以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置(本実施の形態では、電子写真方式でタンデム方式のレーザープリンターなどのカラー画像形成装置)を示す概略構成図である。
図1に本実施例の電子写真方式の多色(カラー)画像形成装置を示す。以下にその詳細について画像形成の行われるプロセスにしたがって順に説明する。以下に説明する画像形成装置の各動作は、制御部としてのCPU14によって制御される。
まず、図1に示すように、被受像部材である中間転写体としての中間転写ベルト5の平面部に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックのトナー用の各画像形成ユニットUy、Um、Uc、Ukが配置される。各画像形成ユニットの基本的な構成は同じであるので、以降に述べる画像形成ユニットの説明は、イエロー用画像形成ユニットUyについてのみ行うこととする。
図1中のイエロー用画像形成ユニットUyにおいて、潜像担持体1yは円筒形の感光体であり、矢印a方向、即ち図中で時計回りに周速100mm/secで回転駆動されている。感光体1yの表面には、帯電手段である帯電ローラー2yが圧接されており、感光体1yの回転とともに従動回転しつつ、不図示の帯電高圧電源からACあるいはDC高圧が印加され、感光体1y表面を所望の電位に帯電している。
次いで、感光体1yは、潜像形成手段である露光装置3によって、記録される画像情報に応じて露光される。露光はレーザービームスキャナーにより行われる。
現像手段である一成分非磁性接触現像器4yは、現像剤(トナー)を感光体1y表面に搬送し、感光体1yと現像ニップを形成するトナー担持体としての現像ローラー41y、現像ローラー41yの表面へトナーを供給するためのトナー供給部材としての供給ローラー42y、現像ローラー41y上のトナー層厚を規制し、同時に接触帯電をさせる規制部材としての規制ブレード44yで構成されている。
表面をトナーで均一にコートされた現像ローラー41yは、感光体1yに軽圧接され、感光体1yに対して順方向である矢印cの方向(反時計回り)に速度差をもたせて回転する。そして、現像ローラ41yに現像高圧電源43から所定のDC電圧を印加することにより、感光体1y上の潜像をトナー像として顕像化する。また、現像ローラー41yには現像ローラー41yにトナーを供給する供給ローラー42yが接しており、現像ローラー41yに対して反対方向に摺動するように、矢印dの方向(反時計回り)に回転する。供給ローラーに不図示の高圧電源から所定のDC電圧を印加することにより現像ローラー41yへのトナー供給および回収を制御している。
現像器4yによって顕像化された感光体1y上のトナー像は、感光体1yの回転にしたがって中間転写ベルト5と感光体1y間で形成される1次転写部へ搬送される。中間転写ベルト5は、感光体1yに接触して矢印bの方向に駆動されている。
1次転写手段である1次転写ローラー8yは、中間転写ベルト5を介して感光体1yに圧接されている。1次転写ローラー8yに1次転写高圧電源81より電圧を印加することで、1次転写部には転写電界が形成されている。1次転写部に到達したトナー像は、この転写電界の作用により中間転写ベルト5の表面に転写される。
1次転写後の感光体1yの帯電状態は、トナー像の有無や1次転写高圧の影響により不安定となっている。そこで本実施例では、LED等を用いた不図示の露光装置によって、1次転写後に感光体1yを照射することにより、感光体1yの帯電状態を安定化し、均一な帯電を行えるようにしている。
本実施例の1次転写ローラー8yは、芯金の周囲にEPDMゴムの層を形成し、ローラー形状にしたものである。このEPDMゴムの層はカーボンを分散させ体積抵抗値10^5Ω以下になるよう導電化され、また発泡されたものである。また、1次転写高圧電源81からの電圧は、芯金に印加されている。なお、本実施例ではローラー形状のものを使用したが、シート、ブレード、あるいはブラシ形状にしたものでも使用可能である。
中間転写ベルト5には、体積抵抗値10^7Ω以下のものを使用している。ベルト構成は、樹脂やゴム材に導電粒子を分散させ、抵抗値調整をした単層ベルトを用いることができる。他のベルト構成例としては、10^4Ω以下の抵抗値の樹脂またはゴムベルトの表層に、離型性を向上させるためのPTFE・PFA・ETFEなどのフッ素樹脂を数十μmコーティングしたような複数層構成のものでもよい。この中間転写ベルト5は、駆動ローラー6、支持ローラー7、2次転写対向ローラー92に張架・駆動され中間転写ユニットとして構成されている。画像形成ユニットUyと同様に他の画像形成ユニットUm、Uc、Ukユニットで形成されたトナー像が、順次中間転写ベルト5上に重ねられフルカラートナー像が形成される。ここで、駆動ローラー6/支持ローラー7は、電気的にフロートかもしくは1次転写高圧に準ずる高圧が印加されている。また、2次転写対向ローラー92の抵抗値は10^6Ω以下に調整され、接地されている。
中間転写ベルト5上のフルカラートナー画像は、2次転写手段である2次転写ローラー9と中間転写ベルト5で形成される2次転写部に到達すると、これに合わせて給紙部10から転写材Pが給紙される。2次転写部に転写材Pが到達するタイミングで、2次転写ローラー9に2次転写高圧電源91より所定の高圧が印加されトナー像を転写材Pに転移する。2次転写ローラー9は1次転写ローラー8と同様、芯金の周囲にEPDMゴムの層を形成し、ローラー形状にしたものであるが、EPDMゴム層の体積抵抗値は10^7〜10^13Ωに調整されている。また1次転写ローラー8と同様、2次転写高圧電源91からの電圧は、芯金に印加されている。
2次転写電圧の作用により、2次転写ローラー9−転写材P−中間転写ベルト5−2次転写対向ローラー92の経路に2次転写電流が流れ、2次転写に必要な電界を形成する。
フルカラートナー画像を転写された転写材Pは、2次転写対向ローラー92の曲率によって中間転写ベルト5から分離され、トナー像を転写材Pにのせた状態で定着器11へ搬送される。定着器11により、熱や圧力の作用が加えられることで、転写紙P上のトナー像が定着される。ここで定着器11は、定着スリーブ111と加圧ローラー112からなる。
一方、1次転写終了後の転写残トナーは、感光体クリーナー12yによってクリーニングされ、2次転写後の中間転写体上の残トナーは、クリーニング装置13によって除去される。ここで、クリーニング装置13は、クリーニングブレード131と廃トナー容器132とからなる。
図2は画像形成装置に具備されている露光装置の構成を説明する図である。レーザーユニット31より取り出されたコリメート光は回転するポリゴンミラー32により反射偏向走査されながら、順にfθレンズ33、折り返しミラー34を通過して最終的には感光体1表面に到達する。また、走査ビームの一部はBDミラー35で反射されBDセンサー36により光検知し、BDセンサー36からの出力信号を基準に走査回毎の書き込み信号を同期させ、ビームの書き込み位置ずれを防止する作用もなされている。
またレーザーユニット31は、半導体レーザー、コリメーター鏡筒に接着固定されたコリメーターレンズ、半導体レーザーの発光に必要な電流を供給し発光のON/OFFを制御するレーザー駆動基板とで構成されている。半導体レーザーは端面発光型のレーザーチップ、フォトダイオードとで構成されている。
図3は半導体レーザーの光量を一定に制御するAPC回路図である。レーザーチップから出射されたレーザー光をフォトダイオードで受光して光電変換してモニター電流Imを生ずる。モニター電流Imは抵抗Rmによってモニター電圧Vmに変換される。モニター電圧Vmはゲインアンプにより増幅された後コンパレータに入力され、基準電圧発生手段の基準電圧Vrefと比較する。レーザーチップに注入される電流はゲインアンプで増幅されたモニター電圧Vmが基準電圧Vrefと一致するようにフィードバック制御される。モニター電圧Vmと抵抗のRmとモニター電流Imの間には次の関係が成り立つ。
Im=Vm÷Rm …(1)
ここで抵抗のRmの値は感光体1上でレーザー光量が所定の値となるように調整されている。
APCの動作についてさらに説明する。APC動作では図4(a)のグラフのようにレーザーの駆動電流値を徐々に増やしていく。このときレーザーの光量は図5に示した電流−出力特性に従い、図4(b)のグラフのように光量を増していく。レーザー光量が予め設定された目標値W1[mW]に達すると、レーザーの駆動電流値はその時の値I1[A]に固定され、APCを終了する。また、APC動作中の感光体電位は、図6に示したレーザー光量−感光体電位特性に従い、図4(c)のグラフのように変化していく。
上述したように、APC中(画像形成前に感光ドラムを露光しながらレーザ光の出力を調整する調整期間中)の感光体には静電潜像が形成されており、APC中に現像ローラーが当接されると、トナーが現像されてしまう可能性がある。従来この問題に対応するため、図7のAの線のように、APCが終了しレーザーが消灯された後に現像ローラーを感光体に当接し、無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止していた。しかしながら、図7のAの線から分かるように、画像形成準備終了までの時間が増大し、FPOTの増大を招いていた。
FPOTの短縮を図るには、APCが終了する前に予め現像ローラーを当接しておく制御が望ましい。
まず、APCを開始する前に予め現像ローラーを当接しておく制御について図4を用いて簡単に説明する。この構成では、図4(c)に示したようなAPC実施中の所定の感光体電位V2を定め、その時のレーザー光量W2[mW]を求めておく。次にAPC中のレーザー光量モニター結果に基づき、レーザー光量が所定の値W2[mW]になるAPC開始からのタイミングを求める。これらの情報をもとに、実際の画像形成前のAPC動作中に、感光体上でレーザー光量W2[mW]が照射された部分、即ち感光体の電位が所定のV2となる部分が現像位置に到達したタイミングで、図8のように現像電圧を第2の現像電圧に切り替える動作をする。なお、レーザー光量が所定の値W2[mW]になったタイミングと現像電圧を第2の現像電圧に切り替えるタイミングの間には、レーザー照射位置と現像当接位置の間の距離に応じた時間差がある。以上述べたような構成をとることで、現像電圧と感光体電位との間の電位差がトナーと逆極性となるので、トナーが現像されないような構成にしている。
しかしながら、感光体の感度は製造公差・使用環境・劣化度合い等によってばらつきが生じるのが一般的である。即ち、同じレーザー光量を照射したときに感光体の電位が常に実線aで示したものと同じになるわけではなく、図9の破線bおよびcで示したように感光体電位にはばらつきがある。
図9の曲線aに対し、曲線bのように感光体感度が高い、即ち感光体電位が下がりやすい場合、図9のグラフに斜線で示したような現像電圧から感光体電位を減ずることで求められる電位差がトナーと同極性となる領域が生じる。すると、通常の画像形成と同じように多量のトナーが現像されてしまう。また逆に図9の曲線aに対し、曲線cのように感光体感度が低い、即ち感光体電位が下がりにくい場合、図9のグラフに網点で示した領域が生じる。この領域では現像電圧から感光体電位を減ずることで求められる電位差がトナーと逆極性であり、現像ローラー上のトナーが感光体上に現像されることは無いはずである。しかしながらトナー中には正規帯電極性((静電潜像を現像するための帯電極性。本実施例では負極性の静電潜像を反転現像するので、トナーの正規帯電極性は負である。)とは反対に帯電されているトナー(反転トナー)が存在し、曲線cのように、現像電圧と感光体電位の差の絶対値が大きい場合には、その反転トナーが現像ローラーから感光体上に移動する、反転カブリという現象が生じてしまう。
いずれの場合も現像ローラー当接時に感光体上にトナーが転移してしまうため、無駄なトナー消費や紙裏汚れを引き起こす可能性がある。
そこで本実施例では、この問題点を解決するため、現像ローラーと感光ドラムとが離間した離間状態から当接した当接状態への切り替えを、APC前に行う構成において、APC中の供給ローラーの周速を遅くする。これにより、APC中の現像ローラー上のトナー量が画像形成時よりも少なくなるように調節される。したがって、感光ドラムにおける露光された部分が現像位置にあるときに、現像位置(現像ニップ)に搬送される単位時間当たりのトナーの量を画像形成時よりも少なくなるように調節できるため、トナー消費と紙裏汚れが軽減される。また、それに加えて、感光体感度が高い時でも図9のグラフに斜線で示したような、現像電圧から感光体電位を減ずることで求められる電位差がトナーと同極性となる領域が生じないような、低い現像電圧を用いる。
このような構成を用いた場合、曲線bのように感光体感度が高い時でもトナーが現像されることは無い。逆に、曲線cのように感光体感度が低い時に前述した反転カブリが発生し易くなるが、現像ローラー上のトナー量を少なくする設定にしているので、反転トナーが感光体に現像される量を従来よりも抑制することができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止できる。よって、このような構成をとることで、FPOT短縮に有利な構成を用いながら、意図しないトナーの現像を抑制することができる。
本実施例の構成について、詳細に説明する。また、ここではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
画像形成装置がプリント信号を受信すると、感光体1yと現像ローラー41yが回転を始める。先に説明したように、感光体1yには帯電バイアスが印加され、所定の帯電電位に帯電される。本実施例では帯電電位は約−500Vに設定されており、そのための帯電バイアスとして帯電ローラー2yに−1000Vの電圧が印加されている。また、現像ローラー41yには感光体感度のバラツキを含めてもトナーが現像されないような、第1の現像電圧として−275Vを印加する。
次に、供給ローラー42yについて、不図示の駆動手段を用い、回転の周速を遅くするような動作をする。
本実施例では、画像形成時は、図1に示した回転方向に、感光体1yは100mm/s、現像ローラー41yは130mm/s、供給ローラー42yは150mm/sで回転するような設定である。また、感光体1yに対して現像ローラー41yは30mm/sの速度差で早く回転し、現像ローラー41yに対して供給ローラー42yは280mm/sの速度差を持って遅く(反対方向に)回転するような設定としている。それに対して、画像形成開始前は、駆動手段であるモーターの回転速度を切り替えることにより、100mm/sの速度、現像ローラー41yに対しては230mm/sの速度差を持って供給ローラー42yが回転するような設定とした。
次に先述したAPCが実行され、レーザー光量が適正となるよう調整される。また、本実施例では、APCが開始されてから感光体電位が−300Vを下回ると予測されるタイミングで、現像電圧を第2の値−50Vに変更する。最終的には露光部電位が−150Vとなるよう、レーザー光量が調整されている。
レーザー光量が目標値に到達しAPCが終了したところで、供給ローラー42yについて、モーターの回転速度を早くし、通常の画像形成時の周速である150mm/sに戻すような構成とした。本実施例における感光体電位、現像電圧、供給ローラー42yの周速の切り替えタイミングを図10に示す。
次に、上述した構成を用いたことによる効果について述べる。本実施例の構成である供給ローラー42yの周速を遅くし、現像ローラーとの速度差を変更する場合を、変更しない場合に対して比較した。現像ローラ上の単位面積当たりのトナー重量、紙裏汚れについての比較結果を表1に示した。
表1に示したように、本実施例の構成により、紙裏汚れのレベルを良化することが出来た。また、この際の現像ローラー上のトナー量も、本実施例の構成により下げることが出来ており、狙いの効果が得られていた。
以上説明したように、供給ローラーの周速の変更により、現像ローラーとの速度差を変更する構成を取ることで、現像ローラーをあらかじめ当接した状態でAPCを実行する系において、現像ローラー上のトナー量を少なくすることができる。これにより、現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を減らし、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
また、本実施例では、あらかじめ感光体と現像ローラーを当接した状態でAPCを行う構成について説明を行ったが、APCの途中で現像ローラーの当接を行う構成にも適用することが出来る。この構成においては、現像ローラと感光ドラムとが離間状態から前記当接状態に切り替わる時を含む所定期間において、現像位置(現像ニップ)に搬送される単位時間当たりのトナーの量を画像形成時よりも少なくなるように調節すればよい。供給ローラーの周速をAPC終了前後で変更することで、APC中の現像ローラー上のトナー量を少なくすることができる。従って、現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を減らし、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができる。
また、本実施例では、現像電圧の設定と供給ローラーの周速変更を組み合わせた構成について述べたが、供給ローラーの周速変更のみでも、APC中の現像ローラー上のトナー量を少なくすることができる。これにより、意図しないトナー現像の削減とFPOTの短縮の両立に効果を得ることが出来る。
また、画像形成開始時にAPC以外のレーザーを点灯させて行う光学調整を行う場合にも、本実施例は有効である。例えば走査光の一部をBDセンサー36で検知して行うレーザー書き込み位置の同期調整を、ポリゴンミラーの回転立ち上げと同時に行う場合がある。この場合ポリゴンミラーの回転が定常状態に達するまでレーザー光を点灯させておく必要があるため、APC実行時と同様の問題が発生する、よってこの場合でも本実施例の構成が無駄なトナー消費の削減とFPOTの短縮に対して有効であることは言うまでもない。なおポリゴンミラーの回転が定常状態となった以降は、APC実行時を除き、通常の動作における非画像形成時には現像域(現像ローラーの幅に対応する領域)ではレーザーが点灯されないため、感光体へのトナー付着は発生しない。
また、本実施例ではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮に影響が大きい、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
本実施例ではAPC時の現像ローラーの周速を遅くすることで、感光体−現像ローラー間の現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を画像形成時よりも少なくなるように制御を行う。
実施例1とは異なり、現像ローラー上のトナー量は変わらないものの、現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を減らす構成としている。したがって、感光体の感度にばらつきが生じた場合でも、感光体に現像されるトナー量を従来例よりも抑制することができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止できる。よって、このような構成をとることで、FPOT短縮に有利なAPC中に当接する構成を用いながら、意図しないトナーの現像を抑制することができる。
以下に、この構成の動作説明を詳細に行う。なお、ここでもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
画像形成装置がプリント信号を受信すると、感光体1yと現像ローラー41yが回転を始める。実施例1と同じく、感光体1yの帯電電位は約−500Vに設定されており、そのための帯電バイアスとして帯電ローラー2yに−1000Vの電圧が印加されている。また、現像ローラー41yにはトナーが現像されない第1の現像電圧として−275Vを印加する。
また、回転速度も実施例1と同じく、画像形成時は、感光体1yは100mm/s、現像ローラー41yは130mm/s、供給ローラー42yは150mm/sで回転するような設定である。また、画像形成時において、感光体1yに対して現像ローラー41yは30mm/sの速度差で早く回転し、現像ローラー41yに対して供給ローラー42yは280mm/sの速度差を持って遅く(反対方向に)回転するような設定としている。それに対して、画像形成開始前は、現像ローラー41yの周速を、本実施例では、駆動手段であるモーターの回転速度を切り替えることにより、100mm/sの速度、即ち感光体1yに対しては速度差の無い状態で供給ローラー42yが回転するような設定とした。また、本実施例では実施例1の構成である、現像ローラー41yと供給ローラー42yの回転速度差を変更することによる効果と独立に効果の検証を行うために、供給ローラー42yの回転速度を別途同時に早くした。すなわち、供給ローラ42yは、180mm/sで回転し、現像ローラー41yに対しては280mm/sの速度差を維持して回転するような構成とした。
次にAPCが実行され、レーザー光量が適正となるよう調整される。また、本実施例でも、APCが開始されてから感光体電位が−300Vを下回ると予測されるタイミングで、現像電圧を第2の値−50Vに変更する。最終的には露光部電位が−150Vとなるよう、レーザー光量が調整されている。
レーザー光量が目標値に到達しAPCが終了したところで、現像ローラー41yについて、モーターの回転速度を早くし、通常の画像形成時の周速である130mm/sに戻し、同時に供給ローラー42yの回転速度を遅くし、150mm/sに戻すような構成とした。本実施例における感光体電位、現像電圧、現像ローラー41yの周速の切り替えタイミングを図11に示す。
次に、上述した構成を用いたことによる効果について述べる。本実施例の構成である現像ローラー41yと感光体1yの周速差を変更する場合の紙裏汚れと、変更しない場合の紙裏汚れとの比較結果を表2に示した。
表2に示したように、本実施例の構成により、紙裏汚れのレベルを良化することが出来た。
以上説明したように、現像ローラーの周速を変更する構成を取ることで、現像ローラーをあらかじめ当接した状態でAPCを実行する系において、現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を減らすことができる。これにより無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
また、本実施例では、あらかじめ感光体と現像ローラーを当接した状態でAPCを行う構成について説明を行ったが、APCの途中で現像ローラーの当接を行う系にも適用することが出来る。この際にも、現像ローラーの周速は、APC終了前後で変更することで、APC中の現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナー量を少なくすることができる。これにより、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができる。
また、本実施例では、現像ローラーと供給ローラーの速度差は維持するような構成について説明を行ったが、実施例1のように供給ローラーが遅く回転するような構成を同時に実施しても、APC中の現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナー量を少なくすることができる。これにより、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができる。
具体的な構成としては、本実施例の構成で現像ローラー41yと供給ローラー42yを同じギア列で回転させる構成を適用すれば、画像形成前の現像ローラー41yの周速を100mm/sの速度にした場合には、供給ローラー42yの回転速度も同時に遅くなり、115mm/sで回転する。現像ローラー41yに対して225mm/sの速度差を持って供給ローラー42yが回転するような設定となり、画像形成中の280mm/sの速度差よりも小さくなり、実施例1の効果を併せ持つような構成にできる。
また、本実施例では、現像電圧の設定と現像ローラーの周速変更を組み合わせた構成について述べたが、現像ローラーの周速変更のみでも、APC中の現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナー量を少なくすることができる。従って、意図しないトナー現像の削減とFPOTの短縮の両立に効果を得ることが出来る。
また画像形成開始時にAPC以外のレーザーを点灯させて行う光学調整を行う場合にも、本実施例は有効である。例えば走査光の一部をBDセンサー36で検知して行うレーザー書き込み位置の同期調整を、ポリゴンミラーの回転立ち上げと同時に行う場合がある。この場合ポリゴンミラーの回転が定常状態に達するまでレーザー光を点灯させておく必要があるため、APC実行時と同様の問題が発生する、よってこの場合でも本実施例の構成が無駄なトナー消費の削減とFPOTの短縮に対して有効であることは言うまでもない。なおポリゴンミラーの回転が定常状態となった以降は、APC実行時を除き、通常の動作における非画像形成時には現像域(現像ローラーの幅に対応する領域)ではレーザーが点灯されないため、感光体へのトナー付着は発生しない。
また、本実施例ではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮に影響が大きい、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
本実施例ではAPC時に、現像ローラーと供給ローラーの印加電圧差を画像形成時とは変更することで、現像ローラー上のトナーの量を画像形成時よりも少なくし、現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を減らすように制御を行う。具体的には、本実施例ではマイナスに帯電するトナーを用い、供給ローラーの電位から現像ローラーの電位を減じた電位差を、トナーの正規帯電極性と逆極性であるプラスの値にすることで、トナーを現像ローラーから供給ローラーに回収するような構成とする。
このような構成にすることで、実施例1と同様に、現像ローラー上のトナー量を減らし、感光体の感度にばらつきが生じた場合でも、感光体に現像されるトナー量を従来例よりも抑制することができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止できる。よって、このような構成をとることで、FPOT短縮に有利なAPC中に当接する構成を用いながら、意図しないトナーの現像を抑制することができる。
以下に、この構成の動作説明を詳細に行う。なお、ここでもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
画像形成装置がプリント信号を受信すると、感光体1y、現像ローラー41y、供給ローラー42yが回転を始める。実施例1と同じく、感光体1yの帯電電位は約−500Vに設定されており、そのための帯電バイアスとして帯電ローラー2yに−1000Vの電圧が印加されている。また、現像ローラー41yにはトナーが現像されない第1の現像電圧として−275Vを印加し、供給ローラー42yには、トナーが回収されるように+200Vの電圧を印加する。
本実施例では、画像形成時は、感光体1yの露光部は−150V、非露光部は−500Vの電位であり、現像ローラー41yには−350V、供給ローラー42yには−500V、規制ブレード44yには−400Vを印加するような設定としている。よって、供給ローラー42yは現像ローラー41yより−150V高電圧であり、マイナスに帯電する現像ローラー41y上のトナーは、通常の画像形成時は電気的には供給ローラーに回収されることはない。
それに対して、画像形成開始前は、上述したように供給ローラー42yには、トナーが回収されるように+200Vの電圧を印加し、現像ローラー41yには第1の電圧−275Vを印加する。従って、供給ローラー42yは現像ローラー41yより+475V高電圧であり、マイナスに帯電する現像ローラー41y上のトナーは、クーロン力により供給ローラーに回収される。
次にAPCが実行され、レーザー光量が適正となるよう調整される。また、本実施例でも、APCが開始されてから感光体電位が−300Vを下回ると予測されるタイミングで、現像電圧を第2の値−50Vに変更する。この変更により、現像ローラーと供給ローラーの印加電圧差は+250Vに減少するが、本実施例では供給ローラーの印加電圧は変更を行わない構成とした。APCでは最終的には露光部電位が−150Vとなるよう、レーザー光量が調整されている。
レーザー光量が目標値に到達しAPCが終了したところで、供給ローラー42yの印加電圧を、通常の画像形成時の設定である、−500Vに戻すような構成とした。本実施例における感光体電位、現像電圧、供給ローラー電圧の切り替えタイミングを図12に示す。
次に、上述した構成を用いたことによる効果について述べる。本実施例の構成である供給ローラー42yの印加電圧を変更する場合を、変更しない場合に対して比較した。現像ローラ上の単位面積当たりのトナー重量、紙裏汚れについて比較結果を表3に示す。
表3に示したように、本実施例の構成により、紙裏汚れのレベルを良化することが出来た。また、この際の現像ローラー上のトナー量も、本実施例の構成により下げることが出来ており、狙いの効果が得られていた。
以上説明したように、現像ローラーと供給ローラーの印加電圧の差をAPC終了前後で変更する構成を取ることで、あらかじめ現像ローラーを当接した状態でAPCを実行する系において、現像ローラー上のトナー量を減らすことができる。従って、現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を減らし、無駄なトナー現像によるトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
また、本実施例では、あらかじめ感光体と現像ローラーを当接した状態でAPCを行う構成について説明を行ったが、APCの途中で現像ローラーの当接を行う系にも適用することが出来る。この際にも、現像ローラーと供給ローラーの印加電圧の差は、APC終了前後で変更することで、APC中の現像ローラー上のトナー量を少なくすることができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができる。
また、本実施例では、トナーがマイナス帯電する構成について説明を行ったが、プラスに帯電する場合は、現像ローラーと供給ローラーの電位差の符号を逆にすることで本実施例の構成を適用することが出来る。
また、本実施例では、現像電圧の設定と供給ローラーの電圧設定を組み合わせた構成について述べたが、供給ローラーの電圧設定のみでも、APC中の現像ローラー上のトナー量を少なくすることができ、意図しないトナー現像の削減とFPOTの短縮の両立に効果を得ることが出来る。
また画像形成開始時にAPC以外のレーザーを点灯させて行う光学調整を行う場合にも、本実施例は有効である。例えば走査光の一部をBDセンサー36で検知して行うレーザー書き込み位置の同期調整を、ポリゴンミラーの回転立ち上げと同時に行う場合がある。この場合ポリゴンミラーの回転が定常状態に達するまでレーザー光を点灯させておく必要があるため、APC実行時と同様の問題が発生する、よってこの場合でも本実施例の構成が無駄なトナー消費の削減とFPOTの短縮に対して有効であることは言うまでもない。なおポリゴンミラーの回転が定常状態となった以降は、APC実行時を除き、通常の動作における非画像形成時には現像域(現像ローラーの幅に対応する領域)ではレーザーが点灯されないため、感光体へのトナー付着は発生しない。
また、本実施例ではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮に影響が大きい、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
本実施例ではAPC時に、現像ローラーと規制ブレードの印加電圧差を画像形成時とは変更することで、現像ローラー上のトナーの量を画像形成時よりも少なくなるように制御を行う。
具体的には、本実施例ではマイナスに帯電するトナーを用い、規制ブレードの電位から現像ローラーの電位を減じた電位差が、トナーの正規帯電極性と逆極性であるプラスの値にすることで、トナーを現像ローラーから規制ブレードに回収するような構成とする。
このような構成にすることで、実施例1と同様に、現像ローラー上のトナー量を減らし、感光体の感度にばらつきが生じた場合でも、感光体に現像されるトナー量を従来例よりも抑制することができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを防止できる。よって、このような構成をとることで、FPOT短縮に有利なAPC中に当接する構成を用いながら、意図しないトナーの現像を抑制することができる。
以下に、この構成の動作説明を詳細に行う。なお、ここでもイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明する。
画像形成装置がプリント信号を受信すると、感光体1y、現像ローラー41y、供給ローラー42yが回転を始める。実施例1と同じく、感光体1yの帯電電位は約−500Vに設定されており、そのための帯電バイアスとして帯電ローラー2yに−1000Vの電圧が印加されている。また、現像ローラー41yにはトナーが現像されない第1の現像電圧として−275Vを印加し、規制ブレード44yには、トナーが回収されるように+200Vの電圧を印加する。
本実施例では、画像形成時は、感光体1yの露光部は−150V、非露光部は−500Vの電位であり、現像ローラー41yには−350V、供給ローラー42yには−500V、規制ブレード44yには−400Vを印加するような設定としている。よって、規制ブレード44yは現像ローラー41yより−50V高電圧の為、マイナスに帯電する現像ローラー41y上のトナーは、通常の画像形成時は電気的には規制ブレードに回収されることはない。
それに対して、画像形成開始前は、上述したように規制ブレード44yには、トナーが回収されるように+200Vの電圧を印加し、現像ローラー41yには第1の電圧−275Vを印加する。この際、供給ローラー42yは現像ローラー41yより+475V高電圧の為、マイナスに帯電した現像ローラー41y上のトナーは、クーロン力により供給ローラーに回収される。
次にAPCが実行され、レーザー光量が適正となるよう調整される。また、本実施例でも、APCが開始されてから感光体電位が−300Vを下回ると予測されるタイミングで、現像電圧を第2の値−50Vに変更する。この際に現像ローラーと規制ブレードの電圧差が変化するが、本実施例では規制ブレードの印加電圧は変更を行わない構成とした。APCでは最終的には露光部電位が−150Vとなるよう、レーザー光量が調整されている。
レーザー光量が目標値に到達しAPCが終了したところで、規制ブレード44yの印加電圧を、通常の画像形成時の設定である−400Vに戻すような構成とした。本実施例における感光体電位、現像電圧、規制ブレード電圧の切り替えタイミングを図13に示す。
次に、上述した構成を用いたことによる効果について述べる。本実施例の構成である規制ブレード44yの印加電圧を変更する場合を、変更しない場合に対して比較した。現像ローラ上の単位面積当たりのトナー重量、紙裏汚れについての比較結果を表4に示した。
表4に示したように、本実施例の構成により、紙裏汚れのレベルを良化することが出来た。また、この際の現像ローラー上のトナー量も、本実施例の構成により下げることが出来ており、狙いの効果が得られていた。
以上説明したように、規制ブレードの印加電圧をAPC終了前後で変更する構成を取ることで、あらかじめ現像ローラーを当接した状態でAPCを実行する系において、現像ローラー上のトナー量を減らすことができる。これにより、無駄なトナー現像によるトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
また、本実施例では、あらかじめ感光体と現像ローラーを当接した状態でAPCを行う構成について説明を行ったが、APCの途中で現像ローラーの当接を行う系にも適用することが出来る。この際にも、規制ブレードの印加電圧は、APC終了前後で変更することで、APC中の現像ローラー上のトナー量を少なくすることができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができる。
また、本実施例では、現像電圧の設定と規制ブレードの電圧設定を組み合わせた構成について述べたが、規制ブレードの電圧設定のみでも、APC中の現像ローラー上のトナー量を少なくすることができる。これにより、意図しないトナー現像の削減とFPOTの短縮の両立に効果を得ることが出来る。
また画像形成開始時にAPC以外のレーザーを点灯させて行う光学調整を行う場合にも、本実施例は有効である。例えば走査光の一部をBDセンサー36で検知して行うレーザー書き込み位置の同期調整を、ポリゴンミラーの回転立ち上げと同時に行う場合がある。この場合ポリゴンミラーの回転が定常状態に達するまでレーザー光を点灯させておく必要があるため、APC実行時と同様の問題が発生する、よってこの場合でも本実施例の構成が無駄なトナー消費の削減とFPOTの短縮に対して有効であることは言うまでもない。なおポリゴンミラーの回転が定常状態となった以降は、APC実行時を除き、通常の動作における非画像形成時には現像域(現像ローラーの幅に対応する領域)ではレーザーが点灯されないため、感光体へのトナー付着は発生しない。
また、本実施例ではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮に影響が大きい、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。
(参考例)
本参考例では、実施例2の現像ローラーの周速を遅し、感光体との速度差を変更することで、感光体−現像ローラー間の現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を画像形成時よりも少なくなるように制御を行う構成を、感光体とトナー担持体が圧接しない、非接触現像方式に適用した構成を用いて、その効果の説明を行う。
本実施例では、図1中のイエロー用画像形成ユニットUyにおいて、現像手段である一成分非接触現像器4y内の現像スリーブ41yは金属管からなり、不図示のコロをスペーサーとして、250μmの間隔を設けた状態で、感光体1yと現像ニップを形成している。また、一成分非接触現像器4yは、現像スリーブ41yの表面へトナーを塗布するための現像剤供給手段である供給ローラー42y、現像スリーブ41y上のトナー層厚を規制し、同時に接触帯電をさせる規制ブレード44yで構成されている。
表面をトナーで均一にコートされた現像スリーブ41yは感光体1yに対して順方向である矢印cの方向(反時計回り)に速度差をもたせて回転し、これに現像高圧電源43から所定のDC電圧とAC電圧を重畳して印加することにより、感光体1y上の潜像をトナー像として顕像化する。
上述した画像形成ユニットUyにおいて、本実施例ではFPOT短縮の為、画像形成装置がプリント信号を受信すると、感光体1yと現像スリーブ41yが回転を始め、同時に帯電ローラー2y、現像スリーブ41yに電圧を印加する。実施例2と同じく、感光体1yの帯電電位は約−500Vに設定されており、そのための帯電バイアスとして帯電ローラー2yに−1000Vの電圧が印加されている。また、現像スリーブ41yには非画像形成時はトナーの飛翔を抑制するために、DC電圧のみを印加し、トナーが現像されない第1の現像電圧として−275Vを印加する。
また、回転速度も実施例2と同じく、画像形成時は、感光体1yは100mm/s、現像スリーブ41yは130mm/s、供給ローラー42yは150mm/sで回転するような設定であり、感光体1yに対して現像スリーブ41yは30mm/sの速度差で早く回転し、現像スリーブ41yに対して供給ローラー42yは280mm/sの速度差を持って遅く(反対方向に)回転するような設定としている。それに対して、画像形成開始前は、現像スリーブ41yの周速を、本実施例では、駆動手段であるモーターの回転速度を切り替えることにより、100mm/sの速度、即ち感光体1yに対しては速度差の無い状態で供給ローラー42yが回転するような設定とした。また、本実施例でも実施例2と同様に、実施例1の構成である、現像スリーブ41yと供給ローラー42yの回転速度差を変更することによる効果と独立に効果の検証を行うために、供給ローラー42yの回転速度を同時に早くし、180mm/sで回転し、現像スリーブ41yに対しては280mm/sの速度差を維持して回転するような構成とした。
次にAPCが実行され、レーザー光量が適正となるよう調整される。また、本実施例でも、APCが開始されてから感光体電位が−300Vを下回ると予測されるタイミングで、現像電圧を第2の値−50Vに変更する。最終的には露光部電位が−150Vとなるよう、レーザー光量が調整されている。
レーザー光量が目標値に到達しAPCが終了したところで、現像スリーブ41yについて、モーターの回転速度を早くし、通常の画像形成時の周速である130mm/sに戻し、同時に供給ローラー42yの回転速度を遅くし、150mm/sに戻すような構成とした。本実施例における感光体電位、現像電圧、現像スリーブ41yの周速の切り替えタイミングを図11に示す。
次に、上述した構成を用いたことによる効果について述べる。本実施例の構成である現像スリーブ41yと感光体1yの周速差を変更する場合の紙裏汚れと、変更しない場合の紙裏汚れを比較した結果を表5に示す。
非接触現像系においては、感光体とトナー担持体が常時離れていることから、意図しないトナー現像は発生し難く、本実施例の構成を用いなくても紙裏汚れはごくわずかで実用上問題となるレベルではなかった。しかし、表5に示したように、本実施例の構成により、紙裏汚れのレベルを良化することが出来た。
以上説明したように、非接触現像方式をもちいた場合においても、現像スリーブの周速を変更する構成を取ることで、画像形成前にAPCを実行する系において、現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナーの量を減らすことができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができた。
また、本実施例では、現像スリーブと供給ローラーの速度差は維持するような構成について説明を行ったが、実施例1のように供給ローラーが遅く回転するような構成を同時に実施しても、APC中の現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナー量を少なくすることができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができる。
具体的な構成としては、本実施例の構成で現像スリーブ41yと供給ローラー42yを同じギア列で回転させる構成を適用すれば、現像スリーブ41yの周速を100mm/sの速度にした場合には、供給ローラー42yの回転速度も同時に遅くなり、115mm/sで回転し、現像スリーブ41yに対しては225mm/sの速度差を持って供給ローラー42yが回転するような設定となり、実施例1の効果を併せ持つような構成にできる。
また、本実施例では、一成分現像剤を用いた場合について述べたが、非磁性トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いた場合においても同様な効果を得ることが出来る。
また、本実施例では、非接触現像方式において実施例2と同様の構成である現像スリーブ周速を変更する構成を用いたが、実施例1、実施例3、実施例4の構成を非接触現像方式に適用しても同様に、APC中の現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナー量を少なくすることができ、無駄なトナー消費や紙裏汚れを発生させることなく、FPOTの短縮を図ることができる。
また、本実施例では、現像電圧の設定と現像ローラーの周速変更を組み合わせた構成について述べたが、現像スリーブの周速変更のみでも、APC中の現像ニップに単位時間当たりに搬送されるトナー量を少なくすることができ、意図しないトナー現像の削減とFPOTの短縮の両立の効果を得ることが出来る。
また画像形成開始時にAPC以外のレーザーを点灯させて行う光学調整を行う場合にも、本実施例は有効である。例えば走査光の一部をBDセンサー36で検知して行うレーザー書き込み位置の同期調整を、ポリゴンミラーの回転立ち上げと同時に行う場合がある。この場合ポリゴンミラーの回転が定常状態に達するまでレーザー光を点灯させておく必要があるため、APC実行時と同様の問題が発生する、よってこの場合でも本実施例の構成が無駄なトナー消費の削減とFPOTの短縮に対して有効であることは言うまでもない。なおポリゴンミラーの回転が定常状態となった以降は、APC実行時を除き、通常の動作における非画像形成時には現像域(現像スリーブの幅に対応する領域)ではレーザーが点灯されないため、感光体へのトナー付着は発生しない。
また、本実施例ではイエローの画像形成ユニットUyについてのみ説明を行ったが、マゼンタ・シアン・ブラックの画像形成ユニット(Um・Uc・Uk)についても本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。またFPOT短縮に影響が大きい、より上流に配置されている画像形成ユニットにのみ本実施例と同様の制御を行う構成としても良い。