以下では、本発明に係る照明制御システムを、オフィスビルに設置された複数台の照明器具を制御するシステムに適用した実施形態について説明を行う。尚、本発明に係る照明制御システムは、オフィスビルに設置された照明器具を制御するためのシステムに限定される趣旨のものではなく、例えば集合住宅の共用部分に設置された照明器具を制御するシステムに適用してもよい。
図1は本実施形態の概略的なシステム構成図である。この照明制御システムは、照明器具1と、制御ユニット10と、伝送アダプタ20と、監視端末31〜33と、上位コントローラ40を主要な構成として備えている。尚、照明器具1や制御ユニット10や伝送アダプタ20や監視端末31〜33の台数は図1のシステム構成に限定されるものではなく、システムの規模に応じて適宜変更が可能である。
各照明器具1は、DALI(Digital Addressable Lighting Interface)規格にしたがって通信を行う機能を備えている。一方、制御ユニット10は、より高速の低速電力線搬送通信により通信を行う機能を備えており、制御ユニット10と照明器具1との間には信号の中継を行う伝送アダプタ20が接続される。
すなわち、制御ユニット10には、伝送線L1を介して複数台の伝送アダプタ20がバス接続されており、制御ユニット10と伝送アダプタ20との間では低速電力線搬送通信により信号の送受信が行われる。また、各伝送アダプタ20には、複数系統(例えば4系統)の伝送線L2が接続され、各々の伝送線L2には照明器具1が複数台接続されている。
また、制御ユニット10には、別の伝送線L3を介して、制御ユニット10との間で多重伝送通信を行う端末器が接続されている。このような端末器として、図1のシステムでは、スイッチS1の操作入力を監視する監視端末31と、明るさセンサの検出結果を監視する監視端末32と、人感センサの検出結果を監視する監視端末33が接続されている。
尚、伝送ユニットとしての機能を有する制御ユニット10と監視端末31〜33との間では多重伝送方式で信号の送受信を行っており、多重伝送方式の通信については、例えば特開2007−150609号公報に開示されているので、その説明は省略する。
また、複数台の制御ユニット10は伝送線L4に接続されており、制御ユニット10は、伝送線L4に接続された上位コントローラ40や他の制御ユニット10との間で、Ethernet(登録商標)プロトコルに基づくシリアル通信を行う。また、伝送線L4には、各々の照明器具1の動作状況や故障の有無などをモニタできるように、ブラウザ機能を有するパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する。)50が接続されている。
次に、各部の構成をブロック図に基づいて詳細に説明する。
図2は照明器具1のブロック図である。照明器具1は、照明器具1の全般的な制御を行う信号処理部2と、蛍光ランプからなるランプ3と、ランプ3を点灯させる電子バラストからなる点灯回路部4と、DALI通信部5と、異常検知部6と、電源回路部7を主要な構成として備える。
DALI通信部5は、伝送アダプタ20との間でDALI方式により通信を行う。異常検知部6は、例えば点灯回路部4の出力電圧や出力電流を検出することによって、点灯回路部4の故障や、ランプ3の球切れを検出する。電源回路部7は、商用電源ACからの交流入力を直流に変換して内部回路に供給する。
図3は制御ユニット10のブロック図である。制御ユニット10は、全体的な制御を行う信号処理部11と、電力線搬送通信部12と、多重伝送通信部13と、シリアル通信部14と、記憶部15と、電源回路部16とを主要な構成として備える。
電力線搬送通信部12は、伝送線L1を介して伝送アダプタ20との間で、電力線搬送通信方式により信号の送受信を行う。多重伝送通信部13は、伝送線L3を介して複数台の監視端末31〜33に接続され、監視端末31〜33との間で、多重伝送方式により信号の送受信を行う。
シリアル通信部14は、伝送線L4を介して上位コントローラ40や他の制御ユニット10の間で、Ethernet(登録商標)プロトコルに基づくシリアル通信を行う。記憶部15には、監視端末31〜33に個別に割り当てられたアドレスと、監視端末31〜33からの監視入力によって点灯状態が制御される照明器具1のアドレスとが対応付けて設定されている。
図4は伝送アダプタ20のブロック図である。伝送アダプタ20は、信号処理部21と、DALI通信部22と、電力線搬送通信部23と、記憶部24を主要な構成として備えている。
DALI通信部22には、複数系統の伝送線L2が接続されており、系統毎に伝送線L2を介して接続された照明器具1との間で、DALI方式により信号の送受信を行う。電力線搬送通信部23は、伝送線L1を介して接続される制御ユニット10との間で、電力線搬送通信方式により信号の送受信を行っており、各系統の伝送線L2に接続された照明器具1のデータを1つの伝送データに含めた形で送受信している。
記憶部24には、制御ユニット10のアドレスや自機のアドレスが記憶されるとともに、各系統の伝送線L2に接続された照明器具1のアドレスが、系統毎に記憶されている。信号処理部21では、所定の受信時間が経過する毎に、受信時間内にDALI通信部22が各系統の照明器具1から受信したデータを含めた形で1つの伝送データ(第1伝送データ)を作成し、この伝送データを電力線搬送通信部23から制御ユニット10へ送信させる。
また、信号処理部21では、電力線搬送通信部23が制御ユニット10からのデータ(第2伝送データ)を受信すると、このデータに含まれている複数の照明器具1に宛てたデータを、DALI通信部22から対応する照明器具1へそれぞれ送信させている。
次に、この照明制御システムの動作について説明する。制御ユニット10には、伝送線L3を介して監視端末31〜33が接続されている。各監視端末31〜33は、トリガ入力の有無を監視しており、トリガ入力があると、トリガ入力に応じた監視データを制御ユニット10に送信するものである。
ここで、監視端末31は、トリガ入力としてスイッチS1による操作入力の有無を監視しており、スイッチS1が操作されると、スイッチS1の操作内容(オン操作又はオフ操作)に対応した監視データを、制御ユニット10に送信する。また、監視端末32は、明るさセンサの検出した周囲の明るさと所定の基準値との明暗をトリガとして監視しており、周囲の明るさが基準値よりも暗くなると(又は明るくなると)、基準値との明暗に対応した監視データを、制御ユニット10に送信する。
また、監視端末33は、検知エリア内の人体から放射される熱線を検出することによって、人の存否を検出する焦電型赤外線センサからなる人感センサを備え、人感センサの検知結果をトリガ入力として監視する。監視端末33では、人感センサの検出結果が変化すると、人の存否に応じた監視データを制御ユニット10に送信する。
制御ユニット10では、多重伝送通信部13が、監視端末31〜33の何れかから送信された監視データを受信すると、信号処理部11が、この監視データをもとに制御データを作成する。例えば、監視端末31からスイッチのオン操作を示す監視データが入力されると、信号処理部11は対応する照明器具1を点灯させる制御データを作成する。
そして、信号処理部11は、作成した制御データを、電力線搬送通信部12から、監視データの送信元である監視端末と予め対応関係が設定された照明器具1へ送信させる。なお、監視データの送信元である監視端末に対して複数台の照明器具1が対応付けられている場合、信号処理部11は、複数台の照明器具1に宛てた制御データを含めた形で1つの伝送データを作成し、この伝送データを電力線搬送通信部12から送信させる。
ここで、制御ユニット10と照明器具1との間には、両者の間で信号を中継する伝送アダプタ20が接続されており、伝送アダプタ20の電力線搬送通信部23が、制御ユニット10から送信された制御データを受信する。信号処理部21では、電力線搬送通信部23が受信した伝送データに、自機の下流側に接続された照明器具1のアドレスが含まれているか否かを判定する。
上記の伝送データに下流側に接続された照明器具1のアドレスが含まれている場合、信号処理部21は、伝送データから配下の照明器具1に宛てた制御データを取り出し、DALI通信部22から対応する照明器具1に宛てて送信させる。
各照明器具1は、DALI通信部5が自機宛ての制御データを受信すると、信号処理部2が、この制御データに基づいて、点灯回路部4の出力を制御し、ランプ3の点灯状態を変化させる。ここで、照明器具1では、制御ユニット10からの制御データに応じて、蛍光ランプからなるランプ3を全点灯、調光点灯又は消灯させている。
尚、照明器具1が光源として発光ダイオードを備えている場合、制御ユニット10から送信させる制御データに応じて、発光ダイオードの光出力を変化させてもよい。また、光源として発光色が異なる複数種類の発光ダイオードを備えている場合は、各色の光出力を変化させることで、色温度を変化させてもよい。
ここで、本実施形態の照明制御システムによる他の制御動作について以下に説明する。先ず、上述の照明制御システムにおいて、人が存在する場所に応じて調光点灯させる範囲を細かく設定する制御動作について説明する。
図5は照明器具1の配置を示しており、オフィスビルの部屋60内には、部屋60の横方向に6台、縦方向に18台の照明器具が縦横に一定の間隔を開けて配置されている。そして、縦方向に並ぶ2台の照明器具1で1つの第1グループG1〜G9を構成し、各第1グループG1〜G9の照明エリアを検知エリアとして、検知エリアにおける人の存否を検出する監視端末33が個々の第1グループ毎に1台ずつ設けられている。
また、縦横3つずつの第1グループG1〜G9で1つの第2グループH1〜H9を構成しており、制御ユニット10の記憶部15には、第1グループG1〜G9、第2グループH1〜H9に属する照明器具1のアドレスが登録されている。尚、図5では監視端末33の図示を省略している。
ここで、第2グループH1内の第1グループG5に属する監視端末33と、第2グループH6内の第1グループG8に属する監視端末33が人を検知すると、この監視端末33から制御ユニット10へ人体検知信号が送信される。尚、第2グループH6での制御動作は、第2グループH1での制御動作と同様であるので、第2グループH1での制御動作について説明を行い、第2グループH6での制御動作は説明を省略する。
制御ユニット10では、第1グループG5に属する監視端末33から人体検知信号が入力されると、同じ第1グループG5に属する照明器具1を全点灯(100%点灯)させる制御データを送信し、第1グループG5に属する照明器具1を全点灯させる。
また、制御ユニット10では、人体検知信号を出力した監視端末33と同じ第2グループH1内で他の第1グループG1〜G4,G6〜G9に属する照明器具1へ、低照度点灯(調光点灯)させる制御データを送信し、これらの照明器具1を低照度状態で点灯させる。
また、制御ユニット10は、人体検知信号を出力した監視端末33が属していない第2グループH2〜H5の照明器具1に対して、消灯させる制御データを送信し、これらの照明器具1を消灯させている。
このように、人が存在する場所(人を検知した監視端末33が属する第1グループ)では照明器具1が全点灯する。一方、その周辺(同じ第2グループに属する他の第1グループ)では照明器具1が低照度点灯し、さらにその周辺(別の第2グループ)では照明器具1が消灯する。したがって、人が存在する場所の周辺を低照度点灯させることで、視環境の悪化を抑制するとともに、周囲が暗くなることで部屋内に残っている人が感じる孤独感を低減でき、利用者の満足度を高めることができる。
なお従来は、部屋60に残っている人が孤独感を持たないように、周辺にある照明器具1は全て低照度状態で点灯されているため、無駄な電力消費が大きかった。それに対して、本システムでは、人が検知されていない第2グループに属する照明器具1を消灯させているので、省電力を図ることができる。
また、部屋60内に人が全くいなくなれば、制御ユニット10は全ての第2グループに属する照明器具を消灯させているので、低照度状態で点灯されている照明器具1の消し忘れを無くすことができる。また、所定の消灯時間がくると全ての照明器具1を消灯させる場合は消灯時間がくるまで、低照度状態で点灯され続ける。これに対して、本システムでは部屋60内に人がいなくなると、全ての照明器具1が消灯されるので、照明器具1の点灯時間が短縮されて、省電力を図ることができる。
次に、上述の照明制御システムにおいて、明るさセンサを用いた明るさ調光と、タイマー調光とを併用した制御動作について説明する。
この照明制御システムでは、図6に示すように、矩形状の部屋60内に複数台の照明器具1が配置されている。部屋60の一面には窓61が設けられ、部屋60内で窓61付近の区画60aには、上述した通信機能を備える照明器具1が複数台配置されるとともに、明るさセンサを備えた監視端末32が設置されている。
また、部屋60内で窓際以外の区画60bには、上述の照明器具にタイマー調光機能が追加された照明器具1aが複数台配置されている。ここで、タイマー調光機能とは、ランプの累積点灯時間が長くなるにつれて、ランプ3に供給される点灯出力を増加させることによって、累積点灯時間の経過に関係無く、ランプ3の光出力が略一定となるよう、点灯回路部4の出力を調整する機能のことである。
本システムでは、窓際の区画60aに配置された複数台の照明器具1を1つのグループG1、区画60bに配置された複数台の照明器具1aをグループG2とし、グループ単位で照明器具1を制御する。
すなわち、制御ユニット10では、監視端末32から明るさの検出値が入力されると、この検出値が所定の明るさとなるように光出力を調整する制御データを、グループG1に属する照明器具1へ送信する。
また、制御ユニット10は、区画60bにおいても窓際と同等の明るさが得られるように、監視端末32から入力された明るさの検出値をもとに、この明るさ検出値を目標照度として、グループG2に属する照明器具1aへ送信する。グループG2に属する照明器具1aはタイマー調光機能を有しており、制御ユニット10から目標照度が制御データとして入力されると、現在までの累積点灯時間と目標照度をもとにランプ3への点灯出力を制御する。
この照明制御システムでは、窓際の区画60aのみに明るさセンサを具備した監視端末32が配置され、区画60aに配置されたグループG1の照明器具1は、明るさ検出値が所定の明るさとなるように点灯出力が制御されている。したがって、昼間など外光が明るい場合にはグループG1に属する照明器具1の点灯出力が抑制されるから、無駄な電力消費を抑制して、電力使用量の削減を図ることができる。
また、窓61から遠い区画60bは、区画60aに比べて外光の影響が少ないと予想されるので、区画60bには、明るさセンサを具備した監視端末32が設置されていない。そして、制御ユニット10では、区画60aに設置された監視端末32からの明るさ検出値を目標照度とする制御データを、グループG2に属する照明器具1aに送信しており、グループG2の照明器具1aは入力された目標照度に応じて点灯出力を制御する。
このような制御を行うことによって、外光の影響が少ない区画60bには明るさセンサを不要にし、部屋60の全体に明るさセンサを設置する場合に比べて、照明制御システムのコストを低減しつつ、省電力を図ることができる。
尚、部屋60の全体に明るさセンサを設置し、明るさセンサの検出結果が目標照度となるように、個々の照明器具1の光出力を制御する場合、明るさセンサの下面の反射率が異なることによって、照明器具1の光出力がばらつく可能性がある。この場合、天井面に設置された複数台の照明器具1に明暗が発生し、天井面の意匠性が低下することになる。
それに対して、上述の照明制御システムでは、グループG2に属する照明器具1に同一の目標照度が入力されるので、グループG2に属する照明器具1の光出力がばらつくのを抑制でき、天井面の意匠性が向上する。また、区画60bに設置された照明器具1aは、監視端末32から入力された明るさの検出値を目標照度として、点灯出力を制御しているので、制御の安定性が高く、外乱による制御の不調が起こりにくい。
次に、上述の照明制御システムにより、人感センサが人を検知すると検知時から一定時間後に照明器具を点灯させる場合の制御動作について説明する。
この照明制御システムでは、人感センサを備える監視端末33の周辺に設置された複数台の照明器具1を1つのグループG3とし、制御ユニット10は、監視端末33から入力される検知結果に基づいて、グループG3に属する照明器具1の点灯状態を制御する。
この制御ユニット10には、人感センサが人を検知した状態が一定時間継続すると、検知から一定時間後に照明器具1を点灯させる遅れ点灯制御を行う制御時間帯が設定されており、この制御時間帯以外では、人感センサが人を検知すると、即座に照明器具1を点灯させる。
ここで、現在の時刻が上記の制御時間帯以外の場合、制御ユニット10は、監視端末33から人体検知信号が監視データとして入力されると、グループG3に属する照明器具1を点灯させる制御データを送信する。この制御データは、伝送アダプタ20を介してグループG3に属する照明器具1へ送信され、これらの照明器具1がランプ3を点灯させる。
また、制御ユニット10は、監視端末33から人体検知信号が入力されなくなってから所定の点灯保持時間が経過すると、グループG3に属する照明器具1を消灯させる制御データを送信する。この制御データは、伝送アダプタ20を介してグループG3に属する照明器具1へ送信され、これらの照明器具1はランプ3を消灯させる。
一方、現在の時刻が上記の制御時間帯であれば、制御ユニット10は、監視端末33から人体検知信号が監視データとして入力されても、対応する照明器具1を点灯させる制御データを即座には出力しない。そして、制御ユニット10は、監視端末33から人体検知信号が一定時間継続して入力されると、グループG3に属する照明器具1を点灯させる制御データを送信し、この制御データを受けた照明器具1はランプ3を点灯させる。
そして、制御ユニット10は、監視端末33から人体検知信号が入力されなくなってから所定の点灯保持時間が経過すると、グループG3に属する照明器具1を消灯させる制御データを送信し、この制御データを受けた照明器具1はランプ3を消灯させる。
夜間であっても地明かりが存在する場所では、上記の制御時間帯を設定することで、一時的な通過や停止(例えば着席)などでは、照明器具1が点灯されず、その後点灯保持時間が継続するまで、照明器具1が点灯され続けることはないから、省電力を実現できる。尚、電力消費を削減するために点灯保持時間を短くした場合は、照明器具1が点灯/消灯を頻繁に繰り返して、ランプ3などの寿命が短くなることが知られており、点灯保持時間はある程度長めに設定する必要がある。
また、夜間になると地明かりが無くなる場所では、上記の遅れ点灯制御を行うと、人体検知から一定時間が経過するまで照明器具1が点灯されないから不便である。したがって、このような場所では地明かりのなくなる時間帯を上記の制御時間帯に含めないことで、人を検知すると照明器具1を即座に点灯させることができ、利便性が向上する。
次に、この照明制御システムにより、各照明器具1の異常状態をモニタする場合の動作について説明する。
各照明器具1は、点灯回路部4やランプ3の異常(球切れ)を検知する異常検知部6を備えている。照明器具1の信号処理部2では、異常検知部6が異常を検知すると、異常内容を示す信号をDALI通信部5から制御ユニット10へ送信させる。照明器具1から送信されたデータは、伝送アダプタ20を介して制御ユニット10へ送信され、さらに制御ユニット10から上位コントローラ40へ送信される。
制御ユニット10や上位コントローラ40は、照明器具1から異常を通知するデータが送信されると、例えば異常内容を報知するWebページを作成してパソコン50に送信する。パソコン50はブラウザ機能を有しており、制御ユニット10又は上位コントローラ40から送信されたWebページをモニタに表示させることができるので、このWebページを管理者が確認することで、照明器具1の異常内容を把握することができる。
例えば、集合住宅などで共用部分に設置された照明器具1の点検を行う場合、従来は照明器具1を点灯させた状態で、作業員が集合住宅内を巡回し、目視で点検を行っているが、この方法では多大な労力を必要とし、頻繁には点検が行えない。そのため、各住戸の居住者が照明器具1の故障を発見して管理者に連絡することで、照明器具1の交換が行われる場合が往々にしてあり、管理サービスの低下を招いていた。
そこで、集合住宅の管理者は、点灯累積時間や点滅回数を目安にし、一定期間使用されると、異常の有無に拘わらず全ての照明器具1を交換しており、まだ使用できる照明器具1まで廃棄されるため、不経済であった。
それに対して、本システムでは各照明器具1に異常検知部6を設け、照明器具1で異常が検知されると、その情報を制御ユニット10や上位コントローラ40へ送信させている。これにより、作業員が巡回点検しなくても、照明器具1の異常を発見できるから、照明器具1の異常に迅速に対応でき、保守点検の省力化が図られると共に、施設管理サービスの向上を図ることができる。
次に、この照明制御システムにより、各照明器具1の消費電力をモニタする場合の動作について説明する。
各々の照明器具1において、信号処理部2に、点灯回路部4の入力電流及び入力電圧から、自機の瞬時消費電力を検出する消費電力検出機能を設けてあり、所定の計測周期で消費電力の計測結果を制御ユニット10へ送信する。
伝送アダプタ20では、一定の計測周期で受信した各照明器具1の瞬時消費電力を上記の計測周期で積分して消費電力量を算出し、各照明器具1の消費電力量を含めた伝送データを作成して、制御ユニット10へ送信する。また、このデータは、制御ユニット10から上位コントローラ40へさらに送信される。
制御ユニット10や上位コントローラ40では、各照明器具1の消費電力量を受信すると、個々の照明器具1毎に消費電力量を累計して、各照明器具1の消費電力量を求めている。また、制御ユニット10や上位コントローラ40は、個々の照明器具1の消費電力量や部署単位の消費電力量を表示するWebページを作成してパソコン50に送信しており、パソコン50のモニタに表示されたWebページから消費電力量を把握することができる。
したがって、個々の照明器具1の消費電力量や、所定の管理単位に含まれる照明器具1の消費電力量を、任意の期間で比較することで、電力消費の状況や省電力の効果などを把握でき、電力消費の削減活動に役立てることができる。また、複数の管理単位で消費電力量の動向を比較することで、その消費電力量の違いから、消費電力の削減手法を考察することもできる。
また、従来の電力計測は、照明器具に電力を供給する電源部で行っているので、ある程度集約された単位でしか電力計測を行えなかった。例えば、オフィスにおけるグループ単位、部署単位の消費電力量を求めるためには、全体の消費電力量を按分することでしか、各単位の消費電力量を求めることができなかった。また、オフィス内の間仕切りが変更された場合に、計測単位の変更を容易に行うことができなかった。
それに対して、本システムでは個々の照明器具1に自機の消費電力を検出する機能を持たせているので、自由な括り方で消費電力量を計測することができ、計測単位の変更にも容易に対応できる。
以上説明したように、本発明の照明制御システムは、照明器具1と、制御ユニット10と、監視端末31〜33とを備える。照明器具1は、通信機能を有する。制御ユニット10は、照明器具1との間でデータを送受信する機能を有する。監視端末31〜33は、照明器具1と制御ユニット10の間で行われる通信とは異なる通信形態で制御ユニット10との間で通信を行う。制御ユニット10は、照明器具1の点灯状態を制御する制御データを照明器具1へ送信する。照明器具1は、受信した制御データに応じて点灯状態を制御する。監視端末31〜33は、トリガ入力の有無を監視し、トリガ入力があると、トリガ入力に応じた監視データを制御ユニット10に送信する。
このように照明器具自体が通信機能を有しているので、制御ユニット10との間でデータを送受信することができる。したがって、照明器具の点灯状態を制御したり、照明器具の動作状況を監視するために、照明器具とは別に通信機能を有する装置(従来のリレー制御端末器)を設ける必要が無く、システム全体としてコストダウンを図ることができる。
また、従来のように、照明器具とは別にリレー制御端末器を備える場合は、分電盤内に配置されるリモコンリレーと照明器具との間を配線する必要があり、レイアウト変更の際は配線を変更する必要がある。これに対して、本システムではリレー制御端末器が不要になるので、照明器具のグループ分けが変更される場合にも容易に対応できる。
さらに、制御ユニット10では、監視端末31〜33から入力される監視データに基づいて、照明器具1の点灯状態を制御することができる。また、制御ユニット10と監視端末31〜33の間で行われる通信は、制御ユニット10と照明器具1の間で行われる通信と通信形態が異なっているので、通信トラフィックの増加を抑制することができる。
なお、照明器具1と制御ユニット10とが通信を行う伝送線に監視端末31〜33が接続されることも好ましく、監視端末31〜33を接続するための電線を別途配線する必要がないから、施工性が向上する。尚、この場合は、制御ユニット10と監視端末31〜33との間で授受される信号と、制御ユニット10と照明器具1との間で授受される信号は多重化して伝送されることになる。
また、この照明制御システムでは、複数台の照明器具1と制御ユニット10の間に信号を中継する伝送アダプタ20が接続されている。この伝送アダプタ20は、下流側に接続された複数台の照明器具1から制御ユニット10宛てに送信されたデータを受信すると、これらのデータを含めた第1伝送データを作成して制御ユニット10に送信する。また、伝送アダプタ20は、制御ユニット10から第2伝送データを受信すると、第2伝送データに含まれている複数台の照明器具1に宛てたデータを、対応する照明器具1に送信する。
これにより、伝送アダプタ20では、下流側に接続された複数台の照明器具1から送られたデータを1つの伝送データにまとめて制御ユニット10に伝送している。また、伝送アダプタ20では、下流側に接続された複数台の照明器具1に宛てて制御ユニット10から送信されたデータをまとめて受信している。したがって、個々の照明器具1から制御ユニット10へデータが送信される場合や、制御ユニット10から個々の照明器具1へデータが送信される場合に比べて、通信トラフィックを低減できる。
また、本実施形態の照明制御システムでは、制御ユニット10を複数備え、複数台の制御ユニット10が、相互に通信を行う機能を備えている。このように制御ユニット10を複数備えることで、制御可能な照明器具1の台数を増やすことができる。
また、本システムでは、制御ユニット10の上位に、システム全体の制御を行う上位コントローラ40がさらに設けられており、この上位コントローラ40によって、システム全体の制御を行うことができる。
また、本システムでは、各照明器具1が、自機の消費電力を検出する消費電力検出機能を有しており、消費電力の検出結果を制御ユニット10へ送信している。これにより、制御ユニット10側で、個々の照明器具1の消費電力量を把握することができ、また各照明器具1の消費電力量を加算することで、所望の単位で消費電力量を把握することができる。
また、本システムでは、各照明器具1が、自機の故障を検知する異常検知部6(故障検知機能)を有しており、自機の故障を検知すると故障状態を制御ユニット10へ送信している。これにより、制御ユニット10側で、個々の照明器具1の故障状態を容易に把握することができる。
また、この照明制御システムにおいて、照明器具1自体に、照明エリア内に設けた検知エリア内で人の存否を検出する人感センサを備え、人感センサの検出結果を制御ユニット10へ送信することも好ましい。この時、制御ユニット10では、照明器具1から送信された人感センサの検知結果に基づいて、送信元の照明器具1を含む、複数台の照明器具1を点灯させている。
このように、制御ユニット10では、検知エリアにおける人の存否に応じて、複数台の照明器具1の点灯状態を制御しているから、例えば人が不在の場合に点灯状態を低下させれば、省電力を図ることができる。
また、この照明制御システムにおいて、照明器具1自体に、周囲の明るさを検出する明るさセンサを備え、明るさセンサの検出結果を制御ユニット10へ送信することも好ましい。この時、制御ユニット10では、照明器具1から送信された明るさセンサの検出結果に基づいて、送信元の照明器具1を含む、複数台の照明器具1の点灯状態を制御する。
これにより、制御ユニット10では、明るさセンサの検出結果に応じて、複数台の照明器具1の点灯状態を制御することができ、例えば昼光などで周囲が明るい場合に点灯状態を低下させれば、省電力を図ることができる。
また、この照明制御システムでは、制御ユニット10の上位に設けられてシステム全体の制御を行う上位コントローラ40と、トリガ入力の有無を監視し、トリガ入力があるとトリガ入力に応じた監視データを発生する監視端末31〜33とを備えているが、各照明器具1に周囲環境の変化を検出するセンサ(例えば人感センサや明るさセンサ)を備えることも好ましい。各照明器具1では、自機のセンサが周囲環境の変化を検出すると(例えば明るさの検出結果が所定の基準値よりも明るくなったり、人の存否が変化すると)、制御ユニット10にセンサの検出結果を送信し、この検出結果は制御ユニット10から上位コントローラ40へさらに送信される。そして、制御ユニット10及び上位コントローラ40の何れかは、1乃至複数台の照明器具1を1つのグループとして、グループ単位で点灯状態を制御しており、監視端末31〜33の監視データ及びセンサの検出結果の何れかが入力されると、予め対応関係が設定されたグループに属する照明器具1を、所定の点灯状態に制御する。
これにより、1乃至複数台の照明器具1を1つのグループとし、監視端末31〜33からの監視データ又はセンサの検出結果に応じて、グループ内の照明器具1を所定の点灯状態に制御することができる。
また、グループ制御を行う単位(グループ)として、1乃至複数台の照明器具1で構成される第1グループG1…と、複数の第1グループG1…で構成される第2グループH1…が設定され、制御ユニット10及び上位コントローラ40の何れかが、監視端末31〜33の監視データ及び上記センサの検出結果の何れかに基づいて、予め対応関係が設定された第1グループに属する照明器具を点灯させた場合、同じ第2グループ内で別の第1グループに属する照明器具を、所定の点灯状態に制御しており、細かい区分で照明器具1の点灯状態を制御することができる。また従来のように照明器具の点灯/消灯を切り替えるリレー制御端末器を用いる場合は、グループ制御を行う単位(グループ)の変更やレイアウト変更に伴って、配線工事が必要になる場合もあるが、本システムでは個々の照明器具1が通信機能を備えているので、グループ制御を行う単位の変更が1灯毎に可能であり、配線工事の必要もないから、施工性が向上する。
本発明の制御ユニット10は、通信機能を有する照明器具1との間でデータを送受信する機能と、照明器具1との間で行なわれる通信とは異なる通信形態で、トリガ入力の有無を監視する監視端末31〜33との間で通信を行う機能とを備える。制御ユニット10は、監視端末31〜33からトリガ入力に応じた監視データを受信し、且つ照明器具1の点灯状態を制御する制御データを照明器具1へ送信する。