JP5894311B1 - アオノクマタケラン由来成分を含有する組成物 - Google Patents

アオノクマタケラン由来成分を含有する組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、外用薬として優れる、アオノクマタケラン由来成分を含む組成物及び前記組成物の製造方法を提供する。【解決手段】アオノクマタケランの圧搾液を蒸留して得られる液体を含む組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、アオノクマタケラン由来成分、特にアオノクマタケラン由来の揮発性成分を含む組成物、該組成物の皮膚外用剤としての使用、及び該組成物の製造方法に関する。
植物由来成分の薬効については数多くの研究がなされており、保湿効果、美白効果や老化予防効果などを期待した植物由来成分の化粧料成分としての使用についても多くの報告がされている。
アオノクマタケランは、温暖な地域で生育するショウガ科のハナミョウガ属の多年草であり、葉は狭長楕円形で長さ30〜50cm、幅6〜12cm、草丈は1〜1.5m程度まで成長する。アオノクマタケラン含有成分の利用に関しては、アオノクマタケランのメタノール抽出物の木材保存作用(特許文献1)が報告されている。
アトピー性皮膚炎は強い痒みを伴う湿疹が寛解と増悪を繰り返しながら継続する慢性の皮膚疾患であり、近年患者数の増加が問題となっている。アトピー性皮膚炎の治療には、副腎皮質ホルモンを主体とするステロイド外用剤や免疫抑制薬の外用剤が主に用いられているが、より安全で効果的な治療方法が求められている。また、アトピー性皮膚炎の原因として皮膚バリアの破綻が関連するとの指摘もあり、いわゆるスキンケア用のクレームなどの使用が症状緩和に効果を持つ場合があることも知られているが、効果における十分なエビデンスは蓄積されていない。
特開2005−074776号公報 特開2015−003907号公報
アオノクマタケラン由来成分の利用について、これまで十分な検討はされておらず、有用な利用方法はほとんど知られていなかった。本発明は、アオノクマタケラン由来成分を含有する外用剤として有用な組成物、特に皮膚バリアの回復効果またはそれによる保湿効果、老化予防効果、アレルギー性皮膚炎の解消等の消炎効果に優れる前記組成物、及び前記組成物の製造方法を提供することを目的とする。
発明が解決しようとする手段
本発明者らは、上記課題を解決するべく検討したところ、アオノクマタケランを圧搾して得られる液をさらに蒸留して得られる成分含む組成物が皮膚バリアの回復効果またはそれによる保湿効果、老化予防効果、アレルギー性皮膚炎の解消等の消炎効果に優れることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の組成物、抗アレルギー剤または抗炎症剤として使用される外用組成物、化粧品、医薬品、及び組成物の製造方法を包含する。
[1]アオノクマタケランの圧搾により得られる圧搾液を蒸留して得られる液体を含有する組成物。
[2]蒸留が常圧下100℃以上で行われる、[1]に記載の組成物。
[3]圧搾液がアオノクマタケランの葉茎の圧搾により得られる、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]β−ピネンを含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の組成物。
[5]β−ピネンの含有量が組成物全体に対して0.05〜0.5重量%である、[4]に記載の組成物。
[6]抗アレルギー剤または抗炎症剤として使用される外用組成物である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の組成物。
[7][1]〜[6]のいずれか1つに記載の組成物を含む化粧品。
[8][1]〜[6]のいずれか1つに記載の組成物を含む医薬品。
[9]アオノクマタケランを圧搾し圧搾液を得る工程、及び
前記圧搾液を蒸留し蒸留液を得る工程
を含む[1]〜[6]のいずれか1つに記載の組成物の製造方法。
[10]β−ピネンを含む抗アレルギー剤または抗炎症剤。
[11]β−ピネンの含有量が抗アレルギー剤または抗炎症剤全体に対して例えば0.005〜3重量%であり、具体的には0.01〜1重量%であり、より具体的には0.05〜0.5重量%である、[10]に記載の抗アレルギー剤または抗炎症剤。
[12]アオノクマタケランの圧搾により得られる圧搾液を蒸留して得られる液体を含有する[10]又は[11]に記載の抗アレルギー剤または抗炎症剤であって、該液体がβ−ピネンを含有する前記抗アレルギー剤または抗炎症剤。
[13][10]〜[12]のいずれか1つに記載の抗アレルギー剤または抗炎症剤を含むアレルギー治療用の外用組成物。
[14][10]〜[12]のいずれか1つに記載の抗アレルギー剤または抗炎症剤を含む化粧品。
[15][10]〜[12]のいずれか1つに記載の抗アレルギー剤または抗炎症剤を含む医薬品。
[16]アオノクマタケランを圧搾し圧搾液を得る工程、及び
前記圧搾液を蒸留し蒸留液を得る工程を含む[10]〜[12]のいずれか1つに記載の抗アレルギー剤または抗炎症剤の製造方法。
本発明のアオノクマタケランの圧搾により得られる圧搾液を蒸留して得られる液体(以下「アオノクマタケランの圧搾蒸留液」とも称する。)を含有する組成物は、皮膚バリアの回復効果またはそれによる保湿効果、老化予防効果、アレルギー性皮膚炎の解消等の消炎効果に優れる。
本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物の製造方法は、皮膚バリアの回復効果またはそれによる保湿効果、老化予防効果、アレルギー性皮膚炎の解消等の消炎効果に優れる組成物を効率良く製造することができる。
実施例1におけるヒト皮膚バリア機能の試験の測定部位を示す説明図である。 実施例1における本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群等の試験前後のTEWLの経時的変化を示すグラフである。図中、**は、各測定時点での純水処置との比較を示す(P < 0.01)。 実施例1における本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群等のTEWLの回復率を示すグラフである。図中、**は、各測定時点での純水処置との比較を示す(P < 0.01)。 実施例1における本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群等の皮膚表層pHの経時的変化を示すグラフである。*および**は、各測定時点での純水処置との比較を示す(*P < 0.05、**P < 0.01)。 実施例1における本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群等の被験者の処理部位を示す試験終了時の写真(塗布120分後)である。 実施例2における本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群等の臨床症状スコアの経時的変化を示すグラフである(*P< 0.05,および**P< 0.01,同週の対照物質群との比較)。 実施例2における本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群等の引っ掻き回数の経時的変化を示すグラフである(*P< 0.05,および**P< 0.01,同週の対照物質群との比較)。各棒グラフは左から順に、試験開始前、1週目、2週目、3週目、4週目に測定されたものを意味する。 実施例2における本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群等の総引っ掻き時間の経時的変化を示すグラフである(*P< 0.05,および**P< 0.01,同週の対照物質群との比較)。各棒グラフは左から順に、試験開始前、1週目、2週目、3週目、4週目に測定されたものを意味する。 実施例2における本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群等の試験前後のTEWLの経時的変化を示すグラフである(*P< 0.05、同群の開始前との比較、及び**P< 0.01、同週の対照物質群との比較)。各棒グラフは左から順に、試験開始前、2週目、4週目に測定されたものを意味する。 実施例3における本発明のβ−ピネン水溶液塗布群等の臨床症状スコアの経時的変化を示すグラフである(*P< 0.05, **P< 0.01(vs 塗布開始前); ##P< 0.01(vs 未処置群); $P<0.05, $$P< 0.01(vs 基剤群))。 実施例3における本発明のβ−ピネン水溶液塗布群等の引っ掻き回数の経時的変化を示すグラフである(*P< 0.05, **P< 0.01(vs 塗布開始前); ##P< 0.01(vs 未処置群); $P<0.05, $$P< 0.01(vs 基剤群))。各棒グラフは左から順に、試験開始前、1週目、2週目に測定されたものを意味する。 実施例3における本発明のβ−ピネン水溶液塗布群等の総引っ掻き時間の経時的変化を示すグラフである(*P< 0.05, **P< 0.01(vs 塗布開始前); #P<0.05, ##P< 0.01(vs 未処置群); $P< 0.05, $$P< 0.01(vs 基剤群))。各棒グラフは左から順に、試験開始前、1週目、2週目に測定されたものを意味する。
本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物及び前記組成物の製造方法を説明する。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液とは、アオノクマタケランを圧搾し圧搾液を得る工程、及び前記圧搾液を蒸留し蒸留液を得る工程の両工程を経て得られた液体を意味する。
アオノクマタケラン(青野熊竹蘭、Alpinia intermedia Gagnep)は、ショウガ科のハナミョウガ属の植物であり、日本においては本州(紀伊半島)から沖縄まで広く自生している。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液またはアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物には、β−ピネンが含まれる。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液またはアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物には、α−ピネンが含まれる。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液またはアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物には、カンフェンが含まれる。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液またはアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物には、m−シメンが含まれる。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液またはアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物には、リモネンが含まれる。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物の用途としては特に限定されず、抗アレルギー剤として使用される外用組成物、化粧品、医薬品等、皮膚バリアの回復効果またはそれによる保湿効果を有する外用組成物、化粧品、医薬品等が挙げられる。具体的には、シャンプー、リンス、コンディショナー等の毛髪化粧品、洗顔料、クレンジング化粧品、ローション、乳液、美容クリーム、下地化粧品、日焼け止め化粧品、パック、マッサージ化粧品等の皮膚化粧品、軟膏、クリーム等の外用医薬品等が挙げられる。皮膚バリアの回復効果またはそれによる保湿効果を有する観点から、保湿作用、抗老化作用を有する外用医薬品として使用することができる。
本発明のアオノクマタケランの圧搾蒸留液を製造する際に使用するアオノクマタケランの部位は特に限定されず、種子、葉、茎、葉茎、花、根等のいずれか1種又は2種以上を使用してもよいが、例えば、原料の入手容易性の観点から葉茎を用いることができる。
本発明におけるアオノクマタケランを圧搾し圧搾液を得る工程の製造条件は特に限定されないが、例えば圧搾機を用いて行う。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾液を蒸留し蒸留液を得る工程の製造条件は特に限定されないが、例えば蒸留温度は100℃以上であり、圧力は例えば常圧であり、蒸留時間は例えば2時間以上であり、具体的には2〜5時間であり、より具体的には2.5〜4.5時間であり、最も具体的には3〜4時間である。本発明において、常圧とは、例えば大気圧に等しい圧力であり、具体的には0.101325MPa付近の圧力であり、より具体的には0.097925〜0.104725MPa付近の圧力である。
蒸留により得られる蒸留液は、低沸点の成分を含む水溶液である。
本発明の外用組成物、医薬品等の剤形は特に制限されず、例えば、塗布剤、軟膏剤、液剤、ゲル剤、ローション剤、溶液剤、懸濁剤、貼付剤、リニメント剤、パップ剤、エアゾール剤などとすることができ、製剤時に、溶媒、基材、賦形剤、着色剤、滑沢剤、矯味剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、抗酸化剤、佐薬、緩衝剤、pH調整剤、甘味料、香料などを適宜配合することができる。
本発明の外用剤、医薬品の投与量は、患者の症状、年齢、性別、患部の面積、予防的な使用であるか治療的な使用であるかなどに応じて適宜調整することができる。
本発明におけるアオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有する組成物には特に限定されないが各種添加剤を加えてもよく、例えば、クマタケラン葉/茎水、プロパンジオール、水、トレハロース、ヒアルロン酸Na、グルコシルセラミド、サリックスニグラ樹皮エキス、フルクトース、グルコース、スクロース、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、尿素、デキストリン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、α-グルカン、クダモノトケイソウ果皮エキス、グアバ果実エキス、シイクワシャー果皮エキス、ツルグミエキス、ゴレンシ葉エキス、アロエベラ葉エキス、オキナワモズクエキス、ウコン根エキス、カンゾウ根エキス、ソメイヨシノ葉エキス、ヨモギ葉エキス、カワラヨモギ花エキス、キュウリ果実エキス、ツルレイシ果実エキス、ハトムギ種子エキス、ニンジン根エキス、オルトシホンスタミネウスエキス、ドクダミエキス、シソ葉エキス、乳酸桿菌/ワサビ根発酵エキス、ペンチレングリコール、グリセリン、BG、1,2ーヘキサンジオール、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
(アオノクマタケランの圧搾蒸留液のヒト皮膚バリア機能の評価)
(1)アオノクマタケランの圧搾蒸留液の製造
アオノクマタケランの葉茎3kgを圧搾機 GP-E1503(グリーンパワーJAPAN社製、製品名グリーンパワー)を用いて圧搾し1.5kgのアオノクマタケランの圧搾液を得た。この圧搾液1.5kgを蒸留装置 K-HJ200(株式会社黄河社製、製品名蒸留ピュアスティーラーライト)を用いて、100℃以上で4時間加熱し蒸気を冷却して採取することにより800gのアオノクマタケランの圧搾蒸留液を得た。
得られたアオノクマタケランの圧搾蒸留液は約4〜10℃で保存して、以下の試験において使用した。
(2)ヒト皮膚バリア機能の評価
(評価方法)
上記アオノクマタケランの圧搾蒸留液、及び比較対象物質として純水を用い、下記のヒト皮膚バリア機能の評価を行った。
1)被験者:皮膚疾患を有しない健常ボランティア6名
2)塗布条件:各被験者につき、左右の前腕内側部(図1参照)にアオノクマタケランの圧搾蒸留液又は純水のいずれかを2回(100〜120μl/回)、噴霧により塗布した。
3)事前処置条件:
3−1)EUにおける化粧品の効能・効果を評価するための科学的専門機関(EEMCO)による角質水和評価ガイドラインをもとに、試験室内の温湿度を 20〜22℃/40〜60%RHになるように調整した。
3−2)測定部位(前腕内側:手根の幅の中点かつ手首と肘窩を結ぶ中点)(図1参照)を空気中に露出し、15分間の馴化時間を設けた。
3−3)測定部位に、油性マーカーで内径1cmの円を描くように上下左右4点にマーキングを行った。
4)処置条件:
4−1)処置前の被験者の経皮水分蒸散量(TEWL)及び皮膚表層pHを測定し、TEWLが10g/m/hr以下、皮膚表面pHが5.0(正常なヒトの皮膚、弱酸性)前後であることを確認した。
4−2)マーキングした測定部位においてセロハンテープ着脱を20回繰り返し、TEWLが20〜30g/m/hrとなるように皮膚バリアを破壊した。
4−3)セロハンテープ着脱を実施した部位に被験物質のいずれかを2回(100〜120μl/回)噴霧により塗布し、塗布試料の液性成分の蒸発のため10分間自然乾燥した。
4−4)塗布してから所定の時間後にTEWL及び皮膚表層pHを測定した。
4−5)TEWLは、Tewameter Multi Probe Adapter MPA5 & TM300MP probe(CK electronic GmbH社製)を用いて測定し、セロハンテープ着脱実施直後の値を基準として、以下の計算式(I)により皮膚バリア機能の回復率(%)を算出した。
4−6)皮膚表層pHは、Portable pH meter (HI99818, Hanna社製)を用いて測定し、セロハンテープ着脱実施直後の値を基準として、以下の計算式(II)によりpH増加率(%)を算出した。
4−7)統計解析は、エクセル統計を用いて多重比較検定(Tukey法あるいはDunnet法)を行い、5%(P<0.05)及び1%(P<0.01)の危険率をもって統計学的に有意であると判定した。
(評価結果)
1)TEWLについて(図2、3、表1及び2参照)
処置前のTEWLは、純水塗布群が5.37±0.52、アオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群が 4.51±0.41となっており、これは正常な皮膚TEWLであった。セロハンテープ着脱(Tape stripping;図表中で T.S.と表記)直後には、それぞれ23.04±0.83、および23.71±0.98まで上昇したことから、本試験で行ったセロハンテープ着脱によって、皮膚バリアが破壊されたことが確認された。アオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群では、純水塗布群に比べて、塗布10分後からTEWLが有意に低下し、以後、いずれの測定時間においても純水塗布群よりもTEWLが低く抑えられており、アオノクマタケランの圧搾蒸留液が皮膚バリアの回復を助けたことを意味している。
2)皮膚表層pHについて(図4および表3参照)
処置前の皮膚表層pHは、純水塗布群が4.95±0.20、アオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群が4.98±0.19となっており、これは正常な弱酸性の皮膚pHであった。セロハンテープ着脱(Tape stripping; 図表中で T.S.と表記)直後には、それぞれ5.18±0.16、および5.13±0.18まで上昇したことから、本試験で行ったセロハンテープ着脱によって、皮膚表層pHが上昇したことが確認された。アオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群では、いずれの測定時間においても純水塗布群に比べて、皮膚表層pHの上昇が低く抑えられていた。皮膚表層pHは皮膚バリアの損傷やそれに伴う皮膚の炎症によって上昇することから、アオノクマタケランの圧搾蒸留液が皮膚炎症の沈静化を助けたことを意味している。
3)処置をした皮膚の外観変化について(図5参照)
純水を塗布した部位では、目視により発赤が確認できた。これは、セロハンテープ着脱により皮膚バリアが破壊されて局所の炎症が起こり、それがそのまま残っていることを示している。一方、アオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布部位では、発赤が軽減していた。このことから、アオノクマタケランの圧搾蒸留液が、セロハンテープ着脱による皮膚バリア損傷に伴う皮膚の炎症を沈静化することが確認できた。
(実施例2)
(アオノクマタケランの圧搾蒸留液のNC/Tndマウスのアトピー性皮膚炎症状に及ぼす影響の評価)
(1)アオノクマタケランの圧搾蒸留液又はクマタケランの圧搾蒸留液の製造
上記実施例1の「(1)アオノクマタケランの圧搾蒸留液の製造」と同様の操作を行い、アオノクマタケランの圧搾蒸留液を得た。
また、クマタケランの葉茎3kgを圧搾機 GP-E1503(グリーンパワーJAPAN社製、製品名グリーンパワー)を用いて圧搾し1.5kgのクマタケランの圧搾液を得た。この圧搾液1.5kgを蒸留装置 K-HJ200(株式会社黄河社製、製品名蒸留ピュアスティーラーライト)を用いて、100℃以上で4時間加熱し蒸気を冷却して採取することにより800gのクマタケランの圧搾蒸留液を得た。
得られたアオノクマタケランの圧搾蒸留液及びクマタケランの圧搾蒸留液は約4〜10℃で保存して、以下の試験において使用した。
さらに、比較対象物質として純水を準備した。
(2)NC/Tndマウスのアトピー性皮膚炎症状に及ぼす影響の評価
(評価方法)
1)8週齢から10週齢のアトピー性皮膚炎様病態を発症したNC/Tndマウスを皮膚炎症状および引っ掻き回数に基づいて選抜した。選抜したマウスを1群7匹3群に分け,生後5週目より固形試料(CRF-1)にて飼育した。試験開始前にマウスの頸背部の被毛を剪毛し、アオノクマタケランの圧搾蒸留液、クマタケランの圧搾蒸留液及び純水をそれぞれ、週5日、1日1回、約100μl/回、同じ時刻にマウスの頸背部の皮膚に塗布した。皮膚症状スコア、引っ掻き回数、総引っ掻き時間は、試験開始前、及び試験開始後は毎週記録・測定した。経皮水分蒸散量(TEWL)は、試験開始前、並びに塗布開始後2週目及び4週目に測定した。
上記NC/Tndマウスはアトピー性皮膚炎の自然発症モデルマウスとして広く使用されており、下記論文に詳細が記載されている。NC/Tndマウスに何も処置を施さない場合、経時で皮膚症状スコア、引っ掻き回数、及び総引っ掻き時間は増加していく。
Development of atopic dermatitis-like skin lesion with IgE hyperproduction in NC/Nga mice. Matsuda H, Watanabe N, Geba GP, Sperl J, Tsudzuki M, Hiroi J, Matsumoto M, Ushio H, Saito S, Askenase PW, Ra C. International Immunology, Vol. 9, No. 3, pp. 461-466.
2)試験開始後、皮膚症状の状態観察を週1回行い、以下の観察項目及び評点化の基準に基づいて症状のスコア付けを行った。
2−1)観察項目
(i) pruritus/itching (掻痒症)
(ii) erythema/hemorrhage (発赤・出血)
(iii) edema (浮腫)
(iv) excoriation/erosion (擦傷・組織欠損)
(v) scaring/dryness (痂皮形成・乾燥)
2−2)評点化
上記観察項目について下記に示すスコアにより評点化した。
0 … 無症状
1 … 軽度
2 … 中等度
3 … 重度
3)引っ掻き回数及び総引っ掻き時間の測定
引っ掻き回数及び総引っ掻き時間は、試験開始前及び開始後は毎週測定した。20分間馴化させた後、引っ掻き回数測定装置(SCLABA(登録商標)-Real,ノベルテック社製)で、30分間の撮影及び記録を行い、30分あたりの引っ掻き回数を数え、30分あたりの総引っ掻き時間(秒)を計算した。
4)TEWL(経皮水分喪失量)測定
試験開始前及び試験開始後は2週間毎に測定した。測定はMulti Probe Adapter MPA5 & TM300MP probe(CK electronic GmbH社製)にて行い、測定用のプローブを頸背部皮膚の塗布部位に押し当て、数値が安定するまでほぼ均等の圧力で保持、3回測定してその平均値を採用した。
5)統計学的データ解析は、Tukeyの多重比較検定により実施し、5%未満の危険率をもって有意差ありと判定した。
(評価結果)
1)皮膚症状の観察について(表4及び図6参照)
純水塗布群では、試験期間中に皮膚炎症状スコアが増加したが、クマタケランの圧搾蒸留液塗布群では、ほぼ横ばいで推移した。一方、アオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群では、塗布開始1週間目から統計学的有意に臨床症状スコアが低下し、試験期間中の臨床症状スコアは低い状態を維持した。
2)引っ掻き回数及び総引っ掻き時間(表5、6、図7及び8参照)
純水塗布群では,試験期間中を通じて、引っ掻き回数及び総引っ掻き時間ともに高い数値で推移した。クマタケランの圧搾蒸留液塗布群では,試験期間中に引っ掻き回数及び総引っ掻き時間が増加する傾向を示した。一方で、アオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群では、塗布開始2週目以降では引っ掻き回数及び総引っ掻き時間が減少した。
3)経皮水分蒸散量(TEWL)の推移(表7及び図9参照)
純水塗布群では、試験中のTEWLは高い値で推移した。クマタケランの圧搾蒸留液塗布群では,試験期間中に上昇し、4週目でTEWLの上昇を示した。一方でアオノクマタケランの圧搾蒸留液塗布群では、試験中に低下する傾向を示した。
4)評価結果のまとめ
クマタケランの圧搾蒸留液と比較して、アオノクマタケランの圧搾蒸留液には、かゆみを軽減し,皮膚バリア機能を回復させ、アトピー性皮膚炎症状の改善させる効果がみられる。
(実施例3)
(β−ピネンのNC/Tndマウスのアトピー性皮膚炎症状に及ぼす影響の評価)
(1)β−ピネン水溶液の製造
β−ピネンを純水に溶解し、β−ピネンの濃度が0.01重量%、0.1重量%、1重量%であるβ−ピネン水溶液をそれぞれ調整した。また、比較対象物質である基剤として純水を準備した。
(2)NC/Tndマウスのアトピー性皮膚炎症状に及ぼす影響の評価
(評価方法)
1)アオノクマタケランの圧搾蒸留液、クマタケランの圧搾蒸留液及び純水の代わりに0.01重量%β−ピネン水溶液、0.1重量%β−ピネン水溶液、1重量%β−ピネン水溶液及び基剤としての純水を用い、週5日、1日1回、約100μlの塗布条件の代わりに2週間、1日1回、約150μlの塗布条件とした以外は上記実施例2の「(2)NC/Tndマウスのアトピー性皮膚炎症状に及ぼす影響の評価 (評価方法)」と同様の評価方法1)〜3)を用い、皮膚症状スコア、引っ掻き回数及び総引っ掻き時間の測定を行った。
2)統計解析は、エクセル統計を用いて多重比較検定(Tukey法あるいはDunnet法)を行い、5%(P<0.05)及び1%(P<0.01)の危険率をもって統計学的に有意差ありと判定した。
(評価結果)
1)皮膚症状の観察について(表8及び図10)
未処置群及び基剤塗布群では、試験期間中に皮膚炎症状スコアが増加したが、0.01重量%β−ピネン水溶液塗布群、及び1重量%β−ピネン水溶液塗布群では,ほぼ横ばいで推移した。一方、0.1重量%β−ピネン水溶液塗布群では、塗布開始1週間目から統計学的有意に臨床症状スコアが低下し、試験期間中の臨床症状スコアは低い状態を維持した。
2)引っ掻き回数及び総引っ掻き時間(表9、10、図11及び12)
未処置群及び基剤塗布群では、試験期間中を通じて、引っ掻き回数及び総引っ掻き時間ともに高い数値で推移した。1重量%β−ピネン水溶液塗布群では、塗布開始1週間目から引っ掻き回数及び総引っ掻き時間ともにやや増加傾向にあったが、未処置群及び基剤塗布群に比べると低い数値であった。0.01重量%β−ピネン水溶液塗布群及び0.1重量%β−ピネン水溶液塗布群では、塗布開始1週間目、2週間目と時間が経つにつれて引っ掻き回数及び総引っ掻き時間ともに減少していった。特に、0.1重量%β−ピネン水溶液塗布群では、その減少傾向が顕著であった。

Claims (13)

  1. アオノクマタケランの圧搾蒸留液を含有し、抗アレルギー剤または抗炎症剤として使用される外用組成物。
  2. アオノクマタケランの葉茎の圧搾蒸留液を含有する、請求項1に記載の外用組成物。
  3. β−ピネンを含む、請求項1または2に記載の外用組成物。
  4. β−ピネンの含有量が前記外用組成物全体に対して0.05〜0.5重量%である、請求項3に記載の外用組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の外用組成物を含む化粧品。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の外用組成物を含む医薬品。
  7. アオノクマタケランを圧搾し圧搾液を得る工程、及び
    前記圧搾液を蒸留し蒸留液を得る工程
    を含む、前記蒸留液を含有し、抗アレルギー剤または抗炎症剤として使用される外用組成物の製造方法。
  8. 蒸留が常圧下100℃以上で行われる、請求項に記載の製造方法。
  9. 圧搾液がアオノクマタケランの葉茎の圧搾により得られる、請求項またはに記載の製造方法。
  10. 前記外用組成物がβ−ピネンを含む、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. β−ピネンの含有量が前記外用組成物全体に対して0.05〜0.5重量%である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記外用組成物が化粧品として使用される、請求項11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記外用組成物が医薬品として使用される、請求項11のいずれか1項に記載の製造方法。
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