JP5870976B2 - 積層セラミックコンデンサ用セラミック粉末、誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents
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また、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、セラミック粉末と添加物とを用いて作製したセラミックグリーンシートを熱処理した際に得られる粉末の比表面積の値と、セラミック粉末と添加物とを混合したのみの粉末の比表面積の値との差が、3m2/g以下であることが好ましい。
この発明にかかる積層セラミックコンデンサ用セラミック粉末は、複数の誘電体セラミック層と複数の内部電極とが交互に積層されてなるセラミック素体と、セラミック素体の外表面に形成され、内部電極と電気的に接続されている外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層を作製するために用いられる積層セラミックコンデンサ用セラミック粉末であって、圧壊強度が1854kPa以下である、BaとTiとを含むペロブスカイト型化合物を含有することを特徴とする、積層セラミックコンデンサ用セラミック粉末である。
また、この発明にかかる誘電体セラミックは、複数の誘電体セラミック層と複数の内部電極とが交互に積層されてなるセラミック素体と、セラミック素体の外表面に形成され、内部電極と電気的に接続されている外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層を作製するために用いられる誘電体セラミックであって、圧壊強度が1854kPa以下である、BaとTiとを含むペロブスカイト型化合物を含有するセラミック粉末と、Mg,Mn,Dyのうち少なくとも1種を含む添加物とを含有することを特徴とする、誘電体セラミックである。
また、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、セラミック粉末と添加物とを用いて作製したセラミックグリーンシートを熱処理した際に得られる粉末の比表面積の値と、セラミック粉末と添加物とを混合したのみの粉末の比表面積の値との差が、3m2/g以下であると、この製造方法により得られる積層セラミックコンデンサの平均故障時間(MTTF)が50時間以上のより高い信頼性を備えた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
この発明によれば、積層セラミックコンデンサの信頼性を向上しうる積層セラミックコンデンサ用セラミック粉末を提供する。
図1は、この発明にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す断面図解図である。図1に示す積層セラミックコンデンサ10は、直方体状のセラミック素体12を含む。セラミック素体12は、誘電体として、多数の誘電体セラミック層14、14、・・を含む。この誘電体セラミック層14、14、・・は、誘電体主成分粉末(セラミック粉末)が用いられる。この発明にかかる誘電体主成分粉末は、圧壊強度が1854kPa以下である、BaとTiとを含むペロブスカイト型化合物を含有する。
次に、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。まず、誘電体セラミック層14に用いられる誘電体主成分粉末の製造方法について説明する。
まず、誘電体主成分粉末(セラミック粉末)であるBaTiO3の出発原料として、高純度のBaCO3およびTiO2の各粉末が準備され、調合される。次に、この調合された粉末は、ボールミルで水を用いて湿式混合され、スラリーが作製される。その後、作製されたスラリーは、オーブンに入れられ、水が蒸発によりなくなるまで所定の温度で乾燥処理され、調整粉末が得られる。
続いて、上述した製造方法により得られた誘電体主成分粉末と添加物であるSiO2、MgCO3、MnCO3およびDy2CO3の粉末とを均一となるように添加し、粉末(以下、粉体Aという)を得る。その得られた粉末(粉体A)に対し、さらにポリビニルブチラール系バインダ、可塑剤および有機溶剤としてのエタノールを加え、これらをボールミルにより所定の時間、湿式混合が行われ、セラミックスラリーが作製される。各添加物の添加量は、Ti100mol部に対して、たとえば、Siを2.0mol部、Mgを1.0mol部、Mnを0.25mol部、Dyを1.0mol部である。また、各粉末の比表面積は、たとえば、SiO2が100m2/g、MgCO3が50m2/g、MnCO3が50m2/g、Dy2CO3が30m2/gの粉末が用いられる。なお、この湿式混合を行う時間は、たとえば、5時間ないし15時間である。
次に、上述した方法により得られた誘電体主成分粉末および積層セラミックコンデンサに対して行った評価実験について説明する。評価実験を行うに際して、以下のようにして、評価実験において用いられる試料となる誘電体主成分粉末および積層セラミックコンデンサを作製した。
上述した方法により得られた各試料に対する誘電体主成分粉末および積層セラミックコンデンサは、以下に示す特性評価の方法により評価された。
誘電体主成分粉末の凝結強さを圧壊強度により評価した。圧壊強度を測定するために、微小粒子圧壊試験装置(NS−A100((株)ナノシーズ社製))を用いて、誘電体主成分粉末の圧壊試験を行った。この圧壊試験は、JISZ8841−1993に準拠している。
準備された粉体Aおよび粉体BをVita−Mix社製のアブソルートミル(ABS−W)を用いて、各粉体50gにつき回転数を24000rpmとして1分間で処理したのち、N2吸着比表面積測定装置により比表面積を測定した。粉体Bの比表面積の値から粉体Aの比表面積の値を引き、その差を算出し、その値を評価として用いた。
20個の積層セラミックコンデンサに対し、125℃において10Vの直流電流を印加し、絶縁抵抗の経時変化を観察した。各積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗値が0.1MΩ以下になった時点を故障とした、20個の故障時間をワイプルプロットにより解析し、平均故障時間(MTTF)を求めた。
12 セラミック素体
14 誘電体セラミック層
16a、16b 内部電極
18a、18b 外部電極
Claims (4)
- 複数の誘電体セラミック層と複数の内部電極とが交互に積層されてなるセラミック素体と、
前記セラミック素体の外表面に形成され、前記内部電極と電気的に接続されている外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
前記誘電体セラミック層は、圧壊強度が1854kPa以下である、BaとTiとを含むペロブスカイト型化合物を含有するセラミック粉末と、Mg,Mn,Dyのうち少なくとも1種を含む添加物とを用いて作製されることを特徴とする、積層セラミックコンデンサの製造方法。 - 前記セラミック粉末と前記添加物とを用いて作製したセラミックグリーンシートを熱処理した際に得られる粉末の比表面積の値と、前記セラミック粉末と前記添加物とを混合したのみの粉末の比表面積の値との差が、3m2/g以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 複数の誘電体セラミック層と複数の内部電極とが交互に積層されてなるセラミック素体と、前記セラミック素体の外表面に形成され、前記内部電極と電気的に接続されている外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサの前記誘電体セラミック層を作製するために用いられる積層セラミックコンデンサ用セラミック粉末であって、
圧壊強度が1854kPa以下である、BaとTiとを含むペロブスカイト型化合物を含有することを特徴とする、積層セラミックコンデンサ用セラミック粉末。 - 複数の誘電体セラミック層と複数の内部電極とが交互に積層されてなるセラミック素体と、前記セラミック素体の外表面に形成され、前記内部電極と電気的に接続されている外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサの前記誘電体セラミック層を作製するために用いられる誘電体セラミックであって、
圧壊強度が1854kPa以下である、BaとTiとを含むペロブスカイト型化合物を含有するセラミック粉末と、Mg,Mn,Dyのうち少なくとも1種を含む添加物とを含有することを特徴とする、誘電体セラミック。
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