JP5868625B2 - ロボット - Google Patents

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Description

本件発明は、移動機構を備えたロボットに関する。
近年、生物規範型ロボットの研究が盛んに行われている。一例として、カタツムリのような歩行波で推進する推進機構の研究や4足動物を規範とした方向リズムの研究、微生物の動きを応用したロボットの研究、人間の骨盤回旋動作を規範としたロボットの歩行や関節を規範としたロボットの研究などがある。
更に、昆虫の移動機構を規範としたロボットの開発も多数行われている。例えば、特許文献1には、羽根を規範とした羽ばたき飛行ロボットが開示されている。また、非特許文献1には、昆虫の衝突回避機構の研究や昆虫配脈管組織を用いたバイオアクチュエータが開示されている。
特開2008−276807号公報
秋山佳丈、寺田玲子、岩淵喜久男、古川勇二、森島圭祐、昆虫配脈管組織を用いた長期間室温で駆動するバイオアクチュエータの創製、日本ロボット学会誌、Vo1.26 No.6, pp.667-678,2008
上述したような移動機構を備えた昆虫ロボットは、人間の手が届かない狭い場所での作業や人間が立ち入ることの出来ない極限地、例えばミクロの世界などに介入し、生体の仕組みや環境とのインタラクションにおいて非常に大きな期待が持てるものと考えられ、注目されている。更に、係るロボットが軽量で、且つ、容易に組み立て可能であれば、より一層汎用性が向上し、例えば、輸送重量制限の厳しい宇宙空間などの極地においても有効であるものと期待されている。
特に、このような特殊な環境下で作業するロボットには、外部環境の変化や刺激に対して構造的および機能的に柔軟性があり、且つ、より速く移動することが求められている。
本件発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、外部環境の変化や刺激に対して構造的及び機能的に柔軟性があり、且つ、より速く移動することが出来るロボットを提供することを目的とする。
そこで、本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下のロボットを採用することで上記課題を達成するに到った。
本件発明に係るロボットは、一対の長尺の脚部の長手方向を進行方向に対して平行に配置し、当該一対の脚部を動作させて移動するロボットであって、当該脚部は、板状の可撓性部材と、当該可撓性部材の下面に沿って取り付けられて、通電加熱により収縮し、冷却により延伸することによってその長さが変化する形状記憶合金とからなるアクチュエータにて構成され、当該可撓性部材は、当該形状記憶合金の収縮により接地面に対して円弧状に湾曲することを特徴とする。
本件発明に係るロボットは、前記一対の脚部と、該脚部間に位置する上体部と、当該脚部と当該上体部とを連結する連結部とから構成され当該連結部は、下部が当該可撓性部材に取り付けられると共に、当該可撓性部材の湾曲する動作に同期して、ロボット本体を前方に動かす駆動モーメントの伝達経路となることがより好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記連結部を可撓性を有する平板部材にて構成することがより好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記上体部が、前後方向に弾性変形可能な弾性部材からなり、且つ、前記連結部の上部背面に取り付けられて、前記駆動モーメントが発生するとき、自重で振り子作用を発揮して、ロボット本体が前方に移動する推進力を付与するものであることがより好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記各形状記憶合金が、それぞれ独立して通電装置に電気的に接続されることがより好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記通電装置が、前記一対の脚部の前記形状記憶合金に交互に通電することがより好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記各脚部の先端に爪を形成することが好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記爪が接地面に着地し、当該着地部と接地面との間に接地面反力が作用して、ロボット本体を前進させるとき、当該着地部の接地面に対する角度が鋭角となるように当該爪を前記脚部先端に形成することがより好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記爪を、歩行時における前記ロボット本体の前後の揺れ幅が、当該爪を設け無い場合の当該揺れ幅より大きくなる角度に形成することがよりが好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記可撓性部材と前記爪とのなす角度を125°〜145°とすることがより好ましい。
本件発明に係るロボットは、前記可撓性部材を、ポリエチレン製の薄板とすることがより好ましい。
本件発明に係るロボットは、一対の長尺の脚部の長手方向を進行方向に対して平行に配置し、当該一対の脚部を動作させて移動するロボットであり、当該脚部を、板状の可撓性部材と、当該可撓性部材の下面に沿って取り付けられて、通電加熱により収縮し、冷却により延伸することによってその長さが変化する形状記憶合金からなるアクチュエータにて構成され、当該可撓性部材は、当該形状記憶合金の収縮により接地面に対して円弧状に湾曲することにより、構造的及び機能的に柔軟性に優れた構造とすることができる。また、本件発明に係るロボットは、軽量、且つ、構造が単純であり、容易に加工、改良が可能である。
更に、請求項7に記載の如く、各脚部の先端に爪を形成することで、爪により接地面に引っかかりを生じさせることが可能となる。これにより、爪が接地面を捉える力を利用してロボット本体をより前進させることが可能となり、移動速度の向上を図ることができるようになる。
本件発明に係るロボットの一実施形態を模式的に示した斜視図である。 図1のロボットの非通電時における正面図である。 図1のロボットの通電時における正面図である。 図1のロボットの脚部の正面図である。 図1のロボットの脚部の平面図である。 実施例(可撓性部材と爪とのなす角度を135°とした場合)の爪の取り付け状態を示す図である。 実施例(角度135°で爪を取り付けた場合)のロボットの移動時間と距離を示す図である。 比較例1(爪が無い場合)のロボットの脚部を示す図である。 比較例2(可撓性部材と爪とのなす角度を45°とした場合)の爪の取り付け状態を示す図である。 比較例3(可撓性部材と爪とのなす角度を90°とした場合)の爪の取り付け状態を示す図である。 比較例1のロボットの移動時間と距離の関係を示す図である。 比較例2のロボットの移動時間と距離の関係を示す図である。 比較例3のロボットの移動時間と距離の関係を示す図である。 爪の角度と移動速度の関係を示す図である。
次に本件発明に係るロボットの好ましい実施の形態について説明する。図1〜図3は、本件発明に係る一実施形態のロボットを示している。本件発明に係るロボットは、一対の長尺の脚部2、2の長手方向を進行方向に対して平行に配置し、当該一対の脚部2、2を動作させて移動するロボットである。具体的に、このロボットは、左右一対の長尺の脚部2、2と、上体部3と、これらを連結する連結部4とから本体1が構成されている。各脚部2は、長手方向を進行方向に対して平行に配置されたものであり、各々板状の可撓性部材10と、可塑性部材10の先端側下面に取り付けられた形状記憶合金(Shape Memory Alloy)からなるワイヤ(以下、SMAワイヤと称する)12とで構成されている。尚、SMAワイヤ12は可塑性部材10の下面に沿って取り付けられているため、図1には示されない。
上記可撓性部材10は、可撓性を有した長尺の平板にて形成することが好ましい。本実施の形態では、可撓性部材10としてポリエチレン製の薄板を用いるものとする。尚、本件発明では可撓性部材は、ポリエチレン製の薄板に限定されるものでなく、可撓性を有する板状部材であれば、他のものであっても差し支えない。
次に、SMAワイヤ12について説明する。SMAワイヤ12は、通電加熱により収縮し、冷却により延伸することでその長さが変化するものである。即ち、SMAワイヤ12は、常温時に長手方向に引っ張られて、延び変形し、加熱されるとその形状回復力によってもとの長さに収縮するものである。
このSMAワイヤ12の両端部は、かしめ部材14、14により可撓性部材10の下面に沿って取り付けられる。また、このSMAワイヤ12は、これらかしめ部材14、14を介して通電用リード線としての銅線40に接続されている(図2及び図3)。尚、図3において、破線は非通電時における連通部4と脚部2の状態を示している。
この銅線40の他端部は、図示しない通電ケーブル等を介してSMAワイヤ12への通電量を制御する通電装置45に接続されている。当該通電装置45は、各々SMAワイヤ12、12を独立に通電加熱することが可能であるものとすることが好ましい。即ち、SMAワイヤ12、12は、それぞれ独立して通電装置45に電気的に接続されることが好ましい。このように、SMAワイヤ12、12がそれぞれ独立して通電装置45に電気的に接続されることで、各SMAワイヤ12、12への通電は一方の通電状態に依存せず、個々に通電状態を切り替えることが可能となる。
また、前述したように各SMAワイヤ12は、かしめ部材14、14により可撓性部材10の下面に沿って各々取り付けられている。この可撓性部材10は可撓性を有するため、常温時においては、SMAワイヤ12を伸張させると共に、自身も伸張した形態を保持するが、そのSMAワイヤ12が通電装置45による通電(オン)で加熱して収縮すると、その収縮力が可撓性部材10においてSMAワイヤ12が取り付けられた下面側に作用する。その結果、可撓性部材10が接地面に対して円弧状に湾曲動作する。
そして、通電が停止(オフ)され、SMAワイヤ12が冷却すると、当該SMAワイヤ12の収縮状態が解除されるため、可撓性部材10は、弾性復帰力によってもとの伸長した状態に戻る。このように、SMAワイヤ12への通電をオン・オフすることにより、アクチュエータの湾曲動作、又はその解除が切り替えられる。本件発明のロボットは、このようなSMAワイヤ12の形状回復力を利用したアクチュエータを、各脚部2、2を動作させるための駆動源として採用する。即ち、本件発明のロボットは、係る可撓性部材10とSMAワイヤ12から構成された各脚部2、2自体を、脚部2、2を動作させるためのアクチュエータとしたのである。
このように本件発明のロボットは、通電の停止時(非通電時)に脚部2に弾性エネルギーを蓄え、この蓄積されたエネルギーを通電時に運動エネルギーに変換することで前進するための運動量を得ているのである。そして、通電装置45により通電のオン・オフ信号を適切に切り替えることで、本体1が前進するのである。
係るアクチュエータは、SMAワイヤ12自体がアクチュエータの機能を有するため、ソレノイドやモータ、或いは、油圧アクチュエータ等と比べて機構的に簡単で小型化が達成しやすいという特徴を持っている。更に、アクチュエータを構成する部材も他のものと比して極めて軽量であるため、ロボットの軽量化も容易に実現することができる。
特に、上記アクチュエータにて左右の脚部2、2が交互に支持脚となり、歩行するように脚部を動作させるために、前記通電装置45により一対の脚部2、2のSMAワイヤ12、12に交互に通電することが好ましい。このように、SMAワイヤ12、12に交互に通電することで、脚部2、2の可撓性部材10、10が交互に湾曲と、伸長を繰り返す。これにより、左右の脚部2、2が交互に支持脚となり、歩行する動作を得ているのである。
尚、本実施の形態では、通電装置45により一対の脚部2、2のSMAワイヤ12、12に交互に通電するものとしたが、本件発明はこれに限定されるものでは無い。例えば、両脚部2、2のSMAワイヤ12、12への通電のオン・オフを同時に行うものとしても差し支えない。この場合には、同時に両方の脚部2、2が湾曲と伸長の動作を繰り返すこととなり、左右の脚部2、2で這うように前進する動作となる。
一方、前記連結部4は、上体部3と前記脚部2、2を連結するものであり、可撓性を有する平板部材にて構成されている。この連結部4は、下部が前記可撓性部材10に取り付けられると共に、当該可撓性部材10の湾曲する動作に同期して、本体1を前方に動かす駆動モーメントの伝達経路となるものである。具体的に、当該連結部4は、脚部2、2の可撓性部材10にそれぞれ取り付けるための取付部20、20と、これら取付部20、20から所定の傾斜角度で上方に起立する傾斜面22とを有している。尚、当該傾斜角度とは、可撓性部材10と連結部4の傾斜面22とがなす角度である。以降、この角度を傾斜角度θと称する。
傾斜面22は、ロボットの進行方向に指向しており、正面視逆V字状を呈している。そして、各取付部20、20と各可撓性部材10、10には、これらが重合する位置に図示しないネジ止め用の孔がそれぞれ形成されている。この重合されるこれらの孔を用いて、各可撓性部材10、10に連結部4の各取付部20、20がネジ(ボルトとナット)24により螺着される。
当該連結部4の取付部20が位置する可撓性部材10の下面には、SMAワイヤ12が設けられている。係る構成では、SMAワイヤ12が通電加熱により収縮すると、その上面に位置する可撓性部材10が接地面に対して円弧状に湾曲するため、当該湾曲動作に同期して、連結部4の取付部20が上部後方に移動しようとする。ところで、当該連結部4の上部は、その背面が上体部3に取り付けられている。このため、連結部4の上部は、係る上体部3の重さにより、上記湾曲動作時においても、上部後方に移動することは殆どなく、湾曲動作前の位置を維持することとなる。従って、連結部4の取付部20が上部後方に移動しようとする分、連結部4の傾斜角度θとのなす角度をが広がる。これにより、連結部4を介して上体部3に本体1を前方に動かす駆動モーメントが伝達されるのである。
上述した連結部4と上体部3との取り付け方法について詳述する。連結部4の傾斜面22の上端であって、左右方向の略中心の背面は、上体部3の後述する取付板31の前面に当接している。そして、この当接する傾斜面22の背面と、取付板31の前面とが締結部材により締結されている。本実施の形態では、傾斜面22と取付部31には、これらが当接する位置に図示しない孔がそれぞれ形成されており、これら孔を用いて、上体部3の取付部31と連結部4の傾斜面22とがネジ(ボルトとナット)26により螺着される。
次に、上体部3について説明する。当該上体部3は、上下方向に弾性変形可能な弾性部材からなる。具体的に、当該上体部3は、前記両脚部2、2の間に位置し、本体1の進行方向に対して両脚部2、2と同様に平行に配された左右一対の底面部30、30と、平板状の支柱32〜35と、各支柱の上端部をそれぞれ連結する連結部材36〜39にて構成されている。両底面部30、30は、長尺の平板部材からなり、その長手方向を進行方向に対して平行に配置されている。また、支柱32、33は、各底面部30、30の前方上面に立設する平板状の弾性部材であり、各底面部30、30から前方に反って起立するように設けられている。
これら支柱32、33の上端は平板状の連結部材36を介して連結されている。また、支柱34、35は、各底面部30、30の後方上面に立設する平板状の弾性部材であり、底面部30、30から後方に反って立設されている。これら支柱34、35の上端は上述した前方の支柱32、33と同様に、平板状の連結部材37を介して連結されている。
そして、一方の底面部30(図1において手前側となる底面部30)に設けられた前方の支柱32と後方の支柱34の上部は、弾性を有する連結部材38により連結され、同様に他方の底面部30(図1において奥側の底面部30)の前後の支柱33、35の上部も弾性の連結部材39にて連結されている。尚、これら連結部材36〜39と各支柱32〜35との連結方法として、本実施の形態では、上述同様にネジ(ボルトとナット)を用いて螺着するものとする。尚、このような部材の連結方法は、本実施の形態で示したネジを用いるものに限らず、例えば、接着剤を用いて接合するものであってもよいし、別の方法を用いるものとしても構わない。
上述したように前方の支柱32、33は底面部30から前方に反って傾斜するように起立し、且つ、後方の支柱35、36は後方に反って傾斜するように起立しているため、前後の支柱32、34間の距離は、下部より上部の方が大きくなる。同様に前後の支柱33、35間の距離が下部より上部の方が大きくなる。
このため、上体部3は、上部に行くほど不安定となる。更に、これらの隣接する支柱32〜34の上部が板状の連結部材36〜39を介してそれぞれ連結され、一体化されているので、係る連結部材36〜39の重さと、上部が前後に広がる形状との相乗作用で上体部3の重心は、より一層上方となって、前後方向に振れやすい状態となる。
ところで、前述したように上体部3は前記連結部4の上部背面に取り付けられている。本実施の形態では、上体部3の連結部材36の前面の左右方向の略中心から下方に延在する取付板31が設けられている。そして、当該取付板31の前面と連結部4の傾斜面22の上部背面とが前述の如くネジ26により螺着される。
この場合、ロボット本体1を前方に動かす駆動モーメントが発生すると、前記連結部4を介して上体部3に駆動モーメントが伝達される。具体的には、可撓性部材10が接地面に対して円弧状に湾曲し、これに同期して前記連結部4の傾斜角度θが広がることにより、本体1を前方に駆動するための駆動モーメントが発生する。この駆動モーメントが連結部4を介して上体部3に伝達されるため、これによって、上体部3は、自重で振り子作用を発揮する。この振り子作用により、ロボット本体1が前方に移動する推進力が付与される。これにより、ロボットは可撓性部材10が接地面に対して円弧状に湾曲している方の脚部2を支持脚として、前方に移動するのである。
このように本件発明に係るロボットは、単純な構造でありながら歩行を実現するという優れた特徴を有している。このため、容易に加工や改良を行うことが可能である。従って、ロボットを使用する現場で組み立てを行うことが可能となる。また、使用用途や使用環境に合わせてロボットを改良することも可能である。これにより、汎用性の向上を図ることができるようになる。
一方、前記各脚部2、2には、その先端2F、2Fに爪50、50がそれぞれ形成されている。これら爪50、50は、通電時に先端50F、50Fを接地面に着地し、当該着地部(先端50F)と接地面との間に接地面反力が作用して、本体1を前進させるとき、接地面に対して引っ掛かりを生じさせるためのものである。この爪50の上端には、取付部52が設けられており、この取付部52が可撓性部材10の先端側の下面に沿って取り付けられている。具体的には、当該取付部52が先端側のSMAワイヤ12の下方から可撓性部材10の下面に当接し、この状態で前述したかしめ部材14により一体的に取り付けられている。当該爪50の取付角度αについては、以下の実施例及び比較例にて詳細に説明する。尚、爪50の取付角度αとは、可撓性部材10と爪50とのなす角度である。以降当該角度を爪50の取付角度αと称する。
以下、実施例及び比較例を示して本件発明を具体的に説明する。尚、本件発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本件発明の実施例を示し、本件発明をより詳細に説明する。尚、図4は図1〜図3に示すロボットの一方の脚部2の正面図、図5は図4の平面図、図6は脚部2への爪50の取り付け状態をそれぞれ示している。
先ず、可撓性部材10として、厚さ0.5mm、全長100mmのポリエチレン製薄板を採用した。SMAワイヤ12は、直径0.075mm、長さ50mmのワイヤを用いた。そして、図4に示すように、可撓性部材10の先端から3mmの位置にSMAワイヤ12の先端を配置し、連結部4の取付部20を可撓性部材10の先端から30mmの位置とした。また、初期の連結部4の傾斜角度θを107°に設定するものとした。更に、爪50の取付角度(即ち、可撓性部材10と爪50とのなす角度)αを135°として、各脚部2、2の先端に爪50、50をそれぞれ形成した。係る構成の本実施例のロボットの重量は、5gと極めて軽量であった。
この場合、SMAワイヤ12の通電加熱により可撓性部材10が湾曲すると、この湾曲動作に同期して連結部4の傾斜角度θが初期の傾斜角度(非通電時の傾斜角度)よりも約10°程度広がった。そして、SMAワイヤ12の通電がオフになると(SMAワイヤ12が冷却すると)、傾斜角度θが初期の傾斜角度(107°)に復帰した。
また、通電装置45は、3V、0.7Aの条件で各SMAワイヤ12、12に通電するものとした。そして、室温を296Kの一定に保ち、ロボットに接続したコントロールボックスのスイッチによって、ONを1秒間、OFFを1秒間の間隔で、一対の脚部に交互に通電を行ってロボットを歩行させた。通電装置45により各SMAワイヤ12に係る条件で通電すると、SMAワイヤ12は加熱し、急速に収縮した。これに伴い、可撓性部材10が湾曲し、ひずみ量が得られた。このとき、SMAワイヤ12は初期の長さ(非通電時の長さ)から約10%収縮した。
同時に、爪50の先端50Fが接地面に着地する。そして、当該爪50の着地部(先端50F)と接地面との間に接地面反作用が作用すると、当該爪50の着地部50Fが接地面を引っ掻き本体1が前進した。そして、通電を止めると、SMAワイヤ12が自然放冷されて初期の長さに戻り、本体1は前進した位置で静止した。
本実施例におけるロボットの移動軌跡を図7に示す。図7において、実線が右脚部の軌跡、破線が左脚部の軌跡をそれぞれ示している。ロボットの移動距離は左右の脚部の平均をとると135mmであり、ロボットの平均速度は約4.5mm/sであった。
比較例
以下、本件発明に対する比較例について説明する。
本件発明に係るロボットの歩行速度の比較例として、以下の3タイプのロボットを用意して、それぞれの歩行速度を測定した。具体的には、図8に示すように各脚部2、2の先端に爪を設けないものを比較例1、図9に示すように取付角度αが45°となるように各脚部2、2の先端に爪50、50を形成したものを比較例2、図10に示すように取付角度αが90°となるように各脚部2、2の先端に爪50、50を形成したものを比較例3とした。
尚、何れの比較例も前述した実施例のロボットと同一の条件、即ち、室温を296Kの一定に保ち、ロボットに接続したコントロールボックスのスイッチによって、ONを1秒間、OFFを1秒間の間隔で、一対の脚部に交互に通電を行って歩行させた。また、通電装置45にて前述同様に3V、0.7Aの条件で各SMAワイヤ12、12に通電を行うものとした。
[実施例と比較例との対比]
以下に、本件発明の実施例及び比較例とを対比しつつ、本件発明を詳細に説明する。
各比較例におけるロボットの軌跡を図11〜図13に示す。即ち、図11は比較例1(爪を形成しない場合)のロボットの軌跡、図12は比較例2(爪50の取付角度αを45°とした場合)のロボットの軌跡、図13は比較例3(爪50の取付角度αを90°とした場合)のロボットの軌跡である。尚、各図において、実線が右脚部の軌跡、破線が左脚部の軌跡をそれぞれ示している。
比較例1では、非通電時に脚部2の先端2Fは接地面に着地していないが、通電により形状記憶合金12の収縮で可撓性部材10が湾曲すると、その先端2Fが接地面に着地した。そして、本体1が前進するとき、当該着地部(先端2F)に摩擦が生じることがわかった。従って、この着地部2Fと接地面との間に接地面反力が作用して、本体1が前進するものと考えられる。この場合、図11に示すようにロボットの移動距離は左右の脚部2、2の平均が71.6mmであり、ロボットの平均速度は約2.38mm/sであった。
比較例2では、通電加熱による形状記憶合金12の収縮に同期して、可撓性部材10が湾曲すると、爪50の先端が接地面に着地する。このとき、爪50の着地する角度β(爪50と爪50の着地部(先端50F)から反進行方向側の接地面とがなす角度であり、以降この角度を着地角度βとする)は鈍角となる。当該比較例2では爪50の取付角度αが45°の鋭角であるため、爪50の先端である着地部50Fより脚部2の先端2Fの方が前方に位置することとなる。この場合、爪50の着地部(先端50F)が接地面を押す力が反進行方向に作用して、爪50が負の方向に滑り、図12に示すようにロボットの歩行軌跡に乱れが生じた。その結果、ロボットの平均速度は約1.94mm/sとなり、歩行速度の向上は見られなかった。
また、比較例3では、通電加熱により形状記憶合金12が収縮し、これに同期して可撓性部材10が湾曲すると、爪50の先端50Fが接地面に着地する。このとき、爪50の着地角度βが90°に近くなる。この場合、爪50が接地面を引っ掻く幅が狭く、且つ、爪50の着地角度βが略直角となることで爪50と接地面との間に強い引っかかりが生じてしまい、ロボットが後退する傾向がみられた。そのため、図13に示すようにロボットの歩行軌跡に乱れが生じる結果となった。比較例3におけるロボットの平均速度は、約2.26mm/sであり、上記比較例2と同様に歩行速度の向上に影響は見られなかった。
以上詳述したように、実施例と比較例とを比較すると、実施例では爪を付けていない状態よりも速度が約2倍速いことが明らかとなった。また、実施例のロボットは、爪の取付角度αが45°及び90°のロボットと比べて歩行に乱れがないことがわかった。
以上の結果から、図14に示す爪の角度によるロボットの移動曲線が得られた。前述したように、比較例2の結果から、爪50が接地面に着地し、当該爪50の着地部50Fと接地面との間に接地面反力が作用して、ロボットの本体1が前進するとき、爪50の接地角度βが略直角であると、爪50が接地面を引っ掻く幅が狭く、且つ、爪50と接地面との間に強い引っかかりが生じて、歩行速度に影響が見られないことが明らかとなった。しかしながら、図14に示されるように、爪50の接地角度βが90°より小さくなると、即ち、爪50の接地角度βが鋭角になると、爪50を形成しない場合に比して歩行速度が向上することが明らかとなった。
従って、着地角度βが鋭角となるように爪50を脚部2の先端2Fに形成することが好ましい。このような着地角度βとなるように爪50を形成することによって、歩行速度の向上を図ることが可能となる。
また、本実施例のように爪の取付角度αを135°とした場合、地面を引っ掻く幅が大きく、爪を設けない場合と比較すると、ロボット本体1の前後の揺れ幅が大きくなり、その分、速度が向上するものと考えられる。これにより、少なくとも爪50は、歩行時におけるロボット本体1の揺れ幅が、比較例1の如く爪50を設けない場合の揺れ幅よりも大きくなる取付角度αに形成することが望ましい。
更に、図14から取付角度αが125°〜145°の範囲となるように脚部2の先端に爪50を形成した場合、速度の向上に有効的であることが明らかとなった。特に、取付角度αが135°となるように爪50を形成すると、速度が最大となり、速度の向上に最も効果的であることがわかった。
以上より、ロボットの歩行速度を効果的に向上させるためには、取付角度αが125°〜145°の範囲となるように脚部2の先端に爪50を形成することが好ましく、更に好ましくは、実施例の如く取付角度αが135°となるように爪50を脚部2、2の先端2F、2Fに形成することが最も効果的である。
本件発明を採用することにより、外部環境の変化や刺激に対して構造的及び機能的に柔軟性に優れて、且つ、より速く移動することが可能なロボットが実現可能となる。係るロボットは、災害現場等人の立ち入ることが困難な狭地や危険な場所、温度変化の激しい場所で好適に用いることが可能となる。更に、本ロボットの将来的な用途としては、昆虫などの生物探査、また、海中及び宇宙などの調査としての活躍が期待される.
1 本体
2 脚部
2F 脚部先端
3 上体部
4 連結部
10 可撓性部材
12 SMAワイヤ(形状記憶合金)
14 かしめ部材
20 取付部
22 傾斜面
24 ネジ
26 ネジ
30 底面部
31 取付板
32〜35 支柱
36〜39 連結部材
40 銅線(通電リード線)
45 通電装置
50 爪
50F 先端
52 取付部

Claims (11)

  1. 一対の長尺の脚部の長手方向を進行方向に対して平行に配置し、当該一対の脚部を動作させて移動するロボットであって、
    当該脚部は、板状の可撓性部材と、該可撓性部材の下面に沿って取り付けられて、通電加熱により収縮し、冷却により延伸することによってその長さが変化する形状記憶合金とからなるアクチュエータにて構成され
    当該可撓性部材は、当該形状記憶合金の収縮により接地面に対して円弧状に湾曲することを特徴とするロボット。
  2. 前記一対の脚部と、該脚部間に位置する上体部と、当該脚部と当該上体部とを連結する連結部とから構成され
    当該連結部は、下部が当該可撓性部材に取り付けられると共に、当該可撓性部材の湾曲する動作に同期して、ロボット本体を前方に動かす駆動モーメントの伝達経路となる請求項1に記載のロボット。
  3. 前記連結部は、可撓性を有する平板部材にて構成される請求項2に記載のロボット。
  4. 前記上体部は、前後方向に弾性変形可能な弾性部材からなり、且つ、前記連結部の上部背面に取り付けられて、前記駆動モーメントが発生するとき、自重で振り子作用を発揮して、前記ロボット本体が前方に移動する推進力を付与する請求項2又は請求項3に記載のロボット。
  5. 前記各形状記憶合金は、それぞれ独立して通電装置に電気的に接続される請求項1〜請求項4のいずれかに記載のロボット。
  6. 前記通電装置は、前記一対の脚部の前記形状記憶合金に交互に通電する請求項5に記載のロボット。
  7. 前記各脚部には、その先端に爪が形成された請求項1〜請求項6のいずれかに記載のロボット。
  8. 前記爪が接地面に着地し、当該着地部と接地面との間に接地面反力が作用して、前記ロボット本体を前進させるとき、
    当該着地部の接地面に対する角度が鋭角となるように当該爪を前記脚部先端に形成する請求項7に記載のロボット。
  9. 前記爪は、歩行時における前記ロボット本体の前後の揺れ幅が、当該爪を設け無い場合の当該揺れ幅より大きくなる角度に形成する請求項7又は請求項8に記載のロボット。
  10. 前記可撓性部材と前記爪とのなす角度が125°〜145°である請求項7〜請求項9のいずれかに記載のロボット。
  11. 前記可撓性部材は、ポリエチレン製の薄板から成る請求項1〜請求項10のいずれかに記載のロボット。
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