JP5879424B2 - 防水材をアスベスト処理の床面養生材に使用する方法 - Google Patents
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Description
しかし、現在、アスベストを吸い込むと悪性中皮腫の原因となることが知られているため、アスベストは使用規制の方向にある。また、アスベストを使用する建築物については、建築物の解体又はアスベストの処理が行われている。
アスベスト処理では、作業員は作業区域内の床面上で除去等作業する。その作業中に、作業員がアスベストに混じった砂ごみやコンクリート破片を踏みつけた場合、工具を落下させた場合などの作業員の挙動等により床面のポリシートを破損させることがあった。ポリシートが破損した場合、従来は、作業を中止し、布粘着テープで破損部分を接合(接着)してから作業を開始していた。また、ポリシートを2重、3重にして養生する手段もあるが、アスベストの漏洩を確実に防止できるものではなかった。
以上のように、水を多量に使用する近年のアスベスト処理では、ポリシートが破損すると、その破損部分から汚染水が作業区域外に流出し、作業区域外部を汚染するおそれがあるという問題が生じていた。汚染水の流出は、負圧除じん装置により回避できる問題ではなく、その解決手段が求められていた。
本発明の防水材をアスベスト処理の床面養生材に使用する方法は、廃棄用袋に容易に切断折りたたみ袋詰することができ、廃棄処分が可能なものである。
なお、上記防水材の接合部分の工法は、日本工業規格に定める工法で行うものとする。
(作業手順1)床面養生
煙突脚部の作業区域の床面及び頭部の仮設足場の床面には、日本工業規格JIS A 6008(合成高分子系ルーフィングシート)の均質シート(加硫ゴム系)厚さ1.00mm以上のものを床面養生材として敷く。当該床面養生材の重ね幅は、公共建築物改修工事標準仕様書(平成19年度版)の「第3章防水改修工事」中の合成高分子系ルーフィングシートの重ね幅と同様、縦横ともに10cm以上として、施工を行う。なお、当該施工においては、養生材は床面に敷き(接着しない)、その接合部部分を防水仕様の両面粘着テープで接着して、作業区域の床を養生する。
(作業手順2)壁面等養生
作業区域の天井面・壁面・機器等は、0.08mm以上のポリシート1枚張りとする。
上記床面・壁面等の養生作業により、煙突脚部及び頭部の作業区域を隔離密封される。
(作業手順3)アスベスト汚染水処理
アスベスト処理により発生する汚染廃水やアスベスト汚泥は、吸引装置等で吸い上げ、作業区域内の床面養生材上に設置した貯留槽に貯める。
(作業手順4)養生材等の粉じん飛散防止処理
ポリシートの養生面(天井面、壁面)と床面養生材の養生面(床面)へ均一に粉じん飛散防止剤をエアレススプレイヤー(エアレス吹付装置)により吹き付ける。
(作業手順5)養生材等撤去
天井面,壁面,床面の順に養生撤去し、隔離養生区域を解除する。養生に使用されたポリシート及び床面養生材は、汚染表面が内側になるように折りたたみ、アスベスト廃棄用ポリ袋と透明ポリ袋で2重密封する(廃棄袋詰する)。
養生材撤去後、汚染水の流出の有無を確認した。アスベスト処理の作業において発生した汚染水の隔離区域外への流水は確認されなかった。
本願の発明者は、煙突や建築物のアスベスト処理業者(石綿作業主任者)である。発明者は、作業区域の床面の養生材として考えられる材料を選択し、その材料の(a)施工、(b)破損、(c)重量、(d)廃棄、(e)総合評価(養生材としての適合性)を比較し、アスベスト処理の床面養生材としていずれの材料が最適であるかについて検討した。
以下、床面の養生が可能な材料について、上記(a)〜(d)の項目について比較例1〜5、本発明の実施例およびポリシートを対比して説明する。
表1は、比較例1〜5、本発明の実施例およびポリシートとの対比を表わすものである。
なお、本発明の防水材と対比するポリシートは、厚さ0.15mmのものを2枚重ねて敷いた厚さ0.3のシートである。厚さ0.3のポリシートは、製造上形成し難いものであり汎用資材として市場に供給されていないため、上記2枚敷きの厚さ0.3のシートを使用した。
(a)施工性:コンクリートの硬化に三週間程度を要し、養生作業に期間がかかり過ぎる。また、壁面等立ち上がりは型枠工事が必要であり、圧送ポンプなどの装備が必要である。
(b)破損:仮設足場上など挙動物上の施工では、割れ防止のための鉄筋等配筋が必要である。
(c)重量:非常に重い。
(d)廃棄:撤去解体は重作業であり、多量の廃棄物が発生する。
(e)評価:養生作業期間、重量、廃棄を総合判断して、養生材としては不適である。
(a)施工性:現場施工において溶接作業が必要である。
(b)破損:破損の可能性は低い。
(c)重量:重い。
(d)廃棄:溶断による撤去において火気作業が必要となる。
(e)評価:溶接、溶断に火気を使うため、建築物の養生材としては好ましくなく不適である。
(a)施工性:現場施工において溶着作業が必要である。
(b)破損:伸びはほとんどなく、床下地が凹凸な箇所で割れが生じた。
(c)重量:重い。
(d)廃棄:のこ等の切断必要である。廃棄袋密封(袋詰)が難易であり、重量大の廃棄物が発生する。
(e)評価:割れるおそれがあり、養生材の破損を防止できないため、養生材としては不適である。
(a)施工性:接合部等にはシーリング工事が必要となる。施工時の割れ等には十分な注意が必要となる。
(b)破損:硬くち密ではあるが、衝撃で割れる。また、割れ防止に、厚板、保護材等他の材料が必要となる。
(c)重量:重い。
(d)廃棄:廃棄時の重量が大となり、廃棄袋詰の際、袋が破れる。
(e)評価:敷設作業中にひび割れが発生し、養生材としては不適である。
(a)施工性:ほぼ良好である。但し、接合部の接着は工場加工が必要となる。
(b)破損:伸びは少なく、破損のおそれがある。
(c)重量:軽い。
(d)廃棄:カッターナイフで切断が可能であり、廃棄袋詰が可能である。
(e)評価:破損のおそれがあり、養生材としては不適である。
(a)施工性:良好である。
(b)破損:前記合成高分子系ルーフィングシートJIS A 6008の実施例において、アスベスト処理において破損は発見されなかった。また、煙突頭部の仮設足場を養生した当該シートは、作業期間7日の間、仮設足場上における作業員の挙動のほか、風による仮設足場の歪みに柔軟に対応し、破損しなかった。
(c)重量:軽い。
(d)廃棄:カッターナイフで切断が可能であり、廃棄袋詰も容易である。
(e)評価:養生材の破損が発生しない材料であり、養生材としては最適である。
(a)施工性:良好である。しかし、2重敷きのため、2工程となる。
(b)破損:作業区域内における作業員の挙動によりコンクリート破片などがポリシートに押圧され2枚重ねて敷いたシートはいずれも破損し、その破損部分から床面に汚染水が流出していた。
(c)重量:軽い。
(d)廃棄:カッターナイフで切断が可能であり、廃棄袋詰も容易である。
(e)評価:従来より養生材として認められている材料であり、壁面の養生材としては適していると考えられる。しかし、床面の養生材としては、アスベスト処理中に挙動等により破損しやすく、水を多量に利用するアスベスト処理には適さない。また、その破損防止のために幾重にも重ねて敷き(例えば厚さ約1.0mmのポリシートで)養生する場合は、施工性に欠ける。
比較例1〜5の材料は、施工(養生)に時間がかかるという欠点があり、実施例の材料(防水材)と比べると不適と判断できる。また、ポリシートも、破損を確実に防止するためにはシートを何枚も重ねて敷く必要があり、養生に時間がかかるという欠点がある。これに対し、実施例の材料は、養生作業が容易であり、かつ、破損しない材料である点で比較例1〜5およびポリシートより優れている。
以上のことから、合成高分子系ルーフィングシートJIS A 6008は、アスベスト処理において破損を確実に防止する養生材としては最適と判断できる。
また、合成高分子系ルーフィングシートJIS A 6008の材料の中でも、均質シートのゴム系(加硫系ゴム、非加硫系ゴム)のシートが好ましい。当該ゴムシートは、伸びがよく、施工が容易であり、床面の動き(例えば、作業員の挙動や仮設足場の歪みなど)に対する追従性が優れているからである。
Claims (1)
- 合成高分子系ルーフィングシートJIS A 6008又は建築用塗膜防水材JIS A 6021の防水材をアスベスト処理の作業区域の床面に接着せずに敷き床面を養生することを特徴とする防水材をアスベスト処理の床面養生材に使用する方法。
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