−ピロリンと混合することによって配置用に成型可能に作製され得る。Nairらは、J.Biomater.Appl.、2006年、20巻、307−24頁において歯科用移植片およびインプラントを開示しており、この場合β−TCP顆粒はポリグリコール酸−ポリ乳酸コポリマーの熱融合によって一緒に保持される。β−TCP粒子は、間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化および増殖、ならびに骨の治癒を阻害すると記載されている。Wangらは、J.Orth.Res.、2002年、20巻、1175ffにおいて、金属磨耗粒子、ならびに作用し、広範囲の表面積に対するこのような種類の阻害を記載している。
US 6,458,763(Petersonら)は、損傷または罹患している骨および軟骨に対する生物活性組成物を請求している。生物活性組成物は、薬学的に許容されるベース、およびリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、石膏などの、生理学的な無機充填剤を含む送達ビヒクルによって投与される。頭頂隆起またはそれに隣接するラット頭蓋冠中に穴をあけ、14日間の期間にわたって浸透圧ポンプを用いて頭蓋冠の損傷の部位に生物活性組成物を汲み入れると、インビボで開けられた穴の周囲に骨組織の成長の誘導が観察される。投与方法および組成物は、明らかに歯科補綴に適さない。
WO 94/13310(Hoeoekら)は、有効成分として、スタヒロコッカスオーリウス(Staphylococcus aureus)の骨組織に対する付着および骨髄炎に対抗すると思われる競合ペプチドを含む組成物を請求している(Rydenら、1989年、Eur.J.Biochem.、184巻、331f頁)。
先行技術はそれにもかかわらず、歯科インプラントが、外科手術の間に導入される感染、または患者が正しい口腔衛生の日常作業にしたがわなかったことによって引き起こされるペリインプランティティス(peri−implantitis)と呼ばれる歯周の状態をしばしば生じるという問題を示している。インプランティティス(implantitis)は、外科手術前後の日々に抗生物質および特別な含嗽液の過程によって取り扱われ得るが、ペリインプランティティス、ならびに改善された傷および軟部組織の治癒の予防的処置がより望ましい。骨内インプラントの、無菌的な弛み、炎症反応および長期安定性は、さらに問題であり続ける。生物活性のコーティングにもかかわらず、外科手術と、骨移植片および骨内の歯の移植片およびインプラントが典型的な圧力、せん断、ずり応力および張力に持ちこたえることができるまでの骨組込みとの間にはかなりの期間が依然として存在する。
米国特許出願公開第5478237号明細書 国際公開第02/078759号 国際公開第02/085250号 欧州特許出願公開第1166804号明細書 国際公開第99/08730号 独国特許出願公開第10037850号明細書 国際公開第03/059407号 米国特許第7,229,545号明細書 欧州特許出願公開第1442755号明細書 国際公開第2005/104988号 国際公開第03/047646号 米国特許第6,458,763号明細書 国際公開第94/13310号
Reichhardtら、European Cells and Materials、2006年、11巻(2)、27f Nairら、J.Biomater.Appl.、2006年、20巻、307−24頁 Wangら、J.Orth.Res.、2002年、20巻、1175ff
本発明の一目的は、とりわけ、配置を容易にする移植材料、ならびに歯科補綴の経過において骨および軟部組織病変の治癒を促進するための方法および組成物を提供することである。
(発明の要旨)
この目的は、請求項1において請求するバイオ複合材料によって達成される。本発明のさらなる実施形態は従属項において開示される。
骨欠損治療および骨の新生のための本発明の骨移植片は、生分解性ポリマーおよびβ−リン酸三カルシウムの顆粒の複合材料であり、
少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する有機化合物、および非変性の条件下で得た生理学的有効量のグリコシル化不十分の組換えヒトBSPをベースとする分散液または溶液である骨誘導性混合物(グリコシル化不十分の組換えヒトBSPが、前記骨誘導性混合物中に、ヒト血清中に存在する定型的なヒトBSPよりも、カルシウム、ヒドロキシアパタイトおよび補体因子Hに対する親和性が低減した塩または複合体として存在する。)、ならびに場合によって薬学的に許容される賦形剤または担体を提供するステップ、
生分解性ポリマーまたはコポリマーでコーティングされている、β結晶型の二リン酸三カルシウム(Ca(POの顆粒をベースとする骨伝導性混合物、および、場合によって、薬学的に許容される賦形剤または担体を提供するステップ(該骨伝導性混合物は、成型および成形可能であり、外科手術または歯科補綴によって配置した場合に原位置で速やかに硬化する。)、および
前記骨誘導性および骨伝導性の混合物を、配置直前または配置の間に合わせて、骨の修復、ならびに損傷または罹患している組織および病変の治癒を促進する骨移植材料を得るステップ
によって得られる。
本発明の第2の態様において、骨誘導性ヒトBSPは、無血清条件下で成長した真核細胞から発現され、得られたグリコシル化不十分のヒトBSPである。
本発明の第3の態様において、グリコシル化不十分のヒトBSPは初乳または母乳から得られたものである。
本発明において用いられる有機化合物は、少なくとも1つの環窒素含有塩基性基を有する有機化合物が好ましい。前記有機化合物は、生分解性ポリマーまたはコポリマーの分散剤および可塑剤の両方であり得るのが好ましく、N−イソプロピルピロリドン、N−メチルピリミジン、N−エチルピリミジン、N−メチルピロリドン(1−メチル−2−ピロリドン)、N−エチルピロリドン、N−プロピルピロリドン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、1−(2−アミノエチル)−ピペラジン、2−(1−ピロリジル)エチルアミン、4−アミノ−2−メトキシ−ピリミジン、2−ジメチルアミノ−エタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、2−メルカプト−ピリミジン、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、4−(2−アミノ−エチル)−ピリジン、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール、4−(アミノエチル)ピリジン、N,N−ジアリル−メラミン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、1−(3−アミノプロピル)−イミダゾール、4−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−イミダゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールからなる群から選択され得る。
本発明のさらなる一態様において、前記生分解性ポリマーまたはコポリマーは、ポリグリコリド、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ(L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリジオキサノン、ポリ乳酸ポリマー、ポリグリコール酸ポリマー、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマー、ポリ−ヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリチロシンカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリペプチド、ポリデプシペプチド、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリ無水物(polyanhydrides)、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリシアノアクリレート、ポリフマレート、ポリ(アミノ酸)、修飾多糖、修飾タンパク質およびそれらのコポリマー、ターポリマーまたはそれらの混合物もしくはポリマーブレンドからなる群から選択される。
本発明の別の一態様は、直径300から800μm、好ましくは400から700μmを有する、リン酸三カルシウム(Ca(POのコーティングされている顆粒を好ましくは含むことができる、歯科補綴において使用するための骨伝導性組成物に関する。本発明のバイオ複合材料が、50体積パーセントを超えるβリン酸三カルシウムの顆粒、1つ以上の生分解性ポリマーおよびコポリマーを含む10から40体積パーセントの間のポリマーベース、0.5から10体積パーセントのバイオ複合材料の可塑性および作業性を増大させる、BSPの溶媒または分散剤としての第1の骨誘導性混合物を含み得るのが好ましい。前記複合材料は、1から200μg/mL(w/v)複合材料の量のヒトrBSPを含み得る。好ましくは、前記骨誘導性混合物は、硬化前に1から200μg/mL(w/v)の量のヒトrBSPを含み得る。
本発明によると、前記生分解性ポリマーは、その組成が乳酸50から80パーセントおよびグリコール酸20から50パーセントである、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマーであってよい。前記PLA:PGAコポリマーは、約25,000と約1,000,000との間の選択された重量平均分子量範囲を有することができる。骨移植材料が、硬化後に1GPaと約100GPaの間のヤング率を有するのが好ましい。
本発明のさらなる一態様は、
少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する有機化合物および生理学的有効量のグリコシル化不十分の組換えヒトBSPをベースとする分散液または溶液である骨誘導性混合物を提供するステップと、
顆粒が生分解性ポリマーまたはコポリマーでコーティングされている、β結晶型の二リン酸三カルシウム(Ca(POの顆粒をベースとする骨伝導性混合物を提供するステップと、
前記骨誘導性および骨伝導性の混合物を合わせて、最初に成型および成形可能であり、外科手術または歯科補綴によって配置した場合に原位置で硬化する複合材料を得るステップとを含む骨誘導性および骨伝導性を有する骨移植片を調製する方法に関する。
骨移植材料を、少なくとも1つの窒素含有塩基性基および生理学的有効量のグリコシル化不十分の組換えヒトBSPを有する有機化合物をベースとする分散液または溶液と合わせるステップを含む、傷および軟部組織病変の治癒を促進する性質を有する骨移植材料を提供する方法。
本発明は、上記で規定したバイオ複合材料の投与または使用を含む、傷および軟部組織病変の治癒を促進する方法をさらに含む。適用または使用は、前記バイオ複合材料を、組織の骨格、顆粒状骨移植代替材料、2相軟骨インプラント、体重支持骨インプラント、非体重支持インプラントおよび低体重支持インプラントまたは固定装置、ビョウ、ピン、ネジ、骨アンレーおよびフィルムからなる群から選択されるインプラント装置に形成することを含み得る。
本発明は、吸収性ポリマー(1つもしくは複数)またはコポリマー(1つもしくは複数)のポリマーマトリックス、N−メチル−2−ピロリン(NMP)および好ましくは縫合材料としてデザインされている、薬学的有効量のヒトrBSPを含む傷治癒の性質を有する吸収性ポリマー組成物にさらに拡張する。本発明は、NMPおよびヒトrBSPの溶液が、再手術または手術後にインプラントもしくは傷に添加または適用される、治療方法にも拡張する。
本発明の原理は、基体、スペーサーブッシング(spacer bushing)底部または基本要素およびスペーサーブッシング上部またはリング部材からなるスペーサーアセンブリーからなるインプラントにとりわけ有用である。基体には、雌螺を有する内孔(internal bore)が提供される。上部端または終端に近接する基体はくぼみを有し、くぼみは停止段部(stop shoulder)を提供するように孔よりも直径が大きい。軸のねじれを防ぐための手段を提供するために、セラミックの歯がネジ止めされ得るように、停止段部には、均一に、周囲に間隙のある、ポケットをかみ合わせるくぼみが提供される。
次に、本発明、その特徴および利点を添付の図面を参照して例示によってのみ記載する。
本発明のバイオ複合材料を調製するためのステップを示す模式図である。 ヒトrBSP/NMPおよび生物吸収性ポリマーでコーティングされているβ−TCP顆粒を含むバイオ複合材料の調製を示す写真である。 ヒトrBSP/NMPおよび生物吸収性ポリマーでコーティングされているβ−TCP顆粒を含むバイオ複合材料の調製を示す写真である。 ヒトrBSP/NMPおよび生物吸収性ポリマーでコーティングされているβ−TCP顆粒を含むバイオ複合材料の調製を示す写真である。 本発明のバイオ複合材料の外科手術の配置および原位置での硬化を示す写真である。 本発明のバイオ複合材料の外科手術の配置および原位置での硬化を示す写真である。 本発明のバイオ複合材料の外科手術の配置および原位置での硬化を示す写真である。 配置部位(患者女性、73歳)、および手術1日後、手術3日後の傷の治癒を示す写真である。 配置部位(患者女性、73歳)、および手術1日後、手術3日後の傷の治癒を示す写真である。 配置部位(患者女性、73歳)、および手術1日後、手術3日後の傷の治癒を示す写真である。 配置部位(患者女性、73歳)、および手術1日後、手術3日後の傷の治癒を示す写真である。 手術2.5カ月後、ならびにインプラントおよび歯科前の状況を示す、エックス線CTである。 手術2.5カ月後、ならびにインプラントおよび歯科前の状況を示す、エックス線CTである。 手術2.5カ月後、ならびにインプラントおよび歯科前の状況を示す、エックス線CTである。 例示の歯科後の傷の治癒および骨の再生を示す写真である。 例示の歯科後の傷の治癒および骨の再生を示す写真である。 例示の歯科後の傷の治癒および骨の再生を示す写真である。 例示の歯科後の傷の治癒および骨の再生を示す写真である。 例示の歯科後の傷の治癒および骨の再生を示す写真である。 例示の歯科後の傷の治癒および骨の再生を示す写真である。 外科手術12週後の本発明による、配置したrhBSP/TCP−バイオ複合材料から取った骨検体(DS64−長さ1.2cm)を示す顕微鏡写真である。厚さ2から3マイクロメートルの組織切片を、Masson−Goldnerのトリクローム染色、またはトルイジンブルー、またはエオジンと対にしたヘマトキシリンで染色。 外科手術12週後の本発明による、配置したrhBSP/TCP−バイオ複合材料から取った骨検体(DS64−長さ1.2cm)を示す顕微鏡写真である。厚さ2から3マイクロメートルの組織切片を、Masson−Goldnerのトリクローム染色、またはトルイジンブルー、またはエオジンと対にしたヘマトキシリンで染色。 外科手術12週後の本発明による、配置したrhBSP/TCP−バイオ複合材料から取った骨検体(DS64−長さ1.2cm)を示す顕微鏡写真である。厚さ2から3マイクロメートルの組織切片を、Masson−Goldnerのトリクローム染色、またはトルイジンブルー、またはエオジンと対にしたヘマトキシリンで染色。 やはり配置12週後に取った、別のrhBSP/TCP−バイオ複合材料インプラントからの骨検体(D78−長さ0.5cm)を示す顕微鏡写真である。調製、固定およびMasson−Goldnerのトリクローム染色、またはトルイジンブルー、またはエオジンと対にしたヘマトキシリンで染色。 やはり配置12週後に取った、別のrhBSP/TCP−バイオ複合材料インプラントからの骨検体(D78−長さ0.5cm)を示す顕微鏡写真である。調製、固定およびMasson−Goldnerのトリクローム染色、またはトルイジンブルー、またはエオジンと対にしたヘマトキシリンで染色。 外科手術3カ月のrhBSP/TCPバイオ複合材料から取った、第3の組織検体(D59−長さ0.6cm)を示す顕微鏡写真である。調製、固定およびMassonのトリクローム染色、トルイジンブルーまたはエオジンと対にしたヘマトキシリンで染色。 外科手術3カ月のrhBSP/TCPバイオ複合材料から取った、第3の組織検体(D59−長さ0.6cm)を示す顕微鏡写真である。調製、固定およびMassonのトリクローム染色、トルイジンブルーまたはエオジンと対にしたヘマトキシリンで染色。
(発明の詳細な記述および好ましい実施形態)
図1を参照すると、本発明の骨移植片またはバイオ複合材料は、a)β−リン酸三カルシウムの顆粒および生分解性のポリマーまたはコポリマーをベースとする基材(A)を、(i)第1に生分解性ポリマーもしくはコポリマーの可塑剤であり、第2にpKI4.0を有する酸性タンパク質と塩を形成することができる少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する1つ以上の有機化合物、ならびに(ii)実質的に純粋な活性ヒトrBSPを含む分散液または溶液である第1の組成物(B)、ならびに(c)場合によって、薬学的に許容される賦形剤または担体と合わせて、(c)活性なヒトrBSPの塩、少なくとも1つの塩基性窒素基を有する可塑剤、生物吸収性ポリマーまたはコポリマー、および成型可能であり、配置後に原位置で速やかに硬化するβ−TCPの顆粒を含むバイオ複合材料(C)を得るステップによって得られる。言及した通り、成型可能なバイオ複合材料(C)は、外科手術または歯科補綴によって配置され得、配置後に血液および水(D)の作用により原位置で速やかに硬化する。硬化後、硬化したバイオ複合材料(D)は、β−リン酸三カルシウム骨格の顆粒、および生分解性のポリマーまたはコポリマー中に埋め込まれた活性ヒトrBSPの塩を含む。
インプラントが成功する秘訣は、依然として最初の治癒のプロセスである。本発明の骨移植材料は、骨誘導性および骨伝導性であり、さらに速やかに再吸収されずに軟部組織、とりわけ損傷し罹患している結合組織の治癒を促進する。換言すると、骨移植材料は血管形成性であるが、硬化したβ−リン酸三カルシウム骨格の生物吸収性は、それが骨形成と平行して進行するように調節され得るので、線維芽細胞および結合組織細胞の移入に対する物理的バリアも提供する。本発明のバイオ複合材料は、したがって、巨視的に歯科インプラントに対する初期の物理的支持を提供し、微視的に骨系の細胞に対する骨格および骨の石灰化に対する核を提供する。さらに、これは血管形成および傷の治癒を促進し、線維性癒合を阻害する。
本発明の成型可能なバイオ複合材料は、生物吸収性ポリマー中に含まれている可塑剤が周囲の体液(血液、血清、水、痰)中に希釈されて出る場合に速やかに固化する生物吸収性のポリマーまたはコポリマーでβ−結晶型のリン酸三カルシウムの顆粒がコーティングされているので、配置後速やかに物理的および機械的性質を有する。
上記で言及した通り、成分(A)を最初に、本発明にしたがって生物吸収性のポリマーまたはコポリマーに対する可塑剤と合わせて、配置の間に成型可能な基材を作製する。可塑剤または分散剤(B)は、pKI4.0を有する、ヒトrBSPなどの酸性糖タンパク質に対する担体および生理学的共イオンとして同様に機能することができるように、窒素含有塩基性基を有する化合物の群から選択される。可塑剤は、自らを、ポリマーまたはコポリマーの鎖の間に埋め込み、これらの間隔を離し、「自由体積」を増大し、ポリマーまたはコポリマーのガラス転移点を低下させることによって作用する。本発明の適切な可塑剤および生理学的共イオンは、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、1−(2−アミノエチル)−ピペラジン、2−(1−ピロリジル)エチル−アミン、4−アミノ−2−メトキシ−ピリミジン、2−ジメチルアミノエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトベンゾ−イミダゾール。N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、4−(2−アミノエチル)−ピリジン、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール、4−(アミノエチル)ピリジン、N,N−ジアリルメラミン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、1−(3−アミノプロピル)−イミダゾール、4−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−イミダゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールである。適切な化合物は、2から14のpKa値、好ましくは5から14の、最も好ましくは5から12のpKa値を有する非反応性の塩基性基によって特徴づけられる。pKa値は表から得られ得る。上記に示す限界値は25℃におけるpKa値の測定値を意味する。インビトロにおける骨芽細胞の成熟およびインビボにおける骨の再生を増強することが知られている1−メチル−2−ピロリドン(NMP=CAS数。872−50−4;N−メチルピロリドン、1−メチルピロリドン、N−メチル−α−ピロリドン、1−メチルアザシクロペンタン−2−オン、N−メチル−γ−ブチロラクトン(butyrolactone))の使用が最も好ましい(Miguelら、2006年、Europ.Cells&Materials、11巻、補完2:5)。しかし、この活性の根底にある生物学的メカニズムは依然として分かっていない。
本発明の生物吸収性および生体適合性のポリマーは、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)PLGAまたはポリ(乳酸−co−グリコール酸)の酸性コポリマーであるのが好ましい。PLGAは、グリコール酸および乳酸の環状二量体(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)の開環共重合によって合成される。重合化の間、グリコール酸または乳酸の連続的な単量体単位がエステル結合によって一緒に連結され、直鎖状の脂肪族のポリエステルを生成物として生じる。重合化に用いられるグリコリドに対するラクチドの比率に応じて、様々な形態のPLGAが得られる。その組成が乳酸75%およびグリコール酸25%であるコポリマーを特定するPLGA75:25が、最も好ましい。PLGAのガラス転移点は、40℃から60℃の範囲にあり、やはり存在する可塑剤またはNMPの量に依存する。乳酸のホモポリマー(ポリラクチド)およびグリコール酸のホモポリマー(ポリグリコリド)と異なり、PLGAは、テトラヒドロフラン、アセトンまたは酢酸エチルなどの溶媒によって溶解され、したがって、βリン酸三カルシウムの粒子などの粒子状の材料上に容易にコーティングされ得る。
PLGAは、エステル連結の加水分解によって水の存在下で分解して単量体の乳酸およびグリコール酸を生成し、これらは体内の様々な代謝経路に入ることができるので、生体材料の適用にPLGAを用いることに付随する全身性の毒性は存在しない。PLGAの分解に必要とされる時間は、単量体の比率に部分的に依存する。PLGA50:50は約2カ月以内にインビボで速やかに分解され、エステルでエンドキャップされているポリマーはより長い分解半減期を有する。乳酸の純粋なポリマー(PLA)、グリコール酸の純粋なポリマー(PGA)およびこれら2つの物質の様々な比率のコポリマー間の分解の比率における違いは、炭素−14およびトリチウムで標識したポリマーでできているインプラントを用いて、ラットおよび他の哺乳動物において熱心に研究されている。様々なポリマーおよびコポリマーの半減期は、インプラントの領域、ならびに肝臓、脾臓、腎臓、肺からの組織中に存在する放射能から計算され、もちろん各時間間隔に対する実験を通して回収された尿および糞便中に存在する放射能から計算された。ポリマーおよびコポリマーの半減期は、100%PGAに対して5カ月から、50:50PGA:PLAコポリマーで1週間に低減し、100%PLAでは6.1カ月に速やかに増大した。軟部組織または骨において、分解の速度における違いは観察されなかった。尿、糞便または他の組織試料において著しい放射能は検出されなかった。これらの試験から、インプラントの分解速度のコントロールは、PLAおよびPGAの組成を、PLAを75%と100%との間に、それに伴いPGAを対応する25%から0%に変化させることによって最も達成され得ると結論付けることができる。これは、2週間から6カ月のインプラントの半減期の範囲をもたらす。したがって、このような生分解性ポリマーが最も好ましい。
別の生物吸収性のポリエステルは、その分解がPLGAの分解より遅いため、長期間埋め込み型装置に用いられ得るポリカプロラクトンである。ポリカプロラクトン(商品名Resilon(商標))は、組織修復では骨格および歯科補綴では根管充填として研究されている。一般的に、生分解性ポリマーは、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリチロシン−カーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリペプチド、ポリデプシペプチド、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリ無水物、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリシアノアクリレート、ポリフマレート、ポリ(アミノ酸)、修飾多糖、修飾タンパク質、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、またはそれらの混合物もしくはポリマーブレンドからなる群から選択され得る。ポリマーマトリックスが、ポリグリコリド、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ(L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリジオキサノンおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、またはそれらの混合物もしくはポリマーブレンドからなる群から選択されるのが好ましい。
本発明の骨伝導性構造成分は、リン酸三カルシウム(TCP)である。TCP骨格が非常に速やかに分解する場合、線維性癒合が開口にわたって骨の修復なしに生じる。骨格内に孔または経路がほとんど存在しない場合、骨の再生はとりわけ遅い。TCPの純度は、骨の形成および生体適合性の両方に影響を及ぼし、β−結晶型のTCP(β−TCP)が骨格として最も好ましい。骨格が宿主の骨芽細胞および間葉細胞の移入を可能にしなければならないので、直径約200から400μmの平均孔サイズおよび100から200μmの経路を介して相互接続されている孔が好ましい。しかし、多孔性のβ−TCPは機械的性質が弱く、インビボで速やかに分解する。これは幾分弱い機械的性質を意味する。本発明のβ−TCPは、したがって、速やかな分解を避けるために、相が純粋なβ−結晶型を得る温度で焼結されたものであるのが好ましい。本発明によると、骨格は、それゆえ、生分解性のポリマーでマイクロコーティングされており、約100から5000μmの、好ましくはより小型の骨空洞の充填には200から700μmの、大型の骨空洞(例えば、切除後の空洞)には500から1500μmの、ポリマーコーティングされているTCP顆粒に対して取扱いが良好であるように形成されている、β−TCPの、細密な、相純粋な粒子であるのが好ましい。非常に大型のポリマーコーティングされているβ−TCP顆粒が、形成外科および再建外科におけるより大型の骨置換のための骨伝導性骨格として用いられ得る。
活性のヒトrBSPを、β−TCP骨格の顆粒上にコーティングされている生物吸収性ポリマー中に埋め込む可塑剤と混合することによって、活性なヒトrBSPが、硬化後であっても骨電導性の環境においてその骨伝導性活性を遂行することができる骨擬態性の材料中に組み込まれる。使用される活性なヒトrBSPはグリコシル化不十分であり、ポリマーまたはコポリマー中に埋め込まれているのが好ましいので、補体因子Hによる非活性化をさらに回避し、骨の石灰化に対する核を形成することができる。ヒトrBSPは、可塑剤によって生物吸収性ポリマーおよび/またはコポリマー中にさらに埋め込まれ、その結果生物吸収性ポリマーまたはコポリマーの生物吸収と平行して放出される。要約すると、ヒトrBSPの長期間の活性は、(i)生理学的な包接化合物または錯塩の、可塑剤の塩基性窒素との形成によって、(ii)未熟な石灰化および補体因子Hに対する結合からそれを防ぐ生物吸収性ポリマーまたはコポリマーにおける物理的組み入れによって、ならびに(iii)グリコシル化不十分のヒトrBSPは、補体因子Hによって定型的なの骨細胞からの完全にグリコシル化されているヒトBSPよりもさほど効率的に非活性化されないので、そのグリコシル化不十分によって、得られる。したがって、組換えヒトrBSPは無血清培地中で培養された細胞から得たものでなければならない。それにもかかわらず、ヒトrBSPは、骨の石灰化およびリン酸カルシウム沈澱に対するインビボの核であり続ける。したがって、本発明は、損傷した骨および結合組織の修復のためのヒトrBSPを含む移植片組成物を包含する。導入において言及した通り、ヒトの骨のシアロタンパク質は、オステオカルシンおよびオステオネクチンの他に、骨の細胞外マトリックスにおける主要な非コラーゲン性タンパク質である。
リンカーおよびリンカー−タグによって骨格またはポリマー−バックボーンに連結している、骨活性のrBSPを有することがさらに企図される。しかし、ヒトBSPはシステイン残基を含んでいない。ヒトBSPは高度の負の荷電を所有し(pI=4.0)、そこで強力な陰イオン交換HPLCを最初に用いてBSP複合体を単離する。したがって、可塑剤の塩基性基は同様の結合性の効果を発揮することがある。
本発明者らはあらゆる理論によって拘泥しようとするものではないが、本発明の組成物における酸性ヒトrBSPは骨誘導性および生体内鉱質形成性の両方の効果を有し、骨芽細胞および破骨細胞の骨移植材料に対する接着および走化性の遊走を促進する。本発明者らの所見は、ヒトrBSPの包接化合物または錯塩および塩基性の可塑剤が生分解性ポリマーまたはコポリマー中に含まれる場合、場合によって支持体または賦形剤とともに、とりわけ軟部組織および傷の治癒に関して相乗的な活性を有することを支持している。各成分は生物学的活性を有し、組み合わせることで有用な血管形成および骨伝導性の効果をもたらす。提供されるガレニック形態(galenic form)は、規定された一致した順序で血管形成活性および骨形成活性が必要とされる手術部位に容易に投与され得る、生分解性ポリマーおよび無機質の支持体の顆粒の混合物をベースとする。ヒトrBSPは傷の治癒および骨形成における補助だけではないという強力な証拠が存在する。ヒトrBSPはまた、歯科手術の経過において炎症およびインプランティティスを阻害する。本発明のバイオ複合材料におけるTCP骨格は、バイオ複合材料およびヒトrBSPはその骨伝導性効果を完全に発達させ、骨の再生を促進することができるように、最終的に線維性癒合および内皮の内方成長に対抗する一時的な機械的バリアを提供する。生分解性ポリマーは、ヒトrBSPの埋め込み、および活性型におけるゆっくりとした放出のこの関係において必要とされる。
インビボでBSPの発現は初期の骨の石灰化と一致し、BSPは大腿骨インプラント上にコーティングされる場合に骨誘導性であることが示されていた(OToole GCら、2004年、J Orth Res、22巻、641−646頁)。同様の効果が、骨形成タンパク質OP−1、BMP−7、様々な他の非コラーゲン性骨基質タンパク質、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン成長因子(IGF)および前述のファミリーメンバーに対してやはり報告されている。しかし、これらの生物活性分子の骨の活性は推測にすぎない、というのはこれらの骨結合性活性はインビトロでもインビボでも測定され得ないからである。
しかし、本発明のバイオ複合材料は、抜歯部位、または骨再生および軟部組織の治癒が必要とされる部位に、直接配置され、硬化され得る。より小さな抜歯の場合には、半硬化したバイオ複合材料が周囲の保護歯周組織のレベルで切断され得、その結果軟部組織と骨移植材料との間に最小の間隙だけを有する平滑表面が得られる;図4A−Cを参照されたい。次いで、骨移植材料は1日または2日内に治癒するが(図4Dを参照されたい)、軟部組織は骨移植材料に付着している。したがって、保護歯周組織内の組織片はより小さく、手術全体は患者にとってそれほど重いものではあり得ない。より小さな歯科インプラントの場合、インプラントの部位にわたって保護歯周組織を縫合する必要ももはやない;図4Cを参照されたい。
破骨細胞および骨芽細胞の骨基質に対する接着と一緒に、BSPは内皮細胞の接着、播種および配向、ならびに血管の形成にさらに関与する(Bellahceneら、2000年、Circ.Res.、86巻(8)、885−91頁)。しかし、線維性癒合および内皮の内方成長は、さらなる骨がイノッサル(enossal)移植片の物理的支持に必要とされるインプラントの部位では望ましくない。これは、本発明によって、バイオ複合材料中にβ−TCPの顆粒を有することによって実現される。それにもかかわらず、ヒトrBSPは炎症反応を抑制し、関与するタンパク質、すなわちインターロイキンIL−6、IL−8、RANKL、オステオプロテゲリン(OPG)などの放出を変調する。
本発明は、間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化を促進し、必要とされる骨の再生および骨芽細胞の増殖の部位への骨芽細胞の遊走を誘発し、最終的に骨の石灰化のための核を提供する新規な骨移植片および複合材料を提供する。多数のタンパク質が、骨形成の性質、特にコラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよび天然の細胞外マトリックスタンパク質の混合物に対して研究されている(Sodekら、J、2000年、Peridontol.、24巻、99−126頁;Meyer U ら、1998年、J Mater Sci −Mater Med、9巻、301−307頁;Lacouture MEら、2002年、J Bone Miner.Res、17巻、481−492頁;Salih Eら、2002年、Biochem J.、364巻、465−474頁)。機械的に緊張させた骨芽細胞の支持的接着において、I型コラーゲン、フィブロネクチンおよびビトロネクチンを比べると、付着に利用可能な分子の数が制限されている場合、緊張の抵抗性を支配する主要な因子は数々のインテグリン−細胞外マトリックスの付着であったことが明らかにされた(Lacouture MEら、2002年、J Bone Miner Res、17巻、481−49220頁)。このように、これらのタンパク質を本発明のバイオ複合材料中に組み入れることも企図されている。
先行技術において、初期の治癒プロセスにおける生理学的改善を得るのに利用可能な手段は存在しない(Lekic Pら、1996年、Anat Rec、244巻、50−58頁)。これは、生物模倣型の移植材料のいかなる大きな表面積も、細胞増殖の遅れをもたらすからである。インビボで生物学的機能を発揮することができ、補助因子Hまたは石灰化のいずれかによって非活性化されないが、BSPの沈着がインビボで骨形成の最初のステップを表すような、BSPの投与に利用可能な方法または組成物はさらに存在しなかった(Riminucci Mら、2003年、Braz J Med Biol Res、36巻、1027−1036頁)。さらに、BSPは骨の修復において骨誘導性であり、重大な欠損において治癒を実現することが見出された(Wang MLら、2002年、J Orth Res、20巻、1175−1184頁;Wang Jら、2004年、J Bone Miner.Res.、19巻、221頁、抄録)。このように、誘導性薬剤によってBSPの発現を誘導するように努力がなされてきた(Chouら、2005年、Biomaterials、26巻、285−29529頁)。しかし、これらの努力は結局成功しなかった。
BSPは、間葉系幹細胞および骨芽細胞に対するその分化および増殖の可能性を低減する、ある種の細胞外成熟を受けることが推測され得る。いくつかの研究グループは、補体の溶解の代替経路を制限することが知られている補体系の因子HにBSPが高親和性で結合するので、BSPは栄養膜およびBSP生成性腫瘍細胞を免疫系による攻撃から保護すると仮定さえしている(Fedarkoら、J. Biol. Chem.、200、275巻、16666−16672頁;WO 00/062065)。しかし、BSPは、認識配列であるアルギニン−グリシン−アスパラギン酸RGDによってインビボでインテグリン受容体に特異的に結合することが証明されている。RGD認識配列のα(v)β(3)インテグリン受容体に対する結合は、内皮細胞の接着、播種および配向はBSPによって媒介されるという観察のために、BSPは骨基質の形成および傷治癒における事象の中心にある。さらに、腫瘍周囲の血管形成は、腫瘍細胞におけるBSP発現と平行して生じる(Bellahceneら、2000年、Circ.Res.、86巻(8)、885ff)。しかし、「遊離のBSP」は高親和性で補体因子Hによって結合されており、その結果先行技術の組成物によるBSPのあらゆる投与はその生理学的機能を発揮することができなかった。150kDaの因子Hの大型分子は、抗体または受容体が結合することができない程度に小型のBSP(およそ65kDa)に結合する。さらに、因子Hは血清中に過剰に存在する(健康人の場合BSPが血清1mlあたり<20ngであるのに比べて、1mLあたり因子H0.5mg)。
しかし、本発明者らのデータは、低濃度のグリコシル化不十分のヒトrBSPは、間葉系幹細胞の分化および骨芽細胞の初期の付着を誘発するのに十分であることを示している。これは、大型の表面材料または外来材料が骨細胞の分化および定着を遅らせないように、グリコシル化不十分のヒトrBSPを生分解性のポリマー中に組み入れることによって実現される。しかし、本発明のグリコシル化不十分のヒトrBSPは依然として高度に酸性であり、ヒドロキシ基およびリン酸カルシウムと反応し、沈澱する。グリコシル化不十分のヒトrBSPコーティングを塩基性溶媒および生物吸収性ポリマー用の可塑剤中に溶解することによって、BSPタンパク質が生物学的機能をもはや発揮することができない状態にBSPタンパク質を維持すると思われる。グリコシル化不十分のヒトrBSPは、その孔が好ましくは10から1000μmの、より好ましくは20から500μmの、最も好ましくは50から200μmの直径サイズを有するβ−TCPの顆粒でできている骨格中に組み入れられるのが最も好ましい。換言すると、骨移植片の石灰化された、または骨性の骨組込みは、骨芽細胞が付着し、移植材料の孔中に実際に成長した場合に実現され得る。このように、孔は、好ましくは10から1000μmの、より好ましくは20から500μmの、最も好ましくは50から200μmの直径サイズを有さなければならない。グリコシル化不十分のヒトrBSPは、好ましくは1から100μg/mLの、好ましくは10から50μg/mLの濃度で本発明の組成物中に含まれる。
本明細書以下に記載する本発明の実施例および実施形態は、限定的なものとして、または他の方法で限定的なものとして解釈されるべきではなく、むしろ本質における例示としてのみ解釈されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲において規定されている。
本実験において用いられる手順は全て倫理委員会によって認可された。1964年のヘルシンキ宣言の規則(NIH出版、第86−23、1985年改定)にしたがった。
実施例1−骨誘導性ヒトrBSPとの血管形成性混合物の調製
グリコシル化不十分のヒトrBSPを、Wuttkeらによって記載されている方法にしたがって単離した(Wuttkeら、2001年、Structural characterization of human recombinant and bone−derived bone sialoprotein.、J Biol Chem、276巻、36839−36848頁)。簡潔に述べると、ヒトBSPに対する完全なcDNA(シグナルペプチドなし)をPCRによって増幅し、エピソームの真核生物発現ベクターpCEP−Pu中にクローニングした(Kohfeldt Eら、FEBS Lets.、1997年、414巻(3)、557−61頁における、Properties of the extracellular calcium binding module of the proteoglycan testican)。発現構築物を、リポソームが媒介する安定なトランスフェクションによって、胚性腎細胞系EBNA−293またはヒト乳癌細胞MCF−7中に導入した。FCS中のタンパク質が発現されたrBSPと反応し、組換えBSPの精製を妨げないように、一過性の細胞を、無血清培地中2日間トランスフェクションした48時間後に培養した。次いで、BSP発現性細胞を無血清条件下で培養した。組換えヒトBSPの発現を、SDS−PAGEおよび免疫ブロットによってモニタリングした。
トランスフェクトした細胞の無血清培養上清2.5リットルを、Sepharose(商標)カラムによって精製し、そこから得られたのは均一な組換えHis−myc−EK−BSP(ヒトrBSP)250μgであった。ヒトrBSPを部分的にグリコシル化し、スレオニン125にはグリコシル化はなかった。ヒトrBSPのアミノ酸配列は、88位(NTT)、161(NCT)、166位(NST)および174位(NGS)に4つのN−グリコシル化部位を含んでいる。同定されたN−グリカン構造は全て、組換えEBNA−293BSP上に両方とも見出すことができた。しかし、N−グリカン全体におけるそれぞれの構造のパーセンテージ比率において違いが存在した。骨からのBSP N−グリカンの主な割合はアンテナ3本の構造(58%)であり、EBNA細胞系においてアンテナ4本の構造(48%)であった。MALDA−TOF質量分析によってペプチドの質量を決定し、ペプチドの一部分をPSD−MALDI−TOF質量分析によって配列決定した。これらの中で、ヒトrBSP配列DATPGTGにおけるスレオニンをO−グリコシル化する。ヒトの骨から単離したBSPでは、第3のO−グリコシル化がもたらされた。組換えBSPでは、第3のグリコシル化部位は存在しない。おそらく、このグリコシル化部位はTGLAA−BSP部分構造上にある。
無血清条件下で培養した細胞から単離したヒトrBSP250μgを、次いで凍結乾燥し、N−メチルピロリン5mL中に溶解して、血管形成活性および骨誘導性活性を有するヒトrBSP(50μg/mL)を含む塩基性溶液を得た。
実施例2−骨伝導性を有する成型可能な骨移植片およびバイオ複合材料の調製
骨移植片および骨伝導性材料として、DS DENTAL Degradable Solutions AG (Schlieren−Zurich、Wagistrasse、スイス)の市販のEasy Graft(商標)「スペースホルダー」材料が用いられた。バイオ複合材料はβ−結晶相の純粋なリン酸三カルシウム(TCP)の顆粒を含んでいた。TCP−材料を顆粒に圧縮し、本実施例において、顆粒は500μmから630μmの直径を有し、50パーセントを超える微孔質および約5μmの平均孔サイズを有する分画が用いられた。配置を促進するために、硬質の顆粒材料が、規定された量の可塑剤を加えることによって配置に対して成型可能であり得るように、市販のEasy Graft(商標)スペースホルダー材料を、生分解性PLGAポリマーの10μmの層でさらにコーティングする。
実施例3−骨誘導性、骨伝導性および血管形成性を有するバイオ複合材料およびスペースホルダーの調製
本発明のバイオ複合材料を、β−TCPのPLGA−コーティングした顆粒(DS DENTAL Degradable Solutions AG、Schlieren−Zurich、Wagistrasse、スイスのEasy Graft(商標)「スペースホルダー」材料)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびヒトrBSP50μg/mLを含む塩基性の有機可塑剤溶液で、5秒から1分間の間、硬化した顆粒状のTCP−材料が流動性になり、生分解性のPLGA−コーティング内に埋め込まれている多座配位のヒトrBSP−NMP錯塩の液状の包接化合物が得られるように穏やかに振盪しながら、浸漬し、含浸することによって調製した。生分解性のPLGAは、TCPチャネルおよび孔内の、さらに顆粒内間隙および凹部内の圧縮されたTCP材料の表面に位置するので、ヒトrBSP NMP錯塩の包接化合物は、それによって顆粒状のβ−TCP材料内にやはり安置されていた。その結果、β−結晶相の純粋なリン酸三カルシウム(TCP)の顆粒、生分解性のPLGAポリマー、ならびにNMPおよび生物学的に活性なヒトrBSPの安置された包接化合物からなるバイオ複合材料が得られた。バイオ複合材料は、配置の間に成型可能であり、配置後、2分以内に過剰のNMPが水および血液中に拡散することによって原位置で硬化した。バイオ複合材料の成分は、好ましくは、得られた硬化したバイオ複合材料が、硬化後β−TCP/PLGA材料(EasyGraft(商標)スペースホルダー)1ミリリットルあたり約20μgのヒトrBSPを含むと予想された比率で混合された。
顆粒状のTCP材料との混合は、シリンジ装置またはアンプルによって体外で(図2A、Bを参照されたい)、代わりにTCP材料の一部分が原位置の成型用に配置されている場合は原位置で(図2C)のいずれかで行われた。
実施例4−外科手術
図4A−Kは歯科外科における、および骨形成のためのバイオ複合材料の適用を記載するものである。臨床上、治癒時間、とりわけ軟部組織の治癒は50%速く、完全であることが判明し、インプランティティスの積極的な阻害ならびに組織および傷の治癒の活性化と一致して進行した。成型用の可塑剤としてNMPを有する定型のEasy Graft(商標)材料と比較して、傷の治癒における反応時間は実際に半減し(50%)、骨材料の産生は倍加する。骨密度測定を行って、BSP/NMPが加速する軟部組織および硬組織の治癒を定量する。インプラント直後に取ったインプラント(バイオ複合材料)のバイオプシーは、BSP誘導性の新しく形成した骨材料は、天然の骨組織と組織学的に区別することができないことを示唆しており、これにより、観察される再生の加速および天然の病変の治癒と一致して、骨芽細胞の観察される速やかな移入および天然の骨の石灰化プロセスが確認される。
図4Aは、歯科外科前の患者(女性、73歳)の歯科および骨の状況を示すエックス線である。図4Bは、予め形成したヒトrBSP/NMB(顆粒状のTCP/PLGA1mLあたりヒトrBSP/NMP50μg)の混合物を含浸させ、それを含む、成型可能な骨移植片(EasyGraft(商標))の配置を示す。最終の硬化の前に過剰の顆粒状の移植片を除去(切断)し、保護歯周組織の組織片を手操作で圧縮し、縫合せずに閉じた。図4Cおよび4Dは、手術1日後および3週間後の臨床状況を示す。高齢の患者にしては最初の傷の治癒が加速し、軟部組織の治癒が短期間で完了することに留意されたい。図4EおよびFは、埋め込み2.5カ月後のエックス線およびCTであり、1113HUのクレスト領域(crestal region)において新しく形成した骨を示す。新しく形成した骨の隣接面間レベルに留意されたい。図4Gは、歯科インプラント(スクリュー)が配置される方法を示す。図4HからNは、以下の歯科のステップの例、すなわち、位置決め装置の配置(4H)、出血点の配置(4I)、インプラント部位の骨の外側圧力圧縮(4K)、位置決め後のインプラント(4L)を示す。幅(3mm)および乳頭突起を保存するための隣接面間距離(>3mm)に留意されたい。仮の(4M)および最終の歯科溶液(4N)。
とりわけ、図4Cから4Fは、顆粒状のTCP移植材料をヒトrBSPで処置した場合の組織および傷の治癒の加速を確認するものである。図4Eは、軟部組織の速やかな治癒は骨移植材料の骨誘導性および骨形成性を阻まず、または妨害せず、rBSPは生分解性ポリマー中に埋め込まれた場合、その骨誘導性活性を十分に発揮し、発展させ得ることをさらに確認するものである。
実施例5−後に配置したバイオ複合材料の組織学的検査
本発明のバイオ複合材料を、抜歯後配置し、外科手術12週後に骨検体(長さ−D68:1.2cm;D78:0.5cm;D59:0.6cm)を取った。トレパン(trepan)核を脱水し、2から3マイクロメートル厚の組織切片に切断した組織試料を含むポリマー化樹脂材料および硬化したブロック中に埋め込んだ。組織切片を、マッソン三色染色法(Masson−Goldener)、トルイジンブルー、およびエオジンと対にしたヘマトキシリンで普通染色するために顕微鏡用スライドガラス上に搭載する。
マッソン三色染色法において:核は黒色、細胞質−赤色/桃色、赤血球−赤色、コラーゲン線維および軟骨−青色/緑色、筋肉繊維−赤色。
H&E普通染色(エオジンと対にしたヘマトキシリン)において、核、核酸およびERは青色、細胞質−桃色、赤血球−橙色/赤色、弾性繊維、細網繊維およびコラーゲン繊維−桃色。
トルイジンブルーでの普通染色において、核および核酸、原形質、赤血球およびコラーゲン線維は青色で、肥満細胞顆粒は低pHのため紫色。
図5に関して、検体(Masson−Goldner染色)の切片DS64(Dunnschnitt #64)の全体像は、10倍の倍率下で骨組織の重要な内方成長を示し、いくつかの外来の顆粒状材料(β−TCP顆粒)が見える。DS64/01−03の視野上で骨新生が優勢であり、外来材料の比率は少ない。より高倍率の視野では、DS64/04は初期段階の層状の骨形成を示し(たった12週後で!)、層状の骨の形成の初期の開始を示している。通常、層状の骨は、およそ9カ月後にこのような種類の検体においてのみ検出され得るにすぎない。視野DS64/05−07は、外来材料の単離されているゾーンを示すが、いくつかの位置では重要な骨新生の明らかな徴候が存在する。DS64/08−10の顕微鏡視野は、様々な倍率でのH&E染色に基づくものである。顕微鏡視野は、初期段階の新しく形成された層状の骨を示しており、高倍率では周辺部分における骨芽細胞の鎖を示している。視野D64/11−13はトルイジンで染色したものである。上首尾の再生および新しく形成された骨材料がトレパン核内に見出され得る。
図6に関して、検体DS78の全体像は、トレパン核内に骨新生があまりないことを示している。高倍率では編組み状の骨の徴候が存在する。顕微鏡視野DS78/11−13を参照されたい。このように、編組み状の骨の層状の骨への成熟が起ころうとしている。
図7に関して、および検体DS59に関すると、トレパン核の左端の全体像(DS59−9)は、外来材料の痕跡がいくつかあるだけの広範囲に及ぶ骨の再構築および重要な骨新生を示している。トレパン核の右端の全体像(DS59−06)は、同様に、重要な骨新生および骨の再構築を示している。新しく形成された骨材料は層状のタイプであり、顕微鏡視野DS59/07上に見られ得る。これは非常に活動的な新生を意味する。視野DS59/09は血管新生および脈管新生の島、すなわち線維芽細胞、骨芽細胞および結合組織の形成、ならびに骨の再構築および骨新生の全ての徴候を示している。
要約すると、検体64および59は初期の発生および非常に優勢な骨新生を示している。検体78は骨の形成が少ないことを示している。全ての場合において、組織学は、頑強な新しい編組み状および層状の骨の形成を明らかにしており、残りの外来材料は最小の痕跡にすぎなかった。このように、本発明の新しいバイオ複合材料は、加速された再建を経験しており、骨の再構築および骨の形成を誘発していると思われる。
実施例6−破骨細胞に対するヒトrBSPのインビトロ活性
破骨細胞の活性化および分化は、骨芽細胞からのRANKLの発現およびOPG(オステオプロテゲニン)の発現に依存する。OPGは、RANKLの活性に対抗し、破骨細胞の分化を阻害すると思われる。ヒト一次骨芽細胞をインビトロでヒトrBSPとインキュベートし、上清中のOPGおよびRANKLの発現をELISAおよびリアルタイムPCRで決定すると、ヒトrBSPは一般的に、破骨細胞からのRANKLの発現を抑制し、OPGの放出を刺激したことが見出された。RANKL/OPGの割合の増加は破骨細胞の活性化を意味し、これは本発明のバイオ複合材料の骨誘導性を説明し得る。

Claims (14)

  1. 生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーの可塑剤であり、かつpKI4.0を有する酸性タンパク質と塩を形成できる少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する有機化合物と、生理学的有効量の、非変性の条件下で得られるグリコシル化不十分の組換えヒトBSPとをベースとする、分散液もしくは溶液である骨誘導性混合物、または該骨誘導性混合物および薬学的に許容される賦形剤もしくは担体を含む骨誘導性組成物および
    生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーでコーティングされた、β結晶型の二リン酸三カルシウム(Ca(PO)の顆粒をベースとする骨伝導性混合物、または該骨伝導性混合物および薬学的に許容される賦形剤もしくは担体を含む骨伝導性組成物を含有する、
    成型および成形可能な、生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーとβ−リン酸三カルシウムの顆粒との複合材料である、骨欠損治療および骨の新生のための骨移植材料であって、
    生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーの可塑剤であり、かつpKI4.0を有する酸性タンパク質と塩を形成できる少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する、該有機化合物が、N−メチルピロリドン(1−メチル−2−ピロリドン)であり、
    該グリコシル化不十分の組換えヒトBSPが、125位のスレオニンがグリコシル化されていない組換えヒトBSPであり、およびヒト血清中に存在する定型的なヒトBSPよりも、カルシウム、ヒドロキシアパタイトおよび補体因子Hに対する親和性が低減した塩または複合体として、該骨誘導性混合物中に存在し、
    骨移植材料が、外科手術または歯科補綴によって配置した場合に原位置硬化する、前記骨移植材料。
  2. グリコシル化不十分の組換えヒトBSPが、無血清条件下で成長した真核細胞由来である、請求項1に記載の骨移植材料。
  3. 生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーが、ポリグリコリド、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ(L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリジオキサノン、ポリ乳酸ポリマー、ポリグリコール酸ポリマー、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマー、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリチロシンカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリペプチド、ポリデプシペプチド、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリ無水物、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリシアノアクリレート、ポリフマレート、ポリ(アミノ酸)、修飾多糖、修飾タンパク質およびそれらのコポリマー、ターポリマー、またはそれらの混合物もしくはポリマーブレンドからなる群から選択される、請求項1または2に記載の骨移植材料。
  4. 骨伝導性混合物が、歯科補綴において使用するための、直径300μmから800μmを有する、コーティングされたリン酸三カルシウム(Ca(PO)の顆粒を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の骨移植材料。
  5. 骨伝導性混合物が、歯科補綴において使用するための、直径400μmから700μmを有する、コーティングされたリン酸三カルシウム(Ca(PO)の顆粒を含む、請求項に記載の骨移植材料。
  6. 複合材料が、
    50体積パーセントを超えるβ−リン酸三カルシウムの顆粒;
    1つ以上の生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーを含む、10から40体積パーセントの間のポリマーベース;および
    バイオ複合材料の可塑性および作業性を増大させ、およびBSPの溶媒または分散剤としての、0.5から10体積パーセントの第1の骨誘導性混合物;
    を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の骨移植材料。
  7. 複合材料が、10から200ng/mL(w/v)複合材料の量のヒトBSPを含む、請求項1からのいずれか1項に記載の骨移植材料。
  8. 骨誘導性混合物が、硬化前に10から200μg/mL(w/v)の量のヒトBSPを含む、請求項1からのいずれか1項に記載の骨移植材料。
  9. 生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーが、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマーであり、その組成が、50から80パーセントの乳酸、および20から50パーセントのグリコール酸である、請求項1からのいずれか1項に記載の骨移植材料。
  10. 生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーが、25,000と1,000,000の間の重量平均分子量範囲を有するポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマーである、請求項1からのいずれか1項に記載の骨移植材料。
  11. 硬化後に1GPaと100GPaの間のヤング率を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の骨移植材料。
  12. 生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーの可塑剤であり、かつpKI4.0を有する酸性タンパク質と塩を形成できる少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する有機化合物と、生理学的有効量のグリコシル化不十分の組換えヒトBSPとをベースとする、分散液または溶液である骨誘導性混合物を提供するステップ;
    生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーでコーティングされた、β結晶型の二リン酸三カルシウム(Ca(PO)の顆粒をベースとする骨伝導性混合物を提供するステップ;および
    前記骨誘導性混合物および前記骨伝導性混合物を合わせて、複合材料を得るステップ;
    を含む、骨誘導性および骨伝導性を有する骨移植材料の作製方法であって、
    生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーの可塑剤であり、かつpKI4.0を有する酸性タンパク質と塩を形成できる少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する、該有機化合物が、N−メチルピロリドン(1−メチル−2−ピロリドン)であり、
    該グリコシル化不十分の組換えヒトBSPが、125位のスレオニンがグリコシル化されていない組換えヒトBSPであり、
    該複合材料が、外科手術または歯科補綴によって配置した場合に、最初は成型および成形可能であり、原位置で硬化する、前記作製方法。
  13. 生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーとβ−リン酸三カルシウムの顆粒との複合材料である骨移植材料を、生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーの可塑剤であり、かつpKI4.0を有する酸性タンパク質と塩を形成できる少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する有機化合物および生理学的有効量のグリコシル化不十分のヒトBSPをベースとする分散液または溶液と、合わせるステップを含む、傷および軟部組織病変の治癒を促進する性質を有する骨移植材料を提供する方法であって、
    生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーの可塑剤であり、かつpKI4.0を有する酸性タンパク質と塩を形成できる少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する、該有機化合物が、N−メチルピロリドン(1−メチル−2−ピロリドン)であり、
    該グリコシル化不十分の組換えヒトBSPが、125位のスレオニンがグリコシル化されていない組換えヒトBSPである、前記方法。
  14. 生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーでコーティングされたβ結晶型の二リン酸三カルシウム(Ca(PO)の顆粒の複合素材である、成型および成形可能な、骨欠損治療および骨の新生のための骨移植材料であって、
    少なくとも1つの窒素含有塩基性基を有する有機化合物とグリコシル化不十分の組換えヒトBSPとの塩または複合体が、該生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーに埋め込まれており、
    該有機化合物は、pKI4.0を有する酸性タンパク質と塩を形成することができ、および該生分解性ポリマーおよび/またはコポリマーに対して可塑性を有する、N−メチルピロリドン(1−メチル−2−ピロリドン)であり、
    該グリコシル化不十分の組換えヒトBSPが、125位のスレオニンがグリコシル化されていない組換えヒトBSPであり、およびヒト血清中に存在する完全にグリコシル化されている定型的なヒトBSPよりも、カルシウム、ヒドロキシアパタイトおよび補体因子Hに対する親和性が低減しており、および、
    該骨移植材料は、治癒が必要とされる部位に配置後、該有機化合物が水および/または血液に拡散して、原位置で硬化する骨移植材料。
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