JP5869486B2 - カルシウムチャンネルブロッキング剤の持続性放出のための送達システム - Google Patents

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Description

本発明は、対象の脳脊髄液への導入に適した、カルシウムチャンネルブロッキング剤の送達システムと、該送達システムの製造方法に関し、該送達システムは脳外傷またはくも膜下出血に伴う脳血管痙攣のような脳血管痙攣の処置のためのものである。
脳外傷および発作は生命を脅かす状態であり、これらの状態の直接および間接の影響を防止もしくは緩和するために即時の薬物療法を必要とする。脳外傷は主として脳への強力な衝撃によって発生し、これは必ずしも浸透性衝撃であることを必要としない。それから生ずる初期の外傷は、拡大性血腫、くも膜下出血(SAH)、脳浮腫、脳低酸素症および頭内血圧の上昇を発生し、これらは脳血流を減少させることによって脳をさらに損傷し得る。脳動脈の痙攣はSAHの可能性ある後期現象であり、最初にSAHへ導く出来事の後数日または数週間発生し得る。脳動脈の痙攣の間に起こる血管収縮は脳への血液供給の減少を生じさせ、そして一時的に虚血性発作へ導き、それにより患者の状態をさらに悪化させる。
ニカルジピンは血管痙攣を防止し、そして同時に外傷性の脳内の血流をさらに減少させるために頻繁に送達される薬物である。この薬物はニカルジピン含有薬剤組成物(米国特許出願2008/0305147Aに記載されているような)を投与することにより、またはニカルジピン含有インプラント(例えばKrischek et al.,Neurol.Med.Chir.(Tokyo)47:389−396,2007;Kasuya et al.,Neurosurgery 56:895−902,2005; Kasuya et al.,Stroke 33:1011−1015,2002; Pluta et al.,Neurol.Res.31:151−158,2009に記載されているような)を挿入することによって患者へ投与することができる。現在用いられているインプラントは、乳酸とグリコール酸の共重合体をベースにし、ニカルジピンと共重合体の両成分を有機溶媒に溶解した後、溶媒の蒸発および共重合体/ニカルジピン残渣を圧縮することによってニカルジピンを負荷したもの(Kasuya et al.,2002参照)である。しかしながらこのインプラントに潜在的に残っている溶媒が患者に対し、付加的な健康障害を課することがあり、それ故、完全な除去操作を必要とする。さらにインビトロ溶解試験の間、公知のインプラントは完全に溶解しないことが観察された。このため、これらインプラントは患者の体内で完全に代謝されず、望まない塞栓性残渣へ導き得る。Kasuyaらのインプラントに使用されたポリマーは、約1500の数平均分子量に相当する平均分子量4000を持つと言われている。この低い分子量はインプラントの著しいねばつきを生じ、その結果取扱いを困難にし、例えば外科医の手袋または手術操作の間彼によって使用される器具へ接着し得る。
薬物的に活性なペプチドと一緒に異なる分子量の共重合体を溶解し、溶媒を除去し、そして残渣を圧縮することによるペプチド含有インプラントの製造方法が記載されている。しかしながら、この方法は依然として有機溶剤に依存している(EP0058481)。
溶媒を使用せずに製造するこができ、そして既知のインプラントと同等またはすぐれた特性を有するインプラントに対し必要性が存在する。
この必要性は、二つの異なる分子量を有する少なくとも2種類の乳酸とグリコール酸の共重合体の混合物中のカルシウムチャンネルブロッキング剤の固体分散体生産物よりなる送達システムと、そして押出しによって前記送達システムを製造する製造方法によって満たされる。
第1の局面において、本発明は、対象の脳脊髄液中への導入に適し、そして(i)第1の数平均分子量Mn1付近に中心がある分子量分布を有するポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)と、そして(ii)第2の数平均分子量Mn2付近に中心がある分子量分布を有するポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)の混合物中のカルシウムチャンネルブロッキング剤の固体分散物を含み、ここでMn1は2000ないし3000g/モルの範囲にあり、そしてMn1/Mn2の比は1.8ないし3.5である、カルシウムチャンネルブロッキング剤の持続性放出のための送達システムに関する。好ましくは、第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)および第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)は互いに均質に混和性であり、単一相混合物を生成する。
一具体例に従えば、第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)および第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)の重量比は、10:1ないし1:1.5、特に4:1ないし1:1である。
一具体的に従えば、第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)中の乳酸:グリコール酸モル比は、45:55ないし55:45である。
一具体的に従えば、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)中の乳酸:グリコール酸モル比は、45:55ないし55:45である。特に第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)中の乳酸:グリコール酸モル比、および第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)中の乳酸:グリコール酸モル比の両方が45:55ないし55:45であることができる。
さらなる具体例に従えば、カルシウムチャンネルブロッキング剤は、固体分散体生産物の全重量の1wt%ないし25wt%を占める。カルシウムチャンネルブロッキング剤は、特に混合物中に分子状態で分散していることができる。
特定の一具体例に従えば、カルシウムチャンネルブロッキング剤は、ニカルジピン、その薬学的に許容し得る塩、水和物または溶媒和物であることができる。さらなる具体例においては、送達システムは、
1日後ニカルジピンの全量の4.5%ないし8.5%が放出され、
3日後ニカルジピンの全量の10%ないし20%が放出され、そして
7日後ニカルジピンの全量の25%ないし36%が放出されることを特徴とするインビトロ放出プロファイルを示すであろう。これは4mgのニカルジピン相当量を含有する送達システムをpH7.4のそしてポリソルベート80を0.1vol%含有するリン酸緩衡化食塩水の溶解液中に37℃で入れ、毎分60ストロークで振とうした時のものである。
本発明のさらなる局面は、脳外傷またはくも膜下出血に伴う脳血管痙攣のような、脳血管痙攣の処置または防止のための本発明に従った送達システムに関する。
本発明のさらなる局面は、本発明に従った送達システムを対象の脳脊髄液中に配置することによって、対象の脳外傷またはくも膜下出血に伴う脳血管痙攣のような脳血管痙攣の処置または防止方法に関する。特定具体例においては、送達システムは血管痙攣を示しているかまたは血管痙攣への発展の疑いがある血管の付近またはそれに隣接して配置される。
本発明のさらなる局面は、第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)と、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)と、そしてカルシウムチャンネルブロッキング剤との溶融物を調製し、そして溶融物が固化することを許容することを含む、本発明に従った送達システムの製造方法に関する。一具体例に従えば、該方法は、
a)第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)と、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)と、そしてカルシウムチャンネルブロッキング剤の混合物を準備し、
b)第1および第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)を溶融し、そしてカルシウムチャンネルブロッキング剤をその中に分散するため、該混合物の温度を第1の温度T1へ昇温し、そして混合物を温度T1に維持し、
c)該混合物の粘度を押出しに適した粘度へ調節するため温度を第2の温度T2へ下げ、そして混合物を温度T2に維持し、そして
d)該混合物を口金を通って押出す各ステップを含む。
前記混合物の成分は、好ましくは成分の均質な混合を容易化するため分離した粒子、例えば顆粒または粉末またはその組合わせの形で存在する。
図1は、3種類の異なる溶融押出し固体分散体生産物の時間と温度のプロファイルを示す。 図2は、本発明に従った固体分散体生産物(ニカルジピン10%含有)のTgとResomer Mn800のパーセントの関係を示す傾向曲線である。 図3は、異なる組成物のインプラントからのニカルジピンのインビトロ放出を示す。
本発明の詳細な説明
定義
他に定義せず、または文脈から自明でない限り、ポリマーの分子量は数平均分子量Mnと理解すべきである。
一般に、第1のポリ(ライタイド−コ−グリコライドおよび第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)は単分散共重合体である。平均値の付近に中心を有する分子量分布は、数平均値に関連した実質上モノモーダル分子量分布を規定することを意味する。一般に、ポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)は3.2以下の多分散指数(これは数平均分子量で重量平均分子量を除した商である)を持っている。ポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定された。固定相として4個の連結したWaters Styragelカラムを備えたWaters HPLC装置(Waters515)と、移動相として流量1mL/minのテトラヒドロフランと、そして検出器としてWaters410屈折計が使用された。分子量は数平均分子量Mnとして、そして多分散指数(PDI=Mw/Mn)を有する重量平均分子量として表された。分子量は既知分子量のポリスチレン標準を用いてシステム較正ソフトウェアによって計算された。
ポリマーの「単相混合物」とは、分子鎖レベルで相互に混和性であり、そして化学的および物理的に均質である混合物、すなわち単一相を形成することができるポリマーブレンドを意味する。
脳血管痙攣は、脳のどこにでも存在する血管(特に動脈)の一時的または永久的収縮に関する。ヒトに関しては、脳は終脳(特に大脳皮質)、間脳、中脳、後脳(特に小脳)、および髄脳よりなる。特に脳血管痙攣は小脳および終脳(特に大脳皮質)の一時的または永久的収縮に関する。
持続性放出
本発明の文脈において、カルシウムチャンネルブロッキング剤の持続性放出は、与えられた長時間にわたってこの剤の実質上均一な放出に関する。該持続性放出は、同じ長時間にわたってバースト様放出に対立し、その場合は活性成分の大部分は1回または数回の短期間の間に放出され、実質的に低放出の期間が先行および/または続く(典型的には活性成分の大部分がその間に放出され、そして活性成分の全部がなくなるまで消滅して行く当初の1ピーク)。好ましくは、持続性放出が維持される期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、14日、18日、21日または28日を含む。特に持続性放出は1日、2日、3日、4日、5日、6日または7日維持される。持続性放出の概念には、1日まで、2日まで、3日まで、4日までおよび/または7日までの第1のサブ期間の実質上均一な放出と、その後の僅かに低レベルであるがなお実質上均一な放出の第2のサブ期間が続く放出プロファイルが含まれる。本発明の文脈において、持続性放出はそれ故、1日または数日、1,2,3または4週のような期間にわたって活性成分の実質上均一な放出を確実にする。
送達システムの放出カーブは、それを溶解液に入れ、振とうすることによって決定することができる。好適なテスト設定においては、送達システムは250mLの溶解液(リン酸緩衝化食塩水pH7.4+0.1%w/vポリソルベート80)を入れた500mLエーレンマイヤーフラスコへ加えられた。エーレンマイヤーフラスコは、旋回運動による振とう下(毎分60ストローク)37℃においてGFL振とうインキュベーター中に置かれた。そのようなインビトロアッセイを用い、カルシウムチャンネルブロッキング剤、好ましくはニカルジピン4mgを含有する送達システムの好ましい放出プロファイルは、1日後に測定した時カルシウムチャンネルブロッキング剤全量の4.5%ないし、8.5%の放出へ導き、3日後に測定した時カルシウムチャンネルブロッキング剤全量の10%ないし20%の放出へ導き、7日後測定した時カルシウムチャンネルブロッキング剤全量の25%ないし36%放出へ導く。好ましくはカルシウムチャンネルブロッキング剤の放出はこれら測定間隔の間連続的(すなわち突然のバーストまたは無放出期間なし)である。
カルシウムチャンネルブロッキング剤
カルシウムチャンネルブロッキング剤は、脳外傷またはくも膜下出血に伴う脳血管痙攣のような脳血管痙攣の処置および/または防止のために有効である。カルシウムチャンネルブロッキング剤の例は、ニモジピン、ニフェジピン、ベラパミル、ニカルジピンおよびイスラジピンを含む。好ましい活性成分はニカルジピンである。カルシウムチャンネルブロッキング剤に加え、本発明の送達システムは1種以上のカルシウムチャンネルブロッキング剤、またはカルシウムチャンネルブロッキング剤以外の1種以上の成分を含むことができる。活性成分は、非ステロイド抗炎症剤、ステロイド抗炎症剤、NMDAアンタゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、抗酸化剤、神経栄養因子およびカルシウムチャンネルブロッカーよりなる群から独立に選ぶことができる。非ステロイド抗炎症剤の例は、アスピリン、アセタミノフェン、インドメサシンおよびイブプロフェンを含む。ステロイド抗炎症剤の例は、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロンおよびデキサメサゾンを含む。NMDAアンタゴニストの例は、硫酸マグネシウムおよびデキストロメソルファンを含む。エンドセリン受容体アンタゴニストの例は、クラゾセンタンおよびボセンタンを含む。抗酸化剤の例は、スーパーオキサイドジスムターゼ、カタラーゼ、酸化窒素、マンニトール、アロプリノールおよびジメチルスルホキシドを含む。神経栄養因子の例は、エンドルフィンおよびシチコリンを含む。送達システム中に1種以上の活性成分が存在する場合、好ましいカルシウムチャンネルブロッキング剤はニカルジピンである。
カルシウムチャンネルブロッキング剤は、固体分散体生産物の全重量の1wt%ないし25wt%、例えば5wt%ないし20wt%、10wt%ないし15wt%、または約10wt%を占めることができる。1種以上のカルシウムチャンネルブロッキング剤が存在する場合、すべてのカルシウムチャンネルブロッキング剤は、前に記載した固体分散体生産物全重量の1wt%ないし25wt%を占めることができる。
ポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)
ポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)は、乳酸とグリコール酸の共重合体(または共縮合物)を指す。本発明のために使用されるポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)共重合体は、好ましくは生分解性であり、すなわちそれらは酵素または加水分解作用または類似のメカニズムによって経時的に生物内で分解し、それによって薬学的に許容し得る分解産物を生成し、そして生併存性、すなわち体液と接触する時有毒性または刺激性効果を発生しない。乳酸単位はL−乳酸、D−乳酸または両者の混合物でよい。共重合体内の乳酸単位およびグリコール酸単位の比率は、25:75ないし75:25、の範囲であることができ、好ましくは40:60ないし60:40、特に45:55にないし55:45の範囲内である。
第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)の数平均分子量Mn1は、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)の数平均分子量Mn2より大きい。例えば、Mn1は2000ないし3000、特に2000ないし2500であることができる。好ましい第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)は、2300のMn1を有するRESOMER縮合物RG50:50(ベーリンガーインゲルハイム、ドイツから商業的に入手可能)である。第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)の数平均分子量Mn2は300ないし1200、好ましくは400ないし1000、特に600ないし1000の範囲であることができる。好ましい第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)は、800のMn2を有するRESOMER縮合物RG50:50(ベーリンガーインゲルハイム、ドイツから商業的に入手可能)である。
補助剤
本発明の送達システムは、必須成分のみ、すなわちカルシウムチャンネルブロッキング剤と、第1および第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)からなることができ、または任意に1以上の補助剤を含むことができる。好適な補助剤はこの分野で知られており、そしてその例は抗バクテリア剤、抗カビ剤、安定剤、等張およびpH調節剤を含む。補助剤は分散体生産物中に添加することができ、および/または貯蔵中の化学的または物理的変化(水分または酸素の浸透による)を防止または遅らせるため、または送達システムの形状を保存するため分散体生産物を補助剤でコーティングすることができる。補助剤は好ましくは生分解性および生併存性である。好適な補助剤の例は、アルブミン、アルギン酸塩、セルロース誘導体、コラーゲン、ゼラチン、多糖類のような天然物誘導ポリマーと、そしてポリエステル(ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸)、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリ無水物およびポリオキサマーのような人工ポリマーを含む。
固体分散体生産物
本発明に従った送達システム中には、カルシウムチャンネルブロッキング剤が固体分散体として、または好ましくは固溶体として存在する。用語「固体分散体」は、一方の成分が他方の成分全体に均等に分散した少なくとも二つの成分を含む固相(液相または気相と反対に)中のシステムを定義する。例えば、カルシウムチャンネルブロッキング剤は第1および第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)よりなるマトリックス中に分散している。術語「固体分散体」は、一つの相が他の相中に分散した小粒子、典型的には直径1μm未満の小粒子を有するシステムを含む。成分の前記分散体が、システムが化学的および物理的に均一か、または全体が均質であるか、または単一相(熱力学において定義されるように)であるような時、そのような固体分散体は「固溶体」または「分子分散体」と呼ばれるであろう。分子分散体は好ましい物理的システムである。これらシステムは、熱分析(DSC)またはX線回折分析(WAXS)によって証明されるように、結晶または微小結晶状態にある活性成分の有意量を含んでいない。
同様に、さらなる活性成分および補助剤も、それらが表面に沈着(例えばコーティング)していない限り、カルシウムチャンネルブロッキング剤について記載したのと同様に分散させることができる。
インプラントとして使用のため安全である送達システムを提供するため、固体分散体生産物はこの分野で知られた手段によって滅菌することができる。例えば滅菌はガンマ線によって実施される。
送達システム
送達システムは広義に解釈すべきであり、そして普通医療デバイスまたは薬剤生産物と呼ばれるシステムを含む。好ましくは、送達システムは固体分散体生産物を含んでいる予め決められた形状のインプラントである。好適な具体例においては、送達システムは固体分散体生産物よりなる。送達システムは実質上球形、例えばボールおよび長円球形状を持つことができ、またはロッドまたはチューブ(円形断面を有する)、平坦化チューブ(楕円形断面を有する)、三角形、四角形または多角形ロッドまたはチューブ(実質上三角形、四角形または多角形断面を有する)のような細長形状を持つことができ、表面は凸面または凹面を持つことができる。送達システムは特にくも膜下コンパートメントの表面トポロジーを真似する形状を持つことができ、そして例えば凸状表面を有する細長三角形状を持つことができ、そのため脳回によって形成される溝にそれらの沈着および/または固定を容易化する。望ましい形状の送達システムは射出成形、ブロー成形またはこの分野において成分を成形するのに好適であることが知られた他の成形プロセスによって形成することができる。
処置方法
送達システムは、脳外傷、くも膜下出血および/または脳血管痙攣を防止、処置または緩和すべき部位へ局所的に適用することができる。特に送達システムは、この分野で知られた方法によってそれらの部位へ埋め込むことができる。そのような方法の例は、開頭手術による適用、マイクロ侵しゅう的外科手術、およびカニューレまたはカテーテルを介した注入による適用を含む。送達システムは対象の脳脊髄液中に沈着される。好ましくは、それらは頭側脳脊髄液中に沈着される。特に、送達システムは血管痙攣を示しているまたは血管痙攣へ発展の疑いある血管の近傍に(すなわちマクロスコープ的な可視距離に)、またはそのような血管に隣接して(すなわち直接接触またはマクロスコープ的な可視距離を離れることなく)沈着される。好ましくは、送達システムと血管の間の距離は最小である。沈着前に送達システムは適当な溶液で湿潤またはリンスすることができる。それらはそれを必要とする対象、特に脳外傷、くも膜下出血および/または脳血管痙攣が起きている、または切迫している、または防止すべき対象に投与される。血管痙攣へ発展の疑いある部位は特に、脳外傷またはくも膜下出血を直接示する部位およびその近傍の部位であり、特に脳外傷、くも膜下出血の部位から拡散している、またはそこから運ばれている生成物または分解産物へ曝露され得る部位である。送達システムの沈着のための有用な部位の決定は医師の技量の範囲であり、そしてコンピュータトモグラフィーまたは磁気共鳴造影のような造影方法によって支援することができる。脳外傷および/またはくも膜下出血の原因は、例えば打撲または突き刺した物体のような外力、または動脈瘤破裂、血栓閉塞のような内的原因である。投薬を必要とする対象は、魚類、両棲類、は虫類、鳥類および哺乳類のようなヒトおよび動物一般、特にウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、ネズミおよびモルモットである。対象は特にヒトである。
送達システムは1回または日、週または月の間隔で繰り返して沈着することができる。
各沈着の間、一以上の送達システムを対象の脳脊髄液中に沈着することができる。1回の送達システムは、活性化合物の重量として、そして塩形成成分または結合水または溶媒分子を除いて(例えば酸付加塩が使用される場合は遊離塩基として)0.01mgないし500mg、0.1mgないし100mgのように0.001mgないし1000mg、特に1mgないし5mg、例えば1mg、2mg、3mg、4mgまたは5mgのように1mgないし10mgのカルシウムチャンネルブロッキング剤を含むことができる。数個の送達システムが沈着される時、システムはカルシウムチャンネルブロッキング剤の同じまたは異なる含量を持つことができる。送達システムはソフトな硬化し得るポリマーを基本としているので、沈着すべき各単一送達システムは沈着前にトリミングすることができ、このため最適な空間的フィットと、同時に沈着すべきカルシウムチャンネルブロッキング剤の総量のコントロールを許容する。脳外傷、くも膜下出血および/または脳血管痙攣の重篤度、カルシウムチャンネルブロッキング剤の有効性、追加の活性成分の存在、または対象の一般的状態のようなファクターに依存して沈着すべき総量を決定するのは医師の技量の範囲内である。
本発明の送達システムは、脳血管痙攣、例えば、上に記載したように、脳外傷またはくも膜下出血によって生じた脳血管痙攣の処置のための医薬品の製造のために使用することができる。
送達システムの製造方法
本発明に従った送達システムはこの分野で知られた各種の方法で製造することができる。好ましい一般的スキームにおいては、送達システムの製造は、第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)およびカルシウムチャンネルブロッキング剤の溶融物を製造し、溶融物を通常成形ステップの後固化させることにより固体分散体生産物を生成することを含む。特に、固体分散体生産物は溶融押出しによって製造することができる。製造のため、好ましくは第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)、一以上のカルシウムチャンネルブロッキング剤(およびさらなる活性剤および補助剤のような任意の成分)のブレンドが提供される。前述の成分は、好ましくは単一相混合物の製造を後で容易化するため小粒子寸法を持って提供され、そして混合前適切な寸法に粉砕できる。代って、粉砕または小寸法化は混合後に行うことができる。同様に、いくつかの成分を別に粉砕し、そして他の成分へ添加し、任意にさらなる粉砕ステップにかけることができる。ある成分が室温において粘着性または弾力性である場合(低分子量の共重合体のような)、それらのもろさを増し、粉砕プロセスを容易化するため低温粉砕(冷凍粉砕)を行うことができる。カルシウムチャンネルブロッキング剤または活性成分は、無定形または結晶形で、好ましくは結晶形、マイクロ結晶形また粉末形で提供することができ、そして別々にまたは他の成分と一緒に粉砕することができる。任意にいくつかの成分を溶融物として提供し、他の成分を固体として溶融塊へ加えることができる。
粉砕した第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)およびカルシウムチャンネルブロッキング剤(そして任意の成分)のブレンドを提供した後、ブレンドの温度を第1の温度T1へ昇温し、溶融物を得る。出発温度は通常室温または環境温度である。昇温は好ましくは急速で、そして溶融すべき全塊(すなわち押出機の仕込みコンパートメント)に依存する。実験室用または小型押出機では、昇温は0.45ないし5分のような0.5ないし15分内に、特に約1分以内のように1ないし3分以内に生起する。仕込みコンパートメントに大きい塊を有する大型の押出機では、昇温は1ないし60分、2ないし45分、または10ないし20分のような長時間にわたって生起し得る。熱エネルギーの印加速度は局部過熱およびこれに伴う共重合体、活性剤および/または補助剤の分解のリスクなしに効率的溶融を許容するのに十分でなければならず、そして当業者によって容易に決定することができる。第1の温度T1はブレンド中に存在する共重合体、活性剤および/または補助剤のガラス転移温度に依存し、そしてこれら成分のどの分解温度をも超えない。T1の好ましい範囲は80℃ないし150℃、特に例えば約120℃、約125℃、約130℃、約135℃および約145℃のような80℃ないし160℃、90℃ないし150℃、100℃ないし140℃、110℃ないし130℃である。昇温は好ましくは直線的または実質上直線的である。最終温度T1への昇温の間、未溶融、部分的にまたは完全に溶融したブレンドを混合することができる。
T1へ達した後、溶融塊全体に温度勾配が全くまたは実質上存在しない均質な溶融物を提供するため、この温度はすべての成分の完全な溶融およびそれらの混合を確実にするのに十分に長く維持される。成分の全質量に応じ、この時間は3分ないし25分、4分ないし20分、または5分ないし15分のように2分ないし30分の範囲であり得る。好ましくはこの時間はどの成分の熱損傷をも避けるため可能な限り短い。好適な時間は当業者によって容易に決定することができる。
その後温度はT1から第2の温度T2へ下げられる。降温は好ましくは直線状または実質上直線状速度で発生する。降温は局所的な過冷却およびそれに伴う溶融物の一以上の成分の結晶化または沈澱のリスクを避けるように十分に遅くなければならない。溶融成分の熱容量およびその全質量に応じ、溶融物をT1からT2へ降温するための時間は3分ないし60分、特に5分ないし10分のように4分ないし30分、5分ないし20分の範囲であり得る。集中または温度勾配を避けるため、溶融物は好ましくは降温の間連続的に混合される。T2は、均質な溶融物、選んだ口金圧力において押出し口金を通過するための十分な粘度、押出し物の形状安定性、およびその適切な固化時間を依然として提供することにより、後のスムースな押出しを許容するように選定される。溶融物の成分に応じ、好適な温度T2は当業者によって容易に決めることができ、そして25℃ないし70℃のような20℃ないし80℃、特に約30℃、約35℃、約40℃および約45℃のような30℃ないし50℃の範囲とすることができる。
T2へ達した後、溶融物全体が均一または実質上均一な温度T2の均等化を確実にするのに十分に長い時間温度がコンスタントに保たれる。溶融物の全質量およびそれに含まれる成分に応じ、この時間は2分ないし45分、特に約5分、約10分または約15分のように3分ないし30分の範囲であることができる。温度均等化および溶融物の成分の非均質分布防止のため、溶融物は好ましくはこの間混合される。
溶融物全体が均質または実質上均質な温度T2へ達した後、溶融物は押出し口金を通って押出される。口金の直径と形状、押出し圧力のような押出しパラメータは押出物の所望の形状および特徴、および溶融物の特性(それに含まれる成分に応じて)に依存し、そして当業者によって最適化し得る。好ましくは、押出物は第1の共重合体、第2の共重合体および少なくとも1種の活性成分、そして存在し得る任意の補助剤の単一相混合物である。特に、押出物は無気泡または実質的に無気泡で、そして目視において実質的にまたは完全に汚れがない。
実質上どんな所望の形状の送達システムでも、適当な形状の口金を通って溶融物を押出し、任意にこの分野で成分の成形に適していることが知られる、射出成形、ブロー成形、押出し、または他の成形または注型プロセスを含む追加の成形ステップによって成形することができる。
送達システムの製造の間、汚染生物また感染作因(真核細胞、バクテリアまたはウイルスのような)、または有害物質(化学品またはエンドトキシンのような)による汚染を避けるためのこの分野で普通の対策を取り、その後の汚染の回避を確実にするため密閉した容器等に包装することができる。
今や本発明の限定と解すべきでない以下の実施例によって本発明をさらに例証する。
実施例1:固体分散体生産物の製造
固体分散体生産物を製造するためのブレンドが以下のように調製された。以下の原料が使用された。
Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co.KG,インゲルハイム、ドイツから得たResomerTM Condensate RG 50:50、Mn2300(以後Resomer Mn 2300という。)である、モル比45:55ないし55:45と、2000〜2500g/モルの分子量Mnを有するDL−乳酸とグリコール酸の共重合体;
Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co.KG,インゲルハイム、ドイツから得たResomerTM Condensate RG 50:50、Mn 800(以後Resomer Mn 800という。)であるモル比45:55ないし55:45と、800g/モルの分子量Mnを有するDL−乳酸とグリコール酸の共重合体;
ニカルジピン(遊離塩基)は、ニカルジピン塩酸塩(Sigma−Aldrich,St.Louis,USA)を水および酢酸エチルと混合し、次に2M NaOHを添加し、酢酸エチル相を分離し、酢酸エチルを蒸発し、黄色油状物質として無定形ニカルジピン塩基を得ることによって調製された。結晶性ニカルジピン塩基は、無定形ニカルジピン塩基をイソプロパノール/ジイソピロピルエーテルと混合し、種結晶を加え、そして結晶化を許容するため氷浴で一夜冷却することによって調製した。生成した結晶は濾過によって分離され、洗浄そして乾燥された。
室温ではワックス状の蜂蜜状の物質であるResomer Mn 800の取扱いを容易化するため、二種の共重合体はSpex6700−フリーザーミル(5分、最大衝撃周波数)を用いて冷凍粉砕され、その後追加的にニカルジピンを含んでいる乳鉢と乳棒を用いて冷たい室(5℃)において人手で混合された。
表1に組成を示した3種類の異なる固体分散体生産物が調製された。加えて、Resomer Mn 800を含まない比較組成物も調製された。
Figure 0005869486
RAM押出機を使ってブレンドを固体分散体生産物へ変換した。RAM押出機の機構は、Gurtler et al.,J.Controlled Release 33:231−236(1994)に記載されている。ポリマーを溶融しそして結晶性ニカルジピンを溶解するため、ブレンドは120℃の第1の温度T1へ急速に加熱され、そして混合しながらこの温度に保たれた。その後混合物は共重合体に応じて35℃ないし45℃の第2の温度T2へ冷却され、そしてT2において10分間安定的に保たれた。T2においてニカルジピンは溶融物に可溶であった。最高の透明度、直線性、直径の均一性および最小の気泡含有率を有する押出物を得るため、押出し口金の直径は表2に示すようにそれぞれのブレンド組成に応じて選定された。
Figure 0005869486
組成物1、組成物2および組成物3の押出しプロファイルは、それぞれ図1a,図1bおよび図1cに示されている。
押出物は直径2mmを持っていた。均一な長さ(10mm)と重量(40mg)を得るため、押出物はカミソリ刃を用いて切断された(室温で事前の加熱なしで)。ロッド状のピースが本発明に従った埋め込むことができる送達システムとして役立ち、そしてさらなる実験(以下を見よ)に使用された。
実施例2:ガラス転移温度の決定
原料ポリマーおよび上の実施例1で製造された固体分散体生産物のガラス転移温度は、SSC/5200(セイコー、日本)熱量計を用いて示差走査カロリメトリ(DSC)によって決定された。分析は−20℃から130℃まで(5℃/分)加熱し、その後130℃から−20℃(10℃)へ冷却することによって実施された。このサイクルが1回繰り返され、繰り返したサイクルから得た値を表3に示す。
Figure 0005869486
ガラス転移温度Tgは、低分子量共重合体Resomer Mn800の含量が増加するにつれて低下することが明らかである。表2の値に基づいた補間傾向カーブが図2に示され、そしてTgとResomer Mn800のパーセントの間の関係を示している。
実施例3:ニカルジピン含量の決定
上の実施例1で製造したインプラントのニカルジピン含量を実験的に検証するため、インプラントをテトラヒドロフラン50mLに溶解し、透明溶液を得た。サンプルの5vol%をHPLC装置(カラム:C18Nucleosil 100−3、125×4mm(内径):移動相:10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.1):CHCN=50:50:流量:1mL/分:温度30℃:UV検出器波長240nm:注入体積10μL)の95%vol%移動相中に希釈した。検出器Waters996PDAを備えたポンプコントローラーWaters600Eが使用された。較正曲線は、5%THFおよび95%移動相中の各種ニカルジピン濃度を含有する標準液を用いて得られた。結果は表4に要約される(平均値±標準偏差、n=3,CV:変動係数)。
Figure 0005869486
組成物1、組成物2および組成物3からのサンプルの実験的に決定されたニカルジピン含量は10wt%の名目値と良く一致する。
実施例4:インプラントからのニカルジピンの放出
実施例1において製造されたインプラントからの活性成分の放出は、溶解液(リン酸緩衝化食塩水、pH7.4+TweenTM80 0.1%wt/vol)250mLを収容するビーカー中にインプラント1個を浸漬することによって決定された。ビーカーは37℃において毎分60ストロークで振とうされた。サンプルは予め定めた間隔で採取され、ニカルジピン含量についてHPLC(カラムLunaC18,150×4.6mm(内径)+プレカラムLunaC18、4×3.0mm(内径):移動相10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.1):CHCN=40:60:流量1mL/分:温度30℃:UV検出器波長240nm:注入体積10μL)によって分析された。実施例3に記載した検出器Waters996PDAを備えたポンプコントローラーWaters600Eが使用された。較正曲線は100%移動相中のニカルジピンの異なる濃度を有する標準液から得られた。対照として臨床的に使用される参照インプラント(Kasuyaインプラント)が使用された。KasuyaインプラントはKasuya et al.2002、前出に記載のように製造されたと信じられる。
結果は図3に示されている。比較組成物から製造されたインプラントはシグモイド様放出プロファイルを示した。比較的速いニカルジピン放出の後4日間の遅延放出が続く。そのようなシグモイド様放出パターンは脳血管痙攣の防止において一般に望まれない。初期遅延時間の間の利用可能なニカルジピン濃度が不十分だからである。組成物1ないし3から製造されたインプラントはもっと均一な放出パターンを示した。組成物1および2の放出パターンはKasuyaインプラントに類似であったが、組成物3はKasuyaインプラントに優っていた。しかしながら、低いガラス転移温度のため、組成物3は臨床プラクティスにおいては不利益かも知れないいくらかの粘着性を示した。
図3から、第1の共重合体および第2の共重合体を含んでいる固体分散体生産物は、第1および第2の共重合体の相対的比率を変えることによって活性成分(ニカルジピンでテストした)のより遅い、同じまたはより高い放出を発揮するように微調節できることが明らかになる。第2の共重合体(第1の共重合体より低い分子量を持っている)の割合の増加はガラス転移温度を低くし、そして比較的低いガラス転移温度を許容する。これに伴って放出速度は、二つの共重合体の比率に関係なくニカルジピン含量が均一である組成物全体中の第2の共重合体の含量の増加につれて比例的に増大する。本発明に従った送達システムは、このように活性成分の仕立てた放出速度の提供を許容する。

Claims (9)

  1. (i)第1の数平均分子量Mn1付近に中心がある分子量分布を有する第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)と、(ii)第2の数平均分子量Mn2付近に中心がある分子量分布を有する第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)との混合物中のカルシウムチャンネルブロッキング剤の固体分散体生産物を含み、ここでMn1は2000ないし3000g/モルの範囲にあり、そしてMn1/Mn2の比は、1.8ないし3.5であり、
    カルシウムチャンネルブロッキング剤が固体分散体生産物の1ないし25wt%を占め、
    カルシウムチャンネルブロッキング剤は、ニカルジピン、その薬学的に許容し得る塩、水和物または溶媒和物であり、
    第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)中のラクタイド:グリコライドモル比が45:55から55:45であり、
    第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)中のラクタイド:グリコライドモル比が45:55から55:45である、対象の脳脊髄液中に導入するためのカルシウムチャンネルブロッキング剤の持続性放出のための送達システム。
  2. 第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)と第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)の重量比が10:1から1:1.5である請求項1に従った送達システム。
  3. カルシウムチャンネルブロッキング剤は単一相混合物中に分子的に分散している請求項1に従った送達システム。
  4. ニカルジピン4mg相等量を含んでいる送達システムをリン酸緩衝化食塩水、pH7.4とポリソルベート80の0.1vol%の溶解液中に37℃で毎分60ストロークの振とう下に置く時、
    ニカルジピン総量の4.5%ないし8.5%が1日後に放出され、
    ニカルジピン総量の10%ないし20%が3日後に放出され、そして
    ニカルジピン総量の25%ないし36%が7日後に放出されることを特徴とするインビトロ放出プロファイルを示す、請求項に従った送達システム。
  5. 脳血管痙攣の処置または防止のための、請求項1ないしのいずれかに従った送達システム。
  6. 対象の脳脊髄液中に当該送達システムを沈着することによる、対象中の脳痙攣の処置または防止方法のための、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の送達システム。
  7. 血管痙攣を示しているかまたは血管痙攣の発展が疑われる血管の近傍またはそれに隣接して沈着されるための、請求項に記載の送達システム。
  8. 第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)およびカルシウムチャンネルブロッキング剤の溶融物を調製し、そして溶融物の固化を許容することを含む、請求項1ないしのいずれかに従った送達システムの製造方法。
  9. a)第1のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)、第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)およびカルシウムチャンネルブロッキング剤の混合物を提供するステップ、
    b)第1および第2のポリ(ラクタイド−コ−グリコライド)を溶融し、そしてカルシウムチャンネルブロッキング剤をその中に分散するため、前記混合物の温度を第1の温度T1へ昇温し、混合物を第1の温度T1に維持するステップ、
    c)前記混合物の粘度を押出しに適した粘度に調節するため、温度を第2温度T2へ降温し、そして混合物を温度T2に維持するステップ、および
    d)前記混合物を口金を通って押し出すステップ、
    を含む請求項に従った方法。
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