JP5873749B2 - アンテナ - Google Patents
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Description
ここで、当該マイクロストリップアンテナが実装される装置の配置等によっては、マイクロストリップアンテナの電波の放射方向をアンテナ素子に対して傾斜させたい場合がある。
このような場合、一般的な技術として、アンテナ素子を複数個配置してアレーアンテナを構成し、各素子への給電線路の長さを異ならせてそれぞれの位相を調整することで、合成波を傾斜させたり(例えば、特許文献1参照)、複数個配置したアンテナ素子の大きさを互いに異ならせて各素子それぞれの位相を調整することで、合成波を傾斜させるといった方法が知られている。
このため、マイクロストリップアンテナにおいて、電力損失を低減しつつ、電波の放射方向を精度よく傾斜させることができる技術が嘱望されていた。
この場合、必要なビームの傾斜角度に応じて素子幅を調整する際に、アンテナ素子としての利得を高めることができる波数とするための自由度を高めることができる。
つまり、給電線路がアンテナ素子の幅方向中央に接続されている場合、アンテナ素子の放射面上において幅方向両側から放射される電波は、互いに同じように遅延した位相となるので、アンテナ素子から放射される合成波はアンテナ素子の正面方向に沿ってビームを形成する。
これに対して、本願発明によれば、遅延波が幅方向他方側から偏って放射されるので、アンテナ素子から放射される合成波はアンテナ素子の正面方向に対して他方側に傾斜したビームを形成する。
よって、上記アンテナにおいて、前記給電線路は、前記アンテナ素子の幅方向一端側の角部近傍であって、前記アンテナ素子の幅方向一端から、前記信号波の波長の1/4倍以下の位置に接続されていることが好ましく、この場合、アンテナ素子全体としての電波の放射方向をさらに効果的に傾斜させることができる。
前記角部に給電線路を接続すれば、当該給電線路とアンテナ素子との間でインピーダンス整合がとれず、入力される信号波に反射が生じて伝送損失が生じるが、上記の場合、給電線路をアンテナ素子の角部近傍に接続したので、伝送損失を抑えつつ、アンテナ素子全体としての電波の放射方向をさらに効果的に傾斜させることができる。
なお、アンテナ素子の正面方向とは、アンテナ素子の放射面に対して垂直な方向をいう。
図1中、マイクロストリップアンテナ1は、矩形状に形成された誘電体基板2と、この誘電体基板2の下面に形成された接地板としての地導体3と、誘電体基板2の上面に形成されたストリップ導体4とを備えている。
誘電体基板2は、例えば、フッ素樹脂又はセラミックス等の所定の誘電率を有する誘電体を矩形板状に形成したものであり、下面に銅箔、銀箔、又はアルミ箔等の導電性材料からなる地導体3が貼り合わされており、上面に銅箔、銀箔、又はアルミ箔等の導電性材料からなるストリップ導体4が貼り合わされている。
アンテナ素子6は、その矩形状の表面である放射面6aから、給電線路7を介して供給される信号波を電波として放射し、ビームを形成する。
なお、上記「管内波長の1/4倍」とは、物理的な寸法に対応する電気的な距離(経路長)が管内波長の1/4倍という意味である。以下、「寸法、又は位置が管内波長のm倍」といった表現は、上記同様に、物理的な寸法、又は位置に対応する電気的な距離(経路長)が管内波長のm倍という意味である。
つまり、給電線路7がアンテナ素子6の幅方向中央に接続されている場合、アンテナ素子6の放射面6a上において幅方向両側から放射される電波は、互いに同じように遅延した位相となるので、アンテナ素子6から放射される合成波はアンテナ素子6の放射面6aに垂直な方向(正面方向)に沿ってビームを形成する。
これに対して、本実施形態のマイクロストリップアンテナ1では、遅延波が幅方向他方側から偏って放射されるので、アンテナ素子6から放射される合成波はアンテナ素子6の正面方向に対して他方側に傾斜したビームを形成する。
仮に、給電線路7を、アンテナ素子6の長手方向側部6eと幅方向側部6bとが繋がる角部に設けた場合、給電線路7と、アンテナ素子6との間のインピーダンス整合がとれず、給電線路7を介してアンテナ素子6に供給される信号波に反射が生じ、伝送損失が生じる。
この点、本実施形態では、給電線路7をアンテナ素子6の角部近傍に接続したので、伝送損失を抑えつつ、アンテナ素子6全体としての電波の放射方向をさらに効果的に傾斜させることができる。
この点、本実施形態では、寸法w1を管内波長の1/4以下したのでアンテナ素子6全体としての電波の放射方向を効果的に傾斜させることができる。
さらに、寸法w1を管内波長の1/8以下とすることが好ましく、これによって、アンテナ素子6全体としての電波の放射方向をより効果的に傾斜させることができる。
さらに、給電線路7は、アンテナ素子6の角部近傍であって、アンテナ素子6の幅方向側部6bに接続するように形成してもよい。
このように、本実施形態のマイクロストリップアンテナ1によれば、給電線路7の接続部7a、アンテナ素子6の素子幅W、及びそれに応じて素子長Lを調整することで、電波の放射方向を任意の角度に傾斜させることもできる。
図中、この実施形態のマイクロストリップアンテナ1は、誘電体基板2上に4つのアンテナ素子6が形成されている。各アンテナ素子6は、幅方向側部6b又は長手方向側部6eから給電線路7が延ばされており、同じ方向にビームが傾斜するように配置されている。また、各アンテナ素子6は、給電線路7を介して誘電体基板2の裏面に配置された当該アンテナ1を制御するためのICチップに接続されている。
このように、同じ方向にビームが傾斜するように配置された多数のアンテナ素子6を備えることで、より利得を高めることができ、それにより指向性を鋭くすることができる。
試験方法としては、本発明に係る実施例品について、コンピュータによるシミュレーションによって、所定の信号波を供給したときのアンテナの電界分布を解析し、図2に示すように、マイクロストリップアンテナ1により形成される合成波によるビームについて、アンテナ素子6の放射面6aの正面方向に対するビーム方向の傾斜角度と利得とを求め、効果を検証した。
給電線路7は、以下に示す条件全ての場合において、幅方向側部6bから当該給電線路7の中心に至るまでの幅方向の寸法w1(図1)が管内波長の1/8倍となる位置に設けた。
図4は、解析したアンテナ素子6の電界分布の一例を示す図であり、(a)は管内波長が1波長の場合、(b)は管内波長が1.5波長の場合、(c)は管内波長が2波長の場合、(d)は管内波長が2.5波長の場合を示している。図4中、ハッチングのない領域E1は、相対的に最も電界が弱い領域を示しており、領域E1〜E4と、ハッチングの間隔が狭い領域ほど強電界となっている。各図が示すアンテナ素子6の電界分布をみると、周期的に強電界の領域が現れており、このことから、管内波長が「1+0.5×n」(但し、nは0以上の整数)を満たす値では、供給された信号波が放射されるのに十分な共振状態にあることが確認できる。
表1及び図4に示すように、本発明のマイクロストリップアンテナは、管内波長が「1+0.5×n」(但し、nは0以上の整数)を満たす値については、その管内波長(素子幅W)の増加に応じてビーム方向の傾斜角度が増加していることが確認できる。
この結果から、素子幅Wを調整すれば、所望の傾斜角度を精度よく得ることができることが判る。
この結果から、素子幅Wを調整してビームを傾斜させたとしても、十分な利得が得られることが判る。
これより、アンテナ素子6の素子幅Wを、管内波長の「1+0.5×n」倍(但し、nは0以上の整数)とすることによって、アンテナ素子6としての利得を高めるとともに、「n」を調整することで、必要な角度に電波の放射方向を傾斜させることができる。
また、「n」の値を大きくすれば、それに伴って傾斜角度も大きくなるが、その度合は、次第に小さくなる傾向にあることが判る。
なお、素子長Lは、管内波長の1/2倍となる寸法に設定している。
いても、規格化素子幅の増加に伴って、ビーム方向の傾斜角度が増加していることが確認できる。この結果から、素子幅Wを調整すれば、所望の傾斜角度を精度よく得ることができることが判る。
第3の検証試験の結果を表3、及び図8に示す。
また、この結果から、素子幅Wを調整するとともに、素子長Lを調整すれば、ビーム方向の傾斜角度を微調整することができ、所望の傾斜角度をさらに精度よく得ることができることが判る。
2 誘電体基板
3 地導体
4 ストリップ導体
6 アンテナ素子
7 給電線路
Claims (3)
- 正面方向に対して傾斜したビームを形成するアンテナであって、
ストリップ導体からなり、前記ビームを形成する一つの矩形状のアンテナ素子と、
前記アンテナ素子から延びている線状の給電線路と、を備え、
前記アンテナ素子は、その素子幅が前記給電線路を伝播する信号波の1波長以上であるとともに、前記信号波が放射される領域を複数有しており、
前記複数の領域は、前記アンテナ素子の幅方向に沿って並んでおり、
前記給電線路は、前記複数の領域の内、前記幅方向一方側の端部に位置する領域に給電しうる位置に設けられ、
前記複数の領域は、互いに隣接する一対の領域の内、前記幅方向他方側に位置する領域が、前記幅方向一方側に位置する領域による信号波よりも位相が遅延した信号波を放射することで、当該アンテナ素子の正面方向に対して傾斜した前記ビームを形成するものであることを特徴とするアンテナ。 - 前記アンテナ素子の素子幅が、前記信号波の波長の(1+0.5×n)倍(但し、nは0以上の整数)である請求項1に記載のアンテナ。
- 前記給電線路は、前記アンテナ素子の幅方向一端側の角部近傍であって、前記アンテナ素子の幅方向一端から、前記信号波の波長の1/4倍以下の位置に接続されている請求項1又は2に記載のアンテナ。
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