JP5892271B2 - 電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、電子機器 - Google Patents

電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、電子機器に関するものである。
電気泳動表示装置として、一対の基板間に複数のマイクロカプセルを挟持した方式のものが知られている(例えば特許文献1参照)。この種の電気泳動表示装置では、マイクロカプセルが配列された電気泳動素子を備えた第2基板に対して、電気泳動素子を挟持するように画素電極が形成された第1基板を接着した構成を採用していた。
特開2003−84314号公報
しかしながら、上記のマイクロカプセル型電気泳動表示装置では、画像を表示した後に、「色あせ」あるいは「表示ボケ」が生じるという問題があった。特に、白黒の境界の色あせが顕著な現象として現れる。以下、この色あせが生じる作用について、図21を参照して詳細に説明する。
図21(a)は、マイクロカプセル型電気泳動表示装置の概略を示す断面図である。図21(b)及び図21(c)は、図21(a)に示す電気泳動表示装置において隣接配置された2画素を拡大して示す説明図である。
図21(a)に示す電気泳動表示装置は、第1基板30と、第2基板31との間に複数のマイクロカプセル20を配列してなる電気泳動素子32を挟持した構成を備えている。
第1基板30の電気泳動素子32側の面には、複数の画素電極35が配列形成されている。一方、第2基板31の一面側には、複数の画素電極35と対向する共通電極37が形成されており、共通電極37上に複数のマイクロカプセル20からなる電気泳動素子32が設けられている。電気泳動素子32と第1基板30とは接着剤層33を介して接着されている。
なお、上記電気泳動表示装置の各部の詳細については、後段の実施の形態において図2を参照して詳細に説明している。
図21(b)には、上記構成の電気泳動表示装置において、画素電極35及び共通電極37に所定の電圧を印加して画像を表示させた直後の状態が示されている。図21(b)において、画素電極35aには負電圧(例えば−10V)が印加され、画素電極35bには正電圧(例えば10V)が印加されている。共通電極37はグランド電位(0V)である。画素電極35a上のマイクロカプセル20aでは、正に帯電した黒色粒子26が画素電極35a側に引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子27が共通電極37に引き寄せられている(白表示)。画素電極35b上のマイクロカプセル20bでは、負に帯電した白色粒子27が画素電極35b側に引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37に引き寄せられている(黒表示)。
電気泳動表示装置では、図21(b)に示した画像表示動作の後、電気泳動素子32の記憶性を利用して表示を保持するために、図21(c)に示すように、各画素電極をハイインピーダンス状態(電気的に切断した状態)とする。
しかしながら、各画素電極をハイインピーダンス状態としても、完全に表示を維持し続けることは困難であり、時間経過に伴って色あせが生じてしまうという問題があった。
この原因としては、以下に述べることが複合的に作用しているものと考察している。
まず、画素電極35a、35b上にマイクロカプセル20を固定している接着剤層33やマイクロカプセル20の壁膜がリーク経路となり、画素電極間のリーク電流が発生し易いこと。なお、これは、マイクロカプセル20に効率よく電圧を印加する必用があるため、接着剤層や、壁膜をあまり高抵抗にできないことに起因している。
特に、画素電極35a、35b間の間隔は高精細表示に対応するために数μm〜数十μm程度と狭くなっている。そのため、各画素電極をハイインピーダンス状態とした後に、画素電極35a、35bに印加されていた電荷が接着剤層33やマイクロカプセル20の壁膜を介して画素電極35間を移動してしまう。
また、画素ごとに選択トランジスタなどのスイッチング素子を備えた構成の場合では、当該トランジスタのオフ電流(オフリーク)もリーク経路の一つになると考えられる。
そして、上記の電荷の移動によって、すべての画素電極35が同電位(収束電位Vc)になる。例えば、図21(c)に示すように、画素電極35a、35bが正の収束電圧+Vcとなる。そうすると、白表示されている画素電極35a上のマイクロカプセル20aには、画像書き込み時と反対の電界が作用することとなり、図示のように黒色粒子26及び白色粒子27の一部が泳動して表示状態が変化する(色あせが発生する)。また、画素電極35a、35bが負の収束電圧になると、黒表示の画素で同様の色あせが生じる。
従来の電気泳動表示装置では、このような作用により画像表示後に画素の表示状態が変化し、色あせが生じてしまっていた。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、画像表示後の色あせ(表示ボケ)の発生を効果的に抑制し、高画質の表示を得ることができる電気泳動表示装置の駆動方法を提供することを目的の一つとする。
また本発明は画像表示後の色あせが抑制され、高画質の表示を得られる電気泳動表示装置を提供することを目的の他の一つとする。
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、上記課題を解決するために、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持し、一方の前記基板の前記電気泳動素子側に複数の画素電極が形成されるとともに、他方の前記基板の前記電気泳動素子側には複数の前記画素電極と対向する共通電極が形成された電気泳動表示装置の駆動方法であって、複数の前記画素電極に画像データに応じた電位を入力するとともに前記共通電極に所定の電位を入力し、前記電気泳動素子を駆動して前記画像データに基づく画像を表示させる画像表示ステップと、前記画像の表示後に、複数の前記画素電極と前記共通電極とを同電位に保持する画像保持ステップと、を有することを特徴とする。
この駆動方法によれば、画像表示後に複数の画素電極と共通電極とを同電位とするので、電気泳動素子を取り囲む電極間の電位差を解消することができ、電気泳動素子の表示状態が変化するのを防止することができる。したがって、色あせの発生を回避し、高画質の表示を得ることができる。
前記画像表示ステップにおいて、前記画素電極に正電位又は負電位を入力するとともに、前記共通電極に前記正電位と前記負電位の中間電位を入力し、前記画像保持ステップにおいて、複数の前記画素電極と前記共通電極とに前記中間電位を入力することもできる。
この駆動方法によれば、画像保持ステップにおいて複数の画素電極と共通電極とを中間電位に保持し、これらを同電位とするので、電気泳動素子に作用する電界は形成されず、表示状態が変化するのを防止することができる。したがって、色あせの発生を回避し、高画質の表示を得ることができる。
前記画像表示ステップにおいて、前記画素電極に正電位又はグランド電位である第1及び第2の電位を入力するとともに、前記共通電極に前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返す信号を入力し、前記画像保持ステップにおいて、複数の前記画素電極と前記共通電極とに、前記第1の電位と前記第2の電位との間の電位を入力することもできる。
この駆動方法においても、画像保持ステップにおいて複数の画素電極と共通電極とが同電位に保持されるので、電気泳動素子の表示状態が変化するのを防止できる。
また本発明の別の電気泳動表示装置の駆動方法は、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持し、一方の前記基板の前記電気泳動素子側に複数の画素電極が形成されるとともに、他方の前記基板の前記電気泳動素子側には複数の前記画素電極と対向する共通電極が形成された電気泳動表示装置の駆動方法であって、複数の前記画素電極に画像データに応じた電位を入力するとともに前記共通電極に所定の電位を入力し、前記電気泳動素子を駆動して前記画像データに基づく画像を表示させる画像表示ステップと、前記画像の表示後に、複数の前記画素電極をハイインピーダンス状態とするとともに、前記共通電極に前記画素電極の電位分布に応じて決定される収束電位を入力する画像保持ステップと、を有することを特徴とする。
画像を表示させた後に画素電極をハイインピーダンス状態とすると、画素電極に印加されていた電荷が画素電極間を移動し、複数の画素電極間で電荷の分布が均一化される。その結果、これら複数の画素電極の電位はある電位に収束する。この電位が収束電位である。
上記の現象が生じるのを前提として個々の画素電極の電位変化を見ると、ハイインピーダンス状態に移行後、画像表示時の入力電位から上記収束電位に接近していく。この過程で、画像表示時の画素の電位状態(画素電極電位と共通電極電位との高低関係)と逆の電位状態になると、電気泳動粒子が画像表示時とは反対方向に泳動して色あせが生じてしまう。これに対して本発明では、共通電極に収束電位を入力するので、画素電極の電位が収束電位に向かって変化したとしても、画素電極と共通電極との電位の高低関係を維持することができる。したがって上記駆動方法によれば、色あせの発生を回避し、高画質の表示を得ることができる。
前記画像保持ステップを、ハイインピーダンス状態の前記画素電極の電位と前記共通電極の電位との高低関係が反転するよりも前に実行することが好ましい。
画素電極の電位は、画素電極をハイインピーダンス状態とした直後に変化し始めるため、このときに共通電極に収束電位が入力されていないと、共通電極の電位によっては画素電極電位との高低関係が反転してしまうおそれがある。そこで、共通電極に収束電位を入力するタイミングは、上記高低関係が反転する前のタイミングとすることが好ましい。これにより色あせを効果的に抑えることができる。
前記画像保持ステップに先立って、前記画像データにおける階調分布に基づいて前記収束電位を取得するステップを有することが好ましい。
すなわち、画像表示ステップで使用される画像データに基づいて収束電位を演算し、この収束電位を共通電極に入力することが好ましい。
次に、本発明の電気泳動表示装置は、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持し、一方の前記基板の前記電気泳動素子側に複数の画素電極が形成されるとともに、他方の前記基板の前記電気泳動素子側には複数の前記画素電極と対向する共通電極が形成された電気泳動表示装置であって、複数の前記画素電極に画像データに応じた電位を入力するとともに前記共通電極に所定の電位を入力し、前記電気泳動素子を駆動して前記画像データに基づく画像を表示させる画像表示期間と、前記画像の表示後に、複数の前記画素電極と前記共通電極とを同電位に保持する画像保持期間と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、画像表示後に画素電極と共通電極とを同電位に保持する期間を有しているので、画像表示後に電気泳動素子に電界が作用するのを防止することができる。これにより、色あせの発生を回避し、高画質の表示を得ることができる。
また本発明の別の電気泳動表示装置は、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持し、一方の前記基板の前記電気泳動素子側に複数の画素電極が形成されるとともに、他方の前記基板の前記電気泳動素子側には複数の前記画素電極と対向する共通電極が形成された電気泳動表示装置であって、複数の前記画素電極に画像データに応じた電位を入力するとともに前記共通電極に所定の電位を入力し、前記電気泳動素子を駆動して前記画像データに基づく画像を表示させる画像表示期間と、前記画像の表示後に、複数の前記画素電極をハイインピーダンス状態とするとともに、前記共通電極に前記画素電極の電位分布に応じて決定される収束電位を入力する画像保持期間と、を有することを特徴とする。
この構成では、画像表示後に画素電極と共通電極とは同電位にならないが、時間の経過に伴って画素電極電位が変化しても、画素電極電位と共通電極電位との高低関係を維持することができるので、画像表示後に電気泳動素子に対して作用する電界の方向が反転することが無い。これにより、色あせの発生を回避し、高画質の表示を得ることができる。
前記画像データに基づいて前記収束電位を導出する収束電位演算部を有することが好ましい。
この構成によれば、迅速に共通電極に入力するべき収束電位を取得することができる。
前記収束電位演算部が、前記画像データにおける階調分布と前記収束電位とを対応づけるルックアップテーブルを有することが好ましい。
この構成によれば、簡素な回路を用いて容易かつ迅速に共通電極に入力するべき収束電位を取得することができる。
次に、本発明の電子機器は、先に記載の本発明の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、高画質の表示手段を具備した電子機器を提供することができる。
第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。 第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略断面図。 マイクロカプセルの概略構成図。 電気泳動表示装置の動作説明図。 第1の駆動方法に係るタイミングチャート。 第1の駆動方法を説明するための画素の拡大図。 第2の駆動方法に係るタイミングチャート。 第2の駆動方法を説明するための画素の拡大図。 第2実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。 収束電位Vcの説明図。 収束電位Vcと白黒比率Rとの関係を示すグラフ。 第2実施形態に係る駆動方法のタイミングチャート。 第2実施形態に係る駆動方法を説明するための画素の拡大図。 変形例に係る電気泳動表示装置の概略構成図。 変形例に係る画素回路を示す図。 変形例に係る画素回路を示す図。 変形例に係る画素回路を示す図。 電子機器の一例である腕時計を示す図。 電子機器の一例である電子ペーパーを示す図。 電子機器の一例である電子ノートを示す図。 色あせに関する説明図。
以下、図面を用いて本発明の電気泳動表示装置及びその駆動方法について説明する。
なお、本実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
図1は、本発明の一実施の形態である電気泳動表示装置100の概略構成図である。
電気泳動表示装置100は、複数の画素(セグメント)40が配置された表示部5と、画素電極駆動回路60と、共通電極駆動回路64と、コントローラ(制御部)63とを備えている。画素電極駆動回路60は各々の画素40と画素電極配線61を介して接続され、共通電極駆動回路64は各々の画素40と共通電極配線62を介して接続されている。
コントローラ63は、画素電極駆動回路60及び共通電極駆動回路64と接続され、これらの駆動回路を総合的に制御する。
電気泳動表示装置100は、セグメント駆動方式の電気泳動表示装置である。すなわち、コントローラ63から画素電極駆動回路60に画像データを転送し、かかる画像データに基づく電位を各画素40に直接入力する方式である。
図2は、電気泳動表示装置100の断面構造とともに電気的構成を示した図である。
図2に示すように、電気泳動表示装置100の表示部5は、第1基板30と第2基板31との間に、電気泳動素子32を挟持した構成である。第1基板30の電気泳動素子32側に複数の画素電極(セグメント電極)35が形成され、第2基板31の電気泳動素子32側には共通電極37が形成されている。電気泳動素子32は、電気泳動粒子を内部に封入した複数のマイクロカプセル20を平面的に配列した構成である。本実施形態に係る電気泳動表示装置100は、電気泳動素子32により形成された画像を共通電極37側に表示する方式である。
第1基板30は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。画素電極35は、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al(アルミニウム)、ITO(インジウム・スズ酸化物)などにより形成された電気泳動素子32に電圧を印加する電極である。
一方、第2基板31はガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、画素電極35とともに電気泳動素子32に電圧を印加する電極であり、MgAg(マグネシウム銀)、ITO、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)などから形成された透明電極である。
各々の画素電極35には、画素電極配線61を介して画素電極駆動回路60が接続されている。画素電極駆動回路60には、各々の画素電極配線61に対応するスイッチング素子60sが設けられている。共通電極37には、共通電極配線62を介して共通電極駆動回路64が接続されている。共通電極駆動回路64はスイッチング素子64sを備えている。
なお、電気泳動素子32は、あらかじめ第2基板31側に形成され、接着剤層33までを含めた電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。製造工程において、電気泳動シートは接着剤層33の表面に保護用の剥離シートが貼り付けられた状態で取り扱われる。そして、別途製造された第1基板30(画素電極35などが形成されている)に対して、剥離シートを剥がした当該電気泳動シートを貼り付けることによって、表示部5を形成する。このため、接着剤層33は画素電極35側のみに存在することになる。
図3は、マイクロカプセル20の模式断面図である。マイクロカプセル20は、例えば30〜50μm程度の粒径を有しており、内部に分散媒21と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入した球状体である。マイクロカプセル20は、図2に示したように共通電極37と画素電極35とで挟持され、1つの画素40内に1つ又は複数のマイクロカプセル20が配置される。
マイクロカプセル20の外殻部(壁膜)は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガムなどの透光性を持つ高分子樹脂などを用いて形成される。
分散媒21は、白色粒子27と黒色粒子26とをマイクロカプセル20内に分散させる液体である。分散媒21としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などを例示することができ、その他の油類であってもよい。これらの物質は単独又は混合物として用いることができ、さらに界面活性剤などを配合してもよい。
白色粒子27は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子26は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されて用いられる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤などを添加することができる。
また、黒色粒子26及び白色粒子27に代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を用いてもよい。かかる構成によれば、表示部5に赤色、緑色、青色などを表示することができる。
図4は、電気泳動素子の動作説明図である。図4(a)は、画素40を白表示する場合、図4(b)は、画素40を黒表示する場合をそれぞれ示している。
電気泳動表示装置100では、画素電極駆動回路60から画素電極配線61を介して画素40の画素電極35に画像データに対応する電位が入力される一方、共通電極駆動回路64から共通電極配線62を介して共通電極37に共通電極電位Vcomが入力される。これにより、図4に示すように、画素電極35と共通電極37との電位差に基づいて画素40が黒又は白表示される。
図4(a)に示す白表示の場合には、共通電極37が相対的に高電位、画素電極35が相対的に低電位に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子27が共通電極37に引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子26が画素電極35に引き寄せられる。その結果、表示面側となる共通電極37側からこの画素を見ると、白色(W)が認識される。
図4(b)に示す黒表示の場合、共通電極37が相対的に低電位、画素電極35が相対的に高電位に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37に引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子27が画素電極35に引き寄せられる。その結果、共通電極37側からこの画素を見ると黒色(B)が認識される。
[第1の駆動方法]
次に、図5及び図6を参照して本実施形態の電気泳動表示装置100の第1の駆動方法について説明する。
図5は、電気泳動表示装置100の第1の駆動方法におけるタイミングチャートである。図6は、以下で説明の対象とする2つの画素40を模式的に示す図である。
図6に示す画素40A、40Bは、表示部5に隣接配置された2つの画素40である。
画素40Aは、画素電極35aと、共通電極37との間に、マイクロカプセル20aを挟持した構成であり、画素40Bは、画素電極35bと共通電極37との間に、マイクロカプセル20bを挟持した構成である。画素電極35a、35bとマイクロカプセル20a、20bとの間には接着剤層33が介在している。
図5に示すように、第1の駆動方法は、画像表示ステップST11と、画像保持ステップST12とを有する。図5において、Vaは画素電極35aの電位、Vbは画素電極35bの電位、Vcomは共通電極37の電位である。
画像表示ステップST11では、コントローラ63から画素電極駆動回路60に画像データが入力され、画素電極駆動回路60から表示部5の各画素40に対して画像データに基づく電位が入力される。
図6(a)に示す画素40A、40Bでは、画素電極35aに負電位である電位−Vo(Vo>0)が入力され、画素電極35bに正電位である電位+Voが入力される。また、共通電極37には、共通電極駆動回路64から共通電極配線62を介してグランド電位GND(0V)が入力される。
そうすると、図6(a)に示すように、画素40Aでは、相対的に低電位に保持された画素電極35a側に正に帯電した黒色粒子26が引き寄せられ、相対的に高電位に保持された共通電極37側に負に帯電した白色粒子27が引き寄せられる。これにより、画素40Aが白表示される。一方、画素40Bでは、画素電極35b側に白色粒子27が引き寄せられ、共通電極37側に黒色粒子26が引き寄せられる。これにより画素40Bが黒表示される。
このようにして、表示部5に画像データに基づく画像が表示される。
次に、画像保持ステップST12に移行すると、画素電極駆動回路60から各々の画素40の画素電極35にグランド電位が入力される。
これにより、図5及び図6(b)に示すように、画素電極35a、35bと、共通電極37とがすべてグランド電位となり、マイクロカプセル20a、20bを取り囲む電極間の電位差が無くなる。したがって、接着剤層33やマイクロカプセル20a、20bを介した電荷の移動は生じなくなり、色あせを生じさせることなく、画像表示ステップST11で規定された表示状態を良好に保持することができる。
また、第1の駆動方法において、画像保持ステップST12の後に、さらに図5に示すように画素電極35a、35b、及び共通電極37をハイインピーダンス状態とする電源オフステップを設けてもよい。このように各電極への電位入力を停止することで、電気泳動表示装置100における電力消費を抑えることができる。
なお、本実施形態の駆動方法によれば、画像保持ステップST12において画素電極35a、35b間の電位差が解消されている。そのため、画像保持ステップST12の後に各電極をハイインピーダンス状態としても、接着剤層33やマイクロカプセル20の壁膜を介した電荷移動が生じることはなく、電力を消費せずに良好な表示状態を保持することができる。
また、上記の説明では、画像保持ステップST12において、画素電極35a、35bにグランド電位を入力することとしたが、画像保持ステップST12における保持電位は、グランド電位に限らず任意の電位を選択することができる。例えば、画素電極35a、35b、及び共通電極37を、高電位(+Vo)としてもよく、低電位(−Vo)としてもよい。このような駆動方法とした場合にも、同様の作用効果を得ることができる。
[第2の駆動方法]
次に、図7及び図8を参照して本実施形態の電気泳動表示装置100の第2の駆動方法について説明する。
図7は、電気泳動表示装置100の第2の駆動方法におけるタイミングチャートである。図8は、以下で説明の対象とする2つの画素40を模式的に示す図である。図8は、第1の駆動方法で参照した図6に対応する図であり、同図に示す画素40A、40Bの構成は図6と共通である。
図7に示すように、第2の駆動方法は、画像表示ステップST21と、画像保持ステップST22とを有する。図7において、Vaは画素電極35aの電位、Vbは画素電極35bの電位、Vcomは共通電極37の電位である。
画像表示ステップST21では、コントローラ63から画素電極駆動回路60に画像データが入力され、画素電極駆動回路60から表示部5の各画素電極35に対して画像データに基づく電位が入力される。また、共通電極駆動回路64から共通電極37に対して所定の信号が入力される。
図8(a)に示す画素40A、40Bでは、画素電極35aに低電位であるグランド電位GND(0V)が入力され、画素電極35bに高電位である電位+Voが入力される。
また、共通電極37には、低電位(GND)と高電位(+Vo)とを周期的に繰り返す矩形波状のパルスが入力される。
このような駆動方法を本願においては「コモン振り駆動」と呼ぶ。また、コモン振り駆動の定義としては、画像表示ステップに対応する期間において、共通電極37に高電位(H)と低電位(L)とを繰り返すパルスが少なくとも1周期以上印加される駆動方法のことである。このコモン振り駆動方法によれば、画素電極と共通電極とに印加する電位を高電位(H)と低電位(L)との2値により制御可能であるため、低電圧化が図れるとともに、回路構成をシンプルにすることができる。
そうすると、画素40Aでは、共通電極37が高電位(+Vo)である期間に、グランド電位(0V)に保持された画素電極35aとの間に電位差が生じ、相対的に低電位である画素電極35a側に正に帯電した黒色粒子26が引き寄せられ、相対的に高電位である共通電極37側に負に帯電した白色粒子27が引き寄せられる。上記の動作を画像表示ステップST21の期間中に繰り返すことで、画素40Aが白表示される。
なお、共通電極37が高電位(+Vo)である期間中は、高電位(+Vo)に保持された画素電極35bと共通電極37との間には電位差が生じないので、画素40Bの表示は変化しない。
一方、画素40Bでは、共通電極37が低電位(グランド電位)である期間に、高電位(+Vo)に保持された画素電極35bとの間に電位差が生じ、画素電極35b側に白色粒子27が引き寄せられ、共通電極37側に黒色粒子26が引き寄せられる。上記の動作を画像表示ステップST21の期間中に繰り返すことで、画素40Bが黒表示される。
なお、共通電極37がグランド電位である期間中は、低電位(グランド電位)に保持された画素電極35aと共通電極37との間には電位差が生じないので、画素40Aの表示は変化しない。
このようにして、表示部5に画像データに基づく画像が表示される。
次に、画像保持ステップST22に移行すると、図7に示すように、画素電極35にグランド電位が入力されている画素40の画素電極35に対して、画素電極駆動回路60から高電位(+Vo)が入力される。また、共通電極駆動回路64から共通電極37に高電位(+Vo)が入力される。
これにより、図7及び図8(b)に示すように、画素電極35a、35bと、共通電極37とがすべて高電位(+Vo)となり、マイクロカプセル20a、20bを取り囲む電極間の電位差が無くなる。したがって、接着剤層33やマイクロカプセル20a、20bを介した電荷の移動は生じなくなり、画像表示ステップST21で規定された表示状態を良好に保持することができる。
本実施形態の場合、図7に示すように、共通電極37がグランド電位である期間に画像表示ステップST21を終了している。すなわち、表示部5において黒表示の画素40(40B)が駆動されている期間に画像表示ステップST21を終了している。そして、画像保持ステップST22において、共通電極37の電位と、白表示の画素40Aの画素電極35aの電位を、いずれもグランド電位から高電位(+Vo)に引き上げている。
このような駆動方法とすることで、黒表示の画素40Bにおいて、画素電極35bの電位(+Vo)と共通電極37の電位(GND〜+Vo)との高低関係を維持することができる。これにより、黒表示の画素40Bにおいて、画像表示後に画素電極35や共通電極37の電位を変動させることによる電気泳動粒子26、27の移動を抑制することができる。一般に、「色あせ」は黒表示の画素40に生じた場合に目立って視認されるため、上記の駆動方法を採用することで黒表示の品質を良好に維持することで、より効果的に色あせ防止の効果を得ることができる。
また、第2の駆動方法では、共通電極37の電位を引き上げるタイミングTm2(電位の立ち上がり)を、白表示の画素40Aにおいて画素電極35aの電位を引き上げるタイミングTm1よりも早くすることが好ましい。
画像表示ステップST21の終了時に画素電極35aの電位Vaと共通電極37の電位Vcomはいずれもグランド電位である。これらのうち画素電極35aの電位Vaを先に引き上げ始めると、画素電極35aが共通電極37に対して高電位になるため、白表示の画素40Aに黒表示時と同様の電位状態が形成されることとなり、電気泳動粒子26、27が移動してしまう可能性がある。
そこで、上記のようにタイミングTm1、Tm2を設定することで、白表示の画素40Aにおいて、画素電極35aが共通電極37に対して低電位である状態を保持することができるので、白表示の画素40Aにおいても効果的に色あせの発生を抑えることができる。
また、第2の駆動方法においても、画像保持ステップST22の後に、さらに図7に示すように画素電極35a、35b、及び共通電極37をハイインピーダンス状態とする電源オフステップを設けてもよい。このように各電極への電位入力を停止することで、良好な表示状態を電力を消費せずに保持することができる。
なお、上記の説明では、画像保持ステップST22において、画素電極35aの電位Va及び共通電極37の電位Vcomを高電位(+Vo)に引き上げる場合について説明したが、画像保持ステップST22における画素電極35a、35b及び共通電極37の保持電位は、高電位(+Vo)に限らず任意の電位を選択することができる。例えば、画素電極35a、35b及び共通電極37をいずれもグランド電位としてもよく、グランド電位と高電位(+Vo)の中間の電位としてもよい。
したがって、画像表示ステップST21の終了時における共通電極37の電位についても任意の電位を選択することができる。ただし、ステップST21終了時点の共通電極37の電位によっては、画像保持ステップST22に移行する際に色あせが生じやすくなる場合があるため、画像保持ステップST22における保持電位に合わせて特定の電位となるように制御することが好ましい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の電気泳動表示装置200の概略構成は、図1に示した電気泳動表示装置100と共通であり、コントローラ63として図9に概略構成を示すものを具備した点で異なっている。
図9は、電気泳動表示装置200に備えられたコントローラ63の詳細を示すブロック図である。
コントローラ63は、データバッファ161と、白黒比率演算回路162と、収束電位発生回路163と、収束電位演算回路164と、を備えている。なお、図9は、以下の説明で必要な回路のみを示す図であり、コントローラ63の実際の構成とは必ずしも一致しない。
データバッファ161は、上位装置から入力される画像データDを保持するとともに、画素電極駆動回路60及び白黒比率演算回路162に対して画像データDを送信する。
白黒比率演算回路162は、フレームメモリ161から入力された画像データDを解析し、画像データDを構成する画素データ「0」「1」の比率を算出する。そして、得られた白黒比率Rを、収束電位発生回路163に出力する。
収束電位発生回路163は、白黒比率演算回路162から白黒比率Rの入力を受けて収束電位演算回路164に供給し、収束電位演算回路164から白黒比率Rに対応する収束電位Vcを取得する。そして、取得した収束電位Vcを共通電極駆動回路64に供給する。
収束電位演算回路164は、収束電位発生回路163から白黒比率Rの入力を受け、白黒比率Rに対応する収束電位Vcを出力する回路である。
収束電位演算回路164としては、白黒比率Rと収束電位Vcとを対応づけたルックアップテーブル(LUT)と、LUTを参照する回路とを備えた構成を例示することができる。LUTを構成するデータ群は、表示部5に異なる白黒比率Rの画像データDを表示させて計測された収束電位Vcの実測値を含む。収束電位Vcの実測値が飛び飛びである場合には、かかる実測値を補完する計算値を含んでいてもよい。あるいは、収束電位演算回路164として、白黒比率Rから収束電位Vcを得るための関数f(R)を有する演算回路を採用してもよい。
ここで、収束電位Vcについて、図10及び図21を参照して説明する。
図21に示したように、画素電極35a、35bに画像表示用の電圧を印加した後、これらの画素電極35a、35bをハイインピーダンス状態とすると、異なる電位の画素電極35a、35b間で電荷が移動する。この電荷の移動は、接着剤層33を共有するすべての画素電極35の電位が同一となったときに終了し、このときの画素電極35の電位が収束電位Vcである。
収束電位Vcは、常に一定の電位となるわけではなく、表示部5における画素電極35間の電位バランスに応じて変動する。すなわち、表示部5に表示させた画像データの態様に応じて変動する。
図10は、収束電位Vcの説明図である。図10において横軸は時間、縦軸は電位を示しており、これらの軸の交点は、画素電極35をハイインピーダンス状態とした時刻である。
図10に示すように、画素電極35をハイインピーダンス状態とした瞬間には、白表示の画素40の画素電極35の電位は、例えばグランド電位GND(0V)であり、黒表示の画素40の画素電極35の電位は、例えば高電位(+Vo)である。そして、ハイインピーダンス状態とした後、白表示の画素40の画素電極35の電位は時間の経過に伴って上昇し、黒表示の画素40の画素電極35の電位は時間の経過に伴って低下する。
しかし、画素電極35の電位変動は一様ではなく、表示部5における黒表示の画素40の数と、白表示の画素40の数との関係に応じて異なる挙動を示す。
黒表示の画素40の数が白表示の画素40よりも多い場合には、白表示の画素40の画素電極35の電位は、曲線C1aをたどり、黒表示の画素40の画素電極35の電位は曲線C1bをたどる。そして、高電位(+Vo)とグランド電位との中間電位Vo/2よりも高い電位Vc1(収束電位)に収束する。
一方、白表示の画素40の数が黒表示の画素40よりも多い場合には、白表示の画素40の画素電極35の電位は曲線C2aをたどり、黒表示の画素40の画素電極35の電位は曲線C2bをたどる。そして、中間電位Vo/2よりも低い電位Vc2(収束電位)に収束する。
なお、表示部5において白表示の画素40と黒表示の画素40とが同数である場合には、収束電位は中間電位Vo/2となる。
上記の収束電位Vcは、表示部5における白表示の画素40と黒表示の画素40との比率と相関関係にあり、例えば図11に示すような変化を示す。そこで、収束電位演算回路164としては、図11に示す実測値Pからなるデータ群を含むLUTを備えた構成、あるいは、実測値Pと、実測値Pを補完する計算値とを含むLUTを備えた構成を採用することができる。
さらに、収束電位Vcと白黒比率Rとの関数を実測値Pに基づいて得られる場合には、収束電位演算回路164として、関数f(R)を内蔵した構成を採用することもできる。
[駆動方法]
次に、図9から図12を参照しつつ、第2実施形態に係る電気泳動表示装置200の駆動方法について説明する。
図12は、電気泳動表示装置200の駆動方法におけるタイミングチャートである。図13は、以下で説明の対象とする2つの画素40を模式的に示す図である。図13は、第1実施形態で参照した図8に対応する図であり、同図に示す画素40A、40Bの構成は図6と共通である。
図12に示すように、第2実施形態に係る駆動方法は、画像表示ステップST31と、画像保持ステップST32とを有する。これらの図において、Vaは画素電極35aの電位、Vbは画素電極35bの電位、Vcomは共通電極37の電位である。
画像表示ステップST31は、第1実施形態に係る画像表示ステップST11又はST21と同様の動作とすることができる。図13には第1実施形態の第2の駆動方法に係る画像表示ステップST21を採用した場合が示されているが、第1の駆動方法に係る画像表示ステップST11と入れ替えることもできる。画像表示ステップST31による表示部5への画像表示が終了したならば、画像保持ステップST32に移行する。
次に、画像保持ステップST32に移行すると、図12及び図13(b)に示すように、画素電極35a、35bが画素電極駆動回路60において電気的に切断されてハイインピーダンス状態とされる一方、共通電極駆動回路64から共通電極37に収束電位Vcが入力される。
共通電極37に入力される収束電位Vcは以下の過程により入力される。
先の画像表示ステップST31では、図9に示したように、データバッファ161から画素電極駆動回路60に画像データDが出力され、かかる画像データDに基づく電位が画素40に入力されて表示部5に画像が表示される。
その一方で、画像データDは、白黒比率演算回路162にも供給されており、白黒比率演算回路162は画像データDから白黒比率Rを導出し、収束電位発生回路163に供給する。例えば、画像データDが、表示部5に図9に示す文字画像「TE」を表示するものである場合、黒表示に対応する画素データ「0」は18個、白表示に対応する画素データ「1」は52個であるから、R=52/18≒2.9が白黒比率Rとして出力される。
白黒比率Rの入力を受けた収束電位発生回路163は、収束電位演算回路164に白黒比率Rを出力する。収束電位演算回路164は、入力された白黒比率Rを用いてLUTを参照し、収束電位Vcのボリューム値Vc0を取得する。そして、取得したボリューム値Vc0を収束電位発生回路163へ返す。
あるいは、収束電位演算回路164は、入力された白黒比率Rからボリューム値Vc0を得る関数f(R)を用いてボリューム値Vc0を算出し、得られたボリューム値Vc0を収束電位発生回路163へ返す。
ボリューム値Vc0の入力を受けた収束電位発生回路163は、ボリューム値Vc0に基づき収束電位Vcを生成し、共通電極駆動回路64に供給する。共通電極駆動回路64は、画像保持ステップST32において、収束電位Vcを共通電極37に入力する。
本実施形態では、画像保持ステップST32において画素電極35に電位入力を行わず、ハイインピーダンス状態とする。そのため、図12に示すように、画像保持ステップST32に移行後、時間の経過とともに電位Va及び電位Vbが変化する。図12に示す例では、電位Va及び電位Vbは、それぞれグランド電位及び高電位(+Vo)から、中間電位Vo/2よりもやや高い収束電位Vcに向かって漸次接近するように変化する。
そして、本実施形態の駆動方法では、共通電極37の電位Vcomを収束電位Vcに設定している。これにより、電位Va、Vbが時間の経過とともに変化したとしても、共通電極37の電位Vcom(収束電位Vc)に接近するのみであり、電位Vaと電位Vcomとの電位の高低関係、あるいは電位Vbと電位Vcomとの電位の高低関係が反転することはなくなる。
よって本実施形態によれば、画像保持ステップST32において、画像表示ステップST31における電位状態(画素電極35a、35bと共通電極37との電位の高低関係)を保持することができ、色あせが発生するのを効果的に防止することができる。
ところで本実施形態の場合、共通電極37に収束電位Vcを入力するタイミングは重要である。例えば図12に示す例では、共通電極37がグランド電位である期間に画像表示ステップST31を終了している。この場合に、共通電極37に収束電位Vcを入力する前に画素電極35a、35bをハイインピーダンス状態にしてしまうと、画素電極35aの電位Vaが上昇する一方で、共通電極37の電位Vcomはグランド電位のままであるため、画素電極35aと共通電極37との電位の高低関係が画像表示ステップST31における高低関係と反転してしまい、色あせが発生する。
そこで、本実施形態の駆動方法においては、共通電極37への収束電位Vcの入力を、画素電極35a、35bをハイインピーダンス状態とするよりも早く実行することが好ましい。
なお、画像表示ステップST31の終了時に、共通電極37を中間電位Vo/2としておけば、画素電極35a、35bの電位Va、Vbが中間電位Vo/2を通過するまでの期間は、画素電極35a、35bと共通電極37との電位の高低関係は反転しない。したがって、共通電極37への収束電位Vcの入力が画素電極35a、35bをハイインピーダンス化するタイミングより多少遅くなっても、色あせは発生しない。
また、第2実施形態に係る駆動方法においても、画像保持ステップST32の後に、さらに図12に示すように画素電極35a、35b、及び共通電極37をハイインピーダンス状態とする電源オフステップを設けてもよい。このように各電極への電位入力を停止することで、良好な表示状態を電力を消費せずに保持することができる。
(変形例)
上記各実施の形態では、セグメント方式の電気泳動表示装置について説明したが、本発明に係る電気泳動表示装置は、画素ごとにラッチ回路が設けられたSRAM(Static Random Access Memory)方式の電気泳動表示装置とすることもでき、画素ごとに選択トランジスタとキャパシタを備えたDRAM(Dynamic Random Access Memory)方式の電気泳動表示装置とすることもできる。
以下、かかる構成について図14から図17を参照して簡単に説明する。なお、図14から図17において、先の実施形態で参照した図面と共通の構成要素には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図14は、アクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置300の概略構成図である。
電気泳動表示装置300は、複数の画素340がマトリクス状に配列された表示部5を備えている。表示部5の周辺には、走査線駆動回路361、データ線駆動回路362、コントローラ(制御部)363、及び共通電源変調回路364が配置されている。走査線駆動回路361、データ線駆動回路362、及び共通電源変調回路364は、それぞれコントローラ363と接続されている。コントローラ363は、上位装置から供給される画像データや同期信号に基づき、これらを総合的に制御する。
表示部5には走査線駆動回路361から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路362から延びる複数のデータ線68とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素340が設けられている。
走査線駆動回路361は、コントローラ363の制御のもと、1行目(Y1)からm行目(Ym)までの走査線66を順次選択し、画素340に設けられた選択トランジスタ41(図15参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。データ線駆動回路362は、走査線66の選択期間に、1ビットの画素データを規定する画像信号を画素40に供給する。
表示部5にはまた、共通電源変調回路364から延びる低電位電源線49、高電位電源線50、共通電極配線55、第1の制御線91、及び第2の制御線92が設けられており、それぞれの配線は画素340と接続されている。共通電源変調回路364は、コントローラ363の制御のもと、上記の配線の各々に供給すべき各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス化)を行う。
図15は、画素340に適用しうる画素340Aの回路構成図である。
画素340Aには、選択トランジスタ41と、ラッチ回路70と、スイッチ回路80と、電気泳動素子32と、画素電極35と、共通電極37とが設けられている。これらの素子を取り囲むように、走査線66、データ線68、低電位電源線49、高電位電源線50、第1の制御線91、及び第2の制御線92が配置されている。画素340Aは、ラッチ回路70により画像信号を電位として保持するSRAM(Static Random Access Memory)方式の構成である。
選択トランジスタ41は、N−MOS(Negative Metal Oxide Semiconductor)トランジスタからなる画素スイッチング素子である。選択トランジスタ41のゲート端子は走査線66に接続され、ソース端子はデータ線68に接続され、ドレイン端子はラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。ラッチ回路70のデータ入力端子N1及びデータ出力端子N2は、スイッチ回路80と接続されている。さらにスイッチ回路80は、画素電極35と接続されるとともに第1及び第2の制御線91、92と接続されている。
画素電極35と共通電極37との間に電気泳動素子32が挟持されている。
ラッチ回路70は、いずれもC−MOSインバータである転送インバータ70t及び帰還インバータ70fを備えている。転送インバータ70tと帰還インバータ70fとは、互いの入力端子に他方の出力端子が接続されたループ構造を成しており、それぞれのインバータには、高電位電源端子PHを介して接続された高電位電源線50と、低電位電源端子PLを介して接続された低電位電源線49とから電源電圧が供給される。
転送インバータ70tは、それぞれのドレイン端子をデータ出力端子N2に接続されたP−MOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ71とN−MOSトランジスタ72とを有している。P−MOSトランジスタ71のソース端子は高電位電源端子PHに接続され、N−MOSトランジスタ72のソース端子は低電位電源端子PLに接続されている。P−MOSトランジスタ71及びN−MOSトランジスタ72のゲート端子(転送インバータ70tの入力端子)は、データ入力端子N1(帰還インバータ70fの出力端子)と接続されている。
帰還インバータ70fは、それぞれのドレイン端子をデータ入力端子N1に接続されたP−MOSトランジスタ73とN−MOSトランジスタ74とを有している。P−MOSトランジスタ73及びN−MOSトランジスタ74のゲート端子(帰還インバータ70fの入力端子)は、データ出力端子N2(転送インバータ70tの出力端子)と接続されている。
上記構成のラッチ回路70において、ハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶されると、ラッチ回路70のデータ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力される。一方、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶されると、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力される。
スイッチ回路80は、第1のトランスミッションゲートTG1と、第2のトランスミッションゲートTG2とを備えて構成されている。
第1のトランスミッションゲートTG1は、P−MOSトランジスタ81とN−MOSトランジスタ82とからなる。P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のソース端子は第1の制御線91に接続され、P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のドレイン端子は画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ81のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続され、N−MOSトランジスタ82のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続されている。
第2のトランスミッションゲートTG2は、P−MOSトランジスタ83とN−MOSトランジスタ84とからなる。P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のソース端子は第2の制御線92に接続され、P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のドレイン端子は、画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ83のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続され、N−MOSトランジスタ84のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。
ここで、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶され、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力された場合、第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、第1の制御線91を介して供給される電位S1が画素電極35に入力される。
一方、ラッチ回路70にハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶され、データ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力された場合、第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となり、第2の制御線92を介して供給される電位S2が画素電極35に入力される。
電気泳動表示装置300は、上記の画素電極35に入力された電位S1、S2と共通電極37の電位Vcomとの電位差に基づいて電気泳動素子32を駆動し、表示部5に画像を表示する。
電気泳動表示装置300においても、第1及び第2の実施形態に係る駆動方法を適用することで、画像表示後の色あせの発生を抑え、高品質の表示を得ることができる。
また、電気泳動表示装置300の画素340には、図16に示す画素340Bを採用することもできる。画素340Bは、図15に示した画素340Aからスイッチ回路80を省き、ラッチ回路70のデータ出力端子N2と画素電極35とを接続した構成である。画素340Bはスイッチ回路80を備えないため、スイッチ回路80に付随する第1の制御線91及び第2の制御線92は不要である。
さらにまた、電気泳動表示装置300の画素340には、図17に示す画素340Cを採用することもできる。画素340Cは、選択トランジスタ41と、キャパシタ225と、画素電極35と、電気泳動素子32と、共通電極37とを備える。すなわち、画素340Cは、DRAM方式の画素回路を備えた構成である。
画素340Cを採用する場合には、図14において、ラッチ回路70及びスイッチ回路80に接続された配線(高電位電源線50、低電位電源線49、第1の制御線91、第2の制御線92)は不要である。
電気泳動表示装置300が画素340B又は画素340Cを備える構成である場合にも、第1及び第2の実施形態に係る駆動方法を適用することで、画像表示後の色あせの発生を抑え、高品質の表示を得ることができる。
また、これらの画素において、第1及び第2の実施形態に係る駆動方法を適用した場合、画素電極間が同一電位となるため、選択トランジスタのオフ電流も発生せず、色あせの発生を抑えることができる。
[電子機器]
次に、上記各実施形態の電気泳動表示装置100〜300を、電子機器に適用した場合について説明する。
図18は、腕時計1000の正面図である。腕時計1000は、時計ケース1002と、時計ケース1002に連結された一対のバンド1003とを備えている。
時計ケース1002の正面には、上記各実施形態の電気泳動表示装置100〜300からなる表示部1005と、秒針1021と、分針1022と、時針1023とが設けられている。時計ケース1002の側面には、操作子としての竜頭1010と操作ボタン1011とが設けられている。竜頭1010は、ケース内部に設けられる巻真(図示は省略)に連結されており、巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。表示部1005では、背景となる画像、日付や時間などの文字列、あるいは秒針、分針、時針などを表示することができる。
図19は電子ペーパー1100の構成を示す斜視図である。電子ペーパー1100は、上記各実施形態の電気泳動表示装置100〜300を表示領域1101に備えている。電子ペーパー1100は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1102を備えて構成されている。
図20は、電子ノート1200の構成を示す斜視図である。電子ノート1200は、上記の電子ペーパー1100が複数枚束ねられ、カバー1201に挟まれているものである。カバー1201は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する図示は省略の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
以上の腕時計1000、電子ペーパー1100、及び電子ノート1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置100〜300が採用されているので、画像の表示後に色あせが生じない高画質の表示部を備えた電子機器となる。
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
100,200,300 電気泳動表示装置、5 表示部、32 電気泳動素子、35,35a,35b 画素電極、37 共通電極、40,40A,40B,340,340A,340B,340C 画素、63 コントローラ(制御部)、164 収束電位演算回路。

Claims (7)

  1. 一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持し、一方の前記基板の前記電気泳動素子側に画素電極が設けられており、他方の前記基板の前記電気泳動素子側には前記画素電極と対向する共通電極が設けられた電気泳動表示装置の駆動方法であって、
    前記画素電極に画像データに応じた電位を入力するとともに前記共通電極に所定の電位を入力し、前記画像データに基づく画像を表示させる画像表示ステップと、
    前記画像の表示後に、前記画素電極をハイインピーダンス状態とするとともに、前記共通電極に収束電位を入力する画像保持ステップと、を有し、
    前記画像保持ステップにおいては、前記共通電極への前記収束電位の入力を、前記画素電極をハイインピーダンス状態とするよりも早く実行することを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
  2. 前記画像保持ステップにおいては、ハイインピーダンス状態の前記画素電極の電位と前記共通電極の電位との高低関係が反転するよりも前に前記共通電力への前記収束電位の入力を実行することを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
  3. 前記画像保持ステップに先立って、前記画像データにおける階調分布に基づいて前記収束電位を取得するステップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
  4. 一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持し、一方の前記基板の前記電気泳動素子側に画素電極が設けられており、他方の前記基板の前記電気泳動素子側には前記画素電極と対向する共通電極が設けられた電気泳動表示装置であって、
    前記画素電極に画像データに応じた電位を入力するとともに前記共通電極に所定の電位を入力し、前記画像データに基づく画像を表示させる画像表示期間と、
    前記画像の表示後に、前記画素電極をハイインピーダンス状態とするとともに、前記共通電極に収束電位を入力する画像保持期間と、を有し、
    前記画像保持期間においては、前記共通電極への前記収束電位の入力を、前記画素電極をハイインピーダンス状態とするよりも早く実行することを特徴とする電気泳動表示装置。
  5. 前記画像データに基づいて前記収束電位を導出する収束電位演算部を有することを特徴とする請求項4に記載の電気泳動表示装置。
  6. 前記収束電位演算部が、前記画像データにおける階調分布と前記収束電位とを対応づけるルックアップテーブルを有することを特徴とする請求項5に記載の電気泳動表示装置。
  7. 請求項4から6のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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