JP5877820B2 - 建造物等の屋根構造 - Google Patents
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Description
このようなトレーラの一例を図10に示す。トレーラのフレームFRは、前後方向に全長に亘って平行に延びる2本のメインビームMBと、その間を連結する複数のクロスメンバCMとを備えている。フレームFRの段差部の近傍とメインビームMBの後端部には、横方向に延びるボルスタBSが設けられ、その両端に、拡大図に示すツイストロックTLが設置される。コンテナを積載するときは、ツイストロックTLの頭部をコンテナ底面のコーナーキャスティングにおける長方形形状の貫通孔の差し込み、ハンドルを回転してコンテナを固定する。
図11のデータセンターは、一般的なコンテナと同様に、全体としては6面体の直方体である箱型構造をなし、平面視で長方形の形状となっている。その長方形の4隅には、上下方向に延びる柱状部材PLが配置されるとともに、柱状部材PLの上部及び下部には締結具(コーナーキャスティング)CCが固着される。データセンターの内部には、サーバ等のコンピュータを収めた複数のラックLCが収容されている(図11の上図では箱型構造の側壁を除いて示す)。
断面拡大図に示すとおり、データセンターの屋根の下方には、ラックLCの上方まで延長された中間天井板MCを設け、その下側に室内側熱交換器IEを、上側に室外側熱交換器OEをそれぞれ設置する。コンピュータの発熱で温度の上昇した室内の空気を室内側熱交換器IEに通過させると、室内熱交換器IEの冷媒が沸騰蒸発して室外熱交換器OEに移送される。室外熱交換器IEでは、ファンOFで吸入した外気との熱交換によって冷媒が凝縮し、重力で室内熱交換器IEに還流する。コンピュータ室CR内の空気は、室内側ファンIFによって白抜き矢印のように循環し、室内熱交換器IEを通過するときに、封入された冷媒に放熱しながら自身は冷却される。
そして、ショールーム内に多数の来場者が入場したときは、二酸化炭素の蓄積や体温による温度上昇などで室内の空気環境が悪化するので、コンテナを基礎とする建造物であっても、換気等の空調を考慮する必要がある。周囲の壁面に透明な材料を使用したショールームでは、太陽光の入射による温度上昇にも配慮しなければならない。
本発明は、コンテナの形状を変更してショールームなどの建造物としたときに、建造物の屋根等に効率的な自然換気が可能な構造を採用し、電力等の動力を用いることなく、建造物の室内の空気環境の保全を図ることを課題とする。
「建造物の屋根に置かれる構造体であって、
建造物の長手方向に延びる複数の板材を、建造物の横断面中心線に対し対称に配列した板材配列部が、間隔を置いて上方及び下方に設置され、
前記板材配列部においては、隣接する板材は、その横方向の端部が平面視において重なり合い、かつ、その間に間隙が存在するよう段違いに配置されており、さらに、
上方の前記板材配列部では、建造物の横断面中央の板材が最も高い位置に、外方側の板材ほど低い位置となるように配置され、横断面中央の板材の端部には下向きの曲り部が形成されるとともに、それ以外の板材には、外方側の端部に下向きの曲り部が、中央側の端部に上向きの曲り部が形成され、
下方の前記板材配列部では、建造物の横断面中央の板材が最も低い位置に、外方側の板材ほど高い位置となるように配置され、横断面中央の板材の端部には上向きの曲り部が形成されるとともに、それ以外の板材には、外方側の端部に上向きの曲り部が、中央側の端部に下向きの曲り部が形成されている」
ことを特徴とする構造体となっている。
建造物室内への入場者の体温あるいは太陽光の入射等により室内空気の温度が上昇すると、空気の比重量が小さくなって自然対流が生じ、高温となった空気は、建造物の最上部に置かれた上方の板材配列部に向けて流動する。そして、上方の板材配列部の隣接する板材の間隙を通過してさらに上方に流れ、建造物の外部に排出される。つまり、本発明の構造体が建造物の屋根に置かれ、ここが換気の排気口となるので、上昇する気流が滞留したり曲げられたりすることがなく、効率的な自然換気が行われる。
また、上方の板材配列部の下側には、下方の板材配列部が置かれている。下方の板材配列部は、建造物の横断面において、上方の板材配列部と鏡像になるような形状(水平線を中心として線対称)を備えており、横断面中央の板材が最も低い位置に配置され、外方側の端部に上向きの曲り部が形成されている。雨水が上方の板材配列部の下側に入り込んだとしても、その雨水は、最終的には最も低い位置に配置された中央の板材に落下して貯留され、建造物の室内側に侵入することは防止される。中央の板材に落下した雨水は、排水パイプを適宜連結する、等の手段で建造物の外部に排出することもできるが、請求項4の発明のように、中央の板材を建造物の長手方向の端部まで延長し、ここで排水装置に連結したときは、建造物の室内にパイプ等を設けることなく、簡易な構成によって排水を図ることが可能となる。
ここで、コンテナを基礎とするショールーム等の建造物では、屋根を支える柱を室内に置くことなく、建造物の上部に長手方向に延びるビーム材を設置して屋根を支持するのが好都合である。このようなビーム材を有する建造物では、請求項3の発明のように、上記の連結部材をビーム材に固定して、屋根の構造体を建造物に取り付けることができる。
本発明の構造体を備えた建造物は、自然循環による換気を行うので、電力で駆動されるファン等を必要としない。そのため、本発明の構造体は、車両により運搬可能とした建造物に好適なものである。また、請求項8の発明のように、締結具に、その上面側と下面側とに開口する貫通ねじ穴を形成したねじブロックを設けたときは、この貫通ねじ穴を利用して、建造物のクレーンによる吊り上げ、又は、柱状体を用いた建造物の積み重ねを行うことができる。
図1の斜視図に示すように、建造物STは、コンテナを基礎とするものではあるが、全体的に柔らかな印象を与えるよう、その前後の部分には、平面視でほぼ半円形の曲線をなすアーチ形壁面ARが採用されている。建造物STの側面は、ポリカーボネート等の透明な材料からなり、内部に陳列された商品等を見ることが可能である。また、両方の側面の前部及び後部には、透明な材料からなる跳ね上げ式のドアDRが配置してあり、ここから内部への出入りが可能となっている。建造物STの屋根の縁の部分にも透明な材料が用いられている。
締結具FNの下方部には底板が設けてあり、底板には、図2の底面図に示すとおり、ツイストロック等の緊締具に係合する貫通係合孔F4が形成される。つまり、建造物STに取り付けられた締結具FNの貫通係合孔F4の位置は、例えば、図10に示すトレーラにおいて、ボルスタBSに設けたツイストロックTLの位置に対応するよう設定される。そのため、建造物STを通常のコンテナのようにトレーラ等の車両に固定し、イベント会場等に運搬したり、宣伝広告の目的で路上を走行させたりすることが可能である。
他方の接続部材JTは、上方となる建造物STをクレーンで吊り上げた状態で、その締結具FNの貫通ねじ穴に下面側からねじ結合する。その後、接続部材JTと柱状体PBの本体部分との位置を合わせて建造物STを徐々に下降し、接続部材JTを柱状体PBの本体部分の上部に嵌め込んで、柱状体PBにより上方の建造物STを支持する。このとき、上方の建造物STの締結具FNには重量によるモーメント荷重が作用するが、締結具FNは、板状材を結合した骨組み構造であるので強度及び剛性の大きく、軽量なものであっても十分に荷重を支持することができる。
ここで、建造物STには、室内に屋根を支える柱が配置されておらず、建造物STの上部に長手方向に延びる矩形断面のビーム材6が、前後に置かれたアーチ形壁面ARを連結するよう設置されている。この実施例では、中央の板材2Aの連結部材5Aと連結部材5Bとがビーム材6に固着され、連結部材5Cが連結部材5Bに固着される形で、下方の中央の板材3Aを除いて、上方及び下方の板材配列部の板材が連結部材で結合され、これらが一体となってビーム材6に取り付けられている。図6に示すように、下方の板材配列部3における中央の板材3Aは、建造物STの前後の端部に置かれたアーチ形壁面ARまで延長され、この壁面に設けられた排水装置(図示省略)に接続される。
建造物ST室内の入場者や太陽光の影響で室内空気の温度が上昇すると、暖められた空気は、比重量の差によって図8の実線矢印のように上方に流れ、構造体1の上方の板材配列部2と下方の板材配列部3との間又は下方の板材配列部3の板材の間隙を通過して、上方の板材配列部2の下側に達する。さらに、この空気は、上方の板材配列部2の隣接する板材2A〜2Cの間隙を通過して上方に流れ、建造物STの外部に排出される。
このように、本発明の構造体1においては、建造物STの室内への雨水の流れ込みを阻止しながら自然換気が可能である。構造体1は、建造物STの最上部に置かれるので、上昇する気流がスムースに外部に流れ、効率的な換気を行うことができる。
建造物STの底部の両側端部には、図2にも示すビーム材BMが長手方向に延びるように配置され、このビーム材BMには横方向に延びるクロス材(図9には表示されない)が掛け渡される。クロス材の上部には、発泡合成樹脂の両面に薄い金属板を積層したサンドイッチパネルSPが置かれ、さらにその上に、連続して延びるT形断面形状の突起を複数並列して形成した、いわゆるTボードTBが敷設される。ビーム材BMの上部には、ビーム材BMと同様に建造物STの長手方向に延びる上部ビーム材UBが固定され、これにカバー板CBが固着されている。カバー板CBには、長手方向に等間隔に並んだ空気の導入孔8が設けられている。
2 上方の板材配列部
2A〜2C 板材
3 下方の板材配列部
3A〜3C 板材
4 側方屋根板
5(5A〜5C) 連結部材
6 ビーム材
7 支持部材
8 導入孔(空気の)
ST 建造物
AR アーチ形壁面
FN 締結具
Claims (8)
- 建造物の屋根に置かれる構造体であって、
建造物の長手方向に延びる複数の板材を、建造物の横断面中心線に対し対称に配列した板材配列部が、間隔を置いて上方及び下方に設置され、
前記板材配列部においては、隣接する板材は、その横方向の端部が平面視において重なり合い、かつ、その間に間隙が存在するよう段違いに配置されており、さらに、
上方の前記板材配列部では、建造物の横断面中央の板材が最も高い位置に、外方側の板材ほど低い位置となるように配置され、横断面中央の板材の端部には下向きの曲り部が形成されるとともに、それ以外の板材には、外方側の端部に下向きの曲り部が、中央側の端部に上向きの曲り部が形成され、
下方の前記板材配列部では、建造物の横断面中央の板材が最も低い位置に、外方側の板材ほど高い位置となるように配置され、横断面中央の板材の端部には上向きの曲り部が形成されるとともに、それ以外の板材には、外方側の端部に上向きの曲り部が、中央側の端部に下向きの曲り部が形成されていることを特徴とする構造体。 - 上方の前記板材配列部における板材と下方の前記板材配列部における板材とが、矩形の骨組み構造の連結部材により結合される請求項1に記載の構造体。
- 建造物の上部には、長手方向に延びるビーム材が設置されており、前記連結部材が前記ビーム材に取り付けられる請求項2に記載の構造体。
- 下方の前記板材配列部における建造物の横断面中央の板材が、建造物の長手方向の端部まで延長されて排水装置に連結される請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の構造体。
- 上方の前記板材配列部と下方の前記板材配列部との間には、建造物の装備品を取り付けることが可能な支持部材が配置される請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の構造体。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の構造体を備えた建造物であって、その横断面における下部の両側部には、空気の導入孔が設けられている建造物。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の構造体を備えた建造物であって、その底部の縁部には、車両に設置された緊締具と係合する貫通係合孔を形成した締結具が固着されており、車両により運搬可能である建造物。
- 前記締結具には、その上面側と下面側とに開口する貫通ねじ穴を形成したねじブロックが設けられている請求項7に記載の建造物。
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