JP5875854B2 - ポリイソブチレンエマルジョン - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイソブチレンエマルジョンに関する。
従来、ポリ塩化ビニルは機械的安定性や耐久性がよい等の特性を有していることから、さまざま分野において利用されてきた。しかしながら、ポリ塩化ビニルは、紫外線で劣化することによって黄変するといった問題があり、屋外での利用は避けられる傾向がある。
一方、ポリイソブチレンは、耐候性にすぐれ、屋外での利用に適した材料である。したがって、場所を問わずさまざまな用途への利用が期待されている。しかし、常温で半固体状であるポリイソブチレンは、そのままの形での取り扱い、加工が難しい。また、ポリイソブチレンを溶液として提供するにあたり、近年、環境に配慮して、有機溶剤を含まない水溶液での提供が求められているが、水不溶性であるポリイソブチレンは、水に直接溶解させることができない。
このような課題を解決するために、ポリイソブチレンを、ショ糖脂肪酸エステルおよび、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルまたは分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸塩によって、水に分散させる方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、種々の低分子界面活性剤がポリイソブチレンを分散させる作用を有している。
しかしながら、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸塩のような低分子界面活性剤を乳化剤として使用した場合、エマルジョンの安定性が低く、エマルジョンを長期間保存することができない。
特開昭59−122534号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、保存安定性が高いポリイソブチレンのエマルジョンを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ポリイソブチレンを(メタ)アクリルエステル−アクリル酸系共重合体および/またはスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩、または、ポリビニルアルコールで分散させることによって、保存安定性の高いエマルジョンを得ることに成功し、本発明を完成させた。さらに、得られたエマルジョンは、優れた粘着性または防湿性を有することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)に関する。
(1)ポリイソブチレン100重量部に対して乳化剤を1〜30重量部含む、水を分散媒とするエマルジョンであって、前記乳化剤が、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体および/またはスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩、または、ポリビニルアルコールであることを特徴とするエマルジョン。
(2)前記エマルジョンの平均粒径が0.1〜10μmであることを特徴とする(1)に記載のエマルジョン。
(3)前記(メタ)アクリルエステル−アクリル酸系共重合体および/またはスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量が1800〜100000g/molであり、酸価が50〜300mgKOH/gであることを特徴とする、(1)または(2)に記載のエマルジョン。
(4)前記ポリビニルアルコールのケン化度が69〜96mol%であり、重合度が300〜3500であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエマルジョン。
(5)前記ポリイソブチレンの粘度平均分子量が1000〜400000g/molであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のエマルジョン。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載のエマルジョンであって、乾燥した後、加熱することによって粘着性あるいは防湿性を発現することを特徴とするエマルジョン。
(7)(6)に記載のエマルジョンを含むことを特徴とする粘接着剤。
(8)(6)に記載のエマルジョンを含むことを特徴とする防湿塗料。
本発明に係るエマルジョンは、保存安定性にすぐれている。また、低温乾燥塗膜は室温時には粘着性がなく、加熱によって粘着性が発現するディレードタック性を有しており、粘接着剤に使用することができる。また、本発明に係るエマルジョンは、防湿性を有しており、防湿塗料に使用することができる。
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。なお、以下、「(メタ)アクリル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。
本発明に係るエマルジョンは、ポリイソブチレン、水および乳化剤を含む。ポリイソブチレンが、分散媒である水の中、乳化剤によって分散されることによって、ポリイソブチレンのエマルジョンが得られる。
(ポリイソブチレン)
本発明に係るポリイソブチレンは、イソブチレンの重合体であり、イソブテンを原料とした公知の方法、例えば、フッ化ホウ素や塩化アルミニウムなどのフリーデルクラフト触媒を用いる重合方法によって得られるものである。このようなポリイソブチレンとしては、グリソパールV190、グリソパールV500、グリソパールV1500、オパノールB10N、B−10SFN、B11N、B−11SFN、B12N、B−12SFN、B13N、B−13SFN、B14N、B−14SFN、B15N、B−15SFN、B−30SF、B−50SF、B−80、B−100、B−150、B−200(商品名、BASF社製)等が挙げられる。ポリイソブチレンは、1種又は2種以上の組合せを使用することができる。
ポリイソブチレンの含有量は、エマルジョン中、0.1〜60重量%が好ましい。さらに、好ましくは、10〜60重量%である。
ポリイソブチレンの粘度平均分子量は1000〜40000mPa・sが好ましい。なお、粘度平均分子量は、粘度法に基づいて測定されたものである。
(水)
本発明に係る水は、エマルジョンの安定性を阻害する成分を含まないものが好ましく、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水である。
(乳化剤)
本発明に係る乳化剤は、ポリイソブチレン100重量部に対して1〜30重量部であるのが好ましい。より好ましくは、3〜15重量部であり、さらに好ましくは、3〜10重量部である。乳化剤がポリイソブチレン100重量部に対して1重量部より少ない場合には、ポリイソブチレンを分散することができず、エマルジョンが得られない。一方、乳化剤がポリイソブチレン100重量部に対して30重量部より多い場合には、ポリイソブチレンの特性を著しく損なう。
本発明に係る乳化剤としては、エチレン性不飽和モノマーの共重合体が選ばれる。好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体および/またはスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩、または、ポリビニルアルコールである。(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び(メタ)アクリル酸を含有する少なくとも2つ以上のモノマー成分を共重合したものをいう。また、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体は、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸を含有する少なくとも2つ以上のモノマー成分を共重合したものをいう。これらの乳化剤は、単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。
(スチレン系モノマー)
スチレン系モノマーとしては、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。好ましくは、スチレン、α―メチルスチレンである。これらのスチレン系モノマーは単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。
((メタ)アクリル酸エステルモノマー))
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられる。
芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、9−アントラセニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、環状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられる。
直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーは単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。
本発明に係る(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましい。特に、メチルメタクリレートが好ましい。
本発明に係る(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体(以下、共重合体とする。)は、さらに、他のモノマーと共重合可能である。他のモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸と共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。例えば、以下のモノマーが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体に、スチレン系モノマーを共重合させることもできる。
(他のモノマー)
カルボン酸系モノマー;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、あるいはこれらの塩など。
(メタ)アクリルアミド系モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、n−プロピル(メタ)アクリルアミド、i−プロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエタノール(メタ)アクリルアミド、N−(2−(ポリエチレングリコール)エチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−(2,2’−(ポリエチレングリコール)ジエチル)(メタ)アクリルアミドなど。
ビニルエステル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなど。
ビニルエーテル系モノマー;安息香酸ビニル、ベンジルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなど。
ハロゲン化ビニル系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなど。
ニトリル基を有するモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
オレフィン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデセン、トリクロロエチレン、1,5−シクロオクタジエン、シクロペンタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、1−クロロ−1,5− シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、5−ノルボルネン−2− カルボン酸メチル、5−ノルボルネン2,3−ジカルボン酸ジメチルなど。これらの他のモノマーは単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。
本発明に係る共重合体は、疎水性モノマーとして、スチレン系モノマーまたはアクリル酸エステル系モノマー、上記その他のモノマー(カルボン酸系モノマーを除く)を使用し、親水性モノマーとして、(メタ)アクリル酸、上記カルボン酸系モノマーを使用し、これらのモノマーを重合したものである。すなわち、本発明に係る共重合体は、疎水性部分と親水性部分を併せ持つ共重合体である。本発明に係るポリイソブチレンは、疎水性であることから、共重合体の疎水性部分がポリイソブチレンに吸着し、一方、共重合体の親水性部分同士が電荷反発することによって、ポリイソブチレンを水中で分散することができたと考えられる。また、ポリイソブチレンのオレフィン構造と、共重合体のアクリル構造の強い相互作用によって、より分散を安定化することができたと考えられる。本発明では、ポリオレフィンと乳化剤との相互作用、乳化剤同士の相互作用、ならびに、乳化剤と水との相互作用が絶妙なバランスを保持して、水不溶性のポリオレフィンを水中に安定に分散させることができた。
従来、ポリイソブチレンを水中に分散させる方法として低分子界面活性剤を乳化剤として使用する方法が行われてきた。しかし、低分子界面活性剤は、疎水性部分が少なく、ポリイソブチレンへの吸着力が弱い。また、いったん低分子界面活性剤の疎水性部分がポリイソブチレンへ吸着したとしても、ポリイソブチレンから脱着しやすい。そのため、低分子界面活性剤は、ポリイソブチレンを安定に分散することができず、エマルジョンの長期保存に適していない。
本発明に係る共重合体の構造は特に限定されず、ランダムコポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロック以上のマルチブロックコポリマー、グラジエントコポリマー、グラフトコポリマー、スターコポリマー、デンドリマー等いずれでもよいが、ランダムコポリマーであることが好ましい。
本発明に係る共重合体は、水溶性塩である。共重合体を構成するカルボキシル基は、塩基によって中和される。塩基として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機のアルカリ金属塩基、アンモニア、またはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等の1級、2級あるいは3級アミン化合物またはピリジン、ピペリジン等の複素置換アミン化合物が挙げられる。これらは、1種または2種以上の混合物で使用することができる。また、共重合体を構成するカルボキシル基は、少なくとも50モル%中和されているのが好ましい。カルボキシル基の中和が50%未満の場合には、共重合体が水に溶解しにくい。
本発明に係る共重合体の酸価は、50〜300mgKOH/gが好ましい。ここで酸価は、共重合体1g中に存在する(メタ)アクリル酸等の遊離酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を表している。酸価が50mgKOH/gより小さい場合には、共重合体の親水性部分が少なく、親水性部分同士の電荷反発力が低下し、安定なエマルジョンを得ることができない。一方、酸価が300mgKOH/gより大きい場合には、共重合体の疎水性部分が少なく、ポリイソブチレンへの吸着力が低下し、安定なエマルジョンを得ることができない。また、エマルジョンの防湿効果が低下する。
本発明に係る共重合体の重量平均分子量は、1800〜100000g/molが好ましい。さらに好ましくは、5000〜30000g/molである。重量平均分子量が1800g/molより小さい場合には、エマルジョンの分散安定性が悪い。一方、重量平均分子量が100000g/molより大きい場合には、エマルジョンの粘度が高くなり、加工性が悪い。ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
本発明に係る共重合体のガラス転移温度は、30〜150℃が好ましい。さらに好ましくは、60〜140℃である。ガラス転移温度が、30℃より小さい場合には、耐ブロッキング性が著しく低下する。一方、ガラス転移温度が150℃より大きい場合には、エマルジョンが乾燥したときに共重合体による造膜効果が得られない。
本発明に係る共重合体の合成法は特に限定されず、例えばラジカル重合、イオン重合、重付加、重縮合などの公知の重合方法を選択できる。特に、合成手法が簡便であることから、ラジカル重合法が好ましい。
共重合体をラジカル重合で得る場合、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の一般的な重合方法を用いて行うことができる。特に、反応操作が簡単なことから、モノマーを均一溶液中で重合させる溶液重合法が好ましい。
ラジカル重合反応は、無溶媒または溶媒の存在下に行なうことができるが、溶媒存在下で行うことが好ましい。
重合反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカルボニル化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これら溶媒は1種類のみからなる単一溶媒でもよいし、2種類以上からなる混合溶媒でもよい。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム、第三ブチルヒドロペルオキシド等の過酸化物、水溶性アゾ化合物及びレドックス開始剤が挙げられる。
重合開始剤は、反応媒体中に可溶性である。これらは重合に使用されるモノマーに対して30重量%まで、好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.2〜8重量%の量で使用される。
共重合体を所望の分子量に調整するために、上記の重合開始剤に、さらに連鎖移動剤、連鎖停止剤、重合促進剤等の分子量調整剤を添加使用することができる。分子量調整剤には、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、蟻酸、蟻酸アンモニウム、ヒドロキシルアミン並びにその硫酸塩、塩化物又は燐酸塩;SH基含有化合物、例えばチオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプロブタノール、メルカプトヘキサノール、チオマレイン酸、チオフェノール、4−t−ブチルチオフェノール、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが挙げられる。
分子量調整剤は、モノマーに対して20重量%までの量で使用できる。モノマーに対して0.5〜15重量%のSH基含有の重合調整剤の存在で重合させるのが有利である。
(ポリビニルアルコール)
本発明に係るポリビニルアルコールは、通常公知の方法、例えば酢酸ビニルの重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。ケン化度とは、ポリ酢酸ビニルにおけるアセトキシ基(−OCOCH3)が水酸基(−OH)に変わっている割合を意味し、具体的には、ポリビニルアルコール中のアセトキシ基と水酸基の合計数に対する水酸基の数の百分率で表される。ポリビニルアルコール中のアセトキシ基が疎水性を示し、疎水性であるポリイソブチレンに吸着することによって、ポリイソブチレンを水中に安定に分散させることができたと考えられる。
ポリビニルアルコールのケン化度は、69〜96モル%が好ましい。ケン化度が69モル%よりも低い場合には、ポリビニルアルコール中の水酸基の割合が少ないため、ポリビニルアルコールの水への溶解度が小さく、エマルジョンの安定性が低くなる。一方、ケン化度が96モル%よりも高い場合には、ポリビニルアルコール中のアセトキシ基の割合が非常に少なくいため、ポリイソブチレンへのアセトキシ基の吸着力が弱く、ポリイソブチレンを水中に安定に分散させることができない。
ポリビニルアルコールの重合度は、300〜3500が好ましく、さらに好ましくは500〜2000である。重合度が300より小さい場合には、ポリイソブチレンへのアセトキシ基の吸着力が弱く、ポリイソブチレンを水中に安定に分散させることができない。一方、重合度が3500より大きい場合には、エマルジョンの粘度が高くなり、実用性に適さないため、好ましくない。
(エマルジョン)
本発明に係るエマルジョンの平均粒径は、0.03〜500μmである。好ましくは0.1〜10μmである。平均粒径が10μmより大きい場合には、エマルジョンのクリーミングが激しく、著しくエマルジョンの安定性を損なう。また、他の材料と混和しにくく、粘着性、防湿性等の特性が得られない。なお、エマルジョンの平均粒径は、SEMやTEM等の電子顕微鏡を用いて測定するか、市販のレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置や動的光散乱測定装置を使用して測定することができる。
エマルジョンの粘度は、25℃で0.1〜3000mPa・sである。好ましくは、20〜1500mPa・sである。粘度が0.1mPa・sの場合には、エマルジョンを塗料に使用したとき、塗工しにくくなる。一方、粘度が1500mPa・sより大きい場合には、移送効率が低下する等ハンドリングに支障をきたす。粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計(B型粘度計)を使用して測定することができる。
(エマルジョンの製造方法)
本発明に係るエマルジョンは、環境に配慮して、有機溶媒を使用せず、溶媒は水のみを使用して製造するのが好ましい。しかし、ポリイソブチレンの高分子量体は非常に粘度が高く、取り扱いやすさや乳化装置の制約の点から、あらかじめ有機溶媒にポリイソブチレンを溶解させてから、有機溶媒を水に置換する方法でもよい。例えば、以下の2つの方法がある。
1つめの方法としては、まず、二軸ニーダー式攪拌機に、ポリイソブチレン、水、共重合体の水溶性塩又はポリビニルアルコールを攪拌しながら加え入れ、室温〜95℃で攪拌する。更に、密閉加圧下温度95℃〜200℃条件下で攪拌を行い、ポリイソブチレンエマルジョンを得ることができる。攪拌時の温度条件は、ポリイソブチレンの粘度に応じて、適宜調整することができる。
もう1つの方法としては、まず、ポリイソブチレンをトルエン、キシレン等の有機溶剤に溶かし、ホモミキサー等の攪拌機に水、共重合体の水溶性塩又はポリビニルアルコールとともに入れ、室温〜80℃で攪拌する。次に、必要に応じて高圧ホモジナイザーにより微粒子化する。必要に応じて得られた分散液を減圧−加温下にて溶剤を留去させ、有機溶剤を除去したポリイソブチレンエマルジョンを得ることができる。攪拌時の温度条件は、ポリイソブチレンの粘度に応じて、適宜調整することができる。ただし、80℃を超えると溶媒が沸騰するおそれがあるため、上限温度を80℃とする。
乳化方法はここに例示する強制機械乳化法に限らず、反転乳化法、転相温度乳化法、D相乳化法、ゲル乳化法などの化学的乳化方法も適応できる。
本発明に係るエマルジョンは、分散性を高めるために、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が使用でき、好ましくは、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、高級アルコール硫酸エステル、高級アルキルエーテル硫酸エステル、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン等の硫酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、スルホコハク酸ジエステル等のスルホン酸エステル類、高級アルコールリン酸エステル類等の燐酸エステルと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはアミン等との塩などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型、あるいはグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリストールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型などが挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、ポリイソブチレン100重量部に対して1.5重量部以下であるのが好ましい。界面活性剤がポリイソブチレン100重量部に対して1.5重量部より多い場合には、エマルジョンの安定性が低下したり、エマルジョンを乾燥させたときの、乳化剤による造膜効果が低下する傾向がある。また、粘着性や防湿性能を低下させる傾向もある。
本発明に係るエマルジョンは、耐水性を向上させるために、架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、自己架橋エマルジョンが好ましい。架橋剤がカルボキシル基や水酸基と架橋することによって、耐水性の高いエマルジョンを得ることができる。
架橋剤は、ポリイソブチレン100重量部に対して500重量部以下であるのが好ましい。架橋剤がポリイソブチレン100重量部に対して500重量部より多い場合には、エマルジョンの防湿性が低下する。
本発明に係るエマルジョンは、安定性を向上させるために、安定化剤を含んでいてもよい。
安定化剤としては、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、スチレン無水マレイン酸共重合体塩、マレイン化ポリブタジエン塩、ナフタレンスルホン酸塩、及びポリアクリル酸塩などが挙げられる。これらの安定化剤は単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。
安定化剤は、ポリイソブチレン100重量部に対して3重量部以下であるのが好ましい。安定化剤がポリイソブチレン100重量部に対して3重量部より多い場合には、エマルジョンを乾燥させたときの、乳化剤による造膜効果を低下させる傾向がある。
本発明に係るエマルジョンは、加熱することによって粘着性を発現する。本発明に係るエマルジョンは、乾燥させると水分が蒸発し、乳化剤として使用している共重合体またはポリビニルアルコールがポリイソブチレンを覆うようにマトリックスを構成して膜を形成する。さらにエマルジョンを60〜220℃で加熱すると、共重合体またはポリビニルアルコールが軟化し、その際、ポリイソブチレンが膨潤しマトリックス成分を埋没させて連続相を形成し、膜表面にポリイソブチレンが露出するため、粘着性を発現すると考えられる。本発明に係る共重合体、ポリビニルアルコール以外のポリマーや、低分子界面活性剤を乳化剤として使用したエマルジョンでは、このような膜形成および加熱による相変化の効果は得られない。また、本発明に係るエマルジョンは、公知のスチレンアクリルエマルジョンと混合することにより、室温時では粘着性がなく、加熱することによって粘着性を発現する、すなわちディレードタック性を有するエマルジョンを得ることができる。本発明に係るエマルジョンは、このようなディレードタック性を活かして、粘接着剤、例えば、ラベル、テープ、包装物のシール等に用いることができる。
本発明に係るエマルジョンは、加熱することによって防湿性を発現する。本発明に係るエマルジョンは、乾燥させ、さらに60〜220℃で加熱すると、ポリイソブチレンが膨潤し連続相を形成するため、防湿性を発現すると考えられる。本発明に係るエマルジョンは、塗料組成物に添加することによって、塗膜の粘弾性と密着性を改善することができる。また、防湿塗料に使用することができる。自動車の中塗り塗料に配合すれば、耐チッピング性を向上させることができる。低伝導率であるため、半導体水性防湿塗料として使用することもできる。
さらに、本発明に係るエマルジョンは、サイディングボード用シーリング材や、アスファルトルーフィング、ピーラブルコーティング剤、UV吸収緩和剤に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(エマルジョンの製造方法)
以下、実施例1〜6、比較例1、比較例2について、エマルジョンを作製した。エマルジョンの物性評価は以下のとおりである。
(エマルジョンの物性評価)
粒径測定:レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950(堀場製作所製)を使用し、水媒体中で測定した。
粘度測定:B型粘度計(BL型)(東洋計器社製)を使用した。200mlトールビーカーにエマルジョンを入れ、25℃に調整し、1号ローターを用い60rpmにて30秒後の数値を測定した。
(実施例1)
ポリイソブチレン(粘度平均分子量40000mPa・s)500g、スチレン-アクリル酸系共重合体(分子量16000、酸価240mgKOH/g)の30%水溶液80g、水420gを二軸ニーダー式攪拌機に攪拌しながら加えて、濃度50wt%のエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの粒径は0.3μm、粘度50mPa・s/25℃であった。
(実施例2)
ポリイソブチレン(粘度平均分子量400000mPa・s)125gをトルエン375gに溶解した溶液と、スチレン-アクリル酸系共重合体(分子量16000、酸価240mgKOH/g)の30%水溶液40g、水500gを、ホモミキサーを用いて混合攪拌後、ホモジナイザー処理を行い、乳化物を得た。次に、ロータリーエバポレータを用いて50℃に加温しながら、トルエンと水の一部を減圧留去し、濃度50wt%のエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの粒径は0.3μm、粘度50mPa・s/25℃であった。
(実施例3)
ポリイソブチレン(粘度平均分子量55000mPa・s)500g、ポリビニルアルコール(ケン化度82mol%(中心値)、重合度500)25g、水475gを二軸ニーダー式攪拌機に攪拌しながら加え、濃度50wt%のエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの粒径は0.4μm、粘度30mPa・s/25℃であった。
(実施例4)
ポリイソブチレン(粘度平均分子量200000mPa・s)150gをトルエン350gに溶解した溶液と、ポリビニルアルコール(ケン化度82mol%(中心値)、重合度500)15g、水500gを、ホモミキサーを用いて混合攪拌後、ホモジナイザー処理を行い、乳化物を得た。次に、ロータリーエバポレータを用いて50℃に加温しながら、トルエンと水の一部を減圧留去し、濃度50wt%のエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの粒径は1.0μm、粘度30mPa・s/25℃であった。
(比較例1)
ポリイソブチレン(粘度平均分子量55000mPa・s)500g、ロジン石鹸(カリウム塩)30g、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム塩5g、水465gを、二軸ニーダー式攪拌機に攪拌しながら加え、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンの粒径は1.0μm、粘度20mPa・s/25℃であった。
(実施例5)
実施例1のエマルジョンと、スチレンアクリルエマルジョンA(酸価:60、Tg:−10℃)を固形分が1:1となるように混合した。
(実施例6)
実施例3のエマルジョンと、スチレンアクリルエマルジョンA(酸価:60、Tg:−10℃)を固形分が1:1となるように混合した。
(比較例2)
比較例1のエマルジョンと、スチレンアクリルエマルジョンA(酸価:60、Tg:−10℃)を固形分が1:1となるように混合した。
実施例1〜4、比較例1のエマルジョンについて、ポリイソブチレン、乳化剤、水の各重量%を表1に示した。また、それぞれのエマルジョンの保存安定性についての評価を行い、表1に評価結果を示した。保存安定性の試験方法は、以下のとおりである。
<保存安定性の試験方法>
100mlガラス瓶にエマルジョンを入れ、室温下、密栓状態で一定時間保管後、目視でエマルジョンの分離の有無を観察した。また、粒径測定装置にて、一定時間保管後のエマルジョンの粒径を測定し、保管前のエマルジョンに対する粒径変化の有無を確認した。目視でエマルジョンが分離していないもの、及び、粒径変化がないものを、保存安定性がよいエマルジョンと評価した。一方、目視でエマルジョンが分離しているか、粒径変化があったものについては、保存安定性が悪いエマルジョンと評価した。
実施例1〜4のエマルジョンは、6ヶ月経過しても保存安定性が良かった。一方、比較例1のエマルジョンは、2週間経過後に分離しているのが確認された。
次に、実施例1、3、5、6、比較例1、2のエマルジョンのタック試験、ヒートシール試験を行い、表2に試験結果を示した。タック試験、ヒートシール試験方法は、以下のとおりである。
<タック試験>
OPPフィルム(パイレンP2111)に、乾燥膜厚が5μmになるように、エマルジョンを塗工し、45℃で乾燥させた。その後、室温にして、指触により、タックの有無を判断した。室温時のタックがない場合を○とし、タックが少しある場合は△、タックがある場合を×とした。
<ヒートシール試験>
OPPフィルムの塗工面の上に紙をおき、80℃、10秒間、1Kg/cmで、ヒートシールをする。紙とOPPフィルムをはがし、紙が破れたらヒートシール性があると判断した。ヒートシール性がある場合を○、ヒートシール性がやや劣る場合を△とした。
実施例1、3、5、6のエマルジョンは、ヒートシール性が良好であった。特に、実施例5、6のエマルジョンは、室温時のタック性がなく、ヒートシール性があることから、ディレードタック性を有するエマルジョンであるといえる。比較例1のエマルジョンは、室温時にタック性があり、ヒートシール性はやや劣っていた。比較例2のエマルジョンは、保存安定性が悪く、調製後3時間で分離してしまい、試験対象とすることができなかった。
次に、実施例1、3のエマルジョンの防湿性試験を行い、試験結果を表3に示した。比較例3としたスチレンアクリルエマルジョンB(酸価:51、Tg:56℃)は、従来、防湿性が良いことで知られているエマルジョンである。防湿性の試験方法は、以下のとおりである。
<防湿性の試験方法>
JIS−Z−0208による防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準ずる方法で行った。具体的には、エマルジョンをバーコーター#50にて、マリコート紙に塗工し、110℃、150秒乾燥した。その後、各試料の防湿面が外側になるように、恒温高湿槽(温度40℃、相対湿度90%)に入れ、24時間後の重量変化を測定し、透湿度を算出した。透湿度の単位はg/m2である。
表3より、実施例1および実施例3のエマルジョンは、透湿度の値が低く、防湿性に優れていることが分かる。
塗料に含まれる微量の有機溶剤が塗装面の仕上がり具合に影響を与える場合がある。実施例1、3のエマルジョンは、有機溶剤を全く使用せずに製造されるため、塗装面が有機溶剤の影響を受けることがなく、塗料に好適である

Claims (6)

  1. ポリイソブチレン100重量部に対して乳化剤を1〜30重量部含む、水を分散媒とするエマルジョンであって、
    前記乳化剤が、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩であることを特徴とする、エマルジョン。
  2. 前記エマルジョンの平均粒径が0.1〜10μmであることを特徴とする、請求項1に記載のエマルジョン。
  3. 記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量が1800〜100000g/molであり、酸価が50〜300mgKOH/gであることを特徴とする、請求項1または2に記載のエマルジョン。
  4. 前記ポリイソブチレンの粘度平均分子量が1000〜400000g/molであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のエマルジョン。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエマルジョンを含むことを特徴とする、粘接着剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエマルジョンを含むことを特徴とする、防湿塗料。
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