以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態の送信方法、送信装置、受信方法、受信装置について詳しく説明する。
本説明を行う前に、従来システムである空間多重MIMO伝送システムにおける、送信方法、復号方法の概要について説明する。
NtxNr空間多重MIMOシステムの構成を図1に示す。情報ベクトルzは、符号化およびインタリーブが施される。そして、インタリーブの出力として、符号化後ビットのベクトルu=(u1,…,uNt)が得られる。ただし、ui=(ui1,…,uiM)とする(M:シンボル当たりの送信ビット数)。送信ベクトルs=(s1,…,sNt)T
とすると送信アンテナ#iから送信信号si=map(ui)とあらわし、送信エネルギーを正規化するとE{|si|2}=Es/Ntとあらわされる(Es:チャネル当たりの総エネルギー)。そして、受信ベクトルをy=(y1,…,yNr)Tとすると、式(1)のようにあらわされる。
このとき、HNtNrはチャネル行列、n=(n1,…,nNr)Tはノイズベクトルであり、niは平均値0、分散σ2のi.i.d.複素ガウス雑音である。受信機で導入する送信シンボルと受信シンボルの関係から、受信ベクトルに関する確率は、式(2)のように多次元ガウス分布で与えることができる。
ここで、outer soft−in/soft−outデコーダとMIMO検波からなる図1のような反復復号を行う受信機を考える。図1における対数尤度比のベクトル(L−value)は式(3)−(5)のようにあらわされる。
<反復検波方法>
ここでは、NtxNr空間多重MIMOシステムにおけるMIMO信号の反復検波について述べる。
xmnの対数尤度比を式(6)のように定義する。
ベイズの定理より、式(6)は、式(7)のようにあらわすことができる。
ただし、Umn,±1={u|umn=±1}とする。そして、lnΣaj〜max
ln ajで近似すると式(7)は式(8)のように近似することができる。なお、上の「〜」の記号は近似を意味する。
式(8)におけるP(u|umn)とln P(u|umn)は以下のようにあらわされる。
ところで、式(2)で定義した式の対数確率は式(12)のようにあらわされる。
したがって、式(7),(13)から、MAP、または、APP(a posteriori probability)では、事後のL−valueは、以下のようにあらわされる。
以降では、反復APP復号と呼ぶ。また、式(8),(12)から、Max−Log近似に基づく対数尤度比(Max−Log APP)では、事後のL−valueは、以下のようにあらわされる。
以降では、反復Max−log APP復号と呼ぶ。そして、反復復号のシステムで必要とする外部情報は、式(13)または(14)から事前入力を減算することで、求めることができる。
<システムモデル>
図28に、以降の説明につながるシステムの基本構成を示す。ここでは、2×2空間多重MIMOシステムとし、ストリームA,Bではそれぞれにouterエンコーダがあり、2つのouterエンコーダは同一のLDPC符号のエンコーダとする(ここではouterエンコーダとしてLDPC符号のエンコーダを用いる構成を例に挙げて説明するが、outerエンコーダが用いる誤り訂正符号はLDPC符号に限ったものではなく、ターボ符号、畳み込み符号、LDPC畳み込み符号等の他の誤り訂正符号を用いても同様に実施することができる。また、outerエンコーダは、送信アンテナごとに有する構成としているがこれに限ったものではなく、送信アンテナが複数であっても、outerエンコーダは一つであってもよく、また、送信アンテナ数より多くのouterエンコーダを有していてもよい。)。そして、ストリームA,Bではそれぞれにインタリーバ(πa,πb)がある。ここでは、変調方式を2h−QAMとする(1シンボルでhビットを送信することになる。)。
受信機では、上述のMIMO信号の反復検波(反復APP(またはMax−log APP)復号)を行うものとする。そして、LDPC符号の復号としては、例えば、sum
−product復号を行うものとする。
図2はフレーム構成を示しており、インタリーブ後のシンボルの順番を記載している。このとき、以下の式のように(ia,ja),(ib,jb)をあらわすものとする。
このとき、ia,ib:インタリーブ後のシンボルの順番、ja,jb:変調方式におけるビット位置(ja,jb=1,・・・,h)、πa,πb:ストリームA,Bのインタリーバ、Ωa ia,ja,Ωb ib,jb:ストリームA,Bのインタリーブ前のデータの順番、を示している。ただし、図2では、ia=ibのときのフレーム構成を示している。
<反復復号>
ここでは、受信機におけるLDPC符号の復号で用いるsum−product復号およびMIMO信号の反復検波のアルゴリズムについて詳しく述べる。
sum−product復号
2元MxN行列H={Hmn}を復号対象とするLDPC符号の検査行列とする。集合[1,N]={1,2,・・・,N}の部分集合A(m),B(n)を次式のように定義する。
このとき、A(m)は検査行列Hのm行目において、1である列インデックスの集合を意味し、B(n)は検査行列Hのn行目において1である行インデックスの集合である。sum−product復号のアルゴリズムは以下のとおりである。
Step A・1(初期化):Hmn=1を満たす全ての組(m,n)に対して事前値対数比βmn=0とする。ループ変数(反復回数)lsum=1とし、ループ最大回数をlsum,maxと設定する。
Step A・2(行処理):m=1,2,・・・,Mの順にHmn=1を満たす全ての組(m,n)に対して、以下の更新式を用いて外部値対数比αmnを更新する。
このとき、fはGallagerの関数である。そして、λnの求め方については以降で詳しく説明する。
Step A・3(列処理):n=1,2,・・・,Nの順にHmn=1を満たす全ての組(m,n)に対して、以下の更新式を用いて外部値対数比βmnを更新する。
Step A・4(対数尤度比の計算):n∈[1,N]について対数尤度比Lnを以下のように求める。
Step A・5(反復回数のカウント):もしlsum<lsum,maxならばlsumをインクリメントして、step A・2に戻る。lsum=lsum,maxの場合、この回のsum−product復号は終了する。
以上が、1回のsum−product復号の動作である。その後、MIMO信号の反復検波が行われる。上述のsum−product復号の動作の説明で用いた変数m,n,αmn,βmn,λn,Lnにおいて、ストリームAにおける変数をma,na,αa mana,βa mana,λna,Lna、ストリームBにおける変数をmb,nb,αb mbnb,βb mbnb,λnb,Lnbであらわすものとする。
<MIMO信号の反復検波>
ここでは、MIMO信号の反復検波におけるλnの求め方について詳しく説明する。
式(1)から、次式が成立する。
図2のフレーム構成から、式(16)(17)から、以下の関係式が成立する。
このとき、na,nb∈[1,N]となる。以降では、MIMO信号の反復検波の反復回数kのときのλna,Lna,λnb,Lnbをそれぞれλk,na,Lk,na,λk,nb,Lk,nbとあらわすものとする。
Step B・1(初期検波;k=0):初期検波のとき、λ0,na,λ0,nbを以下のように求める。
反復APP復号のとき:
反復Max−log APP復号のとき:
ただし、X=a,bとする。そして、MIMO信号の反復検波の反復回数をlmimo=0とし、反復回数の最大回数をlmimo,maxと設定する。
Step B・2(反復検波;反復回数k):反復回数kのときのλk,na,λk,nbは、式(11)(13)−(15)(16)(17)から式(31)−(34)のようにあらわされる。ただし、(X,Y)=(a,b)(b,a)となる。
反復APP復号のとき:
反復Max−log APP復号のとき:
Step B・3(反復回数のカウント、符号語推定):もしlmimo<lmimo,maxならばlmimoをインクリメントして、step B・2に戻る。lmimo=lmimo,maxの場合、推定符号語を以下のようにもとめる。
ただし、X=a,bとする。
図3は、本実施の形態における送信装置300の構成の一例である。符号化部302Aは、情報(データ)301A、フレーム構成信号313を入力とし、フレーム構成信号313(符号化部302Aがデータの誤り訂正符号化に使用する誤り訂正方式、符号化率、ブロック長等の情報が含まれており、フレーム構成信号313が指定した方式を用いることになる。また、誤り訂正方式は、切り替えても良い。)にしたがい、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行い、符号化後のデータ303Aを出力する。
インタリーバ304Aは、符号化後のデータ303A、フレーム構成信号313を入力とし、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行い、インタリーブ後のデータ305Aを出力する。(フレーム構成信号313に基づき、インタリーブの方法は、切り替えても良い。)
マッピング部306Aは、インタリーブ後のデータ305A、フレーム構成信号313を入力とし、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、ベースバンド信号307Aを出力する。(フレーム構成信号313に基づき、変調方式は、切り替えても良い。)
図24は、QPSK変調におけるベースバンド信号を構成する同相成分Iと直交成分QのIQ平面におけるマッピング方法の一例としている。例えば、図24(A)のように、入力データが「00」の場合、I=1.0、Q=1.0が出力され、以下同様に、入力データが「01」の場合、I=―1.0、Q=1.0が出力され、・・・、が出力される。図24(B)は、図24(A)とは異なるQPSK変調のIQ平面におけるマッピング方法の例であり、図24(B)が図24(A)と異なる点は、図24(A)における信号点が、原点を中心に回転させることで図24(B)の信号点を得ることができる。このようなコンスタレーションの回転方法については、非特許文献9、非特許文献10に示されており、また、非特許文献9、非特許文献10に示されているCyclic Q Delayを適用してもよい。図24とは別の例として、図25に16QAMのときのIQ平面における信号点配置を示しており、図24(A)に相当する例が図25(A)であり、図24(B)に相当する例が図25(B)となる。
符号化部302Bは、情報(データ)301B、フレーム構成信号313を入力とし、フレーム構成信号313(使用する誤り訂正方式、符号化率、ブロック長等の情報が含まれており、フレーム構成信号313が指定した方式を用いることになる。また、誤り訂正方式は、切り替えても良い。)にしたがい、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行い、符号化後のデータ303Bを出力する。
インタリーバ304Bは、符号化後のデータ303B、フレーム構成信号313を入力とし、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行い、インタリーブ後のデータ305Bを出力する。(フレーム構成信号313に基づき、インタリーブの方法は、切り替えても
良い。)
マッピング部306Bは、インタリーブ後のデータ305B、フレーム構成信号313を入力とし、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、ベースバンド信号307Bを出力する。(フレーム構成信号313に基づき、変調方式は、切り替えても良い。)
重み付け合成情報生成部314は、フレーム構成信号313を入力とし、フレーム構成信号313に基づいた重み付け合成方法に関する情報315を出力する。なお、重み付け合成方法は、規則的に重み付け合成方法が切り替わりことが特徴となる。
重み付け合成部308Aは、ベースバンド信号307A、ベースバンド信号307B、重み付け合成方法に関する情報315を入力とし、重み付け合成方法に関する情報315に基づいて、ベースバンド信号307Aおよびベースバンド信号307Bを重み付け合成し、重み付け合成後の信号309Aを出力する。なお。重み付け合成の方法の詳細については、後で詳しく説明する。
無線部310Aは、重み付け合成後の信号309Aを入力とし、直交変調、帯域制限、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号311Aを出力し、送信信号511Aは、アンテナ312Aから電波として出力される。
重み付け合成部308Bは、ベースバンド信号307A、ベースバンド信号307B、重み付け合成方法に関する情報315を入力とし、重み付け合成方法に関する情報315に基づいて、ベースバンド信号307Aおよびベースバンド信号307Bを重み付け合成し、重み付け合成後の信号309Bを出力する。
図26に重み付け合成部の構成を示す。ベースバンド信号307Aは、w11(t)と乗算し、w11(t)s1(t)を生成し、w21(t)と乗算し、w21(t)s1(t)を生成する。同様に、ベースバンド信号307Bは、w12(t)と乗算し、w12(t)s2(t)を生成し、w22(t)と乗算し、w22(t)s2(t)を生成する。次に、z1(t)=w11(t)s1(t)+w12(t)s2(t)、z2(t)=w21(t)s1(t)+w22(t)s2(t)を得る。
なお。重み付け合成の方法の詳細については、後で詳しく説明する。
無線部310Bは、重み付け合成後の信号309Bを入力とし、直交変調、帯域制限、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号311Bを出力し、送信信号511Bは、アンテナ312Bから電波として出力される。
図4は、図3とは異なる送信装置400の構成例を示している。図4において、図3と異なる部分について説明する。
符号化部402は、情報(データ)401、フレーム構成信号313を入力とし、フレーム構成信号313に基づき、誤り訂正符号化を行い、符号化後のデータ402を出力する。
分配部404は符号化後のデータ403を入力とし、分配し、データ405Aおよびデータ405Bを出力する。なお、図4では、符号化部が一つの場合を記載したが、これに限ったものではなく、符号化部をm(mは1以上の整数)とし、各符号化部で作成された符号化データを分配部が、2系統のデータにわけて出力する場合についても、本発明は同様に実施することができる。
図5は、本実施の形態における送信装置の時間軸におけるフレーム構成の一例を示している。シンボル500_1は、受信装置に、送信方法を通知するためのシンボルであり、例えば、データシンボルを伝送するために用いる誤り訂正方式、その符号化率の情報、データシンボルを伝送するために用いる変調方式の情報等を伝送する。
シンボル501_1は、送信装置が送信する変調信号z1(t){ただし、tは時間}のチャネル変動を推定するためのシンボルである。シンボル502_1は変調信号z1(t)が(時間軸における)シンボル番号uに送信するデータシンボル、シンボル503_1は変調信号z1(t)がシンボル番号u+1に送信するデータシンボルである。
シンボル501_2は、送信装置が送信する変調信号z2(t){ただし、tは時間}のチャネル変動を推定するためのシンボルである。シンボル502_2は変調信号z2(t)がシンボル番号uに送信するデータシンボル、シンボル503_2は変調信号z2(t)がシンボル番号u+1に送信するデータシンボルである。
送信装置が送信する変調信号z1(t)と変調信号z2(t)、及び、受信装置における受信信号r1(t)、r2(t)の関係について説明する。
図5において、504#1、504#2は送信装置における送信アンテナ、505#1、505#2は受信装置における受信アンテナを示しており、送信装置は、変調信号z1(t)を送信アンテナ504#1、変調信号z2(t)を送信アンテナ504#2から送信する。このとき、変調信号z1(t)および変調信号z2(t)は、同一(共通の)周波数(帯域)を占有しているものとする。送信装置の各送信アンテナと受信装置の各アンテナのチャネル変動をそれぞれh11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)とし、受信装置の受信アンテナ505#1が受信した受信信号をr1(t)、受信装置の受信アンテナ505#2が受信した受信信号をr2(t)とすると、以下の関係式が成立する。
図6は、本実施の形態における重み付け方法(プリコーディング(Precoding)方法)に関連する図であり、重み付け合成部600は、図3の重み付け合成部308Aと308Bの両者を統合した重み付け合成部である。図6に示すように、ストリームs1(t)およびストリームs2(t)は、図3のベースバンド信号307Aおよび307Bに相当する、つまり、QPSK、16QAM、64QAMなどの変調方式のマッピングにしたがったベースバンド信号同相I、直交Q成分となる。そして、図6のフレーム構成のようにストリームs1(t)は、シンボル番号uの信号をs1(u)、シンボル番号u+1の信号をs1(u+1)、・・・とあらわす。同様に、ストリームs2(t)は、シンボル番号uの信号をs2(u)、シンボル番号u+1の信号をs2(u+1)、・・・とあらわす。そして、重み付け合成部600は、図3におけるベースバンド信号307A(s1(t))および307B(s2(t))、重み付け情報に関する情報315を入力とし、重み付け情報に関する情報315にしたがった重み付け方法を施し、図3の重み付け合成後の信号309A(z1(t))、309B(z2(t))を出力する。このとき、z1(t)、z2(t)は以下のようにあらわされる。
シンボル番号4iのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号4i+1のとき:
シンボル番号4i+2のとき:
シンボル番号4i+3のとき:
このように、図6の重み付け合成部は、4スロット周期で規則的にプリコーディングウェイトを切り替えるものとする。(ただし、ここでは、4スロットで規則的にプリコーディングウェイトを切り替える方式としているが、規則的に切り替えるスロット数は4スロットに限ったものではない。)
ところで、非特許文献4において、スロットごとにプリコーディングウェイトを切り替
えることが述べられており、非特許文献4では、プリコーディングウェイトをランダムに切り替えることを特徴としている。一方で、本実施の形態では、ある周期を設け規則的にプリコーディングウェイトを切り替えることを特徴としており、また、4つのプリコーディングウェイトで構成される2行2列のプリコーディングウェイト行列において、4つのプリコーディングウェイトの各絶対値が等しく(1/sqrt(2))、この特徴をもつプリコーディングウェイト行列を規則的に切り替えることを特徴としている。
LOS環境では、特殊なプリコーディング行列を用いると、受信品質が大きく改善する可能性があるが、直接波の状況により、その特殊なプリコーディング行列は異なる。しかし、LOS環境には、ある規則があり、この規則に従い特殊なプリコーディング行列を規則的に切り替えれば、データの受信品質が大きく改善する。一方、ランダムにプリコーディング行列を切り替えた場合、先にのべた特殊なプリコーディング行列以外のプリコーディング行列も存在することになる可能性、また、LOS環境には適さない片寄ったプリコーディング行列のみでプリコーディングを行う可能性も存在し、これにより、必ずしもLOS環境で、良好な受信品質が得られるとは限らない。したがって、LOS環境に適したプリコーディング切り替え方法を実現する必要があり、本発明は、それに関するプリコーディング方法を提案している。
図7は、本実施の形態における受信装置700の構成の一例を示している。無線部703_Xは、アンテナ701_Xで受信された受信信号702_Xを入力とし、周波数変換、直交復調等の処理を施し、ベースバンド信号704_Xを出力する。
送信装置で送信された変調信号z1におけるチャネル変動推定部705_1は、ベースバンド信号704_Xを入力とし、図5におけるチャネル推定用のリファレンスシンボル501_1を抽出し、式(36)のh11に相当する値を推定し、チャネル推定信号706_1を出力する。
送信装置で送信された変調信号z2におけるチャネル変動推定部705_2は、ベースバンド信号704_Xを入力とし、図5におけるチャネル推定用のリファレンスシンボル501_2を抽出し、式(36)のh12に相当する値を推定し、チャネル推定信号706_2を出力する。
無線部703_Yは、アンテナ701_Yで受信された受信信号702_Yを入力とし、周波数変換、直交復調等の処理を施し、ベースバンド信号704_Yを出力する。
送信装置で送信された変調信号z1におけるチャネル変動推定部707_1は、ベースバンド信号704_Yを入力とし、図5におけるチャネル推定用のリファレンスシンボル501_1を抽出し、式(36)のh21に相当する値を推定し、チャネル推定信号708_1を出力する。
送信装置で送信された変調信号z2におけるチャネル変動推定部707_2は、ベースバンド信号704_Yを入力とし、図5におけるチャネル推定用のリファレンスシンボル501_2を抽出し、式(36)のh22に相当する値を推定し、チャネル推定信号708_2を出力する。
制御情報復号部709は、ベースバンド信号704_Xおよび704_Yを入力とし、図5の送信方法を通知するためのシンボル500_1を検出し、送信装置が通知した送信方法の情報に関する信号710を出力する。
信号処理部711は、ベースバンド信号704_X、704_Y、チャネル推定信号706_1、706_2、708_1、708_2、及び、送信装置が通知した送信方法の情報に関する信号710を入力とし、検波、復号を行い、受信データ712_1および7
12_2を出力する。
次に、図7の信号処理部711の動作について詳しく説明する。図8は、本実施の形態における信号処理部711の構成の一例を示している。図8は、主にINNER MIMO検波部とsoft−in/soft−outデコーダ、重み付け係数生成部から構成されている。この構成における反復復号の方法については、非特許文献2、非特許文献3で詳細が述べられているが、非特許2、非特許文献3に記載されているMIMO伝送方式は空間多重MIMO伝送方式であるが、本実施の形態における伝送方式は、時間とともにプリコーディングウェイトを変更するMIMO伝送方式である点が、非特許文献2、非特許文献3と異なる点である。式(36)における(チャネル)行列をH(t)、図6におけるプリコーディングウェイト行列をW(t)(ただし、tによりプリコーディングウェイト行列は変化する。)、受信ベクトルをR(t)=(r1(t),r2(t))T、ストリームベクトルS(t)=(s1(t),s2(t))Tとすると以下の関係式が成立する。
このとき、受信装置は、H(t)W(t)をチャネル行列と考えることで、受信ベクトルをR(t)に対して非特許文献2、非特許文献3の復号方法を適用することができる。
したがって、図8の重み付け係数生成部819は、送信装置が通知した送信方法の情報に関する信号818(図7の710に相当)を入力とし、重み付け係数の情報に関する信号820を出力する。
INNNER MIMO検波部803は、重み付け係数の情報に関する信号820を入力とし、この信号を利用して、式(41)の演算を行うことになる。そして、反復検波・復号を行うことになるがその動作について説明する。
図8の信号処理部では、反復復号(反復検波)を行うため図10に示すような処理方法を行う必要がある。初めに、変調信号(ストリーム)s1の1符号語(または、1フレーム)、および、変調信号(ストリーム)s2の1符号語(または、1フレーム)の復号を行う。その結果、soft−in/soft−outデコーダから、変調信号(ストリーム)s1の1符号語(または、1フレーム)、および、変調信号(ストリーム)s2の1符号語(または、1フレーム)の各ビットの対数尤度比(LLR:Log−Likelihood Ratio)が得られる。そして、そのLLRを用いて再度、検波・復号が行われる。この操作が複数回行われる(この操作を反復復号(反復検波)と呼ぶ。)。以降では、1フレームにおける特定の時間のシンボルの対数尤度比(LLR)の作成方法を中心に説明する。
図8において、記憶部815は、ベースバンド信号801X(図7のベースバンド信号704_Xに相当する。)、チャネル推定信号郡802X(図7のチャネル推定信号706_1、706_2に相当する。)、ベースバンド信号801Y(図7のベースバンド信号704_Yに相当する。)、チャネル推定信号郡802Y(図7のチャネル推定信号708_1、708_2に相当する。)を入力とし、反復復号(反復検波)を実現するため
に、式(41)におけるH(t)W(t)を実行(算出)し、算出した行列を変形チャネル信号群として記憶する。そして、記憶部815は、必要なときに上記信号を、ベースバンド信号816X、変形チャネル推定信号郡817X、ベースバンド信号816Y、変形チャネル推定信号郡817Yとして出力する。
その後の動作については、初期検波の場合と反復復号(反復検波)の場合を分けて説明する。
<初期検波の場合>
INNER MIMO検波部803は、ベースバンド信号801X、チャネル推定信号郡802X、ベースバンド信号801Y、チャネル推定信号郡802Yを入力とする。ここでは、変調信号(ストリーム)s1、変調信号(ストリーム)s2の変調方式が16QAMとして説明する。
INNER MIMO検波部803は、まず、チャネル推定信号郡802X、チャネル推定信号郡802YからH(t)W(t)を実行し、ベースバンド信号801Xに対応する候補信号点を求める。そのときの様子を図11に示す。図11において、●(黒丸)は、IQ平面における候補信号点であり、変調方式が16QAMのため、候補信号点は256個存在する。(ただし、図11では、イメージ図を示しているため、256個の候補信号点は示していない。)ここで、変調信号s1で伝送する4ビットをb0、b1、b2、b3、変調信号s2で伝送する4ビットをb4、b5、b6、b7とすると、図11において(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)に対応する候補信号点が存在することになる。そして、受信信号点1101(ベースバンド信号801Xに相当する。)と候補信号点それぞれとの2乗ユークリッド距離を求める。そして、それぞれの2乗ユークリッド距離をノイズの分散σ2で除算する。したがって、(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)に対応する候補信号点と受信信号点2乗ユークリッド距離をノイズの分散で除算した値をEX(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)が求まることになる。なお、各ベースバンド信号、変調信号s1、s2は、複素信号である。
同様に、チャネル推定信号郡802X、チャネル推定信号郡802YからH(t)W(t)を実行し、ベースバンド信号801Yに対応する候補信号点をもとめ、受信信号点(ベースバンド信号801Yに相当する。)との2乗ユークリッド距離を求め、この2乗ユークリッド距離をノイズの分散σ2で除算する。したがって、(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)に対応する候補信号点と受信信号点2乗ユークリッド距離をノイズの分散で除算した値をEY(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)が求まることになる。
そして、EX(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)+EY(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)=E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)を求める。
INNER MIMO検波部803は、E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)を信号804として出力する。
対数尤度算出部805Aは、信号804を入力とし、ビットb0およびb1およびb2およびb3の対数尤度(log likelihood)を算出し、対数尤度信号806Aを出力する。ただし、対数尤度の算出では、“1”のときの対数尤度および“0”のときの対数尤度が算出される。その算出方法は、式(28)、式(29)、式(30)に示した通りであり、詳細については、非特許文献2、非特許文献3に示されている。
同様に、対数尤度算出部805Bは、信号804を入力とし、ビットb4およびb5お
よびb6およびb7の対数尤度を算出し、対数尤度信号806Bを出力する。
デインタリーバ(807A)は、対数尤度信号806Aを入力とし、インタリーバ(図3のインタリーバ(304A))に対応するデインタリーブを行い、デインタリーブ後の対数尤度信号808Aを出力する。
同様に、デインタリーバ(807B)は、対数尤度信号806Bを入力とし、インタリーバ(図3のインタリーバ(304B))に対応するデインタリーブを行い、デインタリーブ後の対数尤度信号808Bを出力する。
対数尤度比算出部809Aは、デインタリーブ後の対数尤度信号808Aを入力とし、図3の符号化器302Aで符号化されたビットの対数尤度比(LLR:Log−Likelihood Ratio)を算出し、対数尤度比信号810Aを出力する。
同様に、対数尤度比算出部809Bは、デインタリーブ後の対数尤度信号808Bを入力とし、図3の符号化器302Bで符号化されたビットの対数尤度比(LLR:Log−Likelihood Ratio)を算出し、対数尤度比信号810Bを出力する。
Soft−in/soft−outデコーダ811Aは、対数尤度比信号810Aを入力とし、復号を行い、復号後の対数尤度比812Aを出力する。
同様に、Soft−in/soft−outデコーダ811Bは、対数尤度比信号810Bを入力とし、復号を行い、復号後の対数尤度比812Bを出力する。
<反復復号(反復検波)の場合、反復回数k>
インタリーバ(813A)は、k−1回目のsoft−in/soft−outデコードで得られた復号後の対数尤度比812Aを入力とし、インタリーブを行い、インタリーブ後の対数尤度比814Aを出力する。このとき、インタリーブ(813A)のインタリーブのパターンは、図3のインタリーバ(304A)のインタリーブパターンと同様である。
インタリーバ(813B)は、k−1回目のsoft−in/soft−outデコードで得られた復号後の対数尤度比812Bを入力とし、インタリーブを行い、インタリーブ後の対数尤度比814Bを出力する。このとき、インタリーブ(813B)のインタリーブのパターンは、図3のインタリーバ(304B)のインタリーブパターンと同様である。
INNER MIMO検波部803は、ベースバンド信号816X、変形チャネル推定信号郡817X、ベースバンド信号816Y、変形チャネル推定信号郡817Y、インタリーブ後の対数尤度比814A、インタリーブ後の対数尤度比814Bを入力とする。ここで、ベースバンド信号801X、チャネル推定信号郡802X、ベースバンド信号801Y、チャネル推定信号郡802Yではなく、ベースバンド信号816X、変形チャネル推定信号郡817X、ベースバンド信号816Y、変形チャネル推定信号郡817Yを用いているのは、反復復号のため、遅延時間が発生しているためである。
INNER MIMO検波部803の反復復号時の動作と、初期検波時の動作の異なる点は、インタリーブ後の対数尤度比814A、インタリーブ後の対数尤度比814Bを信号処理の際に用いていることである。INNNER MIMO検波部803は、まず、初期検波のときと同様に、E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)を求める。加えて、インタリーブ後の対数尤度比814A、インタリーブ後の対数尤度比914Bから、式(11)、式(32)に相当する係数を求める。そして、E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)の値をこの求めた係数を用いて補正し、その値をE
’(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)とし、信号804として出力する。
対数尤度算出部805Aは、信号804を入力とし、ビットb0およびb1およびb2およびb3の対数尤度(log likelihood)を算出し、対数尤度信号806Aを出力する。ただし、対数尤度の算出では、“1”のときの対数尤度および“0”のときの対数尤度が算出される。その算出方法は、式(31)、式(数32)、式(33)、式(34)、式(35)に示した通りであり、非特許文献2、非特許文献3に示されている。
同様に、対数尤度算出部805Bは、信号804を入力とし、ビットb4およびb5およびb6およびb7の対数尤度を算出し、対数尤度信号806Bを出力する。デインタリーバ以降の動作は、初期検波と同様である。
なお、図8では、反復検波を行う場合の、信号処理部の構成について示したが、反復検波は必ずしも良好な受信品質を得る上で必須の構成ではなく、反復検波のみに必要とする構成部分、インタリーバ813A、813Bを有していない構成でもよい。このとき、INNNER MIMO検波部803は、反復的な検波を行わないことになる。
そして、本実施の形態で重要な部分は、H(t)W(t)の演算を行うことである。なお、非特許文献5等に示されているように、QR分解を用いて初期検波、反復検波を行ってもよい。
また、非特許文献11に示されているように、H(t)W(t)に基づき、MMSE(Minimum Mean Square Error)、ZF(Zero Forcing)の線形演算を行い、初期検波を行ってもよ
い。
図9は、図8と異なる信号処理部の構成であり、図4の送信装置が送信した変調信号のための信号処理部である。図8と異なる点は、soft−in/soft−outデコーダの数であり、soft−in/soft−outデコーダ901は、対数尤度比信号810A、810Bを入力とし、復号を行い、復号後の対数尤度比902を出力する。分配部903は、復号後の対数尤度比902を入力とし、分配を行う。それ以外の部分については、図8と同様の動作となる。
図12に、図29のときと同様の条件で、伝送方式を本実施の形態のプリコーディングウェイトを用いた送信方法としたときのBER特性を示す。図12の(A)は、反復検波を行わないMax−log−APP(非特許文献1、非特許文献2参照)(APP:a posterior probability)のBER特性、図12の(B)は、反復検波を行ったMax−log−APP(非特許文献1、非特許文献2参照)(反復回数5回)のBER特性を示している。図12と図29を比較すると、本実施の形態の送信方法を用いると、ライスファクタが大きいときのBER特性が、空間多重MIMO伝送を用いたときのBER特性より大きく改善していることがわかり、本実施の形態の方式の有効性が確認できる。
以上のように、本実施の形態のように、MIMO伝送システムの送信装置が複数アンテナから複数の変調信号を送信する際、時間とともにプリコーディングウェイトを切り替えるとともに、切り替えを規則的に行うことで、直接波が支配的なLOS環境において、従来の空間多重MIMO伝送を用いるときと比べ、伝送品質が向上するという効果を得ることができる。
本実施の形態において、特に、受信装置の構成については、アンテナ数を限定して、動
作を説明したが、アンテナ数が増えても、同様に実施することができる。つまり、受信装置におけるアンテナ数は、本実施の形態の動作、効果に影響を与えるものではない。また、本実施の形態では、特にLDPC符号を例に説明したがこれに限ったものではなく、また、復号方法についても、soft−in/soft−outデコーダとして、sum−product復号を例に限ったものではなく、他のsoft−in/soft−outの復号方法、例えば、BCJRアルゴリズム、SOVAアルゴリズム、Msx−log−MAPアルゴリズムなどがある。詳細については、非特許文献6に示されている。
また、本実施の形態では、シングルキャリア方式を例に説明したが、これに限ったものではなく、マルチキャリア伝送を行った場合でも同様に実施することができる。したがって、例えば、スペクトル拡散通信方式、OFDM(Orthogonal Frequency−Division Multiplexing)方式、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)、SC−OFDM(Single Carrier Orthogonal Frequency−Division Multiplexing)方式、非特許文献7等で示されているウェーブレットOFDM方式等を用いた場合についても同様に実施することができる。また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード等)、制御情報の伝送用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。
以下では、マルチキャリア方式の一例として、OFDM方式を用いたときの例を説明する。
図13は、OFDM方式を用いたときの送信装置の構成を示している。図13において、図3と同様に動作するものについては、同一符号を付した。
OFDM方式関連処理部1301Aは、重み付け後の信号309Aを入力とし、OFDM方式関連の処理を施し、送信信号1302Aを出力する。同様に、OFDM方式関連処理部1301Bは、重み付け後の信号309Bを入力とし、送信信号1302Bを出力する。
図14は、図13のOFDM方式関連処理部1301A、1301B以降の構成の一例を示しており、図13の1301Aから312Aに関連する部分が、1401Aから1410Aであり、1301Bから312Bに関連する部分が1401Bから1410Bである。
シリアルパラレル変換部1402Aは、重み付け後の信号1401A(図13の重み付け後の信号309Aに相当する)シリアルパラレル変換を行い、パラレル信号1403Aを出力する。
並び換え部1404Aは、パラレル信号1403Aを入力とし、並び換えを行い、並び換え後の信号1405Aを出力する。なお、並び換えについては、後で詳しく述べる。
逆高速フーリエ変換部1406Aは、並び換え後の信号1405Aを入力とし、逆高速フーリエ変換を施し、逆フーリエ変換後の信号1407Aを出力する。
無線部1408Aは、逆フーリエ変換後の信号1407Aを入力とし、周波数変換、増幅等の処理を行い、変調信号1409Aを出力し、変調信号1409Aはアンテナ1410Aから電波として出力される。
シリアルパラレル変換部1402Bは、重み付け後の信号1401B(図13の重み付け後の信号309Bに相当する)シリアルパラレル変換を行い、パラレル信号1403Bを出力する。
並び換え部1404Bは、パラレル信号1403Bを入力とし、並び換えを行い、並び換え後の信号1405Bを出力する。なお、並び換えについては、後で詳しく述べる。
逆高速フーリエ変換部1406Bは、並び換え後の信号1405Bを入力とし、逆高速フーリエ変換を施し、逆フーリエ変換後の信号1407Bを出力する。
無線部1408Bは、逆フーリエ変換後の信号1407Bを入力とし、周波数変換、増幅等の処理を行い、変調信号1409Bを出力し、変調信号1409Bはアンテナ1410Bから電波として出力される。
図3の送信装置では、マルチキャリアを用いた伝送方式でないため、図6のように、4周期となるようにプリコーディングを切り替え、プリコーディング後のシンボルを時間軸方向に配置している。図13に示すようなOFDM方式のようなマルチキャリア伝送方式を用いている場合、当然、図3のようにプリコーディング後のシンボルを時間軸方向に配置し、それを各(サブ)キャリアごとに行う方式が考えられるが、マルチキャリア伝送方式の場合、周波数軸方向、または、周波数軸・時間軸両者を用いて配置する方法が考えられる。以降では、この点について説明する。
図15は、横軸周波数、縦軸時間における、図14の並び替え部1401A、1401Bにおけるシンボルの並び替え方法の一例を示しており、周波数軸は、(サブ)キャリア0から(サブ)キャリア9で構成されており、変調信号z1とz2は、同一時刻(時間)に同一の周波数帯域を使用しており、図15(A)は変調信号z1のシンボルの並び替え方法、図15(B)は変調信号z2のシンボルの並び替え方法を示している。シリアルパラレル変換部1402Aが入力とする重み付け後の信号1401Aのシンボルに対し、順番に、#1、#2、#3、#4、・・・と番号をふる。このとき、図15(a)のように、シンボル#1、#2、#3、#4、・・・をキャリア0から順番に配置し、シンボル#1から#9を時刻$1に配置し、その後、シンボル#10から#19を時刻$2に配置するというように規則的に配置するものとする。
同様に、シリアルパラレル変換部1402Bが入力とする重み付け後の信号1401Bのシンボルに対し、順番に、#1、#2、#3、#4、・・・と番号をふる。このとき、図15(b)のように、シンボル#1、#2、#3、#4、・・・をキャリア0から順番に配置し、シンボル#1から#9を時刻$1に配置し、その後、シンボル#10から#19を時刻$2に配置するというように規則的に配置するものとする。なお、変調信号z1とz2は、複素信号である。
そして、図15に示すシンボル群1501、シンボル群1502は、図6示すプリコーディングウェイト切り替え方法を用いたときの1周期分のシンボルであり、シンボル#0は図6のスロット4iのプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#1は図6のスロット4i+1のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#2は図6のスロット4i+2のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#3は図6のスロット4i+3のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルである。したがって、シンボル#xにおいて、x mod 4が0のとき、シンボル#xは図6のスロット4iのプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 4が1のとき、シンボル#xは図6のスロット4i+1のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 4が2のとき、シンボル#xは図6のスロット4i+2のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 4が3のとき、シンボル#xは図6のスロット4i+3のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルである。
このように、OFDM方式などのマルチキャリア伝送方式を用いた場合、シングルキャリア伝送のときとは異なり、シンボルを周波数軸方向に並べることができるという特徴を持つことになる。そして、シンボルの並べ方については、図15のような並べ方に限ったものではない。他の例について、図16、図17を用いて説明する。
図16は、図15とは異なる、横軸周波数、縦軸時間における、図14の並び替え部1401A、1401Bにおけるシンボルの並び替え方法の一例を示しており、図16(A)は変調信号z1のシンボルの並び替え方法、図16(B)は変調信号z2のシンボルの並び替え方法を示している。図16(A)(B)が図15と異なる点は、変調信号z1のシンボルの並び替え方法と変調信号z2のシンボルの並び替え方法が異なる点であり、図16(B)では、シンボル#0から#5をキャリア4からキャリア9に配置し、シンボル#6から#9をキャリア0から3に配置し、その後、同様の規則で、シンボル#10から#19を各キャリアに配置する。このとき、図15と同様に、図16に示すシンボル群1601、シンボル群1602は、図6示すプリコーディングウェイト切り替え方法を用いたときの1周期分のシンボルである。
図17は、図15と異なる、横軸周波数、縦軸時間における、図14の並び替え部1401A、1401Bにおけるシンボルの並び替え方法の一例を示しており、図17(A)は変調信号z1のシンボルの並び替え方法、図17(B)は変調信号z2のシンボルの並び替え方法を示している。図17(A)(B)が図15と異なる点は、図15では、シンボルをキャリアに順々に配置しているのに対し、図17では、シンボルをキャリアに順々に配置していない点である。当然であるが、図17において、図16と同様に、変調信号z1のシンボルの並び替え方法と変調信号z2の並び替え方法を異なるようにしてもよい。
図18、図15〜17とは異なる、横軸周波数、縦軸時間における、図14の並び替え部1401A、1401Bにおけるシンボルの並び替え方法の一例を示しており、図18(A)は変調信号z1のシンボルの並び替え方法、図18(B)は変調信号z2のシンボルの並び替え方法を示している。図15〜17では、シンボルを周波数軸方向に並べているが、図18ではシンボルを周波数、時間軸の両者を利用して配置している。
図6では、プリコーディングウェイトの切り替えを4スロットで切り替える場合の例を説明したが、ここでは、8スロットで切り替える場合を例に説明する。図18に示すシンボル群1801、シンボル群1802は、プリコーディングウェイト切り替え方法を用いたときの1周期分のシンボル(したがって、8シンボル)であり、 シンボル#0はスロット8iのプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#1はスロット8i+1のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#2はスロット8i+2のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#3はスロット8i+3のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#4はスロット8i+4のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#5はスロット8i+5のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#6はスロット8i+6のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、シンボル#7はスロット8i+7のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルである。したがって、シンボル#xにおいて、x mod 8が0のとき、シンボル#xはスロット8iのプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 8が1のとき、シンボル#xはスロット8i+1のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 8が2のとき、シンボル#xはスロット8i+2のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 8が3のとき、シンボル#xはスロット8i+3のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 8が4のとき、シンボル#xはスロット8i+4
のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 8が5のとき、シンボル#xはスロット8i+5のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 8が6のとき、シンボル#xはスロット8i+6のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルであり、x mod 8が7のとき、シンボル#xはスロット8i+7のプリコーディングウェイトを用いたときのシンボルである。図18のシンボルの並べ方では、時間軸方向に4スロット、周波数軸方向で2スロットの計4×2=8スロットを用いて、1周期分のシンボルを配置しているが、このとき、1周期分のシンボルの数をm×nシンボル(つまり、プリコーディングウェイトはm×n種類存在する。)1周期分のシンボルを配置するのに使用する周波数軸方向のスロット(キャリア数)をn、時間軸方向に使用するスロットをmとすると、m>nとするとよい。これは、直接波の位相は、時間軸方向の変動は、周波数軸方向の変動と比較し、緩やかである。したがって、定常的な直接波の影響を小さくするために本実施の形態のプリコーディングウェイト変更を行うので、プリコーディングウェイトの変更を行う周期では直接波の変動を小さくしたい。したがって、m>nとするとよい。また、以上の点を考慮すると、周波数軸方向のみ、または、時間軸方向のみにシンボルを並び替えるより、図18のように周波数軸と時間軸の両者を用いて並び換えを行うほうが、直接波は定常的になる可能性が高く、本発明の効果を得やすいという効果が得られる。ただし、周波数軸方向に並べると、周波数軸の変動が急峻であるため、ダイバーシチゲインを得ることが出来る可能性があるので、必ずしも周波数軸と時間軸の両者を用いて並び換えを行う方法が最適な方法であるとは限らない。
図19は、図18とは異なる、横軸周波数、縦軸時間における、図14の並び替え部1401A、1401Bにおけるシンボルの並び替え方法の一例を示しており、図19(A)は変調信号z1のシンボルの並び替え方法、図19(B)は変調信号z2のシンボルの並び替え方法を示している。図19は、図18と同様、シンボルを周波数、時間軸の両者を利用して配置しているが、図18と異なる点は、図18では、周波数方向を優先し、その後、時間軸方向にシンボルを配置しているのに対し、図19では、時間軸方向を優先し、その後、時間軸方向にシンボルを配置している点である。図19において、シンボル群1901、シンボル群1902は、プリコーディング切り替え方法を用いたときの1周期分のシンボルである。
なお、図18、図19では、図16と同様に、変調信号z1のシンボルの配置方法と変調信号z2のシンボル配置方法が異なるように配置しても同様に実施することができ、また、高い受信品質を得ることができるという効果を得ることができる。また、図18、図19において、図17のようにシンボルを順々に配置していなくても、同様に実施することができ、また、高い受信品質を得ることができるという効果を得ることができる。
図27は、上記とは異なる、横軸周波数、縦軸時間における図14の並び替え部1401A、140Bにおけるシンボルの並び換え方法の一例を示している。式(37)〜式(40)のような4スロットを用いて規則的にプリコーディング行列を切り替える場合を考える。図27において特徴的な点は、周波数軸方向にシンボルを順に並べているが、時間軸方向に進めた場合、サイクリックにn(図27の例ではn=1)シンボルサイクリックシフトさせている点である。図27における周波数軸方向のシンボル群2710に示した4シンボルにおいて、式(37)〜式(40)のプリコーディング行列の切り替えを行うものとする。
このとき、#0のシンボルでは式(37)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#1では式(38)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#2では式(39)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#3では式(40)のプリコーディング行列を用いたプリコーディングを行うものとする。
周波数軸方向のシンボル群2720についても同様に、#4のシンボルでは式(37)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#5では式(38)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#6では式(39)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#7では式(40)のプリコーディング行列を用いたプリコーディングを行うものとする。
時間$1のシンボルにおいて、上記のようなプリコーディング行列の切り替えを行ったが、時間軸方向において、サイクリックシフトしているため、シンボル群2701、2702、2703、2704については以下のようにプリコーディング行列の切り替えを行うことになる。
時間軸方向のシンボル群2701では、#0のシンボルでは式(37)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#9では式(38)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#18では式(39)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#27では式(40)のプリコーディング行列を用いたプリコーディングを行うものとする。
時間軸方向のシンボル群2702では、#28のシンボルでは式(37)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#1では式(38)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#10では式(39)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#19では式(40)のプリコーディング行列を用いたプリコーディングを行うものとする。
時間軸方向のシンボル群2703では、#20のシンボルでは式(37)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#29では式(38)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#1では式(39)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#10では式(40)のプリコーディング行列を用いたプリコーディングを行うものとする。
時間軸方向のシンボル群2704では、#12のシンボルでは式(37)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#21では式(38)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#30では式(39)のプリコーディング行列を用いたプリコーディング、#3では式(40)のプリコーディング行列を用いたプリコーディングを行うものとする。
図27においての特徴は、例えば#11のシンボルに着目した場合、同一時刻の周波数軸方向の両隣のシンボル(#10と#12)は、ともに#11とは異なるプリコーディング行列を用いてプリコーディングを行っているとともに、#11のシンボルの同一キャリアの時間軸方向の両隣のシンボル(#2と#20)は、ともに#11とは異なるプリコーディング行列を用いてプリコーディングを行っていることである。そして、これは#11のシンボルに限ったものではなく、周波数軸方向および時間軸方向ともに両隣にシンボルが存在するシンボルすべてにおいて#11のシンボルと同様の特徴をもつことになる。これにより、効果的にプリコーディング行列を切り替えていることになり、直接波の定常的な状況に対する影響を受けづらくなるため、データの受信品質が改善される可能性が高くなる。
図27では、n=1として説明したが、これに限ったものではなく、n=3としても同様に実施することができる。また、図27では、周波数軸にシンボルを並べ、時間が軸方向にすすむ場合、シンボルの配置の順番をサイクリックシフトするという特徴を持たせる
ことで、上記の特徴を実現したが、シンボルをランダム(規則的であってもよい)に配置することで上記特徴を実現するような方法もある。
(実施の形態2)
実施の形態1では、図6に示すようなプリコーディングウェイトを規則的に切り替える場合について説明したが、本実施の形態では、図6のプリコーディングウェイトとは異なる具体的なプリコーディングウェイトの設計方法について説明する。
図6では、式(37)〜式(40)のプリコーディングウェイトを切り替える方法を説明した。これを一般化した場合、プリコーディングウェイトは以下のように変更することができる。(ただし、プリコーディングウェイトの切り替え周期は4とし、式(37)〜式(40)と同様の記載を行う。)
シンボル番号4iのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号4i+1のとき:
シンボル番号4i+2のとき:
シンボル番号4i+3のとき:
そして、式(36)および式(41)から、受信ベクトルをR(t)=(r1(t),r2(t))Tを以下のようにあらわすことができる。
シンボル番号4iのとき:
シンボル番号4i+1のとき:
シンボル番号4i+2のとき:
シンボル番号4i+3のとき:
このとき、チャネル要素h11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)において、直接波の成分しか存在しないと仮定し、その直接波の成分の振幅成分は全て等し
く、また、時間において、変動が起こらないとする。すると、式(46)〜式(49)は以下のようにあらわすことができる。
シンボル番号4iのとき:
シンボル番号4i+1のとき:
シンボル番号4i+2のとき:
シンボル番号4i+3のとき:
ただし、式(50)〜式(53)において、Aは正の実数であり、qは複素数であるものとする。このA及びqの値は、送信装置と受信装置との位置関係に応じて決まる。そして、式(50)〜式(53)を以下のようにあらわすものとする。
シンボル番号4iのとき:
シンボル番号4i+1のとき:
シンボル番号4i+2のとき:
シンボル番号4i+3のとき:
すると、qが以下のようにあらわされるとき、r1、r2に、s1またはs2のいずれか一方に基づく信号成分が含まれなくなるため、s1、s2のいずれかの信号を得ることができなくなる。
シンボル番号4iのとき:
シンボル番号4i+1のとき:
シンボル番号4i+2のとき:
シンボル番号4i+3のとき:
このとき、シンボル番号4i、4i+1、4i+2、4i+3において、qが同一の解をもつと、直接波のチャネル要素は大きな変動がないため、qの値が上記の同一解と等しいチャネル要素を有する受信装置は、いずれのシンボル番号においても、良好な受信品質を得ることができなくなるため、誤り訂正符号を導入しても、誤り訂正能力を得ることが難しい。したがって、qが同一の解をもたないためには、qの2つの解のうち、δを含まない方の解に着目すると、式(58)〜式(61)から、以下の条件が必要となる。
(xは0,1,2,3であり、yは0,1,2,3であり、x≠yである。)
条件#1を満たす例として、
(例#1)
<1> θ11(4i)=θ11(4i+1)=θ11(4i+2)=θ11(4i+3)=0ラジアン
とし、
<2> θ21(4i)=0ラジアン
<3> θ21(4i+1)=π/2ラジアン
<4> θ21(4i+2)=πラジアン
<5> θ21(4i+3)=3π/2ラジアン
と設定する方法が考えられる。(上記は例であり、(θ21(4i),θ21(4i+1),θ21(4i+2),θ21(4i+3))のセットには、0ラジアン、π/2ラジアン、πラジアン、3π/2ラジアンが一つずつ存在すればよい。)このとき、特に、<1>の条件があると、ベースバンド信号S1(t)に対し、信号処理(回転処理)を与える必要がないため、回路規模の削減を図ることができるという利点がある。別の例として、
(例#2)
<6> θ11(4i)=0ラジアン
<7> θ11(4i+1)=π/2ラジアン
<8> θ11(4i+2)=πラジアン
<9> θ11(4i+3)=3π/2ラジアン
とし、
<10> θ21(4i)=θ21(4i+1)=θ21(4i+2)=θ21(4i+3)=0 ラジアン
と設定する方法も考えられる。(上記は例であり、(θ11(4i),θ11(4i+1),θ11(4i+2),θ11(4i+3))のセットには、0ラジアン、π/2ラジアン、πラジアン、3π/2ラジアンが一つずつ存在すればよい。)このとき、特に、<6>の条件があると、ベースバンド信号S2(t)に対し、信号処理(回転処理)を与える必要がないため、回路規模の削減を図ることができるという利点がある。さらに別の例として、以下をあげる。
(例#3)
<11> θ11(4i)=θ11(4i+1)=θ11(4i+2)=θ11(4i+3)=0 ラジアン
とし、
<12> θ21(4i)=0ラジアン
<13> θ21(4i+1)=π/4ラジアン
<14> θ21(4i+2)=π/2ラジアン
<15> θ21(4i+3)=3π/4ラジアン
(上記は例であり、(θ21(4i),θ21(4i+1),θ21(4i+2),θ21(4i+3))のセットには、0ラジアン、π/4ラジアン、π/2ラジアン、3π/4ラジアンが一つずつ存在すればよい。)
(例#4)
<16> θ11(4i)=0ラジアン
<17> θ11(4i+1)=π/4ラジアン
<18> θ11(4i+2)=π/2ラジアン
<19> θ11(4i+3)=3π/4ラジアン
とし、
<20> θ21(4i)=θ21(4i+1)=θ21(4i+2)=θ21(4i+3)=0 ラジアン
(上記は例であり、(θ11(4i),θ11(4i+1),θ11(4i+2),θ11(4i+3))のセットには、0ラジアン、π/4ラジアン、π/2ラジアン、3π/4ラジアンが一つずつ存在すればよい。)
なお、4つの例をあげたが、条件#1を満たす方法はこれに限ったものではない。
次に、θ11、θ12のみだけではなく、λ、δについての設計要件について説明する。λについ、ある値に設定すればよく、要件としては、δについての要件を与える必要がある。そこで、λを0ラジアンとした場合のδの設定方法について説明する。
この場合、δに対し、π/2ラジアン≦|δ|≦πラジアン、とすると、特に、LOS
環境において、良好な受信品質を得ることができる。
ところで、シンボル番号4i、4i+1、4i+2、4i+3において、それぞれ、悪い受信品質となるqは2点存在する。したがって、2×4=8点の点が存在することになる。LOS環境において、特定の受信端末において受信品質が劣化することを防ぐためには、これら8点がすべて異なる解であるとよい。この場合、<条件#1>に加え、<条件#2>の条件が必要となる。
加えて、これら8点の位相が均一に存在するとよい。(直接波の位相は、一様分布となる可能性が高いと考えられるので)以下では、この要件を満たすδの設定方法について説明する。
(例#1)(例#2)の場合、δを±3π/4ラジアンと設定することで、受信品質の悪い点を、位相が均一に存在するようになる。例えば、(例#1)とし、δを3π/4ラジアンとすると、(Aは正の実数とする)図20のように、4スロットに1回受信品質が悪くなる点が存在する。(例#3)(例#4)の場合、δを±πラジアンと設定することで、受信品質の悪い点を、位相が均一に存在するようになる。例えば、(例#3)とし、δをπラジアンとすると図21のように、4スロットに1回受信品質が悪くなる点が存在する。(チャネル行列Hにおける要素qが、図20、図21に示す点に存在すると、受信品質が劣化することになる。)
以上のようにすることで、LOS環境において、良好な受信品質を得ることができる。上記では、4スロット周期で、プリコーディングウェイトを変更する例で説明したが、以下では、Nスロット周期で、プリコーディングウェイトを変更する場合について説明する。実施の形態1、および、上述の説明と同様に考えると、シンボル番後に対し、以下であらわされるような処理を行うことになる。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
よって、r1、r2は以下のようにあらわされる。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
このとき、チャネル要素h11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)において、直接波の成分しか存在しないと仮定し、その直接波の成分の振幅成分は全て等しく、また、時間において、変動が起こらないとする。すると、式(66)〜式(69)は以下のようにあらわすことができる。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
ただし、式(70)〜式(73)において、Aは実数であり、qは複素数であるものとする。このA及びqの値は、送信装置と受信装置との位置関係に応じて決まる。そして、式(70)〜式(73)を以下のようにあらわすものとする。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
すると、qが以下のようにあらわされるとき、r1、r2に、s1またはs2のいずれか一方に基づく信号成分が含まれなくなるため、s1、s2のいずれかの信号を得ることができなくなる。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
このとき、シンボル番号N〜Ni+N−1において、qが同一の解をもつと、直接波のチャネル要素は大きな変動がないため、qの値が上記の同一解と等しい受信装置は、いずれのシンボル番号においても、良好な受信品質を得ることができなくなるため、誤り訂正符号を導入しても、誤り訂正能力を得ることが難しい。したがって、qが同一の解をもたないためには、qの2つの解のうち、δを含まないほうの解に着目すると、式(78)〜式(81)から、以下の条件が必要となる。
(xは0,1,2,・・・,N−2,N−1であり、yは0,1,2,・・・,N−2,N−1であり、x≠yである。)
次に、θ11、θ12のみだけではなく、λ、δについての設計要件について説明する。λについ、ある値に設定すればよく、要件としては、δについての要件を与える必要がある。そこで、λを0ラジアンとした場合のδの設定方法について説明する。
この場合、4スロット周期でプリコーディングウェイトを変更する方法のときと同様に、δに対し、π/2ラジアン≦|δ|≦πラジアン、とすると、特に、LOS環境において、良好な受信品質を得ることができる。
シンボル番号Ni〜Ni+N−1において、それぞれ、悪い受信品質となるqは2点存在する、したがって、2N点の点が存在することになる。LOS環境において、良好な特性を得るためには、これら2N点がすべて異なる解であるとよい。この場合、<条件#3>に加え、<条件#4>の条件が必要となる。
加えて、これら2N点の位相が均一に存在するとよい。(各受信装置における直接波の位相は、一様分布となる可能性が高いと考えられるので)
以上のように、MIMO伝送システムの送信装置が複数アンテナから複数の変調信号を送信する際、時間とともにプリコーディングウェイトを切り替えるとともに、切り替えを規則的に行うことで、直接波が支配的なLOS環境において、従来の空間多重MIMO伝送を用いるときと比べ、伝送品質が向上するという効果を得ることができる。
本実施の形態において、受信装置の構成は、実施の形態1で説明したとおりであり、特に、受信装置の構成については、アンテナ数を限定して、動作を説明したが、アンテナ数が増えても、同様に実施することができる。つまり、受信装置におけるアンテナ数は、本実施の形態の動作、効果に影響を与えるものではない。また、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、誤り訂正符号は限定されるものではない。
また、本実施の形態では、実施の形態1と対比させ、時間軸におけるプリコーディングウェイト変更方法について説明したが、実施の形態1で説明したように、マルチキャリア伝送方式を用い、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイト変更方法しても同様に実施することができる。また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード等)、制御情報用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態1、実施の形態2では、プリコーディングウェイトを規則的に切り替える方式において、プリコーディングウェイトの行列の各要素の振幅が等しい場合について説明したが、本実施の形態では、この条件を満たさない例について説明する。
実施の形態2と対比するために、Nスロット周期で、プリコーディングウェイトを変更する場合について説明する。実施の形態1、および、実施の形態2と同様に考えると、シンボル番号に対し、以下であらわされるような処理を行うことになる。ただし、βは正の実数とし、β≠1とする。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
よって、r1、r2は以下のようにあらわされる。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
このとき、チャネル要素h11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)において、直接波の成分しか存在しないと仮定し、その直接波の成分の振幅成分は全て等しく、また、時間において、変動が起こらないとする。すると、式(86)〜式(89)は以下のようにあらわすことができる。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
ただし、式(90)〜式(93)において、Aは実数であり、qは複素数であるものとする。そして、式(90)〜式(93)を以下のようにあらわすものとする。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
すると、qが以下のようにあらわされるとき、s1、s2のいずれかの信号を得ることができなくなる。
シンボル番号Niのとき(iは0以上の整数とする):
シンボル番号Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号Ni+N−1のとき:
このとき、シンボル番号N〜Ni+N−1において、qが同一の解をもつと、直接波のチャネル要素は大きな変動がないため、いずれのシンボル番号においても、良好な受信品質を得ることができなくなるため、誤り訂正符号を導入しても、誤り訂正能力を得ることが難しい。したがって、qが同一の解をもたないためには、qの2つの解のうち、δを含まないほうの解に着目すると、式(98)〜式(101)から、以下の条件が必要となる。
(xは0,1,2,・・・,N−2,N−1であり、yは0,1,2,・・・,N−2,N−1であり、x≠yである。)
次に、θ11、θ12のみだけではなく、λ、δについての設計要件について説明する。λについ、ある値に設定すればよく、要件としては、δについての要件を与える必要がある。そこで、λを0ラジアンとした場合のδの設定方法について説明する。
この場合、4スロット周期でプリコーディングウェイトを変更する方法のときと同様に、δに対し、π/2ラジアン≦|δ|≦πラジアン、とすると、特に、LOS環境におい
て、良好な受信品質を得ることができる。
シンボル番号Ni〜Ni+N−1において、それぞれ、悪い受信品質となるqは2点存在する、したがって、2N点の点が存在することになる。LOS環境において、良好な特性を得るためには、これら2N点がすべて異なる解であるとよい。この場合、<条件#5>に加え、βは正の実数とし、β≠1であることを考慮すると、<条件#6>の条件が必要となる。
以上のように、MIMO伝送システムの送信装置が複数アンテナから複数の変調信号を送信する際、時間とともにプリコーディングウェイトを切り替えるとともに、切り替えを規則的に行うことで、直接波が支配的なLOS環境において、従来の空間多重MIMO伝送を用いるときと比べ、伝送品質が向上するという効果を得ることができる。
本実施の形態において、受信装置の構成は、実施の形態1で説明したとおりであり、特に、受信装置の構成については、アンテナ数を限定して、動作を説明したが、アンテナ数が増えても、同様に実施することができる。つまり、受信装置におけるアンテナ数は、本実施の形態の動作、効果に影響を与えるものではない。また、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、誤り訂正符号は限定されるものではない。
また、本実施の形態では、実施の形態1と対比させ、時間軸におけるプリコーディングウェイト変更方法について説明したが、実施の形態1で説明したように、マルチキャリア伝送方式を用い、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイト変更方法しても同様に実施することができる。また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード等)、制御情報用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態3では、プリコーディングウェイトを規則的に切り替える方式において、プリコーディングウェイトの行列の各要素の振幅を1とβ
の2種類の場合を例に説明した。
なお、ここでは、
は無視している。
続いて、βの値をスロットで切り替える場合の例について説明する。
実施の形態3と対比するために、2×Nスロット周期で、プリコーディングウェイトを変更する場合について説明する。
実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3と同様に考えると、シンボル番号に対し、以下であらわされるような処理を行うことになる。ただし、βは正の実数とし、β≠1とする。また、αは正の実数とし、α≠βとする。
シンボル番号2Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号2Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N−1のとき:
シンボル番号2Ni+Nのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号2Ni+N+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+2N−1のとき:
よって、r1、r2は以下のようにあらわされる。
シンボル番号2Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号2Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N−1のとき:
シンボル番号2Ni+Nのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号2Ni+N+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+2N−1のとき:
このとき、チャネル要素h11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)において、直接波の成分しか存在しないと仮定し、その直接波の成分の振幅成分は全て等しく、また、時間において、変動が起こらないとする。すると、式(110)〜式(117)は以下のようにあらわすことができる。
シンボル番号2Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号2Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N−1のとき:
シンボル番号2Ni+Nのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号2Ni+N+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+2N−1のとき:
ただし、式(118)〜式(125)において、Aは実数であり、qは複素数であるものとする。そして、式(118)〜式(125)を以下のようにあらわすものとする。
シンボル番号2Niのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号2Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N−1のとき:
シンボル番号2Ni+Nのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位。
シンボル番号2Ni+N+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+2N−1のとき:
すると、qが以下のようにあらわされるとき、s1、s2のいずれかの信号を得ることができなくなる。
シンボル番号2Niのとき(iは0以上の整数とする):
シンボル番号2Ni+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N−1のとき:
シンボル番号2Ni+Nのとき(iは0以上の整数とする):
シンボル番号2Ni+N+1のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+N+k(k=0、1、・・・、N−1)のとき:
・
・
・
シンボル番号2Ni+2N−1のとき:
このとき、シンボル番号2N〜2Ni+N−1において、qが同一の解をもつと、直接波のチャネル要素は大きな変動がないため、いずれのシンボル番号においても、良好な受信品質を得ることができなくなるため、誤り訂正符号を導入しても、誤り訂正能力を得ることが難しい。したがって、qが同一の解をもたないためには、qの2つの解のうち、δを含まないほうの解に着目すると、式(134)〜式(141)および、α≠βより、<条件#7>または<条件#8>が必要となる。
このとき、<条件#8>は、実施の形態1〜実施の形態3で述べた条件と、同様の条件であるが、<条件#7>は、α≠βであるが故に、qの2つの解のうち、δを含まないほうの解は、異なる解を持つことになる。
次に、θ11、θ12のみだけではなく、λ、δについての設計要件について説明する。λについ、ある値に設定すればよく、要件としては、δについての要件を与える必要がある。そこで、λを0ラジアンとした場合のδの設定方法について説明する。
この場合、4スロット周期でプリコーディングウェイトを変更する方法のときと同様に
、δに対し、π/2ラジアン≦|δ|≦πラジアン、とすると、特に、LOS環境において、良好な受信品質を得ることができる。
シンボル番号2Ni〜2Ni+2N−1において、それぞれ、悪い受信品質となるqは2点存在する、したがって、4N点の点が存在することになる。LOS環境において、良好な特性を得るためには、これら4N点がすべて異なる解であるとよい。このとき、振幅に着目すると、<条件#7>または<条件#8>に対して、α≠βであるので以下の条件が必要となる。
以上のように、MIMO伝送システムの送信装置が複数アンテナから複数の変調信号を送信する際、時間とともにプリコーディングウェイトを切り替えるとともに、切り替えを規則的に行うことで、直接波が支配的なLOS環境において、従来の空間多重MIMO伝送を用いるときと比べ、伝送品質が向上するという効果を得ることができる。
本実施の形態において、受信装置の構成は、実施の形態1で説明したとおりであり、特に、受信装置の構成については、アンテナ数を限定して、動作を説明したが、アンテナ数が増えても、同様に実施することができる。つまり、受信装置におけるアンテナ数は、本実施の形態の動作、効果に影響を与えるものではない。また、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、誤り訂正符号は限定されるものではない。
また、本実施の形態では、実施の形態1と対比させ、時間軸におけるプリコーディングウェイト変更方法について説明したが、実施の形態1で説明したように、マルチキャリア伝送方式を用い、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイトを変更しても同様に実施することができる。また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード等)、制御情報用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。
(実施の形態5)
実施の形態1〜実施の形態4では、プリコーディングウェイトを規則的に切り替える方法について説明したが、本実施の形態では、その変形例について説明する。
実施の形態1〜実施の形態4では、プリコーディングウェイトを図6のように規則的に切り替える方法について説明した。本実施の形態では、図6とは異なる規則的にプリコーディングウェイトを切り替える方法について説明する。
図6と同様に、4つの異なるプリコーディングウェイト(行列)を切り替える方式で、図6とは異なる切り替え方法に関する図を図22に示す。図22において、4つの異なるプリコーディングウェイト(行列)をW1、W2、W3、W4とあらわすものとする。(
例えば、W1を式(37)におけるプリコーディングウェイト(行列)、W2を式(38)におけるプリコーディングウェイト(行列)、W3を式(39)におけるプリコーディングウェイト(行列)、W4を式(40)におけるプリコーディングウェイト(行列)とする。)そして、図3と図6と同様に動作するものについては同一符号を付している。図22において、固有な部分は、
・第1の周期2201、第2の周期2202、第3の周期2203、・・・はすべて、4スロットで構成されている。
・4スロットではスロットごとに異なるプリコーディングウェイト行列、つまり、W1、W2、W3、W4をそれぞれ1度用いる。
・第1の周期2201、第2の周期2202、第3の周期2203、・・・において、必ずしもW1、W2、W3、W4の順番を同一とする必要がない。
である。これを実現するために、プリコーディングウェイト行列生成部2200は重み付け方法に関する信号を入力とし、各周期における順番にしたがったプリコーディングウェイトに関する情報2210を出力する。そして、重み付け合成部600は、この信号と、s1(t)、s2(t)を入力とし、重み付け合成を行い、z1(t)、z2(t)を出力する。
図23は、上述のプリコーディング方法に対し、図22とは重み付け合成方法を示している。図23において、図22の異なる点は、重み付け合成部以降に並び換え部を配置し、信号の並び換えを行うことで、図22と同様な方法を実現している点である。
図23において、プリコーディングウェイト生成部2200は、重み付け方法に関する情報315を入力とし、プリコーディングウェイトW1、W2、W3、W4、W1、W2、W3、W4、・・・の順にプリコーディングウェイトの情報2210を出力する。したがって、重み付け合成部600は、プリコーディングウェイトW1、W2、W3、W4、W1、W2、W3、W4、・・・の順にプリコーディングウェイトを用い、プリコーディング後の信号2300A、2300Bを出力する。
並び替え部2300は、プリコーディング後の信号2300A、2300Bを入力とし、図23の第1の周期2201、第2の周期2202、第3の周期2203の順番となるように、プリコーディング後の信号2300A、2300Bについて並び換えを行い、z1(t)、z2(t)を出力する。
なお、上述では、プリコーディングウェイトの切り替え周期を図6と比較するために4として説明したが、実施の形態1〜実施の形態4のように、周期4以外のときでも同様に実施することが可能である。
また、実施の形態1〜実施の形態4、および、上述のプリコーディング方法において、周期内では、δ、βの値をスロットごとに同一であるとして説明したが、スロットごとにδ、βの値を切り替えるようにしてもよい。
以上のように、MIMO伝送システムの送信装置が複数アンテナから複数の変調信号を送信する際、時間とともにプリコーディングウェイトを切り替えるとともに、切り替えを規則的に行うことで、直接波が支配的なLOS環境において、従来の空間多重MIMO伝送を用いるときと比べ、伝送品質が向上するという効果を得ることができる。
本実施の形態において、受信装置の構成は、実施の形態1で説明したとおりであり、特に、受信装置の構成については、アンテナ数を限定して、動作を説明したが、アンテナ数が増えても、同様に実施することができる。つまり、受信装置におけるアンテナ数は、本実施の形態の動作、効果に影響を与えるものではない。また、本実施の形態では、実施の
形態1と同様に、誤り訂正符号は限定されるものではない。
また、本実施の形態では、実施の形態1と対比させ、時間軸におけるプリコーディングウェイト変更方法について説明したが、実施の形態1で説明したように、マルチキャリア伝送方式を用い、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイト変更方法しても同様に実施することができる。また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード等)、制御情報用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。
(実施の形態6)
実施の形態1〜4において、プリコーディングウェイトを規則的に切り替える方法について述べたが、本実施の形態では、実施の形態1〜4で述べた内容を含め、再度、プリコーディングウェイトを規則的に切り替える方法について説明する。
ここでは、まず、LOS環境を考慮した、通信相手からのフィードバックが存在しないプ
リコーディングを適用した空間多重型の2x2MIMOシステムのプリコーディング行列の設計
方法について述べる。
図30は、通信相手からのフィードバックが存在しないプリコーディングを適用した空間多重型の2x2MIMOシステムモデルを示している。情報ベクトルzは、符号化およびインタリーブが施される。そして、インタリーブの出力として、符号化後ビットのベクトルu(p)=(u1(p),u2(p))が得られる(pはスロット時間である。)。ただし、ui(p)=(ui1(p)…,uih(p))とする(h:シンボル当たりの送信ビット数)。変調後(マッピング後)の信号をs(p)=(s1(p),s2(p))Tとすると、プリコーディング行列をF(p)とするとプリコーディング後の
信号x(p)=(x1(p),x2(p))Tは次式であらわされる。
したがって、受信ベクトルをy(p)=(y1(p), y2(p))Tとすると、次式であらわされる。
このとき、H(p)はチャネル行列、n(p)=(n1(p),n2(p))Tはノイズベクトルであり、ni(p)は平均値0、分散σ2のi.i.d.複素ガウス雑音である。そして、ライスファクタをKとした
とき、上式は、以下のようにあらわすことができる。
このとき、Hd(p)は直接波成分のチャネル行列、Hs(p)は散乱波成分のチャネル行列である。したがって、チャネル行列H(p)を以下のようにあらわす。
式(145)において、直接波の環境は通信機同士の位置関係で一意に決定すると仮定し、直接波成分のチャネル行列Hd(p)は時間的には変動がないものとする。また、直接波
成分のチャネル行列Hd(p)において、送信アンテナ間隔と比較し、送受信機間の距離が十
分長い環境となる可能性が高いため、直接波成分のチャネル行列正則行列であるものとする。したがって、チャネル行列Hd(p)を以下のようにあらわすものとする。
ここで、Aは正の実数であり、qは複素数であるものとする。以下では、LOS環境を考慮
した、通信相手からのフィードバックが存在しないプリコーディングを適用した空間多重型の2x2MIMOシステムのプリコーディング行列の設計方法について述べる。
式(144),(145)から、散乱波を含んだ状態での解析は困難であることから、散乱波を含んだ状態で適切なフィードバックなしのプリコーディング行列を求めるのは困難となる。加えて、NLOS環境では、LOS環境と比較し、データの受信品質の劣化が少ない
。したがって、LOS環境での適切なフィードバックなしのプリコーディング行列の設計方
法(時間とともにプリコーディング行列を切り替えるプリコーディング方法のプリコーディング行列)について述べる。
上述したように、式(144),(145)から、散乱波を含んだ状態での解析は困難であることから、直接波のみの成分を含むチャネル行列において、適切なプリコーディング行列を求めることにする。したがって、式(144)において、チャネル行列が直接波のみの成分を含む場合を考える。したがって、式(146)から、以下のようにあらわすことができる。
ここで、プリコーディング行列として、ユニタリ行列を用いるものとする。したがって、プリコーディング行列を以下のようにあらわす。
このときλは固定値である。したがって、式(147)は、以下のようにあらわすことができる。
式(149)からわかるように、受信機がZF(zero forcing)やMMSE(minimum mean squared error)の線形演算を行った場合、s1(p), s2(p)によって送信したビットを判定することはできない。このことから、実施の形態1で述べたような反復APP(または、反復Max-log APP)またはAPP(または、Max-log APP)を行い(以降ではML(Maximum Likelihood)演算とよぶ)、s1(p), s2(p)で送信した各ビットの対数尤度比を求め、誤り訂正符号における復号を行うことになる。したがって、ML演算を行う受信機に対するLOS環境での
適切なフィードバックなしのプリコーディング行列の設計方法について説明する。
式(149)におけるプリコーディングを考える。1行目の右辺、および、左辺にe-jΨを乗算し、同様に、2行目の右辺、および、左辺にe-jΨを乗算する。すると、次式のようにあらわされる。
e-jΨy1(p), e-jΨy2(p), e-jΨqをそれぞれy1(p), y2(p), qと再定義し、また、e-jΨn(p)=(e-jΨn1(p), e-jΨn2(p))Tとなり、e-jΨn1(p), e-jΨn2(p)は平均値0、分散σ2のi.i.d.(independent identically distributed)複素ガウス雑音となるので、e-jΨn(p)をn(p)と再定義する。すると、式(150)を式(151)のようにしても一般性は失われていない。
次に、式(151)を理解しやすいように式(152)のように変形する。
このとき、受信信号点と受信候補信号点とのユークリッド距離の最小値をdmin 2とした
とき、dmin 2がゼロという最小値をとる劣悪点であるとともに、s1(p)で送信するすべてのビット、または、s2(p)で送信するすべてのビットが消失するという劣悪な状態となるqが2つ存在する。
式(152)においてs1(p)が存在しない:
式(152)においてs2(p)が存在しない:
(以降では、式(153),(154)を満たすqをそれぞれ「s1, s2の受信劣悪点」
と呼ぶ)
式(153)を満たすとき、s1(p)により送信したビットすべてが消失しているためs1(p)により送信したビットすべての受信対数尤度比を求めることができず、式(154)を満たすとき、s2(p)により送信したビットすべてが消失しているためs2(p)により送信したビットすべての受信対数尤度比を求めることができない。
ここで、プリコーディング行列を切り替えない場合の放送・マルチキャスト通信システムを考える。このとき、プリコーディング行列を切り替えないプリコーディング方式を用いて変調信号を送信する基地局あり、基地局が送信した変調信号を受信する端末が複数(Γ個)存在するシステムモデルを考える。
基地局・端末間の直接波の状況は、時間による変化は小さいと考えられる。すると、式(153),(154)から、式(155)または式(156)の条件にあてはまるような位置にあり、ライスファクタが大きいLOS環境にある端末は、データの受信品質が劣化
するという現象に陥る可能性がある。したがって、この問題を改善するためは、時間的にプリコーディング行列を切り替える必要がある。
そこで、時間周期をNスロットとし、規則的にプリコーディング行列を切り替える方法
(以降ではプリコーディングホッピング方法と呼ぶ)を考える。
時間周期Nスロットのために、式(148)に基づくN種類のプリコーディング行列F[i]を用意する(i=0,1,…,N-1)。このとき、プリコーディング行列F[i]を以下のようにあらわす。
ここで、αは時間的に変化しないものとし、λも時間的に変化しないものとする(変化させてもよい。)。
そして、実施の形態1と同様に、時点(時刻)N×k+i(kは0以上の整数、i=0,1,…,N-1)の式(142)におけるプリコーディング後の信号x(p= N×k+i)を得るために用いられるプ
リコーディング行列がF[i]となる。これについては、以降でも同様である。
このとき、式 (153),(154)に基づき、以下のようなプリコーディングホッ
ピングのプリコーディング行列の設計条件が重要となる。
<条件#10>により、Γ個の端末すべてにおいて、時間周期内のNにおいて、s1の受
信劣悪点をとるスロットは1スロット以下となる。したがって、N-1スロット以上s1(p)で
送信したビットの対数尤度比を得ることができる。同様に、<条件#11>により、Γ個の端末すべてにおいて、時間周期内のNにおいて、s2の受信劣悪点をとるスロットは1スロット以下となる。したがって、N-1スロット以上s2(p)で送信したビットの対数尤度比を得ることができる。
このように、<条件#10>、<条件#11>のプリコーディング行列の設計規範を与えることで、s1(p)で送信したビットの対数尤度比が得られるビット数、および、s2(p)で送信したビットの対数尤度比が得られるビット数をΓ個の端末すべてにおいて一定数以上
に保証することで、Γ個の端末すべてにおいて、ライスファクタが大きいLOS環境でのデ
ータ受信品質の劣化を改善することを考える。
以下では、プリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列の例を記載する。
直接波の位相の確率密度分布は[0 2π]の一様分布であると考えることができる。した
がって、式(151),(152)におけるqの位相の確率密度分布も[0 2π]の一様分布であると考えることができる。よって、qの位相のみが異なる同一のLOS環境において、Γ個の端末に対し、可能な限り公平なデータの受信品質を与えるための条件として、以下を与える。
<条件#12>
時間周期Nスロットのプリコーディングホッピング方法を用いた場合、時間周期内のNにおいて、s1の受信劣悪点を位相に対し一様分布となるように配置し、かつ、s2の受信劣悪点を位相に対し一様分布となるように配置する。
そこで、<条件#10>から<条件#12>に基づくプリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列の例を説明する。式(157)のプリコーディング行列のα=1.0とする。
(例#5)
時間周期N=8とし、<条件#10>から<条件#12>を満たすために、次式のような
時間周期N=8のプリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列を与える
。
ただし、jは虚数単位であり、i=0,1,…,7である。式(160)のかわりに式(161)と与えてもよい(λ、θ11[i]は時間的に変化しないものとする(変化してもよい)。
)。
したがって、s1, s2の受信劣悪点は図31(a)(b)のようになる。(図31において、横軸は実軸、縦軸は虚軸となる。)また、式(160)、式(161)のかわりに式(162)、式(163)と与えてもよい(i=0,1,…,7)(λ、θ11[i]は時間的に変化しない
ものとする(変化してもよい)。)。
次に、条件12とは異なる、qの位相のみが異なる同一のLOS環境において、Γ個の端末に対し、可能な限り公平なデータの受信品質を与えるための条件として、以下を与える。<条件#13>
時間周期Nスロットのプリコーディングホッピング方法を用いた場合、
の条件を付加し、また、時間周期内のNにおいて、s1の受信劣悪点を位相とs2の受信劣悪
点を位相に対し、一様分布となるように配置する。
そこで、<条件#10>, <条件#11>, <条件#13>に基づくプリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列の例を説明する。式(157)のプリコーディング行列のα=1.0とする。
(例#6)
時間周期N=4とし、次式のような時間周期N=4のプリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列を与える。
ただし、jは虚数単位であり、i=0,1,2,3である。式(165)のかわりに式(166
)と与えてもよい(λ、θ11[i]は時間的に変化しないものとする(変化してもよい)。
)。
したがって、s1, s2の受信劣悪点は図32のようになる。(図32において、横軸は実軸、縦軸は虚軸となる。)また、式(165)、式(166)のかわりに式(167)、式(168)と与えてもよい(i=0,1,2,3)(λ、θ11[i]は時間的に変化しないものとする(変化してもよい)。)。
次に、非ユニタリ行列を用いたプリコーディングホッピング方法について述べる。
式(148)に基づき、本検討で扱うプリコーディング行列を以下のようにあらわす。
すると、式(151),(152)に相当する式は、次式のようにあらわされる。
このとき、受信信号点と受信候補信号点とのユークリッド距離の最小値dmin 2がゼロと
なるqが2つ存在する。
式(171)においてs1(p)が存在しない:
式(171)においてs2(p)が存在しない:
時間周期Nのプリコーディングホッピング方法において、式(169)を参考にし、N種類のプリコーディング行列F[i]を以下のようにあらわす。
ここで、αおよびδは時間的に変化しないものとする。このとき、式(34), (35)に基づき、以下のようなプリコーディングホッピングのプリコーディング行列の設計条件を与える。
(例#7)
式(174)のプリコーディング行列のα=1.0とする。そして、時間周期N=16とし、
<条件#12>, <条件#14>, <条件#15>を満たすために、次式のような時間周期N=8のプリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列を与える。
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
また、式(177)、式(178)と異なるプリコーディング行列として、以下のように与えることができる。
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
したがって、s1, s2の受信劣悪点は図33(a)(b)のようになる。
(図33において、横軸は実軸、縦軸は虚軸となる。)また、式(177)、式(178)および式(179)、式(180)のかわりに以下のようにプリコーディング行列を与えても良い。
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
または、
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
(また、式(177)〜(184)において、7π/8を−7π/8としてもよい。)
次に、<条件#12>とは異なる、qの位相のみが異なる同一のLOS環境において、Γ個の端末に対し、可能な限り公平なデータの受信品質を与えるための条件として、以下を与える。
<条件#16>
時間周期Nスロットのプリコーディングホッピング方法を用いた場合、
の条件を付加し、また、時間周期内のNにおいて、s1の受信劣悪点を位相とs2の受信劣
悪点を位相に対し、一様分布となるように配置する。
そこで、<条件#14>, <条件#15>, <条件#16>に基づくプリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列の例を説明する。式(174)のプリコーディング行列のα=1.0とする。
(例#8)
時間周期N=8とし、次式のような時間周期N=8のプリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列を与える。
ただし、i=0,1,…,7である。
また、式(186)と異なるプリコーディング行列として、以下のように与えることが
できる(i=0,1,…,7)(λ、θ11[i]は時間的に変化しないものとする(変化してもよい
)。)。
したがって、s1, s2の受信劣悪点は図34のようになる。また、式(186)、式(187)のかわりに以下のようにプリコーディング行列を与えても良い(i=0,1,…,7)(λ、θ11[i]は時間的に変化しないものとする(変化してもよい)。)。
または、
(また、式(186)〜式(189)において、7π/8を−7π/8としてもよい。)
次に、式(174)のプリコーディング行列において、α≠1とし、受信劣悪点同士の
複素平面における距離の点を考慮した(例#7), (例#8)と異なるプリコーディングホッピング方法について考える。
ここでは、式(174)の時間周期Nのプリコーディングホッピング方法を扱っている
が、このとき、<条件#14>により、Γ個の端末すべてにおいて、時間周期内のNにお
いて、s1の受信劣悪点をとるスロットは1スロット以下となる。したがって、N-1スロット以上s1(p)で送信したビットの対数尤度比を得ることができる。同様に、<条件#15>
により、Γ個の端末すべてにおいて、時間周期内のNにおいて、s2の受信劣悪点をとるス
ロットは1スロット以下となる。したがって、N-1スロット以上s2(p)で送信したビットの
対数尤度比を得ることができる。
したがって、時間周期Nは大きい値をしたほうが、対数尤度比を得ることができるスロ
ット数が大きくなることがわかる。
ところで、実際のチャネルモデルでは、散乱波成分の影響をうけるため、時間周期Nが
固定の場合、受信劣悪点の複素平面上の最小距離は可能な限り大きい方が、データの受信品質が向上する可能性があると考えられる。したがって、(例#7), (例#8)において、α≠1とし、(例#7), (例#8)を改良したプリコーディングホッピング方法に
ついて考える。まず、理解が容易となる、(例#8)を改良したプリコーディング方法に
ついて述べる。
(例#9)
式(186)から、(例#7)を改良した時間周期N=8のプリコーディングホッピング
方法におけるプリコーディング行列を次式で与える。
ただし、i=0,1,…,7である。また、式(190)と異なるプリコーディング行列として、以下のように与えることができる(i=0,1,…,7)(λ、θ11[i]は時間的に変化しない
ものとする(変化してもよい)。)。
または、
または、
または、
または、
または、
または、
したがって、s1, s2の受信劣悪点はα<1.0のとき図35(a)、α>1.0のとき図35(b)のようにあらわされる。
(i)α<1.0のとき
α<1.0のとき、受信劣悪点の複素平面における最小距離は、受信劣悪点#1と#2の距離(d#1,#2)および、受信劣悪点#1と#3の距離(d#1,#3)に着目すると、min{d#1,#2, d#1,#3}とあらわされる。このとき、αとd#1,#2およびd#1,#3の関係を図36に示す。そし
て、min{d#1,#2, d#1,#3}を最も大きくするαは
となる。このときのmin{d#1,#2, d#1,#3}は
となる。したがって、式(190)〜式(197)においてαを式(198)で与えるプリコーディング方法が有効となる。ただし、αの値を式(198)と設定することは、良好なデータの受信品質を得るための一つの適切な方法である。しかし、式(198)に近いような値をとるようにαを設定しても、同様に、良好なデータの受信品質を得ることができる可能性がある。したがって、αの設定値は、式(198)に限ったものではない。
(ii)α>1.0のとき
α>1.0のとき、受信劣悪点の複素平面における最小距離は、受信劣悪点#4と#5の距離(d#4,#5)および、受信劣悪点#4と#6の距離(d#4,#6)に着目すると、min{d#4,#5, d#4,#6}とあらわされる。このとき、αとd#4,#5およびd#4,#6の関係を図37に示す。そし
て、min{d#4,#5, d#4,#6}を最も大きくするαは
となる。このときのmin{d#4,#5, d#4,#6}は
となる。したがって、式(190)〜式(197)においてαを式(200)で与えるプリコーディング方法が有効となる。ただし、αの値を式(200)と設定することは、良好なデータの受信品質を得るための一つの適切な方法である。しかし、式(200)に近いような値をとるようにαを設定しても、同様に、良好なデータの受信品質を得ることができる可能性がある。したがって、αの設定値は、式(200)に限ったものではない
。
(例#10)
(例#9)の検討から(例#7)を改良した時間周期N=16のプリコーディングホッピング方法におけるプリコーディング行列は次式で与えることができる(λ、θ11[i]は時間
的に変化しないものとする(変化してもよい)。)。
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
または、
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
または、
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
または、
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
または、
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
または、
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
または、
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
または、
i=0,1,…,7のとき:
i=8,9,…,15のとき:
ただし、αは式(198)または式(200)となると良好なデータの受信品質を得るのに適している。このとき、s1の受信劣悪点はα<1.0のとき図38(a)(b)、α>1.0のとき図39(a)(b)のようにあらわされる。
本実施の形態では、時間周期Nのプリコーディングホッピング方法のためのN個の異なるプリコーディング行列の構成方法について説明した。このとき、N個の異なるプリコーデ
ィング行列として、F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]を用意することになるが、本実施の形態は、シングルキャリア伝送方式のときを例に説明しているため時間軸(または、周波数軸)方向にF[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]の順に並べる場合について説明したが、必ずしもこれに限ったものではなく、本実施の形態で生成したN個の
異なるプリコーディング行列F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]をOFDM伝送方式等のマルチキャリア伝送方式に適用することもできる。この場合の適用方法については、実施の形態1と同様に、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイトを変更することができる。なお、時間周期Nのプリコーディン
グホッピング方法として説明しているが、N個の異なるプリコーディング行列をランダム
に用いるようにしても同様の効果を得ることができる、つまり、必ずしも、規則的な周期を持つようにN個の異なるプリコーディング行列を用いる必要はない。
<条件#10>から<条件#16>に基づき、例#5から例#10を示したが、プリコーディング行列の切り替え周期を長くするために、例えば、例#5から例#10から複数の例を選び、その選択した例で示したプリコーディング行列を用いて長い周期のプリコーディング行列切り替え方法を実現してもよい。例えば、例#7で示したプリコーディング行列と例#10で示したプリコーディング行列を用いて、長い周期のプリコーディング行列切り替え方法を実現するということになる。この場合、<条件#10>から<条件#16>に必ずしもしたがうとはかぎらない。(<条件#10>の式(158)、<条件#11>の式(159)、<条件#13>の式(164)、<条件#14>の式(175)、<条件#15>の式(176)において、「すべてのx、すべてのy」としているところを「存在することのx、存在することのy」という条件が、良好な受信品質を与える上で重要となる、ということになる。)別の視点で考えた場合、周期N(Nは大きな自然数とする)のプリコーディング行列切り替え方法において、例#5から例#10のいずれかのプリコーディング行列が含まれると良好な受信品質を与える可能性が高くなる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1〜6で説明した規則的にプリコーディング行列を切り替える送信方法で送信された変調信号を受信する受信装置の構成について説明する。
実施の形態1では、規則的にプリコーディング行列を切り替える送信方法を用いて変調信号を送信する送信装置が、プリコーディング行列に関する情報を送信し、受信装置が、その情報に基づき、送信フレームに用いられている規則的なプリコーディング行列切り替え情報を得、プリコーディングの復号、および、検波を行い、送信ビットの対数尤度比を得、その後、誤り訂正復号を行う方法について説明した。
本実施の形態では、上記とは異なる受信装置の構成、および、プリコーディング行列の切り替え方法について説明する。
図40は、本実施の形態における送信装置の構成の一例を示しており、図3と同様に動作するものについては同一符号を付した。符号化器群(4002)は、送信ビット(4001)を入力とする。このとき、符号化器群(4002)は、実施の形態1で説明したように、誤り訂正符号の符号化部を複数個保持しており、フレーム構成信号313に基づき、例えば、1つの符号化、2つの符号化器、4つの符号化器のいずれかの数の符号化器が動作することになる。
1つの符号化器が動作する場合、送信ビット(4001)は、符号化が行われ、符号化後の送信ビットが得られ、この符号化後の送信ビットを2系統に分配し、分配されたビット(4003A)および分配されたビット(4003B)を符号化器群(4002)は出力する。
2つの符号化器が動作する場合、送信ビット(4001)を2つに分割して(分割ビットA、Bと名付ける)、第1の符号化器は、分割ビットAを入力とし、符号化を行い、符号化後のビットを分配されたビット(4003A)として出力する。第2の符号化器は、分割ビットBを入力とし、符号化を行い、符号化後のビットを分配されたビット(4003B)として出力する。
4つの符号化器が動作する場合、送信ビット(4001)を4つに分割して(分割ビットA、B、C、Dと名付ける)、第1の符号化器は、分割ビットAを入力とし、符号化を行い、符号化後のビットAを出力する。第2の符号化器は、分割ビットBを入力とし、符号化を行い、符号化後のビットBを出力する。第3の符号化器は、分割ビットCを入力とし、符号化を行い、符号化後のビットCを出力する。第4の符号化器は、分割ビットDを入力とし、符号化を行い、符号化後のビットDを出力する。そして、符号化後のビットA、B、C、Dを分配されたビット(4003A)、分配されたビット(4003B)に分割する。
送信装置は、一例として、以下の表1(表1Aおよび表1B)のような送信方法をサポートすることになる。
表1に示すように、送信信号数(送信アンテナ数)としては、1ストリームの信号の送信と2ストリームの信号の送信をサポートする。また、変調方式はQPSK、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAMをサポートする。特に、送信信号数が2のとき、ストリーム#1とストリーム#2は別々に変調方式を設定することが可能であり、
例えば、表1において、「#1: 256QAM, #2: 1024QAM」は「ストリーム#1の変調方式は256QAM、ストリーム#2の変調方式は1024QAM」ということを示している(他についても同様に表現している)。誤り訂正符号化方式としては、A、B、Cの3種類をサポートしているものとする。このとき、A、B、Cはいずれも異なる符号であってもよいし、A、B、Cは異なる符号化率であってもよいし、A、B、Cは異なるブロックサイズの符号化方法であってもよい。
表1の送信情報は、「送信信号数」「変調方式」「符号化器数」「誤り訂正符号化方法」を定めた各モードに対し、各送信情報を割り当てる。したがって、例えば、「送信信号数:2」「変調方式:#1:1024QAM、#2:1024QAM」「符号化器数:4」「誤り訂正符号化方法:C」の場合、送信情報を01001101と設定する。そして、送信装置は、フレームにおいて、送信情報、および、送信データを伝送する。そして、送信データを伝送する際、特に、「送信信号数」が2のとき、表1にしたがって、「プリコーディング行列切り替え方法」を用いることになる。表1において、「プリコーディング行列切り替え方法」としては、D,E,F,G,Hの5種類を用意しておき、この5種類のいずれかを、表1にしたがって、設定することになる。このとき、異なる5種類の実現方法としては、
・プリコーディング行列が異なる5種類を用意し、実現する。
・異なる5種類の周期、例えば、Dの周期を4、Eの周期を8、・・・、とすることで、実現する。
・異なるプリコーディング行列、異なる周期の両者を併用することで、実現する。
等が考えられる。
図41は、図40の送信装置が送信する変調信号のフレーム構成の一例を示しており、送信装置は、2つの変調信号z1(t)とz2(t)を送信するようなモードの設定、および、1つの変調信号を送信するモードの両者の設定が可能であるものとする。
図41において、シンボル(4100)は、表1に示されている「送信情報」を伝送するためのシンボルである。シンボル(4101_1、および、4101_2)は、チャネル推定用のリファレンス(パイロット)シンボルである。シンボル(4102_1、4103_1)は、変調信号z1(t)で送信するデータ伝送用のシンボル、シンボル(4102_2、4103_2)は、変調信号z2(t)で送信するデータ伝送用のシンボルであり、シンボル(4102_1)およびシンボル(4102_2)は同一時刻に同一(共通)周波数を用いて伝送され、また、シンボル(4103_1)およびシンボル(4103_2)は同一時刻に同一(共通)周波数を用いて伝送される。そして、シンボル(4102_1、4103_1)、および、シンボル(4102_2、4103_2)は、実施の形態1〜4、および、実施の形態6で説明した規則的にプリコーディング行列を切り替える方式を用いたときのプリコーディング行列演算後のシンボルとなる(したがって、実施の形態1で説明したように、ストリームs1(t)、s2(t)の構成は、図6のとおりである。)
さらに、図41において、シンボル(4104)は、表1に示されている「送信情報」を伝送するためのシンボルである。シンボル(4105)は、チャネル推定用のリファレンス(パイロット)シンボルである。シンボル(4106、4107)は、変調信号z1(t)で送信するデータ伝送用のシンボルであり、このとき、変調信号z1(t)で送信するデータ伝送用のシンボルは、送信信号数が1なので、プリコーディングが行われていないことになる。
よって、図40の送信装置は、図41のフレーム構成、および、表1にしたがった変調信号を生成し、送信することになる。図40において、フレーム構成信号313は、表1に基づき設定した「送信信号数」「変調方式」「符号化器数」「誤り訂正符号化方法」に
関する情報を含んでいることになる。そして、符号化部(4002)、マッピング部306A,B、重み付け合成部308A,B、は、フレーム構成信号を入力とし、表1に基づき設定した「送信信号数」「変調方式」「符号化器数」「誤り訂正符号化方法」に基づく動作を行うことになる。また、設定した「送信信号数」「変調方式」「符号化器数」「誤り訂正符号化方法」に相当する「送信情報」についても受信装置に送信することになる。
受信装置の構成は、実施の形態1と同様図7であらわすことができる。実施の形態1と異なる点は、表1の情報を、送受信装置が予め共有しているため、送信装置が、規則的に切り替えるプリコーディング行列の情報を送信しなくても、「送信信号数」「変調方式」「符号化器数」「誤り訂正符号化方法」に相当する「送信情報」を送信装置が送信し、受信装置がこの情報を得ることで、表1から、規則的に切り替えるプリコーディング行列の情報を得ることができる、という点である。したがって、図7の受信装置は、制御情報復号部709が、図40の送信装置が送信した「送信情報」を得ることで、表1に相当する情報から、規則的に切り替えるプリコーディング行列の情報を含む送信装置が通知した送信方法の情報に関する信号710を得ることができる。したがって、信号処理部711は、送信信号数2のとき、プリコーディング行列の切り替えパターンに基づく検波を行うことができ、受信対数尤度比を得ることができる。
なお、上述では、表1のように、「送信信号数」「変調方式」「符号化器数」「誤り訂正符号化方法」に対し、「送信情報」を設定し、これに対し、プリコーディング行列切り替え方法を設定しているが、必ずしも、「送信信号数」「変調方式」「符号化器数」「誤り訂正符号化方法」に対し、「送信情報」を設定しなくてもよく、例えば、表2のように、「送信信号数」「変調方式」に対し、「送信情報」を設定し、これに対し、プリコーディング行列切り替え方法を設定してもよい。
ここで、「送信情報」、および、プリコーディング行列切り替え方法の設定方法は、表1や表2に限ったものではなく、プリコーディング行列切り替え方法は、「送信信号数」「変調方式」「符号化器数」「誤り訂正符号化方法」等の送信パラメータに基づいて切り替えるように予め規則が決められていれば(送信装置、受信装置で予め決められている規則が共有されていれば)、(つまり、プリコーディング行列切り替え方法を、送信パラメータのいずれか、(または、送信パラメータの複数で構成されたいずれか)によって、切り替えていれば)、送信装置は、プリコーディング行列切り替え方法に関する情報を伝送する必要がなく、受信装置は、送信パラメータの情報を判別することで、送信装置が用いたプリコーディング行列切り替え方法を判別することができるので、的確な復号、検波を行うことができる。なお、表1、表2では、送信変調信号数が2のとき、規則的にプリコーディング行列を切り替える送信方法を用いるものとしているが、送信変調信号数が2以上であれば、規則的にプリコーディング行列を切り替える送信方法を適用することができる。
したがって、送受信装置が、プリコーディング切り替え方法に関する情報を含む送信パラメータに関する表を共有していれば、送信装置が、プリコーディング切り替え方法に関する情報を送信せず、プリコーディング切り替え方法に関する情報を含まない制御情報を送信し、受信装置が、この制御情報を得ることで、プリコーディング切り替え方法を推定することができることになる。
以上のように、本実施の形態では、送信装置が、規則的にプリコーディング行列を切り替える方法に関する直接の情報を送信せずに、受信装置が、送信装置が用いた「規則的にプリコーディング行列を切り替える方法」のプリコーディングに関する情報を推定する方法について、説明した。これにより、送信装置は、規則的にプリコーディング行列を切り替える方法に関する直接の情報を送信しないので、その分、データの伝送効率が向上するという効果を得ることができる。
なお、本実施の形態において、時間軸におけるプリコーディングウェイト変更するときの実施の形態を説明したが、実施の形態1で説明したように、OFDM伝送等のマルチキャリア伝送方式を用いたときでも本実施の形態は同様に実施することができる。
また、特に、プリコーディング切り替え方法が、送信信号数のみによって変更されているとき、受信装置は、送信装置が送信する送信信号数の情報を得ることで、プリコーディング切り替え方法をしることができる。
本明細書において、送信装置を具備しているのは、例えば、放送局、基地局、アクセスポイント、端末、携帯電話(mobile phone)等の通信・放送機器であることが考えられ、このとき、受信装置を具備しているのは、テレビ、ラジオ、端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話、アクセスポイント、基地局等の通信機器であることが考えられる。また、本発明における送信装置、受信装置は、通信機能を有している機器であって、その機器が、テレビ、ラジオ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のアプリケーションを実行するための装置に何らかのインターフェースを解して接続できるような形態であることも考えられる。
また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード、ポストアンブル、リファレンスシンボル等)、制御情報用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。そして、ここでは、パイロットシンボル、制御情報用のシンボルと名付けているが、どのような名付け方を行ってもよく、機能自体が重要となっている。
パイロットシンボルは、例えば、送受信機において、PSK変調を用いて変調した既知のシンボル(または、受信機が同期をとることによって、受信機は、送信機が送信したシンボルを知ることができてもよい。)であればよく、受信機は、このシンボルを用いて、周波数同期、時間同期、(各変調信号の)チャネル推定(CSI(Channel State Information)の推定)、信号の検出等を行うことになる。
また、制御情報用のシンボルは、(アプリケーション等の)データ以外の通信を実現するための、通信相手に伝送する必要がある情報(例えば、通信に用いている変調方式・誤り訂正符号化方式・誤り訂正符号化方式の符号化率、上位レイヤーでの設定情報等)を伝送するためのシンボルである。
なお、本発明は上記実施の形態1〜5に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、通信装置として行う場合について説明しているが、これに限られるものではなく、この通信方法をソフトウェアとして行うことも可能であ
る。
また、上記では、2つの変調信号を2つのアンテナから送信する方法におけるプリコーディング切り替え方法について説明したが、これに限ったものではなく、4つのマッピング後の信号に対し、プリコーディングを行い、4つの変調信号を生成し、4つのアンテナから送信する方法、つまり、N個のマッピング後の信号に対し、プリコーディングを行い、N個の変調信号を生成し、N個のアンテナから送信する方法においても同様にプリコーディングウェイト(行列)を変更する、プリコーディング切り替え方法としても同様に実施することができる。
本明細書では、「プリコーディング」「プリコーディングウェイト」等の用語を用いているが、呼び方自体は、どのようなものでもよく、本発明では、その信号処理自体が重要となる。
ストリームs1(t)、s2(t)により、異なるデータを伝送してもよいし、同一のデータを伝送してもよい。
送信装置の送信アンテナ、受信装置の受信アンテナ、共に、図面で記載されている1つのアンテナは、複数のアンテナにより構成されていても良い。
なお、例えば、上記通信方法を実行するプログラムを予めROM(Read Only
Memory)に格納しておき、そのプログラムをCPU(Central Processor Unit)によって動作させるようにしても良い。
また、上記通信方法を実行するプログラムをコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納し、記憶媒体に格納されたプログラムをコンピュータのRAM(Random Access Memory)に記録して、コンピュータをそのプログラムにしたがって動作させるようにしても良い。
そして、上記の各実施の形態などの各構成は、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、各実施の形態の全ての構成または一部の構成を含むように1チップ化されてもよい。 ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限られるものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
さらに、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1〜4、実施の形態6で説明したプリコーディングウェイトを規則的に切り替える方法の応用例について、ここでは説明する。
図6は、本実施の形態における重み付け方法(プリコーディング(Precoding)方法)に関連する図であり、重み付け合成部600は、図3の重み付け合成部308A
と308Bの両者を統合した重み付け合成部である。図6に示すように、ストリームs1(t)およびストリームs2(t)は、図3のベースバンド信号307Aおよび307Bに相当する、つまり、QPSK、16QAM、64QAMなどの変調方式のマッピングにしたがったベースバンド信号同相I、直交Q成分となる。そして、図6のフレーム構成のようにストリームs1(t)は、シンボル番号uの信号をs1(u)、シンボル番号u+1の信号をs1(u+1)、・・・とあらわす。同様に、ストリームs2(t)は、シンボル番号uの信号をs2(u)、シンボル番号u+1の信号をs2(u+1)、・・・とあらわす。そして、重み付け合成部600は、図3におけるベースバンド信号307A(s1(t))および307B(s2(t))、重み付け情報に関する情報315を入力とし、重み付け情報に関する情報315にしたがった重み付け方法を施し、図3の重み付け合成後の信号309A(z1(t))、309B(z2(t))を出力する。
このとき、例えば、実施の形態6における例8の周期N=8のプリコーディング行列切り
替え方法を用いた場合、z1(t)、z2(t)は以下のようにあらわされる。
シンボル番号8iのとき(iは0以上の整数とする):
ただし、jは虚数単位、k=0。
シンボル番号8i+1のとき:
ただし、k=1。
シンボル番号8i+2のとき:
ただし、k=2。
シンボル番号8i+3のとき:
ただし、k=3。
シンボル番号8i+4のとき:
ただし、k=4。
シンボル番号8i+5のとき:
ただし、k=5。
シンボル番号8i+6のとき:
ただし、k=6。
シンボル番号8i+7のとき:
ただし、k=7。
ここで、シンボル番号と記載しているが、シンボル番号は時刻(時間)と考えてもよい。他の実施の形態で説明したとおり、例えば、式(225)において、時刻8i+7のz1(8i+7)とz2(8i+7)は、同一時刻の信号であり、かつ、z1(8i+7)とz2(8i+7)は同一(共通の)周波数を用いて送信装置が送信することになる。つまり、時刻Tの信号をs1(T)、s2(T)、z1(T)、z2(T)とすると、何らかのプリコーディング行列とs1(T)およびs2(T)から、z1(T)およびz2(T)を求め、z1(T)およびz2(T)は同一(共通の)周波数を用いて(同一時刻(時間)に)送信装置が送信することになる。また、OFDM等のマルチキャリア伝送方式を用いた場合、(サブ)キャリアL、時刻Tにおけるs1、s2、z1、z2に相当する信号をs1(T,L)、s2(T,L)、z1(T,L)、z2(T,L)とすると、何らかのプリコーディング行列とs1(T,L)およびs2(T,L)から、z1(T,L)およびz
2(T,L)を求め、z1(T,L)およびz2(T,L)は同一(共通の)周波数を用い
て(同一時刻(時間)に)送信装置が送信することになる。
このとき、αの適切な値として、式(198)、または、式(200)がある。
本実施の形態では、上記で述べた式(190)のプリコーディング行列をもとにし、周期を大きくするプリコーディング切り替え方法について述べる。
プリコーディング切り替え行列の周期を8Mとしたとき、異なるプリコーディング行列8M個を以下のようにあらわす。
このとき、i=0,1,2,3,4,5,6,7、k=0,1,・・・, M-2, M-1となる。
例えば、M=2としたとき、α<1とすると、k=0のときのs1の受信劣悪点(○)、お
よび、s2の受信劣悪点(□)は、図42(a)のようにあらわされる。同様に、k=1のと
きのs1の受信劣悪点(○)、および、s2の受信劣悪点(□)は、図42(b)のようにあらわされる。このように、式(190)のプリコーディング行列をもとにすると、受信劣悪点は図42(a)ようになり、この式(190)の右辺の行列の2行目の各要素にejXを乗算した行列をプリコーディング行列とすることで(式(226)参照)、受信劣悪点が図42(a)に対し、回転した受信劣悪点をもつようにする(図42(b)参照)。(ただし、図42(a)と図42(b)の受信劣悪点は重なっていない。このように、ejXを乗算しても、受信劣悪点は重ならないようにするとよい。また、式(190)の右辺の行列の2行目の各要素にejXを乗算するのではなく、式(190)の右辺の行列の1行目の各要素にejXを乗算した行列をプリコーディング行列としてもよい。)このとき、プリコーディング行列F[0]〜F[15]は次式であらわされる。
ただし、i=0,1,2,3,4,5,6,7、k=0,1となる。
すると、M=2のとき、F[0]〜F[15]のプリコーディング行列が生成されたことになる
(F[0]〜F[15]のプリコーディング行列は、どのような順番にならべてもよい。また、F[0]〜F[15]の行列がそれぞれ異なる行列であるとよい。)。そして、例えば、シンボル番号16iのときF[0]を用いてプリコーディングを行い、シンボル番号16i+1のときF[1]を用いてプリコーディングを行い、・・・、シンボル番号16i+hのときF[h]を用い
てプリコーディングを行う(h=0、1、2、・・・、14、15)ことになる。(ここでは、以前の実施の形態で述べたように、必ずしも規則的にプリコーディング行列を切り替えなくてもよい。)
以上をまとめると、式(82)〜式(85)を参考にし、周期Nのプリコーディング行
列を次式であらわす。
このとき、周期がNであるので、i=0,1,2,・・・,N-2,N-1となる。そして、式(228
)をベースとする周期N×Mのプリコーディング行列を次式であらわす。
このとき、i=0,1,2,・・・,N-2,N-1、k=0,1,・・・,M-2,M-1となる。
すると、F[0]〜F[N×M-1]のプリコーディング行列が生成されたことになる(F[0]〜F[N×M-1]のプリコーディング行列は、周期N×Mどのような順番にならべて使用してもよい。)。そして、例えば、シンボル番号N×M×iのときF[0]を用いてプリコーディングを行い、シンボル番号N×M×i+1のときF[1]を用いてプリコーディングを行い、・・・、シンボル番号N×M×i+hのときF[h]を用いてプリコーディングを行う(h=0、1、2、
・・・、N×M-2、N×M-1)ことになる。(ここでは、以前の実施の形態で述べたように、必ずしも規則的にプリコーディング行列を切り替えなくてもよい。)
このようにプリコーディング行列を生成すると、周期の大きいプリコーディング行列の切り替え方法を実現することができ、受信劣悪点の位置を簡単に変更することができることができ、これが、データの受信品質の向上につながる可能性がある。なお、周期N×Mのプリコーディング行列を式(229)のようしたが、前述のように、周期N×Mのプリコーディング行列を次式のようにしてもよい。
このとき、i=0,1,2,・・・,N-2,N-1、k=0,1,・・・,M-2,M-1となる。
なお、式(229)および式(230)において、0ラジアン≦δ<2πラジアンとしたとき、δ=πラジアンのときユニタリ行列となり、δ≠πラジアンのとき非ユニタリ行列となる。本方式では、π/2ラジアン≦|δ|<πラジアンの非ユニタリ行列のときが一つの特徴的な構成であり(δの条件については、他の実施の形態のときも同様である。)、良好なデータの受信品質が得られることになる。別の構成として、ユニタリ行列の場合もあるが、実施の形態10や実施の形態16において、詳しく述べるが、式(229)、式(230)において、Nを奇数とすると、良好なデータの受信品質を得ることができ
る可能性が高くなる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、ユニタリ行列を用いたプリコーディング行列を規則的に切り替える方法について述べる。
実施の形態8で述べたように周期Nの規則的にプリコーディング行列を切り替える方法
において、式(82)〜式(85)を参考にした、周期Nのために用意するプリコーディ
ング行列を次式であらわす。
このとき、i=0,1,2,・・・,N-2,N-1となる。(α>0であるものとする。)本実施の形態では、ユニタリ行列を扱うので、式(231)のプリコーディング行列は次式であらわすことができる。
このとき、i=0,1,2,・・・,N-2,N-1となる。(α>0であるものとする。)このとき、実施の形態3の(数106)の条件5、および、(数107)の条件6から、以下の条件が、良好なデータの受信品質を得るためには重要となる。
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
実施の形態6で説明した際、受信劣悪点間の距離について述べたが、受信劣悪点間の距離を大きくするためには、周期Nは3以上の奇数であることが重要となる。以下では、こ
の点について説明する。
実施の形態6で説明したように、受信劣悪点を複素平面上において、位相に対し、一様分布となるように配置するために、<条件19>または<条件20>を与える。
つまり、<条件19>では、位相の差が2π/Nラジアンであることを意味している。また、<条件20>では、位相の差が−2π/Nラジアンであることを意味している。
そして、θ11(0)―θ21(0)=0ラジアンとし、かつ、α<1としたとき、周期N=3のときの、s1の受信劣悪点とs2の受信劣悪点の複素平面上での配置を図43(a)
に、周期N=4のときのs1の受信劣悪点とs2の受信劣悪点の複素平面上での配置を図43(
b)に示す。また、θ11(0)―θ21(0)=0ラジアンとし、かつ、α>1としたとき、周期N=3のときの、s1の受信劣悪点とs2の受信劣悪点の複素平面上での配置を図4
4(a)に、周期N=4のときのs1の受信劣悪点とs2の受信劣悪点の複素平面上での配置を
図44(b)に示す。
このとき、受信劣悪点と原点とで形成する線分と、Realの軸において、Real≧0の半直
線とで形成する位相(図43(a)参照。)を考えた場合、α>1、α<1いずれの場合についても、N=4のとき、s1に関する受信劣悪点における前述の位相とs2に関する受信劣悪点における前述の位相とが同一の値となる場合が必ず発生する。(図43の4301、4302、および図44の4401、4402参照)このとき、複素平面において、受信劣悪点間の距離が小さくなる。一方で、N=3のとき、s1に関する受信劣悪点における前述
の位相とs2に関する受信劣悪点における前述の位相とが同一の値となる場合は発生しない。
以上から、周期Nが偶数のときs1に関する受信劣悪点における前述の位相とs2に関する
受信劣悪点における前述の位相とが同一の値となる場合が必ず発生することを考慮すると、周期Nが奇数のときのほうが、周期Nが偶数のときと比較し、複素平面において、受信劣
悪点間の距離が大きくなる可能性が高い。ただし、周期Nが小さい値、例えば、N≦16以下の場合、複素平面における受信劣悪点の最小距離は、受信劣悪点の存在する個数が少ないため、ある程度の長さを確保することができる。したがって、N≦16の場合は、偶数であ
っても、データの受信品質を確保することができる場合が存在する可能性がある。
したがって、式(232)に基づく規則的にプリコーディング行列を切り替える方式において、周期Nは奇数にすると、データの受信品質を向上させることができる可能性が高
い。なお、式(232)に基づきF[0]〜F[N-1]のプリコーディング行列が生成されたことになる(F[0]〜F[N-1]のプリコーディング行列は、周期Nに対しどのような順番にならべ
て使用してもよい。)。そして、例えば、シンボル番号NiのときF[0]を用いてプリコー
ディングを行い、シンボル番号Ni+1のときF[1]を用いてプリコーディングを行い、・
・・、シンボル番号N×i+hのときF[h]を用いてプリコーディングを行う(h=0、1、2、・・・、N-2、N-1)ことになる。(ここでは、以前の実施の形態で述べたように、必ずしも規則的にプリコーディング行列を切り替えなくてもよい。)また、s1、s2の変調方式が、ともに16QAMのとき、αを
とすると、IQ平面における16×16=256個の信号点間の最小距離をある特定のLOS環境において大きくできるという効果を得ることができる可能性がある。
本実施の形態では、時間周期Nのプリコーディングホッピング方法のためのN個の異なるプリコーディング行列の構成方法について説明した。このとき、N個の異なるプリコーデ
ィング行列として、F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]を用意することになるが、本実施の形態は、シングルキャリア伝送方式のときを例に説明しているため時間軸(または、周波数軸)方向にF[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]の順に並べる場合について説明したが、必ずしもこれに限ったものではなく、本実施の形態で生成したN個の
異なるプリコーディング行列F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]をOFDM伝送方式等のマルチキャリア伝送方式に適用することもできる。この場合の適用方法については、実施の形態1と同様に、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイトを変更することができる。なお、時間周期Nのプリコーディン
グホッピング方法として説明しているが、N個の異なるプリコーディング行列をランダム
に用いるようにしても同様の効果を得ることができる、つまり、必ずしも、規則的な周期を持つようにN個の異なるプリコーディング行列を用いる必要はない。
また、周期H(Hは上記規則的にプリコーディング行列を切り替える方式の周期Nはより
大きな自然数とする)のプリコーディング行列切り替え方法において、本実施の形態におけるN個の異なるプリコーディング行列が含まれていると良好な受信品質を与える可能性
が高くなる。このとき、<条件#17><条件#18>は以下のような条件に置き換えることができる。(周期はNとして考える。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(実施の形態10)
本実施の形態では、ユニタリ行列を用いたプリコーディング行列を規則的に切り替える方法について、実施の形態9とは異なる例を述べる。
周期2Nの規則的にプリコーディング行列を切り替える方法において、周期2Nのために用意するプリコーディング行列を次式であらわす。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。(式(234)のαと式(235)のαは同一の値であるものとする。)
このとき、実施の形態3の(数106)の条件5、および、(数107)の条件6から、式(234)に対し、以下の条件が、良好なデータの受信品質を得るためには重要とな
る。
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
そして、以下の条件を付加することを考える。
次に、実施の形態6で説明したように、受信劣悪点を複素平面上において、位相に対し、一様分布となるように配置するために、<条件#24>または<条件#25>を与える。
つまり、<条件24>では、位相の差が2π/Nラジアンであることを意味している。また、<条件25>では、位相の差が−2π/Nラジアンであることを意味している。
そして、θ11(0)―θ21(0)=0ラジアンとし、かつ、α>1としたとき、N=4のときのs1の受信劣悪点とs2の受信劣悪点の複素平面上での配置を図45(a)(b)
に示す。図45(a)(b)からわかるように、複素平面において、s1の受信劣悪点の最小距離は大きく保てており、また、同様に、s2の受信劣悪点の最小距離も大きく保てている。そして、α<1のときにも同様な状態となる。また、実施の形態9と同様に考えると、Nが奇数のときのほうが、Nが偶数のときと比較し、複素平面において、受信劣悪点間の距離が大きくなる可能性が高い。ただし、Nが小さい値、例えば、N≦16以下の場合、複素平面における受信劣悪点の最小距離は、受信劣悪点の存在する個数が少ないため、ある程度の長さを確保することができる。したがって、N≦16の場合は、偶数であっても、デー
タの受信品質を確保することができる場合が存在する可能性がある。
したがって、式(234)、(235)に基づく規則的にプリコーディング行列を切り替える方式において、Nは奇数にすると、データの受信品質を向上させることができる可
能性が高い。なお、式(234)、(235)に基づきF[0]〜F[2N-1]のプリコーディン
グ行列が生成されたことになる(F[0]〜F[2N-1]のプリコーディング行列は、周期2Nに対
しどのような順番にならべて使用してもよい。)。そして、例えば、シンボル番号2NiのときF[0]を用いてプリコーディングを行い、シンボル番号2Ni+1のときF[1]を用いてプリコーディングを行い、・・・、シンボル番号2N×i+hのときF[h]を用いてプリコー
ディングを行う(h=0、1、2、・・・、2N-2、2N-1)ことになる。(ここでは、以前の実施の形態で述べたように、必ずしも規則的にプリコーディング行列を切り替えなくてもよい。)また、s1、s2の変調方式が、ともに16QAMのとき、αを式(233)とすると、IQ平面における16×16=256個の信号点間の最小距離をある特定のLOS環境において大きくできるという効果を得ることができる可能性がある。
また、<条件#23>と異なる条件として、以下の条件を考える。
(xはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、yはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、x≠yである。)
(xはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、yはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、x≠yである。)
このとき、<条件#21>かつ<条件#22>かつ<条件#26>かつ<条件#27>を満たすことで、複素平面におけるs1同士の受信劣悪点の距離を大きく、かつ、s2同士の受信劣悪点の距離を大きくすることができるため、良好なデータの受信品質を得ることができる。
本実施の形態では、時間周期2Nのプリコーディングホッピング方法のための2N個の異なるプリコーディング行列の構成方法について説明した。このとき、2N個の異なるプリコーディング行列として、F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]を用意することになるが、本実施の形態は、シングルキャリア伝送方式のときを例に説明しているため時間軸(または、周波数軸)方向にF[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]の順に並べる場合について説明したが、必ずしもこれに限ったものではなく、本実施の形態で生成した2N個の異なるプリコーディング行列F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]をOFDM伝送方式等のマルチキャリア伝送方式に適用することもできる。この場合の適用方法については、実施の形態1と同様に、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイトを変更することができる。なお、時間周期2Nのプリコーディングホッピング方法として説明しているが、2N個の異なるプリコーディング行列をランダムに用いるようにしても同様の効果を得ることができる、つまり、必ずしも、規則的な周期を持つように2N個の異なるプリコーディング行列を用いる必要はない。
また、周期H(Hは上記規則的にプリコーディング行列を切り替える方式の周期2Nはより大きな自然数とする)のプリコーディング行列切り替え方法において、本実施の形態における2N個の異なるプリコーディング行列が含まれていると良好な受信品質を与える可能性が高くなる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、非ユニタリ行列を用いたプリコーディング行列を規則的に切り替える方法について述べる。
周期2Nの規則的にプリコーディング行列を切り替える方法において、周期2Nのために用意するプリコーディング行列を次式であらわす。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。また、δ≠πラジアン
とする。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。(式(236)のαと式(237)のαは同一の値であるものとする。)
このとき、実施の形態3の(数106)の条件5、および、(数107)の条件6から、式(236)に対し、以下の条件が、良好なデータの受信品質を得るためには重要となる。
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
そして、以下の条件を付加することを考える。
なお、式(237)のかわりに、次式のプリコーディング行列を与えてもよい。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。(式(236)のαと式(238)のαは同一の値であるものとする。)
例として、実施の形態6で説明したように、受信劣悪点を複素平面上において、位相に対し、一様分布となるように配置するために、<条件#31>または<条件#32>を与える。
つまり、<条件31>では、位相の差が2π/Nラジアンであることを意味している。また、<条件32>では、位相の差が−2π/Nラジアンであることを意味している。
そして、θ11(0)―θ21(0)=0ラジアンとし、かつ、α>1とし、δ=(3π)/4ラジアンとしたとき、N=4のときのs1の受信劣悪点とs2の受信劣悪点の複素平面
上での配置を図46(a)(b)に示す。このようにすることで、プルコーディング行列を切り替える周期を大きくすることができ、かつ、複素平面において、s1の受信劣悪点の最小距離は大きく保てており、また、同様に、s2の受信劣悪点の最小距離も大きく保つことができるため、良好な受信品質を得ることができる。ここでは、α>1、δ=(3π)/4ラジアン、N=4のときを例に説明したがこれに限ったものではなく、π/2ラジアン
≦|δ|<πラジアン、かつ、α>0、かつ、α≠1であれば同様の効果を得ることができる。
また、<条件#30>と異なる条件として、以下の条件を考える。
(xはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、yはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、x≠yである。)
(xはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、yはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、x≠yである。)
このとき、<条件#28>かつ<条件#29>かつ<条件#33>かつ<条件#34>を満たすことで、複素平面におけるs1同士の受信劣悪点の距離を大きく、かつ、s2同士の受信劣悪点の距離を大きくすることができるため、良好なデータの受信品質を得ることができる。
本実施の形態では、時間周期2Nのプリコーディングホッピング方法のための2N個の異なるプリコーディング行列の構成方法について説明した。このとき、2N個の異なるプリコーディング行列として、F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]を用意することになるが、本実施の形態は、シングルキャリア伝送方式のときを例に説明しているため時間軸(または、周波数軸)方向にF[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]の順に並べる場合について説明したが、必ずしもこれに限ったものではなく、本実施の形態で生成した2N個の異なるプリコーディング行列F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]をOFDM伝送方式等のマルチキャリア伝送方式に適用することもできる。この場合の適用方法については、実施の形態1と同様に、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイトを変更することができる。なお、時間周期2Nのプリコーディングホッピング方法として説明しているが、2N個の異なるプリコーディング行列をランダムに用いるようにしても同様の効果を得ることができる、つまり、必ずしも、規則的な周期を持つように2N個の異なるプリコーディング行列を用いる必要はない。
また、周期H(Hは上記規則的にプリコーディング行列を切り替える方式の周期2Nはより大きな自然数とする)のプリコーディング行列切り替え方法において、本実施の形態における2N個の異なるプリコーディング行列が含まれていると良好な受信品質を与える可能性が高くなる。
(実施の形態12)
本実施の形態では、非ユニタリ行列を用いたプリコーディング行列を規則的に切り替える方法について述べる。
周期Nの規則的にプリコーディング行列を切り替える方法において、周期Nのために用意するプリコーディング行列を次式であらわす。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。また、δ≠πラジアン
(iによらず固定値)、i=0,1,2,・・・,N-2,N-1とする。
このとき、実施の形態3の(数106)の条件5、および、(数107)の条件6から、式(239)に対し、以下の条件が、良好なデータの受信品質を得るためには重要となる。
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
例として、実施の形態6で説明したように、受信劣悪点を複素平面上において、位相に対し、一様分布となるように配置するために、<条件#37>または<条件#38>を与える。
つまり、<条件37>では、位相の差が2π/Nラジアンであることを意味している。また、<条件38>では、位相の差が−2π/Nラジアンであることを意味している。
このとき、π/2ラジアン≦|δ|<πラジアン、かつ、α>0、かつ、α≠1であれば、複素平面におけるs1同士の受信劣悪点の距離を大きく、かつ、s2同士の受信劣悪点の距離を大きくすることができるため、良好なデータの受信品質を得ることができる。なお、<条件#37>、<条件#38>は必ず必要となる条件ではない。
本実施の形態では、時間周期Nのプリコーディングホッピング方法のためのN個の異なるプリコーディング行列の構成方法について説明した。このとき、N個の異なるプリコーデ
ィング行列として、F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]を用意することになるが、本実施の形態は、シングルキャリア伝送方式のときを例に説明しているため時間軸(または、周波数軸)方向にF[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]の順に並べる場合について説明したが、必ずしもこれに限ったものではなく、本実施の形態で生成した2N個の異なるプリコーディング行列F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[N-2]、F[N-1]をOFDM伝送方式等のマルチキャリア伝送方式に適用することもできる。この場合の適用方法については、実施の形態1と同様に、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイトを変更することができる。なお、時間周期Nのプリコーディン
グホッピング方法として説明しているが、N個の異なるプリコーディング行列をランダム
に用いるようにしても同様の効果を得ることができる、つまり、必ずしも、規則的な周期を持つようにN個の異なるプリコーディング行列を用いる必要はない。
また、周期H(Hは上記規則的にプリコーディング行列を切り替える方式の周期Nはより
大きな自然数とする)のプリコーディング行列切り替え方法において、本実施の形態におけるN個の異なるプリコーディング行列が含まれていると良好な受信品質を与える可能性
が高くなる。このとき、<条件#35><条件#36>は以下のような条件に置き換えることができる。(周期はNとして考える。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(実施の形態13)
本実施の形態では、実施の形態8の別の例について説明する。
周期2Nの規則的にプリコーディング行列を切り替える方法において、周期2Nのために用意するプリコーディング行列を次式であらわす。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。また、δ≠πラジアン
とする。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。(式(240)のαと式(241)のαは同一の値であるものとする。)
そして、式(240)および式(241)をベースとする周期2×N×Mのプリコーディ
ング行列を次式であらわす。
このとき、k=0,1,・・・,M-2,M-1となる。
このとき、k=0,1,・・・,M-2,M-1となる。また、Xk=Ykであってもよいし、Xk≠Ykであ
ってもよい。
すると、F[0]〜F[2×N×M-1]のプリコーディング行列が生成されたことになる(F[0]〜F[2×N×M-1]のプリコーディング行列は、周期2×N×Mどのような順番にならべて使用し
てもよい。)。そして、例えば、シンボル番号2×N×M×iのときF[0]を用いてプリコー
ディングを行い、シンボル番号2×N×M×i+1のときF[1]を用いてプリコーディングを
行い、・・・、シンボル番号2×N×M×i+hのときF[h]を用いてプリコーディングを行う(h=0、1、2、・・・、2×N×M-2、2×N×M-1)ことになる。(ここでは、以前の実施の形態で述べたように、必ずしも規則的にプリコーディング行列を切り替えなくてもよい。)
このようにプリコーディング行列を生成すると、周期の大きいプリコーディング行列の切り替え方法を実現することができ、受信劣悪点の位置を簡単に変更することができることができ、これが、データの受信品質の向上につながる可能性がある。
なお、周期2×N×Mのプリコーディング行列の式(242)を次式のようにしてもよい
。
このとき、k=0,1,・・・,M-2,M-1となる。
また、周期2×N×Mのプリコーディング行列の式(243)を式(245)〜式(24
7)のいずれかとしてもよい。
このとき、k=0,1,・・・,M-2,M-1となる。
このとき、k=0,1,・・・,M-2,M-1となる。
このとき、k=0,1,・・・,M-2,M-1となる。
なお、受信劣悪点について着目すると、式(242)から式(247)において、
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
のすべてを満たすと良好なデータの受信品質を得ることができる。なお、実施の形態8では、<条件#39>および<条件#40>を満たすとよい。
また、式(242)から式(247)のXk, Ykに着目すると、
(aは0,1,2,・・・,M-2, M -1であり、bは0,1,2,・・・, M-2, M-1であり、a≠bである。)
ただし、sは整数である。
(aは0,1,2,・・・,M-2, M -1であり、bは0,1,2,・・・, M-2, M-1であり、a≠bである。)
ただし、uは整数である。
の2つの条件を満たすと良好なデータの受信品質を得ることができる。なお、実施の形態8では、<条件42>を満たすとよい。
なお、式(242)および式(247)において、0ラジアン≦δ<2πラジアンとしたとき、δ=πラジアンのときユニタリ行列となり、δ≠πラジアンのとき非ユニタリ行列となる。本方式では、π/2ラジアン≦|δ|<πラジアンの非ユニタリ行列のときが一つの特徴的な構成であり、良好なデータの受信品質が得られることになる。別の構成として、ユニタリ行列の場合もあるが、実施の形態10や実施の形態16において、詳しく述べるが、式(242)から式(247)において、Nを奇数とすると、良好なデータの
受信品質を得ることができる可能性が高くなる。
(実施の形態14)
本実施の形態では、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式において、プリコーディング行列として、ユニタリ行列を用いる場合と非ユニタリ行列を用いる場合の使い分けの例について説明する。
例えば、2行2列のプリコーディング行列(各要素は複素数で構成されているものとする)を用いた場合、つまり、ある変調方式に基づいた2つの変調信号(s1(t)およびs2(t))に対し、プリコーディングを施し、プリコーディング後の2つの信号を2つのアンテナから送信する場合について説明する。
規則的にプリコーディング行列を切り替える方法を用いてデータを伝送する場合、図3の
図13の送信装置は、フレーム構成信号313により、マッピング部306A、306Bは、変調方式を切り替えることになる。このとき、変調方式の変調多値数(変調多値数:IQ平面における変調方式の信号点の数)とプリコーディング行列の関係について説明する。
規則的にプリコーディング行列を切り替える方法の利点は、実施の形態6において説明したようにLOS環境において、良好なデータの受信品質を得ることができる点であり、特に、受信装置がML演算やML演算に基づくAPP(または、Max-log APP)を施した場合、その効果が大きい。ところで、ML演算は、変調方式の変調多値数に伴い、回路規模(演算規模)に大きな影響を与える。例えば、プリコーディング後の2つの信号を2つのアンテナから送信し、2つの変調信号(プリコーディング前の変調方式に基づく信号)がいずれも同一の変調方式を用いているものとする場合、変調方式がQPSKの場合、IQ平面における候補信号点(図11の受信信号点1101)の数は4×4=16個、16QAMの場合16×16=256個、64QAMの場合64×64=4096個、256QAMの場合256×256=65536個、1024QAMの場合1024×1024=1048576個となり、受信装置の演算規模をある程度の回路規模で抑えるためには、変調方
式がQPSK, 16QAM, 64QAMの場合は、受信装置において、ML演算(ML演算に基づく(Max-log)APP)を用い、256QAM, 1024QAMの場合は、MMSE, ZFのような線形演算を用いた検波を
用いることになる。(場合によっては、256QAMの場合、ML演算を用いても良い。)
このような受信装置を想定した場合、多重信号分離後のSNR(signal-to-noise power ratio)を考えた場合、受信装置でMMSE, ZFのような線形演算を用いている場合は、プリコーディング行列としてユニタリ行列が適しており、ML演算を用いている場合は、プリコーディング行列としてユニタリ行列・非ユニタリ行列のいずれをもちいてもよい。上述のいずれかの実施の形態の説明を考慮すると、プリコーディング後の2つの信号を2つのアンテナから送信し、2つの変調信号(プリコーディング前の変調方式に基づく信号)がいずれも同一の変調方式を用いているものとする場合、変調方式の変調多値数が64値以下(または、256値以下)のとき、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式を用いたと
きのプリコーディング行列として非ユニタリ行列を用い、64値より大きい(または256値
より大きい)場合、ユニタリ行列を用いると、通信システムがサポートしている全ての変調方式において、どの変調方式の場合においても、受信装置の回路規模を小さくしながら良好なデータの受信品質を得ることができるという効果を得ることができる可能性が高くなる。
また、変調方式の変調多値数が64値以下(または、256値以下)の場合においてもユニ
タリ行列を用いたほうがよい場合がある可能性がある。このようなことを考慮すると、変調方式の変調多値数が64値以下(または、256値以下)の複数の変調方式をサポートして
いる場合、サポートしている複数の64値以下の変調方式のいずれかの変調方式で規則的にプリコーディング行列を切り替える方式を用いたときのプリコーディング行列として非ユニタリ行列を用いる場合が存在することが重要となる。
上述では、一例として、プリコーディング後の2つの信号を2つのアンテナから送信する場合について説明したが、これに限ったものではなく、プリコーディング後のN個の信
号をN個のアンテナから送信し、N個の変調信号(プリコーディング前の変調方式に基づく信号)がいずれも同一の変調方式を用いているものとする場合、変調方式の変調多値数にβNという閾値を設け、変調方式の変調多値数がβN以下の複数の変調方式をサポートしている場合、サポートしているβN以下の複数の変調方式のいずれかの変調方式で規則的に
プリコーディング行列を切り替える方式を用いたときのプリコーディング行列として非ユニタリ行列を用いる場合が存在し、変調方式の変調多値数がβNより大きい変調方式の場
合、ユニタリ行列を用いると、通信システムがサポートしている全ての変調方式において、どの変調方式の場合においても、受信装置の回路規模を小さくしながら良好なデータの受信品質を得ることができるという効果を得ることができる可能性が高くなる。(変調方
式の変調多値数がβN以下のとき、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式を用
いたときのプリコーディング行列として非ユニタリ行列を常に用いてもよい。)
上述では、同時に送信するN個の変調信号の変調方式が、同一の変調方式を用いている
場合で説明したが、以下では、同時に送信するN個の変調信号において、2種類以上の変
調方式が存在する場合について説明する。
例として、プリコーディング後の2つの信号を2つのアンテナから送信する場合について説明する。2つの変調信号(プリコーディング前の変調方式に基づく信号)がいずれも同一の変調方式、または、異なる変調方式であるものとしたとき、変調多値数が2a1値の変調方式と変調多値数が2a2値の変調方式を用いているものとする。このとき、受信装置においてML演算(ML演算に基づく(Max-log)APP)を用いている場合、IQ平面における候補信号点(図11の受信信号点1101)の数は、2a1×2a2=2a1+a2の候補信号点が存在することになる。このとき、上記で述べたように、受信装置の回路規模を小さくしながら良好なデータの受信品質を得ることができるためには、2a1+a2に対し2βという閾値を設け、2a1+a2≦2βのとき、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式を用いたときのプリコーディング行列として非ユニタリ行列を用い、2a1+a2>2β場合、ユニタリ行列を用いるとよい。
また、2a1+a2≦2βの場合においてもユニタリ行列を用いたほうがよい場合がある可能性がある。このようなことを考慮すると、2a1+a2≦2βの複数の変調方式の組み合わせをサポートしている場合、サポートしている2a1+a2≦2βの複数の変調方式の組み合わせのいずれかの変調方式の組み合わせで規則的にプリコーディング行列を切り替える方式を用いたときのプリコーディング行列として非ユニタリ行列を用いる場合が存在することが重要となる。
上述では、一例として、プリコーディング後の2つの信号を2つのアンテナから送信する場合について説明したが、これに限ったものではない。例えば、N個の変調信号(プリ
コーディング前の変調方式に基づく信号)がいずれも同一の変調方式、または、異なる変調方式が存在する場合のとき、第iの変調信号の変調方式の変調多値数を2aiとする(i=1、2、・・・、N-1、N)。
このとき、受信装置においてML演算(ML演算に基づく(Max-log)APP)を用いている場合、IQ平面における候補信号点(図11の受信信号点1101)の数は、2a1×2a2×・・・×2ai×・・・×2aN=2a1+a2+・・・+ai+・・・+aNの候補信号点が存在することになる。このとき、上記で述べたように、受信装置の回路規模を小さくしながら良好なデータの受信品質を得ることができるためには、2a1+a2+・・・+ai+・・・+aNに対し2βという閾値を設け、
<条件#44>を満たす複数の変調方式の組み合わせをサポートしている場合、サポートしている<条件#44>を満たす複数の変調方式の組み合わせのいずれかの変調方式の組み合わせで規則的にプリコーディング行列を切り替える方式を用いたときのプリコーディング行列として非ユニタリ行列を用いる場合が存在し、
<条件#45>を満たすすべての変調方式の組み合わせの場合、ユニタリ行列を用いると、通信システムがサポートしている全ての変調方式において、どの変調方式の組み合わせの場合においても、受信装置の回路規模を小さくしながら良好なデータの受信品質を得ることができるという効果を得ることができる可能性が高くなる。(サポートしている<条件#44>を満たす複数の変調方式の組み合わせすべてにおいて、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式を用いたときのプリコーディング行列として非ユニタリ行列を用いてもよい。)
(実施の形態15)
本実施の形態では、OFDMのようなマルチキャリア伝送方式を用いた、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式のシステム例について説明する。
図47は、本実施の形態におけるOFDMのようなマルチキャリア伝送方式を用いた、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式のシステムにおいて、放送局(基地局)が送信する送信信号の、時間−周波数軸におけるフレーム構成の一例を示している。(時間$1から時間$Tまでのフレーム構成とする。)図47(A)は、実施の形態1等で説明したストリームs1の時間−周波数軸におけるフレーム構成、図47(B)は、実施の形態1等で説明したストリームs2の時間−周波数軸におけるフレーム構成を示している。ストリームs1とストリームs2の同一時間、同一(サブ)キャリアのシンボルは、複数のアンテナを用いて、同一時間、同一周波数で送信されることになる。
図47(A)(B)では、OFDMを用いたときに使用される(サブ)キャリアは、(サブ)キャリアa〜(サブ)キャリアa+Naで構成されたキャリア群#A、(サブ)キャリアb〜(サブ)キャリアb+Nbで構成されたキャリア群#B、(サブ)キャリアc〜(サブ)キャリアc+Ncで構成されたキャリア群#C、(サブ)キャリアd〜(サブ)キャリアd+Ndで構成されたキャリア群#D、・・・で分割するものとする。そして、各サブキャリア群では、複数の送信方法をサポートするものとする。ここで、複数の送信方法をサポートすることで、各送信方法がもつ利点を効果的に活用することが可能となる。例えば、図47(A)(B)では、キャリア群#Aは、空間多重MIMO伝送方式、または、プリコーディング行列が固定のMIMO伝送方式を用いるものとし、キャリア群#Bは規則的にプリコーディング行列を切り替えるMIMO伝送方式を用いるものとし、キャリア群#Cはストリームs1のみ送信し、キャリア群#Dは時空間ブロック符号を用いて送信するものとする。
図48は、本実施の形態におけるOFDMのようなマルチキャリア伝送方式を用いた、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式のシステムにおいて、放送局(基地局)が送信する送信信号の、時間−周波数軸におけるフレーム構成の一例を示しており、図47とは異なる時間の時間$Xから時間$X+T’までのフレーム構成を示している。図48は、図47と同様に、OFDMを用いたときに使用される(サブ)キャリアは、(サブ)キャリアa〜(サブ)キャリアa+Naで構成されたキャリア群#A、(サブ)キャリアb〜(サブ)キャリアb+Nbで構成されたキャリア群#B、(サブ)キャリアc〜(サブ)キャリアc+Ncで構成されたキャリア群#C、(サブ)キャリアd〜(サブ)キャリアd+Ndで構成されたキャリア群#D、・・・で分割するものとする。そして、図48が図47と異なる点は、図47で用いられている通信方式と図48で用いられている通信方式が異なるキャリア群が存在することである。図48では、(A)(B)では、キャリア群#Aは、時空間ブロック符号を用いて送信するものとし、キャリア群#Bは規則的にプリコーディング行列を切り替えるMIMO伝送方式を用いるものとし、キャリア群#Cは規則的にプリコーディング行列を切り替えるMIMO伝送方式を用いるものとし、キャリア群#Dはストリームs1のみ送信するものとする。
次に、サポートする送信方法について説明する。
図49は、空間多重MIMO伝送方式、または、プリコーディング行列が固定のMIMO伝送方式を用いたときの信号処理方法を示しており、図6と同様の番号を付している。ある変調方式にしたがったベースバンド信号である、重み付け合成部600は、ストリームs1(t)(307A)およびストリームs2(t)(307B)、および、重み付け方法に関する情報315を入力とし、重み付け後の変調信号z1(t)(309A)および重み付け後の変調信号z2(t)(309B)を出力する。ここで、重み付け方法に関する情報315が、空間多重MIMO伝送方式を示していた場合、図49の方式#1の信号処理が行われる。つまり、以下の処理が行われる。
ただし、1つの変調信号を送信する方式をサポートしている場合、送信電力の点から、式(250)は、式(251)のようにあらわされることもある。
そして、重み付け方法に関する情報315が、プリコーディング行列が固定のMIMO伝送方式を示している場合、例えば、図49の方式#2の信号処理が行われる。つまり、以下の処理が行われる。
ここで、θ11、θ12、λ、δは固定値となる。
図50は、時空間ブロック符号を用いたときの変調信号の構成を示している。図50の時空間ブロック符号化部(5002)は、ある変調信号に基づくベースバンド信号が入力とする。例えば、時空間ブロック符号化部(5002)は、シンボルs1、シンボルs2、・・・を入力とする。すると、図50のように、時空間ブロック符号化が行われ、z1(5003A)は、「シンボル#0としてs1」「シンボル#1として−s2*」「シンボル#2としてs3」「シンボル#3として−s4*」・・・となり、z2(5003B)は、「シンボル#0としてs2」「シンボル#1としてs1*」「シンボル#2としてs4」「シンボル#3としてs3*」・・・となる。このとき、z1におけるシンボル#X、z2におけるシンボル#Xは同一時間に同一周波数によりアンテナから送信されることになる。
図47、図48では、データを伝送するシンボルのみを記載しているが、実際には、伝送方式、変調方式、誤り訂正方式等の情報を伝送する必要がある。例えば、図51のように、1つの変調信号z1のみでこれらの情報を定期的に伝送すれば、これらの情報を通信相手に伝送することができる。また、伝送路の変動、つまり、受信装置がチャネル変動を推定するためのシンボル(例えば、パイロットシンボル、リファレンスシンボル、プリアンブル、送受信で既知の(PSK:Phase Shift Keying)シンボル)を伝送する必要がある。図47、図48では、これらのシンボルを省略して記述しているが、実際は、チャネル変動を推定するためのシンボルが時間―周波数軸のフレーム構成において、含まれることになる。したがって、各キャリア群は、データを伝送するためのシンボルのみだけで構成されているわけではない。(この点については、実施の形態1においても同様である。)
図52は、本実施の形態における放送局(基地局)の送信装置の構成の一例を示している。送信方法決定部(5205)は、各キャリア群のキャリア数、変調方式、誤り訂正方式、誤り訂正符号の符号化率、送信方法等の決定を行い、制御信号(5205)として出力する。
変調信号生成部#1(5201_1)は、情報(5200_1)および制御信号(5205)を入力とし、制御信号(5205)の通信方式の情報に基づき、図47、図48のキャリア群#Aの変調信号z1(5202_1)および変調信号z2(5203_1)を出力する。
同様に、変調信号生成部#2(5201_2)は、情報(5200_2)および制御信号(5205)を入力とし、制御信号(5205)の通信方式の情報に基づき、図47、図48のキャリア群#Bの変調信号z1(5202_2)および変調信号z2(5203
_2)を出力する。
同様に、変調信号生成部#3(5201_3)は、情報(5200_3)および制御信号(5205)を入力とし、制御信号(5205)の通信方式の情報に基づき、図47、図48のキャリア群#Cの変調信号z1(5202_3)および変調信号z2(5203_3)を出力する。
同様に、変調信号生成部#4(5201_4)は、情報(5200_4)および制御信号(5205)を入力とし、制御信号(5205)の通信方式の情報に基づき、図47、図48のキャリア群#Dの変調信号z1(5202_4)および変調信号z2(5203_4)を出力する。
・
・
・
同様に、変調信号生成部#M(5201_M)は、情報(5200_M)および制御信号(5205)を入力とし、制御信号(5205)の通信方式の情報に基づき、あるキャリア群の変調信号z1(5202_M)および変調信号z2(5203_M)を出力する。
OFDM方式関連処理部(5207_1)は、キャリア群#Aの変調信号z1(5202_1)、キャリア群#Bの変調信号z1(5202_2)、キャリア群#Cの変調信号z1(5202_3)、キャリア群#Dの変調信号z1(5202_4)、・・・、あるキャリア群の変調信号z1(5202_M)、および、制御信号(5206)を入力とし、並び換え、逆フーリエ変換、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号(5208_1)を出力し、送信信号(5208_1)は、アンテナ(5209_1)から電波として出力される。
同様に、OFDM方式関連処理部(5207_2)は、キャリア群#Aの変調信号z1(5203_1)、キャリア群#Bの変調信号z2(5203_2)、キャリア群#Cの変調信号z2(5203_3)、キャリア群#Dの変調信号z2(5203_4)、・・・、あるキャリア群の変調信号z2(5203_M)、および、制御信号(5206)を入力とし、並び換え、逆フーリエ変換、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号(5208_2)を出力し、送信信号(5208_2)は、アンテナ(5209_2)から電波として出力される。
図53は、図52の変調信号生成部#1〜#Mの構成の一例を示している。誤り訂正符号化部(5302)は、情報(5300)および、制御信号(5301)を入力とし、制御信号(5301)にしたがって、誤り訂正符号化方式、誤り訂正符号化の符号化率を設定し、誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化後のデータ(5303)を出力する。(誤り訂正符号化方式、誤り訂正符号化の符号化率の設定により、例えば、LDPC符号、ターボ符号、畳み込み符号等を用いたとき、符号化率によっては、パンクチャを行い、符号化率を実現する場合がある。)
インタリーブ部(5304)は、誤り訂正符号化後のデータ(5303)、制御信号(5301)を入力とし、制御信号(5301)に含まれるインタリーブ方法の情報に従い、誤り訂正符号化後のデータ(5303)の並び換えを行い、インタリーブ後のデータ(5305)を出力する。
マッピング部(5306_1)は、インタリーブ後のデータ(5305)および制御信号(5301)を入力とし、制御信号(5301)に含まれる変調方式の情報に従い、マ
ッピング処理を行い、ベースバンド信号(5307_1)を出力する。
同様に、マッピング部(5306_2)は、インタリーブ後のデータ(5305)および制御信号(5301)を入力とし、制御信号(5301)に含まれる変調方式の情報に従い、マッピング処理を行い、ベースバンド信号(5307_2)を出力する。
信号処理部(5308)は、ベースバンド信号(5307_1)、ベースバンド信号(5307_2)および制御信号(5301)を入力とし、制御信号(5301)に含まれる伝送方法(ここでは、例えば、空間多重MIMO伝送方式、固定的なプリコーディング行列を用いるMIMO方式、規則的にプリコーディング行列を切り替えるMIMO方式、時空間ブロック符号化、ストリームs1のみ送信する伝送方式)の情報に基づき、信号処理を行い、信号処理後の信号z1(5309_1)および信号処理後のz2(5309_2)を出力する。なお、ストリームs1のみを送信する伝送方式が選択された場合、信号処理部(5308)は、信号処理後のz2(5309_2)を出力しないこともある。また、図53では、誤り訂正符号化部が一つの場合の構成を示したがこれに限ったものではなく、例えば、図3に示すように、複数の符号化器を具備していてもよい。
図54は、図52におけるOFDM方式関連処理部(5207_1、および、5207_2)の構成の一例を示しており、図14と同様に動作するものについては同一符号を付している。並び替え部(5402A)は、キャリア群#Aの変調信号z1(5400_1)、キャリア群#Bの変調信号z1(5400_2)、キャリア群#Cの変調信号z1(5400_3)、キャリア群#Dの変調信号z1(5400_4)、・・・、あるキャリア群の変調信号z1(5400_M)、および、制御信号(5403)を入力とし、並び替えを行い、並び替え後の信号1405Aおよび1405Bを出力する。なお、図47、図48、図51では、キャリア群の割り当てを、集合したサブキャリアで構成する例で説明しているが、これに限ったものではなく、時間ごとに離散的なサブキャリアによりキャリア群を構成してもよい。また、図47、図48、図51では、キャリア群のキャリア数は、時間において変更しない例で説明しているが、これに限ったものではない。この点については、別途、後で、説明する。
図55は、図47、図48、図51のようにキャリア群ごとに伝送方式を設定する方式の時間−周波数軸におけるフレーム構成の詳細の例を示している。図55において、制御情報シンボルを5500、個別制御情報シンボルを5501、データシンボルを5502、パイロットシンボルを5503で示す。また、図55(A)はストリームs1の時間―周波数軸におけるフレーム構成を示しており、図55(B)はストリームs2の時間―周波数軸におけるフレーム構成を示している。
制御情報シンボルは、キャリア群共通の制御情報を伝送するためのシンボルであり、送受信機が周波数、時間同期を行うためのシンボル、(サブ)キャリアの割り当てに関する情報等で構成されている。そして、制御制御シンボルは、時刻$1において、ストリームs1のみから送信されるものとする。
個別制御情報シンボルは、サブキャリア群個別の制御情報を伝送するためのシンボルであり、データシンボルの、伝送方式・変調方式・誤り訂正符号化方式・誤り訂正符号化の符号化率・誤り訂正符号のブロックサイズ等の情報、パイロットシンボルの挿入方法の情報、パイロットシンボルの送信パワーの情報等で構成されている。個別制御情報シンボルは、時刻$1において、ストリームs1のみから送信されるものとする。
データシンボルは、データ(情報)を伝送するためのシンボルであり、図47〜図50を用いて説明したように、例えば、空間多重MIMO伝送方式、固定的なプリコーディン
グ行列を用いるMIMO方式、規則的にプリコーディング行列を切り替えるMIMO方式、時空間ブロック符号化、ストリームs1のみ送信する伝送方式のいずれかの伝送方式のシンボルである。なお、キャリア群#A、キャリア群#B、キャリア群#C、キャリア群#Dにおいて、ストリームs2にデータシンボルが存在するように記載しているが、ストリームs1のみ送信する伝送方式を用いている場合は、ストリームs2にデータシンボルが存在しない場合もある。
パイロットシンボルは、受信装置が、チャネル推定、つまり、式(36)のh11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)に相当する変動を推定するためのシンボルである。(ここでは、OFDM方式のようなマルチキャリア伝送方式を用いているため、サブキャリアごとにh11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)に相当する変動を推定するためのシンボルということになる。)したがって、パイロットシンボルは、例えば、PSK伝送方式を用いており、送受信機で既知のパターンとなるように構成することになる。また、パイロットシンボルを、受信装置は、周波数オフセットの推定、位相ひずみ推定、時間同期に用いてもよい。
図56は、図52の送信装置が送信した変調信号を受信するための受信装置の構成の一例を示しており、図7と同様に動作するものについては同一符号を付している。
図56において、OFDM方式関連処理部(5600_X)は、受信信号702_Xを入力とし、所定の処理を行い、信号処理後の信号704_Xを出力する。同様に、OFDM方式関連処理部(5600_Y)は、受信信号702_Yを入力とし、所定の処理を行い、信号処理後の信号704_Yを出力する。
図56の制御情報復号部709は、信号処理後の信号704_Xおよび信号処理後の信号704_Yを入力とし、図55における制御情報シンボルおよび個別制御情報シンボルを抽出し、これらのシンボルで伝送した制御情報を得、この情報を含む制御信号710を出力する。
変調信号z1のチャネル変動推定部705_1は、信号処理後の信号704_X、および、制御信号710を入力とし、この受信装置が必要とするキャリア群(所望のキャリア群)におけるチャネル推定を行い、チャネル推定信号706_1を出力する。
同様に、変調信号z2のチャネル変動推定部705_2は、信号処理後の信号704_X、および、制御信号710を入力とし、この受信装置が必要とするキャリア群(所望のキャリア群)におけるチャネル推定を行い、チャネル推定信号706_2を出力する。
同様に、変調信号z1のチャネル変動推定部705_1は、信号処理後の信号704_Y、および、制御信号710を入力とし、この受信装置が必要とするキャリア群(所望のキャリア群)におけるチャネル推定を行い、チャネル推定信号708_1を出力する。
同様に、変調信号z2のチャネル変動推定部705_2は、信号処理後の信号704_Y、および、制御信号710を入力とし、この受信装置が必要とするキャリア群(所望のキャリア群)におけるチャネル推定を行い、チャネル推定信号708_2を出力する。
そして、信号処理部711は、信号706_1、706_2、708_1、708_2、704_X、704_Y、および制御信号710を入力とし、制御信号710に含まれている、所望のキャリア群で伝送したデータシンボルにおける、伝送方式・変調方式・誤り訂正符号化方式・誤り訂正符号化の符号化率・誤り訂正符号のブロックサイズ等の情報に基づき、復調、復号の処理を行い、受信データ712を出力する。
図57は、図56におけるOFDM方式関連処理部(5600_X、5600_Y)の構成を示しており、周波数変換部(5701)は、受信信号(5700)を入力とし、周波数変換を行い、周波数変換後の信号(5702)を出力する。
フーリエ変換部(5703)は、周波数変換後の信号(5702)を入力とし、フーリエ変換を行い、フーリエ変換後の信号(5704)を出力する。
以上のように、OFDM方式のようなマルチキャリア伝送方式を用いているとき、複数のキャリア群に分割し、キャリア群ごとに伝送方式を設定することで、キャリア群ごとに受信品質、かつ、伝送速度を設定することができるため、柔軟なシステムを構築できるという効果を得ることができる。このとき、他の実施の形態で述べたような、規則的にプリコーディング行列を切り替える方法を選択できるようにすることで、LOS環境に対し、高い受信品質を得ることができるとともに、高い伝送速度を得ることができる、という利点を得ることができる。なお、本実施の形態では、キャリア群が設定可能な伝送方式として、「空間多重MIMO伝送方式、固定的なプリコーディング行列を用いるMIMO方式、規則的にプリコーディング行列を切り替えるMIMO方式、時空間ブロック符号化、ストリームs1のみ送信する伝送方式」をあげたがこれに限ったものではなく、このとき、時空間符号として、図50の方式を説明したがこれに限ったものではなく、また、固定的なプリコーディング行列を用いるMIMO方式は、図49の方式#2に限ったものではなく、固定的なプリコーディング行列で構成されていればよい。また、本実施の形態では、送信装置のアンテナ数を2の場合で説明したがこれに限ったものではなく、2より大きい場合においても、キャリア群ごとに「空間多重MIMO伝送方式、固定的なプリコーディング行列を用いるMIMO方式、規則的にプリコーディング行列を切り替えるMIMO方式、時空間ブロック符号化、ストリームs1のみ送信する伝送方式」のいずれか伝送方式を選択できるようにすれば、同様の効果を得ることができる。
図58は、図47、図48、図51とは異なるキャリア群の割り当て方法を示している。図47、図48、図51、図55では、キャリア群の割り当てを、集合したサブキャリアで構成する例で説明しているが、図58では、キャリア群のキャリアを離散的に配置していることが特徴となっている。図58は、図47、図48、図51、図55とは異なる、時間−周波数軸におけるフレーム構成の一例を示しており、図58では、キャリア1からキャリアH、時間$1から時間$Kのフレーム構成を示しており、図55と同様のものについては同一符号を付している。図58のデータシンボルにおいて、「A」と記載されているシンボルはキャリア群Aのシンボルであること、「B」と記載されているシンボルはキャリア群Bのシンボルであること、「C」と記載されているシンボルはキャリア群Cのシンボルであること、「D」と記載されているシンボルはキャリア群Dのシンボルであること、を示している。このようにキャリア群は、(サブ)キャリア方向において、離散的に配置しても同様に実施することができ、また、時間軸方向において、常に同一のキャリアを使用する必要はない。このような配置を行うことで、時間、周波数ダイバーシチゲインを得ることができるという効果を得ることができる。
図47、図48、図51、図58において、制御情報シンボル、固有制御情報シンボルをキャリア群ごとに同一の時間に配置しているが、異なる時間に配置してもよい。また、キャリア群が使用する(サブ)キャリア数は、時間とともに変更してもよい。
(実施の形態16)
本実施の形態では、実施の形態10と同様、ユニタリ行列を用いたプリコーディング行列を規則的に切り替える方法について、Nを奇数とする場合について述べる。
周期2Nの規則的にプリコーディング行列を切り替える方法において、周期2Nのために用意するプリコーディング行列を次式であらわす。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。
α>0であるものとし、(iによらず)固定値であるものとする。(式(253)のαと式(254)のαは同一の値であるものとする。)
このとき、実施の形態3の(数106)の条件5、および、(数107)の条件6から、式(253)に対し、以下の条件が、良好なデータの受信品質を得るためには重要となる。
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
(xは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、yは0,1,2,・・・,N-2,N-1であり、x≠yである。)
そして、以下の条件を付加することを考える。
次に、実施の形態6で説明したように、受信劣悪点を複素平面上において、位相に対し、一様分布となるように配置するために、<条件#49>または<条件#50>を与える。
つまり、<条件49>では、位相の差が2π/Nラジアンであることを意味している。また、<条件50>では、位相の差が−2π/Nラジアンであることを意味している。
そして、θ11(0)―θ21(0)=0ラジアンとし、かつ、α>1としたとき、N=3のときのs1の受信劣悪点とs2の受信劣悪点の複素平面上での配置を図60(a)(b)
に示す。図60(a)(b)からわかるように、複素平面において、s1の受信劣悪点の最小距離は大きく保てており、また、同様に、s2の受信劣悪点の最小距離も大きく保てている。そして、α<1のときにも同様な状態となる。また、実施の形態10の図45と比較すると、実施の形態9と同様に考えると、Nが奇数のときのほうが、Nが偶数のときと比較し、複素平面において、受信劣悪点間の距離が大きくなる可能性が高い。ただし、Nが小
さい値、例えば、N≦16以下の場合、複素平面における受信劣悪点の最小距離は、受信劣
悪点の存在する個数が少ないため、ある程度の長さを確保することができる。したがって、N≦16の場合は、偶数であっても、データの受信品質を確保することができる場合が存
在する可能性がある。
したがって、式(253)、(254)に基づく規則的にプリコーディング行列を切り替える方式において、Nは奇数にすると、データの受信品質を向上させることができる可
能性が高い。なお、式(253)、(254)に基づきF[0]〜F[2N-1]のプリコーディン
グ行列が生成されたことになる(F[0]〜F[2N-1]のプリコーディング行列は、周期2Nに対
しどのような順番にならべて使用してもよい。)。そして、例えば、シンボル番号2NiのときF[0]を用いてプリコーディングを行い、シンボル番号2Ni+1のときF[1]を用いてプリコーディングを行い、・・・、シンボル番号2N×i+hのときF[h]を用いてプリコー
ディングを行う(h=0、1、2、・・・、2N-2、2N-1)ことになる。(ここでは、以前の実施の形態で述べたように、必ずしも規則的にプリコーディング行列を切り替えなくてもよい。)また、s1、s2の変調方式が、ともに16QAMのとき、αを式(233)とすると、IQ平面における16×16=256個の信号点間の最小距離をある特定のLOS環境において大きくできるという効果を得ることができる可能性がある。
また、<条件#48>と異なる条件として、以下の条件を考える。
(xはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、yはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、x≠yである。)
(xはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、yはN,N+1,N+2,・・・,2N-2,2N-1であり、x≠yである。)
このとき、<条件#46>かつ<条件#47>かつ<条件#51>かつ<条件#52>を満たすことで、複素平面におけるs1同士の受信劣悪点の距離を大きく、かつ、s2同士の受信劣悪点の距離を大きくすることができるため、良好なデータの受信品質を得ることができる。
本実施の形態では、時間周期2Nのプリコーディングホッピング方法のための2N個の異なるプリコーディング行列の構成方法について説明した。このとき、2N個の異なるプリコーディング行列として、F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]を用意することになるが、本実施の形態は、シングルキャリア伝送方式のときを例に説明しているため時間軸(または、周波数軸)方向にF[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]の順に並べる
場合について説明したが、必ずしもこれに限ったものではなく、本実施の形態で生成した2N個の異なるプリコーディング行列F[0]、F[1]、F[2]、・・・、F[2N-2]、F[2N-1]をOFDM伝送方式等のマルチキャリア伝送方式に適用することもできる。この場合の適用方法については、実施の形態1と同様に、周波数軸、周波数―時間軸に対し、シンボルを配置することで、プリコーディングウェイトを変更することができる。なお、時間周期2Nのプリコーディングホッピング方法として説明しているが、2N個の異なるプリコーディング行列をランダムに用いるようにしても同様の効果を得ることができる、つまり、必ずしも、規則的な周期を持つように2N個の異なるプリコーディング行列を用いる必要はない。
また、周期H(Hは上記規則的にプリコーディング行列を切り替える方式の周期2Nはより大きな自然数とする)のプリコーディング行列切り替え方法において、本実施の形態における2N個の異なるプリコーディング行列が含まれていると良好な受信品質を与える可能性が高くなる。
(実施の形態17)
本実施の形態17においては、規則的にプリコーディング行列を切り替えるMIMO伝送方式における高い受信品質が得られるプリコーディングされたシンボル配置について説明する。
図61は、規則的にプリコーディング行列を切り替える送信方式において、OFDM方式のようなマルチキャリア方式を用いたときの、時間−周波数軸における信号の一部のシンボルのフレーム構成の一例を示している。図61(a)は、変調信号z1の、図61(b)は、変調信号z2のフレーム構成を示しており、両図において一つの四角が1つのシンボルを示している。
図61(a)及び図61(b)に示す、変調信号z1と変調信号z2とにおいて、同一のキャリア番号に配されているシンボルはともに、同一時間に同一周波数を用いて、送信装置の複数のアンテナから送信されることとなる。
ここで、図61(a)のキャリアf2、時刻t2のシンボル610aについて着目する。なお、ここではキャリアと記載しているが、サブキャリアと呼称することもある。
キャリアf2において、時刻t2に時間的に最も隣接するシンボル、つまりキャリアf2の時刻t1のシンボル613aと時刻t3のシンボル611のそれぞれのチャネル状態は、キャリアf2、時刻t2のシンボル610aのチャネル状態と、非常に相関が高い。
同様に時刻t2において、周波数軸方向でキャリアf2に最も隣接している周波数のシンボル、即ち、キャリアf1、時刻t2のシンボル612aと時刻t2、キャリアf3のシンボル614aとのチャネル状態は、ともに、キャリアf2、時刻t2のシンボル610aのチャネル状態と、非常に相関が高い。
上述したように、シンボル611a、612a、613a、614aのそれぞれのチャネル状態は、シンボル610aのチャネル状態との相関が非常に高い。
なお、変調信号z2のシンボル610b〜614bについても、同様の相関性があるのは勿論である。
本明細書において、規則的にプリコーディング行列を切り替える送信方法において、プリコーディング行列として、N種類の行列(但し、Nは5以上の整数)を用意しているものとする。図1に示したシンボルには、例えば、「#1」という記号を付しているが、これは、このシンボルがプリコーディング行列#1を用いてプリコーディングされたシンボルであることを意味する。つまり、プリコーディング行列として、プリコーディング行列#1〜#Nが用意されていることとなる。したがって、「#N」という記号が付されてい
るシンボルは、プリコーディング行列#Nを用いてプリコーディングを行ったシンボルであることを意味している。
本実施の形態においては、この周波数軸方向で隣接しあうシンボル及び時間軸方向で隣接しあうシンボルのチャネル状態の相関性が高いことを利用して受信装置側において、高い受信品質が得られるプリコーディングされたシンボルのシンボル配置を開示する。
この受信側で高い受信品質が得られる条件(条件#53と呼ぶ)は以下のとおりである。
<条件#53>
規則的にプリコーディング行列を切り替える送信方法において、OFDMのようなマルチキャリア伝送方式を用いている場合、時間X・キャリアYがデータ伝送用のシンボル(以下、データシンボルと呼称する)であり、時間軸方向で隣接するシンボル、即ち、時間X−1・キャリアYおよび時間X+1・キャリアYがいずれもデータシンボルであり、かつ、周波数軸方向で隣接するシンボル、即ち、時間X・キャリアY−1および時間X・キャリアY+1がいずれもデータシンボルである場合、これらの5つのデータシンボルは、いずれも異なるプリコーディング行列によりプリコーディングを行う。
当該<条件#53>が導出される理由は以下の通りである。送信信号においてあるシンボル(以降、シンボルAと呼称する)があり、当該シンボルAに時間的に隣接したシンボル及びシンボルAに周波数的に隣接したシンボルそれぞれのチャネル状態は、上述したとおり、シンボルAのチャネル状態との相関が高い。
これらの5つのシンボルで、異なるプリコーディング行列を用いていると、LOS環境において、シンボルAが劣悪な受信品質(SNRとしては高い受信品質を得ているものの、直接波の位相関係が劣悪な状況であるため受信品質が悪い状態)であっても、残りのシンボルAに隣接する4シンボルでは、良好な受信品質を得ることができる可能性が非常に高く、その結果、誤り訂正復号後は良好な受信品質を得ることができる。
一方で、シンボルAに時間的に隣接したシンボルあるいは周波数的に隣接したシンボルに、シンボルAと同一のプリコーディング行列を用いていると、その同じプリコーディング行列を用いた隣接するシンボルは、シンボルAと同様に受信品質が劣悪となる可能性が非常に高く、その結果、誤り訂正復号後、データの受信品質が劣化する。
その高い受信品質が得られるシンボル配置例を示しているのが図61であり、受信品質が劣化するシンボル配置例を示しているのが図62である。
図61(a)を見れば分かるように、シンボルAに該当するシンボル610aに用いられているプリコーディング行列と、そのシンボル610aに時間的に隣接するシンボル611a、613aに用いられているプリコーディング行列と、周波数的に隣接するシンボル612a、614aに用いられているプリコーディング行列が互いに異なるように配されており、これによって、受信側においてシンボル610aの受信品質が劣悪であろうとも、その隣接するシンボルの受信品質は非常に高くなるため、誤り訂正復号後の高い受信品質を確保できる。なお、同様のことが図61(b)に示した変調信号z2にも言える。
その一方で図62(a)を見れば分かるように、シンボルAに該当するシンボル620aに用いられているプリコーディング行列と、その周波数的に隣接するシンボル300に用いられているプリコーディング行列とは、同一のプリコーディング行列となっている。このとき、受信側でシンボル620aの受信品質が劣悪であった場合、同じプリコーディング行列を用いたシンボル624aの受信品質もまた劣悪になっている可能性が高く、こ
の場合、誤り訂正復号後において受信品質が劣化する。なお、同様のことが図62(b)に示した変調信号z2にも言える。
したがって、受信装置が、良好なデータが受信品質を得るためには、<条件#53>を満たすようなシンボルが存在することが重要となる。そして、データの受信品質を向上させるためには、<条件#53>を満たすようなデータシンボルが多い方がよいということになる。
ここから、上記<条件#53>を満たすシンボルへのプリコーディング行列の割り当て方法について説明する。
上述の考察から、上記図61に示したシンボル配置を全てのデータシンボルが満たすようなシンボル配置を実現する方法を以下に示す。一つの重要な条件(構成方法)は、以下の<条件#54>がある。
<条件#54>
必要となるプリコーディング行列は5以上である。図1に示したように十字に配されるシンボル5つ分のシンボルに乗じられるプリコーディング行列が最低限必要となる。つまり、<条件#53>を満たすための異なるプリコーディング行列の個数Nは、5以上であることが必要条件となる。言い換えればプリコーディング行列の周期は5以上必要であるともいえる。
当該条件を満たしている場合に、以下の手法に基づいてプリコーディング行列を割り当てて各シンボルのプリコーディングを実行すれば、上記<条件#53>を満たしたシンボル配置が可能となる。
まず、使用する周波数帯において、最も小さいキャリア番号の、最も小さい時間(送信すべきタイミングが最も早い時間)に、N個のプリコーディング行列のうちの、あるプリコーディング行列を割り当てる。一例として、図63では、キャリアf1、時間t1では、プリコーディング行列#1を割り当てる。そして、周波数軸方向に対し、プリコーディングに使用するプリコーディング行列のインデックスを一つずつ変更していく(インクリメント(増加)する)。なお、ここでいうインデックスは、異なるプリコーディング行列を互いに識別するために用いられるものである。但し、規則的にプリコーディング行列を切り替える方法では、周期をもつことになるので、周期的、かつ、使用するプリコーディング行列を並べるものとする。つまり、図63の時間t1に着目した場合、キャリアf1ではインデックス#1のプリコーディング行列を使用するので、キャリアf2ではインデックス#2のプリコーディング行列を、キャリアf3ではインデックス#3のプリコーディング行列を、キャリアf4ではインデックス#4のプリコーディング行列を、キャリアf5ではインデックス#5のプリコーディング行列を、キャリアf6ではインデックス#1のプリコーディング行列を、キャリアf7ではインデックス#2のプリコーディング行列を、キャリアf8ではインデックス#3のプリコーディング行列を、キャリアf9ではインデックス#4のプリコーディング行列を、キャリアf10ではインデックス#5のプリコーディング行列を、キャリアf11ではインデックス#1のプリコーディング行列を、・・・、のプリコーディング行列を使用するものとする。
次に、最も小さいキャリア番号を基準に考えた場合、最も小さいキャリア番号に割り当てるプリコーディング行列のインデックス(つまり、#X)を、時間軸方向で所定数(以下、当該所定数をScと記載する)以上シフトさせる。シフトは言い換えれば、インデックスをSc増加させることと同義である。そして、最も小さい時間以外の時間では、最も小さい時間と同様の規則で周波数軸方向に対し、プリコーディングに使用するプリコーディング行列のインデックスを変更していく(インクリメントする)。なお、ここで、シフ
トさせるとは、用意されているプリコーディング行列に1〜Nまで番号を割り振った場合に、そのシフトさせる数だけ、時間軸方向において1つ前の時間に割り当てたプリコーディング行列の番号に加算した番号のプリコーディング行列を割り当てることを意味する。
例えば、図63では、時間t2に着目した場合、キャリアf1ではインデックス#4のプリコーディング行列を、キャリアf2ではインデックス#5のプリコーディング行列を、キャリアf3ではインデックス#1のプリコーディング行列を、キャリアf4ではインデックス#2のプリコーディング行列を、キャリアf5ではインデックス#3のプリコーディング行列を、キャリアf6ではインデックス#4のプリコーディング行列を、キャリアf7ではインデックス#5のプリコーディング行列を、キャリアf8ではインデックス#1のプリコーディング行列を、キャリアf9ではインデックス#2のプリコーディング行列を、キャリアf10ではインデックス#3のプリコーディング行列を、キャリアf11ではインデックス#4のプリコーディング行列を、・・・、というようにプリコーディング行列を割り当てていく。したがって、時間t1と時間t2の同一キャリアでは、異なるプリコーディング行列を用いることになる。
ここで、上記<条件#53>を満たすべく時間軸方向にプリコーディング行列をScだけシフトさせる当該Scの<条件#55>は以下の通りである。
<条件#55>
Scは2以上かつ、N−2以下である。
即ち、プリコーディング行列#1をキャリアf1、時間t1のシンボルに割り当てた場合に、時間軸方向では、Scの数だけ、シフトさせたプリコーディング行列を割り当てていく。つまり、キャリアf1、時間t2のシンボルには、1+Scで示される番号のプリコーディング行列を、キャリアf1、時間t3のシンボルには、1+Sc+Scで示される番号のプリコーディング行列を、・・・、キャリアf1、時間tnのシンボルには、時間tn−1のシンボルに割り当てたプリコーディング行列の番号+Sc、・・・と割り当てていく。なお、加算して得られる値が、用意されている異なるプリコーディング行列の数Nを超えた場合には、加算して得た値からNだけ減算した値のプリコーディング行列を用いる。具体的に言えば、Nを5、Scを2とし、最も小さいキャリアf1、時間t1にプリコーディング行列#1を割り当てた場合、キャリアf1、時間t2にプリコーディング行列#3(1+2(Sc))を、キャリアf1、時間t3にプリコーディング行列#5(3+2(Sc))を、キャリアf1、時間t4にプリコーディング行列#2(5+2(Sc)−5(N))を、・・・というように割り当てていく。
そして、最も小さいキャリア番号の各時間txに割り当てるプリコーディング行列が定まると、後は周波数軸方向に、最も小さいキャリア番号の各時間に割り当てられたプリコーディング行列を1ずつインクリメントさせていったプリコーディング行列を割り当てていく。例えば、図63では、キャリアf1、時間t1のシンボルに用いたプリコーディング行列がプリコーディング行列#1であるとした場合に、キャリアf2、時間t1のシンボルに用いたプリコーディング行列はプリコーディング行列#2、キャリアf3、時間t1のシンボルに用いたプリコーディング行列はプリコーディング行列#3、・・・となるようにシンボルに乗じるプリコーディング行列を割り当てる。なお、周波数軸方向でもプリコーディング行列の割り当てる番号はNに達すると1に戻る、即ちループすることとする。
このようにして、プリコーディング行列を割り当ててプリコーディングを実行したデータシンボルのシンボル配置例を図63に示す。図63(a)に示す変調信号z1、図3(b)に示す変調信号z2においては、用意しているプリコーディング行列の個数を5、上
述のScとして加算していく値を3とした場合のシンボル配置例を示している。
図63を見れば分かるように、上述の手法に従って、プリコーディング行列の番号をシフトさせていったプリコーディング行列を用いてプリコーディングを実行したプリコーディング済みのデータシンボルが配されている。図63を見れば分かるように、いずれの位置のデータシンボルに着目した場合でも、当該着目したデータシンボルに用いられたプリコーディング行列と、その着目したデータシンボルの周波数軸方向、時間軸方向に隣接する全てのデータシンボルに用いられたプリコーディング行列は全て異なっており、上記<条件#53>を満たした配置になっていることがわかる。ただし、時間軸、周波数方向に隣接したデータシンボルが3つ以下となるデータシンボルAの場合、隣接するデータシン
ボルの個数をX個とした場合(Xは3以下)、X個の隣接したデータシンボルとデータシン
ボルAでは、異なるプリコーディング行列を用いることになる。例えば、図63のf1、
t1のデータシンボルは隣接したデータシンボルは2シンボルしかなく、f1、t2のデータシンボルは隣接したデータシンボルは3シンボルしかなく、f2、t1のデータシンボルは隣接したデータシンボルは3シンボルしかないが、これらのデータシンボルにおいてもそのデータシンボルと隣接したデータシンボルに割り当てられたプリコーディング行列は異なるものとなっている。
また、図63(a)のシンボル631aに用いられたプリコーディング行列とシンボル630aに用いられたプリコーディング行列とのインデックスの差分は、4−1=3、データシンボル632aに用いられたプリコーディング行列とデータシンボル631aに用いられたプリコーディング行列との差分は、2+5−4=3でScとして3を加算した値の番号のプリコーディング行列が用いられていることがわかり、当該Scは、2≦Sc≦3(5(N)−2)となっており、<条件#55>を満たしている。
また、図64には、プリコーディング行列の個数を5、上述のScとして加算していく値を2とした場合のシンボル配置例を示している。
送信装置において、このシンボル配置を実現する手法としては、例えば、データシンボルに対してプリコーディングを実行するにあたり、最も小さいキャリア(例えば、図63のキャリアf1)からシンボルに対して用いるプリコーディング行列の番号を割り当てるプリコーディング行列を最も小さい番号のプリコーディング行列(図63ではプリコーディング行列#1)を割り当てる構成とする。そして、最も小さいキャリアに割り当てたプリコーディング行列#1の番号を、Scで定められる数だけ、時間軸方向にシフトさせたプリコーディング行列を割り当てる。これは、予めScの値を指定するレジスタを備え、当該レジスタに設定された値だけ割り当てたプリコーディング行列の番号に加算していけばよい。
そして、必要な時間の分だけ最も小さいキャリアにプリコーディング行列を割り当てると、各時間において周波数軸方向に1ずつ割り当てるプリコーディング行列を、用いるキャリアの最も大きいキャリアまでインクリメントさせていけばよい。
つまり、周波数軸方向においては用いるプリコーディング行列の番号を1ずつインクリメントさせていき、時間軸方向においては用いるプリコーディング行列の番号をScだけシフトさせる構成とすればよい。
図63(a)、図64(a)に示す変調信号z1、図63(b)、図64(b)に示す変調信号z2は、上述の手法に従って、プリコーディング行列の番号をシフトさせていったプリコーディング済みのシンボルが配されており、そのいずれのシンボルに着目しても上記<条件#53>が満たされていることがわかる。
このようにして生成した信号を送信することで、受信側装置において、あるシンボルの受信品質が劣悪であったとしても、そのシンボルに周波数軸方向、時間軸方向に隣接するシンボルの受信品質は高くなることが想定され、そのため、誤り訂正復号後においては、良質の受信品質を確保することができる。
なお、以上に説明したプリコーディング行列の割り当て方法では、最も小さいキャリアを定めて、時間軸方向にScだけシフトさせていく手法を示したが、これは周波数軸方向にScだけシフトさせてもよい。つまり、最も早い時間t1、キャリアf1に対して割り当てるプリコーディング行列を定めた後、周波数軸方向にキャリアを1つ移動するごとにScだけシフトさせたプリコーディング行列を割り当てる。そして、同一キャリア内において時間軸方向に1ずつ割り当てるプリコーディング行列のインデックスをインクリメントする構成としてもよい。この場合、図63や図64に示したシンボル配置は、それぞれ図65や図66に示すようなシンボル配置となる。
また、プリコーディング行列のインデックスをインクリメントする順序については、図67(a)〜(d)に示すように様々の方法があり、いずれの手順をとってもよい。図67において、矢印に付した番号1、2、3、4・・・の順番に使用するプリコーディング行列のインデックスをインクリメントする。
図67(a)は、図63、図64で示したように、時間Aにおいて、周波数軸方向で、使用するプリコーディング行列のインデックスをインクリメントし、完了したら、時間A+1において、周波数軸方向で、使用するプリコーディング行列のインデックスのインクリメントを行う、・・・、という方法であることを意味している。
図67(c)は、図63、図64を用いて説明したように、周波数Aにおいて、周波数軸方向で、使用するプリコーディング行列のインデックスをインクリメントし、完了したら、周波数A+1において、時間軸方向で、時間軸方向で使用するプリコーディング行列のインデックスのインクリメントを行う、・・・、という方法を示している。
図67(b)、(d)は、図67(a)、(c)の変形例であり、まず、1の矢印に関連するシンボルにおいて、矢印の方向で、使用するプリコーディング行列のインデックスをインクリメントする。完了後、2の矢印に関連するシンボルにおいて、矢印の方向で、使用するプリコーディング行列のインデックスをインクリメントする、・・・という手順で、使用するプリコーディング行列のインデックスのインクリメントを実行する。
また、図67に示したもの意外の手順であっても結果として、図63〜図66に示すような、<条件#53>を満たすデータシンボルが多くなるようなプリコーディング方法を実行するのが望ましい。
なお、図67に示したプリコーディング行列のインデックスをインクリメントする手順以外の手順に従ってプリコーディング行列のインクリメントを実行してもよく、このとき<条件#53>を満たすようなデータシンボルが多くなるような方法が望まれる。
このようにして生成された変調信号が送信装置の複数のアンテナから送信されることとなる。
以上が、本実施の形態17に係る受信側における受信品質の劣化を抑制することができるプリコーディングされたシンボルの配置例である。なお、本実施の形態17においては、シンボルに用いるプリコーディング行列を所定数だけシフトさせた番号のプリコーディング行列を隣接するシンボルに用いることで<条件#53>を満たすようなデータシンボルが多くなる手法を示しているが、<条件#53>が満たすデータシンボルが存在してい
れば、本実施の形態17に示したような規則的なプリコーディング行列の割り当て方をせずとも、データの受信品質の改善の効果を得ることができる。
また、本実施の形態においては、プリコーディング行列を最初に割り当てる基準となるシンボルとして、最小のキャリアに配されるシンボルにプリコーディング行列#1を割り当てて、周波数軸方向、時間軸方向に1又はScずつシフトさせていく手法をとったが、これは最大のキャリア側から割り当てていく手法をとってもよい。また、最小のキャリアにプリコーディング行列#Nを割り当てて、そこから減算する方向でシフトさせていく構成をとってもよい。つまり、本実施の形態17における異なるプリコーディング行列のインデックス番号の付し方は、一例であり、<条件#53>を満たすデータシンボルが多くなるのであれば、どのようにインデックス番号を付してもよい。
なお、本実施の形態17に示したプリコーディング行列の割り当て方を示す情報は、上記実施の形態1に示した重み付け情報生成部314により生成され、生成された情報に従って重み付け合成部308A、308Bなどがプリコーディングを実行する。
また、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式において、使用するプリコーディング行列の数は変化しない(つまり、異なるプリコーディング行列1F[0]、F[1]、・・・・、F[N-1]を用意し、F[0]、F[1]、・・・F[N-1]を切り替えて使用する)が、フレーム単位、複素シンボルで構成されるシンボルブロック単位等で、本実施の形態や本実施の形態以外で説明したプリコーディング行列の割り当て方法を切り替えることも可能である。このとき、送信装置は、プリコーディング行列の割り当て方法に関する情報を送信し、受信装置は、当該情報を受信することにより、プリコーディング割り当て方法を知り、それに基づいて、プリコーディングの復号を行うことになる。そして、プリコーディング行列の割り当て方法については、予め定められた割り当て方法、例えば、割り当て方法A、割り当て方法B、割り当て方法C、割り当て方法Dがあり、送信装置は、A〜Dの中から割り当て方法を選択し、A〜Dのいずれの方法を用いたのかを示す情報を受信装置に対して送信する。そして、受信装置は、この情報を得ることでプリコーディングの復号が可能となる。
なお、本実施の形態では、変調信号s1、s2およびz1、z2を送信する場合、つまり、ストリーム数2、送信信号数2の時を例に説明したが、ストリーム数および送信信号数はこれに限るものではなく、ストリーム数、送信信号数を2より大きくしても、同様のプリコーディング行列の割り当てを実行することができる。つまり、変調信号s3、s4、・・・のストリームが存在し、変調信号z3、z4、・・・の送信信号数が存在しても、z3、z4における、周波数―時間軸のフレームにおけるシンボルに対するプリコーディング行列のインデックスは、z1、z2と同様の切り替えを行えばよいことになる。
(実施の形態18)
上記実施の形態17においては、データシンボルのみが配されている状態を説明した。しかし、実際には、ここにパイロットシンボル(パイロットシンボルと記載したが、データを伝送しない、例えば、既知のPSK変調シンボルが一つの適した例であり、リファレン
スシンボル等と名付けてもよい。一般的には、チャネル状態の推定、周波数オフセット量の推定、時間同期獲得、信号検出、位相歪みの推定等に用いられる。)や制御情報を伝送するためのシンボルが存在することが考えられる。そこで、本実施の形態18においては、パイロットシンボルがデータシンボル中に挿入される場合のデータシンボル中に対するプリコーディング行列の割り当て方法について説明する。
上記実施の形態17においては、図63、図64、図65、図66において、データシンボルが存在する時間には、パイロットシンボルや制御情報を伝送するためのシンボルが存在しないときの例を示した。このような場合、データシンボルが配置される開始時間が
t1であるとすると、t1よりも前に、パイロットシンボルや制御情報を伝送するためのシンボルが存在するとよい(この場合、プリアンブルと呼ばれることがある。)。また、更に、受信装置におけるデータの受信品質を向上させるためには、データシンボルが配置されている最後の時間以降の時間にパイロットシンボルが存在してもよい(図68(a)参照)。なお、図68(a)においては、パイロットシンボル(P)がある場合を示しているが、上述の通り、これは、制御情報を伝送するためのシンボル(C)に置き換わってもよい。
また、特定のキャリアにデータシンボルではない、パイロットシンボルや制御情報を伝送するためのシンボルが存在してもよい。例として、図68(b)では、周波数軸における両端のキャリアにパイロットシンボルを配置したときの例を示している。このようにしても、実施の形態17と同様に<条件#53>を満たすデータシンボルを多く存在させることができるという特徴をもつ。また、図68(b)のように必ずしもデータシンボルに用いる周波数における周波数軸の両端にパイロットシンボルを配置する必要はない。例えば、図68(c)のように特定のキャリアにパイロットシンボル(P)が配置されていてもよいし、あるいは、図68(d)のように特定のキャリアにパイロットシンボルではなく制御情報(C)が配置されていてもよい。図68(c)、(d)のようにしても、実施の形態17と同様に<条件#53>を満たすデータシンボルを多く存在させることができる。なお、図68に示した図面においては、変調信号の区別はしていないが、これは、変調信号z1、z2双方に共通する説明である。
つまり、特定のサブキャリアにパイロットシンボルや制御情報を伝送するシンボル等のデータシンボルでないシンボルを配置しても、<条件#53>を満たすデータシンボルを多く存在させることができるという特徴をもつことになる。また、前述のように、図68において、データシンボルが最初に配置される時間よりも前、つまり、時間t1より前に、パイロットシンボルや制御情報を伝送するシンボル等のデータシンボルではないシンボルを配置しても<条件#53>を満たすデータシンボルを多く存在させることができるという特徴をもつことになる。
加えて、ある特定の時間にデータシンボルを配置せずに、データシンボル以外のシンボルのみを存在させる時間があっても、<条件#53>を満たすデータシンボルを多く存在させることができるという特徴をもつことになる。
なお、図68において、同一時間、同一キャリアにおいて、変調信号z1、z2ともにパイロットシンボルが存在する場合を説明したが、これに限ったものではなく、例えば、変調信号z1にはパイロットシンボルを配置し、変調信号z2には同相Iがゼロかつ直交Qがゼロのシンボルを配置する、というような構成であってもよく、逆に、変調信号z1には同相Iがゼロかつ直交Qがゼロのシンボルを配置し、変調信号z2にパイロットシンボルを配置するという構成であってもよい。
次に、これまで説明した時間−周波数軸におけるフレームにおいて、データシンボル以外のシンボルが、特定の時間、または、特定のキャリアにのみ存在するフレーム構成で説明したが、これらの例とは異なる例として、図69に示すようにパイロットシンボルPが、時間とともに、パイロットシンボルの存在するサブキャリアが変更される場合について説明する。特に、図69に示した状態においてデータシンボルの配置位置(Pと記載されていない四角)にプリコーディングされたデータシンボルの配置が、上記実施の形態17に示した<条件#53>を保つプリコーディング行列の割り当て方について説明する。ただし、前述で説明したように、同一時間、同一キャリアにおいて、変調信号z1、z2ともにパイロットシンボルが存在する場合を説明しているが、例えば、変調信号z1にはパイロットシンボルを配置し、変調信号z2には同相Iがゼロかつ直交Qがゼロのシンボルを
配置する、というような構成であってもよく、逆に、変調信号z1には同相Iがゼロかつ
直交Qがゼロのシンボルを配置し、変調信号z2にパイロットシンボルを配置するという
構成であってもよい。
まず、単純に実施の形態17に示したように、使用するプリコーディング行列のインデックスをインクリメントしていく場合、つまり、データシンボル以外のシンボルでは、プリコーディング行列のインデックスをインクリメントしない場合が考えられる。図70にこの場合のシンボル配置例を示した。図70では、図67の(a)のように、周波数軸方向にプリコーディング行列のインデックスをインクリメントし、時間軸がすすむにつれ、Scのシフトを実施する方法をとっている。このとき、周波数軸方向にプリコーディング行列のインデックスをインクリメントする際、データシンボル以外のシンボルでは、プリコーディング行列のインデックスをインクリメントしていない。このような構成とすることで、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式において、周期を一定にたもつことができるという利点があると同時に、<条件#53>を満たすデータシンボルを存在させることができるという利点がある。
特に、以下の条件を満たすと、<条件#53>を満たすデータシンボルの数を多くすることができる。
<a>データシンボルが存在する時間i−1、i、i+1において、時間i−1に存在するパイロットシンボルの数をA、時間iに存在するパイロットシンボルの数をB、時間i+1に存在するパイロットシンボルの数をCとすると、AとBの差は0または1、BとCの差は
0または1、AとCの差は0または1である。
この条件<a>を別の表現であらわすと、
<a’>データシンボルが存在する時間i−1、i、i+1において、時間i−1に存在するデータシンボルの数をα、時間iに存在するデータシンボルの数をβ、時間i+1に存在するデータシンボルの数をγとすると、αとβの差は0または1、βとγの差は0または1、αとγの差は0または1である。
となる。当該条件<a><a’>をさらに条件を緩和すると、
<b>データシンボルが存在する時間i−1、i、i+1において、時間i−1に存在するパイロットシンボルの数をA、時間iに存在するパイロットシンボルの数をB、時間i+1に存在するパイロットシンボルの数をCとすると、AとBの差は0または1または2、BとCの差は0または1または2、AとCの差は0または1または2である。
<b’>データシンボルが存在する時間i−1、i、i+1において、時間i−1に存在するデータシンボルの数をα、時間iに存在するデータシンボルの数をβ、時間i+1に存在するデータシンボルの数をγとすると、αとβの差は0または1または2、βとγの差は0または1または2、αとγの差は0または1または2である。
となる。
また、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式の周期を大きくしたほうがよく、また、Scの値を「X以上かつ、N−X以下としたとき、Xを大きい値とする」ほうがよ
いことになる。
このようにすると、時間i−1においてプリコーディング行列のインデックスをインク
リメントする回数、時間iにおいてプリコーディング行列のインデックスをインクリメントする回数、時間i+1においてプリコーディング行列のインデックスをインクリメントする回数のいずれか2つを選択し、その差を計算すると高々1であるため、実施の形態17で説明した状況を維持している可能性が高いからである。
ただし、図70のシンボル700aに着目してみると、シンボル700aに用いたプリコーディング行列と、シンボル700aの周波数軸方向と時間軸方向とで隣接する全てのシンボルに用いたプリコーディング行列が全て異なるという<条件#53>を満たしていないデータシンボルであり、このようなデータシンボルが少数であるが存在する。(ただし、図70では、多くのデータシンボルは<条件#53>を満たしているが、これは、上記の条件をみたしているからである。また、割り当て方法次第では、隣接にデータシンボルが存在するデータシンボルすべてで<条件#53>を満たすことが可能である。この点については、実施の形態20において、例を示す。)
そこで、別の手法として、パイロットシンボルが挿入される位置においてもプリコーディング行列のインデックス番号をインクリメントするものとする構成方法がある。
図71には、図63に示したデータシンボルのプリコーディング行列の割り当て方法の例に、本実施の形態に示したパイロットシンボルを挿入した場合のプリコーディング行列の割り当て方法を示している。
図71に示されるように、パイロットシンボルが割り当てられた位置においても、データシンボルが存在するものと仮定して、プリコーディング行列の割り当てを行う、つまり、実施の形態17と同様にプリコーディング行列の割り当てを行い、パイロットシンボルを配置している位置については、そこで用いるプリコーディング行列の番号を削除することになる。
このようにすることで、時間軸方向、周波数軸方向にデータシンボルが存在するデータシンボル全てにおいて、<条件#53>を満たすことになるという効果を得ることができる。ただし、パイロットシンボルを挿入したために、規則的にプリコーディング行列を切り替える方法の周期が、固定的ではなくなるという特徴をもつことになる。
なお、本実施の形態18に示したプリコーディング行列の割り当て方を示す情報は、上記実施の形態1に示した重み付け情報生成部314により生成され、生成された情報に従って重み付け合成部308A、308Bなどがプリコーディングを実行すると同時に、通信相手にこの情報に相当する情報を送信してもよい。(予め規則が決められている場合は、即ち、送信側と受信側とでプリコーディング行列の割り当て方法を予め定めている場合には、この情報を送信しなくてもよい。)通信相手は、送信装置が使用したプリコーディング行列の割り当て方をしり、それに基づき、プリコーディングの復号を行うことになる。
なお、本実施の形態では、変調信号s1、s2および変調信号z1、z2を送信する場合、つまり、ストリーム数2、送信信号数2の時を例に説明したが、これに限ったものではなく、ストリーム数、送信信号数を2より大きくしても、同様のプリコーディング行列の割り当てを行っても、同様に実施することができる。つまり、s3、s4、・・・のストリームが存在し、z3、z4、・・・の送信信号が存在しても、z3、z4、・・・における、周波数―時間軸のフレームにおけるシンボルに対するプリコーディング行列のインデックスは、変調信号z1、z2と同様の割り当てを行えばよいことになる。
(実施の形態19)
上記実施の形態17および実施の形態18では、あるデータシンボルと、そのデータシンボルに時間的、周波数的に最も隣接するシンボルの計5つのデータシンボルに着目し、
これら5つのデータシンボルに割り当てられるプリコーディング行列が全て相違する例を説明した。本実施の形態19においては、近接するデータシンボルについて、用いるプリコーディング行列が互いに相違する範囲を拡張したプリコーディング行列の割り当て方法を説明する。なお、本実施の形態において、全てのシンボルに割り当てられるプリコーディング行列が全て異なる範囲を便宜上、相異範囲と呼ぶ。
上記実施の形態17や実施の形態18においては十字型に配される5つのデータシンボルについて、各データシンボルに用いられたプリコーディング行列が互いに異なるように、プリコーディング行列を割り当てることとしたが、ここでは、その互いに異なるプリコーディング行列をデータシンボルに割り当てる範囲を、例えば、周波数方向で3シンボル分、時間軸方向で3シンボルというように3×3の9個のデータシンボルに拡張し、この9個のデータシンボルでは、プリコーディング行列が全て異なるようにプリコーディング行列を割り当てることを提案する。このようにすることで、受信側におけるデータの受信品質を、上記実施の形態17に示したように5つのシンボルのみで互いに乗じられたプリコーディング行列が異なるシンボル配置にした場合よりも、高めることができるできる可能性がある。(本実施の形態では、上述のように、時間軸方向Mシンボル分、周波数軸方
法Nシンボル分のN×M個のデータシンボルに拡張する場合について説明する。)
以降では、そのような拡張例を説明し、その後、この拡張例を実現するための条件を説明し、プリコーディング行列の割り当て方法について説明する。
図72〜図78には、それぞれ、フレーム構成及び互いに異なるプリコーディング行列を乗じたシンボルの拡張配置例を示した。
図72、73には、相異範囲を3×3の範囲とした場合の変調信号のフレーム構成例を、図75には、相異範囲を3×5の範囲に拡張した場合、図77には、その範囲を図に示すような菱形形状にした場合の例を示している。
まず、図72、図73、図75に示したような方形の相異範囲においては、必要となるプリコーディング行列の個数は、相異範囲に含まれるシンボルの個数が最低限必要となる異なるプリコーディング行列の個数となる。つまり、相異範囲に含まれる周波数軸方向のシンボル数と、時間軸方向のシンボル数とを掛け合わせた個数の異なるプリコーディング行列が最低限必要となる。(図73に示すように、前述の最低限の数より多い数の異なるプリコーディング行列を用意してもよい。)つまり、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式における切り替え周期をZとしたとき、周期ZはN×M以上とする必要がある。
次に、図72や図73に示すプリコーディング行列の割り当て方法がなされたシンボル配置を実現する具体的なプリコーディング行列の割り当て方法の一例を説明する。
まず、周波数軸方向のプリコーディング行列の割り当て方法は、実施の形態17に示したように、プリコーディング行列のインデックス番号を1ずつインクリメントしたインデックス番号のプリコーディング行列を割り当てていき、用意されているプリコーディング行列のインデックス番号を超えた場合には、また、プリコーディング行列#1に戻って、プリコーディング行列を割り当てていく。
そして、時間軸方向にプリコーディングされたシンボルを配置していく場合にも、上記実施の形態17において説明した場合と同様にScを加算して割り当てていくが、このときScの条件が実施の形態17に示したものと異なってくる。
本実施の形態における実施の形態17で説明したScの条件は、時間軸方向Mシンボル
分、周波数軸方法Nシンボル分のN×M個のデータシンボルに相異範囲を拡張する場合、NとMのうち大きい方の値をLとした場合、Lシンボル以上Z―L以下である必要がある。(規則
的にプリコーディング行列を切り替える方式における切り替え周期をZとする。)ただし
、N≠Mのときは、上記を満たさなくてもよい場合がある。
なお、ScをLよりも大きい数に設定する場合には、Zとして、N×Mよりも多い数の異なるコーディング行列が必要となる、つまり、切り替え周期を大きく設定するとよいことになる。
図72や、図73の用に3×3の相異範囲の場合、Lは3であるからScは3以上、Z―3以下の整数である必要がある。
つまり、キャリアf1、時間t1のシンボルに用いたプリコーディング行列がプリコーディング行列#1であり、相異範囲が3×3であった場合には、キャリアf1、時間t2のシンボルに用いるプリコーディング行列は、1+3で、プリコーディング行列#4となる。
図72に示す相異範囲でプリコーディング行列を割り当ててプリコーディングを実行した場合の変調信号のシンボル配置を図74に示した。図74を見ればわかるように、いずれの箇所の相違範囲を見ても、相異範囲内のシンボルに用いられたプリコーディング行列は異なっている。
なお、図74では、周波数軸にプリコーディング行列のインデックス番号を1ずつインクリメントしたインデックス番号のプリコーディング行列を割り当てていき、用意されているプリコーディング行列のインデックス番号を超えた場合には、また、プリコーディング行列#1に戻って、プリコーディング行列を割り当て、時間軸方向にプリコーディングされたシンボルを配置していくときにも、上記実施の形態17において説明した場合と同様にScを加算して割り当てていく構成について説明した。しかし、これは、実施の形態17と同様に、図74において、縦軸を周波数、横軸に時間として考え、時間軸にプリコーディング行列のインデックス番号を1ずつインクリメントしたインデックス番号のプリコーディング行列を割り当てていき、用意されているプリコーディング行列のインデックス番号を超えた場合には、また、プリコーディング行列#1に戻って、プリコーディング行列を割り当て、周波数軸方向にプリコーディングされたシンボルを配置していくときにも、上記実施の形態17において説明した場合と同様にScを加算して割り当てていく構成についても同様に実施することができ、このときも、上述のScの条件が重要な条件となる。
図75には、相異範囲を3×5の範囲とした場合のフレーム構成例を示し、図76には、その場合のプリコーディングされた変調信号のシンボル配置を示した。
図76を見れば分かるように時間軸方向には、割り当てられているプリコーディング行列が、相異範囲の周波数軸方向のシンボル数の3だけシフトさせていったプリコーディング行列となっている。また、図76において、どこの相異範囲を見ても、相異範囲内のシンボルに割り当てられたプリコーディング行列が全て異なる構成となっていることもわかる。
図76の例から、時間軸方向Mシンボル分、周波数軸方法Nシンボル分のN×M個のデータシンボルに相異範囲を拡張する場合、N≠Mのとき、実施の形態17で説明したScの条件は以下のように考えることができる。
周波数軸にプリコーディング行列のインデックス番号を1ずつインクリメントしたインデックス番号のプリコーディング行列を割り当てていき、用意されているプリコーディング行列のインデックス番号を超えた場合には、また、プリコーディング行列#1に戻って、プリコーディング行列を割り当て、時間軸方向にプリコーディングされたシンボルを配置していくとき、上記実施の形態17において説明した場合と同様にScを加算して割り
当てていくとすると、Scは、Nシンボル以上Z―N以下である必要がある。(規則的にプ
リコーディング行列を切り替える方式における切り替え周期をZとする。)
ただし、Scを上記条件のとおり設定しても、相異範囲内のシンボルに割り当てられたプリコーディング行列が全て異なる構成とならない場合がある。相異範囲内のシンボルに割り当てられたプリコーディング行列が全て異なる構成とするためには、切り替え周期を大きく設定するとよいことになる。
そして、時間軸にプリコーディング行列のインデックス番号を1ずつインクリメントしたインデックス番号のプリコーディング行列を割り当てていき、用意されているプリコーディング行列のインデックス番号を超えた場合には、また、プリコーディング行列#1に戻って、プリコーディング行列を割り当て、周波数軸方向にプリコーディングされたシンボルを配置していくとき、上記実施の形態17において説明した場合と同様にScを加算して割り当てていくとすると、Scは、Mシンボル以上Z―M以下である必要がある。
ただし、Scを上記条件のとおり設定しても、相異範囲内のシンボルに割り当てられたプリコーディング行列が全て異なる構成とならない場合がある。相異範囲内のシンボルに割り当てられたプリコーディング行列が全て異なる構成とするためには、切り替え周期を大きく設定するとよいことになる。
当然であるが、図76は上記条件を満たしている。なお、図76は、周波数軸にプリコーディング行列のインデックス番号を1ずつインクリメントしたインデックス番号のプリコーディング行列を割り当てていき、用意されているプリコーディング行列のインデックス番号を超えた場合には、また、プリコーディング行列#1に戻って、プリコーディング行列を割り当て、時間軸方向にプリコーディングされたシンボルを配置していくときにも、上記実施の形態17において説明した場合と同様にScを加算して割り当てていく場合について説明した。しかし、これは、実施の形態17と同様に、図76において、縦軸を周波数、横軸に時間として考え、時間軸にプリコーディング行列のインデックス番号を1ずつインクリメントしたインデックス番号のプリコーディング行列を割り当てていき、用意されているプリコーディング行列のインデックス番号を超えた場合には、また、プリコーディング行列#1に戻って、プリコーディング行列を割り当て、周波数軸方向にプリコーディングされたシンボルを配置していくときにも、上記実施の形態17において説明した場合と同様にScを加算して割り当てていく構成についても同様に実施することができ、このときも、上述のScの条件が重要な条件となる。
更には、ここでは時間軸方向でScずつプリコーディング行列をシフトさせ、周波数軸方向で1ずつプリコーディング行列をシフトさせる構成で説明したが、上記実施の形態17においても図65や図66を用いて説明したように、時間軸方向で1ずつプリコーディング行列をシフトさせ、周波数軸方向でScずつプリコーディング行列をシフトさせるプリコーディング行列を割り当ててもよい。
更には、図77に示すような、菱形の相異範囲においても、同様に、どこの相異範囲でも全てのシンボルに用いられたプリコーディング行列が互いに異なるようにすることができる。
但し、この場合、上述の条件を満たすためには、この菱形の相異範囲の周波数軸方向の最大数のシンボル数に時間軸方向の最大数のシンボル数をかけた数のプリコーディング行列が必要となる。つまり、図77に示すような菱形の相異範囲において全てのシンボルに用いられたプリコーディング行列が互いに異なるものとする配置を実現するには25(5(周波数軸方向の相異範囲内の最大シンボル数)×5(時間軸方向の相異範囲内の最大シンボル数))個のプリコーディング行列を必要とし、このような菱形を相異範囲とした場
合には、実質的に、その菱形を囲う最小の方形を相異範囲とするシンボル配置と同等になる。
図78には、図77に示した菱形の範囲を相異範囲とした場合のプリコーディング行列の割り当てを行った際のシンボル配置を示している。図78において、いずれの菱形の相異範囲内に含まれるシンボルに割り当てられたコーディング行列が全て異なるようになっていることがわかる。
このようにして、シンボルに割り当てるプリコーディング行列が全て相異する範囲を実施の形態17に示した5つのシンボルから拡張した場合にも、周波数軸方向、時間軸方向で、割り当てるプリコーディング行列のインデックスを1つずつインクリメントし、かつ、Scだけシフトさせていきながら割り当てるという手法で、実現できる。
また、ここまでは、実施の形態17と同様にデータシンボルのみが配されている状態を説明したが、更に、実施の形態18に示したようにパイロットシンボルが挿入される場合のデータシンボルの配置について説明する。
パイロットシンボルが挿入される場合のシンボル配置の一つとしては、実施の形態18に示した概念と共通する。即ち、パイロットシンボルが挿入される位置は予め定まっているので、パイロットシンボルが挿入される位置にパイロットシンボルが配置されていなかった場合に配されるシンボルに割り当てられるはずのプリコーディング行列の番号を飛ばして、次のシンボルのプリコーディング行列を乗じる仕様とすることである。つまり、パイロットシンボルが挿入される位置においては、次のデータシンボルに割り当てるプリコーディング行列の番号をより多く加算した番号のプリコーディング行列を割り当てる。即ち、1ずつインデックスをインクリメントする方向では、前のシンボルに割り当てたプリコーディング行列の番号に2加算した番号のプリコーディング行列を、Scずつシフトさせている方向では、2×Scを加算した番号のプリコーディング行列を割り当てる。
図79には、図74に示したシンボル配置においてパイロットシンボルを挿入した場合の例を示している。図79に示されるように、パイロットシンボルが挿入されている位置においては、そこにデータシンボルが配されたとした場合に割り当てるプリコーディング行列が飛ばされたプリコーディング行列の割り当て方法がなされていることが分かる。
このようにして、異なるプリコーディング行列を割り当てる範囲を拡張した相違範囲においても、パイロットシンボルが挿入された場合に対応することができる。
なお、本実施の形態17に示したプリコーディング行列の割り当て方を示す情報は、上記実施の形態1に示した重み付け情報生成部314により生成され、生成された情報に従って重み付け合成部308A、308Bなどがプリコーディングを実行すると同時に、通信相手にこの情報に相当する情報を送信してもよい。(予め規則が決められている場合は、即ち、送信側と受信側とでプリコーディング行列の割り当て方法を予め定めている場合には、この情報を送信しなくてもよい。)通信相手は、送信装置が使用したプリコーディング行列の割り当て方をしり、それに基づき、プリコーディングの復号を行うことになる。
なお、本実施の形態では、変調信号s1、s2および変調信号z1、z2を送信する場合、つまり、ストリーム数2、送信信号数2の時を例に説明したが、これに限ったものではなく、ストリーム数、送信信号数を2より大きくしても、同様のプリコーディング行列の割り当てを行っても、同様に実施することができる。つまり、s3、s4、・・・のストリームが存在し、z3、z4、・・・の送信信号が存在しても、z3、z4、・・・における、周波数―時間軸のフレームにおけるシンボルに対するプリコーディング行列のイ
ンデックスは、変調信号z1、z2と同様の割り当てを行えばよいことになる。
(実施の形態20)
上記実施の形態18において、使用するプリコーディング行列のインデックスをインクリメントしていく場合、つまり、データシンボル以外のシンボルでは、プリコーディング行列のインデックスをインクリメントしない場合について説明した。本実施の形態では、実施の形態18で説明した図70とは異なるフレームにおけるプリコーディング行列の割り当て例、図80、図81を示す。なお、図80、図81は、実施の形態18と同様、変調信号z1、z2の時間−周波数軸におけるフレーム構成、および、パイロットシンボルと、データシンボル、およびデータシンボルで用いるプリコーディング行列のインデックス番号を示しており、「P」はパイロットを示しており、その他はデータシンボルを示し
ており、データシンボルにおける#Xは、使用するプリコーディング行列のインデックス
番号を示している。
図80は、図70と比較し、規則的にプリコーディング行列を切り替える方式の周期を大きくし、かつ、Scの値も大きくした時の例を示している。また、実施の形態18で説
明した条件<a><a’><b><b’>を満たしている。このようにすると、プリコー
ディング行列のインクリメントされない回数は、時間が変更されても大きく変わらないため、インクリメントされないことによる、データシンボルのインデックス番号の関係に与える影響が小さい。したがって、隣接にデータシンボルが存在するデータシンボル全てで<条件#53>を満たすことになっている。
別の例として、図81は、条件<a><a’><b><b’>を満たさない場合を示し
ている。図81の、例えば、8100をみればわかるように、<条件#53>を満たしていないことがわかる。これは、実施の形態18で述べた条件を満たしていないことが大きく影響しているからである。
(実施の形態B1)
以下では、上記各実施の形態で示した送信方法及び受信方法の応用例とそれを用いたシステムの構成例を説明する。
図82は、上記実施の形態で示した送信方法及び受信方法を実行する装置を含むシステムの構成例を示す図である。上記各実施の形態で示した送信方法及び受信方法は、図82に示すような放送局と、テレビ(テレビジョン)8211、DVDレコーダ8212、STB(Set Top Box)8213、コンピュータ8220、車載のテレビ8241及び携帯電話8230等の様々な種類の受信機を含むデジタル放送用システム8200において実施される。具体的には、放送局8201が、映像データや音声データ等が多重化された多重化データを上記各実施の形態で示した送信方法を用いて所定の伝送帯域に送信する。
放送局8201から送信された信号は、各受信機に内蔵された、または外部に設置され当該受信機と接続されたアンテナ(例えば、アンテナ8260、8240)で受信される。各受信機は、アンテナにおいて受信された信号を上記各実施の形態で示した受信方法を用いて復調し、多重化データを取得する。これにより、デジタル放送用システム8200は、上記各実施の形態で説明した本願発明の効果を得ることができる。
ここで、多重化データに含まれる映像データは、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)2、MPEG4−AVC(Advanced Video Coding)、VC−1などの規格に準拠した動画符号化方法を用いて符号化されている。また、多重化データに含まれる音声データは例えばドルビーAC(Audio Coding)−3、Dolby Digital Plus、MLP(Meridian Lossless Packing)、DTS(Digital Theater Systems)、DTS−HD、リニアPCM(Pulse Coding Modulation)等の音声符号化方法で符号化されている。
図83は、上記各実施の形態で説明した受信方法を実施する受信機7900の構成の一例を示す図である。図83に示す受信機8300は、図82に示したテレビ(テレビジョン)8211、DVDレコーダ8212、STB(Set Top Box)8213、コンピュータ8220、車載のテレビ8241及び携帯電話8230等が備える構成に相当する。受信機8300は、アンテナ8360で受信された高周波信号をベースバンド信号に変換するチューナ8301と、周波数変換されたベースバンド信号を復調して多重化データを取得する復調部8302とを備える。上記各実施の形態で示した受信方法は復調部8302において実施され、これにより上記各実施の形態で説明した本願発明の効果を得ることができる。
また、受信機8300は、復調部8302で得られた多重化データから映像データと音声データとを分離するストリーム入出力部8320と、分離された映像データに対応する動画像復号方法を用いて映像データを映像信号に復号し、分離された音声データに対応する音声復号方法を用いて音声データを音声信号に復号する信号処理部8304と、復号された音声信号を出力するスピーカ等の音声出力部8306と、復号された映像信号を表示するディスプレイ等の映像表示部8307とを有する。
例えば、ユーザは、リモコン(リモートコントローラ)8350を用いて、選局したチャネル(選局した(テレビ)番組、選局した音声放送)の情報を操作入力部8310に送信する。すると、受信機8300は、アンテナ8360で受信した受信信号において、選局したチャネルに相当する信号を復調、誤り訂正復号等の処理を行い、受信データを得ることになる。このとき、受信機8300は、選局したチャネルに相当する信号に含まれる伝送方法(上記の実施の形態で述べた伝送方式、変調方式、誤り訂正方式等)(これについては、図5、図41に記載のとおりである。)の情報を含む制御シンボルの情報を得ることで、受信動作、復調方法、誤り訂正復号等の方法を正しく設定することで、放送局(基地局)で送信したデータシンボルに含まれるデータを得ることが可能となる。上述では、ユーザは、リモコン8350によって、チャネルを選局する例を説明したが、受信機8300が搭載している選局キーを用いて、チャネルを選局しても、上記と同様の動作となる。
上記の構成により、ユーザは、受信機8300が上記各実施の形態で示した受信方法により受信した番組を視聴することができる。
また、本実施の形態の受信機8300は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データ(場合によっては、復調部8302で復調されて得られる信号に対して誤り訂正復号を行わないこともある。また、受信機8300は、誤り訂正復号後に他の信号処理が施されることもある。以降について、同様の表現を行っている部分についても、この点は同様である。)に含まれるデータ、または、そのデータに相当するデータ(例えば、データを圧縮することによって得られたデータ)や、動画、音声を加工して得られたデータを、磁気ディスク、光ディスク、不揮発性の半導体メモリ等の記録メディアに記録する記録部(ドライブ)8308を備える。ここで光ディスクとは、例えばDVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu−ray Disc)等の、レーザ光を用いて情報の記憶と読み出しがなされる記録メディアである。磁気ディスクとは、例えばFD(Floppy(登録商標) Disk)やハードディスク(Hard Disk)等の、磁束を用いて磁性体を磁化することにより情報を記憶する記録メディアである。不揮発性の半導体メモリとは、例えばフラッシュメモリや強誘電体メモリ(Ferroelectric Random Access Memory)等の、半導体素子により構成された記録メディアであり、フラッシュメモリを用いたSDカードやFlash SSD(Solid State Drive)などが挙げられる。なお、ここで挙げた記録メディアの種類はあくまでその一例であり、上記の記録メディア以外の記録メディアを用いて記録を行っても良いことは言うまでもない。
上記の構成により、ユーザは、受信機8300が上記各実施の形態で示した受信方法により受信した番組を記録して保存し、番組の放送されている時間以降の任意の時間に記録されたデータを読み出して視聴することが可能になる。
なお、上記の説明では、受信機8300は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データを記録部8308で記録するとしたが、多重化データに含まれるデータのうち一部のデータを抽出して記録しても良い。例えば、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに映像データや音声データ以外のデータ放送サービスのコンテンツ等が含まれる場合、記録部8308は、復調部8302で復調された多重化データから映像データや音声データを抽出して多重した新しい多重化データを記録しても良い。また、記録部8308は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる映像データ及び音声データのうち、どちらか一方のみを多重した新しい多重化データを記録しても良い。そして、上記で述べた多重化データに含まれるデータ放送サービスのコンテンツを記録部8308は、記録してもよい。
さらには、テレビ、記録装置(例えば、DVDレコーダ、Blu−rayレコーダ、HDDレコーダ、SDカード等)、携帯電話に、本発明で説明した受信機8300が搭載されている場合、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに、テレビや記録装置を動作させるのに使用するソフトウェアの欠陥(バグ)を修正するためのデータや個人情報や記録したデータの流出を防ぐためのソフトウェアの欠陥(バグ)を修正するためのデータが含まれている場合、これらのデータをインストールすることで、テレビや記録装置のソフトウェアの欠陥を修正してもよい。そして、データに、受信機8300のソフトウェアの欠陥(バグ)を修正するためのデータが含まれていた場合、このデータにより、受信機8300の欠陥を修正することもできる。これにより、受信機8300が搭載されているテレビ、記録装置、携帯電話が、より安定的の動作させることが可能となる。
ここで、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる複数のデータから一部のデータを抽出して多重する処理は、例えばストリーム入出力部8303で行われる。具体的には、ストリーム入出力部8303が、図示していないCPU等の制御部からの指示により、復調部8302で復調された多重化データを映像データ、音声データ、データ放送サービスのコンテンツ等の複数のデータに分離し、分離後のデータから指定されたデータのみを抽出して多重し、新しい多重化データを生成する。なお、分離後のデータからどのデータを抽出するかについては、例えばユーザが決定してもよいし、記録メディアの種類毎に予め決められていてもよい。
上記の構成により、受信機8300は記録された番組を視聴する際に必要なデータのみを抽出して記録することができるので、記録するデータのデータサイズを削減することができる。
また、上記の説明では、記録部8308は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データを記録するとしたが、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる映像データを、当該映像データよりもデータサイズまたはビットレートが低くなるよう、当該映像データに施された動画像符号化方法とは異なる動画像符号化方法で符号化された映像データに変換し、変換後の映像データを多重した新しい多重化データを記録してもよい。このとき、元の映像データに施された動画像符号化方法と変換後の映像データに施された動画像符号化方法とは、互いに異なる規格に準拠していてもよいし、同じ規格に準拠して符号化時に使用するパラメータのみが異なっていてもよい。同様に、記録部8308は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる音声データを、当該音声データよりもデータサイズまたはビットレートが低くなるよう、当該音声データに施された音声符号化方法とは異なる音声符号化方法で符号化された音声データに変換し、変換後の音声データを多重した新しい多重化データを記録してもよい。
ここで、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる映像データや音声データをデータサイズまたはビットレートが異なる映像データや音声データに変換する処理は、例えばストリーム入出力部8303及び信号処理部8304で行われる。具体的には、ストリーム入出力部8303が、CPU等の制御部からの指示により、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データを映像データ、音声データ、データ放送サービスのコンテンツ等の複数のデータに分離する。信号処理部8304は、制御部からの指示により、分離後の映像データを当該映像データに施された動画像符号化方法とは異なる動画像符号化方法で符号化された映像データに変換する処理、及び分離後の音声データを当該音声データに施された音声符号化方法とは異なる音声符号化方法で符号化された音声データに変換する処理を行う。ストリーム入出力部8303は、制御部からの指示により、変換後の映像データと変換後の音声データとを多重し、新しい多重化データを生成する。なお、信号処理部8304は制御部からの指示に応じて、映像データと音声データのうちいずれか一方に対してのみ変換の処理を行っても良いし、両方に対して変換の処理を行っても良い。また、変換後の映像データ及び音声データのデータサイズまたはビットレートは、ユーザが決定してもよいし、記録メディアの種類毎に予め決められていてもよい。
上記の構成により、受信機8300は、記録メディアに記録可能なデータサイズや記録部8308がデータの記録または読み出しを行う速度に合わせて映像データや音声データのデータサイズまたはビットレートを変更して記録することができる。これにより、記録メディアに記録可能なデータサイズが復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データのデータサイズよりも小さい場合や、記録部がデータの記録または読み出しを行う速度が復調部8302で復調された多重化データのビットレートよりも低い場合でも記録部が番組を記録することが可能となるので、ユーザは番組の放送されている時間以降の任意の時間に記録されたデータを読み出して視聴することが可能になる。
また、受信機8300は、復調部8302で復調された多重化データを外部機器に対して通信媒体8330を介して送信するストリーム出力IF(Interface:インターフェース)8309を備える。ストリーム出力IF8309の一例としては、Wi−Fi(登録商標)(IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n等)、WiGiG、WirelessHD、Bluetooth、Zigbee等の無線通信規格に準拠した無線通信方法を用いて変調した多重化データを、無線媒体(通信媒体8330に相当)を介して外部機器に送信する無線通信装置が挙げられる。また、ストリーム出力IF8309は、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)、PLC(Power Line Communication)、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)等の有線通信規格に準拠した通信方法を用いて変調された多重化データを当該ストリーム出力IF8309に接続された有線伝送路(通信媒体8330に相当)を介して外部機器に送信する有線通信装置であってもよい。
上記の構成により、ユーザは、受信機8300が上記各実施の形態で示した受信方法により受信した多重化データを外部機器で利用することができる。ここでいう多重化データの利用とは、ユーザが外部機器を用いて多重化データをリアルタイムで視聴することや、外部機器に備えられた記録部で多重化データを記録すること、外部機器からさらに別の外部機器に対して多重化データを送信すること等を含む。
なお、上記の説明では、受信機8300は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データをストリーム出力IF8309が出力するとしたが、多重化データに含まれるデータのうち一部のデータを抽出して出力しても良い。例えば、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに映像データや音声データ以外のデータ放送サービスのコンテンツ等が含まれる場合、ストリーム出力IF8309は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データから映像データや音声データを抽出して多重した新しい多重化データを出力しても良い。また、ストリーム出力IF8309は、復調部8302で復調された多重化データに含まれる映像データ及び音声データのうち、どちらか一方のみを多重した新しい多重化データを出力しても良い。
ここで、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる複数のデータから一部のデータを抽出して多重する処理は、例えばストリーム入出力部8303で行われる。具体的には、ストリーム入出力部8303が、図示していないCPU(Central Processing Unit)等の制御部からの指示により、復調部8302で復調された多重化データを映像データ、音声データ、データ放送サービスのコンテンツ等の複数のデータに分離し、分離後のデータから指定されたデータのみを抽出して多重し、新しい多重化データを生成する。なお、分離後のデータからどのデータを抽出するかについては、例えばユーザが決定してもよいし、ストリーム出力IF8309の種類毎に予め決められていてもよい。
上記の構成により、受信機8300は外部機器が必要なデータのみを抽出して出力することができるので、多重化データの出力により消費される通信帯域を削減することができる。
また、上記の説明では、ストリーム出力IF8309は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データを記録するとしたが、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる映像データを、当該映像データよりもデータサイズまたはビットレートが低くなるよう、当該映像データに施された動画像符号化方法とは異なる動画像符号化方法で符号化された映像データに変換し、変換後の映像データを多重した新しい多重化データを出力してもよい。このとき、元の映像データに施された動画像符号化方法と変換後の映像データに施された動画像符号化方法とは、互いに異なる規格に準拠していてもよいし、同じ規格に準拠して符号化時に使用するパラメータのみが異なっていてもよい。同様に、ストリーム出力IF8309は、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる音声データを、当該音声データよりもデータサイズまたはビットレートが低くなるよう、当該音声データに施された音声符号化方法とは異なる音声符号化方法で符号化された音声データに変換し、変換後の音声データを多重した新しい多重化データを出力してもよい。
ここで、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データに含まれる映像データや音声データをデータサイズまたはビットレートが異なる映像データや音声データに変換する処理は、例えばストリーム入出力部8303及び信号処理部8304で行われる。具体的には、ストリーム入出力部8303が、制御部からの指示により、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データを映像データ、音声データ、データ放送サービスのコンテンツ等の複数のデータに分離する。信号処理部8304は、制御部からの指示により、分離後の映像データを当該映像データに施された動画像符号化方法とは異なる動画像符号化方法で符号化された映像データに変換する処理、及び分離後の音声データを当該音声データに施された音声符号化方法とは異なる音声符号化方法で符号化された音声データに変換する処理を行う。ストリーム入出力部8303は、制御部からの指示により、変換後の映像データと変換後の音声データとを多重し、新しい多重化データを生成する。なお、信号処理部8304は制御部からの指示に応じて、映像データと音声データのうちいずれか一方に対してのみ変換の処理を行っても良いし、両方に対して変換の処理を行っても良い。また、変換後の映像データ及び音声データのデータサイズまたはビットレートは、ユーザが決定してもよいし、ストリーム出力IF8309の種類毎に予め決められていてもよい。
上記の構成により、受信機8300は、外部機器との間の通信速度に合わせて映像データや音声データのビットレートを変更して出力することができる。これにより、外部機器との間の通信速度が、復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データのビットレートよりも低い場合でもストリーム出力IFから外部機器新しい多重化データを出力することが可能となるので、ユーザは他の通信装置において新しい多重化データを利用することが可能になる。
また、受信機8300は、外部機器に対して信号処理部8304で復号された映像信号及び音声信号を外部の通信媒体に対して出力するAV(Audio and Visual)出力IF(Interface)8311を備える。AV出力IF8311の一例としては、Wi−Fi(登録商標)(IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n等)、WiGiG、WirelessHD、Bluetooth、Gigbee等の無線通信規格に準拠した無線通信方法を用いて変調した映像信号及び音声信号を、無線媒体を介して外部機器に送信する無線通信装置が挙げられる。また、ストリーム出力IF8309は、イーサネット(登録商標)やUSB、PLC、HDMI等の有線通信規格に準拠した通信方法を用いて変調された映像信号及び音声信号を当該ストリーム出力IF8309に接続された有線伝送路を介して外部機器に送信する有線通信装置であってもよい。また、ストリーム出力IF8309は、映像信号及び音声信号をアナログ信号のまま出力するケーブルを接続する端子であってもよい。
上記の構成により、ユーザは、信号処理部8304で復号された映像信号及び音声信号を外部機器で利用することができる。
さらに、受信機8300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部8310を備える。受信機8300は、ユーザの操作に応じて操作入力部8310に入力される制御信号に基づいて、電源のON/OFFの切り替えや、受信するチャネルの切り替え、字幕表示の有無や表示する言語の切り替え、音声出力部8306から出力される音量の変更等の様々な動作の切り替えや、受信可能なチャネルの設定等の設定の変更を行う。
また、受信機8300は、当該受信機8300で受信中の信号の受信品質を示すアンテナレベルを表示する機能を備えていてもよい。ここで、アンテナレベルとは、例えば受信機8300が受信した信号のRSSI(Received Signal Strength Indication、Received Signal Strength Indicator、受信信号強度)、受信電界強度、C/N(Carrier−to−noise power ratio)、BER(Bit Error Rate:ビットエラー率)、パケットエラー率、フレームエラー率、チャネル状態情報(Channel State Information)等に基づいて算出される受信品質を示す指標であり、信号レベル、信号の優劣を示す信号である。この場合、復調部8302は受信した信号のRSSI、受信電界強度、C/N、BER、パケットエラー率、フレームエラー率、チャネル状態情報等を測定する受信品質測定部を備え、受信機8300はユーザの操作に応じてアンテナレベル(信号レベル、信号の優劣を示す信号)をユーザが識別可能な形式で映像表示部8307に表示する。アンテナレベル(信号レベル、信号の優劣を示す信号)の表示形式は、RSSI、受信電界強度、C/N、BER、パケットエラー率、フレームエラー率、チャネル状態情報等に応じた数値を表示するものであっても良いし、RSSI、受信電界強度、C/N、BER、パケットエラー率、フレームエラー率、チャネル状態情報等に応じて異なる画像を表示するようなものであっても良い。また、受信機8300は、上記各実施の形態で示した受信方法を用いて受信して分離された複数のストリームs1、s2、・・・毎に求めた複数のアンテナレベル(信号レベル、信号の優劣を示す信号)を表示しても良いし、複数のストリームs1、s2、・・・から求めた1つのアンテナレベル(信号レベル、信号の優劣を示す信号)を表示しても良い。また、番組を構成する映像データや音声データが階層伝送方式を用いて送信されている場合は、階層毎に信号のレベル(信号の優劣を示す信号)を示しても可能である。
上記の構成により、ユーザは上記各実施の形態で示した受信方法を用いて受信する場合のアンテナレベル(信号レベル、信号の優劣を示す信号)を数値的に、または、視覚的に把握することができる。
なお、上記の説明では受信機8300が、音声出力部8306、映像表示部8307、記録部8308、ストリーム出力IF8309、及びAV出力IF8311を備えている場合を例に挙げて説明したが、これらの構成の全てを備えている必要はない。受信機8300が上記の構成のうち少なくともいずれか一つを備えていれば、ユーザは復調部8302で復調し、誤り訂正の復号を行うことで得られた多重化データを利用することができるため、各受信機はその用途に合わせて上記の構成を任意に組み合わせて備えていれば良い。
(多重化データ)
次に、多重化データの構造の一例について詳細に説明する。放送に用いられるデータ構造としてはMPEG2−トランスポートストリーム(TS)が一般的であり、ここではMPEG2−TSを例に挙げて説明する。しかし、上記各実施の形態で示した送信方法及び受信方法で伝送される多重化データのデータ構造はMPEG2−TSに限られず、他のいかなるデータ構造であっても上記の各実施の形態で説明した効果を得られることは言うまでもない。
図84は、多重化データの構成の一例を示す図である。図84に示すように多重化データは、各サービスで現在提供されている番組(programmeまたはその一部であるevent)を構成する要素である、例えばビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラファイックスストリーム(IG)などのエレメンタリーストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。多重化データで提供されている番組が映画の場合、ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリームは映画の主音声部分と当該主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームとは映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像(例えば、映画のあらすじを示したテキストデータの映像など)のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。
多重化データに含まれる各ストリームは、各ストリームに割り当てられた識別子であるPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
図85は、多重化データがどのように多重化されているかの一例を模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリーム8501、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリーム8504を、それぞれPESパケット列8502および8505に変換し、TSパケット8503および8506に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリーム8511およびインタラクティブグラフィックス8514のデータをそれぞれPESパケット列8512および8515に変換し、さらにTSパケット8513および8516に変換する。多重化データ8517はこれらのTSパケット(8503、8506、8513、8516)を1本のストリームに多重化することで構成される。
図86は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。図86における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。図86の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
図87は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには図87下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
また、多重化データに含まれるTSパケットには、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリームなどの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自体のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
図88はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためのストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
図89は、その多重化データファイル情報の構成を示す図である。多重化データ情報ファイルは、図89に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
多重化データ情報は図89に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
図90は、多重化データファイル情報に含まれるストリーム属性情報の構成を示す図である。ストリーム属性情報は図90に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
図91は、放送局(基地局)から送信された、映像および音声のデータ、または、データ放送のためのデータを含む変調信号を受信する受信装置9104を含む映像音声出力装置9100の構成の一例を示している。なお、受信装置9104の構成は、図83の受信装置8300に相当する。映像音声出力装置9100には、例えば、OS(Operating System:オペレーティングシステム)が搭載されており、また、インターネットに接続するための通信装置9106(例えば、無線LAN(Local Area Network)やイーザーネットのための通信装置)が搭載されている。これにより、映像を表示する部分9101では、映像および音声のデータ、または、データ放送のためのデータにおける映像9102、および、インターネット上で提供されるハイパーテキスト(World Wide Web(ワールド ワイド ウェブ:WWW))9103を同時に表示することが可能となる。そして、リモコン(携帯電話やキーボードであってもよい)9107を操作することにより、データ放送のためのデータにおける映像9102、インターネット上で提供されるハイパーテキスト9103のいずれかを選択し、動作を変更することになる。例えば、インターネット上で提供されるハイパーテキスト9103が選択された場合、表示しているWWWのサイトを、リモコンを操作することにより、変更することになる。また、映像および音声のデータ、または、データ放送のためのデータにおける映像9102が選択されている場合、リモコン9107により、選局したチャネル(選局した(テレビ)番組、選局した音声放送)の情報を送信する。すると、IF9105は、リモコンで送信された情報を取得し、受信装置9104は、選局したチャネルに相当する信号を復調、誤り訂正復号等の処理を行い、受信データを得ることになる。このとき、受信装置9104は、選局したチャネルに相当する信号に含まれる伝送方法(これについては、図5、図41に記載のとおりである。)の情報を含む制御シンボルの情報を得ることで、受信動作、復調方法、誤り訂正復号等の方法を正しく設定することで、放送局(基地局)で送信したデータシンボルに含まれるデータを得ることが可能となる。上述では、ユーザは、リモコン9107によって、チャネルを選局する例を説明したが、映像音声出力装置9100が搭載している選局キーを用いて、チャネルを選局しても、上記と同様の動作となる。
また、インターネットを用い、映像音声出力装置9100を操作してもよい。例えば、他のインターネット接続している端末から、映像音声出力装置9100に対し、録画(記憶)の予約を行う。(したがって、映像音声出力装置9100は、図83のように、記録部8308を有していることになる。)そして、録画を開始する前に、チャネルを選局することになり、受信装置9104は、選局したチャネルに相当する信号を復調、誤り訂正復号等の処理を行い、受信データを得ることになる。このとき、受信装置9104は、選局したチャネルに相当する信号に含まれる伝送方法(上記の実施の形態で述べた伝送方式、変調方式、誤り訂正方式等)(これについては、図5、図41に記載のとおりである。)の情報を含む制御シンボルの情報を得ることで、受信動作、復調方法、誤り訂正復号等の方法を正しく設定することで、放送局(基地局)で送信したデータシンボルに含まれるデータを得ることが可能となる。
(その他補足)
本明細書において、送信装置を具備しているのは、例えば、放送局、基地局、アクセスポイント、端末、携帯電話(mobile phone)等の通信・放送機器であることが考えられ、このとき、受信装置を具備しているのは、テレビ、ラジオ、端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話、アクセスポイント、基地局等の通信機器であることが考えられる。また、本発明における送信装置、受信装置は、通信機能を有している機器であって、その機器が、テレビ、ラジオ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のアプリケーションを実行するための装置に何らかのインターフェース(例えば、USB)を介して接続できるような形態であることも考えられる。
また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード、ポストアンブル、リファレンスシンボル等)、制御情報用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。そして、ここでは、パイロットシンボル、制御情報用のシンボルと名付けているが、どのような名付け方を行ってもよく、機能自体が重要となっている。
パイロットシンボルは、例えば、送受信機において、PSK変調を用いて変調した既知のシンボル(または、受信機が同期をとることによって、受信機は、送信機が送信したシンボルを知ることができてもよい。)であればよく、受信機は、このシンボルを用いて、周波数同期、時間同期、(各変調信号の)チャネル推定(CSI(Channel State Information)の推定)、信号の検出等を行うことになる。
また、制御情報用のシンボルは、(アプリケーション等の)データ以外の通信を実現す
るための、通信相手に伝送する必要がある情報(例えば、通信に用いている変調方式・誤り訂正符号化方式・誤り訂正符号化方式の符号化率、上位レイヤーでの設定情報等)を伝送するためのシンボルである。
なお、本発明は上記すべての実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、通信装置として行う場合について説明しているが、これに限られるものではなく、この通信方法をソフトウェアとして行うことも可能である。
また、上記では、2つの変調信号を2つのアンテナから送信する方法におけるプリコーディング切り替え方法について説明したが、これに限ったものではなく、4つのマッピング後の信号に対し、プリコーディングを行い、4つの変調信号を生成し、4つのアンテナから送信する方法、つまり、N個のマッピング後の信号に対し、プリコーディングを行い、N個の変調信号を生成し、N個のアンテナから送信する方法においても同様にプリコーディングウェイト(行列)を変更する、プリコーディング切り替え方法としても同様に実施することができる。
本明細書では、「プリコーディング」「プリコーディング行列」「プリコーディングウェイト行列」等の用語を用いているが、呼称自体は、どのようなものでもよく(例えば、コードブック(codebook)と呼称してもよい)、本発明では、その信号処理自体が重要となる。
また、本明細書において、受信装置で、ML演算、APP、Max-logAPP、ZF、MMSE等を用い
て説明しているが、この結果、送信装置が送信したデータの各ビットの軟判定結果(対数尤度、対数尤度比)や硬判定結果(「0」または「1」)を得ることになるが、これらを総称して、検波、復調、検出、推定、分離と呼んでもよい。
ストリームs1(t)、s2(t)により、異なるデータを伝送してもよいし、同一のデータを伝送してもよい。
2ストリームのベースバンド信号s1(i)、s2(i)(ただし、iは、(時間、または、周波数(キャリア)の)順番をあらわす)に対し、規則的にプリコーディング行列を切り替えるプリコーディングを行い生成された、プリコーディング後のベースバンド信号z1(i)、z2(i)において、プリコーディング後のベースバンド信号z1(i)の同相I成分をI1(i)、直交成分をQ1(i)とし、プリコーディング後のベースバンド信号z2(i)の同相I成分をI2(i)、直交成分をQ2(i)とする。このとき、ベースバンド成分の入れ替えを行い、
・入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をI1(i)、直交成分をQ2(i)、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をI2(i)、直交成分をQ1(i)
とし、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)に相当する変調信号を送信アンテナ1、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)に相当する変調信号を送信アンテナ2から、同一時刻に同一周波数を用いて送信する、というように、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)に相当する変調信号と入れ替え後のベースバンド信号r2(i)を異なるアンテナから、同一時刻に同一周波数を用いて送信するとしてもよい。また、
・入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をI1(i)、直交成分をI2(i)、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をQ1(i)、直交成分をQ2(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をI2(i)、直交成分をI1(i)、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をQ1(i)、直交成分をQ2(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をI1(i)、直交成分をI2(i)、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をQ2(i)、直交成分をQ1(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をI2(i)、直交成分をI1(i)、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をQ2(i)、直交成分をQ1(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をI1(i)、直交成分をQ2(i)、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をQ1(i)、直交成分をI2(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をQ2(i)、直交成分をI1(i)、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をI2(i)、直交成分をQ1(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をQ2(i)、直交成分をI1(i)、入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をQ1(i)、直交成分をI2(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をI1(i)、直交成分をI2(i)、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をQ1(i)、直交成分をQ2(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をI2(i)、直交成分をI1(i)、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をQ1(i)、直交成分をQ2(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をI1(i)、直交成分をI2(i)、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をQ2(i)、直交成分をQ1(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をI2(i)、直交成分をI1(i)、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をQ2(i)、直交成分をQ1(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をI1(i)、直交成分をQ2(i)、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をI2(i)、直交成分をQ1(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をI1(i)、直交成分をQ2(i)、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をQ1(i)、直交成分をI2(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をQ2(i)、直交成分をI1(i)、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をI2(i)、直交成分をQ1(i)
・入れ替え後のベースバンド信号r2(i)の同相成分をQ2(i)、直交成分をI1(i)、入れ替え後のベースバンド信号r1(i)の同相成分をQ1(i)、直交成分をI2(i)
としてもよい。また、上述では、2ストリームの信号に対しプリコーディングを行い、プリコーディング後の信号の同相成分と直交成分の入れ替えについて説明したが、これに限ったものではなく、2ストリームより多い信号に対しプリコーディングを行い、プリコーディング後の信号の同相成分と直交成分の入れ替えを行うことも可能である。
送信装置の送信アンテナ、受信装置の受信アンテナ、共に、図面で記載されている1つのアンテナは、複数のアンテナにより構成されていても良い。
本明細書において、「∀」は全称記号(universal quantifier)をあらわしており、「∃」は存在記号(existential quantifier)をあらわしている。
また、本明細書において、複素平面における、例えば、偏角のような、位相の単位は、「ラジアン(radian)」としている。
複素平面を利用すると、複素数の極座標による表示として極形式で表示できる。複素数
z = a + jb (a、bはともに実数であり、jは虚数単位である)に、複素平面上の点 (a, b) を対応させたとき、この点が極座標で[r, θ] とあらわされるなら、
a=r×cosθ、
b=r×sinθ
が成り立ち、r は z の絶対値 (r = |z|) であり、θ が偏角 (argument)となる。そして、z = a + jbは、rejθとあらわされる。
本発明の説明において、ベースバンド信号、変調信号s1、変調信号s2、変調信号z1、変調信号z2は、複素信号となるが、複素信号とは、同相信号をI、直交信号をQとしたとき、複素信号は、I+jQ(jは虚数単位)と表されることになる。このとき、Iがゼロになってもよいし、Qがゼロになってもよい。
また、本明細書で説明した異なるプリコーディング行列をフレーム(時間軸および/または周波数軸)に割り当てる方法(例えば、実施の形態1、実施の形態17から実施の形態20)では、本明細書で述べた異なるプリコーディング行列とは異なるプリコーディング行列を用いても同様に実施することができる。同様に規則的にプリコーディング行列を切り替える方法と他の送信方法を共存させたり、切り替えたりする場合についても、本明細書で述べた異なるプリコーディング行列を用いて規則的に切り替える方法とは異なるプリコーディング行列を用いて規則的に切り替える方法としても実施することができる。
本明細書で説明した規則的にプリコーディング行列を切り替える方法を用いた放送システムの一例を図59に示す。図59において、映像符号化部5901は、映像を入力とし、映像符号化を行い、映像符号化後のデータ5902を出力する。音声符号化部5903は、音声を入力とし、音声符号化を行い、音声符号化後のデータ5904を出力する。データ符号化部5905は、データを入力とし、データの符号化(例えば、データ圧縮)を行い、データ符号化後のデータ5906を出力する。これらをまとめて、情報源符号化部5900とする。
送信部5907は、映像符号化後のデータ5902、音声符号化後のデータ5904、データ符号化後のデータ5906を入力とし、これらのデータのいずれか、または、これらのデータ全てを送信データとし、誤り訂正符号化、変調、プリコーディング等の処理(例えば、図3の送信装置における信号処理)を施し、送信信号5908_1から5908_Nを出力する。そして、送信信号5908_1から5908_Nはそれぞれアンテナ5909_1から5909_Nにより、電波として送信される。
受信部5912は、アンテナ5910_1から5910_Mで受信した受信信号5911_1から5911_Mを入力とし、周波数変換、プリコーディングのデコード、対数尤度比算出、誤り訂正復号等の処理(例えば、図7の受信装置における処理)を施し、受信データ5913、5915、5917を出力する。情報源復号部5919は、受信データ5913、5915、5917を入力とし、映像復号化部5914は、受信データ5913を入力とし、映像用の復号を行い、映像信号を出力し、映像は、テレビ、ディスプレーに表示される。また、音声復号化部5916は、受信データ5915を入力とし。音声用の復号を行い、音声信号を出力し、音声は、スピーカーから流れる。また、データ復号化部5918は、受信データ5917を入力とし、データ用の復号を行い、データの情報を出力する。
また、本発明の説明を行っている実施の形態において、以前にも説明したようにOFDM方式のようなマルチキャリア伝送方式において、送信装置が保有している符号化器の数は、いくつであってもよい。したがって、例えば、図4のように、送信装置が、符号化器を1つ具備し、出力を分配する方法を、OFDM方式のようなマルチキャリア伝送方式にも適用することも当然可能である。このとき、図4の無線部310A、310Bを図13のOFDM方式関連処理部1301A、1301Bに置き換えればよいことになる。このとき、OFDM方式関連処理部の説明は、実施の形態1のとおりである。
また、本明細書で「異なるプリコーディング行列を切り替える方法」と記述しているが、本明細書で具体的に記載した「異なるプリコーディング行列を切り替える方法」は例であって、本明細書で記載したすべての実施の形態において、「異なるプリコーディング行列を切り替える方法」として、「異なる複数のプリコーディング行列を用いて、規則的にプリコーディング行列を切り替える方法」と置き換えて実施しても、同様に実施することができる。
なお、例えば、上記通信方法を実行するプログラムを予めROM(Read Only
Memory)に格納しておき、そのプログラムをCPU(Central Processor Unit)によって動作させるようにしても良い。
また、上記通信方法を実行するプログラムをコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納し、記憶媒体に格納されたプログラムをコンピュータのRAM(Random Access Memory)に記録して、コンピュータをそのプログラムにしたがって動作させるようにしても良い。
そして、上記の各実施の形態などの各構成は、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、各実施の形態の全ての構成または一部の構成を含むように1チップ化されてもよい。 ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限られるものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
さらに、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
なお、本発明の一実施形態にかかるプリコーディング方法は、プリコーディングを行うための複数のプリコーディング行列があり、変調方式に基づく同相成分と直交成分とからなる第1変調信号及び第2変調信号それぞれと、前記複数のプリコーディング行列のいずれかを用いて、プリコーディング後の第1送信信号と第2送信信号とを生成するプリコーディング方法であって、前記第1送信信号と前記第2送信信号とを生成するためのプリコーディング行列は、前記複数のプリコーディング行列の中から規則的に切り替えられ、前記第1変調信号のデータ伝送に用いる一データシンボルである第1シンボルと、前記第2変調信号のデータ伝送に用いる一データシンボルである第2シンボルとのうち、前記第1シンボルがプリコーディングされて送信されるべき第1時間及び第1周波数と、前記第2シンボルがプリコーディングされて送信されるべき第2時間及び第2周波数とが一致する、第1シンボルと第2シンボルとについて、前記第1シンボルの周波数方向に隣接する2つの第3シンボルがともにデータシンボルであり、前記第1シンボルの時間軸方向に隣接する2つの第4シンボルがともにデータシンボルである場合、前記第1シンボルと、前記2つの第3シンボルと、前記2つの第4シンボルの計4シンボルでは、それぞれ異なるプリコーディング行列を用いて、プリコーディングを実行して前記第1送信信号を生成し、前記第2シンボルと、前記第2シンボルの周波数方向に隣接する2つの第5シンボルと、前記第2シンボルの時間軸方向に隣接する2つの第6シンボルとについて、前記第1シンボルと、前記2つの第3シンボルと、前記2つの第4シンボルのうち、時間及び周波数が一致するシンボルに用いたプリコーディング行列と同一のプリコーディング行列を用いて、プリコーディングを実行して前記第2送信信号を生成することを特徴とする。
また、本発明の一実施形態に係るプリコーディング方法を実行する信号処理装置は、プリコーディングを行うための複数のプリコーディング行列があり、変調方式に基づく同相成分と直交成分とからなる第1変調信号及び第2変調信号それぞれと、前記複数のプリコーディング行列のいずれかを用いて、プリコーディング後の第1送信信号と第2送信信号とを生成する信号処理装置であって、前記第1送信信号と前記第2送信信号とを生成するためのプリコーディング行列は、前記複数のプリコーディング行列の中から規則的に切り替えられ、前記第1変調信号のデータ伝送に用いる一データシンボルである第1シンボルと、前記第2変調信号のデータ伝送に用いる一データシンボルである第2シンボルとのうち、前記第1シンボルがプリコーディングされて送信されるべき第1時間及び第1周波数と、前記第2シンボルがプリコーディングされて送信されるべき第2時間及び第2周波数とが一致する、第1シンボルと第2シンボルとについて、前記第1シンボルの周波数方向に隣接する2つの第3シンボルがともにデータシンボルであり、前記第1シンボルの時間軸方向に隣接する2つの第4シンボルがともにデータシンボルである場合、前記第1シンボルと、前記2つの第3シンボルと、前記2つの第4シンボルの計4シンボルでは、それぞれ異なるプリコーディング行列を用いて、プリコーディングを実行して前記第1送信信
号を生成し、前記第2シンボルと、前記第2シンボルの周波数方向に隣接する2つの第5シンボルと、前記第2シンボルの時間軸方向に隣接する2つの第6シンボルとについて、前記第1シンボルと、前記2つの第3シンボルと、前記2つの第4シンボルのうち、時間及び周波数が一致するシンボルに用いたプリコーディング行列と同一のプリコーディング行列を用いて、プリコーディングを実行して前記第2送信信号を生成することを特徴とする。