JP5889113B2 - コンクリートの含水状態検出方法及びシステム - Google Patents

コンクリートの含水状態検出方法及びシステム Download PDF

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Description

本発明はコンクリートの含水状態検出方法及びシステムに関し、とくに表面に塗膜を施工するコンクリートの含水状態の検出に適した方法及びシステムに関する。
例えば建造物の床工事において、モルタル又はコンクリート(以下、両者をまとめてコンクリートという)製の床面に対し、その保護又は美粧を目的として、コンクリート表面に合成樹脂系その他の塗り床、床シート等の仕上材(以下、塗膜ということがある)を塗布・敷設することがある。コンクリートを下地とする塗膜は、下地の乾燥が不十分で水分量が高い状態で施工すると十分な接着強度が得られず、施工後に下地から流出する液体(水蒸気等の気体である場合を含む)の圧力によって部分的に押し上げられ又は剥離する現象(以下、膨れということがある)を生じる場合がある(非特許文献1参照)。膨れの発生は、単に美観を損なうだけでなく、表面の平滑性を損なう品質上の不具合となる。このため、塗膜の施工時には、下地となるコンクリートの含水状態を把握して施工の可否(施工の時期)を判断することが重要な管理項目の一つとされている。
従来から、コンクリートの含水状態を把握する方法として、(1)コンクリートに電極を埋め込んで水分量を電気的に測定する方法、(2)コンクリート表面に電極を押し当てて水分量を電気的に測定する方法、(3)コンクリートに設けた小孔内部の湿度(結露)を測定する方法、(4)コンクリート表面に不透湿シートを貼り付けて湿度(結露)を測定する方法、(5)コンクリート表面に変色紙(湿度変化に応じて段階的に変色する紙)を貼り付けて水分量及び湿度を測定する方法等が開発されている(非特許文献2及び3、特許文献1及び2参照)。電気的な測定方法(1)及び(2)には、コンクリートの含水率と電気抵抗値との関係に基づいて電気抵抗の測定値からコンクリートの含水率を予測する方法(電気抵抗式)、コンクリートの水分量と誘電率(静電容量)との関係に基づいて誘電率(静電容量)の測定値からコンクリートの水分量を予測する方法(静電容量式)等が含まれる。
ただし、測定条件にバラツキのある建築物の工事現場等では、時間をかけずに簡便な方法を繰り返してコンクリートの含水状態を把握できることが望ましい。この点で、従来のコンクリートに電極を埋め込む方法(1)及び小孔を設ける方法(3)は、電極の埋め込み作業や小孔の穿設・補修作業に手間がかかる問題点がある。また、従来の不透湿シートを用いる方法(4)及び変色紙を用いる方法(5)も、測定結果を得るために比較的時間(数時間〜1日程度)を要するので、やはり工事現場によっては適用しにくい場合がある。これに対しコンクリート表面に電極を押し当てる電気的な測定方法(2)は、簡便な作業で迅速にコンクリートの水分量を把握できるので、床工事等の工事現場で広く用いられている。
図5(A)は、従来の電気的な測定方法(2)を用いた静電容量式の携帯型含水率測定器(コンクリート・モルタル水分計)の一例を示す。図示例の測定器10は、コンクリート表面に押し当てる電極部11と、電極部11を介してコンクリートの静電容量C(高周波静電容量)を測定する電源付き測定部18と、測定した静電容量Cからコンクリートの水分量Mを算出する演算部14と、算出した水分量Mを表示する表示部12とを有している。一般にコンクリートの静電容量Cと誘電率εとの間には図5(B)の数式(C=ε・K、Kは電極部11の形状により決定される定数)のような関係があり、コンクリートの静電容量Cと水分量(含水率)Mとの間には同図のグラフのような関係(比例関係)がある。従って、同図のグラフのような静電容量Cと水分量Mとの関係式を演算部14に記憶しておけば、電極部11をコンクリートの表面に押し当てるだけで、そのコンクリートの水分量Mを短時間で簡単に測定することができる。なお、図示例の符合17は測定対象材料に応じてコンクリートモード、ダイレクトモード等の複数の測定モードを選択する選択ダイヤルを示し、コンクリートモードの選択時には標準のコンクリート含水率とキャリブレーションした測定値を表示し、ダイレクトモードの選択時にはキャリブレーション前の測定値を表示する。すなわち、測定器10により測定する水分量Mは、キャリブレーション後の測定値だけでなく、キャリブレーション前の測定値である場合を含む。従来の床工事では前者の測定値を利用することが多い。
特開昭62−087841号公報 特開昭62−217149号公報
田中享二ほか「塗り床のふくれ発生機構の一考察」日本建築学会構造系論文集、1996年10月、第488号、pp.25〜30 湯浅昇「建築現場で適用可能な含水率試験方法」月刊建築仕上技術、2008年4月、vol.33.No.393、pp.44〜49 三浦勇雄ほか「発色紙によるコンクリートの湿度および含水率測定方法に関する研究−塗り床材の施工時期の判定方法」戸田建設技術研究報告、2007年11月、第33号、pp.11−1〜11−6 日本塗り床工業会編著「塗り床のソリューション 塗り床の不具合抑止対策集」戸田建設技術研究報告、2007年11月、第33号、pp.11−1〜11−6
しかし、上述したコンクリート表面に電極を押し当てる水分量の測定方法(2)は、電極からコンクリート中にどのような経路を介して電流が流れるかが不明であり、コンクリートの含水率の間接的な目安(尺度)は得られるものの、真の含水状態を直接表わす測定結果が得られない問題点がある。
このため、コンクリートの含水率を所定基準値(例えば5%)以下に管理すれば上述したコンクリートを下地とする塗膜の膨れを抑止できるとされているが、本発明者の経験によれば、図5(A)の電極押し当て式の測定器10によって含水率が基準値以下であることを確認するだけでは塗膜の膨れの発生を確実に避けることは難しい(後述する比較例及び図7参照)。すなわち、コンクリート表面に電極を押し当てる含水率の測定方法(2)は、作業が簡便で迅速に測定結果が得られるものの、コンクリート表面に施工する塗膜の膨れの有無を判定する閾値(基準値)を設定することができず、塗膜の膨れ発生の有無を確実に判定することが難しい。簡便で迅速に測定でき、しかも塗膜の膨れ発生の有無を確実に判定できる方法の開発が望まれている。
そこで本発明の目的は、表面に施工する塗膜の膨れ発生の有無を判定できるコンクリートの含水状態を測定する方法及びシステムを提供することにある。
図1の実施例を参照するに,本発明によるコンクリートの含水状態検出方法は,複数のコンクリート供試体2表面の同一又は近接部位で水分量M及び単位面積当たりの吸水量Aを測定し,その水分測定値Mを吸水量測定値Aで除した商(M/A)と各供試体2表面に施工した塗膜3(図3参照)の膨れ状態とから塗膜3の膨れが抑制できる商(M/A)の閾値T(図6参照)を求め,塗膜3の施工前の検出対象コンクリート1表面の同一又は近接部位で水分量M及び単位面積当たりの吸水量Aを測定し,その対象コンクリート1表面の測定値M,Aより算出した商(M/A)を閾値Tと比較して対象コンクリート1が塗膜3の膨れを抑制できる含水状態であるか否かを検出してなるものである。
また,図1のブロック図を参照するに,本発明によるコンクリートの含水状態検出システムは,コンクリート1の表面の水分量Mを測定する含水率測定器10,そのコンクリート表面の同一又は近接部位で単位面積当たりの吸水量Aを測定する吸水量測定器20,及び複数のコンクリート供試体2表面の水分測定値Mを同一又は近接部位の単位面積当たりの吸水量測定値Aで除した商(M/A)と各供試体2表面に施工した塗膜3(図3参照)の膨れ状態とから求めた塗膜3の膨れが抑制できる商(M/A)の閾値T(図6参照)を記憶し且つ塗膜3の施工前の検出対象コンクリート1表面の測定値M,Aより算出した商(M/A)を閾値Tと比較して対象コンクリート1が塗膜3の膨れを抑制できる含水状態であるか否かを検出する検出装置30を備えてなるものである。
好ましくは,図5に示すような含水率測定器10によって供試体2及び対象コンクリート1の表面に電極部11を押し当てて測定した電気抵抗値又は静電容量から水分量Mを算出し,図2に示すような吸水量測定器20によって供試体2及び対象コンクリート1の表面に一端周縁を水が漏れないようにシールしたシリンダ21内の水柱Wの所定時間の水頭変化量を吸水量Aとして測定する。
本発明による本発明によるコンクリートの含水状態検出方法は,複数のコンクリート供試体2表面の同一又は近接部位で水分量M及び単位面積当たりの吸水量Aを測定し,その水分測定値Mを吸水量測定値Aで除した商(M/A)と各供試体2表面に施工した塗膜3の膨れ状態とから塗膜3の膨れが抑制できる商(M/A)の閾値Tを求め,塗膜3の施工前の検出対象コンクリート1の表面の同一又は近接部位で水分量M及び単位面積当たりの吸水量Aの両者を測定し,その対象コンクリート1表面の測定値M,Aより算出した商(M/A)を閾値Tと比較して対象コンクリート1が塗膜3の膨れを抑制できる含水状態であるか否かを検出するので,次の有利な効果を奏する。
(イ)コンクリート表面の水分量M及び吸水量Aはそれぞれ水分量及び空隙量に対応するので、水分量Mを吸水量Aで割った商(M/A)によりコンクリート表面の空隙量に対する水分量、すなわち空隙量を考慮した含水状態を検出できる。
(ロ)空隙量を考慮した含水状態(M/A)はコンクリート表面からの水分の流出しやすさ(空隙からの水分の流出しやすさ)を示しているので、この含水状態(M/A)を用いることにより、含水率のみを用いた場合よりも高い精度で、塗膜の膨れ発生の有無を判定することができる。
(ハ)また、コンクリート表面の空隙量を考慮した含水状態(M/A)を用いることにより、コンクリートを下地とする塗膜の膨れ発生の有無を判定する閾値を設定することが可能となる。
(ニ)電気抵抗式又は静電容量式の含水率測定器(水分計)により水率Mを測定し、それと同一又は近接部位に一端周縁を水が漏れないようにシールしたシリンダ内水柱の水頭変化量により吸水量Aを測定すれば、工事現場等においても空隙量を考慮したコンクリートの含水状態を短時間で簡便に検出することができる。
(ホ)塗膜の下地とするコンクリートだけでなく、空隙量を考慮する必要のある他のコンクリートの含水状態の検出にも適用できる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
は、本発明の含水状態検出システムの一実施例のブロック図である。 は、本発明で用いる吸水量測定器の一例の説明図である。 は、コンクリートを下地とする塗膜の膨れ発生の有無の判定に本発明を適用した実験装置の説明図である。 は、水分量測定値M、吸水量測定値Aの商(M/A)により含水状態を検出する本発明の原理の説明図である。 は、本発明で用いる含水率測定器の一例の説明図である。 は、本発明で検出したコンクリートの含水状態(M/A)とそのコンクリートを下地とする塗膜の膨れ面積との関係(図3の実験結果)を示すプロット図である。 は、図5の含水率測定器で測定したコンクリートの含水率とそのコンクリートを下地とする塗膜の膨れ面積との関係を示すプロット図である。
図1は、本発明の含水状態検出システムの一実施例を示す。図示例のシステムは、コンクリート1の表面の水分量Mを測定する含水率測定器10と、そのコンクリート1の表面の単位面積当たりの吸水量Aを測定する吸水量測定器20と、その水分量測定値Mを吸水量測定値Aで除した商(M/A)を算出して含水状態を検出する検出装置30とを有する。検出装置30は、例えば入力手段31、検出手段32、出力手段33等の内蔵プログラムを有するコンピュータとすることができ、図中に点線で示すようなケーブル38、39を介して各測定器10、20の測定値M、Aを検出装置30の入力手段31に入力し、検出手段32により測定値M、Aの商(M/A)を算出し、算出した商(M/A)を出力手段33によりディスプレイ等に出力する。必要に応じて検出装置30を測定器10、20の何れか又は両者と一体型としてもよい。ただし、検出装置30は必ずしもコンクリート1上に設置する必要はなく、各測定器10、20から離して設置してもよい。その場合は各測定器10、20の測定値M、Aを適当な方法で検出装置30へ入力すればよい。
図示例の含水率測定器10は、例えば図5(B)と同様に、コンクリート表面に押し当てる電極部11と、電極部11を介してコンクリート1の静電容量C(高周波静電容量)を測定する測定部18と、コンクリート1の静電容量Cと含水率(水分量)Mとの関係式を記憶する演算部14とを有し、電極部11を押し当てたコンクリート1の静電容量から水分量M(キャリブレーション後だけでなくキャリブレーション前の静電容量の測定値のままである場合も含む、以下同じ)を測定する静電容量式の水分計である。或いは、測定部18により電極部11を介してコンクリート1の電気抵抗値を測定し、演算部14にコンクリート1の電気抵抗値と水分量Mとの関係式を記憶し、電極部11を押し当てたコンクリート1の電気抵抗値から水分量M(キャリブレーション後だけでなくキャリブレーション前の電気抵抗の測定値のままである場合も含む、以下同じ)を測定する電気抵抗式の水分計としてもよい。静電容量式又は電気抵抗式の含水率測定器10を用いることにより、含水状態(M/A)を短時間で簡易に検出することが可能となり、本発明の工事現場等への適用が容易になる。ただし、本発明で用いる水分量の測定方法にとくに限定されず、静電容量式又は電気抵抗式以外の上述した従来の測定方法(1)、(3)〜(5)を用いて本発明を構成することも可能である。
図示例の吸水量測定器20は、例えば図2(A)に示すように、両端開口シリンダ21aと、そのシリンダ21aの一端周縁をコンクリート1の表面に水が漏れないようにシーリングして密封する圧着手段(例えば接着剤、シーリング材等)23とを有し、シリンダ21a内に注入した水柱Wの所定時間(例えば3時間程度)の水頭変化量からコンクリート表面の単位面積当たりの吸水量Aを測定するものである。例えばシリンダ21に透明な目盛り付き周壁を含め、目視で読み取った水頭変化量を単位面積当たりの吸水量Aとする。或いは、図示例のようにシリンダ21の他端22bに水位計、水位センサー等の水頭変化量を検知する検知部25を設け、その検知部25で水頭変化量を検知して単位面積当たりの吸水量Aとしてもよい。水頭変化量(吸水量A)を測定する所定時間は適宜調整可能であり、例えば工事現場等への適用が容易な比較的短時間(例えば1分〜3時間程度)とすることも可能である。また、図2(B)のようなL字型シリンダ21bを用いることにより、コンクリート1の水平表面だけでなく非水平表面(例えば垂直表面)の吸水量Mを測定することも可能である。ただし、吸水量の測定方法は図示例に限定されず、従来技術に属する他の方法により吸水量を測定してもよい。
含水率測定器10及び吸水量測定器20はできるだけ近接させて設置し、或いは含水率測定器10の測定後に吸水量測定器20を同じ位置に置換して設置することにより、水分量M及び吸水量Aをコンクリート表面の同一又は近接部位において測定する。同一又は近接部位で水分量M及び吸水量Aを測定することにより、含水状態(M/A)の精度を高めることができる。好ましくは水分量M及び吸水量Aを測定する時間差を小さく抑え、更に好ましくは水分量M及び吸水量Aを同時に並行して測定する。両測定値M、Aの測定時間差を小さくすることで、時間差に起因する含水状態(M/A)の誤差の発生を避けることができる。ただし、コンクリート1の水分量M及び吸水量Aの測定値に大きな変化を生じない通常の時間差(例えば1分〜3時間程度)であれば誤差の問題は生じない。
図示例において、測定器10の測定する水分量Mはコンクリート表面の水分量に対応し、測定器20の測定する吸水量Aはコンクリート表面の空隙量に対応している。従って、検出装置30で算出する水分量M及び吸水量Aの商(M/A)は、コンクリート表面の空隙量Aに対する水分量Mの割合を示し、コンクリート表面の空隙量を考慮した含水状態(M/A)を表わしている。また含水状態(M/A)は、図4(A)に示すようにコンクリート1の吸水量(空隙量)Aが同じときは含水量(水分量)Mに比例して変動し、図4(B)に示すようにコンクリート1の含水量(水分量)Mが同じときは吸水量(空隙量)Aに反比例して変動するので、コンクリート中の空隙からの水分の流出しやすさを表わしていると考えることもできる。上述したようにコンクリート1を下地する塗膜の膨れはコンクリート1から流出する液体の圧力によって発生するので、コンクリート中の空隙からの水分の流出しやすさを表わす含水状態(M/A)を用いることにより、従来の含水率(水分量)のみを用いた場合よりも塗膜の膨れ発生の有無を高い精度で判定することが期待できる。
[実験例]
上述した水分量Mを吸水量Aで除した含水状態(M/A)により、コンクリートを下地として施工した塗膜の膨れ発生の有無を判定できるか否かを確認するため、表1に示す2種類の調合のコンクリート(W/C45%、W/C60%)により複数のコンクリート供試体2(直径200mm、高さ120mmの円柱形)を製作して実験を行った。各供試体2は、それぞれコンクリート打設後に気中養生及び湿布3日間の2種類の初期養生を施したうえで実験に供した。
先ず、打設後1週間目の各供試体2(W/C45%−7、W/C60%−7)について、図5と同様の静電容量式の含水率測定器10(HI−500、株式会社ケット科学研究所製)を用いて円形頂面のコンクリート表面の水分量Mを測定した。その後、それと同じ部位に図2のような目盛り付き透明アクリル製のシリンダ21aの一端周縁をエポキシ樹脂接着剤25により圧着して水が漏れないようにシーリングし、そのシリンダ21a内に初期水頭10cmで注水して所定時間(3時間)の水頭変化量からコンクリート表面の単位面積当たりの吸水量Aを測定し、水分量M及び吸水量Aの測定値から含水状態(M/A)を算出した。
また、水分量M及び吸水量Aを測定したのち、各供試体2の頂面からシリンダ21a、接着剤25、脆弱部分、ごみ等を取り除いたうえで、その頂面のコンクリート表面上にエポキシ樹脂系塗り床(ケミクリートEプライマー、株式会社エービーシー商会製)を塗布して塗膜3を施工した。更に図3に示すように、塗膜施工後の各供試体2を上部から所定高さd1(=10mm)だけ残して水槽5の温水H(30℃)中に継続的に浸漬して塗膜3の膨れを促進し、20週間経過後に各供試体2の塗膜3の膨れ面積(=塗膜3の膨れ部分の面積/塗膜3を施工したコンクリート表面の全体面積)を測定した。最後に、測定した含水状態(M/A)及び膨れ面積を二次元平面上に供試体別にプロットし、含水状態(M/A)と膨れ面積との関係を示すプロット図を作成した(図6参照)。
次に、打設後4週間目の各供試体2(W/C45%−28、W/C60%−28)についても、上述した1週間目の場合と同様に、静電容量式の含水率測定器10を用いてコンクリート表面の水分量Mを測定したのち、それと同じ部位に設けたシリンダ21a内の水頭変化量からコンクリート表面の単位面積当たりの吸水量Aを測定して含水状態(M/A)を算出した。また、各供試体2のコンクリート表面上に塗膜3を施工し、図3の水槽5中に20週経浸漬して塗膜3の膨れを促進したのち、その塗膜3の膨れ面積を測定した。測定した含水状態(M/A)及び膨れ面積は、1週間目の場合と同じ二次元平面上に供試体別にプロットして両者の関係を示すプロット図を作成した(図6参照)。
[比較例]
上述した含水状態(M/A)と膨れ面積との関係に対し、比較のため、実験で用いた4種類の試験体(W/C45%−7、W/C60%−7、W/C45%−28、W/C60%−28)で測定した含水率と塗膜の膨れ面積とをそれぞれ二次元平面上に供試体別にプロットし、含水率と膨れ面積との関係を示すプロット図を作成した(図7参照)。図7のプロット図は、含水率が大きくなるほど膨れ面積が増大する傾向を示しており、含水率が塗膜の膨れ発生の有無を判定する一応の目安(尺度)となることを表わしている。しかし、とくに打設後1週間目の供試体2(W/C45%−7、W/C60%−7)のように高含水領域では、含水率が所定基準値(例えば5%)以下でも塗膜の膨れが発生することがある一方で、含水率が所定基準値(5%)以上でも塗膜の膨れが発生しないことがあり、塗膜の膨れ発生の有無を判定する含水率の閾値(基準値)を設定することができないことが分かる。
これに対し図6のプロット図は、含水状態(M/A)が所定基準値(例えば3)以上のときにのみ塗膜の膨れが発生し、その所定基準値以下のときには塗膜の膨れが発生しないことを示しており、塗膜の膨れ発生を抑制できる含水状態(M/A)の閾値Tが設定できることを表わしている。すなわち、含水率だけでなく水分量(含水量)Mと吸水量(空隙量)Aとを考慮した含水状態(M/A)を用いて塗膜の膨れ発生の有無を判定すれば、含水率のみを用いた場合よりも高い精度で塗膜の膨れ発生の有無を判定することができる。例えば図1のシステムの検出装置30に、図6のプロット図から求めた塗膜の膨れ発生を抑制できる含水状態(M/A)の閾値Tを記憶する記憶手段34を設け、塗膜施工前のコンクリート1の表面の水分量測定値M及び吸水量測定値Aより算出した含水状態(M/A)を閾値Tと比較することにより、そのコンクリート1が塗膜3の膨れの抑制できる含水状態であるか否かを検出することができる。
こうして本発明の目的である「表面に施工する塗膜の膨れ発生の有無を判定できるコンクリートの含水状態を測定する方法及びシステム」の提供が達成できる。
1…コンクリート 2…コンクリート供試体
3…塗膜 5…水槽
6…支持材
10…含水率測定器 11…電極部
12…表示部 14…演算部
15…温度補正ダイヤル 16…厚さ補正ダイヤル
17…材料選択ダイヤル 18…電源付き測定部
19…携帯用ストラップ
20…吸水量測定器 21a、21b…シリンダ
22a、22b…開口 23、24…圧着手段
25…水頭変化量検知部
30…検出装置(コンピュータ) 31…入力手段
32…検出手段 33…出力手段
34…記憶手段 38、39…信号ケーブル
C…静電容量 ε…誘電率
H…温水 T…閾値
W…水

Claims (6)

  1. 複数のコンクリート供試体表面の同一又は近接部位で水分量及び単位面積当たりの吸水量を測定し,前記水分量測定値を吸水量測定値で除した商と前記各供試体表面に施工した塗膜の膨れ状態とから当該塗膜の膨れが抑制できる前記商の閾値を求め,前記塗膜施工前の検出対象コンクリート表面の同一又は近接部位で水分量及び単位面積当たりの吸水量を測定し,前記対象コンクリート表面の測定値より算出した前記商を前記閾値と比較して当該対象コンクリートが塗膜の膨れを抑制できる含水状態であるか否かを検出してなるコンクリートの含水状態検出方法。
  2. 請求項1の方法において,前記水分量を,前記供試体表面及び対象コンクリート表面に電極を押し当てて測定した電気抵抗値又は静電容量より算出してなるコンクリートの含水状態検出方法。
  3. 請求項1又は2の方法において,前記吸水量を,前記供試体表面及び対象コンクリート表面に一端周縁を水が漏れないようにシールしたシリンダ内水柱の所定時間の水頭変化量としてなるコンクリートの含水状態検出方法。
  4. コンクリート表面の水分量を測定する含水率測定器,前記表面の同一又は近接部位で単位面積当たりの吸水量を測定する吸水量測定器,及び複数のコンクリート供試体表面の水分量測定値を同一又は近接部位の単位面積当たりの吸水量測定値で除した商と当該各供試体表面に施工した塗膜の膨れ状態とから求めた当該塗膜の膨れが抑制できる商の閾値を記憶し且つ前記塗膜施工前の検出対象コンクリート表面の測定値より算出した前記商を前記閾値と比較して当該対象コンクリートが塗膜の膨れを抑制できる含水状態であるか否かを検出する検出装置を備えてなるコンクリートの含水状態検出システム。
  5. 請求項のシステムにおいて,前記含水率測定器により,前記供試体表面及び対象コンクリート表面に電極を押し当てて測定した電気抵抗値又は静電容量より水分量を算出してなるコンクリートの含水状態検出システム。
  6. 請求項4又は5のシステムにおいて,前記吸水量測定器により,前記供試体表面及び対象コンクリート表面に一端周縁を水が漏れないようにシールしたシリンダ内水柱の所定時間の水頭変化量を単位面積当たりの吸水量として測定してなるコンクリートの含水状態検出システム。
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