JP5867970B2 - ディップペンナノリソグラフィにおけるデポジションの熱的制御 - Google Patents

ディップペンナノリソグラフィにおけるデポジションの熱的制御 Download PDF

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本出願は、2004年8月18日に出願された米国仮出願第60/603,508号及び2004年9月29日に出願された米国出願第10/956,596号の利益を享受する。
本発明は、ディップペンナノリソグラフィ即ちDPN(Dip−Pen Nanolithography及びDPNはNanoink社の登録商標)におけるデポジションを熱的に制御する装置及び方法に関するものである。
非常に小さな構造体及びパターンを作る能力は、小さくて高速の電子素子を作る鍵である。最新のある技術によれば、ナノメートル即ち10−9m台の構造体を作ることができる。これらの技術の一つに、米国特許第6,635,311号に記載されたDPNがある。DPNは、原子力顕微鏡(AFM)のチップの表面に分子をデポジションする方法である。かかる方法は、DPNが極めて小さなスケールである点を除いて、ペンをインク壷内に浸しそしてそのペンを用いて書くことに極めて類似している。DPNにおいて、AFMチップ即ち“ペン”は浸され、すなわち所望の分子即ち“インク”でコーティングされ、そして分子の拡散していく表面と接触される。紙の上でペンを動かすのと殆ど同様にしてチップを表面上で動かすことによってラインやパターンを描くことができる。
しかし、この技術ではある限定が生じる。紙の上にペンで書く際には、書くのを止めるにはペンを持ち上げなければならない。DPNの場合も同じであり、デポジションを止めるためには、チップは表面との接触をやめなければならない。けれども、そうするとしばしばチップと表面との間の記録が失われる。DPNの別の欠点は汚染−不必要なインクのデポジションを生じさせることなしに接触モードにある状態で像形成目的のためにコーティングしたチップを使用できないことにある。従って、チップを表面に接触して維持しながら、デポジションのオン、オフを切り換えることのできる装置が必要となる。
DPNはさらに、インク、チップ又はチップの速度の変更の他に、一度チップ上に分子がコーティングされると、体積速度を殆ど制御できないという制限がある。DPNにおいて利用される典型的なインク分子は、AFMチップから表面へ周囲条件下で転移するように十分に可動でなければならない。この周囲温度での可動性の要求はDPNにおいて使用できるインクの形式を制限し、その結果、インクが一度表面にデポジションされるとインクのブリード即ち拡散が生じ、このことはDPNで作ることのできる構造の精度を制限することになる。DPNで使用したインクのこの必要な揮発性のために、プロセスは真空中で行なうことができず、インクがあまりにも早く蒸発してシステムを汚染することになる。真空中で実施できしかも非常に多くの種々のインクを使用できるより良好な方法が要求されている。良好な方法はまたデポジション速度を制御しかつデポジション後の表面上の分子の過剰な拡散を制限することが必要である。
これらの課題を解説する試みに関する情報は、米国特許第6,737,646号及び同第6,642,129号に見ることができる。しかしこれらの参照文献の各々に記載のものでは下記のような一つ以上の欠点がある。すなわち、汚染なしで接触モードで像形成ができないこと、デポジションのオン、オフの切換ができないこと、及び一度デポジションするとインクの過剰な拡散を制御できないこと。上記の理由で、チップと表面との接触を絶たずにDPNにおけるインクデポジションのオン、オフを切り換える方法に対する要求がある。同様に、デポジション速度を制御できかつ表面上における過剰インクの拡散又は汚染の量を制限できる装置に対する要求がある。
本発明は、熱制御装置、デポジション制御方法及び多パターニング配合物デポジション方法にある。
本発明の熱制御装置は、少なくとも一つのパターニング配合物でコーティングされた走査プローブ顕微鏡チップと、該チップに作動的に接続した温度制御装置とを有し、パターニング配合物が、オクタデシルホスホン酸であり、チップが片持ちばりの末端部に形成され、また温度制御装置が片持ちばりと一体の抵抗素子、圧電抵抗素子又は冷却素子であり、パターニング配合物の温度をチップの周囲の平均温度より高く変えるように構成したことを特徴としている。
本発明の別の特徴によれば、基板を設けること、
オクタデシルホスホン酸である少なくとも一つのパターニング配合物でコーティングした走査プローブ顕微鏡チップを片持ちばりの末端部に設けること、
パターニング配合物を基板と接触させること、及び
パターニング配合物を不動と可動との間で遷移させるように片持ちばりと一体の抵抗素子、圧電抵抗素子又は冷却素子を用いてパターニング配合物の温度を変えること、
を含み、
パターニング配合物の温度をチップの周囲の平均温度より高く変え、そして
所望量の可動パターニング配合物を所望のパターンで基板に転写できること
を特徴とするデポジション制御方法が提供される。
以下の実施形態についての説明及び添付図面を参照することによって本発明をより完全に理解することが容易に達成される。
本発明の装置概略的に示す。 AFMチップにおけるOPAのデポジションに関する楕円偏光データを示す。 種々の温度でサーマルDPNを用いてマイカ上に描いたOPAの顕微鏡写真示す。 図3に示す試料の摩擦像を示す。 サーマルDPNで描いた三本の線を示し、そのうちの二本は加熱を遮断した後に描いている。 サーマルDPNで描いたPDDTの線の顕微鏡写真を示す。 サーマルDPNで描いたインジュウムの線の顕微鏡写真を示す。
DPNではAFMチップから表面へインクを転移する水メニスカス(凹凸レンズ)が必要であることは広く認識されているが、転移は、乾性状態のもとで生じることができ、“ドライデポジッション”と呼ばれる方法であることが示されている。ドライデポジッションの最新の研究では、DPNが如何に“ウエット”インキを越えてのび得るかに多くの識見が導かれている。例えば、デポジションは高温度(すなわち水の沸点以上)で可能であるべきであり、従ってデポジョンを制御するのに温度を用いることができる。
熱DPN(tDPN)は通常のDPNを多くの仕方で強めている。第1に、書き込みにおいて微妙な制御ができる。デポジションはオン、オフ切換えでき、またポジション速度は表面との接触を絶つことなしに変えることができる。第2に、使用したインクは、冷却すると表面流動度を下げることができ、それで比較的高い空間的分解能を達成できる。第3に、冷いチップでの像形成は表面を汚さない。これにより、汚染の恐れなしにデポジションパターンの確認をその場でできる。さらに、サーマルDPNは利用できるインクの範囲を広げることができる。
この方法は、融解温度の高いパターニング配合物を利用できる。融解温度の高いパターニング配合物は一般に、蒸気圧が低く、融解温度の低いパターニング配合物よりゆっくりと拡散していく。この特性は、ブリードの量を制限するのに役立ち、真空包囲体内で方法を実施できるようにする。
本発明は、主に、走査プローブ顕微鏡チップにコーティングしたパターニング配合物の表面へのデポジションを熱的に制御することにある。このように熱的に制御することによって、時間に関係なくデポジションができまたデポジションを止めることができる。本発明では、原子力型顕微鏡(AFM)のチップ、近距離場走査型光学顕微鏡のチップ、走査トンネル型顕微鏡のチップ、及びパターニング配合物でコーティングできしかも基板に対して三次元で制御できるチップを備えた任意の他の同様な装置のような原子スケールの像形成に使用する走査プローブ型顕微鏡のチップを利用できる。本発明はまた、チップにおけるパターニング配合物の温度を変えてパターニング配合物を十分に不動から可動へ転移させる手段を有している。一度可動状態になると、パターニング配合物はチップから基板との接触領域へ自由に転移できる。一方、不動状態では配合物はデポジションされない。この方法で採られるステップの正確な順序は、それらのステップが結果として基板上にパターニング配合物のデポジションをもたらす限り、重要ではない。例えば、パターニング配合物は、温度を変えた後に基板に接触され得る。所望のパターンは、チップに対して基板を動かすことによって形成され得る。サーマルDPNでは単一チップを用いることができ、或いは各々所望のパターニング配合物でコーティングした複数の並列チップを用いることもできる。多チップが用いられる場合には、一つ以上のチップは異なるパターニング配合物でコーティングされ得る。
パターニング配合物の温度は周囲の温度より一層変えられる。これによりnmスケールにおいてシャープなパターン又は特徴を作ることができる。チップの“周囲”はチップを取巻く大きな容積の気体又は液体を指しているが、しかし単に近接した気体又は液体ではない。例えば、チップが閉じた気体充填チャンバ内にある場合には、周囲はそのチャンバ内の期待の全体を指すものである。またチップが大気に晒されている場合には、周囲は大気空気を指すものである。チップが真空中にある場合には、周囲の平均温度は変化しないと考えられる。パターニング配合物の温度は、書込みを止めるためにパターニング配合物をすばやく冷却できるように、周囲の温度以上に変えられ得る。
チップにおけるインクの温度を変えることにより、本発明のこの形態は、チップの表面との接触を外す必要なしに、インクデポジションを始めたり止めたりするのに用いることができる。サーマルDPNの一実施形態では、25℃以上の高い融解温度のパターニング配合物が利用され、これらのパターニング配合物は一般に25℃に等しいか又はそれ未満の低い融解温度のパターニング配合物よりゆっくりと拡散していく。表面拡散率が低いことにより、基板上の拡がり即ち“ブリード”が制限される。拡散率が低いほど、サーマルDPNで作られるパターンは密になる。熱制御なしの基本的なディップペンナノリソグラフィでは、表面拡散率が低いことは、チップにおける拡散率も低く、パターニング配合物の流動を阻害することを意味しているので、望ましくない。サーマルDPNにおいては、チップにおける拡散率は、ブリードを生ずることなく良好な流動が得られるように、パターニング配合物を加熱することで制御される。空気の塊りを加熱してチップにおけるパターニング配合物を加熱する場合には、空気は基板も加熱し、これによってパターニング配合物は基板上でブリードすることになる。従って、パターニング配合物の温度は基板温度より一層変えられ得る。また空気の塊りを加熱することにより、チップにおけるインクは比較的ゆっくりと冷却でき、その結果書込みはゆっくりと止まることになる。
しかし、基板上におけるパターニング配合物の表面移動度が大きいことが望ましい場合には、以下の例がふさわしい。サーマルDPNの実施形態のこの例では、温度制御手段として基板の加熱又は冷却を行い、その結果、チップが基板に接触している際にパターニング配合物のデポジションを行なう。
走査プローブ型顕微鏡チップは通常片持ちばりの遠端部に形成されている。パターニング配合物は、それが片持ちばりのチップ、片持ちばりの梁或いはそれらの両方にある際に加熱される。パターニング配合物がそれの融解温度(Tm)まで或いはそれ以上に加熱されると、融解したパターニング配合物は基板上に流動する。この方法では、常温即ち約25℃で可動でない分子のデポジションができるだけでなく、それら分子のデポジション速度を制御することもできる。Tmより温度が高くなればなるほど、デポジション速度は高くなる。パターニング配合物が加熱されない、或いはTm未満の温度に加熱される際には、デポジションは生じない。
サーマルDPNの一実施形態においては、25℃では固体であるかインクをデポジションするために抵抗性ヒーターを一体に備えたAFM片持ちばりが用いられる。片持ちばりはプラスチック、金属、セラミック或いはそれらを組み合わせたもののような多くの材料で作ることができる。抵抗性加熱がチップから離れて生じる場合には、片持ちばりは、チップにおけるパターニングへ十分に熱を流してデポジションを行わせるように構成され得る。片持ちばりチップは、一定の加熱パワーで、時間変動加熱パワーで、或いは短いパルスの加熱パワーで加熱され得る。片持ちばりチップの加熱及び冷却定数における所望の変化は、片持ちばりの構成を変えることによって変えられ得る。サーマルDPNの一つの形態では、IBM Zurich Research Labで作られた熱機械的データ記憶装置用のシリコンAFM片持ちばりが利用される。この片持ちばりは、標準のシリコン・オン・酸化物片持ちばり製造方法で製作され、そしてその遠端部には約100nmの曲率半径をもつチップを備えている。片持ちばりの加熱時間は約1〜20マイクロ秒であり、また片持ちばりの冷却時間は1〜50マイクロ秒の範囲である。片持ちばりは短いパルスで700℃に達し得、抵抗性加熱素子も温度センサーであるので、片持ちばりの温度応答の較正は1℃まで可能である。
図1には、本発明の装置を概略的に示している。チップ10はコーティング20を含み、そして基板30と接触して配置される。この実施形態では、チップ10は片持ちばり40に形成されている。図面は正確な縮尺率でないが、チップは実際には片持ちばりに対して非常に小さい。加熱素子50は抵抗性要素60によってチップ10を加熱するため片持ちばり40に取り付けられる。矢印は、片持ちばり40及びチップ10に流れ、チップ10を加熱し、そして基板上でパターニング配合物をデポジション70を形成させる電流を示している。
片持ちばりは、オクタデシルホスホン酸(OPA)でコーティングされ得、オクタデシルホスホン酸(OPA)は、マイカ、ステンレス鋼およびアルミニウムのような金属、及びTiO2及びAl2O3のような金属酸化物上の単分子層に自己堆積する多角的分子である。OPAの約99℃のTmは、サーマルDPNのTmが25℃より十分に高くしかも一体の抵抗性ヒーターの熱範囲内にあるのでサーマルDPNに十分に適している。チップにOPAをコーティングする一つの方法は蒸発による。これは、110℃に設定したホットプレート上で約60mgのOPAを含むシンチレーションバイアルを第1に加熱することによって行われ得る。そして、シンチレーションバイアルのキャップは30分間約35℃に維持されたチップホルダーで代えられる。図2に示す楕円偏光データから、この方法は、チップ上のOPAの二つの完全な単分子層の質量当量をデポジションすることがわかる。
別の適当なパターニング配合物は、ナノスケールの半田付けに用いることのできるインジウムである。本方法はまた機能有機分子をパターニングでき、直接書き込み製造できる。デポジションした配合物は、ナノ構造の成長を導く又は核にするテンプレートを形成できる。
重合体、無機重合体、低Tmの金属共融合混合物、或いは有機分子のような分解前に溶融する多くの異なるパターニング配合物をサーマルDPNにおいて用いることができる。上述のようにTmにおける依存性が認められるが、温度の関数として不動状態から可動状態へ転移を受ける任意の分子を用いてもよい。
例えば、固体から液体又は液晶への転移は、デポジションのために十分であり、すなわち高粘性液体すなわちガラスから低粘性液体へ転移する。基板は、任意のサイズ、形状、表面構造を提供するパターニング配合物によって変更され得る或いは材料のものでよい。サーマルDPNの一実施形態では、基板として新たに離層したマイカが利用される。
一体の抵抗性ヒーターの他に、不動状態から可動状態へ配合物を転移させるようにチップにおけるパターニング配合物の温度を十分に変えることのできる任意の手段をサーマルDPNに用いることができる。一例としては、商業的に利用できる又はカスタム製造の圧電抵抗性の片持ちばりがあり、これらの片持ちばりは、十分に高い電圧でバイアスが掛けられると、発熱する内部電気的抵抗性素子を備えている。別の例としては、チップ上にコーティングされるパターニング配合物の吸収バンド或いは受ける電磁エネルギーをチップ上のパターニング配合物に転移できる吸収体に適合できる遠隔電磁エネルギー源がある。上記例の吸収体は片持ちばりにおけるマイクロ加工アンテナ、或いはチップ又は片持ちばりに一体化された任意の吸収材料であり得る。また、溶解温度が25℃に等しい又はそれ以下であるパターニング配合物と共に使用して、パターニング配合物の温度を変える冷却素子を用いることもできる。冷却素子は、基板上のデポジションが望ましくなるまでパターニング配合物を凍結状態即ち不動状態に保つ。このような冷却素子は熱電子冷却装置であっても又はペルチェ効果を利用してもよい。これらの冷却素子は、基本のDPNでデポジションを行なうにはあまりにも揮発性であるパターニング配合物をデポジションするために、片持ちばりに直接一体化され得る。冷却素子を用いることによって、揮発性のパターニング配合物は、デポジションガ望ましく行なわれるまで、チップ上に不動化され得る。パターニング配合物の温度がTmに達する或いはTmを越えると、デポジションが行なわれ、基板との反応でパターニング配合物のその後の蒸発は阻止される。
サーマルDPNの実施形態は、三次元構造を作るのに利用され得る。サーマルDPNではパターニング配合物の流動性が片持ちばり及びチップ上で最も高められるので、基板との接触時に固化するパターニング配合物を用いるこができる。従って、同じ領域を何回か走査しデポジションすることによってか又は試料の平面にチップステーショナリーを保持してパターニング配合物をデポジションしていく際にゆっくりと上昇させることによって、構造体は所望の厚さにゆっくりと形成できる。
サーマルDPNの別の実施形態では、真空包囲体内でパターニング配合物のデポジションが行なわれる。基本のDPNで使用したパターニング配合物の必要な揮発性のために、コーティングした片持ちばりを超高真空(UHV)内に配置することはできない。パターニング配合物はあまりにも速く蒸発してしまい、システムを汚染することになる。サーマルDPNの実施形態では、Tmの高くその結果蒸気圧の低いパターニング配合物を使用できることによってこの問題を解決する。蒸気圧の低いことは、パターニング配合物が表面にパターン形成するのに十分に長くチップ上に留まっていることを意味する。その結果、デポジションを制御するパターニング配合物の温度勾配を真空包囲体内で使用できる。さらに、サーマルDPNでは広範囲のパターニング配合物を用いることができるために、液体充填或いはガス充填包囲体内でサーマルDPNを行なうこともできる。
サーマルDPNの別の実施形態では、同一チップによって多パターニング配合物のデポジションを行なうことができる。例えば、Tm(A)<Tm(B)<Tm(C)である三つのパターニング配合物(A、B、C)をそれらの溶解温度の順にチップ上にコーティングし、すなわち最初にチップ上パターニング配合物Cをコーティングする場合には、パターニング配合物AはTm(B)以下の動作温度に保つことによりでポジションされ得る。同様に、パターニング配合物A、BはTm(C)未満の動作温度でデポジションされ得る。三つ全てのパターニング配合物AはTm(C)以上の温度でデポジションされ得る。パターニング配合物は、それらの溶解温度を低くできると共にデポジションを促進させる溶媒和効果を避けるように注意深く選択されなければならない。この実施形態では、チップのアレイを用いることができ、アレイにおける一つ以上のチップは幾つかの異なるパターニング配合物でコーティングされ得る。
サーマルDPNの開発により、DPNに基づくナノ加工に対して幾つかの機会が開かれる。ヒーター片持ちばりの大きなアレイでは10画素/秒以上で書込みでき、従ってウエハスケール領域において妥当な書込み時間を達成することができる。熱制御によって、従来DPNで使用できなかった種々のインクのデポジションが可能となる。例えば適切な溶解温度の金属はこの方法でパターン形成でき、ナノメートル台の“半田こて(soldering iron)”を作ることができる。さらに、サーマルDPNにおける分子は25℃で固体であり得るので、真の三次元のナノ構造体を作るために多層多構成要素パターンを形成することが可能であるべきである。
本発明を説明するに当って、本発明の特定の適用を例示するために以下実施例を挙げて説明する。これらの特定の実施例は本願発明の範囲を限定するものではない。
OPAのデポジション
上述のようにしてOPAでコーティングしたAFMチップは、マイカ基板における四つの500nm平方の領域において2Hz及び128ライン/走査で即ち総走査時間256秒でラスターした。各平方領域について、片持ちばりの温度を上げ、最終的にはOPAの溶解温度を越えた。チップの温度がOPAのTm以下に保って、25℃か又は57℃では、パターン形成した平方領域は観察されなかった。チップの温度をOPAのTmに近い98℃まで上げると、弱いデポジションが得られた。この領域の平均高さは、全単分子層の高さの僅かに半分未満である1.1nmであった。片持ちばりの温度を122℃まで上昇させた時に、図3に示すように全単分子層を表す強いデポジションが最終的に見られ、高さ2.5nmの方形パターンが得られた。図4に示す相応した摩擦像(friction image)はOPAデポジションを裏付けている。OPAのマイカへの結合はメチル末端基を現し、裸のマイカ表面に対する摩擦を低減している。比較的低い片持ちばり温度では摩擦の変化は観察されなかった。98℃での弱いデポジションは期待した通り僅かに摩擦を低減し、そして122℃でデポジションした全単分子層は更に大幅に摩擦を低減した。
デポジションは加熱の瞬時に開始したが、デポジションは加熱電流を止めた時点まで続けた。図5には、サーマルDPNで書き込んだ三本の線を示し、チップはそれぞれ一分毎に三本の垂直線を順次トレースした。片持ちばりは最初の左上方の線の場合にのみ加熱した。そして、片持ちばりの加熱を止めた後、おおよそ2分間デポジションを続けた。データ記憶応用の場合のシリコン表面における超薄い重合体層の変形例では、チップの付近に非常に局所化され、そして1〜10マイクロ秒の範囲で十分に完了するたことが示された。(King等、Design of Atomic Force Microscope Cantilevers for Combined Thermomechanical Writing and Thermal Reading in Array Operation, Journal of Microelectromechanical Systems, Vol. 11, No.6,2002)。本ステイムはKing等の提案したシステムと異なり、チップはパターニング配合物でコーティングされ、そしてマイカ基板はSiより熱伝導率が非常に低い。実験例ではインクがチップ上で熱いままであるかどうか、或いは基板がチップによって相当に加熱されるかどうかについて示してないが、冷却時定数の単一スケーリングは、片持ちばりについては〜10マイクロ秒、チップについては〜100ナノ秒、インクについては〜10ナノ秒、基板の加熱領域については〜10ナノ秒である。従って、基板における残留熱は書込みを長くし、デポジションは、Si又は金属のような熱伝導率の大きい基板上で急に止まることになる。基板材料の注意深い選択及び書込み速度の操作により、データ記憶応用において立証された100kHzにサーマルDPN書込み時間を低減できる。
図5の二つの特徴は、このリソグラフィーを相当に改善する可能性を示している。第1に、この非最適化システムにおける線幅(断面の最大値の半分における全幅)は単に98nmであり、これは使用したチップの極率半径〜100nm(SEMによる)に匹敵している。20nm以上に鋭いチップを備えた加熱片持ちばりを作ることができ、これにより重合体において23nm程度の小さいマークを形成することができる。従って、チップ構造における利点により、大きさに応じて線幅を低減できるべきである。第2に、インクは各継続した線で比較的冷たいと考えられるが、線幅の変化は認識できない。線幅が温度に依存しないことは、線幅が主にチップのシャープさ(鋭さ)によって決まり、ポジションにつれてOPA分子は拡散しない。サーマルDPNのこの特徴は従来のDPNと対照的であり、包括的な温度の上昇によりデポジション速度及び表面拡散によって生じるパターンのその後の広がりを増大させる。それにより、包括的な加熱によって、比較的大きなパターンは汚染の比較的大きな輪につながると思われる。従って、加熱を局部的に制御することによって、速い書込み速度及びシャープな特徴がもたらされる。片持ちばり、チップ及び基板を注意深く操作することによって、サーマルDPNで10nm程度の小さな書込み特徴が得られる。本発明では、コーティングされたチップによる繰り返し像形成に続いてデポジションした特徴即ち“フィルイン(fill−in)”パターンの周りの輪のような汚染の特徴は観察されなかった。
PDDTのデポジション
電極間に導電性重合体をデポジションするためにサーマルDPNを使用した。重合体は、ポリ(3−ドデシルチオフェン)(PDDT)、有機FETに有効な半導電性重合体である。チップは窒素雰囲気内(酸化を避けるために)で〜200℃に加熱した。その後、チップは一方の電極から他方の電極へ2分間走査した。デポジションした線は厚さ20nm、幅150nmであり、800nmの広い間隔をあけた。
インジウムのデポジション
ナノスケールの回路又は最新の回路を構成するに用いたフォトマスクを修理するために、小さな導電性ワイヤを書き込みできることは重要である。サーマルDPNはインジウム、融点の低い金属及び普通の半田のパターン形成するのに用いた。図7には3μm/秒のチップ速度で書込んだ一連の3μm線を示している。各線はデポジションチップによって64回(即ち往復で32トレース)横断した。95℃及び135℃で書き込んだ頂部の二本の線は示されていないが、底部左方の弱い線は、インジウムの溶解温度、156.6℃に近い156℃で書込まれた。底部右方の線は、インジウムの溶解温度より十分に高い196℃で書込まれ、この温度で強いデポジションが示されている。
明らかに、上記の記載内容から本発明の種々の変更及び変形が可能である。従って特許請求の範囲に記載の発明は特定例として説明したもの意外でも実施できることが理解されるべきである。

Claims (12)

  1. 少なくとも一つのパターニング配合物でコーティングされた走査プローブ顕微鏡チップと、該チップに作動的に接続した温度制御装置とを有し、パターニング配合物が、オクタデシルホスホン酸であり、チップが片持ちばりの末端部に形成され、また温度制御装置が片持ちばりと一体の抵抗素子、圧電抵抗素子又は冷却素子であり、パターニング配合物の温度をチップの周囲の平均温度より高く変えるように構成したことを特徴とする熱制御装置。
  2. 温度制御装置がパターニング配合物を不動と可動との間で遷移させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. チップがガスを充填したチャンバ内にあり、また
    温度制御装置が、パターニング配合物の温度をチャンバ内のガスの平均温度より高く変えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. チップが周囲雰囲気に晒され、また
    温度制御装置が、パターニング配合物の温度を周囲雰囲気の平均温度より高く変えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  5. 温度制御装置が、パターニング配合物と接触する基板の温度を変えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  6. 温度制御装置が、パターニング配合物の温度を、パターニング配合物のデポジションされる基板の温度より高く変えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  7. 基板を設けること、
    オクタデシルホスホン酸である少なくとも一つのパターニング配合物でコーティングした走査プローブ顕微鏡チップを片持ちばりの末端部に設けること、
    パターニング配合物を基板と接触させること、及び
    パターニング配合物を不動と可動との間で遷移させるように片持ちばりと一体の抵抗素子、圧電抵抗素子又は冷却素子を用いてパターニング配合物の温度を変えること、
    を含み、
    パターニング配合物の温度をチップの周囲の平均温度より高く変え、そして
    所望量の可動パターニング配合物を所望のパターンで基板に転写できること
    を特徴とするデポジション制御方法。
  8. 基板がマイカであり、パターニング配合物がオクタデシルホスフィン酸であることを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. パターニング配合物を基板と接触させること、パターニング配合物の温度を変えること、及び所望量のパターニング配合物を基板に転写することが真空包囲体内で行われることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. パターニング配合物を基板と接触させること、パターニング配合物の温度を変えること、及び所望量のパターニング配合物を基板に転写することがガス充填包囲体内で行われることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  11. パターニング配合物の温度を変えることが、圧電抵抗素子、抵抗素子、 電磁エネルギー源及び冷却素子から成る群から選択した素子を用いることから成ることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  12. さらに、パターニング配合物を基板上に所望の厚さで形成させることを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
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