JP5876479B2 - 増大した3’末端ミスマッチ識別を有するdnaポリメラーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、増大した3’末端ミスマッチ識別を有するDNAポリメラーゼ、ならびに核酸ポリヌクレオチドの伸長及び増幅を含む様々な用途におけるこれらの使用を提供する。
DNAポリメラーゼはゲノムの複製や保持という、世代から世代へと遺伝情報を正確に伝達するための中心的な役割を担っている。DNAポリメラーゼは、DNAの合成を担う酵素として細胞内で機能しており、複製される鋳型DNA又は鋳型ポリヌクレオチドに必要なオーダーのMg2+のような金属活性化因子の存在下、デオキシリボヌクレオシド3リン酸を重合付加している。In vivoにおいて、DNAポリメラーゼはDNA複製、DNA修復、組換え及び遺伝子増幅を含む一連のDNA合成過程に関与している。それぞれのDNA合成過程の間に、鋳型DNAは一度又は多くとも数回複製され、同一の複製物を作成する。これに対しin vitroでは、例えばポリメラーゼ連鎖反応の際のように、DNA複製は何回も繰り返すことができる(例えば、米国特許第4,683,202号参照)。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の初期の研究では、各サイクルのDNA複製開始時にDNAポリメラーゼを加えていた(前述の米国特許第4,683,202号参照)。その後、高温で生育する細菌から熱安定性DNAポリメラーゼが得られ、これらの酵素を一度だけ加えればよくなった(米国特許第4,889,818号及び米国特許第4,965,188号参照)。PCR中に使用する高温下で、これらの酵素は不可逆的に不活性化されない。その結果、合成付加過程の開始時ごとに新しい酵素を加えることなく、ポリメラーゼ連鎖反応の反復的サイクルを行うことができる。DNAポリメラーゼ、特に熱安定性ポリメラーゼは、DNA組換え研究や疾病の医療診断における数多くの技術にとって重要である。特に診断に用いられる場合、標的核酸配列は問題となるDNA又はRNAのごく一部のみとなり得るため、増幅しないで標的核酸配列の存在を検出するのは難しい可能性がある。
DNAポリメラーゼの折りたたみパターン全体はヒトの右手に似ており、パーム(手のひら)、フィンガー(指)、サム(親指)の3つの異なるサブドメインを含む(Beese et al., Science 260:352-355, 1993); Patel et al., Biochemistry 34:5351-5363, 1995参照)。フィンガー及びサム・サブドメインは、サイズ及び細胞内での機能が異なるポリメラーゼ間で大きく異なる一方、触媒作用を持つパーム・サブドメインは全て重ね合わせることができる。例えば、取り込むdNTPと相互作用して化学触媒作用中に遷移状態を安定化させるモチーフAは、哺乳類のpolα及び原核生物のpolI DNAポリメラーゼファミリーの中で、約1Åの平均偏差で重ね合わせることができる(Wang et al., Cell 89: 1087-1099, 1997)。モチーフAは構造的に、主に疎水性残基を含む逆平行β−ストランドで始まり、α−ヘリックスへと続く。DNAポリメラーゼ活性部位の一次アミノ酸配列は、非常によく保存されている。モチーフAの場合、例えば、配列DYSQIELR(配列番号28)は、例えばサーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)及び大腸菌(Escherichia coli)を含む、何百万年もの間の進化により分化した生物のポリメラーゼの中に保持されている。
よく保存されていることに加え、DNAポリメラーゼの活性部位は比較的変異しやすく、DNAポリメラーゼ活性を有意に低下させることなく特定のアミノ酸置換を有することができることも示されている(例えば、米国特許第6,602,695号参照)。このような変異DNAポリメラーゼは、例えば核酸合成反応を含んでなる診断及び研究用途において種々の選択的優位性を提供することができる。このように、変異しやすいアミノ酸位置を同定し、ポリメラーゼ活性を改良することが当業界で求められている。本発明は、本明細書に記載されるとおり、これらや他の必要性を満たす。
米国特許第4,683,202号 米国特許第4,889,818号 米国特許第4,965,188号 米国特許第6,602,695号
Beese et al., Science 260:352-355, 1993 Patel et al., Biochemistry 34:5351-5363, 1995 Wang et al., Cell 89: 1087-1099, 1997
本発明は、対応する非改変対照ポリメラーゼに対して増大した3’末端ミスマッチ識別を有するDNAポリメラーゼ、及びこのようなDNAポリメラーゼを作成、使用する方法を提供する。いくつかの態様においては、ポリメラーゼは熱安定性DNAポリメラーゼである。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼは熱活性(thermoactive)DNAポリメラーゼである。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはサーマス(Thermus)種に由来する。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはサーモトガ(Thermotoga)種に由来する。いくつかの態様においては、配列番号1の667番目に対応するDNAポリメラーゼのアミノ酸がV又はI以外の任意のアミノ酸であり、対照DNAポリメラーゼは、配列番号1の667番目に対応する対照DNAポリメラーゼのアミノ酸がV又はIであることを除いては、前記DNAポリメラーゼと同じアミノ酸配列を有する。例えば、いくつかの態様においては、配列番号1の667番目に対応する位置のアミノ酸は、G、A、L、M、F、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、R又はHから選択される。いくつかの態様においては、配列番号1の667番目に対応する位置のアミノ酸は、極性で負電荷を帯びた側鎖を持つアミノ酸である(すなわち、D又はE)。いくつかの態様においては、配列番号1の667番目に対応する位置のアミノ酸はEである。
いくつかの態様においては、増大した3’末端ミスマッチ識別を有するDNAポリメラーゼは、
1−R−R−X2−X3−K−X4−X5−N−F−X6−X7−X8−Y−G:
[ここで、
1は、M又はQであり;
2は、A、V又はQであり;
3は、A又はGであり;
4は、T、M又はAであり;
5は、V又はI以外の任意のアミノ酸であり;
6は、G、S又はAであり;
7は、V又はIであり;
8は、L、I又はVである(配列番号8)]
を含んでなるポリメラーゼドメイン中のモチーフを含んでなる。
いくつかの態様においては、X5は、G、A、L、M、F、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、R又はHから選択される(配列番号42)。
いくつかの態様においては、増大した3’末端ミスマッチ識別を有するDNAポリメラーゼは、
M−R−R−A−X3−K−X4−X5−N−F−X6−X7−X8−Y−G:
[ここで、
3は、A又はGであり;
4は、T又はMであり;
5は、V又はI以外の任意のアミノ酸であり;
6は、G又はSであり;
7は、V又はIであり;
8は、L又はIである(配列番号9)]
を含んでなるポリメラーゼドメイン中のモチーフを含んでなる。
いくつかの態様においては、増大した3’末端ミスマッチ識別を有するDNAポリメラーゼは、
M−R−R−A−A−K−T−X5−N−F−G−V−L−Y−G:
[ここで、X5は、V又はI以外の任意のアミノ酸である(配列番号10)]
を含んでなるポリメラーゼドメイン中のモチーフを含んでなる。
いくつかの態様においては、X5は、極性で負電荷を帯びた側鎖を持つアミノ酸(すなわち、D又はE)である。
いくつかの態様においては、X5はEである(配列番号11)。
いくつかの態様においては、配列番号1の580番目に対応するDNAポリメラーゼのアミノ酸は、D又はE以外の任意のアミノ酸である。いくつかの態様においては、配列番号1の580番目に対応するDNAポリメラーゼのアミノ酸はD以外の任意のアミノ酸である。いくつかの態様においては、配列番号1の580番目に対応するDNAポリメラーゼのアミノ酸は、L、G、T、Q、A、S、N、R及びKからなる群から選択される。いくつかの態様においては、配列番号1の580番目に対応するDNAポリメラーゼのアミノ酸はGである。
様々なDNAポリメラーゼは、本発明による変異に従う。特に適切なものは、様々な種の好熱性細菌由来の野生型又は天然型の熱安定性ポリメラーゼを含む熱安定性ポリメラーゼ、ならびに、アミノ酸置換、挿入もしくは欠失、又は他の改変により、そのような野生型又は天然型の酵素から得た合成熱安定性ポリメラーゼである。非改変型ポリメラーゼの例としては、例えば、CS5(配列番号29)、CS6(配列番号30)もしくはZ05DNAポリメラーゼ(配列番号1)、又はこれらと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する機能的DNAポリメラーゼが挙げられる。他の非改変ポリメラーゼとしては、例えば、以下の好熱性細菌の種のいずれかに由来するDNAポリメラーゼ(又は、そのようなポリメラーゼと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する機能的DNAポリメラーゼ)が挙げられる:サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)(配列番号38);サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(配列番号2);サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(配列番号6);サーマス・フラバス(Thermus flavus)(配列番号4);サーマス・フィリホルミス(Thermus filiformis)(配列番号3);サーマス種Sps17(Thermus sp. Sps17)(配列番号5);サーマス種Z05(Thermus sp. Z05)(配列番号1);サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neopolitana)(配列番号39);サーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)(配列番号37);サーマス・カルドフィラス(Thermus caldophilus)(配列番号7)、デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)(配列番号36)、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)(配列番号40)又はバチルス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)(配列番号41)。適切なポリメラーゼとしてはまた、逆転写酵素(reverse transcriptase)(RT)活性及び/又は、リボヌクレオチド又は他の2’改変ヌクレオチドのような特殊なヌクレオチドを取り込む能力を有するものも挙げられる。
効率的な3’末端ミスマッチ識別活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼは、特にPCRを行うのに適切である一方、3’末端ミスマッチ識別活性を有する、熱活性であるが、熱安定性ではないDNAポリメラーゼもまた本発明による変異を許容する。
いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはサーマスDNAポリメラーゼである。例えば、いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼは、
(a)サーマス種Z05DNAポリメラーゼ(Z05)(配列番号1);
(b)サーマス・アクアティカスDNAポリメラーゼ(Taq)(配列番号2);
(c)サーマス・フィリホルミスDNAポリメラーゼ(Tfi)(配列番号3);
(d)サーマス・フラバスDNAポリメラーゼ(Tfl)(配列番号4);
(e)サーマス種Sps17DNAポリメラーゼ(Sps17)(配列番号5);
(f)サーマス・サーモフィルスDNAポリメラーゼ(Tth)(配列番号6);及び
(g)サーマス・カルドフィラスDNAポリメラーゼ(Tca)(配列番号7)からなる群から選択されるポリメラーゼと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する。
いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはサーモトガDNAポリメラーゼである。例えば、いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼは、
(a)サーモトガ・マリティマDNAポリメラーゼ(Tma)(配列番号38);
(b)サーモトガ・ネアポリタナDNAポリメラーゼ(Tne)(配列番号39);からなる群から選択されるポリメラーゼと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する。
特定の態様においては、DNAポリメラーゼは、配列番号1と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼは、667番目のアミノ酸が、V又はI以外の任意のアミノ酸であることを除いては、サーマス種Z05DNAポリメラーゼ(Z05)DNAポリメラーゼ(すなわち、配列番号1)である。例えば、いくつかの態様においては、667番目のアミノ酸は、G、A、L、M、F、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、R又はHから選択される。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはZ05DNAポリメラーゼであり、667番目のアミノ酸は、V以外の任意のアミノ酸である。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはZ05DNAポリメラーゼであり、667番目のアミノ酸はEである。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼは、580番目にさらに置換を含んでなるZ05DNAポリメラーゼであり、580番目のアミノ酸は、D又はE以外の任意のアミノ酸である。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはZ05DNAポリメラーゼであり、580番目のアミノ酸は、D以外の任意のアミノ酸である。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはZ05DNAポリメラーゼであり、580番目のアミノ酸は、L、G、T、Q、A、S、N、R及びKからなる群から選択される。いくつかの態様においては、DNAポリメラーゼはZ05DNAポリメラーゼであり、580番目のアミノ酸はGである。
変異又は改良ポリメラーゼは、他の置換によらない改変を含むこともできる。そのような改変の一つは、酵素を不活性化する熱可逆的な共有結合修飾であり、通常ポリヌクレオチド伸長に用いられる温度などの高温でインキュベートすると、逆に酵素を活性化する。そのような熱可逆的な修飾のための試薬の例が、米国特許第5,773,258号及び第5,677,152号(Birch et al.)に記載されている。
いくつかの態様においては、3’末端ミスマッチ活性を、配列番号35の核酸配列(野生型BRAF=配列番号34)を有する変異BRAF V600R標的ポリヌクレオチドを用いて、変異配列と完全に一致し、野生型配列に対して3’末端に一つのA:Cミスマッチを有するフォワードプライマーの存在下、所定のコピー数の野生型BRAF V600標的ポリヌクレオチドと、野生型標的のコピー数以下(例えば、10,000以下のコピー)の所定のコピー数の変異BRAF V600R標的ポリヌクレオチドを含む1つ以上の反応混合物において調べた。二つ以上の反応混合物には滴定したコピー数の変異BRAF V600R標的ポリヌクレオチドを入れておくことができる(例えば、1:5滴定(titrations)、1:10滴定、例えば、数種類の反応混合物において、10,000コピー、1000コピー、100コピー、10コピー、1コピー、0コピー)。本発明のポリメラーゼの3’末端ミスマッチ識別活性は、本明細書に記載されるように、事前に選択した時間単位にわたって、参照ポリメラーゼ(例えば、天然又は非改変ポリメラーゼ)の3’末端ミスマッチ識別能と比較することができる。天然又は非改変ポリメラーゼと比較して、3’末端ミスマッチ識別能が増大したポリメラーゼは、変異対立遺伝子と完全に一致するプライマーと接触した際、野生型配列を増幅しないか、又は変異対立遺伝子−特異的プライマー(すなわち、より高いCp値を示す)を用いて野生型配列を増幅するのに、より多くのPCRサイクル数を必要とする。
様々な他の面においては、本発明は、本明細書に記載される変異又は改良DNAポリメラーゼをコードする組換え核酸、前記組換え核酸を含んでなるベクター及び/又は前記ベクターを形質転換した宿主細胞を提供する。特定の態様においては、ベクターは発現ベクターである。そのような発現ベクターを含んでなる宿主細胞は、組換え核酸の発現に適切な条件下で宿主細胞を培養することにより変異又は改良ポリメラーゼを作成する本発明の方法に有用である。本発明のポリメラーゼは、反応混合物及び/又はキットに含まれていてもよい。組換え核酸、宿主細胞、ベクター、発現ベクター、反応混合物及びキットの態様は、上記及び本明細書に記載される通りである。
さらに別の面においては、ポリヌクレオチド伸長を行う方法が提供される。本方法は通常、本明細書に記載される増大した3’末端ミスマッチ識別を有するDNAポリメラーゼを、プライマーが伸長するのに適切な条件下で、プライマー、鋳型ポリヌクレオチド及びヌクレオシド三リン酸と接触させ、伸長プライマーを作成する工程を含む。鋳型ポリヌクレオチドには、例えば、鋳型RNA又はDNAがなりうる。ヌクレオシド三リン酸は、例えば、リボヌクレオチド及び/又は標識されたヌクレオチドのような特殊なヌクレオチドを含むことができる。さらに、プライマー及び/又は鋳型は、1つ以上のヌクレオチド類似体を含むことができる。いくつかの変形においては、ポリヌクレオチド伸長方法は、変異又は改良DNAポリメラーゼを、ポリヌクレオチドの増幅に適切な条件下でプライマー対、鋳型ポリヌクレオチド及びヌクレオシド三リン酸と接触させる工程を含むポリヌクレオチド増幅方法である。ポリヌクレオチド伸長反応には、例えば、PCR、等温伸長又はシークエンシング(例えば、454シークエンシング反応)がなりうる。
いくつかの態様においては、プライマー伸長方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う方法である。
本発明はまた、そのようなポリヌクレオチド伸長方法において有用なキットも提供する。通常キットは、本明細書に記載される変異又は改良DNAポリメラーゼを提供する、少なくとも1つの容器を含む。特定の態様においては、キットはさらに、1つ以上の付加的な試薬を提供する1つ以上の付加的な容器を含む。例えば、特定の変形においては、1つ以上の付加的な容器は、ヌクレオシド三リン酸;ポリヌクレオチド伸長に適切な緩衝液;及び/又は、ポリヌクレオチド伸長条件下で、所定の鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能なプライマーを提供する。
さらに、本発明のポリメラーゼを含んでなる反応混合物が提供される。反応混合物はまた、鋳型核酸(DNA及び/又はRNA)、1つ以上のポリヌクレオチドプライマー又はプローブ、ヌクレオシド三リン酸(例えば、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、標識されたヌクレオチド、特殊なヌクレオチドを含む)、緩衝液、塩類、標識(例えば、蛍光体)も含むことができる。
本発明のさらなる態様が本明細書に記載される。
定義
他に断りがない限り、本明細書で用いる技術用語及び科学用語は全て、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本質的に本明細書に記載のものと同様の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に用いることができるが、例示的な方法と材料のみを記載する。本発明の目的上、以下の用語は下記のとおり定義される。
用語「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかに別の意味を示さない限り、複数の指示対象を含む。
「アミノ酸」は、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質中に組み込むことができる任意の単量体単位を指す。本明細書で、「アミノ酸」という用語は、以下の20個の天然の又は遺伝的にコードされるアルファ−アミノ酸を含む:アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リジン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)。「X」残基が定義されていない場合、これらは「任意のアミノ酸」として定義する。これらの20の天然アミノ酸の構造は、例えば、Stryer et al., Biochemistry, 5th ed., Freeman and Company (2002)に示されている。セレノシステイン及びピロリジンのような付加的なアミノ酸もまた、遺伝的にコードされうる(Stadtman (1996) "selenocysteine," Annu Rev Biochem. 65:83-100 and Ibba et al. (2002) "Genetic code: introducing pyrrolidine, " Curr Biol. 12(13):R464-R466)。「アミノ酸」という用語は、非天然アミノ酸、(例えば修飾された側鎖及び/又は骨格を有する)修飾アミノ酸及びアミノ酸アナログも包む。例えば、Zhang et al. (2004) "Selective incorporation of 5-hydroxy tryptophan into proteins in mammalian cells," Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101(24):8882-8887, Anderson et al. (2004) "An expanded genetic code with a functional quadruplet codon" Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101(20):7566-7571, Ikeda et al. (2003) "Synthesis of a novel histidine analogue and its efficient incorporation into a protein in vivo," Protein Eng. Pes. Sel. 16(9):699-706, Chin et al. (2003) "An Expanded Eukaryotic Genetic Code," Science 301(5635):964-967, James et al. (2001) "Kinetic characterization of ribonuclease S mutants containing photoisomerizable phenylazophenylalanine residues," Protein Eng. Pes. Sel. 14(12):983-991, Kohrer et al. (2001) "Import of amber and ochre suppressor tRNAs into mammalian cells: A general approach to site-specific insertion of amino acid analogues into proteins," Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98(25): 14310-14315,Bacher et al. (2001) "Selection and Characterization of Escherichia coli Variants Capable of Growth on an Otherwise Toxic tryptophan Analogue," J. Bacteriol. 183(18):5414-5425, Hamano-Takaku et al. (2000) "A Mutant Escherichia coli Tyrosyl-tRNA Synthetase Utilizes the Unnatural amino Acid Azatyrosine More Efficiently than tyrosine," J. Biol. Chem. 275(51):40324-40328, and Budisa et al. (2001) "Proteins with {beta}-(thienopyrrolyl)alanines as alternative chromophores and pharmaceutically active amino acids," Protein Sci. 10(7): 1281-1292を参照のこと。
さらに例えば、アミノ酸は典型的には、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換のカルボキシ基、及び1つ以上の側鎖もしくは基、又はそれらの基のいずれかの類似体を含む有機酸である。側鎖の例としては、例えば、チオール、セレノ、スルホニル、アルキル、アリール、アシル、ケト、アジド、ヒドロキシル、ヒドラジン、シアノ、ハロ、ヒドラジド、アルケニル、アルキニル、エーテル、ボレート、ボロネート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン又はこれらの基の任意の組み合わせが挙げられる。他の代表的なアミノ酸としては、これらに限定されるものではないが、光励起性架橋剤を含んでなるアミノ酸、金属結合性アミノ酸、スピン標識アミノ酸、蛍光アミノ酸、金属含有アミノ酸、新規な官能基を有するアミノ酸、他の分子と共有結合的又は非共有結合的に相互作用するアミノ酸、フォトケージされた(photocaged)及び/又は光異性化可能アミノ酸、放射性アミノ酸、ビオチン又はビオチン類似体を含んでなるアミノ酸、グリコシル化アミノ酸、他の炭水化物修飾アミノ酸、ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含んでなるアミノ酸、重原子置換アミノ酸、化学的開裂可能な、及び/又は光開裂可能なアミノ酸、炭素結合した糖を含むアミノ酸、酸化還元活性アミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸及び1つ以上の有毒部位を含んでなるアミノ酸が挙げられる。
「アプタマー」という用語は、米国特許第5,693,502号に記載されているように、DNAポリメラーゼを認識して結合し、ポリメラーゼ活性を効率的に阻害する一本鎖DNAを指す。
「変異」という用語は、本発明のDNAポリメラーゼに関しては、対応する天然又は非改変DNAポリメラーゼに対して、1つ以上のアミノ酸置換を含んでなるポリペプチド、典型的には組換え体を意味する。
「非改変型」という用語は、変異ポリメラーゼに関しては、本発明の変異DNAポリメラーゼを定義づける目的で本明細書において用いる用語である:「非改変型」という用語は、変異ポリメラーゼを特徴づけるものとして特定された1つ以上のアミノ酸位置を除き、変異ポリメラーゼのアミノ酸配列を有する機能的DNAポリメラーゼを指す。したがって、(a)その非改変型及び(b)1つ以上の特定のアミノ酸置換という観点から変異DNAポリメラーゼのことを述べた場合、それは、変異ポリメラーゼが、特定のアミノ酸置換を除き、それ以外では特定のモチーフ中に非改変型と同一のアミノ酸配列を有することを意味する。「非改変ポリメラーゼ」(したがって増大した3’末端ミスマッチ識別を有する改変型も)は所望の機能性、例えば、ジデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、リボヌクレオチド類似体、色素標識ヌクレオチドの取り込みの改良、5’ヌクレアーゼ活性の調節、3’ヌクレアーゼ(又はプルーフリーディング)活性の調節等を提供するために付加的な変異を含んでもよい。したがって、本明細書に記載されるように本発明を実施する際には、DNAポリメラーゼの非改変型をあらかじめ決定する。DNAポリメラーゼの非改変型には、例えば、野生型及び/又は天然DNAポリメラーゼ又は既に意図的に改変されたDNAポリメラーゼがなりうる。ポリメラーゼの非改変型は、好ましくは種々な好熱性細菌由来のDNAポリメラーゼのような熱安定性DNAポリメラーゼ、ならびに野生型又は天然型の熱安定性ポリメラーゼと実質的な配列同一性を有するその機能的変異体である。そのような変異体としては、例えば、米国特許第6,228,628号及び米国特許出願公開第2004/0005599号に記載されたキメラDNAポリメラーゼのようなキメラDNAポリメラーゼが挙げられる。特定の態様においては、ポリメラーゼの非改変型は逆転写酵素(RT)活性を有する。
「熱安定性ポリメラーゼ」という用語は、熱に安定で、耐熱性で、二本鎖核酸を変性させるのに必要な時間の間、高温にさらした際に、続くポリヌクレオチド伸長反応を行うために十分な活性を保持し、不可逆的に変性(不活性化)しない酵素を指す。核酸の変性に必要な加熱条件は、当業界で周知であり、例えば、米国特許第4,683,202号、第4,683,195号及び第4,965,188号に例示されている。本明細書では、熱安定性ポリメラーゼは、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)のような温度サイクル反応での使用に適切である。本明細書での不可逆的変性とは、不変で完全な酵素活性の欠失を指す。熱安定性ポリメラーゼにとって酵素活性とは、鋳型核酸鎖と相補的なポリヌクレオチド伸長産物を作成するのに適切な方法でヌクレオチドの結合を触媒する作用を指す。好熱性細菌由来の熱安定性DNAポリメラーゼとしては、例えば、サーモトガ・マリティマ、サーマス・アクアティカス、サーマス・サーモフィルス、サーマス・フラバス、サーマス・フィリホルミス、サーマス種Sps17、サーマス種Z05、サーマス・カルドフィラス、バチルス・カルドテナクス、サーモトガ・ネアポリタナ及びサーモシフォ・アフリカヌス由来のDNAポリメラーゼが挙げられる。
「熱活性」という用語は、RT−PCR及び/又はPCR反応における逆転写又はアニーリング/伸長工程で通常用いられる温度(すなわち、45〜80℃)で触媒機能を維持する酵素を指す。熱安定性酵素とは、核酸の変性に必要な高温にさらした際に、不可逆的に不活性化又は変性しないものである。熱活性酵素は熱安定性であってもなくてもよい。熱活性DNAポリメラーゼは、これらに限定されるものではないが、大腸菌、モロニーマウス白血病ウイルス及びトリ骨髄芽球症ウイルスを含む好熱性種又は中温性種由来のDNA又はRNA依存性であってよい。
本明細書で「キメラ」タンパク質は、そのアミノ酸配列が、少なくとも二つの異なるタンパク質由来のアミノ酸配列の部分配列の融合産物であるタンパク質を指す。キメラタンパク質は、典型的には、アミノ酸配列を直接操作することにより作成されるのではなく、むしろキメラアミノ酸配列をコードする「キメラ」遺伝子から発現される。特定の態様においては、例えば、本発明の変異DNAポリメラーゼの非改変型は、サーマス種DNAポリメラーゼ由来のアミノ末端(N末端)領域とTmaDNAポリメラーゼ由来のカルボキシ末端(C末端)領域からなるキメラタンパク質である。N末端領域は、N末端(1番目のアミノ酸)から内部アミノ酸までの領域をさす。同様に、C末端領域は、内部アミノ酸からC末端までの領域を指す。
DNAポリメラーゼに関しては、別の配列(例えば領域、断片、ヌクレオチド又はアミノ酸位置等)との「対応」は、ヌクレオチド又はアミノ酸位置番号によるナンバリングをし、次いで配列同一性の割合を最大にするように配列をアラインメントする方法に基づく。得られた「対応領域」内の全ての位置が同一である必要はないため、対応領域内の一致しない位置が「対応位置」とみなされる場合もある。したがって、本明細書で、特定のDNAポリメラーゼの「アミノ酸位置[X]に対応するアミノ酸位置」といえば、他のDNAポリメラーゼ、構造的類似体及びファミリーの中で、それらをアラインメントさせたものに基づいた同等の位置を指す。本発明のいくつかの態様においては、アミノ酸位置の「対応」を、配列番号1、2、3、4、5、6、7、36、37、38、39、40又は41の1つ以上のモチーフを含んでなるポリメラーゼの領域に対して決定する。ポリメラーゼのポリぺプチド配列が配列番号1、2、3、4、5、6、7、36、37、38、39、40又は41と異なる場合には(例えば、アミノ酸の変化又はアミノ酸の付加又は欠失により)、本明細書で述べる改良された活性に関与する特定の変異は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、36、37、38、39、40又は41のものと同じ位置番号にはないかもしれない。このことは、例えば、表1で示される。
本明細書で「組換え体」とは、組換え法により意図的に改変されたアミノ酸配列又はヌクレオチド配列のことを指す。本明細書では、「組換え核酸」という用語は、一般的にはエンドヌクレアーゼによる核酸の操作により、天然には通常ない形で、元々はin vitroで作成された核酸を意味する。したがって、直鎖状の単離された変異DNAポリメラーゼ核酸、又は通常は結合しないDNA分子を結合させることによりin vitroで作成した発現ベクターは、どちらも本発明の目的の組換え体とみなす。一旦組換え核酸を作成し、宿主細胞中に再導入すれば、それは非組換え的に、すなわち、in vitroでの操作よりもむしろ宿主細胞のin vivoの細胞機構を使って複製するだろう;しかし、一旦組換えで作成されたそのような核酸は、その後は非組換え的に複製されるが、それでも本発明の目的の組換え体とみなされることが理解される。「組換えタンパク質」は、組み換え技術を使って、すなわち、上述した組換え核酸の発現を通して、作成されたタンパク質である。
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれる時、「機能的に連結される」。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に機能的に連結しており;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置される場合、コード配列に機能的に連結している。
「宿主細胞」という用語は、細胞培養において増殖させる際の単細胞原核生物と真核生物の両方(例えば細菌、酵母及び放線菌類)、そしてより高等の植物又は動物由来の単細胞を指す。
「ベクター」という用語は、典型的には二本鎖のDNA断片を指し、外来DNA断片がその中に挿入されていてもよい。又は、ベクターは例えば、プラスミド由来でもよい。ベクターは、宿主細胞内でベクターの自律複製を促進する「レプリコン」ポリヌクレオチド配列を含む。外来DNAは、宿主細胞中に本来存在しないDNAである異種DNAとして定義され、それは例えば、ベクター分子を複製し、選択可能又はスクリーニング可能なマーカーをコードするか、又は導入遺伝子をコードする。ベクターは、外来又は異種DNAを適切な宿主細胞に輸送するために用いられる。一旦宿主細胞に入れば、ベクターは宿主の染色体DNAとは独立に又はそれと同時に複製することができ、ベクターとその挿入DNAの複数のコピーを作成することができる。その上、ベクターは挿入DNAからmRNA分子への転写を可能にするか、又は挿入DNAからRNAの複数のコピーを複製する、必要な因子も含むことができる。発現ベクターの中には、発現したmRNAの半減期を長くし、かつ/又はmRNAからのタンパク質分子への翻訳を可能にする、挿入DNAに隣接した配列因子をさらに含むものもある。このように、挿入DNAによりコードされるmRNAとポリペプチドの多数の分子を、迅速に合成することができる。
「ヌクレオチド」という用語は、天然のリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのモノマーを指すのに加え、本明細書中では、文脈から明らかにそうでないと示されていない限り、ヌクレオチドが用いられている個々の状況(例えば、相補的塩基へのハイブリダイゼーション)に関して機能的に同等である、誘導体及び類似体を含む、関連するその構造的変異体も指すことが理解されるべきある。
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、リボース核酸(RNA)もしくはデオキシリボース核酸(DNA)ポリマー又はその類似体に相当しうるポリマーを指す。これは、RNAやDNAのようなヌクレオチドのポリマー、ならびに合成型、その修飾(例えば化学的又は生化学的に修飾された)型、及び混合ポリマー(例えばRNAサブユニットとDNAサブユニットの両方を含む)を包む。修飾の例としては、メチル化、類似体での天然ヌクレオチドの1つ以上の置換、無電荷結合のようなヌクレオチド間修飾(例えばメチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミダート、カルバマート等)、懸垂部分(例えばポリペプチド)、挿入剤(例えばアクリジン、ソラーレン等)、キレート剤、アルキル化剤及び修飾結合(例えばアルファアノマー核酸等)が挙げられる。水素結合や他の化学的相互作用を介して指定配列に結合する能力において、ポリヌクレオチドを模倣する合成分子もまた含まれる。核酸の合成型は他の結合(例えばNielsen et al. (Science 254:1497-1500, 1991)に記載されるようなペプチド核酸)を含むことができるが、典型的には、ヌクレオチドモノマーはホスホジエステル結合を介して結合する。核酸には、例えば染色体又は染色体セグメント、ベクター(例えば発現ベクター)、発現カセット、裸のDNA又はRNAポリマー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物、オリゴヌクレオチド、プローブ及びプライマーがなりえる。又は核酸はそれらを含むことができる。核酸は例えば、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖であることができ、特定の長さに限定されない。他に断りがない限り、特定の核酸配列は、明示された任意の配列に加え、相補的配列を含んでなるか、又はコードする。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、少なくとも2つの核酸モノマー単位(例えばヌクレオチド)を含む核酸を指す。オリゴヌクレオチドは、典型的には約6〜約175の核酸モノマー単位、より典型的には約8〜約100の核酸モノマー単位、さらにより典型的には約10〜約50の核酸モノマー単位(例えば約15、約20、約25、約30、約35又はそれ以上の核酸モノマー単位)を含む。オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、そのオリゴヌクレオチドの最終的な機能又は用途を含む多くの要因によって決まる。オリゴヌクレオチドは場合により、これらに限定されるものではないが、既存の又は天然の配列の単離、DNA複製又は増幅、逆転写、適切な配列のクローニング及び制限消化、又はNarang et al. (Meth. Enzymol. 68:90-99, 1979)のホスホトリエステル法;Brown et al. (Meth. Enzymol. 68:109-151, 1979)のホスホジエステル法;Beaucage et al. (Tetrahedron Lett. 22: 1859-1862, 1981)のジエチルホスホルアミダイト法;Matteucci et al. (J. Am. Chem. Soc. 103:3185-3191, 1981)のトリエステル法;自動合成法;もしくは米国特許第4,458,066号の固相支持体法などの方法による直接化学合成、又は当業者に公知の他の方法を含む任意の適切な方法により調整される。
「プライマー」という用語は、本明細書では、ポリヌクレオチド伸長が開始する条件下(例えば適切な緩衝液中及び適切な温度又は温度サイクル(例えばポリメラーゼ連鎖反応でのような)で、必要なヌクレオシド三リン酸(コピーされる鋳型により決まる)の存在とポリメラーゼを含んでなる条件下)に置かれた時に、template−directed鋳型依存の核酸合成の開始点として作用しうるポリヌクレオチドのことを指す。さらに例えば、プライマーは様々な他のオリゴヌクレオチド媒介合成方法において、例えばRNAのde novo合成及びin vitro転写関連過程(例えば核酸配列ベース増幅(NASBA)、転写媒介増幅(TMA)等)の開始剤として、使用することもできる。プライマーは典型的には一本鎖オリゴヌクレオチド(例えば、オリゴデオキシリボヌクレオチド)である。プライマーの適切な長さは、プライマーの企図される用途により決まるが、典型的には6〜40ヌクレオチド、より典型的には15〜35ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は一般に、鋳型と十分に安定なハイブリッド複合体を形成するためにより低い温度を必要とする。プライマーは鋳型の正確な配列を反映する必要はないが、プライマーを伸長させるために、鋳型とハイブリダイズするのに十分に相補的でなければならない。特定の態様においては、「プライマー対」という用語は、増幅させる核酸配列の5’末端の相補体とハイブリダイズする5’センスプライマー(「フォワード」と呼ばれる場合もある)と、増幅させる配列の3’末端とハイブリダイズする3’アンチセンスプライマー(「リバース」と呼ばれる場合もある)とを包むプライマーのセットを意味する(例えば、標的配列がRNAとして発現されるか、又はRNAである場合)。プライマーは、必要であれば、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的又は化学的手法により検出可能な標識を取り込むことにより、標識することができる。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(ELISAアッセイに汎用される)、ビオチン、又はそれに対する抗血清もしくはモノクローナル抗体が入手可能であるハプテン及びタンパク質が挙げられる。
「5’ヌクレアーゼプローブ」という用語は、少なくとも1つの発光標識部位を含んでなり、標的核酸の検出をする5’ヌクレアーゼ反応で用いられるオリゴヌクレオチドを指す。いくつかの態様においては、例えば、5’ヌクレアーゼプローブは、単一の発光部位しか含まない(例えば、蛍光色素等)。特定の態様においては、5’ヌクレアーゼプローブは、選択された条件下でプローブがヘアピン構造を形成することができるような自己相補的領域を含む。さらに例えば、いくつかの態様においては、5’ヌクレアーゼプローブは少なくとも2つの標識部位を含んでなり、2つの標識のうち1つが開裂又はオリゴヌクレオチドから分離した後、発光強度が増す。特定の態様においては5’ヌクレアーゼプローブを、2つの異なる蛍光色素、例えば5’末端レポーター色素及び3’末端クエンチャー色素又は部位で標識する。いくつかの態様においては、5’ヌクレアーゼプローブを、末端部位以外の、又は末端位置に加えて1つ以上の部位で標識する。プローブがインタクトな状態であれば、典型的には、レポーター色素からの蛍光発光が少なくとも部分的には消光されるように、2つの蛍光色素分子間でエネルギー転移が起こる。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長工程で、例えば、鋳型核酸に結合した5’ヌクレアーゼプローブは、例えばTaqポリメラーゼ又はこの活性を有する別のポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性により、レポーター色素の蛍光発光がもう消光されないように開裂する。5’ヌクレアーゼプローブの例は、例えば、米国特許第5,210,015号;米国特許第5,994,056号;及び米国特許第6,171,785号にも記載されている。いくつかの態様においては、5’ヌクレアーゼプローブは、2つ以上の異なるレポーター色素と3’末端クエンチャー色素又は部位で標識してもよい。
「FRET」又は「蛍光共鳴エネルギー転移」又は「フェルスター共鳴エネルギー転移」という用語は、少なくとも二つの発色分子、ドナー発色分子及びアクセプター発色分子(クエンチャーと呼ぶ)間のエネルギー転移を指す。ドナーは通常、適切な波長の光放射により励起された時、アクセプターにエネルギーを転移する。アクセプターは通常、異なる波長での光放射の形で転移されたエネルギーを再放出する。アクセプターが「ダーク」クエンチャーの場合、転移されたエネルギーは光以外の形で放出される。特定の蛍光色素分子がドナー又はアクセプターとして作用するか否かは、FRET対の他の要素の性質による。通常用いられるドナー−アクセプター対としては、FAM−TAMRA対が挙げられる。通常用いられるクエンチャーはDABCYL及びTAMRAである。通常用いられるダーククエンチャーとしては、ブラックホールクエンチャー(BlackHole Quencher)(商標)(BHQ)、(Biosearch Technologies, Inc., Novato, Cal.)、アイオワブラック(Iowa Black)(商標)(Integrated DNA Tech., Inc., Coralville, Iowa)、及びブラックベリー(商標)クエンチャー650(BBQ−650))(BlackBerry Quencher 650 (BBQ-650) (Berry & Assoc., Dexter, Mich.)が挙げられる。
核酸塩基、ヌクレオシド三リン酸又はヌクレオチドについて述べる場合、「従来の」又は「天然の」という用語は、記載されたポリヌクレオチド中に本来存在するもの(すなわち、DNAの場合にはdATP,dGTP,dCTP及びdTTP)を指す。加えて、シークエンシングのような、in vitroでのDNA合成反応においては、dGTPの代わりにdITP及び7−デアザ−dGTPが頻繁に用いられ、dATPの代わりに7−デアザ−dATPを用いることができる。それらをまとめて、dNTPと呼んでもよい。
核酸塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドについて述べる場合、「特殊な」又は「改変された」という用語は、特定のポリヌクレオチド中に本来存在する従来の塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドの改変、誘導、類似体を含む。特定の特殊なヌクレオチドは、従来のdNTPと比較してリボース糖の2’位で改変されている。したがって、RNAの場合は天然のヌクレオチドはリボヌクレオチド(すなわちATP、GTP、CTP、UTP、総称してrNTP)だが、それらのヌクレオチドは、比較したらdNTPには存在しない、糖の2’位にヒドロキシル基を有するため、本明細書では、リボヌクレオチドはDNAポリメラーゼの基質としては特殊なヌクレオチドである。本明細書では、特殊なヌクレオチドとしては、これらに限定されるものではないが、核酸シークエンシングにターミネーター(terminator)として用いられる化合物が挙げられる。ターミネーター化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、2’,3’ジデオキシ構造を有し、ジデオキシヌクレオシド三リン酸と呼ばれる化合物が挙げられる。ジデオキシヌクレオシド三リン酸ddATP、ddTTP、ddCTP及びddGTPは、まとめてddNTPと呼ばれる。ターミネーター化合物のその他の例としては、リボヌクレオチドの2’−PO4類似体(例えば、米国特許出願公開第2005/0037991号及び第2005/0037398号を参照)が挙げられる。他の特殊ヌクレオチドとしては、ホスホロチオエートdNTP([[α]−S]dNTP)、5’−[α]−ボラノ−dNTP、[α]−メチルホスホネートdNTP及びリボヌクレオシド三リン酸(rNTP)が挙げられる。特殊な塩基は、32P,33P又は35Sのような放射性同位体;蛍光標識;化学発光標識;生物発光標識;ビオチンのようなハプテン標識;又は、ストレプトアビジンもしくはアビジンのような酵素標識により標識してもよい。蛍光標識としては、フルオレセインファミリーの色素のような負に帯電した色素、又はローダミンファミリーの色素のような電荷が中性である色素、又はシアニンファミリーの色素のような正に帯電した色素を挙げることができる。フルオレセインファミリーの色素としては、例えば、FAM、HEX、TET、JOE、NAN及びZOEが挙げられる。ローダミンファミリーの色素としては、テキサスレッド、ROX、R110、R6G及びTAMRAが挙げられる。FAM、HEX、TET、JOE、NAN、ZOE、ROX、R110、R6G、テキサスレッド及びTAMRAにより標識した様々な色素又はヌクレオチドは、Perkin-Elmer (Boston, MA), Applied Biosystems (Foster City, CA)又はInvitrogen/Molecular Probes (Eugene, OR)より販売されている。シアニンファミリーの色素としてはCy2、Cy3、Cy5及びCy7が挙げられ、それらはGE Healthcare UK Limited (Amersham Place, Little Chalfont, Buckinghamshire, England)により販売されている。
本明細書で、「配列同一性の割合」は、比較ウィンドウを通して2つの最適にアラインメントさせた配列を比較することにより求められ、ここで比較ウィンドウ中の配列部分は、2つの配列の最適アラインメントのための参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(すなわちギャップ)を含むことができる。割合は、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を調べて一致した位置の数を求め、一致した位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数で割り、その結果を100倍して配列同一性の割合を求めることにより算出する。
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列に関して、「同一」又は「同一性」という用語は、同じである2つ以上の配列又は部分配列のことをいう。比較ウィンドウ、又は下記の配列比較アルゴリズムの1つを使ってもしくは手作業でのアラインメントと目視検査により測定するよう指定された領域にわたって、最大の対応となるように比較、アラインメントした時に、配列が同じであるヌクレオチド又はアミノ酸残基を特定の割合で有する場合(例えば、特定の領域にわたって少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の同一性)、配列は互いに「実質的に同一」である。それらの定義は、試験配列の相補体にも適用する。場合により、同一性は少なくとも長さ約50ヌクレオチド、又はより典型的には長さ100〜500もしくは1000以上のヌクレオチドの領域にわたって存在する。
2つ以上のポリペプチド配列に関して、「類似性」又は「類似性の割合」という用語は、比較ウィンドウ、又は下記の配列比較アルゴリズムの1つを使ってもしくは手作業でのアラインメントと目視検査により測定するよう指定された領域にわたって、最大の対応となるように比較、アラインメントした時に、保存されたアミノ酸置換により定義されるものと同一か又は類似のアミノ酸残基を特定の割合(例えば、特定領域にわたって60%の類似性、場合により65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の類似性)で有する、2つ以上の配列又は部分配列のことをいう。少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%又は少なくとも55%が互いに類似している場合、配列は互いに「実質的に類似」している。場合により、この類似性は、少なくとも長さ約50アミノ酸、より典型的には少なくとも長さ約100〜500又は1000以上のアミノ酸の領域にわたって存在する。
配列比較においては、通常1つの配列を参照配列とし、試験配列をその参照配列と比較する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験及び参照配列をコンピューターに入力し、必要ならば部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータが通常用いられ、又は代替えパラメータを指定することもできる。そしてプログラムパラメータに基づき、配列比較アルゴリズムが参照配列に対する試験配列の配列同一性又は類似性の割合を算出する。
「比較ウィンドウ」は、本明細書では、20〜600、一般的には約50〜約200、より一般的には約100〜約150からなる群から選択される連続する位置の数のいずれか一つのセグメントを指すことを含み、ここでは、2つの配列を最適にアラインメントした後で、配列を同じ数の連続する位置の参照配列と比較してもよい。比較のための配列のアラインメント方法は当業界で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Watermanのローカルホモロジーアルゴリズム(Adv. Appl. Math. 2:482, 1970)、Needleman and Wunschのホモロジーアラインメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:443, 1970)、Pearson and Lipmanの類似性検索法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988)、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行(例えば、GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.)又は手動での配列及び目視検査(例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement)参照)により実施できる。
配列同一性及び配列類似性の割合を求めるのに適切なアルゴリズムは、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムであり、それらはそれぞれ、Altschul et al. (Nuc. Acids Res. 25:3389-402, 1977)及びAltschul et al. (J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990))に記載されている。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から市販されている。このアルゴリズムは、第1に、データベース配列中の同じ長さの文字列とアラインメントさせた際に、いくつかの正の値の閾値Tと一致する又は満たす検索配列中の長さWの短い文字列を同定することにより、高スコア配列ペア(HSP)を同定する。Tを、近接(neighbourhood)文字列スコア閾値と呼ぶ(上述のAltschul el al.,)。これらの初期近接文字列のヒットは、これらを含むより長いHSPを見出すための初期検索の種(シード)として機能する。文字列のヒットは、各々の配列に沿って、累積アラインメントスコアが増加し得る限り両方向に伸長する。ヌクレオチド配列についての累積スコアは、パラメータM(一致残基の対に対する報酬スコア;常に>0)及びN(不一致残基に対するペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列については、スコアリングマトリクスは、累積スコアを計算するために使用される。各々の方向への文字列のヒットの伸長は、累積アラインメントスコアがその最高値から量X減少した時、負のスコアの残基アラインメントの1つ以上の累積によって累積スコアがゼロ又はそれ以下になった時、又はいずれかの配列の末端に達した時に停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラムは、(ヌクレオチド配列の場合)初期値として文字列の長さ(W)が11、期待値(E)が10、M=5、N=−4及び両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列の場合は、BLASTPプログラムは、初期値として文字列の長さが3、期待値(E)が10、BLOSUM62スコアリングマトリクス(Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915, 1989参照)アラインメント(B)が50、期待値(E)が10、M=5、N=−4及び両鎖の比較を用いる。
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計解析も行う(例えば、Karlin and Altschul, Proc. Natl Acad. Sci. USA 90:5873-87, 1993参照)。BLASTアルゴリズムが提供する類似性の1つの基準は、最小和確率(P(N))である。P(N)は、2つのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の間の一致が偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、試験核酸を参照核酸と比較した最小和確率が約0.2未満、典型的には約0.01未満、より典型的には約0.001未満である場合、核酸は参照配列と類似していると見なされる。
「ミスマッチ識別」という用語は、1つ以上のヌクレオチドを核酸(例えば、プライマー又は他のオリゴヌクレオチド)に(例えば、共有結合的に)付加することにより鋳型依存的に核酸を伸長する際に、完全に相補的な配列をミスマッチ含有配列から識別する生体触媒(例えば、ポリメラーゼ、リガーゼ等のような酵素)の能力を指す。「3’末端ミスマッチ識別」という用語は、伸長させる核酸(例えば、プライマー又は他のオリゴヌクレオチド)が、核酸がハイブリダイズする鋳型と比較して、その核酸の3’末端にミスマッチを有する場合に、(ほぼ相補的な)ミスマッチ含有配列から完全に相補的な配列を識別する生体触媒の能力を指す。いくつかの態様においては、伸長させる核酸は、完全に相補的な配列に対して3’末端にミスマッチを含んでなる。いくつかの態様においては、伸長させる核酸は、完全に相補的な配列に対して3’末端から2番目(N−1)の位置及び/又はN−2の位置にミスマッチを含んでなる。
「Cp値」又は「クロッシングポイント」値という用語は、標的核酸の投入量の定量ができる値を指す。Cp値は、二次導関数最大値法(second−derivative maximum method)(Van Luu-The, et al., "Improved real-time RT-PCR method for high-throughput measurements using second derivative calculation and double correction," BioTechniques, Vol. 38, No. 2, February 2005, pp. 287-293)により求めることができる。二次導関数最大値法において、Cpは二次導関数曲線の第1のピークに相当する。このピークは指数増大期の開始に相当する。二次導関数法により、リアルタイムの蛍光強度曲線の二次導関数値が算出され、1つの値のみが得られる。オリジナルのCp法は、ある区間で定義された強度値の微分可能な近似、例えば、多項式関数によるものに基づく。その後三次導関数を算出する。Cp値は、三次導関数の最小根である。Cpはまたフィットポイント法(fit point method)を用いて求めることもでき、ここでは、Cpは指数増大範囲における補助線(threshold line)との平行線の交点から求める(Van Luu-The, et al., BioTechniques, Vol. 38, No. 2, February2005, pp. 287-293)。これらの計算は、当業者なら誰でも容易に行う。
「PCR効率」という用語は、完全に一致する鋳型プライマーを使用した場合の、サイクルからサイクルへの増幅効率の指標を指す。PCR効率は式:PCR効率(%)=(10(-slope)−1)×100を用いて、それぞれの条件で算出する。ここで、勾配は、y軸にプロットされたコピー数の対数とx軸にプロットされたCpを用いた直線回帰により算出した。
「多重」という用語は、1セットより多いプライマーを用いた増幅、又は1回の反応における1つより多い多型性部位の増幅を指す。
図1は、様々な細菌種由来の例示的なDNAポリメラーゼのポリメラーゼドメインからの領域のアミノ酸配列アラインメントを示す:サーマス種Z05 (Z05)(配列番号12)、サーマス・アクアティカス(Taq) (配列番号13)、サーマス・フィリホルミス(Tfi)(配列番号14)、サーマス・フラバス(Tfl)(配列番号15)、サーマス種Sps17(Sps17)(配列番号16)、サーマス・サーモフィルス(Tth)(配列番号17)、サーマス・カルドフィラス(Tca)(配列番号18)、サーモトガ・マリティマ(Tma)(配列番号19)、サーモトガ・ネアポリタナ(Tne)(配列番号20)、サーモシフォ・アフリカヌス(Taf)(配列番号21)、大腸菌(E)(配列番号22)、デイノコッカス・ラディオデュランス(Dra)(配列番号23)、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bst)(配列番号24)及びバチルス・カルドテナクス(Bca)(配列番号25)。さらに、示したポリぺプチド領域は、アミノ酸モチーフX1−R−R−X2−X3−K−X4−X5−N−F−X6−X7−X8−Y−G(配列番号26)を含んでなり、その可変位置は本明細書でさらに定義される。このモチーフは、各ポリメラーゼ配列において太字で強調されている。本発明にしたがって変異を受け入れるアミノ酸位置を、アスタリスク(*)で示す。 図2は、以下のDNAポリメラーゼI酵素の配列同一性を示す:サーマス種Z05DNAポリメラーゼ(Z05); サーマス・アクアティカスDNAポリメラーゼ(Taq);サーマス・フィリホルミスDNAポリメラーゼ(Tfi);サーマス・フラバスDNAポリメラーゼ(Tfl);サーマス種Sps17DNAポリメラーゼ(Sps17);サーマス・サーモフィルスDNAポリメラーゼ(Tth);サーマス・カルドフィラスDNAポリメラーゼ(Tca);デイノコッカス・ラディオデュランスDNAポリメラーゼ(Dra);サーモトガ・マリティマDNAポリメラーゼ(Tma);サーモトガ・ネアポリタナDNAポリメラーゼ(Tne);サーモシフォ・アフリカヌスDNAポリメラーゼ(Taf);バシラス・ステアロサーモフィラスDNAポリメラーゼ(Bst);及びバチルス・カルドテナクスDNAポリメラーゼ(Bca)。(A)全ポリメラーゼI酵素にわたる配列同一性(Z05のアミノ酸1〜834に対応する);及び(B)Z05のアミノ酸420〜834に対応するポリメラーゼサブドメインにわたる配列同一性。
本発明は、ポリメラーゼドメイン内の1つ以上のアミノ酸が、1つ以上のポリメラーゼ活性又は特性を改良するものとして同定された改良DNAポリメラーゼを提供する。本発明のDNAポリメラーゼは、本明細書で述べるアミノ酸の差異を除いては同一なポリメラーゼの非改変型に対して、3’末端ミスマッチ識別活性が増大した活性酵素である(すなわち、本明細書に記載する本発明のポリメラーゼは、プライマーの3’末端で、又は3’末端近傍で鋳型と一致しないプライマーを伸長させる可能性が低い)。前記DNAポリメラーゼは、例えば、DNA組換え研究や疾病の医療診断における用途を含む、ポリヌクレオチド伸長又は鋳型ポリヌクレオチドの増幅が関わる様々な用途において有用である。
本発明のポリメラーゼ
いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼは、以下のモチーフを有することにより特徴づけることができる:
1−Arg−Arg−X2−X3−Lys−X4−X5−Asn−Phe−X6−X7−X8−Tyr−Gly(本明細書において、1文字コードで、X1−R−R−X2−X3−K−X4−X5−N−F−X6−X7−X8−Y−Gとも呼ぶ);
ここで、X1は、Met(M)又はGln(Q)であり;
2は、Ala(A)、Val(V)又はGln(Q)であり;
3は、Ala(A)又はGly(G)であり;
4は、Thr(T)、Met(M)又はAla(A)であり;
5は、Val(V)又はIle(I)以外の任意のアミノ酸であり;
6は、Gly(G)、Ser(S)又はAla(A)であり;
7は、Val(V)又はIle(I)であり;
8は、Leu(L)、Ile(I)又はVal(V)である(配列番号8)。
いくつかの態様においては、X5は、G、A、L、M、F、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、R又はHから選択される(配列番号42)。
いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼは、以下のモチーフを有することにより特徴づけることができる(サーマス及びサーモトガに対応する):
Met−Arg−Arg−Ala−X3−Lys−X4−X5−Asn−Phe−X6−X7−X8−Tyr−Gly(本明細書において、1文字コードで、M−R−R− A−X3−K−X4−X5−N−F−X6−X7−X8−Y−Gとも呼ぶ);
ここで、X3は、Ala(A)又はGly(G)であり;
4は、Thr(T)又はMet(M)であり;
5は、Val(V)又はIle(I)以外の任意のアミノ酸であり
6は、Gly(G)又は Ser(S)であり;
7は、Val(V)又は Ile(I)であり;
8は、Leu(L)又は Ile(I)である(配列番号9)。
いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼは、以下のモチーフを有することにより特徴づけることができる:
Met−Arg−Arg−Ala−Ala−Lys−Thr−X5−Asn−Phe−Gly−Val−Leu− Tyr−Gly(本明細書において、1文字コードで、M−R−R−A−A−K−T−X5−N−F−G−V−L−Y−Gとも呼ぶ);
ここで、X5は、Val(V)又はIle(I)以外の任意のアミノ酸である(配列番号10)。
いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼは、以下のモチーフを有することにより特徴づけることができる:
Met−Arg−Arg−Ala−Ala−Lys−Thr−Xs−Asn−Phe−Gly−Val−Leu−Tyr−Gly(本明細書において、1文字コードで、M−R−R−A−A−K−T−X5−N−F−G−V−L−Y−Gとも呼ぶ);
ここで、X5はGlu(E)である(配列番号11)。
このモチーフは、多くのファミリーA型DNA依存性DNAポリメラーゼ、特に好熱性菌由来の熱安定性DNAポリメラーゼの「指」ドメインの中に存在する。(Li et al., EMBO J. 17:7514-7525, 1998)。例えば、図1は、以下のいくつかの細菌種由来のDNAポリメラーゼ中の、上記モチーフに対応する天然の配列を含んでなるアミノ酸配列アラインメントを示す:大腸菌、バチルス・カルドテナクス、バシラス・ステアロサーモフィラス、デイノコッカス・ラディオデュランス、サーモシフォ・アフリカヌス、サーモトガ・マリティマ、サーモトガ・ネアポリタナ、サーマス・アクアティカス、サーマス・カルドフィラス、サーマス・フィリホルミス、サーマス・フラバス、サーマス種Sps17、サーマス種Z05及びサーマス・サーモフィルス。図示されるように、(X5は、V又はIであるところを除いて)配列番号8のモチーフがこれらのポリメラーゼの各々に存在しており、ポリメラーゼのこの領域が保存された機能を有することが示唆される。図2は、これらのDNAポリメラーゼの間の配列同一性を示す。
したがって、いくつかの態様においては、本発明は、配列番号8、9、10又は11(例えば、その中で、X5は、コンセンサス配列内で適宜、G、A、L、M、F、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、R又はHから選択される。)を含んでなり、本明細書に記載するように活性及び/又は特性が改良されているポリメラーゼを提供し、ここで、DNAポリメラーゼは、それ以外は、例えば、上記の好熱性細菌の任意の種由来のポリメラーゼのような野生型又は天然型のDNAポリメラーゼであるか、又はそのような野生型又は天然型のDNAポリメラーゼと実質的に同一である。例えば、いくつかの態様においては、本発明のポリメラーゼは、配列番号8、9、10又は11を含んでなり、配列番号1、2、3、4、5、6、7、36、37、38、39、40又は41と少なくとも80%、85%、90%又は95%同一である。一つの変形においては、ポリメラーゼの非改変型は、サーマス属の種由来である。本発明のいくつかの態様においては、非改変ポリメラーゼはサーマス以外の好熱性種、例えば、サーモトガ由来である。非常に多くの熱安定性DNAポリメラーゼの全核酸及びアミノ酸配列が入手可能である。サーマス・アクアティカス(Taq)(配列番号2)、サーマス・サーモフィルス(Tth)(配列番号6)、サーマス種Z05(配列番号1)、サーマス種Sps17(配列番号5)、サーモトガ・マリティマ(Tma)(配列番号38)及びサーモシフォ・アフリカヌス(Taf)(配列番号37)のポリメラーゼの各配列が、国際公開第92/06200号で公開されている。サーマス・フラバス(配列番号4)由来のDNAポリメラーゼの配列は、Akhmetzjanov and Vakhitov (Nucleic Acids Research 20:5839, 1992) で公開されている。サーマス・カルドフィラス由来の熱安定性DNAポリメラーゼの配列(配列番号7)は、EMBL/GenBank Accession No. U62584で入手できる。サーマス・フィリホルミス由来の熱安定性DNAポリメラーゼの配列は、表1で提供される配列情報とともに、例えば米国特許第4,889,818号で提供された方法を用いて、ATCC受託番号 42380から得ることができる。サーモトガ・ネアポリタナDNAポリメラーゼの配列(配列番号39)は、GeneSeq Patent Data Base Accession No. R98144及び国際公開第97/09451号のものである。バチルス・カルドテナクス由来の熱安定性 DNAポリメラーゼの配列(配列番号41)は、例えば、Uemori et al. (J Biochem (Tokyo) 113(3):401-410, 1993; Swiss-Prot database Accession No. Q04957 and GenBank Accession Nos. D12982 and BAA02361も参照)に記載されている。
本明細書に記載されるように改変できるDNAポリメラーゼの非改変型の例はまた、例えば、米国特許第6,228,628号; 第6,346,379号;第7,030,220号;第6,881,559号;第6,794,177号;第6,468,775号;及び 米国特許出願公開第20040005599号;第20020012970;第20060078928号;第20040115639号にも記載されている。代表的な全長ポリメラーゼ配列はまた、配列リストでも提供されている。
いくつかの態様においては、本発明のポリメラーゼは、配列番号8、9、10又は11を含んでなるポリメラーゼドメインを有するのと同時に、ヌクレアーゼドメイン(例えば、Z05の1〜291番目に対応する)をも含んでなる。
いくつかの態様においては、本発明のポリメラーゼはキメラポリメラーゼであり、すなわち、2つ以上の酵素由来のポリぺプチド領域を含んでなる。そのようなキメラDNAポリメラーゼの例は、例えば、米国特許第6,228,628号に記載されている。特に適切なものは、キメラCSファミリーDNAポリメラーゼであり、それにはCS5(配列番号29)、CS6(配列番号30)ポリメラーゼ、及び配列番号29又は配列番号30と実質的な配列同一性又は類似性(典型的には少なくとも80%の配列同一性、より典型的には少なくとも90%、最も典型的には少なくとも95%の配列同一性)を有するその変異体が含まれ、したがって、それらは配列番号8を含むように改変することができる。CS5及びCS6DNAポリメラーゼは、サーマス種Z05及びサーモトガ・マリティマ(Tma)DNAポリメラーゼに由来するキメラ酵素である。それらは、サーマス酵素のN末端5’ヌクレアーゼドメインとTma酵素のC末端3’−5’エキソヌクレアーゼ及びポリメラーゼドメインを含んでなる。これらの酵素は効率的な逆転写酵素活性を有し、ヌクレオチド類似体含有プライマーを伸長することができ、アルファ−ホスホロチオエートdNTP、dUTP、dITPならびにフルオレセイン及びシアニン色素ファミリーで標識されたdNTPを利用することができる。CS5及びCS6ポリメラーゼは効率的なMg2+活性化PCR酵素でもある。CS5及びCS6キメラポリメラーゼは、さらに例えば、米国特許出願公開第2004/0005599号に記載されている。
いくつかの態様においては、本発明のポリメラーゼは、配列番号8、9、10又は11を含んでなり、さらに、天然のポリメラーゼと比較して1つ以上の付加的なアミノ酸の変化(例えば、アミノ酸置換、付加又は欠失による)を含んでなる。いくつかの態様においては、そのようなポリメラーゼは配列番号8のアミノ酸モチーフ(又は配列番号9、10又は11のモチーフ)を保持し、さらに、以下のように配列番号27のアミノ酸モチーフ(Z05(配列番号1)のD580X変異に対応する)を含んでなる:
T−G−R−L−S−S−X7−X8−P−N−L−Q−N;
ここで、X7は、Ser(S)又はThr(T)であり;
8 は、D又はE以外の任意のアミノ酸である(配列番号27)。
配列番号27により特徴づけられる変異は、例えば、米国特許出願公開第2009/0148891号でより詳細に述べられている。いくつかの態様においては、そのような機能的変異ポリメラーゼは、典型的には野生型又は天然型のポリメラーゼ(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、39、40、41、42、43又は44)と実質的な配列同一性又は類似性、典型的には少なくとも80%の配列同一性、より典型的には少なくとも90%、最も典型的には少なくとも95%の配列同一性を有するだろう。
いくつかの態様においては、X5の位置のアミノ酸は配列番号8、9、10又は11に示されるアミノ酸で置換され、X8の位置のアミノ酸は配列番号27に示されるアミノ酸で置換される。このように、いくつかの態様においては、X5の位置のアミノ酸は、Val(V)又はIle(I)以外の任意のアミノ酸であり、X8の位置のアミノ酸は、Asp(D)又はGlu(E)以外の任意のアミノ酸である。いくつかの態様においては、アミノ酸置換には配列番号27のX8 の位置のロイシン(L)、グリシン(G)、スレオニン(T)、グルタミン(Q)、アラニン(A)、セリン(S)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)、及びリジン(K)が含まれる。特定の態様においては、アミノ酸置換には、互いに独立してX5の位置のバリン(V)又はイソロイシン(I)、及びX8の位置のグリシン(G)が含まれる。1つ以上の同定された部位での、他の適切なアミノ酸置換は、例えば、公知の部位特異的変異誘発法及びさらに本明細書に記載される、又は当業者に公知の他の分析法によるポリヌクレオチド伸長能の決定を用いて調べることができる。
DNAポリメラーゼの正確な長さは変わるので、X5及びX8のそれぞれに対応する正確なアミノ酸位置は、使用する特定のポリメラーゼにより変化しうる。アミノ酸及び核酸配列アラインメントプログラムは容易に入手でき(例えば、上述のもの参照)、本明細書で同定された特定の得られたモチーフが、本発明にしたがった改変のための正確なアミノ酸(及び対応するコドン)を同定するのに役立つ。代表的なキメラ熱安定性DNAポリメラーゼ及び例示的な好熱性種由来の熱安定性DNAポリメラーゼにおける、X5及びX8のそれぞれに対応する位置を表1に示す。
Figure 0005876479
いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼはサーマス種Z05DNAポリメラーゼ(配列番号1)由来又はその変異体(例えば、D580G変異を持つ等)である。上述したように、サーマス種Z05DNAポリメラーゼにおいては、X5の位置は667番目のバリン(V)に対応し;X8の位置は580番目のアスパラギン酸(D)に対応する。このように本発明の特定の変形において、変異ポリメラーゼは、サーマス種Z05DNAポリメラーゼに対し、V667及びD580において、少なくとも1つのアミノ酸置換を含んでなる。したがって、典型的には、667番目のアミノ酸はVではない。いくつかの態様においては、667番目のアミノ酸は、G、A、L、M、F、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、R又はHから選択される。特定の態様においては、667番目のアミノ酸残基はEである。例えば、D580の位置のアミノ酸残基は、ロイシン(L)、グリシン(G)、スレオニン(T)、グルタミン(Q)、アラニン(A)、セリン(S)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)及びリジン(K)から選択されうる。サーマス種Z05DNAポリメラーゼ変異体の例としては、アミノ酸置換V667E及びD580Gを含んでなるものが挙げられる。
いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼは、配列番号1の667番目に対応する位置に、中性pH(例えば、約pH7.4)において非極性で電荷のない側鎖を持たないアミノ酸(例えば、C、I、L、M、F、P、W又はV)を含んでなる。いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼは、サーマス種由来であり、配列番号1の667番目に対応するアミノ酸は、中性pH(例えば、約pH7.4)において非極性で電荷のない側鎖(例えば、V又はI)ではない。このようにいくつかの態様において、本発明のDNAポリメラーゼはサーマス種由来であり、配列番号1の667番目に対応するアミノ酸は、極性で負電荷を帯びた側鎖を持つアミノ酸である(すなわち、D又はE)。いくつかの態様においては、極性で負電荷を帯びた側鎖を持つ、配列番号1の667番目に対応するアミノ酸はEである。
いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼはまた、他の置換によらない改変を含むことができる。そのような改変は、例えば当業界では公知の共有結合修飾を含むことができ、ポリヌクレオチド伸長を含んでなる用途に付加的な利点を与える。例えば、特定の態様においては、変異DNAポリメラーゼはさらに、熱可逆的な共有結合修飾を含む。そのような熱可逆的修飾を含んでなるDNAポリメラーゼは、例えば、様々なホットスタートPCR技術のような、ホットスタートでの使用に特に適切である。本発明の変異DNAポリメラーゼに使用できる熱可逆的な修飾用試薬は、例えば、米国特許第5,773,258号Birch et al.に記載されている。
例えば、熱可逆的な共有結合修飾を含んでなる特に適切なポリメラーゼは、アルカリpHで、約25℃未満の温度で行われる、熱安定性酵素と以下の式I:
Figure 0005876479
ここで、R1とR2は、水素又は結合していてもよい有機基である;
に示される一般式を有する、又は以下の式II:
Figure 0005876479
ここで、R1とR2は、結合していてもよい有機基であり、水素はシス配置である
を有する、本質的に上述のBirch et al.に記載されるようなジカルボン酸無水物との混合物の反応により作成される。
本発明のDNAポリメラーゼは、対応する非改変ポリメラーゼ(例えば、野生型ポリメラーゼ又は本発明のポリメラーゼの由来となっている対応する変異体)をコードするDNA配列を、部位特異的変異誘発と一般に呼ばれる技術を用いて変異させることにより作成することができる。ポリメラーゼの非改変型をコードする核酸分子を、当業者に周知の様々なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術により変異させることができる(例えば、PCR Strategies (M. A. Innis, D. H. Gelfand, and J. J. Sninsky eds., 1995, Academic Press, San Diego, CA) at Chapter 14; PCR Protocols : A Guide to Methods and Applications (M. A. Innis, D. H. Gelfand, J. J. Sninsky, and T. J. White eds., Academic Press, NY, 1990参照)。
非限定的な例として、ポリメラーゼの非改変型をコードするポリヌクレオチドに部位特異的変異を導入するために、クロンテック(Clontech)の部位特異的変異導入キット(Transformer Site-Directed Mutagenesis kit)を用いた2プライマー法を採用してもよい。この方法で標的プラスミドを変性した後、2つのプライマーを同時にそのプラスミドにアニーリングさせる;これらのプラスミドのうちの一方は所望の部位特異的変異を含み、他方は制限部位を削除する、プラスミド中の別の箇所の変異を含む。その後第二鎖合成を行い、これらの二つの変異をしっかりと連結し、得られたプラスミドを大腸菌mutS株に形質転換する。形質転換した菌からプラスミドDNAを単離し、関連する制限酵素で切断し(これにより変異していないプラスミドを線状化する)、次いで大腸菌に再び形質転換する。この方法を用いれば、サブクローニング又は一本鎖ファージミドの作成を必要とせずに、発現プラスミドに直接変異を作成できる。2つの変異の強固な連結及びそれに続く変異していないプラスミドの線状化により高い変異効率が得られ、最小限のスクリーニングが可能になる。最初の制限部位プライマーを合成すれば、後はこの方法では変異部位当たりたった1つの新規プライマー型の使用が必要なだけである。それぞれの位置の変異体を個別に調製するよりも、定められた部位に所望の変異の全てを同時に導入するために、「設計された縮重」オリゴヌクレオチドプライマーセットを合成することができる。変異誘発された領域を含めてプラスミドDNAの配列を決定し、変異体クローンを同定、選別することにより、形質転換体をスクリーニングすることができる。次いで各変異DNAを切断し、例えばMutation Detection Enhancement gel(Mallinckrodt Baker, Inc., Phillipsburg, NJ)での電気泳動により分析して、配列中に他の変更が起こらなかったことを確かめる(変異誘発しない対照とのバンドシフトの比較による)。又は、全DNA領域の配列を決定して、標的領域の外側で付加的な変異現象が起こらなかったことを確かめる。
確認したpET(又は他の)過剰発現ベクター内の変異二本鎖は、変異タンパク質の高効率生産と標準プロトコルによる精製用に、例えば大腸菌BL21(DE3)pLysS株のような大腸菌を形質転換させるのに使用できる。FAB−MSマッピングの方法は、例えば、変異体発現のフィデリティーを迅速に調べるのに使用できる。この技術は、全タンパク質にわたってセグメントを配列決定し、配列割り当てにおいて必要な信頼度を提供する。このタイプのマッピング試験では、タンパク質をプロテアーゼで消化する(このセグメントが特に対象とされるものであり、残りのマップは変異誘発されないタンパク質のマップと同一であるはずなので、改変する特定領域によって選択する。)。切断断片のセットを、例えばマイクロボアHPLC(microbore HPLC)(同じく改変する特定領域により、逆相又はイオン交換)により分画して、各画分中に数種のペプチドが入るようにし、そしてそのペプチドの分子量をFAB−MSのような標準的な方法により調べる。次に、調べた各断片の質量を、推定配列の消化から予測されるペプチドの分子量と比較し、その配列の正確さを迅速に確認する。タンパク質改変にこの変異誘発アプローチが用いられるため、MSデータが推定値と一致するならば、変更されたペプチドの配列決定は必要ないだろう。変化した残基を確認する必要があるなら、CAD−MS/MSを使用して当該混合物のペプチドを配列決定することができる。又は改変の位置によりエドマン分解又はカルボキシペプチダーゼY消化用に標的ペプチドを精製することができる。
1つより多いアミノ酸が置換された変異DNAポリメラーゼは、様々な方法で作成することができる。ポリペプチド鎖中で互いに近接した位置にあるアミノ酸の場合、所望のアミノ酸置換の全てをコードする1つのオリゴヌクレオチドを用いて同時にそれらを変異させてもよい。しかし、アミノ酸が互いにある程度の距離を置いて位置している(例えば、10アミノ酸を超えて離れている)場合、所望の変化の全てをコードする1つのオリゴヌクレオチドを作成するのはより困難である。その代わりに、2つの代替法の1つを使用してもよい。第一の方法では、置換する各アミノ酸のために、個別にオリゴヌクレオチドを作成する。次にそのオリゴヌクレオチドを一本鎖鋳型DNAに同時にアニーリングさせれば、鋳型から合成されるDNAの第二鎖が、所望のアミノ酸置換の全てをコードすることになる。別の方法では、所望の変異体を作成する2ラウンド以上の変異誘発を行う。第一ラウンドは、1つの変異について記載された通りである:非改変ポリメラーゼをコードするDNAを鋳型として使用し、第一の所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニーリングさせ、次にヘテロ二本鎖DNA分子を作成する。変異誘発の第二ラウンドでは、変異誘発の第一ラウンドで作成した変異したDNAを鋳型として使用する。このように、この鋳型はすでに1つ以上の変異を含む。次に、追加の所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアリーリングすれば、得られたDNA鎖は、変異誘発の第一及び第二ラウンドの両方からの変異をコードすることとなる。この得られたDNAは変異誘発の第三ラウンド等で鋳型として使用できる。あるいは、Seyfang & Jin(Anal. Biochem. 324:285-291, 2004)の多部位変異誘発法を使用してもよい。
したがって、本発明のDNAポリメラーゼのいずれか(例えば、配列番号8、9、10又は11のいずれかを含んでなるポリメラーゼ)をコードする組換え核酸もまた提供される。本発明のDNAポリメラーゼをコードする本発明の核酸を用いて、様々なベクターを作成することができる。宿主細胞と適合する種に由来するレプリコンと調節配列を含む任意のベクターを、本発明の実施に用いることができる。一般的に発現ベクターは、変異DNAポリメラーゼをコードする核酸と機能的に連結された転写及び翻訳調節核酸領域を包む。「調節配列」という用語は、特定の宿主生物において、機能的に連結されたコード配列が発現するのに必要なDNA配列を指す。原核生物に適切な調節配列としては、例えば、プロモーター、場合によりオペレーター配列及びリボソーム結合部位が挙げられる。さらに、ベクターは、転写されたmRNAの半減期を長くするPositive Rertoregulatory Element(PRE)を含んでもよい(Gelfand et al.,米国特許第4,666,848号参照)。転写及び翻訳調節核酸領域は、ポリメラーゼを発現させるために用いる宿主細胞に一般的に適したものである。様々な宿主細胞のための、非常に多くの種類の適切な発現ベクター及び適切な調節配列が当業界において公知である。一般に、転写及び翻訳調節配列としては、例えば、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終結配列、翻訳開始及び終結配列、ならびにエンハンサー又はアクチベーター配列が挙げられる。典型的な態様では、調節配列はプロモーターと転写開始及び終結配列とを含む。ベクターは通常、外来DNAの挿入のための複数の制限部位を含むポリリンカー領域を含む。特定の態様においては、精製及び、所望であれば、続けて行うFLAGタグ配列の除去を容易にするために「融合フラッグ」、例えば「Hisタグ」が用いられる。しかしながら、一般的に、「加熱工程」を使用できる中温性宿主(例えば、大腸菌)から熱活性及び/又は熱安定性タンパク質を精製する際には、それらは不要である。複製配列、調節配列、表現型選択遺伝子及び対象となる変異ポリメラーゼをコードするDNAを含む適切なベクターの作成は、標準的な組換えDNA法を用いて行われる。当業界で周知のように(例えば、Sambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、NY、2nd ed. 1989)参照)、単離されたプラスミド、ウイルスベクター及びDNA断片を切断し、加工し、特定の順序で一緒に連結して所望のベクターを作成する。
特定の態様においては、発現ベクターは形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は当業界で周知であり、使用する宿主細胞により異なる。適切な選択遺伝子としては、例えば、アンピシリン及び/又はテトラサイクリン耐性をコードする遺伝子を挙げることができ、こうした耐性遺伝子により、それらのベクターで形質転換された細胞がそれらの抗生物質の存在下で増殖できるようになる。
本発明の一つの面においては、本発明のDNAポリメラーゼをコードする核酸は、単独で又はベクターと共に細胞内に導入される。本明細書で、「に導入される」又はその文法的同等語は、核酸がその後の核酸の組み込み、増幅及び/又は発現に適切な方法で細胞内に入ることを意味する。導入の方法は、標的となる細胞の種類により大きく異なる。導入方法の例としては、CaPO4沈澱、リポソーム融合、LIPOFECTIN(登録商標)、エレクトロポレーション、ウイルス感染等が挙げられる。
いくつかの態様においては、本発明の最初のクローニング工程の宿主として、原核生物が用いられる。それらは、大量のDNAの迅速な作成、部位特異的変異誘発に用いる一本鎖鋳型DNAの作成、多数の変異体の同時スクリーニング、及び作成された変異体のDNA配列決定のために特に有用である。適切な原核生物宿主細胞としては、大腸菌K12株94(ATCCNo.31,446)、大腸菌W3110株(ATCCNo.27,325)、大腸菌K12株DG116(ATCCNo.53,606)、大腸菌X1776(ATCCNo.31,537)及び大腸菌Bが挙げられる;しかし、他の多くの例えばHB101、JM101、NM522、NM538、NM539のような大腸菌株及び枯草菌(Bacillus subtilis)のようなバチルス属、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)又はセラチア・マルセサンス(Serratia marcesans)のような他の腸内細菌、様々なシュードモナス(Pseudomonas)種を含む他の多くの原核生物の種及び属は、どれも宿主として使用することができる。原核宿主細胞又は堅い細胞壁を有する他の宿主細胞は、通常上述のsection 1.82 of Sambrook et al.に記載されている塩化カルシウム法を用いて形質転換する。あるいは、それらの細胞の形質転換にエレクトロポレーションを使用することができる。原核生物の形質転換技術は、例えばDower, in Genetic Engineering, Principles and Methods 12:275-296 (Plenum Publishing Corp., 1990); Hanahan et al., Meth. Enzymol, 204:63, 1991に記載されている。大腸菌の形質転換に通常用いられるプラスミドとしては、pBR322、pUCI8、pUCI9、pUCI18、pUC119及びBluescriptM13が挙げられ、それらは全て上述のsections 1.12-1.20 of Sambrook et al.に記載されている。しかし、他の多くの適切なベクターも同様に利用可能である。
いくつかの態様においては、本発明のDNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼをコードする核酸を含む発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を、DNAポリメラーゼの発現を誘導するか又は引き起こすのに適切な条件下で培養することにより作成する。形質転換された宿主細胞をタンパク質発現に適切な条件下で培養する方法は、当業界で周知である(例えば前述のSambrook et al.参照)。ラムダpLプロモーター含有プラスミドベクターからのポリメラーゼの作成に適切な宿主細胞としては、大腸菌株DG116(ATCCNo.53606)(米国特許第5,079,352号及びLawyer, F.C.et al.,PCR method and Applications 2:275-87, 1993参照)が挙げられる。発現後、ポリメラーゼを回収、単離することができる。熱安定性DNAポリメラーゼの精製方法は、例えば前述のLawyer et al.に記載されている。
一旦精製されれば、DNAポリメラーゼの3’末端ミスマッチ識別を調べることができる。例えば、いくつかの態様においては、3’末端ミスマッチ識別活性は、プライマーと完全に一致する標的配列の増幅を、プライマーの3’末端に一つの塩基のミスマッチを有する標的の増幅と比較することにより求められる。増幅は例えば、TaqMan(商標)プローブを用いてリアルタイムで検出できる。2つの標的配列を識別するポリメラーゼの能力は、2つの反応のCpを比較することにより推測できる。場合により、各ウェルで第二の標的遺伝子の増幅を同時に行い、対照として第二の光チャンネルで検出することができる。「ΔCp値」は、ミスマッチのある鋳型に関するCp値から一致する標的のCp値を引いた差異を指す(例えば、実施例)。いくつかの態様においては、配列番号8のX5の位置に天然のアミノ酸(例えば、E)を有する、それ以外は同一の対照ポリメラーゼと比較して、本発明の改良ポリメラーゼは、少なくとも1、2、3、4、5又はそれ以上のΔCp値を有する。いくつかの態様においては、これは実施例に記載する詳細な材料及び条件で求められる。
本発明の方法
本発明の改良DNAポリメラーゼは、そのような酵素活性が必要又は所望である任意の目的に使用してよい。改良DNAポリメラーゼは、本明細書に記載されるように熱活性又は熱安定性DNAポリメラーゼでありうる。したがって、本発明の一つの面においては、本発明のポリメラーゼを用いたPCRを含むポリヌクレオチド伸長方法が提供される。いくつかの態様においては、本発明は、鋳型核酸の増幅が不要な場合、例えば、標的核酸の存在を直ちに検出することが望まれる場合に、鋳型RNA又はDNAを伸長するのに有用な熱活性DNAポリメラーゼを提供する。いくつかの態様においては、本発明は、標的核酸を伸長及び/又は増幅するのが望まれる場合に有用な熱安定性DNAポリメラーゼを提供する。ポリヌクレオチド伸長に適切な条件は、当業界で公知である(例えば、上述のSambrook et al.参照。Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology (4th ed.,John Wiley & Sons 1999)も参照)。一般に、プライマーを標的核酸にアニーリングし、すなわちハイブリダイズさせて、プライマー−鋳型複合体を形成させる。プライマー−鋳型複合体を適切な環境下で変異DNAポリメラーゼ及びヌクレオシド三リン酸と接触させ、プライマーの3’末端に1つ以上のヌクレオチドを付加し、それにより標的核酸に相補的な伸長プライマーを作成する。プライマーとしては、例えば、1つ以上のヌクレオチド類似体を挙げることができる。さらに、ヌクレオシド三リン酸は、従来のヌクレオチド、特殊なヌクレオチド(例えば、リボヌクレオチド又は標識されたヌクレオチド)又はその混合物でありうる。いくつかの変形においては、ポリヌクレオチド伸長反応は、標的核酸の増幅を含んでなる。DNAポリメラーゼ及びプライマー対を用いた核酸増幅に適切な条件もまた、当業界で公知である(例えば、PCR増幅法)。(例えば、上述のSambrook et al.,;上述のAusubel et al.,; PCR Applications: Protocols for Functional Genomics (Innis et al. eds., Academic Press 1999参照))。
いくつかの態様においては、増大した3’末端ミスマッチ識別を有する本ポリメラーゼの使用により、例えば、稀な対立遺伝子の検出が可能になる。例えば、特定のポリメラーゼの3’末端ミスマッチ識別のフィデリティーは、その感度(異なっているが標的配列と関連のある、標的配列ではない配列が大量に存在するなかで、少量の標的配列を正確に検出する能力)を規定する。このように、3’末端ミスマッチ識別を増大させることにより、稀な対立遺伝子の検出感度が上がる。稀な対立遺伝子の検出は、例えば、生検又は他の稀な遺伝子変化の試料、例えば、多くの正常細胞の中にあるがん対立遺伝子を持つ細胞のスクリーニングの際に有用である。
いくつかの態様においては、改良ポリメラーゼは、対立遺伝子特異的PCR又は単一ヌクレオチド多型(SNP)検出に関わるポリヌクレオチド伸長で使用される。SNP検出法の例はChen et al., "Single nucleotide polymorphism genotyping: biochemistry, protocol, cost and throughput" Pharmacogenomics J. 3(2):77-96 (2003); Kwok et al., "Detection of single nucleotide polymorphisms" Curr. Issues Mol. Biol. 5(2):43-60 (April 2003); Shi, "Technologies for individual genotyping: detection of genetic polymorphisms in drug targets and disease genes" Am. J. Pharmacogenomics 2(3): 197-205 (2002); and Kwok, "Methods for genotyping single nucleotide polymorphisms" Annu. Rev. Genomics Hum. Genet. 2:235-58 (2001)に記載されている。ハイスループットSNP検出(high−throughput SNP detection)技術の例は、Marnellos, "High-throughput SNP analysis for genetic association studies" Curr. Opin. Drug Discov. Devel. 6(3):317-21 (May 2003)に記載されている。一般的なSNP検出法としては、これらに限定するものではないが、TaqMan分析、分子標識分析、核酸整列、対立遺伝子特異的プライマー伸長、対立遺伝子特異的PCR、整列プライマー伸長、ホモジニアスプライマー伸長分析(homogeneous primer extension assays)、質量分析による検出を伴うプライマー伸長、パイロシークエンシング、遺伝子整列に基づき分類された多重プライマー伸長、ライゲーションローリングサークル(ligation with rolling circle)増幅、ホモジニアスライゲーション、OLA(米国特許第4,988,167号)、遺伝子整列に基づき分類された多重ライゲーション反応、制限断片長多型、一塩基伸長−タグアッセイ及びインベーダーアッセイ(Invader assay)が挙げられる。そのような方法は、例えば、発光又は化学発光検出、蛍光検出、時間分解蛍光検出、蛍光共鳴エネルギー転移、蛍光偏光、質量分析及び電気的検出のような検出機構と組み合わせて用いてもよい。
異なる複対立遺伝子の検出は多重反応を用いて行うこともでき、多重反応を使えば、異なる複対立遺伝子を1回の反応で検出することができる。多重反応では、SNP又は複数のヌクレオチド多型又は対立遺伝子を伸長、増幅するのに、2つ以上の対立遺伝子−特異的プライマーを用いる。単一及び複数のヌクレオチド多型の多重検出方法の例は、米国特許出願公開第2006/0172324号に記載されている。
本明細書に記載する改良ポリメラーゼを用いた、伸長産物又は増幅産物の他の検出方法としては、蛍光二本鎖ヌクレオチド結合色素又は蛍光二本鎖ヌクレオチドインターカレーション色素の使用が挙げられる。蛍光二本鎖DNA結合色素の例としては、SYBRgreen(Molecular Probes)が挙げられる。蛍光二本鎖インターカレーション色素の例としては、臭化エチジウムが挙げられる。二本鎖DNA結合色素は、プライマー伸長産物及び/又は増幅産物を測定する融解曲線分析と併せて使用できる。融解曲線分析は、ABI5700/7000(96ウェル型)又はABI7900(384ウェル型)装置のようなリアルタイムPCR装置と搭載ソフトウェア(SDS2.1)を用いて行うことができる。もしくは、融解曲線分析はエンドポイント分析として行うこともできる。融解曲線分析の方法の例が米国特許出願公開第2006/0172324号に記載されている。
また他の態様においては、DNAシークエンシング、DNAラべリング又はプライマー伸長産物のラべリングにおいて、本発明のポリメラーゼはプライマー伸長に用いられる。例えば、サンガーのジデオキシヌクレオチド法によるDNAシークエンシング(Sanger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463, 1977)は、特殊な鎖停止ヌクレオチドを取り込むことができるポリメラーゼのために、本発明により改良される。基本的なサンガーらの方法が進展し、新規のベクター(Yanisch-Perron et al., Gene 33: 103-119, 1985)及び塩基類似体(Mills et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:2232-2235, 1979; and Barr et al., Biotechniques 4:428-432, 1986)が提供された。一般に、DNAシークエンシングには、鎖停止塩基類似体の存在下で鋳型依存的プライマー伸長が必要であり、それにより続いて大きさによって分離される部分断片の分布ができる。基本的なジデオキシシークエンシング法は(i)場合により標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを鋳型にアニーリングさせ;(ii)DNAポリメラーゼを用いて、標識されていないdNTPと、場合により標識された1種のddNTPのような少量の鎖停止剤の混合物を各々含む、4回の別々の反応でプライマーを伸長し;(iii)4セットの反応産物を高解像変性ポリアクリルアミド/尿素ゲルで分析する工程を含む。使用した標識によって、反応産物はオートラジオグラフィー又は蛍光検出によりゲル中で検出することができ、そのイメージを調べてヌクレオチド配列を推測することができる。それらの方法では、大腸菌PolIのクレノウ断片のようなDNAポリメラーゼ又は改変T7DNAポリメラーゼを使用する。
TaqDNAポリメラーゼのような熱安定性ポリメラーゼが利用できるようになり、熱安定性DNAポリメラーゼを使ったシークエンシングの改良法(Innis et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:9436, 1988参照)及び「サイクルシークエンシング」(Murray, Nuc Acids Res. 17:8889, 1989)と呼ばれるその改変がもたらされた。したがって、本発明の熱安定性ポリメラーゼは、そのような方法と併せて使用することができる。基本的なジデオキシシークエンシングに代わるものとして、サイクルシークエンシングは、鎖停止剤の存在下での鋳型配列に相補的な標的配列の直鎖状で非対称の増幅である。1回のサイクルで可能な全ての長さの伸長産物のファミリーが作成される。鋳型DNAからの伸長反応産物の変性に続き、プライマーアニーリングとプライマー伸長の複数サイクルがddNTPのような停止剤の存在下で起こる。サイクルシークエンシングは、従来の鎖停止シークエンシングよりも少ない鋳型DNAしか必要としない。熱安定性DNAポリメラーゼは、サイクルシークエンシングにおいていくつかの利点を有する;それらは、核酸標的へのプライマーの特異的ハイブリダイゼーションに必要なストリンジェントなアニーリング温度に耐え、同時に各サイクルで起こる、例えば90〜95℃の高温変性の多数のサイクルに耐える。この理由で、AMPLITAQ(登録商標)DNAポリメラーゼとその誘導体及び派生物、例えばAmpliTaqCSDNAポリメラーゼ及びAmpliTaqFSDNAポリメラーゼが、Perkin-Elmer (Norwalk, CT)及びApplied Biosystems (Foster City, CA)のような会社により市販されているTaqサイクルシークエンシングキットに入っている。
改良ポリメラーゼは、454シークエンシング(Roche)において用いることができる(Margulies, M et al. 2005, Nature, 437, 376-380)。454シークエンシングには2つの工程が含まれる。第一の工程において、DNAは約300〜800塩基対の断片へと切断され、その断片は平滑末端を有する。次にオリゴヌクレオチドアダプターが断片の末端にライゲーションする。アダプターは、断片の増幅及びシークエンシングのためのプライマーとして機能する。例えば、5’ビオチンタグを含むアダプターBを用いて、断片をDNA捕捉ビーズ、例えば、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズに付着させることができる。ビーズに付着した断片を、油−水エマルジョンの液滴内でPCR増幅する。その結果、各ビーズ上にクローン増幅されたDNA断片の複数のコピーが得られる。第二の工程では、このビーズをウェル(ピコリットルサイズ)中に捕捉する。各DNA断片上で同時にパイロシークエンシングを行う。1つ以上のヌクレオチドが付加すると光シグナルが生成され、そのシグナルはシークエンシング装置に搭載されたCCDカメラにより記録される。シグナル強度は、取り込まれたヌクレオチドの数に比例する。
パイロシークエンシングは、ヌクレオチドの付加時に放出されるピロリン酸(PPi)を利用している。PPiはアデノシン−5’−ホスホ硫酸の存在下、ATPスルフリラーゼによりATPに変換される。ルシフェラーゼはルシフェリンをオキシルシフェリンに変換するためにATPを使い、この反応が検出、分析される光を生成する。
鎖停止シークエンシング方法の変形としては、色素プライマーシークエンシング及び色素停止剤シークエンシングが挙げられる。色素プライマーシークエンシングでは、ddNTP停止剤は標識されておらず、標識されたプライマーを使って伸長産物を検出する(Smith et al., Nature 32:674-679, 1986)。色素停止剤DNAシークエンシングでは、dNTPと蛍光標識ddNTPをDNAプライマーの末端に取り込むのにDNAポリメラーゼを用いる(Lee et al., Nuc. Acids. Res. 20:2471, 1992)。この方法には、色素標識プライマーを合成しなくてよいという利点がある。さらに、色素停止剤反応は、4つの反応全てを同一チューブ内で実施できるという点でより便利である。
色素プライマー法と色素停止剤法は両方とも、Applied Biosystems (Foster City, CA)製の自動シークエンシング装置を用いて自動化してもよい(米国特許第5,171,534号)。この装置を使用する場合、反応を終えたシークエンシング反応混合物は、装置に搭載した変性ポリアクリルアミドゲル又はキャピラリー上で分画される。ゲル上でサイズにしたがって電気泳動されると、装置の底にあるレーザーが蛍光産物を検出する。
色素停止剤シークエンシングで用いる停止剤を標識するために、通常2種類の蛍光色素が用いられる。負に帯電した蛍光色素と両性イオン性蛍光色素である。負に帯電した蛍光色素としては、フルオレセイン及びBODIPYファミリーのものがあげられる。BODIPY色素(4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン)は、国際公開第97/00967号に記載されている。両性イオン性蛍光色素としては、ローダミンファミリーのものが挙げられる。市販のサイクルシークエンシングキットは、ローダミン誘導体で標識された停止剤を使用している。しかし、ローダミン標識された停止剤はかなり高価である。また、それらはシークエンシング産物と共に移動するため、ゲルにロードする前に取り込まれなかった色素−ddNTPから産物を分離しなければならない。ローダミン色素ファミリー停止剤は、GCリッチ領域においてヘアピン構造を安定化させるようであり、これにより産物が変則的に移動する。これには、二次構造を緩めるが停止剤の取り込み効率にも影響を及ぼすdITPの使用を必要とする可能性がある。
これに対し、フルオレセイン標識停止剤は、より大きな正味負電荷を有し、シークエンシング産物よりも速く移動するので、ゲルロード前の分離工程が不要となる。その上、フルオレセイン標識シークエンシング産物は、ローダミンで標識されたシークエンシング産物よりも良好に電気泳動で移動する。野生型TaqDNAポリメラーゼはフルオレセインファミリー色素で標識された停止剤を効率的に取り込まないが、これは、米国特許出願公開第2002/0142333号に記載されているように、今や改変酵素の使用により効率的に達成することができる。したがって、米国特許出願第2002/0142333号に記載のような改変は、プライマー伸長速度が改良されたフルオレセインファミリー色素を取り込む熱安定性ポリメラーゼを作成するために、本発明に関して使用することができる。例えば、特定の態様において、本発明による非改変DNAポリメラーゼは、米国特許出願公開第2002/0142333号に記載され、配列番号8に記載のモチーフ(又は配列番号9、10又は11のモチーフ)、及び場合により配列番号27のモチーフを有する改変熱安定性ポリメラーゼである。
本発明の変異DNAポリメラーゼが使用できる、他の核酸シークエンシング法の例としては、リボヌクレオチドの2’−PO4類似体を含むターミネーター化合物に関するものが挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2005/0037991号及び第2005/0037398号、及び米国特許出願番号12/174,488)。
キット
本発明の別の面では、本明細書に記載するプライマー伸長方法に用いられるキットが提供される。いくつかの態様においては、キットは、使用の簡易性のために区分され、本発明にしたがって増大した3’末端ミスマッチ識別を有する本発明のDNAポリメラーゼを提供する少なくとも1つの容器を含む。付加的な試薬を提供する1つ以上の付加的な容器を含むこともできる。そのような付加的な容器は上述の方法にしたがったプライマー伸長法で用いる、当業者に認識された任意の試薬又は他の要素を含むことができ、それには、例えば、核酸増幅法(例えば、PCR、RT−PCR)、DNAシークエンシング法又はDNAラベリング法で用いる試薬が含まれる。例えば、特定の態様においては、キットはさらに、プライマー伸長条件下で所定の鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能な5’センスプライマー、又は5’センスプライマーと対応する3’アンチセンスプライマーを含んでなるプライマー対を提供する容器を含む。いくつかの態様においては、キットは単一ヌクレオチド多型又は複数のヌクレオチド多型と完全に相補的な1つ以上のプライマーを含む1つ以上の容器を含み、ここでプライマーは、上述のように多重反応に有用である。他の相互排他的でない変形においては、キットはヌクレオシド三リン酸(従来の及び/又は特殊な)を提供する1つ以上の容器を含む。特定の態様では、キットはアルファ−ホスホロチオエートdNTP、dUTP、dITP及び/又は、例えばフルオレセイン又はシアニン色素ファミリーdNTPのような標識されたdNTPを含む。さらに他の相互排他的でない態様においては、キットは、プライマー伸長反応に適切な緩衝液を提供する1つ以上の容器を含む。いくつかの態様においては、キットは1つ以上の標識された、又は標識されていないプローブを含む。プローブの例としては、二重標識されたFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)プローブ及び分子標識プローブが挙げられる。別の態様においては、キットは、例えば、ホットスタートPCR分析用のアプタマーを含む。
反応混合物
本発明の別の面においては、反応混合物は、本明細書に記載されるように、増大した3’末端ミスマッチ識別活性を有するポリメラーゼを含んで提供される。反応混合物は、例えば、核酸増幅法(例えば、PCR、RT−PCR)、DNAシークエンシング法又はDNAラベリング法で用いる試薬をさらに含むことができる。例えば、特定の態様においては、反応混合物はプライマー伸長反応に適切な緩衝液を含んでなる。反応混合物はまた、鋳型核酸(DNA及び/又はRNA)、1つ以上のプライマー又はプローブポリヌクレオチド、ヌクレオシド三リン酸(例えば、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、標識されたヌクレオチド、特殊なヌクレオチドを含む)、塩類(例えば、Mn2+、Mg2+)、及び標識(例えば、蛍光色素分子)を含むこともできる。いくつかの態様においては、反応混合物はさらに、SYBRgreenのような二本鎖DNA結合色素、又は臭化エチジウムのような二本鎖DNAインターカレーション色素を含んでなる。いくつかの態様においては、反応混合物はプライマー伸長条件下で所定の鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能な5’センスプライマー、又は5’センスプライマーと対応する3’アンチセンスプライマーを含んでなるプライマー対を含む。特定の態様においては、反応混合物はさらに、増幅した鋳型核酸の検出のための蛍光FRET加水分解プローブ、例えばTaqman(登録商標)プローブを含んでなる。いくつかの態様においては、反応混合物は、単一ヌクレオチド多型又は複数のヌクレオチド多型と完全に相補的な2つ以上のプライマーを含む。いくつかの態様においては、反応混合物は、アルファ−ホスホロチオエートdNTP、dUTP、dITP及び/又は、例えばフルオレセイン又はシアニン色素ファミリーdNTPのような標識されたdNTPを含む。
以下の実施例は本発明を例示するために提供されるが、何ら限定するものではない。
実施例1:増大した3’末端ミスマッチ識別を有する変異DNAポリメラーゼの同定
この実施例の対照DNAポリメラーゼは、580番目のアミノ酸がグリシンであることを除き、配列番号1のサーマス種Z05DNAポリメラーゼである(例えば、D580G置換)(以下Z05D580Gポリメラーゼ)。
鋳型に対して3’末端ミスマッチを有するオリゴヌクレオチドプライマーを伸長する能力を減少させる、Z05D580Gポリメラーゼにおける変異を同定した。簡単に言えば、このスクリーニング過程における工程には、ライブラリー作成、変異酵素の発現及び部分精製、所望の性質をもつ酵素のスクリーニング、DNAシークエンシング、クローン精製、選択された変異体候補のさらなる特性評価が含まれた。これらの工程のそれぞれについて、以下にさらに説明する。
クローンライブラリー作成:Z05D580GDNAポリメラーゼのポリメラーゼドメインをコードする核酸を、この核酸配列を含むプラスミドのBlpI及びBglII制限部位の間でエラープローン(変異誘発)PCRにかけた。増幅した配列を配列番号33とした。これに用いたプライマーは以下の通りである:
フォワードプライマー:5’−CTACCTCCTGGACCCCTCCAA−3’(配列番号31);及び
リバースプライマー:5’−ATAACCAACTGGTAGTGGCGTGTAA−3’(配列番号32)。
変異速度の範囲でライブラリーを作成するために、1.8〜3.6mMのMg2+濃度の範囲でPCRを実施した。緩衝液条件は、50mMビシンpH8.2、115mM KOAc、8%w/vグリセロール、0.2mMの各dNTPであった。GeneAmp(登録商標)AccuRTホットスタートPCR酵素を0.15U/μLで使用した。反応容量50μL当たり5×105コピーの線状化Z05D580GプラスミドDNAで開始し、94℃、60秒で変性させ、続いて変性温度94℃で15秒、アニーリング温度60℃で15秒、伸長温度72℃で120秒の条件で30サイクルの増幅を行い、最後に72℃で5分間最終伸長を行った。
得られた増幅産物をQIAquickPCR精製キット(Qiagen, Inc.,Valencia, CA, USA)で精製し、BlpI及びBglIIで切断し、次いでQIAquickPCR精製キットで再び精製した。Z05D580Gベクタープラスミドは、同じ2つの制限酵素で切断し、アルカリホスファターゼ、組換え体(RAS,cat#03359123001)で処理し、QIAquickPCR精製キットで精製することにより調整した。切断したベクターと変異した挿入断片を1:3の比で混合し、室温で5分間T4DNAリガーゼにより処理した(NEBQuickLigation(商標)キット)。ライゲーションしたものをQIAquickPCR精製キットで精製し、エレクトロポレーションにより大腸菌宿主株に形質転換した。
各形質転換における特徴的な形質転換体の数を調べるために、発現した培養物の一部をアンピシリン選択培地にまいた。形質転換体は、凍結保護物質としてのグリセロールの存在下−70〜−80℃で保存した。
次に、各ライブラリーを大型のアンピシリン選択寒天培地にまいた。個々のコロニーを、自動コロニーピッカー(QPix2, Genetix Ltd)を用いて、アンピシリンと10%w/vグリセロールを含む2×Luriaブロスの入った384ウェルプレートに移した。それらのプレートを30℃で一晩インキュベートして培養物を増殖させ、その後−70〜−80℃で保存した。2×Luriaブロスに添加したグリセロールは、培養物の増殖を可能にするのに十分なほど少量だったが、凍結保護のためには十分多い量だった。後に使用するために、この方法により複数の変異誘発(Mg2+)レベルで数千個のコロニーを調製した。
抽出物ライブラリー調製1−発酵:上述のクローンライブラリーから、スクリーニング用に適切な、部分精製された抽出物の対応するライブラリーを調製した。この過程の第一工程は、各クローンの小規模の発現培養物を作成することであった。それらの培養物を96ウェルフォーマットで増殖させた;したがって、384ウェルライブラリープレート毎に4枚の発現培養物プレートとなった。0.5μLをクローンライブラリープレートの各ウェルから、150μLの培地A(下記表3を参照)を含む96ウェルの種プレートのウェルへと移した。この種プレートを、iEMSプレートインキュベーター/シェーカー(ThemoElectron)中で、1150rpm、30℃で一晩振盪培養した。次に、それらの種培養物を同じ培地に接種するのに用い、今度は大型の96ウェルプレート(Nunc #267334)の250μLの培地A中に20μLを接種した。それらのプレートを37℃で一晩振盪しながらインキュベートした。発現プラスミドは、37℃で発現するが30℃では発現しない転写調節因子を含んでいた。一晩インキュベートした後、培養物は典型的には全細胞タンパク質の1〜10%でクローンタンパク質を発現した。それらの培養物から細胞を遠心分離により回収した。それらの細胞を凍結するか(−20℃)又は後述するようにすぐに処理した。
Figure 0005876479
抽出物ライブラリー調製2−抽出:発酵工程で得た細胞ペレットを25μLの溶解緩衝液(下記表3)中に再懸濁し、384ウェルのサーモサイクラープレートに移して密閉した。なお、緩衝液は細胞溶解を補助するためにリゾチームを含み、抽出物からDNAを除去するためにデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)を含む。細胞を溶解させるために、プレートを37℃で15分間インキュベートし、−20℃で一晩凍結し、37℃で15分間再びインキュベートした。硫酸アンモニウムを添加し(2M溶液を1.5μL)、外来的に添加されたヌクレアーゼを含む汚染タンパク質を沈澱、不活性化させるために、プレートを75℃で15分間インキュベートした。プレートを3000×gで15分間、4℃で遠心し、上清を新しい384ウェルサーモサイクラープレートに移した。それらの抽出物プレートを後にスクリーニングで使用するために−20℃で凍結した。各ウェルには約0.5〜3μMの変異ライブラリーポリメラーゼ酵素が含まれていた。
Figure 0005876479
3’プライマーミスマッチ伸長速度が減じた抽出物ライブラリーのスクリーニング:抽出物ライブラリーは、鋳型オリゴヌクレオチドと完全に一致するプライマーの伸長速度と3’末端G:Tミスマッチを有するプライマーの伸長速度を比較することによりスクリーニングした。
プライマー伸長反応のために、384ウェルサーモサイクラープレートで、2.5μLの抽出物を20mM Tris−HCl、pH8、100mM KCl、0.1mM EDTA、0.2%Tween20を含む22.5μLの緩衝液と混合することにより上記の酵素抽出物を10倍に希釈し、カバーして、90℃で10分間加熱した。完全一致プライマーを用いた対照反応では、384ウェルPCRプレートで、0.5μLの希釈抽出物を15μLのマスター混合物と混合した。プライマー処理された鋳型の伸長は、CCDカメラ(上述のWatson参照)を用いて修飾動力学的サーマルサイクラーで10秒毎にモニタリングした。マスター混合物には50nMのプライマー処理された鋳型プライマー、25mMトリシン、pH8.3、100mM KOAc、0.6X SYBR Green I、200μΜの各dNTP、100nMアプタマー、2.5mM酢酸マグネシウムが含まれていた。伸長由来の蛍光をバックグラウンドの蛍光から区別するために、マスター混合物からヌクレオチドを除くことによりプライマー鎖伸長を阻害した実験を並行したウェルで行った。3’末端にミスマッチのあるプライマーを用いた反応は、1.5uLの希釈抽出物を各反応に添加し、酢酸マグネシウムの代わりに1.5mM酢酸マンガンを使用したこと以外は上記と同じように行った。抽出物の量を3倍に増やし、マンガンを金属活性化因子として用いると、どちらでもミスマッチ伸長がより起こりやすくなり、したがって3’末端ミスマッチ伸長を識別する能力が最も強いそれらの酵素のためのスクリーニングの選択性が向上する。
上記のプロトコールを用いて約5000の変異抽出物をスクリーニングした。任意のカットオフを上回る完全一致プライマーの伸長値及び完全一致伸長の割合に対して低いミスマッチに基づき、オリジナルのプールの約7%が再スクリーニングのために選択された。最も良い抽出物に相当する培養ウェルは新しい増殖培地に採取し、再培養して、最良の変異体を含む新しい培養プレートならびに比較のために用いる多数の親培養物を作成した。これらの培養プレートを次に、元のスクリーニングの表現型を確認するために再スクリーニングされる、新しい抽出物を作成するのに用いた。完全に3’末端が一致するプライマーと3’末端にミスマッチがあるプライマーを用いた反応のプライマー伸長速度は、時間経過に伴う蛍光の上昇についての曲線の直線部分の勾配として算出した。完全一致の伸長の勾配でミスマッチのある伸長の勾配を割った比を、最良の候補をランク付けし選択するために用いた。再スクリーニングで選択されたクローンと、さらに比較のために親クローンZ05D580Gのそれぞれの遺伝子型及び表現型を以下の表に示す。
Figure 0005876479
この実施例は、親酵素Z05D580Gに対し、V667E変異酵素では稀な対立遺伝子の検出能が改良されていることを示している。
実施例2:
ヒトBRAF遺伝子の領域を増幅する、標的がBRAFのコドン600に変異、V600Kを持つ場合に、前記標的と完全に一致するプライマーを使用した。ヒトゲノムDNAに存在する標的野生型BRAFに対し、対立遺伝子選択プライマーは3’末端に1つのA:Cミスマッチをもたらす。コモンプライマーはBRAF遺伝子と完全に一致しており、これがプローブ配列で、リアルタイム、TaqManで増幅を検出することができる。各反応では、最終容量16μL中に、10,000コピー(33ng)の野生型ヒトゲノム細胞株DNA、又は10,000もしくは100コピーのBRAF V600R変異配列を含む線状化プラスミドが含まれていた。酵素により異なる塩の最適条件を考慮して、増幅は25〜130mMのKCl濃度の範囲で行った。緩衝液条件は、50mM Tris−HCl pH8.0、2.5mM MgCl2、0.2mMの各dNTP、0.02U/μL UNG、200nMアプタマーであった。フォワード及びリバースプライマーは100nM、プローブは25nMだった。DNAポリメラーゼは全て20nMで分析し、2%(v/v)酵素保存緩衝液(50%v/vグリセロール、100mM KCl、20mM Tris pH 8.0、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.5%Tween20)を反応に加えた。反応は、Roche LightCycler480サーマルサイクラーで行い、95℃、60秒で変性させ、続いて変性温度92℃で10秒、アニーリング温度62℃で30秒の条件で99サイクルの増幅を行った。
反応は2回行い、クロッシングポイント(「Cp」)はAbs Quant/2nd derivative Max法を用いて算出し、Cpの平均値を求めた。Cp平均値を、算出したPCR効率、各酵素が最も早く高コピー数の変異を得たCpのKCl濃度における同相弁別比の値と共に以下の表に示す。高コピーΔCpは、10,000コピーの3’末端にミスマッチがある野生型標的ゲノムをバックグラウンドとして、10,000コピーの3’末端にミスマッチがある野生型標的ゲノムを用いた反応のCp平均値と、10,000コピーの完全一致標的プラスミドを用いた反応のCp平均値の差異に等しい。全ての反応は、バックグラウンドとして10,000コピーの野生型標的BRAFを含んでおり、したがって変異プラスミドを含まない反応のCpは、試験した条件下でのミスマッチがある鋳型プライマーの増幅のブレークスルー及び酵素の識別の限界を示す。Z05D580GV667Eは、親Z05D580Gより良好な識別能を示した。
Figure 0005876479
本明細書に記載する実施例及び態様は、単に例示することが目的であり、その内容を踏まえた様々な改変又は変形が当業者に提示されるであろうことが分かる。
非公式配列表
Figure 0005876479
Figure 0005876479
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Figure 0005876479

Claims (8)

  1. 配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ対照DNAポリメラーゼと比較して、増大した3’末端ミスマッチ識別活性を有するDNAポリメラーゼであって、
    前記DNAポリメラーゼは、
    M−R−R−A−A−K−T−X 5 −N−F−G−V−L−Y−G[ここで、X 5 はEである]を含んでなるポリメラーゼドメイン中のモチーフを含んでなり、配列番号1の580番目に対応するDNAポリメラーゼのアミノ酸がであり、そして前記対照DNAポリメラーゼは、当該対照DNAポリメラーゼのX 5 のアミノ酸がVであることを除き、前記DNAポリメラーゼと同一のアミノ酸配列を有することを特徴とする、DNAポリメラーゼ。
  2. 配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項に記載のDNAポリメラーゼ。
  3. 前記DNAポリメラーゼがZ05DNAポリメラーゼである、請求項1又は2に記載のDNAポリメラーゼ。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼをコードする組換え核酸。
  5. プライマー伸長を行うための方法であって:
    請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼを、プライマーの伸長に適切な条件下で、プライマー、鋳型ポリヌクレオチド及びヌクレオシド三リン酸と接触させ、伸長プライマーを作成することを含んでなる、方法。
  6. 伸長プライマーを作成するキットであって:
    請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼを含んでなる少なくとも1つの容器を含んでなる、キット。
  7. (a)プライマー伸長条件下で、所定の鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能なプライマーを含んでなる容器;
    (b)ヌクレオシド三リン酸を含んでなる容器;
    (c)プライマー伸長に適切な緩衝液を含んでなる容器
    からなる群から選択される1つ以上の付加的な容器をさらに含んでなる、請求項に記載のキット。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼ、少なくとも一つのプライマー、鋳型ポリヌクレオチド及びヌクレオシド三リン酸を含んでなる反応混合物。
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