JP5869044B2 - 遠心圧縮機 - Google Patents
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Description
ところで、このような噴射装置は、例えば流路中に配置されたリターンベーンの頂上部、すなわちリターンベーンの半径方向外方に設置され、流路に向けて洗浄液を微粒化して噴射するようになっている。
すると、この微粒化された洗浄液はその噴射方向へのベクトルが小さくなるため、噴射方向に広がることなく、主流に取り込まれてすぐにリターンベーンに衝突・付着してしまい、前述したように流路全体を洗浄するのが難しくなっている。
また、前記遠心圧縮機において前記洗浄液噴射装置は、前記インペラの回転軸と略平行に、前記洗浄液を噴射するように配置されていることで、洗浄液噴射装置から噴射された洗浄液が、回転軸方向に沿って対向するディフューザの他方側に向けて良好に流れるようになり、したがって、ディフューザ前壁とディフューザ後壁との間のスパン方向(回転軸方向)により確実に広がり、ディフューザの両壁を洗浄しやすくなる。
ここで、前記洗浄液噴射装置では、前記ディフューザ後壁側に設けられた前記ノズルの周方向位置と、前記ディフューザ前壁側に設けられた前記ノズルの周方向位置とが、互いに異なっていてもよい。
このようにすれば、複数のノズルから洗浄液を噴射することで、洗浄液が回転軸の周方向に広く流れるようになり、したがって、流路全体を前記回転軸の周方向においても広く洗浄することが可能になる。
このようにすれば、洗浄液の供給源からチャンバーに洗浄液を供給し、このチャンバーを介してノズルに一括して洗浄液を供給し、噴射させることができ、したがって洗浄液噴射装置の構造が簡易になる。
このようにすれば、この略環状に形成されたチャンバーに、前記回転軸の周方向に沿って複数のノズルを配置することにより、洗浄液を回転軸の周方向に広く流れるようにし、流路全体を前記回転軸の周方向において広く洗浄することが可能になる。
(第1参考例)
図1は、本発明の遠心圧縮機の第1参考例を示す概略構成断面図であり、図1中符号1は遠心圧縮機である。この遠心圧縮機1は、インペラを6つ備えた多段式の遠心圧縮機である。
なお、図2は、一段目及び二段目のインペラ3周辺を示している。
ディフューザ通路(ディフューザ)12は、ケーシング5のディフューザ前壁12aと隔壁部材5eのディフューザ後壁12bとで囲まれた通路であり、径方向内方側が圧縮通路11に連通している。このディフューザ通路12は、インペラ3によって圧縮されたプロセスガスGを径方向外方に流している。そして、このディフューザ通路12のディフューザ後壁12bには、後述する洗浄液噴射装置30が設けられている。
また、このディフューザ通路12には、周方向に並ぶように軸線Oを中心として放射状に配置される、複数のディフューザベーン(図示せず)が設けられていてもよい。
ただし、一段目のインペラ3にプロセスガスGを送り出す吸込通路10のリターン通路14は、径方向外方側が吸込口5cに連通するようになっている。
そして、プロセスガスGは、前述した順で流れる途中、各インペラ3によって圧縮される。つまり、本参考例の遠心圧縮機1では、プロセスガスGを6つのインペラ3によって段階的に圧縮し、これによって大きな圧縮比を得るようになっている。
整流部35は、その流路長Lが、ノズル口33の内径dの3倍以上に形成されている。
具体的には、ノズル口33の内径dは0.1mm程度から10mm程度、好ましくは1mm以上5mm以下程度とされる。このように、ノズル口33の内径dに対して3倍以上の流路長を有する整流部35を設けることにより、ノズル31から噴射される洗浄液Wは、図4に示すように連続した液柱状に流れる。
このような構成によってノズル31は、ディフューザ後壁12bからディフューザ前壁12aに至るスパン方向において、洗浄液Wをより広い範囲に亘って噴射することができる。
なお、整流部35と大径部36により内部孔32を形成することに限定されることはなく、図5(c)に示すように、整流部35のみで形成される内部孔32をノズル31としてディフューザ後壁12bの内壁面に直接孔加工してもよい。この場合、図5(c)に示すように、ディフューザ後壁12bの内壁面とチャンバー50により区画される壁厚を流路長Lとして、この流路長Lをノズル口33の内径dの3倍以上に形成することにより、十分な整流効果を得ることができるので、ノズル31から噴射される洗浄液Wも良好に連続した液柱状となる。
また、シャフト(回転軸)2と略平行に洗浄液Wを噴射するようにしているので、洗浄液Wが、シャフト2の長さ方向に沿ってディフューザの反対側に向けて良好に流れるようになり、したがって、洗浄液Wをディフューザ前壁12aとディフューザ後壁12bとの間のスパン方向に十分に広がらせることができる。
また、チャンバー50を、インペラ3を囲繞して環状に形成しているので、この環状に形成されたチャンバー50にノズル31を多数配設することにより、洗浄液Wをインペラ3の周方向に広く流れるようにし、流路全体をインペラ3の周方向においても広く洗浄することができる。
図8は、本発明の遠心圧縮機の第2参考例を示す図であり、第1参考例における図2に対応する側断面図を簡略化した図である。第2参考例の遠心圧縮機が、第1参考例の遠心圧縮機1と異なるところは、第1参考例ではディフューザ後壁12bにノズル31(洗浄液噴射装置30)を配置したのに対し、第2参考例ではディフューザ前壁12aにノズル(洗浄液噴射装置30)31を配置した点である。
図9は、本発明の遠心圧縮機の第1実施形態を示す図であり、第1参考例における図2に対応する側断面図を簡略化した図である。第1実施形態の遠心圧縮機が、第1参考例の遠心圧縮機1と異なるところは、第1参考例ではディフューザ後壁12bにのみノズル31(洗浄液噴射装置30)を配置したのに対し、第1実施形態では、このディフューザ後壁12bに加えて、ディフューザ前壁12aにもノズル31(洗浄液噴射装置30)を配置した点である。
なお、ディフューザ後壁12b側とディフューザ前壁12a側に設けられたノズル31の周方向位置は、互いの位相を同じにしてもよいし、異ならしめてもよい。例えば、半ピッチずつずれた位相に配置してもよい。
図10は、本発明の遠心圧縮機の第3参考例を示す図であり、第1参考例における図2に対応する側断面図を簡略化した図である。第3参考例の遠心圧縮機が、第1参考例の遠心圧縮機1と異なるところは、第1参考例では多数のノズル31とチャンバー50と配管51とを備えた洗浄液噴射装置30を、一系統しか備えていないのに対し、第3参考例では、二系統備えている点である。
さらに、遠心圧縮機の運転条件から、洗浄液Wの注入量に制限がある場合などでは、二系統の洗浄液噴射装置のうちの一系統のみを稼働させるように制御することで、洗浄液Wの注入量を制限された量に抑えることができる。
さらに、この第3参考例では、内周側ノズル31bのノズル口径を外周側ノズル31aのノズル口径よりも小さくしたが、同じ口径でもよいし、逆に外周側ノズル31aのノズル口径を内周側ノズル31bのノズル口径よりも小さくしてもよい。
また、内周側ノズル31bと外周側ノズル31aの数は同じでもよいし、異ならしめてもよい。
図12は、本発明の遠心圧縮機の第4参考例を示す図であり、第1参考例における図2に対応する側断面図を簡略化した図である。第4参考例の遠心圧縮機が、第1参考例の遠心圧縮機1と異なるところは、第1参考例では多数のノズル31とチャンバー50と配管51とを備えた洗浄液噴射装置30をディフューザ後壁12bに設けたのに対し、第4参考例では、この洗浄液噴射装置30に加えて別の洗浄液噴射装置40を設け、これら洗浄液噴射装置30と洗浄液噴射装置40とにより、本発明の洗浄液噴射装置を構成した点である。
具体的には、ノズル口63の内径dは0.1mm程度から10mm程度、好ましくは1mm以上5mm以下程度とされる。このように、ノズル口63の内径dに対して3倍以上の流路長を有する整流部65を設けることにより、ノズル61から噴射される洗浄液Wは、図15に示したように連続した液柱状に流れる。
このような整流板67を大径部36に設けることで、整流部65に流入する洗浄液Wには旋回ベクトルが与えられることなく、直進ベクトルのみが与えられるようになる。したがって、さらに整流部65を流れることで、ノズル31から噴射される洗浄液はより良好に連続し、図15に示したように液柱状になる。
また、洗浄液噴射装置40のノズル41(第2のノズル)によっても、洗浄液Wをディフューザ通路12からリターン通路14及びリターンベーン25までの広い範囲において衝突・付着させることができ、これによって流路全体を広い範囲に亘って洗浄することができる。
例えば、前記洗浄液噴射装置30(30a、30b)では、洗浄液Wの噴射方向がインペラ3の回転軸(シャフト2)と略平行になるようにノズル31を配置したが、必要に応じて、洗浄液Wの噴射方向を主流の上流側又は下流側に傾けてもよく、あるいは、流路の半径方向内方又は半径方向外方に傾けてもよい。
さらに、前記第4参考例では、洗浄液噴射装置30のノズル31(第1のノズル)をディフューザ後壁12bに設け、洗浄液噴射装置40のノズル41(第2のノズル)をディフューザ前壁12aに沿って配置したが、逆に、洗浄液噴射装置30のノズル31(第1のノズル)をディフューザ前壁12aに設け、洗浄液噴射装置40のノズル41(第2のノズル)をディフューザ後壁12bに沿って配置してもよい。
また、ノズル41を等間隔に環状配置させたが、必ずしも等間隔でなくてもよい。
さらに、前記実施形態及び参考例では、ノズル31とチャンバー50と配管51とを備えて洗浄液噴射装置30を構成したが、本発明はこれに限定されることなく、例えばチャンバー50を備えることなく、配管51にノズル31を直接接続して、洗浄液噴射装置30を構成してもよい。
また、前記実施形態及び参考例では、チャンバー50(50a、50b)を全周に形成したが、これに限られるものではなく、周方向に複数に分割されたチャンバー50(50a、50b)を用いてもよい。
また、前記実施形態及び参考例では多段式の遠心圧縮機について説明したが、これに限られるものではなく、単段式の遠心圧縮機にも適用することができる。
Claims (5)
- ケーシングと、このケーシング内に支持された回転軸と、この回転軸に設けられて回転して流体を圧縮するインペラと、このインペラと前記ケーシングとが形成する流路に洗浄液を噴射する洗浄液噴射装置と、を備える遠心圧縮機であって、
前記洗浄液噴射装置は、前記インペラに形成された前記流路としての圧縮通路に径方向内方側が連通し、前記ケーシングに形成された前記流路としてのリターンベンド通路に径方向外方側が連通する前記流路中のディフューザを形成するディフューザ後壁に設けられ、かつディフューザ前壁に向かって前記洗浄液を前記回転軸方向に噴射するように配置されたノズルと、前記ディフューザ前壁に設けられ、かつ前記ディフューザ後壁に向かって前記洗浄液を前記回転軸方向に噴射するように配置されたノズルとを備え、
前記洗浄液噴射装置は、前記回転軸と略平行に、前記洗浄液を噴射するように配置されていることを特徴とする遠心圧縮機。 - 前記洗浄液噴射装置では、前記ディフューザ後壁側に設けられた前記ノズルの周方向位置と、前記ディフューザ前壁側に設けられた前記ノズルの周方向位置とが、互いに異なっていることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
- 前記洗浄液噴射装置は、前記洗浄液を噴射する前記ノズルを、前記回転軸の周方向に沿って複数備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心圧縮機。
- 前記洗浄液噴射装置は、前記洗浄液を噴射する複数の前記ノズルと、これらノズルのそれぞれに連通する少なくとも1つのチャンバーとを備えていることを特徴とする請求項3に記載の遠心圧縮機。
- 前記チャンバーは、前記回転軸を囲繞して略環状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の遠心圧縮機。
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