JP5903156B2 - 細胞培養容器、それを用いた細胞培養装置および細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養容器、それを用いた細胞培養装置および細胞培養方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5903156B2
JP5903156B2 JP2014501927A JP2014501927A JP5903156B2 JP 5903156 B2 JP5903156 B2 JP 5903156B2 JP 2014501927 A JP2014501927 A JP 2014501927A JP 2014501927 A JP2014501927 A JP 2014501927A JP 5903156 B2 JP5903156 B2 JP 5903156B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell culture
cell
culture container
electrode
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014501927A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013128630A1 (ja
Inventor
広斌 周
広斌 周
亮介 高橋
亮介 高橋
明子 久田
明子 久田
浩 園田
浩 園田
志津 松岡
志津 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Publication of JPWO2013128630A1 publication Critical patent/JPWO2013128630A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5903156B2 publication Critical patent/JP5903156B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/02Form or structure of the vessel
    • C12M23/12Well or multiwell plates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M25/00Means for supporting, enclosing or fixing the microorganisms, e.g. immunocoatings
    • C12M25/06Plates; Walls; Drawers; Multilayer plates
    • C12M25/08Plates; Walls; Drawers; Multilayer plates electrically charged
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/0062General methods for three-dimensional culture

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Clinical Laboratory Science (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、培養容器を用いて動物細胞を培養し、細胞の球状組織(三次元組織)の細胞スフェロイドを形成する技術に関する。
近年、細胞工学の発展および再生医療に注目が集まっており、生体外で適切な形で培養した細胞を、治療応用および医薬品開発のシミュレーターとして使用する試みが活発に行なわれている。これらの目的において、培養される細胞は各種臓器機能の担い手である実質細胞が中心であるが、一般に生体外で実質細胞の機能を維持した状態で長期の培養を行なうことは困難であり、この点を解決するための様々な試みがなされている。
その一例として、多数の細胞を三次元的に凝集させた状態を作って培養を行なうスフェロイド培養系は、細胞極性および細胞間相互作用の維持という観点から、生体外における優れた実質細胞培養系である。これまでに骨芽細胞、肝細胞など、多種類の細胞に適用した様々な報告がある。中でも肝細胞のスフェロイド培養は、人工肝臓に適用できる可能性、また生体外における薬物代謝シミュレーターに応用できる可能性などがあることから、これまでに数多くの報告例がある。
ここで細胞スフェロイド培養は生体外における優れた実質細胞培養系であるが、難点として、細胞にダメージを与えずにスフェロイド化させる手法、およびスフェロイド化した細胞を維持する簡便な手法が確立していないことが挙げられる。
主な細胞スフェロイド形成の手法として、(1)物理的な力(培養液の撹拌など)で細胞を強制的に浮遊状態に保ち、細胞同士の接着確率を高める方法(非特許文献1)、もしくは(2)細胞培養表面の改質、あるいは培養容器の形状により、スフェロイド化を促進する方法(非特許文献2)が存在する。
Wu et al.Biotech.Bioeng.50(1996)pp.404−415 Yamauchi et al.J.Reprod.Dev.47(2001)pp.165−171 H.Pohl:Dielectrophoresis,Cambridge University Press,Cambridge(1978)pp.60−70
従来技術で述べた手法で形成された細胞スフェロイドは、器材からの剥離性が高く、培地交換の過程で失われる、サイズ制御できず品質を維持することが困難であるという課題がある。またさらに、細胞の自己組織化による細胞スフェロイドの形成に時間がかかる、形成した細胞スフェロイドのハンドリング性が低いという課題を有している。
そこで本発明は、細胞操作に有効な誘電泳動を用い、細胞三次元組織の細胞スフェロイドを、均一かつ効率的に形成することができる細胞培養容器を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、例えば請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明の細胞培養容器の一例を挙げるならば、細胞培養空間を形成する底面基板、側面基板および上面基板と、前記細胞培養空間内の細胞を細胞スフェロイド形成領域に誘電泳動力により誘導する誘導機構を有し、前記誘導機構が、前記細胞培養空間に不均一電界を発生する電極を有するものである。
本発明の細胞培養容器において、前記電極を有する誘導機構が、側面基板の周方向に設けた複数対の電極から成るものでよい。
また、本発明の細胞培養容器において、前記電極を有する誘導機構が、前記底面基板に設けた複数の突起の表面に形成した導電成膜の電極と、前記上面基板に設けた電極から成るものでよい。
本発明の細胞培養装置は、上記の細胞培養容器と、前記誘導機構の電極に交流を印加する交流電源から成るものである。
また、本発明の細胞培養方法は、上記の細胞培養容器を用いて、前記電極に交流を印加することにより、細胞培養空間内の細胞を細胞スフェロイド形成領域に誘電泳動力により誘導するものである。
本発明によれば、細胞三次元組織の細胞スフェロイドを、均一かつ効率的に形成することが可能となる。さらに、電気力線のイオン誘導効果により細胞外マトリックスの形成を促進し、より速く細胞スフェロイドを形成することができる。
本発明の実施例1に係る細胞培養容器の一構成例を示す図である。 図1の細胞培養容器の断面を示す図である。 交流電界の周波数とクラウジウス・モソッティ数の実部Re[K]の関係を示す図である。 本発明の実施例1に係る細胞培養容器の他の構成例を示す図である。 電極間の細胞の等価回路を説明する図である。 細胞培養プレートの構成を示す図である。 本発明の実施例2に係る細胞培養容器の構成例を示す図である。 本発明の実施例3に係る細胞培養容器の構成例を示す図である。 本発明の実施例3に係る細胞培養容器の他の構成例を示す図である。
本発明の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有する要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
以下の実施例では、細胞操作に有効な誘電泳動を用いたスフィロイド作製培養容器について詳述するが、理論としての前提について、以下に説明する。下記の説明に用いる理論はあくまで一例であり、これに限るものではない。
誘電体粒子に働く誘電泳動力FDEPは、以下の式1で与えられる(非特許文献3)。以下、誘電体粒子が細胞である場合を例として説明する。
Figure 0005903156
ここで、a:球形近似したときの細胞の半径、ε:真空の誘電率、ε:培地の比誘電率、E:電界強度であり、∇は勾配を表す演算子である。この場合、∇Eは、電界強度の二乗Eの勾配なので、その位置でどれだけEが傾斜をもっているか、つまり電界が空間的にどれだけ急に変化をするかを意味する。また、Kはクラウジウス・モソッティ数と呼ばれ、式2で表される。ここで、ε およびε はそれぞれ、細胞および培地の複素誘電率を表す。Re[K]は、クラウジウス・モソッティ数の実部を表すと定義すると、Re[K]>0は正の誘電泳動を表し、細胞は電界勾配と同方向、つまり、電界集中部に向かって泳動される。Re[K]<0は負の誘電泳動を表し、電界集中部から遠ざかる方向、すなわち弱電界部に向かって泳動される。
Figure 0005903156
一般に複素誘電率ε は式3で表される。
Figure 0005903156
ここで、ε:細胞あるいは培地の比誘電率、σ:細胞あるいは培地の導電率、ω:印加電界の角周波数を表す。式1、式2、式3から、誘電泳動力は、細胞の半径、クラウジウス・モソッティ数の実部および電界強度に依存することがわかる。また、クラウジウス・モソッティ数の実部は、培地および細胞の複素誘電率、電界周波数に依存して変化することがわかる。
本発明の実施例1に係る細胞培養容器の一構成例を、図1および図2に基づいて説明する。図1は細胞培養容器の平面図、図2は、図1のA−A’断面図である。
図において、1は細胞培養容器の天井基板、2は細胞培養容器の底面基板、3は細胞培養容器の側面基板である。5A、5B、6A、6Bは細胞培養容器の側面基板に設けた細胞を誘導する電極である。また、4A、4Bは細胞凝集体を固定する電極である。8は培養容器の内部空間で、細胞7が含まれた培地で充満している。9と10は交流電源、11は電極対4A,4B間のインピーダンスを計測するインピーダンス計測装置である。12Aは電極5A、5B、6A、6B間の電気力線、12Bは電極4A、4B間の電気力線を示す。
上述の天井基板1および底面基板2は、ガラス、シリコン、石英、またはプラスチック類およびポリマー類等の絶縁性の固体基板を基材として形成することが可能である。より望ましくは光学顕微鏡等での観察が可能な程度の光透過性を有し、さらに底面基板2は細胞を表面に付着させないように、前処理により基板の表面改質を行うことができる材質を備えることが望ましい。
電極には、白金、金、クロム、パラジウム、ロジウム、銀、アルミニウム、タングステン、ITOの何れか1つ、またはこれらの組み合わせの材料を用いることができる。
細胞培養、特に動物細胞培養には、イオンリッチの高導電率培地(1000mS/m以上)が一般的に使われている。図3は、交流電界の周波数とクラウジウス・モソッティ数の実部Re[K]の関係を示す図である。培地の導電率が1000mS/m以上になると、誘電泳動が周波数10Hz以内において全て負の誘電泳動になることがわかる。つまり、細胞は電界集中部から遠ざかる方向、すなわち弱電界部に向かって泳動される。なお、誘電泳動力は、Re[K]の大きさに比例するため、印加周波数は100〜10MHzが望ましい。
本実施例の細胞誘導機構電極は、図1に示すように、4つの電極5A、5B、6A、6Bの中央部に弱電界部を形成している。そのため、高導電率培地中の細胞がこの弱電界部に移動して凝集することができる。なお、上記実施例では、誘導機構電極の形状について円形状を説明したが、四角形や多角形などの形状でもよいことは言うまでもない。また、電極数を4つで説明したが、4つ以上の偶数電極でもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、図1に示すような弱電界部を形成させる電極形状であれば、高導電率培地中の細胞を負の誘電泳動力によって弱電界部に移動させること、または固定することができる。さらに、細胞スフェロイドの形を制御するために、図4に示すような多層式誘導電極5A1、5A2、5A3、6A1、6A2、6A3、5B1、5B2、5B3を設けてもよい。この細胞培養容器において、各層の電極に異なる交流電界を印加し、各層に発生する強さの異なる誘電泳動力により細胞凝集体の形を制御することができる。例えば、中央部の電極5A2、6A2、5B2に、上側および下側の電極5A1、5A3、6A1、6A3、5B1、5B3に対して弱い交流電界を印加することにより、上側及び下側から中央部に細胞を移動させ、球状の細胞凝集体を作成することができる。ここでは、3層電極について説明したが、2層または4層以上の電極でもよいことは言うまでもない。
以下、本発明の細胞培養容器を用いた細胞スフェロイド形成のフローについて、図1および図2を用いて説明する。
培養容器の培養空間8に細胞7を播種する。細胞播種後、COインキュベータを用いて、5%CO、37℃の条件下で、まず図1の交流電源9より細胞誘導電極5A、5B、6A、6Bに交流電界を印加する。その結果、従来法の細胞自己組織化や重力による凝集化に比べ、負の誘電泳動力によって細胞が速やかに培養容器の中央部に集まり、細胞の凝集体になる。次に、そのまま培養することにより、細胞間接着構造あるいは細胞外マトリックスが形成されて、細胞スフェロイドが形成される。この時点で交流電源9を切る。ここから培地交換を行なう。図2に示すように、培地交換時、細胞スフェロイドを固定するために、交流電源10から電極4A、4Bに交流電界を印加する。その結果、負の誘電泳動力により電極4B側に固定された細胞スフェロイドは、培地交換時に流されることがなく、培養容器内に保持される。一定期間の静置培養より、大きさの揃った球状の三次元組織が形成される。これは、本来保持している細胞の活性を失わせることがないと考えられるため、細胞アッセイ等に有効な培養方法である。
また、電気力線12A、12Bは、細胞間イオンの移動を促進する効果があるため、周期的に細胞スフェロイドに印加することによって、細胞外マトリックスの形成を促進することが可能となる。
また、電極4A、4Bの電極ギャップ間のインピーダンス変化をインピーダンス計測装置11で計測することより、弱電界部に誘導される細胞数やスフェロイドのサイズなどを推定できる。以下、固定機構電極4A、4B間のインピーダンスを計測することによって細胞スフェロイドのサイズや厚みを推定する方法について説明する。電極間インピーダンスをZ、静電容量をC、リアクタンスをx、レジスタンスをr、抵抗をRとして、図5と式4〜式8を用いて説明する。
Figure 0005903156
Figure 0005903156
Figure 0005903156
Figure 0005903156
Figure 0005903156
式4はCR並列等価回路の合成インピーダンスZを表す式、式5はCR並列等価回路のレジスタンスrを表す式、式6はCR並列等価回路のリアクタンスxを表す式、式7はCR並列等価回路の抵抗Rを表す式、式8はCR並列等価回路の静電容量Cを表す式である。
図5は、細胞培養容器の電極13間の電気的状態を等価回路で示したものである。電極13間には細胞を含んだ培地が存在している。細胞が電極間に移動する前には、培地を電極間誘電体として構成される静電容量C14と培地による電気伝導抵抗R15とが、並列に電極13間を結んでいる。つまり、培養容器の上部下部電極4A,4B間のインピーダンスの変化量によって局所の細胞数や細胞凝集体のサイズなどを推定することができる。その結果、光学顕微鏡観察の代わりに、電気信号を利用して、簡便かつ迅速に細胞スフェロイド形成状況を評価できる。
大量にスフェロイドを形成するための培養プレートは、図6に示すように、前記細胞培養容器を集約する細胞培養プレートホール17と枠体16で構成される。本培養プレートは同時に多数の細胞スフェロイドを形成することができ、毒性など比較実験に適する。培養プレートの誘導電極や固定電極は、半導体の微細配線技術などによって作製することができる。
本実施例によれば、本発明の細胞培養容器を用いることにより、より短期間で均一サイズの細胞スフェロイドを作製することができる。
以下に、本実施例の細胞培養容器を用いてラット肝細胞スフェロイドを形成した実験結果を示す。
肝細胞の調製は、in situコラゲナーゼ貫流法に従う。詳しくは以下の通りである。Fisher344系雄ラット(7〜10週齢)をペントバルビタール麻酔下で開腹し、門脈にカテーテルを挿入して前還流液(Ca2+とMg2+不含、ETCAを含むハンクス液)を注入する。肝臓を切り離し、冷やしたハンクス液中で細切りし、ピペッティングにより、細胞まで分散する。続いてガーゼ濾過により未消化の組織を除去する。細胞懸濁液は、50G、1分の遠心分離を数回繰り返すことにより、非実質細胞を除去する。ついで等張パーコール液を使用して500G、5分の遠心分離で傷害のある肝細胞を除去する。得られた肝細胞の生存率はトリパンブルー排除法で計測し、生存率85%以上の肝細胞を培養に使用する。ここでは、生存率85%以上の肝細胞を培養に使用するが、必ずしも当該条件に限られるものではないことはいうまでもない。調製した肝細胞を1×10cells/mlの播種濃度で培養容器に播種する。細胞播種後、COインキュベータを用いて5%CO、37℃の条件下で、まず図1の交流電源9より細胞誘導電極5A、5B、6A、6Bに周波数100kHz、電圧20Vppの交流電界を印加する。その結果、負の誘電泳動力によって肝細胞が培養容器の中央部に集まり、肝細胞の凝集体になる。次に、そのまま12時間培養することにより、肝細胞間接着構造を形成し肝細胞スフェロイドが形成された。この時点で交流電源9を切り、24時間毎に培地交換を行なう。培地交換時、細胞スフェロイドを固定するために、交流電源10から電極4A、4Bに周波数100kHz、電圧20Vppの交流電界を印加する。その結果、負の誘電泳動力により固定された肝細胞スフェロイドは、培地交換時に流されることがなく培養容器内に保持される。72時間の静置培養より、大きさの揃った球状の三次元組織が形成された。これは、本来保持している細胞の活性を失わせることがないと考えられるため、細胞アッセイ等に有効な培養方法である。
本実施例では、ラット肝細胞を用いた例を示すが、上述のように様々な動植物の細胞種に適用可能であり、特に細胞種は限定されない。
本実施例は、細胞接着性の底面基板電極4Bを有する細胞培養容器である。なお、細胞を誘導する細胞誘導電極5A,5B,6A,6Bは、図1と同様である。本実例を図7に基づいて説明する。
電極4Bの表面は実施例1と異なり、細胞接着ための表面処理を施す。培養容器の培養空間8に細胞7を播種する。細胞播種後、COインキュベータを用いて、5%CO、37℃の条件下で、まず図1の交流電源9より細胞誘導電極5A、5B、6A、6Bに交流電界を印加する。その結果、従来法の細胞自己組織化や重力による凝集化に比べ、負の誘電泳動力によって細胞が速やかに培養容器の中央部に集まり、細胞の凝集体になる。底面基板電極4Bの表面は細胞接着性があるため、細胞凝集体を固定することができる。次にそのまま培養することにより、細胞間接着構造あるいは細胞外マトリックスが形成されて、細胞スフェロイドが形成される。この時点で交流電源9を切る。ここから培地交換を行なう。細胞スフェロイドは、底面基板電極の表面に固定されているため、流されることはない。その後、一定期間の静置培養より、大きさの揃った球状の三次元組織が形成される。細胞スフェロイドを培養面から剥離するには、直流電源18から電極4A、4Bの間に直流電界を印加し、電極4B表面に起こる培地の電気分解の効果により、細胞スフェロイドを培養面4Bから剥離することができる。従来の細胞剥離に使われる酵素(例えば、トリプシン)を使わずに細胞スフェロイドを剥離することができる。これにより、蛋白質分解などの細胞損傷を回避することができる。
本実施例によれば、本発明の細胞培養容器を用いることにより、より短期間で均一サイズの細胞スフェロイドを作製することができる。
本実施例は、培養容器底面基板にナノピラー構造を有する培養シートを設けたものである。図8,9に、本実施例の培養容器の断面構造を示す。
図8の細胞培養容器は、ナノピラー構造19を有する培養シートを培養容器底面基板2に設け、その表面に導電性皮膜20を蒸着し、さらに対向電極21を設ける構造である。この構造では、ナノピラー先端を強電界領域にするため、正の誘電泳動力で細胞スフェロイドを形成することとなる。そのため、前記の培地の導電率を正の誘電泳動が働く領域以下に下げる必要がある(図3に参照)。この導電率調整は、培地に低導電率の糖溶液などを混合することにより処理できる。
細胞播種後、COインキュベータを用いて、5%CO、37℃の条件下で、まず図8の交流電源10より電極20、21に交流電界を印加する。その結果、従来法の細胞自己組織化や重力による凝集化に比べ、正の誘電泳動力によって、細胞が速やかに強電界領域であるナノピラー19上に集まり細胞の凝集体になる。ナノピラー19表面は細胞接着性があるため、細胞凝集体を固定することができる。次にそのまま培養することにより、細胞間接着構造あるいは細胞外マトリックスが形成されて、細胞スフェロイドが形成される。この時点でスイッチ22AをOFFとし、交流電源10を切る。ここから培地交換を行なう。細胞スフェロイドは、ナノピラー構造に固定されているため、流されることはない。その後、一定期間の静置培養より、大きさの揃った球状の三次元組織が形成される。細胞スフェロイドを培養面から剥離するには、スイッチ22BをONにし、直流電源18から電極20,21の間に直流電界を印加し、電極20表面に起こる培地の電気分解の効果により、細胞スフェロイドをナノピラー19から剥離することができる。さらに、インピーダンス計測装置11を用いて電極20,21間のインピーダンスを測定し、培養容器の電極20,21間のインピーダンスの変化量によって細胞数や細胞スフェロイドのサイズなどを推定することができる。
図9の細胞培養容器は、図8のナノピラー構造を変形したもので、図8のナノピラー構造の中心部のピラーが周囲のピラーより高い構造である。この構造を用いることにより、図に示すように、中心部の高いピラーに電界が集中し、正の誘電泳動力によって細胞が速やかに培養容器のナノピラー19上に集まり細胞の凝集体を形成することが可能となる。さらに、この構造で形成する細胞スフェロイドは、所在位置がナノピラーシートの中心にあり、観察や計測を簡単に行うことができる。
以下に、実施例3の細胞培養容器を用いてラット肝細胞スフェロイドを形成した実験結果を示す。
実験条件は、実施例1の実験と同様である。ラット肝細胞懸濁液の導電率を70mS/m以下に調製し実施例3の細胞培養容器に1×10cells/mlの播種濃度で播種した。播種後、COインキュベータを用いて5%CO、37℃の条件下で、まず図8の交流電源10より細胞誘導電極20、21に周波数100kHz、電圧20Vppの交流電界を印加する。その結果、正の誘電泳動力によって肝細胞が培養容器中央部に形成された細胞接着性を有するナノピラー19上に集まり、肝細胞の凝集体になる。次にそのまま12時間培養することにより、肝細胞間接着構造を形成して肝細胞スフェロイドが形成された。この時点で交流電源10を切る。ここから24時間毎に培地交換を行なう。肝細胞スフェロイドは接着性を有するナノピラー上に接着したため、培地交換時に剥離することがなく、培養容器中に維持される。また、培養時におけるインピーダンス計測装置11による電極間のインピーダンス変化の計測により、肝細胞スフェロイドの大きさや厚みを推定することができる。72時間の静置培養より、大きさの揃った球状の三次元組織が形成された。培養後、直流電源18から電極20、21に1V電圧を印加して、肝細胞スフェロイドをナノピラー上から剥離することができる。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
1 培養容器の天井基板
2 培養容器の底面基板
3 培養容器の側面基板
4A 天井電極
4B 底面基板電極
5A 側面電極
5A1、5A2、5A3 側面電極
5B 側面電極
5B1、5B2、5B3 側面電極
6A 側面対向電極
6A1、6A2、6A3 側面電極
6B 側面対向電極
6B1、6B2、6B3 側面電極
7 細胞
8 培養空間
9 交流電源
10 交流電源
11 インピーダンス計測装置
12A 電気力線
12B 電気力線
13 電極
14 静電容量C
15 抵抗R
16 細胞培養プレート枠体
17 細胞培養プレートホール
18 直流電源
19 ナノピラー
20 底面電極
21 天井電極
22A スイッチ
22B スイッチ

Claims (15)

  1. 細胞培養空間を形成する底面基板、側面基板および上面基板と、
    前記細胞培養空間内の細胞を細胞スフェロイド形成領域に誘電泳動力により誘導する誘導機構を有し、
    前記誘導機構が、前記細胞培養空間に不均一電界を発生する、側面基板の周方向に設けた複数対の電極から成ることを特徴とする細胞培養容器。
  2. 請求項に記載の細胞培養容器において、
    前記側面基板の周方向に設けた複数対の電極が、容器の上下方向に多層に分割されていることを特徴とする細胞培養容器。
  3. 請求項または請求項に記載の細胞培養容器において、更に、
    細胞スフェロイドを固定する固定機構を有することを特徴とする細胞培養容器。
  4. 請求項に記載の細胞培養容器において、
    前記細胞スフェロイドを固定する固定機構が、前記底面基板および前記上面基板に設けられ、前記細胞培養空間に不均一電界を発生する対の電極であることを特徴とする細胞培養容器。
  5. 請求項に記載の細胞培養容器において、
    前記細胞スフェロイドを固定する固定機構が、前記底面基板に設けられた細胞接着領域であることを特徴とする細胞培養容器。
  6. 請求項に記載の細胞培養容器において、更に、
    前記底面基板および前記上面基板に設けた直流電圧を印加する電極から成り、直流電界によって接着細胞を剥離する剥離機構を備えることを特徴とする細胞培養容器。
  7. 細胞培養空間を形成する底面基板、側面基板および上面基板と、
    前記細胞培養空間内の細胞を細胞スフェロイド形成領域に誘電泳動力により誘導する誘導機構を有し、
    前記誘導機構が、前記細胞培養空間に不均一電界を発生する、前記底面基板に設けた複数の突起の表面に形成した導電性皮膜の電極と、前記上面基板に設けた対向電極から成ることを特徴とする細胞培養容器。
  8. 請求項に記載の細胞培養容器において、
    前記複数の突起が、中心部の突起が周囲の突起よりも高い構造であることを特徴とする細胞培養容器。
  9. 請求項または請求項に記載の細胞培養容器において、更に、
    前記底面基板に設けた導電性皮膜の電極および前記上面基板に設けた対向電極に直流電圧を印加する剥離機構を備えることを特徴とする細胞培養容器。
  10. 請求項1〜の何れか1つに記載の細胞培養容器において、
    前記電極が、白金、金、クロム、パラジウム、ロジウム、銀、アルミニウム、タングステン、ITOの何れか1つ、またはこれらの組み合わせの材料からなる細胞培養容器。
  11. 請求項1〜10の何れか1つに記載の細胞培養容器と、
    前記誘導機構の電極に交流を印加する交流電源から成る細胞培養装置。
  12. 請求項11に記載の細胞培養装置において、
    前記誘導機構の電極に印加する交流の周波数は100Hz〜10MHzである細胞培養装置。
  13. 請求項11に記載の細胞培養装置において、
    周期的に細胞スフェロイドに電界を印加するように構成した細胞培養装置。
  14. 請求項11に記載の細胞培養装置において、更に、
    前記底面電極および前記上面電極に設けた電極間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置を備え、測定したインピーダンスにより細胞スフェロイドのサイズや厚みを評価するように構成した細胞培養装置。
  15. 請求項1〜10の何れか1つに記載の細胞培養容器を用いて、前記電極に交流を印加することにより、前記細胞培養空間内の細胞を細胞スフェロイド形成領域に誘電泳動力により誘導する細胞培養方法。
JP2014501927A 2012-03-02 2012-03-02 細胞培養容器、それを用いた細胞培養装置および細胞培養方法 Expired - Fee Related JP5903156B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2012/055372 WO2013128630A1 (ja) 2012-03-02 2012-03-02 細胞培養容器、それを用いた細胞培養装置および細胞培養方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013128630A1 JPWO2013128630A1 (ja) 2015-07-30
JP5903156B2 true JP5903156B2 (ja) 2016-04-13

Family

ID=49081874

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014501927A Expired - Fee Related JP5903156B2 (ja) 2012-03-02 2012-03-02 細胞培養容器、それを用いた細胞培養装置および細胞培養方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5903156B2 (ja)
WO (1) WO2013128630A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018157758A (ja) * 2015-08-25 2018-10-11 Agc株式会社 細胞培養装置および生体試料製造方法
KR102499114B1 (ko) * 2017-10-31 2023-02-13 주식회사 유스바이오글로벌 세포 및 배양액 조건에 따른 전기자극 변수 제어장치 및 방법
CN109055195B (zh) * 2018-03-26 2023-09-05 广州市华粤行医疗科技有限公司 非接触式胚胎移动装置及方法
US20230407220A1 (en) * 2020-11-20 2023-12-21 The Regents Of The University Of California Novel tissue culture systems and reduced gravity culture method for the production of vascularized tissue

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090325256A1 (en) * 2006-08-10 2009-12-31 Tohoku University Method for cell patterning
EP2383332B1 (en) * 2009-01-08 2014-12-24 Hitachi, Ltd. Method for culture of animal hepatocyte
EP2447354B1 (en) * 2009-06-23 2018-08-15 Hitachi, Ltd. Culture substrate, culture sheet, and cell culture method

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2013128630A1 (ja) 2015-07-30
WO2013128630A1 (ja) 2013-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Xie et al. Noninvasive neuron pinning with nanopillar arrays
JP5903156B2 (ja) 細胞培養容器、それを用いた細胞培養装置および細胞培養方法
Bidan et al. Magneto-active substrates for local mechanical stimulation of living cells
Flaibani et al. Muscle differentiation and myotubes alignment is influenced by micropatterned surfaces and exogenous electrical stimulation
Ziv et al. Micro-electroporation of mesenchymal stem cells with alternating electrical current pulses
Schlie-Wolter et al. Topography and coating of platinum improve the electrochemical properties and neuronal guidance
Takeuchi et al. Sympathetic neurons modulate the beat rate of pluripotent cell-derived cardiomyocytes in vitro
JP2017532008A (ja) 三次元複合細胞凝集体モデル並びにその製造方法及び応用
Kimura et al. Micropatterning of cells using modulated magnetic fields
Liu et al. Reconstructing soma–soma synapse-like vesicular exocytosis with DNA origami
Pendharkar et al. A high throughput biocompatible insulator based dielectrophoretic (iDEP) lab chip for patterning and fusion of biological cells
Agarwal et al. Formation of embryoid bodies using dielectrophoresis
Qu et al. Somatic and stem cell pairing and fusion using a microfluidic array device
Lee et al. Engineering liver microtissues to study the fusion of HepG2 with mesenchymal stem cells and invasive potential of fused cells
JP5847446B2 (ja) 細胞培養容器およびそれを用いた培養装置
Mulaudzi et al. Insights on three dimensional organoid studies for stem cell therapy in regenerative medicine
Huan et al. Cell patterning via optimized dielectrophoretic force within hexagonal electrodes in vitro for skin tissue engineering
Agarwal et al. Dielectrophoresis-based devices for cell patterning
Gi et al. Optoelectrofluidic printing system for fabricating hydrogel sheets with on-demand patterned cells and microparticles
JP2013013368A (ja) 治療用細胞フラグメント回収用基材およびそれを用いた治療用細胞フラグメントの製造方法、ならびに、継代用細胞フラグメント回収用基材およびそれを用いた継代用細胞フラグメントの製造方法
Abdallat et al. Process development for cell aggregate arrays encapsulated in a synthetic hydrogel using negative dielectrophoresis
JP2006333861A (ja) 透明電極を用いた培養筋肉細胞電気刺激法
Song et al. A microfluidic magnetic bead impact generator for physical stimulation of osteoblast cell
Nakanishi et al. Oscillatory electrodeposition of metal films at liquid/liquid interfaces induced by the large surface energy of growing deposits
Takayama et al. Simultaneous induction of calcium transients in embryoid bodies using microfabricated electrode substrates

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160311

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5903156

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees