JP5882109B2 - 顔料分散組成物、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物及びカラーフィルタ - Google Patents

顔料分散組成物、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物及びカラーフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、顔料分散組成物、当該顔料分散組成物を用いて製造したカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物、及び当該カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて製造したカラーフィルタに関する。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。また、家庭用の液晶テレビに加え、スマートフォンやタブレットの普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。液晶ディスプレイの性能においては、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が今まで以上に強く望まれている。
このような状況において、液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。
ここで、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。顔料分散法では、例えば、顔料を含有する感光性着色組成物を透明基板上に設け、所望のパターン形状に露光した後、現像し、各色の着色層をパターン状に形成する。
また、近年更なるカラーフィルタの高精細化、高精度化及び高コントラスト化が求められており、かかる要求に対してより微細な顔料の使用が検討されている。特に、スマートフォンやタブレットに対応した小面積の画面における高画質化を実現するためには、画素を微小化する必要があり、顔料微細化の要求が強い。しかしながら、より微細な顔料は凝集しやすく、分散安定性が得られ難いという問題が生じている。
微細な顔料を用いた場合にも優れた顔料分散性及び分散安定性を得るために、顔料分散液に含まれる顔料分散剤として、窒素含有単量体を必須の共重合成分とした特定の構造を有する顔料分散剤を用いることが提案されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、近年益々顔料の微細分散が求められている中、顔料の分散性を向上させるために顔料分散剤の含有割合を大きくすると、顔料の分散性は向上するものの、感光性や溶解性などの着色層形成性に寄与する成分が相対的に減少するため、着色層形成の際、現像後に残渣が残りやすくなるという問題が生じる。
一方、特許文献2乃至4には、微細な顔料の分散性を向上させるために、窒素含有単量体を必須の共重合成分としたバインダー樹脂を用いることが提案されている。
また、特許文献2及び特許文献3には、バインダー樹脂とともに分散剤を併用する旨が記載されており、実施例では分散剤としてビックケミー社製のDisperbyk161を用いている。しかしながら、特許文献2及び特許文献3に記載の発明では、顔料の微細分散化の要求に充分応えられず、特に分散性の悪い顔料を用いた場合には、顔料が充分に分散されないという問題がある。
特許文献4には、現像性等の各種の特性を低下させないため、分散剤を用いないか最小限の使用とすることが好ましいと記載されており、実施例では分散剤は用いられていない。しかしながら、特許文献4に記載の発明では、特許文献2及び3に記載の発明と同様に、顔料の微細分散化の要求、特に分散性の悪い顔料の微細分散化の要求に充分に応えられないという問題がある。
特開2010−85647号公報 特開2011−75685号公報 特開2008−308642号公報 特開2005−240000号公報
本発明は、上記実情に鑑み、顔料の微細分散化の要求性能に応えるためになされたものであり、好ましくは従来分散性が悪く使用することが困難であった顔料においても分散性に優れる顔料分散組成物、当該顔料分散組成物を用いて製造したカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物、及び当該カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて製造したカラーフィルタを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の繰り返し単位を有する共重合体と、固形分換算でのアミン価が40〜100mgKOH/gの分散剤とを組み合わせて用いることにより、上記課題が解決されるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る顔料分散組成物は、少なくとも顔料(A)と、含窒素単量体単位(b1)、酸基を有する単量体由来の繰り返し単位(b2)並びに前記(b1)及び(b2)以外のアクリレート及び/又はメタクリレート由来の繰り返し単位(b3)を含む共重合体である樹脂(B)と、アミン価を有する分散剤(C)と、溶剤(D)とを含有し、前記分散剤(C)のアミン価が当該分散剤(C)の固形分換算で40〜100mgKOH/gであり、顔料分散組成物の全固形分中の当該樹脂(B)の含有量が5〜60重量%であり、当該分散剤(C)の含有量が10重量%超から40重量%以下であることを特徴とする。
本発明に係る顔料分散組成物は、前記含窒素単量体単位(b1)の前駆体となる含窒素単量体が、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド及びヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係る顔料分散組成物は、前記樹脂(B)における前記含窒素単量体単位(b1)の含有割合が、当該樹脂(B)の固形分全量に対して0.1〜60質量%であることが、顔料分散性並びに現像性及び塗工性の観点から好ましい。
本発明に係る顔料分散組成物は、当該顔料分散組成物全体のアミン価が、固形分換算で5〜70mgKOH/gであることが好ましい。
本発明に係る顔料分散組成物は、前記顔料(A)に、分散性が悪く従来使用することが困難であった臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を含有させることができる。
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、前記本発明に係る顔料分散組成物と、多官能単量体(E)、光重合開始剤(F)を含有することを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板上に前記本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の硬化物からなる着色層を有することを特徴とする。
本発明によれば、顔料の分散性及び分散安定性に優れ、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を経時安定性に優れるものとすることができ、カラーフィルタの着色層を形成する際の現像性及び塗工性に優れ、形成した着色層を塗膜物性に優れたものとすることができる顔料分散組成物、当該顔料分散組成物を用いて製造したカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物、及び当該カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて製造したカラーフィルタを提供することができる。
本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の顔料分散組成物、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物、及びカラーフィルタについて順に説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
また、本発明において顔料分散組成物とは、感光性着色樹脂組成物等の最終的に必要とされる組成物を調製するに先立ち事前調製されるものであり、顔料の分散性を向上させることを目的とした予備調製物である。感光性着色樹脂組成物が開始剤等の成分を含有しているのに対し、顔料分散組成物は一般的に開始剤を含有していない。顔料分散組成物は、感光性着色樹脂組成物等の最終的に必要とされる組成物の成分の一部のみを含む点で、最終的に必要とされる組成物から区別される。
I.顔料分散組成物
本発明に係る顔料分散組成物は、少なくとも顔料(A)と、含窒素単量体単位(b1)、酸基を有する単量体由来の繰り返し単位(b2)並びに前記(b1)及び(b2)以外のアクリレート及び/又はメタクリレート由来の繰り返し単位(b3)を含む共重合体である樹脂(B)と、アミン価を有する分散剤(C)と、溶剤(D)とを含有し、前記分散剤(C)のアミン価が当該分散剤(C)の固形分換算で40〜100mgKOH/gであることを特徴とする。
近年では、画素の微細化に対応するため、顔料微細化の要求が高まっている。本発明の顔料分散組成物は、樹脂(B)と分散剤(C)の双方が顔料の分散性の向上に寄与しているため、微細な顔料の分散性に優れ、さらに、樹脂(B)がアルカリ可溶性バインダー樹脂の機能を有するため着色層を形成する場合の塗工性、及び、形成された着色層の現像性、再溶解性、耐熱性等の諸物性を良好なものとすることができる。また、分散剤(C)のアミン価を上記特定の範囲内とし、樹脂(B)を併用することで顔料の分散性を確保し、且つ樹脂の含有割合を大きくすることによって、現像性や再溶解性や耐熱性や塗工性の悪化を防ぐことができる。
なお、着色層の形成の際には、現像性に優れるため、微小な画素であっても正確なパターンを形成することができ、且つ表面粗さの小さいパターンを得ることができる。
また、本発明の着色樹脂組成物は再溶解性に優れ、塗工性に優れるものである。ダイコーター等を用いた塗布工程で、着色樹脂組成物の再溶解性が低いと、着色層形成の際に、ダイリップ先端に生じた着色樹脂組成物の乾燥固形物が、後から吐出された着色樹脂組成物によって再溶解されず、着色樹脂組成物を吐出する際、特に一定時間を空けて再吐出する際に、ダイリップ先端から乾燥固形物が剥離し、異物となって着色層に付着する場合がある。本発明の着色樹脂組成物は再溶解性に優れるため、上記のような着色層上の異物の発生を阻止できる。
また、着色樹脂組成物を用いた塗膜をポストベークなどの工程で加熱する時にコントラストが低下するという、いわゆるコントラストの耐熱性の問題があるが、これは分散によって微細化された顔料が、加熱により再凝集化を起こしてしまうことが原因と考えられる。一方、本発明は、電子供与性電子対を含む窒素を含有した樹脂すなわち樹脂(B)及びアミン価を有する分散剤(C)を併用することで、樹脂(B)及び分散剤(C)が顔料の粒子と相互作用するので、再凝集化を抑制し、加熱によるコントラスト低下を抑制することができる。よって、本発明の顔料分散組成物を用いることにより、カラーフィルタ作製時複数回の熱工程を経ても、極めてコントラスト低下が少ない着色層(画素)を得ることができる。
さらに本発明によれば、従来分散性が悪く使用が困難であった臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を用いる場合であっても、分散性に優れ、保存安定性に優れる顔料分散組成物を得ることができる。
臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を含有する顔料分散組成物又は着色樹脂組成物を長期間放置すると、常温保管する場合でさえ再結晶化が進行して、臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料の結晶化度が大きくなるため、得られた塗膜のコントラストが保管前に比べ劣ってしまうという問題がある。
一般に、顔料分散組成物又は着色樹脂組成物中で顔料が凝集することによって、得られる塗膜のコントラストが悪くなる現象が知られているが、再結晶化が原因となって塗膜のコントラストが劣ってしまう現象は、臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料に特有の問題である。
再結晶化のメカニズムは明確になっていないが、臭素化亜鉛フタロシアニンの中心金属である亜鉛は、従来使用されてきたピグメントグリーン36等の中心金属である銅に比べて原子径が大きく、顔料間距離が広くなるため、フタロシアン平面構造が歪となってしまい顔料間相互作用が弱くなって不安定になり、再結晶化が進行すると考えられる。
一方、本発明は、電子供与性電子対を含む窒素を含有した樹脂すなわち樹脂(B)及びアミン価を有する分散剤(C)を併用することで、樹脂(B)及び分散剤(C)が臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料の粒子と相互作用するので、顔料間相互作用が安定となり、再結晶化を阻止するため、臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料に特有のコントラスト低下現象を解決できるものと考えられる。
以下、本発明の顔料分散組成物に用いられる各成分及び当該顔料分散組成物の性質、並びに本発明の顔料分散組成物の製造方法について説明する。
(1)顔料分散組成物に用いられる各成分
<樹脂(B)>
本発明で用いられる樹脂(B)は、含窒素単量体単位(b1)、酸基を有する単量体由来の繰り返し単位(b2)並びに前記(b1)及び(b2)以外のアクリレート及び/又はメタクリレート由来の繰り返し単位(b3)を含む共重合体である。
以下、樹脂(B)が含む各繰り返し単位について説明する。
本発明の顔料分散組成物は、樹脂(B)が、含窒素単量体単位(b1)を含むことにより、顔料の分散性に優れる。
樹脂(B)を用いずに、アミン価の高い分散剤を用いることによって優れた顔料の分散性及び分散安定性が得られるが、アミン価の高い分散剤を多量に含む顔料分散組成物を用いて感光性着色樹脂組成物を調製し、形成した塗膜は、現像性や再溶解性が劣ってしまう。
前記含窒素単量体単位(b1)は、電子供与性電子対を有する窒素を有するものである。
前記含窒素単量体単位(b1)は、中でも下記一般式(1)で表される構造を有するものであることが好ましい。
Figure 0005882109
(一般式(1)中、Ri及びRiiはそれぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、Ri及び/又はRiiは結合して環状構造を形成していても良い。)
i及びRiiにおける炭化水素基は、特に限定されず、直鎖、分岐、又は環状の脂肪族炭化水素基、或いは、芳香族基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
i及びRiiにおける鎖状の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。Ri及びRiiにおける環状の炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。これらのうち好ましいものは、メチル基、エチル基である。
i及びRiiにおける芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
i及びRiiが互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有しても良い。Ri及びRiiが互いに結合して、Ri及びRiiが結合する窒素原子と共に形成する環状構造としては、例えば、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾール環、カルバゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピペラジン環、ピロール環、ピロリン環、インドール環、キノリン環等が挙げられる。
また、Ri及びRiiに含まれるヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。中でも、Ri及びRiiがヘテロ原子を含む場合は、窒素原子のみを含むもの又は酸素原子のみを含むものであることが好ましい。
上記一般式(1)で表され、窒素原子と共に他の異種原子を含む構造を有する含窒素単量体としては、例えば、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン及びヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。
また、Ri又はRiiは、繰り返し単位内の他の原子と結合して環状構造を形成していてもよく、この場合、繰り返し単位内の炭素原子と結合して環状構造を形成していることが好ましい。
前記含窒素単量体単位(b1)は、中でも上記一般式(1)で表される構造を有し、且つ当該一般式(1)で表される構造が炭化水素性炭素に結合しているもの又はカルボニル基の炭素と結合してアミド結合を形成しているものであることが好ましい。
本発明において「炭化水素性炭素」とは、一般式(1)中のN(窒素原子)の他は、炭素原子及び/又は水素原子とのみ結合している炭素原子をいう。
前記含窒素単量体単位(b1)は、中でも、下記一般式(2)で表される繰り返し単位であることが、さらに好ましい。
Figure 0005882109
(一般式(2)中、Riiiは、水素原子又はメチル基、Qは、直接結合又は連結基、Ri及びRiiはそれぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、Ri及びRiiは結合して環状構造を形成していても良い。Ri又はRiiはQに含まれる原子と結合して環状構造を形成していても良い。)
連結基Qとしては、アミド結合を構成するものであってもよいし、下記一般式(2’)において−A−R−で表される連結基であっても良いし、更にRi又はRiiと結合する部分を含むことによって3価の連結基を構成しても良い。当該3価の連結基の場合には、上記連結基−A−R−と同様の2価の連結基において、R部分の炭素原子とRi又はRiiとが結合して3価の連結基となっていることが好ましい。
連結基Qがアミド結合を構成するものとしては、特に限定されないが、中でも当該連結基Qが−CO−であることが好ましい。
Figure 0005882109
(式(2’)中、Aは、直接結合又は2価の連結基、Rは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の有機基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。Ri、Rii及びRiiiは、一般式(2)と同様とする。)
前記含窒素単量体単位(b1)の前駆体となる含窒素単量体としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート等のアミン系(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等の含窒素ビニル単量体、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド及びヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体等が挙げられる。
これらの中でも、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド及びヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。特に、少量の添加で顔料の分散安定性の向上が可能である点から、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びビニルイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
樹脂(B)における、前記含窒素単量体単位(b1)の含有割合は、特に限定されないが、樹脂(B)全体を100重量%としたときに、0.1〜60重量%であることが好ましく、特に0.1〜40重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。前記含窒素単量体単位(b1)の含有割合が前記下限値未満であると顔料の分散性に劣る場合があり、前記上限値を超えると、着色層形成の際の現像性及び塗工性、再溶解性に劣る場合がある。
なお、前記含窒素単量体単位(b1)の含有割合は、樹脂(B)を合成する際の含窒素単量体の仕込み量である。
次に、本発明に用いられる樹脂(B)が含む酸基を有する単量体由来の繰り返し単位(b2)について説明する。
上記酸基を有する単量体は、エチレン性不飽和結合を有し、前記繰り返し単位(b1)の前駆体である含窒素単量体並びに前記繰り返し単位(b3)の前駆体であるアクリレート及び/又はメタクリレート(以下、単に特定のアクリレート及び/又はメタクリレートともいう。)と重合することができ、且つ酸基を有するものである。
本発明においては、上記樹脂(B)が上記酸基を有する単量体由来の繰り返し単位(b2)を有することにより、顔料の分散安定性に優れ、アルカリ現像性も付与することができる。
上記酸基を有する単量体に含まれる酸基としては、水中において酸性を示す官能基で
あれば特に限定されるものではないが、通常、カルボキシル基が用いられる。
上記酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成(株)製アロニックスM−5600)、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物等が挙げられる。これらの中でも特に(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましく、本発明においては、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
なお、酸基を有する単量体としては、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。
樹脂(B)における、酸基を有する単量体由来の繰り返し単位(b2)の含有割合は、特に限定されないが、樹脂(B)全体を100重量%としたときに、1〜30重量%であることが好ましく、特に3〜20重量%であることが好ましい。
次に、本発明に用いられる樹脂(B)が含む前記(b1)及び前記(b2)以外のアクリレート及び/又はメタクリレート由来の繰り返し単位(b3)について説明する。
上記特定のアクリレート及び/又はメタクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが分散安定性の点から特に好ましい。
なお、本発明においては、上記の1種類以上を用いることができる。
樹脂(B)は、更に他の繰り返し単位を含んでいてもよい。他の繰り返し単位を含むことにより、樹脂(B)に種々の性能を付与することができる。
例えば、芳香族炭素環を有する繰り返し単位は、顔料分散組成物に塗膜性を付与する成分として機能し、エステル基を有する繰り返し単位は、顔料分散組成物のアルカリ可溶性を制御するとともに、溶剤に対する溶解性や、他の成分との相溶性を向上させる成分としても機能する。また、側鎖に重合性基を有する場合には、硬化性成分として機能し、硬化膜の膜強度を向上する。
また、樹脂(B)は、他の繰り返し単位として、その他の共重合可能な不飽和単量体を含んでいても良い。その他の共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。これらの共重合体は、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよく、また、上記共重合体の合成後に、上記置換基を有する化合物と反応させて、上記置換基を付加させてもよい。また、これらの置換基を有する共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。
樹脂(B)は、アクリレート系樹脂であることが好ましく、ポリマーの主鎖を構成する繰り返し単位全体の50重量%以上が(メタ)アクリレート骨格を有する単量体に由来するものであることがさらに好ましい。
樹脂(B)のアミン価は、顔料分散性の向上の観点から、0〜250mgKOH/gであることが好ましく、0〜100mgKOH/gであることがより好ましく、更に0〜50mgKOH/gが好ましい。アミン価が前記上限値を超えると、現像時間が増加したり、現像時に残渣が発生するおそれがある。
前記樹脂(B)のアミン価とは、樹脂(B)の固形分1g中に含まれるアミン成分を中和するのに要する過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数をいい、JIS−K7237に定義された方法により測定することができる。
樹脂(B)の酸価は、現像性と溶剤への溶解性の点から、50〜150mgKOH/gであることが好ましく、60〜130mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が前記上限値を超えると、樹脂合成時に増粘、不溶成分の析出などが起こり、合成進行が困難となるおそれがある。前記下限値未満の場合は現像性が低下する場合がある。
樹脂(B)の重量平均分子量は、5,000〜20,000であることが好ましく、7,000〜15,000であることが特に好ましい。樹脂(B)の重量平均分子量は、5,000未満であると、バインダーとしての機能に劣り、膜形成後のカラーフィルタに求められる性能を達成できない恐れがあり、20,000より大きいと、現像性に劣り、微細画素形成が困難になる恐れがある。ここで、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
樹脂(B)の構造は、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体のいずれであっても良いが、窒素含有単量体単位(b1)が主鎖に含まれていることが好ましい。
本発明の顔料分散組成物中における前記樹脂(B)の含有量は、特に限定されないが、全固形分中の5〜60重量%であることが好ましく、特に10〜40重量%であることが好ましい。樹脂(B)の含有量が前記下限値未満の場合には、顔料の分散性又は分散安定性が不十分となり、顔料が凝集してしまうため当該顔料分散組成物を用いて形成した着色層の塗膜物性の中でも色特性である輝度及びコントラストが劣るおそれがある。なお、樹脂(B)の含有量が前記下限値未満の場合において、顔料の分散性を向上させるために分散剤の含有量を増やすと、現像時間が増加したり、現像時に残渣が発生する場合や、再溶解性で確認される塗工性、並びに塗膜物性が劣る場合がある。また、樹脂(B)の含有量が前記上限値を超える場合には、顔料の分散性及び分散安定性に劣る場合がある。
<顔料(A)>
本発明に用いられる顔料(A)としては、公知の顔料を用いることができる。本発明において使用可能な有機顔料の具体例を下記表1および表2に示す。
Figure 0005882109
Figure 0005882109
また、前記顔料(A)としては、下記一般式(IV)で表されるポリ臭素化亜鉛フタロシアニンを用いることができる。なお、上記表中のピグメントグリーン58(C.I.Pigment Green58)は、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンの一種である。
Figure 0005882109
[式(IV)中、X〜X16は、それぞれ独立に塩素原子、臭素原子または水素原子である。ただし、全てのXのうち少なくとも8つは、臭素である。]
上記のようなポリ臭素化亜鉛フタロシアニンの平均組成は、マススペクトロスコピーに基づく質量分析と、フラスコ燃焼イオンクロマトグラフによるハロゲン含有量分析から求めることができる。Xのうち、臭素原子と塩素原子の合計が8〜16であることが好ましい。
また、前記ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンは、X線回折スペクトルにおいて、Cu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)=26.4°に最大回折ピークを有し、22.6°,24.8°,25.7°,27.8°にピークを有するものが好ましい。
このようなポリ臭素化亜鉛フタロシアニンは、特開2008−19383号公報に記載されているような製造方法により製造することが可能である。平均粒径の点から、本発明で用いられるポリ臭素化亜鉛フタロシアニンは、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンと、無機塩と、有機溶剤とを混練摩砕するソルベントソルトミリング処理がされたものであることが好ましい。
本発明の顔料分散組成物は、上記顔料の中でも、上記一般式(IV)で表されるポリ臭素化亜鉛フタロシアニンを含む場合において特に有効である。ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンは従来分散性の向上が困難であったところ、本発明ではこのような顔料を含む場合においても分散性に優れる。
また、前記顔料(A)としては、特許第4158748号や特開2011−22542号公報等に記載されるアゾバルビツール酸金属錯体顔料と特定の化合物との複合物を用いることもできる。なお、上記表中のピグメントイエロー150(C.I.Pigment Yellow150)は、アゾバルビツール酸ニッケル錯体顔料である。
緑色画素を形成するためには、色調整のため黄色顔料と緑色顔料を併用して用いることが多く、その際に黄色顔料であるアゾバルビツール酸金属錯体顔料と、緑色顔料である上記一般式(IV)で表されるポリ臭素化亜鉛フタロシアニンを共分散する場合がある。この場合、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニン単体を用いた単分散よりも上記黄色顔料を併用した共分散の方が常温経時保管によるコントラスト低下が大きいという問題があったが、本発明によりコントラスト変化を低減することが可能となった。
また黄色顔料には、アゾバルビツール酸ニッケル錯体そのもののほかに、アゾバルビツール酸ニッケル錯体とメラミンの複合物も好ましく用いることが出来る。アゾバルビツール酸ニッケル錯体とメラミンの複合物は、臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料と組み合わせて用いた場合に、アゾバルビツール酸ニッケル錯体そのものを用いた場合と比べて、さらに分散性及び分散安定性が悪いが、本発明によれば、臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料とアゾバルビツール酸ニッケル錯体とメラミンの複合物を含む黄色顔料を組み合わせて用いる場合でも、優れた分散性及び分散安定性が得られる。
前記顔料(A)としては、酸化チタン、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、ベンガラ、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料を用いることもできる。
本発明の顔料分散組成物においては、上記顔料を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いても良い。
また、本発明に用いられる顔料の分散平均粒径としては、後に製造される感光性着色樹脂組成物を用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、通常、10nm以上300nm以下の範囲内であることが好ましく、なかでも10nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましく、10nm以上80nm未満であることがより好ましい。これにより、本発明の顔料分散組成物を用いた感光性着色樹脂組成物を用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、輝度、コントラストに優れた着色層とすることができる。なお、上記顔料の分散平均粒径は、光散乱方式の粒度分布測定装置により測定することができる。
本発明の顔料分散組成物中の顔料(A)の含有量は、後に製造される感光性着色樹脂組成物を用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、用いる顔料の種類によっても異なり特に限定されない。顔料分散組成物の固形分全量に対して、1〜80重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも10〜70重量%の範囲内であることが好ましい。上記顔料の含有量が、上記範囲より多くても少なくても、顔料分散組成物の粘度の安定性を欠いたり、また分散粒径が適切な範囲でないものになる可能性があるからである。
<分散剤(C)>
本発明に用いられる分散剤(C)としては、公知の顔料分散剤のうちアミン価が40〜100mgKOH/gのものを使用することができ、特にアミン価が60〜100mgKOH/gのものを好適に使用することができる。
分散剤(C)のアミン価が40mgKOH/gよりも小さい場合には、十分な顔料分散性が得られない。また、アミン価が100mgKOH/gよりも大きい場合には、現像性が悪くなってアルカリ溶解性の低下や残渣の付着残留や、再溶解性の低下といった問題を生じる場合がある。
前記分散剤(C)のアミン価とは、分散剤(C)の固形分1g中に含まれるアミン成分を中和するのに要する過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数をいい、JIS−K7237に定義された方法により測定することができる。
前記分散剤(C)としては、具体的には、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤、リン酸エステル、アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤や顔料誘導体の中でアミン価を付与できる電子供与性電子対を有する窒素原子を有するものを挙げることができる。中でも、高分子分散剤が好ましく、特に以下に示すブロック共重合体及びグラフト共重合体が好ましく、中でもブロック共重合体が好ましい。
また、分散剤(C)の含窒素単量体単位に含まれる窒素含有基は、酸基を有する化合物と塩を形成していても良い。窒素含有基から誘導される塩形成部位は、顔料に対して、さらに高い吸着性を有するものとなり、顔料の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができる。
<ブロック共重合体>
前記分散剤(C)として用いることができるブロック共重合体としては、下記一般式(I)で表される構成単位(1)と、下記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有するものが挙げられる。
Figure 0005882109
Figure 0005882109
上記一般式(I)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びR2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明においては、上記R及びR2’は、たがいに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
A’は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は[(CH−O]−(CH−で示される2価の基である。ここで、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種オクチレン基などである。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y及びzが、上記の範囲にあれば、本発明の顔料分散組成物は、顔料の分散性に優れたものになる。
このA’としては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
上記一般式(II)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rを示す。尚、Rが芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。
上記R及びRは、前記と同じであり、Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOOR12で示される1価の基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基及び炭素数2〜18のアルケニル基は、前記Rで示したとおりである。
上記Rにおいて、x、y及びzは、前記A’で説明したとおりである。
また、上記一般式(II)で表される構成単位(2)中のRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明において、上記Rとしては、なかでも、溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記ブロック共重合体を構成する構成単位等によっても異なるが、上記溶媒が、テトラヒドロフラン、トルエン等である場合には、メチル基、エチル基、ベンジル基等を用いることが好ましく、上記溶媒が、ペンタン、ヘキサン等のより極性の低いものである場合には、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等を用いることが好ましい。
ここで、上記Rをこのように設定する理由は、上記Rを含む構成単位(2)が、上記溶媒に対する可溶性を有し、上記構成単位(1)のアミノ基が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
また、上記構成単位(1)のアミノ基は、酸基を有する化合物と塩を形成させても良い。構成単位(1)のアミノ基から誘導される塩形成部位は、顔料に対して、さらに高い吸着性を有するものとなり、顔料の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
分散剤のアミノ基と結合して塩を形成する化合物は、特開2010−54725号公報、特開2010−79244号公報及び特開2010−85647号公報などに記載されている。構成単位(1)のアミノ基は、例えば、特開2010−54725の段落0029に記載されている、次のような有機リン酸化合物及び/又は有機スルホン酸化合物と塩を形成させても良い。
Figure 0005882109
[式(VII)又は(VIII)中、R及びR4’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R11、−[(CH−O]−R11、又は−O−R4’’で示される1価の基であり、R及びR4’のいずれかは炭素原子を含む。R4’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R11、−[(CH−O]−R11で示される1価の基である。
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R11、−[(CH−O]−R11、又は−O−R5’で示される1価の基である。R5’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−[CH(R)−CH(R10)−O]−R11、−[(CH−O]−R11で示される1価の基である。
及びR10は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R11は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOOR12で示される1価の基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
aは1〜18の整数、bは1〜5の整数、cは1〜18の整数を示す。]
さらに、上記Rは、上記ブロック共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。また、これらの置換基を有するブロック共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するブロック共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するブロック共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
本発明に用いられる構成単位(1)のユニット数m及び構成単位(2)のユニット数nの比率m/nとしては、0.01〜1の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.5の範囲内であることがより好ましい。比率m/nが上記範囲内にあれば、上記構成単位(1)が有するアミノ基が形成する塩形成部位の割合が適切となるので、顔料に対する吸着性が良好となり、上記構成単位(2)による溶媒との溶解性が低くなることがなく、顔料の分散性、及び安定性が低下することがない。
本発明に用いられるブロック共重合体における、上記構成単位(1)のユニット数m及び構成単位(2)のユニット数nは、それぞれ1〜200の整数であればよく、特に限定されないが、上記mとしては、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜10の範囲内であることがより好ましい。また、上記nとしては、20〜100の範囲内であることが好ましい。
さらに、上記ブロック共重合体の重量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜15000の範囲内であることがより好ましく、3000〜12000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲内であることにより、顔料を均一に分散させることが可能となる。
なお、上記重量平均分子量Mwは、前述した樹脂(B)の重量平均分子量Mwを測定する方法と同様の方法により測定された値である。
本発明に用いられるブロック共重合体の結合順としては、上記構成単位(1)及び上記構成単位(2)を有し、顔料を安定に分散することができるものであればよく、特に限定されないが、上記構成単位(1)が上記ブロック共重合体の一端のみに結合したものであることが好ましい。すなわち、上記構成単位(1)と、上記構成単位(2)とが、構成単位(1)−構成単位(2)の順で結合したものであってもよく、構成単位(1)−構成単位(2)−構成単位(1)の順で結合したものであってもよく、構成単位(2)−構成単位(1)−構成単位(2)の順で結合したものであってもよく、構成単位(1)−構成単位(2)が繰り返し結合したものであってもよいが、本発明においては、なかでも構成単位(1)−構成単位(2)の順で結合したものが好ましい。その理由は、顔料に対する吸着性に優れ、さらにこのようなブロック共重合体を用いた分散剤同士の凝集を効果的に抑えることができるからである。
上記ブロック共重合体は、前記の構成単位(1)及び構成単位(2)を公知の重合手段を用いて重合することにより製造することができる。上記重合手段としては、前記の構成単位(1)及び構成単位(2)を所望のユニット比で重合し、所望の分子量とすることができる手段であればよく、特に限定されず、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えばアニオン重合やリビングラジカル重合等を用いることができる。本発明においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布等を所望の範囲とすることが容易であるので、該分散剤の分散性、アルカリ現像性等の特性を均一にすることができる。
<グラフト共重合体>
前記分散剤(C)として用いることができるグラフト共重合体としては、上述したブロック共重合体に用いられた上記一般式(I)で表される窒素含有単量体と、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合体成分とするものが挙げられる。
前記重合性オリゴマーは、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるものである。このエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端(以下、「片末端」と称することがある。)のみに有することが好ましい。また、重合性オリゴマーは、グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、置換基で置換されていてもよく、置換基としては、例えばハロゲン原子などが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが好ましく挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
重合性オリゴマーのポリマー鎖は、下記一般式(V)又は一般式(VI)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが好ましい。
Figure 0005882109
式(V)及び(VI)において、R1’は水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R11、−[(CH−O]−R11、−[CO−(CH−O]−R11、−CO−O−R5’又は−O−CO−R13で示される1価の基である。なお、Rが芳香環を有する場合、該芳香環上に適当な置換基、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基などを有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などである。
5’は、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R11、−[(CH−O]−R11、又は−[CO−(CH−O]−R11で示される1価の基である。上記炭素数1〜18のアルキル基は、前記のRで示したとおりである。
及びRは前記一般式(I)のA’と同じであり、R11は、水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOOR12で示される1価の基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、R13は、炭素数1〜18のアルキル基である。
上記R11で示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R13及びR11のうちの炭素数1〜18のアルキル基は、前記のRで示したとおりである。
上記R及びR5’おいて、x、y及びzは、前記一般式(I)のA’で説明したとおりである。
本発明において、上記R及びR5’としては、なかでも、溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記グラフト共重合体を構成する構成単位等によっても異なるが、上記溶媒が、テトラヒドロフラン、トルエン等である場合には、メチル基、エチル基、ベンジル基等を用いることが好ましく、上記溶媒が、ペンタン、ヘキサン等のより極性の低いものである場合には、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等を用いることが好ましい。
ここで、上記R及びR5’をこのように設定する理由は、上記R及びR5’を含む構成単位が、上記溶媒に対する可溶性を有し、上記窒素含有単量体のアミノ基が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。また、グラフト共重合体タイプの分散剤(C)の窒素含有単量体のアミノ基は、前記ブロック共重合体タイプと同様、酸基を有する化合物と塩形成させることによって、顔料に対する吸着性をさらに高くすることができる。
さらに、上記R及びR5’は、上記グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。また、これらの置換基を有するグラフト共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するグラフト共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するグラフト共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
以上のような点を考慮すると、本発明で用いられる重合性オリゴマーのポリマー鎖は、上記した構成単位のなかでもメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルシクロヘキサンなど由来の構成単位を有するものが好ましく、メチルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有するものがより好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではない。
重合性オリゴマーのポリマー鎖は、単独重合体でもよく、共重合体であってもよい。
更に、グラフト共重合体に用いられる重合性オリゴマーは、1種単独で用いられても良いが、2種以上混合して用いても良い。
重合性オリゴマーを2種以上混合して用いる場合には、ガラス転移温度が30℃以上であるポリマー鎖を有する重合性オリゴマーが、重合性オリゴマー全体の50質量%以上、更に70質量%以上となるように用いることが好ましい。
lは1〜5の整数、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは4又は5の整数である。また、重合性オリゴマーの構成単位のユニット数m及びm’は、5〜200の整数であればよく、特に限定されないが、5〜100の範囲内であることが好ましい。
重合性オリゴマーの重量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜10000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であることにより、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、立体効果による顔料への吸着時間の増大を抑制することもできる。
このような重合性オリゴマーは、適宜合成したものでもよいし、市販品であってもよく、市販品としては、例えば片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(重量平均分子量:6000,「AA−6(商品名)」:東亞合成(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:6000,「AB−6(商品名)」:東亞合成(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(重量平均分子量:6000,「AS−6(商品名)」:東亞合成(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(「プラクセルFM5(商品名)」:ダイセル化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル化学(株)製)などが挙げられる。
このような重合性オリゴマーを合成するには、リビング重合法や、連鎖移動剤を用いるラジカル重合法がよく知られている。ラジカル重合法の方が、単量体の選択の自由度が大きい点で利用しやすい。例えば、メルカプトプロピオン酸のような、カルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下で単量体をラジカル重合することにより、片末端にカルボキシル基を有するオリゴマーが得られる。このオリゴマーにグリシジルメタクリレートを付加すると、片末端にメタクリロイル基を有するオリゴマー、すなわち重合性オリゴマーが得られる。
本発明に用いられるグラフト共重合体において、前記窒素含有単量体に由来する繰り返し単位は、グラフト共重合体全体の3〜80質量%の割合で含まれていることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。グラフト共重合体中の窒素単量体に由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲内にあれば、重合性オリゴマーによる溶媒との溶解性の低下を抑制できるので、顔料に対する吸着性が良好となり、顔料の分散性、及び安定性が得られる。
また、上記グラフト共重合体の重量平均分子量Mwは、1000〜100000の範囲内であることが好ましく、3000〜50000の範囲内であることがより好ましく、5000〜30000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、顔料を均一に分散させることができる。
なお、上記重量平均分子量Mwは、前述した樹脂(B)の重量平均分子量Mwを測定する方法と同様の方法により測定された値である。
前記グラフト共重合体は、例えば、前記の窒素含有単量体と前記エチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーと、必要に応じてその他の単量体とを公知の重合手段を用いてグラフト重合させることにより製造することができる。なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
本発明の顔料分散組成物中における前記分散剤(C)の含有量は、特に限定されないが、全固形分中の5重量%以上60重量%以下であることが好ましく、特に10重量%超から40重量%以下であることが好ましく、12.5重量%以上40重量%以下であることがさらに好ましい。分散剤(C)の含有量が前記下限値未満の場合には、顔料の分散性に劣るおそれがあり、前記上限値を超える場合には、現像性及び塗膜性能、塗工性、並びに硬化膜の耐熱性に劣る場合がある。
<溶剤(D)>
本発明に係る顔料分散組成物には、顔料を分散させるために溶剤が含まれる。
本発明に用いられる溶剤としては、本発明に用いられる各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは均一に分散可能な溶剤であれば良い。具体的には、シクロヘキシルアセテート;メトキシブチルアセテート(MBA);エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等の他のエーテル類;シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;γ−ブチロラクトン、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)等を挙げることができる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明に係る顔料分散組成物は、以上のような溶剤を、該溶剤を含む顔料分散組成物の全量に対して、通常は60〜85重量%の割合で用いて調製する。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、顔料濃度が低下し、後に製造される感光性着色樹脂組成物を調製後、目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
<その他の成分>
本発明の顔料分散組成物は、必要に応じて本発明の目的を妨げない範囲において、その他の成分を含んでいても良い。たとえば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などを添加することができる。
(2)顔料分散組成物の性質
本発明に係る顔料分散組成物のアミン価は、特に限定されないが、5〜70mgKOH/gであることが好ましく、特に5〜50mgKOH/gであることが好ましく、5〜30mgKOH/gであることがさらに好ましい。顔料分散組成物のアミン価が前記下限値未満であると、顔料の分散性及び分散安定性が不十分となるおそれ、ひいては着色層の諸物性に劣るおそれがあり、前記上限値を超えると、着色樹脂組成物を調製し、塗布、現像したときに残渣が残るおそれがある。
ここで、顔料分散組成物及び感光性着色組成物のアミン価は、実験により導いた実測値と、組成物中の成分ごとのアミン価と配合割合から導いた理論値があるが、本発明では組成物中の樹脂(B)と分散剤(C)のアミン価と配合割合から導いた理論アミン価を採用する。すなわち、本発明において理論アミン価を計算する際には、樹脂(B)及び分散剤(C)が組成物中に持ち込むアミン価のみを理論アミン価の基礎とし、他の成分に由来するアミン価を無視する。
理論アミン価は、樹脂(B)及び分散剤(C)のアミン価及び添加量から、以下の式により算出することもできる。
全アミン価=(W×X+Y×Z)/組成物全体量(g)
W;樹脂(B)のアミン価
X;樹脂(B)の添加量(g)
Y;分散剤(C)のアミン価
Z;分散剤(C)の添加量(g)
(全て固形分換算)
(3)顔料分散組成物の製造方法
本発明に係る顔料分散組成物は、顔料(A)、樹脂(B)及び分散剤(C)を、溶剤(D)に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製することができる。
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜3.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜2.0mmである。
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散組成物が得られる。この顔料分散組成物は、顔料分散性に優れたカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いられる。
II.カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物(本発明において、単に「感光性着色樹脂組成物」又は「着色樹脂組成物」と称する場合がある。)は、上記本発明に係る顔料分散組成物と、多官能性単量体(E)、光重合開始剤(F)を含有することを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、上記本発明に係る顔料分散組成物を含むことにより、コントラストに優れ、耐熱性及び経時安定性にも優れた着色層を形成することができる。
以下、このような本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物に用いられる成分及び当該感光性着色樹脂組成物の性質、並びに当該感光性着色樹脂組成物の製造方法について説明する。
(1)カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物に用いられる成分
<本発明に係る顔料分散組成物>
本発明に係る顔料分散組成物については、上述したものと同様の各成分、すなわち樹脂(B)、顔料(A)、分散剤(C)、溶剤(D)及び必要に応じてその他の成分が含まれるものを用いることができる。
本発明の感光性着色樹脂組成物における樹脂(B)の含有量は、上記感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5〜60重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも10〜40重量%の範囲内であることが顔料の分散安定性、硬化膜の高コントラスト化及び耐熱性の向上の点から好ましい。
本発明の感光性着色樹脂組成物における分散剤(C)の含有量は、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、0.1〜30重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも1〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、0.1重量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、30重量%を超える場合には、硬化性の低下や残渣残留及び硬化膜の耐熱性の低下を招く恐れがある。
本発明の感光性着色樹脂組成物における樹脂(B)と分散剤(C)の合計含有量は、感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5.1〜60重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも10〜50重量%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の感光性着色樹脂組成物において、分散剤(C)の含有量(M重量%)と樹脂(B)の含有量(N重量%)との比率(M/N)は、0.1〜20の範囲内であることが好ましく、なかでも0.5〜10の範囲内であることが好ましい。
本発明の感光性着色樹脂組成物における顔料(A)の含有量としては、上記感光性着色樹脂組成物を用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、用いる顔料の種類によっても異なるが、一般的には、上記感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜70重量%の範囲内で用いられ、なかでも10〜60重量%の範囲内であることが着色層の諸性能のバランスの観点から好ましい。
本発明の感光性着色樹脂組成物に用いられる溶剤(D)の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶剤を含む上記感光性着色樹脂組成物の全量に対して、通常、60〜95重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも70〜90重量%の範囲内であることが好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、大面積基板に対して一括塗布する際においても塗布性に優れたものとすることができる。
<多官能性単量体(E)>
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物に含まれる多官能性単量体としては、重合可能なものであれば特に限定されるものではないが、通常、エチレン性不飽和結合を2つ以上含むものである。
このような多官能性単量体としては、なかでも、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
特に、本発明の感光性着色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能(メタ)アクリレートが、重合可能な二重結合を1分子中に2つ(二官能)以上有することが好ましく、さらに3つ(三官能)以上有することが好ましい。
上記多官能性単量体の含有量は、感光性着色樹脂組成物中の固形分全量に対して、5〜60重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは9〜50重量%の範囲内である。上記多官能性単量体の含有量が少なすぎると十分に硬化が進まず、露光箇所が溶出する場合があるからである。また、上記多官能性単量体の含有量が多すぎると未露光箇所でも現像できなくなる場合があるからである。
<光重合開始剤(F)>
本発明に用いられる光重合開始剤は、一般的にカラーフィルタの製造に用いられるものを使用することができる。1種に限定されず、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
このような光重合開始剤としては、具体的には、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体またはそれらのエステルなどの誘導体;キサントン、ジエチルチオキサントンおよびイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体;イルガキュアOXE−01、イルガキュアOXE−02(以上BASF社製)、ADEKA OPT−N−1919(旭電化製)などのオキシムエステル化合物、クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物などが挙げられる。
また、3級アミン構造を有する光重合開始剤を用いることができる。3級アミン構造を有する光重合開始剤は、分子内に酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、光重合開始剤から発生したラジカルが酸素により失活し難く、感度を向上させることができるといった利点を有する。
上記3級アミン構造を有する光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369(以上BASF社製)、ハイキュアABP(川口薬品製)などが挙げられる。
本発明に用いられる光重合開始剤の含有量としては、カラーフィルタの着色層を形成することができるものであれば良いが、本発明の感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、0.1〜30重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.7〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上記光重合開始剤の含有量が、上記範囲より少ないと、ラジカル重合を十分に進行させることができず、硬化が不十分となり、硬化性が低下する恐れがあるからである。また、上記範囲より多いと副反応が起こりやすく経時安定性を損なう恐れがあるからである。
<バインダー樹脂>
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物は、塗膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又は転写などによりパターンを形成後、該塗膜を重合反応により硬化させることができる、前記樹脂(B)及び前記多官能単量体(E)以外のバインダー樹脂を含んでいてもよい。
本発明に用いられるバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カラーフィルタの製造に用いられることから、耐熱性および、製造工程において使用される有機溶剤への耐性を有する樹脂であることが好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの感光性または非感光性の樹脂を挙げることができる。
上述したなかでも、特に好ましい樹脂としては、カルボキシル基等の酸性官能基を有するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有不飽和単量体と、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましく、さらに分子内にエポキシ基と、エチレン性不飽和基とを併せ持つ化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレートなどを付加させ、側鎖にエチレン性不飽和基を導入したものも好ましい。
カルボキシル基不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。なお、カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。
エチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシル(メタ)エチルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等、および、これらのマクロ単量体類;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド等のN置換マレイミド類等、を挙げることができる。なお、エチレン性不飽和単量体は、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。
バインダー樹脂は、特に限定されないが、重量平均分子量が3,000〜30,000程度のポリマーであることが好ましく、更に5,000〜25,000であることが、現像性、及び密着性の点から好ましい。なお、上記重量平均分子量Mwは、前述した樹脂(B)の重量平均分子量Mwを測定する方法と同様の方法により測定された値である。
上記バインダー樹脂を用いる場合の含有量は、本発明の感光性着色樹脂組成物の固形分全量に対して、通常、5〜70重量%の範囲内であることが好ましく、中でも10〜50重量%の範囲内であることが硬化性及び現像性の点から好ましい。
<その他の成分>
また、本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物には、必要に応じて、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、増感剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤等の添加剤を挙げることができる。
(2)カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の性質
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の理論アミン価は、特に限定されないが、顔料分散性及び現像性、塗工性に優れる観点から、3〜45mgKOH/gであることが好ましく、特に4〜33mgKOH/gであることが好ましく、5〜28mgKOH/gであることがさらに好ましい。なお、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物のアミン価は、上述した顔料分散組成物のアミン価と同様に、組成物中の成分ごとのアミン価と配合割合から導いた理論アミン価を採用するが、特に本発明では、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物中の樹脂(B)と分散剤(C)のアミン価と配合割合から導いた理論アミン価を採用する。
カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の全アミン価=(W×X+Y×Z)/組成物全体量(g)
W;樹脂(B)のアミン価
X;樹脂(B)の添加量(g)
Y;分散剤(C)のアミン価
Z;分散剤(C)の添加量(g)
(全て固形分換算)
(3)カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の製造方法
本発明のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の製造方法は、予め、上記本発明に係る顔料分散組成物を準備し、該顔料分散組成物を用いて調製すれば、特に限定されない。該顔料分散組成物に、多官能性単量体(E)、光重合開始剤(F)、及びその他の成分を添加して、均一に混合乃至分散させても良い。或いは、多官能性単量体(E)、光重合開始剤(F)、及びその他の成分を溶剤と混合、溶解した感光性成分溶液を調製して、準備した顔料分散組成物と感光性成分溶液とを混合し、必要に応じて分散処理を行うことによって、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を製造しても良い。
III.カラーフィルタ
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、透明基板上に上記本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて形成された着色層を有するものである。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照して説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、カラーフィルタ10は、透明基板1と、上記透明基板1上にパターン状に形成され、開口部を有する遮光部2と、上記遮光部2の開口部上に形成されたRGB3色の画素からなる着色層3R、3B、3Gとを有するものである。
ここで、上記着色層は、上記「II.カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物」の項に記載のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて形成されたものである。
本発明によれば、着色層が上記本発明に係るカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて形成されたものであるため、コントラストに優れ、耐熱性及び経時安定性にも優れた着色層を備えたカラーフィルタとすることができる。
以下、本発明のカラーフィルタの各構成について説明する。
本発明に用いられる着色層は、上記カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いて形成されたものである。
このような本発明に用いられる着色層の画素配列としては、一般的なカラーフィルタの着色層が有するものとすることができ、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
上記着色層の厚みとしては、通常、1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
本発明に用いられる着色層の形成方法は、上記カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を、透明基板上に塗布し、乾燥させ、露光および現像を行うフォトリソグラフィー法により形成することができる。
なお、上記カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物については、上記「II.カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明のカラーフィルタは、上記着色層以外に、通常、透明基板と、遮光部とを少なくとも有するものである。このような透明基板および遮光部としては、一般的なカラーフィルタに使用されるものを用いることができる。
本発明のカラーフィルタの製造方法としては、上記カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法によって、上記着色層を形成するものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタの製造方法を用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
なお、以下の実施例及び各表で示される各略号は以下の通りである。
DMMA ジメチルアミノエチルメタクリレート
DEMA ジエチルアミノエチルメタクリレート
DMAA ジメチルアクリルアミド
VP N−ビニルピロリドン
VI 1−ビニルイミダゾール
PGMEA プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MFG プロピレングリコールモノメチルエーテル
BzMA メタクリル酸ベンジル
MAA メタクリル酸
MMA メチルメタクリレート
AIBN アゾビスイソブチロニトリル
PR177 ピグメントレッド177
PG58 ピグメントグリーン58
PB15:6 ピグメントブルー15:6
PV23 ピグメントバイオレット23
PY アゾバルビツール酸ニッケル錯体とメラミンの複合物を含む黄色顔料
1.樹脂溶液の調製
重合槽に、下記表3に示す溶媒を150重量部仕込み、窒素雰囲気下に100℃に昇温した後、下記表3に示す組成の単量体混合物をそれぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。その後、100℃を保持して反応を続け、上記混合物の滴下終了から4時間熟成反応を行った後、該混合物を冷却して樹脂A〜樹脂Kの樹脂溶液(固形分40重量%の樹脂(B)の溶液)を得た。
Figure 0005882109
2.分散剤の調製
<分散剤A>
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン(THF)250重量部及び開始剤のジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール5.81重量部を添加用ロートを介して加え、充分に窒素置換を行った。触媒のテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1モル/Lのアセトニトリル溶液0.5重量部をシリンジを用いて注入し、第1単量体のMMA100重量部を添加用ロートを用いて60分かけて滴下した。反応フラスコを氷浴で冷却することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、第2単量体であるDMMA26.5重量部を20分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール1質量部を加えて反応を停止させた。得られた分散剤AのTHF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、ブロック共重合体である分散剤Aを得た。得られた分散剤Aの重量平均分子量は、Mw:8100であった。また、アミン価は理論値で75mgKOH/gである。得られた分散剤Aの概要を表4に示す。
<分散剤B>
DMMAの添加量を51.0重量部に変えたこと以外は、上記分散剤Aと同様にして分散剤Bを調製した。得られた分散剤Bの重量平均分子量は、Mw:7800であった。また、アミン価は理論値で121mgKOH/gである。得られた分散剤Bの概要を表4に示す。
Figure 0005882109
(実施例1〜13、比較例1〜7)
3.顔料分散組成物の調製
表5及び表6に、それぞれ実施例1〜13及び比較例1〜7で調製された顔料分散組成物に含まれる成分の配合量を重量部にて示す。なお、表5及び表6において、byk−161とは、ビックケミー社製のDISPERBYK−161(アミン価11mgKOH/g)であり、byk−111とは、ビックケミー社製のDISPERBYK−111(アミン価0mgKOH/g)である。また、PY(アゾバルビツール酸ニッケル錯体とメラミンの複合物を含む黄色顔料)としては、LEVASCREEN YELLOW G03(LANXESS社製)を使用した。
顔料分散組成物は、表5又は表6に示す組成となるように、樹脂溶液、分散剤及び溶剤(PGMEA)をディゾルバーで攪拌混合して均一溶解させ、この溶液に、表5又は表6に示す配合量の顔料を加え、ビーズミルを用いて分散することにより調製した。
(評価)
実施例1〜13及び比較例1〜7で得られた顔料分散組成物について、各評価を行った。以下に各評価内容を示し、実施例1〜13についての評価結果を表5に示し、比較例1〜7についての評価結果を表6に示す。
(1)分散安定性
各実施例及び各比較例で得られた顔料分散組成物について、25℃で7日間保存をした前後に、振動型粘度計を用いて、25.0±1.0℃における粘度を測定した。測定結果から保存前後の粘度の変化率を求め、分散安定性について下記基準で評価を行った。
○:保存前後の粘度の変化率が5%未満
△:保存前後の粘度の変化率が5%以上10%未満
×:保存前後の粘度の変化率が10%以上
(2)粒度
各実施例及び各比較例で得られた顔料分散組成物を、常温にて1日保存した後にPGMEAで500倍に希釈し、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装(株)製)を用い、粒度として累積50%の分散平均粒子径を測定した。測定結果を表5及び表6に示す。
(3)アミン価
各実施例及び各比較例で得られた顔料分散組成物の理論アミン価を、下記式により算出した。
全アミン価=(W×X+Y×Z)/組成物全体量(g)
W;樹脂(B)のアミン価
X;樹脂(B)の添加量(g)
Y;分散剤(C)のアミン価
Z;分散剤(C)の添加量(g)
(全て固形分換算)
Figure 0005882109
Figure 0005882109
4.バインダー樹脂1の調製
ベンジルメタクリレート(BzMA)42重量部、メタクリル酸(MAA)28重量部、及びアゾイソブチロニトリル(AIBN)3重量部の混合液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150重量部を入れた重合槽中に、窒素気流下、100℃で、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃で、3時間加熱し、重合体溶液を得た。この重合体溶液の重量平均分子量は、9000であった。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の値である。
次に、得られた重合体溶液に、グリシジルメタクリレート(GMA)30重量部、トリエチルアミン0.2重量部、及びp−メトキシフェノール0.05重量部を添加し、110℃で10時間加熱することにより、主鎖メタクリル酸のカルボン酸基と、グリシジルメタクリレートのエポキシ基との反応を行った。反応中は、グリシジルメタクリレートの重合を防ぐために、反応溶液中に、空気をバブリングさせた。尚、反応は溶液の酸価を測定することで追跡した。得られたバインダー樹脂は、ベンジルメタクリレート(BzMA)とメタクリル酸(MAA)の共重合により形成された主鎖にグリシジルメタクリレート(GMA)を用いてエチレン性二重結合を有する側鎖を導入した感光性バインダー樹脂であり、固形分40重量%、酸価75mgKOH/g、重量平均分子量12000であった。
5.感光性着色樹脂組成物の調製
下記[組成1]、[組成2]及び[組成3]に示す組成の各成分を混合し、感光性着色樹脂組成物を調製した。
[組成1]
・実施例1〜11、比較例1〜7の緑色顔料分散組成物:57.5重量部
・バインダー樹脂1(BzMA/MAA/GMA=42/28/30重量%、重量平均分子量12,000、PGMEA溶液、固形分40重量%):4.5重量部
・光硬化性多官能単量体(東亞合成製アロニックスM−520):4.2重量部
・光重合開始剤(BASF製イルガキュア907):1.2重量部
・KBE−503(信越化学工業製):0.3重量部
・PGMEA:32.3重量部
[組成2]
・実施例12の赤色顔料分散組成物:47.6重量部
・バインダー樹脂1:5.8重量部
・光硬化性多官能単量体(東亞合成製アロニックスM−520):5.4重量部
・光重合開始剤(BASF製イルガキュア907):1.4重量部
・KBE−503(信越化学工業製):0.3重量部
・PGMEA:39.5重量部
[組成3]
・実施例13の青色顔料分散組成物:33.2重量部
・バインダー樹脂1:9.3重量部
・光硬化性多官能単量体(東亞合成製アロニックスM−520):8.7重量部
・光重合開始剤(BASF製イルガキュア907):1.7重量部
・KBE−503(信越化学工業製):0.3重量部
・PGMEA:46.8重量部
(評価)
実施例1〜13及び比較例1〜7で得られた感光性着色樹脂組成物について、各評価を行った。以下に各評価内容を示し、実施例1〜13についての評価結果を表7に示し、比較例1〜7についての評価結果を表8に示す。
(1)コントラスト(硬化後)
各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を、ガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥し、フォトマスクを介さずに超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を全面照射することにより、ガラス基板上に着色層を形成した。
当該着色層が形成されたガラス板のコントラスト値を、壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用いて測定した。
実施例1で得られた感光性着色樹脂組成物を用いて着色層を形成したガラス板のコントラスト値を100とし、相対値を求め、下記基準で評価を行った。
○:コントラスト相対値が95以上
△:コントラスト相対値が80以上95未満
×:コントラスト相対値が80未満
(2)コントラスト(ポストベーク後耐熱性評価)
上記(1)の場合と同様にしてガラス基板上に着色層を形成し、当該着色層が形成されたガラス板をクリーンオーブンで下記の条件によりポストベークすることにより、カラーフィルタ基板を得た。
耐熱性評価1:230℃30分を1回行う前後にそれぞれ測定した。
耐熱性評価2:230℃30分を2回行う前後にそれぞれ測定した。
耐熱性評価3:230℃30分を2回した後、240℃30分を1回行い、その前後にそれぞれ測定した。
上記各条件において、ポストベークの前後に、得られたカラーフィルタ基板のコントラスト値を上記(1)と同様の方法にて測定し、コントラストの変化(保持率)を評価した。
コントラスト保持率は、下記式によって算出し、下記基準で評価を行った。
コントラスト保持率(%)
=(ポストベーク後のコントラスト/ポストベーク前のコントラスト)×100
○:コントラスト保持率が95%以上
△:コントラスト保持率が80%以上95%未満
×:コントラスト保持率が80%未満
(3)コントラスト(経時安定性評価)
各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を25℃で7日間保存した後、上記(1)の場合と同様にしてガラス基板上に着色層を形成し、コントラスト値を測定した。
また、各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を調製直後に上記(1)の場合と同様にしてガラス基板上に着色層を形成し、コントラスト値を測定した。
得られた測定結果から、感光性着色樹脂組成物の保存前後におけるコントラストの変化(保持率)を比較した。
コントラスト保持率は、下記式によって算出し、下記基準で評価を行った。
コントラスト保持率(%)
=(25℃で7日間保存後のコントラスト/調製直後のコントラスト)×100
○:コントラスト保持率が95%以上
△:コントラスト保持率が80%以上95%未満
×:コントラスト保持率が80%未満
(4)現像性
各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を、ガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥し、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線で露光することにより、ガラス基板上に着色層を形成した。
次いで、0.05wt%カリウム(KOH)を現像液としてスピン現像し、現像液に60秒間接液させた後に純水で洗浄することで現像処理し、パターン形成を行った。
当該現像処理において、未露光部が溶解し、除去されるまでの時間を測定し、下記基準で評価を行った。現像の終了は、目視により判断した。
○:10秒〜30秒で完全に溶解する。
△:31秒〜60秒で完全に溶解する。
×:60秒以内で完全に溶解しない(残渣が残留する)。
(5)再溶解性
ダイコート法における異物欠陥発生の有無を評価する代替法として、以下のようにして乾燥塗膜の溶剤再溶解性評価を行った。
ガラス基板上に、各実施例及び各比較例で得られた感光性着色樹脂組成物を塗布し、恒温高湿オーブンを用いて、25℃、湿度80%の条件下で、30分風乾した。その後、乾燥塗膜が付着したガラス基板をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に浸漬し、15秒攪拌した後、溶液を1分間放置した。このとき、乾燥塗膜の再溶解状態により、下記の5段階で評価した。なお、下記評価結果のうち、A〜Cのものは実用可能な範囲内であり、D〜Fのものは実用不可能である。
A:乾燥塗膜が完全に溶解する。
B:乾燥塗膜の剥離が生じるも、攪拌中に溶解する。
C:乾燥塗膜の剥離が生じるも、静置後に溶解する。
D:乾燥塗膜の剥離が生じ、溶液着色がある。
E:乾燥塗膜の剥離が生じ、溶液着色がない。
F:乾燥塗膜が溶解しない。
Figure 0005882109
Figure 0005882109
(評価結果の考察)
表5〜8に評価結果を示す。なお、表中、粒度が「−」と記載されているものは、顔料が大きく凝集したため、粒度の測定を中止したことを表す。また、コントラスト(硬化後)の評価は、実施例1を基準として相対評価を行っているため、実施例1とは異なる顔料を用いた実施例11〜13では客観的に評価することができないと判断し、評価を行わなかった。
表5に示す評価結果からわかるように、本発明の顔料分散組成物は、顔料として、従来分散性が悪く使用が困難であった臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンであるPG58を含む場合(実施例1〜11)であっても、顔料の粒度は48〜70nmと小さく、顔料を微細分散することができ、分散性に優れていた。また、実施例1〜11では、粘度上昇もほとんどなく、分散安定性にも優れていた。なお、顔料としてPG58を含まない実施例12及び実施例13も、分散性及び分散安定性に優れていた。実施例11は、臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンであるPG58と、アゾバルビツール酸ニッケル錯体とメラミンの複合物を含む黄色顔料PYを組み合わせて用いたものであるが、分散性及び分散安定性に優れていた。また、表7に示す評価結果から分かるように、本発明の感光性着色樹脂組成物を用いて形成した着色層は、高コントラストであり、着色層の耐熱性及び経時安定性に優れていた。さらに、本発明の感光性着色樹脂組成物は、現像性に優れ、再溶解性にも優れていた。
一方、表6及び表8に示す評価結果から分かるように、比較例1では、顔料分散組成物に使用した樹脂が含窒素単量体単位を含んでいないため、粘度上昇が大きく顔料の分散安定性に劣り、分散工程直後の粒度が大きく分散性に劣っていた。また、着色層の耐熱性及び感光性着色樹脂組成物の保存後の経時によるコントラストの低下が起こっていた。
比較例2では、含窒素単量体単位が含まれていない樹脂を用いたため、顔料の分散性を向上させるためにアミン価の高い分散剤を用いたところ、顔料の分散性及び分散安定性には優れていたものの、分散剤のアミン価が高すぎて現像性及び再溶解性に劣っていた。
比較例3では、アミン価を有しない分散剤を用いたため、顔料が凝集し、粒度の測定ができず、その他のすべての評価結果についても劣っていた。
比較例4では、アミン価の高い分散剤を用いたため、顔料の分散性及び分散安定性には優れていたものの、現像性及び再溶解性に劣っていた。
比較例5では、アミン価の低い分散剤を用いたため、粒度が大きく分散性に劣っており、顔料の分散安定性(粘度)に劣り、形成された着色層の諸物性にも劣っていた。
比較例6では、分散性を補助する樹脂を用いずに分散剤の含有量を増やしたため、顔料の分散性(粒度)及び分散安定性には優れていたものの、現像性及び再溶解性に劣り、形成された着色層の耐熱性にも劣るものであった。
比較例7では、顔料の分散性を補助する樹脂(樹脂A)を用いたものの、分散剤を用いなかったため、顔料が凝集し、粒度の測定ができず、その他のすべての評価結果についても劣っていた。
1 透明基板
2 遮光部
3R、3B、3G 着色層
10 カラーフィルタ

Claims (7)

  1. 少なくとも顔料(A)と、含窒素単量体単位(b1)、酸基を有する単量体由来の繰り返し単位(b2)並びに前記(b1)及び(b2)以外のアクリレート及び/又はメタクリレート由来の繰り返し単位(b3)を含む共重合体である樹脂(B)と、アミン価を有する分散剤(C)と、溶剤(D)とを含有し、
    前記分散剤(C)のアミン価が、当該分散剤(C)の固形分換算で40〜100mgKOH/gであり、
    顔料分散組成物の全固形分中の前記樹脂(B)の含有量が5〜60重量%であり、前記分散剤(C)の含有量が10重量%超から40重量%以下であることを特徴とする、顔料分散組成物。
  2. 前記含窒素単量体単位(b1)の前駆体となる含窒素単量体が、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ペンタメチルピペリジルアクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド及びヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の顔料分散組成物。
  3. 前記樹脂(B)における前記含窒素単量体単位(b1)の含有割合が、当該樹脂(B)の固形分全量に対して0.1〜60質量%である、請求項1又は2に記載の顔料分散組成物。
  4. 顔料分散組成物全体のアミン価が、固形分換算で5〜70mgKOH/gである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の顔料分散組成物。
  5. 前記顔料(A)が、臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料を含有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の顔料分散組成物。
  6. 前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の顔料分散組成物と、多官能単量体(E)、光重合開始剤(F)を含有することを特徴とする、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物。
  7. 透明基板上に、前記請求項6に記載のカラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物の硬化物からなる着色層を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
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