JP5886314B2 - 解析計算方法、解析計算プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、メッシュ構造を用いて解析計算を行う解析計算方法、解析計算プログラムおよび記録媒体の技術に関する。
環境問題などへの対応からモータを主動力源とするクリーンなシステムや、装置の開発が進められている。インバータは、交流モータを駆動するために使用されるシステムにおける変換器の一つである。インバータは、半導体素子のスイッチング動作により矩形波電圧を出力し、矩形波の重ね合わせにより望みの周波数と振幅をもつ正弦波電流を模擬できるため、前記のようなシステム・装置に不可欠なパワーエレクトロニクス装置である。
矩形波は、高調波成分を含み、この高調波成分が電磁ノイズを発生させる原因となりうる。また、矩形波は、サージとして装置の回路内を伝導し、構成部品の耐電圧性・絶縁性に影響を与える場合がある。一方、変換効率向上のためにスイッチング素子の高周波化が進められており、この高調波化によって発生ノイズ帯域が上昇して他の機器に影響を及ぼしやすくなっているとともに、サージの立ち上がり速度が増大して構成部品の耐電圧性・絶縁性への影響も大きくなっている。
このため、製品開発時にノイズ、サージに対する対策が実施される。発生ノイズの対策にはノイズ源の電流路を特定して発生を抑制する必要があるが、ノイズは寄生素子の影響が原因の充放電により生じるため、測定からノイズ源の電流路を特定することは困難である。そこで、有効なノイズ対策は、シミュレーションでノイズ電流の経路を特定して対策案を立てることである。また、その他の有効なノイズサージ対策は、回路の形や素子定数を使用して、サージの波形をシミュレーションして対策案を立てることである。このため、寄生素子定数を含めた素子定数を用いる回路シミュレーションによって、装置のノイズ、サージの特性が解析されることになるが、そのためには、装置構造に寄生する素子定数が評価されるという準備が必要である。また、装置の小型化の進行は構成部品間の距離の短縮の進行であるため、前記した対策の重要性が増す一方で、測定での寄生素子評価が困難になっていく。寄生素子評価が十分できない場合は、試行錯誤的な対策が実施されることになる。
回路内の配線は、寄生インダクタンスを持っており、その寄生インダクタンスはノイズ、サージの伝導に影響する。この寄生インダクタンスを十分な精度で測定することにおける困難性に対して、配線形状に忠実に磁場シミュレーションして寄生インダクタンスを計算するプログラムが、すでに実現されている。
このようなプログラムとして、非特許文献1に記載の技術がある。非特許文献1に記載の技術は、薄板近似による電圧源駆動電流分布解析プログラムに関する技術である。このプログラムは、電流ベクトルポテンシャルを未知数とする有限要素法により、薄い導体や表皮電流の導体を対象として、2次元メッシュを用いて効率的に電流や端子間のインダクタンス、抵抗を計算する。そして、このプログラムは基板を含むパワーエレクトロニクス機器配線に適用できる。
また、非特許文献2に記載の境界要素法を用いた渦電流解析プログラムとしてAnsys(登録商標)社のQ3Dがある。このプログラムは、渦電流の解析に対し、導体の表面メッシュを用いて、複雑な形状を少ないメッシュ数で計算できるものである。また、このプログラムは、境界要素法による静電界計算により容量を計算することが可能で、導体の表面メッシュと誘電体の立体メッシュを用いて効率的に静電容量を計算できる。
一方、制御基板を含む配線実装は、寄生容量により30MHz以上のノイズが発生する。寄生容量を含めた素子定数を用いた回路シミュレーションによって、装置内のサージ・ノイズ特性を解析するためには、装置構造に寄生する容量が評価されておく必要がある。この寄生容量は、導入する回路内の位置により伝導特性が変化させうるため、寄生容量を正しく評価してサージ・ノイズ特性を解析することが重要である。このため、全体回路の一部構成を形状・構造に忠実に電磁場シミュレーションし、インピーダンスの周波数特性や分布定数的な寄生定数を得ることが重要になってくる。そのため、装置構造に忠実に30MHz以上のノイズを解析できる、寄生容量部の変位電流効果を導入した電磁場シミュレーションプログラムが求められる。このとき、複雑な形状を少ないメッシュ数で計算できることは、メッシュ作成の容易さと計算時間短縮・使用メモリ削減の点からも重要である。
しかし、周波数依存性を考慮して寄生容量を回路シミュレーション向けにモデル化する際には、渦電流と変位電流を含めた周波数依存の解析が必要となる。このようなモデル化を行うため、従来、ユーザは、非特許文献3に記載されている、3次元有限要素法を用いたAnsys(登録商標)社のHFSSのような高周波電磁波の解析プログラムか、または、非特許文献3に記載されている、2次元有限要素法を用いたAnsys(登録商標)社のSIwaveのような層構造プレーン間電磁波の解析プログラムを使用している。
次に、計算メッシュの観点から、背景技術を説明する。電流の場合、流体や熱の流れと異なり、導電率が絶縁体に対して15桁以上大きい。特に、電流を流しやすいCuなどの導体が存在することにより、電流路が導体形状によって規定される。表皮効果の効かない低周波域では、交流電流は導体を一様に流れ、電流路は導体形状により規定される。高周波域で、容量効果がなく表皮効果が効く場合は、交流電流は導体表面に沿った流れとなり、表皮効果で電流の深さ方向の範囲が決められる。このため、低周波域では導体形状に応じた計算メッシュを用い、高周波域では表面2次元メッシュを用いることができる。容量効果が存在する場合、対向する導体面間の絶縁体部、すなわち、容量部を交流電流が流れる。対向する導体の面積が大きく、対向距離が小さいほど、容量効果の影響が大きく効き、変位電流が低周波数で流れやすくなる。このとき、導体内では、導体表面に沿った電流成分だけでなく、導体表面に垂直な電流成分も存在する。従って、容量効果の影響を受けるときの電流は3次元的であり、3次元立体メッシュでの計算が必要になる。
前記したAnsys(登録商標)社のQ3Dは、直流電流の解析には導体形状に忠実な3次元メッシュを用い、交流電流の解析には、境界要素法を用いた2次元の面メッシュを用い、導体の表面に2次元面メッシュを用いている。また、Q3Dの境界要素法による静電界計算は、2次元の面メッシュと3次元立体のメッシュを用い、導体の表面に2次元面メッシュを置き、誘電体に3次元立体メッシュを用いている。この静電界計算は非特許文献2に記載されている2重相反法を用いれば可能になる。このとき、誘電体の立体メッシュの表面が導体の表面メッシュと重なる構造をとり、誘電体の立体メッシュは誘起電荷の計算に用いられる。また、前記した非特許文献1の渦電流解析プログラムは、導体に面メッシュを使用している。さらに、非特許文献4には、3次元体系の導体電流の計算方法が記載されている。ここで、非特許文献4における導体電流の計算は、同じ次元の計算メッシュを使用して実施されている。
3次元体系の計算を効率的に実施するためには、3次元効果の不要な箇所に低次元メッシュを使用することが考えられ、そのような公知例として、特許文献1に記載されているPMモータの磁石渦電流損失解析方法がある。この方法は、2次元磁場計算結果を3次元磁石渦電流計算に使用するもので、磁場の計算を2次元で実施し、得られた磁場を未使用次元方向に一様として、渦電流計算を3次元で実施するものである。
特開2008−123076号公報
福本 英士:「薄板近似による電圧源駆動電流分布解析」電気学会静止器・回転機合同研究会資料 SA94−8,RM94−72(1994) 「電気・電子境界要素法」加川幸雄・榎園正人・武田毅共著、森北出版、2001年 「電気工学の有限要素法」中田高義・高橋則雄著、森北出版、1986年 R. Albanese, PhD and Prof. G. Rubinacci、「Integral formulation for 3D eddy-current computation using edge elements」、P457-462, IEE PROCEEDINGS, Vol. 135, Pt. A, No. 7、1988年9月
ここで、非特許文献1に記載のプログラムは3次元の変位電流計算をしておらず、容量効果を含む周波数特性や分布素子定数の正確な評価は困難である。
また、非特許文献2に記載のAnsys(登録商標)社のQ3Dは、3次元の変位電流計算がされておらず、容量効果を含む周波数特性や分布素子定数の正確な評価は困難である。
また、非特許文献3に記載のAnsys(登録商標)社のHFSSは、電磁場の存在する3次元空間に計算メッシュを置いて計算するため、空間形状が複雑で大規模な解析ではメッシュ作成が困難である。電磁波の計算では、計算体系内に波が複数波長存在して初めて波の形の精度が得られる。例えば、30MHzの周波数のパワーエレクトロニクスノイズを解析する場合、波長10m(構成機器サイズのおよそ30倍)のさらに複数倍の大きさの空間を含む3次元計算体系とその計算メッシュを準備する必要があるため、前記した各プログラムの適用が困難である。Ansys(登録商標)社のSIwaveは、層構造の導体プレーン間の電磁波を2次元問題として有限要素法解析するため、解析する対象が基板などの層構造2次元的な装置に限られており、3次元的な配線形状を持つインバータなどのパワーエレクトロニクス装置には適用困難である。
一般に、導体内電流と絶縁体内変位電流を計算する解析方法を用いる方が、構成機器サイズの計算体系と構成機器形状に忠実なその計算メッシュを準備すればよいので、適用しやすいと考えられる。しかしながら、導体内電流のみを計算する手段は存在するものの、導体内電流と絶縁体内変位電流の両方を計算する手段は存在していない。
そして、3次元の複雑な形状での電流を、少ないメッシュ数で効率的に計算することは、容量効果の計算をする場合に重要となるが、これまで容量効果を含めた電流計算の手段がなかったため、効率よく計算するためのメッシュについての工夫は存在していない。
さらに、特許文献1に記載されているPM(Permanent Magnet)モータの磁石渦電流損失解析方法は、1つの物理量の計算を同じ次元のメッシュで実施しており、3次元と低次元のメッシュで、電流などの1つの物理量を計算するものではない。
このように、導体内電流と絶縁体内変位電流の両方を計算する手段の実現が望まれている。また、構成機器サイズの計算体系と構成機器形状に忠実なその計算メッシュを準備する際に、変位電流の影響が小さい導体電流部の計算メッシュを低次元化する手段が望まれている。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、メッシュ構造を用いた解析計算を効率的に計算することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、解析対象物において、絶縁体が導体に接する構造を有している場合に、3次元メッシュ構造部として絶縁体の部分に3次元絶縁体部を設定するとともに、導体の部分のうち、少なくとも絶縁体に接している部分に3次元導体部を設定したメッシュ構造を生成し、導体の部分のうち、3次元メッシュ構造部を設定した部分以外に低次元メッシュ構造である低次元導体部を設定したメッシュ構造を生成し、3次元メッシュ構造部と、低次元メッシュ構造部とを接続させたメッシュ構造を生成し、生成したメッシュ構造を用いて、解析対象物に交流電圧が印加されたときの電位の時間微分を未知数とし、3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、3次元導体部および低次元導体部における離散化積分方程式を解くことによって、解析対象物における電流と変位電流とを算出することを特徴とする。
その他の解決手段は、実施形態において適宜記載する。
本発明によれば、メッシュ構造を用いた解析計算を効率的に計算することができる。
本実施形態に係る解析計算システムの構成例を示す図である。 本実施形態に係る解析計算装置における処理部の構成例を示す図である。 本実施形態に係る解析計算システムにおける処理の手順を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。 第1実施形態の接続線における要素間の接続状態を示す図である。 第1実施形態の接続線における要素間の接続状態の別の例を示す図である。 第1実施形態における3次元導体部と、3次元絶縁体部との要素間の接続状態を示す図である。 第1実施形態に係るメッシュ構成の具体例を示す図である。 公知例に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。 比較例に係る要素を示す図である(その1)。 比較例に係る要素を示す図である(その2)。 第2実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。 第2実施形態の接続点における要素間の接続状態を示す図である。 第3実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。 3次元導体、3次元絶縁体のメッシュ構成の具体例を示す図である。 メッシュ構造体における、周波数特性計算結果の例を説明するための図である。 メッシュ構造を使用して渦電流分布計算を行った結果を示す例である。 第4実施形態に係る計算系形状モデルの例を示す図である。 第4実施形態の短絡部における要素間の接続状態を示す図である。 第4実施形態に係るメッシュ構成の具体例を示す図である。 第4実施形態におけるメッシュ構成を使用して周波数特性計算を行った際の計算結果を示す図である。 第5実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。 第5実施形態の接続面における要素間の接続状態を示す図である。 第5実施形態の構成を有する構造体におけるメッシュ構成の具体例を示す図である。 第5実施形態における周波数特性の計算例を示す図である。 第6実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。 第5実施形態の短絡部における要素間の接続状態を示す図である(その1)。 第5実施形態の短絡部における要素間の接続状態を示す図である(その2)。 第6実施形態に係るメッシュ構成の具体例を示す図である。 第1実施形態、第4実施形態、第6実施形態によって作成されたメッシュ構成で解析計算を行った結果を示す図である。 第7実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。 第7実施形態の短絡部における要素間の接続状態を示す図である。 電流・変位電流が流れる簡単な体系を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
発明者らは、導体内電流と絶縁体内変位電流の両方を計算できる理論を新規に導出した。また、発明者らはこれを用いて導体内電流と絶縁体内変位電流の両方を計算できる方法および装置を開発した。さらに、発明者らは、3次元メッシュと低次元メッシュを使用して電流を計算できる解析方法および装置を開発した。以下に詳細に説明する。
まず、具体的な装置および解析方法の説明の前に、導体内電流と絶縁体内変位電流の両方を計算できる理論の新規導出について、以下に詳細に説明する。
Maxwellの方程式は、よく知られたように、以下のように書かれる。
Figure 0005886314
ここで、Eは電場、Bは磁場、Hは磁束密度、Jは電流密度、Dは電束密度、ρは電荷密度である。
Maxwellの方程式において、電束密度D、磁場B、電流密度Jは以下のように置き換えられる。
Figure 0005886314
さらに、磁場ベクトルポテンシャルAは、以下の式(6)のように表される。
Figure 0005886314
さらに、以下のように静電ポテンシャルφが導入される。
Figure 0005886314
すると、よく知られたように、以下のような方程式が算出される。
Figure 0005886314
ここで、εは誘電率、μは透磁率、σは導電率である。
導体を流れる電流を解析する場合、導電率σは10A/Vm程度の値であるのに対して、ε∂/∂tは周波数1GHzで見積もってもεω=0.0556A/Vm×比誘電率の程度の値であるために無視できる。従って、εμを含む項が省略可能である。これは、電磁波においては、伝播時の位相遅れを無視する近似に相当する。そこで、εμを含む項が省略され、電磁場の不定自由度を除くためにゲージ条件としてクーロンゲージ条件が以下のように課される。
Figure 0005886314
すると、式(9)は以下のようになる。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
変位電流密度は、以下のような式となる
Figure 0005886314
このため、式(10)は変位電流に関係する方程式である。式(12)の微分方程式の数値計算には、磁力線の存在範囲に計算メッシュが必要であり、通常、このような計算メッシュは有限要素法により計算される。しかし、磁力線の存在範囲に計算メッシュを作成すると、計算メッシュ数が膨大になり、パワーエレクトロニクス装置での変位電流・インピーダンス周波数特性を含む数値計算には適さない。
このため、計算メッシュ存在範囲を電流の流れる範囲に限定できるように、式(12)が積分方程式に変換される。パワーエレクトロニクス装置では強磁性体を使用することが少ないため、解析範囲に強磁性体がない場合を想定する。このとき、高周波域では透磁率は真空と同じく、比透磁率=1を使用できる。以下では、透磁率一様の条件を仮定する。位相遅れがなく、透磁率一様の条件下では、式(12)の形式解は、以下のようなビオサバールの定理として表される
Figure 0005886314
この式が、式(12)における第2式である以下の式(15)に代入されると、式(16)が導出される。
Figure 0005886314
ここで、電流密度の時間微分は以下の式である。
Figure 0005886314
式(16)を用いると、∇φを端子電圧条件項として、導体にのみ計算メッシュを置き、導体内の電流が解析できることが知られている。しかし、式(16)の導体電流Jと式(10)の絶縁体の変位電流に関係する方程式との接続ができないため、式(16)を用いて変位電流を合せた上で解析することは、従来、できなかった。
以下において、導体電流積分方程式と併用できる変位電流に関係する新規な方程式が導出される。ビオサバールの定理を用いると、変位電流密度は以下の式になる。
Figure 0005886314
この式(18)の第1項と、式(16)の第2項とが周波数成分で比べられると、式(18)の第1項と式(16)の第2項の比はεω/σであることが分かる。前記した式(9)の式からεμを含む項が省略されたように、式(18)でもεμを含む項は、導体電流に対して無視できる大きさであるために省略できる。よって、導体電流を変位電流として受け継ぐのは、第2項の静電ポテンシャルに関する項である。従って、変位電流密度は以下の式になる。
Figure 0005886314
このとき、変位電流に関係する方程式である式(10)でも、同様に、磁場ベクトルポテンシャル項が無視され、以下のような式となる。
Figure 0005886314
式(20)は、絶縁体領域での静電ポテンシャルを未知数とした微分方程式である。パワーエレクトロニクス装置は、異なる誘電率の絶縁体が存在しうるので、変位電流に関係する方程式は微分方程式が好ましい。このため式(16)と式(20)とが連立されることにより解析されることが好ましい。しかし、式(20)の解は直接的には変位電流密度ではないため、式(16)との接続が困難である。そこで、式(16)と式(20)の双方を時間微分することによって、接続を可能にすることができる。
Figure 0005886314
ここで、静電ポテンシャルφの時間微分は以下の通りである。
Figure 0005886314
式(22)のソース項の時間微分は、導体と絶縁体の境界へ流出入する電流であるから、以下の電流連続条件として考慮される。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
以下では、解析計算装置1での計算を可能にするために、有限要素法による離散化が行われる。ここで、電流・変位電流が流れる簡単な体系が図33に示される。図33に示すように、外部回路と電極iで接続され、電極での電位の時間変化が与えられる構成になっている体系が想定される。
式(21)、式(22)、式(24)の方程式がガラーキン法により記載されると、以下の式が導出される。
Figure 0005886314
ここで、Ωは導体、Ωは誘電体部分を表す。
式(25)の最終項に部分積分が適用され、端子部と導体絶縁体境界とが分けて表されると、以下の式が導出される。
Figure 0005886314
ここで、Ωsurf(D)は導体側から見た導体絶縁体境界、ΩDsurfは絶縁体側から見た導体絶縁体境界を表す。式(26)の第4項は導体絶縁体境界における導体側の境界条件を表し、第5項は導体絶縁体境界における絶縁体側の境界条件を表す。導体絶縁体境界では同じ値であるため、以下では第4項の式が用いられる。
式(26)が導体電流部分と変位電流部分に分けられ、積分がメッシュ毎に分けて記載されると以下のような式が導出される。
Figure 0005886314
ここで、m,m’は、メッシュの番号であり、sは、導体絶縁体境界に接続するメッシュの番号であり、iは端子の番号である。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
式(31)から、式(27)の内挿関数に関する空間積分が実施されれば、式(27)は辺上のT(t)を未知数とする以下の行列方程式である式(33)となる。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
式(33)と、式(34)の各行列の成分は以下の式により計算される。
Figure 0005886314
式(35)〜(38)の積分計算は、各要素の内挿関数を用いた積分になっており、有限要素法離散化の係数マトリックス成分を表す。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
式(33)の電流ベクトルポテンシャルの場合、計算メッシュの辺上のTが全て使用されると、不定性が含まれるため、非特許文献4にあるように公知のトリー・コトリゲージ条件が使用されることによって、不定性が取り除かれる。また、ある端子の境界条件を考えると、電流Iが端子を通過するが、その値は次のような式になる。
Figure 0005886314
これは、境界条件のために、電流ベクトルポテンシャルに従属な成分が含まれることを意味する。また、導体表面では、表面にある各メッシュの表面側での電流の流出入が「0」であるから、各メッシュ毎に式(40)で「I=0」とした条件式が成立し、表面メッシュ毎に電流ベクトルポテンシャルの従属な成分が現れる。従って、独立成分のみを計算できるように境界条件関係式である式(40)を使って係数行列が変換される。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
式(44)は、通常の直接法の行列解法によって解くことができ、節点上変位電流スカラポテンシャルのベクトルは、以下のように記載することができる。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
式(46)は、以下のLRC回路方程式と類似の形をしており、電流分布を得ることができる方程式である。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
Figure 0005886314
ここで、ωは角周波数であり、jは純虚数である。式(48)は、複素数行列方程式であり、これを直接法などの行列解法によって解いて各周波数での電流分布を計算できる。
これらの交流解析で得た端子での電流電圧から、以下のようにして交流インピーダンスが得られる。
Figure 0005886314
−v=Z×Iij (49)
従って、以下のような計算が可能である。
Z=(v−v)/Iij (50)
一方、多端子の場合、行列計算が必要となるので、そのことが以下に説明される。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
また、式(48)が式(52)のように記載され、係数マトリックスAが導入されると、式(53)が導出される。
Figure 0005886314
従って、以下のような式が記載可能である。
Figure 0005886314
端子間のアドミタンス行列がYであるとすると、式(55)を利用して、アドミタンスYは式(56)で表すことができる
Figure 0005886314
Y=−jωW−1W (56)
Figure 0005886314
Figure 0005886314
ここで、νは基準電極電位である。
Figure 0005886314
ここで、得られた電流・変位電流から、磁場・電場が計算される方法が示される。式(48)を解いて、式(29)によりある周波数での導体電流の空間分布が得られれば、ビオサバールの定理である式(14)により磁場ベクトルポテンシャルが計算され、式(6)により、その周波数での磁場分布が計算可能である。
Figure 0005886314
Figure 0005886314
これにより、電流分布の周波数特性から、放射されるノイズを評価することが可能になる。
計算メッシュに関しては、前記したように、導体が容量効果の影響を受けないとき、低周波域では導体形状に応じた計算メッシュが用いられ、高周波域では表面2次元メッシュが用いられる。導体が容量効果の影響を受けるときは、電流は3次元的であり、3次元立体メッシュでの計算が必要になる。前記した導出理論に基づくと、導体領域の計算メッシュでは、変位電流が流れる導体絶縁体境界において、絶縁体領域の3次元メッシュと導体領域の3次元メッシュとが接続される。また、変位電流が流れないとみなされる導体絶縁体境界において、絶縁体が省略されて、電流の流出入のない導体表面とすることができる。このため、絶縁体領域の3次元メッシュと接続していない導体領域の3次元メッシュが存在してよい。このことは、導体表面に絶縁体領域の3次元メッシュを設置せずに済むため、3次元体系の電流の流れの計算を効率的に実施する際に有利である。
また、パワーエレクトロニクス装置には、変位電流の影響が小さく、表皮部分を2次元的に扱える場合や、薄板として2次元的に扱える場合や、ワイヤとして1次元的に扱える場合のような、低次元の導体として解析できる部分が存在しうる。これらの部分に2次元や1次元の計算メッシュを使用し、3次元メッシュを使用する変位電流部分とともに計算することが考えられる。その場合、2次元や1次元の場合も式(46)、式(48)と同様の方程式形になっていると、一括して行列解法により計算ができるため好ましい。前記した導出理論は、3次元体系で式を導出することで示したが、導体電流のみに関しては、2次元や1次元の定式化が実施できる。
Figure 0005886314
これにより、計算メッシュ数を削減して、効率的に配線絶縁体の電流変位電流の3次元現象が解析可能になる。
この計算を実施する際には、3次元メッシュ端面と2次元メッシュ端線、あるいは、1次元メッシュ端点が電気的に接続されている必要がある。この接続は、これらのメッシュの端が同じ端子に接続されていることと同じ意味であり、電流ベクトルポテンシャルの境界条件になる。この式は、端子を構成する電流ベクトルポテンシャル成分をTa,Tb,Tc,・・・とすれば、これらの電流ベクトルポテンシャルは、式(40)と同様に、以下のように書くことができる。
Figure 0005886314
このとき、電流ベクトルポテンシャルは従属な成分を含むため、独立成分のみが計算できるよう、式(33)の係数行列が、境界条件式である式(59)を用いて変換される。変換の結果として得られる式は改めて式(46)、式(48)の形に変形され、式(48)が解かれれば、電流・変位電流を計算することができる。端子への接続は、メッシュが連結していなくても条件設定としては可能である。このため、前記した導出理論は、メッシュ間距離が十分近く、インダクタンス・抵抗への影響が無視できる微細な構造を省略する際にも使用することができる。
ここで、注記すると、電圧条件を課される端子は、導体との接続が仮定された部位であり、導体表面ではない。また、前記した3次元メッシュと低次元メッシュの接続における端子は、通常は内部端子であるが、外部との接続を有する外部端子とすることもできる。このとき、その端子を構成する電流ベクトルポテンシャルの式は、式(59)の右辺を外部端子電流Iとしたものになる。
また、式(40)、式(59)により、端子を構成する要素面・端線・端点の電気的接続関係が規定される。このため、同一番号の節点を共有する接続関係である必要は必ずしもない。ただし、位置関係は規定されていないが、電気的接続関係にあるのに位置が離れると式(35)〜(38)の計算誤差が大きくなり、正しい計算にならない。このため、正しくは、導体間の電気的接続で端子を構成する要素面・端線・端点は、解析計算装置1の持つ誤差範囲内で互いに存在する必要がある。これを、要素面・端線・端点が接続または連結されていると称する。
次に、前記した理論を実際の解析計算に適用する方法を説明する。
(システム構成例)
図1は、本実施形態に係る解析計算システムの構成例を示す図である。
解析計算システムZは、解析計算装置1、表示装置2、入力装置3、記憶装置4を有している。解析計算装置1は、CPU(Central Processing Unit)などの中央処理装置を備えるとともに、メモリ・キャッシュなどの内部記憶装置を有している。表示装置2は、画像処理装置および液晶画面などの表示画面である。入力装置3は、キーボード・マウスなどの直接入力装置と媒体入力装置である。記憶装置4は、半導体記憶媒体やハードディスクなどのディスク媒体を総称する記憶媒体である。
図2は、本実施形態に係る解析計算装置における処理部の構成例を示す図である。
処理部100は、行列要素処理部101、トリー・コトリ処理部102、従属条件処理部103、解代入消去処理部104、周波数特性処理部105、電流分布処理部106、磁場・電界分布処理部107および表示処理部108を有する。
行列要素処理部101は、計算対象物上に3次元、2次元、1次元のメッシュを生成し、それらを必要に応じて結合する。
トリー・コトリ処理部102は、後記するトリー・コトリ処理を行う。
従属条件処理部103は、後記する従属条件生成処理を行う。
解代入消去処理部104は、後記する解代入消去処理を行う。
周波数特性処理部105は、インピーダンスと周波数との依存関係である周波数特性を計算する。
電流分布処理部106は、計算対象物における電流分布を計算する。
磁場・電界分布処理部107は、計算対象物における磁場分布や、電界分布を計算する。
表示処理部108は、周波数特性処理部105や、電流分布処理部106や、磁場・電界分布処理部107などの処理結果を表示装置2に表示する。
処理部100および各部101〜108は、ROM(Read Only Memory)や、ハードディスクに格納された解析計算プログラムが、RAM(Random Access Memory)に展開され、CPUによって実行されることによって具現化する。なお、解析計算プログラムは、ハードディスクなどの磁気記録媒体、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)や、DVD−ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)などの光学記録媒体といった、いわゆるコンピュータ読取可能な記録媒体に記録されている。
図3は、本実施形態に係る解析計算システムにおける処理の手順を示すフローチャートである。適宜、図1および図2を参照する。
まず、解析計算装置1は、図1の解析計算装置1とは異なるメッシュ作成装置(不図示)からメッシュ情報の入力を受け付け、解析対象物上にメッシュを生成する(S101)。メッシュ情報はメッシュ作成装置以外の装置から入力されてもよい。3次元有限要素法メッシュの場合、メッシュ情報は、メッシュを構成する要素における有限要素数、節点数の情報と、各節点番号と対応する3次元座標値、各要素番号とその要素の持つ節点番号と要素型などからなる。また、メッシュを構成する要素において、後記する要素型が同じ要素は、共通する要素内節点順序・要素面順序・要素辺順序・各要素辺ベクトルの向きが決められている。さらに、各要素番号とその要素の導体か絶縁体かを示す材質番号および導電率または誘電率の物性値の情報が入力される。同一の物性値を持つ同一物質で連続した物質における材質番号は、同じ番号であることが好ましい。要素型は、3次元では四面体・三角柱・六面体、2次元では三角形・四角形、1次元では線分のように、各次元の要素を備えてよい。2次元では各要素番号に対応して要素厚さの情報が備えられる。1次元では各要素番号に対応して要素太さ、すなわち面積の情報が備えられる。
3次元要素において、2つの要素が、ある面を共有する隣接要素の関係にあるか否かは要素面の節点が共有されているかで判別される。これにより、各要素における隣接関係の情報として、隣接導体要素数と自要素面番号と隣接要素番号・隣接絶縁体要素数と自要素面番号と隣接要素番号・表面である要素面数と自要素面番号が与えられる。これにより、自要素が、メッシュの内部を構成する要素か、表面を構成する要素か、導体絶縁体境界を構成する要素かの情報が与えられる。2次元要素の場合、隣接関係は要素端線の節点が共有されているかで判別され、要素面を要素端線とすることで隣接関係情報が与えられる。1次元要素の場合、隣接関係は要素端節点が共有されているかで判別され、要素面を要素端節点とすることで隣接関係情報が与えられる。また、3次元要素の電流ベクトルポテンシャルは要素辺上に設定されるため、行列要素処理部101は、メッシュで構成される辺の総数を計算し、各辺の通し番号を生成し、各要素内の辺番号順に通し辺番号を割り当てるリストを作成する。通し辺上で電流ベクトルポテンシャルが正となる向きが決まるため、行列要素処理部101は、この正の向きが各要素内の辺の向きと逆の時は「−1」、各要素内の辺の向きと同一の時は「1」を、各要素内の辺情報として生成・登録する。
このように、ステップS101において、行列要素処理部101は計算対象物上にメッシュを生成する。
なお、ステップS101におけるメッシュ情報は、前記したように図1の解析計算装置1とは異なるメッシュ作成装置で生成されてもよいが、それ以外の装置で生成されてもよく、また入力装置3を介してユーザが入力してもよい。また、メッシュ情報は、各次元の部分メッシュ情報を生成後に、各要素番号と節点番号が一貫するように番号を付け替えて生成されてもよい。なお、メッシュ情報生成後、メッシュの様子が、表示装置2に表示されてもよい。また、式(48)の各係数行列の端子間への縮約により、端子間の素子定数インダクタンス、抵抗、エラスタンスが計算されてもよい。
Figure 0005886314
次に、入力装置3から、解析対象物における端子の情報である端子情報が入力される(S103)。解析対象物をメッシュ化したメッシュ構造体が3次元要素で構成されている場合、端子情報は、端子数、端子番号、端子種別情報、その端子を構成する要素番号、要素面番号などとなる。メッシュ構造体が2次元要素で構成されている場合、要素面番号が要素端線番号となる。それ以外の端子情報は3次元要素の場合と同じである。メッシュ構造体が1次元要素で構成されている場合、要素面番号が要素端点番号となる。それ以外の端子情報は3次元要素の場合と同じである。
端子種別情報は端子の種別を示す情報であり、例えば、「1」であれば、その端子は外部に接続される端子であり、端子を通る電流Iの値として式(40)が使用される。電流流出入条件番号が「0」であれば、その端子は内部接続端子であり、端子から系外へ流れる電流Iの値は0であり、式(59)が使用される。
ステップS103では、端子を構成する要素面・端線・端点の電気的接続関係などの端子情報が設定される。この端子では電気的接続関係にあっても同一節点を共有しなくてもよい。ただし、電気的接続関係にあるのに要素面・端線・端点の間の位置が離れると式(35)、式(36)、式(37)、式(38)の結果における計算誤差が大きくなり好ましくない。このため、導体間の電気的接続で端子を構成する要素面・端線・端点は、解析計算装置1の計算機能における誤差範囲内か、あるいは、予め設定される誤差許容範囲内の距離に存在することが望ましい。予め設定される誤差許容範囲は、1要素サイズの1/10000以内程度である。このように誤差範囲内に、要素面・端線・端点が存在する場合、これらの要素面・端線・端点は接続または連結されていると称する。
次に、トリー・コトリ処理部102が、メッシュ情報、隣接関係情報、端子位置情報を基に、解析対象物をトリー・コトリ分解し、電流ベクトルポテンシャルの独立未知数成分を抽出するためのトリー・コトリ変換行列を作成するトリー・コトリ処理を行う(S104)。ここで、トリー・コトリ処理部102は、解析対象物表面で電流流出入がないことも含めてトリー・コトリ変換行列を生成する。そして、トリー・コトリ処理部102は、生成したトリー・コトリ変換行列により式(35)〜(38)の行列を縮約計算する。
次に、従属条件処理部103が、端子情報と、トリー・コトリ処理の結果を用いて、各端子を構成する電流ベクトルポテンシャルの独立未知数成分を抽出する従属条件処理を行う(S105)。また、従属条件処理部103が、抽出した独立未知数成分と、端子情報を用いて、式(40)、式(59)の式を計算するための各値を得る。従属条件処理部103は、従属成分をベクトル末尾の電流ベクトルポテンシャル未知数成分のように決め、式(40)、式(59)の各式を合わせて独立未知数成分を抽出することで従属性条件変換行列を生成する。そして、従属条件処理部103は、生成した従属性条件変換行列を用いて、トリー・コトリ処理で縮約した式(35)〜(38)の行列を、さらに縮約する。これにより、従属条件処理部103は、式(46)、式(48)で用いる係数行列を計算する。なお、端子電流式である式(40)は、式(51)と同じであり、従属条件処理部103は、式(40)から、式(39)の電源項ベクトルに含まれるWを計算する。
Figure 0005886314
そして、周波数特性処理部105が、ある周波数を指定して、指定された周波数で行列方程式である式(48)を解き、式(50)または式(57)を用いて、インピーダンスの周波数特性を計算し、記憶する周波数特性計算を行う(S107)。なお、周波数特性処理部105は、解を得た後の解以外の係数行列とベクトルを記憶しなくてよい。また、周波数特性処理部105は、周波数特性の計算中に出力される特定周波数の電流ベクトルポテンシャル解を記憶装置4に記憶する。
次に、表示処理部108が、ステップS107の結果であるインピーダンスの周波数特性を表示装置2に表示する周波数特性表示を行う(S108)。
次に、処理部100が、電流分布や磁場分布などの各種分布処理を行うか否かを判定する(S109)。各種分布処理が行われるか否かは、入力装置3から入力される情報を基に判定される。例えば、ステップS108で表示されているインピーダンスの周波数特性を、ユーザが見て各種分布を計算・表示する必要があるか否かをユーザが判定する。そして、ユーザが各種分布を計算・表示する必要があると判定した場合、ユーザは例えば表示装置2に表示されている分布計算ボタンを選択入力することによって、ステップS110,S111の処理が行われる。
ステップS109の結果、各種分布処理を行わない場合(S109→No)、処理部100は処理を終了する。
ステップS109の結果、各種分布処理を行う場合(S109→Yes)、電流分布処理部106がステップS107の段階で算出された電流ベクトルポテンシャル解について、従属性条件変換行列とトリー・コトリ変換行列を用いて、式(31)による電流の分布を計算し、表示処理部108が計算の結果である渦電流および変位電流の分布を表示装置2に表示する電流分布処理を行う(S110)。また、電流分布処理部106は、式(45)から変位電流スカラポテンシャルを計算し、式(32)による変位電流の分布も表示装置2に表示する。
そして、磁場・電界分布処理部107は、ステップS110の結果得られた各電流の分布を用いて、式(6)を計算して磁場分布を計算するとともに、式(58)を計算して電界分布を計算し、表示処理部100が計算結果である磁場分布・電場分布を表示装置2に表示する磁場分布・電界分布処理を行い(S111)、処理を終了する。
(具体例)
以下、ステップS101で生成されるメッシュ構成の具体的な例を説明する。
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。
計算系形状モデル300(前記した解析対象物に相当)は、導体部分を3次元メッシュ構造とした3次元立体形状導体部(3次元導体部301:3次元メッシュ構造部)、3次元導体部301に接した状態で挟まれている絶縁体部分を3次元メッシュ構造とした3次元立体形状絶縁体部(3次元絶縁体部302:3次元メッシュ構造部)、導体部分を2次元メッシュ構造とした2次元面形状近似導体部(2次元導体部303:低次元メッシュ構造部)を有している。3次元導体部301の3次元要素端面と3次元絶縁体部302の3次元要素端面との間には接続面311が存在している。また、3次元導体部301の3次元要素端面と、2次元導体部303の2次元要素端線との間には接続線313が存在している。
ここで、2次元導体303は、図9に示すように、実際には3次元形状を有しており、3次元導体部301と同じ部材なのだが、絶縁体(図4(a)の符合302)から離れた位置に存在しているので、変位電流の影響が無視できるほど小さいため、2次元要素で近似している。このようにすることで、解析計算の処理負荷を低減することができる。
つまり、元の解析対象物において、実際には同じ部材(一体の導電材で構成されているなど)の部分が、3次元導体部301と、2次元導体303に分けられ、3次元導体部301と、2次元導体303とが接続線313で接続されている。なお、これに限らず、3次元導体部301と、2次元導体303とは、解析対象物において、元々異なる部材であってもよい。
また、図4(b)に示すように、図4(a)における2次元導体301の部分を表面のみ2次元要素で構成され、中が中空の中空導体部321としてもよい。中空導体部321と、3次元導体部301との間には、接続線322が存在する。それ以外の構成要素は、図4(a)と同様であるため、説明を省略する。
さらに、図4(a)では、3次元電流の影響を考慮して、3次元導体部301は3次元絶縁体部302とずれた位置まで3次元要素を有しているが、図4(c)に示すように、3次元絶縁体部302と3次元導体部301とが完全に重なり合うようにしてもよい。それ以外の構成要素は、図4(a)と同様であるため、説明を省略する。
つまり、少なくとも3次元絶縁体部302に接している部分が3次元メッシュ化されていればよい。
図5は、図4(a)の接続線における要素間の接続状態を示す図である。
接続線313(図4)における要素間の連結構造は、3次元導体部301(図4(a))における3次元要素401、2次元導体部303(図4(a))における2次元要素402とが、接続線411において接続されている。
また、図6は、図4(a)の接続線313における要素間の接続状態の別の例を示す図である。
図6において、符合401,402は図5と同様の要素であるので説明を省略する。
図6では、図5と異なり3次元要素401、2次元要素402との接続線412は、図5に示すような3次元要素401の上部ではなく、3次元要素401の要素面421の中ほどに位置している。
なお、図5および図6の例に限らず、接続線412は、要素面421の下部に位置するなど、要素面421のどの位置に存在してもよい。
図7は、図4(a)における3次元導体部と、3次元絶縁体部との要素間の接続状態を示す図である。
図7に示すように、3次元導体部301(図4(a))を構成する3次元要素401の端面と3次元絶縁体部302(図4(a))を構成する3次元要素403の端面とが接続面601で接続している。
図8は、第1実施形態に係るメッシュ構成の具体例を示す図である。
図8(a)は、解析対象物である基板をメッシュ化したメッシュ構造体の斜視図であり、図8(b)はメッシュ構造体の正面図である。この基板は第1配線801、第2配線802、第3配線803、ベース金属811、および2つの素子パッド812を有している。ここで、第3配線803は端子822を有しており、ベース金属811は出力端子である接地端子821を有している。また、第1配線801、第2配線802、第3配線803は、配線接続部831〜833を有している。図8(b)に示すように、配線接続部831〜833と、ベース金属811との間には3次元絶縁体部が存在している(ただし、図8では配線接続部831〜833と、ベース金属811との間の3次元絶縁体部の図示を省略している。後記する図20、図29も同様である)。さらに、導体である素子パッド812とベース金属811との間には絶縁体813が存在している。
ここで、ベース金属811、素子パッド812、絶縁体813、配線接続部831〜833が3次元要素でメッシュ化され、第1配線801、第2配線802、第3配線803が2次元要素でメッシュ化されている。つまり、第1配線801、第2配線802、第3配線803と、配線接続部831〜833の間において、図4〜図6で説明した3次元要素と2次元要素との接続が用いられている。
入力端子である端子822と、出力端子である接地端子821の間に交流電圧が印加されると、第1配線801および第2配線802は浮遊導体になる。このとき、第3配線803とベース金属811を経由した、端子822から接地端子821との間を流れる交流電流のインピーダンス特性の計算を行う際に、図8に示すメッシュ構成が使用される。
図9は、公知例に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。
計算系形状モデル900は、図4と同様の計算対象物を要素モデル化したものであるが、静電場を計算する際に使用される例である。計算系形状モデル900は、中空メッシュの導体部(中空導体部901)と、3次元絶縁体部902とを有している。
図9において、3次元絶縁体部902は図4の3次元導体部301や、3次元絶縁体部302のように、3次元メッシュ構造となっているが、中空導体部901は図4(b)における中空導体部321と同様に表面のみ2次元要素で構成され、中が中空となっている。
中空導体部901は、2次元メッシュ構造の1つであるため、図9に示すように、比較例では同じ部材は3次元メッシュ構造もしくは2次元メッシュ構造で構成されており、同じ部材に対して別の次元によるメッシュ構造が適用されることはなかった。
図10および図11は、比較例に係る要素を示す図である。
図10では、絶縁体部902の3次元要素1001が示され、図11では中空導体部901の2次元要素1101同士が接続線1111で接続されている。
このように、比較例では同じ部材では3次元要素のみ、2次元要素のみで計算系形状モデルが構成される。電流変位電流の計算に用いる場合、3次元要素のみでは計算負荷が大きくなり、2次元要素のみでは精度が低下する。これに対し、第1実施形態では、同じ部材でも精度を高くしたい箇所では3次元要素のみでメッシュを構成し、精度をそれほど高くしなくてもよい場所では2次元要素でメッシュが構成される。これにより、本実施形態に係る技術は、精度を低下させることなく、計算負荷を軽減することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を説明する。
図12は、第2実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。
図12に示す計算系形状モデル1200は、図4(a)と同様の3次元導体部1201(3次元メッシュ構造部)、3次元導体部1201に接した状態で挟まれている3次元絶縁体部1202(3次元メッシュ構造部)、接続面1211に加えて、1次元線形状近似導体(1次元導体部1204:低次元メッシュ構造部)、3次元導体部1201の3次元要素端面と、1次元導体部1204の1次元要素端点の接続部(接続点1214)を有している。
1次元導体部1204は、例えばワイヤなどを1次元に近似してもよいが、幅や厚さを有する3次元導体において、電流の挙動が単純な場合に1次元に近似するようにしてもよい。なお、3次元導体部1201と、1次元導体部1204とは、元々異なる部材であってもよいし、実際には同じ部材であるのだが、3次元導体部1201と、1次元導体部1204とに分けられ、接続点1214で接続されていてもよい。なお、図12では図4(a)と同様に3次元導体部1201が3次元絶縁体部1202とずれた位置まで3次元メッシュ化されているが、少なくとも3次元絶縁体部302に接している部分が3次元メッシュ化されていればよく、図4(c)のように3次元導体部1201が3次元絶縁体部1202のように完全に重なり合った状態でもよい。
図13は、図12の接続点における要素間の接続状態を示す図である。
図13に示すように、3次元導体部1201(図12)における3次元要素1301と、1次元導体部1204(図12)における1次元要素1302とは接続点1311を介して接続している。
なお、図13において接続点1311は、3次元要素1301の要素面1321の中央に位置しているが、中央以外の場所に位置してもよい。
第2実施形態によれば、1次元導体に近似することで、計算負荷をさらに軽減することができる。
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。
計算系形状モデル1400は、図4(a)と同様の3次元導体部1401a,1401b、3次元絶縁体1402、接続面1411に加え、3次元導体部1401bは、出力端子である接地端子1422を有しており、3次元導体部1401aは、入力端子である2つの端子1421a,1421bを有している。つまり、第3実施形態に係る計算系形状モデル1400は、3つの端子を有している。なお、図14の例では、3つの端子1421a,1421b,1422を有しているが、3つ以上の端子を有する構造としてもよい。さらに、図14の3次元導体1401a,1401bに端面には何も接続されていないが、第1実施形態のような2次元導体部や、第2実施形態のような1次元導体部が接続されてもよい。
図15は、3次元導体、3次元絶縁体のメッシュ構成の具体例を示す図である。
メッシュ構造体1500は、3次元絶縁体部1502が3次元導体部1501,1503に接した状態で挟まれた構造を有している。ここで、3次元導体部1501と3次元導体部1503が、図14の3次元導体1401a,1401bに相当し、3次元絶縁体部1502が3次元絶縁体1402に相当する。このようなメッシュ構造体1500に、図14のような接地端子や、端子を設定すると、ストリップ線路のインピーダンス特性の計算に使用できる計算メッシュの構成が可能となる。なお、符合1511および符合1512は端子であり、メッシュ構造体1500の底面は接地端子となっている。
図16は、図15に示すメッシュ構造体における、周波数特性計算結果の例を説明するための図である。
図16において、横軸は端子1511(図15)および端子1512(図15)に印加された電圧の周波数(単位Hz)であり、縦軸は端子と接地端子間のインピーダンス(単位Ω)である。
図16の周波数特性は、図15の3次元導体部1503の底面全体を接地端子とし、図15の符合1511,1512に示す要素を端子としたときの周波数特性である。
グラフの実線は、本実施形態に係る計算解析方法を用いたときの計算結果であり、グラフの破線は実測定結果である。
図16において、計算結果と実測定結果は、1G(1.E+09)Hz付近までの共振周波数、反共振周波数が4%以内で一致している。この計算例で共振・反共振のピーク値(計算結果の尖形部)が実測定結果と一致していない理由は、主に、誘電体による減衰効果を考慮していないことによるものであり、本実施形態の有効性を否定するものではない。この効果を導入するには、エラスタンス行列に減衰効果を表す虚数成分を考慮すればよい。
図16に示すように、本実施形態に係る解析計算方法によれば、精度の高い周波数特性、特に、共振・反共振周波数の解析計算が可能である。
図17は、図15に係るメッシュ構造を使用して渦電流分布計算(図3のS110に相当)を行った結果を示す例である。
メッシュ構造体1700において、3次元導体部1701,1703のそれぞれが図15の3次元導体部1501,1503に相当し、3次元絶縁体部1702が図15の3次元絶縁体部1502に相当する。
図17は、3.3MHzの電圧を端子に与えた際の電流密度絶対値分布を示している。このように、本実施形態に係る計算解析方法で渦電流分布を計算・表示できる。
第3実施形態によれば、複数端子を有する解析対象物に対して、メッシュを構成し、解析計算を行うことができる。
なお、第3実施形態のように複数端子を設定することは、その他の実施形態に対しても使用できる。
(第4実施形態)
図18は、第4実施形態に係る計算系形状モデルの例を示す図である。
計算系形状モデル1800は、図4(a)と同様の3次元導体部1801a,1801b(第1のメッシュ構造部)、3次元導体部1801a,1801bに接した状態で挟まれている3次元絶縁体部1802(第1のメッシュ構造部)、接続面1811に加え、3次元導体部1801c(第2のメッシュ構造部)および接地端子1821b、端子1821aを有している。3次元導体部1801cと、3次元導体部1801aとの間には、短絡部1831が存在している。短絡部1831は、3次元導体部1801cと、3次元導体部1801aとの間において、実際には導体が存在しているのであるが、近似的に省略可能な領域について、メッシュの要素を省略した(メッシュ構造を設定していない)短絡部1831として要素を省略したものである。実際に計算する際には、3次元導体部1801aと、3次元導体部1801cとが直接接しているものとして計算される。これを、短絡により省略接続されると称する。
ここで、短絡部1831の距離は、インダクタンス・抵抗・エラスタンスへの影響を近似的に無視できる距離であることが望ましい。具体的には、インダクタンス・抵抗・エラスタンスへの影響を近似的に無視できる距離は、電流経路に沿って見た時の、配線長/流路面積の変化が10%以内であることが望ましい。これは、計算前に部材サイズからユーザが近似的に見積もることが可能である。また、省略接続による計算後に、電流分布から見積もることも可能である。
ここで、接続面1811は、前記した符号311(図4),601(図7),1211(図12),1411(図14)などと同様に、接続されており、電流連続条件により電気的な接続が得られれば、計算自体は可能である。ただし、接続面1811が短絡による省略接続に変更されたとしても、特にエラスタンスへの影響を近似的に無視できることが望ましい。
図19は、図18の短絡部における要素間の接続状態を示す図である。
図19に示すように、3次元導体部1801a(図18)における3次元要素1901a、3次元導体1801c(図18)における3次元要素1901cとの間に、短絡部1911が存在している。前記したように、実際に計算する際には3次元要素1901aと、3次元要素1901cとが接しているものとして計算される。
図20は、第4実施形態に係るメッシュ構成の具体例を示す図である。
図20(a)は、解析対象物である基板をメッシュ化したメッシュ構造体の斜視図であり、図20(b)はメッシュ構造体の正面図である。図20に示すメッシュ構成は、第1配線801a、第2配線802a、第3配線803aが3次元メッシュ構造となっていること以外は、図8と同様であるため説明を省略する。
図20では、素子パッド812aと、配線接続部833との間に短絡部2001が形成されている。つまり、素子パッド812aと、配線接続部833との間は実際には接続されているのであるが、図20では、短絡部2001として省略し、実際の解析計算を行なう際には素子パッド81aと、配線接続部833との間が接しているものとして計算が行われる。
端子822と接地端子821との間に交流電圧を印加するとき、第1配線801aと第2配線802aは浮遊導体になる。このとき、第3配線803aとベース金属811を経由した、端子822から接地端子821との間を流れる交流電流のインピーダンス特性の計算を行う際に、図20に示すメッシュ構成が使用される。
図21は、図20で示したメッシュ構成を使用して周波数特性計算を行った際の計算結果を示す図である。
図21において、横軸は端子822(図20)に印加された電圧の周波数(単位Hz)を示し、縦軸は端子822(図20)と接地端子821(図20)間のインピーダンス(単位Ω)を示す。
グラフの薄線は、解析計算方法を用いた解析計算結果を示しており、グラフの濃線は、実測定結果を示している。実測定によるインピーダンスの共振周波数は61.6MHzであり、解析計算によるインピーダンスの共振周波数は59.0MHzである。図21において、100KHz(1.E+05)から第1共振周波数2101まで、解析計算結果は、実測定に対し4.3%の差で一致している。なお、測定は2端子法で行っている。較正時に反共振が100MHz(1.E+08)付近に現れている。100MHz付近の誤差増加は、このような反共振による較正誤差が原因であり、本実施形態の有効性を否定するものではない。
図21に示すように、第4実施形態によるメッシュ構成を用いることによって、少なくとも低周波数においては精度の高い解析計算が可能となる。
第4実施形態によれば、短絡部を設けることで、解析計算を行う箇所を減らすことができ、解析計算速度を向上させることができる。
(第5実施形態)
図22は、第5実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。
計算系形状モデル2200は、図4(a)と同様に3次元導体部2201a,2201bに3次元絶縁体部2202が接続面2221を介して、接した状態で挟まれている。3次元導体部2201aには入力端子である端子2231aが備わっており、3次元導体部201bには出力端子である接地端子2231bが備わっている。また、3次元導体部2201a,2201bは3次元導体部2201cを介して接続されている。3次元導体部2201cと、3次元導体部2201a,2201bとの間には接続面2212が存在し、3次元導体部2201cと、3次元絶縁体部2202との間には接続面2211が存在している。
つまり、図22は、端子2231aと、接地端子2231bとが導体で接続されており、その間に絶縁体が存在している構成である。また、図22は、連続する3次元導体部2201a,2201bに3次元絶縁体部2202が挟まれた構造であるが、トポロジ的には3次元導体部に3次元絶縁体部が接する構造と同じであるため、そのような構造での解析も実施可能である。つまり、3次元絶縁体部2202が3次元導体部2201a,2201bに挟まれていなくても、3次元絶縁体部が3次元導体部に接した状態であればよい。
図23は、図22の接続面における要素間の接続状態を示す図である。
図23に示すように、3次元導体部2201a,2201b(図22)における3次元要素2301aと、3次元導体部2201c(図22)における3次元要素2301cとは接続面2211を介して接続している
図24は、図22のような構成を有する構造体におけるメッシュ構成の具体例を示す図である。
メッシュ構造体2400は、3次元導体部2401と、3次元絶縁体部2402とがらせん状に重なり合った構造を有している。そして、メッシュ構造体2400の上部には交流電圧を印加する端子2411が備わっており、メッシュ構造体2400の下部には接地端子2412が備わっている。
図24のメッシュ構造体2400は、端子2411と、接地端子2412とが導体で接続されており、その間に絶縁体が存在している構成であり、図22と同様の構成を有している。
図25は、第5実施形態における周波数特性の計算例を示す図である。
図25は、図24に示すメッシュ構造体2400の端子2401に交流電圧を印加したときの周波数特性を示している。
図25において、横軸は端子2411に印加された電圧の周波数(単位Hz)であり、縦軸は端子2411(図24)と接地端子2412(図24)間のインピーダンス(単位Ω)である。
図25をみると、周波数の上昇およびインピーダンスの増加に伴い、反共振が最初に現れるピーク2501が存在している。このピーク2501は、フィルタ特有の結果であり、図25から第5実施形態に係る解析計算を用いて、フィルタ特有の結果が得られることが確認できる。これは、第5実施形態に係る計算解析方法が、3次元メッシュ構造に適用できることの検証例である。
第5実施形態によれば、端子間が導体で接続され、その導体に接する絶縁体が存在する構成においても、メッシュを構成して解析計算を行うことができる。
(第6実施形態)
図26は、第6実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。図26において、図18と同様の構成要素については、同一の符合を付して説明を省略する。
計算系形状モデル2600は、図18と同様の構成を有しているが、図18における3次元導体部1801cが2次元メッシュ構造を有した2次元導体部2603(第2のメッシュ構造部)となっている。なお、2次元導体部2603には、電圧を印加する端子2631が備わっている。
ここで、3次元導体部1801aと、2次元導体部2603とは、実際には同じ部材なのだが、3次元導体部1801aと、2次元導体部2603として分けられたものであってもよいし、元々異なる部材であってもよい。
また、図26における計算系形状モデル2600は、短絡部2611を有している。短絡部2611は、2次元導体部2603と、3次元導体部1801aとの間において、実際には導体が存在しているのであるが、近似的に省略可能な領域について、メッシュの要素を省略した(メッシュ構造を設定していない)短絡部2611として要素を省略したものである。実際の計算時には3次元導体部1801aと、2次元導体部2603とが接しているものとして計算される。
なお、2次元導体部は、図4(b)の符合321のような中空構造を有していてもよい。
図27および図28は、図26の短絡部における要素間の接続状態を示す図である。
図27および図28のように、3次元導体1801a(図26)における3次元要素2701と、2次元導体部2603(図26)における2次元要素2702との間には短絡部2711が存在している。前記したように、実際の計算時には、3次元要素2701と、2次元要素2702とが接しているものとして計算が行われる。
2次元要素2702は、図27のように3次元要素2701の上部に近接した位置に存在しても、図28のように3次元要素2701の中部に近接した位置に存在してもよい。また、これに限らず、2次元要素2702は、3次元要素2701の下部や、斜めに位置するなど、3次元要素2701の要素面2721に近接した位置であれば、どこに位置していてもよい。
図29は、第6実施形態に係るメッシュ構成の具体例を示す図である。図29において、図8と同様の構成要素については、同一の符合を付して説明を省略する。
図29(a)は、解析対象物である基板をメッシュ化したメッシュ構造体の斜視図であり、図29(b)はメッシュ構造体の正面図である。図29は、配線接続部831a〜833aが2次元導体部となっていること以外は、図8と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図29において、配線接続部833aと、素子パッド812aとの間の短絡部2901が、図26の短絡部2611に相当する。
端子822と接地端子821との間に交流電圧を印加するとき、第1配線801と第2配線802は浮遊導体になっている。第3配線803とベース金属811を経由した、端子822から接地端子821との間を流れる交流電流のインピーダンス特性の計算を行う際に、図29に示すメッシュ構成が使用される。
図30は、第1実施形態、第4実施形態、第6実施形態によって作成されたメッシュ構成で解析計算を行った結果を示す図である。
使用したメッシュ構成は、図8(第1実施形態)、図20(第4実施形態)、図29(第6実施形態)の構成である。
図30において、横軸は印加交流電圧の周波数(単位Hz)であり、縦軸は端子−接地端子間のインピーダンス(単位Ω)である。
グラフ中において、細破線は第6実施形態(図29:薄板電極)による解析計算結果であり、粗破線は第4実施形態(図20:厚板電極)による解析計算結果であり、実線は、第1実施形態(図8:混合電極)による解析計算結果である。
細破線(第6実施形態による解析計算結果)の第1共振周波数(尖形部3001)は56.7MHz、粗破線(第4実施形態による解析計算結果)の第1共振周波数は60.5MHz、実線(第1実施形態による解析計算結果)の第1共振周波数は59.0MHzであり、6.2%以内の差で一致している。従って、いずれの実施形態を用いても、変位電流容量効果の寄与を無視できる導体に、精度の高い解析計算を行うことができる。
また、第4実施形態(図20)に係る解析方法を用いたときの計算時間に対し、第1実施形態(図8)に係る解析方法を用いたときの計算時間は2.0倍の早さで計算を行うことができた。このことから、第1実施形態のように2次元要素と3次元要素を併用する有効性を確認することができた。
さらに、第4実施形態(図20)に係る解析方法を用いたときの計算時間に対し、第6実施形態(図29)に係る解析方法を用いたときの計算は、3.4倍の速さで計算を行うことができた。このことから、第6実施形態のように2次元要素と3次元要素を併用する有効性を確認することができた。
第6実施形態によれば、2次元要素を用いて解析計算速度を向上させるとともに、短絡部を設けることで、さらに解析計算速度を向上させることができる。
(第7実施形態)
図31は、第7実施形態に係る計算系形状モデルの一例を示す図である。
計算系形状モデル3100は、図4(a)と同様の3次元導体部3101a,3101b(第1のメッシュ構造部)に3次元絶縁体部3102(第1のメッシュ構造部)が接続面3111を介して、接した状態で挟まれている。そして、1次元導体部3103a(第2のメッシュ構造部)と、3次元導体部3101aとの間には、短絡部3121aが存在しており、1次元導体部3103b(第2のメッシュ構造部)と、3次元導体部3101bとの間に短絡部3121bが存在している。短絡部3121aは、3次元導体部3101acと、1次元導体部3103aとの間において、実際には導体が存在しているのであるが、近似的に省略可能な領域について、メッシュの要素を省略した(メッシュ構造を設定していない)短絡部3121aとして要素を省略したものである。短絡部3121bについても同様である。実際の計算が行われる際には、短絡部3121a,3121bは短絡され、1次元導体部3103a,3103bは、それぞれ3次元導体部3101a,3101bに接しているものとして計算される。
ここで、3次元導体部3101aと、1次元導体部3103aとは、実際には同じ部材なのだが、3次元導体部3101aと、1次元導体部3103aとして分けられたものであってもよいし、元々別の部材であってもよい。3次元導体部3101bと、1次元導体部3103bも同様である。
図32は、図31の短絡部における要素間の接続状態を示す図である。
図32のように、3次元導体3101a,3101b(図31)における3次元要素3201と、1次元導体部3103a,3103b(図31)における1次元要素3202との間には短絡部3211存在している。前記したように、実際の計算時には、3次元要素3201と、1次元要素3202とが接しているものとして計算が行われる。
1次元導体3202は、図32のように3次元要素3201の中央に近接した位置に配置されてもよいし、3次元要素3201の上部や、下部など3次元要素3201の要素面3221に近接するように配置されてもよい。
第7実施形態によれば、1次元要素を用いて解析計算速度を向上させるとともに、短絡部を設けることで、さらに解析計算速度を向上させることができる。
なお、周波数特性、電流分布、磁場分布、電界分布の計算は、第1実施形態〜第7実施形態におけるすべてのメッシュ構造を用いて可能である。
また、第1〜第7実施形態において、3次元絶縁体部が2つの3次元導体部に挟まれた構造となっているが、これに限らず、3次元絶縁体部が少なくとも1つの3次元導体部に接した状態となっていればよい。
1 解析計算装置
2 表示装置
3 入力装置
4 記憶装置
100 処理部
101 行列要素処理部
102 トリー・コトリ処理部
103 従属条件処理部
104 解代入消去処理部
105 周波数特性処理部
106 電流分布処理部
107 磁場・電界分布処理部
108 表示処理部
300,1200,1400,18002200 計算系形状モデル
301,1201,1401a,1401b,1501,1503,1701,1703,1801a〜1801c,2201a〜2201c,2401,1801a,1801b,3101a,3101b 3次元導体部(3次元メッシュ構造部、第1のメッシュ構造部)
302,1202,1402,1502,1702,1802,2202,2402,1802,3102 3次元絶縁体部(3次元メッシュ構造部、第1のメッシュ構造部)
303,2603 2次元導体部(低次元メッシュ構造部、第2のメッシュ構造部)
321 中空導体部
401,403,1301,1901a,1901c,2301a,2301c,2701,3201 3次元要素
402,2702 2次元要素
801,801a 第1配線
802,802a 第2配線
803,803a 第3配線
811 ベース金属
812,812b 素子パッド
813 絶縁体
821,1422,2231b,1821b,2412 接地端子
822,1421a,1421b,1511,1512,1821a,2231a,2411,2631 端子
831〜833,831a〜833a 配線接続部
1204,3103a,3103b 1次元導体部(低次元メッシュ構造部、第2のメッシュ構造部)
1302,3202 1次元要素
1500,1700,2400 メッシュ構造体
1831,1911,2001,2611,2711,3121a,3121b,3211 短絡部
Z 解析計算システム

Claims (15)

  1. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法であって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    解析計算装置が、
    3次元要素で構成されている3次元メッシュ構造部として前記絶縁体の部分に3次元絶縁体部を設定するとともに、前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に3次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成し、
    前記導体の部分のうち、前記3次元メッシュ構造部を設定した部分以外に、2次元要素または1次元要素で構成されている低次元メッシュ構造部である低次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成し、
    前記3次元メッシュ構造部と、前記低次元メッシュ構造部とが接続するよう前記メッシュ構造を生成し、
    前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部および低次元導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出する
    ことを特徴とする解析計算方法。
  2. 前記2次元要素で構成されている低次元メッシュ構造部は、前記2次元要素で外形を表現した中空の構成を有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の解析計算方法。
  3. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法であって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    解析計算装置が、
    3次元要素で構成されている第1のメッシュ構造部として前記絶縁体の部分に3次元絶縁体部を設定するとともに、前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に3次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成し、
    前記導体の部分のうち、前記3次元導体部が設定されている部分以外に、3次元要素、2次元要素または1次元要素で構成されている第2のメッシュ構造部である第2の導体部を設定した前記メッシュ構造を生成し、
    前記第1のメッシュ構造部と、前記第2のメッシュ構造部との間には、前記要素が設定されていない短絡部が存在している前記メッシュ構造を生成し、
    記第1のメッシュ構造部と、前記第2のメッシュ構造部とが接続しているものとして、前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの前記解析対象物の絶縁体部に前記変位電流が流れるときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部および第2の導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出する
    ことを特徴とする解析計算方法。
  4. 前記2次元要素で構成されている第2のメッシュ構造部は、前記2次元要素で外形を表現した中空の構成を有している
    ことを特徴とする請求項3に記載の解析計算方法。
  5. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法であって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    解析計算装置が、
    前記絶縁体の部分に前記メッシュ構造を生成することで3次元絶縁体部を設定し、
    前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に前記メッシュ構造である3次元導体部を設定したメッシュ構造を生成し、
    前記3次元絶縁体部の部分および前記3次元導体部の部分のみに前記メッシュ構造が生成され、
    前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの前記解析対象物の絶縁体部に変位電流が流れるときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出する
    ことを特徴とする解析計算方法。
  6. 前記解析計算装置が、
    前記算出された変位電流を基に、前記交流電圧が印加される入力端子と、出力端子との間の周波数特性を算出し、表示装置に算出した周波数特性を表示する
    ことを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5のいずれか一項に記載の解析計算方法。
  7. 前記解析計算装置が、
    前記算出された変位電流を基に、前記メッシュ構造が生成されているメッシュ構造体に交流電圧が印加されたときの、前記メッシュ構造体における電流分布を算出し、表示装置に表示する
    ことを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5のいずれか一項に記載の解析計算方法。
  8. 前記解析計算装置が、
    前記算出された変位電流を基に、前記メッシュ構造が生成されているメッシュ構造体に交流電圧が印加されたときの、前記メッシュ構造体における磁場分布を算出する
    ことを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5のいずれか一項に記載の解析計算方法。
  9. 前記解析計算装置が、
    前記算出された変位電流を基に、前記メッシュ構造が生成されているメッシュ構造体に交流電圧が印加されたときの、前記メッシュ構造体における電界分布を算出する
    ことを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5のいずれか一項に記載の解析計算方法。
  10. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法を解析計算装置に実行させる解析計算プログラムであって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    前記解析計算装置に、
    3次元要素で構成されている3次元メッシュ構造部として前記絶縁体の部分に3次元絶縁体部を設定させるとともに、前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に3次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成させ、
    前記導体の部分のうち、前記3次元メッシュ構造部を設定した部分以外に、2次元要素または1次元要素で構成されている低次元メッシュ構造部である低次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成させ、
    前記3次元メッシュ構造部と、前記低次元メッシュ構造部とが接続するよう前記メッシュ構造を生成させ、
    前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部および低次元導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出させる
    ことを特徴とする解析計算プログラム。
  11. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法を解析計算装置に実行させる解析計算プログラムであって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    前記解析計算装置に、
    3次元要素で構成されている第1のメッシュ構造部として前記絶縁体の部分に3次元絶縁体部を設定させるとともに、前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に3次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成させ、
    前記導体の部分のうち、前記3次元導体部が設定されている部分以外に、3次元要素、2次元要素または1次元要素で構成されている第2のメッシュ構造部である第2の導体部を設定した前記メッシュ構造を生成させ、
    前記第1のメッシュ構造部と、前記第2のメッシュ構造部との間には、前記要素が設定されていない短絡部が存在している前記メッシュ構造を生成させ、
    記第1のメッシュ構造部と、前記第2のメッシュ構造部とが接続しているものとして、前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの前記解析対象物の絶縁体部に前記変位電流が流れるときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部および第2の導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出させる
    ことを特徴とする解析計算プログラム。
  12. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法を解析計算装置に実行させる解析計算プログラムであって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    解析計算装置に、
    前記絶縁体の部分に前記メッシュ構造を生成することで3次元絶縁体部を設定させ、
    前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に前記メッシュ構造である3次元導体部を設定したメッシュ構造を生成させ、
    前記3次元絶縁体部の部分および前記3次元導体部の部分のみに前記メッシュ構造を生成させ、
    前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの前記解析対象物の絶縁体部に変位電流が流れるときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出させる
    ことを特徴とする解析計算プログラム。
  13. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法を解析計算装置に実行させる解析計算プログラムを記録しているコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    前記解析計算装置に、
    3次元要素で構成されている3次元メッシュ構造部として前記絶縁体の部分に3次元絶縁体部を設定させるとともに、前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に3次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成させ、
    前記導体の部分のうち、前記3次元メッシュ構造部を設定した部分以外に、2次元要素または1次元要素で構成されている低次元メッシュ構造部である低次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成させ、
    前記3次元メッシュ構造部と、前記低次元メッシュ構造部とが接続するよう前記メッシュ構造を生成させ
    前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部および低次元導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出させる
    ことを特徴とする解析計算プログラムを記録しているコンピュータ読取可能な記録媒体。
  14. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法を解析計算装置に実行させる解析計算プログラムを記録しているコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    前記解析計算装置に、
    3次元要素で構成されている第1のメッシュ構造部として前記絶縁体の部分に3次元絶縁体部を設定させるとともに、前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に3次元導体部を設定した前記メッシュ構造を生成させ、
    前記導体の部分のうち、前記3次元導体部が設定されている部分以外に、3次元要素、2次元要素または1次元要素で構成されている第2のメッシュ構造部である第2の導体部を設定した前記メッシュ構造を生成させ、
    前記第1のメッシュ構造部と、前記第2のメッシュ構造部との間には、前記要素が設定されていない短絡部が存在している前記メッシュ構造を生成させ、
    記第1のメッシュ構造部と、前記第2のメッシュ構造部とが接続しているものとして、前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの前記解析対象物の絶縁体部に前記変位電流が流れるときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部および第2の導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出させる
    ことを特徴とする解析計算プログラムを記録しているコンピュータ読取可能な記録媒体。
  15. 要素で構成されているメッシュ構造を生成することによって、解析対象物の変位電流の計算を行う解析計算方法を解析計算装置に実行させる解析計算プログラムを記録しているコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
    前記解析対象物は、絶縁体が導体に接する構造を有しており、
    解析計算装置に、
    前記絶縁体の部分に前記メッシュ構造を生成することで3次元絶縁体部を設定させ、
    前記導体の部分のうち、少なくとも前記絶縁体に接している部分に前記メッシュ構造である3次元導体部を設定したメッシュ構造を生成させ、
    前記3次元絶縁体部の部分および前記3次元導体部の部分のみに前記メッシュ構造を生成させ、
    前記生成したメッシュ構造を用いて、前記解析対象物に交流電圧が印加されたときの前記解析対象物の絶縁体部に変位電流が流れるときの電位の時間微分を未知数とし、前記3次元絶縁体部の離散化微分方程式を解くことにより、変位電流解を電流ベクトルポテンシャルで表し、この電流ベクトルポテンシャルを用いて、前記3次元導体部における離散化積分方程式を解くことによって、前記解析対象物における電流と前記変位電流とを算出させる
    ことを特徴とする解析計算プログラムを記録しているコンピュータ読取可能な記録媒体。
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