JP5867370B2 - 差動信号伝送用ケーブル及びその製造方法 - Google Patents

差動信号伝送用ケーブル及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、互いに位相が異なる差動信号を伝送するための差動信号伝送用ケーブル及びその製造方法に関する。
数Gbit/s以上の高速デジタル信号を扱うサーバ、ルータ、ストレージ製品などの機器においては、差動インターフェース規格(例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signal)が採用され、各機器間あるいは機器内の各回路基板間では、差動信号伝送用ケーブルを用いて差動信号の伝送が行われている。差動信号は、システム電源の低電圧化を実現しつつ外来ノイズに対する耐性が高いという利点を有している。
一般的な差動信号伝送用ケーブルは一対の信号線導体を備えている。それぞれの信号線導体には、位相を180度反転させたプラス側(ポジティブ)信号およびマイナス側(ネガティブ)信号がそれぞれ伝送される。これらの2つの信号(プラス側信号およびマイナス側信号)の電位差が信号レベルとなって、例えば電位差がプラスであれば「High」,マイナスであれば「Low」として、当該信号レベルを受信側で認識できるようになっている。
このような差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとしては、例えば、特許文献1に記載されたケーブルが知られている。特許文献1に記載された差動信号伝送用ケーブルは、図7(a)に示されるように、所定間隔で平行に並ぶ一対の信号線導体102a,102bを備え、これら信号線導体102a,102bは絶縁体103によってそれぞれ覆われている。また、絶縁体103の周囲にはシールドテープ104が巻かれ、シールドテープ104の周囲には絶縁テープ(PET(Polyethylene terephthalate)テープと呼ばれることもある)105,106が巻かれている。
図示は省略されているが、シールドテープ104は、シート状の基材と、基材の一面に形成された金属導体層とを有する。シールドテープ104は、信号線導体102a,102bをそれぞれ個別に被覆している2本の絶縁体103の周囲に、金属導体層が外側を向くように配置されて縦添え巻きされている。換言すれば、2本の絶縁体103は、シールドテープ104によって一纏めにされ、所定間隔で平行に保持されている。
一方、絶縁テープ105,106は、シールドテープ104の周囲に螺旋状に巻かれている。具体的には、シールドテープ104の周囲に絶縁テープ105が螺旋状に巻かれ、絶縁テープ105の上に絶縁テープ106が螺旋状に重ねて巻かれている。なお、絶縁テープ105,106は、巻き付け方向(旋回方向)が互いに逆向きとなるように巻かれている。
絶縁テープ105,106は、ケーブルの絶縁性を確保する機能とともに、シールドテープ104を固定する押さえテープとしての機能も有する。しかし、シールドテープ104と絶縁テープ105,106は互いの接触面間の摩擦力によって固定されているに過ぎず、シールドテープ104が緩んでシールド性能などが低下する虞があった。
そこで、特許文献2には図7(b)に示される構造の差動信号伝送用ケーブルが記載されている。図7(b)に示されるケーブルでは、重なり合っているシールドテープ104の端部同士が接着材110によって互いに接着されている。なお、図7(b)に示される差動信号伝送用ケーブルでは、2本の信号線導体102a,102bの間にドレイン線111が配置されており、信号線導体102a,102bおよびドレイン線111がシールドテープ104に覆われて一纏めにされている。信号線導体102a,102bおよびドレイン線111の端部は差動信号伝送用ケーブルの端面からそれぞれ突出し、信号線導体102a,102bの端部は回路基板上のシグナルパッドに接続され、ドレイン線111の端部は回路基板上のグランドパッドに接続される。なお、図7(b)に示される差動信号伝送用ケーブルにおいても、信号線導体102a,102bは2本の絶縁体103によってそれぞれ個別に被覆されている。
米国特許第7790981号明細書 米国特許第6384326号明細書
図7(b)に示される差動信号伝送用ケーブルでは、シールドテープ104の端部同士は接着材110によって互いに接着(固定)されているが、シールドテープ104と絶縁テープ105,106とは何ら固定されていない。すなわち、シールドテープ104と絶縁テープ105,106は互いの接触面間の摩擦力によってのみ固定されており、この点では特許文献1に記載されている差動信号伝送用ケーブルと同様である。したがって、絶縁テープ105,106によるシールドテープ104の固定は必ずしも十分ではなく、依然としてシールドテープ104が緩んでシールド性能などが低下する虞があった。
ここで、図7(b)に示されるシールドテープ104と絶縁テープ105の対向面同士を全面的に接着すればシールドテープ104が緩む可能性は極めて低くなる。しかし、図7(b)に示されるドレイン線111を備えていない差動信号伝送用ケーブルも存在する。このような差動信号伝送用ケーブルでは、絶縁テープ105,106を部分的に剥がしてシールドテープ104の一部を露出させ、シールドテープ104の露出部分を回路基板上のグランドパッドに接続する必要がある。したがって、シールドテープ104と絶縁テープ105の対向面同士が全面的に接着されていると、絶縁テープ105,106を剥がしてシールドテープ104を露出させることが困難になる。
本発明の目的は、絶縁テープの剥離容易性を阻害せずにシールドテープの緩みを可及的に防止することである。
本発明の差動信号伝送用ケーブルは、一対の信号線導体を被覆する絶縁体の周囲にシールドテープが巻かれ、該シールドテープの周囲に絶縁テープが巻かれた差動信号伝送用ケーブルであって、前記シールドテープと前記絶縁テープとの間に設けられた少なくとも2つの接着層によって前記シールドテープと前記絶縁テープとが部分的に固定されている。
本発明の一態様では、前記シールドテープは、第一の端部の外面に第二の端部の内面が重なるように、前記絶縁体の周囲に縦添え巻きされており、前記シールドテープの外面のうち、前記第二の端部の外面と前記絶縁テープの内面との間に第一の接着層が設けられ、前記シールドテープの外面のうち、前記第一の端部および前記第二の端部の外面以外の領域と前記絶縁テープの内面との間に第二の接着層が設けられる。
本発明の他の態様では、前記第一の接着層と前記第二の接着層とは、前記絶縁体の周方向において隣接している。
本発明の他の態様では、前記第一の接着層と前記第二の接着層とは、前記絶縁体の周方向において離間している。
本発明の他の態様では、前記差動信号伝送用ケーブルの長手方向と直交する断面内において、前記第一の接着層の中心と前記絶縁体の中心とを結ぶ直線と、前記第二の接着層の中心と前記絶縁体の中心とを結ぶ直線とが成す角度が90度以下である。
本発明の差動信号伝送用ケーブルの製造方法は、一対の信号線導体を被覆する絶縁体の周囲にシールドテープが巻かれ、該シールドテープの周囲に絶縁テープが巻かれた差動信号伝送用ケーブルを製造する方法であって、前記シールドテープと前記絶縁テープとの間に少なくとも2つの接着層を形成して前記シールドテープと前記絶縁テープとを部分的に固定する。
本発明の他の態様では、(a)前記シールドテープ上の少なくとも2つの領域に接着材を塗布する工程と、(b)前記シールドテープを前記接着材が塗布されている面が外側になる向きで前記絶縁体の周囲に巻き付ける工程と、(c)前記シールドテープの周囲に前記絶縁テープを巻き付けて、前記シールドテープと前記絶縁テープとの間に前記接着層を形成する工程とを有する。
本発明の他の態様では、前記工程(b)では、前記シールドテープの第一の端部の外面に第二の端部の内面が重なるように、前記シールドテープを前記絶縁体の周囲に縦添え巻きし、前記工程(a)では、前記シールドテープの外面のうち、前記第二の端部の外面に相当する領域に第一の接着材を塗布するとともに、前記シールドテープの外面のうち、前記第一の端部および前記第二の端部の外面に相当する領域以外の領域に第二の接着材を塗布する。
本発明の他の態様では、前記第一の端部の外面に相当する領域の縁に沿って前記第二の接着材を塗布する。
本発明の他の態様では、前記第一の端部の外面に相当する領域の縁よりも内側に前記第二の接着材を塗布する。
本発明によれば、絶縁テープの剥離容易性を阻害せずにシールドテープの緩みを可及的に防止することができる。
(a)は本発明の第一の実施形態に係る差動信号伝送用ケーブルの断面図であり、(b)は(a)の部分拡大断面図である。 図1に示される差動信号伝送用ケーブルの製造工程の一つを示す説明図である。 図1に示される差動信号伝送用ケーブルの製造工程の他の一つを示す説明図である。 図1に示される差動信号伝送用ケーブルの製造工程の他の一つを示す説明図である。 図1に示される差動信号伝送用ケーブルの製造工程の他の一つを示す説明図である。 第一の接着層と第二の接着層との位置関係の一例を示す断面図である。 (a),(b)は、従来の差動信号伝送用ケーブルの断面図である。
以下、本発明の第一の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)に示されるように、本実施形態に係る差動信号伝送用ケーブル1は一対の信号線導体2a,2bを備えている。これら信号線導体2a,2bのいずれか一方には差動信号としてのプラス側(ポジティブ)信号が伝送され、信号線導体2a,2bのいずれか他方には差動信号としてのマイナス側(ネガティブ)信号が伝送される。各信号線導体2a,2bは、例えば、その表面に錫めっき処理が施された軟銅線(Tinned Annealed Copper Wire)によって形成されている。一対の信号線導体2a,2bは共通の絶縁体3によって一括被覆されている。
絶縁体3は、差動信号伝送用ケーブル1に柔軟性を持たせるために、例えば、発泡ポリエチレン(Expanded Poly-Ethylene)によって形成されており、差動信号伝送用ケーブル1の長手方向と直交する断面(横断面)における形状は略楕円形である。絶縁体3の断面形状の詳細については後述する。
絶縁体3は、一対の信号線導体2a,2bが所定間隔で平行に並ぶようにこれら信号線導体2a,2bを保持している。絶縁体3は、それぞれの信号線導体2a,2bの周囲における肉厚が略同等となるように形成されている。本実施形態では、絶縁体3の材料である発砲ポリエチレンの溶融温度は110[℃]〜120[℃]に設定されている。
絶縁体3の周囲には、外来ノイズの影響を抑制するためのシールドテープ4が巻かれている。図1(b)に示されるように、シールドテープ4は、シート状の基材4aと、基材4aの一面に形成された金属導体層4bとからなる二重構造を有している。本実施形態では、銅箔によって金属導体層4bが形成されている。
シールドテープ4は、図1(a)に示されるように、対向する2つの長辺に沿った端部(第一の端部11および第二の端部12)が互いに重なり合うようにして絶縁体3の周囲に縦添え巻きされている。具体的には、図1(b)に示されるように、第一の端部11の外面11aに第二の端部12の内面12bが重なるようにして絶縁体3の周囲にシールドテープ4が縦添え巻きされている。換言すれば、シールドテープ4の全域のうち、互いに重なり合っている2つの端部の一方が第一の端部11であり、他方が第二の端部12である。
図1(a)に示されるように、シールドテープ4の周囲には2本の絶縁テープ5,6が螺旋状に巻かれている。具体的には、シールドテープ4の上に絶縁テープ5が螺旋状に巻かれ、絶縁テープ5の上に絶縁テープ6が螺旋状に重ねて巻かれている。絶縁テープ5と絶縁テープ6とは、巻き付け方向(旋回方向)が互いに逆向きとなるように巻かれている。もっとも、絶縁テープ5と絶縁テープ6とは、巻き付け方向(旋回方向)が同じ向きとなるように巻いてもよい。また、絶縁テープ6を省略し、絶縁テープ5のみを巻いてもよい。
シールドテープ4と絶縁テープ5とは、両者の間に部分的に設けられた少なくとも2つの接着層によって互いに固定(接着)されている。本実施形態では、図1(a)に示されるように、シールドテープ4の外面と、その外面に対向している絶縁テープ5の内面との間に第一の接着層21および第二の接着層22が設けられている。具体的には、図1(b)に示されるように、シールドテープ4の外面のうち、第二の端部12の外面12aに相当する領域Xと絶縁テープ5の内面との間に第一の接着層21が設けられている。また、シールドテープ4の外面のうち、第一の端部11の外面11aおよび第二の端部12の外面12aに相当する領域以外の領域と絶縁テープ5の内面との間に第二の接着層22が設けられている。より具体的には、シールドテープ4の外面のうち、第一の端部11の外面11aに相当する領域Yに隣接する領域Zに、領域Yの縁に沿って第二の接着層22が形成されている。上記のような領域X,Zにそれぞれ設けられた第一の接着層21と第二の接着層22は、絶縁体3の周方向において隣接している。すなわち、第一の接着層21と第二の接着層22は、絶縁体3の周方向において隙間なく接している。
以上のように、本実施形態に係る差動信号伝送用ケーブル1では、シールドテープ4と絶縁テープ5とが2つの接着層21,22によって互いに固定されている。したがって、シールドテープ4が絶縁テープ5,6によって確実に固定され、シールドテープ4の緩みが防止される。また、接着層21,22はシールドテープ4と絶縁テープ5との間に部分的に設けられている。換言すれば、シールドテープ4と絶縁テープ5の対向面同士は全面的に固定されてはおらず、部分的にのみ固定されている。したがって、必要に応じて絶縁テープ5,6を容易に剥離させてシールドテープ4の一部を露出させることもできる。
次に、図1に示される差動信号伝送用ケーブル1の製造方法の一例について説明し、併せて差動信号伝送用ケーブル1のさらに詳しい構造について明らかにする。まず、シールドテープの一面に接着材を部分的に塗布する。本実施形態では、シールドテープの外面上の異なる2つの領域にディスペンサーを用いて熱硬化型接着材を塗布した。以下の説明では、一方の領域に塗布する接着材を“第一の接着材”、他方の領域に塗布する接着材を“第二の接着材”と呼んで区別する。もっとも、かかる区別は説明の便宜上の区別に過ぎず、第一の接着材および第二の接着材は同一の熱硬化型接着材である。
図2に示されるように、第一の接着材21aは、シールドテープ4の外面のうち、図1(b)に示される第二の端部12の外面12aに相当する領域Xに塗布する。また、第二の接着材22aは、図1(b)に示される第一の端部11の外面11aに相当する領域Yおよび第二の端部12の外面12aに相当する領域X以外の領域に塗布する。本実施形態では、シールドテープ4の外面のうち、第一の端部11の外面11aに相当する領域Yに隣接する領域Zに、領域Yの縁に沿って第二の接着材22aを塗布した。すなわち、図2に示されるように、第一の接着材21aは、シールドテープ4の一方の縁(長辺)に沿って塗布する。また、第二の接着材22aは、シールドテープ4の他方の縁(長辺)よりも内側に塗布する。
次に、図3に示されるように、接着材21a,22aが塗布されたシールドテープ4を接着材21a,22aが塗布されている面(外面)が外側になる向きで絶縁体3に縦添え巻きする。具体的には、接着材21a,22aが塗布されていないシールドテープ4の内面中央に絶縁体3を配置し、シールドテープ4によって絶縁体3を長径方向両外側から包み込む。もっとも、絶縁体3へのシールドテープ4の巻き付け方に特に制限はなく、例えば、シールドテープ4の内面右寄りまたは左寄りに配置した絶縁体3を転がしながら絶縁体3の周囲にシールドテープ4を巻き付けてもよい。要するに、最終的にシールドテープ4の第一の端部11の上に第二の端部12が重なるように、シールドテープ4が絶縁体3に縦添え巻きされればよい。
ここで、シールドテープ4の第一の端部11の上に第二の端部12が重ねられると、図1(b)に示されるように、第一の端部11と第二の端部12との間にシールドテープ4の厚みに相当する段差が生じる。換言すれば、第二の接着層22が形成される領域Zと第一の接着層21が形成される領域Xとの間にシールドテープ4の厚みに相当する段差が生じるので、この段差を埋めるように、第二の接着層22は第一の接着層21よりも厚く形成されている。そこで、図2に示されるように、接着材21a,22aを塗布する工程では、第二の接着材22aの塗布厚(t2)が第一の接着材21aの塗布厚(t1)よりも厚くなるように、接着材21a,22aを塗布する。本実施形態では、第二の接着材22aの塗布厚(t2)が第一の接着材21aの塗布厚(t1)にシールドテープ4の厚みを加えた厚み以上となるように、接着材21a,22aを塗布した。
次に、図4に示されるように、絶縁体3に巻かれたシールドテープ4の周囲に、絶縁テープ5を螺旋状に巻き付ける。次いで、図5に示されるように、絶縁テープ5の周囲に、別の絶縁テープ6を同じく螺旋状に巻き付ける。但し、絶縁テープ6は、絶縁テープ5の巻き付け方向(旋回方向)と逆向きに巻き付ける。なお、図4および図5では、シールドテープ4の端部の図示は省略されている。
その後、絶縁テープ5,6の外側から接着材21a,22a(図4)に熱を加える。これにより接着材21a,22aが硬化し、シールドテープ4と絶縁テープ5との間に図1に示される接着層21,22が形成され、シールドテープ4と絶縁テープ5とが接着(固定)される。なお、第一の接着材21aによって第一の接着層21が形成され、第二の接着材22aによって第二の接着層22が形成されることは自明である。
ここで、第一の接着層21と第二の接着層22とが絶縁体3の周方向においてなるべく近接している方がシールドテープ4の緩み防止効果が高い。何故なら、第一の接着層21と第二の接着層22とが絶縁体3の周方向において近接していることは、シールドテープ4の一方の端部(本実施形態では第二の端部12)と、他方の端部(本実施形態では第一の端部11)に近接した領域とが絶縁テープ5にそれぞれ固定されていることを意味するからである。よって、シールドテープ4の緩み防止効果を高める観点からは、図1に示されるように、第一の接着層21と第二の接着層22とが絶縁体3の周方向において隙間なく隣接していることが好ましい。
しかし、第一の接着層21と第二の接着層22とを隙間なく隣接させるためには、図2に示される接着材21a,22aの塗布位置に高い精度が求められる。よって、差動信号伝送用ケーブル1の製造を容易にする観点からは、図1に示される第一の接着層21と第二の接着層22とが絶縁体3の周方向においてある程度離間していることが好ましい。もっとも、第一の接着層21と第二の接着層22とが離間し過ぎているとシールドテープ4の緩み防止効果が不十分となる。
よって、必要十分な緩み防止効果を確保しつつ、製造を容易にする観点からは、図6に示されるように、差動信号伝送用ケーブル1の長手方向と直交する断面内において、第一の接着層21の中心と絶縁体3の中心とを結ぶ直線と、第二の接着層22の中心と絶縁体3の中心とを結ぶ直線とが成す角度(θ)が90度以下であることが好ましい。このように第一の接着層21と第二の接着層22とを絶縁体3の周方向において離間させる場合には、図2に示される第二の接着材22aの塗布位置を離間距離に応じて適宜変更すればよい。具体的には、第二の接着材22aの塗布位置を図2に示される位置よりも第一の接着材21aに近接した位置に変更すればよい。
なお、これまでに参照した図面に示されている絶縁体3の断面形状は楕円形であった。しかし、実際の絶縁体の断面形状は略楕円形であるが完全な楕円形ではない。具体的には、実際の絶縁体の断面形状は、曲率の異なる二組の円弧の組み合わせによって構成されている。もっとも、本発明の範囲から断面形状が完全な楕円形である絶縁体を備えた差動信号伝送用ケーブルが排除されるものではない。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、予めシールドテープの所定位置に塗布されていた熱硬化型接着材に絶縁テープの外側から熱を加えて接着層を形成した。しかし、接着層の形成を意図する領域に絶縁テープの外側から電磁波や超音波を照射して接着層を形成することもできる。この場合、電磁波や超音波が照射された領域においてシールドテープの外面と絶縁テープの内面とが溶着して接着層が形成される。
1 差動信号伝送用ケーブル
2a 信号線導体
3 絶縁体
4 シールドテープ
5,6 絶縁テープ
11,12 端部
11a,12a 外面
12b 内面
21,22 接着層
21a,22a 接着材

Claims (7)

  1. 一対の信号線導体を被覆する絶縁体の周囲にシールドテープが巻かれ、該シールドテープの周囲に絶縁テープが巻かれた差動信号伝送用ケーブルであって、
    前記シールドテープは、第一の端部の外面に第二の端部の内面が重なるように、前記絶縁体の周囲に縦添え巻きされており、
    前記シールドテープの外面のうち、前記第二の端部の外面と前記絶縁テープの内面との間に第一の接着層が設けられ、
    前記シールドテープの外面のうち、前記第一の端部および前記第二の端部の外面以外の領域と前記絶縁テープの内面との間に第二の接着層が設けられ、
    前記第一及び第二の接着層によって前記シールドテープと前記絶縁テープとが部分的に固定されていることを特徴とする差動信号伝送用ケーブル。
  2. 請求項に記載の差動信号伝送用ケーブルにおいて、
    前記第一の接着層と前記第二の接着層とは、前記絶縁体の周方向において隣接していることを特徴とする差動信号伝送用ケーブル。
  3. 請求項に記載の差動信号伝送用ケーブルにおいて、
    前記第一の接着層と前記第二の接着層とは、前記絶縁体の周方向において離間していることを特徴とする差動信号伝送用ケーブル。
  4. 請求項に記載の差動信号伝送用ケーブルにおいて、
    前記差動信号伝送用ケーブルの長手方向と直交する断面内において、前記第一の接着層の中心と前記絶縁体の中心とを結ぶ直線と、前記第二の接着層の中心と前記絶縁体の中心とを結ぶ直線とが成す角度が90度以下であることを特徴とする差動信号伝送用ケーブル。
  5. シールドテープの第一の端部の外面に第二の端部の内面が重なるように、一対の信号線導体を被覆する絶縁体の周囲に前記シールドテープが縦添え巻きで巻かれ、該シールドテープの周囲に絶縁テープが巻かれた差動信号伝送用ケーブルの製造方法であって、
    (a)前記シールドテープの外面のうち、前記第二の端部の外面に相当する領域に第一の接着材を塗布するとともに、前記シールドテープの外面のうち、前記第一の端部および前記第二の端部の外面に相当する領域以外の領域に第二の接着材を塗布する工程と、
    (b)前記シールドテープを前記第一及び第二の接着材が塗布されている面が外側になる向きで前記絶縁体の周囲に巻き付ける工程と、
    (c)前記シールドテープの周囲に前記絶縁テープを巻き付けて、前記シールドテープと前記絶縁テープとの間に少なくとも2つの接着層を形成する工程とを有し、
    前記シールドテープと前記絶縁テープとを部分的に固定することを特徴とする差動信号伝送用ケーブルの製造方法。
  6. 請求項に記載の差動信号伝送用ケーブルの製造方法において、
    前記第二の端部の外面に相当する領域の縁に沿って前記第一の接着材を塗布することを特徴とする差動信号伝送用ケーブルの製造方法。
  7. 請求項に記載の差動信号伝送用ケーブルの製造方法において、
    前記第一の端部の外面に相当する領域の縁よりも内側に前記第二の接着材を塗布することを特徴とする差動信号伝送用ケーブルの製造方法。
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