JP5898635B2 - 核酸分析カートリッジの製造方法 - Google Patents

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本発明は、核酸分析カートリッジ及びその製造方法、並びに核酸分析装置に関する。
核酸分析技術として、ゲノム中のある領域の繰返し塩基配列(STR:Short Tandem Repeat)を解析することで、個人識別や親子鑑定などDNA鑑定を行うことが実用化されている。
解析プロセスは、DNAサンプル採取、DNA増幅、DNAフラグメントの分離という前処理工程と、DNAフラグメントの検出からなる。DNA増幅プロセスでは、PCR反応(ポリメラーゼ連鎖反応 Polymerase Chain Reaction)によって検出器が検出できる程度まで、テンプレートとなるDNAを増幅させる。このとき、対象としない核酸が混入すると、微量のDNAを鋳型として増幅してしまい、STR解析の精度が低下してしまう。また既存の前処理工程は処理時間が約半日と長く、複数台の専用装置と専門知識有する技術者が必要となるため、解析システムの早急化、一般化が求められている。
これらの課題を解決するために、DNA解析前処理工程において、マイクロデバイスを用いた微小空間内での試薬等の物質の化学反応、合成、精製、抽出、生成及び分析に関する研究が進められている(特許文献1)。マイクロデバイス内でSTR解析を行う自動化システムを構築することで、解析システムの一般化が可能になり、解析時間が大幅に短縮される。また、小さなデバイス内において反応が密閉空間内で完結されるため、コンタミの問題に対処しやすくなる。さらに、通常の装置と比べてサンプル及び試薬の消費量が少ないため、解析コストも削減できる。
1つの密閉したマイクロデバイス内において化学反応、抽出、分析などの工程を行うために、デバイス内で試薬・サンプル混合溶液を送液、撹拌する工程が必要になる。そのために、デバイスとしてカートリッジと弾性体の薄膜(以下、メンブレンと称する)を接合し、その中の外気と密閉した流路内に試薬を密閉し、メンブレンを押し引きすることで非接触送液を行う方法が有効な方法として検討されている(特許文献2)。
カートリッジとメンブレンで密閉された空間で流路を形成するため、カートリッジ、メンブレン、及び流路端部でのカートリッジとメンブレンの接合部が混合溶液に浸されることになる。そのため、カートリッジ本体とメンブレン及びその接合部は、長期間保存や高温下において劣化してしまわないように試薬や混合溶液に対する耐薬品性が必要にある。
耐熱性、耐薬品性に優れ、接合性が良いので、マイクロデバイスとしてカートリッジ本体にガラスやシリコン基板やPDMS、弾性体にPDMSを用いるのが一般的である(特許文献3)。しかし、カートリッジのコスト低減を考えると、カートリッジ本体には射出成型可能な有機材料を使用することが望ましい。また、カートリッジ本体とメンブレンの接合方式として、異種材の導入や極性官能基形成などを必要としない、低コストである直接接合プロセスが望まれる。
このような背景の下、DNA解析前処理工程に用いるマイクロデバイスをPCR反応を実行可能な耐熱・耐薬品性を有する低コストであるカートリッジとメンブレンの組み合わせで構成し、且つ流路近傍でのカートリッジとメンブレンの接合を低コストである接合プロセスで行うことが求められる。
特開2010−104373号公報 特開2005−283331号公報 特開2006−212473号公報
一般に、解析システム周囲の外気には前処理工程で増幅されたDNAや作業者に由来する細胞が浮遊しており、これら汚染物質による誤検出を防ぐため、カートリッジ内部への汚染物質の混入を防ぐ必要がある。汚染物質混入を防ぐためには、カートリッジ内部への持ち込み物質をなるべく減らすシステムが望ましく、その点で、解析に必要な全ての試薬がカートリッジに内蔵されていることが望ましい。
また、試薬の混合、攪拌、精製、反応等を行うとき、カートリッジ、メンブレン、及び流路端部でのカートリッジとメンブレンの接合箇所が混合溶液に接触することになり、接触箇所における材料特性が送液精度や送液時の核酸損失に大きく影響する。そのため、カートリッジやメンブレンの組み合わせ、及びそれらの接合方式が重要になる。
カートリッジ内で微量の試薬・サンプルで化学反応や分析を行うためには、カートリッジ内の流体の制御が重要になる。適切な時間間隔で試薬・サンプルを適切な量送液しなければ、化学反応や分析の精度が低減する。そのため、送液する流体のコントロール、流体の流量や流速、流体圧力を適切に制御する必要があり、流路を形成するカートリッジ本体とメンブレンの接合強度が重要になる。
カートリッジ内でDNA増幅反応を行う際、PCR反応に必要な試薬中でDNAを撹拌し、その混合溶液を高温下に晒す必要がある。そのため、混合溶液を内蔵するカートリッジやメンブレン、及びそれらの接合材には、混合溶液がPCR反応を行うのに十分高温な温度条件において、耐熱性、耐薬品性を兼ね備える必要がある。
さらに、カートリッジにはコスト低減が求められる。また、コスト低減にはカートリッジ内蔵の試薬を微量にし、送液時の試薬・サンプル損失を抑えることが重要になる。そのため、長期間保存時やPCR反応を行うのに十分高温な温度条件において、カートリッジ、メンブレン、及びそれらの接合箇所におけるDNAの吸着、吸水及び水蒸気透過量を低減させる必要がある。また、カートリッジ本体とメンブレンの接合プロセスにおいてもプロセスコスト低減が求められる。
そこで、本発明の目的は、複数試薬が内蔵された核酸分析カートリッジにおいて、汚染物質混入を低減し、低コストであるカートリッジ本体とメンブレンを提供することであり、送液精度の低下や送液時の核酸損失を抑制し低コストであるカートリッジ本体とメンブレンとの接合プロセスを提供することである。
本発明は、複数試薬が内蔵された核酸分析カートリッジにおいて、カートリッジ本体とメンブレンの接合は直接接合しており、試薬溶液が空気圧を用いたデバイス内で非接触送液により送液可能であることを特徴とする。密閉された核酸分析カートリッジには、試薬封入の部屋、サンプル封入の部屋、反応・精製等を行う部屋が形成される。各部屋の間には、部屋同士をつなぐ溝があり、その溝の上からメンブレンを貼り付けることで、密閉された流路を形成する。このとき、空気圧で流路にメンブレンを押しつけられるようになり、空気圧にて流路の形状を可変させることが出来る。これにより、内部の流体を動かすことが可能となる。この動きを組み合わせることで、密閉されたカートリッジ内の流体と非接触の送液を行うことが可能となる。
カートリッジ本体とメンブレンは溶着により接合され、本接合方法では接合時に異種材の導入や極性官能基形成を必要としないため、カートリッジの接合箇所における試薬溶液による腐食や核酸吸着の心配がない。また、他の直接接合プロセスよりも低コストに抑えることができる。異種材の導入や極性官能基形成による接合方式だと、接合箇所における耐薬品性、吸水、水蒸気透過等による送液不全、PCR反応の阻害が懸念されるが、溶着による直接接合を行うことでそれらを考察する必要がなくなる。さらに、接合材を塗布するプロセスを介さないことによる低コスト化が期待できる。
また、本発明である核酸分析カートリッジは、カートリッジとメンブレンが溶着可能な材料の組み合わせで構成されており、且つ、カートリッジ内でPCR反応を行うことが可能であることを特徴とする。カートリッジとメンブレン材料は、溶着相性が良く、耐熱性、耐薬品性が高く、吸水、水蒸気透過の低い材料を選択する。
また、本発明である核酸分析カートリッジは、カートリッジ本体がPCR反応よりも高温時にメンブレンと溶着され、PCR反応時には接合部に化学的変化が見られないことを特徴とする。
本発明によれば、複数試薬が内蔵された核酸分析カートリッジにおいて、汚染物質混入を低減し、低コストであるカートリッジ本体とメンブレンを提供でき、送液精度の低下や送液時の核酸損失を抑制しつつ低コストであるカートリッジ本体とメンブレンとの接合プロセスを提供することができる。
本発明の核酸分析カートリッジの構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジの構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。 本発明の核酸分析カートリッジを動作、検出するための核酸分析装置の構成の一例を説明するための概念図である。
以下、本発明の新規な特徴と効果について、図を参照して説明する。
ここでは、本発明を完全に理解してもらうため、特定の実施形態について詳細な説明を行うが、本発明はここに記した内容に限定されるものではない。また、各実施例は適宜組み合せることが可能であり、当該組み合せ形態についても本明細書は開示している。
先ず、図1、及び図2を参照しながら、本発明の核酸分析カートリッジの一例を説明する。
図1は核酸分析カートリッジ1の概略を平面図で示す。図1に示す核酸分析カートリッジ1はコントロールサンプルを含む合計8サンプルを同時に解析できる構成である。
核酸分析カートリッジ1は、試薬が封入されて内部に試薬を保持する試薬封入部屋(2,3)、試薬溶液を分岐するための分岐部屋4、試薬溶液を混合する混合部屋6、加熱される加熱部屋(7,10)とこれらの部屋を結ぶ流路13を持つ。
ここで、試薬封入部屋としては、Master mix封入部屋2、Primer mix封入部屋3、電気泳動マーカ封入部屋8、ホルムアミド封入部屋9、サンプル溶解液封入部屋12がある。加熱部屋としては、DNA増幅を行うDNA増幅加熱部屋7、DNA変性加熱部屋10がある。
また、試薬封入部屋、分岐部屋、混合部屋、及び加熱部屋以外の部屋として、測定サンプルを挿入する測定サンプル挿入部屋5とキャピラリーが挿入されるキャピラリー挿入部屋11がある。なお、本図ではキャピラリーの一端のみを図示しているが、キャピラリーは図に対して奥方向に延在して設けられている。
試薬溶液は、基本的には、図1で示す平面図の左側から右側に向かって流れる。Master mix封入部屋2、Primer mix封入部屋3の試薬は流路を流れ、例えば、本図の下側に位置する分岐部屋4に至り、さらに最下段に配置された測定サンプル5を流れ、同じ最下段に配置された混合部屋6、DNA増幅加熱部屋7、電気泳動マーカ封入部屋8、ホルムアミド封入部屋9、DNA変性加熱部屋10の順に流れ、キャピラリー挿入部屋11に至る。本実施例では、8サンプルを同時に解析できる構成例であり、図中の最下段を流れるサンプルの場合を説明したが、他のサンプルについても試薬の流れは同様である。
ただし、一部の部屋と部屋の間では、一度進んだ溶液を元の部屋に戻したり、また再度先の部屋に進めたりする往復送液を行って、効率的な試薬溶液の混合を行う。この様な往復送液を行う部屋と部屋の組み合わせとして、サンプル溶解液封入部屋12と測定サンプル挿入部屋5、DNA増幅加熱部屋7と混合部屋6、ホルムアミド封入部屋9と混合部屋6、などが挙げられる。
図2は、核酸分析カートリッジ1の概略を断面図で示す。この断面図は、図1の切断線A−Aに沿うものである。核酸分析カートリッジ1は、下から順に、メンブレン15、カートリッジ本体14、上蓋16、フィルム17で構成される。作製方法としては、カートリッジ本体14と上蓋16を接合した後、カートリッジ本体14とメンブレン15を接合、または接着する。その後、封入部屋9上部の開口を介して試薬を封入部屋に封入した後、フィルム17を貼り合わせて完成する。なお、混合部屋6の上面に開口部は、ゴム栓18を挿入して密閉される。
核酸分析カートリッジ1は、核酸分析装置のカートリッジホルダに設置して使用する。カートリッジホルダにメンブレンを変動させる機構を持たせておき、メンブレンを変動させて試薬溶液を部屋から部屋へと移動させる。また、カートリッジホルダに加熱する機構を持たせることで、カートリッジ内の試薬溶液を加熱して、DNA増幅やDNA変性を行う。なお、試薬の送液方法に関しては、図8〜図17を用いて後述する。
カートリッジ本体14や上蓋16に用いる材料としては、値段が安く、大量生産に適した成型加工可能な熱可塑性のプラスチック材料が望ましい。この様なプラスチック材料として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、アクリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリ酢酸ビニル、シクロオレフィン及びこれらの共重合体が挙げられる。また、これらの熱可塑性プラスチック材料に熱硬化性のプラスチック材料、無機材料、または金属材料などを内部に微細分散させた複合材料を用いることもできる。しかし、PCR反応によるDNA増幅を行うのに十分な温度条件において耐熱性及び耐薬品性を兼ね備えた材料を選択する必要がある。
メンブレン15に用いる材料としては、後述するカートリッジホルダ機構に適した弾性体が望ましい。この様な弾性体としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ハイパロンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、ヒドリンゴム、及びこれらの共重合体や熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、カートリッジと同様に、PCR反応によるDNA増幅を行うのに十分な温度条件において耐熱性及び耐薬品性を兼ね備えた材料を選択する必要がある。
フィルム17に用いる材料としては、特に制限はないが、比重が小さく、曲げ強度が小さいプラスチック材料が望ましい。この様なプラスチック材料として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、アクリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリ酢酸ビニル及びこれらの共重合体が挙げられる。これらの材料からなるシートを複数種類重ねて一つのフィルムとしても良い。また、複数種類シートを重ね合わせたフィルムについて、水蒸気透過性を低減するために、アルミニウムなどの金属やシリカの様な無機材料からなる層を内部に導入しても良い。
核酸分析カートリッジを組み立てるための、カートリッジ本体14とメンブレン15、カートリッジ本体14と上蓋16、上蓋16とフィルム17の接着、または接合については特に制限はなく、接着剤や両面テープを用いた接着、熱溶着、超音波溶着、レーザ溶着などの接合、シランカップリング材や溶剤などを用いた化学的接合を用いることができる。
しかし、カートリッジ本体14とメンブレン15の接合方式において、混合溶液に接触する流路端部では、接着剤、両面テープ等の接合材を介した接合をすると、混合溶液が接合材に接触するため、接合材の耐薬品性、吸水、水蒸気透過量次第で送液損失が増大してしまう。また、シランカップリング材や溶剤等の使用やドライプロセスによる化学的接合だと、極性官能基形成のため核酸吸着の増大が懸念される。また、プロセスコストも増大する。
そのため、流路端部では熱溶着、超音波溶着、レーザ溶着など、異種材やドライプロセスを必要としない接合方式を選択する必要がある。
カートリッジ本体14とメンブレン15の混合溶液に接触する流路端部における接合方式について、異種材やドライプロセスを必要としない直接接合の例を提供する。
熱溶着、超音波溶着、レーザ溶着などの溶着方式では、溶着可能なカートリッジ本体のプラスチックとメンブレンの弾性体の材質が限定される。
溶着は、材料が界面で互いに何となく混じり合って明確な境界線がなくなる分子拡散により生じ、これには材料間の類似性や親和性が重要になる。そのため溶着する樹脂の組み合わせとしては、同種樹脂の組み合わせが溶着に適している。特にカートリッジに結晶性樹脂を選択した場合、弾性体は同種樹脂でないと溶着困難である。カートリッジに非晶性樹脂を選択した場合、ある程度の相溶性のある異種樹脂の組み合わせでも溶着可能である。
同種樹脂のカートリッジ本体とメンブレンの例としては、カートリッジ材がポリプロピレンやポリエチレンやシクロオレフィンでは、メンブレンとしてエチレン・プロピレンゴム若しくはオレフィン系熱可塑性エラストマーを選択すると溶着可能である。カートリッジ材としてアクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、ポリカーボネートを選択した場合、メンブレンとしてスチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム若しくはエステル系熱可塑性エラストマーを選択すると溶着可能である。
次に、実施例を示しながら本発明を更に具体的に説明する。
本発明の核酸分析カートリッジの作製プロセスの一例を説明する。
射出成型プロセスを用いて、図1、及び図2に示すカートリッジ本体14と上蓋16を作製する。カートリッジ本体14の材質は、射出成型が可能な有機材料が好ましく、射出成型が可能な有機材料に無機材料を含む混合材料、あるいは該有機材料に金属材料を含む混合材料、あるいは該有機材料に無機材料および金属材料が含まれる混合材料のいずれでも構わない。例えば、射出成型が可能な有機材料として熱可塑性樹脂があるが、射出成型が可能ならば他の樹脂でも構わない。
本実施例では、カートリッジ本体14と上蓋16のそれぞれの材質は、ポリプロピレンとする。カートリッジ本体14と上蓋16を超音波溶着により接合した後、熱溶着によって、カートリッジ本体14とメンブレン15を貼り合わせる。
メンブレン15の材質は、可撓性を有する有機材料が好ましく、可撓性を有する有機材料に無機材料を含む混合材料、あるいは該有機材料に金属材料を含む混合材料、あるいは該有機材料に無機材料および金属材料が含まれる混合材料のいずれでも構わない。
本実施例では、メンブレン15には、エチレン・プロピレンゴムシートを用いた。なお、カートリッジ本体14にポリプロピレンを用いた場合には、メンブレンの材質としてはエチレン・プロピレンゴムシートが適している。
熱溶着は、カートリッジ本体14とメンブレン15を図2のように配置した後に、接合したい箇所に均一にメンブレン15面に対し垂直方向から高温下で0.1〜2MPaという圧力を加えることで行われる。接合温度は、カートリッジ本体の融点近傍で行われる。具体的には、融点より5℃以上低い温度で行うと接合せず、一方、融点より5℃以上高い温度で行うと塑性変形による形状変化が起こる。
従って、熱溶着は、カートリッジ本体の材料が有する融点に対して、±5℃以内の温度範囲で行うことが好ましい。
圧力に関しても、0.1MPaより小さいと接合箇所にムラができ、2MPaより大きいと塑性変形による形状変化が起こる。
従って、熱溶着は、0.1MPaから2MPaの圧力範囲で行うことが好ましい。
なお、加圧時間は1分程度で十分接合される。
本実施例では、熱溶着した材料間の接着強度は、剥離強度試験(ピーリングテスト)で接着強度の評価を行った。ポンプ圧によりカートリッジ本体内を送液される液体に掛かる圧力は、実装状態では概ね数MPa(パスカル)であるので、評価基準としては、この圧力以内でカートリッジ本体とメンブレンが剥離しない接着強度を採用している。
これにより、溝を形成する流路部以外が接合される。カートリッジ本体とメンブレンの熱溶着はPCR反応の際にカートリッジ外部から与える温度よりも高い温度領域で行われる。すなわち、樹脂の融点がPCR反応より高ければ、PCR反応が行われる温度では溶着しない。高温加圧の際、接合したい箇所の形状のマスクを介し、マスク部のみ加圧することで、溶着箇所を自由に選択できる。このときのマスクとしては、ステンレス板、アルミ板等が加工しやすい。
試薬封入部屋にSTR解析用キット(品名:AmpFlSTR Identifiler Direct PCR Amplification Kit、ライフテクノロジーズ社製)、細胞溶解液(品名:Prep-n-Go(登録商標) Buffer、ライフテクノロジーズ社製)、ホルムアミド(品名:Hi-Di Formamide、ライフテクノロジーズ社製)、及び電気泳動マーカ(品名:GeneScan 346LIZ、ライフテクノロジーズ社製)を封入する。その後、上蓋16上にフィルム17を貼り合わせることで、本発明の核酸分析カートリッジを作製する。
本実施例では、カートリッジ本体14の材質としてポリプロピレンを用いたが、ポリプロピレンは他の樹脂材料に比較して、安価であるという利点を有する。また、接着時間が速いメリットがあり、製造コストの面で有利である。
カートリッジ本体14は、射出成形ができる材料、例えば、熱可塑性樹脂材料を用いることで射出成形が可能となり、この成型方法によれば製造コストが低減できる効果がある。
なお、一般に用いる硝子材料では、射出成形はできない。
本実施例では、カートリッジ本体14とメンブレン15との接合方式(貼り合わせ)は、熱溶着方式を採用したが、本方式は、異物などのコンタミが少なく、コスト的にも安価であるメリットを有する。
実施例2に、核酸分析カートリッジの作製プロセスの別の一例を説明する。特に断らない限り、実施例1と同様な材料や作製条件を用いている。
射出成型プロセスを用いて、図1、及び図2に示すカートリッジ本体14と上蓋16を作製する。本実施例では、カートリッジ本体14と上蓋16のそれぞれの材質は、シクロオレフィンとする。カートリッジ本体14と上蓋16を超音波溶着により接合した後、熱溶着によって、カートリッジ本体14とメンブレン15を貼り合わせる。
本実施例では、メンブレン15には、エチレン・プロピレンゴムシートを用いた。熱溶着方式(接合温度や圧力など)は、実施例1と同様である。
ここで、カートリッジ本体14と上蓋16の材質としてシクロオレフィンを用いた時には、メンブレン15には、エチレン・プロピレンゴムシートを用いるのが最も好ましい材料の組み合わせである。
本実施例では、カートリッジ本体14と上蓋16の材質としてシクロオレフィンを用いたが、シクロオレフィンは、機械的な強度が高く、熱による歪(又は反り)が少ないという効果が期待できる。
実施例3に、核酸分析カートリッジの作製プロセスの別の一例を説明する。特に断らない限り、実施例1と同様な材料や作製条件を用いている。
射出成型プロセスを用いて、図1、及び図2に示すカートリッジ本体14と上蓋16を作製する。本実施例では、カートリッジ本体14と上蓋16のそれぞれの材質は、ポリカーボネートとする。カートリッジ本体14と上蓋16を超音波溶着により接合した後、熱溶着によって、カートリッジ本体14とメンブレン15を貼り合わせる。
本実施例では、メンブレン15には、アクリルゴムシートを用いた。熱溶着方式(接合温度や圧力など)は、実施例1と同様である。
実施例4に、核酸分析カートリッジの作製プロセスの別の一例を説明する。特に断らない限り、実施例1と同様な材料や作製条件を用いている。
射出成型プロセスを用いて、図1、及び図2に示すカートリッジ本体14と上蓋16を作製する。本実施例では、カートリッジ本体14と上蓋16のそれぞれの材質は、ポリプロピレンとする。カートリッジ本体14と上蓋16を超音波溶着により接合した後、熱溶着によって、カートリッジ本体14とメンブレン15を貼り合わせる。
本実施例では、メンブレン15には、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた。
熱溶着方式(接合温度や圧力など)は、実施例1と同様である。
本実施例では、実施例1と同様に、カートリッジ本体14の材質としてポリプロピレンを用いたが、ポリプロピレンは他の樹脂材料に比較して、安価であるという利点を有する。また、接着時間が速いメリットがあり、製造コストの面で有利である。
実施例5に、核酸分析カートリッジの作製プロセスの別の一例を説明する。特に断らない限り、実施例1と同様な材料や作製条件を用いている。
射出成型プロセスを用いて、図1、及び図2に示すカートリッジ本体14と上蓋16を作製する。本実施例では、カートリッジ本体14と上蓋16のそれぞれの材質は、ポリカーボネートとする。カートリッジ本体14と上蓋16を超音波溶着により接合した後、熱溶着によって、カートリッジ本体14とメンブレン15を貼り合わせる。
本実施例では、メンブレン15には、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いる。熱溶着方式(接合温度や圧力など)は、実施例1と同様である。
図3を用いて、STR解析を行い、核酸分析カートリッジを検出するための核酸分析装置を説明する。
核酸分析装置は、カートリッジホルダ21、送液・温調ユニット22、送液ポンプ23、電気泳動キャピラリー24、レーザユニット25、検出ユニット26、コントロール基板ユニット27からなる。カートリッジホルダ21は核酸分析カートリッジ1を保持する。また、カートリッジ内の試薬溶液を移送するためにカートリッジ下部のメンブレン15を変動する機構、ならびにカートリッジを温調する機構を持つ。送液・温調ユニット22はカートリッジホルダ21のメンブレン変動機構と温調機構、及び送液ポンプ23を制御する。電気泳動キャピラリー24は核酸分析カートリッジ1に接続し、カートリッジ内で増幅、蛍光ラベル化されたDNAフラグメントを吸引した後、高電圧下でDNAフラグメントを分離する。レーザユニット25は、電気泳動キャピラリー24にレーザを照射して電気泳動キャピラリー24内の蛍光分子を励起する。検出ユニット26は励起された蛍光分子を検出する。
図4を用いて、送液・温調ユニット22(図3参照)に内蔵されている、カートリッジ下部のメンブレン15(図2参照)を変動させる空気圧制御システムの構成を説明する。空気圧の駆動源となる送液ポンプ23が空気の吸引・吐出を行う。吐出された空気は、配管を通りフィルタ28、空気圧調整弁29を通り、三方弁マニホールド30のIN側に接続される。三方弁マニホールド30には三方弁31が連なって搭載されており、同じ流路でそれぞれ接続される。三方弁31からはそれぞれ配管が接続され、それぞれスピードコントローラ32を通り、カートリッジホルダ21(図3参照)へと接続される。三方弁マニホールド30には大気解放となっている排気用のOUT側流路もある。そのOUT側流路の出口にはサイレンサ33を取り付ける。
送液ポンプ23から吐出された空気がフィルタ28を通ることで、空気に含まれるゴミや埃を取り除く。これにより、三方弁31やスピードコントローラ32への異物混入を防ぐ。また、空気圧調整弁29にて、カートリッジホルダ21へ与えられる空気圧を適切な圧力に調整することが可能となる。三方弁31は、三方弁マニホールド30に搭載することで、配管の接続を1箇所に纏めることが出来る。仮に三方弁31の数が増えても配管の接続は1つで済むため、よりコンパクトに収めることができる。三方弁31に接続される配管にそれぞれスピードコントローラ32を接続することで、空気圧の流量を制御することが出来る。今回は空気圧にて送液を行うため、流量の管理が重要となる。また、圧力の高まった配管を大気解放した際に音が発生するため、OUT側出口にサイレンサ33を設け、音を小さくする。
図5は、空気圧制御システムに構成される三方弁31の方向制御を示した図である。
今回の配管は、IN側からカートリッジホルダ21(図3参照)側へ繋がる空気圧流路34、カートリッジホルダ21側からOUT側へ繋がる空気圧流路35がそれぞれ三方弁31にて切り替えられるようになる。三方弁31はノーマルクローズとし、通常状態では空気圧流路34が閉じた状態になり、空気圧流路35が繋がるようになる。この時、IN側から来た空気は三方弁マニホールド30に接続されるが、空気圧流路34が閉じているため、カートリッジホルダ21側には空気圧はかからない。だが、空気圧流路35が開放しているため、カートリッジホルダ21側とOUT側の流路は大気解放となる。三方弁31を通電状態にすると、空気圧流路34が開放となり、空気圧流路35が閉じる。この時、IN側から来た空気は三方弁マニホールド30に接続され、空気圧流路34が開放しているためカートリッジホルダ21側に空気を送ることが出来る。また、空気圧流路35が閉じているため、カートリッジホルダ21側に空気圧を与えることが可能となる。それぞれ、三方弁31を介してカートリッジホルダ21側へ配管を接続しているので、任意の流路に空気圧を与えることが可能となる。
図6は、カートリッジホルダ21(図3参照)内のメンブレン変動による送液機構を示す。カートリッジホルダ本体36には、核酸分析カートリッジ1をセットした時に、空気圧制御システムで駆動させ、弁の働きをさせるピン37、ピン38、が内蔵される。ピン37、ピン38にはそれぞれにパッキン39、パッキン40が取り付けられる。ピン37、ピン38先端部には、カートリッジホルダ本体36側にパッキン41、パッキン42が内蔵される。カートリッジホルダ本体36には、核酸分析カートリッジ1をセットした時にメンブレン15を潰して、核酸分析カートリッジ1の流路13周りを塞ぐことができるような封止用突起43を設けておく。また、カートリッジホルダ本体36には、空気圧制御システムと接続される空気圧ポート44、45、46、47、48が形成される。それぞれの空気圧ポートが空気圧制御システムの三方弁31と接続されるため、それぞれを別々に制御することが可能となる。
図7は、核酸分析カートリッジ1(図1参照)をカートリッジホルダ21(図3参照)にセットした時の図である。セットした時、カートリッジホルダ本体36にある封止用突起43にてメンブレン15を潰し、流路13周りを塞ぐ。カートリッジホルダ21にはピン37を押しこむための空気圧ポート46、ピン37を元の位置に戻すための空気圧ポート45、ピン38を押しこむための空気圧ポート48、ピン38を元の位置に戻すための空気圧ポート47があり、各ポートにそれぞれ空気圧制御システムからの配管を接続させる。これにより、空気圧制御システムにて各ポートに空気圧を供給して、エアシリンダのように各ピンをそれぞれ駆動させる。また、流路13にメンブレン15を押しつけるための空気圧ポート44も形成してある。ただし、各ポートに空気圧制御システムの配管を接続しただけではカートリッジホルダ21へ空気圧は与えられない。先に説明した三方弁31の方向制御により、通常状態ではカートリッジホルダ21の各ポートは全て大気解放となる。
図4、及び図8〜17にて、本発明の核酸分析カートリッジ1内での送液の流れを示す。
送液を行う前準備として、まずは、カートリッジホルダ21と空気圧制御システムを接続させる前に送液ポンプ23を駆動させる。三方弁31はノーマルクローズのため、送液ポンプ23と三方弁31間の圧力が高まる。その状態で圧力調整弁35にて適切な圧力に調整する。その後、各三方弁31を通電し、空気圧流路40を開放し、空気圧流路41を閉じる。すると、カートリッジホルダ21に接続される配管に空気が送られるため、その状態でスピードコントローラ32にてカートリッジホルダ21へ接続される各配管の流量を調整する。空気の圧力、流量の調整が終了してから、カートリッジホルダ21に空気圧制御システムを接続し、カートリッジホルダ21に核酸分析カートリッジ1をセットする。
以下、空気圧の制御方法、それに伴うピンや流体の動きを説明する。
まず、空気圧ポート45の三方弁31、空気圧ポート47の三方弁31を開放する。これにより、図8のように、ピン37、ピン38が下がる。この状態をピンの初期位置とする。
次に空気圧ポート46の三方弁31を開放し、空気圧ポート45の三方弁31を閉じる。これにより、空気圧ポート45側に溜まった空気圧が大気解放となり、空気圧ポート46側から空気圧がかかるため、図9のように、空気圧でピン37が核酸分析カートリッジ1に押し付けられる。ピン37はメンブレン15を介してホルムアミド封入部屋9を塞ぐ栓19を押し上げる。すると、ホルムアミド封入部屋9を塞いでいた栓19が開放される。一度開放した栓19は押し上げられた位置から動かないようにしておくことで、今後ずっと開放しっぱなしとなる。だが、ピン37がホルムアミド封入部屋9と流路13の間に押し付けられているので、ホルムアミド封入部屋9と流路13の間は塞がったままとなる。
次に、空気圧ポート44の三方弁31を開放する。すると、図10のように、メンブレン15が空気圧で押され、流路13に密着する。これにより、元々流路13に入っていた空気を混合部屋6に押し出すことが出来る。核酸分析カートリッジ1は内部が密閉されているため、この間は核酸分析カートリッジ1内部の圧力が高まる。ホルムアミド封入部屋9と混合部屋6の間には部屋上部を通る空気穴20があるため、各部屋の圧力は同じとなる。
次に、空気圧ポート48の三方弁31を開放し、空気圧ポート47の三方弁31を閉じる。これにより、空気圧ポート47側に溜まった空気圧が大気解放となり、空気圧ポート48側から空気圧がかかるため、図11のように、空気圧でピン38が核酸カートリッジ1に押し付けられる。ピン38がメンブレン15を介して混合部屋6と流路13の間に押し付けられるため、混合部屋6と流路13の間を塞ぐ。
次に、空気圧ポート46の三方弁31を閉じ、空気圧ポート45の三方弁31を開放する。これにより、空気圧ポート46側に溜まった空気圧が大気開放となり、空気圧ポート45側から空気圧がかかるため、図12のように、ピン37が元の位置に戻る。メンブレン15は、空気圧ポート44から空気圧がかかったままなので、流路13に押し付けられたままとなる。
次に、空気圧ポート44の三方弁31を閉じる。これにより、空気圧ポート44側に溜まった空気圧が大気開放となり、図13のように、流路13に押し付けられたメンブレン15が自身の弾性力と、核酸カートリッジ1内部の圧力により元の位置に戻る。その際、ピン38により混合部屋6と流路13は塞がったままなので、ホルムアミド封入部屋9から試薬が流路13に流れ込み、ホルムアミド封入部屋9へ混合部屋6の空気が空気穴20を通り移動する。
次に、空気圧ポート46の三方弁31を開放し、空気圧ポート45の三方弁31を閉じる。これにより、空気圧ポート45側に溜まった空気圧が大気開放となり、空気圧ポート46側から空気圧がかかるため、図14のように、再度ピン37が核酸カートリッジ1に押し付けられる。この時、ピン37にて再度ホルムアミド封入部屋9と流路13の間が塞がるが、流路13には試薬が入ったままとなる。
次に、空気圧ポート48の三方弁31を閉じ、空気圧ポート47の三方弁31を開放する。これにより、空気圧ポート48側に溜まった空気圧が大気開放となり、空気圧ポート47側から空気圧がかかるため、図15のように、ピン38が元の位置に戻る。
次に、再度空気圧ポート44の三方弁31を開放する。これにより、図16のように、メンブレン15が空気圧で押され、流路13に密着する。その際、ピン37によりホルムアミド封入部屋9と流路13の間が塞がったままなので、流路13に溜まった試薬は混合部屋6に流れ込む。その結果、封入されていたサンプルに試薬が混合される。
次に、再度空気圧ポート47の三方弁31を閉じ、空気圧ポート48の三方弁31を開放する。これにより、空気圧ポート47側に溜まった空気圧が大気開放となり、空気圧ポート48側から空気圧がかかるため、図17のように、ピン38が核酸分析カートリッジ1に押し付けられる。この時、ピン38にて混合部屋6と流路13の間を塞ぐ。
図11〜図17と、本動作を繰り返すことで、ホルムアミド封入部屋9に封入してある試薬を、混合部屋6へ送液することができる。これにより、密閉された核酸分析カートリッジ1内部で、流体と非接触のまま送液を行うことが可能となる。本動作を何回も繰り返すことで、微量の試薬でも、容量の大きい試薬でも、部屋の中にある全ての試薬を送液することができる。ただし、精製や反応などを行った後等は、部屋にある試薬全てではなく、ある容量のみを送液したい場合がある。その際は、本動作を繰り返す回数を管理することで、規定の容量のみの送液が可能となる。
この構造を各部屋間の流路毎に持たせ、同様の動作を行うことで、様々な試薬を任意のタイミングで送液することが可能となる。また、精製や反応、攪拌を行う際、各部屋間を任意に封止しておくことが出来るため、流体の制御を安定させることが出来る。
遺伝子解析における前処理に必要な試薬の種類は多数ある。それに対し、本システムを取ることで、駆動源は空気圧制御システムに構成される送液ポンプ23のみのまま、多数の試薬に対応できる。また、装置上での核酸分析カートリッジ1の増設などがあった場合も、本システムに三方弁31と配管の接続を増設することで、駆動源を増やすことなく対応できる。このため、汎用性があるシステムだと言える。さらに、装置原価の低減や装置小型化も可能となる。
1…核酸分析カ−トリッジ、
2…Master Mix封入部屋、
3…Primer Mix封入部屋、
4…分岐部屋、
5…測定サンプル挿入部屋、
6…混合部屋、
7…DNA増幅加熱部屋、
8…電気泳動マーカ封入部屋、
9…ホルムアミド封入部屋、
10…DNA変性加熱部屋、
11…キャピラリー挿入部屋、
12…サンプル溶解液封入部屋、
13…流路、
14…カートリッジ本体、
15…メンブレン、
16…上蓋、
17…フィルム、
18…ゴム栓、
19…栓、
20…空気穴、
21…カートリッジホルダ、
22…送液・温調ユニット、
23…送液ポンプ、
24…電気泳動キャピラリー、
25…レーザユニット、
26…検出ユニット、
27…コントロール基板ユニット、
28…フィルタ、
29…空気圧調整弁、
30…三方弁マニホールド、
31…三方弁、
32…スピードコントローラ、
33…サイレンサ、
34,35…空気圧流路、
36…カートリッジホルダ本体、
37,38…ピン、
39,41,40,42…パッキン、
43…封止用突起、
44,45,46,47,48…空気圧ポート。

Claims (4)

  1. 試薬を封入する部屋を複数有するカートリッジ本体を準備する工程と、
    前記カートリッジ本体の一面の一部をメンブレンと接合することで、前記カートリッジ本体と前記メンブレンとが固定された固定領域と、前記カートリッジ本体の一面と前記メンブレンとが固定されていない可動領域とを形成し、前記カートリッジ本体の一面を覆うようにメンブレンを溶着する工程と、を備え、
    前記カートリッジ本体と前記メンブレンとの溶着は、核酸分析におけるPCR反応を行う温度よりも高い温度で実施され
    前記溶着は、熱溶着、超音波溶着、またはレーザ溶着のいずれかであり、
    前記カートリッジ本体を構成する材料がポリプロピレン、ポリエチレン、またはシクロオレフィンであり、前記メンブレンを構成する材料がエチレン・プロピレンゴム、またはオレフィン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする核酸分析カートリッジの製造方法。
  2. 試薬を封入する部屋を複数有するカートリッジ本体を準備する工程と、
    前記カートリッジ本体の一面の一部をメンブレンと接合することで、前記カートリッジ
    本体と前記メンブレンとが固定された固定領域と、前記カートリッジ本体の一面と前記メ
    ンブレンとが固定されていない可動領域とを形成し、前記カートリッジ本体の一面を覆う
    ようにメンブレンを溶着する工程と、を備え、
    前記カートリッジ本体と前記メンブレンとの溶着は、核酸分析におけるPCR反応を行
    う温度よりも高い温度で実施され、
    前記溶着は、熱溶着、超音波溶着、またはレーザ溶着のいずれかであり、
    前記カートリッジ本体を構成する材料がアクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、またはポリカーボネートであり、前記メンブレンを構成する材料がスチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、またはエステル系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする核酸分析カートリッジの製造方法。
  3. 前記カートリッジ本体と前記メンブレンとの溶着は、核酸分析におけるPCR反応を行う温度よりも高い温度下で加圧しながら実施されることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸分析カートリッジの製造方法。
  4. 試薬を封入する部屋を複数有するカートリッジ本体を準備する工程と、
    前記カートリッジ本体の一面の一部をメンブレンと接合することで、前記カートリッジ
    本体と前記メンブレンとが固定された固定領域と、前記カートリッジ本体の一面と前記メ
    ンブレンとが固定されていない可動領域とを形成し、前記カートリッジ本体の一面を覆う
    ようにメンブレンを溶着する工程と、を備え、
    前記カートリッジ本体と前記メンブレンとの溶着は、核酸分析におけるPCR反応を行
    う温度よりも高い温度で実施され、
    前記メンブレンと前記カートリッジ本体との溶着は、熱圧着方式を用い、圧着温度Tは、前記カートリッジを構成する材料が有する融点温度Tmとした時、Tm−5℃≦T≦Tm+5℃の範囲で行われることを特徴とする核酸分析カートリッジの製造方法。
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